Be inspired!がお届けする新着記事一覧 (10/30)
WHAT’S GOODーオススメの一品を教えてください。やっぱりカップケーキですね。このカップケーキにうちのやりたいことが全部詰まっていると思います。Photo by BROWN SUGAR 1ST. TOKYO ORGANICーこのカップケーキ、フードロスの問題とも結びついているとお聞きしたのですが…はい、そうなんです。「わが子に食べさせたいかどうか?」という視点でやっていると、未来の「食」についても想像するようになって、フードロス(食べものをムダに大量に棄てる社会)も子供たちの未来に残したくないと思ったんです。 卸売事業の中でフードロスが出る原因は本当に様々です。例えば、賞味期限には3分の1ルールというものがあって、製造日から賞味期限までの期間を3分割して、納入は3分の2まで、販売は3分の1までって決まっているんです。そうすると、賞味期限が十分に残っていて、まだまだ食べられるのに、サプライチェーンの流れに乗せられず、販売ができなくなってしまう。また流通面では、賞味期限が1日でも前後したら倉庫に入れないロジスティックのルールがあるんです。コンテナだから1万本とかっていう大量の商品を処分しないといけなくなったりするんです。あとは、ラベルのちょっとした汚れや、パッケージの凹みとか、中身は変わらないけど、買っていただけない場合もあります。 このカップケーキは、そんな、まだ十分食べたり使ったりできるけど普通の流通には乗せられなくなってしまった商品を、優先的に使って作っています。 …と、たくさん話しましたが、こういう想いを敢えて店頭で打ち出したりはしていません。単純に、おやつって甘くて美味しくて楽しくて気分が上がるじゃないですか。まずは可愛くて美味しくて幸せになる。それでいい。多くを語りすぎず、でも実はこだわっているよって。それをこのカップケーキは体現してくれてる。もう本当に大好きです(笑)。ー商品のほうのコンセプトはいかがですか。商品のコンセプトは「ジャンクオーガニック」と「ギルトフリー(罪悪感なし)」(笑)。見た目はジャンクで、食べた感じもちゃんと甘いけど、中身はちゃんとしている。最近、コールドプレスジュースやファスティングなど「ガマンする」ものが流行っているけど私は絶対ガマンしたくない(笑)。だって食べることって喜びだから。でも作り上げるのはどの商品も本当に大変です。香料を使わずにバナナやベリーの味を出すのってすごく難しいですし、先ほどお話しした「甘み」も、砂糖やキビ砂糖を使ったほうが安くできますからね。ショーケースに置いてあるドレッシングも増粘剤や乳化剤、化学調味料などの人工合成添加物を一切使っていないのですが、工場でドレッシングを作ると、普通、甘味料や増粘剤などがどうしても入ってしまう。何度も何度も粘り強くレシピのやりとりをして、ようやく出来上がった商品のひとつですね。おやつはガマンしたくない。味も妥協したくない。でも、できることなら、体に優しく、地球にも優しい物を選びたい。そんなあなたに、ぜひ一度足を運んでみてほしいお店。そして、楽しく美味しく、ワクワクしながら社会を変えようとしているBROWN SUGAR 1ST.さんの今後の展開も大注目です!来週の『TOKYO GOOD FOOD』もお楽しみに!***BROWN SUGAR 1ST. TOKYO ORGANIC(ブラウンシュガーファースト トウキョウオーガニック)Online Shop|Facebook|Instagram#食べ物を棄てない日本計画Address:東京都渋谷区神宮前3-28-8 1FTell:03-3478-6130営業日:10:00~18:00(年末年始のみ休業)
2017年11月16日海南島よりこんにちは、カミーユ綾香です。海南島は中国のハワイと呼ばれているリゾート地で、常夏の島です。空も海も花も美しく、夏用ワンピースで街を歩きながら、生まれて初めてココナッツのジュースを飲みました。すごくまずかったです。なんてお洒落でまずいのだろうと、感動しました。男と女の二択という退屈で古い考え方は、やめよう。性別を超越して相手を見るって、大事だと思います。ダッチワイフと泳ぐなんていう狂った発想は、肉体の性別を凌駕した精神から生まれているものです。そういう私の精神を、無理やり女性という肉体の枠に入れ込まないで欲しい。少なくとも私は友情のもとに意志表示しているのだから、受け入れて欲しい。 ていうか、シンプルに退屈なのです。男か女の二択なんて。人と繋がるときは、性別なんているカテゴライズは一旦ぶち壊して、まっさらな気持ちでどんな面白いことが出来るのか考えればいいんです。私のダッチと泳ぐという夢は頓挫しましたが、どこかの気合の入った誰が、性別を言及されることなく吉林省の川を泳いでくれることを願うのでありました。
2017年11月16日こんにちは、伶奈です。大学院まで哲学を専攻しちゃったわたしが、読者から日常の悩みや社会への疑問、憤りを募り、ぐるぐる考えたことを書き綴る連載の第3弾。一方通行ではなくみんなで協働的に考えられるようにしたいので、時に頷き、突っ込みながら読んでくださると嬉しいです。人間は自由だからこそなにものにでもなれるよ生まれながらにして死刑囚である人間は同時に、何にも規定されていない自由な存在でもあります。「人間は自由の刑に処されている」という有名な言葉を残した哲学者サルトルは、人間は自由だからこそなにものにでもなれるよ、と言ってくれます。優しい。人間は最初は何ものでもない。人間は後になってはじめて人間になるのであり、人間は自らが造ったところのものになるのである。人間の本質は存在しない。その本性を考える神が存在しないからである。人間は、自らそう考えるところのものであるのみならず、自ら望むところのものであり、実存して後に自ら考えるところのもの、実存への飛躍の後に自ら望むところのものであるにすぎない。「ところのもの」が多過ぎて頭が痛くなりそうですが、サルトルが言わんとしていることは、自分で自分の人生を自由にデザインして生きていくしかない、ということです。神みたいな超越的な存在から「あなたの人生はこうだ」みたいな本質を与えられていないからです。だから人間はとても孤独だし、自由と引き換えに全責任を背負わなければいけない。わたしのちっぽけな人生には「あなたはジェダイだ」「人類を救う宿命だ」なんていうシナリオはない。でも、だからこそ人間は、100年間の牢獄の中で、自分の人生を設計できるし、そこに意味や価値を創造していくことも、喜びを見出すこともできるのです。神の前でも、サクラダファミリアの前でも、生の脆さの前でも、わたしは「自分でつくったところのもの」でしかないからです。そして人間は、わたしとあなたと地球と宇宙がいつか消えてしまうというやばすぎる事実に無力さを感じる以上のことができます。わたしたちは、どうしようもない死への恐怖が頭を駆け巡った次の瞬間、お笑いを見ながら爆笑できる。恋をして胸がドキドキしたり、バーゲンでお気に入りのものがゲットできたり、美味しいご飯を食べたり。日常の小さなことに大きな大きな幸せを見つけ、人生の意味を噛みしめることができる。死への恐怖が消えることはないけれど、なにも哲学して賢者になったり悟りを開いたりしなくても、恐怖に人は勝つことができるのです。これが、生きているということの事実だし、人間の偉大さなのだと思います。最後に谷川俊太郎の『質問箱』という本を紹介します。死ぬのがいやだと言う6歳のさえちゃんへの答えです。詩人、すごいなあ。質問どうして、にんげんは死ぬの?さえちゃんは、死ぬのはいやだよ。(追伸:これは娘が実際に母親である私に向かってした質問でした。正直、答に困りました〜)ぼくがさえちゃんのお母さんだったら、「お母さんだって死ぬのはいやだよー」と言いながらさえちゃんをぎゅーっと抱きしめて一緒に泣きます。そのあとで一緒にお茶にします。あのね、お母さん、言葉で問われた質問に、いつも言葉で答える必要はないの。こういう深い問いかけにはアタマだけじゃなく、ココロもカラダも使って答えなくちゃね。 今回のお悩みも一緒に考えてくれたら嬉しいです。意見や批判、感想をお待ちしています。Twitterハッシュタグ「#REINAの哲学の部屋」で。読み込んでいます…
2017年11月15日慢性的な疾患、あるいは生まれつき障害を抱えた人たちが、どのようにセックスと向き合っているか考えたことはあるだろうか?当事者としてかつてセックスライフのあり方に悩みを持ち、現在では性教育者として発信を続けるカーステン・シュルツは、5歳から現在にいたるまでに、さまざまな体の不調を経験している。全身の関節炎、骨格に痛みが出るリウマチ、背骨がゆがむ側湾症、ひざの皿が痛む関節痛を両ひざに、さらには喘息やPTSD、小麦アレルギーや乳製品アレルギーなど、治療に長い期間を必要とする慢性的な疾患と、それにともなうメンタル的なアップダウンの数々。
2017年11月15日「多様性を求める声」がいつの間にか「排外主義」に陥るこのご時世、本当の意味で平和を作るためには何が必要なのか。もちろん暴力ではない。言論だけでは足りない。何か、市井における具体的な行動が必要だ。今回Be inspired!が紹介するのは、20ヵ国以上の人々が共同生活を送る、1973年、栃木県の那須塩原に創立されたアジア学院。そこで教員をつとめる山下 崇(やました たかし)さんは、「平和は食卓から作る」と言う。いったいどういうことだろうか。栃木の片田舎から全国へ。平和を作る達人たちの取り組みについて聞いてみた。真ん中に立ち、指導しているのが山下さん知る人ぞ知る、“草の根の農村指導者”を育成する学校。アジア学院は、「公正で持続可能な社会」を作るための実践的な学び(後述)を提供し続けてきた。来年で創立45周年を迎える学院の卒業生は、現在1300人以上。彼らは世界中に点在しており、そのネットワークは今も広がり続けている。「食卓から平和を作る」とは。アジア学院での実践的な学びの核は、「フードライフ」と呼ばれる、「食べ物といのちは供に切り離すことができない」という理念を体現した毎日の生産作業(フードライフ・ワーク)にある。アジア学院は複数の田畑や家畜小屋を所有しており、ほぼ自給自足(一部の調味料を除く)で運営されているのだが、それらを耕し、育て、収穫し、解体し、再び循環のサイクルに戻すのは学院に関わる全員の役目だ。毎日の生産作業と消費作業を通して、食べものといのちの繋がりを肌で実感する。この時間を全員で共有することが大切なのだと山下さんは言う。みんなで食卓を囲んでいる風景っていうのは、絶対的にピースフルであるとおれは思うんだよね。人間は食べものがなければ、死んでしまうし、気が立って争いを起こしてしまうから。平和を表す象徴的な部分が、この食卓を囲むという風景なんだけれど、さらにそこに至るまでのプロセスをみんなで共有できればもっと良いよね「多様性社会」の実現のために。アジア学院から学ぶ、私たちにできること。現政権が掲げた「2020年までに訪日外国人4000万人」が達成できるのかは置いておいて、近年日本を訪れる外国人の数は爆発的に増えている。(参照元:HUFFPOST)東京や大阪といった大都市はもちろん、地方でもその姿を見かけることがもはや珍しくない。労働人口の減少による外国人労働者の必要性が議論されていることなども含め、島国日本は今、確実に変換期を迎えている。(参照元:YAHOO!ニュース)その中で懸念されていることの一つが文化的摩擦であるが、こればかりはすぐに解決できるものではない。それこそ草の根の地道な活動が必要になる。じゃあ私たちに何ができるのか?とりあえず、「ご飯食べに行こうよ」と言うことぐらいはすぐにできるだろう。これは何も、文化圏の違いに限った話ではない。自分の意見と反対の人を誘ったって良い。日本人の議論下手は指摘されつつあって、確かに議論が平行線を辿ると「この人は私と合わない」という結論に至ってしまう人が多い気がする(自戒を込めて)。でも、一つの意見が食い違うというだけで、その人と私の関係を終わらせてしまうのは違う気がする。そんな時に、「じゃあご飯行こう」と言えるかどうか。そういう選択の積み重ねが、近い将来嫌が応にも訪れるであろう多様性社会で、うまく生きていけるかどうかにつながる。というのは言い過ぎだろうか。少なくとも、アジア学院の理念は世界中に平和の種を蒔き続けている。そろそろ筆者も、その種蒔きに参加してみようと思うのだが、あなたも一緒にどうだろう?***アジア学院
2017年11月14日「ある日鏡を見て自分が醜いと感じてしまうことは、誰にでもある。ひどい下痢をしているからかもしれないし、冬太りしてじゃがいもみたいだからかもしれない」。じゃがいも…。かなり真剣なトーンで少々棘があるこのセリフを言い放ったのはオーストラリアのビジュアルアーティストMiranda Jill Millen(ミランダ・ジル・ミレン)。二重あごセルフィーが大好きな22歳だ。可愛くある必要はない代わりに醜くなればいいじゃない「可愛くある必要はない」「代わりに醜くなればいいじゃない」。ピンク色の上にただそう書かれた彼女の作品。他にも全体的にデブ、ブス、ハゲ…社会で「美しい」とされるものとはかけ離れた特徴がある人が彼女の作品には多い。醜くなればいいって?醜くなりたい人なんているの?どうしてそういう人たちばっかり描くの?彼女のメッセージの真意とはなんなのか。若い社会派アーティストを紹介するBe inspired!の連載「GOOD ART GALLERY」で今回は少しユニークなものの見方を持つミランダ・ジル・ミレンにインタビュー。彼女の考え方、実は自分を好きになるためにとっても大事。ブスでも、デブでも、オッケー。ーまずはじめに、あなた自身について少し教えて?私の名前はミランダ・ジル・ミレン。22歳で、オーストラリアのメルボルンを拠点としているビジュアルアーティスト。私のアートでは絵画やイラスト、陶器などを通して私たちが考えることを避けてしまっている「醜さ」や不完全さについて探っているの。Website::@mirandajillmillenAll illustrations and photos via Miranda Jill MillenText by Noemi MinamiーBe inspired! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!#7 現代人なら笑ってしまう、「人間の滑稽さ」と「テクノロジーの美しさ」を風刺するアーティストの作品たち。| GOOD ART GALLERY VR(仮想現実)やAI(人口知能)などの言葉をニュースで頻繁に聞くようになってしばらく経つ。VRで「よりゲームをリアルに体感できる」とか、AIが将来「人間の職を奪っていく」など...
2017年11月14日精神科医って親しみやすさがない、そんなイメージを持っている人は少なくないだろう。今回取材をさせていただいたのは精神科医の星野 概念(ほしのがいねん)先生。精神科医でありながらミュージシャン、執筆活動などマルチに活躍する先生に、「こころ」への接し方をきく。それは同時にユニークな視点を交えたすべての人への生き方のアドバイスでもある。たとえ心の不調を感じても「自分は行くほどではない」「必要がない」そんな風に考えている人は少なくないだろう。また、カウンセリングを受けることに対して「どんなことを聞かれるのだろう」という不安や、「周囲の人間に病気の人という見方をされたくない」という気持ちから抵抗感を抱いている人もいるかもしれない。しかし、実際は様々な人がそれぞれの目的で利用しているということが分かる。「よく分かんないけど最近落ち込んでる」「イケてない」みたいなことをそのまま言ってもらうだけでも構わないんです。じゃあそのよく分かんないっていうのはなんなんですかね、今までの話聞かせてください、って聞いていきます。自分だけでその原因を考えててもわかんないんですよね。それに話すだけ、アウトプットするだけでも違うから僕は気軽に話せる場があればいいなって思う。カウンセリングルームだけじゃなくてたとえば近所のお寺とかでもいいと思う。昔だったら長屋みたいなところに頼れるおじさんがいて…とかあったかもしれないけど、今はそういう機会があまりないじゃないですか。だからカウンセリングは相談の場所として適しているのかなって。うまく話す必要はない。分からないことをそのまま言うだけでいい。そこから患者の心理を紐解いていくのが精神科医や心理学者といったプロなのだ。心に溜まったモヤモヤを自分のなかにしまっておくのは限界があるだろう。だからアウトプットするだけでも気持ちがスッキリしたり、言葉に出してみることでそのモヤモヤが整理されたりする。しかしだからといって星野先生は必ずしもカウンセリングに行くことを勧めているわけではない。自分のことを気軽に安心して話せる相手や場所があるならそれでいい、そういう人や場所を見つけておくことが大事だという。自分や周囲の人が心の不調に陥ったとき、どうすればよいかどう接すればよいのかが分かってきた。では一体、人の心理を紐解くプロは自身がそのような状況に陥った時どう対処するのだろうか。この質問に対して返ってきた答えは「自分を知ること」。自分のことを知っていればもし落ち込んだときでも、落ち込みが浅い段階でわかるし、自分が不調だって分かります。自分がイライラしたときにどういう表現や仕草、言葉遣いをするのか知っておくことが大事なんですよ。準備しておけば、ちょっと落ち込んだ時にすぐ対処ができるから、つまり対処の仕方が分かるような「自分の取扱説明書」を持っておくことが大事というか。例えばこういうお酒を飲むと幸せな気分になれるとか、人によっては場所かもしれないし、本や映画かもしれない。これをしたら気分がよかったっていう経験を調子がいいときに書き留めておくんです。それで不調になったときにそれ見返すと、「あ、あのときこれやったらよかったんだ自分」ってなると思います。自分は何をしている時が一番幸せなのか、どういうときにイライラしてしまうのか。考えて瞬時に答えられる人は意外と少ないだろう。自分のことなのだからよく知っていると思い込んでいても、実際は思うほど自分のことを知らないのかもしれない。自分を知ることとは一見シンプルに見えるが、難しく時間のかかる作業だ。そして他人の言動に気を取られすぎて、その瞬間に自分がどう感じているかをあまり意識していないということもあるかもしれない。他人に対しては敏感なのに自分に対しては鈍感になっていないだろうか。心の不調に陥りにくくなるために、私たちは普段からもっと自分に気づいてあげる必要がある。精神科医とミュージシャンの両立からみえてきたことマルチに活動する星野先生ならではの考え方と言えるかもしれない。自分の持っている素材でしか表現できないけれど、一つの職業に絞らずにやってきたことでいろいろな組み合わせが増えたのだ。だからこその独自の視点がある。もちろん何かの分野の権威になろうとするならば、一つのことに絞るべきかもしれない。しかし職業を絞らずにやりたいと思うことに全力を注げば、その人らしさを表し、ユニークなものへと変わっていく。楽しく上手に生きるために、引き出しのなかに自分の取扱説明書と相談できる場所を持っておくことが大事だ。引き出しにたくさんのものがあればいろいろな組み合わせを考えられる。人生にマニュアルはない。だから自分についてよく知っておく必要がある。自分で自分の感情や行動に意識を向け、新しい自分を発見したら、それを自分の引出しにしまって自由に取り出したり組み合わせたりできるようにしよう。それはきっと人生をより豊かなものにしてくれるはずだ。もし自分に悩み、どうしたらいいのかわからない時は、相談できる場所に行こう。***星野 概念
2017年11月13日日本の多くの学校で行われる性教育では、生理や精通がくることを教えられても、妊娠や性感染症などについては最低限の知識しか教えられていないのが現状だ。それには、「早くから性について教えると、性行動が早まってしまう」という大人たちの行き過ぎた心配がある。しかし、実際に他の自治体に先駆けて高校生や中学生に向けた性の健康を教える講座を開いている秋田県では、10代の人工妊娠中絶率が下がり、全国平均をも下回るようになったというデータが出ている。(参照元:秋田大学)これを全国で行なうには文部科学省の方針の転換が必要だが、それが実現するまで、必要な性教育はどう実施していけばいいのだろうか。
2017年11月11日なにかちょっとした違和感、ちょっとした生きづらさ。特に不自由しているわけではないし、社会のいうところのマイノリティでもない、でも世間のマジョリティに自分が属していないと感じることがある。そんな人たちの居場所がある。クリエイティブカンパニーCINRA, Inc.が運営する、女性の視点から生まれたライフ&カルチャーコミュニティ『She is』だ。今回Be inspired!はShe isを立ち上げたプロデューサー 竹中 万季(たけなか まき)さんと編集長 野村 由芽(のむら ゆめ)さんに、インターネットの普及による新しいコミュニティの可能性と自己実現のかたちについて話をうかがった。また、「お悩み相談室」のようなイベントの実施や、有料メンバーに対して毎月特集テーマに応じてキュレーションされたGIFTを贈るなど、ウェブだけで完結するのではなく、現実世界での読者との関わりも大切にしている。「自分らしく生きる女性を祝福する」という信念を掲げているShe is。その背景には、自分らしく生きることが自然にできない人々の存在があるのかもしれない。中高生の頃は同世代の学校のクラスメートと趣味が合わず、どこか引け目を感じていた時期があるという竹中さん。彼女が居場所を見つけたのは、インターネットだった。竹中:中高生の頃の自分の自信のなさとか、感じていた違和感っていうのは、自分がまわりの人と同じものを好きになれないかもって思ったところからきていました。でも、当時インターネットで知り合った世代の違う大人や違う国に住んでいる人のなかには、私が好きな音楽の趣味などをおもしろいとか、いいって言ってくれる人もいて。ずれてることはマイナスだってずっと教育では教えられてきたけれども、「ずれ」が逆に評価されているというか。CINRAが大切にしている文化や芸術は、まさにそうした「ずれ」をポジティブに見れるようにしてくれるものだと思います。現実世界ではまわりにいなくても、インターネットのどこかに、住んでいる国も言葉も違くとも、同じような感性や趣味を持つ人が存在する。She isはその無限の可能性に注目する。野村:たとえばSNSなどでは、有名な人だけではなくて、「私のスターだ」と思えるような深い次元で共鳴できる人が、男女や性別、年齢問わずに存在することを発見できます。インターネット以降、個人が発話以前の「想い」を言葉にしている場所に触れられるようになったことで、「自分と気の合う人がいるのかもしれない」という希望を持ったり、信じることができるようになったのがここ数年だった。既存のメディアでは表舞台で活躍している人がよく取り上げられて、そういう人たちの輝きを受け取ることも本当に素敵なことで、それと同時に、「身近な憧れ」や「共鳴できる人」「私のアイドル/スター」みたいな人たちの話をもっと聞きたいし、そういう人と話を深めたいよねっていうのがShe isの発端でもありました。だからこそ、She isのGIRLFRIENDSはジャンルも知名度もバラバラなのだ。テレビや新聞が主流のメディアだった時代は一方的で選択的な情報しか得ることができなかった。しかし、インターネットが生まれてからは新しいコミュニティが生まれる可能性が増えたと二人は信じている。竹中:インターネットが浸透してからだいぶ経ちましたが、まだまだ「もっとこんなこともできるんじゃないか」って期待をしています。たとえば、今私が東京を普通に歩いているときに、自分と似た考えや興味を持っている誰かが地球の裏側を歩いていたりして。そんな人たち同士をもっとつなげていけたらいいなってずっと考えていて。野村:名前のついた既存のカテゴリーやジャンルではなくて「想い」や「感覚」でつながっていける接点をつくりたいですね。それは、「冬至の日にお風呂にゆずを浮かべていると、ゆずを浮かべている人すべてと繋がるような気がする…」みたいな、一見個人にしかわからない些細なことでもよくて(笑)。でもそういう自分にしかわからない激しいときめきのようなものが、生き延びるためには必要だったりする。かつて見過ごされていたかもしれない些細な要素が響き合って、意外で素敵な出会いに発展する可能性が、まだまだインターネットにはある。やっぱり人生が動くときは、人やモノとの出会いや別れにあると思うので。そしてShe isの役目は、自分で調べられる域を超えた意外な出会いを仕かけ、コミュニティにすること。竹中:TwitterとかInstagramのおかげで、人と人が個人レベルでつながることはどんどん増えていってますよね。それは素敵だし、いいことだと思うのですが、自分の興味や趣向で、ある程度つながれる幅も限定されてしまう。自分では発見できなかったような人を知ったり、逆に知っている人の新たな面を発見したりできるのは、ゆるいつながりを持ったコミュニティのような場所を用意することで、可能になるんじゃないかなと思いました。「何者かになる」の本当の意味Website:::@sheis_jpTwitter:@sheis_jpAll photos by Miri Matsufuji Text by Noemi MinamiーBe inspired! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!ノーメイクで自然光。「リアルな女性の写真」で女性差別に立ち向かう愛に溢れるアクティビスト・カップル。 オープンでリベラルなイメージのあるアートの世界。でも実はほとんどの業界と同じで男女差別が問題となっている。女性アーティストが作品を発表できる機会が明らかに男性アーティストよ...
2017年11月10日「小顔だよね」そう言われたら、多くの人が喜ぶに違いない。女優もモデルも全員小顔。顔が小さいことこそ、美しいとされている。 しかし、日本の裏側では小顔と言われて「失礼」と感じる人たちもいると知っていただろうか。私たちの常識は、日本を離れると常識だとは限らない。今回はそんな事実を目の当たりにする動画を紹介する。世界最大の動画プラットホームYOUTUBEでは、誰も思いつかない驚くような挑戦を動画にしたり、自作の音楽や映画を世界中の人と共有することができる。そんなYOUTUBEでは社会を良くするために動画を作るYOUTUBERが存在していて、Be inspired!では、彼らをGOOD YOUTUBER、略してGOODTUBER(グッチューバー)と呼んでいる。そんなGOODTUBERを紹介する本連載を通じて、新しい価値観や考え方と出会い、「社会をよくするために何か自分でもできるかもしれない」と感じるきっかけになれば嬉しい。「アジア」と「欧米」には、まだ知らない“違い”がたくさん※動画が見られない方はこちら日本を中心としたアジア各地で、街ゆく人に日本の社会問題について意見を求めたり、逆に日本やアジア諸国の社会問題に対してアジア圏以外の人がどんな意見を持っているのかをインタビューする動画を作成している『AsianBoss(アジアンボス)』。韓国在住のSteve(スティーブ)と日本人とドイツ人の両親を持つKen(ケン)の二人組のユーチューバーがマスメディアでは聞かないようなリアルな世論を、YouTubeを通して伝えている。 その一つが今回紹介する「外国人は小顔についてどう思ってるの?」という動画だ。日本や韓国などのアジア地域では小顔は美人という方式が成り立っているが、欧米では決してそうではないらしい。欧米人に「小顔だね」と言ってみるそこで「アジアでは小顔というのは褒言葉」と伝えてみる。すると全員が驚きとともに不思議がる。小顔ローラーを見せても使い方が分からない。なぜなら彼女たちのなかに小顔になりたいという願望がないからだ。文化によって違いがあるように、人それぞれ異なった美しさの基準を持っていてもいいのかもしれない。インタビューを受けた一人の女性は「美の基準が違うことは面白い」と話す。「口論し合うことも大切なんだ」
2017年11月09日「日本は先進国のなかで唯一HIV感染も含むSTD(性病・性感染症)総感染者数が上昇傾向にある」と聞いて、驚く人も多いのではないだろうか?その主な原因は、コンドームの使用意識の薄れにあるといわれている。(参照元:北陸先端科学技術大学院大学)「ピルを飲めばコンドームをしなくても大丈夫」、そう勘違いしてしまう人も多いなかで「避妊」だけがコンドームを使用すべき理由ではない。日本においてこれらは「医療機器」に分類されており、「STD感染防止」のために役立っているのである。あなたは、買い物するときどんな基準で商品を選んでいるだろうか。もしあなたの気に入っている商品を販売する企業が、不正を働いたり環境に悪影響を及ぼす事業に資金提供したりしていたらどうするだろう。企業や商品作りにおける考え方に賛同できない場合、その企業やブランドの商品を「ボイコット(不買運動)」するという方法がある。これは買い物が「投票」に例えられるように、消費者の力で信頼や賛同のできない企業の商品にお金を出すのをやめ(票を入れるのをやめ)、企業の経営を成り立たなくさせ社会をより良くする(より良い企業に投票する)というもの。そこであなたがボイコットしたいとき、またはボイコットとは関係なく単純に人や環境に良い商品が欲しいときに、参考となる商品カタログをBe inspired!が作成することを決意。その名も「GOOD GOODS CATALOG(グッド グッズ カタログ)」。今回Bi読者にオススメしたいのは、オーガニック・フェアトレードコンドームを販売するセクシャルヘルスケアブランド「Sustain」(サステイン)。サステインのコンドーム、潤滑剤、セックス後の汚れ拭きシートこのコンドームを作ったのは、女性起業家であるMeika Hollender(ミカ・ホランダー)。父親には、公益のために存在する会社に与えられる認証「B Corporation」も取得した、エコな洗剤やおむつで有名なアメリカの衛生用品ブランド「Seventh Generation」(セブンス・ジェネレーション)の共同代表者であるジェフリー氏を持つ。そんな彼女は、化学物質不使用が当たり前の環境で育ち、自然派ブランドの先駆けとなるブランドを作った父のマインドを引き継いでいるのだ。サステインの創始者ミカ・ホランダーミカ・ホランダーの父親で、同じくサステインの創始者のジェフリー・ホランダー彼女が日頃より疑問を感じていたのは、女性の声が反映されたセクシャルヘルスケア用品の少なさだった。アメリカのコンドーム購買者の約4割は女性。潤滑剤における割合に関していうともっと高い。業界においてこれらは周知の事実なのにもかかわらず、コンドームのデザインは男性向けのものが圧倒的に多い。さらにアメリカでは、リプロダクティブ・ヘルスケア(=性と生食に関する健康・権利)にアクセスできていない女性が、アメリカ人口の15%にあたるおよそ2,000万人を超える。こういった理由から、ミカは28歳で起業、父とともに3億円の資金を調達して、“男性向け”に作られた従来のコンドームには入っていないような原材料やデザインのセクシャルヘルスケア用品を開発した。サステインのコンドームは、発がん性があるとされている「ニトロソアミン」や「パラベン」、「グルテン」フリーで作られており、NON GMO(非遺伝子組み換え)の素材を使用している。またパッケージに関しても、持続可能性に配慮した森林の管理をしていることを認証する「FSC認定」、安全性や製品適格性を認める「FDA認証」も取得しているといったこだわり商品だ。10枚入り(約1,360円)、40枚入り(約5,700円)、144枚入り(16,400円)があり、定期購買もできる。こちらはサステインの潤滑油。原材料には主にオーガニックアロエベラを使用し、肌に優しい。発がん性や体調不良の原因として疑われている「石油」「シリコン」「パラベン」「グリセリン」「グルテン」すべてフリー。感染症への感染や肌のトラブルにもかかわるphバランス(水素イオン濃度指数)にも考慮し、もっとも一般的な膣感染症である細菌性膣炎の心配も軽減する。市販の潤滑油には、動物性のものが使用されている場合もあるが、サステインの潤滑油であればビーガンの人も安心だ。1個(約1,480円)と定期購入(月額15%OFF)で販売している。また、サステインが取り組んでいるのは製品の成分面にこだわることだけではない。税金を含めた利益の10%は、米国の低所得女性のリプロダクティブ・ヘルスや家族計画をサポートする団体への寄付に。創立から2年経った現在、これらの商品は、自然食品を扱う大手スーパーマーケットのホールフーズ200店、ターゲット200店を含めた全米4,000店で販売されており、今後は8,000店舗での取り扱いを目指すのだという。日本には性をオープンに語ることに対するタブーがあり、コンドームは「避妊するもの」「性を楽しむ際の道具」という、ネガティブなイメージが定着している。それだからか話題にも上がりにくいうえに、こういった性にまつわる商品を意識をする人も少ない。だから製品の安全性や健康面への配慮を議論しにくいのではないか。また、性に対しオープンなイメージのある欧米でも、イタリアなどのカトリック文化が根幹を成しており、ローマ教会が神意に反するという理由から(カトリックでは避妊は宗教的な罪としている)コンドームの使用が罪とされた。以来、コンドームを避妊のためではなく、感染症予防のためであると広めなければカトリック教徒に使用してもらえないことから、医療機器として発達し、イメージが定着してきた。しかし前述したように、実際のところコンドームは感染症を防ぐための「医療機器」なのだ。サステインでも、「出生コントロールは基本的な健康管理」としている。だから、健康のために使用するという健全かつポジティブな理由で、性別に関係なく手に取りやすいセクシュアルヘルスケア用品が、日本でもっと増えてもいいのではないだろうか?***SustainWebsite::@sustainFacebook:オンラインショップはこちらAll photos by SustainText by SaoriーBe inspired! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!p.14 プラスチックに変わる素材は“竹”。天然由来100%で土に還る食器「EcoSouLife」とは|『GOOD GOODS CATALOG』 ヒマラヤを富士山のようにしないで欲しい。かつてある登山家がそう言った。それほど「富士山のゴミ問題」は世界的に有名な話になってしまったということだ。遠くから見たら美しく...
2017年11月09日「環境活動=まじめ=つまらない」。そんなイメージを吹き飛ばす環境NGOが日本に存在する。それが「国際環境NGO 350.org Japan (以下、350)」だ。年齢、職業、性別、人種、とにかく多様なコミュニティである350は、下は6歳の子供、上は70代のおばあちゃんまで、シングルマザー、障がいを持った人、外国人もメンバーにいる。そこで主体的に動いているのは、主にミレニアル世代と呼ばれる(1980年代から2000年代初頭までに生まれた世代)若者たち。上も下もないフラットな組織である350は、気候の公平性と訳される「クライメート・ジャスティス*1」の角度から、お金と気候変動にまつわる問題を楽しく広めていく活動に取り組んでいる。少しでも多くの人に、楽しみながら環境活動ができることを知ってもらいたい!そこでBe inspired!では、350.org Japan のフィールド・オーガナイザー イアン氏と、活動に関わるさまざまな人との対談を連載でお届けする。連載2回目の今回は、350が現在行っているキャンペーン「レッツ、ダイベスト!」のために映像を作ってくれた大月 壮(おおつき そう)さんに、等身大のままでいながら環境問題と向き合う、彼なりの環境活動への関わり方について話を聞いた。
2017年11月08日いい音楽、いい雰囲気、そのなかで楽しい時間を過ごすための夜の外出=ナイトアウト。それなのに、もしもこちらが望まないかたちで体を触られるような「セクハラ」を受けたりしたらせっかくの夜は台なしになる。しかしイギリスの世論調査会社YouGov(ユーガブ)の調査では、実に女性の35%、男性の9%が「ナイトアウト中にセクハラを受けたことがある」と回答したという。そんなお酒によるトラブルは避けて楽しもうと呼びかけているイギリスのボランティア団体「Drinkaware」(ドリンクアウェア)は、夜間の外出におけるセクハラについて警笛を鳴らしている。※動画が見られない方はこちら誘ってもないのに体を寄せてくる、避けてもしつこく近づいてくる、こちらが嫌がっているのにやめないなど、万が一セクハラ被害にあってしまった場合、ほかの誰かが気づいてくれたらどれほど心強いだろうか。「大丈夫?」と一言かけてくれる人が来たらハラサー(ハラスメントをする人)が離れてくれるかもしれないし、少なくとも、過度に騒ぐことなく拒否の意思を伝えるきっかけになりやすい。It’s #oktoask someone being sexually harassed on a night out if they’re ok. Make sure 2 spot it, check it, speak out pic.twitter.com/MudiBexran— drinkaware (@Drinkaware) September 28, 2017 とはいえ、セクハラを避けようとするがあまり「出会い」や「お誘い」を楽しめなくなるのでは、せっかくのナイトアウトの楽しみが半減するのも事実。ナイトアウト先で出会った「すてきな相手と距離を縮めること」と「セクハラ」の間にハッキリと明確な境界線を引き、万が一望んでもいないの触られたり、断ってもしつこくつきまとわれたり、ましてや一方的にキスされるようなことがあれば立派なセクハラ行為だと主張するべきだが、自分ではどうしようもないシチュエーションもあるだろう。だからこそ、少し様子が変に見える人がいるときは、友だちだろうとまったくの他人だろうと、一言「大丈夫?」と声をかけ合おう。 ドリンクアウェアは、ハッシュタグ・アクティビズム「#oktoask」(直訳:聞いてもいい)を通して、そんな呼びかけをしている。一方で安全の確保も忘れてはならない。目の前で行われていることがセクハラなのかどうか。自分だけで判断できないと思ったら、他の誰かに意見を聞いたっていい。助けに入っても安全か、必要に応じてセキュリティガードに頼むなど、冷静な判断をすることが大切だともいえる。Fulling loving the drinkaware #oktoask advert. SEXUAL HARASSMENT IN CLUBS IS NOT OKAY.— Billie May ✨ (@billiemayr) October 29, 2017 「ドリンクアウェアの#oktoaskのキャンペーンいいね。クラブでのセクハラがOKなわけない。」We worked with @Drinkaware to craft the message & guidance behind their #oktoask Bystander Intervention campaign Good Night Out (@_goodnightout) October 3, 2017 満員電車の痴漢行為や合意なしの性行為といったわかりやすい性犯罪と異なり、クラブのような場では、ある程度の接触も”お楽しみ”に含んでいいもんだと思われがちだが、被害者が不快に感じたり、やめてほしいと思った時点でセクハラ行為なんだと認識していい。また、ナイトアウトという”楽しい場に来ている負い目”を感じる必要はまったくない。シラフの状態で”やってはいけないこと”は、酔っているときだってするべきではないのだ。Photo by Yuri Catalanoナイトアウト先でのセクハラがまるで当たり前のようになってしまった背景には、ナイトカルチャーを形成する”猥雑さ”という魅力があるからだと想像するが、誰かの尊厳が傷つくような文化はいずれ衰退するもの。多様を肯定しようとするこの時代に目指すべきは、性的なダンスは表現として認められるが、勝手に相手の体に触ることは許されない”健全な猥雑さ”ともいえるような本物の文化の確立ではないだろうか。嫌がっている人にたった一言「大丈夫?」と聞くことで、性別も年齢も関係ない、人として当たり前ともいえる配慮をどんな場にいても忘れてはいけないという意識を広められる。そんな小さな心がけには、セクハラを容認してきた社会を少しずつ変えていくの可能性があるのだ。Text by Madoka YanagisawaーBe inspired! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!レイプ防止!「飲み物に入れられたドラッグ」を検出できるストローを開発した、3人の女子高生。 「デートレイプ」という言葉を知っているだろうか?デートレイプとは、友人や知人など顔見知りの人の犯行によるレイプのことを指す言葉。これによく使われるというのが、相手の意識を失わせ...
2017年11月07日「ムスリム(イスラム教徒)」という言葉を聞いて、“テロリスト”を思い浮かべる人はどれくらいいるだろうか。言うまでもなくムスリムの多くは“テロ”と何ら関係ないが、現に「ムスリム=テロリスト」という偏見は、日本だけでなく世界に存在しており、イスラム教を信仰する人たちにとって大きな悩みの種となっている。彼らをそんな偏見なしに見るには、実際にイスラム教を信仰している人と知り合って、「彼らがどのような生活を送っているのか」や「何を考えているのか」を知る機会を作るのが手っ取り早いかもしれない。だが、そうは言っても、その機会を一人ひとりが作ることは決して簡単ではないだろう。そこでBe inspired!は日本で暮らすムスリムの若者たちにインタビューを行ない、彼らが話してくれたことを紹介する記事シリーズを始めた。
2017年11月07日もし自分の生活が24時間、一千万人以上の人間にカメラで監視されているとしたら?今は、考えるだけで恐ろしいと思う人が大多数ではないだろうか。しかし、それが私たちの未来かもしれない…?映画には人を変える力がある。これまで知らなかった世界に連れて行ってくれる。ストーリーを通してこれまで出会ったことのない価値観に感化される。今まで見たことのない美しい景色に心動かされる。映画には無限の可能性がある。今回の社会問題に焦点を当てた映画を紹介する『GOOD CINEMA PICKS』では、エマ・ワトソンとトム・ハンクス出演作、テクノロジーの進化にともなう現代社会特有の問題について考えさせられる『ザ・サークル』の監督ジェームズ・ポンソルト氏に話を聞いた。『ザ・サークル』の軸となっているのは、「監視社会」と「プライバシー」の問題であるとポンソルト監督は話す。日本では、2017年6月に「共謀罪」の趣旨を含む改正組織的犯罪処罰法が成立し、“安全のため”と言ってもどこまで政府が国民を監視するべきなのか議論が巻き起こった。そもそも“安全のため”にこのような法律が本当に必要なのか?権力の乱用ではないのか?成立したものの、反対意見も多かったのが記憶に新しい。監督は、「監視社会」への普遍的な疑問をこの映画で投げかける。自分の行動を逐一監視・記録されて、そしてシェアされるのであれば、それはこの映画の物語が描く未来図であって。実際の社会も、もしかしたらそっちに向かっているのかもしれないけれども、そんな監視社会にいる人間というのは果たして自由だといえるのかどうか。そして、自由意志を持っているといえるのかどうか、というのが大きな問いかけだと思う。 Text by Noemi MinamiーBe inspired! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!3作目:「未成年で親に売られる少女たち」を救うため、“違法ラップ”で「古きしきたり」と闘う16歳の少女。|GOOD CINEMA PICKS 兄が結婚するための資金を稼ぐために、母親が自分を“売ろう”としていると知ってしまったらあなたはどうするだろうか?映画には人を変える力がある。これまで知らなかった世...
2017年11月07日3.11後の原発事故の対応に関する政府のウソや、飲食業界・ファストファッションにおける原材料の調達、トレーザビリティ(物流経路の透明性)などの生産背景が問題となり、最近では「もの」や「こと」の背景、そしてストーリーが重要視されるようになってきた。そういったものづくりの “裏側” と呼ばれるすべてをデザインしているクリエーターがいる。2拠点生活をしながら、伝統工芸の職人に密着し、工芸品のストーリーテリングや顧客とのコミュニケーションまでもデザインし、芯から伝統工芸のファンになってもらうことで、地方の活性化に取り組んでいる*1コミュニティエンゲージメント/アートディレクターの石井 挙之(いしい たかゆき)氏だ。今年、デンマークで行われた国連が定める持続可能な社会実現を目的としたグローバルリーダーを育成するための合宿に呼ばれた、たった5人の日本人のうちの1人でもある。食品業界やファストファッション業界で生産過程などの問題が摘発されるようになる以前はものづくりの裏側を公に晒すことは、ネガティブなこととして捉えられてきた。“見栄”や“建前” を気にするあまり、うやむやにしたり、取り繕うことを良しとする風潮が少なからずあった。そういったことをポジティブなものとして発信する石井氏に「敢えてものづくりの裏側を晒すことの意義」について聞いてみた。(*1)コミュニティエンゲージメントとは世界中の地域社会を活動の場に、コミュニティ(地域)の人との協働を通じて、共通する課題解決に取り組むプロジェクト。またそれに関わる人のこと。(京都外国語大学HPより)石井氏が社会に目を向けるようになったのは、この2拠点生活で地方と都心、大手企業と中小企業の二面性を持つことがきっかけだったと話す。そのコントラストに触れることでインスピレーションを得て、さらに対比することによって、そこに存在する問題が見えてくるそうだ。東京での私生活やコマーシャルデザインと地方でのコントラストある活動のなかで、地域に眠る豊富な文化的資源やそのまま価値につながるストーリーがうまく伝播されていない現状に気づいたんです。それにサステナブルは今でこそ言われているけれど、地方ではもともとやっていること。おすそ分け、フードロス、技の伝承、お客さんと作り手の関係性づくりも。地方には、都市の問題を解決するヒントがたくさんあります。さらに今では滋賀県長浜市に拠点を移し、地域プロジェクトを軸に、伝統工芸の職人のストーリーを紡ぎながら作業着を仕立てる「仕立屋と職人」を主宰している。職人の中には、自分たちの背景や文化、思想やプロダクトの価値をプレゼンテーションすることが苦手な人もいる。そういった人たちのブランディングを担うのが石井氏だ。そうすることによって、職人にある「怖い・厳しい・近寄りがたい」というイメージを払拭し、職人はそれだけじゃないということをプロセスから出していく。弟子入りして朝晩コミュニケーションをとっていくと、職人さんにはどういう作業着がいいかわかってくるんですよ。さらに仲良くなると、彼らの悩みも聞くようになる。以前関わった福島では、お母さんたちと職人さんとの間で、お互いに言いづらいことがあって、そこで僕らがクッションになった。一見、外からは覗けない職人の本当の姿をSNSなどで晒していきました。また、コミュニケーションから派生してできたアイテムと作業着を持って、東京で開催されるファッションとデザインの大規模な合同展示会「rooms」などで出店し、職人と新しいセクターの人を繋ぎ合わせていく。そこにはイギリスで学んだ「Narratology(ナラトロジー)」の哲学が入っている。石井氏は過去に渡英し、ロンドンにある芸術大学セントラル・セント・マーチンズで、Narratology(物事にある物語論)を学んだ。現実世界に起こる課題の発見からデザインしたコンテンツまで、ストーリーテリングとデザインやアートを掛け合わせて、人々により深い共感や経験をさせる手法である。ロンドンで感じたことは、日本と違って、全体的に面白く派手なデザインのものが多いんですね。パブリックの使い方が自由度が高くて、デザインやアートが入り込むことができるフィールドが広い。独自のリサーチや分析からクリエイターがどういう社会的インパクトを出して、将来どうなっていくかのすべてのプロセスをプレゼンすると、それを評価する企業や団体が海外の方が多い印象もあります。さらに、私生活の中で社会問題に触れられたり、議論できる場が多い印象はあります。それが、“言われてみればそうだよね”と自然と導かれる仕掛けになっているものも多い。大概は、問題を問題として提示してもみんな見たくないもの。“可愛いよね”、“かっこいいよね”、“グッとくるよね”、そういった共感から入って、実はストレスなく引き込まれるようなものじゃないかと思います。引き込まれていった先に、実は奥深い問題が潜んでいることに気づく。そのリソースは、日本にもたくさんあると感じています。特に地方ですね。そこにいる地元の人ではなく、外から来た人間だからこそ見つけられるものもある。地域の問題を定義するところから可視化していく時に、代弁者であるクリエイターの存在が必要になる。僕がやっていることは、作り手と使い手が一緒になって商品を転がしていった先に、それがサービスという経済ベースだけではなく、生産者と消費者の関係の構築を考えて設計する、ということ。お客さんがそれに触れるまでの気分を想像し、それをデザインに落とし込む。さらにその人が五感で何を感じ、どういう気持ちになるか、そして次回に繫がるかどうかも考慮しています。企業が政治的な主張を発信することが未だに“タブー”とされている日本で、SDGsをテーマにしたイベントのスポンサーを集めることは一つのハードルかもしれない。また、発展途上国と先進国の社会問題の解決への緊急性の違いも感じたと石井氏は話す。発展途上国の人は、先進国の僕らが出す課題の着目点や解決策と全然違うアプローチでした。アフリカの人は、明日には解決しないと命に関わる課題が多いこともあって、そもそもの熱量も違う。日本の難しい点は「問題や課題をどれくらいの人が当事者として感じていて、それをどうやって伝えられているだろうか?」だと思います。自分の明日にそこまで影響がないように見えてしまって、自分とは遠くに感じるトピックはそのまま流れて、普段の生活を続けられてしまう。その結果、何も考えずにすんでしまう。だからいつも僕はそうならないように「考える速度が落ちてきたな」と感じたら、ひたすら考えることをするように心がけています。スピード感を失わず、分析をやめず、難しい状況下でも動き続けること。どんなことでも、頭の中にあるだけだと何にもならないし、実際に現地に行かないと、やって試さないとわからないこともたくさんある。「日本人は思考停止している」。よく聞くフレーズかもしれないが、食べもの、働き方、遊び方など選択肢が“豊かな”日本で、自分とは遠い誰か、遠い国が今直面する社会問題を「自分ごと」のように感じさせ、意識を変えるには、クリエーターの役割は大きいと石井氏は語る。今の時代に必要なことや抱える問題をデザインで伝え続けることで、受け手に考えるきっかけをつくることができる。そういったことの重要性に気づいたクリエーターがもっと社会や地域で動き出せば、社会変革は加速すると思います。これからのクリエーターに必要な「晒す」ということCREATIVE “GARDEN”Portrait photos by meme unless otherwise stated. Text by Saori MatsuoーBe inspired! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!5発目:「もう日本製だからって世界で通用するとは限らない」。25歳の漆器の伝道師が提唱するメイド“ウィズ”ジャパンとは│さとり世代が日本社会に起こす、半径5mの“ゆる”レボリューション 私たち、さとり世代が生まれた頃には既に情報や物の溢れる時代がはじまっていた。「もの」と一生をともにするというふうに考えたことはあっただろうか。漆(うるし)を「人の...
2017年11月06日フェアトレード、ダイレクトトレード、オーガニック、ベジタリアン、ビーガン、ゼロウェイスト、昆虫食、未来食…。東京の街に日々増えていく、お腹をただ満たすだけではない「思想の詰まった飲食店」。 「海外からビーガンの友達が日本に来ていて、ビーガンメニューのあるレストランを知りたい」、「サードウェーブの先を行くコーヒーが飲みたい」、「フードロスがないレストランに行きたい」、「無農薬野菜が食べたい」、「友達や恋人と健康にいい食事をしたい」などなど。そんなニーズに答える連載です。 「食べることはお腹を満たすだけじゃない。思想も一緒にいただきます」。その名も『TOKYO GOOD FOOD』。フーディーなBe inspired!編集部が東京で出会える、社会に、環境に、健康に、あなたに、兎に角「GOODなFOOD」を気まぐれでお届けします! それでは第13回目の『TOKYO GOOD FOOD』行ってみましょう!WHERE IN TOKYO今回紹介するのは2014年5月3日にオープンした、渋谷と恵比寿の間くらいに佇む「GOOD MEALS SHOP 渋谷本店」。TOKYO FAMILY RESTAURANTの姉妹店と知っている人もいるかもしれない。「なるべく、できるだけ」を合言葉に、ストイック過ぎず、健康で美味しい料理やお酒が堪能できるGOOD MEALS SHOPを運営するFLYING CIRCUS代表の三浦さんに、お店のオススメメニューや、お店のコンセプトを伺いました。オーナーの三浦さんWHAT’S GOODーお店で一番オススメの品はなんですか?5種ソースのクリスピーチキンナゲットです。Photo by GOOD MEALS SHOPー他にもオススメありますか?オープン当初からフォーカスしている「クラフトジン」です。その土地ならではのボタニカル(草根木皮)を使用して造られる、少量生産ならではの個性豊かな味わいを楽しむという部分で、GOOD MEALS SHOPのアイデンティティとの親和性も高く、現在進行形の世界的なフードカルチャーとして特に力を入れて紹介をしてきているメニューです。Photo by GOOD MEALS SHOP日本屈指の25カ国250種類以上のクラフトジンをラインナップしているほか、セミナーの開催、焼酎や泡盛などの酒造メーカーによる国産クラフトジンの開発サポートも行っています。何より食事は楽しい時間であるべき。三浦さんのこの純粋な思いが印象的だ。6年前の東日本大震災後、食の安全性を疑ったり、放射能汚染された作物じゃないか不安になったり、そして気にしすぎて逆にストレスが溜まったり…。“食にこだわること”があだとなり、楽しく食事ができていない人もいるのではないだろうか。もちろん100%オーガニックで安全なものがいいに決まっている。しかし、そこに執着しすぎて疲れてしまうのであれば、70%オーガニックという完璧じゃない生活を目指すことも、一つの生き方の選択肢としてある。少し肩の力を抜いて、好きな人、大切な人と手作りのご飯を食べて、お酒を飲んだら、きっと楽しいよ。三浦さんの話を聞いていると、そんな当たり前のことを再認識することができた。どこの国の肉で、どこの部位かもわからない、安くて手軽に食べられるファストフードのナゲットしか食べたことがない人は、お店で手作りされたGOOD MEALS SHOPをナゲットを一度食べに行ってみてほしい。笑顔になれる、味と時間があなたを待っている。来週の『TOKYO GOOD FOOD』もお楽しみに!***GOOD MEALS SHOP
2017年11月05日「こんな時代だから…」の後に続く言葉は、たいていの場合ネガティブだ。だが、こんな時代だからこそ、凡人ができることは多くあり、地球の裏側にいる人を救うことができるのだ。とある旅行好きの女性が、インド過疎地の社会を変えた。これは“誰にでも”できることだ。そう、あなたにも。インドの首都から離れた、いわゆる“貧困地域”と呼ばれる小さな村ジャンワール。雑多とした雰囲気が漂うなか、この村に朝から晩まで響くのは子供たちの声である。その声のもとをたどると「Janwaar Castle」という名の公園がある。ここは誰もが無料で訪れることができ、スケートボードをしたり、お絵かきをしたり、ヨガをしたりと思いのままに子供たちが時間を過ごせる場所だ。この公園は有志によってつくられた。その中心となったドイツ人女性のウルリケさんは「Janwaar Castleがあることで子供たちが村を信頼し、好きになるきっかけの一つになって欲しかった」(引用元:thenortheasttoday)と話す。実際、この公園ができてから、村にはさまざまな変化が起こった。まず、ウルリケさんが懸念していた教育に対する意識が向上したのだ。そもそも、この村の住人たちは学校が大切という認識がそこまでなかった。両親は学校に子供たちを行かせるよりも、家の仕事をやらせることを優先させており、それに従うことこそが子供たち自身も正しいと思っていた。だが、子供たちが自主的に「学校に行きたい」と言うようになった。なぜなら、「Janwaar Castle」で遊ぶためには学校に行かなければならないからだ。公園のルールその1は「NOスクール、NOスケートボード」。“いい子ちゃん”しかスケボーをすることが許されない。もちろんいい子ちゃんが村には増え、登校率が一気に上がった。(参照元:Leher) ウルリケさんは同時に学校の教育水準を上げるように試みた。これまでは学ぶための制度が整っていなかったため、学ぶことは退屈なことだと思わせてしまっていた。しかし、子供たちが遊ぶために学校に足を運び始め、しっかりとした教育を受けることで学ぶことの大切さを知った。学校の必要性が次の代に繋がる基盤ができ始めたのだ。学校に通うことで子供たちも自信を持ち始めたという。(参照元:UlrikeReinhard, huck)子供たちが担った「ジェンダー格差」を正すこと
2017年11月04日ヒマラヤを富士山のようにしないで欲しい。かつてある登山家がそう言った。それほど「富士山のゴミ問題」は世界的に有名な話になってしまったということだ。遠くから見たら美しくても、年間40トンのゴミが回収され、それでもまだ追いつかないほどのゴミが山積している富士山。(富士山クラブ資料より)紅葉がキレイな今の時期、山へ出かける人も多いかもしれないが、キレイな紅葉の下にたくさんのゴミが落ちている景色なんて、誰も見たくはないはずだ…。
2017年11月02日こんにちは!池尻大橋からALL YOURSというお店でDEEPER’S WEARというブランドを取り扱っている、木村 昌史(きむら まさし)がお送りします。▶︎過去の連載記事はこちらから。①②③④⑤⑥⑦⑧⑨⑩
2017年11月02日Cyberbully(サイバーブリー):ネット上で心ない言葉を通して行われるいじめのこと、ネットいじめ。 限られた人数でのやり取りや、著名人に向けて公に書き込まれたコメントなど、タイプや状況はさまざまだが、おそらくほとんどのネットユーザーが何かしらのネットいじめを目にしたことがあるはずだ。文字だけの言葉は、ときに無感情。また、受けとる側の気持ちは伝わりにくく、罪の大きさを測るのも難しい。
2017年11月01日こんにちは、伶奈です。大学院まで哲学を専攻しちゃったわたしが、読者から日常の悩みや社会への疑問、憤りを募り、ぐるぐる考えたことを書き綴る連載の第2弾。一方通行ではなくみんなで協働的に考えられるようにしたいので、時に頷き、突っ込みながら読んでくださると嬉しいです。伶奈って誰?▶︎「当たり前」を疑わない人へ。「哲学」という“自由になる方法”を知った彼女が「答えも勝敗もない対話」が重要だと考える理由。前回の連載▶︎#001 「なんで複数の人と恋人関係になっちゃいけないの?」28歳の彼女が“社会の理不尽な恋愛ルール”に物申す。他者を手段としてだけでなく同時に目的として扱え「人と人の関係ではなく、モノとして見られているとさえ感じる」というKさんの気持ち、よくわかります。食に限った話ではなく、これもまた現代の病がもたらす恐怖感なのかもしれません。18世紀に活躍したドイツの哲学者イマヌエル・カントは、すごぶるカッコイイ言葉を残しています。人間および一般にすべての理性的存在者は、目的自体として存在し、誰かの意志の任意な使用のための手段としてのみ存在するのではなく、自己自身の対する行為においても、また他のすべての理性的存在者に対する行為においても、常に同時に目的として見られねばならない。2017年日本から突然1785年プロイセン王国。寿司からカントかよ。カント大先生の目眩がするような言葉を要約すると「自分や他人を単に手段として扱ってはならず、 常に同時に目的自体として扱わねばならない」ということ。人間を交換可能な「モノ」のようにだけ扱ってSNSや評価のための手段にしたり、「お前の寿司じゃなくても別にいいし」みたいな態度で蔑ろにしてはいけません。相手をきちんと人間と見なして尊敬しましょうというお話です。それが、生きるうえでなによりも大事だと。食が人と人との関係だとすれば、カウンターでお寿司を食べるときにわたしたちが享受しているのは、寿司そのものだけでなく、寿司を握るまさにその人。それに加え、質感や雰囲気などその人が醸し出す全てに一万円以上の対価を払っているのではないでしょうか。だから作り手に感謝しながら感謝しながら食を楽しんでほしいと願うのは当然。写真を撮り怖い顔で評価しながらお寿司を食べることは、食に生きる人への冒涜だから。ああ、でも「お金払ってんだからこっちの自由やん」って言う人もいそう。学費払ってるんだから授業休んでもええやん、給料払ってるんだからもっと働けや、と。最近よく聞くこういう論調に「ちょっと待ったー!」をして締めたいと思います。なぜだか人間って、人間関係の中で生きていることを忘れがちだと思う。人間は、代替可能なモノではないし、他者不在の自由なんてない。他者がいなかったらお寿司出てこないのに、ね。だから「僕が売っているのはそれじゃないっす!」「自分も人間っす!」「目的として扱ってくれ!」って呼びかける権利はどこまでもあると思うのです。 なのでKさんの「対価をもらう以上、そういった関係になってしまうことは仕方ないのでしょうか?」に対して言いたいのは、仕方なくないよ!ということ。あまりにもモノ化してくる人が現れたら、カウンター越しに「“食”ってなんでしょうね」って問いを投げかけ、ドヤ顔でカント大先生の話をしながらお客さんと一緒に考えてみてください(お洒落な寿司屋でそんな野暮ったいことしないかな(笑))。田代 伶奈ベルリン生まれ東京育ち。上智大学哲学研究科博士前期課程修了。「社会に生きる哲学」を目指し、研究の傍ら「哲学対話」の実践に関わるように。現在自由大学で「過去に向き合うための哲学」を開講中。Be inspired!ライター。Twitter: photos by @hello.itsnoemiText by Reina Tashiro ーBe inspired! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!#001 「なんで複数の人と恋人関係になっちゃいけないの?」28歳の彼女が“社会の理不尽な恋愛ルール”に物申す。| “社会の普通”に馴染めない人のための『REINAの哲学の部屋』 こんにちは、伶奈です。今日から連載を始めることになりました。月に一回読者から、最近悩んでいることや、社会に対して疑問に思っていることを募り、わたしなりに哲学的に考えたこと...
2017年10月31日VR(仮想現実)やAI(人口知能)などの言葉をニュースで頻繁に聞くようになってしばらく経つ。VRで「よりゲームをリアルに体感できる」とか、AIが将来「人間の職を奪っていく」などと言われているが、最先端の技術が実際のところ、どんなものか把握しきれていない人も多いかもしれない。そんな話題の最先端の技術や、広く普及してきたスマートフォンを題材に、わかりやすくも深い皮肉を込めた作品を作るアーティストがいる。ニューヨークを拠点にするTom Galle(トム・ガレ)だ。若い社会派アーティストを紹介するBe inspired!の連載「GOOD ART GALLERY」。今回は、現代社会に対する鋭い視点とユーモアセンスを持ち合わせた彼の言葉や作品から、彼の現代社会との付き合い方を見ていくことにする。
2017年10月30日「髪は女性の命」と昔は言われていたという知識はあるが、感覚としては別に…というのが今の若い世代の正直なところではないだろうか。長くても、短くても、色だって、その人に似合えばいいんじゃん、この考えが主流だと思う。とはいっても、女性がなかなかしない髪型もある。それは坊主。やっぱり「坊主は男性の髪型」というのは昔から変わっていない。2007年、アメリカのポップスター、ブリトニー・スピアーズが発作的に坊主にし、メディアが大騒ぎしたのが懐かしいが、そのときも「ブリトニーついに頭がイかれちゃったか」と坊主にすることがまるで彼女のそれまでの奇行の最終点かのように報道されていた。ファッション業界などで注目されている様子はあるものの、今日も女性が美容院で「今日どうする?ロングのまま?ボブ?それとも坊主?」と聞かれることはない。今回Be inspired!では外見に対して比較的保守的な日本社会のなかで、坊主にすることを選んだ女性たちにインタビューをした。彼女たちは何を思い坊主にし、実際のところ周りの反応はどうだったのか。彼女たちの話から「日本の美の基準」について少し考えたい。cursedcorndog(20代)通訳ー(見た目に関して)女性として表現に限界を感じることはある?私は胸が全然無いからブラをしないんですが、たまに電車とかで変な目線を感じたりはします。でも、はっきりと言って何も目立たないんですよ。普通のシャツを着ている場合が多いので。例えば透けてる服とかを着るとしたらクラブやイベントですよね、あくまでも着るとしたら。性的な目で服を見てしまう男性がやはりいるので、そういう意味では限界は感じます。でもそこまで毎日感じているわけではありません。ー坊主にしてよかったことは?楽。急いでたら洗面所で10秒で洗えてしまうので。寝ぐせもないですし!Instagram:@cursedcorndogレイニー(24歳)デザイナーー(見た目に関して)女性として表現に限界を感じることはある?たまにね。でも、私はとっても楽観主義だから。それにすごく恵まれている。これまで、私の目の前には自己表現のチョイスがたくさんあって、好きな服をきても誰にも攻撃されないような環境にいた。とはいっても、坊主にしたあとは他人に違う目で見られていることは感じた。剃る前は気づかなかったけど、この自分の経験(坊主にすること)が「女性の身体とセクシュアリティ(性)」と深く絡んでいることが分かったの。坊主頭の私を見て、髪(女性らしさの象徴)を切り落とすなんて「勇気がある(もしくはクレイジー)」と思う人がいる。精神病?実験(彼女レズビアンになったの)?とかね。髪型一つで自分が色々な印象を他人に与えている(というか他人が読み取っている)というのは興味深い。ー坊主にしてよかったことは?いっぱいあるよ!メンテナンス0でいいこととか。朝起きて、寝癖の心配しなくていいのも、スタイリングを考えなくていいのも最高。坊主にしたとき、ちょっと生まれ変わったみたいな気持ちになったの(見た目も心も生まれたてのベイビーみたいに(笑))。坊主にしてから、見た目に左右されずに生きていく方向にも進み始められた気がする。何かから解放されたような気持ちになった。みんなに人生で一度は坊主にすることをおすすめするわ!❤︎Instagram:@dearstimpy
2017年10月30日英国サッカーリーグ4部に所属する「Forest Green Rovers」(フォレスト・グリーン・ローバーズ)。彼らのユニークな試みが注目を集めている。ピッチ外の、ちょっと変わった理由で。彼らのホームスタジアムである「New Lawn」(ニュー・ローン)で販売される食品は、一切動物由来のものはなし。つまりビーガン食。ワインやビールまでビーガンスタイルの製品で、選手が試合前に食べる食事もビーガン食。スタジアム内は菜食主義が徹底されている。また、世界初の太陽光発電式芝刈り機などを導入しつつ、ほぼ100%木製の新スタジアムの建設が現在進行中。この新スタジアムのピッチは集められた雨水で育てられ、運営に使用する電力の一部は、スタンドの屋根に設置されたソーラーパネルでまかなわれるという。こんなスタジアム、もといチームは世界中にここしかない。実際、ビーガンとアスリートの相性っていいの?「そもそもビーガンってなに?」という話だが、完全な菜食主義で、植物性食品しか食べない。卵、乳製品、はちみつも動物性なのでNG。心身の健康に必須のたんぱく質は、穀類や豆類などから摂取する。倫理的、先天的な体質、健康のためなど、ビーガンになる理由は様々だが、最もポピュラーなのがその人の信条だろう。アスリートは「肉食」というイメージがあるかもしれないが、実は環境への配慮や動物愛護の観点からビーガンになる選手は多い。それには、食肉を生産するために家畜のエサとなる穀類も生産しなければならないことや、家畜が放出する二酸化炭素やメタンガスなどが引き起こす環境破壊が関係している。冒頭に紹介したForest Green Rovers FCは、そんなビーガンの精神をスタジアムの建設にまで取り入れている。チーム内にビーガンの精神を持ち込んだ現会長Dale Vince氏は、グリーンエネルギーを推進する「Ecotricity」社の創業者であり、自身もビーガンだ。Photo by Nickビーガン化で、見事「5部リーグ」から「4部リーグ」へ昇格彼が会長に就任した2010年以降、徐々にビーガン化が進められたチーム。「赤身肉は消化に悪い」と肉がメニューから外れ、魚、乳製品と順に姿を消し、今は完全なビーガン食へ移行済み。一部反発もあったというがその効果は確かだった。所属選手たちはケガが減るなどの効果を実感しつつ、長年さまよっていた5部リーグを卒業し、昨年見事に4部リーグへの昇格を勝ち取った。その徹底ぶりはサポーターに販売される食品にも及んだ。今では肉の代替品と呼ばれるクォーンや、きのこを材料に作られたパイなどがラインナップの主役である。これらビーガンメニューは好評で、売り上げは以前の4倍に伸びたという(参照元:Forest Green Rovers FC ①, ②, Daily Mail)。このようにチーム内外でビーガンの効果を実感しつつ、彼らは今日も戦っている。意外に高い、世界のアスリートの「ビーガン率」「英国4部って言ってもアマチュアだろ?」と思った方もいるかもしれないが、世界のトップアスリートにもビーガンは珍しくない。例えば、五輪4連覇を果たした陸上競技の金字塔カール・ルイス、ウルトラマラソン*1のレジェンドであるスコット・ジュレク、プロボクサーでマニー・パッキャオのライバルであったティモシー・ブラッドリーなど、枚挙にいとまがないのだ。さらにいえば、筋肉の塊みたいなボディビルダーにもビーガンは少なくない。(だが「この身体、ビーガン食でできてます」と言われて最初から信じる人はいないだろう)もはや現代のアスリートにとって、ビーガン食はポピュラーな選択肢の一つなのである。(*1)フルマラソン越えの極限レース。24時間走などの総称写真左:ティモシー・ブラッドリーPhoto by Ver en vivo En Directo“ゆるいビーガン”という選択肢もあります。ヨーロッパでは当たり前になりつつあるビーガン対応の食品表記や、レストランでのビーガンメニューの提供など、ビーガンへの理解度に関して遅れ気味の日本。ただ改善の動きも見られる。NPO法人ベジプロジェクトジャパンは、ビーガンの基準を満たした食品や料理を提供するレストランへの「ベジタリアン・ビーガン認証マーク」の提供や、京都大学をはじめとする各大学とのビーガン食連携事業など実践的な活動を行っている(参照元:Vege Project Japan)。また、個人ではじめられる活動もある。“ゆるいビーガン”という選択肢、「ミートフリーマンデー」だ。元ビートルズのポール・マッカートニーが提唱したこのムーブメントは、オノ・ヨーコなど数々の賛同者の助けも借りて、現在世界の約40カ国へ広がっている。その名の通り、「月曜日は肉をやめよう」というシンプルなこの試み。ビーガンへの理解や実践へのとっかかりにはもってこいだ。写真右:ポール・マッカートニーPhoto by Jimmy Baikovicius私たちが毎日何気なく行っている“食べる”という行為。身近であるがゆえに、何を食べているのか、どのようにして私たちの手元に届いているのか、無頓着になりがちだ。そこで、週に一度のゆるいビーガンを選択することで、定期的に地球環境や自身の健康について考える機会を作ってもいいのではないか。食生活の見直しから世界を考え、自己改革を促す。大げさに思えるだろうが、今回紹介したアスリートたちは、それぞれのきっかけから菜食へ舵を切ったことで、世界のトップランナーへ名乗りをあげた。実はあなたのきっかけも、すぐそこにあるのかもしれない。All photos by Forest Green Rovers Football ClubCover photo by kennysarmyText by Yuuki Honda ーBe inspired! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!8店目:目指すは“サスティナブルなファストフード”。中目黒のファラフェルスタンド、Ballon。| フーディーなBi編集部オススメ『TOKYO GOOD FOOD』 フェアトレード、ダイレクトトレード、オーガニック、ベジタリアン、ビーガン、ゼロウェイスト、昆虫食、未来食…。東京の街に日々増えていく、お腹をただ満たすだけではない「思想の詰まっ...
2017年10月29日食料廃棄が世界的に問題視されていることは知っているが、あまり自分のこととして危機感を持っていない、そんなあなたに問いかけたい。「ここ1週間で何枚のビニール袋を受け取りましたか?」私たちが日々何気なく受け取っているビニール袋は立派な環境破壊の原因となる。プラスチックなどの不燃ゴミは、ゴミ埋立場に運ばれ有毒なガスを排出している。大きな地球のことを考えるために、まずは小さな一歩を。今回は小さくて大きな一歩を踏み出した夫婦が始めた「瓶のポルノ」がキーワードのスーパーマーケットを紹介する。左がリンジーで右がジェシーこの店では、新鮮な地産物、スムージー、ナッツ、調味料といった食料品から、石鹸や洗剤、天然のコスメ道具などの生活用品まで、幅広い商品を提供している。一般的なスーパーマーケットと違うのは、これら全ての商品が個別包装されていないという点だ。梱包がないことに加えて、このシステムの環境への他のメリットを挙げるなら、自分が必要な量だけ選べるという点だ。例えば、一人暮らしの人が大容量の食品や調味料を手に入れても、使い切らずに腐らせて捨ててしまうことがあるだろう。それを、このZERO marketなら自分の必要な量だけ瓶に詰めればいいから、買いすぎてしまうということがなくなるのだ。インスタグラムで広がる#jarpornとは?そういうわけでZERO marketに並ぶのが、大量の瓶。可愛らしい瓶がたくさん並んでるのを見て、お客さんはjarporn(瓶ポルノ)だと大興奮。私たちの日々の選択によって、地球を変えることができる。このような素晴らしいスーパーが身近にないからといって落ち込むことはない。行きつけの青果店やスーパーマーケットで、「袋、いらないです」の一言を伝えてみる。もしくは、食事を瓶に詰めかえて、長く消費できるように工夫をする。そういった小さな積み重ねこそが、この地球を変えることができるのだ。***ZERO market
2017年10月28日FacebookやInstagramなどのSNSがあれば、誰とでも、遠く離れた会ったことのない人とでも“友達”になれる。いつからか“友達”の定義は、一緒にいた時間に関係ないものへと変わってきた。SNSの存在によって、人と人との関係性がフラットなものへとシフトしてきたといえるかもしれない。そして、インフルエンサーと呼ばれる多くのフォロワーを持つ“誰か”が、SNS上で情報をシェアすれば、一瞬にして何万人、何十万人の人へと情報が拡散され、地球の裏側の情報さえも一瞬で手に入る。そんな21世紀に台頭したSNSは、ヒッピーカルチャーに酷似していると語るのが、鯉谷 ヨシヒロ氏(38歳)だ。渋谷区在住の彼は、都心の資本主義の中でヒッピー的な暮らしを実践していることから、現代版ヒッピーという意味を込め、自身を「ソーシャルヒッピー」と呼ぶ。今回Be inspired!は、ソーシャルヒッピーが現代社会に起こす影響、そして彼が立ち上げた「Coビレッジ」のプラットフォーム「NuMundo JAPAN」について伺った。「Coビレッジ」とは、エコビレッジやヨガトリートセンター、パーマカルチャーセンター、オーガニックファームのような新しい生き方を実践している、生活共同体の総称のことをいう。23歳の頃からそんなヒッピーカルチャーにどっぷりと浸かり、海外でヒッピーたちとともに馬に乗ってコミュニティを渡り歩く「移動循環型コミュニティ」を経験した鯉谷氏は、「SNSとヒッピーには共通点がある」と考察する。ソーシャルメディアのようなことを、ヒッピーはインターネットを使わずに50年前からやってきた。今まではよくつるむ仲間が「友達」だったけど、それがSNSの普及と共に変わって、浅く繋がっている人たちも“友達”と呼べるようになってきたんです。これはまさしくヒッピーの価値観。今になってリバイバルされている。そして彼らは、服装や髪型でお互いを認識し、知らない人とでも出会った瞬間にハイタッチをして、すぐに仲良くなる。ハイタッチが今でいう「Facebookの友達申請」みたいなものだろうか。常に「全員仲間、全員友達」という感覚だから、家にも泊まらせるし、仕事も紹介する。だからヒッピーは「無職・無一文で旅に出ること」を恐れないのだ。それだけではない。ヒッピーは現在も全世界に何百万人と存在し、世界中で繋がっている。アメリカで年に一度開催されるバーニングマンの前身「レインボーギャザリング」のような大きなイベントは、開催場所や日時をネットにあげない。口コミだけで地球の裏側まで伝え、数日間で2,000人〜10,000人が一つの場所に集まるという。そんなヒッピーたちが独自に築いてきた、ゆるっと繋がっている「友達の感覚」や、一瞬で拡散する「口コミネットワーク」は、今のSNSと似ていると鯉谷氏は言う。Photo by Yoshihiro Koitani鯉谷氏のように今の社会システムに危機感を感じたソーシャルヒッピーたちは、都会から地方へ移住し、自分たちが理想とする村“Coビレッジ”をつくっているのだ。Coビレッジをつくっているのが、当時のヒッピーかと言われるとちょっと違うと思います。どっちかというと、都会でバリバリやっていたクリエイター層が田舎に移り住み、コミュニティをつくり始めたという方がしっくりきますね。最近、資本主義社会や貨幣経済に疲れてしまった都市に暮らす感度の高い人々が、海外や日本でも増加しているように思う。そして彼らは、「農的な暮らし」や「地域の繋がりを大切にした暮らし」、「今の経済システムから離れた新しい経済圏やコミュニティ」を求め、お金を介さず、コミュニティのために自発的に自分のできることをする“ギフト経済”が成り立つような村を世界各地につくっている。現代人が忘れている「“今”に満たされている感覚」を取り戻すために最後に鯉谷氏は、現代人が忘れている“大事なこと”を教えてくれた。僕自身も、Coビレッジで本能的に生活していて、“今”に満たされ、それをみんなと共有することで、それ以上求めなくなるっていう感覚を感じたんですね。そこには過去を考えて悔やむことも、未来を心配して忙しくなることもないんですよ。都会だと分単位で生きていて、とにかくやらなければいけないことに追われ、健康や家族をないがしろにしてしまう。でもそのやらなければいけないことって、本当に自分の人生を豊かにしているかっていったら、別だと思うんですよね。現代人は忙しさからか、ヒッピーカルチャーが大切にしている“今”に満たされている感覚を忘れてしまっている。大切な人と一緒にいる時間や、その瞬間にしか見ることのできない景色を大事にでき、すでにある幸せに目を向けることから、心の充足感へとつながるのだ。必ずしもヒッピーになれば人生が豊かになるということではない。ただ、今の生活にモヤモヤしたものを感じていたり、新しい生きがいを見つけたいと思っているなら、鯉谷氏が提案するNuMundoで、ヒッピーカルチャーを体験してみてはどうだろうか。いつもの都会暮らしから逸脱し、自分を俯瞰的に見ることで「自分の人生の豊かさとは何か」を考えるいいきっかけになるかもしれない。***Yoshihiro Koitani
2017年10月27日YOUTUBEのチャンネル登録者数が27万人を超える人気YOUTUBER、Jenny Mustard(ジェニー・マスタード)。主にミニマリストなライフスタイルやファション、そしてメイクアップについて発信している。そんな彼女がファンから一番聞かれるという質問が、「なんで眉毛ないの?」。確かに…眉毛ないって珍しい。もしかして病気?それともフェミニズム的な思想が隠れてる?もしくは…政治的表明?そんなみんなが気なる質問に、ぐうのねもでない単純明快な返事を返したビデオを今回紹介したい。彼女は自分に眉毛がないことをよく思わない人がいるのは承知しているし、リアルでもオンラインでも、毎日ように向けられるネガティブな声があることも分かっている。その上で、自分の”好き”を表明しているのだ。「それの何が悪いの?」と言わんばかりに。彼女の姿勢を羨ましく思ってしまうのが、今の筆者の現状だ。日本には「出る杭は打たれる」という社会観がある。目立たず試みず。これじゃあ過敏に人目を気にするようになるのも、無理はないのかもしれない。私たちはジェニーにはなれないのかな?でも、彼女も最初からこんなに強かったわけじゃない。人並みに葛藤はあったらしいのだ。初めていつもと違う個性的なスタイルに挑戦するとき、家の外に出るのが怖い、道行く人の反応が気になる…っていうのはすごくわかる。私も昔はもっと個性的だったから。人に笑われたりしたこともある。でも、あなたのスタイルはあなただけのもの。性格と一緒で、それが気にくわない人もいる。それを気にする必要はないの。そう、今では確固たるスタイルを持つジェニーも、昔は私たちと大差がなかった。少しずつ進んできたのだ。そうして彼女は、一つの答えを見つけだす。「人生は他人の意見を気にするには短すぎる」。「あなたは今の自分のスタイルが本当に好き?」この問いかけにはまだ答えられない。でも、「もちろん!」って言える日が、そんなに遠い日ではないことはなんとなく分かる。だって人生は短い。筆者はこれから、好きなスタイルで、短い人生を目いっぱい生きていこうと思う。あなたはどうする?***Jenny Mustard
2017年10月26日皆さんはイギリス、と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?まず頭に浮かぶのは紅茶、王室、不味い料理、ハリーポッターなどでしょうか。私にとってのイギリスは「分断」という言葉が一番よく表してくれる気がします。年間数百万円もの学費がかかるパブリックスクール(私立学校)に通うことができるのは、豊かな社会経済的背景を持つ、いわゆるアッパークラス(上流階級)からアッパーミドルクラス(中流上位)の子供たちです。 「21世紀にもなって階級社会がどうのこうのなんて何を言ってるの?」と思われるかもしれませんが、私はボーディングスクールで、10代のイギリス人の子供達が当たり前のように「 But he/she is from middle class.(でも彼/彼女はミドルクラス出身だから)」と言い放つ姿を何度も見てきました。 たとえ同じ白人系イギリス人であっても階級という差別から逃れられないボーディングスクールという狭い社会の中で、日本人として生きるというのはとても難しいことでした。リッチなイギリス人の子供達に囲まれて日本人として生きること第二次世界大戦中、日本とイギリスが敵国同士であったというのは、日本ではアメリカと比べ、あまり意識されていないような気がします。 ブリジットジョーンズの日記というイギリスを舞台にした有名なラブコメ映画で、主人公のブリジットが恋に落ちるマークは過去に妻に浮気され離婚に至った、というエピソードがあります。 高齢のマークの母は、 ブリジットにそんな話を耳打ちしつつ、「奥さんは日本人だったの、とても残酷な人種だわ」と言い捨てるのです。 CCFの訓練中、もし日本とイギリスがまた戦争をすることになったら、今横に並んで共に行進をしている友人たちは日本と戦うのだろうか、もし今銃で撃っている的がただの木製の的ではなくて日本人になったら、彼らは同じように日本人は残酷な人種だから、と言い捨て戸惑いなく引き金を引くのだろうか 、幾度もそんなことを考えました。生まれてから一度も疑うことのなかった、自分の日本人というアイデンティティーを捨てさせられ、イギリス人というアイデンティティを強制させられるということがとても辛く、幾度も自分のアイデンティティが分からなくなりました。 今思い返せば、こういった訓練がエリート育成機関であるパブリックスクールで必修であるという事実こそが、イギリス社会の根深い分断を表しているように思えます。 イギリスの正式名称はグレートブリテン及び北アイルランド連合王国(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)、本来、イングランド、スコットランド、ウェールズそして北アイルランドという4つの異なる国によって構成される連合国なのです。 互いに何度も侵攻を繰り返してきた4つの国が、UKという一つの国として成り立つためには、CCFやOTCといった軍事訓練で愛国心を鼓舞させることが欠かせないのでしょう。多様的なロンドンでイギリスのもう一つの顔を知ったCafé OtoやBrilliant Corners、Pacific Social ClubにMamachari Clubなどの日系の店々で日本の文化がハックニーの人々に愛されている姿を見て、日本と日本人としての自分のアイデンティティがやっと受け入れられた気がして、ボーディングスクールでは知ることのなかったイギリスの新たな一面を知り、やっとイギリスという国が好きになってきた矢先のことでした。この投票で、週末気軽にパリに遊びに行くことや、東地中海上に位置するキプロス島でホリデーを過ごすこと、ベルリンにアーティストとして移住することや、クロアチアのフェスティバルに行くことなど、ロンドンの友人たちが当たり前のように行使していたそれらの権利を享受することができるのは、イギリスの極一部の地理的にも経済的にも恵まれた人間だけであったことを知りました。 過去、被支配者階級を分断し互いを争わせる分断統治と呼ばれる政治手法を用いて植民地支配を繰り広げてきたイギリス自体が、未だ根深い分断社会である事実が露呈したのは、皮肉としか言いようがありません。差別されて気づいた「自分の差別」私がそんなボーディングスクールへの留学を通して得た一番の経験は、きらびやかなイギリス白人上流階級の生活を垣間見たことでも、流暢な英語が喋れるようになったことでもなく、社会の権力構造を階層の頂点に近い場所から見渡し、かつ自分とそこにいる人々との違いを見せつけられ、差別される側になり、初めて差別と不平等が存在することと、それらの不合理さが分かるようになったことだと考えています。日本で日本人として暮らしていても感じることはなかったであろう人種差別の残酷さ、そして日本では語られることの少ない階級社会の不公平さ、初めてそれらに疑いを抱き、異議を唱えられるようになりました。一方ロンドンでは、ボーディングスクールとは正反対の多様性に溢れたイギリスを見ることができ、人種、階級、ジェンダー、セクシュアリティなどにかかわらず様々な人にとって、これほど住みやすい場所があるのだと驚きの連続でした。二つの異なるイギリスの顔は、私に差別の様々な側面を教えてくれました。私の経験を通して少しでも日本社会にも潜む様々な差別について考えてもらえれば幸いです。Blog::@lisatanizAll photos by Kisshomaru ShimamuraText by Lisa TanimuraーBe inspired! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!「日本に行けば誰とでもヤレる」。迷信を信じる外国人の“差別的なフェチ”に激怒し、声を上げた一人の女性 「イエローフィーバー」という言葉を聞いたことがあるだろうか。欧米文化でアジア人を差別的に指す「イエロー(黄色い肌の人種)」と、病気を示唆する“熱”という意味を持つ「フィー...
2017年10月26日“お嬢様学校”というと、お堅そうだから自分は入りたくないと否定的に感じる人もいれば、反対に「清楚さ」への好感や上品さへの憧れのイメージを抱く人もいるだろう。今回Be inspired!がインタビューしたのは、ある“お嬢様学校”に通った経験があり、そこで感じた「違和感」を原動力に、「21世紀を生きる女性の多様な生き方に寄り添い、サポートする事業」を行なうSHE株式会社を起業した26歳の中山紗彩(なかやま さあや)氏。 彼女は学校という「狭いコミュニティ」の危険性や、人が自分の人生を生きるのに必要な「自己肯定感」を感じられ、自分の価値を発揮できる場所の必要性など、普遍的な問題について改めて考えさせてくれた。“お嬢様学校”で、彼女が初日から感じていた「違和感」「髪が肩についたら二つ結びをする、胸上についたら三つ編みにする、ポニーテールはだらしないから禁止とか、そんな感じでした」。彼女が小学校から高校まで通ったのは、そんな一風変わった校則が存在する、「お嬢様学校」と称されるような私立の女子校だった。彼女は入学した日から学校に対して何かしらの違和感を感じていたそうだ。だから、ある意味で彼女は学校生活を通して「異端児」だったといえるのかもしれない。
2017年10月25日