発語が遅かった発達グレー息子。まだまだお喋りがまだ幼くて…しのくんは、発達障害グレーゾーンの男の子。発語が遅かったしのくんですが、もうすぐ5歳で、おしゃべりをたくさんするようになりました。しかし、まだまだ同じ年ごろの子どもと比べるとおしゃべりが幼いしのくんです。言葉の発達が実際の年齢の水準よりゆっくりなせいか、4歳になるまでは、「この子、何言ってるか分かんない」と、公園で一緒に遊んでくれるお兄ちゃんたちによく言われていました。Upload By keikoしのくんが、このお兄ちゃんたちの言葉で傷ついたかどうかは分かりませんが…少なくとも私は傷つきました(笑)でも、しのくんが何を言っているのか分からないのは事実なので、早くおしゃべりが上手になればいいなぁと思っていました。当時しのくんは、相手の発言や質問の理解が難しかったのと、意味が分かったとしても、答えるための言葉が見つからなかったため、簡単な質問にも答えることができませんでした。なので、家では、簡単な質問に答えられるように「お名前は?」とか、「しのくん何歳?」など練習しました。何度も同じ言葉を繰り返してしまうもうすぐ5歳になるしのくんは、ようやく簡単な質問にも答えられるようになったし、何を言っているのかも相手に伝わるようになってきました。ところが…やっぱり、同じ年ごろの子どもと比べるとまだまだおしゃべりが幼くて…しのくんは、言いたい言葉が見つからないときは、同じ言葉を何度も言ってしまいます。例えば、「しのくんは、うさぎさんが大好き」と言いたかったとします。ですが、「うさぎ」という言葉が出てこないときには、「しのくんなぁ、しのくんなぁ、あの、あの、あの…」と同じ言葉が続いてしまうのです。Upload By keiko思い出せたらいいのですが、思い出せないときは、ジェスチャーや、「耳がこんな長くて、ぴょんぴょん飛ぶやつ」など、なんとか伝えようとしてくれます。Upload By keikoこれが、家だったら最後までしのくんのペースで話を聞いてあげられるのですが…家族以外の人と話しているときだと、つい私がしのくんの言葉をさえぎって、先に答えを言ってしまいます。Upload By keiko私の中でさまざまな感情が渦巻いているのが原因だと思われます(何言ってるか分からないと言われたくないし、相手の時間を気にしてしまったり…)。でも最近、それが良くないんじゃないか?と思い始めました。しのくんが、相手に一生懸命伝えようとしているのに私が邪魔をしている気がしますし、話す力も奪っている気がしました。時と場合によりけりだと思いますが、できるだけしのくんのペースに合わせて、しのくんの邪魔にならないようサポートしていきたいなと思います。執筆/keiko(監修:初川先生より)しのくんの言葉のサポートについての葛藤や逡巡のエピソードをありがとうございます。はじめに出てきた「子ども同士のコミュニケーション」。この難しさに関しては多くの保護者の方も分かる分かると感じるのではないでしょうか。子ども同士のコミュニケーションは大人が改めて聞いてみると、なかなか“残酷な言葉”が飛び交っています。「何言ってるか分かんない」もそうですが、「(あなたのこと)きらい」や「やだ(一緒に遊びたくない、遊びに入れてあげない)」など。大人が聞くとグサッと刺さったり、ハラハラしたりする言葉が飛び交っています。ただ、それは、相手の子が特別冷たいからということではなく、子どもはお互いいろいろと未熟だからなのだろうと私は理解しています。表現がストレートすぎる。ただ、だからこそ、相手の言いたいことが分かりやすい面はあります。成長すると、婉曲表現や笑顔で遠回しに嘘(建前)を言うといったことがありますが、その前には、まずは発言の意味をしっかりと受け取る練習は必要で、そういう意味でストレートな表現は発達段階的にお互いに有効な面があります。ただ、お子さんによっては、字義通りにすべて受け取れるタイプのお子さんや傷つきやすい・思い悩みやすいお子さんもいるので、そのあたりは良く見ていただければと思います。後半に書かれたkeikoさんのサポートはどちらもとても良いと思いました。なかなか思い出せない言葉(例「うさぎ」)を、ほかの言葉で説明してもらって、それを何と呼ぶのか伝える。時間がかかるサポート法ですが、とても大事ですね。うさぎの特徴を相手に伝えて分かろうとしてもらう、いわばバイパスをかけるような方法をしのくんは練習しています。そして、この場合の主眼は「言葉を思い出す」にあると思います。家族以外との対話場面で、keikoさんがやや先回りして、しのくんが「きのうなぁ」と言った時点で相手に「水族館に行ってきたんです」と伝える。keikoさんは先回りしてよくないのではと感じられたようですが(その気づき自体、とても素敵です)、たしかに先回りして、言葉を思い出すまでの時間をショートカットしているとも見えます。ですが、私には、この場合はしのくんにとって「言葉を思い出す」よりも、「相手との会話を楽しむ」「会話の実践」に主眼がおかれる設定に変わったというように見えます。言葉を思い出したり、言いたいことにしっくりくる言葉を探したり、そういうことは大事ですが時間がかかり、言いたいことがあるのにするする伝えられないじれったさを感じることもおそらく多くなります。「水族館に行った」ということをフォローしてあげることで、しのくんにとって大事な「水族館に行ってどうだったかを知らせる」にエネルギーを注ぎやすくなります。おそらく話の相手には、水族館に行って楽しかったんだよ!とか、面白かった、すごかったなどそうした興奮を伝えたいのではと思うのです。子どもの発言としては「水族館に行った」にそれも含まれると感じているお子さんは多いです。「水族館に行った(=おもしろかった!の意味)」、だからこそ、気の利く大人は「そう、よかったわねぇ」や「あら、楽しかった?」と返すことが多いのだと思います。そこを感覚的にkeikoさんも分かっているから、先回りして言いたいことを取ってしまったと感じるのでしょう。でも、本来的には「楽しかった」「面白かった」などを(察してもらうのではなく)言えた方がいいです。そのあとの言葉がうまく出ずとも、「お母さんは楽しかったけど、しのくんはどうだった?」「魚がいっぱいいてびっくりしたね」「大きな魚がいたね」など、いくつか話しやすくするための呼び水となる言葉を伝えてもいいと思います。ときどきその中で「しのくんはどうだった?」とkeikoさんからインタビューすると、話しやすくなるのではと感じます。使う言葉のレパートリーを提示したうえで、話すことを実践してもらう、ということです。そういう意味で、keikoさんがご家庭でするサポート、実際の会話場面でのサポートそれぞれの目的を整理してみると、またそれぞれへの力点の置き方が明確になるように思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月14日いつもと違う!新学期は変化だらけ!発達障害のある子どもの中には、場所見知りや人見知りがある子どもがいると思いますが、新しいクラスになると、教室が変わって大丈夫かな?先生やお友達が変わって大丈夫かな?と新生活への期待よりは不安のほうが勝ってしまうことがあると思います。私も毎年新学期になる度にそのような不安を感じていました。Upload By みん少しでも不安を和らげるために…療育園ではそんな私たちのような親子の不安を、少しでも和らげてくれるさまざまな対応をして下さっていました。例えば新学期になると靴箱の場所が変わるので、その時点でパニックになってしまう子どももいます。療育園では、一人ひとり自分のマークがあるので靴箱に貼ってあったマークを新学期には先生が全て貼り直してくれています。子どもたちは自分のマークが貼ってある靴箱の場所を確認し、その後新しい教室の入り口でも自分のマークを確認してから入室することで、「今日からここが自分の靴箱や教室なのだ」と認識することができるのです。このような工夫によって、新しい場所でもなるべくスムーズに誘導できるようにしてくださっていました。また、担任の先生が全て変わらないように昨年担任だった先生のうち1人は引き続き担任になってくれるので、親と先生との間の引き継ぎもスムーズに行えます。新しい担任の先生の中に知っている先生が1人でもいるだけで親子共にとても安心できました。Upload By みんそれでも、新しい環境は子どもにとっては大変です。Pは年中から年長になるとき、前のクラスでお気に入りだった玩具がクラスが変わってからは使えなくなったことで、玩具を片づける扉の前で玩具を出すようにと先生に要求し、出してくれない場合は癇癪を起こしてしまうこともありました。私は先生に、前に遊んでいた玩具を出してもらうことは可能ではないか?と聞きました。すると先生は「できれば玩具を出してあげたいのですが、新しいクラスではP君の遊んでいる玩具を見て、自分も遊びたいと取りに来るお子さんもいます。それが原因でトラブルになってしまう可能性もあるので、申し訳ないですがP君には我慢してもらって、クラスに慣れるまでは今ある玩具や絵本で遊んでもらえたらと考えています。」と言われました。Upload By みん新学期に不安になるのはわが子だけではない!私はP自身が落ち着くことばかり考えてしまっていましたが、先生はクラス全体が落ち着いて過ごせるように考えたうえで対応してくださっていることが分かりました。クラスのみんなが落ち着くことがPも落ち着くことにもつながるんだと思いました。先生は前のクラスで使っていた玩具をPに諦めてもらうために、Pが好きそうな動物の絵本やカードなどを新しく増やして与えてくださっていました。そして私へも、連絡帳や電話で毎日の様子を伝えてくれて、私自身もマメに見学へ行きPの療育園での様子を見ることで安心することができました。新学期はいろんな困りごとが出てくる可能性が高いですが、たとえ困ったことがあっても本人の様子を観察し、どこまでなら我慢できるか?できないか?などを考えながら、一つひとつ対応して、それを積み重ねることでいつの間にか新しい環境にも慣れ、また新たにルーティンを作り出し、落ち着いて過ごせることもできるようになると思います。そしてわが子だけでなく同じクラスのお友達が落ち着いて過ごせる環境をつくるのも同じように大切だと思います。最初は大変なこともありますが、焦らずに対応できるようにしたいと思います。Upload By みん執筆/みん(監修:新美先生より)療育園での新学期の環境変化についての工夫を聞かせてくださいましてありがとうございます。新学期の環境変化は、自閉特性があるお子さんにとってストレスになるものです。クラスが変わっても、自分のマークが同じで、マークで自分のもの・場所が分かるという仕組みは低年齢のお子さんにとっても分かりやすいですね。療育園だけでなく通常の保育園でもどこでも誰でも、このようにマークを引き継ぐということをしてもらえるといいですね。今までOKだったことが、できなくなるということは本人にとっては混乱してしまうことです。このようなことがあることは当然なのですが、その場合も本人の理解度に合わせて視覚支援などを使って、新たなルールを説明してもらえると早く納得できるかもしれません。新学期の環境に慣れるまでは、園や学校では混乱したり我慢したりすることが続くので、しばらくは自宅での活動でゆとりを持てるよう意識するといいかもしれませんね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月13日20代で「うつ病」の診断私が発達障害を自覚したのは30歳。それまでずっと生きづらさはあり、いろいろな精神症状を経験しました。20代前半、第二新卒で働いていたとき、気分の落ち込みと気力の低下、希死念慮がひどく、ほとんど寝たきりのようになってしまいました。それまで精神科にかかったことはなく、インターネットで調べた、うつ病の診断もできるというクリニック(内科だったと思います)に行ったところ、うつ病との診断が。抗うつ剤を処方されて1錠飲んだところ、興奮状態になり、頭痛、下痢、幻聴という副作用が出て、パニックを起こして救急車を呼んでしまいました。※発達障害の診断が下りたあとになってわかったのですが、発達障害者への抗うつ薬の投与は慎重にすべきという意見もあるようです。このときの医師は精神科医でなかったので、私の症状には適さない処方だったのかもしれません。10年以上前のことなので、詳細はあまり覚えていないのですが、そこから大学病院の精神科にかかるようになり、31歳で実家を出て関東を離れるまで、そこの精神科の先生を主治医としてずっと面談を続けていました。32歳で発達障害と二次障害の診断31歳で実家を離れて今の夫のもとで暮らし始めた私。しばらくは夫に世話してもらいながら静かに暮らしていたのですが、翌年の夏、改めて気分の落ち込みや神経過敏に悩まされるように。やはり再び精神科に通いたいと、近所の精神科医院(標榜は心療内科でした)に行って発達障害の自覚についても話したところ、高機能自閉症(現在の分類ではASDに該当します)の診断が降りるとともに、それによる二次障害としてのうつ傾向が指摘されました。手帳取得への動き先に精神障害者保健福祉手帳と障害年金を取得していた友人に上記の診断の話をすると「福祉ともつながれるし、メリットも多いからぜひ精神の手帳を取得するといい」と勧められて、まずは手帳を取得するために動くことになりました。主治医とソーシャルワーカーさんの意見を総合すると、まだ発達障害単体で精神障害者保健福祉手帳の申請は通りづらいとの判断でした。※これは2012年当時の宮崎県での状況です。地方によっても違うとのことでしたし、現在では発達障害単体でも通ることもあると思います。地域のソーシャルワーカーさんに相談してみるとよいと思います。そこで、二次障害としてずっとうつ傾向が続いているし、手帳申請時の書類上の「初診」にあたる診療(上記の20代でかかった内科医の診療)で「うつ病」の診断が出ているのにも矛盾しないということで、「うつ病」の診断で申請してくれることになりました。診断書の内容への工夫診断書の病名自体は「うつ病」なのですが、主治医は、二次障害のうつ傾向がよくなっても矛盾が起こらないように、症状のところに「易刺激性の亢進(感覚過敏傾向の表現)」「感情コントロールの困難(コミュニケーション障害の表現)」などといった表現を入れるなど、できる限りの工夫をしてくれたようです。主治医やソーシャルワーカーさんのおかげもあり、無事、障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)を取得することができました。手帳を取得して変わったこと何よりも経済的に助かるというのが、障害者手帳の最大のメリットです。自立支援医療制度を使って医療費が1割負担になるとか、交通機関によって運賃が割引になったりするのはとてもありがたいです。美術館などの施設も割引がある場合があります。同じく「うつ病」で同時に申請して取得した障害年金には本当に助かっています。人に自分の障害を説明するときに「私は実は障害者で、障害者手帳を持っているんです」と言えるので、説明がしやすくなりました。デメリットとしては、一つぐらいしか経験がありません。一度、タクシーで手帳での割引を使おうとしたときに差別的なことを言われて不快な思いをしたのです。私の住む自治体ではタクシーの割引金額はごくわずかだったので、その後は割引を利用しないことに決めました。障害者手帳は、自分にとって開示するメリットが大きいときに開示すればいいだけで、開示することにデメリットがあったりして隠しておきたいときには隠しておけるので、そこがありがたいなと思っています。発達障害があると症状のコントロールのために人より医療費がかかったり、特性のためになかなか思うような収入が得られなかったりと、経済的に苦労する人も多くいます。手帳はそこの負担を軽減してくれます。また、手帳を持っていると障害者雇用枠で就職・就労することもでき、働く場の選択肢も広がると思います。取得していない人は一度検討してみるのをお勧めしたいです。文/宇樹義子(監修・渡部先生より)精神保健福祉手帳の取得に際しては、心理面での抵抗もあったのではと想像しますが、決断されて本当に良かったと思います。今回のエピソードで紹介されている自立支援医療制度は、精神通院医療や薬にかかる費用の自己負担が、通常の3割から1割に軽減されるという大きなメリットがあります。その他の経済的なメリットとして、所得税や住民税、相続税の控除が受けられる、携帯電話料金の基本料金の割引きなどがあります。一方、タクシーで不快な経験をされたという、残念なお話もありました。福祉に携わる者として、障害理解、共生社会という考え方をもっと広めていかなくてはいけないのだなと、改めて考えさせられました。手帳の具体的なメリットをお話しいただき、取得を迷われている方にとっては、背中を押してくれるようなエピソードだったと思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月12日かるた大会の練習で泣く発達グレーの長男が以前通っていた保育園では、お正月にかるた大会がありました。当時長男は4歳になったばかり。長男はひらがなが読めるかも怪しい段階だったため、「かるたなんてできるの…?」と少し不安でした。とりあえず家庭で練習をしておこうと思い、私が読み手となってかるたを始めると…長男は最初はちんぷんかんぷんな様子で、やり方を教えてもなんだか分かっていない様子。私も始めのうち優しく教えていましたがいつまでたってもできなくて、長男はできない自分にイライラしながらべそをかき始め、私もだんだんイライラ。最後はギャンギャン泣きわめいて終了。かるたの練習をするたびにいつもそんな調子だったのでお互いに疲れてしまいました。かるた大会当日はもちろん上位の成績ではなかったけれど、3枚ほど取っていたので健闘を讃えたいと思います(笑)。Upload By 星河ばよ近所のお友達と遊んだ帰りに癇癪を起こす近所には同年代のお友達が多く、土日はよくお互いの家に行き来して遊んでいました。ですが、長男が年少~年長のころは帰るときが鬼門で。それまでは楽しく遊んでいたのに、「お友達が帰る」もしくは「自分が帰る」ことに気持ちを切り替えられず、癇癪を起こしていました。お友達のママさんパパさんは優しくなだめてくれましたが、私は申し訳ないやら、毎度変わらぬ長男の様子にイライラするやら。そのうち、お友達と遊ばせるのがなんとなく憂うつになっていました。「バイバイするのが寂しいのね」「また遊ぼうね」などと長男の気持ちをくんだ声かけをすればよかったかもしれませんが、当時の私はとにかく余裕がありませんでした。Upload By 星河ばよお友達と遊べなくて…長男が小学2~3年生になったころのこと。近所のお友達と遊ぶため外に出て行ったのですが、すぐに家に帰って来ました。長男はリビングに入ってくるなり、無言のままソファの隅に腰を下ろしました。理由はお友達と遊べなかったからだったのですが、長男なりに気持ちの切り替えを行なっていたようです。それからもお友達の家に行って断られたときは、家のソファの隅にしゃがみこむことが何度もありました。今までだったら癇癪を起こしていたかもしれませんが、気持ちの切り替えが少しずつできるようになってきたように感じました。Upload By 星河ばよ現在も癇癪はつづく…現在小6の長男。ゲームで負けても泣きわめかなくなり、お友達とバイバイするのもスムーズにできるようになりました。でも起床が少し遅れていつもの時刻に登校できないときは、あからさまに不機嫌をまき散らしてきます。「もう今日は学校行きたくない」ということもしょっちゅう。また、楽しみにしている予定が突然なくなったりするのにも耐えられないようで、心が暴走を始めます。まれに近くの物に当たったりもします。あらかじめ「急な予定変更があるかもしれない」ことを伝えることを心がけ、長男の心の持ち方に振り幅を持たせたいと思っています。執筆/星河ばよ(監修:鈴木先生より)私たちでも予定が急に変わったり、思い通りにいかなかったりすると不安になり、イライラするのと同じなのです。ただ、ASDの特性があると子どもでも大人でもその閾値(いきち)が低く程度が強いことがあります。自分の内側で納めきれずに衝動性も加わって自分の外側へ攻撃してしまうことがあるのです。我々はこれをASDによる易刺激性と診断しています。これは、アリピプラゾール(エビリファイ)のような抗精神病薬で調整は可能です。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月12日「第5回 日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」全国3ヶ所を巡り開催Upload By 発達ナビニュース日本財団が進める「日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS プロジェクト」は、誰もが参加できるインクルーシブな社会の実現を目指し、「日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」を2018年にスタート。障害のある人の芸術活動への支援、才能のあるアーティストの発掘という面だけでなく、障害の有無、国籍や文化も越えて、自由に表現することのすばらしさを社会に伝え続けています。「第5回 日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」が全国3ヶ所を巡り開催。東京会場からスタートし、横浜会場、大阪会場へとバトンをつなぎます。今回の公募展には、国内外から2,246作品の応募があり、厳正なる審査を経て128作品(審査員賞6作家8作品、海外作品賞1作家1作品、入賞43作家53作品、佳作50作家66作品)が選出されました。各会場ではその中から87点の作品が展示されます。この10年で大きく変わった「障害のある人のアート」の環境日本における障害のある人のアートに関する取り組みの大きな一歩は、2001年(平成13年)に厚生労働省が国際交流と障害者の文化芸術の拠点として国際障害者交流センター ビッグ・アイを設置したことにあるのではないでしょうか。そのビッグ・アイで2011年に主催した公募展が「日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」の先駆けとなります。全国の障害のある人の施設では、創作活動などを行っているところもありましたが、それを世に出す機会が少なく、公募展があったとしても地域の中など、限定されたものでした。その中でビッグ・アイは、全国的、さらには国際的な視野で文化芸術活動を支援していくことを目指した公募展を始めたのです。しかし、当時は「障害のある人のアート」に関して、社会的な環境が今とは全く違っていました。「障害については、芸術ではなく福祉分野で語るべきだ」という声や、障害のある人の作品を美術として「評価する」ということに対してのさまざまな意見もあったといいます。平等性、公平性が大事とされる福祉の中で「選ぶ」ということが果たしていいのかという議論や、「『誰もが制作できる場』をつくったほうがよいのではないか」というような意見が多くあったのです。そこから少しずつ認知度や理解が高まり、障害のある人たちが自由に表現できる場が増え、社会の見方にも変化がでてきたといいます。「日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」の魅力「日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」の応募条件は、国内外を問わず、障害のある人が制作したアート作品で過去に受賞歴のない作品。絵画・イラスト・グラフィックデザイン・書・写真などの平面作品、造形などの立体作品など種類を問わず、素材やテーマも自由です。世界的に見てもこの公募展のようなユニークなアートコンクールはないと言います。こうした場があることで、障害のある人だけでなく、サポートする家族や施設の方々に「自由に表現していいんだ」という勇気を与え、回を追うごとに応募作品数だけでなく、その表現のバリエーションも広がっていきました。5回目となる今回も国内外から2,246作品の応募があり、審査により128作品が選出されました。各会場ではその中から87点の作品が展示されています。Upload By 発達ナビニュースそれぞれの作品は、語りかけてくるようなエネルギーがあります。審査員、そして展覧会のアートディレクターも務めた中津川浩章さんは作品についてこう話します。「作品には障害のある人が日々感じている生きづらさなども反映されています。多かれ少なかれみなさんが現代社会の「不自由さ」を背負いながら、表現しているというのは間違いありません。そのような生活の中から「表現」が生まれ、それが世界を変革していくというイメージを作品から感じられます。現代アートというジャンルでは、社会課題を反映し表現することが多いと思いますが、この公募展に集まる作品の数々は、意図的ではなくそれを表現しています。社会課題も同時に読み取っていくと見えてくるヒリヒリとしたリアリティが作品の中にはあります。このような作品こそが実は社会的な作品と言えるのではないでしょうか」Upload By 発達ナビニュース「第5回 日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」で展示されている87点の中には、画材と思われていないものをつかった作品も多数展示されています。それぞれの作品から感じる独創性、エネルギーはまさに新しいアートのジャンルをつくりだしていると言っても過言ではありません。最近では、「『障害者アート』という名前は良くない、アートとして優れているのにどうして『障害者』とつけるんだ」という声もいろいろな方から届くようになったといいます。また、国際的な現代美術市場でも、障害のある人が制作したさまざまな優れた作品が進出しています。しかし「障害者アート」とは言わず、魅力的な作品として評価されているのです。社会が大きく変わってきたと言えるのではないでしょうか。特に日本ではアートは「技術を学び、それを習得した人が制作するもの」というイメージがあるかもしれません。しかしアートは本来もっと開かれたものであり、「自由に表現する」彼らの作品こそがアートのあるべき姿なのかもしれません。「日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」の取り組みは、社会にある「障害」「アート」の固定概念に変化をもたらし、多様性の意義やその価値を伝え続けています。そして、それは「障害」「アート」という領域だけでなく、よりよい「共生社会」の実現につながっていくでしょう。障害のある子どもを育てる保護者の方々へのメッセージUpload By 発達ナビニュース写真左から鈴木京子さん(国際障害者交流センター ビッグ・アイ 副館長/プロデューサー)、秋元雄史さん(東京藝術大学 名誉教授、本公募展審査員長)、中津川浩章さん(美術家/アートディレクター、本公募展アートディレクター及び審査員)、エドワード M. ゴメズさん(brutjournal 創刊者 兼 編集長、本公募展審査員)、横尾紀彦さん(一般財団法人 日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 理事長)、齊藤裕美さん(日本財団 公益事業部 国内事業開発チーム)秋元雄史さん(東京藝術大学 名誉教授、本公募展審査員長)障害のあるお子さんを育てている、その真っ只中にいる時間にいて、楽しいことも、つらいこともあると思います。人生に答えはないと思うのですが、もし「答え」というのならばその中で向き合って暮らしていくこと、充実する時間を持とうとすることが答えなのではないでしょうか。現代社会の中で「一般的」などということを考えてしまうかもしれませんが、同じ社会に生きているのだから、もっと声をあげていいんだと思います。そして障害について、社会がもっと知っていかなければいけないと思います。中津川浩章さん(美術家/アートディレクター、本公募展アートディレクター及び審査員)凸凹があると生きづらいと感じることも多いかもしれません。その凸凹をどうやって活かしていくかというのは、みんなでつくらなければいけないと思っています。保護者の方も「誰かにつくってもらう」のではなく一緒に動いて、凸凹があっても働きやすい職場や学ぶ環境をつくっていくことで社会も変わっていくと思います。アートはその凸凹が良い形で可視化されたものかもしれません。アートをみて想いを馳せたりできると思うので、展覧会をみて凸凹のマイナス面だけじゃなく、良い面もいっぱいあるのだということ感じてほしいなと思います。エドワード M. ゴメズさん(brutjournal 創刊者 兼 編集長、本公募展審査員)私はアーティストの創造性からいろいろなことに気づかされます。同時に彼らの創造性はどこからくるんだろうという興味が湧いてきます。しかし、彼らの多くは長く解説することはありません。だから私はいつも作品から答えを探しています。作品を見ているとだんだんその作品の意味を感じられてきます。興味深い作品に出合ったときに「この作品の意味は何ですか?」と聞きたくなることがあるかもしれませんが、聞くことを我慢して自分がその作品に向き合うことで意味があらわれてくるのです。鈴木京子さん(国際障害者交流センター ビッグ・アイ 副館長/プロデューサー)発達障害のある子どもを育てる保護者の方から、小さいころは育てることに必死だったけど、その子のペースでゆっくりと成長していたんだという声を聞きます。発達障害があっても、一人ひとり、それぞれのペースで成長していること、障害の特性(感覚過敏や多動など)もさまざまであることをもっと社会が理解していかなければならないと思います。社会の理解や障害のある人の居場所を広げていくためには、これまで社会生活の中で困ったことや悲しいことがあったかもしれませんが、行きたい場所に行き、そこで困っていることを伝えることも大切だと思います。まだまだ、今の社会では障害があることで困っていることへの「気づき」は充分ではありません。保護者の方々のアクションが新しい価値感を生み出し、多様な人を受容できる社会に変えていくきっかけになるのではないでしょうか。第5回 日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展「展覧会」および、関連イベント「授賞式・トークセッション」東京、横浜を巡り、4月12日(水)から4月17日(月)までは大阪会場で作品が展示されます。2023年4月15日(土)には関連イベントの授賞式・トークセッションが開催され、審査員を務めた秋元雄史さんと中津川浩章さんが「障害者と文化芸術」をテーマに話します。それぞれのアーティストが持つ視点や感性から新たな気づきを得られることでしょう。ぜひ足をお運びください。〈詳細〉●大阪会場会期:2023年4月12日(水)~4月17日(月)時間:11:00-19:30※4月17日(月)は16:00まで観覧料:無料会場:阪急うめだ本店 9階 阪急うめだホール(大阪府大阪市北区角田町8-7)(阪急・阪神「大阪梅田駅」から徒歩約3分/JR「大阪駅」から徒歩約4分)●授賞式・トークセッション日時:2023年4月15日(土)14:00-16:00会場:阪急うめだ本店 9階 阪急うめだホール登壇者:秋元雄史氏[東京藝術大学 名誉教授]、中津川浩章氏[美術家/アートディレクター]観覧料:無料(予約不要)主催:日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS協力:国際障害者交流センター ビッグ・アイ、阪急うめだ本店(大阪会場)※クリックすると、発達ナビのサイトから「第5回 日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」の公式サイトに遷移します。
2023年04月11日SNSで話題のエッセー「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」がドラマ化!5月14日(日)より放送スタート!Upload By 発達ナビニュース中学2年生のときに起業家の父が突然死、高校1年生のときに母が心臓病で車いす生活、4歳下の弟はダウン症、そして認知症の祖母。作家・岸田奈美さんの自伝的エッセイを原作にした連続ドラマ「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」がNHK BSプレミアムドラマとして、2023年5月14日(日)22時より放送されます。岸田さんがつづる家族との日々は「楽しい」や「悲しい」などの一言では言い表せないほど情報過多。「弟が万引きを疑われ、母は赤べこになった」、「どん底まで落ちたら、世界規模で輝いた」など、「大変であろう」と誰もが思う出来事を、コミカルな文章で記したブログがインターネットで拡散され、「笑えて泣ける」と多くの人の心をゆさぶりました。今回の連続ドラマでは、岸田さんが紡いだエッセーに、ご家族や関係者への取材によるエピソードや、独自の視点での脚色を加え、全10話で放送されます。主人公「岸本七実」役は、映画界で数々の賞に輝く河合優実さん。母役に坂井真紀さん、父役に錦戸亮さん。ダウン症の弟役には、オーディションを経て新人の吉田葵さん、そして祖母役は美保純さんが演じます。知的障害、身体障害、認知症、親との死別…。もしかしたら、どの家族にも、岸田家と同じようにさまざまなエピソードがあるのかもしれません。笑って泣いて、じんわりと心があたたかくなる、ある一家の日々の物語。日曜日の夜、ドラマを見ながらあらためて「家族」について考えてみるのもいいかもしれません。【放送予定】2023年5月14日(日)スタート<全10話>毎週日曜 夜10:00~10:50(BSプレミアム・BS4K)※クリックすると、発達ナビのサイトからドラマ「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」のサイトに遷移します。アール・ブリュット ゼン&ナウ Vol.3「ただよう記憶の世界」東京都渋谷公園通りギャラリーにて2023年4月22日(土)~6月25日(日)開催Upload By 発達ナビニュースアートを通してダイバーシティの理解促進や包容力のある共生社会の実現に寄与するため、さまざまな作品の展示などにより、一人ひとりの多様な創造性や新たな価値観に人々が触れる機会を創出する東京都渋谷公園通りギャラリー。「アール・ブリュット ゼン&ナウ」は、国内外のアール・ブリュットの動向において、長く活躍を続ける作家と、近年発表の場を広げつつある作家を、さまざまな角度から紹介する展覧会シリーズです。3回目の開催となる今回は、国内作家5名を取り上げ、日々の食事や訪れた場所など、視覚や味覚など身体の感覚の記憶から生まれた作品を、「作家のあるひと時の記憶の世界」として紹介。作家たちのさまざまな感覚の記憶から生まれた作品は、具体的な形となって表現されていたり、抽象的な形に姿を変えたものも。弁当や乗り物、「どこかで見かけたような気が?」と想像力をかき立てるような、さまざまなモチーフから生まれた表現を楽しむことができます。さらに、出品作品のなかには、べニヤ板やカレンダーの紙、CDなどを用いた作品も。身の周りにある素材が作家の表現へと変化した姿も見どころです。「ただよう記憶の世界」と題された今回の展示会では、会場を歩きただよいながら鑑賞できるような空間づくりも特徴的です。作品は、カーブや直線、多角形のようなさまざまな形からなる壁を立て、いろいろな方法で展示。壁の曲線に沿って歩いてみたり、宙に浮いたような作品をのぞき込んだり、頭上に浮かんだ作品を見上げたりと、鑑賞者は好きなように楽しむことができます。作家たちの「記憶の世界」に触れながら、私たち自身がそれぞれにもつ遠い記憶を思い起こさせる展覧会「ただよう記憶の世界」。今ここにない時間をただようような記憶の旅に、足を運んでみてはいかがでしょう。<詳細>会期:2023年4月22日(土)~6月25日(日)会場:東京都渋谷公園通りギャラリー 展示室 1、2開館時間:11時~19時休館日:月曜日入場料:無料出展作家:後藤友康、小林一緒、東本憲子、戸來貴規、松原日光※クリックすると、発達ナビのサイトから「アール・ブリュット ゼン&ナウ Vol.3ただよう記憶の世界」の公式サイトに遷移します。誰にもやさしく、かっこいいーー裏表も前後もなく着られる服「裏表のない世界」シリーズ。フェリシモの「オールライト研究所」から発売Upload By 発達ナビニュース株式会社フェリシモは『マイノリティデザイン』の著者・澤田智洋さんを「ゆる研究員」とする「オールライト研究所」を設立。誰もがもつ弱みや苦手やコンプレックスを「そのままでいい、そのままで楽しい」 と思えるための商品開発をスタートしました。その第1弾「裏表のない世界」では、裏表も前後もなく着られるトップス、パンツ、靴下の3商品を開発し、2023年2月14日(火)よりWEBにて販売を開始。綿100%で肌にやさしい素材が使われたトップスとパンツは、袖口・衿ぐり・すそなどの細部に工 夫が凝らされ、裏と表、前後ろが気にならない仕立てを実現しています。肌にあたるとチクチクして苦手な方も多い「タグ」は、どう着ても隠れるポケットの内側に配置され、肌にあたらないよう工夫されています。かかともつま先の縫い目もなくしたフィット感抜群の靴下は、裏返りや、左右逆、かかとのずれを発生させずストレスフリーな履き心地を実現。編み終わりの糸の始末を一つひとつ手作業で行うことで裏表のない仕様に徹底しました。同幅ボーダーの編み地が、さりげないおしゃれを演出してくれます。開発にあたり、全盲や筋ジストロフィーの方、知的障害のある子どもがいる家族をはじめ、さまざまな年齢や性別の方にアドバイザーとして試着をしてもらい、改良を重ねた商品です。よく裏表を間違えてしまう方や、視覚障がいのある方、介護の必要な方や高齢者にも使いやすく、それでいておしゃれに着こなせるアイテム。裏表逆の洗濯物を裏返す手間も不要なのもうれしいポイントです。【商品詳細】裏表前後ろのないシリーズ・シルケット加工できれい見えポケットTシャツの会・まるっとダブルガーゼパンツ <ブラック><グリーン>・すっきりフィット靴下の会 <ブラック><グリーン>※クリックすると、発達ナビのサイトから「オールライト研究所」の公式サイトに遷移します。読み書き配慮設立シンポジウム「本田秀夫先生と考える、読み書き困難、読み書き配慮」2023年4月22日(土)開催Upload By 発達ナビニュース2023年4月22日(土)に、一般社団法人読み書き配慮が主催する設立シンポジウムが開催されます。読むこと、書くこと、計算することなど、知的な遅れはなくても、学習に困難を示す子どもたちがいます。昨年暮れに公表された文科省の調べによれば、通常学級に在籍するなかで学習面に著しい困難を持つ児童生徒の割合は6.5%とされています。適切な配慮が速やかに行われ、一人ひとりの子どもたちが、学びの現場で確実に生きる力を育んでいくことが望まれていますが、「具体的な対応の仕方が分からない」という現場の声が昨今多く寄せられるようになってきました。今回の設立シンポジウムでは、「本田秀夫先生と考える、読み書き困難、読み書き配慮」と題し、学習障害に焦点を絞った基調講演を信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授の本田秀夫先生が登壇。基調講演をもとに、学校、医療、学術のそれぞれの分野で活躍する方々と、実際に合理的配慮を受けてきた当事者である現役の大学生も交えてのシンポジウムが行われます。学習障害の発見と適切な配慮には、学校の力だけにとどまらず、医療や福祉の手も借りながら社会全体で対応を行き渡らせていく必要があります。今回のシンポジウムが学びの扉をたたく子どもたちを応援するきっかけになるかもしれません。学習面に著しい困難を持つ児童の具体的な対応を知りたい学校現場の方、当事者やご家族、支援者など、さまざまな立場の方におすすめのイベントです。<詳細>日時:2023年4月22日(土)14:00〜16:00会場:京王プレッソイン日本橋茅場町A会議室/ オンライン配信参加費:5500円定員:会場参加40名、オンライン参加100名出演本田秀夫先生(信州大学/基調講演)、河野俊寛先生(北陸大学・読み書き配慮理事)、菊田有祐さん(合理的配慮で育った慶應義塾大学3年生)、篠塚幸二先生(新宿区立西戸山小学校校長/ファシリテーター)申し込みはこちらから※クリックすると、発達ナビのサイトからpeatixの「読み書き配慮設立シンポジウム」チケット申し込みページに遷移します。障害者アーティストの絵画作品を展示「アート村シーズンギャラリー」作品展「花・華展」4月28日まで開催中Upload By 発達ナビニュース株式会社パソナハートフルでは、季節に合わせた絵画を展示する「アート村シーズンギャラリー」にて“花”をテーマにした作品14点を展示する作品展「花・華展」がPASONA SQUARE(東京・南青山)にて2023年4月28日(金)までの期間限定で開催中です。パソナハートフルは1992年、「才能に障害はない」をコンセプトに、障害のある人による“アート” (芸術活動)に着目し、アートでの就労分野の拡大を目的に「アート村」を設立。2004年からは絵を描くことを仕事とする「アーティスト社員」を採用し、現在25名が個性あふれる作品の創作活動に取り組んでいます。本作品展では、アーティスト社員として活躍する障害のあるアーティストが、彼らの感性でイキイキと描いた絵画を季節ごとにテーマを変え展示する「アート村シーズンギャラリー」にて、「花」をテーマにした春を感じる華やかな作品14点を展示中。会場では、障害のある社員がつくる保存料や人口着色料を使用しないパンやお菓子のほか、プリザーブドフラワーや陶器、ステーショナリーグッズなども販売されています。鮮やかに彩られた作品を楽しみにお出かけされてはいかがでしょうか。<詳細>会期:2023年3月6日(月)~4月28日(金)会場:東京都港区南青山3-1-30PASONA SQUARE 2階 「アート村シーズンギャラリー」開館時間:9時30分~18時休館日:土日祝入場料:無料アクセス:東京メトロ 表参道駅 A4出口より徒歩5分東京メトロ 外苑前駅 1a出口より徒歩4分東京メトロ 青山一丁目駅 1番出口より徒歩13分※クリックすると、発達ナビのサイトから「アート村シーズンギャラリー作品展花・華展」の公式サイトに遷移します。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2023年04月11日見通し不安に関する悩みは、発達段階や特性で千差万別丸山さとこさんの中学1年生の息子・コウ君には自閉スペクトラム症(ASD)とADHDがあります。コウ君が不安からパニックを起こしてしまう原因は、イベントや初めての場所などの『非日常的な状況』よりも、むしろ日常の中に多く存在していたそうです。成長につれて変化してきた見通しにまつわる「困りごと」の中身についても、教えていただきました。自閉スペクトラム症(ASD)のある宇樹義子さん。実は、高校時代までは「見通し不安」による困りごとはあまり感じなかったと言います。自分でスケジュール管理をしなければならない大学・社会人になってから、困ってしまう場面がぐっと増えてきたそうです。苦しかったころの思い出と、さまざまな工夫を重ねて困難を乗り越えてきた過程を書いていただきました。吉田いらこさんの小学6年生の長女・ゆいちゃんには、軽度知的障害、自閉スペクトラム症(ASD)、場面緘黙の診断が下りています。不安をとても強く感じる特性があり、多くの子どもにとって楽しみなイベントである遠足や校外学習などの学校行事が近づいてくると、とても気が重くなってしまうそうです。どうしたらゆいちゃんの不安を軽減できるのか、吉田さんが実際に活用しているという方法をご紹介くださいました。星河ばよさんの息子さんは発達障害グレ―ゾーンの小学5年生。未就学児のころは特に、ちょっとしたお出かけから食事の献立にいたるまで、前もって伝えていた予定が変わることが苦手で、よく癇癪を起こしていたそうです。「見通し」が崩れることで不安が高まり、癇癪につながってしまうタイプのお子さんとの関わり方について、臨床心理士の初川先生からのアドバイスも必見です!さいごに今回の「見通し不安」特集では、発達ナビライターさんからさまざまな体験談をお寄せいただきました。「うちの子と似ているかも!」「わが子もこんなふうに感じているのかな」「同じように対応方法を工夫してみよう」などと参考になるエピソードも多かったのではないでしょうか。わが子の癇癪やパニックも、「見通し不安」からくるものなのかも…と考えられると、関わり方にも少し余裕が持てるかもしれませんね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月10日「こだわり」なのかも分からないUpload By カタバミまちゃは今特別支援学級に通う小学1年生。自閉スペクトラム症と知的障害があります。小さなころのまちゃにこだわりがあったのか思い出しても分かりません。希望が通らなくてもほとんど癇癪はなく、反応も薄く、大人しい子どもでした。私はまちゃの反応を増やしたくて、まちゃが喜びそうなことは進んで叶えていたと思います。年少のときに幼稚園の先生から「私たちを頼らずなんでも自分でやろうとします。全くしゃべりません」と言われました。そして年長のときに療育園の先生からは「何かをやってほしいときにもできるだけしゃべらずに伝えようとします。まちゃくんにとって言葉は最終手段のようです」と言われました。「水ちょうだい」など、家では言えていたことも幼稚園や療育園ではしゃべってないようでした。今考えるとこれは「できるだけしゃべりたくない」と言うまちゃのこだわりだったのかもしれませんが、このときには分かりませんでした。ただ食事だけはどんどん偏食が強くなり「こだわりだらけだな」と良く感じていました。特別支援学級への登校はこだわりだらけUpload By カタバミまちゃは小学生になると特別支援学級に入り、私は4月から片道20分ほどの道のりを毎朝一緒に登校することになりました。登校途中、軒下にメダカのいる大きな甕(かめ)を置いているお宅がありますが、まちゃは必ずそれをのぞき込んで「メダカ」と言います。それから綺麗で大きなマンションの脇に歩道と並行して細いじゃり道があるのですが、まちゃは必ずそこを通りたがります。そのあと30cmほどの高さのコンクリートの塀で囲われている駐車場がありますが、そこは必ず登って歩きます。気に入っているえん石の箇所もあり、そこも必ず踏んで通ります。少しの増減はありますが、まちゃのお気に入りは全体的に増えてきています。こだわりで困る点Upload By カタバミ家を出るのが少し遅れたとき、私はまちゃに「たまにはそこをのぞかなくても良いんじゃない?」とメダカの甕(かめ)をのぞかせなかったことがありました。まちゃは「ウワーン!」と怒って道路に寝そべり、再び歩き出すまでに時間もかかりましたし、登校中ずっと不機嫌でした。それから細いじゃり道の入り口でなぜか30秒ほど止まるようになりました。何もせずに立ってじゃり道を見つめます。おしゃれなマンションの扉にガラスが埋め込んであり、まちゃはそこをのぞこうとしましたが、人の家をのぞくことは良くないので止めると、まちゃは怒って道に座って頭を伏せるようなポーズでしばらく動きませんでした。学校に着くとのんびりと靴を履き替えながら下駄箱でボーッと数分間、校庭を眺めながら寝そべって動かなくなります。どれも時間がかかりますし、朝、ほかに通る方にも迷惑になるのではないかと心配になります。頑張るまちゃと見守ってくださる方々Upload By カタバミ登校のときのこだわりは日に日に増えて、登校にかかる時間は20分から30分になりました。朝まちゃの担任の先生に登校中のこだわりが多いことを話すと「大人でもそういうこだわりって実はありますよね。私にもあります。それに私にはまちゃくんのこだわりは許容範囲内です。今は寝転がっていますが、教室に入ってからの行動は早くて着替えなど朝の準備も時間内に終わっていますよ」と言ってくれました。特別支援学級の中でもまちゃの家はたぶん1番遠いのですが、まちゃは今のところ学校への行き渋りは全くありません。それからマンションの扉のガラスをのぞくのはダメだということを1度注意したときにはひどく怒りましたが次からはのぞかなくなりました。どうしてもダメなことは止めますが、登校途中のメダカやじゃり道やえん石が、まちゃが学校に行く力になってくれているのなら、これからもできるだけ付き合っていきたいと思います。執筆/カタバミ(監修:新美先生より)自閉スペクトラム症のある方のこだわり行動は奥が深いです。お決まりのルーティンで行動することで、いつもと同じ安心を得られるので、それをして自分も周囲の人も特に困らないルーティンであれば尊重していただければよいでしょう。ただ、ときにはそのルーティン行動をすることで、他者に迷惑をかけたり、自分にとって危険だったり、時間がかかりすぎるなどしてかえって自分が苦しくなるような行動になる場合は、対策を考えていく必要もあります(ここでは省きます)。教えていただいたエピソードは、ほんの少し登校時間が長くなるものの許容できる範囲なようなので、まちゃくんにとっては大事なルーティンなのだと見守っていただいているのですね。学校に行くのはそれなりの気合が必要なので、学校に行く道のりでおきまりのルーティンにこだわることで、自分のコンディションを整えて安心して登校できているのかもしれませんね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月09日6歳でADHD(注意欠如・多動症)の診断、小学校入学後はトラブルだらけで…「通級指導教室」を勧められわが家の小6息子は6歳のころにADHD(注意欠如・多動症)の診断を受けました。息子は小さな子どもやお年寄りに優しい面もありますが、一度思い込んだら考えをなかなか変えられない、プライドが高い、人の目を気にして先回りしすぎてしまう、気が散りやすく興味があることがあると、そちらに気を取られてしまう…など困った一面もありました。小学校は通常学級に入学しましたが、息子はクラスに適応できずに授業中に教室を抜け出すように。5月終わりから6月ごろには通常学級に在籍はしているけれど、先生たちのご厚意で特別支援学級で授業をたびたび受けるようになりました。私は「このまま特別支援学級に移籍させたほうが良いかもしれない…」と考え、教育センターの担当の方に相談しましたが、息子のIQでは特別支援学級への移籍は難しいとのことでした。そこで担当の方に勧められたのが「通級指導教室」でした。私は早速夫にもそのことを相談しましたが、夫の意見は…。Upload By ユーザー体験談夫が通級指導教室に大反対!通級指導教室に通うことを提案すると夫は大反対!理由は「授業から抜け出したら周りの子どもたちから変に思われるし、イジメの対象になる」とのことでした。通級指導教室に行くとなると、週1回2時間を別の学校へと通うことになるため、クラスにいないことになります。「なんでいないの?」とクラスメイトも疑い始めるのではないか、それが原因でいじめになるのではないかと夫は心配していました。また、息子は3ヶ所の放課後等デイサービスにも通っていたので夫としてはそれだけで十分だと、とにかく通常学級の子どもたちと違う行動をすることで浮いてしまうのが不安だったようです。通級指導教室が別の学校にあるので、その時間には送迎をしないといけなく、共働きのわが家にできるのかという不安もありました。当時、私は下の子が生まれて育児休暇中のタイミングだったので、とりあえずやってみようと夫には伝え、復職後のことはそのときまた考えようと伝えました。Upload By ユーザー体験談夫説得のためにみんなで通級指導教室の見学へ。夫の心境は…納得しない夫をどうにか説得しようと、夏休み前の7月ごろに夫と息子の3人で通級指導教室の見学に行きました。先生方に話を聞くと「通級指導教室は人気で簡単には入れない」「たくさんの子どもが来ている」などのことを教えてくれました。そして、息子のようなタイプの子どもは、低学年のころは多動気味だが、学年と共に落ち着いて高学年には多動部分は収まる傾向があると聞きました。とはいえ今は課題が多いので、低学年のうちに得意なことを伸ばして、自信をつけていくことが重要になってくるかもしれないと話してくれました。また通級指導教室に通うことにより、自校への要望を通級指導教室の先生から話してもらえることや、何かあったときの居場所がつくれるので本人の生活もしやすいということも分かりました。先生のお話を聞いて、通級指導教室に通うの特別なことではないこと、多くの子どもが来ていること、なにより息子が楽しそうに体験をしている姿を見て夫も納得したようです。息子の障害についても「自分も同じような子どもだった」と言い、認めてこなかった夫。自分がどうにかやってきたからこそ、息子に関しても同じようにどうにかなると思っていたようです。自分の経験があるからこそ、あえて特別なことをするのは反対をしていました。しかし、今は時代が違うことや、いろいろな支援があることを伝えました。実際の息子の様子を見てもらうことで、夫自身が思う以上に息子には課題が多いとも認識したようです。Upload By ユーザー体験談通級指導教室に通うようになった息子。クラスメイトの反応は?その後、秋ごろから通級指導教室に通うようになった息子。朝から行くので、クラスを抜けていくというより、遅刻して登校をしてくるという感じだったので、さほど違和感や影響はありませんでしたが、担任の先生にお願いして息子がその時間にいないことをクラスメイトに説明してもらいました。クラスメイトは「ふ~ん」といった感じで受けいれてくれて、息子が帰ってくると「おかえり~」、途中で抜けるときは「いってらっしゃい」と声をかけて送り出してくれています。「人と違うことをする」ということでイジメを想像しがちですが、そう考えるのは大人だけで、子どもたちは柔軟に受け入れてくれました。通級指導教室を理由にいじめられたりからかわれたことは一度もなく、むしろみんな息子を応援してくれています。Upload By ユーザー体験談私立中学に決めた息子の進路。子どもを導いていくために小学校の経験を踏まえて、中学は私立中学に行くことに決めました。通級指導教室に行ったことで、やはり息子にはある程度の特別支援がまだ必要であると感じ、少人数指導の私立を選びました。今はいろいろな進路があり、学校のスタイルもさまざまです。私たち親世代の一律教育のような考えは捨て、常に新しい情報を得て子どものために適した進路へ導いていけたらと思っています。私立中学に行くことで出てくる問題もあるかもしれませんが、その都度問題に立ち向かい親子で解決していきたいと思います。イラスト/吉田いらこエピソード参考/カプゴジラ(監修:鈴木先生より)私立中学へ行けるようなIQのお子さんであっても、ASDで音過敏のある方や視線恐怖のような不安のある方などは特別支援学級を利用していることもあります。一般に特別支援学級は知的クラスと情緒クラスがあり、比較的IQの低いお子さんは前者を、IQが普通か高くても自閉スペクトラム症などのあるお子さんは後者を選んでいます。私立中学へ行っても残念ながらいじめなどはない、と言えないのが現状です。ただ、教師の異動がないため、さほど環境の変化のないことがいいところです。ADHDは薬物治療で改善しうるので、きちんと診断して治すことが重要となります。今回のように実際に学校などへ行って現場を見ることが一番重要です。偏見をなくして分からないことは遠慮なく学校や教育委員会に相談すればいいと思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月08日発達ナビ大賞へのご応募ありがとうございました!新学期が始まり、環境の変化で不安定になっているお子さんもいらっしゃる時期かと思います。特にこの春、小学校に入学した新1年生の保護者の方々は、これまでお子さんの就学先についてたくさん悩み、いまも不安を感じていらっしゃるのではないでしょうか。就学先選びについて、多くの方からお寄せいただいたエピソードの中から、印象的だった5つのエピソードを発達ナビ編集部が選びました。どんな就学先を選んだのか、気になるアンケート結果も発表いたします。また、あわせてお読みいただきたいコラムもご紹介します!※LITALICO発達ナビ「みんなのアンケート」にてご応募をいただいたエピソードについては上記より遷移し、ご覧いただけます通常学級、通級利用、特別支援学級…進学先はどこを選んでいる?今回発達ナビでは、お子さんの就学先として選んだ進路についてアンケートを取りました。Upload By 発達ナビ編集部結果は通常学級(通級含む)が50%、特別支援学級が40%、特別支援学校が5%、フリースクール2%、その他2%となりました。以前発達ナビニュースでも取り上げましたが、「通常学級在籍の小中学生の8.8%に発達の特性がある」という2022年の文部科学省の調査結果が示す通り、発達に特性がある多くの子どもたちが、通常学級(通級含む)に在籍している状況が分かりました。続いて、お子さんの就学先選びについてお寄せいただいたエピソードをご紹介していきます。違和感を感じるも、学区の小学校に特別支援学級がなく通常学級に進学…現在中1の息子のことです。幼稚園での様子を見ていて「ちょっとほかの子どもと違う?」と感じるところがありましたが、幼稚園の先生に何も言われなかったのと、学区の小学校に特別支援学級がなかったので、学区の小学校の通常学級に入りました。小2の冬に不登校になったことから、小3のときにWISCを受けました。その結果から通級を勧められて週1回通級を利用するようになりました。小5になるときに弟が入学し、学校には特別支援学級ができました。その年のコロナ休校明けに再び不登校になりました。弟も兄を追うように不登校になったのでメンタルクリニックを受診。二人とも「診断をつけるならASD」とのことでした。その後、特別支援学級に抵抗のなかった弟を校内で転籍させました。兄は特別支援学級ができた当初「あそこは保育園」と言っていましたが、卒業間際、弟が過ごす特別支援学級を見て「おれも初めからこのクラスならよかった」と言いました。違和感を無視しないで、学区を越えてでも入学のときから特別支援学級に入れた方がよかったのかな、と考えさせられる出来事でした。(ひろとしさん、通常学級)ご長男・ご次男共に不登校を経験し、ご長男については「就学時から学区を越えて特別支援学級に入れたほうが良かったのかも…」と思っていらっしゃるひろとしさん。特別支援学級の設置状況は地域によって大きく異なり、特別支援学級がないという学校も多く存在しています。そして、たとえ就学予定の学校に特別支援学級があったとしても、ひろとしさんのお子さんのように、子ども自身が途中からの転籍を拒む場合もあり、在籍クラスをどうするか決断するのは難しいものです。発達ナビに寄せられた会員のみなさんの体験談コラムから、学校の環境が合わず、発達障害のある息子さんがストレスから体調を崩してしまったことがきっかけで、息子さんの特性を受け止め、しっかりと向き合うようになったというエピソードをご紹介します。誰にも正解は分からないものですが、問題にしっかりと向き合い前へ進んでいらっしゃる様子に、励まされる方も多いのではないでしょうか。おとなしい子は「通常学級」判定!?入学後登校渋りに長男…通常学級入学、1ヵ月で登校渋り。通級に行きはじめて、小3まで順調に見えたものの、小4になってすぐ不登校。特別支援学級に移って、登校できるようになり、表情も良くなってきました。次男…入学時から特別支援学級で、課題はあるものの順調に成長しているようです。大人があまり困らないおとなしい子は、通常学級判定になってしまう。通常学級で一度傷ついてしまうと、その後まっすぐ成長するのが難しい。学校と支援の話をするのにも、幼少期から、医療福祉その他繋がりを持つことが大切だと思いました。いろいろあった長男は、今もいろいろありますが、本当にたくさんの方に支えられて、今は特別支援学級で頑張っています。(ゆみこさん、特別支援学級)大人にとって手のかからない子どもは、困っていることに気づかれにくいという話をよく耳にします。今は医療や福祉の支援に繋がり、特別支援学級で頑張っているというゆみこさんの息子さん。発達ナビライター・吉田いらこさんの娘ゆいちゃんも、おとなしいタイプで、小学5年生になるまで障害に気づかなかったそうです。吉田さんの「療育に早く繋げられなかった」という後悔、そして周囲の「どうして気づかなかったの?」という何気ない声に傷ついたというエピソードに寄せられた、臨床心理士の初川先生からの温かなアドバイスも、ぜひご覧ください。多動ありの新1年生。情緒学級がなく通常学級(通級)に就学で不安…4月から小1です。多動です。情緒学級のない地域。就学相談では、知的障害なしという事で通常学級を勧められましたが、なんとか通級をお願いしました。就学校の校長先生からは、子どもの様子を見て保護者付き添いをと言われました。4月から私も一緒に通います。今年に入ってから内服も始めましたが余計に酷くなる一方で、行きしぶりもあり…特別支援学級を強く希望すれば良かったです(療育の先生や医師からは通級を勧められて、それで何とかなると思ってしまって)。不安しかありません。不登校になる気しかしません。(AAAさん、通常学級(通級))今まさに大きな不安を抱えていらっしゃるAAAさん。ついこの前まで保育園・幼稚園に通っていた子どもが、小学校の通常学級でやっていけるのか…とても心配になりますね。発達ナビライターの荒木まち子さんも、発達障害のある娘さんの小学校入学と引越し・妊娠の時期が重なり、思うように身動きが取れない状況になってしまったと言います。当時のことを振り返り、つらいこと、大変なことがさまざま重なった中、23年の子育てのご経験から今感じることをコラムに書いてくださいました。また、つらいとき心の支えになった仲間の存在も大きかったと言います。荒木さんの「いま子育てに悩み苦しんでいる保護者さんにも、ぜひまず『動いてみてほしい』」というメッセージが、心に沁みます!就学準備は年中から。入学までほぼ月一回小学校に!年中から通い始めた児童福祉センターの療育(併行通園)で、動くなら早い方が良いと言われ、講演会などに積極的に参加しましたね。年長に上がる前の2月には、通う予定の小学校へ連絡を入れ、行事などが落ち着く6月くらいから校長先生にお会いして面談しました。幸い、特別支援に力を入れている小学校なのもあり、参観日の見学や行事の参加など積極的に声をかけていただき、入学までにほぼ月イチで息子も連れて小学校へ行ってました。言葉が遅いなどがあり、当初から特別支援学級希望ではあったのですが、授業参観の時にとりあえず通常学級も…と思ったのですが、教室に近づくにつれ息子の拒否が凄かったので、あぁ、やっぱりね…と思ったものです。そんな息子も、4年生から増えた交流授業(理科と時々体育)に楽しんで参加するようになっています。そろそろ、中学をどうするか頭を抱える時期になってきました…。(あきっちさん、特別支援学級)お子さんが年中のころから、綿密な準備を進められたあきっちさん。就学予定だった小学校が、特別支援教育に力を入れている学校ということで、とても協力的だったのですね。学校での息子さんの様子を実際に確認できたことも、就学先決定のポイントだったのではと思います。また、そろそろ中学校の進学先について考える時期とのこと。連載ライターSAKURAさんの娘さんは、小学校では特別支援学級に在籍していましたが、中学校でも特別支援学級に…とは、当初あまり考えていなかったそうです。しかし、娘さん本人に中学校から在籍クラスをどうするか聞いてみると、意外な答えが…?ぜひご参考になさってみてください。将来は「特別支援学級の先生」になりたい!小学校は、通常学級に在籍しての入学。入学してから、皆と動きが同じにできず…。先生の勧めで検査し、アスペルガーと診断。さらには聴覚過敏症や偏食も。低学年のころは言葉で伝えるのが難しく、教室のガヤガヤ感が耐えられず暴れると先生2人がかりで連れ出される始末。イヤーマフが本当に役に立ちました。特別支援学級の先生の勧めで2学期から特別支援学級に通級すると、少人数で静かな環境が本人には合っていたのか、授業も集中できるし、分からない部分は少人数の良いところで、細かく教えてもらうことができ、通常学級よりも進んで教わっていました。あまりにも進行速度が違うと、調節するためにご褒美時間(内緒のお茶会やDVD鑑賞)がありました。特別支援学級の先生は、発達障害児がどこにつまづきやすいのかを分かっていて、掛け算九九をパソコンやCDで目と耳を使って早めに教えてくれたり、コンパスの使い方を早めに教えてくれたりと、至れり尽くせりでした。おかげさまで、小、中と不登校もなく来れました。高校も無事に合格し、将来は特別支援学級の先生になりたいって言ってます。(しのっぺさん、通常学級(通級))しのっぺさん、息子さんの高校合格おめでとうございます!自分に合った少人数の落ち着いた環境で学べたことで、不登校もなく学校に通うことができ、将来の夢は『特別支援学級の先生』とのこと、素晴らしいですね!すべての子どもたちがしのっぺさんの息子さんのように、自分に合った環境でのびのびと学んでいける世の中になることを願ってやみません。発達ナビライター鈴木希望さんの息子さんは、不登校を経験した後、特別支援学級に転籍したことで、再び学校に楽しく通うことができるようになりました。改めて自分に合った環境で学ぶことの重要さを感じます。おわりに発達の気になる子どもの就学先については、就学時には子ども自身の意思が確認できない場合も多く、保護者が決断しなくてはならないことから、誰しも大いに悩むことだと思います。たくさん調べ、悩んだ末に選んだ道が果たして正しかったのか?正解は分かりませんが、大切なのは、学校や医療機関、支援者と連携する体制を作ること、そして状況の変化に臨機応変に対応できるようにしておくことではないでしょうか。大賞に選ばれた5人の方々には、人気エッセイ本をプレゼントいたします。どうぞお楽しみに!発達ナビでは、これからもさまざまな企画をしていきたいと思っています。次回の発達ナビ大賞もどうぞご期待ください!コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月08日小学3年生ごろから勉強についていけなくなったゆいは小さいころからおとなしい性格で、親や先生の指示も理解して行動できる子どもだったので、特に発達について心配だと感じたことはありませんでした。イヤイヤ期なども多分、一般的なものだったと思います。その証拠に、当時の私は母子手帳に『育児の不安:なし』と記入しています。ただ、人見知りが強い子どもだな、程度にしか感じていませんでした。低学年当時はまだ勉強が簡単なので周りについていくことができていたのですが、小学3年生あたりから、だんだんと成績が落ち始めていきました。ゆいが持ち帰ったテストを見ると、苦手な問題は考えた形跡がなく、白紙になっていました。この点は先生からも指摘を受けましたが、ゆいはどうやら最初からまったく取り組んでいないのです。それを見て、私は怠けていると感じ、腹立たしく思いました。Upload By 吉田いらこやる気がなさそうな娘に、母はイライラ…『やる気がない』というのは、ゆいが宿題をしているときに横で見ていても感じました。ゆいは分からない問題にさしかかるとフリーズしてしまうのです。無言で鉛筆が止まり、そのまま時間がながれていきます。私が「どこが分からないの?」と聞いても、ゆいは固まったままです。多分、どこが分からないのか説明することもできないくらい分からなかったのだと思います。そんなゆいに勉強を教えていると、私はどうしてこんな簡単なことが分からないのだとイライラしてきてしまいました。そして自分でも分かるくらいに教えている口調がだんだん冷たくなっていってしまい、最終的にゆいがポロポロ涙を流してしまいました。Upload By 吉田いらこ今振り返ると、ゆいにとって問題が難しすぎたということもありますが、私もどうやって教えればゆいが理解できるのかが分からず、教えながらイライラしていました。そうしているうちに勉強の時間がつらくなってしまったことも、ゆいの勉強に対する意欲がなくなってしまった原因ではと思います。小4のとき、ついに成績表で1が…。そして、軽度知的障害があることが判明そしてとうとう小学4年生の2学期終わりに、3段階の成績表で1がつきました。このままではゆいも私もつらいと感じ、プロに任せることにしました。個別指導塾に申し込みをしたのです。塾では1学年下の問題をじっくり教えていただいています。その後、小学5年生のときに軽度知的障害の診断がおりて特別支援学級のお世話になるようになり、学校でもゆいに合った簡単な内容で指導してもらえるようになりました。成績評価も通常学級の進度に合わせるのではなく、特別支援学級で学んでいることの成績として採点していただいています。Upload By 吉田いらこ特別支援学級で学ぶ現在は…現在のゆいは当時を振り返って「3段階の成績表で1がつくのは職員会議ものらしいよ。私ってヤバかったよね」と自嘲しますが、これくらい軽く言えるようになってよかったなと思います。あのまま通常学級でついていくのが難しいままだと、もっとつらい思いをさせてしまっていたかもしれません。小学5年生のときに障害の診断が下りてから、小学校での目標は『楽しく学校に通う』に決めました。特別支援学級の力を借りて、なんとか勉強のつらさを減らすことができたのではと感じます。中学校ではどのようなことが起こるか分かりませんが、本人の負担を減らしつつも周囲とうまくやっていく方法を親子で見つけていけたらなと思っています。執筆/吉田いらこ(監修:新美先生より)知的な面での困難さがあると、学校での一斉学習では大変さがでてくるかもしれません。初めのうちは、勉強を嫌がる態度で現れてくることも多いので、一見すると「なまけている」「さぼっている」「やる気がない」といったようにとらえられてしまうことも多いです。子どもは、学校という場で、怠ける・さぼるということはほぼめったにないので、学業に手がついていない様子が見られたら、分からないのか、やり方がお子さんに合っていないのか、心のゆとりがなくなっているのか…なにか理由があるかもしれないと探してみるといいですね。吉田さんの娘さんのエピソードを聞かせていただきありがとうございます。知的障害があると分かるまでは、親子ともども困惑したり、大変な日々だったかと思います。でもその後お子さんに合った学習をされていることで、お子さんも自分の大変だった時期を冷静に振り返ってコメントができるぐらいになっているのはとても素敵です。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月07日自己肯定感が高い広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある娘広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある娘は、4月から中学1年生になりました。これは娘が小4~小6のときのお話です。娘は小さいころから自己肯定感が高く、「自分はできる!」という気持ちが強い子どもでした。私たち夫婦は、娘に発達障害があると分かってから、自分に自信をなくしたり、他人と比べて落ち込んだりしないように、育ててきました。「発達障害があっても、引け目を感じることがない」「あなたには、あなたの良さがある」と声をかけていました。Upload By SAKURA元々、特性上周りをみないところがあるので、自分と他人を比べることはなく、純粋な性格が影響してか、自己評価の高い子どもになりました。しかし、成長するにつれ、この接し方が、悪い方に影響するようになってきました。耳から聞いたことを、覚えておくのが苦手。娘は、情報を耳で聞き、頭で処理する力が弱いという特性があります。そのため、口頭で指示を出しても、記憶に定着せず、すぐに忘れてしまうことが頻繁にあります。Upload By SAKURA言われたことを思い出した瞬間、「またやっちゃった!」「なんで私はこうなの!?」と過剰に反省し、自分を責めることをするのですが…Upload By SAKURAその反省は長く続かず、数分後に同じミスを繰り返したりします。視覚から記憶するため、メモを提案するものの・・・私は視覚優先な娘に対して、「メモをとってみたら?」と何度もアドバイスをしましたが・・・Upload By SAKURAその度に娘は、「大丈夫!私、ちゃんと覚えておけるから!」と言い、メモをとることをしませんでした。私が指示を紙に書き、見せるということをしようと思えばできたのですが、ちょうどこのときは、娘の思春期&反抗期が激しかった時期で…発達外来で、先生から「自立力を伸ばすために、あーさんに決めさせてください。その結果、起きたことも自分の責任だと思ってもらいましょう」とアドバイスされたこともあって、私は、自分が手助けすることはせず、メモをとることを娘に強制することもしませんでした。Upload By SAKURAメモを取らないことで負の無限ループに…なんとかメモを取り入れてほしいという思っていた私は、無駄かもしれないと思いつつ、メモの良さ、便利さなどを話したのですが…Upload By SAKURA娘の考えを変えることはできませんでした。娘は長い期間、聞く→忘れる→激しく反省する→アドバイス→無視→聞く→忘れる…という流れを何度も繰り返しました。Upload By SAKURAその間私は、何度もイライラし、なんで!?と、娘の特性そのものを責めそうになりました。過剰に反省しながらも、自己肯定感の高い娘。「私ならそんなに自分を追い詰めるほどの失敗したら、自信がなくなるけどな・・・」と、自己肯定感が低すぎる私は、娘の行動がまったく理解できませんでした。Upload By SAKURAいつまで私はこのことを娘に言い続けなければならないのか…モヤモヤした日々が続きましたが、とうとうある日、メモをとるようになったのです!そのお話はまた別のコラムで書けたらと思います。Upload By SAKURA執筆/SAKURA(監修:鈴木先生より)自己肯定感の低い神経発達症のお子さんが多い中、親御さんに「あなたの良さがある」と育てられた娘さんは幸せだと思います。一般的にはASDのお子さんは視覚優位と言われていますが、聞いたことを忘れるのは言語性が高くないか不注意が多いかのどちらかが多いです。詳しく知りたい場合はIQテストやADHDのチェックをすることで分かることも多いので専門の医師に相談することをおすすめします。ADHDの場合はメモしてもそれすら見ないことが多く、周りから責められて自尊心が低下していきます。せっかく自己肯定感が高く育ってもASD以外の併存疾患で負のループに陥ってしまうお子さんもいますので、気になる場合は主治医に相談をしてみましょう。無限のループも原因が分かれば無限でなくなり、出口が見えてくるはずです。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月05日「見えなくなると中身を忘れてしまう」困りごとを解決!新発売の2アイテムをご紹介発達ナビとフェリシモCCPがコラボし、暮らしの中の困りごとをサポートする商品づくり第4弾では、「見えなくなると中身を忘れてしまう」という発達の特性による困りごとを解決する2アイテムが完成しました。「LITALICO発達ナビ」会員のみなさんへのアンケート調査や、サンプルモニター、試作を重ねることで、障害の有無に関わらずみんなが便利に使えるアイテムを目指しています。コラボグッズ1.中が透けて見える収納メッシュボックス何が入っているかが一目瞭然!全面メッシュ素材の”隠さない”収納ボックス。「見えなくなると(隠れると)中身を忘れてしまう」という声から生まれたアイテムです。位置調整できる仕切りや、クリアポケットが付いているので、中身の内容・名前などを書き込んだカードを入れると家族で使い分けもできます。持ち運びしやすい持ち手付き。Upload By 発達ナビ編集部デザインは〈イエロー〉〈パープル〉〈ブルー〉の3種類。Upload By 発達ナビ編集部さまざまなお声を参考につくった試作サンプルを、さらに実際にモニターしてもらいました。モニターの声を生かし、アイコンカードの位置をより使いやすく改善し、正面とサイドにアイコンカードを入れられるクリアポケットをつけることにしました。これは、「家族のものをまとめて収納する際、誰のものかが分かりやすくなるように名前を紙に書いてクリップで留めると便利」というアイディアが元になっています。Upload By 発達ナビ編集部取り外しできる2枚の仕切りは、面ファスナーで簡単に位置を変えられ、中身に合わせて調整できます。Upload By 発達ナビ編集部サイドには処方箋などが入るポケットも付いているので、薬袋収納としても便利。仕切りを調整することで、ボトルやブラシ類などの小物もすっきり整とんできます。Upload By 発達ナビ編集部・メッシュ素材で中身が隠れず見やすい・正面と側面に便利なアイコンカードが入れられるポケットがついている・仕切りは取り外し可能なので、自分仕様にカスタマイズできる・薬袋を立てて入れられるサイズなので、中身を探しやすくて取り出しやすい・軽量で持ち運びしやすい持ち手がついている※詳細ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移します【NEW】CCP×LITALICO発達ナビ 隠さないからもう忘れない!中が透けて見えるメッシュボックスの会月1個 ¥3,200(+10% ¥3,517)→うち30円は「CCPチャレンジド応援基金」として運用されます。(基金部分は非課税)※毎月1回、3種類の中から、1種類ずつお届けします。(全種類届くと、以降はストップします。/ 1回だけのお届けでストップも可)コラボグッズ2.中が見えて取り出しやすいメッシュバッグインウォレット財布やカギ、スマホやハンカチなどをひとまとめにし、バッグの中で迷子になることを防ぐバッグインウォレットです。「かばんを替えると財布を忘れてしまう」「ハンカチがかばんの底でぐちゃぐちゃになってしまう」などのお悩みを元に考えられた商品です。メッシュ素材で中身が見やすいのはもちろん、かばんの持ち手に取りつけられるので、取り出しやすく、忘れる心配がありません。指を掛けやすい金具のファスナーを引くと、がばっと開いて中が一目で見渡せるじゃばら型になっています。ふだんから大切なものをまとめて入れておけば、バッグを変えても忘れ物を防ぐことができます。Upload By 発達ナビ編集部デザインは〈ライトブルー〉〈ライトグリーン〉〈ライトオレンジ〉の3種類。Upload By 発達ナビ編集部「ストラップでバッグの持ち手に固定したい?しなくていい?」という質問に対する回答はほぼ同率でしたが、つけなくてもいいとの回答には「お子さんが使う」とされていた方が多かったです。一方、モニターをお願いした方々のご意見では、「バッグに固定できるといい」との回答が。肩掛けができるストラップも検討していましたが、「バッグの中で迷子にならないウォレット」としての用途にしぼりました。また、パスケースのストラップを付けるDカンが外側にあると便利、など具体的なアドバイスをいただき、完成しました。Upload By 発達ナビ編集部2つに仕分けられる小銭入れと、お札ポケット、カードが6枚入るポケットなどがあり、がばっと大きく開くので収納や取り出しがらくにできます。Upload By 発達ナビ編集部2本のストラップは、バッグの持ち手にかけられるので、バッグの中で迷子になりませんし、持ち出しを忘れることもなくなります。Upload By 発達ナビ編集部背面にはDカンが付いているので、リールを付けたパスケースやカギをつなげて、ポケットに収納できます。Upload By 発達ナビ編集部・メッシュ素材で中身が隠れず見やすい・バッグの持ち手に簡単に固定できるので、スマホやお金をすぐに取り出せる・ポーチの中で貴重品それぞれに居場所を作ることができる・がばっと開くじゃばら仕様だから中が見やすく仕分けやすく、取り出しやすい・大切なものをひとまとめにできるので、忘れ物防止にもなる※詳細ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移します【NEW】CCP×LITALICO発達ナビ 中が見えて取り出しやすいメッシュバッグインウォレットの会月1個 ¥3,600(+10% ¥3,956)→うち36円は「CCPチャレンジド応援基金」として運用されます。(基金部分は非課税)※毎月1回、3種類の中から、1種類ずつお届けします。(全種類届くと、以降はストップします。/ 1回だけのお届けでストップも可)フェリシモCCPではこれまでコラボしたアイテムのご紹介を行っております。ぜひご覧ください。また、コラボ第5弾もスタートしています。みんなのアンケートをぜひチェックしてくださいね。
2023年04月04日「生活費がなくなったから貸して」「保険証がない」一人暮らしをしている発達障害息子発達障害の専門家が出会った子どもや大人、その保護者の抱えていたリアルな「困った!」をもとに、対応策などをドキュメントタッチで解説します。今回は、自閉スペクトラム症(ASD)と軽度知的障害のある社会人のケースです。会社に勤めて一人暮らしをしているのですが、保護者の悩みは尽きなくて…。Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談マンガ/カタバミ解説:支援制度の特徴を理解し利用を検討、外部との接点を増やすことも大切今回は、自閉スペクトラム症(ASD)と軽度知的障害があり一人暮らしをしているわが子を心配する保護者のエピソードをもとにマンガ化してお届けしました。このケースのように、就労し一人暮らしをしている場合、「自立してくれてうれしいけれど、何かあるたびに親を頼るのでこれからのことを考えると心配」という保護者の方もいらっしゃるかもしれません。特に、お金の管理や手続き関係、重要物の紛失などはサポートが必要な場面もあるでしょう。ここでは3つの支援を簡単にご紹介します。1.社会福祉協議会の日常生活自立支援事業今回のマンガでご紹介した制度です。社会福祉協議会に連絡し、相談・打ち合わせ、支援計画の作成などを行い、契約・サービス開始となります。日常的なお金の出し入れ、契約手続き、通帳やハンコの預かりなどの支援を受けられます。2.自立生活援助自立生活援助は、2018年4月より新たに創設されました。障害のある人が一人暮らしを始めたときに、定期的な巡回訪問などを受けながら生活や健康、必要な手続きなどについて助言や支援を受けられるサービスです。まずは市町村の福祉窓口に相談します。標準利用期間は1年間ですが、さらにサービスが必要な場合は、市町村審査会の個別審査を経て、複数回の更新が認められます。3.成年後見制度障害者や高齢者など判断能力の乏しい人の法律行為や契約をサポートする制度です。すでに判断能力が不十分な場合の法定後見と、判断能力が不十分な状態になったときに備える任意後見があります。どのような制度があるのかあらかじめ知っておくことが大切です。また、地域とのつながりを増やすために、余暇活動に参加する、民生委員に早めに相談する、など外部との接点を増やしておくことをおすすめします。厚生労働省|日常生活自立支援事業コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月03日療育手帳の判定結果は「中度」知的障害、落胆して泣いた自閉スペクトラム症のある息子は、1歳ごろから「なんだか怪しい…」と感じる行動をすることが多かった。母である私は、息子が3歳になるとすぐ、療育手帳(障害者手帳)を申請した。療育手帳は、3歳をすぎないと申請できなかったからだ。療育手帳の申請は児童相談所が窓口だった。Upload By 立石美津子息子は児童相談所で検査を受けた。結果は3度(中度)の判定で「4度(軽度)ではないんだ」とショックを受けた。障害児向けの福祉サービスを受けるため、療育手帳が欲しくて自ら出向いたのにも関わらず…。児童相談所からの帰り道、駅まで泣きながら歩いたことを思い出す。1ヶ月後、療育手帳が郵送されてきた。交通機関の割引制度を利用するには、手帳を提示する必要があったが、当時の私はものすごく抵抗があったので、しばらく使うことができなかった。東京都の場合、療育手帳(愛の手帳)は知的障害の重さで4つの度数に分かれている。最重度1度…知能指数19以下重度2度…知能指数20~34中度3度…知能指数35~49軽度4度…知能指数50~75参考:対象者(愛の手帳Q&A)|東京都福祉保健局軽度の目安が、IQ75未満の自治体もある。IQ70〜75が、療育手帳がもらえるギリギリの、ボーダーラインで、IQが70〜75より高く、日常生活の能力に問題がない場合は、療育手帳の認定基準に満たないので、療育手帳はもらえない。療育手帳がもらえるかもらえないかの境界は、自治体によって異なる。療育手帳交付のボーダーラインは、IQ70が基準の自治体もあれば、IQ75が基準の自治体もある。療育手帳の再判定、結果は変わらず「3度」で中度の知的障害だった息子が18歳になり、療育手帳の成人更新をすることになった。結果は今までと同じ3度だった。少しホッとする。福祉サービスが今までと変わらず受けられるからだ。児童相談所からの帰り道、駅まで泣きながら歩いた昔と比べると、自分も随分変わったものだ。療育手帳を持っていても使うのに抵抗があった昔に比べると、持っていくのを忘れたら家に取りに戻るくらい変化した。タクシーに息子と乗ったとき「障害者手帳持っているんですけれど、持ってくるの忘れてしまいました。でも障割にしてくれますか?」と図々しく聞くくらいだ。親として成長したのか、諦めたのか、悟ったのか…。Upload By 立石美津子特別支援学校高等部時代、学校のママたちとランチした。あるママ友が呟いた。「療育手帳の成人更新で3度が4度になっちゃった~(=軽度になったこと)『3度が4度に上がりました』と担任に話したら、『そうでしたか…』複雑な表情をされて、こちらも複雑な気持ちになったよ~。」「あるあるだよね。」そんな会話が交わされる。愛の手帳が3度から4度(中度→軽度)になって本来喜ばしいことなのだろうが、それによって利用できなくなる福祉制度があるからだ。私が住んでいる自治体では、“緊急介護人制度”というのがあって、愛の手帳(療育手帳)が1度から3度だとこれを利用できる。しかし、4度だと利用できなくなる。ほかにも、一般企業の障害者雇用枠では、療育手帳の1度や2度だと、ダブルカウントされる。つまり1人雇うと2人分とカウントされるのだ。手帳の判定が変わるのは、親と嬉しくもあり、利用できる福祉サービスが減るのではと不安になることもあり、複雑な気持ちになるものだ。そして、それくらい親と一心同体になってくれる特別支援学校高等部の先生方はありがたい存在だった。「残念だ」とは決して口には出さないが、表情から、わが子のことを深く考えてくれいることは読み取れるから。障害区分認定は?療育手帳の成人更新とは別に、19歳になったら、区分認定も受けた。これは知能指数による判定ではなく、日常生活するのにどれくらい困難があるかを示す度数である。療育手帳(愛の手帳)は「1・2・3・4」と数字が上がるほど軽度ということだが、区分認定は「1・2・3・4・5・6」とあり、数字が上がるほど重く、福祉サービスは手厚くなる。逆なのだ。ややこしい!!Upload By 立石美津子当時、ママ友との会話はもっぱら…「成人更新で療育手帳は何度になった?」「区分指定は何度?」だった。成人を前にやらなくてはいけない申請も多く、何しろいろいろ難しい。経験者としていえるのは、17歳になる前くらいから、いろいろ調べておくとよいということだ。執筆/立石美津子(監修・鈴木先生より)療育手帳のボーダーラインはいつも疑問に思います。IQ69と71で何が違うのか?自治体で差がないように医師の診断書を添えて70以上でももらえるようなシステムがいいのではないかと常々思っています。IQ49と51でも同様です。中にはIQ51でも中等度の知的発達症にしてくれる児童相談所の方もおられます。そのためには、いかに生活で困っているかを保護者が児童相談所に伝えられるかどうかにかかっているようです。発達障がいは以前、軽度発達障がいと言われていました。障がいに軽度も重度もないことからスペクトラムという領域という意味の言葉が用いられ、軽度という言葉は診断名から消えました。知的発達症もいずれ軽度や重度の枠がなくなってスペクトラムとなり、みんな同じ福祉サービスが受けられる時代が来ればいいですね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月02日「あるような、ないような…?」小さかったころのコウのこだわりUpload By 丸山さとこ自閉スペクトラム症(ASD)の特性として主にあげられるものに、『対人関係や社会的なやりとりの困難さ』と『こだわり』があります。ですが、ASDがある息子コウについて改めて振り返ってみると、特定の大きなこだわりはパッと思いつきません。夫に聞いてみると、「こだわりは何かあった気がするんだけど、コレっていうのは思い出せないな…?」と首を傾げていたので、やはり印象に残るほどの大きなこだわりはなかったのかもしれません。にもかかわらず、なぜか私も夫も「こだわりはなかった」「こだわりに関して手を焼いたことはない」とは言えませんでした。『こだわりに関して何かあったはず』という感覚ははっきりしていたからです。具体的なエピソードは思い出せないのに『何かあった感』だけが心に残りモヤモヤしていると、うっすらと記憶がよみがえってきました。コウのこだわりで手を焼かないために、私と夫は可能な範囲で「ルーティーンになったら困ること」を避けていたのです。コウは、小学校低学年のころまでは特に『コウの中でルールとして定まったこと』へのこだわりが強くありました。それは大体において地味でささやかなものだったため、私と夫の記憶から抜け落ちやすかったのかもしれません。けれど、「当時の私と夫を振り回すには十分な『こだわり』だったな~!」と思います。ルールへのこだわりが強かったコウでした例えば、コウが保育園児のときのことです。水遊びのために靴をサンダルに履き替えさせようとしたら、靴を脱がせる段階で「くつをはかなきゃいけないんだよ~!」と泣いて抵抗され、暴れるコウを相手に汗だくになったことがありました。Upload By 丸山さとこそんな彼を取り押さえながら「サンダルに履き替える途中だから!水遊び用の靴にしよう!!」と言ったところで「『水遊びのときは必ず水遊び用の靴に履き替えないとパニックになるヤバイ前例』をつくってしまったのでは?」と気づいて、私はゾ~ッとしました。その程度には「コウの中でこだわりやルーティーンが新しく決まってしまうこと」に慎重になっていたのだな…と、今思い返して改めて気がつきました。改めて思い返さないと『慎重になっていたこと』に気づかないくらい、当時の私と夫にとって『コウのこだわりが強化されないように気をつけて過ごすこと』は当たり前だったのだと思います。『些細だけれど生活の中で困るこだわり』を避けるために気をつけていたことの一つに、『同じ道を通らない』というものがありました。同じ道を通っていると、それがルーティーンとして定着することがあります。例えば、いつも保育園への最短ルートを通っていたのですが、工事やコウが苦手なクモの巣を避けるためなどルートを変更しようとすると、コウは「保育園に行くのはこっちだよ」と言い中々動きませんでした。工事中の道に対しては看板を読み上げてコウに伝えたところ、ルートの変更を受け入れてくれました。『看板の指示に従うルール』がルーティンより優先されたのかもしれません。また、ルーティーンの変更を余儀なくさせるほど強かったクモの巣への恐怖心に対しては、コウが自ら『図鑑で知識を得る』という方法で解決してくれました。Upload By 丸山さとこある日、クモの巣をじーっと見つめていたコウは、「クモの巣はたて糸とよこ糸で性質が違う。よこ糸はくっつくけどたて糸はくっつかない。クモはたて糸の上だけを歩くので、自分の巣にくっつくことなく動くことができる」と言ってクモの巣の横を通過しました。看板や図鑑などの文字や絵図による知識は、コウにとって信頼できるものなのだな…と感じた出来事でした。こだわりで生活上困らないために心がけていたことそうして「いつものルートへのこだわりが出ると困ることもあるのだな」と気づいてからは、ときどき別の道を通って登園するようにしました。いろいろなルートを通ることにより、コウが「ほかの道でも大丈夫」と知ってくれたらいいなと思ったからです。また、コウにとって心地よいことや安心できることを探しつつ、その種類を増やすべく新しい物や行動を取り入れたり提案したりするようにしていました。こだわりの対象以外に『心地よいことや安心できること』が増えると、コウも楽なのではないか?と考えたからです。そうして選択肢や変化を取り入れようとしていた私でしたが、同時に『選択肢を絞ることや変化が少ないこと』はコウにとって安心につながるのだということは覚えておくようにしていました。Upload By 丸山さとこそれを特に強く意識させられた出来事がありました。コウが小学4年生のころ塾の説明会に親子で参加したときのことです。講師の方から「勉強をすると選択肢がたくさんになるね。勉強をしないと少なくなる。どちらがいいと思う?」と聞かれたコウは、「勉強をしない方がいいです」と答えました。「選択肢が多いのは不安だから、『これしかない』って方が安心できます」と言うのです。その理由を聞いて、私は「なるほど…コウらしいな」と納得しました。「選択肢を広げることは、コウの負担を減らすこともあれば増やしてしまうこともあるのだな」と改めて思った出来事でした。また、こだわりに関しては「大きく困らないこだわりはそのままにしておく」という方針も持っていました。例えば、前述の『クモの巣を見ると始まるコウの解説』はクモの巣を怖がらなくなってからもしばらく続きましたが、「解説を聞くだけでOKならいいか」と思い、毎日「そうだね」と相槌を打っていました。コウがクモの巣という存在を受け入れるのに必要な時間だったのか、単に飽きるまでの時間だったのか…3ヶ月ほど続いたころ、そのクモの巣解説の儀式はスーッと消えていきました。Upload By 丸山さとこ「大きく困らないこだわりであれば安心のもとになるからいいのかな?」と考えて長い間続けたルーティンには、『お弁当の中身を変えない』というものもありました。コウのお弁当は、長い間「特定のメーカーの特定の1商品のミートボール・たまごやき・ブロッコリー・菜飯のおむすび」からほとんど変わっていません。自宅で食べられるものが少し増えてからは違うおかずを入れたこともありましたが、食べたり食べられなかったりしているうちに自宅でも食べられなくなることがありました。Upload By 丸山さとこコウにとって、園や学校行事でお弁当を食べるときは、遠足や運動会など『日常ではない特別なイベント』が行われているときです。そんな日は『いつも通りのお弁当』があることが何かしら安心につながるのかもしれません。当時のコウが何を考え何を感じていたのかは分かりませんが、「多分、残さず食べられるお弁当がコウにとってはよいお弁当なんだろうな」と思い、変化のないお弁当をつくるようにしました。中学生になった現在はウインナーもハンバーグも唐揚げも野菜炒めもムシャムシャ食べるコウですが、今でも定番のおかずは飽きないと言います。そんな風にこれまであれこれと対応を考えたり試行錯誤をしたりしてきた私ですが、大体の『コウの困りごと』に対しては、伝家の宝刀『成長を待とう』で見守ることにしています。「いやいや、これは見守ってる場合じゃなくない!?」ということも多々ありますが、できる限りの対応をしたあとは、もう見守るしかないことがほとんどだなと感じます。Upload By 丸山さとこ医師やスクールカウンセラーに相談をしても「本人の成長を待つしかないですね…」「前頭葉の発達待ちですね…」と返ってくることは多く、実際にそうなのだろうなと思いつつ薄目でコウを見守ることはしばしばです。これからも環境を整えたり周囲に相談したりしつつ、『こだわり』などのコウの凸凹と付き合っていけたらいいなと思っています。執筆/丸山さとこ(監修:藤井先生より)丸山さとこさんが、コウさんのこだわりと強化しないように、試行錯誤された様子がとてもよく伝わってきました。薄目で見守るという表現、とても良いですね。お子さんのペースを大切に、そのときを待つしかないといことはよくあります。こだわりを緩められるように対応できるところはしながら、あとは待つのみです。両目を大きく見開いて見ることでいろいろ気にして、焦りからお子さんのペースよりも先回りの、声かけ、手をかけることより、ときを待つのはもどかしいと感じる部分もあるかもしれません。遠回りに思えるかもしれませんが、お子さんの育ちを信じて待つ、とても大切ですね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月01日医ケア児(医療的ケア児)とは?医ケア児(医療的ケア児)とは、生きるために日常的な医療的ケアを必要とする子どものことです。具体的な医療的ケアの例としては次のようなものがあり、保護者を中心とした家族は子どもが病院を退院した後、これらのケアを在宅で行っていくことになります。・気管切開部のバンド交換などの管理・人工呼吸器による呼吸管理・経鼻、胃ろうなどの経管栄養・痰などの吸引・人工肛門(ストーマ)の管理・導尿・血糖値測定やインスリン注射ひとことで医療的ケア児といっても、抱える障害や基礎疾患の種類や程度は幅広く、必要なケアもさまざまです。厚生労働省の調べによると、在宅医療的ケア児の推計人数は、2005年は約1万人と発表されていましたが、2019年には約2万人と発表され、14年間でおよそ2倍に増えています。医療の進歩と共に、広く存在を知られることになってきた医療的ケア児。保育の現場での受け入れ状況や、課題、よくある疑問などを専門家監修のもと解説します。子どもにとって、年齢相応の時期に家庭以外の場所で同年代の子どもたちと集団的な関わりをしていくことは、発達過程において大切なことです。医療的ケア(以下、「医ケアとする」)が必要な子どもには、日常的に命に関わるケアが求められるため、保育施設への入園は、ケアがない場合と同様には運べません。医ケア児が受け入れ可能な園が見つからず、保護者が仕事復帰を諦めなければならないケースも多々あります。保護者にとって仕事をすることは、収入面だけではなく心理的にも社会的にも大きな意味を持ちます。保護者が職場復帰をして仕事を続け、子育てにとらわれず自分らしくいられる時間をつくること。これは医ケア児を育てる家庭への必要な支援の一つだと言われています。医ケア児とその家族、それぞれの充実した生活を支えるには、医療・保健・福祉・教育・労働について、切れ目ない支援が行われなければなりません。近年、医ケア児の保護者や現場の声などが発端となって、医ケア児の保育や教育に関わる法整備は大きく進みました。その代表的なものが「社会福祉士及び介護福祉士法の一部改正(2007年)」や「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(2021年)」となります。これらの法整備で、医ケア児をめぐる状況にはどのような変化があったのでしょうか。医ケア児(医療的ケア児)の成長と親の願いたんの吸引や、高濃度の酸素を鼻から送る「酸素療法」、これらは医ケアにあたりますが、医ケア児や保護者にとっては生活の一部でもあります。しかし、本来これらは医師や看護師が行う医療行為でもあります。そのため、そういった医ケアを必要とする子どもを保育園で受け入れることは、長らくハードルが高いものだと考えられてきました。しかし、子どもの医ケアを一日中保護者が担っていては、ケアを担当する保護者は働くことができません。保育園に預けられたとしても、適宜付き添いを求められたり何かあれば呼ばれたりすると、安心して仕事をすることができず、そのことを理由に離職を余儀なくされる場合も少なくありません。子どもに障害があっても、育児やケアによる保護者の離職を防止し、安心して育児と仕事の両立ができるようにとつくられたものが「医療的ケア児支援法」です。「医療的ケア児支援法」には、・医ケア児や家族が住んでいる自治体にかかわらず、適切な支援を受けられること・保護者の付き添いがなくても、学校や幼稚園、保育園の設置者は、適切な医ケアができる保育士や看護師の配置を行うこと・家族からの相談に応じるための支援センターを、各都道府県に設置することなどが盛り込まれています。そして、医ケア児やその家族に対する国や自治体による支援を、これまでの「努力義務」から「責務」として明記し、必要な対応を求めるようになりました。「医療的ケア児支援法」は、医ケア児の存在に、社会がどう向き合い、支援していくかについての法律といえます。法律の制定が、当事者や保護者が求める支援が現実のものとなるための裏付けとなり、具体的な支援が各自治体で動き始めました。例えば、福祉タクシーを使って通学を支える事業や、煩雑な保護者の手続きをサポートする「医療的ケア児等コーディネーター」を養成している自治体も出てきています。医ケア児(医療的ケア児)の保育の現状と課題「医療的ケア児支援法」ができてから多くの自治体が受け入れガイドラインを作成し、医ケア児の保育園受け入れが始まっています。■山口県長門市の場合たんの吸引や人工呼吸器などの医療的なケアが日常的に必要な2歳の女児が11日、山口県長門市の市立保育園に初めて登園した。中略医療的ケア児の受け入れにあたり、市内の公立保育園の保育士2人が昨年12月、特定の人にのみ医療行為を行える「認定特定行為業務従事者」の研修を修了した。また、市は今年4月から、園で働く看護師2人を雇用。市職員と保育士、看護師が坂田さんの自宅を訪れ、文乃ちゃんの病気やケアについて情報を共有した。真名美さんから教えを受けた看護師が、文乃ちゃんに経管栄養をした。引用:医療的ケア児、通園受け入れへ長門市立の保育園|朝日新聞デジタル(2021年5月12日)■東京都の場合東京都では医ケア児を2020年度から一部の区立保育園で受け入れています。※保育所等の施設の利用に必要な手続きについては、お住まいの区市町村へお問合せください。参考:未就学児期|東京都医療的ケア児支援ポータルサイト|東京都福祉健康局また、東京都教育委員会は、2020年度から、人工呼吸器を使う子どもが保護者の付き添いなしで学校に通えるようにすると決めました。そのために、学校での役割分担などを定めたガイドラインをまとめ、保護者の付き添いを求めている医ケアの実施要項も改める予定だと言われています。参考:都立特別支援学校における人工呼吸器による医療的ケアを必要とする子供の安全な学校生活のためのガイドライン(改訂)|東京都教育委員会医ケアは、基本的には医師と看護師、医ケア児本人、保護者しか行うことができませんでした。そのため、保育士しかいない保育園では、全ての医ケアには対応できません。しかし、平成23年の「社会福祉士及び介護福祉士法の一部改正」によって、医ケアを行える人の範囲が広がりました。一部の特定行為であれば、一定の研修を受けた保育士や介護職員なども、「認定特定行為業務従事者」として、医師の指示のもとに医ケアを行えるようになったのです。そのため、必要とするケアの内容によっては必ずしも看護師がいる保育園でしか受け入れられないというわけではなくなりました。保育園で行うことができる医ケアは、2種類あります。一つは、「認定特定行為業務従事者」として登録認定を受けた保育士ができる医ケア。もう一つは、看護師ができる医ケアです。認定特定行為業務従事者として認定を受けた保育士は、次の5つの行為を行うことができます。・口腔内の喀痰吸引・鼻腔内の喀痰吸引・気管カニューレ内の喀痰吸引・胃ろうまたは腸ろうによる経管栄養・経鼻経管栄養Upload 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発達障害のキホン参考:喀痰吸引等の制度について|厚生労働省これら5つの「特定行為」といわれる医ケア及び、それ以外の行為が、看護師ができる医ケアです。ただし、看護師や、認定特定行為業務従事者として認定を受けた保育士が園で医ケアを行う場合は、医師の指示が必要です。保育園では、あらかじめ医師の指示のもとに作成した支援計画などに沿って、医ケアを行います。そして、日々の子どもの状態をよく確認しながら、保育園、保護者、医療機関で連携しながら医ケアを行っていく必要があります。実際に園で行う医ケアの手順や留意点、準備すべきことなどについても、事前に主治医に相談し、指導を受けることが望ましいでしょう。このように、制度上は看護師以外の人も一定の条件を満たせば医ケアを行えるようになりましたが、全ての地域や園でそうなっているわけではありません。認定を受けた保育士が医ケアを行う自治体もあれば、看護師のみが医ケアを行うとしている自治体もあります。看護師が常駐する保育施設を各地域に設置している自治体もありますが、そうではない自治体もまだまだ多くあります。このように、運営体制の地域差が大きいのが現状です。医ケア児が安定した保育園生活を送っていくためには、さまざまな課題があります。まず、受け入れ可能な保育園の数が足りていない自治体が多くあります。施設のバリアフリー化や、ケアを行える職員や看護師の配置が充分にできないことから、どうしても受け入れ可能な園は限られてしまいます。受け入れ可能な人数も、多くはないため、保育園に通いたくても通えない医ケア児もいるでしょう。園での一日から、医ケア児を受け入れた場合の配慮事項を考えてみます。まず、登降園の際には、子どもの様子を保護者と保育士(又は看護師)とで共有し、医ケアに必要な器具や物品の引き渡しを行います。保護者から子どもを預かった保育士は、登園時に保護者から聞き取った情報を医ケアを行う職員たちと適切に共有する必要があります。そして、行った医ケアを記録に残し、カンファレンスなどで職員間で共有すると共に、連絡帳などを使って保護者にも共有します。保育の際には、衛生面に十分に配慮しながら活動内容を考えていく必要があります。活動の際には気管カニューレなど医ケアに必要な器具の抜去などが起こらないよう、しっかりと見守っていくことも大切です。急な体調変化や事故抜去などの緊急時にも対応するために、あらかじめ緊急連絡先や対応手順を定め、保護者との間で確認しておくことも重要です。医療との連携も必要です。まず、医ケア児の主治医とは、医ケアについての意見が得られるように連携体制を確保することが必要です。そして保育園の嘱託医にも、医ケア児の健康状態やケアの内容について十分に情報共有することが求められます。また、主治医の勤務先が遠方の病院である場合は、日常的な相談や指導に関しては地域の医師に協力を依頼することも考えられます。生活を共にするほかの子どもたちも、なぜその子に医ケアが必要なのか、医ケアを受けながら生活しているその子への理解が深まるように話をすることも重要です。また、経管栄養のチューブや気管カニューレなどの取扱いがある場合は、それらが抜去されないように、それぞれの器具の必要性などを説明し、理解を促すことも必要となってきます。医ケア児の保護者が同意する場合は、医ケア児以外の子どもの保護者に対しても、クラスに医ケア児が在籍することを説明し、理解を得られるように努めることも考えられます。保育園での医ケア児の受け入れ体制を充実させていくためには、医療機関は保護者、園側との協力関係に加えて、行政のバックアップ体制が必須です。また、一人ひとりの育ちに応じた適切な支援を行うためにも、学校教育との連携も必要になっていきます。「障害福祉サービス等及び障害児通所支援等の円滑な実施を確保するための基本的な指針」では、平成30年度末までに、各都道府県、各圏域、各市区町村において、関係機関などが連携を図るための協議の場を設けることが基本とされました。こういった協議の場なども活用しながら、医ケア児の安全な受け入れ体制のための情報共有や協力体制のネットワークをつくり、より安定した保育環境を構築することが望ましいと思われます。環境設定を整えるための取り組みとして、地域の医ケアに関わる関係者をつなぐスーパーバイザーの役割を担う「医療的ケア児等コーディネーター」の養成研修が、全国で始まりました。今後はそういった人材が増えていくことで、より円滑に関係期間とのやりとりが行われるようになることが期待されています。まだまだ多い医ケア児と保育園に関する疑問。特に気になる方も多い「相談方法」「親の付き添い問題」「延長保育・早朝保育」「環境整備」などの質問を専門家に聞きました。Q:医ケア児が保育園に通いたい場合はまず、どこへ相談すれば良いですか?受け入れ園は増えているのでしょうか?文書や面談などで聞き取りを行い、主治医などの意見なども聞きながら、関係機関と連携をして受け入れ施設を調整していきます。自治体によりばらつきはあると思いますが、今後は全国的に受け入れ園は増えていくことでしょう。2016年に成立した児童福祉法の改正案で、各省庁および地方自治体は、医療的ケア児への支援の「努力義務」を負うことになりました。それが、2021年の医療的ケア児支援法によってより強制力のある「責務」を負うことに変わりました。実際に兵庫県神戸市では、市内各地域で医療的ケア児の受け入れが可能になるように、各地域1ヶ所以上の対応可能施設の整備を進めています。Upload By 発達障害のキホンQ:医ケア児が保育園や幼稚園に通うには、親の付き添いが必要でしょうか?各自治体には保健師、助産師、看護師や准看護師、またはたんの吸引などを行うことができる保育士や保育教諭、介護福祉士等の配置を行うことが期待されています。東京都教育委員会などは、人工呼吸器を使う子どもが保護者の付き添いなしで学校に通えるように、学校での役割分担などを定めたガイドラインを作成しています。ただ乳児の受け入れについては、施設によっては可能ですが、設備の整った園でないと難しい現状はあります。受け入れ対象を3歳以上とする自治体もあれば、乳児からの受け入れを行っている自治体もあるため、お住まいの自治体での受け入れ状況の確認が必要です。Upload By 発達障害のキホンQ:医ケア児は、延長保育や早朝保育も利用できますか?ケアを受けられる時間帯も同様で、ケアができる時間を限定している自治体や、通常保育時間の枠内で受け入れている自治体などがあります。延長・早朝保育では、通常であっても職員の確保が難しい現状があるため、現場が医ケアまで手が回らず、安全性の確保ができないこと、看護師の勤務時間との兼ね合いなどが背景としてあるようです。全ての看護師や職員が同じ手順で対応できるように、カンファレスなどを行い、保育士も含めた職員全体で情報共有することが重要となります。Upload By 発達障害のキホンQ:今後、医ケア児の受け入れを考えている園です。受け入れに当たってどのような環境を整備したら良いですか?また、保育士側の不安は、どのように軽減したら良いでしょう?ハード面では、ケアに必要な物品を配置できるようケア児用のスペース(場合によってはベッド等の休養できる環境の確保)、給水・給湯の設備や冷蔵庫の配置、多機能トイレ等の整備、車椅子やバギー利用児の場合は園全体のバリアフリー環境の整備が必要でしょう。ソフト面では、医ケア児を担当する保育士はもちろん、園内保育士に対する研修を行い、医ケアについての理解を深めていくことが必要でしょう。保育士の不安はあって当然なので、医ケアについての正しい知識を研修によって身につけ、共通認識を身につけていくことが必要です。また、保育園内でもケア児を担当している以外の保育士にも定期的に対応の方法や様子などを連携し、全ての保育士がケア児に関しての情報を共有できる環境づくりも大切です。Upload By 発達障害のキホンまとめ「医ケア児の保育」をめぐる状況は、近年大きく変わりつつあります。まだまだ課題も多く、地域差も否めませんが、今後は「医療的ケア児支援法」などが追い風となって、より良い方向に向かっていくことが期待されます。医ケア児の保育園での受け入れは、ケア児本人の成長だけでなく、周りの子どもたちにとっても多様な他者と共に生きていく貴重な経験となっていくはずです。多くの地域で、障害や病気の有無にかかわらず、共に育つ環境がつくられていくことを願ってやみません。
2023年03月31日指定難病とは?種類は?どんな疾患が指定されている?厚生労働省は治療が確立されていないなど、一定の条件を満たした疾患を「難病」としています。さらにそのなかで、患者数が少ないなどプラスの要件を満たす疾患を「指定難病」としています。難病と指定難病にはどのような違いがあるのでしょうか。それぞれの条件を比べることで、難病と指定難病の違いを確認していきましょう。難病の条件・治療法が確立されていない・発症の構造が明らかではない・希少な疾患である・長期の療養を必要とする指定難病の条件上記、難病の4つの条件に加えて以下の2つの条件が加わります。・患者数が一定の人数に達しないこと(現在の基準は、18万人未満あるいは人口の0.142%未満となっている)・客観的な診断基準、またはそれに準ずる基準が確立している日本の難病政策は1965年ごろから始まりました。その発端となったのが「スモン(亜急性脊髄視神経症)」という疾患です。スモンは原因不明の奇病と社会問題になり、「難病」という言葉が社会に認知されるようになりました。1972年には政府が難病対策要綱を策定。難病は以下のように定義されています。(1)原因不明、治療方針未確定であり、かつ、後遺症を残す恐れが少なくない疾病(2)経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家族の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病引用:難病とは |厚生労働省政府は難病政策として「調査研究の推進」「医療施設の整備」「医療費の自己負担の解消」の3つを掲げ、研究などによる疾患の解明はもちろん、診療整備、医療費を公費負担なども目指すことになったのです。当時調査研究の対象だったのは、スモンを含む8疾患のみでした。しかし、その後疾患の数は増え続け、56疾患が特定疾患治療研究事業(医療費助成事業)の対象となったのです。2011年には対象患者数はおよそ78万人に。予算は400億円を超えました。その後、「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」が2014年に成立しました。これは、持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革推進に関する法律として成立したものです。その1年後、2015年に施行され、治療費の公費負担は都道府県と国が半分ずつ負担することになりました。特定疾患は、指定難病へと名称が変わり、その数は2015年から2018年で56疾患から331疾患にまで拡大したのです。2023年3月現在は338の疾患が認定されています。現在指定難病に認定されているのは338の疾患です。そのうち、患者数が多い上位5位の指定難病は以下の通り。それぞれの症状を紹介します。・潰瘍性大腸炎持続する血便、下痢、腹痛があり、発熱や体重減少、貧血などを起こすこともあります。・パーキンソン病ふるえや動作緩慢、筋固縮、転びやすいなど、体の動きに障害があらわれます。・全身性エリテマトーデス本来体を守る免疫系が自分自身を攻撃することで発熱、関節炎、湿疹などが起こります。・クローン病口から肛門までの全消化器管で炎症が起こり、下痢や腹痛、発熱、貧血、体重減少などを引き起こします。・後縦靱帯骨化症下肢の脱力やしびれなどが起き、重症になると歩行困難などの症状も出現します。指定難病医療費助成制度とは?限度額はある?助成内容、対象者、申請手続きなど指定難病医療費助成制度は、指定された疾患の医療費の自己負担分の一部を公費で負担するものです。その内容や対象となる費用、また申請手続きなどを紹介します。指定難病医療費助成制度は、指定された医療機関で行う医療費のみに適用されるものです。対象になるのは指定難病治療にかかった費用のみ。指定難病以外の疾患、たとえば風邪などの治療にかかった医療費は助成の対象にはなりません。対象となる費用・指定医療機関で難病の治療(保険診療)にかかった窓口での自己負担額・薬局(指定医療機関)での保険調剤の自己負担額・訪問看護事業者(訪問看護ステーション)を利用したときの利用者負担額など対象とならない費用・認定された難病以外の病気の医療費・指定医療機関以外の医療機関で受けた治療の医療費・入院時の食費、差額ベッド代など指定難病医療費助成制度を使う場合の医療費の自己負担上限額は、最低2,500円から最高30,000円です。全ての人が同一の限度額というわけではなく、加入している健康保険の世帯単位の市区町村民税の課税状況や申請の時期によりそれぞれ違いが発生します。ただし、人工呼吸器などの装着者の自己負担上限額は1,000円です。Upload By 発達障害のキホンまた、長い期間に渡って高額な医療必要な患者には、軽減された負担上限額が設定されています。指定難病の医療費が総額5万円を超える月が申請日の月以前の12ヶ月で既に6回以上ある患者が対象です。指定難病医療費助成制度を利用するには、以下の必要な書類を揃えて都道府県・指定都市に申請します。受付窓口は、都道府県によって異なる場合がありますので、事前の確認が必要です。Upload By 発達障害のキホン提出した書類を基に都道府県・指定都市による審査が行われるのです。症状の程度が認定基準に該当するとき、認定基準には該当しない場合でも、高額な医療の継続が必要と認められた場合に支給が認定されます。その後、特定医療費(指定難病)受給者証が交付されるという流れです。申請から医療受給者証の交付までは3ヶ月ほど。その間に指定医療機関でかかった医療費は、医療受給者証が交付された後で払戻し請求をすることができます。指定難病医療費助成制度について、よくある疑問を専門家に聞いてみました指定難病医療費助成制度について解説してきましたが、「より詳しいことを知りたい」「まだよく分からないことがある」という方も少なくないのではないでしょうか。今回は指定難病医療費助成制度についてよくある疑問を専門家に質問してみました。Q&A形式でその内容を紹介します。Q:指定難病医療費助成制度と小児慢性特定疾患の医療費助成制度の違いや関連を教えてください指定難病医療費助成制度は、「難病の患者に対する医療等に関する法律」に基づいて実施されていますが、小児の場合は、「児童福祉法」に基づいて小児慢性特定疾病の医療費助成制度が施行されています。Upload By 発達障害のキホンQ:小児慢性特定疾患は788疾患が対象ですが、指定難病医療費助成制度は338疾患です。小児のは助成対象でも、大人になって助成対象ではなくなってしまった場合、医療費の負担が大きくなってしまわないのか不安です。また、難病がありながら働けるのかも心配です。サポート体制などはあるのでしょうか指定難病のある方でも働いている方は多く、ハローワークなどで職業相談と職業紹介を実施しています。それぞれの症状や障害の特性に応じたきめ細やかな対応はもちろん、福祉や教育関連機関と連携したチーム支援により、就職の準備段階から職場定着までを一貫してサポートしています。そのほか、療養生活、日常生活の不安や相談がある場合には各都道府県にある「都道府県・指定都市難病相談支援センター」に相談をしてみましょう。参考:都道府県・指定都市難病相談支援センター一覧|難病情報センターじっくり相談に乗ってほしい、時間をかけて就職の準備を進めたいという方のために、ハローワークの障害者専門援助窓口に「難病患者就職サポーター」を配置。難病患者の就職準備のサポートはもちろん、就職した後に難病を発症した患者の総合的な就職支援なども行っています。また、地域障害者職業センターにおける職業リハビリテーションや障害に応じた委託訓練を行う機関も。希望する方は都道府県の窓口にお問合せください。まとめ今回は、「指定難病医療費助成制度」をさまざまな視点から紹介しました。難病に罹患すると、その症状に苦しむだけではなく、治療費などの負担も重くのしかかります。しかし、指定難病医療費助成制度の存在でその負担の一部が軽減され、自分の体や治療に向き合うことができるようになったという患者も多いはずです。該当するかもしれないという方は、都道府県・指定都市への申請のためにまずは主治医や、窓口に相談してみてはいかがでしょうか。
2023年03月31日東京都児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報てらぴぁぽけっと祐天寺教室は、マンツーマンで受けられるABAセラピストによる支援を行っている施設です。一人ひとりにプログラムを組み、一つの行動に焦点をあて、しっかりとセラピーを行います。個別では、お子さんの成長に合わせたABAプログラムをスモールステップで取り組み、集団ではリズムウォークでお友達や先生と一緒に歩いたり、マネっこをしたりします。また、今日できたことの発表などをみんなで取り組み、その日に行った内容を保護者と連携し、引き続き家庭内でも支援ができるようにサポートしてくれます。東京都の児童発達支援をもっとみる千葉県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報ウィズ・ユー浜野駅前は「社会性を身につける・生活スキルの向上」に特化した施設です。社会性を身につけるプログラムや、生活スキルの向上を目的とするプログラムがあり、個別支援計画に基づいて一人ひとりに合わせた支援を実施。スタッフは経験者も多く、支援の質向上のため、研修会、勉強会など積極的に参加しています。保護者のよき理解者になれるよう、また、ウィズ・ユー浜野駅前が子どもたちの最高のサードプレイスとなるよう努めている施設です。千葉県の放課後等デイサービスをもっとみる茨城県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報ブロッサムジュニアつくば並木教室では集団プログラムをメインとし、1日ご利用のなかで個別プログラムも取り入れ発達支援を実施しています。集団プログラムでは「運動療育」「SST」「外出」などを、個別プログラムでは保護者の要望やその児童にあった「発語」「就学準備」「宿題などのサポート」などを実施しています。特に「発語」では、言語の先生と連携を強化し、リモートなどの対応でサポートできる環境が整っています。みんなが楽しく、「ブロサッムジュニアつくば並木教室でしかできないことを提供していきたい」と考える施設です。茨城県の放課後等デイサービスをもっとみる愛知県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報児童発達支援 えほんの木 相生山では、0歳~6歳の発達の遅れや医療的ケアが必要な未就学児を対象に、一人ひとりの特性や成長に合わせた発達支援を行っています。医療的ケアが必要なお子さんも、保育園や幼稚園のようにお友達と一緒に過ごし、沢山の刺激を受けながら成長し、さまざまな社会参加ができるプログラムを考案しています。言語聴覚士や心理士の個別プログラムも行い、専門職員がいろいろな視点から支援を行うことを目的としています。また、支援の質向上のため、応用行動分析をベースにした幅広いカリキュラム、研修動画を活用し定期的な職員研修を実施しています。愛知県の児童発達支援をもっとみる大阪府児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報てらぴぁぽけっと西田辺教室では、遊びのなかでお子さんの強化子を見つけ誘導していき、望ましい行動を増やしていきます。リズムウォークを取り入れ、脳と体を起こし体感を安定させ、セラピーを受け止めやすい状態へと促します。個別支援では、個別支援計画とセラピストとの打ち合わせ、連絡帳のやり取りなどから課題を見つけて取り組み、グループワークでは、小さな集団のなかでの約束や、人と関わることの大切さや楽しさを学んでいきます。お子さんの今の力をマッピングし、次にどこに進めばいいかを明確にして伝え、今いる位置でのつまずきから共に解消していく取り組みをしています。大阪府の児童発達支援をもっとみる鹿児島県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報かごまんキッズは開所時より「ビジョントレーニング」に力を注いでいます。ビジョントレーニング普及協会の講習を受けた職員が中心となり、視力だけではない、見る力を育てていきます。また、応用行動分析を基本とした支援を行いながらも、それだけにとらわれず日々の新しい情報も取り入れています。集団、個別がミックスされた珍しい形の発達支援形態で、個別で学んだことをリアルタイムで集団練習していく取り組みを実施。かごんまキッズでは、「繋がる療育」を大切にし、日々の支援内容をしっかりと保護者に伝え、家庭での対応方法まで一緒に考えています。鹿児島県の児童発達支援をもっとみる「もっと施設の情報を詳しく知りたい!」「見学をしてみたい!」と思ったら、WEBからもお問い合わせが可能です。施設情報ページでは、掲載されている施設の情報を地域ごとに検索して見ることができますよ。
2023年03月30日「できた日記」は、子どもの自己肯定感UP&自信回復にオススメ!Upload By 楽々かあさんこんにちは。『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』ほか、著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。春は何かと子どもの成長を感じるイベントが多い季節ですね。そんなとき、「できた日記」を始めてみるのはいかがでしょう。「できた日記」は、文字通り、その子の「できたことだけ」を記録する、うちのアイデア子育てツールです。特に、学校生活などでは失敗が多くて何かと自信をなくしがちな子どもや、ネガティブな情報ばかりを見つめて落ち込みがちな子どもなどにオススメです(もちろん、それ以外のお子さんや成人の方にも!)。ここではうちの例で「できた日記」のことを、詳しく紹介していきますね。まず、私が「できた日記」のアイデアを思いついたワケをお話します。現在高校生の長男が小学校に入学したばかりのころ、集団生活の中でうまくいかないことが多く、成功体験が少なくて私たち親子はすっかり自信をなくしていました。その後、長男に発達障害の診断がつき、私はそれまでの怒ってばかりだった自分の育児を見直し、少しでもできたことをほめ、学校側にも理解をお願いし、長男はある程度落ち着いていきました。それでも、長男の自信回復には十分ではなく、ちょっとしたことで泣いたり、スグに投げ出したり、心折れたり…。子育てでは「子どもの自己肯定感を育むのが大事」と分かってはいるものの、「できるようになったことも増えたし、毎日こんなにほめているのに、なんでなかなか自信がつかないの?」と、私は不思議に思っていました。そんな中、ピンと来たのが「コトバは消えていっちゃう」という長男自身の言葉。実は「人の話を聞いてない」などと注意されがちな長男は、耳からの情報が入りにくく、せっかくほめても聞いてなかったり、聞いてもスグに忘れてしまうのです。加えて、長期の記憶力が強く、連想ゲームのようにちょっとしたきっかけで自分の失敗体験を繰り返し思い出し、いつまでも落ち込んでしまっていました。でも、長男は目からの情報は入りやすく、例えば、気をつけてほしいことなどは、何度も小言を言うよりも張り紙をしたり、ノートに図を交えて筆談で説明したりすれば、ずっと理解しやすかったのです。そこで、長男の「できた!」体験や親のほめ言葉など、その子にとってプラスになるいい情報も、消えないように「見えるカタチ」で残したら自信につながるのではないかと思い、できたことだけを記録する「できた日記」のアイデアが浮かびました。するとこれが大正解!発達障害の診断のない次男・長女にも「お兄ちゃんばっかりズルい!」と自分たちにもつくってほしいとせがまれ、うちの子たちに大人気の子育てツールが誕生しました。「できた日記」つくり方のコツUpload By 楽々かあさん「できた日記」は、ただでさえ忙しい子育ての合間につくるので、”日記”とありますが毎日記録しなくてもまったく構いません。私は大抵、撮りためた写真整理のついでに一気に制作・更新していました。複数写真をピックアップして印刷する場合はA4普通紙にインデックスプリントすると手軽。クラウド保存の写真は「〇〇のできた」フォルダなどに分けておくと、そのまま共有することもできます。また、最初から凝ったものにすると更新のハードルが上がってしまうので、テキトーでOK。完成度や出来映えで親の愛情を測る必要はありませんから、わが子に「あなたの成長や頑張りを、ちゃんと見ているよ」って伝われば十分です。決まった形式もないので、スクラップブックのほか、コルクボードやフォトフレーム、壁や冷蔵庫への掲示、交換日記やメッセージアプリなど、各ご家庭の都合に合わせて手軽に取り組めそうなものを自由な発想で活用していただければと思います。うちでは基本の「できた日記」はスクラップブックで子どもたちに1人1冊ずつつくりましたが、家族限定SNSや、壁デコ、A4ファイルなどを活用した簡単バージョンの「できた日記」もあります。おうちで「できた日記」にチャレンジしてみるときの、基本のつくり方のコツは…「できた日記」で特に大事なのは、その子にとって”いい情報”だけをピックアップすること(ココさえ当てはまれば、どんなカタチでも「できた日記」です)。"いい情報”とは、例えば…・子どもの「できた!」体験(自転車に乗れた、料理をつくれたなど)・好きなこと、お気に入りのモノ(アート作品、〇〇コレクションなど)・成長の記録(服やおもちゃの変遷、読書歴など)・初めての経験や挑戦、行動範囲の広がり(一人でできた買い物のレシート、バスの乗車券など)・人とのプラスの関わり(家族との日常、友達からのお手紙、先生のほめ言葉の添削など)・すごく頑張ったこと、毎日頑張っていること(苦手な行事への参加、いつも続けていることなど)…などの写真や、実物の切り抜き、コピーなどの"証拠"を集めて、スクラップブックなどに貼って「見えるカタチ」にします。このとき、「〇〇できたね」「いっぱい練習したね」「よく頑張ったね」などのほめメッセージを添えるとさらにGood!(ただし、「次は〇〇にも挑戦しよう」「〇〇もできるといいね」…なんて、うっかり欲張らないこと)また、中高生の子などへの手軽な「できた日記」として、いつも使っているメッセージアプリなどで、”いい情報”をできるだけ多めに投稿して、親子間や家族グループで共有するように心がけるだけでも、その子の心の支えや励みになると思います(特に受験期など)。Upload By 楽々かあさん「できた日記」と通常のアルバムとの違いは、【〇〇のできた!】や【〇〇の記録】などの「カテゴリー別」にページを分けること。例えば…【自転車のできた!】三輪車・ストライダーに乗れた→補助輪つき自転車に乗れた→補助輪が取れた→自転車で〇〇に行けた→自転車で一人旅した…など、乳幼児期から思春期まで、自転車に関する「できた!」を同じページに集めて貼る。こうすると、その子のその部分に関する成長が一目瞭然に。カテゴリー別で分ける目的は「自分自身と比較しやすくするため」です。なぜなら、親がどんなにほめても、子どもが成長するにつれ、自分と周りの子たちとを比較するようになってくると、自分のできないことや苦手なことばかりが気になって、自信をなくしてしまうことがあるからです(親だって、周りの同じ年頃のお子さんと比べると「あれ?うちの子だけ〜ができないのかな」とか、「〇〇ちゃんは、もうそんなことが自分でできるんだ…」なんて、不安になることもあるでしょう)。でも、「できた日記」で1年前、5年前の自分自身とのタテ軸で比較すれば、周りがどうであれ、”自分なり”の成長が見えるように実感できます。「できた日記」を作ったら、扉つきの立派な本棚に大事にしまわずに、その辺に無造作に置いておくのがオススメです。子どもが自分のタイミングでいつでも手に取れるように、リビングや子ども部屋のいつも目に入る場所にさり気なくあるといいでしょう。簡単バージョンの場合も、例えば…【料理のできた!】→キッチンの収納棚や冷蔵庫に、マスキングテープで直接写真を貼る【おもちゃの記録】→おもちゃの収納棚にミニアルバムを一緒に入れておく…など、その「できた!」に関係した場所で、いつも目に入るようにするといいと思います。日常生活の中に「できた日記」がさり気なく存在していると、いつでもどんなときも、例え親に余裕がないときだって、子どもの心に寄り添ってくれます。そして、子どもが落ち込んだときや自分を勇気づけたいときなどに、何度も繰り返し「できた!」体験を思い出し、見直すことができるでしょう。うちの子たちも、学校でイヤなことがあったり、なんとなく元気が出なかったりするときなどに、何度も「できた日記」を手にとって、自分の「できた!」を振り返って成長を実感し、気持ちを立て直したり、心を落ち着けたりしていました。「できた日記」を続けていると…「できた日記」は子どもの自己肯定感UP&自信回復のための子育てツールですが、もう一つ、続けていると親にもいいことがあるかもしれません。それは、自然なかたちで親の肯定的な目線を自分で育てるペアレント・トレーニングにもなるということ。「できた日記」を気長に続けていると、わが子の「できた探し」が上手になってくると思います。日常生活の中で「あ、ラクガキに夢中になってる。シャッターチャンス!」とか、「あれ、ちょっと字がうまくなったかも。保存しとこ」とか…。子どもの小さな「できた!」や、毎日の当たり前のような頑張り、ささやかな成長などに気づきやすくなるんです。そうすると、次第に「できないことより、できたことのほうにフォーカスする」という、ものの見方のくせがついてくるので、子どものことを肯定的に見る練習になるだけでなく、親が自分自身にも温かい目を向けられるようにもなると思います。子育ては長期戦ですから、「いつでもどんなときでもポジティブに」とはいかないこともありますよね。特に、学校ではうまく行かないことが多い子どもや、思春期の子どもなどとは、親子のコミュニケーションに悩まれることもあるでしょう。それでも、今に至るまでの、その子の小さな頑張りや成長の積み重ねと、それを支えて見守り続けてきた親の目線があることを、「できた日記」はちゃんと見ていてくれますからね。文とイラスト、写真提供:大場美鈴(楽々かあさん)(監修:初川先生より)「できた日記」、素晴らしい手立てですね。長男くんの言っていた通り、(話した)言葉は消えてしまいます。そして、何かで苦戦すると芋づる式にうまくいかなかった記憶がずるずると思い出されてしまうことがあります。「できた」ことだけを記録する、手軽に手に取れる場所に置く、気合いを入れてつくると疲れてしまうから簡単なものでもよい。こうしたコツをシェアしていただけると、「やってみようかな」と試してみたくなりますね。幼いときは特にちょっとしたことができただけで、すごい!とほめられてきますが、年齢を重ねるにつれ、できて当たり前とみなしてしまうことが増えがちで、ほめポイントも分かりづらくなります。大人が小さな目盛りで子どもの成長を見つけてほめることができるか、それが結構大事なことです。「できたほうのことにフォーカスする」という見方のくせをつける。大人がこつこつと身につけていきたいことですね。大場美鈴(著),『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』あさ出版, 2020.6.27コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月30日「世界自閉症啓発デー」とはUpload By 発達ナビニュース2007年の国連総会で、毎年4月2日を「世界自閉症啓発デー」とすることが定められました。国連加盟国では、自閉症(自閉スペクトラム症/ASD)についての理解が進むように意識啓発の取り組みを行うよう求められています。日本では、4月2日から4月8日は発達障害啓発週間となっています。自閉症(自閉スペクトラム症)についての認知は、日本でもここ最近高まってきています。しかし、今もなお偏ったイメージを持っていたり、正確ではない情報が存在しています。自閉症(自閉スペクトラム症)の研究は現在も続いていますが、はっきりとした原因はまだ特定されていません。何らかの脳機能の障害であると考えられており、しつけや愛情不足など育て方が直接の原因ではないといわれています。自閉症(自閉スペクトラム症)のある子どもは、さまざまなこだわりを持っていることが多いです。また、感覚過敏や感覚鈍麻などの特性がある場合も多くあります。そのため、育てにくさを感じたり、適切な接し方が難しいと感じる保護者も少なくありません。しかし周囲の自閉症(自閉スペクトラム症)についての理解や支援が十分であれば、自閉症(自閉スペクトラム症)があっても住みやすい環境で、その人らしく充実した生活をすることができます。「世界自閉症啓発デー」は、この社会で、多くの人が自閉症(自閉スペクトラム症)への理解を深めることで、自閉症(自閉スペクトラム症)のある人を含めたすべての人が過ごしやすい世界を実現していくための日です。「世界自閉症啓発デー」には、シンボルカラーがあります。「癒やし」や「希望」などを表すブルーが、その色です。毎年4月2日は、ナイアガラの滝やピラミッドなど、世界中のさまざまなランドマークが青に染められ、また青い服を身に着けるなどの青をテーマにした啓発イベントが各国で行われます。日本でも、東京タワーやスカイツリーをはじめ、各地のシンボルとなっている建物などが、例年、青く染め上げられています。SNSを「ブルー」にそめよう!Warm Blue2023キャンペーンUpload By 発達ナビニュース4月2日には、シンボルカラーである「青い」ものを身に着けたり、ブルーにデコレーションした施設などの写真をSNSに投稿してみませんか?以下のハッシュタグをつけてぜひ投稿してください。#自閉症啓発デー #WB_2023 #2023TT #LIUB #発達ナビ投稿したブルーの写真やメッセージは、下記のSNSアカウントなどでシェアされる予定です。東京都自閉症協会twitter東京都自閉症協会facebook Blueギャラリー | 東京都自閉症協会発達ナビ連載陣にも「青」をテーマにイラストを描きおろしてもらい、SNSで発信中です。青いイラストとともに、みなさんのメッセージを添えて、ぜひシェアをしてください。多くの人たちにメッセージを伝えてみてほしいと思います!4月2日、さまざまなイベントが開催!2023年4月2日は、オンラインで、さまざまなブルーアクションを紹介する生配信が企画されています。日本各地の当事者団体や賛同する企業などの取り組みに注目です!日時:2023年4月2日17:30配信スタート(予定)司会:不破ふわお、東海林杏朱ゲスト:東ちづる、天道清貴ほか2023も企業や自治体、当事者団体、自閉症のある仲間たちなど、さまざまな参加を予定しております。また今年はウクライナ・ヘルソンの自閉症のあるご家族の団体が、世界自閉症啓発デーに向けて動画を寄せてくださったそうです。ぜひご覧ください。参考:ウクライナから届いた動画| 東京都自閉症協会参考:東京都自閉症協会コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月29日初めての模試!申し込み日もリマインダで!昨年の10月の終わりのことです。学校からもらった年間スケジュールを見て、そろそろ模試があるころだと知っていた私は、娘に「11月に入ったらすぐ模試があるはずだから、学校からのメールに気を付けて。期日までに申し込みしておいてね。できる?」と言いました。娘は「おっけー」と軽い返事。娘の在籍している通信制高校は、試験の日だけでなく申し込みや検定料の支払い日などもメールでリマインダしてくれるので、忘れることはないでしょう。私も娘に任せることにしました。しかし…できていなかった模試の申し込み11月の最終週、その模試がある1週間前に、学校から私宛にも「今度の週末模試があるよ」とリマインダが来ました。それで念のため、娘に「模試の申し込みをした?」と聞いたら「したよー!」とのこと。よかったよかった、自分で申し込みできたのね、WEBって便利だなあ、と思ったのですが…「した」というのは「作業をした」ということで、「完遂した」という意味ではなかったのです…!「したよ!」と言ったのは嘘じゃないけど...模試の3日前にふっと自分の手が空いたので、車で送迎するため模試の場所を確認しておこうと、娘に「模試はどこであるの?」と聞いたのですが、なんと娘「分かんない。聞いてない」と言うじゃないですか!?いやいや、そんなはずはないでしょう、あと3日ですよ?娘宛のメールを確認したら模試の申し込み完了のメールが来てなかった、それでどうも申し込みができてないようだと気がついたのでした。模試の3日前に!Upload By 寺島ヒロ以前から、分からないところがあるとそこでストップしてしまうという特性がしばしば見られていたのですが、そこに見事にはまってしまった感じでした。フォームはリロードしたら有効期限が切れてしまい、これまで記入していた文字もリセットされてしまいました。「スクロールを忘れる」という謎模試の1つや2つ受けなくても構わないのですが、こういうことがなぜ起こるのか、本人に意識してもらわなければいけないと思いました。そこで、娘と一緒にどこで失敗したのかを確認することにしました。もう一度申し込みフォームを立ち上げ直して丁寧に見ていくと、フォームの最後に「受験票を受け取って申し込み完了となります」と書いてあり、受験票を受け取れる場所が模試を受ける会場であることも、電話番号も記載されていました。どうも娘は最初に表示される範囲しか読んでおらず、スクロールしたら現れる部分を見逃していたようです。紙であれば、物理的にまだ読んでいないところがあると分かるのでしょうが、WEB上だと、読んだ部分だけで「意味が通らないな?」と思っても、「まだ何かあるんじゃないか」と考えて探してみるということができなかったのですね。問題はスクロールではなく「放置癖」結局、模試の方は、すぐフォームに記載されていた番号に電話をし、受験票を発行してもらうことにして、無事受けることができました。しかし、問題はスクロールをしない、することを思いつかなかったことよりも、分からないものを放置するということです。「もういいや!」と思い決めて放置するのならまだいいのですが、「分からない、面倒くさい、頭が疲れてきた、あとでやろう」と思って忘れてしまうので、やるつもりだったのにできなかったと本人も落ち込みます。Upload By 寺島ヒロ分からないことがあったらすぐ行動!しかし、今回のことでいっちゃんも少し懲りたらしく、「分からないことは放置しない!お母さんに聞く!お母さんが寝ているときはお兄ちゃんに聞く!お兄ちゃんも寝ていたら先生にDM!」と心がけを新たに宣言しました。とても根深い問題なので、なかなかすぐに直すというわけにはいきませんが、少しずつでも完遂力を身につけてくれるといいなと思います。執筆/寺島ヒロ(監修:新美先生より)エピソードを聞かせていただきましてありがとうございます。スケジュール・進捗管理や、各種申し込み手続きのようなことは、身につけるのに苦労するスキルですね。寺島さんのエピソードでお伺いしたように、中高生の年代にサポートしながら自分で経験し、試行錯誤しながら身につけていけることは理想ですね。基本的には本人にまかせながら、困ったらヘルプを出すということも練習してやっていけるのもいいですね。ただ、周りがいくら心配しても、本人がある程度危機感を感じないと、かえっていろいろ言われると抵抗するかもしれません。エピソードのように、単位や受験などに関わるような出来事は本人が危機感を感じるのにちょうどよいきっかけになりやすいです。また反抗期で親だとサポートしにくい場合など、状況によっては学校の先生や支援者など家族以外にもサポートしてもらうこともよいかもしれません。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月29日「授業中や食事中に立ち歩いてしまう」自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠如・多動症(ADHD)のある小学1年生発達障害の専門家が出会った子どもたちや、その保護者の抱えていたリアルな「困った!」をもとに、対応策などをドキュメントタッチで解説します。今回は、「授業中や食事中に立ち歩いてしまう」自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠如・多動症(ADHD)のある小学1年生の子どものエピソードです。Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談マンガ/taeko解説:「座ること」が目的になっていませんか?大切な4つのポイントーー言語聴覚士今回は、自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠如・多動症(ADHD)のある小学生のエピソードをもとにマンガ化してお届けしました。小学校に入学して、「授業中や給食中に立ち歩いてしまう」というお悩みはよく聞かれます。先生から面談などで話を聞き、どうすればいいのか悩まる保護者の方もいらっしゃることと思います。ここで意識したいのは、目的と手段です。座ることが目標や目的になってしまうと、座ったことでそれが達成されてしまい、その先がないために子ども自身もどうすれば良いのか分からなくなることが少なくありません。ポイント1.座ることは目標・目的ではなく手段であることを、保護者も意識してみるポイント2.「~をする」ために座るということが明確にして子どもに伝え、座る必要性があることを学ばせるポイント3.環境によって立ち歩いてしまう理由が異なるため、子どもの発達特性を踏まえて対策を考える子どもが数秒でも「座れている」場面に注目することで、気づきがうまれることも。ポイント4.専門家や学校の先生に相談する際は、事前に普段の子どもの様子を撮影し持参する相談の場で一緒に映像で子どもの様子を確認することで、具体的な手立てを考えやすくなる。今回は、4つのポイントをご紹介しました。ご家庭でのお子さんとの関わりや、専門家に相談する際の参考にしてみてください。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月28日心療内科とは?精神科とは?心療内科とは、何かしらのストレスが背景にある心や体の不調を診ることを専門とする診療科です。精神疾患の中には、症状として頭痛や吐き気、めまいなどの体調不良が現れるものがあります。しかしその不調の原因が精神的なものと分からないまま対処しても、なかなか症状が改善しないことがあります。また、身体疾患でも、症状が悪化したり経過が長引いたりすることに、精神的な要因が大きく関わるものもあります。そんなとき、症状の原因となる精神的なストレスに、カウンセリングなどを通してケアも同時に行うのが心療内科です。心と体の関係を考えながら、体の不調をケアしてくれるのが心療内科なのです。参考:心療内科(心療内科)|厚生労働省e-ヘルスネット精神科は精神疾患の診断と治療を専門的に行います。厚生労働省が認定した国家資格の医師資格を持ち、精神疾患や精神障害、神経症、心身症などの診断と治療を行う場所です。主な治療の内容としては、薬物療法や心理社会的治療、精神療法などを行います。以前は、統合失調症 やうつ病が精神科受診の代表でしたが、最近では認知症や依存症、発達障害などでかかる人も増えてきました。参考:精神科医(せいしんかい)|厚生労働省e-ヘルスネットQ:心療内科と精神科に違いはあるの?行く目安や病院の選び方で大切なことは?ストレスが背景となる不調があるときには、精神科への受診をイメージする方も多いと思います。心療内科と精神科とは何が違うのか気になる方もいらっしゃるかもしれませんが、心療内科と精神科の診察の対象となる病気は、現時点では明確な区別はありません。ただ、心療内科には「内科」とついていることからも分かるように「身体症状」に対する対症療法などの経験が豊富な医師が多いようです。ストレスが背景となる不調がある場合、心と体の様子を見ながら時間をかけて治療することが多くあります。心療内科、精神科いずれの場合も医師との相性を重視し、「自分にとっての良医」を探すことが大切です。そのための一つの指針として薬の「飲み心地」について話し合えるかどうかが重要です。不安なことや、悩みがある場合、気軽に相談できる病院を選べるとよいでしょう。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンQ:頭痛や吐き気などが続いています。このような身近な症状でも心療内科や精神科を受診してもいいのでしょうか頭痛、倦怠感、吐き気などの体の不調が続くのはストレスが背景にあるかもしれません。ストレスが招く体の不調には以下のようなものがあります。・頭痛・倦怠感・めまい・不眠・過呼吸・食欲減退、過食・吐き気・胃痛、腹痛、下痢・動悸・咳、ぜん息発作・発汗・抜毛など身近な症状が多く並びます。このような不調が続く場合、その背景には以下のような疾患が隠れている可能性があるのです。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンUpload By マンガで分かる発達障害のキホンQ:心療内科や精神科の受診対象となる病気や障害は?Upload By マンガで分かる発達障害のキホンうつ病は気分障害の一つで、一日中気分が落ち込んでいたり、何をしても楽しめないなどの精神症状と、不眠、食欲減退、疲れやすいなどの身体症状が現れます。統合失調症は、脳のさまざまな動きがまとまりづらくなり、幻覚や妄想などの症状が起こる病気です。幻覚や妄想は本人には現実のように感じてしまうので、病気が原因だと自分自身で気づくことが難しいといわれています。うつ病の中でも、心の不調が体の不調に隠れてしまっているものが「仮面うつ病」と呼ばれています。主な症状は吐き気や腹痛、倦怠感、動悸などです。身体症状なので、精神科や心療内科ではなく内科、産婦人科などで診察を受けても異常が見つからず「単に調子が悪いだけ」と誤診されてしまうこともあります。過敏性腸症候群(IBS)は腹痛や下痢、便秘といった腸の不調が見られる病気です。日常生活への支障は痛みによる不快感だけではありません。急におなかが痛くなってトイレへ駆け込む、出勤前にトイレから出られなくなる日が多いなど、学校や仕事に影響が出ることもあります。【参考】機能性消化管疾患心療ガイドライン2014|日本消化器病学会自律神経とは、体のバランスを整える神経です。その自律神経のバランスが崩れることにより起こる倦怠感、不眠、めまい、頭痛、動悸、食欲不振などさまざまな症状の総称を自律神経失調症といいます。なお、自律神経失調症は正式な病名ではありません。参考:自律神経失調症(じりつしんけいしっちょうしょう)|厚生労働省e-ヘルスネット突然息苦しさを感じ、呼吸が乱れ、息が入ってこないように感じるのが過換気症候群(過呼吸)の特徴です。動悸や胸の圧迫感のほか、手足のしびれや筋肉のけいれんを感じることもあります。突然息苦しさや動悸、冷や汗、恐怖感などを感じてパニック状態になる症状が起き、「またパニックが起こるかもしれない」と感じ、そのせいで社会生活に支障の出ている状態をパニック障害といいます。不安感が原因で外出ができず、学校や会社へ行くことができなくなることもあります。食事をうけつけなくなる「拒食症(神経性食欲不振症)」と、無謀な食べ方を繰り返す「過食症(神経性過食症)」。この両方を合わせて摂食障害と呼びます。どちらもやせ願望や肥満恐怖をもち、心身両面からの専門的治療が必要になってきます。バセドウ病に伴う動悸や発汗などの身体症状やイライラなどの症状が精神症状と間違えられることがあります。バセドウ病の確定診断と治療は、内分泌内科で行われます。脳そのものの病気や脳血管障害などの理由により、認知機能の低下が起き日常生活全般に支障が出てくる状態を指します。代表的な種類とてしてアルツハイマー型認知症などがあります。なお、認知症の診断には、頭部CTスキャンなどの検査が必要であるため、検査装置を備えた医療機関を受診する必要があります。特定の物質や行動ややめたくてもやめられず、日々の健康や人間関係、仕事などに悪影響や支障が起きている状態のことです。アルコール、ニコチン、薬物などが原因の物質依存症とギャンブルなどが原因の行動嗜癖(こうどうしへき)、うつ病、統合失調症を始め、仮面うつ病、過敏性腸症候群(IBS)、自律神経失調症、換気症候群(過呼吸)、パニック障害、摂食障害、などがあります。最近は認知症、依存症、発達障害なども増えてきましたなどがあります。生まれつきに見られる脳の働き方の違いで、行動面や情緒面の特徴が幼児期からみられます。自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、限局性学習症(学習障害)、チック症、吃音などが含まれます。心療内科や精神科における治療の流れ心療内科や精神科ではカウンセリングを含めた診察、検査を経てそれぞれの症状に合わせた治療を行います。まずは医師に現状を伝えます。病歴や症状、薬を飲んでいるかなどはもちろん、原因になりそうなストレスや家族との関係、生育歴などを話します。もし同じ病状でほかの病院にかかっていた場合はそれも話しておくと良いでしょう。うまくまとめて話せないことも多いため、受診前に簡単に話す内容をまとめてメモしておくとスムーズです。話しているうちに人間関係や仕事の相談をしたくなる気持ちも出てくるかもしれません。ですが、心療内科の医師は体の不調の原因を探るために話を聞いています。悩みを聞いて答えを探してほしいという場合は、カウンセリングルームを利用するという方法もあります。じっくりと話を聞いてもらえ、一緒に考えてくれますが、健康保険が適用されません。問診のあとは体の不調の原因や程度を探るため、必要に応じて血液検査、心電図などが行われます。心理状態や性格を知るために、心理検査(心理テスト)をすることもあります。簡単な質問に答える検査のほか、カードに描かれた模様を見て何に見えるかを答えるロールシャッハテストなど、あいまいな質問で深層心理を探る検査が行われることもあります。心療内科や精神科診療にはどのくらい費用がかかる?心療内科や精神科へ行こうと思ったとき、気になるのは費用ではないでしょうか。内科と違って問診(カウンセリング)の分の時間もかかるので、高額なイメージはあるかもしれません。カウンセリングルームとは違って医療機関では健康保険が適用されます。そのため驚くような額にはなりません。ただし医療機関の診療では、初診以外は何十分も時間をとれるわけではないことも憶えておく必要があります。病院によりますが、保険適用になるため、初診で払う費用の目安は2500円~5000円程度のことが多いようです。症状によっては薬や検査代が別途かかることもあります。臨床心理士によるカウンセリングを行っている場合など、別途予約料が必要なところもあります。予約の要不要を含めて、行く前に病院のシステムを調べておくと安心です。心療内科の対象となる病気には、自己負担が1割となる「自立支援医療制度」が適用されるものもあります。利用には医師の診断書と市町村での申請が必要で、市町村や都市に指定された「指定自立支援医療機関」でなければ適用されませんが、大半の心療内科や精神科の医療機関は指定を受けています。治療に時間と費用がかかる場合は、制度の適用について医師に相談してみると良いでしょう。参考:自立支援医療(精神通院医療)の概要|厚生労働省「自分にとっての良医」を探すことが大切心療内科や精神科は、ストレスが原因と考えられる多様な症状に対応してくれます。費用もほかの診療科とそれほど変わらず、特に高額ではありません。症状の中には自覚しづらいものも多くあるので、気になる症状があれば、一人で抱え込まずに一度心療内科や精神科へ行ってみるのも良いでしょう。ストレスの内容や症状について話すことで、客観的に自分を見つめることもできます。ストレスが背景にある不調や病気などは、心と体の様子を見ながら時間をかけて治療することが多いため、医師との相性を重視し、「自分にとっての良医」を探すことが大切です。あわせて普段からストレスをためないような生活を送ることも重要です。ストレスは多くの病気の引き金になります。学校や仕事、人間関係など、ストレスと無縁に生きることはできませんが、できる限りため込まず上手に発散できると良いですね。イラスト/taekoコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月28日過去の自分と重なった後輩ママさんUpload By ぼさ子2023年が明けたころ、私の住む地域にも次年度小学校入学予定のお子さんに向けて入学決定通知書が届けられました。そして間もなく療育の先生から「ほぺろう君と同じ学校に入学する事が決定したお子さんを育てるお母さんがいるのですが、その方とお話してくれませんか?」という依頼が。過去に私も、身近に同じ境遇の方がいなくて「誰か先輩を紹介してほしい」と療育先にお願いした経験があったので、私でお役に立てるなら…と引き受けさせていただきました。お会いしたママさん(以下、後輩ママさん)のお子さんもほぺろうと同じく自閉スペクトラム症の診断。後輩ママさんの「私は今まで同じ境遇の人に会ったことがなかったんです」という言葉にハッとさせられました。この後輩ママさんは過去の私だと。不安感・疎外感…。「頑張らなきゃ」と感情を押し殺して毎日を乗り越える育児。自分と重なるほかの人に会ったことで「本当はいろんな感情があったんだよな…」とあふれてくるものがありました。私の居住地ではまだペアレント・メンターなどの地域内での繋がりが整備されていないので、後輩ママさんの依頼を受けたとき「よくぞ勇気を出して誰か紹介してほしいと相談してくれた」と思いました。同じ地域の先輩だからこそできる話Upload By ぼさ子後輩ママさんは進学についての不安を持っている様子で、主にほぺろうが通う特別支援学校のことや準備についての話をさせていただきました。大半の子どもたちとは違う進路に行くことによる情報の少なさ・不安感を一年前の私も抱えていたよなぁ…としみじみ。この日は、以前に私もお世話になった先輩ママさんも同席してくださっていたので、一緒に「この特別支援学校で準備する物、放課後等デイサービス、移動支援サービス、病院、この地域での療育手帳の使い方」などなどの情報を伝えました。私が話した内容はすべて かつて先輩ママさんから聞いた話の受け売りですが、過去の私は先輩ママさんにすごく救われたので同じ話をせずにはいられませんでした。先輩ママさんからもらった大切なものUpload By ぼさ子過去、それまで同じ境遇の方に会ったことのなかった私が初めて先輩ママさんにお会いしたとき、育児についてや地域ならではの情報を聞けたことももちろんすごくためになったのですが、一番良かったと思えたのが「先輩ママさんの表情を見られたこと」。このとき、先輩ママさんが不幸そうな顔をしていたら今の私とは違っていたでしょう。お子さんはほぺろうと状況が似ていたので大変な思いもたくさんしてきただろうと容易に想像できましたが、先輩ママさんの穏やかな空気から「ああ、この人は今 幸せなんだな…」と希望をもらえたことを憶えています。私は今でもここが自分のターニングポイントだったと思っています。今回後輩ママさんとお話したとき、同じ進路の子どもを持つ親として私もそんな空気感を出せていたらいいな~なんてチョッピリ意識してしまいました。後輩もいつか先輩へ。つながるバトンUpload By ぼさ子ほぺろうの人生はまだまだこれからだし、障害児育児の先輩と言うには早い私(むしろまだまだ後輩)ですが、今回自分の経験を誰かの役に立てるという機会をいただけたのは、私でも少しは成長した?次のステージに立てた?そして何より、ほぺろうの存在が意味のあるものになったという気がして感慨深かったです。闇の中にいる感覚だった時代の自分に「そんな日が来るよ」と教えてあげたい。月日を経ながら先輩ママさんと後輩ママさん両方と接することができて「これはバトンなんだ」と感じました。最後に、新しい進路を行くお子さんたち、ご入園ご入学おめでとうございます!そして ここまで頑張って育ててきた親御さんたちを褒め称えたい!みなさんにとって希望いっぱいの未来になりますように。Upload By ぼさ子執筆/ぼさ子(監修:初川先生より)特別支援学校に通う子どもを持つ先輩ママとして後輩ママさんとお話をされたのですね。情報の少なさもそうですが、保護者としての心がまえやありようについてのモデルとして、以前ぼさ子さんが助けられたように、今度はぼさ子さんが助ける側になる。ただ助けるというだけではなく、ご自身のこの1年を振り返り、ほぺろうくんやぼさ子さんの成長を感じる機会でもあり、以前お話を聞いた先輩ママの素敵だった笑顔を思い出す。なんと素敵な循環だろう、なんと素敵な機会・ご縁なのだろうと思います。いい意味での「持ちつ持たれつ」が機能しているように感じました。「あのころは私も不安だった」「後輩ママさんは過去の私だ」。日々子育てでみなさん奮闘されていることと思いますが、立ち止まって振り返ってみると、実は結構たくましく成長していたりしますよね。不安の内容や質も以前とは変わっていたり。いろいろな意味で、とても素敵なメンター経験になられたことと思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月28日発達障害のある子どもの不登校。特性のふまえ方は?不登校の小中学生は年々増加傾向にあります。発達障害のある子どもの場合、「学校」という枠組みや「標準」とよばれるようなものにフィットしづらい傾向があり、困りごとを抱えている中で不登校につながることがあります。そこでLITALICO発達ナビでは2023年1月に「発達障害のある子の不登校サポートセミナー」を開催し、臨床心理士・公認心理師であり、東京都内でスクールカウンセラーも務めていらっしゃる初川久美子先生に、不登校サポートに関してお話いただきました。このコラムでは不登校生セミナーでの講演から一部を紹介し、さらにあらたな質問と回答を加え「発達障害のある子どもの特性のふまえ方、自宅での過ごし方、学習のすすめ方」を中心にご紹介します。子どもが「学校に行きたくない」と言い出したときは、子ども自身がさんざん悩みに悩んだ結果のうえで、それでもどうにもならなかったから出している「SOS」であり、問題を解決するよりも先に、まず休養をとることが最優先と考えましょう。保護者の方自身も悩み、サポートしていくうちに疲れてしまうという声も多く耳にします。大人自身が不安な気持ちを信頼できる人に話したり、今や将来への情報を集めてみる(想像より選択肢は多く不安が少し解消されるかもしれません)、そして保護者が自分自身を休める時間をつくることが大切です。発達障害のある子どもの場合、「学校」という枠組みや「標準」とよばれるようなものにフィットしづらい傾向があります。能力として「できる/できない」以前に、学校生活を送るだけで消耗しやすい状態になりやすく、自分自身のコンディションによって思うような行動ができずに困りごとを抱えてしまうことも多く、不登校や行き渋りにつながることがあります。では、発達障害のある子どもの特性のふまえ方はどう考えたらよいのでしょうか。発達障害には主に3つのグループがあります。Upload By 発達障害のキホンしかし、「自閉スペクトラム症のある子どもの不登校には○○をしたら正解」「ADHDのある子どもの不登校は、このようにサポートしたらうまくいく」「学習障害のある子どもの不登校の対応はこれ」などといった、型の決まった解決方法というものは、残念ながら存在しません。発達障害は、その子の一部分でしかないため、お子さんの状態は「特性によるもの、性格によるもの、環境によるもの」などさまざまです。そのため特性にだけ焦点をあてて対応するのではなく、特性による対応は「大まかな方針」として考えるとよいと思います。では、以下でそれぞれの特性のふまえ方の例をご紹介します。例1、ルーティンがあるほうがよいかルーティンを取り入れられるのであれば、家での過ごし方の”大まかなスケジュール”をお子さんとの話し合いで決めてもよいと思います。例えば「午前中は本を読んで、ゲームは午後からにしよう」「1日1ページは漢字ドリルをやろう」など。また、何をしていいかわからないと困ってしまい「ルーティンがあったほうが過ごしやすい」というお子さんもいるので、その場合は何かルーティンがあることで、「今日も一日中何もしなかった」「つまらなかった」などとなることを防ぐことができるかもしれません。例2、学校を休むことに罪悪感が強い場合学校に行くのはつらいけれど、休むことへの罪悪感が強いお子さんもいます。その場合は、学校との関わり方を模索するとよいでしょう。詳しくはこちらのコラムをご覧ください。例3、どこでどう過ごすか「家で静かに過ごすだけなのは苦痛」というお子さんもいらっしゃると思います。例えば「放課後の校庭開放に行ってみよう」「放課後は友達と遊ぼう」「朝など、保護者と一緒にジョギングしよう」など、少し広い場所などで活動する時間をつくるとよい場合があります。自治体の適応指導教室の利用を考えてもいいかもしれません。例4、最低限、守ることを決めたほうがよい場合自分がやりたいことに対して制御できないというお子さんもいると思います。保護者の方もこのままではルールがなし崩しになってしまって危険と感じるようなとき、最低限のルールを決めることは必要だと思います。例えば「ゲームを始めると歯止めが利かず、いつまでもやり続けてしまう」などの場合は「ゲームの終わりの時間を決める」「夜はゲームをしない」「寝る時間を決める」「夕食は家族と一緒に食べる」など、(すべてを制限するのではなく)ルールを厳選して持つことが必要かもしれません。ここからは、子どもが不登校になったとき保護者はどうしたらよいのか、学校との連携についてなど寄せられた質問に初川先生に具体例を交えてご回答いただきます。Q.不登校になり家でゲームをずっとやっている息子。依存症にならないか心配【質問】不登校の小4の息子(自閉スペクトラム症/ADHD)がいます。ゲームが大好きで延々やっていても楽しそうです。無制限で徹夜でやりたがります。それでも許可してよいのでしょうか。依存にならないか心配です【回答】許可しない方がいいと思います。息子さんの特性的な面を考えると、ゲームのような楽しいものから離れづらい(自らおしまいにすることが苦手な)面があるのではと感じます。子どもは、好きなものには飛びつきやすく、生活リズムや体調管理、そして家族との生活(一人で生きているわけではない)を考慮して自らの行動をコントロールすることについては、まだまだ未熟、未発達な面があります。そういった意味で、家庭としてルールは設定してあげたほうがよい場合があります。息子さんの場合はそうだと思います。その設定の仕方はお子さんの特性や状態と家庭の考え方によるとは思います。終わりの時間を定めるだけにするか、始まりの時間も定めるか(不登校のお子さんのご家庭でよくあるのは「ゲームは午後から」や「ゲームは学校が終わった時間から」ですね)、食事は家族と一緒に取ることも追加するか、そのあたりはお子さんとも話し合ってご家庭の方針でと思います。不登校なり始めの際に、「学校に行っていないのだから、ゲームは禁止」とされるご家庭があると思います。また、「学校を休んでいるなら、寝ているか勉強しているか、あるいはお手伝いするかのどれかじゃないとだめ」と考える保護者の方もいらっしゃるように感じます。学校に行けないことの罰として、お子さんの好きなものを取り上げてしまうような対応をすると、お子さんは学校に行けないのもよくないと分かっているのに、さらに家でも苦しい状況に陥ってしまいます。また、休みはじめは疲れ切っていたり、好きなことすらやる気が湧かないような状態のこともあります。そういう場合は、お子さんの好きな活動や遊びをする時間をうまく取り入れていくことはとても意味のある大事なことになります。子どもは遊びから元気をもらう場合が多くあります。ただ、だからといって、際限なくさせるというのはまた違う話です。結果としてお子さんが一時的に昼夜逆転になることは多くのケースでありますが、昼夜逆転を引き起こすような設定をする(際限なく動画やゲームを許可する)のはちょっと違うと感じます。お子さんが落ち着いて話せそうなときに、生活のルールについて話し合うことは大切です。ただ、それがあまりにも細かすぎるとそこにもお子さんが疲弊してしまうので、ざっくりとしたルール(消灯時間やゲーム・動画の終わり時間を定めるなど)でよいように感じます。Upload By 発達障害のキホンQ.ルーティンがあるほうが安心して過ごせるようだが、時間の感覚が苦手な場合、どうしたらいい?【質問】子どもは「ルーティン」は好きなのですが、 時間感覚に少し苦手があるのか、 時間で決めるとうまくいかない場合が多く、親子共に困ることがあります。 時間感覚に少し苦手な場合のルーティンづくりのコツがありましたら教えていただけると幸いです【回答】ここはぜひご本人とも話し合っていただきたいのですが、時間管理を細かく決めすぎるとせっかくの過ごしやすいはずのルーティンがそうではなくなってしまいます。まずは親子で工夫を考えていただければと思います。私は基本的には時間は決めすぎない方がよいと思っていて、日によって多少ずれるのは自然なことだと思います(コンディションがいいからたくさん何かをやる日もあれば、やる気がどうにも出なくて少しゆるく過ごしたくなる日もあるのは自然です)。そういう意味で、帳尻を合わせるところをむしろ考えたらよいのではと思います。夕食は何時から(多少幅を持たせておいた方が苦しくはならないと思います)、寝る時間は何時といったざっくりさ。あるいは、午前中の間にこれとこれをする、くらいのざっくりさ。本人とどこで帳尻を合わせるか、つまり、優先順位の高い時間のルールはどこかを定めるという話し合いをぜひしていただければと思います。保護者が声をかけるのはその決めたところだけでいいのか、そのほかもリマインダーとして声をかけてほしいのか、そのあたりも相談できるといいと思います。ルーティンによって安心がもらえるタイプの方は、ぜひルーティンによって心穏やかに過ごせることを受け取ってほしいと思うので、だからこそルーティンに振り回されないことが大事になります。また、大人になってゆくことを考えると、ルーティンと自分自身のコンディションとを考慮できるようになっていくことも大事なことにはなります。例えば今日は疲れているから今日はこれはやらない、という多少の臨機応変さです。今そこまでできずとも、ゆくゆくそうした臨機応変を入れても大丈夫なだけの余白は残しておきたいという意味で、ゆるめのルーティンを一緒に検討しておくという準備が今からできるのではと思います。Upload By 発達障害のキホンQ.発達障害があり、服薬をしている娘が最近になりこだわりも増え毎日学校に遅刻。薬の増量をお願いしたほうがいい?思春期特有のパワー不足?【質問】自閉スペクトラム症(ASD)とADHDがあり、服薬をしている小学6年生の娘がいます。最近、こだわりも増え、学校に行きたくないと言い出し、理由は自分でも分からないと言いますが、毎日遅刻して登校しています。薬の増量をお願いするのか、思春期でよく起こるパワー不足による不登校が起きているのか、どうやって判断をしたらいいでしょうか?【回答】まずは、遅刻してでも毎日通っているのは娘さんはとても頑張っているのだと感じます。娘さんに限らず、学校に行きたくないと感じる子どもは、その理由をしっかりと語れることはあまり多くありません。学校あるいはそのほかの場面で、何らか苦戦している・つらいことがあると理解しておきましょう。自閉スペクトラム症とADHDがあるとのことですが、その場合、学校生活や集団生活ではさまざまに困難があることが考えられます。予期せぬ展開に戸惑ったり、注意集中が困難で頑張ろうとしているのに気がそれてしまったり。クラスの仲間との関係も気になるところです。そして小6だと授業がとても難しく、進みも速いかもしれません。遅刻によって参加できない授業があると、飛び飛びに受講することとなり、都度戸惑っている可能性もあります。授業はまだ参加さえしていれば過ごしやすいと感じるものの、休み時間をどう過ごしたらいいか分からない、誰かと一緒にいたいのにひとりぼっちになる。こうしたことが学校のつらさの要因になっているお子さんもいます。このように、さまざまな可能性が考えられます。まずは、担任の先生に、娘さんが学校で過ごしているときの様子(授業場面、生活場面、人間関係についてなど)を聞いてみるのがよいのではないでしょうか。また、娘さんにも学校で楽しい時間や授業があるか、困っていることはないかなど聞いてみるといいと思います。思春期になると、学習がどんどん難しくなり、ある程度の意欲がないとつらくなりやすいです。自分のことも多少客観視できるようになる中で、学校という環境(学習、友達、先生などさまざまありますが)にしっくりくるかどうかというところに自覚的になってくる面があります(これは成長の一つとも考えられます)。「思春期でよく起こるパワー不足による不登校」が何を指すのか私には分かりませんが、ともあれ、型にはめすぎることなく、お子さん本人がどう困っているのか、意欲などのコンディションはどうかなどを多角的に見ていただければと思います。親が学校に行ってほしい思いが強く、それが子どもにも伝わっている場合だと、子どもが学校の何がどうつらいのかをより一層言いづらくなることもあります。言ったところで反論されることが目に見えると言わないでおく子どももいます。思春期だとそうした面が強く出ることもあるので、そういう場合は親子で話し合うというよりも、担任の先生やスクールカウンセラー、養護の先生など、お子さん本人が話しやすい相手と話をするセッティングを取ることも工夫として考えられます。そして、もう一つ考えておきたいのは、本人がうまく言葉で説明できずとも、何となく学校が嫌だと感じている場合に、そこに無理に行かせることがよいことかということです。(本人にとっては)耐え難い環境に身を置いてどんないいことがあるのだろうか…と考えてしまいます。もちろんそれがゼロ(全く登校しない)か100(朝から最後までずっと登校している)かという話ではないので、無理なく、学習やさまざまな活動にそれなりに参加できる登校スタイルはどんなものかを考えてみるのは一つ大事なことかもしれません。場合によっては、登校することと併せて、自治体の適応指導教室や教育相談室、あるいはフリースクールの併用なども検討してもいいでしょう。学校のことに限らず、本人にとって意欲的に取り組めること、好きなこと、楽しめることなども同じように一度振り返っておくとよいでしょう。意欲を削がれる局面が多すぎると、好きなことすら楽しめなくなり、いよいよ調子が悪くなってしまうこともあります。薬については、主治医の先生にご相談をと思います。いかなる薬も、薬で得られることは限定的です。よく言われるのは、イイコになる薬や学校に行けるようになる薬はないということです。ご自身のコントロールの範疇を超えてイライラが止まらない、集中が難しい…そうした場合に服薬の検討が入るのだと理解しています。娘さんにとって学校がどんな場所か、どんなふうだったらもっといやすい場所になるか。学習に取り組みやすいか。そうした本人の心と、それを取り巻く外枠との調整をまずご検討いただければと思います。Upload By 発達障害のキホンQ.不登校の息子は自分の気持ちを表現するのが苦手、思春期で接し方も難しい。関わり方のコツは?【質問】中学1年生の息子は、二学期から不登校です。自分の訴えが中々うまく表現できません。また、思春期、反抗期ということもあり、関わりが難しいです。約束事も少なく厳選していますが、守るのが難しいです。関わり方にコツがあれば教えてください。【回答】話すのが得意な子どももいれば苦手な子どももいます。自分の思いがなかなかうまく伝えられないのは本人にとってもつらかろうと思います。伝えたいこと、分かってほしいことはあっても、うまくそこがうまく表現できないと苛立ち、あきらめなどの気持ちがわいてきてしまうかもしれません。そんな中で、不登校があり、家の中でも守るべき約束事があり…保護者の方へ反抗が向くのは自然な流れのようにも感じます。そういう意味では、無理に語らせるというよりも、まずは他愛もない話がお互い窮屈でなくできる関係でいることが大事かなと思います。昔からよく言われることではありますが、話をするときは同じ方向を向いている方が話しやすいです。面と向かって座ると実は話しにくいのです。散歩をしながら、一緒に料理をしながら。そのほか、何もしない時間を一緒に味わうこともとても良きことなので、おすすめは釣りです。ともあれ、同じ方向を見て、話しても話さなくてもいい時間で、その中で散歩なら目についたものを話す、料理だったら一緒に作業をする。釣りなら釣り糸を眺める。大人は、状況を前に進めるために話をして聞き出したり説得したりしたくなってしまいますが、そうではない時間を大切にしていく。親と話すのは、学校どうするの?勉強どうするの?だけになってしまうと、ますます話さなくなるだろうことは想像できると思うのですが、だからこそ、逆説的にただ一緒に過ごす。そんな時間を大切にしていくことが大事なのではと感じます。Upload By 発達障害のキホンQ.きょうだいそろって不登校。対応の注意点やアドバイスは?【質問】中学2年生の娘と、小学4年生の息子が不登校です。姉弟そろって不登校の場合の注意点やアドバイスなどもあればお聞きしたいです。【回答】きょうだい揃って不登校だと保護者の方のご心配や焦りはいかほどかと思います。きょうだいで徒党を組んで保護者の決めたルールを壊しにかかったり、どちらかが何かに意欲的に取り組もうとするともう一人の方が足を引っ張ろうとしたり、そうした難しさがあるのではと想像します。家の生活上のルールに関しては、2人からとやかく言われたとしても、守るべき線がある場合はどうにか守っていただきたいと思います。一度緩めてしまうとそこを立て直すのはなかなか難しいだろうと感じます。また、娘さんと息子さんの不登校の理由や学校の状況はそれぞれ違うはずです。おそらく、学習に関しての得意不得意や同世代の人間関係の築き方も違う。好きなものや楽しめることも(同じものもあるかもしれませんが)違うことがあるはずです。2人は不登校という広い括りでは似ていますが、違う状況にあると思います。2人がそれぞれ自分の人生を歩めるように、それぞれと話す時間を設けたり、「あなたのいいところはこういうところだね」「こういうことをしているときのあなたはとてもいい表情をしているよ」とそれぞれに伝えていったり。そうして、それぞれが自分のことを自分のこととして考えられるように支えることができたらよさそうだと感じます。きょうだいでお互いがお互いに重ねて理解したり、片方がこうだから自分も…と考えてしまったり、2人の中でそうしたときもあるにしても、そうでない時間や場面を大切にしていただけたらと思います。Upload By 発達障害のキホンQ.小5息子の休んだ分の勉強のフォローはどうしたらいい?無理にやらせないほうがいい?【質問】小学5年生の息子(自閉スペクトラム症)が11月から行き渋りが始まり、午前中の途中から登校しています。勉強が分からない、授業がつまらないと言うので、休んだ分家で勉強のフォローをしようと思うのですが、あまりやりたがりません。今は無理に勉強させないほうがよいのでしょうか?【回答】午前中の途中から登校しているとのこと、本人にとって良きペースであれば何よりです。小学5年生の勉強は難しいですね。授業を毎回出ていても難しいと感じるお子さんが増え始めるのが小学4年生の後半以降だなと感じるので、小学5年生はなおのこと難しいと思います。授業が飛び飛びになると、より一層難しく感じられる(抜けた分を想像しながら聞かないといけない)のはありそうですね。ただ、その前からもしかしたらつまずきがあり、1日6時間分の授業を受けることがつらいから朝から学校行く元気が湧かない…というお子さんもいるようにも感じます。「勉強が分からないなら、その分を家でフォローしたらいいのでは」とおっしゃるのは、ごもっともだと思います。分からない授業を聞くのは「つまらない」ので授業が分かるようにしよう。ただ、それがうまくいくのは、そこにコミットして解決してまで学校の授業に参加したいという強い気持ちがある場合だけだろうなと感じます。また、家で保護者と学習をする際には、保護者が一生懸命になるあまり、子どもと喧嘩になることが多いように感じます。小学校高学年以降の親子での学習は、保護者が熱くなりすぎないよう注意も必要です。「無理に勉強させて」いいことはあまりありません。「勉強したくなったら一緒にやるよ、分からないところは教えるよ」くらいのスタンスでいいように思います。ここから先はお子さんの学習意欲にもよりますが、親子で喧嘩しながら勉強したいとは思わないけれど、少しは取り組んでみたいと思うなら、通信教材の活用や、今は動画で単元ごとに配信されているものもあります。そういうものを使って取り組んでみる。分からないところは保護者やあるいは担任の先生に聞くということができるといいでしょう。今まさに授業でやっている内容につまずきがある場合に、その前の内容からつまずいていたらそちらの復習が先になるでしょう。小数のかけ算でつまずいているなら、まず簡単なかけ算からやって、「そうだった」「できるできる」を取り戻しながら取り組めるといいでしょう。昔のドリルや問題集をやってみたり、ネットで無料の問題もシェアされています。学校から配布されているタブレットにもタブレットで回答できるドリルが入っている場合もあります。本人に合っていて、やってみたいと思うものをやってみてもいいかもしれません。あまり多くはないですが、勉強は保護者や学校の先生ではない、勉強を教えてくれる専門の人に教わりたいと思うお子さんもいます。塾や家庭教師の先生とだとできる場合もあるので、そうしたことも検討してみてもいいかもしれません。さまざま書いてきましたが、大事なのは本人がどうしたいかです。こうしたいという気持ちがあれば、それに合わせてさまざま提案することはできると思います。ただ、何もしたくないというときはそれを尊重するのも1つです。午前中の途中から登校することの、本人にとっての良さはなんでしょうか。誰かと会える、給食が食べられる、休み時間遊べる、勉強ができる、放課後に遊ぶ約束ができる、家でゲームができる。いろいろあると思いますが、それと登校スタイルと、そして学習と。負荷がかかりすぎず、それなりにどれも得られるバランスを探っていただければと思います。そしてそのバランスはときどき変わってくると思います。一度決めたやり方にとらわれすぎず、本人の気持ちとコンディションに合わせて、適宜変更を加えながら進めていただければと思います。Upload 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発達障害のキホンQ.長期化した不登校。親はどこまで関わっていいもの?【質問】不登校が長期になってきた場合の家での過ごし方(中学生)どこまで親が関わればいいのか知りたいです【回答】中学生で、しかも長期にわたると生活リズムを一定に保つことも難しいことが多くなります。多くの子どもたちが学校で過ごす時間帯、明るい時間帯にたとえ家であっても心穏やかに過ごすことが(自覚の有無は人それぞれですが)つらく感じられたり、家族が寝静まった夜中だと過ごしやすい気がしたり。日中動かないがゆえに自然と眠くなることも少なく、寝ようと思ってもあまりすぐに寝つけなくなっていたり。ネット上などに友達がいる場合は、そうした仲間たちがネットに集まるのが夜間であることも多く、生活時間帯が後ろ倒しになりやすいです。ネットやスマホは○時までとルールを定めたり、あるいは家庭全体夜間はWi-fiを切ったりなどさまざま工夫される保護者の方もいらっしゃいます。そうしたルールや枠組みでうまくいく場合はそれでいいと思いますが、そこで喧嘩したり、ぎすぎすしたりといったこともよくある話ではあります。どこで折り合いをつけるかはケースバイケースだと感じます(単にそうしたものを取り上げるだけだと、お子さんにとって心のよりどころも失うことになる可能性もあるので、ゼロか100かというよりも、折り合いのつけ方なのだと感じます)。ただ、家族として同じ家で生活をしているので、お子さんの過ごし方が目に余ると保護者としてイライラしてくるのも自然なことだと思います。そういう意味でも、お子さんと家での過ごし方や学習の仕方、あるいは家庭以外での過ごし方(学校に部分登校できるか、適応指導教室やフリースクールに通えるか、相談機関に通えるか)を話し合い、大方の過ごし方について決めて、そこが維持されていればそれ以上は口は出さないという線を決めたいところです。実際のところでいえば、「高校に(は)行きたい」と考えているお子さんが多く、中学3年生の春夏ごろから高校の見学や説明会に出向くなど動き始めるお子さんは結構います。逆に言うと、そこまでは動きが見られない場合も多いです。動き出す時期のために、進路情報を保護者が集めておく(集めた情報を本人に知らせるかどうかは慎重にと思います。機が熟すのを待つほうがいい気がします)ことなどをしておきましょう。中学3年の秋以降は志望校に合わせた準備に取り組むこともよく見られます。どのような高校の種類があり、お子さんにはどんな学校が合っていそうかということは、担任の先生や進路の先生、地域のそうした情報に詳しい適応指導教室や教育支援センター、教育相談室などで聞いてみるのもいいと思います。情報は集めつつも、あくまでも本人が通いたいという意志を見せた学校に進学すること、そのために何校か見学すること。保護者はその手伝いをするということ。それを本人にも折々に伝えていただければと思います。Upload By 発達障害のキホン発達障害のある子どもの不登校。特性はおおまかな指針であり、大切なのは子どもの状態に合わせた対応発達障害がある子どもが不登校になったとき、その子どもの特性に焦点をあてて解決の糸口を探ることは多くあると思います。しかし、発達障害はその子どもの一部にしかすぎず、特性だけに焦点をあてても状況がよくならないことも多くあります。特性のふまえ方を大まかな指針として、それぞれのお子さんの特性、性格、環境、こころの状態などを見ながら対応しましょう。そして何より、子どもも保護者も学校の先生も途中で疲れ切ってしまわないように持続可能なペースでサポートしていくことが大切です。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月26日6歳でADHDの診断。保育園時代は問題行動が目立っていた息子わが家の小6息子は6歳のころにADHDの診断を受けました。保育園時代は気が散りやすく、集団行動が苦手で、自分の興味がないことは一切やりませんでした。また行動はゆっくりなので、活動の集合に間に合わなかったり、給食の準備に時間がかかり周りの子を待たせてしまっていました。年長になると、周りの子どもたちが成長したこともあり、余計に息子の問題行動が目立ってくるようになり、クラス内にダンボールハウスを作り、その中で過ごすことが増えました。息子にとってそこは安心できる場所だったようです。息子が年長のころのある日のことです。夫のスマホに1通の連絡が来ました。相手は息子の通う幼稚園の年少クラスのAちゃんのお父さんでした。Upload By ユーザー体験談連絡画面には「うちの娘が保育園で息子さんに叩かれたと言っています。一体どういうことでしょうか」と書かれており、何も聞いていなかった私たち夫婦は驚愕!なにかトラブルになってカッとなった息子がAちゃんを叩いてしまったのかもしれない…と思ったので、謝罪の言葉とともに「息子にはADHDの特性があり、カッとなりやすいところがある」「専門機関(療育センター)を受診していて、保育園と合わせて児童発達支援に通っている」ことを伝えました。もちろん、叩いてしまったこちらが悪いのは当たり前なのですが、それでもAちゃんのお父さんの怒りは収まらず…「そんなこと関係なく、小さい子に手を出すなんて信じられない!」と取り合ってくれません。翌日私は保育園の先生に一連のことを電話で相談しました。先生の話によると、どうやら息子と同級生が二人で神経衰弱をしていた際、Aちゃんは対戦相手の子を勝たせたかったのか「あのカードはあれだよ」などと教えていたということが分かりました。そこには保育園の先生もいたのでAちゃんに対して「やめようね」と注意はしていたようなのですが、何度伝えても聞き入れず、頭に来た息子が手を出してしまい、Aちゃんが泣いてしまったとのことでした。Upload By ユーザー体験談保育園の先生からAちゃん一家にこの件に対しての説明はなかったようで、家に帰ったAちゃんから叩かれたことだけ聞いたAちゃんのお父さんが連絡をしてきたことが分かりました。その日、保育園からもこの流れをAちゃんのお父さんに説明をしてくれたようで、Aちゃんにも非があったとその後謝罪の連絡がありました。とはいえ、手を出したのはこちらなので、保育園の行事で顔を合わせた際に謝罪をしてその場は収まりました。Upload By ユーザー体験談小学生になって他害はますますひどく…どうしたらいい?「どんな理由があるにせよ手を出したほうが悪い」と息子には言い続けて、手を出したときはすぐ相手に私が謝罪し、その姿を息子に見せました。そんな私を見て息子は泣いて謝りましたが、本人に通じていたのかどうかは正直分かりません。特性からくる衝動性もあると思うので、本人の努力だけではどうにもならないことがあることは私も理解しているつもりです。小学校に入った後も、カッとなってしまうと手を出すことはおさまらず、気に入らないことがあると叩いてしまう場面がありました。1年生のときには、トラブルになった6年生の眼鏡を壊してしまったこともありました。他害に悩み、主治医に相談をして、1年生の秋から服薬を始めました。私は息子をトラブルが起きやすいような場面に遭遇させないために、一人で公園に行かせるようなことしないなど、、手を出すような場面を作らないような環境設定に努めていました。ペアレントトレーニングを受けて対処法を学んだことも大きかったです。服薬や環境整備の甲斐があり、だんだんと他害はなくなりました。手が出ることはなくなりましたが、その分物に当たるようになって困っていましたが、担任の先生は「それも成長なので大目に見てあげてくださいね」と仰ってくれました。6年生になった今でもゲームがうまくいかなかったり、カッとすると物を投げてしまうこともありますが、それは許容範囲として、軽く注意することくらいで留めています。少しずつですが、息子も成長していることを日々感じています。今後も根気よく息子と向き合っていきたいと思っています。Upload By ユーザー体験談イラスト/SAKURAエピソード提供/カプゴジラ(監修:鈴木先生より)思い通りにいかないとカッとなりやすく人や物にあたる他害や自分の頭などを叩く自傷行為はADHDからではなく、自閉スペクトラム症の易刺激性などからくるものもあります。今後、自閉スペクトラム症の診断を受けた場合、ADHDの治療薬以外に抗精神病薬のアリピプラゾールなどを併用することで改善していくことがあります。これからの人生を考えると、場面づくりや根気だけではいずれ限界があるので、そのときは神経発達症を専門にやっている医師と相談するのが得策です。あなたのエピソードもコラムになるかも?体験談募集中!保護者の方が日々子育てをする中で「こんなトラブルがあった」「こんなハプニングがあった」など悩みはつきないと思います。そんな発達ナビユーザーのみなさんの「困った」エピソードを募集しています。テーマは新たに「パートナー(夫婦関係)」「進学、受験」などを追加しました!その他「祖父母や親戚関係(帰省含)」「ゲーム」「不器用」「ママ友・保護者」「ご近所トラブル」「自傷」「学習」「不登校」なども引き続き募集中です。パートナーなどとの意見の相違、受験や進学での予期せぬトラブル、反抗期による親との言い争い、癇癪を起こして自分の頭を叩く、地団太を踏むなどの自傷行為…読み書きや計算の困りはもちろん、授業を落ち着いて受けられないなどの学習の悩み…行き渋りや不登校などの悩み…いろいろなお悩みエピソード、お待ちしております。お寄せいただいたエピソードの中から数作品、発達ナビの連載ライターさんにコラムとしてコミックマンガエッセイ化していただき、発達ナビで公開いたします!あるあるのエピソードからヒヤリとしたエピソード、SNSなどではなかなか言えないような家族やママ友とのトラブルまで。いろいろなエピソードをぜひ教えてください。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月25日娘は言葉が遅い?…でも1人目が未だに喋らないので「普通」が分からないUpload By べっこうあめアマミ娘の発達に関しては、これまで特に健診等で問題を指摘されたことはありませんでした。1歳から保育園に通っていましたが、4歳の今まで、園側からも何か娘の発達について指摘されたり、療育を勧められたりしたことはありません。しかし、私は上の子どもに重度知的障害があることから、いわゆる「普通の子どもの成長」がいまいち分からず、娘の発達が本当に問題なく進んでいるのか、ずっと心配でした。私が娘の発達で何に一番ひっかかっていたかというと、言葉の発達が遅いことでした。娘は、身体の発達状況は定型発達の範囲内で、対人関係でも気になる点はなく、これといった問題行動もありません。成長していくにつれ、身の周りのことも人並みに自分でできるようになっていきましたし、息子と比べると、驚くほど成長が早いようにも思えました。しかし、唯一言葉の発達においては、同年齢の子どもたちよりぎこちない気がしていました。そして、それを決定的に感じる出来事があったのです。これはなんとかしてあげたい...!娘を療育につなげたいと思ったきっかけUpload By べっこうあめアマミ娘が2歳のある日、保育園にお迎えにいくと、玄関で娘のクラスのお友だち数人と一緒になりました。人懐っこい娘はお友だちに何か話しかけていましたが、話しかけた女の子にバッサリと「〇〇ちゃん、なにいってるかわかんない!」と言われてしまったのです。正直、娘が何を言いたかったのかは私にも分かりませんでした。私が分からないということは、2歳の女の子にも分からなくて当然です。しかし、女の子に言われた言葉を受け、しゅんと下を向いて静かになってしまった娘を見て、私はいたたまれない気持ちになりました。このことがあって、やはり娘の言葉の力をもう少し底上げして、お友だちとスムーズにコミュニケーションがとれるようにしてあげたい。娘がこんな風に悲しい思いをしなくてすむように、なんとかしてあげたいと思うようになりました。こんなとき、私の頭にパッと浮かぶのは、息子が通っていた発達支援センターです。発達支援センターは私にとって馴染みの場所だったので、先生たちも娘のことは赤ちゃんのころから「妹ちゃん」としてよく知ってくれていました。こうして私は発達支援センターに相談し、それからは娘のことで時々通うようになりました。かつて息子が通った療育施設、でも娘と息子で療育内容は全然違うUpload By べっこうあめアマミ娘は最初の1年間は、年齢や必要度などの関係から集団療育は勧められず、発達相談と個別療育での対応となりました。数ヶ月に一度発達支援センターに行き、先生に娘の様子を見てもらいながら一対一でいくつかの課題をして、最後にその日の振り返りの面談をします。その中で、やはり娘は言葉以外の日常生活のことはちゃんとできているけれど、実年齢に比べて言葉の面で遅れがみられるため、丁寧に見ていったほうがいいと言われました。具体的には・語彙が少なく、ものの名前の認識が弱いので「これ」「それ」などの便利な言葉を使いがち・言葉を違う意味で捉えていたときに修正するのが難しく、何度も伝える必要がある・数字は言えるけれど、概念としての把握はできていないなどの課題が挙げられました。これらの課題を克服していくために、年少になる次の1年はもう少し頻度が多い、月2回の集団療育に通うことになったのです。ここで、息子の療育を振り返ってみます。息子の場合は、後に重度知的障害と診断されるほど明らかな発達の遅れがあったので、療育の主な目的は身辺自立でした。必然的に療育の頻度も多く、週の半分くらいは通いました。療育の内容も、言葉を交わさなくても気持ちを伝えられることや、身辺の自立を生活の中で少しずつ進めていくことが主な目的で、発語がないお子さんも多かったです。幼稚園や保育園には通っていないお子さんもいましたし、子どもたちにとって安心できる居場所としての意味合いも大きかったように思います。対して娘の療育のクラスは頻度も少なく、あくまで生活の中心は保育園でした。保育園では学びきれないことを補う形の、お勉強や習い事に近い療育だったように思います。娘の集団療育のクラスに通うお子さんはみんな、ぎこちなさがあっても話すことができましたし、机を前に椅子に座って課題に取り組んだり、集団でルールのある遊びをしたりしていました。娘と息子、2人の療育を見てきて、ひとことで「療育」といっても本当に幅広いと感じたものです。1年が経ち、目覚ましい成長を見せた娘、療育は卒業?Upload By べっこうあめアマミ今、娘は4歳となり、この春には年中になります。1年間の集団療育を経て、大きな成長が見られました。まず、この1年でたくさんの言葉を覚え、一気に語彙が増えました。時々「そんな言葉どこで覚えたんだろう?」と思うほどです。これまで勘違いして捉えていたと思われる物の名前や言葉の意味も、かなり修正されていったように思います。そして、以前はただ数字を唱えられるだけだったのが、小さい数字なら量の把握ができるようになりました。ごはんのおかわりなどを「1たべたい」「2ほしい」などと量を指定して求めたり、みかんを1房ずつはがしてテーブルに並べ、1つずつ数えて「ぜんぶで10こ!」などと教えてくれるようになりました。このように、数字や言葉の概念の把握が進んだことで、娘との会話が成立しやすくなったと感じています。今でも会話の中で、伝えたいことがはっきり分からないことは多々ありますが、1年前と比べると確実にステップアップしていると思います。言葉が上手に扱えるようになって、お友だちのことも家でよく話してくれるようになりました。保育園生活にプラスし、細かい専門的な指導を療育で補えたことで、めざましく成長できたのかなと思います。療育のハードルはそんなに高くない、「ちょっと気になる」くらいの子どもこそ飛び込んでみては?療育になんとなく抵抗がある人の中には、「一度療育の世界に入ったらやめられない」と思う人もいるかもしれません。でも、娘はこの1年間の成長を受け、来年度は今の療育とは別の形での支援を勧められています。今より頻度を抑えた、数ヶ月に1度の発達相談と個別療育のスタイルに戻り、もっと保育園中心の生活にしていくことを提案されています。娘の今後はまだ分かりませんが、このような形で徐々に療育を卒業していく人だってたくさんいると思います。療育にはさまざまな種類がありますし、障害の有無だけで必要か不要かを判断できるものでもありません。そして、重度の障害がある息子と、障害というわけでもないけれど発達の遅れがあった娘、2人を療育に通わせて思うのは、娘のような「ちょっと気になる」くらいの子どものほうが効果が見えやすいということでした。どちらも確実に成長はしていますが、もともとの成長速度のベースが早い分、娘の成長のほうが分かりやすかったように感じます。療育はどこも待機が多く、必ずしも入れるとは限りませんが、あまりハードルを高く考えず、ちょっとでも気になることがあれば飛び込んでみるのもいいかもしれません。執筆/べっこうあめアマミ(監修:鈴木先生より)療育とは、「心と科学」です。優しい心で接してあげて最新の正しい知識を持った人々が担当するので、安心してお子さんを預けることができるのです。障がいの有無にとらわれず、困ったことがあれば遠慮なく利用したほうがいいと思います。それと同時にかかりつけの小児科医にも相談するのがいいでしょう。何かの病気が隠れていて言葉が遅れている可能性もあるからです。発熱などで混んでいる小児科外来で気軽に相談するのは難しいかもしれませんが、知識のある先生ほどきちんと話を聴いてくれます。障がいのあるお子さんだけでなく、そのご家族やきょうだい児の事情も気遣って日々診療したいと心がけています。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月24日てんかんと診断されたらどんな治療をする?発作の種類や症状、処方される薬は?部分発作治療薬「トピナ(トピラマート)」も紹介てんかんは「てんかん発作」を繰り返し起こす大脳の病気です。日本ではてんかんの患者は100人に1人程度で、乳幼児から高齢者まで誰もがかかる可能性がある身近な病気といえます。てんかん発作にはさまざまな種類がありますが、患者一人に現れる発作症状はほぼ一定していて、ほとんど変わることはありません。薬を飲まなくても自然になおるものから、数年以上薬を飲み続けなくてはならないもの、外科手術が必要になるものまでさまざまですが、約7~8割は治療薬により発作を抑えることが可能です。抗てんかん薬の種類は多く、発作の種類に合わせて、小児用の抗けいれん剤ダイアップ、大人にも子どもにも使うことができるベンゾジアゼピン系抗てんかん薬リボトリール等をはじめとした薬の調整を行い、長期にわたって服薬します。後述するトピナ(一般名:トピラマート)といった、ほかの抗てんかん薬と併用するタイプの新しい抗てんかん薬も登場しています。このコラムでは、てんかんの分類や原因、治療法、治療薬の解説に加え、部分発作の新しい治療薬であるトピナについて詳しく説明します。てんかんの部類は以下のようになっています。Upload By 発達障害のキホンまずは、発作がてんかん発作なのか、それとも違う疾患の発作かを見極めることから始まります。てんかんは、長く服薬して治療にあたることが多いため、初期の診断でどのような種類のてんかんかを判断することが非常に重要です。問診では本人の自覚症状だけでなく発作を目撃した人からの情報も大切です。発作を目の前にすると慌ててしまうと思いますが、発作が起こる前の症状、どれくらいの時間起こったか、またどのような発作だったか発作中の行動を冷静に記録できるといいでしょう。動画での撮影は正確に発作症状を伝えられるためおすすめです。そのほか、脳波、MRI検査などを行って、発作型の診断、原因の究明、病型診断を行います。てんかんの治療法には服薬による治療と、外科治療があります。てんかんの約8割は薬で発作の抑制が可能であり、治療では症状によって抗てんかん薬の調整を行います。長く服薬することが多いので、自分の薬をよく知っておくこと、正しい服薬をすることがとても大切です。服薬治療によって患者さんのQOLを保つことが治療の目標となります。外科治療は、服薬で発作のコントロールができず、かつ脳の原因部位が明らかなものに対して行われます。てんかんの薬治療の原則は?てんかん専門医に聞いてみました。A:てんかん治療は 「単剤療法」が原則だと言われています。単剤療法とは1種類の薬剤のみを用いて行う薬物療法のことです。Upload By 発達障害のキホンてんかん薬の単剤療法の利点として・抗てんかん薬の有害な相互作用がない・複数の薬を使うことによる相互作用(薬がほかの薬の濃度を変動させること)がない・一般的に副作用が少ない・服薬が規則的になりやすい・発作のコントロールが多剤併用療法より良い場合があるなどがあげられます。A:約5〜7割程度の患者さんが単剤治療でてんかんを抑えています。1番目の抗てんかん薬で約50%、2番目の抗てんかん薬の単剤または併用で約12%の方が発作が抑制されたとの報告があります。Upload By 発達障害のキホン参考:Patterns of treatment response in newly diagnosed epilepsy副作用を考慮しつつ1種の薬を最大許容量まで投与しますが、それでも発作が収まらない場合にはほかの抗てんかん薬に置換して効果を見ます。A:発作症状の確認と、脳波検査などを行い、適切な抗てんかん薬を十分量用いているにもかかわらず、単剤による治療が不十分な場合には副作用に注意し、2種類の抗てんかん薬を併用することもあります。Upload By 発達障害のキホン参考:てんかんの薬物治療|てんかん情報センターてんかんの薬・トピナの効能、効果、用法、用量は?抗てんかん薬はすでにさまざまな種類の薬がありますが、トピナ(一般名:トピラマート)は2007年7月に承認された、比較的新しい薬です。トピナは、ほかの抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の「部分てんかん」を対象とした新しいタイプの治療薬で、単剤で処方されることはなく、必ずほかの抗てんかん薬と併用されます。トピナは幅広い作用機序をもっています。一般的なてんかん薬の作用機序の「脳神経の興奮を鎮める」のほかに「てんかん発作のきっかけとなる受容体の機能抑制作用」など、ほかの抗てんかん薬と異なる作用機序をもつため働きかけが異なる別の抗てんかん薬と併用することによって、治療効果を高めるとされています。部分てんかんの第一選択のカルバマゼピン、レベチラセタム、ラモトリギンなどを用いて発作を抑えられなかった場合に、ゾニサミド、トピラマートを用いることが多いです。しかし、副作用として汗がかきにくくなることがあるので、体温調整が難しいお子さんには控えることもあります。※処方内容については症状や体質、年齢によりそれぞれ違います。興奮性シグナルであるNa+、Ca2+の通り道になるナトリウムチャネルやカルシウムチャネルを抑制する作用、抑制性シグナルであるClーの神経細胞内への流入促進の作用、炭酸脱水酵素阻害作用などにより抗てんかん作用をあらわす薬です。Upload By 発達障害のキホン海外ではトピナが片頭痛の治療薬として用いられる場合もありますが、日本では適応症として認められてはいません。トピナには以下のような錠剤、顆粒があります。・トピナ錠25mg・トピナ錠50mg・トピナ錠100mg・トピナ細粒10%嚥下能力が低下した患者には細粒を処方されることがあります。ただし、どのような剤形や容量が処方されるかは、患者によって違います。医師の指示なく勝手に服薬量を増やしたり減らしたり、飲むのをやめてはいけません。また、自分の判断で認められていない症状の改善のために服用することのやめてください。医師の判断に基づかないで服薬を減らしたりやめたりすることで発作がおこってしまったり、回復が遅れる、あるいは重篤な副作用が発生することがあります。トピナは、少量から服薬を開始し、効果や副作用をチェックしながら、徐々に増量していきます。通常、成人にはトピラマートとして1回量50mgを1日1回、または1日2回の経口摂取することからスタートします。その後、1週間以上の間隔をあけて増やしていき、適切な量として1日200~400mgを2回に分けて服薬します。症状により増減されますが、1日最高投与量は600mgまでです。小児は2歳以上から投与可能です。小児には1日2回に分割して経口摂取します。トピラマートとして1日量1mg/kgからスタートし、その後は2週間以上の間隔をあけて1日量2mg/kgに増やしていきます。さらに、また2週間以上の間隔をあけて1日量として2mg/kg以下ずつ増やしていき、適切な量として1日量6mg/kgを服薬します。症状により増減されますが、1日の最高投与量は9mg/kg、または600mgのいずれか少ない方の投与量までです。トピナの一般名はトピラマートといいます。先発医薬品ではトピナが、後発医薬品(ジェネリック医薬品)としてはアメルがあります。トピナにはどんな副作用があるの?目の充血、目のかすみ、視力の低下など、続発性閉塞隅角緑内障を伴う急性近視があらわれることがあるので、症状がでたら投与を中止し適切な処置が必要です。この副作用は、投与1ヶ月以内にあらわれることが多いとされています。そのほか、腎臓や尿路に結石ができることがあります。以前結石ができたことのある人は、水分を十分に取るなどの対策が必要です。また、アシドーシス(頭痛、眠くなる、意識の低下、深く大きい呼吸)、汗の量が少なくなって体温が上昇するといった副作用があり、特に小児が使用する場合は、腎臓や尿路の結石、アシドーシス、発汗の減少による体温上昇といった症状あらわれやすくなります。患者に変化がみられたら医師に相談してください。体重が減少することもあるので、体重が減少し始めたら医師に相談しましょう。炭酸脱水酵素阻害剤との併用は、腎・尿路結石を形成する恐れがありので、併用注意です。また、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)はトピナの作用を弱めるおそれがあるので、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)を含む健康食品の摂取は控えましょう。また、さまざまな薬と相互作用を起こしやすいため、使用中の薬は必ず医師に報告してください。まとめてんかんのほとんどは服薬で治療することができます。てんかんによる就学、就労への影響をおさえ、QOLを上げるためにも、正しい服薬を継続しましょう。
2023年03月23日てんかんと診断されたらどんな治療をする?てんかん発作の種類や治療薬、全般てんかんに処方される薬「バルプロ酸ナトリウム」って?てんかんとは、脳の一部または全体がなにかのきっかけで過剰に興奮してしまう病気です。この興奮は「発作」とよばれ、意識を失ってしまうものや痙攣のほかさまざまな症状があり、発作は一度ではなく繰り返し起こります。100人に1人の割合で起こるという身近な病気で、3歳以下での発症が特に多く18歳までに80%が発症するといわれています。しかし、近年では高齢者の脳血管障害によるてんかん発作も増えています。てんかんの原因の多くは特定されていませんが、現在ではてんかんの約80%が薬による治療で発作のコントロールが可能といわれています。このコラムでは、てんかんの発作の種類や、それぞれの発作のに対して処方される薬について解説します。また、全般てんかんに処方される「バルプロ酸ナトリウム」について、詳しくお伝えします。てんかんは、診断されると長く服薬が必要になることが多いため、最初に本当にてんかんなのか、またどのようなてんかんなのかを見極め、長期的な治療の見通しを立てることが重要になります。脳波、MRI検査はもちろんですが、本人や発作を目撃した人からの情報も大切です。発作を目撃すると動揺してしまうと思いますが、冷静に発作の様子を動画で撮影するなどすると問診の際症状を伝えやすくなります。てんかんの治療方法には服薬と外科治療があります。外科治療は、抗てんかん薬では発作を抑えることができない「難治性てんかん」に行うことがあり、完治が期待できる場合もありますので、早期の診断が大切です。一方、薬で発作のコントロールができる場合は、正しい服薬によって就学・就労といった社会生活への影響を最小限にすることが治療の主な目標となります。てんかんには大きく「全般てんかん」「部分てんかん」の2つがあります。全般てんかんは大脳の広い範囲(全般発作)が、部分てんかんは脳の一部(部分発作)が、興奮状態になり発作が起こるものです。全般てんかんの発作は、意識がない場合がほとんどですが、部分てんかんの発作は意識があるもの、ないものがあります。またそれぞれ「特発性」「症候性」にさらに分類でき、「特発性」とは脳に損傷がなく年齢に関係して発症するてんかん、「症候性」とは脳の損傷(異常)により発症するてんかんになります。Upload By 発達障害のキホン全般発作に対してはバルプロ酸ナトリウム、部分発作に対してはカルバマゼピンが第一選択薬として広く使用されています。Upload By 発達障害のキホン【全般性強直間代発作】第一選択薬・バルプロ酸ナトリウム第二選択薬・ゾニサミド・フェノバルビタール・プリミドン・フェニトイン・ラモトリギン・イーケプラ・トピラマートなど【欠神発作】第一選択薬・バルプロ酸ナトリウム・エトスクシミドなど第二選択薬・クロナゼパム・ラモトリギンなど【強直発作、脱力発作】第一選択薬・バルプロ酸ナトリウム第二選択薬・ラモトリギン・レベチラセタム・トピラマートなど【ミオクロニー発作】第一選択薬・バルプロ酸ナトリウム・クロナゼパム第二選択薬・レベチラセタム・トピラマート・ピラセタム・フェノバルビタール・クロバザムなど単純部分発作、複雑部分発作、二次性全般化強直間代発作と概ね3種類ありますが、薬に大きな違いはありません。Upload By 発達障害のキホン第一選択薬・カルバマゼピン第二選択薬・ラモトリギン・レベチラセタム・トピラマート・ゾニサミド・フェノバルビタール・プリミドン・ガバペンチン・フェニトインなど参考:てんかんの薬物治療|てんかん情報センター参考:日本神経学会てんかんの薬・バルプロ酸ナトリウムは、どういうてんかん発作に処方される?効能、効果、用法、用量は?バルプロ酸ナトリウムは、全般発作に有効な抗てんかん薬です。全般発作とは脳の広い範囲、または全体が興奮して起こる発作になります。発作の始まりに意識を失うことも多いです。全般発作には以下のような種類があります。Upload By 発達障害のキホン強直間代発作突然発症して強直発作と間代発作を起こします。発作後に30~1時間位の眠りにつくことも多く、その後は普段通りに戻ることが多いです。意識のもうろう状態による事故などに注意が必要です。・症状強直発作:突然意識を失い、口を食いしばる、手足を伸ばした状態で全身が硬くなり呼吸が止まった状態は数秒~数十秒間続く間代(かんたい)発作:膝などを折り曲げ、手足を曲げたり伸ばしたり、一定のリズムでけいれんが起きる。数十秒で終わることが多いが、1分以上続く場合もある欠神(けっしん)発作数十秒間意識がなくなる発作です。けいれんを起こしたり倒れたりはしないが、会話などの途中で突然意識がなくなる場合も。周りの人が気づきにくく、集中力や注意力がないなどと思われることがあります。・症状突然意識がなくなりぼんやりした目つきになる呼びかけに反応しないまぶたがピクピクする脱力発作崩れるように倒れてしまうことがありますが、発作の持続時間は数秒と短く、発作と気づかれにくいです。・症状全身の筋肉の緊張の低下、消失ミオクロニー発作一部分の筋肉が一瞬ピクっと収縮する瞬間的症状のため、自覚することも少ない発作です。ですが、連続して起こることもあり、転倒したり持っているものを投げ飛ばしてしまう強い症状が出ることもあります。寝起きや寝入りに多く起こる傾向があります。・症状全身、あるいは手足の一部分の筋肉が一瞬収縮するどの全般発作も第一選択薬としてバルプロ酸ナトリウムが選ばれることが多いです。先発医薬品ではデパケン、デパケンR、セレニカR、バレリンなどが、後発医薬品(ジェネリック医薬品)としてはバルプロ酸ナトリウム(商品名)があります。主な作用機序としては、神経の興奮を抑える作用を持つγ-β酪酸(GABA)を分解する酵素(GABAトランスアミナーゼ)の働きを抑制して、脳内のGABA濃度を維持・増加させ、発作を抑えると考えられています。Upload By 発達障害のキホン前述したように、バルプロ酸ナトリウムは全般てんかんの第一選択薬として広く使われています。全般てんかんには子どもに多い欠神発作、ミオクロニー発作、脱力発作、強直発作などがあり、こうした発作に対して用いられます。また、てんかんの症状には、脳の異常な興奮が原因となって怒りやすくなったり、すぐ機嫌が悪くなったりするような症状もあります。こうした症状は双極性障害の躁状態でも起こりうることですが、バルプロ酸ナトリウムはこうした性格行動障害に対しても効果を示します。さらに、こめかみや目のあたりが発作的にズキズキと拍動性の痛みを感じる片頭痛などにも用いられています。ただし成人とは異なり、12歳~17歳の小児片頭痛患者を対象とした臨床試験では有効性を示す十分な科学的根拠は得られていません。バルプロ酸ナトリウムは以下のような錠剤、顆粒、シロップ、徐放性製剤とさまざまな剤形があり、患者の状態や治療の目的に合わせたさまざまな選択がなされます。・バルプロ酸ナトリウム錠100mg・バルプロ酸ナトリウム錠200mg・バルプロ酸ナトリウムシロップ5%・バルプロ酸ナトリウム細粒20%・バルプロ酸ナトリウム細粒40%例えばシロップ剤は、主に小児に投与することを目的としており、バルプロ酸ナトリウムの特異な臭いとわずかな苦味があるために服用しやすくなるよう甘味がつけられています。また、徐放性製剤の場合は服用してから長時間かけて薬剤が放出されるよう設計されているために、血中濃度を一定に保ち、服用回数をコントロールすることができます。用量ですが、通常1日量8〜24mL(バルプロ酸ナトリウムとして400〜1,200mg)を1日2〜3回に分けて経口投与します。ただし、どのような剤形が選択されるか、またそれの服薬量は、患者の状態に応じた医師の治療方針に基づくものであり、勝手な薬剤の増減や停止をおこなってはいけません。医師の判断に基づかないで服薬を減らしたりやめたりすることで発作が起こってしまったり、回復が遅れるなどの不利益が生じることがありますので、必ず医師の指示に従いましょう。バルプロ酸ナトリウムの副作用は眠気、ふらつき、吐き気、食欲不振、けん怠感などがあります。副作用は飲み始めに多く、やがて軽減することが多いのですが、症状が強い場合は医師に相談してください。重い副作用として、まれに肝臓への悪影響(劇症肝炎などの重篤な肝障害、黄疸、脂肪肝など)があります。肝機能障害などがある場合は肝障害が強くあらわれる場合があるので、必ず医師に伝えましょう。また、食欲亢進し体重が増えることがあります。カルバペネム系抗生物質などは併用禁忌、そのほかさまざまな薬と相互作用を起こしやすいです。飲み合わせによって、バルプロ酸ナトリウムの作用が強まったり弱まったりするので、服薬中の薬は必ず医師に報告しましょう。バルプロ酸ナトリウムは胎児の形成に影響を与えたり、産まれてきた子どもの発達に影響を及ぼすことがあるので妊娠可能な年齢の女性、妊娠中の女性に処方する場合には注意が必要です。妊婦または妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ処方されます。処方される場合は、できるかぎり単剤で、かつ必要最小限の容量となり、妊娠前の女性には血中濃度の安定をはかるため徐放錠で600mg/日以下が望ましいとされています。そして、妊娠期間中は、血中濃度の変化を注意深く観察する必要があります。まとめてんかんの約80%は服薬でコントロールができます。てんかんかもしれないと思ったら、すぐに医師の診察を受けましょう。抗てんかん薬にはさまざまな薬がありますが、バルプロ酸ナトリウムは代表的な抗てんかん薬です。医師の指示に従って、正しく服用しましょう。
2023年03月22日