「はやくしまったほうがいい」と感じるものではないでしょうか。
この点でも、お金と血液は、ちょっと似ていると思うのです。
私は、ディズニーランドのアトラクションの中で「カリブの海賊」がいちばん好きです。船に乗って眺めてゆく光景の中に、「洞窟の中で、金貨や財宝の山の上に座っているガイコツの海賊」というのがあります。おそらく飢えて死んでしまったのかなと思うのですが、それでも尚、彼は自分の戦利品である宝の山を守り続けています。
あの光景は、滑稽でもあり、恐ろしくもあります。彼を見ると、悲しく切ない気持ちになることもあります。限りない満足と果てしない孤独、奪われることへの恐怖など、激しい感情が彼の中に渦巻いたことでしょう。
その感情に窒息するかのようにして、彼は死んだのかもしれません。
彼は幸福だったのでしょうか。
もし「お金があれば幸福になれる」のであれば、彼ほど幸福な人間はいないでしょう。巨万の富の上に座って死んだのですから。そう思って見てみれば、確かに、幸福そうに見えないでもありません。
でも、自分も彼のようになりたいかというと、そうは思えません。
お金は、使えば消えてしまいます。でも、使わないでおいても、骸骨の守る金貨のように、意味をなさないのです。