「ありがとう!」で子どもの自己肯定感が上がるワケ。幸福度が高い人は “感謝の心” をもっている
はただのお礼の言葉ではなく、同時にその人の存在価値を認め、自己肯定感を高めてくれる言葉でもあります。「自分でも人の役に立てる」「自分は必要とされている」という実感こそが、生きる力にもつながるのです。
■「早く準備をしてくれてありがとう。助かるよ」
出かける前にモタモタして準備が進まない子どもがいれば、「早くして!」と注意したくなりますよね。しかし、前出の岩井俊憲さんによると、その気持ちを抑えて、まずは「○時までに出発したいから協力してね」と促すといいそう。
そして、ちゃんと準備ができたら「○○ちゃんが早く準備をしてくれて助かったよ。ありがとうね」とお礼をしましょう。すると子どもは、「自分が協力したらお母さんはこんなに喜んでくれるんだ」と学び、自分から進んで準備するようになります。
■「お母さんが忙しいのをわかって手伝ってくれたんだね。気づいてくれてありがとう」
また岩井さんは、「優しく思いやりのある子に育ってほしいなら、子どもの『共感に基づく行動』に注目して感謝するといい」と述べています。
たとえば、こちらからは頼んではいないのに、大変そうにしている親や困っている兄弟を見て、自分から手を差し伸べてくれたとき。「気づいてくれてありがとう」「弟が困っているの、お母さんも気づかなかったよ。助けてくれてありがとう」など、その行動を受け止めて、感謝の気持ちを言葉にするといいでしょう。
「感謝の心」はポジティブな状態を生み出す
誰に対しても感謝の気持ちをもち、素直に相手に伝えることは、簡単なようで意外と難しいですよね。なにより自分に余裕がないと、なかなか「ありがとう」の言葉も出てきません。しかし、「ありがとうの言葉」や「感謝の気持ち」が、いかに人生の充実度や幸福度を左右するのかを知れば、できるだけその気持ちを保ち続けていたいと思うはずです。
「感謝の心をもっていると、妬み、憤り、後悔や落ち込みといった、私たちを幸福から遠ざける有害な感情を抱かなくなる」と述べるのは、カリフォルニア大学デービス校のポジティブ心理学者、ロバート・エモンズ教授。つまり、人生をより前向きに生きていくには、感謝の心をもち続けることが大切なのです。
ペンシルベニア大学心理学部教授マーティン・セリグマン氏がうつ病患者に行なった実験では、「感謝の気持ちによって通常よりも幸福感が高まり、抑うつ状態が減った」