Be inspired!がお届けする新着記事一覧 (20/30)
2017年の8月で国が、「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法(以下、ホームレス自立支援法と称する)」を解消しようとしていることをご存知だろうか?この法律は、自立を望むホームレスに職探しや医療、住居の確保などのサポートを与えることを目的としているが、15年間の時限立法で2017年8月に期限を迎えてしまうのだ。(参照元:大阪市立大学都市研究プラザ)▶︎この法律について詳しくはこちらから。
2017年04月11日「百間は一見に如かず」。私たちは溢れる情報に囲まれて生きている。しかしその情報がどれだけ信憑性のあるものなのか、どれだけプロパガンダ(特定の考えを押し付けるための宣伝)なのか、もしくは思い込みなのか、というところで首を捻る。国際問題、国際経済、国交、どれもこれも「聞いた話」だ。Be inspired!のライターであるバンベニ桃は2006年から約3年間、ヒッチハイク&民泊のスタイルででユーラシア大陸横断、そしてアフリカ大陸を縦横無尽に旅した。45Lのバックパックに少しの着替えとカメラと画材、テントを詰め込んだ旅だった。旅で訪れた国は75カ国を超える。今回は自分のそれまでの価値観や固定概念、考え方を見事に変えてしまったこの旅の体験記をシェアしたいと思う。
2017年04月10日先月26日、イギリスの人々が母の日を祝っていたころ、ロンドンに突如現れたのは「乳房の形」をした巨大な風船アート。これには、ロンドンで起きた“ある事件”が関係していたという。
2017年04月09日2014年、アメリカのテキサス州で、ある悲惨な事件が起こりました。当時16歳だったジェイダ・スミスはハウスパーティーで飲みものに意識を失う薬を入れられ、レイプされたのです。更に加害者は気を失い横たわる彼女の姿を写真にとり、ツイッターやインスタグラムで誇らしげに投稿しました。悪夢はそれだけでは終わりませんでした。その写真を見たインターネット上の一部の人々が彼女が気を失い横たわっているポーズを真似て、まるでジョークかのように#jadapose(ジェイダのポーズ)とハッシュタグをつけて写真を投稿したのです。そんな写真やハッシュタグが拡散し、彼女は同情されるどころかインターネット上で「尻軽女」や「お前が悪い」などの誹謗中傷を受け続けました。(参照元:The Gurdian)本日は、そんな悪夢のような体験をしたジェイダが、彼女のような被害者を二度と出さないために始めた勇気あるハッシュタグアクティビズムをご紹介したいと思います。
2017年04月07日米国、カリフォルニアにはチェーン店にも関わらず、店舗の場所によって食事の値段が異なるレストランが存在する。一見、不平等だと感じるのではないだろうか。しかし実はこのチェーン店、どこよりも「平等」な革命的なビジネスモデルを実現したのである。
2017年04月07日日本でも注目された今年のアカデミー賞授賞式。その晩の豪華な夕食会で余ってしまった食事を、大ヒット映画『スラムドッグ$ミリオネア』に出演したインド出身の俳優*1フリーダ・ピントーが、ハリウッド近郊に住む800人のお腹をすかせた人々に提供した。
2017年04月05日もし、毎朝ストレスの源となる満員電車とバイバイし、これまでより健康的な身体を手に入れ、しかもお金がもらえる会社への通勤方法があるとしたら…?そんないい話なんてあるのかと疑いたくなるだろう。しかし、オランダのデジタル広告代理店Acatoではそれが可能なのだ。
2017年04月03日生理用品の値段が高い!これは日本の多くの女性が抱えている不満なのではないだろうか。自分でコントロールすることが出来ない上に基本的に毎月必要な消耗品だからこそ、安くして欲しいと思ってしまうもの。一方インドでは、そもそも生理用品が手に入らないという根本的な問題が存在する。これは、インドの女性の健康や教育、仕事などに関わる深刻な問題だ。インドの人口の16%の女性しか使っていない生理用品という「贅沢品」。
2017年04月02日世の中には、女性が突破できていない“ガラスの天井”がある。そんな天井を壊す女の子がニューヨークのウォール街に現れた。Photo byAngie Chambe「ガラスの天井(glass ceiling)」という表現を聞いたことがあるだろうか?これは、女性が組織内での昇進を目指したときに打ち当たる、目に見えない障壁ことだ。最近では性別だけではなく、人種やセクシュアリティ、年齢や宗教的にマイノリティの人々に対しても使われている。女性の昇進をめぐる障壁は世界で未だに取り除かれていない。2015年にはアメリカの証券取引所に上場する代表的な500企業のうち、12%が女性をCEOとしていたが、2016年には4.2%にまで下がった。(参照元:The Independent)また、日本に関しても2015年の時点で全国にある企業のうち7.5%が女性の社長によって運営されているに過ぎない。(参照元:帝国データバンク)それから、昇進だけではなく賃金面で男性との差があることが同じく問題だ。2015年、アメリカでフルタイムで働く女性は、平均して男性の80%の賃金しかもらえていない。(参照元:AAUM)日本の場合は、2016年で男性の73%程度だ。だが、これでも賃金格差は縮小しているのだという。(参照元:朝日新聞デジタル)このような格差の消えない状況のなかで、話題になっている「少女像」がニューヨークのウォール街に存在する。その名も「恐れを知らない少女(The Fearless Girl)」。人々は彼女と写真を撮り、#SheMakesADifference(彼女が違いを生む)というハッシュタグとともにSNSに投稿しているようだ。Photo byBryan & Megan Jacksonこの少女像を制作したのは、彫刻家のクリスティン・ビスバル。「女性の取締役を増やしたい」という願いから、パブリック・アートのプロジェクトとして、資産運用を行なう企業のステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズと共同で「世界女性デー(International Women’s Day)に合わせてウォール街に設置された。(参照元:CNN)これは4月2日までの期間限定で設置される予定だったが、「永久的に残して欲しい」という多くの声により、少なくとも2018年の2月までは同じ場所で見ることができる。(参照元:CNN)Photo byBryan & Megan JacksonPhoto byDeanna Zandtこの少女像にどんな期待ができるだろうか。ウォール街という金融の中心地に「目に見える」恐れを知らない少女の姿があることで、女性の昇進が可能なものだと人々に教えられるかもしれない。Photo byScott Beale<少女像に向かい合う水牛像>少女像を実際に見に行ってみると、向かいに「水牛の銅像」が置かれており、その水牛を前にしても恐れを知らない彼女に勇気づけられるであろう。Text by Shiori KirigayaーBe inspired!この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!賛否両論。米プレイボーイの誌面を飾った若きイスラム女性の“攻め”の生き様。 「ムスリム(イスラム教徒)」と聞いて何を想像するだろうか。「ヒジャブ」と呼ばれる頭と首を覆うイスラムの伝統的なスカーフを被る女性たちや、一日に幾度かのお祈りをする姿、はたまた“イ...
2017年04月01日世間は「若さ」こそが美しさだと言う。もてはやされるのはいつも若い世代だからだ。でもそのような人生の一時期にしか「美しさ」を人々は持てないものなのだろうか?「若さ」が「美しさ」だと言われる社会とその問題商品の宣伝をする雑誌の広告やテレビCM。それらに起用されているのモデルやタレントの年齢層に注目して欲しい。多くは若い女性ではないだろうか。彼女たちが宣伝に繰り返し使われることで「若さ」はブランド化・商品化され、私たちは美しさや人の魅力は「若さ」にあると思い込み、若さを追い求めてしまうのだ。この「若き美しさ」の追求は、時には問題となってきた。最近では、高級ブランド「クリスチャン・ディオール」の2015年の「顔」に14歳のモデル、ソフィア・メシェトナーが採用されたことに波紋が巻き起こっている。このようなファッション業界の「若さ」の商品化に対する対応として、ロンドン・ファッション・ウィークの契約デザイナーは16歳以下のモデルを起用してはいけないという方針を打ち出した。(参照元:ロイター)Photo by Lonelyそんな「若さ」と関連づけられるような「美しさ」に50代のモデルと、ニュージーランドのランジェリーブランドが警笛を鳴らした。「年を取った美しさ」を世間に気付かせるキャンペーンニュージーランドのランジェリーブランド、「ロンリー(Lonely)」が2017年の秋冬ラインのモデルに起用したのは56歳のモデルのマーシー・ブリュワー。彼女は90年代当時、爆発的な人気を誇っていたケイト・モスやナオミ・キャンベルなどの若き売れっ子モデルと共に仕事をするようなモデルだった。「強く、自信があり、社会の規範に挑戦する女性像を賞賛する」というブランドポリシーを持っているロンリーは、マーシーが「ロンリーの世界観」を体現する存在だと考え、キャンペーンのモデルに起用したという。“美容やファッションの業界は、若さに取り憑かれている。でも実際のところ、すべての人は老いていくもので、年を取ることで経験できる素晴らしいこともたくさんある。年齢という、自然で避けられない過程を「避けられないもの」としか言わないなんて…。”(Lonly Autumn/Winter 2017 Portrait series featuring Mercy Brewerより)人間はなぜ避けられない「老い」というものを、わざわざ否定的に考えているのだろうか。私たちは「若い人が美しい」という社会的価値観にとらわれてしまっているのだ。「年を取る自分」をどう楽しむのか若いときの「美しさ」は永遠のものだろうか。おわかりの通り、多くの場合それは永遠に続かない。続かないからこそ人々は「若き美しさ」を追い求めるのかもしれない。だが、年を取った「美しさ」には若い人にはない、その人の歩んだ人生の反映された美しさがある。いつかはなくなってしまう「若さ」ではなく、自分で作り上げていく内面にこだわっていってはいかがだろうか。マーシーが証明したように、若さだけが美しさなのではない。本キャンペーンは「老いた美しさ」を見せることで若いモデルばかりを目にする多くの人々に新たな“ビジュアル・ボキャブラリー”(視覚的な語彙)を提供し、それぞれの心に響かせていくのだろう。All photos by Harry Were unless otherwise stated.Text by Shiori KirigayaーBe inspired! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!ニューヨークが教えてくれた、「美しいおっぱいの定義」。 「乳がん」という病気が女性だけのものだと思ったら大間違いだ。事実、日本の女性の12人に1人がかかり、そして男性もかかることのある、決してだれも他人事とはいえない病気なのだから。...
2017年04月01日なんとなくの雰囲気でお茶汲みをするのはいつも女性社員。仕事に対する意見を述べたら、めんどくさいお局扱い。何かにつけて「女なんだから〜」と指摘する男性の上司。あなたの職場ではこんなことが当たり前になってはいないだろうか?日本の社会の中で常習化され、もはや被害者、加害者ともに無自覚になってしまっているこれらは、れっきとした男女差別であり、いわゆる「モラハラ」だ。「モラハラ(モラルハラスメント)」とは、社会生活や日常生活における言動に対して、言葉や態度、身振りで相手を傷つけること。(参照:Weblio)執拗に繰り返される暴言、あるいは無視など特定の誰かを明らかに攻撃する「いじめ」とも言える行為から、呼吸をするのと同じくらい「無意識」に放たれる些細な一言まで私たちの生活のいたるところに溢れ、いつもどこかで誰かが被害者となっている。そんな社会に蔓延する女性への「黙認されたモラハラ」に対抗すべく、先日スマホアプリが開発された。最新技術を駆使した、「モラハラ男を黙らせるアプリ」とは?男を黙らせる「ひみつ道具」誕生。動画をご覧いただきたい。※動画が見られない方はこちら「Man(男性)」と「Interruption(妨害)」を合わせてできた言葉「Manterruption(マンテラプション)」。女性が発言している途中で男性が不必要に割り込み妨害する行為を指し、数年前から欧米で問題視され始めた「モラハラ」の1つである。このManterruptionを撲滅するため、ブラジルの広告会社BETCSãoPauloが3月8日のInternational Woman’s Dayに発表したアプリが「Woman Interrupted」だ。夫婦間での会話や職場での会議など、私たちの生活における様々な男女の会話の場で男性が女性の話を妨害した数、つまり「Mantteruption」が起きた回数、をカウントしてくれるのがこのアプリ「Woman Interrupted」。使い方はとても簡単で、自分の性別と声を登録し、異性との会話中に起動させるだけでアプリがスマートフォンのマイクを通し男女の声を自動でデータ解析する。解析されたデータはグラフ化され、直近の会話だけでなく、その日1日、1週間、1ヶ月、1年の間で起こった「Manterruption」の回数を知ることができるのだ。アプリ起動中の会話は自動で音声データに変換されるため、会話の内容が記録されることはなく、個人情報などの流失や盗用の心配はない。ブラジルの広告企業トップ10にランクインする企業の中で唯一女性が代表のBETCSãoPaulo。この企業で働くWoman Interruptedの開発者ガル・バラダス氏は、昨年のアメリカ大統領選、1度目の討論会でトランプ氏がクリントン氏の発言を妨害した51回という数字に注目し、このアプリの開発に至ったという。一見、小さな問題のように思われがちなこのManterruptionだが、この行為は女性たちから自分の意見を述べる機会を奪い、学業やキャリアの大きな妨げとなっており、その事実を多くの人に気付かせることがこのアプリの目的であると彼女は話している。(参照:Woman Interrupted)男女差別×モラハラ一般的にモラハラの加害者は自尊心が強く「自分よりも優秀な人間を認めたくない」という人が多いと言われている。さらに、必ずしも全員ではないが男性は仕事に対する評価欲が女性より強い傾向にあるという点も合わさり、女性の社会進出が進む現在、「周りに優秀だと認められる女性」が、男性のエゴの矛先となってしまうのだ。米HuffingtonPostでは、アメリカのある会社で同じクライアントとのメールを女性社員の名前でやり取りをした際と、男性社員の名前でやり取りをした際とではクライアントの対応が大きく異なり、同じ技量の社員でも「女性」というだけでハンデがあるという旨のニュースが取り上げられ、ビジネスの世界に根付く男女差別の実態が浮き彫りとなった。(参照:Huffington Post US)職場のみならず社会の様々な場面で男女平等が唱えられている現在だが、法律や規則などでは超えられない壁が未だに存在しているのだ。Photo by iprice今回取り上げたのは女性が直面しているモラハラについてだが、男性も女性からのモラハラ被害にあっている場合があることを忘れてはいけない。私たちに必要なのは「もしかしたら自分もモラハラの被害者もしくは加害者なのかもしれない」という当事者意識を持つこと。一人の無意識の行動や言葉が職場や学校、家庭、さらには通勤電車の中でも誰かを傷つけている可能性があるのだ。アプリ「Woman Interrupted」はその「無意識」を社会全体で解決していくべき問題として可視化するのに大きな貢献をしただろう。自分自身の行動を今一度客観視し、規則や経済面だけでない本当の意味での「男女平等な社会とは何か」をじっくりと考えてみてほしい。All photos by Woman Interrupted unless otherwise stated.Text by Chisato TanabeーBe inspired!
2017年03月31日スケートボードというと1990年代に流行したストリートカルチャー発の遊びというイメージかもしれない。そんなスケボーが、中東の国アフガニスタンでは「平等の象徴」として貧困に苦しむ子供たちを笑顔にしているという。それはどういうことなのだろうか。日本の1.7倍の国土を持つ、中東の国アフガニスタン。人口は約2,860万人(参照元:外務省①)であり、日本の人口の5分の1程度だ。1979年にソ連が内政に軍事介入してから続く内戦の影響で、この国はさまざまな問題を抱えている。国外に出て行く難民や食料不足などだ。(参照元:外務省②,③)なかでも酷い現状は、子供たちが「子供でいられる時間」を奪ってしまう「児童労働」や「児童婚」などの問題。家族を養うために労働を強いられている7歳から14歳の子供たちは4人に1人程度いると推定(参照元:AFPBB News)される。また、アフガニスタンの多くの国民が信仰しているイスラム教は「児童婚」を禁止しているのにも関わらず、女性の児童婚率は極めて高く、5人に約1人が15歳より前に結婚(参照元:日本ユニセフ協会, GOOD Sports)している。児童労働や児童婚の背景には深刻な「貧困の問題」があり、悲しいことに家族が相手方から得られる「結婚持参金」を頼りに幼い娘を嫁に行かせるケースが多いのだ。(参照元:日本ユニセフ協会)「スケボー」を使えば、「子供」がもっと「子供」でいられるアフガニスタンには、「児童労働」や「児童婚」などを強いられている子供たちを支援する団体が数多く存在する。そのなかでもスケートボードを使ってクリエイティブワークやスポーツを中心とした教育活動を行なうユニークな団体がある。その名も「スケートイスタン(Skateistan)」。彼らはアフガニスタンだけでなく、カンボジア、南アフリカで活動する非営利団体で、特徴的なのは「スケボー」を使った遊びを通して教育を行なうところにある。提供するプログラムはすべて無料だ。アフガニスタンの首都カブールに暮らす12歳のナジブくんは、学校に行きながら、家族を養うために市場で買い物した人の荷物を運ぶ仕事を1日8時間もしている。そのため友達と遊ぶ時間があまりない彼が、最も楽しみにしている時間は週に1度だけ参加するスケートイスタンで友達とスケボーをすることだという。稼ぎが減ってしまうため彼らのアクティビティに毎日は参加できないが、家族の理解があるおかげで通い続けられている。(参照元:GOOD Sports)スケートイスタンは、彼のような事情を抱えた子供が「児童婚」や「児童労働」の問題から離れて、「子供でいられる時間」をなるべく持てるように働きかけている。スケートイスタンに参加している子供の半分以上が、ジェンダー格差により立場の弱い女の子か、道端で働かされている子供だ。「クリエイティブな力」の持つ大きな意味さらに、スケートイスタンはアフガニスタンの一般的な学校では教わることのできないクリエイティブワークを教えている。プログラムは大きくわけて3つ。①スケボー&クリエイト、②バック・トゥ・スクール(学校に通えていない子供の学習を助けるもの)、そして③ユース・リーダーシップ。幼い子供も参加できる「スケボー&クリエイト」では、スケボーだけでなく、ペイントや彫刻、写真などのアートの体験の機会を提供し、人権や環境について教えている。(参照元:Skateistan)このようなクリエイティブワークは、果たしてどのような教育的意味を持つのだろうか。クリエイティブな教育は、家族のために労働を強いられている子どもたちにとって必須なものではないという見方もあるかもしれない。だが、そんな環境にいるからこそ、狭くなっている世界を広げてくれる「クリエイティブな思考」が必要なのではないだろうか。学ぶ楽しさを知ることで、発想力や物事の捉え方が広がり、将来の目標を幅広い選択肢から見つけられるようになるのだ。スケボーがもたらす効果今や、アフガニスタンの女性スケーター数を世界一にまで成長させたスケートイスタンは「スケボーは平等の象徴」だと考えている。例えば、宗教上、女性が自転車に乗ることは好ましくないが、スケボーは性別を問わず乗ることができるからだ(だが宗教に配慮して女性だけのクラスを設けている)。そこでさまざまな人と関わりながら行なうスポーツやクリエイティブワークを通して芽生えるのは、自分に対する自信や、自らが次世代の「ロールモデル」となってやろうとする意識である。(参照元:Skateistan)なかには、プログラムを通してスケートイスタンのボランティアになったり、子どもたちを指導する立場になる子たちが存在する。現在13歳のラティファちゃんもそうだ。彼女はスケボー&クリエイトプログラムを経て、スケボーを教える役に選ばれ、スケートイスタンの運営を手伝ったり幼い子供たちの指導をする体験をしている。彼女がスケートイスタンに来るのは「好きで学びたいものがあるから」だという。(参照元:Skateistan)ラティファちゃんこのように、スケートイスタンはスケボーで、アフガニスタンの子供たちに「子供でいられる平和な時間」と「その後の人生に大きな変化をもたらす経験」を提供し、児童労働の問題に取り組んだのだ。彼らの取り組みに習えば、世界の問題を解決しようとするとき、既存の方法にとらわれるのではなく、前例のないやり方で挑戦してみるのがいいのかもしれない。問題の解決だけではなく、驚くべきことに、アフガニスタンの女性スケーター数を世界一にまで成長させたのだから。 ***SkateistanクールなスケートイスタンチームPhoto by Nam-Chi Van<スケートイスタンのコミュニティに関わりたい方へ>子供たちの教育プログラムへ月10ドル以上の寄付をすれば、「スケートイスタン市民」となり、スケートイスタン特製のバッジやTシャツ、パーカーなどが金額に応じてもらえます。詳しくはこちら。また、先ほど紹介したようなアフガニスタンの子供たちをめぐるストーリーや写真を集めた本もスケートイスタンから発売されています。詳しくはこちら。 All photos by @skateistan unless otherwise stated.Text by Shiori KirigayaーBe inspired! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!9杯目:女性が気軽にスケボーできない国。#YourWishFor2017|「丼」じゃなくて「#」で読み解く、現代社会 皆さん、こんにちは。久しぶりのハッシュタグ・アクティビズムの連載です!今回は日本から飛行機で15時間程度かかる国、サウジアラビアに関するものです。今から1年ちょっと前の2015年...
2017年03月31日「お金を払うから単位が欲しい」学生時代、卒業するための単位が足りず、ふとこんなことを思った経験がある人は少なくないのではないだろうか?しかし実は今、「お金」も「単位」も同時にもらえる制度がイギリスで登場し、若者に大人気なのだとか?親子で連鎖する格差近年、日本では「学歴の時代は終わった」「今は学歴なんて関係ない」というのを耳にする機会が増えた。しかし、親の学歴や所得格差によって生じる「親子間連鎖」は未だ問題視されている。厚生労働省が発表した平成28年度の賃金構造基本統計調査の結果によると、最終学歴で比較する月収の差は大卒の初任給の平均が20万3400円に対して高卒の平均は16万1300円と約4万円の差。一番差の大きい50〜54歳の平均月収では大卒が53万5200円なのに対し高卒が34万7000円と約20万円の差がある。(参照:厚生労働省)この結果からわかるのが、学歴格差がそのまま家庭の経済格差へと繋がっていくということ。そして、その経済格差が「塾へ通わせる」「大学に進学させる」など、子供の教育機会にも格差を生み、そのまま子供の学歴や所得の格差へと連鎖しているということだ。日本だけでなく世界各地で起こっているこの“負の連鎖”を断ち切るべく2015年にイギリス政府が大学や企業と協力し、画期的で新しい学歴の作り方を導入した。それが「ディグリーアプレンティシップ(Degree Apprenticeships)」だ。この制度は開始後わずか1年で参加者が約6.5倍にまで急増した。働いて学歴を作る「単位」x「見習い制度 」とは?
2017年03月27日「パイナップルはおもてなしのフルーツだ」とどこかで聞いたことがある。調べてみると確かにそうで、古くからブラジルなどの国でパーティー会場の入り口には、歓迎、友情、おもてなしの象徴として「パイナップルを丸々置いて飾っておく」という風習があったようだ。(参照元:learn2grow)一方、ハワイでは「王位のフルーツ」とも称されるパイナップルだが、2017年になって今度は全世界の動物を救う「神的なフルーツ」へ昇格しようとしているのだとか。
2017年03月24日都会ではなく、田舎から発信するアコースティックなレゲエバンド「かむあそうトライブス」。彼らは、畑を耕し、薪を使い、自給的でシンプルな暮らしを好み実践している。メンバーは鍼灸師、畳職人、山小屋でレストランやデザイン事務所経営など、実にユニークな仕事をしながらの音楽活動だ。今回Be inspired!は、電気に依存しないという、先鋭的な思想と発想を持ち、原発についても歌う彼らが日本で起こそうとしている「ハッピーな革命」について伺った。彼らの暮らしと音楽活動についてはこちらから。
2017年03月24日アコースティックな音で、独自のスタイルのレゲエを奏でるかむあそうトライブスは当初、岐阜県美濃の山村(神渕村、上麻生等)の田舎で村おこしバンドとして結成された百姓バンドだ。レゲエ特有のノリの良いその歌とは裏腹に、物質社会に疑問を問いかける歌詞は、田舎暮らしを楽しむ人のみならず、現代社会の行方に疑問を持つ人、自然を愛する人などの心を掴み、広がっていった。彼らの曲はミュージシャンでもあり、政治活動家でもある三宅洋平にも愛され、彼のライブでカバーされている。今回このかむあそうトライブスにBe inspired!が彼らの暮らしや音楽活動についてお話しを伺った。
2017年03月23日情報が溢れる現代社会は、一見すると昔に比べて多様な価値観に触れる機会が増えているように見える。しかし実際はその逆で、自分と合わない情報や合わない人と接するチャンスは減少しているかもしれない。ユーザーの関心が高い投稿を優先して表示するというSNSのアルゴリズムが導入されたことで、わたしたちは無意識のうちに自分が好む情報しか入手できなくなっているし、個人主義と謳われる現代では信念や思想が異なる人と関わらずに生活することもできる。このような世界は確かに居心地よいものかもしれない。しかし結果的にわたしたちは、思想の近い人たちの間でだけ頻繁に情報のやり取りを行い、外部と遮断された同質のコミュニティーの中で偏狭的な考えを強めているのである。いま必要なことは、自分と異質なものを早急に拒否することではなく、合わない人と積極的に話すこと、そして違いを理解しようと努めることではないだろうか?
2017年03月23日サンサンと照らす太陽に、無限と広がる透き通った海。コーヒーがおいしくて、近頃では若手のアーティストを次々と輩出し、芸術が盛んな国。実際に行ったことのない筆者のオーストラリアのイメージはそんな感じです。来年あたりはぜひ行きたい。とはいっても、どんな国にもダークサイドはあるもの。本日はそんな太陽の国オーストラリアから始まった、人種差別問題に挑戦するハッシュタグアクティビズムを紹介したいと思います。▶︎ハッシュタグアクティビズムとは?
2017年03月23日アーティストでありミュージシャンでもあるケン・バトラー(Ken Butler)さん。彼はゴミやガラクタを使ってこれまで実に400以上にも上る楽器を制作してきた。
2017年03月21日ファッションフォトグラファーのワンダ・マーティン。彼女が被写体に選んだのは、人種やセクシュアリティの異なるカップルたち。そのフォトプロジェクトの名は「Lovers(愛し合う者たち)」。これを通して彼女が伝えたかったこととは? 「セクシュアリティの流動性」と「愛の普遍性」ワンダが「Lovers」を通して表現したかったことは、セクシュアリティは移り変わるということ、セックス(生物学的な性別)やジェンダー(社会的な性差における性自認)、異性愛や同性愛などの違いを越えて「愛」が普遍的であることだ。(参照元:Dazed, Konbini, ESTO)実際にセクシュアリティは流動性のあるもので、人生において自分の性自認や性的指向、性的嗜好が変わってもおかしくない。 若い世代とダイバーシティ世界では同性婚の問題などの「性の多様性」や、移民に対する差別問題などの「人種の多様性」に関する問題が議論の的となっている。そんな世の中を生きる若い世代にとって「ダイバーシティ」はどんな意味を持つのだろうか?ワンダがLoversプロジェクトを「ユースカルチャーの一端を見せるもの」だと話しているように、若者にとってダイバーシティはもはや当たり前で、ダイバーシティが現代ユースカルチャーのキーワードとして成立しているようだ。(参照元:Dazed)そんなカルチャーの流れを伝える役割を果たせるのは、彼女のようなフォトグラファーやアーティストなのかもしれない。あなたはこれらの写真から何を感じるだろうか。All photos by Wanda MartinText by Shiori KirigayaーBe inspired! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!エロくない、「性器&おっぱいパイプ」を作るアーティスト。 女性器や男性器、あるいはおっぱいの形をした、“エロくない性器アート”。少しグロテスクだけど可愛らしい陶器作品の持つ意味とは何だろうか?陶器で作られた、一...
2017年03月20日2050年。今から33年後には、世界人口は70億人から92億人まで増加すると言われている。(参照元:農林水産省)人口の増加に伴って、必然的に必要となってくるのが食料。33年間で現在より70%も増加させないと世界中の人のお腹を満たすことはできない。(参照元:Food and Agriculture Organization of the United Nations)しかし、世界中にはすでに飢饉で命を落としている人々が存在する。現段階では食料は足りているにも関わらずだ。実は、現在の世界人口の9人に1人が飢えに苦しんでいる。(参照元:WTP)なぜなら私たちは毎年「30億人分もの食料」を捨ててしまっているから。全人類の生死に関わる「フードウェイスト(食品廃棄)」という深刻な問題が世界中で起こっている現状に心を痛め、たった1人で立ち上がり国を変えた女性が北欧デンマークに存在する。食べ物を平気で捨てていたデンマーク人
2017年03月17日先週の今日、3月8日はインターナショナルウーマンズデイでした。1908年にニューヨークで始まったと言われているインターナショナルウーマンズデイは、女性の存在を祝い、ジェンダー間の平等を一団となって訴える祝日です。▶︎インターナショナルウーマンズデイについてもっと詳しくはこちら今年は特に、トランプ大統領の男尊女卑的な発言が大問題となり、それに反する人々による白熱したデモが世界中で繰り広げられました。日本も例外ではありません!他国と比べると規模は小さかったものの、女性に対する暴力や労働環境の男女間の格差、日常の中のジェンダーステレオタイプを打破するべく、若い人からお年寄りまで男女問わず参加者が一丸となって声をあげました。表参道・渋谷辺りを参加者が平和に行進した様子がこちらです。All photos and texts by Noemi Minami ーBe inspired!
2017年03月15日今、世界中で空前の「日本茶ブーム」が起こっているのをご存知だろうか?筆者が住むドイツ北東部の都市ベルリンもその一つ。高いものは「1gあたり約1200円(10ユーロ)」と高級品ながらもベルリンのカフェや店頭で「抹茶」を目にする機会が増えてきている。
2017年03月14日世界中で毎年「1兆枚」も消費されているビニール袋。1枚10gだとすると、その重さ約1000万トン。おおよそゾウ200万頭分だ。(1頭5トン計算)それら全てのビニール袋が海に捨てられているわけではないが、毎年10万匹もの海に住む生き物がビニール袋を含むプラスチックのゴミのせいで命を落としている。そこで、「ビニール袋は環境に良くないから」と代わりに登場したのが“エコバッグ”という名のトートバッグ。今やどのブランドもオリジナルのエコバッグを販売し、「使用されることのないゴミのエコバッグ」が一家に一つはあると言っても過言ではないのではないだろうか。悲しくも、大量生産・大量消費が繰り返される使い捨てビニール袋やエコバッグ。果たして何が“エコ”だかわからなくなるこのご時世に、やっと「完璧なエコバッグ」が発明されたのだとか。
2017年03月14日米オレゴンのポートランドには、週5日手作りのヘルシーランチを30年前から変わらない、たった約170円($1.5)で提供しているカフェが存在する。その名も「シスターズ・オブ・ザ・ロード」。同名のNPOも運営する彼らのユニークなところは、現金やフードスタンプでの支払いはもちろん、労働の対価としての支払いも受け付けていることだ。Be inspired!は、そんな風変わりのカフェとNPOを運営するシスターズ・オブ・ザ・ロードのコミュニティ・エンゲージメント・マネージャーのシャノン・コガン(Shannon Cogan)さんに、日本にも必要な「多くの人の心を満たせるコミュニティの作り方」を教えてもらった。ストリートのニーズを聞いて、誕生したカフェ(Photo by Sisiters Of The Road)「シスターズ・オブ・ザ・ロード」が誕生したのは、1979年11月7日のこと。かれこれ37年以上も前だ。創業者の二人の女性は、共にポートランド州立大学(PSU)で学び、それぞれ市内でソーシャルワーカーとして働いていたサンディ・グーチ(Sandy Gooch) と ジェニー・ネルソン(Genevieve Nelson)。 仕事を通じて出会った二人は、ポートランドのオールドタウン・チャイナタウン地区で家賃として$10と労働力の提供を条件に場所を借り、シスターズ・オブ・ザ・ロードのカフェをオープンする。「シスターズ・オブ・ザ・ロード」とは、新しい姿へと変化していく途中の時期の女性を指す言葉。このカフェは①誰にとっても、特にホームレスの女性や子供にとって、安全な公共の場であること、② 温かく、滋養のある食事を安価で、もしくは労働の対価として提供すること、③地元住民に職業訓練や経験を提供すること、を目的に設立された。35年以上経った今も変わらないこの方針は、彼女たちが、実際に大勢のホームレスにインタビューし、彼らのニーズに応えるべく定めたものだ。 特徴的なのが、食事が無料ではない点だ。サンディとジェニーが話を聞いてみると、ホームレスたちは単に食事を求めてはいるのではなく、働く場、貢献できる場、そして役に立つ人として扱われることを何よりも望んでいたそうだ。タダで配給してもらうことはもちろんありがたいが、長時間、寒い中立って待たされたり、食事に困るほど貧しいことや何らかの依存症があることを証明するために質問攻めにされたりする毎日は惨めだ。お腹は膨れるが、人とのつながりも生まれないし、気持ちは満たされないまま。そこで彼女たちは、誰でも無条件にシスターズ・オブ・ザ・ロードのコミュニティを盛り上げていく仲間として歓迎し、お金以外にも労働を対価として、ゆっくりとおいしい食事ができる場を提供することにしたのだ。「トリプルエックス」がシンボル。シスターズ・オブ・ザ・ロード・カフェの仕組みPhoto by Rika Higashiシスターズ・オブ・ザ・ロードのカフェは、人種、宗教、性別などはもちろん、アル中、ヤク中…誰でも無条件で受け入れる。メニューには、値段が付いていて、お金かアメリカ政府が発行するフードスタンプ、もしくはこの場で働いて得るスタンプで支払う。仕事は、調理、掃除、配膳、皿洗い、レジ、フロントデスクなど。15分で、$1.5。25セントスタンプが6つだ。1食が$1.25で、ドリンクが$0.25だから、15分働けば、1食分。30分働けば、友人にご馳走したりもできる。 シスターズ・オブ・ザ・ロードがオープンすると、近隣の生活困窮者から歓迎され、すぐに大勢が利用するようになった。そしてある日、ストリートのニーズに合うことを証明するかのように、ホームレスのサブカルチャーとも言える、働きながら渡り歩く「ホーボー(渡り鳥労働者)」が仲間に残すサインで「良い食事とホスピタリティ」を意味する丸に入ったトリプルエックスが、店の前の歩道に描かれていた。これは現在もロゴとして使用されている。Photo by Rika Higashiシスターズ・オブ・ザ・ロードは過去37年間、ほぼ同じ仕組みで運営してきた。自分たちの信じる方法を曲げないために、政府の援助は受けず、地元企業や個人に草の根的に支えられてきた。唯一変わったことといえば、タイムスロット予約制になったことくらいだ。これは、2009年に導入されたのだが、それまでは先着順に食事をする仕組みだったため、いつも店の前には長い列ができていた。毎日500人ほどが列を成し、その待ち時間には、お酒やドラッグを摂取する人もいたり、口論が起きたりもした。それを近隣の人々が迷惑に思うようになっていたのだ。市は解決しなければ営業を禁止させるという警告を出した。そこで1月ほど店を閉めて協議を重ね、食事時間を予約できるタイムスロット形式を取り入れたのだ。そのため現在は、予約した時間に来れば、ほとんど待つこともなくスムーズに食事ができる。1日に出る食事は250食ほどにまで減ったが、客のストレスも軽減され、店内のムードも良くなったという。「量より質」を重んじた結果だ。ランチ時のシスターズ・オブ・ザ・ロードを体験現在も、昔と変わらずオールドタウン・チャイナタウン地区で営業しているシスターズ・オブ・ザ・ロード。コミュニティ・エンゲージメント・マネージャーのシャノン・コガン(Shannon Cogan)さんと共に、筆者は3月初旬の正午頃にカフェを訪れた。Photo by Rika Higashi店の前の歩道ではホームレスらしき数名が立ち話をしていて、初めて訪問する筆者は多少威圧感を感じたが、シャノンさんは彼らに明るく声をかけている。店内では今回特別にタイムスロットの受付を飛ばして、オーダーカウンターへと向かった。カウンターには、本日のメニュー、ドリンクメニュー、サイドメニューとそれぞれの値段が書かれたホワイトボードがある。私たちは、この日の日替わり定食「ココナッツ・バターナッツ・スクアッシュスープとチェダービスケットとサラダ」とホットティーを注文。これで$1.5。しかも初回は無料だ。私たちの後にはホームレス風の男女が並んでいたが、一般的なカフェのようにホームレスだからといってチラチラ見られたりすることもなく、キャッシャーとにこやかに話している。 私たちは、番号札を手にテーブルへと向かった。フードスタンプなどが支給されたばかりの月初は空いているというが、この日もスムーズに席を見つけて座ることができた。既に食事をしている人たちの中にもシャノンさんの知り合いは多いようで、個性的な面々からいくつも声がかかる。しばらくするとウエイターが食事を運んできた。食事は配給のような使い捨てのプラスチック皿や紙皿ではなく、白い陶器のお皿に盛り付けられており、食欲をそそる。また、紅茶の方も好きなフレーバーが選べるように複数のティーバッグが準備され運ばれてくる。共に熱々なのも、肌寒い日には特に嬉しい。Photo by Rika Higashiスープやサラダ、添えられた玄米はもちろんビスケットに至るまで、当日の朝7時から3時間ほどかけて、スタッフとボランティア、スタンプを得るために労働を希望した人たちにより全て店内で手作りされているという。ビタミン豊富なスープやサクサクのビスケットは、優しい味で美味しく、サラダも新鮮だ。シャノンさんは「ストリートで暮らす人こそ、体にいい食事を最も必要としているの。彼らにとって、体を壊さないでいることは、生死にかかわる問題。長い目で見れば、ヘルシーな食事が、ホームレス問題や生活保護の問題解決にも貢献するはず」だという。この日の日替わりメニューは 野菜がメインだったが、肉がメインの場合は、ベジタリアンバージョンも提供するようにしている。また、常にライス&ビーンズ&コーンブレッドというメニューも用意し、食事制限のある人にも配慮。そして何より選択肢があること自体が、利用客に喜ばれているのだとか。「スターウォーズに出てくる酒場のような場所」Photo by Migyoung Won/Sisters Of The RoadPhoto by Migyoung Won/Sisters Of The RoadPhoto by Migyoung Won/Sisters Of The RoadPhoto by Migyoung Won/Sisters Of The Road「スターウォーズに出てくる酒場、知ってる?そこには、銀河のあちこちからいろんな種族がやってくるの。みんな見た目もすごく違うし、経歴も背負っているものも違うんだけど、その酒場では、誰からも詮索されない。情報交換できるハブとしても機能しているんだけど、ここもそんな感じだと思うの」とシャノンさんは笑う。 とはいえ、多大なストレスを抱えていたり、アルコールや薬物を取っている人もいるから、たまに口論が激化して、暴力沙汰になることもあるらしい。「怖くない?」と聞くと、「私は、白人の若い女性ということもあって、暴力のターゲットにはなりにくい」と冷静に分析。「それに、もし喧嘩が始まったりしたら、スタッフやカフェの常連が止めてくれる。みんな、この場所の非暴力ポリシーは知っているし、運営に関わっているというオーナーシップと、プライドを持っているの」 暴力沙汰を起こした人は、ひとまずカフェからは追い出されるが、翌日穏やかに戻ってくれば、無条件に歓迎される。シスターズ・オブ・ザ・ロードのコミュニティには、「ホームレス生活は大変で、たまには爆発してしまうこともある」という理解と、度量の深さがあるのかもしれない。だからこそ、シスターズ・オブ・ザ・ロードは居心地が良いと感じ、1つのコミュニティとして長年に渡り機能しているのだろう。この場所で婚約したり、結婚した人たちもいるという。また、ホームレス生活から脱出し、遠くで暮らすことになった人が、みんなの顔を見にコーヒーだけ飲みに来ることもあるという。この日の帰り際、赤ちゃんを抱いた女性がカフェにやってきて、シャノンさんを始めとするみんなに囲まれていた。ヨーロッパ系、アフリカ系、ラテン系、アジア系、男性、女性、トランスジェンダー、老人、子供…見た目も経歴も多種多様だが、この場に集うきっと誰もが、無垢な赤ちゃんの笑顔には、ついつい目を細めてしまうだろう。親も誇らしいに違いない。Photo by Migyoung Won/Sisters Of The Roadシャノンさんは、「シスターズ・オブ・ザ・ロードは、カフェであること(what)が大事なわけじゃない。コミュニティのハブとして機能する場所であることが、何よりも重要なの。だから、もし日本とかこの場所以外で『シスターズ・オブ・ザ・ロード』を作るとしたら、違う形態になるかもしれない。ポートランドの別の地区でさえそうよ。まず、そのストリートのニーズを理解して、柔軟に対応していくこと(how)が大事なんじゃないかな」と話してくれた。 どん底のホームレス暮らしが終点ではなく、辛い通過点だと信じ、新しい一歩を踏み出すためには何が本当に必要なのだろうか?日本でもステレオタイプを捨て、真剣にストリートの声を聞けば、求められ、機能するコミュニティの形が見えてくるに違いない。シスターズ・オブ・ザ・ロードのように、人々が対等に交流し、心を満たす場所をきっと作れるはずだ。Sisters Of The Road Text by Rika HigashiーBe inspired! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!ポートランドに存在する、アート溢れるホームレスの「聖域」 アメリカ、オレゴン州ポートランドに「ディグニティ・ビレッジ」と呼ばれるホームレスの暮らす地区がある。日本語にすると、ちょっと堅いけれど「尊厳の村」という意味。つまり、自分は生きてい...
2017年03月13日トラックの帆(ほろ)をアップサイクルした、機能的でスタイリッシュなメッセンジャーバッグがトレード・マークのフライターグ。環境を徹底的に配慮したプロダクトで有名なこのブランドは世界初、化学製品や油を一切使わない「土に還るジーンズ」の開発も成し遂げた。 以前Biでは創設者であり、現在も同社でデザイナーを務めるマーカス・フライターグ氏にインタビューを行った。マーカスさんに話を聞いてみて確信したことは、フライターグは消費者を第一に考えながら、「最高の機能性」を追求し、「スタイリッシュ」でなおかつ「環境に良い」という3つの側面を完璧に並立させているということ。今回、そんなフライターグがストレス社会の中で生きている社会人向けに、スタイリッシュにストレスを軽減するアイテムを生み出した。
2017年03月13日スポーツは人を楽しませ、人を笑顔にし幸せにする力を持っている。実際にスポーツをするにしても、観戦するにしてもだ。だが、人種問題、宗教問題などの様々な問題も抱えているのも事実で、中には宗教上の問題で自由にスポーツを楽しめなかったり、快適にできない人たちが存在するのだ。
2017年03月12日みなさんこんにちは。今日はハッシュタグアクティビズムを紹介する「丼」じゃなくて「#」で読み解く、現代社会シリーズです。いつのまにか、17個目のハッシュタグとなりました。ハッシュタグアクティビズムといいますと、 ツイッターやInstagramをはじめとするSNS上で「#(ハッシュタグ)」をつけて、意見を主張したり人々に議論をするように呼びかけたりするアクションのことです。▶︎世界を変える「ハッシュタグ・ジェネレーション」インターネットと発信するデバイスさえあれば誰でもできるので、参加者が集まりやすく、世の中にはハッシュタグアクティビストが仕掛けたハッシュタグムーブメントが多く存在しています。今日はその中から#disableandcuteをご紹介。
2017年03月10日セクシーな写真に惹かれてこの記事に辿り着いたあなたは「SEX SELLS」という手法に引っかかった証拠だ。「SEX SELLS(セックスで売れる)」とは、列記としたビジネス用語で、企業など広告のプロモーションに、女性のセクシーなイメージを使用して注目を集めること。そう、この記事の「セクシーな写真」についつい誘われたあなたはその罠にまんまとはまったわけだ。しかし、最近の研究やデータによると、セクシーな女性などを起用した広告は“時代遅れ”なのだとか。(Photo by The LAMP)残念ながら「御社の商品」は覚えていません。2015年に「セクシーな広告は無駄」ということがオハイオ州立大学の研究で判明した。その研究とは、約8500人の被験者に「セクシーではない広告」と「セクシーな広告」を見てもらうというもの。その結果、被験者は「セクシーな広告」を見た時に、体が温まったり、心拍数が上がったりする反応を見せたが、「セクシーではない広告」より「セクシーな広告」で宣伝されている商品は覚えにくいことがわかったのだ。この現象を研究者は「注意狭窄」によるものだと結論付けている。注意狭窄とは、人間の限られた注意深さの中で、「ある一つのもの」に注目してしまうと、「他のもの」の印象が薄れてしまうという現象のこと。今回の場合、セクシーな広告を見たとき、覚えてもらいたい商品よりも、セクシーなモデルに注目してしまったということだ。つまり、長年愛されてきた「SEX SELLS」という手法は、消費者に商品を覚えてもらうのには向いていないことが判明した。(参照元:SCIENCE OF US、VAVVEN)動画が見れない方はこちらセクシーよりも、タフがトレンドさらに、世界最大級のデジタルコンテンツカンパニー「ゲッティイメージズ」のビッグデータから導き出したビジュアルトレンドも「セクシーな女性」を起用した広告の終焉を示唆している。それは、同社が発表した2017年の広告写真におけるビジュアルトレンドを、前年の検索キーワードやダウンロード数、実際の広告を分析してまとめた「Creative In Focus 2017」で「グリティ・ウーマン」が打ち出されたからだ。グリティ・ウーマンとは、2017年の新しい女性の美しさの傾向として、慣例や壁を打ち壊す、タフで粘り強く、真っ直ぐで、苦しい場面も積極的に関わっていく女性を指しているゲティイメージズが考案したトレンドキーワード。自分がどのように見えるかよりも、自分が何をするベきかを考えている、そんな女性のビジュアルが注目を集めていることをゲッティイメージズは予測したのだ。(Photo by Michael H / Getty Images)「セクシーな広告」の終焉今回紹介した研究やデータからもわかるように、「セクシーな女性を起用した広告」は今の時代にそぐわないと言えるだろう。先日トランプ大統領当選後に世界各国で行われた「ウーマンズ・マーチ」や、昨日の「国際女性デー」の盛り上がりをみると、自分がどのように見えるかよりも、自分が何をするベきかを考えている女性が社会に増えてきていることを実感するのはそう難しくはない。「セクシーな女性の広告」の終焉を肌で感じとることができるのは筆者だけではないはずだ。フォトコンテストTOKYO WOMAN開催!ゲッティイメージズ ジャパン株式会社は、CREATIVE IN FOCUS 2017で発表された「Gritty Woman」を起点に、東京で活躍する様々な女性を切り取った写真コンペティションを開催。今回のコンテストテーマは、“TOKYO WOMAN”。本コンテストは、東京で活躍する様々な女性にフォーカスし、女性の持つ「屈強さ」「たくましさ」「エネルギッシュ」「勇気」「美しさ」「前向き」といったコンセプトをビジュアル化した写真を”TOKYO WOMAN”をテーマに募集中。詳しくはこちら。(Photo by getty images)———-Text by Jun Hirayama ーBe inspired!
2017年03月09日インターネットに常にアクセスできることが当たり前の環境で生まれ育った“デジタル世代”にとって、常にオンラインで誰かと繋がっている状態は「普通」である。「SNS中毒」や「スマホ中毒」という言葉が生まれるほど、私たちミレニアルズ世代はインターネット上のつながりに依存している。そんな世の中では、ネットから離れている時間や一人でいる時間を「孤独」として捉える人は少なくないだろう。いつのまにか現代社会では人と繋がっていない状態が「孤独」と同義語のようになってきてしまっているのではないだろうか。しかし果たして本当に「繋がっていない状態」は「孤独」なのだろうか?あるスペインのデザイナーがそんな疑問を提示した。彼の名はジョーディ・イランゾ。ヨーロッパで注目の若手インダストリアル・デザイナーだ。 技術の発展により常にインターネットで人と繋がっている現代社会の中で、一人の時間を楽しみながら他人から隔離できるスペースを作るために彼はSOUFUUというプロジェクト名で室外家具をデザインした。 あえて狭い空間で仕切ったという内装は、個人のスペースを保ちつつも、壁がなくそれぞれのスペース間の距離が近い。天井部分はハンモックになっており、個人のスペースを確保しつつリラックスできるデザインを心がけたそうだ。個人の所有する土地が比較的小さい日本で実用性があるかどうかは別として彼のデザインは「一人の時間」と「親密さ」が両立できるというコンセプトの上に成り立っているところが興味深い。(Photo by Melina Sampaio Manfrinatti)米国、ピッツバーグ大学のブライアン・プリマック教授が今月発表した新しい研究結果によると、過度なSNS利用は「孤独」を生むという。 1787人の19才から32才のアメリカ人を対象に、SNS利用頻度と「孤独感」のデータを採集したところ、1日2時間以上をSNSの時間に費やした人は、そうでない人よりも孤独感を2倍感じていたそうだ。 原因としては、単純にSNS上にいる時間の分だけ実際に人とコミュニケーションをする時間がとれないということと、インターネット上で友達の美化された人生を見ることで、自分がその中にいないという事実を突きつけられるから。(Photo by Pexels)インターネットの発展は、国境を越えて音楽やアートなど同じ情熱を持った人が集まるコミュニティがオンライン上に出来たり、これまでは社会の中で無視されてきた人種や、セクシュアリティなどの社会的マイノリティーが安全に集まれるプラットフォームが確保されたりと、素晴らしい面もたくさんある。しかし一方で、SNSが生活の一部になる前は私たちが問題にしていなかった「一人の時間」がインターネット上で常に目に入ってくる「他人の美化された時間」のせいでまるでマイナスなことのように錯覚されはじめてしまっているのではないだろうか?インターネット普及率が9割を超える日本でこそ、その事実を認識し、過度な利用を減らしSNS上の人生が全てではないということを忘れないように注意することで私たちの「孤独」は減り、人生はより豊かなものになるのかもしれない。All photos by Jordi Iranzo unless otherwise statedText by Noemi Minami ーBe inspired! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!SNSとテレビをやめれば「年間1000冊」の本が読めることが判明。 本を読みたいと思っていていながらも、なかなか読む時間が作れない。そんな人は現代社会において多いのではないだろうか。だがそんな読書に関する悩みも、いたって簡単に解決できるという。一体...
2017年03月08日