殺人と同じ? ダウン症や流産を防ぐ『着床前スクリーニング』への賛否
●あなたはどっち? 着床前スクリーニング検査への賛否
●反対派の意見
『人が命の選別をするなんてあり得ない。たとえ受精卵だとしても、それはすでに命の卵みたいなもの。それを選別するということは、殺人をしているのと同じこと だと思います』(41歳女性/独身)
『子どもは親を選べません。逆に親が子どもを選ぶこともできないはずです。自然の摂理に反して選別をすることに強い違和感を覚えます』(32歳女性/2歳男児のママ)
『よく考えて欲しい。たしかに技術としては素晴らしいけど、これは今障害を持って生きている人たちを否定する行為に他なりません。彼らは失敗作なのですか?そんなわけないでしょう。どんな障害を持っていても、生きていく権利が人間にはあるはずです』(45歳女性/7歳女児のママ)
倫理的な側面から反発する人が多い印象を受けました。
たしかに着床前スクリーニングを受けるということは、本来生まれてくるはずだった“異常のある受精卵”を選別して排除する ことにつながりかねません。
その行為に他意はなくとも、染色体異常を抱えながら生活している人にとっては自分が否定されているような気持ちになる可能性もあります。
物を整理整頓するかのような感覚で命を選別していいのか、そういう問いかけも反対派の人たちからは聞かれます。
●賛成派の意見
『子どもに健康な状態で無事に生まれてきてほしい 。それはどんな母親でも思うことです。着床前スクリーニングを受けて異常のない受精卵を選ぶことに何の問題があるのか分からない』(38歳女性/妊活3年目)
『着床前スクリーニングを反対している人は、自分が流産するツラさを知らない人たちだと思います。少しでも流産の確率を下げる方法があるならそれにすがる……一度流産を経験した女性は皆そうすると思います』(34歳女性/2歳男児のママ)
『正直私には障害を持つ子どもを育てていく自信がありません。もし障害のある子が生まれたら、子どもにも不幸な思いをさせるかもしれません。
だから私はこの検査には賛成です』(27歳女性/独身)
賛成派の意見にはさまざまなものがありますが、「子どもを健康に産むためにはやむを得ない」という人が多く見受けられました。とくに流産を一度経験してしまうと、二度と出産できない体になってしまうケースもあります。そのため、次に産まれてくる子どものために着床前スクリーニングを受けたいという人もいました。