急に相手を罵倒する!? 小学生に多く見られる「トゥレット症候群」の知識
電車や町中などで急に奇声を発する大人や子ども をみかけたことがありませんか?実はあれ、『チック症』という精神神経疾患が原因であることが多いんです。
あまり聞き慣れない人もいるかと思いますが、『チック症』は子どもの10人に1〜2人が経験すると言われるメジャーな症状です。
『チック症』には、咳払いや発声などを繰り返す“音声チック”と、まばたきや首振りなどを繰り返す“運動性チック”の二つに分けられます。
『チック症』には軽度なものから重度なものまでさまざまな症状がありますが、とくに重症の場合は『トゥレット症候群』 として分類されることがあります。
『トゥレット症候群』の人は症状が重度であるがゆえに周りに誤解されることが多い病気です。
冒頭で触れたように電車や町中で奇声を発している人を見て「変な人」と決めつける人も多いでしょう。
しかし、そんな周囲の好奇な目にさらされて引きこもりになるほど悩んでいるケースもあるようです。
今回は、そんな『トゥレット症候群』についてお話ししていきたいと思います。
●トゥレット症候群は1,000〜2,000人に1人の割合
トゥレット症候群は脳機能の障害が原因であり、発達障害の一つに分類されます 。つまり、大きく見れば自閉症やアスペルガー症候群、学習障害などと同じくくりの障害です。
定義としては、多様な運動性チックと1つ以上の音声チックが1年以上にわたって持続するチック障害とされています。
トゥレット症候群は1,000〜2,000人に1人の割合で発症する と言われ、女性よりも男性の方が発症率が高い傾向にあります。
また、『NPO法人日本トゥレット協会』によると、発症年齢は平均4〜11歳が多く、特に7歳前後に最もよく見られるとのことです。
●トゥレット症候群になる原因
トゥレット症候群は、脳内神経伝達物質であるドーパミンが過剰に活動することが原因だと言われていますが、具体的な根拠はまだないようです。
また、チック症は以前ストレスや不安などの心理的要因で発症すると思われていたため、「チック症は親の責任」という誤解 が蔓延していた時期がありましたが、今では否定されています。
ちなみに、トゥレット症候群は遺伝的要素が強いと言われており、トゥレット症候群の患者の約半数以上には同じ家計内にトゥレット症候群の患者がいるというデータもあるようです。