連載記事:リアル・モンスターワイフ、再び
娘の誕生日が修羅場? 不満大爆発の“噴火型モンスター”【リアル・モンスターワイフ、再び 第17回】
夫の愛が冷めてゆく…それは、妻に
モンスターワイフの影が見えるから…。
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今回ご紹介するのは、
「バイオレンス系モンスター」。これまでに見てきたタイプのモンスターワイフたちよりも、ドロドロの修羅場を繰り広げる
危険性がさらに高いモンスターです。
「修羅場だなんて、私はそんな!」と思った、そこのアナタ。ギョッとするような大爆発を起こしているモンスターワイフも、
つい昨日までは普通のいい奥さんだったかもしれないのです。
あなたもある日突然、大爆発を起こしてしまう危険性はないでしょうか?
■積もり積もった不満が爆発! 突然噴火するバイオレンス系モンスター
「バイオレンス系モンスター 修羅場火山」代表:理恵(仮名)36歳の場合
「人がおとなしくしていればいい気になって、つけ上がって! 一体、
何様のつもり!?章人さん、私、あなたの家族なんてやってられない!」
これまでずっと心の中に渦巻いていて、けれど一度だって口に出したことはなかった思いが自分の口から飛び出していく。目の前では夫と義父、義妹が、宇宙人でも見るような顔で固まっている。
理恵は6歳年上の章人と、28歳の時に職場結婚をした。
誰にでも親切で面倒見のよい章人と、真面目で完璧な仕事ぶりで笑顔を絶やさない理恵は「理想の夫婦」と呼ばれ、理恵は幸せの絶頂にいた。
しかし、
結婚して一変。気になり始めたことが…。
章人には5歳年下の妹、真美がいる。甘やかされて育ったためワガママ放題の真美は、思春期の頃から父親と折り合いが悪い。母親は真美がまだ学生の頃に病気で他界していた。そのため、以前から何かといえば兄に頼るのが当たり前のようになっていた。真美はいまだに独身だ。
突然電話をかけてきて、理恵に向かって「明日、そっちに遊びに行くから、
ゴハン作っといて」などということもザラだった。「なんて
非常識な人なの」と理恵はいつもウンザリしていた。
けれど、章人が妻に申し訳なさそうにしながらも、真美にノーと言わずにいるのを見ると、妻として夫の意思を尊重してあげなければと感じ、口出しすることはなかった。夫の意をくんで、
黙って従う妻。これぞ理想の良き妻。理恵はそう信じていた。
だからこそ、真美が章人に高額な誕生日プレゼントをねだった時には、「私もちょっと応援するわ」とお金を差し出したのだ。
「面白そうな仕事」を見つけるとすぐに飛びつき、しょっちゅう職を転々としている真美。
章人はつねに心配して気をもんでいるので、「真美さんとゆっくり話してみたら?」と、夕飯へしょっちゅう誘った。「夫の妹は私の妹、
仲良くしなくちゃ…」そんな思いもあったのだ。
すべては、章人の最高の妻でいるためだった。夫の家族にも優しく、思いやりにあふれ、配慮がゆき届いた妻でいたかった…。
ただ、章人は理恵の努力をくみ取ろうとはしない。理恵の
気づかいに鈍感で「あ、サンキュ」とサラリと甘えた。いつもいつも、理恵がどんなに頑張ってもそっけない態度の章人。もやもやしたものが何年もの間に心の底に積もっていった。
けれども今回ばかりはもう限界だった。