■レギュラーアニメとは違う、映画ならではの魅力
ポスター1枚で私たちの心を掴むドラえもんですが、映画ならではの魅力はどこにあると感じますか?
土肥「テレビアニメは基本的にギャグアニメなので、ジャイアンが結構ひどいことをしたりするんですよね(笑)。でも、映画になるとそんなジャイアンがすごく良いヤツに描かれていたりして、友情とか、子どもたちに大事にしてもらいたい基本的なことが詰まっていると思います。
東宝・映画宣伝プロデューサーの土肥直人さん「映像面では、鮮やかさが出るように彩度が高い色使いをしているのも、今年の映画の特徴だと思います」。『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』
レギュラーのアニメより、映画のほうがのび太の優しさが際立つエピソードが多いというのも魅力のひとつですね。映画だと、肝心なところでひみつ道具が使えなかったり、ピンチに陥ったりするのも特徴です。
ひみつ道具を使うのももちろん楽しいけれど、道具だけに頼らず自分たちで頑張って解決していくっていうのは、映画ならではのおもしろさだと思います。今年はドラえもんのピンチを救う、のび太の頑張りに注目です」
――レギュラーアニメと映画の違いは、意識して作られているのでしょうか?
土肥「藤子・F・不二雄先生が大長編を描かれていたときから、友情が強く感じられたり、様々なところに大冒険に出かけたりといった部分は変わっていません。
やはりF先生が描いてきたドラえもんの世界観から逸脱するようなことは起こらないというのは、大事にしている部分なんだと思います。
根本が変わらないというのは、親御さんからすると、ものすごく安心できることですよね。
『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』
『映画ドラえもんって、こういうものだよね』というイメージを持って、お子さんを映画館に連れて行っていると思うので。親世代になった人が、自分が子どものときにドラえもんを観て感じた原体験みたいなものを、お子さんにも味わわせてあげたいなっていうのがあるんじゃないかと。
新作を作るときは、その普遍性にプラスして今の時代に合うものをエッセンスとして取り入れています。
例えば今回は“スノーボールアース”(昔、地球は丸々凍っていたことがある)という仮説がもとになっていますが、『のび太の恐竜』が公開された当時は恐竜が隕石で絶滅したというのは真説ではなかったように、その時代の子どもたちにワクワクしてもらえるようなお話作りを心がけていると思います」
『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』
――正直、『映画ドラえもん』のストーリーは子どもにとって少し難しい部分もある気がするのですが…?
土肥「僕自身もちょっと難しいんじゃないかと思う部分はありますが、実際にはお子さんがすごく真剣に観ていて、終わった後も『おもしろかった!』と言っているんですよね。おそらく、物語の中で理解していない部分もあると思います。でも、それが逆に親子としての会話に繋がっていくと思うので、それはそれでいいんじゃないかなって」
――同じ作品なのに、親子で感じ方が違うというのもおもしろいですね。
土肥「僕が思うに、『映画ドラえもん』の魅力は“日常から始まり、非日常なことが起こって、日常で終わる”ということ。子どもたちにとってドラえもんは、テレビで観るのが日常。だから映画館に行くということ自体が非日常なんですよね。
そんな映画の中でドラえもんが非日常に行くことで、子どもたちも大冒険できる気がするんです。ドラえもんたちと一緒に日常から非日常に行って、日常に帰ってくる…。
春休みの良い思い出になると思うので是非お子さんを映画館に連れて行ってあげてほしいし、家族で観てもらいたいです。
パパ・ママはドラえもんの良さをわかっているはずですからね。何世代にも渡り、これからも繋がっていってほしいと思っています」
東宝・映画宣伝プロデューサーの土肥直人さん。ある世代以降からは、それぞれ“マイフェイバリットドラえもん映画”があるという土肥さん。「世代によって観ていた作品は違うけど、それぞれ印象に残っている映画がある。
それは37年続いているからこそだと思いますね」
『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』
3月4日(土)全国東宝系ロードショー!
■原作:藤子・F・不二雄
■監督・脚本・演出:高橋敦史(『青の祓魔師 ―劇場版―』)
■CAST:ドラえもん:水田わさび のび太:大原めぐみ しずか:かかずゆみ ジャイアン:木村昴 スネ夫:関智一
■主題歌:平井堅「僕の心をつくってよ」(アリオラジャパン)
■公式サイト
http://doraeiga.com/2017/
(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ動画・ADK 2017
昔の子ども、今の子ども。