声が出せない子どもたちには具体的なワードを教えるのが良い? それともサッカーの理解を深めるべき? どうしたら声が出せるようになるか教えて
間違えることが恥ずかしいという感情があるようです。
加えて、彼らの日常生活で「大声を出す」という状況があまりありません。逆に、ちょっと声が大きくなると「どうしてそんな大声出すの?」と大人に言われたり、仲間から「静かにしろよ」と注意されてしまう。感情を表に出す、一緒になって大声でわいわいやる、みたいな経験が、親世代よりも圧倒的に少なくなっているようです。
まずは、そのような子どもの実態と背景を理解しなくてはいけません。そうすれば、あの子は声を出せないと否定するような考えや態度にならずに済みます。そのように考えると、声を出すことはサッカーをするうえで必要なので、できるようになるトレーニングをすればよいのです。
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■空間認知力を養うためにもおすすめの「ハンドパスゲーム」
例えば、私がよく行うメニューに「ハンドパスゲーム」があります。
子どもたちがバスケットボールの手前で行う、ポートボールのような感覚です。バスケットはリングにシュートしますが、ポートボールは台の上に立った味方に直接渡します。
サッカーで行う鳥かごのような形にして、真ん中に守備を入れます。守備をうまく避けてボールをつないでいくポートボールのイメージで、手から手にボールを渡す動作から始めます。次に「鳥かごから、全員動いていいよ」と言って、固定ではなく動くのをOKにします。つまりはサッカーボールで行うバスケットです。どこに走って、どこに投げるとつながるか。このメニューは空間認知力を養うことにも役立ちます。
このハンドパスゲームで、味方同士で5本つなぐと1点というルールにします。最初のパスを出す人は「1」と言ってパスを出す。次の人は「2」と言ってパスを出すようにして、6人目がパスを受けた瞬間にチーム全員で「一点!」と叫ばなくてはいけない。そんな決まりをつけます。パスの数を告げる声もコーチに聞こえなくてはいけません。
ここで声が小さいと「おーい、聞こえないよ~」と言ってあげてもいいでしょう。子どもたちは勢いづいて大声を出すようになります。
全員で一点!と叫ぶのを誰かが忘れたりします。
子どもたちが笑顔になるので、アイスブレークにも最適なメニューです。
■「左側に相手DFが来ているから右行って」など、どんな声を出せばいいか
この夏休み中にドイツから帰国し全国をまわって指導していた、育成コーチの中野吉之伴さんが行っていたトレーニングも自然に声を出すものです。