「自分にイライラ」「ママ、こっち見て!」――癇癪(かんしゃく)を起こす子の心のなか
小さい子どもがいる親御さんのほとんどは、このような経験をしたことがあるはず。しかし、一度や二度ならまだしも、頻繁にこのような状況になってしまうと、心身ともに疲弊してしまいますよね。
白梅学園大学で非常勤講師を務める発達心理学が専門の塚崎京子先生は、「怒りっぽい子は感受性が強く、敏感に反応するタイプであることが多い」と述べています。つまり、ほかの子にとっては取るに足らないことでも、感受性の強い子にとっては強い刺激となり、怒りやイライラにつながってしまうというのです。
また、自信のなさや不安の強さから、自分の思い通りにならないとカッとなって感情をコントロールできなくなるケースもあるそう。「かんしゃくを起こしやすい子」と言っても、そうなってしまう原因は単純なものではないようです。
かんしゃくを起こすのは「親にかまってほしい」から!?
子どもがかんしゃくを起こす原因として第一に考えられるのは、幼さゆえに言語能力が未発達なため、自分の気持ちをうまく伝えられずに泣いたり暴れたりしてしまうということ。
前出の市川先生は、それに加えて「身体機能も十分に発達しておらず、やりたいことが思うようにうまくできずにイライラしていること」も原因のひとつになっていると言います。
つまり、かんしゃくを起こす根本の原因は「自分の思い通りにいかないことに対しての怒りやイライラ」があるのです。
また、子育て心理学を活用した育児支援を行なう公認心理師の佐藤めぐみさんは、「4歳を過ぎると大脳の発達が進み、脳や心の認知機能が大きく伸び、より複雑な思考ができるようになる」と述べています。それゆえに、子ども自身が急激に変化する自分の内面についていけず、気持ちのコントロールができなくなって、泣きわめいたり暴れたりしてしまうそう。
ほかに考えられるのは、“親子のコミュニケーション手段” としてかんしゃくを用いているケースです。小児科医の伊藤明子先生は、「親にかまってほしい」「親の注意を引きたい」という気持ちが、かんしゃくとして表れることもあると言います。たとえば、仕事が忙しいお父さんや、妹(弟)にかかりっきりになっているお母さんなどに対して、自分に注意を向けさせるためにかんしゃくを起こしていることも。
「一般的なイヤイヤ期を過ぎてもかんしゃくを起こすようだと、アタッチメント(=親子の絆)の形成が不十分であることのほか、子どもが日常的にストレスを感じていることを疑ってもいいかもしれない」