信州大学先鋭領域融合研究群先鋭材料研究所の成果として信州大学発ベンチャー「信州ボルタ」が製造するリチウムイオン電池材料を富士フイルム和光純薬から販売開始
二峰性分散型LiNi0.9Co0.05Mn0.05O2 (NCM91)正極の充放電曲線とFE-SEM像。2.8-4.3 V(vs. Li/Li+)のカットオフ電圧範囲で 約210mAh/gの比容量が得られます。
(3) カーボンナノチューブ(CNT)バインダー:PCT/JP2019/045732
単層カーボンナノチューブと多層カーボンナノチューブのハイブリッド化による世界初の導電性バインダー
電池の電極は、活物質、導電助剤、バインダーから構成されている。電池容量に寄与しない導電助剤やバインダーの使用量を大幅に削減することに成功し、活物質濃度を高めた高エネルギー密度型電極を実現した。導電助剤には、カーボンナノチューブを用いている。量産レベルでは世界で最高の電子伝導性能を示す名城ナノカーボン社製の長尺単層カーボンナノチューブと短尺多層カーボンナノチューブをハイブリッド化することで、活物質:導電助剤:バインダー=99.5:0.5:0の混合比からなる高エネルギー密度型電極を実現した。カーボンナノチューブが電極内で三次元的に均一に広がった電子伝導網を形成することにより、従来の電極抵抗の圧倒的な低抵抗化を達成した。
さらに、網目状に広がった電子伝導網は電極内部に存在する隣接する活物質粒子間を繋ぎとめるバインダー機能をもたらすことを明らかにした。
実用レベル相当の電池を試作し、ハイブリッド車や無人搬送用ロボットに搭載された量産電池と比較すると、特に低温(-10℃)における急速充放電特性において、圧倒的に高性能であることを明らかにした。信州ボルタ株式会社の開発する高入出力型電池への搭載に向けた技術開発に加え、研究用試薬として販売し、研究開発レベルで幅広いユーザーに評価いただくことで、カーボンナノチューブバインダー固有の課題抽出や次世代材料ターゲットの選定を目的とするマーケティング調査を進めていく。
低弾性カーボンナノチューブバインダーの模式図と高濃度NCM電極のFE-SEM像(NCM:CNT = 99.5:0.5 (wt%))。入出力特性と高エネルギー密度,サイクル特性を共立する電極を提供します。
製造元 :信州ボルタ株式会社
長野県長野市若里4-17-1
TEL 090-8473-2294
販売 :富士フイルム和光純薬株式会社
東京都中央区日本橋本町2-4-1
TEL 03-3270-8123
技術協力 :信州大学
販売開始日:令和3年11月15日
(参考情報)