Be inspired!がお届けする新着記事一覧 (22/30)
(参加型ステージ_釜ヶ崎の夏祭り/大阪Photo by江里口暁子)障害者、日雇い労働者、生活保護者など、社会的に「弱者」と呼ばれる人々を巻き込んで、アフリカの太鼓ジャンベを使って、即興で音楽を作り歌うグループ「即興楽団UDje( )」(うじゃ、以下うじゃと記す)。活動の武器は「即興音楽」だと語るのは主宰のナカガワ エリさん。今回Be Inspired!は彼女に「社会のボーダー」を取り払う、うじゃの活動内容と存在意義を伺った。前編・後編にわけて彼女のドキュメンタリーをお届けする。即興で生み出すコミュニケーションパワフルな西アフリカの太鼓「ジャンベ」の音と、エリさんの歌とも言えない絶妙な声が響く。即興楽団UDje( )。名前からすでに伝わってきていると思うが、うじゃの演奏は全て「即興」。アイコンタクトを使って、音楽を作り出したり、声を出したり、手拍子を打ってみたり。体と体を引っ付けたり、離したり。「音」を中心としたコミュニケーションをその場で生み出す「音のワークショップ」がうじゃの主な活動だ。(音のワークショップ_千葉盲学校青年学級/千葉Photo by淺川敏)活動は関東を中心に行われていたが、2011年の震災後、活動の拠点を大阪に移した。関東では障害者施設の「音のワークショップ」、またジャンベを教える「楽器のワークショップ」なども実施してきた。大阪に暮らしながらも、「東京巡業」とし、月に一度、関東を訪れている。そして現在、大阪では障害者施設に加えて、元日雇い労働者や、生活困窮者、生活保護受給者などが利用している救護施設との出会いがあり、月に一度ジャンベを使った「音のワークショップ」を行っているという。また彼女は東京と大阪で「体を調節しよう」という一般向けのワークショップを月に1度ずつ開催している。腰が痛い、座骨神経痛である、体が重い、体がなまってきた、姿勢が悪い、などの悩みを持っている方を対象に毎回少人数で行っている。自分の体の不調から始めたというワークショップである。この体を調節するワークショップの参加費は「自由料金制」。お金がないから参加できないということはしたくないと語るエリさん。しかしタダで提供しているわけでもない。これをきっかけに参加者がお金について考えることになればいいと、この「自由料金制」を始めたという。それは経済至上主義に対する反省の気持ちも込められているという。いろんな場を訪れる機会が増え、様々な背景を持つ人と出会うようになり、お金の価値って違うんだなと改めて思うようになりました。人によって同じ千円でもずいぶんと価値が違うんです。(みんなで声出し即興のハーモニー_うじゃ芸能研究会/大阪Photo byオカモトマサヒロ)3歳下の障害を持つ弟の存在エリさんがこの活動を始めたのは、3つ年下の弟の存在があったから。彼は生まれつき視覚障害、知的障害、癲癇、強い自閉症がある。そのような重度の障害を持つ弟がいる環境をエリさんはこう語ってくれた。うちは家族が機能していなかったんです。弟に障害があったこともあって、小さな頃は母のもとを離れて祖母の家で暮らしていました。だからまず母との付き合い方がわからなかったんです。父は家にお金を入れず、家出ばっかりしてたから、母はとても苦労して私と弟を育ててくれました。そんな父も私が中学校二年生の時に亡くなってしまって。子供らしくいられなかったから、子供の頃の記憶っていうのがなくて。母親の母役をずっとしていたかもしれません。その後、美術学校で現代美術を専攻した彼女は、作品のテーマを「家族」として取り組んだ。しかし、作品を作れば作るほど、彼女の奥底に眠っている黒い物の蓋を開けていくような気分が続き、とても辛くなり、美術の道をあきらめ、一旦会社勤めをする。しかしここでも職場の人間関係がうまくいかずに辞めてしまう。子供の頃から人との繋がり方がわからなくて、母親と弟の間で揺れ動いた心の中のトラウマが、彼女を生き辛くしていた。会社勤めの時に習っていたアフリカの太鼓ジャンベ。エリさんはジャンベを通して出会った人たちとでうじゃを始めることとなる。“うじゃ”を通して人間らしさを取り戻すうじゃのこだわりは、言葉を使わずアイコンタクトで音を作っていく「即興」だけではない。できる、できないで評価する場じゃなくて、やりたいことを全うしたからカッコイイねって場。何をどんな気持ちでしたかっていうのがいい。人間らしさの取り戻しなんです。それから人との繋がり合いにいけたらいいと思っていて、人間の根本的な部分を、もう一回掴んで来ようよっていうのもあります。自分の殻を破って体が感じるままに楽しむ。観客の人たちも巻き込んで、みんなでその場を作っていくことも追求しているのだ。(音のワークショップ_千葉盲学校青年学級/千葉Photo by淺川敏)障害者とか子供とか老人とか生活困窮者とか、社会福祉の分野にはそんなくくりがあります。うじゃはその壁を取っ払ってやりたいという気持ちがあるので、難しいところをやってるな、という自負はあります。障害者だけに捕らわれないで活動するエリさんは、障害者施設での音のワークショップに釜ヶ崎の労働者を連れて行くなど、固定概念に捕らわれずに、いろんなことを試みている。大阪に入って、釜ヶ崎の日雇い労働者とか、道端で寝てる人とか、生活保護で生きてる人など、いわゆる社会的弱者の人達を知る機会がありました。彼らの多くは自分たちの暮らしに精一杯で、外に出て行ったり出会いとかも少なくて、それで彼らを障害施設の音のワークショップに連れて行きました。お互いの置かれている立場や肩書で判断することがないからでしょうね、打ち解けるのが早かった。そういった意味では面白い出会い。これは今でも続けています。一人の女性を救うことから出発した“うじゃ”鬱になったり、引きこもりになったり、不安障害を繰り返したりしていたけど、うじゃを少しずつ時間をかけて作っていきました。結果的に私は自分を助けるためにうじゃを作ったと言えるかもしれません。人なんていなくてもいいやって思った時期もありました。一人で完結できるって世界観があって、人に対する不信感もすごく強くて。でも、うじゃが即興の音楽をするのには、人が繋がってくる。楽譜なしの即興でやると、人の目をみたり、場の空気を読んだり、間を作ったりしないといけません。でもその中から生まれてくるこの湧き上がるような、燃え上がるような楽しさって一人でやってたら体験できない。そこにはやっぱり人が必要で、いらないと思ってた人がこんなにも喜びを与えてくれることに気づいたんです。今でも人とするのが面倒くさいと思っているのに、それでも人と何かをやろうとしているのは、やっぱり即興音楽のステージを通して高揚感とか楽しさを味わってしまったからでしょうね。即興の魔力に取り憑かれてしまったと言えますね。現代美術、アフリカの太鼓と音楽、障害を持つ弟、複雑な家庭環境。一般的に考えられる福祉の道とは全く違う道を通って福祉の現場に携わるようになったエリさん。うじゃは、肩にたくさんの荷を抱え、暗闇でもがく一人の女性、エリさん自身を救うことから始まった。(参加型ステージ_ウエディングゲリラピクニック/大阪Photo byオグラハルカ)弱者のために、そんな活動をできることに尊敬の念を伝えると、だって私も弱者だものと笑う彼女。障害者を支援するって気はあまりなくて、自分救済だと思ってきた。人って、自分が満たされると、他人にも目がいくもんなんだね。と続ける。そして困難な環境を即興音楽という発想で抜け出したエリさんの見えている世界には、そもそも弱者だとか障害者とか健常者だとか、そういうことは大きな問題ではないのかもしれない。大切なのは自分らしく生きていくこと。即興音楽を武器に日々活動を続けることで、彼女に触発された人たちが活動に賛同して“うじゃ”となり、少しずつではあるが着実に生きやすい社会へ変えて行く…。後編へつづく。—————Text by バンベニ 桃ーBe inspired!
2017年02月17日アルバイトにせよ、仕事にせよ履歴書を書きながら一文字書き間違えて「あ〜最初からか」と、苦い思いをしたことがある人は少なくないだろう。
2017年02月16日(Photo by sushiesque)その取り組みとは、「コミュニティ冷蔵庫」。コミュニティ冷蔵庫とは、地域のレストラン、スーパー、そして個人が余った食べ物を自由に入れたり、取ったりできる冷蔵庫である。もちろん全て無料。コミュニティ冷蔵庫は、ドイツやスペイン、ニュージーランド、イギリスの他の街などで取り組まれているが、今回ロンドンでは初の試みだ。このプロジェクトはThe People’s Fridgeと呼ばれ、2016年の7月にロンドンの南部ブリクストンで食料廃棄の問題解決に熱い想いを持った人々が始めた。彼らはクラウドファンディングを実施し、3日以内に目標金額の3倍の「約420万円」を集めたという。※動画が見られない方はこちらそして、満を持して今月8日にロンドン初のコミュニティ冷蔵庫『エディー』がブリクストンのクリエイティブな若者のためのビジネススペース「Pop Brixton」に設置されたのだ。My, what a spangly new sign Pope's Rd has got. pic.twitter.com/RNwEWNF1rr— The People's Fridge (@PeoplesFridge) 2016年12月21日Fantastic to have Cllr @annamayb last night's launch party. Fab speech and she even fed Freddie a surplus squash! pic.twitter.com/5g3yux3FKl— The People's Fridge (@PeoplesFridge) 2017年2月9日The People’s Fridgeは今後「コミュニティ冷蔵庫」の拡大を目指し、他の街への設置も目指していくそうだ。この取り組みは食べ物を無駄にしなくて済むどころか、お金がなくてご飯の買えない人々のお腹を満たし、地域一丸となって取り組むため、地域のコミュニティ性を自然と強くすることができる。食料廃棄率世界No.1の日本が注目するべき取り組みであることは間違いない。—————Text by Noemi Minami ーBe inspired!
2017年02月15日米・トランプ大統領が国内への難民や移民の受け入れを制限する大統領令を出したこと(現在は差し止められている)に対し、反対する企業らが難民のサポートに乗り出している。部屋を貸し出す・借りることを通したコミュニティ作りをポリシーに掲げる企業Airbnb(エアビーアンドビー)が無料で難民を受け入れることを発表し、また大手コーヒーチェーンのスターバックスは1万人の難民を雇用する方針を打ち出した。これらの素晴らしそうなアイデアは実際はどのようなもので、果たしてどんな意味を持つのだろうか。(Photo by Farfahinne)大統領令を受けた“難民に優しくする風潮”トランプ氏が大統領に就任してから、難民やイスラム教徒の多い7カ国からの難民や移民のアメリカ入国を制限するなど強行な姿勢が目立つ。それに反発する国民も多く、空港や街中でデモが多数起きている。また、この情勢に伴い、「企業が難民を助けようという風潮」がアメリカにあると言っても過言ではない。そんな時勢のなかでトランプの政策に反対しないとバッシングされると恐れる企業も存在するかもしれない。(Photo by Eleanor W.)難民や移民の受け入れない大統領令に対するストライキがニューヨークのJFK空港で加熱していたとき、すべてのタクシーがストライキするなか配車サービスのUber(ウーバー)だけが参加せず、さらにUber取締役が「反対意見を述べるのは自由」という真摯さに欠ける発言をしたことから#DeleteUber(ウーバーのアプリを削除せよ)のハッシュタグがSNSで盛んに使われたのだ。(参照元:GIZMODO)たったの一言が、企業のイメージをダウンさせ、ビジネスに大きな影響を与えるのだと物語っている。熊本地震等で部屋の提供経験のあるAirbnb誰もがどんな場所に行っても歓迎されるようなコミュニティ作りを目指し、日本でも利用者の増えてきている空き部屋貸し出しサービスのAirbnbは、無料で難民や移民に空き部屋を提供することを発表した。直近では#weaccept(私たちは受け入れる)をモットーに、多様性を重んじて「どんな人でも受け入れる」というメッセージを込めたコマーシャルを作り、アメリカ国民の視聴率50%近くを誇るアメリカンフットボールリーグの優勝決定戦「スーパーボウル」に合わせて放映するなど寛容な姿勢をアメリカ中にアピールしている。(参照元:NFL Japan.com)※動画が見られない方はこちら今までにAirbnbは熊本地震で自宅に住めなくなってしまった人を無料で空き部屋に泊めるサポートを行なった。このような「緊急災害支援プログラム」は2012年にアメリカ東海岸を襲ったハリケーン・サンディによる災害が起きたあと、ニューヨークに住む1000人のホストが無料で部屋に泊めたり食事を提供したりしたことをきっかけに始められたという。(参照元:Airbnb)(Photo by nomao saeki)個人の所有する「空き部屋」を無料で貸してもいい人やシェルターを探すボランティアを募集するなど、活用されていない資産(この場合は部屋やスキル)を有効に活用するという、シェアリングエコノミービジネスの長所を生かした実行性の高いサポート方法だと考えられる。(参照元:総務省)また、この仕組みがあれば問題に対して何かしたいけれど手段のわからない人も行動に移しやすいかもしれない。この緊急災害支援プログラムの実施の背景には、「排他的でないコミュニティ作り」を目指すというAirbnbの企業ポリシーがある。人を助けるだけではなく、「コミュニティ」を拡大させることができ、ビジネスを発展させるうえでも効果的なプログラムではないだろうか。難民を10,000人雇用すると発表したスターバックス日本国内にも多数の店舗を構える大手コーヒーチェーンのスターバックスは、難民や移民の入国を拒否する大統領令を受け、「現在ビジネスを展開している世界75カ国で1万人の難民を雇う」と発表した。だがアメリカも国内で失業者の問題を抱えており、アメリカ国民ではなく難民を雇うというやり方に賛成できない人々が#BoycottStarbucksのハッシュタグを使い、スターバックスの不買運動を行っている。このようなアメリカ人による反発は予想できるので企業のイメージアップを目的としていたというよりは、大手チェーンとして何らかの社会的な役割を果たさなければならないと考えたのかもしれない。以前はスターバックスで「2013年から5年以内に1万人の退役軍人を雇用すること」を掲げ、現在までに8,800人の退役軍人がスターバックスで働き始めているという。(参照元:Reuters)アメリカでは退役軍人がそれ以外の人と比べてホームレス状態に陥りやすい。また自殺率は男性では2倍、女性では3倍もそれ以外の人よりも高く、軍人時代の経験からPTSD(心的外傷後ストレス障害)を患っている人もいる。(参照元:Newsweek)(Photo by Steve Garfield)トランプ大統領による難民や移民の入国禁止は、司法省や連邦控訴裁判所の働きかけにより、現在は解除されている。そこでスターバックスは難民の雇用よりも先に、国内の退役軍人の雇用問題に取り組むようだ。(参照元:Reuters)国際的な問題よりも先に国内の問題に取り組むことで「国民に寄り添っている」と認識されればアメリカ国内で生き残っていきやすいであろう。しかしながらトランプ大統領は連邦控訴裁判所らの判断に対して全面的に戦う姿勢でおり、今後彼が難民をどう扱うかはわからない。企業の発表することがすべてではないトランプ大統領の大統領令を受け、難民問題に対して真剣でないとバッシングされたUber、難民や移民に無料で部屋を貸し出そうとするAirbnbと、難民を雇用しようとするスターバックスの事例を見てきた。ここで重要なのは企業の発表する「表向きの情報」だけに耳を傾けるのではなく、その背景や今までの取り組みを包括的に見ることで、本当にそれを実施できるのか、それによってどんな影響が起きるのかを考えることだ。もし「イメージアップのために難民を助ける」ような偽善であったとしても、実際の取り組みが苦しんでいる人を助けられるのなら、何もしないより遥かにいいのかもしれない。それぞれの企業が持つ「企業の社会的責任」で、行政には対応できない細かな需要に迅速な対応をしてほしい。—————Text by Shiori KirigayaーBe inspired!
2017年02月15日今や自分の写真を投稿したり、友人の近況をチェックしない日はないほど、立派なコミュニケーションツールとして身近な存在となったSNS。中でも旅行の写真は、楽しい思い出としてすぐにSNS上にアップしたいもの。歴史ある建造物や美しい風景を背景にセルフィーを撮るのは、すでに一般的になり、観光地ではセルカ棒を片手に笑顔で写真を撮る旅行客で溢れかえる。しかし、ここ最近セルフィーによる事故が絶えない。データ調査会社「PRICEONOMICS」によると、インド中西部の湖で男女8人がボートでバランスを崩し投げ出され、うち7人が溺死。中国では25歳の男性が、滝の上から滑落死。どちらもセルフィーを撮ろうとし、誤って命を落としてしまったのだ。(参照元:PRICEONOMICS)だが、死亡事故に繋がる危険な場所での撮影を控えることの他に、私たちのセルフィーに対する意識を変えていかなくてはいけない問題がある。プロジェクト「Yolocaust」とは(Photo by Gustavo Ampelio di Borgogna)不謹慎な場所でのセルフィーに、命を奪ってまで撮影されるセルフィー。この問題は日本も他人事ではない。SNSに依存し過ぎた私たちは、楽しい思い出づくりはもちろん、盛れている写真をアップし、SNS上で友人からの「いいね」を得たいがために、歴史ある場所や美しいビーチに足を運ぶ。それがきっかけとなって歴史や自然を知ることは良いことだ。しかし、過去にそこで何が起こったのか、写真より大切なものは何なのか。写真を撮る前に一度考えることが、現代を生きSNSに依存してしまった私たちに必要な処方箋なのではないか。—————Text by Ruka YamanoーBe inspired!
2017年02月15日「ダメ。ゼッタイ。」そんなキャッチフレーズとともに日本で「危険ドラッグ」として認識されているマリファナ。しかし実際、アメリカでは2016年の時点で、全50州のうち半分の州が法律でマリファナの使用を認めており(医学的用途も含む)、今では日本人が思いつかないようなアメリカ人らしいマリファナビジネスが存在している。▶︎日本で“マリファナ”が合法になってもいい「5つの理由」「マリファナ出前やってます」
2017年02月14日地球温暖化、人種、LGBTなど。 まだインターネットが普及する前から、「タブー」とされる世界情勢やカルチャーに、ユーモアとクリエイティビティーを交えて社会に訴えかけてきたイタリアのファッションブランドDIESEL。バレンタインデーである2月14日に合わせて新しいキャンペーンをローンチした。その名も「MAKE LOVE NOT WALLS(壁を築くのではなく、愛を育もう)」。
2017年02月14日あなたが「女性らしい格好」と聞いて思い浮かぶのはどんな服装だろう。ヒラヒラのスカート?タイトなワンピース?もしかしたらセクシーなビキニなんて想像した人もいる?しかし何故それが「女性らしい格好」なのだろうか。実際に世の中の様々なシーンで活躍する女性たちはそんな格好をしていなければ女性として「ダメ」なのだろうか。
2017年02月13日かなり乱暴な言い方になるが、日本人にとって「セックス」とは何であろうか?子供をつくるための手段?それとも欲を満たすための行為?みなさんは、セックスがコミュニケーションツールの一つであるという認識はあるだろうか?最近ヤッてないカップルに贈る、「セックス推進キャンペーン」「旅先でセックスしよう!」こんな大胆なテーマを掲げキャンペーンを行っているのは、デンマークの旅行会社『SPIES』だ。実はデンマークは日本と同じで、少子化が近年社会問題となっている。ならばその少子化を少しでも「食い止めましょう!」と、旅先でセックスをして子どもを作ることを促進する名目の“社会的”キャンペーンが同社によるものだ。旅先でセックスをして子どもができたらベビー用品を3年分プレゼント、さらに、早く孫の顏が見たい母親たちが息子や娘のためにツアーを予約すると約18000円割引になるという。『SPIES』によると、旅先では男性も女性もロマンティックな気分になることが多く、普段の生活よりも51%もセックスをしやすい環境になるという。ならばこのチャンスは生かすべきであると、キャンペーンを大々的に打ち出して、旅先のセックスを助長する動画まで作成した。少子化を食い止める…という表向き体裁はあるものの、明らかにセックスに焦点が当てられた動画である。しかしデンマーク国民から批判が殺到したというニュースはない。※動画が見られない方はこちら5歳から学ぶ「セックスについて」(Photo by Mads Bødker)それもそのはず。デンマークでは国営テレビでも「セックス」という言葉が何度も発せられているほどで、この国では性を隠すものだとは捉えていない。デンマークの性教育はなんと5歳から始まるそうで、男の子も女の子も自分の身体について知り、セックスを楽しむための知識を家庭で教えるのだという。(参考元:J・SPA!)デンマークは性教育の先進国だ。1967年に世界で初めてポルノを解禁し、その3年後から学校での性教育が義務教育課程に導入された。そして現在では、今の性教育にプラスしてポルノを授業に取り入れることを検討中だという。ポルノ…要するにAVについて学校で教育するなんてあまりにも非常識なように思うが、ここにはきちんとした理由がある。まずポルノ上で行われていることと現実的なセックスの違いをきちんと教育すべきであるということだ。ポルノにはない現実のセックスの喜びを探求できるよう、大人が導いてあげるべきだと考えている。また、少年は99%。少女の86%が16歳までにポルノを見たことがあるいう調査記録があり、10代のうちからセックスについて議論することも重要であるとされている。性生活において賢明な決断を下せるようになるためには、性に目覚めた瞬間からそれについて教える人が必要なのだ。(参照元:RT)年間セックス回数、「最下位」の日本(Photo by Roberto Trombetta)それに対し、日本ではセックスはまだまだ「秘密にするもの」という意識が強いのかもしれない。初めて「性」について習う学校の授業でも、何だか重々しい雰囲気で保健の先生が明らかに「秘密のこと」というていで話を進める。男女が別々で授業を受けることも多く、とにかく気まずくて目を逸らしたくなってしまう生徒も多いだろう。しかしデンマークではそんな日本の雰囲気とは真逆だ。性について学ぶとき、男女が別々になって授業を受けることなんてほとんどなく、むしろかなり突っ込んだ話も展開される。例え男性の自慰行為に話題が及んでも、笑いが起こるなど決して気まずい雰囲気はないようだ。(参照元:NEWYORKTIMES)そのデンマークとは違う雰囲気が今の日本の性に対す閉鎖的な雰囲気を作り出しているのか、日本の年間性交率は1年に48回と世界26ヵ国中、最下位。(参照元:womanexite)また、25歳から29歳の未婚男性のうち25%が性交渉の経験なし。女性も29.3%と、4人に一人は性交渉未経験であることが明らかにされている(参照元:国立社会保障・人口問題研究所)人間との「セックス」の良さとは?(Photo by Tord Sollie)本来のセックスの楽しさや喜びを我々は知らないまま大人になってしまったらどうなってしまうのであろうか。AVで見るセックスが正しいセックスと理解してしまうのか、それとも今話題の「セックスロボット」さえあれば事足りる世の中になってしまうのであろうか。VRが台頭し2050年までにはセックスロボットとのセックスが、人間とのセックスよりも上回るというデータもある。(参照元:Bondara)日本では「セックス=下ネタ」のような印象があり、コミュニケーションツールであるとは今だ認識されていないように思う。(参照元:QREATORS)そんな日本では、この話が遠い未来のことであるようには思えないしかしセックスは男女のコミュニケーションの一つである。テキサス大学の研究によると、セックスの動機は一般的に認識されている「子供を作るため」「性欲を満たすため」を含め、237つも特定される。このテーマについて研究しているトロント大学のミューズ博士は「私が前向きな目的でセックスをしていると、私の性欲や満足度は増加する。パートナーもおそらくそれを察知し、それが2人の関係にもプラスの効果をもたらす。私たちの満足感が2人の良好な関係につながるのだ」と述べる。(引用:THE WALL STREET JOURNAL)つまり「相手を喜ばせたい」や「距離を縮めたいから」などのポジティブなセックスはお互いの欲を満たす以上に人間関係にもプラスに影響するのだ(参照元:THE WALL STREET JOURNAL)私たち日本人も性に対してタブーなイメージをもつよりも、きちんとしたコミュニケーションの一つであるという認識をもっと高めたほうがいいのかもしれない。さもなければ、「人間がいなくてもセックスができる社会」がいつの日か訪れてしまうだろう。—————Text by Asuka YoshidaーBe inspired!
2017年02月13日皆さんこんにちは!今回はおなじみのコーヒーチェーン、スターバックスについてのハッシュタグ・アクティビズムですよ。ハッシュタグ・アクティビズムとは、SNS上で「#」をつけて自分の意見を主張したり議論を呼びかけたりするムーブメントです。日本でも主要な駅のまわりを探せば数店舗見つかるほど、人気の高いスタバ。そんなスタバですが、最近は発祥の地のアメリカ国内やその隣国メキシコで嫌われて不買運動が起きているそうです。それはなぜでしょうか?#BoycottStarbucks(「スタバをボイコット」)アメリカの大統領に就任して間もないトランプ大統領ですが、早速過激な行動に出ていますね。彼は「“イスラム過激派”からアメリカを守るため」という言い分で、イスラム教徒の人口が多く、難民が多出している7カ国からの入国を拒否する大統領令を出しました。これではいけないと思った司法省が大統領令を一時中止させ、トランプ側は不服を申し立てましたが、連邦控訴裁判所がそれを退けました。これで入国禁止が無効となって混乱は収束しましたが、今後大統領がどんな強行手段に出るか不安に思う人は多いでしょう。(参照元:朝日新聞デジタル)(Photo by Jonathan Arehart)さて、この入国拒否の大統領令が出た際、アメリカの企業が難民をサポートする行動に出ました。スタバもその1つで、「スタバがビジネスを展開する75カ国で1万人の難民を雇う」という方針を発表しています。それに対するボイコットが#BoycottStarbucksです。この背景には、アメリカ国内での失業者の問題と「国内に入ってきた難民や移民に仕事を取られること」に反対しているトランプ支持層が多いことがあります。それからスタバ=リベラルの象徴であると考えている保守層がいることも関係があるでしょう。(参照元:Newsweek)ですが、難民を雇用しようとしているのはアメリカ国内だけではないため、実施できたとしてどの程度アメリカ国民に影響が出るのかはわかりません。実はスタバは2013年からの5年間に1万人の退役軍人を雇用することを目標としていて、既に8000人以上の退役軍人がスタバで働いているようです。そして難民や移民の入国停止が解除された今は、まず退役軍人の雇用人数の目標達成に力を入れるとみられます。(参照元:Reuters)#AdiosStarbucks(スペイン語で「さよならスタバ」)先ほどの件とは関係なく、スタバはメキシコで#AdiosStarbucksというハッシュタグを使ったボイコットが起きています。これはトランプ大統領が公約に掲げた「メキシコとの国境に壁を建設」に対するもので、スターバックスやマクドナルド、アップルなどのアメリカンブランドをボイコットする動きの1つです。「壁」の建設費用をメキシコに負担させようとしていることに対する反感も大きく関係しているかもしれません。ですが、メキシコに輸入されるものの40%程度がアメリカを通ってメキシコに入ってくることを考えると、アメリカと関係を悪化させるとメキシコは経済的に不利益を被りそうですね。(参照元:CNN Money)(Photo by Chris Brennan)「文化を壊す」「フェアトレード×」「遺伝子組み換え○」世界で嫌われるスタバこのようなスタバに対するボイコットですが、今回が初めてではありません。それは文化的や社会的な理由によります。「McDonaldization(マクドナライゼーション)」や「Starbuckization(スターバッキゼーション)」という言葉が生み出されたように、アメリカの大手チェーンの飲食店が自国の飲食業界を席巻して自文化を壊されることを嫌がる国は多く、独自のコーヒー文化を持つオーストラリアではボイコットにより経営の規模を拡大することが難しくなりました。(Photo by Ryan Carver)その他にも世界的な大企業なのにもかかわらず、2013年の時点でフェアトレード(適正な価格を守り、労働者を搾取しない取引)のコーヒー豆をたったの8.4%しか使用していないことも、ボイコットの起きる原因になっています。また、通常のフェアトレードのように企業が農家と「適正な価格」での取引ができるよう働きかけるのではなく、スタバの場合は自らに都合のいい価格でコーヒー豆を販売する農園からコーヒー豆を購入しているだけのようです。(参照元:STARBUCKS GLOBAL RESPONSIBILITY REPORT, ORGANIC CONSUMERS ASSOCIATION)最後に、スタバが「遺伝子組み換え」に賛成だと知っていましたか?日本では報道が少なかったようですが、アメリカのバーモント州の「遺伝子組み換え食品の表示を義務づける条例」を差し止める訴訟を遺伝子組み換え作物の種を開発・販売する大手バイオメーカーのモンサント社が起こしていて、スタバはその訴訟に参加していたのです。したがって、スタバの食品にも遺伝子が組み替えられた材料が使われているかもしれません。これに対してフォーク歌手の殿堂ニール・ヤングがボイコットを呼びかけ、ファンをはじめとする人々が参加しています。(参照元:Rolling Stone)「ボイコット」という消費者の力(Photo by stevepb)日本では人気の根強いスタバですが、世界を見てみるとスタバは好かれてばかりではないようですね。「ボイコット」という言葉も日本ではあまり聞かないですが、世界を見ると多く起きています。それはいい意味でも悪い意味でも、政策に共感できない企業を経営できなくさせる「消費者の力」ではないでしょうか。当たり前のことですが、消費者が商品やサービスにお金を出してくれなければ企業は成り立たないのです。商品が良くても考え方に納得できないブランドにお金を払い続けると、そのブランドが悪い意味で発展していってしまうかもしれません。「納得できる企業の商品を買う」という価値観は、消費することではなく「心の豊かさ」や「ウェルネス」にお金を払うミレニアルズの消費に対する価値観にも近いと考えられます。(参照元:ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社)物を買うときには、企業の理念や行動まで注目するように心がけてみませんか?次回のハッシュタグ・アクティビズムもお楽しみに!—————Text by Shiori KirigayaーBe inspired!
2017年02月10日海で捨てられたプラスチックゴミを魚が食べて、その魚を私たちが食べる。このような食物連鎖が人体にも悪影響を及ぼしていることを知っているだろうか。世界で6番目に魚介類を食べる私たち日本人は、実は知りたくもないほど大量の「プラスチックの破片」を体内に入れているのだ。(Photo by Nguyễn Linh)私たちは魚と一緒に「プラスチック」を食べている私たちが食べている魚介類の生息する海は、非常に小さなプラスチックゴミで汚染されている。これらのプラスチックは、歯磨き粉などにスクラブ材として使用される小さなプラスチック状の原料や、プラスチック製品に加工される米粒大のプラスチック原料、劣化して細かくなったプラスチックの破片など、大きさが5mm以下で肉眼で見ることが難しい。したがって、一見きれいに見える海もこれらに汚染されている可能性が大いにある。(参照元:海ごみシンポジウム, NHKクローズアップ現代+)(Photo by Krzysztof Puszczyński)ベルギーのゲント大学の研究によると、魚介類を食べるヨーロッパ人は年間に1100個ものマイクロプラスチックを食べているそうだ。(参照元:Sky News)世界の魚介類消費量を見ると、ヨーロッパ諸国ではアイスランドとポルトガル以外の国は日本よりも消費量が少ない。(参照元:TRIPGRAPHICS)また、ヨーロッパの自然環境のプラスチック汚染が世界平均を大きく下回るのと異なり、プラスチックゴミを自然環境に世界平均の27倍も出している日本ではヨーロッパ諸国よりもさらに多いマイクロプラスチックが魚の体内に入り、人間の口から取り込まれているのだと考えられる。(参照元:DG Environment News Alart Service, The Japan Times)日本では規制されていない“危険素材”のプラスチックプラスチックが人間の体内に入るとどうなるのだろうか。歯磨き粉や洗顔料などにスクラブ材として含まれている細かいプラスチック原料は「マイクロビーズ」と呼ばれ、誤って目や歯肉に入り込むと炎症を起こすという。(参照元:livedoor NEWS)このマイクロビーズは、家庭の洗面所から流れ出、下水処理場を通過して海に流れ込み、それを動物プランクトンや魚が食べることで生態系に悪影響を及ぼす。そうして流れ出るマイクロビーズの量は増加の傾向にあり、それを含めた世界の海に流出するプラスチックは年間約480万トン〜1270万トンに上るのだ。(参照元:海ごみシンポジウム)(Photo by rgerber)さて、それらが口から人体に入った場合はどうなるのかというと、まだ研究の途上。だが、プラスチックを食べた動物に悪影響が及ぶことはわかっている。海鳥の場合、栄養失調に陥ったり脂肪に有害物質が濃縮されていたりいるのだ。(参照元:海ごみシンポジウム)このような事実から人体に深刻な影響を与えるリスクがあるという認識が広がっており、マイクロビーズを製品に使用することはアメリカやイギリス、ニュージーランドなどでは法律で禁じられている。しかしながら、日本では2016年の時点で何の規制もされていない。(参照元:REUTERS)そのため国内で手に入る化粧品(洗顔料や歯磨き粉を含む)の約1割にはマイクロビーズが配合されており、パッケージの原材料の欄には「ポリエチレン」や「ポリエチレン末」、「ポリプロピレン」の表示があるのだ。(参照元:海ごみシンポジウム, livedoor NEWS)“便利”なプラスチックがもたらしたこと安価で加工のしやすいプラスチック。それは便利な素材であることは間違いない。だが、分解されず自然界に残ってしまうことが問題だ。特に自然環境に流出したマイクロビーズは動物プランクトンでも食べられるほど細かく、回収することが不可能で、これ以上出さないように規制する以外には手の施し用がない。(参照元:海ごみシンポジウム)私たち人間は、自分たちに便利な素材を開発しておいて、いらなくなったら「自分には関係がない」もののように捨て、最後には結局自らの体を汚染する。なんて愚かなのだろうか。(Photo by Milada Vigerova)なるべく食物連鎖の過程でプラスチック由来の有害物質が濃縮されるのを抑え、人体にプラスチックを入れずに済むようにするためには、小さなことだが歯磨き粉や洗顔料などの化粧品を買う際にマイクロビーズの入った製品を選ばないこと、そしてゴミを海や道端に捨てないことがまず重要だ。海でないところにゴミを捨てても、下水から川へ流れ着いたり、風で飛ばされたりして、結果的に海を汚染する可能性が大いにあることを忘れてはいけない。地球環境の改善は容易には実現できないが、気づかないうちに汚してしまった地球をこれ以上汚さないようにするには多大な努力が必要なのだ。—————Text by Shiori KirigayaーBe inspired!
2017年02月10日もしお金を使わない暮らしがあるとしたら、私たちの生活はどのようなものになるのだろう。そしてその暮らしが工夫に溢れていて、楽しくて、健康的で、しかも自然、そして人と人とを繋いでくれるとしたら。お金に頼りすぎた現代社会だからこそ知っておきたい、お金を使わずに豊かに暮らす方法。お金を使わずに豊かな生活をする男ここに現代社会の中で、お金を一切使わずに生活した男がいる。「Moneyless man(お金いらずの男)」と呼ばれる彼がイギリスのテレビや新聞で紹介されるや、世界中から取材が殺到し、大きな反響を呼んだ。彼の名前はマーク ボイル。
2017年02月10日何気ないジョークから始まった「決意の旅」大阪出身のロウ麻友さん。彼女はロンドン在住時、同じくデザイナーである夫のエリオットさんと知り合った。インド・ヒマラヤでのトレッキングや日本縦断ヒッチハイクなど、独自のアウトドア旅を共に楽しみ、愛を育んだ。その後、エリオットさんの南アフリカ・ケープタウンでの仕事のオファーをきっかけに、結婚と移住を決意。ケープタウンの雄大な自然は、彼女を魅了した。しかし、人種差別がまだ色濃く残る現実は、想像以上だった。防犯のため自宅の門からドアまで鍵は5つ、広がるスラム街。かたや富裕層のための家の内装をデザインする日々。強烈な格差社会の矛盾に葛藤し、南アフリカ生活を終えようと決めるのは自然な流れだった。同時に「リアルなアフリカを体験せずして、大陸を離れられない」という思いも沸き起こった。自転車旅は、朝の会話で出たほんのジョークまじりのアイデアだったが、仕事を終えたその日の夜、自ずとプランについて具体的に話し合っていた。「あなたたち本気?」。深刻な治安問題に周囲は大反対。思いが揺らぐこともあったが、入念な準備を経て、果てしない距離を漕ぎはじめた。当面の住まいはテント。大自然は、時に過酷で、大いなる癒しでもあった。「この旅を通じて失ったものは、物欲と身近な便利さや快適さを求める心」自転車旅の魅力は、ガソリンなどの資源エネルギーを消費せずに済むこと。飛行機代を払えば直ぐに目的地へ辿り着けるが、自転車移動のおかげで、よりディープにローカルの日常や文化に触れることができる。“自分の目で見て感じたことが全てだと思うようになった”巨大なアフリカゾウの接近で生命の危険を感じるなど、道中は、お金をいくら払っても得られないカルチャーショックの連続。その中で、アフリカが抱える複雑な構図も、随所で突きつけられた。ネットで世界を垣間見ることは容易く、情報が氾濫する時代だからこそ、「自分の目で見て感じたことが全てなんだ」と、より強い確信を得るようになったそうだ。“この旅を通じて得たものは、世界の人々は良い人だと知ることができたこと。初対面の人の家でも、庭にテントを張らせてもらったり、道端でも、草の茂みでも、アットホームに感じられるようになった。どこにでも暮らそうと思えば暮らせる感覚です。 世間で危険と言われる地域でも、人をより信頼して、頼れるようになりました”ハードな側面もあったが、世界は思った以上にオープンでもあった。国境や人種を超えた人々との交流に心を温め、世界平和を考え、ペダルを漕ぎ続けた。大の大人がそんな生き方をしてもいいんだ!日本人としてではなく、地球人として生きる麻友さんは日本人へ向けてこう語る。“来年、来月、明日の自分が何をしているかさっぱり分からないことに、心配ではなく、楽しみでならない。それが私たちにとって、本当の幸せだと思う今日この頃です。人生は誰のためでもなく、自分自身のもの。大の大人がそんな生き方をしてもいいんだと、日本の人々に伝えたい”私たちが生きる世界は、目線を変えれば実は可能性しかない。目の前の仕事に取り組むことは勿論大事だが、本当の幸せはそこにあるのだろうか?明日や5年後の不安を解消するためだけに、人生がある訳ではない。麻友さん自身、日本でのOL経験がある。社会人としての葛藤を経たからこそ、自分を信じて世界を渡り歩いてきた。明るく自分なりの人生をサバイブする彼女のナチュラルな生き方から、見えてくるもの。それは制限も閉ざす必要も実はどこにも無いこと。あるとすれば、それは誰かが勝手に作ったものだ。現在、シルクロード経由で日本へ向かう自転車旅を計画中の麻友さん。“最初は冗談だったのに、やらないと気が済まなくなってきた!”冒険心を掻き立てられる、夢のようなエピソード満載のブログはこちら。日本では決して見ることができないスペクタクルを収めた写真や、アウトドアで使える情報を紹介している。優しく強く、真摯に「大人」を生き抜く彼女の生き様は、あなたの人生をアクティベートしてくれるはずだ。迷わずいけよ、いけばわかるさ、と。—————All photos by 2island travellersText by Makiko Tanaka ーBe inspired!
2017年02月10日この連載では、毎回、ユナイテッドピープルが届ける映画を少しずつ紹介しながら、世界で起きている問題に触れたり、そこから日本との繋がりを見つめたりするような記事をお届けしていきます。
2017年02月09日海外旅行先で、言葉が通じなくて困った経験はないだろうか。そんなとき、あなたはどうするだろう?なんとかジェスチャーを組み合わせて伝えようとするか、はたまた聞かなくて済むように、前もって完璧な準備をしておくか。今回Be inspired!は、旅行先で言葉が通じなくて困ったことをきっかけに“あるビジネス”を始めたゲオルク・ホルンさんにインタビューにした。そのビジネスとは、絵を指すことによって誰とでもコミュニケーションが図れるTシャツ、『ICONSPEAK』の開発。どのようなトラブルがあって、なぜこのTシャツを作ろうと思ったのか。ゲオルクさんにこのアイデアが生まれるまでの道のりを根堀り葉掘り聞いてみた。異国のトラブルから生まれた、コミュニケーションツール
2017年02月08日米国アトランタ出身のマシュー・マクシーは難聴者の一人として、音楽を通した聴覚障害者と手話のコミュニティを作るために、DEAFinitely Dopeを立ち上げた。仲間たちが、居場所を見つけ、そして楽しめるようにだ。そして彼はHiphopやR&Bに新たな可能性を見出した男でもある。(参照元:DEAFinitely Dope)
2017年02月08日今まで無駄になっていたあなたの資産を使ってお金を稼ぐ。欧米で定着しつつある「シェアリングエコノミー」の本質はここにある。すでにUberやAirbnbを耳にしたことがある人は多いだろう。「シェアリングエコノミー」とはこれまで活用されていなかった既存の資産をインターネットを介して利用する新しいビジネス市場である。今回、Be inspired!では、今最も注目されているシェアリングエコノミーサービス3選を紹介したい。①素敵なお家があなたのオフィスに
2017年02月07日先日、トランプ大統領が移民の入国規制をして多くの人々から非難を浴びた。著名人がデモに参加したり、大手企業も非難の声明を出すなど異様な盛り上がりを見せている。カナダのジャスティン・トルドー首相も「カナダ人は信仰にかかわらず難民を歓迎します。多様性はわが国の強みです。#WelcomeToCanada」とツイートして話題になっていた。しかし、このトルドー首相のツイートは、もし“なんとなく”デモに参加している人がいるのなら、それらとは全く“質”が違うと言っていい。彼がその発言に伴った行動を既に起こしているからだ。
2017年02月07日現代の食を取り巻く問題に、真っ向から立ち向かう「食の革命家」がイギリスに存在する。世界中の人々にそのクリエイティブな料理で愛されている彼の名は、ジェイミー・オリヴァー氏。彼は、学校給食を通して未来を担う子供逹への食の教育や、学校を中退した若者などに料理を教えるなど、食を通してあらゆる社会貢献を行っているのだ。近代化して健康的な食事から離れてしまった現代の日本人にも、彼の革命が今必要だ。ジャンク化が止まらない世界世界の途上国の飢えが問題視される中、先進国と呼ばれる国では、飽食するほど食べ物があるにもかかわらず、その食べ物が工業化、ジャンク化し、不自然なものとなり、私たちの健康を蝕んでいる。日本でも私たちが口にする加工食品やインスタント食品には必ずと言ってよいほど、たくさんの添加物が入っている。利益主義の現代では、法に触れていなければ、健康よりも利益を重視して防腐剤などの添加物をふんだんに使うことができる。手軽で安価なコンビニ食品や加工食品、インスタント食品などの食品表示を見れば、そこにたくさんの添加物が記載されていることがわかるだろう。
2017年02月07日私たちが日常生活の中であらゆるもの対して知らず知らずのうちにかけている様々なフィルター。しかしそれは本当に「そのもの」に対してなのだろうか。自分自身の心にかけたフィルターで本当に大切なものまでぼやけてしまってはいないだろうか。それは本当に画面の中だけ?
2017年02月06日“街中にギャングがあふれている。その多くは不法移民だ”(引用元:NEWS24)以前、トランプ大統領はこう言い放った。そう、アメリカが抱える大きな社会問題のひとつがメキシコからの密入国だ。国境警備の強化により、密入国者の数は一昔前に比べて劇的に減っているというが、それでも未だに年間30万人以上がアメリカとメキシコの国境で摘発されている。(参照元:AZCENTRAL)2017年1月25日にトランプ大統領は選挙戦の公約に掲げていた「メキシコ国境での壁建設」を実現させるための大統領令に署名した。不法移民・麻薬・犯罪者を締め出すためにメキシコ国境に建設されるという巨大な壁、その名も「グレートトランプウォール」。MITによると、この壁は約4兆5800億円(400億ドル)をもかけて建設するそうだ。米国土安全保障省のケリー長官は2月2日、FOXニュースのインタビューで、メキシコ国境沿いに建設する壁について2年以内の完成を目指していることを明らかにした。(参照元:REUTERS)そんな巨大な壁が築かれようとしているメキシコに、密入国を疑似体験できるテーマパークが存在する。その理由は一体なんなのだろうか。
2017年02月03日本を読みたいと思っていていながらも、なかなか読む時間が作れない。そんな人は現代社会において多いのではないだろうか。だがそんな読書に関する悩みも、いたって簡単に解決できるという。一体その方法とは?(Photo by kote baeza)現代人が読書をする時間は、携帯電話やスマートフォンの普及に伴い減少している。大学生においては、読書を全くしないという人の割合が全体の半分近くの45%にのぼる。(参照元:全国大学生共同組合連合会)これはインターネットで情報を得るほうが手軽だからかもしれない。だが「読書」は、私たちの生産活動に大変役に立つ。東京大学大学院の酒井邦嘉教授は、脳科学的に見ると読書では「人間が持っている創造的な能力がフルに生かされる」(引用元:NHKクローズアップ現代+)と述べている。自分で情報を判断しながら本を読むことで知識が得られ、クリエイティブな思考力を身につけられるのだ。本を読むという行為は決して情報を得たいというためにやるわけではなくて、むしろ『自分の中からどの位引き出せるか』という営みなのです(引用元:NHKクローズアップ現代+)(Photo by PEXELS)そこで、ライフスタイルに読書を取り入れるシンプルな方法がある。例えば、年間200冊の本を読みたいとする。平均的なアメリカ人なら1分間あたり200〜400語程度読めるため、平均50,000語あるノンフィクション本を200冊読むには、417時間(日数にすると約17日間)が必要だ。(参照元:Quartz)では、この時間をどう確保すればいいのだろうか。アメリカでは1人当たり、年間に平均608時間SNSの利用し、平均1642時間テレビを視聴しており、合計で2250時間(約94日間)もスクリーンを通した情報収集や娯楽に時間を費やしていることになる。なんと、これらの時間をすべて読書に当てれば、年間で1000冊以上のノンフィクション本が読めるのだ。(参照元:Quartz)日本でも、SNSに431時間(参照元:平成26年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査)、テレビに1345時間を(参照元:平成26年度版 情報通信白書)、1人当たり合計で1776時間(約74日間)が同様に消費されている。(Photo by PEXELS)ライフスタイルを変えることは、簡単でないように思える。けれども、何気なく見てしまうSNSのタイムラインやテレビのバラエティ番組にどれだけ時間を費やしているかを自覚し、それを意識的に減らしていけば、読書だけでなく他のことにもより多くの時間を費やすことができるのだ。—————Text by Shiori KirigayaーBe inspired!
2017年02月03日今年も節分の季節がやってきた。スーパーやコンビニで売れ残った大量の恵方巻が廃棄される写真がSNS上に流れ、衝撃を与えたのは去年だっただろうか。そう、楽しいイベントの裏側では、売り上げを見越して大量に発注された商品は、イベントが過ぎればただの廃棄物として捨てられるという現実を忘れてはいけない。これは恵方巻きだけではなく、クリスマスのケーキやバレンタインのチョコレートなどにも言えるだろう。そもそも、日本では年間どれくらいの食料が廃棄されているのだろうか。政府広報によると、日本では年間1900万トン、民間の調査では2700万トンの食品廃棄物が出ており、世界でも1位、2位を争うほど多い。その内、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品ロスが500〜900万トンとの報告もあり、日本人がいかに賞味期限に敏感なのかが理解できる。パン屋、カフェ、レストランといったフード業界で勤務してる人なら、まだ食べられる食品、つまり極端な話ではあるが、賞味期限が10分ほど過ぎてしまった食品を廃棄し「もったいない」と感じたことは何度もあるだろう。賞味期限が過ぎても食べられない訳ではないという事実は知れ渡っているが、私たちはこの期限に振り回された結果、世界ワーストクラス級の食品廃棄物を出してしまっている。(Photo by Ruka Yamano)ドイツではすでに、食品廃棄をなくそうというイニシアティブを握っていますが、ただ、今までレストランなどで調理された食品をダイレクトに”救う(save)”ような手段はありませんでした。そこで開発されたのが、MealSaverですそう語り始めるレオさん。環境問題には一際敏感なドイツ・ベルリンで立ち上がったMealSaver。世界中から若者が集まり、まだ誰も見たことのない新たなカルチャーが続々と生まれる地ノイケルンにオフィスを構えるEatUp Gmbhが運営している。なんと、今年はベルリン以外の大都市へも拡大していく予定だそうだ。一体どのようなビジョンを掲げているのか。どんなユーザーにも、非常に早く簡単に、廃棄されてしまう食品を救う機会を与えるのがMealSaverのビジョンですね。また日々の生活に忙しすぎて、食品廃棄について深く考えたことのない人々や、知らないうちに消費し過ぎてしまってる人々にも、この問題について考えてもらうことが必要だと思ってます。そしてMealSaverの長期的な目的は、もちろん食品廃棄量を大幅に減らすこと。当然それまでには長い道のりを歩まないといけませんが、ちょうど今初めの一歩を踏み出したところ。ベルリン以外にも、ハンブルグ、そしてノルトライン=ヴェストファーレン州(ドイツの16ある連邦州のうちのひとつ)といった大きな街に、サービスを提供することになりましたMealSaverを通じ、まだ食べられる食品を廃棄から救う機会をユーザーに与える。1人1人の力は微々たるものだが、その力が集まり世界に広がれば、この問題も解決へと向かうだろう。MealSaverには色々なアドバンテージがありますが、ただ様々な料理を提供するだけでなく、ユーザーは1人前を非常に安い価格で購入でき、そしていつもは買えないような料理も味わうことができるのが、強みのひとつですね。さらにこのアプリは誰もが早く簡単に操作でき、ユーザビリティーも高い仕様になっているのが特徴で、すぐに英語版も登場する予定です金額と受け取り時間が記載されており、料金はPayPalで先払い、時間内にお店へ直行しお目当てのごはんやスウィーツを受け取る。このシンプルな操作も、人気の理由と言えるだろう。料金はひとつ平均3€(約350円)ほど。売価より半分以下の値段で買える。寿司やパン、ヴィーガン対応のブッフェまで。このようなバラエティーに富んだオプションは、様々なライフスタイルを送るすべてのユーザーのためにあり、強みのひとつでもあります。あまりの多さに、みなさん驚かされるでしょうねGPSを元に自分の現在地から近い順に、カフェやレストランが表示される。パン屋やケーキ屋はもちろん、中東、中華、タイ料理といった世界各国のあらゆるお店がリストアップされ、この街が様々な人種から成り立っているのがわかる。またベルリンらしく、ベジタリアンやヴィーガンのお店も表示され、多様なライフスタイルに対応しているのも特徴だ。食品を受け取る際に使用しているのは、環境に悪影響を与えない生分解性ボックス。環境にはとことん配慮しています色々な強みを挙げましたが、1番はやっぱり食品を廃棄から救えることでしょう!環境にもユーザビリティーにもとことん配慮したMealSaver。誰もが待ち望んだこのアプリは、今後どのように展開していくのだろうか。今年ドイツの主な大都市にサービスを提供していく予定で、ホテルや大手チェーン店にも、私たちのコンセプトを広げていくつもりです。すでにいくつかのホテルに協力してもらったのですが、かなり手応えのあるものでした。長い目で見て、世界進出できたら良いなと思ってますねレオさんの目から日本の食品廃棄の状況はどう映るのか、最後にこう綴ってくれた。日本もドイツも、どちらも環境保護意識が高い。ここドイツは、レストランのオーナーからの信頼や、提供する料理の良心的な価格が理由で、MealSaverが社会に受け入れられてるんだと思います。なので、このようなアプリは同じように日本でも機能するのではないかと。ただ日本の文化はユニークで、それによって大量のゴミ問題を抱えてしまってますね。例えば食材の新鮮さ、形の綺麗さは、日本では他の文化よりも非常に重要な役割を占めています。そのような文化を、西洋のような少し形が悪くても気にしない考え方に、一歩一歩、少しずつ近づいていくことが、もしかすると大きな変化へと繋がっていくかもしれませんフレッシュで安い。日本にも必要なアプリ実は、筆者は、今回レオさんにお話を聞く前にMealSaverを体験した。フレッシュなラップサンドやスムージーを提供している「FRESH Vitamins & More」とサンドウィッチやヴィーガンケーキが売りの「Nuni’s – Edel & Kühn」。MealSaverでこの2店舗を見つけ、廃棄食品を購入してみたが、どれも廃棄予定だったとは全く思えないほど新鮮だった。しかも価格はこのボリュームでたったの6.80€(約830円)とお手頃。日本では考えられないかもしれないが、ドイツでは売れ残ったパンを翌日安い値段で売るなど、生産者だけではなく、消費者も食品廃棄をなくすことに関心が強い。商品の新鮮さを求め過ぎて、いつの間にか食品廃棄量ワースト1の国になってしまった日本。私たち日本人の食に対する意識を変え、食品廃棄を救う機会が与えてくれるのは、ドイツの小さな街で始まったアプリMealSaverなのかもしれない。—————All photos by MealSaver unless otherwise stated.Text by Ruka YamanoーBe inspired!
2017年02月03日コインランドリー、スーパーマーケット、駅のプラットホーム。米フロリダ州のマイアミの日常生活の場にゲリラ的に置かれた「女性のおしり」。果たしてそれに隠された意味とは? 作品のタイトルは「Wax That Ass(ワックス・ダット・アス)」。これらの「女性のおしり型の彫刻」をゲリラ的に置いてまわったのは、米フロリダ州の主要都市マイアミを拠点とするアーティストのアリソン・ボーガニム。彼女が伝えたかったのは、性的嫌がらせは日常のあらゆるところで起きているという事実。アメリカでは約98秒に1人(参照元:RAINN)、日本では約5分30秒に1人(参照元:特定非営利活動法人しあわせなみだ)が性的暴行を受けており、報告されていないものや性的なヤジなど身体的な暴力を伴わないものも含めれば数はさらに多くなる。両国で性暴力被害の届け出をする人は、性暴力を受けた被害者全体の2割程度しかいないからだ。(参照元:特定非営利活動法人しあわせなみだ, mcasa) 公園の遊具のまわりにも「女性のおしり」の数々。これらはすべて実在の女性のおしりをモデルに作られているという。(参照元:Allison Bouganim)アリソンはなぜ女性のおしりを「彫刻」にしたのだろうか。残念なことに、世間では女性の身体が男性の「性の対象物」として扱われることが多い。有名シンガーのミュージックビデオで、男性が女性のおしりを叩いたり、女性が自分のおしりを振って男性を誘ったりする場面を見たことがあるだろう。そんなふうに「性の対象物」として扱われる女性のおしりを、「彫刻(物)」にすることで、女性に対する性的嫌がらせの実状を批判しているのかもしれない。 作品『Wax That Ass』の特徴は、「女性のおしり形のオブジェ」を許可なしでいたるところに起き、撮影をするところだ。見た人を不快にさせるかもしれないが、それで「性的嫌がらせ」について話すきっかけになればいいとアリソンは言う。(参照元:Allison Bouganim)このようにして、まずは性的嫌がらせがどれだけ起きているのか、その深刻さを人々に伝えることが問題の解決に必要ではないだろうか。米スタンフォード大生によるレイプや慶應大サークルによる集団レイプなど、大学での“レイプ文化”の根深さが表に出る事件が日米で最近でも起きているが、それらは氷山の一角でしかない。前者では加害者が大幅な減刑を受け、後者は真相が隠され「未成年者の飲酒強要」を中心に報道されるなど、性犯罪は容認され続けている。このような女性を「性の対象物」のように扱っていいという誤った認識を人々に考え直させるには、アリソンの作品のような意識を変えるきっかけ作りから始めていくしかないのだろう。—————All photos by Allison BouganimText by Shiori KirigayaーBe inspired!
2017年02月02日若干20歳にして、イギリスのDAZEDやi-D、そしてナイロンジャパンで引っ張りだこの若手フォトグラファー、クロエ・シェパード。パステルにドリーミーでどこかノスタルジックな彼女の写真たちは若者の心情を良く捉えている。そんな彼女の作品に一貫するテーマは「コンプレックス」だそうだ。思春期の間ずっと自身が持てなかったクロエは「なりたい自分」の世界観をモデルと写真の表現で具現化している。今回、そんなクロエがクリエイティブな若者の間で人気の自費制作の小冊子、ZINEを製作。その名も『Lust For Life(人生への欲望)』。スコットランドのドラッグに溺れる若者のカルチャーを描いたカルト映画『トレインスポッティング』の中で使われるイギー・ポップの曲と同題なのはあえてか、偶然か。といっても『トレインスポッティング』が公開された年はクロエが生まれる前年。彼女こそデジタルネイティブ、まさに今の若者ということだ。
2017年02月02日先日1月19日にHEAPS.株式会社が運営する本メディアBe inspired!主催で「ゲリラシネマ3」が行われた。「映画館“以外”の場所で、社会問題を知って、考えて、行動する」がコンセプトの映画上映イベントだ。テーマは日本でも深刻な社会問題の「フードウェイスト / 食品廃棄」。当日は、現在渋谷アップリンクで公開されている『0円キッチン』を上映。毎日大量に売れ残り捨てられてしまう食材を救うためにスーパーのゴミ箱にダイブしたり、いきなり一般家庭の冷蔵庫を抜き打ちチェックしたり、未来の大人たちと昆虫食を食べ比べたり…。各地で食材の無駄をなくすために、ユニークでおいしく楽しい取り組みをしている人々に出会い、「食」について、「環境」について考える内容となっている。 上映後は、日本で食に関する社会問題に対して取り組むゲスト4人を招きトークショーも開催。豪華なことに『0円キッチン』の主人公であり、監督のダーヴィド・グロス氏もスペシャルゲストとして参加した。欧州5カ国を5週間、ほぼ廃棄食材しか食べずに旅をした様子をドキュメントしたロード・ムービーを制作した彼が、本イベントで参加者100人に伝えたかったこととは一体なんなのだろうか。▶︎「ゲリラシネマ3」イベントレポート記事はこちら
2017年02月02日街の“クール”なエリアは数年ごとに変わっていく。比較的貧困地域で、それまでひそひそと文化を発信し続けてきたようなエリアも、その「エジーさ」が一度注目されるとすぐさまチェーン店が押し寄せ、マンションが建設され、地価は上がり、観光客は増え、もともとの良さは失われる。治安の向上や、経済的な発展が見られるため、必ずしもマイナスなことばかりとは言えないが、昔からある小さな個人経営のお店は存続できなくなり、住民は跳ね上がる家賃に耐えられず出ていかなければならないケースも少なくはない。そして大抵の場合、その住民たちはこれまで以上の貧困地域に追いやられ、さらにひどい環境で生活させられることとなる。この現象を英語で「GENTRIFICATION(ジェントリフィケーション)」と言う。ニューヨーク、ロンドン、パリ、サンパウロ、そして東京。世界中のほとんどの国に見られるこの現象。どうすれば昔からそこに住んでいる人々を、そしてその地域の文化を守ることができるのか?(Photo by Corporación del Proyecto ENLACE del Caño Martín Peña)(Photo by Corporación del Proyecto ENLACE del Caño Martín Peña)そこで、住民は環境改善のために活発にデモ活動を行っているが、彼らの望みが叶い、浚渫作業が行われるとさらなる問題が発生する。「ジェントリフィケーション」だ。土地に興味のある産業の人間や資産家が、運河の問題さえ解決されればこの地域に経済的な価値があると見込んでおり、作業が終わるとたんに住民は追い出され、富裕層がこの地域を開拓し、占領することは目に見えている。「みんな出て行く。でも私たちは此処に残りたい」そんな中、スラム街とその住民を守ろうと、住民、市役所、そしてコミュニティ・ランド・トラストの団体が協力し立ち上げたのが『Enlance Project』。コミュニティ・ランド・トラストとは、世界中に存在する「ジェントリフィケーション」から地域を守るために活動している団体である。国や地域によって活動内容は異なるが、プエルトリコの場合、スラム街の土地を売却しもともと住む権利を持っていなかった住民に分配した。そうすることによって、住民が世代を超えて半永久的に住めるようにしたのだ。環境や社会的な問題など、地域に関わる重要な決断に住民も参加する権利と義務がある。そして土地を狙ってやってくる人にはコミュニティ・ランド・トラストの人間が信念を持って対応する。 また、プロジェクトの一貫としては、環境改善と若者の教育に力が入る。スラムのエリア内にアーバンガーデンを作り、地域の若者をリーダーに抜擢し、彼らにリーダーの能力やチームで働くことの意味を教えながら、ガーデニングを通して持続可能な食の大切さを教育している。(Photo by Corporación del Proyecto ENLACE del Caño Martín Peña)『Enlance Project』の取り組みは世界中から高く評価され、国連が主催する持続可能でイノベーティブな住まいに関わる活動を行う団体に送られる2015-2016UN World Habitat Awardを受賞した。このプロジェクトは、地域を守り、環境改善に力を入れるだけでなく、スラム街を住民が誇りに思い、団結力を感じるようなコミュニティに生まれ変わらせたところが革命的である。プロジェクトの成功は、世界中のスラム街の改善方法の見本となり、視察のために訪れる人の数も多く見込まれる。プエルトリコの観光業をも潤したのだ。(Photo by Line Algoed)先進国がプエルトリコからから学ぶこと「ジェントリフィケーション」はスラムとまでは行かない先進国の貧困地域にも非常に関連する問題だ。英国ロンドンでは何年にも渡って不動産市場は値上がりし続け、高すぎる家賃が理由で現在人口の3分の1が、基本的な生活に必要なお金を稼げていない現状がある。(参照元:everyinvestor)(Photo by Nico Hogg)そこで、イースト・ロンドンでは地元の人によって英国初のコミュニティ・ランド・トラストが立ち上がった。彼らは、廃墟となった病院をリノベーションし、相場の3/1の値段で地元の人に部屋を売り出している。(参照元:London Community Land Trust)地元の人の収入に見合った値段をこれからもキープしていくそうだ。これがロンドンの異常な住宅問題への光となっている。東京を例としてあげてみると、チェーン居酒屋や話題のパンケーキ屋さんが続々とオープンし、昔のアングラ感が薄れてしまったと嘆かれる下北沢。20年前から経営をしている地元のバーは家賃の値上がりに苦しんでいる。そして最近、外国からの旅行者にも人気が出てきた高円寺は「ジェントリフィケーション」の次のターゲットといったところか。地元の人はパンクなこの街を守れるのだろうか。人間らしい生活や地域特有の文化など、「ジェントリフィケーション」によって奪われる代償はあまりにも大きい。手遅れになる前に、私たちもプエルトリコやロンドンの例を見習い、デモから始めてもいいし、コミュニティ・ランド・トラストを立ち上げるものいい。具体的にアクションを起こしていくべきではないだろうか。—————Text by Noemi MinamiーBe inspired!
2017年02月01日インスタグラムやフェイスブックなどのSNSは、現代社会を生きる私たちにとって欠かせない表現や言論の場だ。そのなかで、“ヌード”の投稿をめぐる問題が起きている。インスタグラムとフェイスブックの“NG画像”(Photo by Jared Polin)上記の2枚の写真はインスタグラムやフェイスブックに投稿しても大丈夫だろうか。左の写真はOKだが、右の写真は「女性の乳首」が露出しているためNGだ。このようなルールにより、女性の乳首が露わになった画像は削除されてきているという。(参照元:The Guardian)それぞれのSNSには、投稿する画像に関するルールが設定されている。インスタグラムの場合、禁止事項に「女性の乳首の写真も含まれますが、乳房切除術後の瘢痕はんこんや授乳をしている女性の写真は許可されます。ヌードの絵画や彫刻の写真も許可されています」(引用元:Instagramヘルプセンター)と書かれており、アートの表現だとしても生身の女性の乳首の露出は許可されていない。(参照元:Instagramヘルプセンター)インスタグラムを傘下に持つフェイスブックのルールも同様で、女性の乳首が見えている画像への制限があるが、「教育、ユーモア、風刺を目的に投稿される場合はこの限りではありません」としており表現として許される場合もあるようだ。どちらも多様な出身文化や年齢を考慮したうえでのルールだという。(参照元:Instagramヘルプセンター, Facebook)このように、どちらのSNSも「女性の乳首」は一部の利用者には適さないと考えている。しかし、なぜ男性の乳首は許可されて、女性の乳首が規制の対象となるのか。#FreeTheNippleと「乳首」(Photo by Jared Polin)「フリー・ザ・ニップル」を合言葉にしたキャンペーンをご存知だろうか。直訳すると「乳首を解放せよ」という意味だが、単に女性が自分の乳首を見せて歩きたいからということではない。「男性の乳首」は公共の場で見せることが許されているのに、なぜ女性には「乳首を出す権利」がないのかという疑問を社会に問いかけるものだ。つまり、女性にも乳首を出す自由を認めるべきと主張する運動である。フリー・ザ・ニップルキャンペーンには多数の有名人が参加しているが、アメリカのスーパーモデルのナオミ・キャンベルが、インスタグラム(既にインスタグラム側により削除済み)とツイッターにトップレス写真を投稿したことが特に有名だ。実際のところ、社会的にNGでも米ニューヨーク州やカリフォルニア州のベニスビーチなどでは法律的に女性の乳首の露出が認められている。(参照元:TIME.com, NBC Southern California)だが、依然として社会的に女性の乳首は「タブー視」されており、主に女性たちが抗議を続けている。▶「フリー・ザ・ニップル」についてもっと知りたい方はこちら“教育”か“ポルノ”かそれとも女性の乳首の写真がSNSから消され続けているが、注目したいのが「教育やユーモアや風刺なら」というルール。このルールに従えば「乳首」を出した画像を投稿していいというのだ。では、「露骨な性表現」かそうでないかはどうやって判断するのだろうか。インスタグラムもフェイスブックも、ユーザーからの報告を受けてから手作業で判断していくという。(参照元:東洋経済オンライン, TechCrunch)だが、彼らの判断にはやり過ぎに思えるものも目立つ。例えばフェイスブックに投稿されたベトナム戦争中に裸で逃げ惑う子どもたちの写真が、歴史的に重要なのにもかかわらず全裸であることを理由に「児童ポルノ」と判断されて問題となった。(参照元:THE HUFFINGTON POST)さらには、規制の対象となっていないはずのイラストまで非表示にされたことがある。ニューヨーカー誌がフェイスブックページに掲載した、イラストの女性の乳房にわずかな点(乳首)が描かれていたことが原因だった。このように、厳しすぎるフェイスブックの判断が物議を醸している。(参照元:GIZMODO, The New Yorker)「乳首」をインスタにアップするキャンペーン(Photo by Genderless Nipples)フリー・ザ・ニップル運動とは異なる新しい形で、女性の権利を訴えるのは「ジェンダーレス・ニップルズ」(性別のない乳首)と名付けられたインスタグラムのアカウント。こちらはSNSという現代的な表現のプラットフォームで「男性の乳首」は削除されないのに、なぜ「女性の乳首」を投稿すると消されてしまうのかという疑問をもとに作られた。ねらいは、性別によって乳首に大きな違いはないと証明し、性差別的なルールを変えさせることである。現に男女の乳首が似ているため、男性の乳首が削除されたこともあり、ジェンダーレス・ニップルズの作戦も半ば成功しているようだ。(Photo by Genderless Nipples)<ニュース:さっき男性の乳首の1つが削除された。インスタグラムよ、男女の乳首を見分けることなんてできないでしょ、誰ができるの!?それなのにどうして女性を規制し続けるの?>乳首のクローズアップ写真のみを投稿している、本アカウント。性別による乳首の見分けがつかないことだけでなく、人はそれぞれ異なった肌の色や、乳首の形など多様な身体的特徴を持っていることがわかる。なかにはピアスを付けている人も、手術の痕が残っている人もいる。「男性の乳首は社会的にOKだけど、女性のはNG」という考えの不平等さ以上に、この世界に溢れる人々の「多様性」まで考えさせられるようだ。今では問題のない男性の乳首を見せることも、以前は「タブー」とされていた。それを考えると、女性の乳首もいつかは「公共の場で見せてもいい権利」を持てるようになるかもしれない。「男性の乳首は社会的にOKだけど、女性のはNG」という考え方を批判的に捉えずそのまま受け入れる人が減れば、この問題も前進したといえるだろう。<ジェンダーレス・ニップルズへの参加方法>(Photo by Genderless Nipples)ジェンダーレス・ニップルズへの参加には、①まず18歳以上であること②明るいところでカメラをコーラ缶1つ分ほど離して、乳首と乳輪だけが入るようにまっすぐ前から写真を撮る※このとき注意すべきなのは、毛や手などを入れないようにすること。そうすれば、さらに識別が難しくなる。③genderlessnipplesatgmail.comに、またはジェンダーレス・ニップルのアカウントのコンタクトボタンから写真を送る写真はすべて名前を伏せてアップロードされるのでご安心を。(参照元:Genderless Nipples)—————Text by Shiori KirigayaーBe inspired!
2017年02月01日ホームレスの家と聞いてどんなものが思い浮かべるだろうか。日本なら“汚れた”新聞紙や段ボール、レジャーシートで構成された仮設シェルターではないか?そんな「汚いイメージ」がつきまとうホームレスの家を、クリエイティブなデザインで覆した建築家がロサンゼルスに存在する。彼女の名はティナ・ホセイピアン。意外にもその家のデザインのヒントは、日本の伝統的な造形文化「おりがみ」だ。(Photo by Cardborigami)「おりがみ・インスパイア」のホームレス・シェルターティナがデザインしたおりがみにインスパイアされた段ボール製のホームレスの家がこちら。(Photo by Cardborigami)段ボール(カードボード)製のおりがみという意味を込め、「カーボーリガミ」と名付けられたこのシェルター。一時的な住まいなのにも関わらず、現代アートのような先駆的なデザインで、自分で色を塗ったり絵を描いたりカスタマイズすることもできるのだ。カーボーリガミを見ていると、ホームレスになることは「クリエイティブな生き方」の一つだと思わされるくらいだ。カーボーリガミは、家を持てない人たちに安全でプライベートな寝所を確保するだけでなく、おりがみのようにすぐ折りたたんだり、広げることもできるようになっているのが特徴で、これを寝所の必要な人に渡すだけで済むという。天候の関係などで移動せざるをえないときに便利なのだ。段ボール製であるカーボーリガミだが、ビニール製のテントと比べて風の影響を受けにくく形を保ちやすい構造となっており、ホームレスに配布されるものには水や火に強い加工が施されている。そして段ボール素材からは毒素が発生しないため、いらなくなればリサイクルも可能。(参照元:Women in the World, NEW ATLAS)ホームレスの仮の住まいの一部として思い浮かべられる段ボールは、実際にシェルターとして使いやすい素材だったのだ。(Photo by Cardborigami)(Photo by Cardborigami)一時的な支援では終わらない「カーボーリガミ」ホームレスの人々に一時的な住まい「カーボーリガミ」を提供することはこのプロジェクトの入り口に過ぎないとティナは語る。彼女たちはホームレスの人々に永久的な住まいに移り住むことや、仕事につくことまでも支援しているのだ。そのなかでも特に力を入れているのが若者に向けた支援活動。例えば、ホームレス状態にあるセクシャルマイノリティの若者を対象にカーボーリガミの有給の短期インターンシップ生を募集し、就業経験の機会を提供している。また、ホームレスだけではなく、2015年のネパール地震など世界で自然災害で家を失った人々に向け、シェルターをはじめ、ワイヤレスネットワークや衣類、学用品の配布も行なっている。このような支援が可能な背景には、トヨタ自動車やオーガニックスーパーのホールフーズマーケットなどの企業や一般の人々からの募金による協力もある。(参照元:Women in the World, Cardborigami)※動画が見られない方はこちら(Photo by Cardborigami )デザインがホームレスを救う日本では2016年に人口約1億3000万人に対して約6,200人、(参照元:総務省統計局, 厚生労働省)アメリカはさらに深刻で2015年に人口約3億2000万人に対し、約565,000人(参照元:US News, National Aliance to END HOMELESSNESS)がホームレス状態にあったのだ。特にティナの生まれ育ったロサンゼルスは、全米でもホームレスの数が多く、彼女がカーボーリガミのプロジェクトを始めたきっかけにもなっているほど。人はどうしてホームレスになってしまうのだろうか。日本を例にすれば、そのパターンは大きくわけて2つあり、何らかの理由で失業して家賃が払えなくなり頼れるところがなかったパターンと、障がいや虐待、いじめなどの問題を抱えながら家族などのもとで暮らしていたが何らかの理由で家をなくしてしまったパターンがある。(参照元:TENOHASHI)なかには「ホームレスは文化だ」と考え、自分で選んでホームレスになったアーティストの小川てつオのような人も存在する(参照元:ホームレス文化)が、多くのホームレスは他の選択肢がなかったためにホームレス生活を送らざるをえなくなっている。また、さらに大きい問題は世間からの根強い「偏見」の眼差しだ。「汚い」や「怠けている」などの否定的なイメージが一般的にあるが、想像がつくように路上では体を清潔にする環境が整っていない。そして怠けているというイメージに関しては、日本のホームレスの7割が何らかの仕事をしていることから、私たちが実情を知らないだけなのだ。(参照元:NPO法人Homedoor)クールなデザインを施されたカーボーリガミが、生活保護や就業支援と異なる「偏見」という難題を払拭し、ホームレスが生きやすい社会を切り開いてくれることに期待したい。(Photo by Cardborigami)—————Text by Shiori KirigayaーBe inspired!
2017年01月31日みなさんは「フリーアドレス制」をご存知だろうか?「フリーアドレス制」はオープンオフィスを持つ会社によく見られる制度。開けた構造をしたオフィスで、机も大きく、大人数で共有できるようになっているオープンオフィスは役職に関係なく座れるのが特徴だ。そんな環境下、個々が定位置の席を持たず、毎日自由に好きな席に座るシステムが「フリーアドレス制」である。去年の10月に新オフィスに移転したYAHOOが導入したことでも話題になった。オフィスが自由な雰囲気なのは若者には嬉しい話だろう。しかし仕事の効率の面など、実際のところはどうなのだろうか?
2017年01月31日