声が出せない子どもたちには具体的なワードを教えるのが良い? それともサッカーの理解を深めるべき? どうしたら声が出せるようになるか教えて
2メートルくらいの範囲にマーカーを置いてグリッドを作り、そこでボールコントロールの練習をします。
パス出す人に「右」と言われたら、右足でコントロールします。右へ出ていかなくてはいけません。グリッドの外にボールを置く決まりです。「後ろ」と言ったら、後方にボールを動かします。つまり指示されたほうにボールを動かさなくてはなりません。
このような状況は試合の中でも起こります。仲間から「右行って」とか「左行って」と言われることがあります。
言うほうも、聞くほうも瞬時に判断しなくてはなりません。
このトレーニングをすると、子どもたちは声を出します。最初はパスを出すときに相手に言うのを忘れてしまうこともあります。決められなくて口ごもり「早く言えよ!」と言われたりします。が、よく考えたら試合の中でもそんなことが起きます。そのことをぜひ子どもたちに伝えてください。
「試合の中でも起きるよね。左側に相手のディフェンスがきてるから右に行けよと言ってあげよう」
そんなふうに、どんな声を出せばいいのかを明確にしてあげてください。
■「最終形は何か」を話し合うこと
(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)
練習するなかで「最終形は何か」ということも話し合ってください。声を出さなくても通じ合うこと。そんな話が出るでしょう。子どもが賢くなれば「どっちに欲しいか指示しなさい。右足に欲しいときは右手を出すように」とコーチに言われても、それでは相手にばれてしまう、と考えます。そうしながら逆に出すことを考え出す子もいます。
チームとしてサッカーの理解が進むと、逆に声は出さなくなります。
相手をだまして、かわしてゴールに進む。サッカーのようなボールゲームはその連続なのです。そのなかでお互いの阿吽(あうん)の呼吸みたいなものを作っていきます。そのためにプロ選手は毎日一緒に練習するし、代表でも長く一緒にやっていればそれが強みになります。
「サッカーってチームでやるよね。右に行ってほしいなと思ってたら、行ってよって言ったほうがいい。もらう側も、ちょうだいって言えばいい。そこはオフサイドポジションだからパスしないよ、というのもあるね。
チームで助け合ってサッカーをするために声を出そう」
例えば、そんなふうに子どもたちに話してみてください。
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池上正(いけがみ・ただし)