「自分にイライラ」「ママ、こっち見て!」――癇癪(かんしゃく)を起こす子の心のなか
また、「じゃあ、ちょっとだけね」と、一見理解を示したような声かけもよくありません。
子どもには、「ちょっと」や「少し」といった曖昧な感覚が伝わらないので、「5時になったから急いで帰らないとね。じゃあ、あと3回滑り台滑って帰ろうか」と、時間や回数など具体的な数字を出して伝えましょう。
■気分転換をはかって気をそらす!
東京家政大学子ども学部教授の岩立京子先生は、子どものかんしゃくには「気をそらす」というテクニックが有効だと述べています。具体的には、次のような方法が効果的だそう。
スーパーでお菓子を買ってほしいと子どもがかんしゃくを起こす
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泣いている子どもをひょいと抱き上げ、駐車場の車に連れて行くなど場所を移動してから、「あれが欲しかったんだよね」と子どもの気持ちに共感してあげる
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少し時間が経ち、子どもが疲れて落ちつくタイミングがやってきたら、ジュースをあげるなど気分転換をはかって気をそらす
「親に怒りなどの感情を受け止めてもらい、調整してもらってきた子どもは、自己の情動を調整できる傾向が強い」と岩立先生。こういったプロセスを繰り返すことで、子どもは自分の情動をコントロールする術を身につけられるようになるそうです。
■「大声で叱る」「ご褒美で釣る」のは絶対にNG
激しくかんしゃくを起こす子どもに、ついイライラしてしまうのは当然です。
しかし、ここで「もう知らないからね!」と無視をしたり、「いい加減にして!」と大声で叱ったりするのは、結果としてさらに親御さんとお子さんを苦しめることにつながります。
子どものかんしゃくを無視するということは、子どもの本当の気持ちに向き合っていないのと同じです。市川先生は、「わかってほしいのにわかってくれない」「聞いてほしいのに聞いてくれない」という挫折感が子どもの心に広がると、次第に自分の気持ちを人に伝えることを諦めるようになると警鐘を鳴らしています。また、いくら暴れて騒がしくしていたとしても、ご褒美で釣るようなこともおすすめできません。伊藤先生によると、「○○をあげるからいい子にして」とその場を収めることを繰り返していると、子どもは「かんしゃくを起こしたらご褒美がもらえる」と勘違いしてしまうそう。子どものかんしゃくには、毅然とした態度で向き合うことを心がけましょう。
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子どものかんしゃくに悩んでいる保護者の方は、「今すぐにでもこの問題を解決したい」