お受験に向けて、子どもの勉強方法ややる気を出させるテクニック、不安を解消させる声かけや、面接でのパパとママの装い、受け答えまでお受験に関わる記事です。 (1/14)
株式会社日本教育指導総合研究所JET(所在地:東京都新宿区、代表取締役社長:屋口 京子)が運営する中学受験専門の個別指導塾・家庭教師派遣の受験Dr.は、2025年度の「人気講師先行予約」を12月9日(月)より開始した。2025年度 人気講師先行予約■「人気講師先行予約」とは●2025年2月から指導を開始する生徒対象●受験Dr.の「個別指導」と「家庭教師」の両部門で実施●人気の高い講師のスケジュールを早めに予約する制度【期間】2024年12月9日(月)から2025年1月31日(金)まで【お申し込み】電話(03-5304-8225)もしくは下記申し込みフォーム 【先行予約特典】●『よく出る! 中学受験 算数 イメージde暗記! 根本原理ポイント365(基礎編・実践編・問題集)』『開成中学365+』 いずれか1冊●受験Dr. 国語科指導最高責任者 クラウンドクター講師 春野 陽子先生著『文法の識別問題』(非売品) 1冊■受験Dr.について「受験Dr.」は【目の前の1人を勝たせる】をモットーに、お子さん一人ひとりの性格や学習状況に合わせたオーダーメイド指導の「個別指導塾」「プロ家庭教師の派遣」「オンライン授業」のサービスを提供。開成中学校の合格者数は2020年、2021年、2022年、2023年、2024年の5年で計51名となり、個別指導No.1の合格実績を達成しています。■会社概要商号 : 株式会社日本教育指導総合研究所JET代表取締役社長: 屋口 京子所在地 : 〒160-0004 東京都新宿区四谷1-2-8 四谷THビル7階設立 : 設立 1998年2月/法人化 2003年10月事業内容 : 中学受験プロ講師による個別指導塾・家庭教師 受験Dr.校舎 : 四谷本部校、麻布十番校、代々木校、自由が丘校、吉祥寺校、東京校、成城学園校、白金高輪校、横浜校、京都駅前校資本金 : 1,000万円URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年12月10日クリスマスが近づくと、子どもたちへのプレゼントで悩む方も少なくないでしょう。特に未就学児・小学生には知的好奇心を刺激する贈り物がおすすめです。この記事では、理科実験キットと図鑑を軸に、子どもたちが楽しみながら学べるプレゼントを提案します。理科離れが懸念される現代だからこそ、科学への興味を育むことが重要です。しかし、放っておいても子どもの科学への興味はなかなか芽生えないもの。そんななかで注目したいのが、理科の実験キットや図鑑の活用です。これらを通じた体験的な学びは、科学的思考力を育み、中学受験はもちろん、大学受験やその後の社会人としての成功にも結びつきます。本格実験キットで科学のおもしろさを体験!「学研の科学」シリーズ理科実験キットは、子どもたちの好奇心を刺激し、科学への興味関心を育むのに最適なアイテムです。2024年のクリスマスには、子どもたちが夢中になれる実験キットをプレゼントして、科学の世界への扉を開いてあげましょう。子どもたちが夢中になる本物の科学体験を提供する「学研の科学」シリーズには、自宅で本格的な科学実験ができるキットが付いています。キットを組立て、実験・観察をしたり、自分で問いを見つけて答えを探す楽しさを感じたりと、一歩先をゆく科学体験ができますよ。大人も思わず夢中になるほど本格派のキットは、家族のコミュニケーションにも一役買ってくれそうです。≪実験キットの選び方≫理科実験キットは、対象年齢やテーマ、難易度などを考慮したさまざまな種類のものがあります。子どもたちの興味関心や年齢に合わせたキットを選ぶことで、より一層実験を楽しめるでしょう。たとえば、低学年以下の子どもには、簡単な操作で楽しく実験できるキットがおすすめ。生き物や鉱物などの身近なテーマを取り扱った実験キットは、子どもたちの好奇心を刺激し、科学への興味関心を育むのに最適です。高学年の子ども向けには、より高度な実験に挑戦できるキットを!宇宙をより身近にする天体望遠鏡など、より専門的なテーマを取り扱った実験キットは、子どもたちの知的好奇心を満たし、科学的な思考力を育むのに役立ちます。【注目商品1】『学研の科学 天体望遠鏡』(2024年12月発売)プロも認める高性能な天体望遠鏡が付いた宇宙観測体験キット。2種類の倍率(15倍・45倍)の接眼レンズ付きで、土星の環や月のクレーターまでくっきり観察できます。家族で星空観察や理科の自由研究など、楽しみ方は無限大!推奨年齢:小学校中学年~特に向いているお子様:夜空や宇宙に興味がある親子で楽しめる度:★★★★★(星空観察は家族の思い出に)【注目商品2】『学研の科学 万能顕微鏡と標本作成キット』組み立て10分、約10cmのコンパクトサイズの手軽さで、本格的な機能が搭載されている万能顕微鏡キット。顕微鏡を変形させることで透過・反射・投影の3種類の観察ができます。最大100倍のミクロの世界を探検することで、子どもの好奇心がどんどん刺激されていきますよ。推奨年齢:小学校低学年~特に向いているお子様:生き物や自然観察が好き親子で楽しめる度:★★★★(標本作りは親子で協力)【注目商品3】『学研の科学 実験鉱物と岩石標本キット』12種類の本物の鉱物と岩石が付いたキットです。へき開、複屈折、研磨、硬度、磁性など、鉱物のユニークな性質を実験を通して学ぶことができます。実験が楽しくなる10倍観察ルーペや、専用ケースでコレクションできる本物の標本付き。推奨年齢:小学校低学年~特に向いているお子様:石集めや実験が好き親子で楽しめる度:★★★★(実験は大人の監督推奨)科学の世界をより深く知る!おすすめ図鑑シリーズ科学への興味を引き出す第一歩として、小さな子どもでも楽しめる図鑑は最適です。動物や恐竜、乗り物、からだのしくみや、宇宙など、まずは興味があるジャンルから始めましょう。「好き」をきっかけに好奇心が刺激されることで、「もっと知りたい」という知的欲求が高まり、深い思考力や考察力にもつながります。特に、しかけがあったり動画と連動していたりと、五感を刺激しながら学べる図鑑がおすすめです。理科実験キットと合わせて図鑑をプレゼントすることで、実験を通して得た知識をさらに広げることができます。図鑑の種類と選び方対象年齢:子どもの年齢に合わせた内容と難易度が適切なものを意識。低学年の子どもには、写真やイラストが多く、わかりやすい説明が書かれた図鑑がおすすめです。高学年の子どもには、より詳細な情報が載っている図鑑が好奇心をさらに育みます。興味関心:子どもの興味関心に合わせたテーマの図鑑を選ぶのはマスト。好きな動物や植物、宇宙など、子ども自身が興味をもっているテーマの図鑑であれば、自然と読み進めることができます。内容の充実度: 写真やイラストの質、説明文のわかりやすさ、情報量の豊富さなどを確認。子どもたちが興味をもち、理解しやすい内容の図鑑を選びましょう。デザイン:子どもの目を引くようなデザインであるか。カラフルな表紙やイラスト、工夫を凝らしたレイアウトなど、子どもたちが楽しく読めるような図鑑を選びましょう。 【学研の図鑑LIVEシリーズ(小学生向け)】最新の研究成果と迫力の写真で、科学的な観察力を育みます。推奨年齢:3歳~特に向いているお子様:生き物の観察や研究が好き親子で楽しめる度:★★★★(一緒に読みながら発見できる)1.『学研の図鑑LIVE 動物 新版』子どもから大人まで大満足できる動物図鑑の決定版!迫力の写真と詳細な解説で生物の進化を学べるだけでなく、動物の生態から体のつくりまで科学的に解説しています。ARアプリを使えば、迫力満点の姿を360度体感できますよ。近年では、従来の紙媒体の図鑑に加えて、インタラクティブな図鑑も人気を集めています。インタラクティブ図鑑は、音声や動画、AR(拡張現実)などの機能を搭載しており、子どもたちの五感を刺激し、より深い学びを促進します。人気の動物は見開きで詳しく解説。収録種類はなんと約840種と圧倒的なボリュームを誇ります2.『学研の図鑑LIVE 恐竜 新版』最新の研究成果を反映した古生物学の知識が満載の本格図鑑です。化石の発掘から復元までの科学的プロセスを詳しく解説、専門性の高いコラムも読み応えがあります。時代ごとの環境変化と進化の関係も学べて、大人も夢中になるおもしろさです。ほかの図鑑には載っていない最新種含む420種を掲載。超高精細イラストで絶滅した恐竜を再現しています3.『学研の図鑑LIVE イヌ・ネコ・ペット』人気のイヌ・ネコ・ペットを約460種収録。身近な動物から学ぶ生命科学の入門編とも言える図鑑です。実践的なペットの飼育知識を網羅しているだけでなく、品種改良の歴史から遺伝の仕組みまで理解できる内容になっています。大好きなペットとなかよくなるコツがわかる情報ページも充実しているので、家族で一緒に見て楽しめますよ【めくって学べるシリーズ(幼児向け)】しくみを知って理系脳を育てよう。推奨年齢:3歳〜特に向いているお子様:身のまわりのしくみや不思議に興味がある親子で楽しめる度:★★★★(しかけを一緒に楽しめる)4.『めくって学べるからだのしくみ図鑑』大人気「めくって学べる」シリーズより、めくりしかけで立体的に人体の構造が理解できて、知的欲求を高めてくれる図鑑です。人体の複雑な構造をわかりやすく図解で示すことで、医学的な正確さと子ども向けのわかりやすさを両立しています。しかけをめくると、骨や筋肉、血管や心臓、消化器、神経などからだのなかのようすがよくわかります。からだのしくみがわかれば、きっと誰かに話したくなりますよ【はっけんずかんシリーズ(幼児向け)】写真とイラストで楽しく科学の入り口へ。推奨年齢:3歳~特に向いているお子様:写真や図鑑が好きな幼児親子で楽しめる度:★★★★★(一緒に発見する喜びを共有)5.『はっけんずかん うみ 改訂版』海で暮らす生き物たちの魅力がたっぷり詰まった楽しいしかけ絵本の図鑑です。生態系の基礎が自然に学べる構成になっているので、理科への興味のきっかけづくりに最適。しかけをめくると、あっと驚くワクワク感を味わえます。海の生き物の不思議な生態に触れて、知的好奇心が育まれる一冊。図鑑ページは、小さな子どもでも理解しやすいやさしい文章で特徴を解説しています6.『はっけんずかん しょくぶつ』自然観察の第一歩として、たくさんのしかけから身近な植物の成長に興味を持つきっかけづくりに最適な図鑑です。緻密な絵と美しい写真がふんだんに使われ、季節の変化と植物の関係を学びながら絵本としても活用できる一冊です。「とびら」を開くと土のなかを覗けたり、花の咲き方を解説してくれたりと、植物の秘密を知ることができます7.『はっけんずかん たべもの』窓あけしかけの楽しい絵本図鑑です。身近な料理や食材を題材に、日常生活と科学の結びつきを実感させてくれる内容になっています。生きるために欠かせない「食」への関心を高めてくれるしかけがもりだくさん。食育にもおすすめです。イラストのしかけページと、写真で紹介する標本ページが交互に構成されており、飽きずに楽しく知識を深められます【「世界的こども百科」待望の日本語版!(小さな冒険者向け)】8.『宇宙の誕生から現代まで 138億年のこども大百科』「小さな冒険者に」ワクワクの知的体験を!科学と歴史、世界のすべてがこの1冊に融合し、「知りたい」と「考える」を育てます。カラフルな写真やイラスト、インフォグラフィックが興味を掻き立てる、最先端知識の集大成。興味をもったら関連ページに飛んで知識が広がる工夫も。読み進めるうちに「知ることの楽しさ」をどんどん実感できる構成になっています推奨年齢:小学校低学年~特に向いているお子様:好奇心旺盛な小さな冒険者たち親子で楽しめる度:★★★★★(家族の対話が増えるでしょう)***実験キットで「体験」し、図鑑で「知識」を深める――この組み合わせが、お子様の科学的思考力を育みます。年齢に合わせて選べる図鑑と、本格的な実験キットで、充実した科学の学びの時間を過ごしてみませんか? 冬休みは、ご家族で科学の不思議を探求する絶好の機会です。文/野口燈
2024年12月10日株式会社日本教育指導総合研究所JET(所在地:東京都新宿区、代表取締役社長:屋口 京子)が運営する中学受験専門の個別指導塾・家庭教師派遣の受験Dr.は、「算数男子のための 直前期 今から伸ばす 開成中学国語戦略講座」を2024年12月23日(月)に開講する。算数男子のための 直前期 今から伸ばす 開成中学国語戦略講座■「算数男子のための 直前期 今から伸ばす 開成中学国語戦略講座」とは●開成志望の「国語に悩む6年算数男子」対象●「算数男子の思考回路」に基づいた「つまずきポイント」を徹底攻略●大学受験まで役立つ「国語のプロの解法」をお伝え■開催概要講座名:算数男子のための 直前期 今から伸ばす 開成中学国語戦略講座日程 :2024年12月23日(月)内容 :「違い・変化・共通点問題」の解法 18:30~19:55「どういうこと」問題の解法 20:05~21:30【講座受講料】レギュラー(2コマ受講)7,744円/1コマ85分(税込)スポット (1コマ受講)8,800円/1コマ85分(税込)【お申し込み】電話(03-5304-8225)もしくは下記申し込みフォーム 【担当講師】春野 陽子 講師春野 陽子 講師クラウンドクター講師 国語科指導最高責任者 御三家国語最高責任者【注意事項】・6年生対象 ※5年生以下受講不可■受験Dr.について「受験Dr.」は【目の前の1人を勝たせる】をモットーに、お子さん一人ひとりの性格や学習状況に合わせたオーダーメイド指導の「個別指導塾」「プロ家庭教師の派遣」「オンライン授業」のサービスを提供。開成中学校の合格者数は2020年、2021年、2022年、2023年、2024年の5年で計51名となり、個別指導No.1の合格実績を達成。■会社概要商号 : 株式会社日本教育指導総合研究所JET代表取締役社長: 屋口 京子所在地 : 〒160-0004 東京都新宿区四谷1-2-8 四谷THビル7階設立 : 設立 1998年2月/法人化 2003年10月事業内容 : 中学受験プロ講師による個別指導塾・家庭教師 受験Dr.校舎 : 四谷本部校、麻布十番校、代々木校、自由が丘校、吉祥寺校、東京校、成城学園校、白金高輪校、横浜校、京都駅前校資本金 : 1,000万円URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年12月03日志望校けってーい!でも母は不安…小さい頃から「生きものハカセ」を目指していたタケル(ASD・現在24歳)、高校2年生の夏にはオープンキャンパスなどにも参加して、早々に志望校を絞り込んでいました。タケルが選んだのは大阪にある小規模な大学で、希望する学科の合格予定者は6名です。たった6人……!?上位6人に入らないといけないの!?母は震えましたが、タケルは涼しい顔。「生物で100点とればいいんだよ!」と言います。そりゃそうだけどさあ……。Upload By 寺島ヒロ理学部全体では50人位採用しているらしいのですが、学部学科ごととなるとそれぐらいなんだそうです。ちなみに商学部は区分けがなく200人採用とのことでした。「お試し一人旅」で慣れよう受験でもう一つ私が不安だったのが、慣れない受験旅でタケルがパニックになって、テストがまともに受けられなかったらどうしようということでした。そこで、「3年生のゴールデンウィークに一人旅をしたい!」とかねてより言っていたタケルに、大阪の受験校を下見に行ってもらうことにしました。当時のタケルは一人で電車やバスに乗る練習はしていたものの、外泊や長距離移動は初めてでした。不安で嫌がるかな?とは思いつつ、私が「旅行計画を自分で組んで、時間がかかってもいいから自力で回っておいで」と伝えると、タケルは「大阪、一人で行ってみたかったんだ」と喜び、あっさり出発してしまいました。ちなみに宿だけは駅近に私が手配しました。好きな事には頑張れる!タケルが行きたかったところとは?さて、タケルのスマートフォンにはGPSがついています。心配で心配でたまらない夫は、ずっと片手にスマートフォンを持ってうろうろしていましたが、2日目になって「タケルのスマホが壊れている」と言いだしました。夫曰く「大阪に到着した日は、学校まで行って、近くの公園で半日過ごしてからホテルに帰ったみたい。でも今日は気がついた時にはもうホテルにいなくて、天王寺近くの公園からずっとマーカーが動かない。スマホがおかしくなったか落としたに違いない!」「どれどれ」と夫のスマートフォンを見てみると、マーカーはかすかに動いているのでした。場所は……んん?オオカミ舎?「これ、ホントにずっといるんじゃないの?動物園の中みたいだし」と、私が言うと、夫は「こんなに動かないわけはない!大体動物園に何時間もいられないでしょう?」と言います。はからずもASDとADHDの争いが勃発!?実は、わが家は私とタケル、妹のいっちゃんにはASD傾向があり、夫にはADHDがあるのです。自分自身じっとしていられない性分の夫は、たいして広くもない動物園でタケルが半日ほとんど動かないでいるなんて信じられない!何かあったに違いない!と言うのです。Upload By 寺島ヒロその後、「放っておけ」という女性陣の声を振り切り、夫が電話をかけたのですが、案の定「はい、無事です。いま動物園。昨日は自然史博物館にいた。写真撮るから充電もったいない」とそっけなく切られてしまい、いっちゃんには「な?」って言われていました。タケルは自分のペースで動物園を満喫していたのです。一人で行ってみたかったのは、このためだったんだなあ……と思いました。3日目の昼、タケルは自力で無事に帰宅しました。一人旅は楽しい!自信をつけたタケルの進化こうして大阪で一人旅を経験したタケルは、冬休みには別の大学を受験するために一人で東京にも行きました。こちらの大学は試験と面接で2日間の日程。タケルは試験前後の空き時間に、いくつかの動物園、植物園、博物館、大学の資料室、ふくろうカフェなど……予定をぎっちり詰め込み、ろくにごはんも食べずに飛び回ったそうです。親の想定外の行動範囲でびっくりしました。Upload By 寺島ヒロ今では一人でどこへでも行けるようになったタケル。しっかり下調べと準備をして、あまり人が行かないようなところへもフィールドワークに出かけます。息子の「どこでも一人で行ける」という自信の根底には、あの大阪と東京の旅がしっかり刻まれているのだと思います。執筆/寺島ヒロ(監修:鈴木先生より)「かわいい子には旅させよ」ですね。子どもに初めての経験をさせる時はどんな親でも心配ですね。しかし、失敗は成功のもと。どんどん失敗させて学んでいけばいいのです。いわゆるヘリコプターペアレント(最近ではバイシクルペアレントになってきている)と言われるように、子どもに何かあるとすぐに親が出てきて対処してしまうことは子どもの成長を邪魔することになりかねません。大阪が遠くて心配なら初めは近隣へ行かせて試すことも一つのアイデアかと思います。極端な話、コンビニでもいいのです。スモールステップで少しずつ成功体験を増やしていけば段々と慣れていくはずです。ただ、一度成功しても次に何があるかは分かりません。いざという時のためにメールなどで適宜連絡を取りながら進めていけばいいのではないでしょうか。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年11月19日株式会社日本教育指導総合研究所JET(所在地:東京都新宿区、代表取締役社長:屋口 京子)が運営する中学受験専門の個別指導塾・家庭教師派遣の受験Dr.は、「国語女子のための 直前期 今から伸ばす 桜蔭中学算数戦略セミナー」を、2024年11月25日(月)・29日(金)に開催する。国語女子のための直前期 今から伸ばす 桜蔭中学算数戦略セミナー■「国語女子のための 直前期 今から伸ばす 桜蔭中学算数戦略セミナー」とは●桜蔭志望の「国語女子」保護者対象のセミナー●残り二か月で後「5点、10点」を上乗せ●「国語女子のつまずくポイント」に基づいた「合格戦略」をお伝え■開催概要セミナー名:国語女子のための 直前期 今から伸ばす 桜蔭中学算数戦略セミナー日程 :2024年11月25日(月)・2024年11月29日(金)時間 :●午前の部 10:00~13:00●午後の部 19:00~22:00※各回の内容は同一です。【セミナー受講料】11,000円(税込)【お申し込み】電話(03-5304-8225)もしくは下記申し込みフォーム 【担当講師】海田 真凜 講師海田 真凜 講師クラウンドクター講師 四谷本部校校長 校長総責任者【セミナー参加特典】講演資料事前送付アンケート特典トレーニングブック【注意事項】・6年生の保護者対象 ※5年生以下不可・同業他社の参加禁止・セミナー中の撮影・録音・録画禁止■受験Dr.について「受験Dr.」は【目の前の1人を勝たせる】をモットーに、お子さん一人ひとりの性格や学習状況に合わせたオーダーメイド指導の「個別指導塾」「プロ家庭教師の派遣」「オンライン授業」のサービスを提供。開成中学校の合格者数は2020年、2021年、2022年、2023年、2024年の5年で計51名となり、個別指導No.1の合格実績を達成しています。■会社概要商号 : 株式会社日本教育指導総合研究所JET代表取締役社長: 屋口 京子所在地 : 〒160-0004 東京都新宿区四谷1-2-8 四谷THビル7階設立 : 設立 1998年2月/法人化 2003年10月事業内容 : 中学受験プロ講師による個別指導塾・家庭教師 受験Dr.校舎 : 四谷本部校、麻布十番校、代々木校、自由が丘校、吉祥寺校、東京校、成城学園校、白金高輪校、横浜校、京都駅前校資本金 : 1,000万円URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年11月18日大暴れのピーク!魔の(?)小学5年生小5になるとコチ丸は家で過ごすことが多くなっていたのですが、それでもたまに学校に行くと、何かしら事件を起こしては呼び出されました。私としては家にいてくれたほうが安心なくらいでしたが(笑)、コチ丸もどこかでは外と繋がっていなくてはという意識があったのか、完全に不登校になるということはなかったので、私もコチ丸の自由登校を尊重していました。以前のコラムに書いた、卒業式をすっかり自分のものにしてしまった事件、学校で先生が集めた葉っぱに火をつけて起こしたボヤ騒ぎ、掃除をしないコチ丸に注意した女の子に怪我をさせたことなどはほぼこの頃に起こしたものです。ボヤ騒ぎの時には「子どものいたずらでは済みませんよ」と学校から言われ、真剣に頭を悩ませました。なんと家でもお仏壇に置かれているマッチに火をつけて遊んでいて焦ったと祖父も証言しており(!)、当時は家中の火をつける物を隠しまくっていました。女の子に怪我をさせたと聞いた時にはさすがにコチ丸を強く叱り、女の子のお家にも謝罪の電話をしてなんとか許していただけました。私自身が逃げ出したくなるようなことが日々起こり、頭を下げまくることばかりでしたが、「どんな時でも馬鹿正直な姿をコチ丸に見せよう、そうしたらコチ丸には大事なことはいつか伝わる」と自分の中で決めていたのと、母子家庭だったので社会で通じる姿を父親代わりに見せていかなくてはという気持ちで乗り越えてこられました。まさかの単三電池を丸呑み事件小6のはじめに、コチ丸が「ドラムをやりたい」と言い出しました。音楽の先生に「打楽器の才能があるのでは?」と言われてその気になったようでした。(おそらく)根拠もなくちょっとした話の流れで言われただけのことだったのだと思いますが、私も若い頃にバンドをやっていて音楽が好きだったこともあり、本人が言い出したことならとドラムを習うことにしました。忘れもしない、体験レッスンを申し込んでいた前々日の夜。コチ丸が不意に私に「電池って飲んだらどうなる?」と聞くので「いや、死ぬんじゃないの?」とテレビを見ながら安易に回答をしたところ、コチ丸が「電池飲んじゃった」と言い出すではないですかー(大汗)。それも単3電池、うっかり飲み込むには結構な大きさです。慌てて緊急外来に車を走らせました。最初、医師ですら半信半疑で、「一応レントゲン撮ってみますけど……」という感じでしたが、レントゲンを撮ってみると体内にしっかりと電池が入っておりました。Upload By あき急いで内視鏡で取り出す処置をとることになりましたが、その日は食後すぐだったこともあり、食べたもので喉を詰まらせる可能性もあるため、取り出しを断念し、入院することに。そこで丸2日飲まず食わずで胃が空っぽになった状態で再度内視鏡を試してみて、ダメだった時は開腹手術を行うことになりました。体の中に電池が入っているなんて……とコチ丸の絶食期間中は生きた心地がしませんでした。それから2日間、状況が急変するということもなく、少しだけ落ち着きを取り戻してきたとき、「そういえばドラムの体験レッスンの日だった!」と思い出しました。電話でレッスン延期をお願いするはずが、なぜか私が体験レッスンを受けることになり、息子が病室で絶食生活に苦しんでいる中、私は自分が習う予定でもないドラムを叩くというカオスな体験をしました。電池は2回目の内視鏡で無事に取ることができました。「ご飯食べられるよ、良かったね」と言った私に、麻酔が切れてまだ呂律が回らない中、コチ丸の第一声が「はくはい(白米)?」だったのを聞いて、よっぽどお腹が減っていたんだなと思いました(笑)。コチ丸は小6になってもなんでも口に入れる癖があって、当時よく注意をしていたのですが聞く耳持たずでした……が、流石にこの件で口に物を入れることはなくなりました。ものすごいリスクを伴いましたが、やはり「身をもって知る」って大事なんだなとしみじみ思いました……。また、この緊急事態に私になぜかドラムを叩かせてくれたちょっと天然(?)なドラムの先生は、コチ丸とウマがあい、コチ丸は高校進学で地元を離れるまでドラムを習い続けました。とても穏やかで、できないことを無理にやらせるようなことはしない先生で、「やりたいことをトコトンやらせる」というわが家の方針に近かったような気がします。良い先生に巡り会えたことに感謝です。中学・高校生活で、ドラムはコチ丸の特技になり、武器になりました。バンドをやりたい時には大体ドラムが足りないため(笑)、重宝されているようです。ドラムを通して「誰かに必要とされること」に喜びを感じたようで、自信と自分の居場所を持つことができました。Upload By あき私立中学を受験!決め手をくれた奇跡的な縁同じく小6のはじめ頃、担任の先生との面談で「学習面もだいぶ遅れているし、授業も受けられないので中学からは特別支援学級に入ってほしい」と言われました。そこから私のコチ丸の居場所探しが始まりました。私は、中学校の特別支援学級はコチ丸には合わないだろうと考えていました。そして、コチ丸は自分に合った場所に行けば必ず化けるはず、という根拠のない自信(笑)がありました。しかし、今の時代に果たしてそんな選択肢は存在するのか……?日々ネットで民間のフリースクールや学習施設などを探していました。私はどれだけ費用がかかっても良いから、コチ丸がいつか高校や大学に行きたいと思った時にその道に戻れるよう、中学を卒業したという証明がもらえる学校が良いなと思っていました。私立中学校も早い段階から検討はしましたが、担任が言うように、学習面は小3くらいで止まっているので、なかなか難しいことも承知していました。その中で見つけたのが不登校特例校(現在は「学びの多様化学校」と呼ばれています)に指定された、ある私立中学校でした。しかし初めて聞く「不登校特例校」という言葉や、私が知っている一般的な私立中学校とはどこか違う雰囲気が伝わってくるWebサイトを見て、「ここで良いのか?」という思いがぬぐえませんでした。Upload By あき悩んでいたところに、私の会社のスタッフの知り合いで、小学校の元校長で不登校児の支援活動をされている方に偶然出会い、相談をさせていただく機会がありました。さらに偶然は続き、その方は、私が進学先として悩んでいた不登校特例校の校長先生とお知り合いでした。その方の後押しもあり、コチ丸と私はすぐに学校見学を申し込み、コチ丸も興味を持ったので毎月のように体験入学に通いました。年末、コチ丸本人にも現状を正直に伝えました。「学校の先生からは地元の中学校の特別支援学級への進学を勧められている」「中学受験は失敗する可能性もある」という話と、それぞれのメリットデメリット、そしてもし私立へ行くなら、ひとり親の家計にはとても苦しい選択だから、コチ丸も責任を持って通ってほしいということ……。コチ丸に自覚を持ってほしくてそんなふうに伝えましたが、私の中では、もし合格して通ってみてダメだったとしても、それは受け止めようという覚悟もしていました。最終的にコチ丸は、中学受験を自分で選びました。試験は、小4程度の国語・算数の学力テストと親子面談でした。コチ丸は市販のドリルを使って小4までの勉強はなんとか学び、面接の練習も行い、コロナが始まりつつあった年、希望した私立中学校に合格を決めました。そして迎えた小学校の卒業式。コチ丸の通っていた小学校は進学する中学校の制服を着て卒業式に出るのですが、一人違う制服を着たコチ丸がいました。周りの友達と楽しそうに写真を撮っているコチ丸を見て、彼なりの距離感で、この小学校でも自分の居場所をつくって生活していたのだなと感じました。大変な小学校時代でしたが、振り返ると頑張ったな、戦ったな(笑)、と思っています。コチ丸もまた、この時期があったからこそ、今自分がいる場所の大切さを知り、「もうあの頃には後戻りしない」と、学校に通い続ける強さを手に入れたのかもしれません。Upload By あき執筆/あき(監修:井上先生より)小学校時代のコチ丸さんのさまざまなトラブルから、親御さんもかなり悩まれて、コチ丸さんにあった中学の進路を決断されたのだと思います。お聞かせいただいたエピソードから、学力的な部分だけでなく、コチ丸さんの得意なこと(ドラムなど)があったことも、本人の自信や集団の中での積極性、学校に通い続ける強さなどに影響したのだと感じました。子育ての中では子どもの苦手なことについ注目しがちですが、あきさんが意識されていたように、強みの部分を伸ばしていくことが、良い結果に繋がっているように思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年11月07日通信制高校の専願入試準備と、体育祭の練習ASD(自閉スペクトラム症)の太郎は、通信制高校の専願入試を受けることになった。専願入試では、願書作成と作文が必要になる。作文は事前にテーマが決められていて、面接時までに指定枚数分を書いておかなければいけない。作文は太郎の苦手とする分野であるため、間違いなくストレスを大きく感じるだろうと思った。そしてこの受験準備に体育祭の練習がきれいに重なった。太郎は体育祭の練習が始まると、すぐに自宅で異変が表れた。食事中にえずいたり、表情が強ばったり、口数が減ったりしていた。太郎の苦手なことに対する拒否反応のサインは幼い頃から続いている。保育園時代は声が一時出なくなったりもした。小学生時は嘔吐や体調不良になった。中学1年次も吐き気がすると言い保健室で過ごしたりもした。昨年の中学2年生時は学校へは行ったが、体育祭までは毎日のようにうつ向いて歩いて活気もなくなっていた。なので今回の異変にも直ぐに「体育祭と直結しているな」と思った。Upload By まゆん私は、太郎がストレスを抱えていることは100も承知だったが、あえてそのストレスに対しての直接的な声かけはせず、「どうしたの?」「 大丈夫?」という間接的な声かけにとどめた。最近は太郎自らがヘルプを出せるようになっていたからである。体育祭の練習が始まって2日目くらいの出来事だった。朝は私のほうが太郎よりも先に仕事へ行く。「行ってきます」と言うと、太郎は少し元気なく「行ってらっしゃい」と言った。しばらく車を走らせるとまだ家に居る太郎からメッセージがきた。Upload By まゆん言葉で表せんのかい!!っと心の中で突っ込みつつも、仕方ない、ようやくヘルプがきたな、と直ぐに電話をした。「どうしたの?」「きつい」「何がきついの?身体?心?」「分からない、学校に行きたくない」「そうか、理由はあとで聞こう。休みの連絡しておくから休むといいよ」「うん。ありがと」ここからが始まりだった。1度休むことを良しとしたあと、太郎は学校へ行かなくなった。夜になると私の周りをウロウロとして「明日はどうしよう」と話し始める。「体育祭が終わるまでは学校へ行かない」太郎の固い意志Upload By まゆん行くかどうか迷っているのかと思ったが、そうではなかった。太郎の中では決まっていた。「体育祭が終わるまでは学校へ行かない」、その意思は固かった。学校へ行かないことに対して、私は否定はしなかった。行きたくない理由はちゃんと彼なりにあるからである。運動が苦手、周りに迷惑をかける、見られて笑われる、大勢の人から見られる、などである。そして体育祭が終わったら必ず学校へ行くと意思を示しているので、太郎の言動を見守ってみようという気持ちになった。しかし、通信制高校の願書作成や作文作成が進めなければならない。私は自分の仕事もあるため、少し焦りつつも相談先は決まっていた。小学生低学年の頃からお世話になっている放課後等デイサービスだった。学校に行かなくなってから昼間はほぼ放課後等デイサービスで過ごした。作文作成も願書作成もデイサービスで作成を一緒にしてくださった。デイサービスのスタッフの方と中学校の先生も情報共有をしてくださっており、願書作成の仕上げの時だけは太郎も学校へ行った。願書を仕上げてきた日、太郎は私の周りをウロウロ回りながら「疲れた……」と言いつつも少し安心しているようにも思えた。Upload By まゆん初めての願書作成、何度も経験してきた体育祭の練習。いよいよ始まった不登校。体育祭が終わるまでの10日間だけで終わるのか、通信制高校の面接は受けることができるのか。私自身も分からないけれど、不安や焦りも不思議と軽く、ただただ、太郎の様子をみながら毎日を過ごしている日々です。執筆/まゆん(監修:初川先生より)通信制高校の専願入試準備の時期と体育祭練習の時期が重なってしまったとのエピソードをありがとうございます。私立通信制高校の専願だと出願の時期が秋から冬の始まり頃の場合もあり、中学校的には行事の多い時期にもなるのでこういうこともありますね。太郎くんにとって、体育祭やその練習期間がいかにストレスフルかということがよく分かるような変化を呈したのですね。つらい気持ちをスタンプだったとしても知らせてくれたのは何よりだなと思います。体育祭が終わるまで休ませる決断をされましたが、もちろんそれも1つですし、また、体育祭には参加しない(練習にも参加しない)ことを本人と学校交えて決めたうえで、学校には行くけれど体育祭関連の時間は教室で自習して過ごすなどそうしたやり方もお子さんの希望と状態によってはあるかなとは思います(本人や学校がそれを良しとするかにもよります)。身体症状まで表れる状態で、無理して頑張っていいこともあまりないのではとは思います(ただ、お子さんによっては運動会の練習を見学するなどのゆるめの近づき方がその後に良い場合もありますので、そのあたりは学校やカウンセラーなどとご相談してみてもいいと思います)。太郎くんは、休んでいる間に放課後等デイサービスにて出願の準備を進めることができたのですね。大きなタスクに取り組む際は1つずつ取り組んだほうがいいお子さんもいるので、結果的によかったように感じます。また、出願に関する準備を保護者と家でやる場合も多いですが、保護者以外と(学校、相談機関、教育支援センター・適応指導教室、放課後等デイサービスなど)やることはそれはそれで意義のあることです。保護者だとどうしても合格してほしいという思いが強くなってしまうために、本人の思いを形にしていく過程にどうしても口を挟みたくなることもあるでしょうし、それも自然なことだと感じます。思いを言葉にすることが苦手、作文にまとめることが苦手な生徒さんは多いですが、そこを根気強く見守ってくださる面で、家庭以外のリソースを使うのは本人の成長にとってよいと思います。体育祭期間を休むこと、その間に受験の準備はできたこと(それに取り組むだけの元気はあったこと)、そして体育祭終わったら学校に行くと自分なりの見通しを語れていること。太郎くんの自分なりの気持ちと行動の折り合いのつけ方が自分でやれている感じがして、とても成長を感じました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年11月05日どちらを選ぶ?通信制高校選び、そして決断へ通信制高校に進路を決めた息子のために、合同説明会や個別相談へとあちこち奔走してきましたが、ようやくA高校とB高校の二校に志望校を絞り、それぞれの学校の特色をしっかりと息子に話した上で、両校に見学に行くことになりました。まず直近でオープンスクールが開催されるB高校へ。B高校には私だけ事前に個別相談に行っていたのですが、対応も細やかで特別支援の資格のある先生も常駐しており、障害のある生徒も広く受け入れているとのことでした。息子も楽しみにしていたのですが、冒頭の説明を聞いたところで教室から動けなくなり、その後のプログラムに参加できなくなってしまいました。仕方なく落ち着くのを待って個別相談へと移らせてもらい、授業内容やコース説明、学習環境などをお伺いしました。息子も自分でも気になったことを都度質問していました。この時点では「B高校いいな……。もう一つの学校、見学行かなくてもいいかも?」と言っていました。その後、A高校へ。A高校は、合同説明会ですでにお話を聞いていたところで、以前に個別相談に伺った別の通信制高校でも「息子くんの状況ならこちらはどうでしょうか?」とオススメいただいた学校でもありました。A高校はB高校よりも設備や制度が整っている…という訳でもなかったのですが、ただ一つ明らかにほかの学校と違うところがありました。先生方の熱意です。こちら側が何か質問をすると、必ず息子の目を見て、息子自身に語りかけてくれます。これまで支援児ということで過剰に子ども扱いされたり、一人の人間としても見てもらえないと感じていた息子には、とても大きな出来事でした。A高校との面談のあと、帰ってきてすぐ息子が私に言ったのは……。「A高校にする!A高校やったら行けるかもしれん!」という言葉でした。私も、同じ気持ちでした。Upload By 花森はな願書提出…この奇跡がどうか最後まで続きますようにこうしてA高校へと進路が決まりました。外に出ることが難しい子にとって、受験は大きな難関です。特に、願書の提出は本人にとって大きな負担となります。多くの高校では本人が直接提出することが求められますが、今回私たちが選んだA高校は、どうしても本人が無理なら保護者だけでの提出も可能でした。受験に全力を注ぎたかった私たちには本当にありがたかったです。願書受付当日、特別支援学校に朝イチで書類を取りに行き、そのまま通信制高校に私一人で願書提出しにいきました。学校の方はあたたかく受け入れてくださり、その際に面談でもお話しておいた「別室受験をしたいこと」「精神障害があり人の多いところが苦手なこと」の2点を改めてお伝えしました。別室受験についてはその場で確認を取ってくださり、当日の不安が少しでも少なく済むようにしてくださいました。願書提出後、近くの神社で合格を祈願しました。通信制高校の場合、希望者はほぼ入学できると言われてきましたが、最近は希望者が増加していて入学できないことがあるという話を聞いたからです。ずっと外に出ていなかった息子が「高校に行きたい」「受験をする」と言ったこと自体が奇跡なので、その奇跡をどうか叶えてあげたいと必死の思いでした。お守りを購入して、受験当日に背負うリュックにぶら下げました。Upload By 花森はな「書く」ことが苦手な息子。作文はどうすればいい?願書提出を終え、次は受験対策本格始動です!特に作文の指導方法については、先生も私もかなり悩みました。「書く」ということに激しいストレスを感じてしまう息子は、中学生の間はほぼ文字を書くということがありませんでした。しかし、パソコンのタイピングは大人よりも速いです。不登校の間に覚えたパソコンは、いつのまにか息子の大きな力となっていました。テーマは事前通知されていたので、パソコンで手早く文章を作成。おそらく15分程度で完成したと思います。パソコンでは文章を組み立てることはできるのですが、いざ紙と鉛筆を前にするとダメになってしまうので、この文章を手書きで何度も書き写して暗記する方式にすることにしました。まず、息子が作成した文章を、作文用紙に書き起こします。そこから覚えられる文量まで削り、それを再度作文用紙に書き起こして、清書することにしました。児童精神科の先生からは「この清書作業にはお母さんは関わらないように」と言われました。なぜなら受験当日は私が側にいないからです。受験当日の空気をつくるために、私はなるべく姿を隠し、清書作業は特別支援学校の先生か、週2回来ていただいているヘルパーさんにお願いしました。作文というと、原稿用紙全て埋めなければいけないのでは?と思いがちですが、その点はあらかじめ学校に確認しておきました。「原稿用紙一枚埋めることができなくても、たった一行でも、テーマに沿っていてこの学校に入りたい!という思いが伝われば充分ですよ」というお言葉をいただいていたので、息子の思いが伝わる渾身の文章を、負担にならない程度に練習し続けました。メンタルケアも当然怠らず、あとは本番を待つのみです!Upload By 花森はないよいよ受験当日!緊張と不安を乗り越えて受験前日は、学校近くのホテルに泊まりました。これは児童精神科の先生の提案でした。A高校の受験日は、ほかの私立高校と重なっているので、当日の朝、多くの受験生で混雑する電車を避けるためです。遠方の大学受験では宿泊することが一般的ですが、近場のホテルに宿泊するという発想は全くなかったので、目からウロコでした。前夜は緊張のためほぼ眠れないというアクシデントはありましたが、ホテルから徒歩で会場に向かうことができたので、安心して試験に臨むことができました。試験会場に到着すると、先生が付き添ってくださり、保護者は別の部屋で待つことができました。付き添い受験なんてうちだけではないだろうか……という不安もあったのですが、部屋には既に何家族もいました。お話を聞いてみると、やはりわが家と同じように不登校からの受験で、外出に不安のあるお子さんとのことでした。「うちだけじゃない」そして「同じようにみんな頑張ってるんだ」と思いました。受験はあっという間に終わり、面接は3分もかからず、作文は暗記していた通りに書けて、むしろ時間が余ったと息子は話してくれました。時間が余ったけれど、それ以上のことをしなかったのは良い判断だったと思います。もし、ここで強引に続きを書こうとして時間が足りなくなってしまったら、焦ってパニックになってしまい、このあとに控えていた面接に落ち着いて臨めなかったかもしれません。今の自分の持っている力で「無理をしないで終わらせる」ことができたのは、今後のためにも大きな経験になりました。全てを終えた息子の表情は達成感というより、疲労困憊一色でした。ふらふらになりながら試験会場を出た息子と私たち家族は電車に乗り込み、すぐに帰宅しました。息子の受験生生活は、ひとまずこれで全て終わりました。Upload By 花森はなやっと見つけた、息子の「新しい居場所」通信制高校から、合否の封筒が来た日のことは今も忘れられません。息子ははじめあまり実感がないようでしたが、合格通知書を何度も見ては、喜びを静かにかみしめているように見えました。傍から見ると、「簡単な受験」で「受かりやすい高校」かもしれません。でも、息子はそこに行きたいと心から願って、自分のできる限りの力を振り絞り努力をしました。近年、通信制高校ではあらゆる事情の生徒を広く受け入れています。先生方も生徒の各事情を考慮し、温かく受け入れてくださっています。障害や特性があるからといって、排除という方向に進むのではなく、こうした「居場所」が少しでも増えてほしいと切に願っています。執筆/花森はな(監修:初川先生より)息子くんの通信制高校受験、そして合格エピソードをありがとうございます。通信制高校が昨今注目を集めているので、学校自体も増えているように感じます。それぞれの学校が特色を持っているので、見学や体験、個別相談を通して比較検討されたのはよかったと思います。またA高校の決め手は、先生方の熱意だったとのことですが、そこはパンフレットなどでは分からないことですね。学校に見に行くことの大切さを改めて感じます。通信制高校のニーズの高まりに合わせて、エリアによっては人気の通信制高校があり、受験に倍率がついている場合があったり、受験での求められるものが高くなった学校、早めに動き出さないと締め切ってしまう学校もあります。そのあたりについても説明会などに参加していただき、どんな準備が必要そうか、受験で問われるものは何かなどご確認ください。多くの通信制高校では作文・面接が求められます。このあたりは中学校の先生はもちろん、教育支援センターや適応指導教室の先生方、自治体の教育相談なども対策をよくご存知なので学校や地域のリソースをぜひご活用いただき、お子さん本人とそうした先生方とで練習できるといいと思います。花森さんは児童精神科の先生の助言をさまざま活かしてご準備されていましたが、保護者がどこまでお手伝いするか、また、当日はどう会場へ向かうかなどは児童精神科の先生のご助言はさすがだなと感じました。試験会場で頑張るのはお子さん本人なので、当日に近い準備をしておくこと(保護者がそばにいすぎないのも1つ)。そして当日の交通事情も前泊するかどうかはさておき、早めに行く、あるいは同じ時間で向かう練習をしておくなどさまざま備え方はあると思います。通信制高校や不登校生徒向けの公立学校の受験などでは、志願動機や高校で頑張りたいことを聞かれることが多いです。そうしたことへ受験という形で必要に迫られているからという理由であったとしても、準備をしておく、つまり、自分の未来に思いを馳せてどう頑張りたいかを練り、語ること。そのこと自体がとても中学3年生の子どもたちを成長させるように感じています。これから始まる高校生活のとても大事な準備と思います。確かに“入りやすい受験”の場合もあるかもしれませんが、そのお子さんにとっては人生に数回しかない受験の1つ。しっかり心の準備をして新生活が始まる気配を感じながら受験に臨めるといいと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年10月29日株式会社日本教育指導総合研究所JET(所在地:東京都新宿区、代表取締役社長:屋口 京子)が運営する中学受験専門の個別指導塾・家庭教師派遣の受験Dr.は、「開成・桜蔭・麻布中学 直前期対策 御三家オンラインセミナー」を、2024年11月1日(金)・4日(月)に開催します。開成・桜蔭・麻布中学 直前期対策 御三家オンラインセミナー■「開成・桜蔭・麻布中学 直前期対策 御三家オンラインセミナー」とは●個別指導で長年ひとりひとりと向き合って指導してきたキャリアと実績をもつ最上級コースの講師陣が担当●残り3か月で「あと10点・15点」上乗せするためのノウハウを公開●御三家中学志望者の「今」と「これから」の学習戦略をすべて公開■開催概要セミナー名:開成・桜蔭・麻布中学 直前期対策 御三家オンラインセミナー日程 :2024年11月1日(金)・2024年11月4日(月)時間 :●午前の部10:00~13:00●午後の部19:00~22:00※午前の部と午後の部の内容は同一です。【セミナー受講料】11,000円(税込)【お申し込み】電話(03-5304-8225)もしくは下記申し込みフォーム 【担当講師】セミナー担当講師*安部 公一郎 講師(写真中央右) 受験Dr. 塾長 京都駅前校校長 クラウンドクター講師*春野 陽子 講師(写真中央左) 国語科講師指導最高責任者 国語科御三家最高責任者 クラウンドクター講師*吉岡 英慈 講師(写真右から2人目) 受験Dr. 副塾長 クラウンドクター講師*海田 真凜 講師(写真左から2人目) 四谷本部校校長 校長総責任者 クラウンドクター講師*亀井 章三 講師(写真右) 算数・理科御三家最高責任者 自由が丘校校長 教科総責任者 クラウンドクター講師*清水 栄太 講師(写真左) 社会科御三家最高責任者 スーパードクター講師【セミナー参加特典】講演資料事前送付アンケート特典トレーニングブック【学習相談】希望者【注意事項】・6年生の保護者対象 ※5年生以下不可・同業他社の参加禁止・セミナー中の撮影・録音・録画禁止■受験Dr.について「受験Dr.」は【目の前の1人を勝たせる】をモットーに、お子さん一人ひとりの性格や学習状況に合わせたオーダーメイド指導の「個別指導塾」「プロ家庭教師の派遣」「オンライン授業」のサービスを提供。開成中学校の合格者数は2020年、2021年、2022年、2023年、2024年の5年で計51名となり、個別指導No.1の合格実績を達成しています。■会社概要商号 : 株式会社日本教育指導総合研究所JET代表取締役社長: 屋口 京子所在地 : 〒160-0004 東京都新宿区四谷1-2-8 四谷THビル7階設立 : 設立 1998年2月/法人化 2003年10月事業内容 : 中学受験プロ講師による個別指導塾・家庭教師 受験Dr.校舎 : 四谷本部校、麻布十番校、代々木校、自由が丘校、吉祥寺校、東京校、成城学園校、白金高輪校、横浜校、京都駅前校資本金 : 1,000万円URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年10月24日本物のハカセになりたい!息子の勉強法うちの息子、タケル(現在24歳)にはASD(自閉スペクトラム症)があり、その特性ゆえなのか、小さい頃から「覚えること」が大好きです。幼稚園に通っている頃から、鳥や虫の名前やその生態などをテレビなどで覚えては長尺で披露し、大人たちを驚かせていました。生き物の知識は好きなことだったので覚えたのだと思いますが、やがて漢字を大量に覚えたり、芸人さんのネタや名前の由来を100個も暗記したりもするようになりました。特にその芸人さんのファンというわけではなく、ただ「覚える」という行為そのものが楽しいという感じで、何かテーマを決めてそれに没頭するという「遊び」をしていたみたいです。Upload By 寺島ヒロそんなタケルも高校生になると、本当に生き物ハカセを目指して大学受験をすることになりました。好きな科目は何もしなくてもできるけど、そうでもない科目はほったらかしだったタケル。「受験のための勉強はしたくない」という哲学を持っていましたが、そうも言っていられなくなり3年生から重い腰を上げて受験対策を始めました。息子の勉強法は、教科書や用語集を読んでどんどん覚え込むというもの。受験勉強でも以前と全く同じようなノリです。息子にとって覚えることは遊びの延長のようなものらしく、一日何時間もニヤニヤしながら教科書や教育系動画を見ていました。高3になると様子がおかしくなってきた……Upload By 寺島ヒロしかし、3年生の夏頃から、息子の様子が少しおかしくなってきました。学校帰りに山道を通るのですが、彼は「そのルートなら危なくないから」と言って歩きながら単語帳を読んでいました。でもその単語帳には、2,700語も載っていたりするのです。普通ならそういう本は「10分割して読もう」「一日3ページだけ読もう」などと思うところですが、タケルはすべてを読み終えたくて、ぐるぐると山道を歩き続け、ついに日が落ちて「暗くて読めなくなったから」と帰って来るのでした。勉強ハイ?突然走り出す息子また、家にいるときも「走ってくる」と言って突然外出することがありました。私はてっきり気分転換に散歩がてら自販機で飲み物でも買って飲んだり、友だちと電話でもしたりしているのだろうと思って放っておいたのですが、あとで話を聞くと、本当に1〜2時間も走り続けていたそうです。私が「どうしてそんなことをしているの?」と聞いても、彼自身もよく分からない様子で、「なんだか楽しくて」とツヤツヤした笑顔で答えるのでした。Upload By 寺島ヒロそんな日々が続き、3年の秋になった頃、文法やリーディングなどの英検のためのテスト勉強が始まりました。英単語だけは喜々として覚えていたタケルでしたが、英検対策は彼にとってあまり楽しくない勉強だったようです。そのせいか、夏のような勉強ハイの状態は次第に治まりました今では、息子も「あの時はちょっとおかしかったね」と振り返っています。ASD(自閉スペクトラム症)の特性として、興味があることにはとことん没頭する一方で、そうでないことには全く関心を持たないことがよくあります。息子の場合は、受験期の周囲が勉強していることを奨励する空気の中で「覚える」ということに夢中になりすぎたのかもしれません。執筆/寺島ヒロ(監修:森先生より)寺島ヒロさん、お子さんの勉強法についての体験談をありがとうございます。タケル君は、「興味のあることはとことん極める」タイプなのですね。「好きこそ物の上手なれ」という言葉に表れるように、人は自分の興味があるものについては勉強も苦にならないものですが、発達障害の傾向のある方は本当に疲れを知らないかのように没頭してしまうことがあります。なんにしても受験勉強などで必要な勉強と興味の方向がマッチすると良い結果に結び付きやすいのです。お子さんの興味がどんなところにあるのかをよく見てあげて、好きなことを応援してあげるようにしましょう。そうすると、お子さんの学習への意欲が高まって、そのうちに苦手なものにも手を伸ばせるようになるのです。ただし、没頭しすぎて自分でも気づかぬうちにエネルギー切れを起こしてしまうと大変なので、あまりに集中して休憩を忘れていたら、「もう夜だし休んだら?」と声をかけてみるといいかもしれません。これからもタケル君が自分の好きなことを追求していけるよう、応援しております。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年10月20日自閉症中2息子、将来なりたいものはある?Upload By かなしろにゃんこ。ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)の息子リュウ太は小さい時から電車と車が大好きで、その話ばかりしているような子どもでした。中学2年生の秋に「来年度は進路を決めることになるけど、何かやりたいことあるの?」と聞いてみると「将来は、鉄道関係か車業界の仕事がしたいかな~」と言いました。ちょうどオープンスクールの時期だったこともあり、見学を兼ねて行ってみることにしました。Upload By かなしろにゃんこ。向かったのは、自宅から電車で40分、都心にある私立の高校です。見学した当時、普通科と鉄道の運輸科、自動車の整備を学ぶ機械科の3つの科がありました。その高校のオープンスクールでは、学生が作るお好み焼きや焼きそばやなどの屋台があって、老若男女さまざまな人が集い、楽しい雰囲気でした。運輸科では鉄道サービスを学ぶカリキュラムについて、機械科では自動車の仕組みをじっくり学んでいくカリキュラムについてなど、生徒の方々が丁寧に説明してくれました。実際に授業で使っている機械や道具、教室も見ることができました。Upload By かなしろにゃんこ。「もうすぐ受験なんだから」「勉強しないと!」と言われてもピンと来ていなかったオープンスクールがきっかけとなりリュウ太は進路を真剣に考えるようになったのですが、数年後にこの時どう思っていたのか本人に聞いてみました。リュウ太は「オープンスクールスクールに行く前は『もうすぐ高校受験なんだから進路を決めないと』『将来やりたいことはなに?』『受験に向けて本腰入れて勉強しないと!』とか親に言われても全くピンときてなかった。『受験』そのものがイメージできなくて、その時期が来たら流されるままになんとかするんだろうな、くらいにしか考えていなくて。まず受験って何をするのか、どんなことが待っているのかも分からないのに親が勝手に騒ぎすぎ!受験なんて経験していないから本当にリアルに感じられなかった」と話してくれました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。そして「オープンスクールに行って学校見学をして『自分も進学したらこんな風になるのかな』とビジョンが見えたよ。興味がある学科とか学校を体感することで高校で何をやりたいか考えることができたかもしれない」と教えてくれました。Upload By かなしろにゃんこ。そうなんだ、体験していないことを親が先回りして受験だからとアレコレ勉強しろと伝えても子どもって何も分からなかったし、感じてなかったのか!とこのとき初めて分かりました。そして、言葉よりも経験が必要だったのねとも思いました。中学2年生でオープンスクールで学校を見に行ったのは思いつきからの行動でしたが、もっと早くからほかにも学校見学をしていたら意識が変わって、何か違う道も開いたかもしれませんね。Upload By かなしろにゃんこ。リュウ太は、オープンスクールで見学した高校に進学したいと決めますが、成績や提出物などの問題で内申書的に難しく、担任の先生の判断でその学校を受験することを断念。代わりに自動車整備士を目指すための専修学校を目指すことにしました。オープンスクールで行った高校に入学することは叶いませんでしたが、このことがきっかけとなりリュウ太は好きなことを職業にしたいと専修学校に進み、その後その分野で就職もしたので、結果として良かったのかもしれません。オープンスクールでの学校見学は、リュウ太の人生のターニングポイントになっていたのかな?と思う母でした。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:初川先生より)リュウ太くんの進路選択における学校見学のエピソードをありがとうございます。大人になったリュウ太くんが言っていましたが、子ども本人にとって、「高校」「受験」「進路」「そのための勉強」など、あまりピンとこないものです。場合によっては、必要以上に恐ろしいものと受け止めてしまう場合もあります。まずは、高校というものがイメージできない場合もありますので、まさに百聞は一見に如かず、実際に高校へ行ってみたことが良かったと思います。また、本人の興味関心のある学科・コースがあったり、入りたい部活があったりするところから行ってみたのもすばらしいですね。遠出が苦手なお子さんは近くの(頑張ったら入れそうな)高校から見に行くのでもいいと思います(興味もそんなにないのに遠くの学校に行ってしまうと、緊張と疲れで“高校”全てについていい印象から遠ざかってしまう可能性もあります)。実際には、はじめに見学に行った高校には進学しなかったようですが、そういう場合もあると思います。「ここにする!」と決めきらずに、要素として見ていく(好きな学科がある、近い、入りたい部活がある、制服が素敵など)中で、次なる候補も複数見ておけると良さそうです。秋は文化祭や体育祭など、公開される行事も多い時期。ぜひ親子で見に行ってみてください。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年10月08日「子どもが失敗すると、つい厳しい言葉を言ってしまう」「子どもの失敗にイライラして怒ってしまう」――子どもがミスするのを目の当たりにすると感情的になり、後で「言いすぎてしまった……」と後悔することはありませんか?親なら誰しも、子どもに自信を持って自立してほしい、幸せな人生を送ってほしいと願うもの。だからこそ、子どもの失敗を目にすると「このままで大丈夫だろうか」と不安になるのが親心というものでしょう。しかし、失敗は成長の糧。そこで今回は、「子どもが失敗したとき、どんな声をかけたらいいんだろう?」と悩む親御さんに、子どもの可能性を引き出す対応方法をご紹介します。失敗を恐れる子ども、その原因は親かも……「なんでうちの子、こんなに引っ込み思案なのだろう?」「もっといろいろなことに、積極的にチャレンジすればいいのに……」子どもが何事にも消極的だと、気を揉みますよね。でもその原因は、子どもがミスするたびに親が冷たく対応してきたせいかもしれません。『10年後の子どもに必要な「見えない学力」の育て方』(青春出版社)の著者で大阪市立大空小学校の初代校長を務めた木村泰子氏は、子どもが失敗を恐れるようになる理由を次のように説明しています。なぜ今の子どもたちや若者は失敗を恐れ、チャレンジしないかというと、失敗したら叱られる、失敗したら困るという経験値を持っているから。だから、失敗は子どもにとってピンチになってしまうのです。つまり、子どもは失敗を叱られた経験から、失敗を恐れるようなり、結果的にチャレンジ行動ができなくなってしまうということ。*1誰だって怒られるのはつらいものです。大人の世界でも、失敗すると必要以上に厳しく叱責する上司のもとでは部下が萎縮し、「失敗したら嫌だから、言われたことだけしよう」と指示待ち状態になりやすいのではないでしょうか。子どもの無気力状態が心配なら、子どものやる気を奪うような間違った声掛けはただちに改めなければなりません。「失敗やミス=悪いこと」だと思い込んでいませんか?「子どもが失敗するのを見ると反射的に厳しく注意してしまう……なぜだろう?」そうお悩みなら、失敗やミスを悪いことだと思い込んでいないか、一度自分の心に向き合ってみてはいかがでしょう。「失敗は成功の母」ということわざがあるように、子どもの成長過程失には敗する経験が必要です。まずは「チェレンジ精神を鍛えるため、どんどん失敗させていい!」と、親の思考を変えることが大事かもしれません。教育ジャーナリストの中曽根陽子氏は、子どもに失敗経験が必要な理由を次のように挙げています。*2失敗経験をしないと、困難にぶつかって挫折しやすい大人になってしまうから「失敗を乗り越える成功体験」が後々、経験値として威力を発揮するからたとえば、数学のテストでつまらない計算ミスを多発し成績を落としたことで、計算式を丁寧に書き検算をする大切さが心底身に染みたことなど。筆者自身も、振り返ってみれば失敗したからこそ得られた学びがいくつもありました。あなたにも、子ども時代に失敗経験があったからこそパワーアップできた記憶はありませんか?【状況別】子どもが失敗したときの「親の神対応」前章で触れたように子どもが失敗することは悪いことではありません。それなのに、「なにやってるの!」「こんなこともできないの!」などと、子ども自身を責めるような叱り方をすると、子どもは「怒られた」と感じ、「言い訳」や「反発」で自分を守ろうとします。これでは、親が本当に伝えたいメッセージが伝わるはずがありません。コミュニケーション訓練プログラム「親業」のインストラクター、瀬川文子氏は、「子どもを叱るのは、たいてい子どもの行動に対して親が気に入らないとき」と述べています。自分が気に入らない行動を子どもがするから、「(あなたは)どうしてそんなことするの!」と「あなた」を主語にした叱り方になり、「相手を責めるニュアンス」が強く出てしまうのです。そこで瀬川氏は、「まずは親の心配や不安といった第一次感情を『私メッセージ』で伝える」よう提案しています。第一次感情とは「怒りより先に湧いてくる感情」のこと。「私メッセージ」の伝え方のコツは、下記のとおりです。*3(子どもの行動)非難がましくなく、目に見える、耳に聞こえる事実を伝える(行動から受ける自分への影響)できるだけ具体的に伝える(私の感情)正直に素直に伝える親の素直な気持ちを聞き、「自分を攻撃してくるのではなく、心配してくれているんだ」と伝われば、子どもの心のバリアが解除され安心してアドバイスに耳を傾けてくれるのではないでしょうか。上記をふまえて、子どもが失敗したときに言ってしまいがちなネガティブな言葉を、子どもがポジティブになれる言葉に言い換える具体例をシーン別にご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。【学業面での失敗】テストの点数が悪かった<具体例1>中学受験を目指しているケースNG例:「こんな点数じゃ、いい中学に入れないよ!間違えた問題の確認は終わったの?いつも復習しないから、この点数になったんじゃないの!?」↓OK例:「今回のテスト、難しかったよね。でもミスを放っておくのは不安だから、まずは一緒にできなかった問題に印をつけて原因を分析してみようか」<具体例2>ゲームばかりしていて勉強しないケースNG例:「毎日ゲームばかりしてるから、こんなひどい点をとるのよ。ゲームの時間を減らしてもっと勉強しなさい!」↓OK例:「ゲーム、楽しいよね。でも、勉強しないとこの先あなたが苦労しそうで、お母さんは心配なんだ。間違い直しからやってみない?」≪解説≫NG例は、テストの点数が悪かったとき、親が子どもに言ってしまいがちな言葉ではないでしょうか。「受験に失敗したらどうしよう」「将来勉強に対するコンプレックスで子どもを苦しませたくない」という焦りや心配が噴き出してつい言ってしまうのですよね。しかし子どもにとっては、ただでさえ落ち込んでいるのに「いい中学に入れない」は脅しの言葉でしかなく、「親がそう言うなら、勉強してもムダ」とやる気を失ってしまうかもしれません。また、自分が好きなゲームを否定された挙句「勉強しなさい」と頭から命じられたら、反発してますます勉強から遠ざかってしまうことに……。テストで大切なのは、さらに成績を伸ばすため重点的に勉強すべき部分のあぶり出しのはずです。子どもの気持ちに寄り添い安心感を与えたうえで、失点した原因を分析しどう対策すべきか子ども自身で考えられるようサポートに専念するのが親の仕事ではないでしょうか。*4そこで、OK例のようにテストの失敗を「大切な伸びしろ」として扱うよう促してあげれば、お子さんが自分の失敗に向き合い、今後に活かす勇気を与えてあげられるはずです。【スポーツや習い事での失敗】大切な試合や発表会でミスをしたNG例:「あんなに練習したのに、なんでできないの!?だからもっと真剣に練習しなさいって、ママは言ってたのに」↓OK例:「緊張したよね。でも、ここまで一生懸命努力してきたことが大事。この経験は次につながるよ。大丈夫、また頑張ろう」NG例:「いつも間違えてるところ、また間違えたよね。『絶対間違えない』って言ってたのに……はぁ、みんなの前で恥ずかしいわ!」↓OK例:「最後まで諦めずよく頑張ったね。今回の経験から学べることがきっとあるはず。次はもっとよくなると思うよ。どんなことに気をつけたい?」≪解説≫子どもがスポーツの試合や習い事の発表会で失敗し反省しているときに、NG例のようなネガティブな言葉で責められると、子どもは発奮するどころか立ち上がれなくなってしまうことも。メンタルトレーニングの第一人者の高妻容一氏は、子どもが親から「どうして、なぜ」とネガティブに追求されると、「心の居場所」がなくなってしまうと話します。また、親が結果にこだわりすぎると、子どもはプレッシャーを感じて「失敗から学ぶ」経験をさまたげるようになってしまうことも……。子どもの成長を願うなら、結果ではなく試合や発表会に向けて一生懸命頑張った子どもの努力を認める声かけがとても大事なのです。高妻氏は、「ポジティブな努力を評価すると、『ほめられた→うれしい→もっと努力しよう』といった、本人の成長を促すサイクルにもつながっていく」と断言しています。現に、努力をほめる家庭で育った子どもは、大きく成長しているそうです。*5OK例のように、結果ではなく子どもの努力を認め、次の意欲を引き出し、失敗を恐れずチャレンジする姿勢を育む声かけを実践してみてください。【日常生活での失敗】大切なものを壊してしまったNG例:「なんで落としたの!?落とさないように気をつけてゆっくり歩いてねって言ったのに!気をつけて持たないから壊しちゃうんだよ、まったく!」↓OK例:「ケガしてない?これは、パパの大切なものだったから悲しい。壊れてしまったら戻せないものもあるんだって、学んでくれたら嬉しいな」NG例:「お皿が割れちゃったじゃない!こんなことするなら、〇〇ちゃんにはもうお手伝いさせられないよ。もういい、ママが片づけるから!」↓OK例:「ショックだよね。まずは落ち着こう。失敗から学べることがきっとあるはず。次に大切なモノを扱うときはどうすればいいか、一緒に考えよう!」≪解説≫大事な記念の品や、お皿などをうっかり子どもが壊してしまったとき、ショックのあまり子どもをキツく責め立ててしまうこと、ありますよね。しかし感情的に声を荒げても、子ども自身は、「ママがなんか怒ってる」「パパが恐い」と萎縮するだけで、なぜ叱られたのかわからないままということも……。でも、本当に子どもに伝えたいのは、モノを大切にする心、モノの丁寧な扱い方ですよね。大切なモノを失った悲しみを正直に伝え、大事なモノの扱いかたについて子どもと一緒に考えることで、成長を促すことができるのではないでしょうか。たとえばガラス製品のように、壊れたら元に戻せないモノを割ってしまったときは、OK例のように、まず子どものケガを心配し、モノより子どものほうが大事なのだという気持ちをしっかり示してみてはいかがでしょう。親が自分を大切に扱う姿勢から、子どもはモノやさらには人を大切にする姿勢を学んでくれるかもしれません。*2【対人関係での失敗】友だちとけんかをしたNG例:「どうせあなたが悪いんでしょ。ちゃんと謝ったの?謝ってないなら、早く謝ってきなさい」↓OK例:「つらかったね。なにか原因があると思うから、よかったらママに話してくれる?」NG例:「友だちとケンカしたくらいで、すぐに泣かないでよ。〇〇君は弱虫だな。そんなに泣いていたら、△△君だって仲直りしたくないって思うよ」↓OK例:「それはしんどいよね。まずは、友だちの気持ちを一緒に考えてみよう。どうすれば仲直りできると思う?これを乗り越えれば、もっと強い絆になるよ」≪解説≫子どもが友だちとケンカして帰ってきたとき、NG例のように頭ごなしに子どもを悪者扱いしたり、泣いている子どもをこき下ろしたりしても、子どもが親に不信感を募らせるだけ。「どうせ親は話をきいてくれない」と口を閉ざし、誰にも相談できないまま人間関係をこじらせてしまうかもしれません。いじめ問題のような最悪の事態に子どもが陥らないよう、親にできることは、OK例のようにまず子どもの感情をしっかり受け止めること。そのうえで、子ども自身が友だちとのトラブルを解決するためになにができるか一緒に考えてあげてください。仲良しの友だちとの関係が悪化してしまうと、とても心細く不安なものです。そんなとき、自分を否定せずやさしく寄り添ってくれる親の存在は心強いもの。親との対話をとおして子ども自身が友人との人間関係を修復する術を見い出し克服できれば、その経験が社会に出たとききっと活かされるはずです。*2***子どもが失敗したときには、次のポイントを意識しながらお子さんに声かけしてみてください。子どもの言葉がどんなふうに聞こえたか子どもの行動がどんなふうに見えたかママ・パパがどんな影響を受けたかママ・パパがどんな気持ちになったか 子どもの気持ちに寄り添う言葉で親子の信頼関係を築いて、お子さんの成長を力強くサポートしていきましょう。文/上川万葉(参考)(*1)参考・引用元:東洋経済オンライン|「挫折に弱い子ども」と「強い子ども」の決定的差(*2)参考・カギカッコ内引用元:STUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|任せて、失敗させて、考えさせる。「困難を乗り越える力」を伸ばすには、放っておくのが◎(*3)参考・引用元:STUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|「私メッセージ」の叱り方で子どもが変わる! 親は怒りではなく“第一次感情”に注目して(*4)参考:ベネッセ教育情報|テストの結果が悪かったら…。こんな言葉で励ましてあげよう(*5)参考・カギカッコ内引用元:サイカク|試合に負けた日。子どもを”どうほめるか?”が、成長の分かれ道。
2024年09月30日受験生になりきれない?相変わらずマイペースなコウですUpload By 丸山さとこ神経発達症(発達障害)がある息子のコウは現在中学3年生です。いよいよ夏休みを迎えたコウを1ヶ月半見守ってきましたが、「いつもよりは勉強しているといえばしているかな?」くらいの感じで受験生の夏は終わりました。とはいえ、宿題をおおむね8月前半までに終えたことには、例年との大きな違いを感じました。なぜなら、コウは宿題を出さないことに定評がある学生生活を7年間続けていたからです。コウにも、これまでに宿題を出していた時期はありました。宿題の量が少なく簡単だった小学1年生の時と、担任の先生が提出物一覧表を毎週配布してくださっていた小学4年生の時の計2年間です。それ以外の学年では中学2年生に至るまで「宿題を提出しない丸山コウ君」として職員室で名を馳せてきた彼の『宿題未提出問題』の根深さは、相当なものでした。中学2年生は本人なりに頑張りを見せて、先生方からも「波はあるが、以前よりは出せている」と評価を受ける程度には宿題を提出できるようになってきました。それでも未提出の多さが内申点の足を大きく引っ張っている状況でした。宿題を提出して成績を上げたいコウが考えたこと成績表を見るたびにコウ本人も「成績を上げたい。そのためには宿題を提出しないとね」と言って意欲を見せていましたが、具体的な対策はなかなか定着しにくく困っていました。そうこうしている内に中学3年生になり、「1学期の時点で内申点を少しでも上げられなかったら、もう志望校を変えなければいけない」という段階にきてしまいました。私や夫が宿題のチェックをしようにも、コウが持ち帰り忘れたり提出を忘れたりしていてはどうにもなりません。いよいよ困り果てていた1学期上旬のある時、学校で身体測定を終えたコウが「体重が増えていたから、ADHD(注意欠如多動症)治療薬の量を増やせるかもしれない。病院で相談してみたい」と言いました。Upload By 丸山さとこコウは小学4年生からADHD(注意欠如多動症)治療薬を服用しています。幸い大きな副作用は現れず、体重に合せて服用する量を増やしていました。その過程で、コウは『体重が増えてくると薬の効果が薄くなっていくこと』や『服用量を増やしていくとある時点で効果がハッキリ感じられるようになること』を実感していました。そのため、コウが薬の増量を希望したのは彼なりに経験を踏まえて考えたことなのだろうと思い納得しましたが、コウが自分から増量を明確に希望したことは初めてだったため少し驚きました。さまざまな環境調整を行った上で服薬を開始し、コウ本人も納得して続けている治療薬ですが、たまに吐き気や怠さなどの副作用もあります。私自身もADHD(注意欠如多動症)治療薬を服用しており、薬による負担があることは実感しています。薬を服用することで、私もコウも「人からの話が入りやすくなる」「パニックになりにくくなる」などのメリットは感じていますが、それは服薬により全てが解決するような目覚ましい効果ではありません。そのため、改めてコウに「薬の服用は負担が大きくない?」と聞いてみると、コウは「負担はあるけど、飲んだほうがずっと楽だから」と答えてくれました。Upload By 丸山さとこコウは「飲まないと頭が疲れるんだよ。学校は人が多いし、その分考えることも多いからね。授業に集中したいし、宿題も忘れたくないからね」と理由を伝えてくれました。私は『中学校はコウにとってそれくらい負担の大きい環境なのだな』と改めて思いつつ、『薬の増量を初めて希望するくらい、彼なりに受験に対して真剣な想いがあるのだな』と納得しました。マイペースでも、コウなりに受験を意識しているそうですそうして、コウの受験への真剣さを感じて『一見マイペースな受験生にしか見えないけれど彼なりに頑張っているのだろうな』としみじみしたところで、夏休みはあっという間に終わってしまいました。高校入試まであと半年もないのだと思うと、時間の流れの早さに驚かされます。私は『どのような結果になろうと子どもの自主性に任せて見守る親』になる度量が全くないため、夏休みの間何度もコウに「受験勉強するか志望校を変えるか、どちらかにしない?」と言っていました。Upload By 丸山さとこそんな私ですが、コウが彼なりに頑張っているのだろうということは分かります。そして、その頑張りは中学3年生になるまではどうしてもできなかったのだろうということも、これまでを見ていると何となく分かります。これからも受験当日までマイペースなコウに対してハラハラそわそわすることはたくさんありそうですが、それをできるだけコウにぶつけず、たんたんと声かけを継続できるように心がけていきたいです。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:室伏先生より)さとこさん、受験生になられたコウくんのご様子や成長の過程を詳しく共有くださり、ありがとうございました。コウくんは、ご自身の特性や状況をよく理解し、向き合われているのですね。ADHD(注意欠如多動症)のお薬について、内服を悩まれている親御さんも少なくないことと思います。内服薬での治療は、根本的な治療ではなく、あくまでも対症療法です。つまり、内服している期間に困っている症状を抑える効果はありますが、ADHD(注意欠如多動症)の症状を根本的に治すというものではなく、何らかの理由でお薬の内服を中止した場合にはまた症状が目立ってくる可能性があります。もちろん、内服期間中の成長や、環境調整・生活の工夫などにより、内服前に困っていた症状が内服中止後目立たなくなることもあります。対症療法と聞くと、幼少期に開始した薬を、生涯にわたり内服をしなければならないのかと不安に感じてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、成長に従って、またご本人のおかれている環境の変化から、内服が必要な状況ではなくなり、中止される方もたくさんいます。内服のメリットは、症状が一部緩和され、ご本人や周囲の困難や、生活の負担が軽減するということがありますが、ニ次障害を防ぐということも重要なメリットの一つです。ADHD(注意欠如多動症)の方は、叱責を受けやすい、勉強に集中ができなくて成績が上がらない、友達関係がうまくいかない、などの失敗体験が積み重なって、「自分はだめなんだ」と自己肯定感が低下してしまうことがあります。このようなつらい気持ちが続くと、抑うつ、不安障害、暴力暴言、引きこもりなどに繋がってしまうことがあります。これを二次障害と呼びます。思春期は、周りからの評価が気になったり、自分自身を見つめ直したり、人間関係における悩みも強くなる時期ですので、生活上のお困りだけでなく、気持ちの面にも配慮して投薬を検討できるとよいと思います。デメリットの一つに、副作用があります。副作用は薬剤によっても違いますが、コンサータでは不眠や食欲低下、体重減少、ストラテラでは嘔気、頭痛、眠気、食欲減少、インチュニブでは、眠気、頭痛、立ちくらみなどをよくお伺いします。思春期は生活の変化に伴って睡眠リズムが崩れがちになったり、起立時の血圧変動による立ちくらみが増える時期です。長期に内服を継続している方で、これまでに副作用がなくても成長の過程で生じてくることもあります。もう一つのデメリットとしては、お薬を内服していることで、ご自身の発達症、特性に気づき、それに悩んでしまう可能性があるということです。これは必ずしも悪いことではありません。ご本人の発達段階にもよりますが、ご本人の特性について話し合う良い機会にもなりうるでしょうし、ご自身の特性について理解していくことは、今後の人生を生き抜いていく上で大きな力になることと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年09月23日(この記事はAmazonアフィリエイトを含みます)「早く片付けなさい!」「急いで準備して!」 毎朝、こんな言葉を繰り返していませんか? 時間に追われる朝の慌ただしさ、そして後悔とストレス。多くの親が悩む子どものスケジュール管理。実は、これには秘訣があるんです。今回は、子どもの時間感覚を育てる方法と、効果的な声かけのコツを年齢別にご紹介します。驚くかもしれませんが、これらのテクニックを使えば、お子さんが自主的に時間を管理できるようになるんです。そうなれば、親子ともにストレスフリーな毎日が待っていますよ。さあ、未来の子ども達の姿を想像しながら、一緒に学んでいきましょう!子どもが時間を意識して行動できないのはなぜ?時間の概念があまりない小さな子どもに何度も声かけしていると、「どうして何回言ってもできないの?」「うちの子、特別だらしないのかな……」など、イライラしたり落ち込んだりしますよね。ですが、相手は子どもですから仕方のないことなのです。行動科学の専門家である石田淳氏は「性格的にだらしがないのではなく、やろうと思っていても、新しいことや興味のあることに気を取られて忘れてしまう」のが子どもの特性と述べています。しかも、最難関中学合格を目標にしている子でも、自主的に計画を立て実行できる子どもは “ごくわずか” なのだそう。習い事の前に宿題を済ませておこう!などと考えられないのが子どもなのです。(*1)とはいえ、大人になってからもルーズな感覚のままでいると、その子自身が困ることになるのは明らかです。今後ますます「時間管理力」が求められる時代。その力が身についているのといないのとでは、大学生や社会人になってからの「生きづらさ」にもつながる可能性があります。時間管理が苦手なまま大きくなると、将来どうなる?ビジネス数学の第一人者である深沢真太郎氏は、多くの企業で研修をおこなってきた経験から、「数字が苦手だと言うビジネスパーソンや、数字の活用ができず生産性が上がらない組織」の共通点を「時間に対する感覚が根本的に足りていない」と分析しています。つまり、仕事を時間でとらえる感覚が不足しているのです。具体的には、「10分間で(この資料を)まとめて」「1分程度で手短に説明して」といったリクエストに対応できず、必ず時間をオーバーしてしまうのだそう。換言すれば、耳で聞いただけの「10分間」という情報を、現実的な量としてとらえられず、自分の仕事を「時間」という量的概念でとらえる習慣がないということ。深沢氏は、これまで2万人以上のビジネスパーソンを指導してきた経験から、「研修中に時間にルーズだった人で、数字に強く成果も出していると言える人はひとりもいない」と断言しています。(*2)現在すでに、仕事での単純作業は減少傾向にあり、一人に対して複数のタスクが求められている状況です。だからこそ、時間を管理する能力は、未来の社会を生きる子どもたちにとって、なおいっそう必要になってくるでしょう。すでに社会人であるお父さん、お母さんは、よくご存じだと思いますが、「約束の時間や期日を守ることができる人」は、仕事をするうえでもプライベートでも信頼されますよね。逆に、どんなに勉強ができても「時間管理ができない人」は、だらしのないイメージがつきまといますし、結果的に仕事でも人間関係でも信用されないのではないでしょうか。では、子どもに「時間の大切さ」や「先を見通して行動することの重要性」を教えるには、どうしたらよい?次項では、年齢に応じた具体的な方法をご紹介するので、ぜひ参考にしてくださいね。親子でトレーニング!年齢別・時間管理力を鍛える方法時間感覚や時計に対する概念は、年齢によって理解度に大きな差があります。そのため、まだ時計が読めない子が多い未就学児には声かけにも工夫が必要だったり、時間感覚がつかめてきた中学年くらいからは勉強のスケジュール管理をさせたりと、年齢に応じたトレーニングが求められるでしょう。ここでは、すぐに取り入れられる簡単なトレーニング法や声かけ法、またおすすめのアイテムをご紹介します。【未就学児(3歳~小学校入学前)向け】時間の概念は難しいものなので、「生活や遊びの中で無理なく、その子のペースに合わせて学び進めることが大切」と話すのは、楽しく子どもが知性を鍛える「楽勉(らくべん)」を推奨する教育評論家の親野智可等氏。自然に楽しく時間に親しむことで「時計っておもしろい!」という前向きな意欲を引き出すことをすすめています。まだ数字が読めない3歳児でも、時計に親しむことは可能です。方法としては、家のなかのあらゆる場所にアナログ時計を置いて、常に時計が目に入る環境を作るのがおすすめ。親野氏によると、「時計がつねに目につく環境で、『長い針が上に来たら終わりだよ』と声かけすることで、自然と時間や時計を理解できるようになる」そうですよ。(*3)ポイントは「早く!」「急いで!」という抽象的な指示ではなく、「長い針が6になったら出かけようね」とわかりやすい言い方を心がけること。子どもが楽しく時計に慣れるためにも、できるだけポジティブな声かけをしましょう。■こちらもオススメ!『音の出るとけいえほんいまなんじ?』(金の星社)↑音声で時間を教えてくれる絵本。楽しいクイズもあり、遊びながら時間の学習ができますよ。【低学年(小学校1・2年生)向け】小学校に入学すると、時間割に沿った行動を求められたり、家でも宿題をやらなければならなかったりと、自分の頭のなかで時間を意識する生活が始まります。でもまだ時間管理という意識が薄いため、親としてはあれこれと手や口を出してしまいがち。そんな親に対して、子どもの時間管理についての書籍『時間のマネジメント』(合同出版)の著者で、ことばキャンプ教室主宰の高取しづか氏は、「子どもが時間を考えて行動するためには、『子どもの時間はその子自身のもの』と親が認識することから」と苦言を呈します。もし子どもが遅刻したとしても、それは「親の問題」ではありません。「子どもの問題」なのです。そこで、見放すのではなく、「〇〇ちゃんが困らないように頑張ろうね」とサポートする姿勢でいることが大切になります。「お友だちとたくさん遊べるように早く準備しよう」などメリットも合わせて伝えて、子どもが自ら動き出すのをサポートすることがポイントです。(*4)また、マグネットシートやホワイトボードを使った「見える化」を取り入れるのもおすすめ。「きがえる」「あさごはんをたべる」「はをみがく」など、クリアした項目を「やったこと」リストに移動させれば、自分の行動の結果が可視化できるのでやる気につながりますよ。■こちらもオススメ!『クツワ METETE おうちの時間割りボード』↑子どもの成長と自立をサポートする「おうちの時間割りボード」は、子どもが自ら学び、考え、判断し、表現する力を育てます。できたことはマグネットを裏返せば、可視化できて習慣化につながりますよ。親子のコミュニケーションにも◎【中学年(小学校3・4年生)以上向け】時間感覚が身につき始めた中学年。学習面でもだんだん難しくなってくる時期なので、学校の宿題に時間がかかったり塾に通い始めたりと、日常生活+学習時間のバランスに頭を悩ませ始める学年でもあります。子どもが自分でスケジュール管理をするなら、予定を立てることより、振り返りの時間を重視してください。たとえば、自分で立てた勉強スケジュールを実践したところ、思い通りに進まなかったとします。「30分を予定していたけれど1時間もかかってしまった」のであれば、以下の2つのパターンが考えられるでしょう。【パターンA】ちゃんと勉強していたのに、思ったよりも時間がかかってしまった。【パターンB】ダラダラ勉強していたら、結果的に1時間かかってしまった。【パターンA】であれば、「次からは1時間を見込んでおく」「30分で終わる課題にする」などの軌道修正が必要ですし、【パターンB】ならば、「ダラダラしないようにタイマーセットして勉強する」「15分×2セットにする」などのアクションを考えたほうがよさそうです。受験生にスケジュール管理を指導している、伸学会代表の菊池洋匡氏は、中学受験をする子でも「最初から上手にスケジュールを立てられる子なんていない」と言っています。振り返りと次のアクションを繰り返すことが大切なのです。(*5)高学年以降になってタスク管理ができていると自信にもつながるため、早い時期から学習時間を含めたスケジュール管理トレーニングをすることをおすすめします。■こちらもオススメ!『キッズ用スマートウォッチ』キッズ用高性能スマートウォッチ。スマホをもたせるのはまだ早いと思われる方でも、最低限の機能が付いたスマートウォッチなら安心ですね。タイマーやストップウォッチ、カレンダー機能なども搭載しているので時間管理にもぴったり!***時間感覚は自然に身に付くものではありますが、小さいうちは親がサポートしてあげることでスムーズに理解できるので、暮らしの中で時間や時計に興味を持たせることも大切です。学年が上がるにつれて、スケジュール管理や学習計画を立てるのが難しくなってきますが、親子で一緒に楽しみながら取り組んでみてくださいね。文/野口燈(参考)(*1)参考・カギカッコ内引用元:AERA Kids Plus|「時間にだらしない」のは性格ではない!時間管理がうまい家が使っているもの(*2)参考・カギカッコ内引用元:東洋経済オンライン|「時間にルーズな人」ほど数字に弱すぎる納得の訳(*3)参考・カギカッコ内引用元:コクリコ|年少からの「子ども時間管理術」を時間教育の専門家が伝授!(*4)参考・カギカッコ内引用元:Gakken こそだてまっぷ|子どもができる時間管理!子どもに時間を意識させる伝え方(*5)参考・カギカッコ内引用元:YouTube|【成績が伸びる子の特徴】驚くほど勉強の質が上がるスケジュール管理法6選
2024年09月04日科学への憧れ身も心もボロボロになるほど受験勉強に明け暮れた私ですが、受験のための勉強以外で、大好きだったものがあります。それが理系の分野の学びです。思い返せば、小学生の頃から科学の本が好きでした。母が毎月とってくれていた学習雑誌の科学編を3学年上の兄のぶんまで奪って読むほど、科学に夢中。科学分野かどうか明記のない学習雑誌でも、より熱心に読んだのは物語よりも科学の分野のものだったように思います。身の回りのちょっとした自然現象にも強い興味を持ち、いつも「なぜだろう」と考えていました。中学校の理科で湿度について学んだ時、「なぜ冷たい飲み物を入れたグラスの表面に水滴がつくのか」「なぜ冬の寒い日、窓に結露が浮かぶのか」について初めて納得のいく答えを得て、ものすごく興奮したことを今でも覚えています。鼻血が出るほど科学が好き科学は、一見バラバラに見える世界が、整然とした、そして途方もなく大きな時間的空間的スパンの法則のもとに動いていることを教えてくれます。ASD(自閉スペクトラム症)の少女だった私にとって世界は、いろいろなことがランダムな脅威に感じられる、怖いところでした。自分のことも、まるで「世界からぽっかり浮いた正体不明の宇宙人※」のようで、とても怖かった。※宇宙人という感覚はASD(自閉スペクトラム症)の人がよく抱くといわれていますが、「世界からぽっかり浮いた」というのは、私の二次障害である解離の傾向と関わっていたのかもしれません。その恐怖から逃れたくて、理解可能な規則に基づく安心や納得感、見通し、コントロール感を強く求めていました。そんな私にとって、科学は救いに近いものだったのです。中学に入って最初の理科の授業で先生がしてくれた、位置エネルギーについての話は今でも強烈に心身に残っていて、思い出すと身体中がゾクゾクします。先生が語ってくれたのは、こんな感じの話でした。(私に物理の専門知識はないですし、細かいところは忘れているので、誤った内容が含まれるかもしれません)今、あなたたちはそこに存在して座っているだけで、大きなエネルギーを抱えているのよ。たとえば、私達は今2階の教室にいるけれど、ここの床が急に抜けたらどうなると思う?あなたたちは1階の床に落ちるわね。床に落ちた瞬間、ドーンと大きな音もするかもしれない。落ちた衝撃で1階の床に傷がつくかもしれない。あなたたちがもし、何トンもある重たい物体だったらどうかしら。クレーターができるかもしれない。衝撃波が出て周りのものが吹っ飛ぶかもしれない。落ちたときの強い摩擦で煙や火が出るかもしれない。これが位置エネルギー。あなたたちがそこに静止していられるのは、床があなたたちの体重を支え続けているからにすぎないのよ。私は、周りからぽっかり浮いた存在だと思っていた自分が、宇宙を貫く大きな大きな物理法則に「縛られて」ここに存在しているのであり、まったくもって「世界と無関係」などではなかったのだ、と思い、たいへんに感激しました。そして、「あなたたちはそこに存在して座っているだけで大きなエネルギーを抱えている」という表現は、単に物理的な話としてだけではなく、比喩的な、詩的な話としても響きました。「私は存在しているだけで大きなエネルギーを抱えているんだ、良くも悪くも世の中に影響しているんだ」と思うと、自己否定感の強かった私は、何か強烈に鼓舞されるような感覚を覚えるのでした。マッドサイエンティストになりたかった学校では理科の実験用にお揃いで白衣を買うことになっていたのですが、私はこの白衣が大好きでした。高校の頃、用もないのにそれを羽織ってノシノシと校内を練り歩き、何をするともなく理科室に入り浸っていました。クラスメートが「異常に似合う!」とか言ってくれて、それで気をよくしていた思い出があります。言い伝えられている強烈なキャラクターも合わせて、相対性理論のアインシュタインが憧れの人。理系雑誌を愛読し、実験器具をインテリアとして集め……そんな自分にある種のアイデンティティを感じていて、いつかマッドサイエンティストになりたいと思っていました。あるとき、愛読していた科学雑誌で「誰でも分かる!特殊相対性理論特集」みたいな記事があり、それを血眼になって読んで特殊相対性理論の概要を理解しました。面白すぎていてもたってもいられなくなって、特に仲がいいわけでもないクラスメートをつかまえて30分間かけて一方的に講義したことがあります。もうこの特殊相対性理論の一方的な講義については、何度思い返しても本当に、ASD(自閉スペクトラム症)の私らしい言動だったなと思います(笑)。当時は「クラスメートは面白いと言ってくれた!よいことをした!」とご満悦でしたが、よく思い返せば彼女は断りきれずに我慢して聞いてくれたんだと思います……。泣く泣く文系へそんな私でしたが、高2の時の文理選択ではなんと文系に進み、大学も文系を選びました。だって、絶望的に数学ができなかったんです。物理、化学、生物……誰よりも前のめりで、目をギラギラさせて、鼻血が出そうなほど興奮して授業を聴いているのに、あまりに数学ができないため、テストでは点がとれない。数学、泣きながら必死で勉強して13点をとったことがあります。こんなことでは、仮になんとか受験では受かっても、その後ついてまわる数学に苦労したり、挫折したりするに違いない。悩んだ末、国語や英語は成績がよかったため、文系に進むことに決めました。進んだのは文学作家になるコースでしたが、授業が始まった瞬間、自分には文学に全く興味がない、ということに気づいてしまって愕然としました。同時に二次障害が悪化したのと、家庭環境の悪化も顕著になったのとで、結局勉強にはほとんど集中できないまま4年間の大学生活を終えてしまいました。私は「どの有名4年制大学に行くか」みたいな話しか出てこないような進学校にいたので、高等専門学校というものを知らなかったのですが、30代になって自分の発達障害を自覚したあと、初めて知ることになりました。文系の大学に進まず、理系の高等専門学校に進むなどしていたら、もしかするともっと社会適応できていたかもしれない、と思うことがあります。それでも、今はこれでいいけれど、人生は効率ばかりではありません。私は理系に進まずに人生を「遠回り」したことで、人生をより深めることができたのではないかと思っています。たまたまですが、結果的に今、文章を書くにしろ日本語を教えるにしろ、「言葉を扱う」という人文的なことを仕事にしていることもあり、私の人生はこれでよかったのかもしれないな、と思っています。理系の世界への憧れは、化学の構造式をモチーフにしたアクセサリーを身に着けてニヤニヤするとか、変わった温度計をしげしげと眺めてしきりに感心する、生成AIの活用に没頭する、化学の知識を家事に活かす、などといったことに残っています。文/宇樹義子(監修鈴木先生より)一般的にASD(自閉スペクトラム症)の方は理系に進む方が多いのが現状です。小学校の時は国語が苦手で算数が得意だというのがASD(自閉スペクトラム症)のお子さんにはよく見られる傾向です。例外は限局性学習症(算数不全を伴う)の計算障がいです。国語が苦手なお子さんは算数の文章題が苦手になりやすいですが、算数が苦手なお子さんは計算自体が苦手なので算数の成績だけが悪くなります。そういうお子さんがIQテストを受けると、知覚推理のところだけ数値が低く出るかもしれません。数学が不要な理系もないこともないのですが、科学が好きなら、科学に関した言葉を扱うような文系の仕事が向いているのかもしれません。大学入試も理系から文転する人も多いですが、その逆は理数系教科の影響のため難しいことが多いです。理系っぽい文系がいても悪くはありません。むしろそういう人だからこそできる仕事もあるのではないでしょうか。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年09月01日中学校のギャップについていけず、少し落ち込むハルわが家の長男ハルは、小4の時にASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)と診断されています。中学生になったハルが最初に戸惑ったのは「制服」でした。制服がダボダボで重いこと、暑い日でも衣替え前は校則上学ランを着ていかなければならないことへの不快感を、私に訴えていました。また、中学生になって初めて着けたベルトの感覚にも慣れないようでした。重い鞄をロープで荷台にくくりつけての自転車登校も「校則」だったのですが、慣れるのに時間がかかり、よく転んでいました。Upload By 安田ふくこさらに、「部活動」でも戸惑いがありました。スポーツが苦手だったハルですが、わが家が暮らす地域の中学は必ず運動部に入らねばならず、バスケットボール部に入部しました。バリバリ「体育会系」の顧問の先生と相性が良くなく、よく怒られていたようです。・先輩よりも先に水を飲まない・自分が受け持ったノルマや、部活後の掃除が終了してもそのまま終わりにせず、周囲を見渡してほかにやることがないか探すなど、『暗黙の了解』として特に言われなくともほかの部員たちがやっていることが、ハルには分からないことが多かったです。Upload By 安田ふくここれは「どうして良いか分からない」状態なのですが、周囲からは「やる気がない」と捉えられてしまい、本人は苦しんでいました。さらに、「定期テスト」も大きなハードルでした。中学校では一度に全教科、広範囲の内容が出題されます。初めての定期テストで思いのほか点数が低かったことに、少しショックを受けていました。小学校では範囲も単元ごとだし、記憶力だけでそれなりの点数がとれていたので、初めての定期テスト後は自分のできなさに驚きを隠せない様子でした。さらに中学では『順位』という、分かりやすい数字で自分の立ち位置が分かります。中学校生活が始まって早々、数々のギャップに落ち込んでいるようでした。中学生、親はどこまでサポートすべき?迷いつつも私がとった行動は……そんなハルの様子を見ていた親の私は、とりあえず、部活の先生にアポイントを取りつけ、本人の特性について話をすることにしました。すると、入学前にも教頭先生や養護教諭に面談をお願いして話をしておいたのですが、先生内で周知されていなかったことが分かりました(あとから周りの話を聞くと、そのようなケースは多かったようです)。そのため、特に接触の多い部活の顧問や、担任の先生には、改めて入学後にも親から個別面談を申し込むなりしたほうが良かったのだな……と思い知りました。Upload By 安田ふくこ学習面では、中学生になってまで……との考えも頭をかすめましたが、その気持ちは横に置いておいて、日頃の勉強やテスト対策に、最初から「中1の2学期までは」と決めて付き合いました。期限を決めることでこちらも心に余裕ができますし、ハル本人には「あとはなるべく自分で!」という気持ちが持てると思ったからです。一問一答形式を繰り返すことで、記憶力が必要な歴史や地理、国語の漢字などは成績がアップすると、本人も分かってきたようでした。英語はまず親しむことから……と、ポップスで英語のみの歌詞を良く聞くようになりました(コレはそのとき英語に興味があった弟からの提案でした)。親しむ、楽しむという点において、それは大正解でした。数学は元々好きな教科だったので、ノータッチでも自分で勉強を進めていました。そんなふうに、自分の特性や得意と苦手のバランスを見て、いろいろ親子で試行錯誤した結果、主要5教科の成績に関しては学年の中でも上位の成績になり、ハルのやる気もぐんとアップしました(不器用ボーイなので、美術や技術・家庭科など実技4教科の成績は、相変わらず底辺のあたりをさまよっていました……)。中学生になる直前、分かった目の特性ハルが中学校に入学する以前から、よく光を異様に眩しがることがあり、私は気になっていました。本人もつらいと訴えるようになったので病院を受診してみると、これは光過敏という症状で、目で光を感じやすい敏感な体質だということが分かりました。受診結果を持って担任の先生や部活の顧問と相談した上で、帽子をかぶらせてもらう、座席を光の影響が受けづらい場所にしてもらう、屋外練習などで光に当たりすぎてつらくなったら、一時的に休憩をさせてもらう、などの配慮を学校で受けられるようになりました。高校受験の際にも、学校に願い出て校長から話をしてもらい、合理的配慮を受けるための書類を提出して、窓際ではない席で受験させてもらうなどができました。Upload By 安田ふくこ本人に聞くと、「小さな頃は『眩しいのが当たり前』だと思ってずっと我慢していたけれど、周囲と比べてもどうしてもおかしいと思った。中学生になって、やっとどれだけツラいかを言葉で伝えられるようになった」とのことでした。障害というほどではないけれど、人より敏感な部分があり日常的に困っている……そんな言葉で伝えるのが難しかった自分の症状を、12、3歳になってやっと言語化できるようになったのでした。高校に合格し進学した後も、校則上の服装にはない、帽子やサングラスなどを使うため『異装届』を学校側に提出して許可をもらうなど、特性からくる困りごとへの対策は今も続いています。そんなハルですが、困りごとを自分の力で克服したこともあります。中1までは足がとても遅く、協調運動も苦手なことがコンプレックスでしたが、「そんな自分を変えたい!」と中1の秋からランニングを始めました。Upload By 安田ふくこそれからは毎日4キロ走るようになり、中2から駅伝選手にも選ばれるようになりました。これは、「一度決めたら曲げられない、ルーティンにこだわる」というASD(自閉スペクトラム症)の特性が、良いほうへ作用したのかもしれない、と見ていて感じました。特性を理解して自ら強みに変えたり、どうしても困ったときは周囲に助けを求めたりできることも、人としての成長の一つなのかなと、私は感じています。今現在、あくまで見た目ではふつうの高校生。身長は私よりもずっと高くなってとても大人っぽく見えるけれど、コミュニケーションスキルに関しては、やはり周囲の同年代よりもずっと苦手です。「好きなこと」や「趣味」も、まぁほかの子どもと同じような部分もありますが、特定のものにこだわりが強いのは相変わらずです。Upload By 安田ふくこ親の私も忘れがちですが……どうしても譲りたくない自分のこだわりや、ルーティンを大事にするからこその「初めてのこと」への柔軟性のなさ、適応力の乏しさなど、まだハル自身の課題は多くあるのだなと感じます。それをハルが自ら認めて受け入れたり、周囲に理解してもらうためにも、自分もまた周囲を理解しようと努力する……大人になるまでに少しずつでもそうなっていけるよう、今後も見守っていこうと思っています。執筆/安田ふくこ(監修:室伏先生より)ふくこさん、ハルくんの中学生生活における困りごとと、それに対する工夫や支援、その結果について詳しく共有くださり、ありがとうございます。小学生、中学生、高校生と年齢が上がるにつれて、どの程度家族が関わっていくのが望ましいのか、お悩みの親御さんも多くいらっしゃることと思います。ふくこさんが書いてくださった、「特性を理解して自ら強みに変えたり、どうしても困ったときは周囲に助けを求めたりできることも、人としての成長の一つ」というお言葉、多くの親御さんに届いて欲しいと思いました。「自立」という言葉には、「周りからの助けを受けずに自力で生きていくこと」の意味もありますが、福祉の分野では、「自己決定に基づいて主体的な生活を営むこと」「自分の能力を活用して社会活動に参加すること」と定義づけられています。自分の苦手なこと・不快なことを知ること、自分の得意なこと・好きなことを知ること、そしてそれを周りに向けて表現して必要な支援を求めたり、自分に合ったやり方を模索したりすることは、とても大切な自立への歩みです。全てをこっそりとやってあげてしまうのではなく、どんなことになぜ困っているのかについて話し合うことや、生活しやすくなる方法や支援の求め方を本人にも知ってもらうことは、自立に向けての手助けになるかもしれません。ハルくんは、ご自身の気づき、そして努力と、ご家族のサポートによって、自立への道を着実に歩かれていますね!これからのハルくんを、私も応援しております。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年08月31日株式会社日本教育指導総合研究所JET(所在地:東京都新宿区、代表取締役社長:屋口 京子)が運営する中学受験専門の個別指導塾・家庭教師である受験Dr.は、過去問学習の重要性や効果的な取り組み方をお伝えする「過去問活用セミナー」を、2024年9月9日(月)・11日(水)・13日(金)に開催します。お申し込みURL: 2024年 過去問活用セミナー■「過去問活用セミナー」とは●中学受験専門の個別指導塾・家庭教師である受験Dr.が、毎年開催している入試対策において必須である過去問演習をどう進めていけばよいのか、不安やお悩みを抱えるご家庭・少しでも早く最善の学習法を実践したい保護者の方に向けた中学受験生の保護者対象セミナー●今年は3日間、対面とオンライン、計5回で開催●中学受験のプロならではの着眼点と豊富な経験で、過去問学習の重要性を伝え、受験生が抱えるお悩みを解消●理論としても実践としても、分かりやすく体系立てられた学習戦略を体験可能●セミナー終了後にはプロ講師による1対1の学習相談会も実施■開催概要セミナー名: 過去問活用セミナー日程 : 2024年9月9日(月)・2024年9月11日(水)・2024年9月13日(金)時間 : 2024年9月9日(月)[午前の部(対面)]9:30 開場10:00~12:30 国語 理科 社会 算数(各教科別)12:40~13:40 個別相談会(希望制)[午後の部(オンライン・録画配信)]19:00~21:30 国語 理科 社会 算数(各教科別)2024年9月11日(水)[午後の部(オンライン・録画配信)]19:00~21:30 国語 理科 社会 算数(各教科別)2024年9月13日(金)[午前の部(対面)]9:30 開場10:00~12:30 国語 理科 社会 算数(各教科別)12:40~13:40 個別相談会(希望制)[午後の部(オンライン・録画配信)]19:00~21:30 国語 理科 社会 算数(各教科別)会場 : 受験Dr. 四谷本部校東京都新宿区四谷1-2-8 四谷THビル 7F受講料 : 11,000円(税込)(四教科・全般 講演資料含む)お申し込み: 電話(03-5304-8225)もしくは下記申し込みフォーム 【担当講師】セミナー担当講師*安部 公一郎 講師(写真中央右) 受験Dr. 塾長 京都駅前校校長 クラウンドクター講師*春野 陽子 講師(写真中央) 国語科講師指導最高責任者 国語科御三家最高責任者 国語読解方程式ノウハウ開発最高責任者 クラウンドクター講師*海田 真凜 講師(写真中央左) 四谷本部校校長 校長総責任者 クラウンドクター講師*亀井 章三 講師(写真右) 自由が丘校校長 教科総責任者 クラウンドクター講師*清水 栄太 講師(写真左) 社会科責任者 社会科長 スーパードクター講師【セミナー参加特典】講演資料事前送付【学習相談】希望者【注意事項】・6年生の保護者対象 ※5年生以下不可・同業他社の参加禁止・セミナー中の撮影・録音・録画禁止■受験Dr.について「受験Dr.」は【目の前の1人を勝たせる】をモットーに、お子さん一人ひとりの性格や学習状況に合わせたオーダーメイド指導の「個別指導塾」「プロ家庭教師の派遣」「オンライン授業」のサービスを提供。開成中学校の合格者数は2020年、2021年、2022年、2023年、2024年の5年で計51名となり、個別指導No.1の合格実績を達成。■会社概要商号 : 株式会社日本教育指導総合研究所JET代表取締役社長: 屋口 京子所在地 : 〒160-0004 東京都新宿区四谷1-2-8 四谷THビル7階設立 : 設立 1998年2月/法人化 2003年10月事業内容 : 中学受験プロ講師による個別指導塾・家庭教師 受験Dr.校舎 : 四谷本部校、麻布十番校、代々木校、自由が丘校、吉祥寺校、東京校、成城学園校、白金高輪校、横浜校、京都駅前校資本金 : 1,000万円URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年08月29日共通テストでは、合理的配慮を「制度上」申請できるが…こんにちは。『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』ほか、著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。今回のコラムでは、発達障害のある子が大学入学共通テストで合理的配慮を受けるために必要な申請について、受験生の現実と「なんとかしてあげてほしい」という私の意見を 述べたいと思います。なお、私は昨年度、ASD(自閉スペクトラム症)の診断と、LD、ADHDの傾向がある長男の大学受験を見守りましたが、長男は配慮申請や共通テスト受験をしていないため、一般公開されている情報から私が読み取れたことをまとめています。今年も大学入試センターから、令和7年度大学入学共通テストの「障害等のある方への配慮案内」が公開されました。独立行政法人 大学入試センター|令和7年度 受験上の配慮案内大学入学共通テスト(以降、共通テスト)では、発達障害を含む障害等のために受験に際して配慮を希望する志願者に対して、個々の症状や状態等に応じた受験上の配慮を行っており、例えば、LD(SLD/局所性学習症)があり、読み書きに困難さがある場合には、代読・代筆や、拡大文字の問題冊子配布、試験時間の延長などの配慮を受けることが制度上可能です。ですが、現時点では、発達障害のある子が配慮を受けて共通テストに挑戦するのは、私にはあまり現実的な選択肢だとは思えません。なぜなら、配慮を受けるために必要な申請書類を、発達障害のある子が揃え、必要な手続きを行うことのハードルが非常に高くて、非現実的だと感じるからです。発達障害区分での配慮決定者数は約500名まず、配慮申請に必要な手続きについて、大まかに解説します(詳細は大学入試センターの公式の配慮案内をご確認ください)。共通テストで、発達障害のある子が配慮申請をする場合、以下の3つの書類が必要です。・受験上の配慮申請書・診断書(発達障害関係)・状況報告書(発達障害関係)これを、現役生の場合、高1・高2の頃から学校や医療機関等と連携して下準備し、高3の申請時期(8月または9月)までに揃え、その「結果の通知書」で配慮の可否や受けられる配慮内容を確認。9月下旬〜10月上旬に共通テストの出願、配慮事項の再確認等の手続き(場合によっては、「問い合わせ大学」と打ち合わせ)を踏まえて、1月に共通テストの受験。それから各大学の一般入試等の出願と受験……というのが大まかなスケジュールです。これらは、発達障害のある子にとって、かなり困難なことなのではないでしょうか。実際、昨年度(令和6年)では、配慮ありで共通テストを受けた発達障害のある子は、志願者全体の僅か0.1%でした(令和6年度発達障害区分での受験上の配慮決定者数:507人/共通テストの志願者数:491,914人。大学入試センターHPの公開データを元に筆者算出)。では、どれほど、この3つの申請書類を揃えるのが現実的には難しいことなのか、具体的に詳しくお伝えします。独立行政法人 大学入試センター|令和6年度大学入学共通テスト受験上の配慮決定者数独立行政法人 大学入試センター|共通テスト 志願者数・受験者数等の推移まず、「診断書」について。共通テストの場合、申請には"所定の形式の"医師の診断書が必要です。もちろん、対応する側にも限度があるでしょうし、公的な試験ですから、医学的に客観的な根拠資料を求められるのはやむを得ない部分もあると思います(ただし、法律上、合理的配慮の提供に医師の診断書等は必須ではありません)。ですが、例えば、以下のようなケースでは、受験生が診断書を準備できない、または、申請に間に合わない場合があります。<医療機関の受診に、保護者の理解が得られない>「医師の診断書が必要」となれば、当然、医療機関を受診する必要があります。しかし、高校生が「自分は発達障害かもしれない」と思っても、保護者の理解が得られなければ、未成年が一人で専門の医療機関の受診をするのは困難です。発達障害の診断には、養育者から乳幼児期や小さな頃のエピソードなどの聞き取りを行うことも多く、自治体の子どもの医療費無料化政策なども大抵は高校生は対象外で、診断書の文書料や各種検査も自費となる場合も多く、保護者が協力的でないと難しいでしょう。<医療機関の初診/再診・診断までに時間がかかる>現在、発達障害専門の医師・医療機関の数が十分ではなく、初診までにかなり時間がかかることが多いようです。さらに、発達障害の正確な診断に必要な検査や経過観察などにも時間がかかり、診断書もお願いして即日発行できるとは限りません。うちの長男が小学1年生でASDの診断を受けた時の場合も、予約から初診まで3-4ヶ月待ち、知能検査も事前説明〜結果まで1ヶ月程度かかり、経過観察も含め、診断までに最低半年以上は必要でした。その後の診察も1-3ヶ月に一度、一回10分程度で、必要に応じて予約を取ることは難しかったです。また、児童精神科や発達小児科の診療対象は15歳まで(初診時)のことも多く、初診の時点で15歳以上の子の場合は、主に成人向けの精神科や心療内科等での受診となります。医療機関自体の数は増えるものの専門医は少なく、発達障害に詳しい医師でないと、必要な検査を行ったり、配慮等への意見を詳細に記入するのは難しいかもしれません。「小さな頃、専門病院で診断されたけど、しばらく受診していない」などの場合、再診の予約がすぐに取れない、成人向けの医療機関への移行がスムーズに行かない……などの諸問題が起こる可能性もあります。<グレーゾーン等で、診断名がつかない>「診断書が必要」ならば、当然「その子に診断名があること」が前提でしょう。ところが、「発達障害」はその子の個性と周囲の環境との関係次第で、困難さが強く出たり出なかったりもし、また、思春期から青年期にかけて子どもは不安定になりやすく、次々と直面する課題も変化していきます。診断があっても環境次第であまり支障を感じない場合もあれば、逆に、グレーゾーンで診断がない子でも、例えば、いじめや不登校、虐待やハラスメント、過剰に不安を煽る情報社会の影響など、置かれた環境や直面する課題によっては、いつも以上に困難さが強くなる可能性もあります(そういう子ほど、環境を変えるチャンスを必要としています)。特に、「受験生」は、子どもの心身に大きな負担やプレッシャーが長期的にかかりがちなので、「通常の状態ではない」ことも、十分考慮する必要があると思います。共通テストに限らず、さまざまな場面で「合理的配慮の提供には、医師の診断書を」と線引きされることも多いのですが、このような事情などから、現実的には診断書の提出が難しい子たちもいるのです。次に「状況報告書」について。これは、高校等で受けた配慮について、高校の先生などに具体的に記入してもらう書類です(校長と担任等の記載者の署名が必要)。つまり「申請時期までに高校等での配慮実績が必要」なのです(ちなみに、高校等に在籍していない子の場合は、塾などの教育機関での配慮の状況や、専門家の意見を保護者が記入しても良いようです)。ですから、高3の8月よりの申請時期に間に合うには、高1・高2から遅くとも高3の1学期までに、定期テスト等で試験時間を延長してもらったり、別室で受けたり、拡大した問題用紙を用意してもらったり、あるいは独自の配慮を実施して、それを学校側にも「個別の指導計画」「個別の教育支援計画」等にできるだけ記録してもらう必要があります。……こうしたことにスムーズに対応できる学校は、現状どれだけあるでしょうか。今年(2024年)4月より、通称「障害者差別解消法」が改正され、公立校だけでなく、私立学校等でも合理的配慮の提供は、法的義務となりました。ですから、本来、すべての高校で生徒からの要望があれば、学校側は可能な範囲での合理的配慮を提供する必要があります。ただし、現在、高校には特別支援学級はなく、一部の自治体で通級指導教室の設置が少しずつ増えている……という中で、発達障害対応の知識・経験の豊富な高校の先生は、まだまだ少ないのが現状のようです(大学の教員免許取得の必修科目に特別支援教育が組み込まれたのは2019年度から)。大学入学後は、未診断も含めた障害学生への理解・配慮などもかなり進んでいる印象なので、特に高校時代は「支援のエアポケット」状態にあると思います。そんな中、現実的には、一部の先進的な取り組みをしている国公立高や、発達障害の生徒を積極的に受け入れている私立高等でなければ、大部分の高校で現場の先生方が手探りをしている中、配慮実績を作ることはそんなにスムーズに行かないことも多いでしょう。受験勉強だけでも大変なのに、定期テスト等での配慮を受けるために、根気強く学校側と交渉する必要があるのなら(ここでも「診断書」等が必要な場合も)、受験生の心身の負担は過大になってしまいます。また、高校側が生徒全員に柔軟に対応している、自然な形で配慮している……等の場合も、書面化しなければ「配慮実績」にはなりません。例えば、長男が通っていた私立中高一貫校では、柔軟な教科担任の先生が「課題の提出は、自筆でもワープロでも、どっちでもいいですよ」など、口頭でクラス全員に言ってくれ、発達障害の有無にかかわらず、字を書くのが苦手な子はみんな助かりましたが、それだけでは書類上、実績とはなりません。自然な形で先生がさり気なく配慮してくれても、友だちが板書のノートを写させてくれても、書類に書ける配慮実績にはならないのです。あるいは、例えば「文字が全く読めない訳ではないけど、文章を読むのに少々時間がかかる」などのLDグレーゾーンの子も、例えば、読字ガイド代わりに定規を当てるなど自分でちょっとした工夫をしながら定期テストなどを乗り切ってきた場合でも、同じことを「定規の持参使用」の配慮申請なしに共通テストで行うと、定規の使用は全科目禁止なので「失格」となります。もちろん、不正のないよう持ち物等のチェックを厳しくする必要もあり、「診断書」同様、「配慮実績が必要」という線引きがあるのも理解できます。でも、理解者や周りの教育環境に恵まれているかどうかにかかわらず、共通テストでは、どんな子にも公平・公正に大学入学のチャンスを与えてあげてほしいと私は思います。そして、「配慮申請書」について。基本的な個人情報や希望する配慮等を志願者本人と、保護者・担当教員等(校長・担任等の署名が必要)で相談の上記入する書類です。したがって、当然ながら、受験生自身が受験上の合理的配慮を希望していることが大前提となります(保護者や担任の先生が「よかれ」と思って勝手に申請しないこと)。そのためには、受験生が「自分は発達障害である」と受け容れ、「このような配慮があれば、受験できる」と理解していることが必要です。このように、障害者本人が主体となって配慮等を求め、相手側と建設的な対話をしていく姿勢を「セルフアドボカシー」と言い、理念としては大変素晴らしいのですが、現実的には発達障害のある子が周囲の理解と協力なしに実行するのはハードルが高いように思います。障害受容や自己理解には時間がかかり、特に思春期・青年期の子には「自分だけ特別扱い」などと思う/思われることは、デリケートな問題でもあります。うちの長男も高校時代、クラスメイトに発達障害があると知られることをとても不安に思っていました。なぜなら、発達障害に対する偏見やよくないイメージ、差別的な言葉など、さまざまな情報に囲まれながら、今の子どもたちは育ってきているのが現実だからです。そんな中、「自分は発達障害があるので、共通テストで配慮を受けて受験したい」と、自ら堂々とお願いすることはハードルが高いのではないでしょうか。発達障害をオープンにする人が増えて、世間の理解も合理的配慮も進めば理想的かもしれませんが、それを人一倍多感な高校生に求めるのは酷だと感じます。そして、私には、16〜18才の子が、周囲の協力なしに受験勉強と同時進行で、こうした煩雑な段取りを数年がかりで計画的にこなし、難しい書類の内容を正確に読み取った上で事務作業を粛々と進め、高校・医療機関・志望大学に自ら相談し配慮を求めるコミュニケーション力や根気強く交渉する強靭なメンタル、審査結果次第で短期間に臨機応変に動く力などがあったなら……「本当に発達障害があるのだろうか」と感じてしまいます。多くの「例外的」な受験生に、柔軟な対応を…このような現実の壁に直面する中、そもそも「例外」として扱われがちな発達障害のある子たちから、診断書や配慮実績を準備できない子や、発達障害をオープンにできない子、周囲の協力を得られない子などを、さらに「例外中の例外」として想定していたら、配慮を希望しても実際に申請できる子はごく僅かになってしまいます。障害のある子にも平等に受験機会を確保するのが、合理的配慮実施の本来の目的だと思いますが、実際のところ、人にも環境にも恵まれた"選ばれし子"しか申請できないのでは本末転倒になってしまいます。そして、さらに課題だと思うのが、共通テストでの配慮申請の結果を、大学独自の一般入試等でも合理的配慮実施の可否や配慮内容の判断基準としている大学もあることです(大学独自の申請書類だけで、受験時の合理的配慮が可能な大学もあります)。逆に言えば、共通テストの申請ハードルが下がれば、各大学の入試や、高校での合理的配慮も理解が進んでいくのではないでしょうか。とはいえ、繰り返し述べたように、対応する側にも限度があり、申請には客観的な根拠資料が必要、という事情も理解できます。これを少しでも解決するために、希望者の多い配慮については、すべての受験生に向けて、UD(ユニバーサルデザイン)化や、選択肢を増やす工夫等で全体のハードルを下げて頂けると、診断や障害の有無を問わず、負担が減る子はたくさんいると思います。例えば、大学入試センターでは、令和6年度大学入学共通テストより、配慮が許可された障害のある受験生に配布する「拡大文字問題冊子」のうち、22ポイントの問題冊子では、UD(ユニバーサルデザイン)フォントのゴシック体が使用されています。UDフォントは誰もが読みやすい字体を意識してデザインされており、ディスレクシア等の子でも誤読しにくいようです。このUDゴシック体のフォントを、一般向けのすべての問題冊子でも、使用していただけないでしょうか。独立行政法人 大学入試センター|拡大文字問題冊子のサンプルあるいは、例えば図書館で「どなたでも、ご自由にお使いください」と貸し出している老眼鏡等と同じように、当日の会場入口等でも、必要な受験生は理由を問わず誰でも使えるように、(不正利用できないアナログの)イヤーマフ、リーディングトラッカー、置き型ルーペ等の公認グッズを貸出す……などは、できないでしょうか(障害がなくても、当日急に、過度の緊張や寝不足で音に過敏になったり、文字が見づらくなる子もいるでしょう)。すべての受験生や、困難さが比較的小さめの"多くの「例外的」な受験生"に柔軟に対応することで、より困難さが大きな受験生にも個別に丁寧に対応しやすくなるのではないでしょうか。まずは、発達障害のある受験生の置かれている現実を、みなさんに知っていただければ幸いです。文/大場美鈴(楽々かあさん)(監修:井上先生より)楽々かあさんがご指摘のように、大学入学共通テストの配慮申請に必要となる書類一式を受験生自らが一人で準備するのは難しく、もともとそこまでは想定されていないように思います。しかしながら、大学入学後は多くの大学で合理的配慮申請は基本的にご本人からの申請が必要となります。また、楽々かあさんが指摘されているように、ユニバーサルな受験環境を整えることは必要性も高く現実的だと思います。現状では、発達が気になるお子さんで配慮申請をお考えの場合は、高校入学の時点から高校卒業後の進路を見据えて、保護者の方とお子さんが共に準備を始めることが大切です。共通テストの受験についても、合理的配慮の内容や、申請に必要となる書類などの確認をしておくことをおすすめします。基本的に、高校で合理的配慮を受けている場合に、共通テストでも申請できると考えられます。なお、高校1、2年生の頃は合理的配慮が必要なかったけれど、何かしらの事情で高校3年生から必要になった場合は、その理由も含めて診断などの客観的な証明を求められる可能性があると思います。ユニバーサルな支援を行っている高校に通っている場合は、高校に相談し、「状況報告書」を作成する必要がありますので、早めに相談をしましょう。独立行政法人 大学入試センター|受験上の配慮事項独立行政法人 大学入試センター|受験上の配慮内容前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年08月23日(この記事はAmazonアフィリエイトを含みます)練習ではうまくできるのに本番になると実力を発揮できない子や、ちょっとしたことですぐに落ち込んでしまう子に対して、「もっと精神的な強さを身につけてほしい」と願う親御さんは多いのではないでしょうか。繊細さや慎重さはよい面でもありますが、ここぞというときには自分の力を信じて全力を出し切ってほしいですよね。今回は、「子どものメンタルを強化する方法」をテーマに、専門家やメンタルトレーナーのアドバイスを参考に解決法を考えていきます。習い事の発表会やスポーツの試合、大事な試験当日など、本番で力を発揮するために日ごろからできる声かけなどもご紹介しますよ。子どものメンタルはトレーニングで鍛えられる!同じ出来事が起こっても、現実を受け止めて自分を鼓舞できる前向きな人と、とことん落ち込んで「だから自分はダメなんだ」とネガティブに捉える人がいませんか?じつはこの物事の受け取り方の差は「無自覚な思考習慣」にあるのです。その違いについて、一般社団法人全国心理業連合会代表理事を務めるメンタルトレーナーの浮世満理子氏は次のように指摘しています。実は、何か起きた時に「落ち込んでしまう人」というのは、理由がわからずに落ち込んでいることが多いんです。人間の思考パターンとして、わからないことがあると、勝手に悪いことを想像してしまうんですよ。監督が自分のことを嫌っているとか、自分と仲の悪いあいつが活躍しているとか。たとえ「自分の方が下手だから」と気づいても、無理やり他のところに理由をこじつけ始める。このように、理由が明確ではないことを悩んでいる人は本当に多いです。(引用元:サッカーキング|「しんどい時に人の本質が表れる」…メンタルトレーナーがトップアスリートに教える目標設定のコツ)つまり、「落ち込んでしまう人」は不明確な状況で自動的にネガティブな想像をし、本当の原因とは関係ない理由に悩む傾向があるということ。また「人間はプレッシャーがかかると、自分ができないところに意識が向いて、力みが出てしまう」と浮世氏が言うように、思考のクセは無意識です。(カギカッコ内引用元:同上)特に不安を感じやすい子にとっては、プレッシャーを乗り越えるのは容易ではありません。しかし、根本の気質を変えるのは難しくても、対策やトレーニングによって思考のパターンを変えることは可能です。メンタルを強くするためにも、思考のパターンを変えるトレーニングは有効です。これを日常的に取り入れることで、少しずつではありますが、着実に変化が表れるでしょう。次項の6つの方法を参考に、ぜひ実践してみてくださいね。メンタルを鍛えるための「効果的な6つの方法」ここからは、すぐに実践できる簡単なメンタルトレーニングを6つご紹介します。大事な試験の前やスポーツの試合前、習い事の発表会前など緊張が高まる場面はもちろん、友だち付き合いに悩んでいたり、失敗して落ち込んでいたりする時にも応用できますよ。【方法1】「スモールステップクリア」を毎日続ける「自信を失っている状況であれば、確実に達成できる目標にハードルを下げた方がいい」と浮世氏がアドバイスするように、毎日プチ目標を立てて次々と達成していくことを続けてみましょう。「遅刻せずに練習に行く」「元気に挨拶をする」「忘れ物をしない」など、当たり前にできていることでもOKです。このような小さな目標=スモールステップをクリアする日々が続けば、いつの間にか自信がついてきます。すると、「次は少し背伸びした目標設定ができるようになり、難しいことにもチャレンジできるようになる」そうですよ。(カギカッコ内引用元:同上)【方法2】結果よりも「努力したプロセス」をほめるスポーツでも勉強でも、つい結果や成績にばかり目が向いてしまいがちですよね。しかし、スポーツメンタルトレーナーの伴元裕氏は、「『1位になれなくて残念だったね』と声かけをしてしまうと、子どもは『どれだけ努力しても勝たなければムダなのかな……』という思考に陥ってしまうリスクがある」と指摘します。結果を最優先すると、練習などのプロセスが大きなプレッシャーとなり、喜びを感じるのが難しくなってしまいます。そして意欲も低下してしまうのです。そこで、日ごろから「今日のためにしっかり準備していたの見ていたよ」と、努力した姿ほめてあげることで、子どもはプロセスに価値を見出すようになるでしょう。(カギカッコ内引用元:マナビスタ|スポーツメンタルトレーナーに聞く、子どものやる気をぐんと引き出す声かけ【第1回】)【方法3】40秒間、否定せずに子どもの話に耳を傾ける親子での会話に取り入れたいのは、伴氏が提案する「40秒ただひたすら子どもの話に耳を傾け、否定しないようにする」という方法。「40秒の思いやり」とも呼ばれるこの方法は、子ども自身が自分で考えて発した言葉によって気づきを得ることが目的であり、次の3つの点が強化されるそうです。失敗に目を向け、そこから学びやすくなる失敗への恐れが薄れ、挑戦しやすくなる緊張を和らげ、実力発揮が促される大人が期待するような発言は出てこないかもしれませんが、大事なのは発する言葉の中身ではなく、投げかけられた問いに対して返事をするまでの「内省の時間」です。子どもが自分自身と向き合う時間を尊重してあげましょう。(カギカッコ内引用元:同上)【方法4】本番前は「ポジティブな言葉がけ」を心がける習い事の発表会や試験に臨む子どもに向けて、「脅しや嘘ではない、なるべくポジティブな言葉がけが大切」と述べるのは、「励ましの言葉」を意味する「ペップトーク」の第一人者、日本ペップトーク普及協会代表理事の岩﨑由純氏です。本番前に、「ミスしたらダメだよ!」「負けたら〇〇買ってあげないよ!」などネガティブな言葉をかけられると、よりプレッシャーが高まってよい結果につながらないのは明白ですよね。「頑張って練習したんだから大丈夫だよ」「終わったらパフェ食べに行こうね」など、適度にリラックスできるポジティブな言葉をかけてあげるように意識しましょう。(カギカッコ内引用元:STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|子どもの成功も失敗も、親の言葉がけ次第!「ペップトーク」が持つすごい力とは)【方法5】「緊張は味方にできる!」と子どもに教えるどんなにポジティブな気持ちで本番に臨んでいても、本番直前で緊張するのは仕方のないこと。ドキドキが止まらなかったり、汗をかいたり手足が震えたりと、生理的反応を感じたときこそ、「緊張を自分を鼓舞する材料にする。つまり、味方につける」ことの重要性を岩﨑氏は説いています。親や指導者は、はじめて緊張を味わった子どもに、その緊張をしっかり味方にすることを教えることが大切です。「緊張するということは、あなたが本気になった証拠だから大丈夫だよ」「緊張を味方にできたら、練習以上にすごいことができるよ」と声をかけてあげて、緊張をポジティブに変換できるよう導いてあげましょう。(カギカッコ内引用元:STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|本番に強いか弱いかは価値観で決まる。「緊張を味方につける方法」の教え方)【方法6】「得意な科目」や「好きな勉強」を優先させる中学受験などを意識するようになると、親はつい、苦手な教科や点数が低い科目をなんとかしようと焦りがちですが、本人にプレッシャーを与えて逆効果になることもあるため、注意が必要です。そこで、中学受験メンタルトレーニング協会代表の大柳美紗氏がおすすめするのは「好きな科目を優先して伸ばす」こと。大柳氏によれば「得意科目や好きな科目をさらに伸ばすために力を注げば、心が前向きになって自分に自信がついてきます。人よりも得意なものがあると、自信とやる気がグンと上がり、不得意科目への挑戦意欲がわくことも」あると言います。さらに、総合点で合否が決まるような中学受験においては、得意な科目で点数を稼ぐのも作戦のうち。できないことに目を向けるのではなく、本人が好きなことや得意なことを伸ばしてあげましょう。(カギカッコ内引用元:エデュナビ|中学受験で溜まるストレス!実体験で得たメンタルトレーニング)勉強面でのサポートにも効く!超おすすめ “メントレ本”そもそもメンタルトレーニングの目的は、スポーツの世界においては結果を出すことが第一。メンタルトレーナーの清水利生氏は、「自分の実力を上げる『レベルアップ』と、試合で実力を発揮する『ベストエフォート』の両方をサポートすること」がメンタルトレーニングであり、結果が出れば自信がついて、自己肯定感が高まるという相乗効果にも言及しています。自信があるからメンタルが強い、というわけではなく、「メンタルを鍛えれば結果につながり、良い結果が出れば自信がついて自己肯定感も高まる」というわけです。このように、メンタルトレーニングには、スポーツで結果を出すこと以外にも、子どもの将来や日常生活にもよい影響を及ぼす効果が期待できることを清水氏は説いています。最後に、清水氏の著書をご紹介します。スポーツや勉強を通じて子どもに身につけさせたい方はもちろん、勉強面でのサポート、ビジネスシーンにおける部下の育成にも生かせる内容となっています。子どもたちの可能性を最大限に伸ばす方法が満載ですよ!(カギカッコ内引用元:『スポーツの本番に強くなる!子どもメントレ』)『スポーツの本番に強くなる!子どもメントレ』(東洋館出版社|清水利生・著)***メンタルトレーニングと聞くと、専門的で難しい知識が必要であるように感じますが、日常生活のなかでもできることはたくさんあります。ちょっとした言葉がけで、子どものやる気が高まったり、自信がついてチャレンジ精神が育まれたりすることも。メンタルを鍛えて、ポジティブな気持ちをもち続けていれば、大きな困難にぶつかったときもきっと乗り越えられますよ。文/野口燈(参考)サッカーキング|「しんどい時に人の本質が表れる」…メンタルトレーナーがトップアスリートに教える目標設定のコツマナビスタ|スポーツメンタルトレーナーに聞く、子どものやる気をぐんと引き出す声かけ【第1回】マナビスタ|スポーツメンタルトレーナーに聞く、子どものやる気をぐんと引き出す声かけ【第2回】STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|子どもの成功も失敗も、親の言葉がけ次第!「ペップトーク」が持つすごい力とはSTUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|本番に強いか弱いかは価値観で決まる。「緊張を味方につける方法」の教え方エデュナビ|中学受験で溜まるストレス!実体験で得たメンタルトレーニングTOYOKAN BOOKS オンライン|保護者必見!親のサポートで9割決まる︎本番に強い子に育てるスポーツメンタルトレーングとは?
2024年08月20日わが子の就学先、選択のポイントは?進路選択にまつわるコラム子どもの幼児期に発達障害や発達に特性があることが分かった場合、多くの保護者が小学校入学前から悩み始める「わが子の進路」問題。先輩保護者の皆さんが、迷いながらも就学先を決断したポイントはどんなものだったのでしょうか?また、わが子の障害について周囲の理解を得ることに苦労した……という方も。発達ナビライター陣や読者の皆さんから寄せられた体験談をご紹介します。4歳でASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)と診断を受けた息子さん。小学校入学後「特別扱いや配慮はできない」と言われ、小学1年生の2学期に自閉症・情緒障害特別支援学級のある学校へ転校する決断をしました。不安もあったものの、そこで転機が訪れて……。中高一貫校に通う中学2年生の息子さん。幼稚園年中の時にASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。おだやかでおっとりした性格の彼が中学受験にチャレンジしたきっかけ、勉強の様子や進学先選びについて教えていただきました。現在6歳の息子さんは、3歳9ヶ月でDQが80で境界域といわれました。就学相談の結果、小学校では特別支援学級へ就学することを伝えると、実母に反対されてしまい……。小さい頃からの困りが、やがて勉強のつまずきに繋がって……。中高生の勉強にまつわるコラム子どもが成長するにしたがって、困りごとの性質も変わってくるもの。ご紹介するコラムは、小さい頃からの困りごとが、中学生・高校生になった時に勉強のつまずきとして表れたというエピソードです。高校1年生でASD(自閉スペクトラム症)と診断された息子さん。診断の時期が遅かったため、合理的配慮のない中で学校生活を過ごしてきました。中学から勉強につまずき、高校3年生になって就職を目標に頑張ることにしましたが……。寺島ヒロさんの長女・いっちゃんは、小学5年生から中学時代まで不登校でした。発達障害と睡眠障害(非24時間睡眠覚醒症候群)があり、朝決まった時間に登校することが難しかったため、通信制の高校に進学しました。大学受験にチャレンジしたいと決意を新たにしましたが、小学4年生の学習範囲からの遅れはいかんともしがたく……。子どもが「園や学校に行きたくない」きっかけは?行き渋り・不登校にまつわるコラムわが子の行き渋り・不登校にお悩みの方も多いのではないでしょうか。園や学校に行きたくない理由はお子さんによってさまざまですが、発達ナビライターや読者の体験談がお子さんの気持ちを知る手掛かりになるかもしれません。keikoさんの息子・しのくんは発達障害グレーゾーンの男の子です。しのくんが5歳頃、突然保育園に行き渋るようになりました。行き渋りの原因はなんと「ゲーム」?毎朝トイレに立てこもり号泣するしのくんに、keikoさんは「与えるのが早すぎた?」と後悔しますが……。スパ山さんの長女・姉子さんは、小学2年生の時にASD(自閉スペクトラム症)と母子分離不安と診断され、小学4年生の時に知的ボーダー、場面緘黙と医師から言われました。姉子さんの発達の凸凹が分かったきっかけは、小学校に入学したと同時に始まった行き渋りでした。10歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けた息子さんは、現在14歳の中学2年生。小学校、中学校と不登校、行き渋りを経験していますが、不登校の理由はそれぞれの時期で違ったそうで……。ケガをさせて謝罪、受け入れ先なし、家庭内暴力も……他害にまつわるコラムお友達や周囲の人たちを傷つけてしまう「他害」。傷つけてしまった相手への申し訳なさはもちろん、わが子が加害者となったショックで、保護者もつらい気持ちになりますよね。実際にわが子の他害行動に悩んだ連載ライターや読者の体験談をご紹介します。星河ばよさんの息子さんは発達障害グレーゾーンで、現在は中学校の特別支援学級に通っています。小学生の頃は切り替えが苦手で、癇癪を起こすことも多かったそうです。ある日、通っている放課後等デイサービスで大きなトラブルを起こしてしまい……。6歳でADHD(注意欠如多動症)、軽度知的障害(知的発達症)と診断を受けた息子さん。小学校入学後は、癇癪が激しく学校では対応できないと言われ、ごく限られた時間のみ登校するような毎日でした。小学1年生のときADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けた息子さん。小学5年生の終わりから昼夜逆転生活、家庭内暴力が始まりました。中学1年生で不登校になり、ますます生活は荒れ、児童相談所へ相談した結果……。まだまだあります!そのほかのヒットコラムはこちらから!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年08月14日反抗期?自信のなさ?親子で進路についての相談ができないもどかしさUpload By 発達ナビPLUS学校見学なども始まり、進路について話し始めるご家庭も多い時期かと思います。しかし、なかなかお子さんが話し合えないというご家庭もあるかもしれません。お子さんの態度の背景には、反抗期や勉強がうまくいっていない自信のなさや、あるいは登校のリズムが整っていないお子さんの場合、将来について考えることへの不安が関係していることもあります。いずれにしても、進路を考えるうえで大切なのは「お子さんと一緒に決めること」です。どれだけ周囲が「子どものために」と思っても、通い続けるのはお子さん本人であるため、本人の納得なしには通い続けることが難しくなる心配があります。では、なかなかわが子が話し合いに応じてくれない場合はどうすればいいのでしょうか?今回は、実際にお子さんとの進路の話し合いに悩まれたという、発達ナビPLUS会員の保護者Aさんのサポート方法をご紹介します。進路の話しを拒むわが子に募る不安。「今すべきこと」の整理で、確かな一歩を踏み出せた●Aさん(仮名)<お子さん>・中学3年生・SDL(限局性学習症)グレーゾーン※SLD(限局性学習症)は、学習における技能に困難さがみられる発達障害の一つです。読むことやその内容を理解することの困難さ、書くことの困難さ、数の理解や計算をすることの困難さなど大きく3つの分類があります。<お悩み>・書くことに時間がかかり成績悪化・思春期に入ってからコミュニケーションがとりづらくなった・進路についての話し合いを拒否今年中学3年生になる娘は、進路の話題を出すと部屋にこもったり「うるさい!」と反抗し、全く話し合いをしてくれませんでした。本人は医療機関で「SDL(限局性学習症)グレーゾーン」を指摘されており、書くことに特に時間がかかるため、中学1年生あたりから成績も下降気味。勉強に自信がないからか、もしくは進路について不安があるからか……受験の話題を持ち出すとすぐに機嫌が悪くなります。夫に相談しても「本人が困ったらやるようになるんじゃない?」と我関せずの対応。私だけが焦ってばかりで、当の本人には取り付く島もなく、夫も頼りにならない。娘を放っておくわけにもいきませんが、とはいえどのように本人と話したらいいか全く分かりませんでした。Upload By 発達ナビPLUSそんな時に、「専門家に直接子育て相談できる」という発達ナビPLUSのサービスを知り、藁をもすがる気持ちで相談。厳しい回答が来たらどうしようとドキドキしていたのですが、私の不安に寄り添いつつ、とても現実的なアドバイスをいただきました。・進路を話し合う際のポイント・子どもの気持ちを聞くコツ・合理的配慮の求め方など、正直こんなにいろいろ書いてくれるのかと驚いたほどです。なかでも、「進路を話し合う際は、お子さん自身の将来の目標から逆算することが大切」というアドバイスはとても勉強になりました。目の前の受験をどう乗り切るか?だけを考えていて、「娘が将来どうしたいか」「高校で何を学びたいと思っているのか」の視点が抜けていることに気づき、これから何をしたらいいか状況が整理できました。また、肝心の娘との話し合いの方法については、「思春期だからこそ保護者とやり取りすることでうまくいかないこともある。保護者以外の人との相談先を広げることが大切」というアドバイスもありました。家庭だけで何とかするのではなく、外部の人と連携する方法は自分だけでは思いつかなかったと思うので、相談して本当によかったと感じました。Upload By 発達ナビPLUSその後、スクールカウンセラーと娘が面談し、「行きたい高校はあるけど合格できる自信がない」と娘が打ち明けたことから、受験勉強に不安があることが分かりました(やはり、娘は親にはなかなか言い出しにくかったようでした)。全く話し合いができない状況だったので、ここで初めて娘の気持ちを知ることができ、一気に肩の力が抜けたのを覚えています。同時に、アドバイス通りに、学校の先生にも学習についての合理的配慮をお願いしました。先生からは、「これらの配慮が娘さんに合うようであれば、志望校の高校にも、受験や入学後の合理的配慮として求めるよう連携しましょう」と心強い言葉もいただきました。Upload By 発達ナビPLUSそれから、私が学校にいろいろと掛け合っているのを知り、娘もだんだん心を開いてくれるようになって、今では勉強についての不安や愚痴などを吐き出してくれるようになりました。やはり、支援の専門家の先生に相談することで、自分では思いつきもしない解決方法を教えてくれるので、一人で悩んでいないで早めに相談するのが一番いいなと思いました。わが家専用の具体的なアドバイスをいただける機会はそうないので、本当に貴重な機会だと思います。また、心理士や作業療法士(OT)、理学療法士(ST)、大学の教授など、さまざまな専門家の先生が在籍しているので、相談内容に適した専門家が回答をくれるのも魅力です。一般的には、悩みごとにいろいろなカウンセリングを渡り歩くことになると思います。今は受験勉強に向けて頑張っているところですが、今後の高校生活での困りも、発達ナビPLUSや外部機関と一緒に乗り切っていきたいと思います。すきま時間に解説動画を見れる!発達支援の専門家に相談もできる「発達ナビPLUS」発達ナビPLUSは、ご家庭での子育ての「どう対応すればいいのかな?」「誰かに相談したい」といった悩みをオンラインでサポートするサービスです。心理士や学校現場にも詳しい発達支援の専門家が、解説動画やテキスト相談で保護者の子育ての悩みに寄り添います。今、子育てに悩みごとがある方、お子さんの理解を深めてより良い関わり方をしたい方は、ぜひ発達ナビPLUSのサイトをご覧になってみてください。今なら初月3,300円(税込)が0円になるクーポンをプレゼント中!クーポンコード:plus240816有効期限:2024年8月16日23時59分お得な今が試すチャンス!※サイト内で取得できるクーポンコードと異なりますのでご注意ください。こちらに記載の特典をご利用いただくには、入会手続きページにて上記クーポンコードをご入力ください。※入会初月は月額利用料3,300円(税込)が0円 、2か月目以降は月額利用料3,300円(税込)で発達ナビPLUSをご利用いただけます。※本サービスは1年プランです。12か月以内の解約の場合には、契約解除料として残存期間の利用料金の20%が発生いたします。※お問合せはinfo_plus@h-navi.jpまで(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年08月02日二度目の不登校は「学校が怖い」から始まった小学校3年生の三学期から行き渋りが始まった息子は、5年生の時に再登校できるようになったものの、6年生で完全不登校になりました。不登校からの復活を果たしてからの再不登校は、これまでとは全く違うものでした。まず体が動かない、布団から起き上がることもできないのです。4年生の時なら抱き抱えることができましたが、体の大きな息子は6年生になるととっくに私の身長を超えていて、「学校もう無理や!怖い!怖い!」と布団で泣き叫び、為す術がありませんでした。きっと再登校後の無理もあったのでしょう。以前のような「それでも学校に行きたい」という気持ちは消え去り、コロナの感染不安もあいまって、学校はただただ恐怖の対象になってしまいました。Upload By 花森はなだけど進路は待ってくれない…2つの選択肢しかし小学校の最終学年、学校に行けなくても進路だけは何とか決めなければなりません。地元の公立中学校に通うか、特別支援学校に通うか、そのどちらかです。特別支援学校に関しては、不登校になる前に当時の特別支援学級の先生に「特別支援学校を視野に入れてみるのはいかがですか」とおっしゃっていただき、常に頭の片隅にはありました。しかし、息子の希望は「みんなと一緒にいたい」「みんなと同じ中学校に行きたい」で、私もなるべくその意思を尊重したいと思っていました。そして、夏休みに2つの学校に教育相談に行くことになったのです。教育相談とは、子ども、保護者、教員の悩みごとの解決に向けて行われる相談活動のことです。 By 花森はな行って見て分かった公立中学校の現実教育相談は学校を通して申し込みます。まず先に返信が来たのが公立中学校でした。本来は息子を連れて行きたかったのですが、本人の調子が悪く、私と支援担当の先生2人で伺いました。学校の会議室で、特別支援学級のことや授業ではどのような対応をしてくださるのか一通りお聞きしました。「大人の怒鳴る声がつらく、パニックを起こすのですが、その際対応はしていただけるのでしょうか?」「全て必要な指導ですので、怒鳴らないというのは無理です」「学校に登校できた日は教室に行けずに1日支援教室で過ごしているのですが、可能でしょうか?」「不可です。基本的にはそれでも授業に出ていただくか、別室対応になります」この時点でやはり中学校は厳しいと感じていたのですが……。「もし、中学に行くことができたらクラブに入りたいと思っているんですが……」「特別支援学級の子が入れるのは、特別支援学級のクラブだけです。バスケやサッカーなど普通の部活は加配の教員がつけられないため、入部できません。特別支援学級のクラブでは授業でできなかった勉強や課題をやります」中学校でも、小学校と同じように教員不足を肌で感じました。また、不登校担当の先生はいるけれども、できることは電話での登校刺激のみで、本来の業務の隙間にやっているので、期待はしないでほしいということを重ねて言われました。息子にはたぶん、合っていないのではないかなと思いました。Upload By 花森はなここが新しい居場所になってくれたら……2校目は特別支援学校です。今回は息子にもどうしても行ってほしかったので、なんとか連れていくことができました。特別支援学校はまず、入った瞬間から空気が違いました。先生方がみんな笑顔でウエルカムモード。保護者の私でさえ、地元の公立中学校に見学に行った時に感じた疎外感を全く感じず温かく接していただき、第一印象は「大きな特別支援学級みたいだな」と思いました。「クラスは基本的に5〜7人で教員が3人入ります。学習は習熟度に分けてグループを作ります」「もししんどくなった時はどうすれば……」「クールダウンスペースもありますし、休む場所はたくさんあります。教員もつきますので、一人になるようなことは絶対にありません。息子くんのペースで、一緒に考えながらやっていきましょう」先生のお言葉で、ここだ!と思いました。この学校が息子の新たな居場所になってくれたらいいなという気持ちが瞬時に湧き出ました。それは息子も同じだったようで、私や小学校の先生と離れて、別室で特別支援学校の先生と簡単なテストを受けた息子は「僕もここやったら行けるかな」と言ってくれました。ただ、特別支援学校への進学については、次のようなことから悩みました。 特別支援学校の高等部を卒業した場合、特別支援学校高等部卒となり、制度上は大学入学資格は得られます。ですが、実際に希望する大学の受験が可能かどうかは履修単位などの確認が必要になります。 また、息子が通っている小学校から特別支援学校に進学予定の児童はいませんでした。 通学方法も、スクールバス通学か自力通学という選択をしなければならず、クラブに入れるのは自力通学の子のみなので、一人で外に出ることのできない息子はおそらく無理です。それでも笑顔で迎えてくださったこと、拒絶されなかったのが私たちの中でものすごく大きなことでした。Upload By 花森はな最後は自分でしっかりと考えて結論を公立中学校で聞いた話と自分で実際に行ってみた特別支援学校と、自宅でゆっくりと比べてみることにしました。「友達と同じ中学校には行きたい。でも今の自分には無理やと思う。まず制服が着れない」と息子は言いました。ここ数年で感覚過敏がひどくなり、ボタンのある服が一切無理になり、長ズボンも息がしにくくなるという理由で履けなくなっていました。交渉すれば体操服で通うことも可能だったかもしれません。ですが、一つひとつを交渉して勝ち取っていく元気は、私たちにはありませんでした。今の息子を全て受け入れようという姿勢が感じられた特別支援学校に、入学を希望することになりました。こうして特別支援学校中等部に進学した息子でしたが、実際登校できた日数は3年間で1ヶ月くらいでした。ですが、この進路が間違っていたとは思いません。学校に通えなくても、先生方は定期的に家庭訪問をして、息子とたくさん話をし、信頼関係を築いてくれました。特別支援学校高等部には進まず、通信制高校進学を選択した息子のことを応援してくださり、手厚く受験対策までしていただきました。これは公立中学校に進学していたら得られない支援であったと思いますし、今でも深く深く感謝しています。学校に通えないのにこれからのことを考えなければならない、心がしんどい時に人生の大きな選択をしなければならないのは、とても大変なことです。それがたとえどんな進路でも、自分自身で答えを出せたことが一番重要ですし、後悔が残らないように思います。これからも息子の選択を応援し続ける親でありたいです。執筆/花森はな(監修:森先生より)花森さん、お子さんの進路で悩まれていた体験談をありがとうございます。実際、通常学級に通うべきか、特別支援学級・特別支援学校に行くべきかで悩まれる方は少なくありません。地域によって通いやすさにも差がありますし、お子さんの慣れている環境のほうがいいのか、支援体制の整った環境がいいのか、など、どちらが良いとは一概に言えない部分もあり難しい問題ですね。ただ、やはり特別支援学級・特別支援学校では、教職員に発達障害についての理解があり、お子さん一人ひとりの特性に寄り添ったきめ細やかな指導がしやすいというメリットがあります。結局のところ、お子さんが長い学校生活を送る場として大切なのは、お子さん自身が安心して過ごせるかどうかです。お子さんがのびのびと過ごせるかどうか、見学や相談に行って、実際の空気を知ることが一番ではないでしょうか。限られた時間、限られた情報の中で進路を決める必要がありますが、何が正解かは誰にも分かりません。どんな道を選んでも、よかったと思う点もあれば、残念に思う点もあるでしょう。それでも、進路を考える時に、保護者の方がお子さんの気持ちをしっかり考えてくれたこと、不安を受け止めてくれたことは、これからのお子さんの自信につながるのではないでしょうか。これからの人生も、お子さんが自分の気持ちを大切にしながら決断していけるよう、応援しております。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年07月31日大学での「合理的配慮」の広がりは?2021年5月に障害者差別解消法が改正・公布され、2024年4月1日より国公立、私立問わず、大学・短期大学・高等専門学校では以前から禁止されていた「障害者に対する不当な差別的取扱い」に加えて「合理的配慮の提供」も法的に義務付けられることとなりました。ある調査によると大学に在籍する障害のある学生は、2012年度:10,916人から2018年度:30,190人へと2.8倍増加をしているとのことでした。その中で発達障害のある学生数も年々と増加し、2012年度:1,573人から2018年度:5,063人へと3.2倍になっています。(※全学生に占める障害のある学生の割合は2012年度0.4%、2018年度は1.0%と0.6ポイントの上昇にとどまる)Upload By 発達ナビ編集部参考:障害のある学生の修学支援に関する検討会報告(第三次まとめ)|文部科学省参考:障害のある学生等に対する 大学の支援に関する調査|総務省オープンキャンパスの季節!発達障害のある子どもの大学進学のために今できることは?受けられる合理的配慮の具体例なども【専門家に聞きました!】Q:発達障害のある子どもがいます。夏休みに大学のオープンキャンパスに行く予定ですが、見ておくべき点や聞いておくべき点などあれば知りたいです。A:オープンキャンパスでも学生相談の担当の方が参加されていると思います。障害のある学生の支援に関して、専門の相談部門があるかどうか、保健管理センターなどの利用、合理的配慮の相談に関する窓口はどこかなど、確認しておくとよいと思います。また、実習などの卒業要件となっている科目について、その内容や合理的配慮によって基準がクリアできるかどうかなど各専攻やコースの教員に尋ねてみるのもよいと思います。Upload By 発達ナビ編集部Q:発達障害のある生徒は大学でどのような合理的配慮が受けられるのでしょうか?具体例が知りたいです。A:全ての要望に対しての合理的配慮が得られるわけではありませんが・提出物の期限の延長、リマインド・授業中の配布物や板書の撮影・別教室での試験や試験時間の延長・パソコンの使用など、本人の障害の種類や程度に合わせて考えていきます。これらの配慮については本人との話し合いの中で決定されます。Upload By 発達ナビ編集部発達障害の大学生のよくある困り、大学での合理的配慮の取り組み、通信制の大学について知りたい!発達障害の大学生、どんなことに困りやすい?「支援の厚い大学」の見分け方や合理的配慮の具体例、合理的配慮をすることで過保護な保護者に思われないか不安……などの質問、疑問に専門家が回答!中央大学の発達障害学生支援の新たな展開。支援に必要な「連携」をどうつくる?同研究チームの主査を務めた山科満教授に、学生支援の根底にある想いや、具体的な支援事例、支援者の方へのメッセージを伺いました。中央大学で発達の特性がある学生への支援体制の構築と支援のノウハウについての臨床研究を続けている山科満教授へのインタビュー。学生支援の現状や、発達による特性がある学生、保護者の方への願いについて伺いました。発達障害がある学生の相談は年々増加傾向に。障害のある学生の修学や大学生活の困りごとに寄り添い、教職員への支援も行う、東北大学の「学生相談・特別支援センター 特別支援室」の取り組みをインタビューしました。障害のある学生を支援するための教職員向けの研修事業や、各大学などにおける障害のある学生の修学支援に関する実態を把握するための調査などを行っている「日本学生支援機構」。発達障害がある学生への支援データや調査結果、実際の支援事例など気になる情報が満載です。発達障害のあるお子さんの大学選び、「通信制のほうがわが子に合うかもしれない」と思っている保護者の方も多いのではないでしょうか。8万人を超える学生が在籍する通信制の大学「放送大学」学びの特徴と障害学生支援についてお聞きしました。「大学選び」「オープンキャンパス」「合理的配慮」「大学生活」についての連載コラム連載ライターさんたちの「大学選び」「オープンキャンパス」「合理的配慮」「大学生活」などのコラムをまとめました。具体的なエピソードは大学探し、大学生活のヒントになるのではないでしょうか。まだお子さんが小さいご家庭も、将来の進路について考えるきっかけになりそうです。寺島ヒロさんの娘さん、いっちゃんは高校3年生。ASD(自閉スペクトラム症)に加え、非24時間性睡眠覚醒症候群と呼ばれる睡眠障害もあるため、日中登校することが難しく高校は通信制を選びました。大学に進学したいという希望のあるいっちゃんのオープンキャンパス参加エピソードです。発達特性のある次男、ウッシーヤさんは受験にあたり中学生の頃から通っている発達支援施設で助言を受け、県が作成しているテンプレートを活用して「合理的配慮申請書」を提出することに。実際の申請書の写しや合理的配慮の内容など参考になる内容満載です!通信制の高校に通っている寺島ヒロさんの娘さん、いっちゃん。大学進学のために学校外の試験や模試を継続的に受け、対策をするようすすめられたのですが、勉強以前の問題が……!?公立高校の普通科へ通う2年生の娘さん。小学校1年生のときADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けました。義務教育期間はスクールカウンセリングや担任との臨時の個別面談など、手厚い支援がありましたが、高校に入って支援が不足していると感じ……そんな娘さんの高校受験、そして大学を目指す、現在のエピソードです。高校1年生の2学期になって、いきなり学力がアップし、同級生たちに追いついた次男ウッシーヤさん。「高校を卒業したら保育科のある大学に進学したい」と目標を持ち大学受験にチャレンジしますがまさかの手続き失敗が起こり……!?私立の中高一貫校に通っていた、寺島ヒロさんの息子さんのタケルさん。今回は高校の進路指導を受けたときのことについて書いていただきました。ASD(自閉スペクトラム症)のある宇樹義子さん。大学に入ると、高校までと一転して自由なぶん、すべてのことを自分で考えて積極的に決めていかなければならず、とても戸惑ったとのことでした。宇樹さんが経験した「大学生活の自由さゆえの困難」とは……。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年07月29日賀藤リサーチ・アンド・アドバイザリー株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役:賀藤 浩徳、以下「当社」)は、『中学生向け起業家マインド育成コース』を、9月以降順次開講することを、お知らせいたします。当社として、初めて中学生以上を対象にしたカリキュラムとなります。賀藤リサーチ・アンド・アドバイザリー株式会社 URL: 送迎つき幼児教室プラスプレジャー URL : 賀藤リサーチ・アンド・アドバイザリー株式会社 ロゴ■『中学生向け起業家マインド育成コース』開講の背景小学校から高校にかけ、生徒たちは確たる答えのある問題を提示され、これに取り組みます。そこでは、記憶や解法の理解が学びのメインとなります。生徒同士でディスカッションし異なる意見を統合したり、確たる答えのない課題を試行錯誤して解決したりする体験は、学生時代にはほとんどないと言っても過言ではありません。その結果、社会に出ても、受け身で、自らの考えに乏しく、周りを巻き込んでいく力に乏しいビジネスパーソンが出来上がります。枠を取っ払って思考し、アイデアを出し、実現に向け働きかけていくというコンピテンシー(行動特性)に乏しいビジネスパーソンが多数生み出されるということです。そうした中、時代はVUCAの時代に突入しており、今後ますます不確実性が高まることが予想されます。行動力、コミュニケーション力、課題発見力・解決力等のある人材への社会のニーズが飛躍的に高まることは必然です。ただし、こうした人材の輩出は、前述のとおり、現在の学校教育では限界があると考えられます。そこで、今、学生に対する起業家マインドの育成教育が脚光を浴びているのです。起業家マインドとは、まさに、行動力、コミュニケーション力、課題発見力・解決力などの諸能力を指すからです。当社は、“送迎つき幼児教室プラスプレジャー” および “こども英語教室EN Campus”を運営しており、幼児・こどもの教育には定評がありますが、小学校受験や中学校受験を前提としたこれら教室における教育が、必ずしも前述の起業家マインド育成に繋がるとまでは考えておりません。そこで、この度、当社としては初めてとなる中学生以上を対象とした起業家マインド育成コースを、新たに開講する運びとなりました。■当社の『中学生向け起業家マインド育成コース』開講の考え方当社では、「起業家マインド育成コース」については、幼児や小学校低学年に適用するのは難があると考えております。起業家マインドの重要な特性を身に付けるには、その前提となる基礎能力がまだ十分に備わっていないからです。幼児や小学校低学年まで起業家育成コースの対象としている塾も多いですが、当社は、それは相応しくないと判断しました。世の中の仕組みが相応に理解できてくる中学生以上を対象にすべきであると考え、その中でも今回は中学生をターゲットに開講することを決定しました。また、カリキュラムの過半をイベント準備や実施に費やす塾が多い中、当コースは、少人数制・演習型のレッスンの繰り返しで、起業家マインドの知識・スキルを着実に身に付けることを目標としており、これが大きな特徴の一つとなっています。■当コースの募集要項『中学生向け起業家マインド育成コース』の募集要項は、次のとおりです。第1回開講説明会を7月13日に開催しましたが、ご要望が多く、8月3日(土)に第2回目を、Peatixを通じ追加開催する予定です。対象 :中学生(意欲のある方)小学校高学年や高校生は要相談レッスン:全6回、1回100分、全10時間期間 :9月以降順次スタートの予定人数 :7人以下の少人数制料金 :税込44,000円準備 :事前に簡単な課題図書を読了他己紹介のための自己紹介を用意場所 :プラスプレジャーの教室(最寄駅:大崎駅、五反田駅、大崎広小路駅)コース受講風景イメージ■送迎つき幼児教室 プラスプレジャー所在地:東京都品川区大崎5-8-5 グリーンプラザ五反田第2ビル2F特色 :「送迎つき」「少人数制」「個別指導」を3大特色とし、単に問題を解くだけでなく、自ら試行錯誤しながら考え、解決していく学習態度、学習能力を身に付けさせる教育を実施送迎つき幼児教室プラスプレジャー ロゴ■会社概要商号 : 賀藤リサーチ・アンド・アドバイザリー株式会社代表者 : 代表取締役 賀藤 浩徳所在地 : <本社>〒104-0061 東京都中央区銀座7-13-6 サガミビル2F<教育>〒141-0032 東京都品川区大崎5-8-5 グリーンプラザ五反田第2ビル2F設立 : 2021年10月(創立:2013年11月)事業内容: 不動産・金融コンサルティング事業、教育事業URL : (本社、不動産・金融コンサルティング事業) (教育事業「送迎つき幼児教室プラスプレジャー」「こども英語教室EN Campus」「起業家育成関連コース運営」) 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年07月18日地域の小学校からただ一人、遠くの中学校に入学わが家のASD(自閉スペクトラム症)息子タケルは、中学受験をして、少し遠くの静かな山の上の中高一貫校に進学しました。私たちの住んでいた地域では、中学受験は一般的ではなく、小学校からその中学に進学したのもタケルただ一人です。知り合いが一人もいない新しい環境でのスタートとなったため、最初はなかなかクラスに馴染めず、親しい友達をつくることもなかったようです。ただ、本人はあまりそのことを気にしているようではありませんでした。「みんな勉強が好きだから、あんまり余計なことしないんだよ。騒がしくする人もいないし楽だ」と言って、毎朝片道2時間の道のりを喜々として通い続けました。校長先生に「特別扱いはしない」と言われ……入学式で忘れられない出来事がありました。小学生の頃は動きがガチャガチャとしていた息子も、中学に入学するころには1時間ほどであれば大人しく座っていられるようになっていました。滞りなく入学式を終え、会場から出るとき、夫が校長先生を見つけました。「挨拶をしておこう」と夫が言い、追いかけて名前を名乗ると……にこりともせず、「タケル君のご両親ですね。本人から聞きました。発達障害だそうですね」と言われました。そして、障害があるからと言って特別扱いはしないとはっきりと言われてしまいました。校長先生が、既に息子と個別に言葉を交わしていたことにも驚きましたが、その遠慮のない言い方にも驚きました。もしかしたら、障害があることで、既に問題視されていたのか……?せっかく入った学校だけど、すぐやめることになるかもしれないな……と、その時は思ったのですが……Upload By 寺島ヒロ「特別扱いはしない」が、「できる限りのことはする」と言っていただきました。その言葉は本当で、息子が学校で具合が悪くなった時に家まで送ってくれたり、パニックを起こして授業を聞いていなかった時に後日もう一度同じ授業をしてくれたりと、信じられない手厚さで接してくれました。そして、それはほかの生徒さんにも同じだったのです。そういえば、地元の書店で販売されている学校案内には「大事に育てられた子どもを大事に育てる学校」と評されていました。実際に通ってみて、本当にそうだったなと思ったものです。「文字って手で書かなくてもいいんだ!」タケル小説を書くタケルが中学で友達をつくるきっかけとなったのは、趣味で小説を書いている人たちと出会ったことでした。息子はもともと読書が好きで、ライトノベルなどもよく読んでいましたが、自分で文章を書くことには苦手意識を持っていました。しかし、中学に入ってすぐパソコンでレポートをつくる授業があったことをきっかけに、「文字を手で書かなくてもいいんだ!」と気づき、携帯電話でプチプチとショートショート(短い小説)を書くようになりました。どうもそれまで「パソコンで文章を書いていいのは大人だけ」と思っていたようです。うちでは家族の誰もが使っていいパソコンがあり、タケルもブラウザゲームなどはしていたので、なぜそういう思い込みを持ったのかは分かりませんが……。最初は短い文章から始めた息子ですが、少しずつ長い作品にも挑戦するようになり、学校の小説を書いている人たちとも親しくなったようです。すぐにお小遣いをつぎ込み、書くことに特化した「デジタルメモ」を購入、夏休みになるころには「友達と一緒に学校に文芸部をつくる」と言いだし、一緒に活動する仲間とリレー小説を書き始めました。Upload By 寺島ヒロ文芸部をつくる方は人数が集まらず頓挫しましたが、リレー小説の方は高校を卒業するまで続きました。この経験を通じて、息子は文章を書くことだけでなく、他人と協力して何かをすることの面白さを知ることができたように思います。その時の友達とは今でも親交があり、時折チャットなどで話している様子を見かけます。ラッキーが重なった中学、高校時代息子が通っていた中高一貫校は、難関大学を目指す生徒が多く在籍している学校であり、生徒の保護者にも医療従事者や教育関係者が多く、比較的「発達障害」についての知識や理解を得やすい環境でした。私としては、「このまま小学校と同じ校区の中学校に通ってもタケルの好きな勉強はできないだろうから、本人がやる気なら受験してみればいいだろう。辞めることになってもそれで元々だ」ぐらいの感覚で受けた学校で、全てを意図していたわけではありませんでしたが、結果的には大変良い選択になりました。息子が迷惑をかけたり、また余分な仕事が増えたという先生方もいらっしゃったことでしょう。周囲で息子の成長を支えてくださった皆さんには、もう100回土下座しても足りません。偶然と教育環境に恵まれ、息子は幸せな学校生活を送ることができたと思います。執筆/寺島ヒロ(監修:鈴木先生より)知的障害のないASD(自閉スペクトラム症)のお子さんの場合、中学受験で中高一貫校に入るケースもよく見られます。また、知的障害がない場合診断が出ていないお子さんもいるでしょう。学校の方針とお子さんの相性が合えば、学力も伸びて希望の大学に進み、希望の仕事に就ける可能性があります。一方で、ASDの特性などによって、職場が合わない環境の場合には苦労する可能性もあります。上司や同僚など、周りの人的な環境が今後重要になってきます。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年07月11日青春は勉強に費やして。勉強ができてもトラウマに大学受験当時、私の発達障害に気づく人は誰もいませんでした。学校の成績も良かったため、私自身も含め誰もが「宇樹は難関大学に入ってエリートになるべき」と信じていて、かかっていたプレッシャーは相当なものでした。親は「勉強しろ」と直接的な言い回しこそしなかったものの、「学生の本分は勉強だ」「お前が勉強に集中できるように」とよく言っていました。家事の手伝いなどを免除するから、その時間を勉強に回すべきという雰囲気だったのです。自分にとって長時間の通学も含んだ学校生活だけでも疲労困憊するということも、自分がたとえ疲れていなくても比較的長時間の睡眠が必要だということも知らなかった当時。私はプレッシャーにせきたてられるまま、自分の体力の3倍ぐらいの無理を重ねました。青春らしい経験もいっさい重ねることなく、すべての時間を勉強に使ったのです。毎朝5時半に起きて2時間の通学をし、16時ぐらいに学校が終わるとゼイゼイするほどダッシュして電車に飛び乗って予備校へ。途中で、昼の分と合わせて2個持ってきた夜の分のお弁当を食べながら22時半ぐらいまで予備校の授業を受ける。23時過ぎに帰ってくると短時間でお風呂を済ませ、夜中の1時ぐらいまで船を漕ぎながら予備校の復習。そうしてようやく就寝、睡眠時間は4時間半あればいいほう、という感じでした。勉強=身体を壊すほどの疲れに耐えること になってしまった慢性的に過労状態だった私は、いつも耳鳴りがしていて、顔はニキビだらけ、顔は真っ赤にのぼせて手足は氷のように冷たく、歩きながらでも意識が落ちてしまいそうなほどに眠かった……。自律神経が悲鳴を上げていたと思います。そして、高校3年の10月頃、私はついに激しい腹痛と血便血尿を起こして倒れました。過労による腸炎と腎盂炎との診断で、1ヶ月ほど寝込むことに。なんとか持ち直した私は、学校が休みに入った受験直前には、食事やトイレの暇も秒単位で惜しむようにして時間を捻出し、毎日16時間の勉強をして、有名難関私大に合格しました。受験が終わった瞬間、私はプツリと糸が切れたかのように、何もかもやる気がなくなってしまいました。バーンアウトです。大学が始まっても、一度深刻に壊れてしまった心身は回復することはなく、せっかくあれほど努力して入った大学の授業にまったく身が入らないまま、漫然と4年間を過ごしました。それ以来、何十年といった単位で、私は「勉強」がダメになってしまいました。資格試験だとか、キャリアのためとか、そういったもののために勉強しようとすると、自動的に大学受験当時の、全身を300%張り詰めていたモードのスイッチがオンになって、体調が悪くなってしまうのです。もうこれは「勉強トラウマ」のフラッシュバックと言っていいと思います。40代の私、学びは生きがいけれど、私はそれでも、学ぶことは常に楽しんできたと思います。大学受験のためとかキャリアのためとか社会的評価のためとかいった、自分の価値をジャッジされることとは離れたところで、純粋に、知らなかったことを知る営みとして。「勉強」は訓読みすると「勉(つと)める、強(し)いる」となります。ここから、勉強には「外的にしろ内的にしろ、何か圧力のようなものがあって頑張ること」というようなニュアンスが感じられます。しかし、「学び」の語源は「まねび(真似)」から来ているそうです。先人の考え、知ってきた軌跡を、同じようにたどりながら知識と意識を身に着けていく。そんな「学び」が、私は大好きです。知らなかったことを知ることで、「これはこういうことだったのか!」「これとこれはこんなふうにつながっているのか!」と知的な興奮があったり、「こういうしくみだったのなら仕方ないな」とある種の納得や癒やしがあったり。「では、これをこうすればこれが実現できるのでは?」と、見通しや希望が持てたり。誰に強制されるでもなく、興味の赴くままに学ぶことは、生きるのを楽にしてくれ、また、人生の解像度を上げて、より楽しくしてくれます。勉強せざるをえなかった学校の教科の中でも、私は常に学びを発見してきました。勉強から離れたあとも、宗教学、哲学、心理学、神経科学、言語学……いろいろなことを学んできました。40代になった今、学びは私にとって不可欠なものとなっています。勉強と学び、それぞれ違う魅力がある私にとって勉強は非常につらいものではありましたが、それはあまりに無理を強いられたために極端につらかっただけ。本来勉強は、学びの基礎をつくるものとして不可欠なものだと思っています。たとえば私の場合、英語が読めなければ、英語で資料を探すこともできなかったでしょう。評論用語を知らなければ人文系の本を読んでも意味が分からなかったでしょう。数学が分からなければ心理統計が分からず、理科が分からなければ自律神経の話も理解できなかったでしょう。国語や古文の積み重ねがなければ言語学も分からなかったでしょう。勉強はこうした基礎を示すものだからこそ、大学受験や資格試験で試されるのであって、上手に努力すれば「合格」という比較的短期的に分かりやすい結果に結びつきやすいところは大きな魅力だと思います。学びはその点では短期的に分かりやすい結果に結びつくことは少ないですが、確実に人間性に深みを出してくれるし、そこはまさに人生そのものを充実させてくれる大事な要素だと思っています。人生にとって分かりやすい成果も大事ではありますが、人生を過ごす本体は自分という人間です。私は、つらくてもたくさん勉強をした過去の自分自身に感謝していますし、これからもたゆまぬ学びによって、自分の人間性を深めていきたいと思っています。文/宇樹義子(監修:森先生より)本当によく頑張られたのですね……。100%の限界を超えて力を出し切ってしまい、しばらくの間、燃え尽き症候群(バーンアウト)になってしまったと考えられます。 実は、発達障害の傾向のある方はご自分の疲労に気づきにくく、仕事や勉強に没頭しすぎてしまってエネルギーを出し尽くしてしまうことがあるのです。その結果、適応障害やうつ病になってしまうことも少なくありません。 宇樹さんの「勉強」と「学び」の考察についても、たしかにおっしゃる通りで、読んでいてとても学びになりました。 実は英語でもニュアンスの異なる「study(勉強する)」と「learn(学ぶ)」という2つの表現があります。英語の「study」は、ラテン語の「studium」からきた単語で、「没頭する」という意味を持つそうです。「learn」の語源は「leornian」という単語で、「知識を得る」「習得する」という意味だそうです。 宇樹さんの場合は、「勉強」「study」をしようとすると、健康を害しかねないレベルでご自分の時間・健康・興味のすべてを投入して没頭してしまうのでしょうね。知的な好奇心が旺盛で、常に楽しく興味の向くものを学ばれているとのこと、大変素晴らしいですね。これからも、ご自分の体調に気を配りながら、人生を豊かにするような「学び」を続けていけるように願っております。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年07月02日「将来の夢はない」と言うけれどASD(自閉スペクトラム症)の太郎は現在中学3年生である。高校進学については「分からない」「将来の夢はない」と言っている。しかし、最近変化が見られてきた。高校進学について、まだ「通う高校」が決まっていないためイメージもわいていないようだが、試験で「点数」を取れないと入学できないものだと頭にあるようだ。そう感じたのは、学習への取り組む時間の変化に気づいたからだ。私も同居する祖母も「勉強しなさい」などの強制的な声かけはしないようにしている。しかし、「点数を取れないと、希望する高校があっても入学が難しい」ということはテスト結果を持って帰ってきた時に話の流れで言うことがある。というかその時にしかむしろ言わない(その時がチャンスだとも思っている)。祖母は「太郎ちゃーん、高校に入るには点数が大事ぞー」と言う。太郎は毎回「うん」「そうなん?」「テスト難しい」「分かった」という具合で、表情もあまり変えずにクールに返事をしている。Upload By まゆん学習に取り組む時間の変化今までは自宅での学習の時間は少なくほぼ自由時間としていたが、リフレッシュも必要だろうと私は考えていたので何も言わず過ごしていた。最近は、勉強部屋に引きこもって机に向かう太郎。効率的に学習できているかは別として、なんだかやる気は見えてくる。テスト前になると、特に勉強部屋から出てこない。大好きな駒もほとんど触らない。ひたすら机に向かっている。大丈夫かなあと心配になり、ときどき部屋を覗きに行く。特に環境の調整に気が回らない太郎のために、祖母が空調を気にしてよく見に行ってくれる。Upload By まゆん振り返ると中学2年生の時に担任の先生から…中学2年生の頃から学校の特別支援学級の担任の先生が代わった。先生は2年生の三者面談の頃から太郎に厳しめの言葉を伝えていた。私からしたらやや圧迫気味にも聞こえた。「どういった高校行きたい?」「今の点数どう思っとる?」「点数伸ばさんと、もっとやる気ださんと」と真顔で言っていた。そんな抽象的で圧が感じられる言葉をかけるのは太郎に不向きなのでは?とも思ったり、先生と太郎との関係性が気になったりもした。Upload By まゆんそのまま中学3年生になり、先生もそのまま持ち上がりで担任になった。太郎は家で先生についての不満や不安をもらすことはなかった。つい最近用事があって私が学校に行くことがあった。ちょうど給食が終わって昼休みに入る時間だった。教室を覗くと先生と楽しそうに会話をしている太郎と、先生の自然な笑顔を見ることができた。その時、先生と太郎の関係性が全て見えた気がした。Upload By まゆん先生はときどき学習や生活面で厳しい言葉を言うことがあるようだが、太郎は先生の言葉の真意をどこかでとらえているのかもしれない(きっとそうだ)。だから以前よりも勉強に取り組むようになったのだろう。先生のような関わり、私とは違う人との関わり方も太郎には必要で、全てが社会的な学習に繋がっているのだとあらためて思った。あとがき幼い頃から太郎の特性について悩んでそのまま何も行動できていなかったら、今頃私と太郎はどうなっていただろうかとも最近思うことがあります。太郎と私の関係もぐちゃぐちゃで家庭が崩壊、親子関係も崩壊していたのでは……と。今穏やかに過ごせているのは、さまざまなサポートを受けることができているから。そして、太郎の持ったあたたかい個性のおかげだと思っています。高校進学へ向けて太郎、頑張っています。執筆/まゆん(監修:初川先生より)中学3年生になった太郎くんが高校受験というものを漠然とではあれ捉えて、準備をしている様子、そして担任の先生との関係性、そこから振り返ったこれまでの歴史についてシェアをありがとうございます。多くの子にとっては、高校受験が人生初の受験で、受験とは何かということ、そもそも学校を選ぶということ自体なかなかイメージしづらいかもしれませんね。中学校では、3年間の中で折々に進路に関するアナウンスやガイダンスがなされていると思います。また、担任の先生との三者面談では進路の話題になることが多いでしょう。中学卒業後の進路をどう描くかについては、お子さんの学力や地理的条件(遠い学校まで公共交通機関使って通えるかどうかはそのお子さんによりですね)、そして経済的条件(公立、私立)など、さまざまな検討事項があります。さまざまな視点があるからこそ、どれか1つの視点に偏ることなく、さまざまな視点でぜひ検討していただきたいところです。そのうえで、実際どこを志望するかについては説明会参加、学校公開、個別相談会などを利用して本人にも学校生活をイメージしてもらい、高校側にもお子さんのことを知ってもらいつつ検討できればと思います。また、実際に進路をどう定めるかにかかわらず、前もってできる準備としては学習を定着させておくことやいわゆる内申点を取ることなどがあります。太郎くんが点数を気にするのもその1つで、点数は分かりやすい目安なので頑張りやすくなりますね。定期試験では何が問われるのか、範囲表をもとに提出すべき問題集なども合わせて準備したうえでテストに臨めるとよいでしょう。中学校の評価は客観的で、多くの場合生徒自身にも評価基準が知らされているので目標を持って取り組みやすくはあります。さて、最初に受験が初めてだからこそイメージしづらいと書きましたが、だからこそ、本人が受験や進路についてどう考えているかは折々にしっかり聞いていく必要があります。保護者や周りの大人がやみくもに点数のみ、あるいは偏差値のみに固執してしまうと本人の意志がおいてけぼりになることもあります。なかなかイメージしづらい受験や高校生活だからこそ、今どんな風に捉えているのか、受験で大事そうなことは何だと思うか、といったことを聞きながら、本人に分かる説明と目標共有などができると良いと思います。特別支援学級に在籍しているお子さんだと特別支援学校の高等部に進学するか、普通高校に進学するかなど選択肢がむしろ多岐にわたる場合もあると思います。担任の先生や主任の先生などとの面談を重ね、情報収集をしながらお子さんに合った進路をある程度大人が絞ったうえで、本人に見学や体験をしてもらう場合がよいこともあるでしょう。いずれの場合であれ、三者面談をはじめとする先生方との連携がとても大切になります。太郎くんと担任の先生との関係がよさそうで何よりです。太郎くんの得意不得意などをよく知る先生はきっと一緒に進路について考えてくださるパートナーになりますね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年07月01日オンライン大学進学塾を経営する株式会社ポラリス(本社:大阪市中央区、代表:吉村 暢浩)は、大学受験を控える受験生が陥るスランプ中の悩みを相談できるオンライン保健室を2024年7月1日(月)から設置します。ポラリス講師陣【悩みがあっても助けを求める場所がない】高校生のうつ症状が増加し自殺者も増えています。警察庁のデータによると、22年の小中高校生の自殺者数は514人。統計のある1980年以来過去最多となっています。その7割近くを占めているのが高校生で354人。悩みの多くは「学業不振」や「進路に関する悩み」です。出典:警察庁「令和5年中における自殺の状況」 Z世代はSNSやオンラインコミュニケーションが主流の中で育ってきたため、その多くがリアルな人間関係の構築にストレスを感じると言われます。悩みを誰かに話すなどストレス解消法が分からない生徒が多く、悩みを話す環境作りが課題となっています。【ネガティブな相談で講師自身が病んでしまう】当塾でも「勉強に集中できない」「成績が思うように上がらない」など、スランプ状態に陥る生徒が少なくありません。大学受験を控える学生は誰でも、大きな不安によりメンタルが不安定になりがちです。ひどいケースになると、ストレスを発散するために髪の毛を抜くなどの自傷行為を繰り返す生徒もいます。生徒からは学校や友達には相談しづらい、家族に話しても受験のことはわからないから話せないなどの声があがります。個別に話せるプライベート感から、受講中に当塾の講師に悩みを話す生徒は少なくありません。講師も不安なく勉強に打ち込んで欲しいと積極的に相談に乗りますが、メンタルケアに時間がかかりすぎると勉強の内容へ移れなくなります。また、生徒に真剣に向き合うことで、ネガティブな発言に講師自身が病んでしまうことが起きてきました。【気軽に相談できる環境づくりを大切にしたい】そこで、当塾生では受験に関する悩みを話すことが出来る、オンライン保健室を設置することにしました。専門のカウンセラーが、悩んでいる生徒たちに寄り添ってサポートします。カウンセラーは塾の講師も兼ねているので学生の受験に関する悩みについてよく理解ができます。保健室では、まずは現状の悩みをよく聞き出します。その上で、どういう状態になれば解決と言えるのかゴールを一緒に決めます。あとは解決に向けて必要に応じて話し合いをしていきます。当塾の生徒なら誰でも利用が可能です。代表のメッセージ「気軽に相談できる環境づくりを大切にしたいと思っています。受験勉強にスランプはつきものですが、そこを早く抜け出して勉強に集中できるようサポートしていきます。」受験生が陥るスランプ中の悩みを相談できるオンライン保健室を2024年7月1日から設置します。■「オンライン保健室」概要提供開始日 :2024年7月1日~受付時間 :24時間受付対象者 :当社運営塾生 全員料金 :無料サービス内容:・受験や勉学に関する悩みのオンライン相談・専門カウンセラーによるサポート【会社概要】会社名 : 株式会社ポラリス代表 : 吉村 暢浩本社 : 〒542-0076 大阪市中央区難波5-1-60 なんばスカイオ27階 WeWork内事業内容: 受験コンサルティング・コーチング事業URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年06月26日学校は毎日行くところ?うちの息子タケル(ASD:自閉スペクトラム症)は、小学校に上がってしばらくすると、登校渋りをするようになりました。「何が嫌なの?」と聞いてみても理由を言うわけでもないのです。学校で何か嫌な出来事があったとか、ほかに行きたいところがあるとかもない、ただ「今日はお家がいい」と言うだけでした。Upload By 寺島ヒロ当時はまだ発達障害だとは分かっていませんでしたが、前々から少し年齢より幼いところがある子だと思っていたので「学校は毎日行かなきゃいけないところだって分かってないのかな?」と考え、私はあまり厳しく「学校に行け」とは言いませんでした。というのも、当時のタケルは、登校させたとしても帰りたくなるとすぐ学校を脱走して帰ってきてしまう子だったのです。帰り道で迷子になることもしょっちゅうだったので、それぐらいなら家にいたほうが安全だと思っていました。学校の先生は登校させてくれと言うけれど…始めの頃、学校の先生方には、とにかく学校へ来させてくれと言われました。学校に来れば指導ができる、でも家庭までは介入できないからとのことでした。私もできれば登校させたいとは思っていましたが、タケルが動かないときにはどうしようもありません。また、当時は先生方にも発達障害についてはそれほど知られてなく「起きられない、身体が動かない」と言っても、具体的にどういう状況なのか想像してもらうことは難しかったかなと思います。まさに学校とのすれ違い期でした。些細なことでも「行きたくなくなった…」と体調が悪くもなく、するっと起きられた時でも、些細なことで「行きたくない」と言い出すことがありました。靴下がうまく履けない、不快な音がした、窓の外を犬が通ったなど……私たちには些細なことですが、タケルにとっては一大事。「もう行きたくなくなった」と言って脱力してしまいます。仕方がないので「よいしょ」と立たせて身支度を手伝い、学校のそばまで車で運んで、時には先生に車まで迎えに来てもらったりして、ようやく登校させるのですが、やはりすぐに「お迎えに来てください」と学校から電話がかかってくるのでした。Upload By 寺島ヒロ成長したら分かるようになると思っていたけど2年生になるとタケルも、小学校は「行かなければならないところ」と認識したようでした。学校の先生方にも「早く寝るんだよ」「遅刻すんなよ!」と声掛けをしてもらい、自分でも「早く寝る!明日はちゃんと行く!」と言うようになりました。しかし……これが全くうまくいかなかったのです。ASD(自閉スペクトラム症)のあるタケルにとって、学校は「うるさくて眩しくて、待たされている時間の長いところ」。何かが良くなったわけではなく、我慢しているだけなので、やがて、朝起きたときに体が動かなくなったり、しくしく泣き始めたりする日が続くようになりました。発達障害の診断を受けて通級指導教室へ3年生になるとタケルの身辺に変化が起こりました。それは、3年生になるのと同時ぐらいに発達障害の可能性を考えて通院を始めたこと。そして、4年生から通級指導教室に変更、学校も心理士の先生がいるところに転校したことです。通級指導教室の先生は、タケルの「小学校の環境が苦手」であることを理解してくれて、通常学級にいてつらくなった時はいつでも「通級の教室に来ていいよ」と言ってくれました。学校の中に逃げ場を得たタケルは、学校から脱走しなくなり、朝も体調が悪くない限りは進んで登校するようになりました。山の上の静かな中学校へ通級指導教室の先生やスタッフさんのおかげで学校に行けるようになったタケル。しかし、学校がタケルにとって不快な場所であることは変わりませんでした。大きな変化があったのは、タケルの希望で中学受験をすることになり受験塾に行くようになってから、そして受験に合格し中学に進んでからです。小学6年生になってから、タケルは3ヶ月だけ地元の受験塾に通うことになりました。通い始めてすぐ「もっと授業入れて!週7日でもいいよ!」と言いだしたタケル。塾の環境を大変気に入った様子でした。本人が言うには、「学校と違って静かだから」「行くのが夜なので外がまぶしくない」「みんな一緒じゃなくて終わったら次の課題がどんどんもらえるから退屈にならない」とのこと。そう!ついにタケルは、自力で学校に行くのが嫌になる原因を突き止めたのです!「なるほど、そうだったのか!」と進学先に選んだ中学校は、少人数制の中高一貫校。校舎も深い緑に包まれた山の中。学校はタケルにとって「静かに自分のペースで勉強するところ」となり、今までと比べものにならないほどストレスが少なくなりました。Upload By 寺島ヒロ特に「合理的配慮」とか「障害支援」を謳っている学校ではなかったのですが、明る過ぎるのが苦手なタケルのために、席替えの時にはいつも外の光が直接入りにくい、眩しさに耐えられる程度の明るさの席を選ばせてもらえたそうです。朝身体が動かないことは中学生になっても変わらなかったので、遅刻はそれなりに多かったのですが、この学校では比較的落ち着いた学校生活を送ることができました。何が原因なのか本人には分からないことも...タケルが登校渋りをしていた当時、タケルにASD(自閉スペクトラム症)があることはまだ分かっておらず、眩しさや音で非常にストレスを感じる「感覚過敏」も、私たち親は知りませんでした。タケル自身も、快適な環境を手に入れて初めて「うるさかったんだ!」「眩しかったんだ!」と気が付いたようです。ずっと「何が原因なのか分からないが学校に行くと頭がむにゃむにゃする」という状態だったのです。そりゃあ「何が嫌なの?」と聞いても、理由が出て来るわけないよなあ、と、当時を振り返って思うのでした。執筆/寺島ヒロ(監修:室伏先生より)タケルくんの登校渋りのご様子について詳しく共有くださり、ありがとうございました。定型発達のお子さんでも、ご自身の感覚、感情を表現するというのは難しいこともあります。特に、ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんは、自身の気持ちや感じていること、状況などを言語化することが苦手なことが少なくありませんし、困りごとが周囲の人から想像、理解してもらえないことも多いようです。タケルくん、ストレスの多い環境でも頑張って通学されていたのですね、頑張られましたね。通学習慣をつけるためにも大事な小学校低学年の時期、学校に行きたくないというお子さんを休ませてもいいのかどうか、迷われたり、不安になられる親御さんも少なくないと思います。行きたくないといいつつも、頑張って通学を続けていくうちに困りごとが薄れてくることもありますし、頑張って通学を継続したことが自信に繋がることもあります。一方で、行きたくないという訴えが、身体や心の重大なSOSのこともあります。環境の調整や困りごとへの対策ができて、学校での生活がより快適に、楽しくなれば一番よいのですが、それが難しい場合には、通学を促すだけでなく、休むということが必要なお子さんもいらっしゃいます。例えば、お子さんと相談して、フル参加すると疲れ過ぎてしまうから、週の一部はお休みするという対策をとっているご家庭もあります。行き渋りへの対応、環境調整、困りごとへの対策、いずれも特性の理解が助けになることも少なくないと思いますので、スクールカウンセラーや、発達に関する自治体の相談窓口、医療機関などへのご相談を検討してみてください。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年06月03日高校から推薦をいただき、大学受験へ!発達支援施設からの助言で県の合理的配慮の申請テンプレートを活用Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイわが家は母である私・ワッシーナを筆頭に、家族全員が個性いろいろで、発達に特性があるタイプです。今から7年前、高校3年生の次男ウッシーヤは、子どもの頃からの夢だった保育士になるために、地元の大学を受験しました。大学の受験にあたり、ウッシーヤが通っていたインターナショナルスクールから学園長の推薦を受けることができました。また、ウッシーヤが中学生の頃から通っている発達支援施設で助言を受け、県が作成しているテンプレートを活用して「合理的配慮申請書」を提出することにしました。Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイしかし、申請書の記載内容に加えて、さらに詳細に支援希望を伝える必要があると考え、以下の内容を記した別紙も用意しました。申し出内容・社会的スキル指導・修学上の配慮(演習科目について先の見通しを明示してほしい。一度に多くの課題や作業工程を与えず、全体の見通しを示し、メモなどで段階的にやるべきことを指示してほしい)・定期的なカウンセリング・整理整頓の補助・授業中のサポート(気が散りやすく、ノートをとることが難しいため)・休憩室の確保・補習、補講の提供・スケジュール管理サポート(レポート作成提出物等の声掛けなど)・進路指導・休講や諸行事など、履修時に関する重要な情報の提供(各教員から学生支援課へ連絡を受けたら、学生支援課から本人へ伝達)・支援生による過去問収集や定期試験の時間割作成のサポート・修学支援やレポート提出支援のためのチューター確保・月一回程度のメールを使用した家庭への報告・レポート、宿題等、連絡事項の書面化・教室の調整(空調やトイレの近さなど)・試験時の配慮(別室にて通常の1.3倍に試験時間で対応)このように、ウッシーヤが大学で学ぶために必要と思える支援を思いつく限り書き出して、大学に提出しました。大学側は希望以上の体制で対応!不安だった学習面は家庭と学校の両面で支援Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイその後ウッシーヤは試験に合格し、大学に入学しました。大学では、わが家が希望した以上の手厚い支援を行ってくれました。学内では、チームをつくって対応していただきました。①事前に講義レジメをメールでいただき、受講前に目を通して講義に備えた②同じクラスの社会人学生(親子ほど年齢が違う方)がサポート担当に③毎週1回、担任教授が学生たちに呼びかけてサポートチームを用意。教授とチームの学生たちとで、さりげなく一緒にランチをとってくれて、本人の困りに寄り添ってくれた④講義中やテスト中は耳栓の使用を許可された⑤試験は10分延長かつ別室で対応⑥担当教授の気づきがあれば、その都度、保護者とメールで報告また家庭ではプロライターである夫ラクマが、提出するレポートをチェックし、書き方のアドバイスを行いました。学内や実習先で本人の特性説明を発表した際につくった原稿を一部紹介私たちは、ウッシーヤが大学や研修先に最初に行く時、自分の特性を説明できるように、あらかじめ原稿を用意していました。原稿の内容を一部ご紹介します。「僕は発達障害という目に見えない個性を持っています。性格とよく間違われるんですが、心ではなく脳のつくりがスペシャルなのです。大きな特徴は次の3つです。①体質的に感覚が過敏です。②好きなことしかできない気質です。③考えや感じ方がかなりユニークです。・絵・写真・文字・実演で伝えてくれると、とても助かります。『こんなことまで説明しないといけないの』と思うぐらい具体的に細かく説明してもらえるとうれしいです。●自由回答の質問は、ときどき頭のなかで迷子になるので、その時は選択肢を準備してもらえると助かります。例えば、『この質問はYesかNoで答えるんだよ』とか『この質問は、この範囲のなかから答えるんだよ』と言ってもらえるとナビのように目的に焦点を合わせることができて、とんでもなく見当違いな答え方をし、皆さんを迷わせなくてすみますので助かります。●急な予定変更も頭のなかで迷子になるので、事前に予告してもらえると助かります。不思議に思われるでしょうが、好きなことは平気な場合があります。●何か迷惑や間違ったことをした場合、『ダメ!』だけでなく、してほしいことを『こういうときは、こうするんだよ』と具体的に単純明快に言ってもらえると助かります。例えば『この場合のお辞儀は、頭を3秒下げるんだよ』とか具体的に教えてください。●困っているという自覚もあまりないです。困って固まっていても表情に出にくいので怒って無視しているように見える場合があります。●集中しすぎて返事ができないときがあります。そのときは机や肩を叩いてくれると助かります。●感覚過敏があります。体質的に音や光・におい・温度・肌触りなど苦手な感覚がいろいろありますが、特に音と人混みが苦手です。長い時間、うるさい環境のなかにいると拒絶反応を起こしてイライラしてしまいます。その場合は、静かな場所やガムなどを食べるとおさまります。でも、あまり自覚症状がないため、自分でも気づかないでイライラしたりします。そんなときにお気づきになった方は、声をかけてくれると助かります。以上の工夫は、僕にとっては視力が弱い方のメガネのように、僕にとってはなくてはならないメガネです。足の不自由な方が車椅子を使うことと同じことです。うまく工夫できず、皆さんに迷惑をかけるかもしれませんが、いろいろなメガネを工夫して使いこなせるよう努力していきますので、これからもよろしくお願いします。」ボランティア研修でも台本が大活躍、家庭内で練習を繰り返し本番に臨むUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイボランティア研修に行った際も、電話でのアポイントから面接時の受け答え、研修先でのあいさつまで、事細かに台本を用意して、家庭内で練習を繰り返しました。このような工夫の効果もあって、ウッシーヤは無事に大学を卒業しました。学生時代にボランティア研修で実務経験を重ねてきた結果、現在は夢をかなえ、保育士としていきいきと働いています。最後に、ボランティア研修の採用面接の時にウッシーヤが話した内容を紹介します。アルバイトの面接などで伝え方の参考になれば幸いです。「私は中学生の時に専門家からアスペルガー症候群と告知されました。そのため、どうしても苦手なことがあります。曖昧なイメージだけで作業を指示されるとよく理解できないところがあります。でも、具体的に何をどれくらい、いつまでに、というふうに、数量とか、時間とかを具体的に指示していただければ理解できて動くことができます。あるいは、やるべきことをメモ書きしたり、見本をやってくださると、すんなり理解できることが多いです。よく伝わらないことがあっても、やる気はしっかりありますので、どうかご理解をお願いします。それでは、これから一生懸命がんばりますのでご指導よろしくお願いします。」※アスペルガー症候群は現在ASD(自閉スペクトラム症)と呼ばれています。執筆/ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ(監修:井上先生より)発達障害の診断のある学生の場合には、大学においても合理的配慮を受けることができます。大学での合理的配慮がそれまでの合理的配慮と異なる点は、成人としての扱いを受けるために本人からの申し出である旨が重視されるようになることです。このため、保護者の方の希望だけでは合理的配慮の決定ができないことに注意していく必要があります。ウッシーヤさんのように、支援ニーズのリストから本人が自分にとって必要な支援を具体的に絞り込んでいくこと、可能であればそれを説明できることが理想です。また大学の規模や体制、外部実習先の状況に応じて、実際に行っていく合理的配慮は異なってくる場合もあります。最初から本人の支援ニーズにぴったり合わせた合理的配慮は得られない場合もあるかもしれませんが、あきらめずに話し合いやトライ&エラーを重ねていくことで、最終的に本人に合った合理的配慮に近づいていくと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年05月28日ゆるっと性教育
こどもと見つけた小さな発見日誌
良妻賢母になるまでは。