かの有名な『源氏物語』には、どうじに複数の人を愛する男女がたくさん出てきます。だからなのか、受験に出てくるくだりと、出てこないところが、わりに判断しやすいのだそうです。
男がどうじに5人の女性と付き合っている・・・・・・そして女たちは嫉妬に狂っている・・・・・・こういうことをあからさまに書いてある箇所は、おそらく受験に出てこない。
■今の「不倫」は、むかしは「いいこと」だった
今の時代の不倫とは、みなさんがよく知っているあの行為のことですが、平安時代にあっては、どうじに複数の人を愛せないことこそが、人の倫(みち)に外れている「不倫」だったとのことです。
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「わたしは彼にとって、複数いる彼女のひとりに過ぎない」――こんな恋愛をしていたら、当然そこには嫉妬が生まれてきますよね。この嫉妬という感情をどう自己処理するのか?
これが、平安時代の人たちのテーマでした。嫉妬心を抱くなんて愚かだと知りつつも嫉妬に狂い、お坊さんに相談するとか、嫉妬に狂って妙な悪霊と会話をしてしまうとか、あるいはいかに彼を束縛するかを考え抜くとか・・・・・・こういうような、とても人間臭いドラマが『源氏物語』には書かれているのでしょう(全編を読んだことがないので、「でしょう」