もうすぐ年長なのに…自閉スペクトラム症(ASD)と知的発達症のある子ども発達障害の専門家が出会った子どもたちや、その保護者の抱えていたリアルな「困った!」をもとに、対応策などをドキュメントタッチで解説します。みなさんは音楽療法やホースセラピーをご存じでしょうか。今回は、自閉スペクトラム症(ASD)と知的障害のある子どものエピソードをお届けします。Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談解説:医療と連携した療育の重要性、音楽療法とホースセラピー(乗馬療法)今回は、自閉スペクトラム症(ASD)と知的発達症のある子どもの癇癪やパニック、人に向かって物を投げるなどの他害、発語や身辺自立に悩む保護者の視点でお届けしました。知的発達症のある子どもは、赤ちゃんのころから筋肉の緊張が弱い「低緊張」が多く見られます。神経発達症(発達障がい)や知的発達症がある子どもを、療育に通わせている保護者の方も多くいらっしゃることと思います。大切なのは、医療と連携した療育を行い、定期的な診察を行って療育の効果を確認することです。同時に、私たち医師や療育に携わる人たちは、お互いに連携し合い、最新の知識を取り入れることが大切です。今回ご紹介した音楽療法やホースセラピーの期待される主な効果は次のとおりです。音楽療法・情緒の安定や自己コントロールを促す・コミュニケーションやソーシャルスキルトレーニングになる・「音楽が終わったらやめようね」という声がけで「時間の感覚」や「切り替え」を身につけることにより、癇癪や人に向かって物を投げるなどの他害行動を抑える・片足立ちや平均台を歩くことで小脳を鍛えてバランスのいい姿勢がとれるようになる・小脳を鍛えることでADHD(注意欠如・多動症)の症状改善にアプローチできるホースセラピー(乗馬療法)・人と馬が一体となって、馬の気持ちも考えて乗馬することで相手の気持ちを考えられるようになる・脳性麻痺やフロッピーインファント(※)の子どもも両側で支えながら乗馬することで、骨盤や体幹のバランスを鍛え良い姿勢がとれるようになる(※)筋緊張低下により、抱いたときにグニャグニャする乳児の総称
2023年03月21日3月21日は「世界ダウン症の日」!さて、なぜ3月21日が「世界ダウン症の日」かというと…。ダウン症のあるお子さんをお持ちの親御さんや関係者の方はすでにご存知だと思うのですが、それはダウン症という疾患が、「21番目」の染色体が1本多く「3本」あるためだからです。Upload By 星きのこ日本でもJDS(公益財団法人日本ダウン症協会)が中心になって各地で啓蒙イベントを開催していたり、ほかにも楽しいイベントが全国で行われるので是非ご興味ある方はチェックしてみて下さいね!世界ダウン症の日公式サイトダウン症のある子どもを授かった当時の心境さて、わたくしのことになりますが、きいちゃんを産んでから約7年、ダウン症のある子ども(人)と関わって生きたのも約7年ということになります。思い返せばビックリ仰天、きいちゃんの「ダウン症の可能性の告知」から始まり、その後の染色体検査、確定診断、数々の合併症の発覚、病院や療育通い、(自分の)長~い暗黒期、きいちゃんの度重なる入退院、保活就活などなどなど…今思い返せばキリがないくらいいろいろなことを乗り越えてきたなあと思います。告知を受けてからの暗黒期には、自分には障害のある子ども、ましてや知的障害のある子どもなんて絶対に育てられないし、そんな子どもを授けた神さまを恨んだものです…。よく「乗り越えられない壁は神さまは作らない」と言いますが、「こんなん乗り越えられるわけなかろーーーー!!!!」と、本気で思っていました。Upload By 星きのこ定型発達のお子さんを持つお母さんを見ると、なんであなたではなく私なの…?と、暗い気持ちになり、合併症がなく、きいちゃんより発達の順調なダウン症のあるお子さんを見ると、いいよね、合併症のない子は…とうじうじとひがんでいました。怖い……!!!私、怖い……!!!!(笑)Upload By 星きのこ絶望していた私が前を向けた理由でも、それだけ自分にとって「障害のある子ども」を授かったことがショックだったのです。それまで自分が生きてきた「障害のない世界」から一転、急に違う暗い世界に放り込まれたような気持ちにもなりました。周りに障害のある子どもを産んだお母さんもいなかったので、きいちゃんと私だけになったような気持ちにもなりました。何もかも分からないことだらけで、孤独でつらくて、ただただ絶望していた私が少しずつ前を向いて、変わってきたのは周りの人にたくさん助けていただいたからです。産後、何の情報もなかったときに、自分で泣きながらネットを検索して飛び込んだ、地域のダウン症のある子どもの親の会。そこで先輩ママたちに気持ちを吐き出させてもらえて、いろいろ親身になって相談にも乗っていただきました。理解ある医師や看護師さんにもたくさん助けていただきました。そして、少しずつ、同じダウン症のある子どもを持つママ友達と交流が増え、こんな気持ちになったのは私だけじゃないんだ、私だけがつらかったわけじゃないんだ、と悩みを共有でき、支え合うこともできたのも大きかったです。そして何より…きいちゃん自身が、悲しいときは悲しいと泣くし、面白いときはケタケタと笑うし、嫌なことがあれば、ぷんっ!と怒るーー……私たちと同じように感情を持ち、表現をする。全く変わらない存在なのだ…ということを教えてくれたのです。ただ単に「障害」という個性を持って生まれてきただけでーー…。暗い世界に放り出されたと思っていたのは私だけで、ただ単にかつての私が「障害」というものをよく分かっていなかったから、色眼鏡で見ていただけなんだと知りました。Upload By 星きのこ考えてみれば当たり前のことなんですが、きいちゃんを産んだばかりのころの私は、そんな当たり前なことも分からなかったのです。ダウン症のある人は愛嬌があり、純粋で人懐こく、天使のようと表現されることもあります。「天使じゃなくて普通の子どもでよかったのに…」とその言葉をネガティブに受け取っていた私ですが、愛くるしく成長をしているきいちゃんを見て、「私、本当に天使を産んでしまったのかもしれない…!!!」と、立派な親バカに成長してしまいました…。でも、本当に可愛いんですよぉおおおぅ…!!!Upload By 星きのこ暗黒期の私は、突然「障害のある世界」に放り込まれてしまったと思い、つらく感じていたのですが、実はそれが間違いで、「障害のない世界」も「障害のある世界」もないのです。世界は一つで、私たちはいろいろな人達がまぜこぜに共存しているのです。みんなと違ってて何が悪いの?むしろ違いがあるのが当たり前。だからこそ面白いーー…。そんないろいろな人が共存している社会を誰もが当たり前に認識していたら、私たち一人ひとりも生きるのがとっても楽になるハズ。ほかの人の違いを受け入れることができると、自分はここがほかの人とちょっと違うな、私って変わってるかな?と思うことも受け入れられるようになり、自分にもちょっぴり優しくなれるかもしれません。そのためにも「世界ダウン症の日」があります(他にも4月2日の「世界自閉症啓発デー」や、10月11日の国際カミングアウトデーなどあります)。さあ、3月21日、この日をきっかけに、世界や人を色眼鏡で見るのをやめて、少しだけ周りの人にも自分にも優しくなってみませんか…?執筆/星きのこ(監修:鈴木先生より)世間では「世界ダウン症の日」とか「世界自閉症啓発デー」などがありますが、本当は毎日がダウン症の日であり、自閉症啓発の日でなければならないと日頃から思っています。ですから、その日だけでなく日頃から色眼鏡で見ずに、障がいを持った人にやさしく接することのできる世の中が理想なのです。そのためには学校での障がいに対する最新の正しい教育が重要になってきます。それらを実現するには、福祉や教育の予算を増やす(デンマークは消費税が25%で福祉が充実している)ことが先決なのです。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月20日不登校は子どものSOS。子どもの「こころ」の状態は?家で過ごす子どもへの対応、学校との連携はどうすればいい?2021年度の文部科学省の調査で、不登校の小中学生は約24.5万人いることが分かりました。不登校の児童生徒数は年々増加傾向にあり、ここ数年はコロナ禍などによる生活環境の変化なども背景と考えられています。令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について |文部科学省LITALICO発達ナビでは2023年1月に「発達障害のある子の不登校サポートセミナー」を開催しました。臨床心理士・公認心理師の初川久美子先生の特別講演では、子どもが不登校になったときの保護者の対応や、学校との連携の考え方についてお話いただきました。このコラムでは、講演から一部を抜粋して紹介します。また、当日答えきれなかった質問についてもご回答いただきました。子どもは学校が行った方がいい場所だと分かっていることがほとんどです。それでも子どもが「学校に行きたくない」と言ったとき、それは子どもからの「SOS」であると思ってください。子どもが不登校になったとき、周りの大人はその「きっかけ」や「原因」は何だろうと探ろうとすると思います。しかし、きっかけは思い当たることがある場合もありますが、不登校の原因は、子ども自身も「うまく言葉にできない」「実は1つではない」ということがとても多くあります。子どもたちは、学校でのさまざまな「楽しいこと」「嫌なこと・つらいこと」を持ち合わせています。「学校に行きたくない」と言い出すときは「楽しいこと」と「嫌なこと・つらいこと」を天秤にかけたときに、「嫌なこと・つらいこと」の方に大きく傾いてしまっている状態と考えると分かりやすいかもしれません。そして、その「嫌なこと・つらいこと」は1つとは限らず、「嫌なこと・つらいこと」を取り除いていくことだけでは解決しない状態なのです。Upload By 発達障害のキホンその中でも発達障害のある子どもの場合、「学校」という枠組みや「標準」とよばれるようなものにフィットしづらい傾向があります。能力として「できる/できない」以前に、学校生活を送るだけで消耗しやすい状態になりやすく、自分自身のコンディションによって思うような行動ができずに困りごとを抱えてしまうことも多いと考えられます。参考:『学校の中の発達障害「多数派」「標準」「友達」に合わせられない子どもたち』SBクリエイティブ/本田秀夫(著)子どもが「学校に行きたくない」と言ったとき、それは子ども自身これまで我慢したり、解決しようとしたり、さんざん悩みに悩んだ結果のうえで、それでもどうにもならなかったから出している「SOS」です。あらゆるエネルギーを使い果たしているような状態ですので「学校に行きたくない」と休みはじめたとき、まずは「休養」が大切になります。具体的には、家でのんびり過ごす、好きなことができるならやる、などしながら休養できるとよいでしょう。この時点では、学校に行くことや勉強のことを考える段階ではなく、まずは回復するために休むことが必要です。休養しているうちに「ひま」「つまんない」などの言葉が出てくるようになれば、回復してきた1つのサインと考えるとよいでしょう。その際に大切にしたいのは「子どものエネルギーチャージの方法」です。大人にとっての休養というのは「ベッドで寝ている」などを想像するかもしれません。たしかに身体を休めるためには大切ですが、心が疲れ切ってしまっている子どもの休養のためには「遊ぶ」ということが必要になることもあります。「休んでいるのに家でゲームばかりしている」「動画ばかり観ている」「1日中ブロックで遊んでいる」…など学校に行かずに家で遊んでいるだけのように見えるお子さんの様子を不安に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、休養のためにそれは必要なことかもしれません。そこで注意したいのが「楽しそうにやっているか」ということ。「休養」の段階で楽しくやれているならいいと思います。しかし、ゲームや動画視聴をしているのは、学校を休んでいることの罪悪感を覚えないようにするため、余計なことを考えないようにするために漫然とやっているような状態の場合ではないか、少し気にしてみておくとよいでしょう。そして、もう1つ大切なのは「家の居心地を悪くしない」ということです。お子さんが少し元気になってきたように見えると「学校は行かないの?」「勉強はどうするの?」など保護者の方は心配になるかもしれません。しかし、お子さんは「SOS」を出さなければいられなかったほどつらい状態です。家の中では安心して過ごせるように、小言は控え、まずは心の休養を優先しましょう。学校とは、まずは保護者が情報共有をできるとよいでしょう。学校はお子さんのことを心配し、良かれと思って学校へ誘ってくれたり、さまざま手立てを提案したりしてくださると思います。ただ、それをそのままお子さん本人に伝えると場合によっては負担に感じる場合もあります。そこで、連携を取る際に共有しておきたいことは子どもの状態です。保護者の目から見て、お子さんがどんな状況・様子なのかを学校と折々に共有できるといいでしょう。例えば、心の休養ができて「ちょっと学校行ってみようかな」と思い始めている、「休むと罪悪感」があると思っている、などであれば学校と本人とがつながることを先生と一緒に模索することを検討してみるとよいと思います。その段階でまず大人が知っておきたいのは学校とのつながりは「教室に行くこと」だけではないということです。例えば、配布物、学習プリントなどをポストに入れておいてもらうなど、実際に会わなくてもそれは学校とのつながりの1つと考えましょう。また放課後に先生に会う、タブレットを使って授業に参加する、家庭で行った学習を担任などにみてもらったり質問したりする、行事や社会科見学などに合わせて参加するなど、学校とのつながりは1つではなく、グラデーションがあるのです。ただ、先生方もお忙しいので何をどこまでできるかはぜひご相談していただければと思います。■学校との関わりで大切にしたいこと授業には参加できないけれど、先生には放課後会ってみる、配布物だけもらいに行ける。そうしたことをやってみたときに大切にしたいのは、毎回「ハッピーエンドで終わる」ことです。子どもが疲れ切ってもう行きたくないと思うような状態にならないように、十分に余力を残してつながるということが重要です。「もうちょっとできるな」と本人が思うようなところで終える。それがポイントです。また、「先生にちょっと会いに行こう」と約束していたのに、調子がよさそうだからと予定外に授業に出席させたりすると、子どもからすると「無理やり授業に出席させられた」と感じてしまうかもしれません。結果としてであっても、子どもに嘘をついたり、騙すようなことになると子どもを傷つけてしまうため、絶対にしてはいけません。また、担任と子どもが話す場合は、(初期の段階では特に)話題については担任と保護者で事前によく話し合っておきましょう。特に「学習」についての話をするかどうかは、子どもにとってプレッシャーになる可能性もあるため、担任と保護者の間で子どもの心の状態について認識を共有連携することは大切です。ハッピーエンドで終わるために、「メンタルが消耗しない」関わりをすることが大切です。それはお子さん本人だけのことではありません。関わる保護者や先生が無理をしないことが大事です。関わりは一過性のものではなく、細々とでも長く続く方法を検討したいところ。子ども、保護者、先生のみんなが無理をしないやり方で持続可能な関わり方を模索していきましょう。ここからは、子どもが不登校になったとき保護者はどうしたらよいのか、学校との連携についてなど寄せられた質問に初川先生に具体例を交えてご回答いただきます。Q.子どもが不登校になった場合、学校とはどのように連携したらいい?■学校との面談で当座の方針を確認まずは、担任の先生と、お子さんの状態について面談などを設定してもらってお話できるといいですね。学校の先生は良かれと思って授業や行事に誘ってくださったり、頻繁にお電話くださったりすることもあります。お子さんの状態によっては、そうした働きかけが負担に感じてしまうような段階もあります。また、保護者の方の事情や心持ちによっても、学校との程よい距離感は変わってきます(お仕事されていると対応できる時間が限られたり、あるいは、保護者の方がお子さんの状況をどう考えているか・どうなってほしいかによっても学校との話の方向は変わるかもしれません)。お子さんが直接学校に出向く、担任の先生と話すかどうかはさておき、お子さんの状態やお子さんの今の思いと保護者としての思いなどを学校に伝え、今後どのようにお子さんの不登校という状態に学校・家庭が対応するか、そのためにどのように連絡を取り合うかといった当座の方針を検討できるとよいと思います。お子さんの状態や思いは時間の経過によって変化しますし、保護者の方の気持ちも変化していくものです。永続的な方針というよりも、まずどのようにしてみるかの当座の方針を確認できるとよいでしょう。■第三者からの提案をもらう担任の先生もお忙しいですし、保護者の方も時間的にも気持ち的にも落ち着いて話しづらい面もあるかもしれません。そうした場合は、例えばスクールカウンセラーや自治体の教育支援センターなどの教育相談室で心理などの専門家に相談してみるのもよいでしょう。保護者の方ご自身の気持ちや、お子さんの気持ちをどう受け止めるかといったことを整理して聞いてもらい、学校とのよい連絡・協働のあり方について提案がもらえるのではと思います。Upload 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発達障害のキホンQ.不登校の子どもが毎日ダラダラしているように見える。規則正しい生活を求めてはいけないの?学校へ行けないなら、みんなと同じように、学校へ行く時間に起きて、時間割にそってお勉強、お給食の時間にお昼…の様な生活を送ってほしいのですが、これを望んではいけないんでしょうか?遅くまで携帯をいじり、遅く起きて、お菓子を食べて、一日中ダラダラして過ごす子どもをみているとイライラしてしまいます■日中活動することが苦しい場合もあるお気持ちお察しします。だらだらして、遊んでいるだけのように見え、たださぼるために休んでいるのではないか。学校を休むのは百歩譲って許しても、学習に取り組み、規律ある生活を家で送ってほしい。そう願うのは自然なことだと思います。しかしながら、私が不登校のお子さんたちと話す中で聞くのは次のようなことです。何も予定がないのに朝起きるのはつらい。明るい中で何かちゃんとしたことに取り組めればいいけれどその意欲がわかない。みんなが学校で勉強したり友達と遊んだりしているのは分かる、でもなぜか自分にはそうしたことがつらい。勉強を一人でやろうとしてもなかなか集中できないし、教科書を読んでも全然分からない。スマホやネット、ゲームがそばにあれば手を伸ばしたくなる、だって時間があっという間に過ぎるから。夜、みんなが寝静まると心が落ち着く。こんな自分でもいていいんだと思うのは夜だけ。寝る時間が来たからといって寝ようと思っても、昼間活動的なこともしていないし、全然眠くならない。眠くなるのを待って時間をつぶしていたら朝方になってしまった。だから朝は起きづらい…。実際、自分にとって意欲的に取り組める予定があれば朝しっかり起きる子はいます。また、一人で学習をするのはとても難しいことで、あれは学校という装置があってこそ成立している面もあると感じます(今はオンライン教育や通信教育などさまざまな方法で多少一人でも取り組みやすいですが、学校ほどの教科数を一人で毎日こなすのは至難の業だと思います。誰かに教わらずに学習内容を理解することもなかなかの困難です)。■保護者が相談できる場や人を見つけるただ、だからといって、お子さんに対して何も働きかけないのは保護者の方の不安が増すだけでしょうし、不安とイライラを抑えて接するにも限界があり、いずれ爆発してしまうでしょう。そういう意味で、私はまずは保護者の方はそうしたイライラや不安を話す場を確保していただきたいと思います。子どもが思うように動いてくれないイライラ、将来どうなるのかという不安。そうした気持ちを話せる場・人を見つけてほしいのです。もちろんお子さんも一緒に相談機関につながれると何よりですが、お子さんが相談機関に出向くことはなかなかハードルが高いこともあります。そうした場合はまずは保護者の方だけでも相談に行っていただきたいと思います。相談に行き、少し軽やかな気持ちで帰宅できたなら、その変化はきっとお子さんにも伝わります。保護者のイライラが少し落ち着いたら、お子さんも過ごしやすくなるはずで、そうしたことに気づいてきたら、自分も相談に行ってみようかなと思うかもしれません。保護者の方が行ったこともない機関に、行ってみようと言われても乗りづらいお子さんも、「その相談室にはこんな先生たちがいてね」「子どもは話すだけでもいいし、オセロとかやりながら話したりもするらしいよ」「趣味の話にも付き合ってくれるって。あなたの好きなアニメ、知ってる先生っているかな?」など誘い方にバリエーションも出るはずです。保護者の方ご自身をまず支えるためにはどうしたらいいか、それがひいてはお子さんを支えることにつながります。私は保護者の方ご自身を支える方法の1つとして、「相談する」をおすすめします。Upload 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発達障害のキホンQ.不登校が長期間にわたっている。保護者側もサポートに疲弊、このまま学校に行かなくていいのか、ひきこもりになるのではと将来が不安です子どもが不登校になり始めは積極的にサポートしようと頑張っていましたが、疲れてきてしまいました。これから先、どうしていったらいいのか不安でしかたありませんお子さんがのびのびと過ごせるように、あるいは、学習で遅れてしまわないように、よき体験活動ができるように…とさまざまご尽力されてこられたのかなと想像します。すべての働きかけに、お子さんがうまく乗ってくれるとも限らず、家庭だとどうしても枠組みをつくりにくいので行き詰ってしまう、親子関係がぎすぎすしてしまうことはよくあります。不登校という状態はおそらく想像していたよりも長期にわたると感じる方も多くいらっしゃり、そういう意味で頑張りすぎることなく「持続可能性のあること」を細々と続けていくことが案外とても大事なことにはなります。将来のことを考えると不安になられるのは自然なことです。このままずっと家にひきこもってしまったらどうしよう…例えばそんな不安がおありになるかなと思います。そうした不安をお子さんにぶつけてしまっても何もいいことはありません。お子さんも、学校に行ったほうがいいと分かっていることも多く、しかし行けなくて苦しいのかもしれません。そこに、家族が自分のせいで不安でいっぱいになっているというのが重なるとますます苦しくなってしまうこともあります。そういう意味で、私は大人の不安は大人の間で抱えてゆくことが大切だと思います。大人の間で不安を抱えることには、大きく2つの軸があると考えています。■保護者が感じる不安を聞いてくれる人を見つけるお子さんの不登校で不安になるのは自然なことで、その不安について、まず聞いてくれる人を探す。パートナー(配偶者など)でも、昔からの親友でも、基本的にはどなたでもいいと思います。話しやすくて、よく聞いてくれる人。スクールカウンセラーや自治体の心理などの専門家ももちろんおすすめです。不安を聞いてもらうだけでも、その不安が完全にはなくならずとも、心の空き容量が少し増えることがあります。心の空き容量が増えると、また新たな気持ちでお子さんに向き合えるかもしれません。場合によっては、その聞いてくださった方が保護者の方の対応やお子さんの過ごし方について助言を下さることもあると思います。それが保護者の方やお子さんにとって無理なくやれそうなら、あるいは、助言自体が「しっくりくる」なら試してみてもいいかもしれません。私が上で書いた「持続可能性のあること」について、何らかヒントを下さることもあると思います。そうして「誰かと」不安を抱えるという軸が1つあります。■将来についての情報を集めるもう1つの不安を抱える軸は、「今や将来についての情報を集める」というものです。家にいるだけで精一杯のお子さんもいますが、もう少し元気があると、家にいながらにして誰かとつながりたい(オンラインなど)、あるいは、興味関心のあるイベントなどへ行ってみたいという気持ちが湧く場合もあります。また、同世代の友達がほしいと思うお子さんもいます。同じ「不登校」仲間がいると心強いと感じるお子さんもいます。そうした単発・継続のイベントや公的・民間の居場所についての情報を集めておく。将来的な面でいうと、義務教育を終えた後どうするかというのが1つ大きなターニングポイントにはなります。今の高校にはさまざまなタイプの学校があり、不登校の生徒を積極的に受け入れる高校もあります。入試も学科試験を課す学校から作文・面接などで入れる学校などさまざまです。そうした情報をまず集めておく。そうすると、思っていたよりも選択肢も可能性もたくさんあることにまず気づかれるのではと思います。ただ、お子さんにその情報をいつ知らせるかは慎重にと思います。機が熟すまで知らせない方がよいことが多いです。どれだけ素敵な情報でも、お子さん自身の心がいっぱいいっぱいのときや、全く興味のないときに聞くと、負担やプレッシャーにしかなりません。まずは、保護者の方ご自身の不安の対処として情報収集をしてみてください。■保護者自身が自分をケアする時間を持つ最後に、お子さんの不登校に懸命に向き合ってこられたからこそ、疲れてしまいますし、そうして疲れてくると不安も増してくると思います。人は、何であれ何かに一生懸命になると視野が狭くなってしまいます(心理的視野狭窄と言います)。視野が広がれば大らかに捉えられたり、柔軟な対応が可能になったりすることも、視野が狭くなってしまったがゆえにそうしたことには目が向かず、ネガティブなことばかり目についてしまうことがあります。上記2つの軸を走らせると共におすすめしたいのは、保護者の方がご自身のための時間を取ることです。セルフケアの時間。日々お忙しいことと思いますので、長く取る・頻回に取ることは実際には難しいかもしれません。しかし、買い物帰りにちょっと遠回りして帰ってみよう、30分だけカフェでコーヒー飲んでみよう、夜、好きな映画を見てから寝てみよう、こっそり高いチョコレートを食べちゃおう。ちょっとしたことでいいので、ご自身のための時間を取ってみてください。保護者の方が元気だと家庭の雰囲気も明るくなります。そのために…というと打算的な感じがしてあまり好きではありませんが、しかし事実として“保護者の方が元気だと~”はあるとは思います。ご自身のための時間を取る。「不登校の子の親」という役割や鎧をいったん脇に置いて、ふっと力を抜く。もしかしたら頭の中ではお子さんのことが離れないかもしれませんが、それでも今は自分のための時間と思ってみる。ぜひやってみていただければと思います。Upload By 発達障害のキホン不登校サポートで大切にしたい「子どものこころを知ること」「保護者も頑張りすぎないこと」子どもが不登校になったとき、周りの大人はなんとかして問題を解決したいと思うかもしれません。しかし子どもが「行きたくない」と言い出したときは、子ども自身がさんざん悩みに悩んだ結果のうえで、それでもどうにもならなかったから出している「SOS」であり、問題を解決するよりも先に、まず休養をとることが最優先と考えましょう。そのうえで、お子さんが安心して過ごせるように、学習で遅れてしまわないように、よき体験活動ができるように、あるいは学校との連携などさまざまなサポートをしているうちに保護者の方が疲れてきてしまうということも多く耳にします。不登校サポートで大切なことは「保護者も頑張りすぎないこと」です。大人自身が不安な気持ちを信頼できる人に話したり、今や将来への情報を集めてみる(想像より選択肢は多く、不安が少し解消されるかもしれません)、そして保護者が自分自身を休める時間をつくってみてください。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月19日成長が早い息子は、オムツが外れるのも早いかも?母子手帳に書いてある目安の時期より、歩き出すのも早く、言葉を話し出すのも早かった息子。「これはオムツもすぐに外れるかも!」と期待して、1歳の夏からトイレトレーニングを始めました。まさかそれから3年近くかかるとは思いもよらず…。トイレトレーニングを始めた1歳のころは、息子もトイレが物珍しかったのか、誘うと応じてくれることもありました。ほぼトイレですることはなかったけれど、たまに成功することもあったので、私もまだ気持ちに余裕があり、「まだ1歳だし」と焦らずのんびりやっていこうという心境でした。「春や夏など暖かい季節だとオムツを外しやすい」と聞いたことがあったので、息子が2歳になった夏、本腰を入れてトイレトレーニングを開始しました。ネットや育児書の情報を調べては、ごほうびシールを用意してみたり、濡れた感覚が分かりやすい種類のオムツに変えてみたりしました。しかし、トイレに誘っても「まだ行きたくない」と言った直後に「出たー」ということもあり、思ったようにはいかず…。そしてオムツが外れないまま2歳の夏は終わってしまいました。Upload By ユーザー体験談幼稚園の面談でトイレのことを聞かれドキリ息子は秋生まれのため、3歳になるころに入園を希望する幼稚園の面接がありました。入園の申請書類の質問事項に「トイレは自分で行けますか?」とあってドキリ。面接のとき「まだオムツが外れていないのですが…」とおそるおそる伝えると、園長先生は、「毎年、入園時にまだオムツの子はいるので、一緒に頑張っていきましょう!」とやさしく言ってもらえてほっとしたのを覚えています。Upload By ユーザー体験談幼稚園入園後もトイレトラブルは続き…結局、入園までにオムツは外れなかったので、幼稚園にはオムツをはいて通い始めました。幼稚園でも先生方はタイミングを見てトイレに誘ってくれていましたが、息子は事あるごとに脱走。ある雨の降る日にいなくなり、園舎の裏手に隠れて雨に濡れながらこっそり用を足していたこともあったようです。自宅ではできるだけオムツではなく下着をはいて過ごさせようと頑張っていました。息子の好きそうな柄のトレーニングパンツを用意して、もし漏らしてしまっても叱らないように…と心がけていました。しかし、息子は濡れている感覚にも気づかないのか、よくソファに座って漏らしたまま大好きなテレビに見入っていました。何度も同じことを繰り返すのでつい感情的に叱ってしまうこともあり、自己嫌悪に…。Upload By ユーザー体験談このころ、周囲がトイレに誘うたびに、息子はトイレに行くのを嫌がるようになってしまいました。便意を感じると決まって机の下に潜り込むのですぐ分かるため、「トイレでしょう?一緒に行こうよ!」と声をかけても怒り出して嫌がる。どうしたらいいのか分からず途方に暮れてしまいました。そして、幼稚園でまだおむつをしている子どもは、ついに息子だけに…。せっかく用意したトレーニングパンツも役に立たないままサイズアウトして、このまま4歳になってしまうのか…とため息が出ました。年少の2学期、幼稚園から1本の電話が…そして2学期が始まって早々、幼稚園から電話がありました。それはトイレのことではなくーー「息子さんが幼稚園でたびたび癇癪を起こして暴れ、手のつけられない時間がある。自治体による心理士の保育所巡回で、『加配の先生をつけた方がいい』というアドバイスがあった」という内容でした。幼稚園からの報告にショックを受けましたが、保育のプロの目から見ても息子には特別な支援が必要なのだという事実に「息子の発達の遅れは、私の育児のせいではなかったんだな…」とほっとした自分もいました。そして、母親である私が療育の申し込みなどで忙しく、オムツ外しどころではなくなってしまったのが幸いしたのか?幼稚園に加配の先生が来てくれて落ち着いたのか?理由は分かりませんが、息子は4歳の誕生日の直前で急に「出る前」に言葉で伝えられるようになりました。Upload By ユーザー体験談夜のおむつが外れるのにはもう少し時間がかかりましたが、小学生になった今は、おねしょをすることもなくなりました。しかし、今でもギリギリまでトイレに行かず、自宅にいても間に合わないこともしばしば…。息子の発達ペースを大切にまだ息子の特性を知らなかったときは、世間一般で言われている「オムツが外れる時期」にとらわれて躍起になっていたけれど、同級生と足並みはそろわなくても、息子には息子の発達のペースがあるということが分かった出来事でした。これからも周りと比べることなく、息子なりの成長を喜び、応援していきたいと思っています。イラスト/カタバミエピソード提供/あかクレヨン(監修:鈴木先生より)オムツが取れないお子さんはトイレトレーニングが基本ですが、決まった時間になったら一緒にトイレへ行くなどこまめな工夫が必要です。トイレへ入るのが嫌なお子さんも多いので、まずはトイレのドアノブを触るところから始めていきましょう。そして今度はドアを開けて中をのぞく、次は入るだけ、その次は便器に座るなどスモールステップで徐々に慣れさせていきましょう。お子さんの好きなキャラクターの絵やグッズを置いたり、暗いトイレを明るくしたりする工夫も大切です。一つひとつできたら褒めてシールを貼るなどトークン法も利用しましょう。あせらず怒らずお子さんのペースでいいと思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月18日ビジョントレーニングをどこでも手軽にーー『発達支援ポスター 1日5分! いつでもビジョントレーニング』ビジョントレーニングについて、なんとなく聞いたことがあるけれどどんなことをするのかよく分からない、興味はあるけれど何から始めたらいいのか分からない…そんな方でも、手軽にビジョントレーニングを取り入れられるポスターセットが発売されました。ビジョントレーニングとは、視覚機能(見る力)を高めるトレーニングであり、「板書が苦手」「球技が苦手」「文字を覚えるのが苦手」など、見えにくさがある子どもの視覚機能の向上や学習・運動・生活動作の苦手の改善につながることが期待されています。本書では、6枚のポスターを用いたトレーニング方法が紹介されています。準備運動から始まり、それぞれ、眼球運動、眼と体のチームワーク、視空間認知能力を高められるポスターが含まれています。またトレーニングには、鉛筆や紙を必要としないため、どこでも手軽にトレーニングを行うことができるようになっています。裏表紙には、ポスターの使い方や各トレーニングの解説がついているため、初めてビジョントレーニングに取り組む方でも、簡単に日常に取り入れることができます。スキマ時間に、親子で楽しみながら、トレーニングに取り組んでみてはいかがでしょうか。こころとからだの大切さをどう伝えればいい?ーー『発達が気になる子の性の話 みんなでいっしょに学びたい』「性教育」について子どもにいつか伝えなければと思いながらも、なんとなく会話の中でタブーになってしまっているというご家庭もあるのではないでしょうか。性や人間関係について、いざ子どもに質問されると大人自身が戸惑ってしまったり、答えにくいと思うこともあるかもしれません。本書では、小学校高学年くらいから高校を卒業するころぐらいまでに悩みがちな「からだの成長の変化での悩み」「恋愛や性行為への疑問」「性情報の選び方」「SNSの危険」についてなど、イラストと分かりやすい文章で解説しています。お子さんが一人で読んでも理解できるような内容にまとまっていますが、可能であれば、まずは大人の方が学び、できれば、お子さんと一緒に読むことをおすすめします。「大人の方へ」という解説では、子どもにどのように「性について」伝えていけばいいのか、今まで大人自身も悩んでいたことの答えが見つかるかもしれません。子どもたちが正しい性の知識を学び、自分自身や相手を大切にできるために、読んでおきたい一冊です。自分の特性とどう向き合う?「みんなと違う」に悩む10代へのエールーー『10代からのメンタルケア 「みんなと違う」自分を大切にする方法』「友達に合わせられない」「ほかの人と同じようにできない」自分には周囲の人と少し違う特性があることをなんとなく自覚し始めた時とき、その特性とどのように向き合い、「自分」をどのように受け入れていけば良いのでしょうか?本書は、信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授・本田秀夫先生によって、悩みを抱く10代へのアドバイスがまとめられています。1章では、まず自分がどのようなタイプの人間なのか、自分自身を理解するところから始まり、続く2章では「友だち」の定義や友情の形について、3章では「努力」に対する考え方について、4章では「普通」についての考え方や自分自身を受け入れる方法について解説されています。そして、最後の5章では、「みんなと違う」自分との向き合い方についてのアドバイスが紹介されています。全体を通して、10代が抱えやすい悩みや日常生活で直面しやすい問題に対する具体的なアドバイスが数多く示された1冊となっています。また、本書はマンガや図を交えてわかりやすく解説されており、ふりがなもふられているため、どんな方でも気軽に読み進めることができるようになっています。「周囲の違い」に悩み、時に深刻なメンタルヘルスの問題に陥ってしまいやすい10代の時期に、周りの雑音に惑わされずに自分自身を正しく理解し受け入れるための方法を知っておくことはとても大切です。保護者や教育関係者にとっても、10代のリアルな悩みを理解するための一助となるかもしれません。豊かなスポーツライフを通して日常に彩りをーー『知的障害・発達障害のある子どもの心と体を育む運動・ゲーム75』知的障害や発達障害のある子どもたちは、運動場面やスポーツ参加においてほかの子どもたちと比べ困難が生じやすいことが指摘されています。また、運動経験の未熟さによる健康への悪影響や気力の低下も懸念されています。本書では、知的障害や発達障害のある子どもたちが、豊かなスポーツライフを送ることができるよう、体つくり運動や走・跳の運動、ボールを使った運動、パラリンピックに関係する運動など、75種類の運動・ゲームが紹介されています。子どもたちの心身の発達を促すため、「遊び」や「ゲーム」の要素を取り入れ、大人や友達と関わり合う場面を通して、体を動かすことそのものに楽しさや喜びを感じられるよう工夫されています。各運動プログラムは、知的障害や発達障害のある子どもたちの体育やスポーツ指導を行っている先生方を中心に執筆されています。分かりやすいイラストとともに「動きのポイント」や「つまずきへの支援」などの項目が添えられているため、どんなことをするのかが一目でわかることも特徴です。運動に課題がある知的障害や発達障害がある子どもたちが、楽しみながら取り組めるゲームを提案してくれる本書は、保護者、特別支援教育に関わる専門職などさまざまな方におすすめです。発達障害がある保護者の困りごとにーー『発達障害ママの子育てハック』発達障害がある子どもの支援に関する情報はさまざまな媒体を通して得られるようになりましたが、発達障害がある保護者がどのように子育てを行っていくかに関しての情報はまだまだ少ないのが現状です。本書では、発達障害がある「ママ」たちが子育てをより楽しく行えるようにするためにはどうしたらいいのか、についてのヒントが紹介されています。著者は、自身も発達障害があるママ・綾瀬ゆうこさん。自身の経験をもとに編み出してきたライフハックがたくさん紹介されています。子どもの書類を整理する方法やママ友との付き合い方、コミュニケーションの改善方法など、発達障害のある保護者が直面しやすいお悩みについて、85の具体的なアドバイスが紹介されています。本書では、公認心理士であり産業医である森しほ先生が監修を担当されているため、子育てと仕事を両立する方でも実践しやすい内容が詰まっています。子育ては大変なことばかり。日常の細かいミスや大きな失敗が積み重なり自信をなくしてしまったとき、自分のことを責めてしまう前に、この本を手に取ってみてはいかがでしょうか?コミュニケーション、片づけ、スケジュール管理などに苦手意識のある保護者の方におすすめの一冊です。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月18日息子の現在の言葉の状況Upload By まる息子の発達に不安を感じ始めてからずっと気になっている言葉の問題、一人ひとり成長だったり障害の状況だったりでみんな違うのは分かっているけど、発語ゼロのときは一生このまま言葉が出ないの?会話ができるようになるの?と不安で仕方なかった。以前も一度発語についてのコラムを書いていたかと思う。前回は初めての発語(2歳11ヶ月)~2語文が出たところ(3歳5ヶ月)までの状況だったが、現在4歳9ヶ月になり言葉の幅もだいぶ広がってきた。現在「今日保育園で何して遊んだの?」「今日はお友達と追いかけっこしたよ!」のようなスムーズな会話まではすることができない。だが単語はものすごく増えたので単語でのやりとりはだいぶできるようになってきた。例えばお茶が飲みたいとき「おちゃー、くーだーさい!」と言うなど2語文はそれなりに出るようになっていて、状況によっては3語文で「リューちゃん、ごはん、たべるー」などもちょこちょこ出ている。この前なんて「もー、おなか、ペコペコだぁ~」なんてことも言っていたり。2年前とは比べ物にならないくらい成長をしている。覚えやすい言葉Upload By まる要求の言葉は覚えやすいようで「○○ちょーだい」「やって」「あけて」などを言葉と行動もしっかり合わせて日常的に使うことができている。リモコンを持ってきて「てれび、みーせーて」など要求することもお手のものだ。あとは自分の好きな電車関係についても頭にスッと入るようで「駅に、とうちゃーく」「赤い電車きたー」などさまざまなことをお話ししてくれる。逆に母から息子に対しての要求の言葉に対しては、いつも返事はない。しかし返事はせずとも伝わってはいるようで「お片付けして」「電気消して」など言えば行動に移してくれる。あとは動画の中のセリフもよく真似している。動画を見せすぎるな、などよく言われているが、それなりに見せることで興味の幅が広がり発語の練習になるのはよかったなと思っている。息子は動画から「おかーさーん!起きてー!!」だったり(意味は分かってないかもしれない)「ハンバーガーとー、ポテト、くーだーさいっ!」など言葉が広がっていっている。いまだに喃語のようなものをウニャウニャしゃべっていることもあるが、何もしゃべらないなぁ…と悩んでいた時期があったことを忘れるほど日中何かしらおしゃべりしてくれている。STの訓練Upload By まる先日STの訓練で乗り物、食べ物、動物のカード分けの訓練をした。1つずつ名前を言ってからカードをそれぞれの部類に分ける訓練だ。息子は乗り物はほぼ全ての名前が言えたが食べ物はほとんど言うことができず、動物もあまり分かっていなかった。ずっと乗り物に興味があるならそれを伸ばそう!と取り組んできたが、そろそろ乗り物以外の言葉も覚えさせないといけない。動物に関しては使用していたカードが実写に近いイラストだったため分からないものが多かったようで、可愛いデフォルメされた動物ならそれなりに答えられる。その辺も含めて教えていかないと、と私としても気づけてよかった。STの訓練でもう1つ、いくつかの色のパズルのピースを先生に「○○(色)、ちょーだい」と伝えてピースをもらってパズルにはめる、という作業をしたのだが、まずは色を言ってほしいのに「ちょーだい!」「あれ!」「そっち!」「クーダーサイ!」などいろいろな言葉が次々に飛び出してしまう。先生によると思いついた言葉がどんどん飛び出してしまっている状況なので、これからはそれを整理してきちんと状況に合った言葉を引き出しから出す練習が必要だね、とのこと。確かに今の息子は昔よりだいぶおしゃべりになっているが、本当に思ったことをすぐにそのまま口から出している感じで、○○と言っていたのに急に××と言い出すなどチグハグなところも多々あるのはそういうことかと納得した。4月からは、去年からキャンセル待ちしていた個別療育に通えることになったので、また変化が楽しみだ。執筆/まる(監修:鈴木先生より)一般的には1歳まで喃語が、1歳半までに単語が、3歳までに2語文がでれば正常範囲内と考えられています。言葉の遅れで小児科医がまず考えるのは「難聴」の有無です。言葉の出ないお子さんに難聴があるかどうかを正確に検査する方法としてはABR(聴性脳幹反応)があります。聞こえていれば山のような波が出てきます。会話の音域である45dBで反応があれば難聴がないと判断されます。難聴が否定されたら、DQ検査などを行い、知的発達症の有無を確認します。知的な遅れがなくても保育園など集団の中に入ってから急激に言葉が出る表出型言語遅滞のお子さんもいます。「バス」のことを「パフ」と言ってもいいのです。重要なのはその子の発した言葉に反応してあげることなのです。言い直しは自信をなくすのでしないようにしましょう。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月17日もう気温は一桁なのに!?クラスで残り2人の半袖になったコウ。Upload By 丸山さとこ神経発達症(発達障害)のあるコウの感覚には、過敏と鈍麻の両方があると感じることがしばしばです。子どもが好んで食べる一般的なお菓子を「甘すぎて食べられない」と言って拒んだかと思えば、私や夫が顔をしかめるほど酸っぱい果物を全く平気で平らげたりするので、私も「好みの問題ではないのだろうな」と思って見守っているところがあります。そんな彼には、味覚のほかにも鈍麻を感じることがあります。主に寒さに対してです。小学生のころは若干暑さに対しても鈍いところがありましたが、年齢が上がるに従って次第に暑がりになっていきました。昨年は、冬が近づき朝の気温が一桁になってからも半袖で登校していたため、それを見た夫にしょっちゅう「見ているこっちが寒いわ!」と言われていました。私も「もう気温も一桁だし長袖にしたら?」と言いましたが、コウは「全然寒くない。長袖着たら暑くて倒れちゃうよ」と半袖登校を続けていました。Upload By 丸山さとこついにクラス内の半袖登校が2人になったとき、コウを除いた1人は筋肉がしっかりついたガッチリ体系の男子で『確かに寒くはないのかも』と思うビジュアルの生徒でした。そこのところ、コウは筋肉控えめの細身な男子であるため見た目の「寒そう!!」な印象が強く、実際体温もそう高くはないため、私と夫は『本当に寒くないのだろうか?』と心配していました。寒いときに(寒さを感じなくても)暖かい恰好をすることは大切!「本当~に寒くないの?」と心配する両親の思いと毎朝の口出しをよそに、毎朝元気いっぱいに登校していくコウ。せめてと思い長袖のシャツを持たせるようにしましたが、彼は一向に着替えようとしません。「最後の1人になるか、最高気温も一桁になるかしたら、あきらめて着替えてほしい」と伝えたところ、それは了承してもらえたためひとまず見守ることにしました。Upload By 丸山さとこそんなある日のこと、帰ってきた彼が少し鼻をぐずつかせているのを見ました。すかさず「これは流石に体が冷えてるんじゃないの~?」と突っ込むと、「うーん、そうなのかな…?」とピンとこない様子のコウ。「感覚的には納得いかないかもしれないけど、ここはお母さんを信じて上着を着てみてよ。きっと鼻水止まるから」と上着と靴下を渡すと、しぶしぶといった調子ではあるものの着てくれました。Upload By 丸山さとこ「どうかな。暖かい恰好すると、少し体がホッとしない?」と聞くと、「う~~~ん…」とよく分からない様子のコウでしたが、次第に鼻のグズつきは落ち着いていったため「確かに体が冷えていたのかも」と納得してくれました。こうして、コウは『自分の感覚』と『実際に体に受けているダメージ』は必ずしもリンクしているとは限らないと(少しだけ)納得してくれました。『自分としては全く寒いと感じていない気温』も体を冷やして鼻水を出させることがあるのだと気づいたことは、コウにとって大きな経験になったようです。「これと同じように、『自分としては全く暑くない気温』が熱中症を招くこともあるし、『自分としては全く酸っぱくない果物』が歯にダメージを与えることもあるんだよ」と話すと、いつもより真剣に聞いていました。Upload By 丸山さとここれ以降、コウは・クラスメートの半数以上が服装を変えたら調整用の衣類をリュックに入れる・自分と同じ服装が10人になったら衣服を調整すると大まかなルールを決めました。雪が降る季節になってからも学ランの下にセーターを着るなどの対応ができるようになり、「寒さを感じるかどうか」以外に「(気温として)寒い日かどうか」も気にするようになりました。再び暖かくなったころに適宜脱いで調節することができるか様子を見つつ、本人なりの基準で対応しようとしているコウを見守っていきたいです。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:新美先生より)感覚の過敏と鈍麻の偏りの問題は本当に難しいですね。感じ方の違いについては原則本人の感じ方を尊重して、不快を避けて、快を増やしていくのがよいと思います。ただし健康面や安全に関わるところは、具体的な介入も必要です。エピソードで伺ったように、衣服の調節についてはしばしば問題になります。寒暖を感じる感覚に鈍麻があると、周囲から見ると寒暖に合わない服装をしていたり、エピソードのように実際に暑すぎたり寒すぎたりして、熱中症になる、風邪をひくといった実害が起きることもあります。また大人から言われれば脱ぎ着できても自分で服装を調節するのはなかなか難しいかもしれません。自分の感じ方を否定されるように一方的に服装のことを指摘されてしまうと、「別に暑くないし(寒くないし)!」と抵抗されることもあるかもしれません。エピソードで聞かせていただいたように本人の暑さ・寒さの感じ方以外の指標…たとえば天気予報の最高気温・最低気温と対応した調整や、暦の上での目安、体温を測ってみる、震えや汗など体のサイン…などを具体的に知識として知ったり、経験して実感していく中で、寒暖による衣服の調節のスキルを大人になるまでに身に着けていけるといいですね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月16日オールマイノリティプロジェクト、公開シンポジウム 「マイノリティに対して、社会の認知や行動は変容するか?」2023年4月23日(日)開催Upload By 発達ナビニュース2023年4月23日(日)にオールマイノリティプロジェクトの公開シンポジウム 「マイノリティに対して、社会の認知や行動は変容するか?」が開催されます。今回のシンポジウムでは、マイノリティである発達障害のある人々に対して、「認知や行動を変容」させられる社会の実現に向けて何が必要かといったテーマについて話し合いが行われます。発達障害がある人は、果たして発達障害がない人の常識や価値観に合わせて生きていくべきなのでしょうか?無理に合わせることで、疲弊し、かえって孤立・孤独のリスクが高まることも考えられます。今回のシンポジウムは、発達障害のある人の価値観に沿った形での適応とは何かについて、考えられる良い機会になるかもしれません。当日は発達ナビにも寄稿いただいている、信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授の本田秀夫先生や、一般社団法人UNIVA 理事の野口晃菜氏が登壇するほか、発達障害がある当事者へのインタビュー動画も踏まえた上で、ディスカッションが行われます。当事者やご家族、支援者など、さまざまな立場の方におすすめのイベントです。<詳細>日時:2023年4月23日(日)13:00~16:00会場:オンライン(Zoomによる配信)/対面(専修大学神田キャンパス)※対面チケットは完売しました。費用:無料対象:支援関係者・当事者とご家族の方定員:オンライン参加1000名主催:千葉大学子どものこころの発達教育研究センター「オールマイノリティプロジェクト:発達障害を始めとするマイノリティが社会的孤立・孤独に陥らない認知行動療法を用いた社会ネットワークづくり」研究班研究代表者:大島郁葉先生申し込みはこちらから※クリックすると、発達ナビのサイトからpeatixの「マイノリティに対して、社会の認知や行動は変容するか?」チケット申し込みページに遷移します。障害のあるアーティストの熱き競演!2023年3月15日(水)~4月17日(月)東京・横浜・大阪にて「第5回 日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」開催Upload By 発達ナビニュース2023年3月15日(水)~4月17日(月)の間、東京・横浜・大阪の3会場にて、「第5回 日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」が開催されます。「第5回 日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」は、「誰かに伝えたい思いはアートを通して誰もが表現できること、そしてアートは、共生社会を築いていく中で、決して欠かすことのできない存在である」という気づきをもたらしてくれる展覧会です。障害のあるアーティストにより制作された、さまざまなテーマ、素材の作品が展示されています。今回は、国内外から2,246点の応募があり、その中から128作品(審査員賞6作家8作品、海外作品賞1作家1作品、入賞43作家53作品、佳作50作家66作品)が選出されました。展覧会ではそのうち87点の作品が展示されます。それぞれのアーティストが持つ独自の視点や感性が垣間見える作品の数々から、芸術文化の新しい可能性、また障害がある人の社会参加の可能性に思いをはせてみてはいかがでしょうか。この機会にぜひご覧になってみてください。<詳細>●東京会場会期:2023年3月15日(水)~3月26日(日)時間:10:00-19:00※3月15日(水)15:00 OPEN観覧料:無料会場:Bunkamura Gallery/Wall Gallery(東京都渋谷区道玄坂2-24-1)(JR線「渋谷駅」ハチ公口より徒歩7分)●横浜会場会期:2023年3月29日(水)~4月2日(日)時間:9:30-18:00※4月2日(日)は17:00まで観覧料:無料会場:障害者スポーツ文化センター 横浜ラポール(神奈川県横浜市港北区鳥山町1752)(JR横浜線「新横浜駅」北口より徒歩約10分)※新横浜駅前(北口)からリフト付き送迎バス(障害者優先)を運行(無料)●大阪会場会期:2023年4月12日(水)~4月17日(月)時間:11:00-19:30※4月17日(月)は16:00まで観覧料:無料会場:阪急うめだ本店 9階 阪急うめだホール(大阪府大阪市北区角田町8-7)(阪急・阪神「大阪梅田駅」から徒歩約3分/JR「大阪駅」から徒歩約4分)●授賞式・トークセッション日時:2023年4月15日(土)14:00-16:00会場:阪急うめだ本店 9階 阪急うめだホール登壇者:秋元雄史氏[東京藝術大学 名誉教授]、中津川浩章氏[美術家/アートディレクター]観覧料:無料(予約不要)主催:日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS共催:社会福祉法人横浜市リハビリテーション事業団協力:国際障害者交流センター ビッグ・アイ、Bunkamura、阪急うめだ本店※クリックすると、発達ナビのサイトから「第5回 日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」の公式サイトに遷移します。知育研究所+、UD教科書体を用いた「あいうえお表 お風呂ポスター」2022年12月29日(木)より販売Upload By 発達ナビニュース知育研究所+は、2022年12月29日(木)より、子どもたちの読みやすさを考慮して、モリサワ社のUD教科書体を使用した「あいうえお表 お風呂ポスター」を販売しました。ひらがな表とカタカナ表の2種類が展開されています。「あいうえお表 お風呂ポスター」は、子どもが学習意欲を持てるよう色のコントラストや文字のサイズなどにも工夫を凝らしており、お風呂だけでなく、トイレ、自室、リビングなどで多様な使い方ができるようになっています。モリサワ社のUD教科書体は、ロービジョン(弱視)、ディスレクシア(読字障害)のある人でも読みやすいユニバーサルデザインフォントとして開発されました。読むことが苦手な子どもにとっても学習しやすいポスターになっており、目を酷使することなく読むことができるため、目の疲れや視力低下を予防することも期待されます。読みが苦手なお子さん、そして4月から新1年生になるお子さんにもおすすめの教材です。【商品詳細】ひらがな表/カタカナ表/ひらがな表とカタカナ表2枚セット※クリックすると、発達ナビのサイトから知育研究所+の商品詳細ページに遷移します。知育研究所+※クリックすると、発達ナビのサイトから知育研究所+の公式サイトに遷移します。障害のあるアーティストの作品が華やかなパッケージに!「アート&カカオ」第3弾、2023年3月1日(水)より発売Upload By 発達ナビニュースウェルフードマーケット&カフェ「imperfect(インパーフェクト)」は、障害があるアーティストの所得支援を目指す「アートビリティ」と協業し、2023年3月1日(水)より、パッケージデザインに障害があるアーティストの作品を使用した「アート&カカオ」第3弾を表参道店とECサイトにて発売しました。「アート&カカオ」第1弾、第2弾ともに完売となり、今回新たに第3弾がリニューアル発売されました。imperfectでは、世界の食と農を取り巻く社会課題の解決に取り組む「Do well by doing good.」(=いいことをして、世界と社会をよくしていこう)活動が展開されています。「実業を通じた社会課題の解決」を掲げ、社会や生産地・生産者にもよい、Well Food(ウェルフード)の提供が目指されており、「アート&カカオ」でも、森の保全に取り組みながら生産されたカカオが使用されています。第3弾のパッケージデザインに使用されているのは、水ノ上茉優さんの作品「花束」。水ノ上さんは、広島県在住のアーティストで、大胆な色彩と構図が特徴的な作品を制作されています。小学1年生から絵を描き始め、現在は油絵具と水彩ペンを使用して作品を制作しているそうです。水ノ上さんの鮮やかな作品とともに、「well food」なチョコレートを味わってみてはいかがでしょうか。※クリックすると、発達ナビのサイトからアート&カカオの商品ページに遷移します。<商品詳細>商品名:アート&カカオ内容:クランチチョコレート3種類×3粒 計9粒 入り販売価格:1,800円(税込)発売日:2023年3月1日(水)〜場所:imperfect表参道および公式ECサイト( 東京都渋谷区神宮前四丁目12-10 表参道ヒルズ同潤館1 F)「imperfect」公式サイト※クリックすると、発達ナビのサイトから「imperfect」の公式サイトに遷移します。ベルリン国際映画祭金熊賞受賞作『ON THE ADAMNT』(英題)が2024年に日本公開決定!Upload By 発達ナビニュースフランスのドキュメンタリー映画監督ニコラ・フィリベール氏の最新作『ON THE ADAMNT』(英題)が、2023年に開催された第73回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門で金熊賞を受賞しました。『ON THE ADAMNT』は、パリ中心部に浮かぶセーヌ川に面したデイケアセンターの患者たちの日常を描いたドキュメンタリー映画です。自主性を重視し、絵画や音楽、詩などを用いて自己表現をすることで癒しを見出していく患者たち、そして彼らに寄り添って働く看護師や職員たちを優しい眼差しでとらえています。『ぼくの好きな先生』『人生、ただいま修行中』など現代社会に生きる人々の暮らしや文化をテーマにした作品を手がけてきた、フィリベール監督により、患者たちの人間性や尊厳を忘れないデイケアセンターの様子が描かれます。また本作『ON THE ADAMNT』は、2024年の春に日本での公開が決定しました。ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか、全国で公開される予定です。ぜひチェックしてみてください。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2023年03月15日再通園初日、スバル一人のためにお誕生日会が開催されてスバルは1歳半健診時に言葉の遅れを指摘され、それ以来何度か受けた検査で「言葉が遅いだけ。様子を見ましょう。」と言われました。そしてそのままじっくり様子を見続け3歳に…。すると、3歳の誕生日の数日前に突然言葉があふれたのです。2歳半から通い始めたプレ幼稚園では、ほかの子どもが普通にできることがスバルにはできないという現実を目の当たりにして思い悩んでいましたが、言葉があふれたことによりこのまま全てが好転するのではないかと思いました。しかし…帰省のため1ヶ月ほどお休みしていたプレ幼稚園の通園を再開しました。お休みしている期間中にスバルの誕生月のお誕生日会があったらしく、再通園初日にスバル一人のためにお誕生日会を開いてもらうことになりました。お誕生日会といっても帰りの会がお誕生日仕様になるくらいの小規模なものです。歌と絵本の読み聞かせとロウソクに明かりを灯しながら保護者が思い出を語る…そんなお誕生日会です。お誕生日会がある日はほかの保護者たちもいつもより早くお迎えに来て参加します。正直に言うと私とスバルはこのお誕生日会が苦手です。歌はお誕生月の子どもたちとその保護者が主役になって歌を歌いますが、スバルは話せないのでもちろん歌なんて歌えません。先生が読み聞かせをしてくれるお誕生日にまつわる絵本は、ふわっとした絵柄のふわっとした内容の絵本でスバルは最後まで集中することができず動いてしまいます。メインイベントは部屋を暗くして歳の数のロウソクに火を灯しながら、ときには涙ながらに語られる「あなたが生まれた日…」みたいな話(誕生月の人数分)はもちろんじっと座って聞いていられません。人数が多い月は30分を超えることもある、そんなお誕生日会。もちろんスバルはじっとしていないので動き回るスバルをがっちりホールドする地獄のような時間です。最初のころ、部屋が暗いのを良いことに教室の隅で音の出ないおもちゃで遊ばせようとしましたが先生からNGが出たので、座って全身でホールドしていました。スバルはこういうときあまり声は出さないので、さながらレスリングで寝技に持ち込んだときのような緊迫感で戦っていました。Upload By 星あかりそれなのに主役!しかも一人で!言葉が出始めたら全てが好転するのではないかと期待はしていたものの、さすがに再通園初日で突然スバルがじっと座っていられると思うほど楽観的ではありません。再通園を連絡する電話で先生からお誕生日会の件を伝えられ、もちろん全力で断りました。しかし「お誕生日会という大切な日を一人だけしないわけにはいきません!!」と全力で押し通されてしまいました。ちなみに「せめて来月のお誕生日会と一緒に」と提案したのですがゴニョゴニョとかわされてしまいました。仕方なく当日は夫が仕事を抜けて同席することになりました。私が主役業務を猛スピードでこなす間に、夫がホールドするという役割分担になりました。お誕生日会当日、今日の主役はわが家だけ…いつもの帰りの会は保護者は居残り母子通園している私一人参加していますが、今日は続々と保護者がやって来ました。わが家のためだけにみなさんありがとう。なんかすみません。まずは歌。いつもはお誕生日月の子どもたちとその保護者が一緒に歌いますが、今日の主役はわが家だけ。スバルは歌えないし、夫はこの歌を知らないし。つまり私の独唱です。半泣きです。次は誕生日をテーマにしたふわっとした絵本の読み聞かせ。スバルは本が好きなので家で読むならふわっとした絵柄のふわっとした内容の絵本でも最後まで聞いていられるのですが、人が集まる場所での読み聞かせでは最後まで集中力が持たないのです。バリッとした色合いでドドンとした内容の絵本なら最後まで集中しているのですが。この時間はいつも教室の端の目立たないところを陣取ってホールドしてやり過ごすのですが、今日は主役なのでど真ん中の一番前の席です。しかも主役の王冠つき。なぜか保護者も。動き回ろうとするスバルとそれをホールドする私たちの姿を、みんなどんな目で見ているのだろうと思うと、ほかの保護者の顔を見ることができませんでした。最後は歳の数のロウソクに火を灯しながら1つのロウソクにつき1つの思い出を語るメインイベント。3歳のお誕生日会なので3本のロウソクを灯しながら3つの思い出を語ります。今までのお誕生会では「あなたが生まれた日」「初めて〇〇した日」「3歳になったあなた」をテーマに語られることが多かったので私もそんな感じの話を用意してきました。Upload By 星あかりほかの保護者の方々とは別の意味で涙が出そうになりながらも、どうにかスバルを立たせることなく最速でお誕生日会を終わらせることができました。しかしその後呼び出しが…なんとかお誕生日会を終わらせて満身創痍で帰宅しようとしたとき、先生に呼び止められました。先生の表情からなんとなく言いにくい話なのだと悟りました。また完全母子通園に戻るのかなと思いながら呼ばれた部屋へ行くとそこにはプレクラスの先生2人と園長と副園長がいました。そして神妙な面持ちで「発達検査を受けて診断書を提出してください」と言われました。当時は気がつきませんでしたが「診断書を提出」と言われている時点で幼稚園的にはほぼ発達障害だと確定していたのかもしれません。その後、発達検査を受け診断書を提出すると同時に退園を言い渡されました。そのときにようやく「来月のお誕生日会と一緒に」の提案を却下されたのは来月の誕生日会にはもういない予定だったからなのかもしれないと思うのでした。執筆/星あかり(監修:初川先生より)まずは、お誕生日会、お疲れさまでした…!誰のための、何のための会なんだろうかと考えてしまいますね。多くの場合はお子さんというよりも保護者の良き思い出として機能しそうですが、“みんなやっているから”という理由で、スバルくんにとっては長時間苦手とすることを課され、保護者は一生懸命タスクをこなし、一体誰の・何のため…と悩ましく思ってしまいます。本当にお疲れさまでした。そして、再通園初日にそんな大きなイベント(タスク)をやったまま呼び出し面接とは、それもまた大変でしたね。そういうことも含めて、スバルくんには合っていない環境なんだなと感じます。受診して、診断を受けることは本来的にはその後どのように支援や手立てを行っていくかを考えるためだと理解しています。しかし、それを線引きに使う場合も残念ながらまだあって、ただ、支援や合理的配慮というものをしようとする発想にない環境だとそこにいて良いこともおそらくあまりないだろうと感じます。お子さんを関わる大人たちがどんな風に見るか(どんなまなざしを注ぐか)は、お子さんの育ちに良くも悪くも大きな影響を与えます。関わる大人たちの「人によって」という個人差はどの環境にもありますが、園・学校としてというスタンスはなかなか変化が難しい面もあるだろうと感じます。さまざまなことが退園への布石に見えてしまいますが、しかし、お子さんに合った環境を考えるという意味では、こんなにも明確にスタンスを出してくれるのはすがすがしいくらいに感じられます(皮肉)。ひやひやして、後味の悪い時間を多々過ごされたことと思います。本当にお疲れさまでした。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月14日自閉症・情緒障害特別支援学級を選んで太郎は、4歳のころに自閉スペクトラム症の診断を受けている。小学校入学を目前に、私は不安がたくさんあった。太郎が今までと違う環境にどのような反応を示すのか、担任の先生はどういう対応をされる方なのか。太郎が通うことになる自閉症・情緒障害特別支援学級は、ちょうど太郎が入学する年に発足とするとのこと。学校側の自閉スペクトラム症への理解はどこまであるのだろうか。小学校へ入学する前に太郎の特性などプロフィールに記載し提出はしたけれど、ドキドキと不安に不安が重なっていた。Upload By まゆんあんまり不安がっても仕方がない、なるようになるさという気持ちで行こうと思っても私の不安はふくらんでいった。小学校から突然の電話Upload By まゆん記憶は定かではないが、3月の終わりか4月の初めに学校から電話が入った。4月から自閉症・情緒障害特別支援学級の担任を務めるという先生からの電話だった。先生はまず自己紹介をされた。特別支援学級で教えるための勉強をして資格を取り、今年から発足する情緒級の担任になったということだった。通常学級での指導経験も長いようで、先生の自己紹介と説明からは児童を思う明るさと優しさ、真剣さを感じた。そして最後に提案をされた。「ご都合が大丈夫で、ご家庭でもお気持ちがあれば、入学式の練習をしに来られませんか?」先生の提案は心に刺さった。強要でもなく、提案であり私たちのことを考えていることが分かったからだ。先生も太郎をひと目みたいという気持ちもあったのかもしれないが、この提案が不安な気持ちであふれていた私の心にはズバっと刺さった。Upload By まゆん返事はもちろん、「ぜひともよろしくお願いします!」だった。太郎はなんのことか理解していなかったが拒否なく「行く」と答えた。提案された練習日は、入学式の前日。体育館で待ち合わせだった。体育館はすでに会場設営されており入学式の雰囲気が漂っていた。保護者や在校生がいない代わりに学校の先生が数人いた。すでに先生たちの心遣いに目頭が熱くなる私がいた。そして担任の先生が笑顔で私たちの前に現れた。「こんにちは」長い黒髪の先生だった。私「こんにちは」太郎「こんにちは」ここからが先生と太郎の数年間の始まりとなった。Upload By まゆん太郎は緊張しながら先生のゆっくりとした説明や仕草を見ていた。説明後入学式の練習へと移った。私と数人の先生は体育館で待機し、担任の先生と太郎は体育館の外へ出た。そして「新入生入場」のアナウンス後に、入場曲が流れた。担任の先生を先頭に太郎も入場してきた。緊張してる様子で右肩が上がっていたが、落ち着いて先生の後ろをついて行き自分の席へ着席することができた。Upload By まゆん先生はその姿をみてうなずき、練習は終わった。練習後、私だけではなく3人とも安心した顔になっていたことが記憶に残っている。太郎は本番の入学式でも緊張してはいたものの、固まることや動き回ることもなく先生の後ろを右肩上げて練習通りに歩くことができていました。前日の入学式の練習は、私と太郎に大きな安心と自信を与えてくれました。また、先生と前日にコミュニケーションをとれたため、太郎の特性や太郎の雰囲気を分かってもらう良い場になったと思ってます。入学後も、催しがある前などに先生と電話でこまめに連絡を取ることがありました。1年生のころは週に一回は電話で情緒の共有や方向性を考えていた記憶があります。教育者、保護者、本人が考える方向性を共有することが教育の場面で重要になるのだな、とも感じた時期でした。執筆/まゆん(監修:初川先生より)入学式、そしてそこから始まる小学校生活は期待とともに不安も高まるかもしれないですね。今回、まゆんさんのお子さんは自閉症・情緒障害特別支援学級に入学するということで、担当される先生から入学式前日に練習することをご提案されたのですね。お子さん本人も、保護者の方も、そして先生方にとっても、練習して見通しを立てたり、お子さん・先生がどんな方かお互いに知っておけたりすることで、安心して本番に臨むことができますね。新奇が苦手なお子さんにとってはとてもよい機会になると思います。さて、これは特別支援学級に限ったことではないとも思います。通常学級に入学される方でも同様の手立てを取っていただくことは案外多いように思います。新入生保護者会前後から春休み期間で、例えば就学支援シート(お子さんにとってどんな支援があるといいか、在籍園や保護者の方、療育機関などで記入したもの)を提出するなど、学校と事前に面談に行く場合は、「新しい場面が苦手」であることを伝えると、練習しましょうかという話が出てくることはあると思います。また、保護者の方から、お子さんの特性を説明して、「可能なら、入学式の会場ができあがったあとで、子どもと体育館を見せていただけないか」と聞いてみると、承諾してもらえることもあるように思います。担任の先生を事前に伝える(事前に会う)ことは難しいことも多いかと思いますが、会場を見ること、当日使用するトイレを下見すること、1年生の教室のフロアをさらっと見せていただくことなどはできることがあると思います(※最終的には学校の判断なのでできない場合もあるかもしれませんが…)。先生方も、お子さんや保護者の方にとって小学校の入学式が一生に一度しかない特別なものであることはよく分かっていらっしゃり、入学式がよき一日となり、そこから始まる新生活へ弾みをつけてほしいと願っているように思います。ご心配な方は4月の頭までの間で、小学校に面談や相談をしてみてもいいかもしれません(ただし、繰り返しますが、できるかどうかは小学校の判断になります。さまざまな事情で受け入れが困難な場合もあるので、それも含みおいてお問合せをしてみていただければと思います)。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月14日たくさんの人の目が気になるお葬式で問題行動だらけのわが子葬儀では、普段顔を合わせることが無い人たちがたくさんいるし、みんな黒い服で静かな独特な雰囲気があります。そんな中、幼い子どもと一緒に参列するというだけでも大変なのに、発達障害のあるわが子が長い時間耐えられるわけもなく、会場では人前で床にゴロンと寝転んでしまったり、大きな声を出してしまったり、走って祭壇の物を触りに行こうとしたり、蝋燭の火を吹き消そうとしたりなど、それはそれは大変なことばかりでした。Upload By みんでもまだ「Pには障害があります」とはハッキリと言えない時期だったので、障害を理由に言い訳をするわけにもいかなかったし、「まだ小さいから仕方ないね」「悪戯をしたい時期だよね」と周りの人たちには思ってはもらえていたかもしれませんが、「躾のできていない子」だと誰かに思われていたとしても仕方ないなと思っていました。でも人の視線を気にしてばかりでは私自身の心がもたないので、せめて近しい人たちには私の不安を知っておいてもらいたいと思い、Pには発達障害の疑いがあることを簡単に話はしていました。そして退席しやすい位置に座らせてもらい、何かあったら無理をせずに退室するようにしていました。Upload By みん退室してからは会場を歩いたり、控室で過ごしたり、それでもまだ人目が気になるときは駐車場へ行き車の中で過ごしていました。絵本やシールブック、音の鳴らないおもちゃをたくさん用意して持って行っていたのでそれらで遊ばせたり、飲食が可能な場所ならお菓子やジュースを与えたりして何とか時間を潰していました。Upload By みん人の目が気になるなら、自分たちのほうからその場を離れる葬儀中はヒヤリとしたこともたくさんありましたが、できるだけ癇癪を起こさないようPに無理をさせないことが1番でした。誰かに話しかけられても無視をしてしまったり、大人しく座ることもできなかったけれど、それならもうその場から離れるようにすることが私にとっても1番でした。今回は幼いころ冠婚葬祭に出席した話をしましたが、今後もそういう機会はあると思います。Pの身体が大きくなった今、冠婚葬祭の場ではPの言動は目立ってしまうこともあるかもしれませんが、そんなときは家族や周りの人たちに少しでも理解してもらい、決して無理はせずに参列できればと思います。執筆/みん(監修:鈴木先生より)葬儀への参列に関するコラムは、発達ナビでもほかにいくつか掲載されています。別のケースでは参列せず引き返したということもありました。今回は何とか参加できたので素晴らしいことだと思います。それにはみんさんがP君の好きなおもちゃを持参したこと、そして何よりもずっと参列するのではなく、退室しやすい位置に座り無理せずに控室で過ごせたことが良かったのだと思います。事前にVTRでどういったことをやるか予習させることも重要ですが、全ての時間参加することは不可能に近いので今回のように退室しやすい(例えば最後列の)座席に参列することが重要です。学校の座席でも廊下側の最後列にいたほうが自由に特別支援学級へ出入りできるのです。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月13日予定が崩れるのを何より嫌っていた長男楽しいお出かけや家族での旅行など、計画を立てたらすぐにでも子どもたちに教えてしまっていた私。だけど子どもが小さいうちはとくに体調を崩しがちで、予定通りにいかないことってありますよね。わが家も旅行前日に子どもの突然の発熱により、旅行を泣く泣くキャンセルしたことがあります。それだけならまだともかく、それによって長男は癇癪を起こすのですからたまったものじゃありません。自分のせいで予定がキャンセルになったときもおかまいなしに、手足をバタバタさせてギャンギャン泣いていました。Upload By 星河ばよ前もって予定を言うのはやめたそんなことが続き、私は子どもたちに前もって予定を伝えることをやめました。お出かけも旅行も、当日いきなり決行!です。夕飯の献立も前もって伝えるのはやめました。これから大人になって生きていくうえで、急な予定変更などいくらでもあるでしょう。子どものうちにその耐性はつけておきたい、と思わないわけではありません。かと言って、早急に身につける必要もないと思っています。少しずつ慣れていけばいいのです。…とまあ要するに私は繰り返される長男の癇癪に懲りたのでした。しかしながら当日いきなり決行することで「急な予定変更」とは無縁になり、長男の癇癪の頻度がグッと低くなりました。長男も私もお互いにストレスが減ったように感じられているので、良しとしておいてください(笑)。現在はだいぶ軽減されたと思っていたけど…そして現在小学5年生になった長男。予定変更への耐性はだいぶついた様子、と私は思っていたのですが、どうやら少しひいき目になっていたようです。それは、学校でプールの授業が予定されていた日のことでした。長男は朝からプールの授業を楽しみに登校したのですが、プールの授業が始まるころに雨がぱらついてきてしまったのです。先生の判断により急きょプールは中止に。朝から楽しみにしていた長男は急な予定変更に耐え切れずに、衝動的に教室にあった椅子を蹴ってしまったのです。私は、長男が帰ってきたあと特別支援学級の担任の先生からの連絡帳でそのことを知らされ、ぼうぜんとしてしまいました。連絡帳に震える手でお詫びの文を書いたのを今でも覚えています。Upload By 星河ばよ後日、学校に行く用事があったため先生にお会いし、お詫びの言葉と共に頭を下げました(ちなみに長男もその場にいました)。先生は優しく笑って「お気になさらないでください」と言ってくれ、続けて「幸いにも椅子は誰にも当たっていない」ということを教えてくれました。とりあえず私は胸をなでおろしましたが、引き続き申し訳なさは消えませんでした。家庭では急な予定変更が起きないように事前に工夫していましたが、事前の対応がしきれずに予定変更になることがあったとしても、長男はだいぶ落ち着いてきたと感じていました。しかし、この一件により長男は予定変更(特に楽しみにしていることの変更)はまだ苦手なんだ、ということを知りました。気持ちの切り替え方を一緒に考えていく小さいころに比べたら少しは落ち着いたけれど、いまだに急な予定変更には気持ちの抑えがきかなくなって癇癪を起こしてしまう長男。幼いころは床に寝転がってジタバタやってる程度でしたが、これから成長をしていって椅子を蹴るだけでは収まらなくなるのではと、先行きが不安になります。話は変わるようですが、長男は寝る前に必ず「本を読んで」と言います(最近ではおもに子ども向けテレビゲーム雑誌の読み聞かせが多いです)。いつもいつも、時間がないときも必ず「読んで」と懇願します。試しに私が「読まないとどうなるの?」と聞いたところ、「(心が)爆発する」と言ってました。癇癪を起こすときもおそらくそういう感覚なのかなぁと妙に納得してしまいました。気持ちの切り替え方について、今はすんなりとはいかなくても大人になるまでに少しずつうまくできるように、長男と一緒に考えていきたいと思っています。Upload By 星河ばよ執筆/星河ばよ(監修:初川先生より)予定が崩れることで癇癪を起こしてしまう長男くんのエピソードをありがとうございます。特性として、見通しがあった方が安心して取り組めるタイプのお子さんの場合、見通しを知らせることは手立てとして有効な面があります。ただ、一方で、長男くんの場合のように、その予定が崩れたときに大混乱するから、だったら知らせない方が逆にいいという場合もありますね。見通しが立ったがゆえに不安がめきめきと高まるタイプのお子さんに対しても、見通しをどう出すと良さそうかというところは検討点になると思います。一般的には、見通しを提示した場合には、成長に合わせてそこに「急な変更が入るかもしれない」ということも言い添えて見通しを出すようにしてゆきます。見通しはあるけれど、変更の余地あり、という幅のある見通しを共有するというものです。長男くんのエピソードを読む限り、急な変更で感情的に荒れるのは自然なことのようにも思います。旅行に行けなくなる、プールに入れない。それはお子さんからしたらきっと悲しく、やるせないことです。単に変更が出ただけでも不穏になるのに、そこに「楽しみにしていたのに」が乗っかっていたらそれはそれはつらかろうと思うのです。そういう意味では、気持ちの切り替え方法をどうするかというよりも、まずは、その悲しみやつらさを別の形で出せるかどうか(そもそもその体中に湧きあがる情動が「悲しい」「つらい」「嫌だ」という気持ちであると同定できるか)というところからかなと感じました。癇癪が起きているときにその話をしても入らないと思うので、収まってから、「悲しかったね」「残念だったね」などの言葉を与え、その湧きあがるものに名前をつけられるといいと思います。そのうえで、「悲しいとき・つらいとき、どうする?」ということを話題にしたいです。床でじたばたしたり、椅子を蹴ったり。感情に飲み込まれてしまうとそういうことをしてしまうのはそうだろうなと思います。しかし、大きな体でそれをやると危ないということ、ケガをしたり何かを壊してしまうと自分や周りの人がそのことで悲しくなってしまうこと(悲しみが増えること)も図解するなどして伝えたいです。「じゃあ、悲しくなったとき、どうする?」。いくつか案を出して、そうなったときに試せるといいですね。そういう意味では学校とも連携して、今試そうとしている方法を共有できているといいと思います。気持ちの切り替えは、その前の爆発的な気持ちの名前を知り、「悲しいね」など、周囲の大人からその感情を認めてもらい、そのあとでようやく気持ちの手綱を握ることができ、切替に至る。そんなふうに考えています。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月12日特性のある子ども2人連れての暗闇体験わが家には、こだわりが強い小学5年生の娘と、感覚過敏で不安になりがちな小学1年生の息子がいます。その2人の子どもとある体験に参加したときのエピソードです。私は以前、視覚障害のある方の世界を体験できる「暗闇体験」に参加しました。自分の身体すら見えない真っ暗な部屋に入り、視覚障害がある人が使う白杖をたよりに90分間のプログラムに参加します。普段当たり前に見えているものが「見えない」という状況に怖さも覚えましたが、誘導してくださるスタッフの方の声、一緒に参加している方の声が聞こえてくると少しずつ不安がなくなっていきました。そして、聞こえる音、触れる感覚を研ぎ澄ますことで、知らなかった世界を知っていき、心まで解放されていきました。帰宅後は、わが子たちにもこの体験の話をしました。娘と息子に話すと前のめりに「行ってみたい!」と言いました。怖がりな息子なので、多少の不安もありましたが、私もぜひ子どもたちに体験してほしいと思い申し込みました。申し込みから「暗闇体験」の当日までは1週間ほどありました。当日が待ちきれない子どもたちは「真っ暗な世界ってこんな感じかな?」と家の中で目をつむって歩いてみたり、イメージを膨らませていました。Upload By ユーザー体験談不安なんてない?誰よりも張りきっていた小1息子はいよいよ、「暗闇体験」当日になりました。その日参加していたのは、私と子ども2人、ほかに4人の参加者がいました。真っ暗な部屋に入る前に、アテンドを担当する視覚障害のあるスタッフが事前の説明を丁寧にしてくださいました。待ちに待ったこのときが来たので、娘も息子も真剣に話を聞いていました。特に息子は、誰よりも張りきっていました。いつもは恥ずかしがり屋なのに大きな声でその場にいるみんなに自己紹介をして、「エイ、エイ、オー!」と言いました。Upload By ユーザー体験談事前の説明が終わると、アテンドの方の指示を聞きながら暗い部屋に入ります。体験したことのない暗さ…私が初めて体験したときは「少し怖い」と思ったけど、子どもたちはどんな感想を持つだろう?そんなことを考えていたら、「むり、むり、むりだ」とさっきまで張りきっていた息子の不安そうな声が聞こえてきました。そして、泣き出してしまったのです。小学生になり、人前で泣くことがもうほとんどなかったので、「本当の真っ暗闇」が心底怖かったのでしょう。私は、手探りで息子を見つけ、息子の手を握って「ほら、お母さんここにいるよ。手もつないでるし、大丈夫だよ」と声をかけてみましたが、息子は「こわい、むり、もう出る」と何度も言いました。どんどんパニックになっているのが伝わりました。娘も、一緒に参加していた方々も、アテンドの方も「大丈夫だよ」「みんないるよ」と優しく声をかけてくれましたが、息子は「こわい、こわい、むりだ」と泣き続けました。Upload By ユーザー体験談息子のパニックに焦る母…。スタッフの方はアテンドの方は、息子と手をつないでくれ、優しく声をかけ続けてくれました。もしかしたら暗さに慣れてくれば不安を乗り越えられるかもしれない、とちょっと希望を持っていましたが、パニックは治まることはなく、どうにも難しそうでした。このままパニックが続くと、周りの方たちに迷惑をかけてしまう。せっかくの体験なのに…、一緒に参加しているみなさんも楽しみにしていたはずなのに…。しかし、同じく楽しみにしていた娘(一度決めたら止めたくない)は途中で帰るとは言わないでしょう。頭の中でいろいろなことが駆け巡ります。それに、ここで私たち親子だけが外に出るというのも、プログラムを中断してしまうことになり申し訳ない…。何が正解なんだ…と焦っているとアテンドの方が息子に「難しそうかな?ほかのスタッフのお姉さんが一緒にいてくれるからちょっとお外で待っててみる?」と聞いてくださいました。その言葉を聞き、息子は安心したのか泣くのを止めて「うん」と言いました。続けて「お母さんがいなくても大丈夫かな?」と聞くと「うん、大丈夫」という息子。真っ暗の部屋の中で、声だけでやり取りしているので、息子の表情は全く分かりません。はじめての場所で、親から離れて待っていることはできるのかな、と心配がなかった訳ではありませんでしたが、顔は見えなくとも息子がアテンドの方の問いかけにしっかりと答えているのを聞き、きっと大丈夫だと信じて、私も「よろしくお願いします」と言いました。ずっと息子に寄り添ってくれたスタッフや参加者の方々息子がほかのスタッフの方と明るい別室で待っていることになり、娘と私、4人の参加者の方と暗闇でのプログラムを再開しました。娘はどんどん暗闇に慣れていき、ほかの参加者の方と会話をしたり、楽しそうな声が聞こえました。息子の件で申し訳ないという気持ちを抱えつつも、娘だけでも参加できてよかったなぁと心の中で思っていました。プログラム終了まで残り15分になったころ、アテンドの方が「息子くんが、戻って来れるみたい」と教えてくれました。どうやら、ほかのスタッフの方と過ごすうちに元気を取り戻し「もう一回行ってみる」と自分から言ったようでした。ほかのスタッフの方と、また真っ暗な部屋に戻ってきた息子は「ただいま!もう、怖くなくなった!」とはじめに入室する前くらいに元気な声で言いました。一緒に参加していた方々も「待ってたよ」「よく戻ってきたね」と迎え入れてくれました。最後の15分は、息子も楽しそうに参加することができました。息子のパニックを見極めて、対応してくださったアテンドの方、スタッフの方、あたたかく息子の気持ちに寄り添ってくださった参加者の方々に感謝の気持ちでいっぱいでした。Upload By ユーザー体験談不安になりがちな子どもに新しい世界を見せる勇気息子はもともと、怖がりで、いつもと違う状況が苦手です。幼稚園のときは、避難訓練などのいつもと違う雰囲気と大きな音が苦手で、その度にパニックを起こしていました。加えて多動なところがあったりするので、周りに迷惑をかけてしまう心配や、本人の負担も考えてこれまでなにかを「体験する」というプログラムを極力避けてきました。新しいことを知ってほしいという思いもありつつも、親の私自身がその勇気が出なかったのです。でも、そんな息子も小学生になり、見通しが立たない状況でのパニックが起こりにくくなっており、本人も「行きたい」と言ったので今回の「暗闇体験」は、きっと息子の第一歩になる!と信じて、私は申し込んだのでした。そんな中での息子の体験中のパニック。あのときに私も娘も途中で参加を止め、帰ることになっていたら「やっぱり息子には、このような体験は無理だったんだ。新しいことに挑戦するのはまだ難しいのかもしれない」といろいろなことに対してもまた消極的な気持ちになってしまっていたかもしれません。しかし、今回、そんな息子に対してあたたかく対応してくださったアテンドはじめスタッフの方々と参加者の方々のお陰で、体験に参加することができ、息子にも乗り越える力があると知ることができました。人によって、できることできないことや、できるようになるペースは違うと思いますが、息子の気持ちを聞きながら、周りの方にも協力していただきながら、少しずつ新しいことにも挑戦してみようと思えるような経験になりました。イラスト/にれエピソード参考/カワカワ(監修:初川先生より)息子さんにとっては、想像していた暗闇よりも、もっともっと暗闇だったために混乱してしまったのかもしれませんね。混乱し怖さに打ちのめされそうになっていても、スタッフの方と外に出て待つと言えたのは、怖がりで新しいことが苦手な息子さんからするとおそらくかなりの成長だったのではないでしょうか。さて、お子さんがパニックのような保護者の方からしても予期せぬ展開を見せたとき。親子でその場を撤退するのも1つの対処法ではありますが、今回のように、スタッフの方々のお申し出やご対応に少し委ねてみる、というのも1つですね。お子さんに日頃接しているスタッフの方(こうしたイベントのスタッフのみならず、学校や地域のイベントでも同様に)ですと、さまざまな予期せぬ展開に慣れていたりうまいことご対応くださったりする場合もあります。お子さんによき体験をしてほしいという思いで運営されていると、今回のように息子さんが“よき体験”と思えるよう計らってくれる(最後、また中に戻ってこられるように安心を取り戻し、そう向けてくださる)こともあります。いつもそうなるとは限らないかもしれませんが、そうした大人は結構いらっしゃるんじゃないかなと思います。お子さんの様子によって、また周りの状況によっても変わってきますが、体験者さんが勇気をもってスタッフさんに少し委ねてみたことそれ自体も、よき体験となられたのではと思います。
2023年03月11日こだわり、絶対音感、集団指導はムリ…発達障害があるわが子の「習い事」体験談ゆきみさんの息子さんのけんと君は、数字、アルファベット、地図など、3歳になるころから興味があるものには一直線!しかし、構音障害があり、集団行動や人の話を聞くのも苦手だったため、習い事に興味はあっても、どんな習い事を選べばいいのか全くイメージがわかなかったそうです。しかし、けんと君本人の強い希望でそろばん教室に通うことになり…。寺島ヒロさんの二人のお子さんには自閉スペクトラム症(ASD)があります。妹のいっちゃんは3歳のとき、まだうまく言葉を話せなかったにもかかわらず、どうしても「やりたい!」と猛アピールの末、ピアノを習い始めました。周囲から将来を期待されながらも、9年間通ったピアノ教室をあっさりと辞めてしまった理由、そして今になってその経験がどう役立っているかなどについて、書いていただきました。まりまりさんの次女は現在小学5年生。2年生の3学期のときに場面緘黙(選択性緘黙)の診断を受けています。小学2年生のとき、大好きな工作や絵を学べる習い事をお姉さんと一緒に始めたそうですが、1年後お姉さんがその習い事を辞めることになり…。吉田いらこさんの長女、ゆいちゃんは小学6年生。小学5年生のときに軽度知的障害、自閉スペクトラム症(ASD)、場面緘黙の診断を受けています。まだ障害に気づいていなかった幼児期から小学校低学年にかけて、ゆいちゃんはいろいろな習い事に挑戦していましたが、1ヶ月ほど経つと行くのを嫌がるようになり、なかなか続けることができなかったそうです。そんな中、ゆいちゃんが今度は「バイオリンをやりたい」と言い始めて…。丸山さとこさんの息子、コウ君は中学1年生。学習塾には通っていませんが、コウ君のひとことがきっかけで、タブレット用の勉強アプリを家庭学習に取り入れることになりました。タブレット学習を始めてみて分かった、発達に凸凹のある子どもならではの「学習アプリ」のメリット・デメリットを、母目線で書いていただきました。さいごに今回の「習い事」特集では、発達ナビライターさんからさまざまな体験談をお寄せいただきました。「今はこんな習い事があるのか!」「わが子にもこんな習い事なら合っていそう」などと参考になるエピソードも多かったのではないでしょうか。親子とも無理なく、楽しく続けられる習い事が見つかるといいですね!コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月11日保育園の行事に参加できなかった息子しのくんは現在4歳11ヶ月、発達障害グレーゾーンの男の子です。しのくんは保育園に通っていますが、参観日や運動会などの保育園の行事では、私を発見するなり駆け寄ってきてしまうので、2歳ごろからずっと行事に参加することができていませんでした。私は、その度にほかのお友達としのくんを比べてしまったり、保護者の目も気になってしまい、「しのくんは、どうしてできないんだろう?」と真剣に悩んだ時期がありました。そんなしのくんですが、4歳直前のころにあった生活発表会では、私の方に来ることなく(来ようとしたが途中で踏みとどまった)、最後まで舞台で演技をすることができて、とても感動したのを覚えています。しかし…成長したと喜んだのもつかの間、次の参観日で…4歳2ヶ月ころにあった保育園の参観日では、しのくんは私を発見するなり教室を出て、またもや私のほうに来てしまいました。教室へ戻るよう促しても、私の近くを離れようとしません…。最終的にはそのまま教室の外で、加配の先生と私としのくんの3人で、参観の時間が終わるまでおしゃべりをして過ごしました。もう、みんなと同じように行事に参加できるようになったと思っていたので、この出来事に私はとてもショックを受けました…。Upload By keikoまたこっちに来たらどうしよう!怖くなった母は…このことがきっかけで、私はその参加日から約2週間後にあった保育園の行事、音楽会に参加するのが怖くなりました。しのくんがこっちに来て、音楽会を台無しにしてしまったらどうしよう!?と思いましたし、カメラに写るのが大好きなので、ほかの保護者のカメラに写りにいって、迷惑をかけたらどうしよう!?という不安が私を襲います…。Upload By keikoたくさん悩んだ末、私は音楽会へ行くのをあきらめました。代わりに、しのくんが言うことを聞く、夫と義父の2人に行ってもらうことにしたのです。2人は「(私が行っても)大丈夫じゃないの?」と言いながらも、快く「行く」と言ってくれて、私は心からホッとしました。保育園の先生からは、私が音楽会に行かないことを伝えると…「お母さん、大丈夫よ。お母さんのところに行ってもいいじゃない。見に行ってあげたら?」と、とても温かいお言葉をいただきました。しかし…当時の私は「もし○○になったら」ばかり考えて、一人で勝手に不安になってしまい…結局音楽会には行くことができませんでした。音楽会は、夫が動画を撮ってきてくれたので見てみると…しのくんは最初から最後まで客席に来ることなく、きちんと参加することができていました。私は、「しのくん凄い…!」とその動画を見て感動しました。Upload By keiko当時を振り返って今思うこと当時を振り返ってみると、やっぱり保育園の先生の言うとおり、ちゃんと見に行ってあげればよかったなぁと思います…。周囲の目を気にするあまり、しのくんの気持ちを第一に考えてあげられなかったことを今は後悔しています。現在、4歳11ヶ月になったしのくんは、もう私のほうに来ることはなく、しっかり行事に最初から最後まで参加できるようになりました。もちろん、行事を見に行くときの不安は今もあります。ですが、不安な気持ちはしのくんにもあると思うので、お互いの不安を和らげるためにも、今日は○○なことがあるからね。と状況を先に伝えておくようになりました。この件を忘れずに、親子で見通し不安に負けないように事前にできる準備はしつつ、そして何より、しのくんの気持ちを第一に考えて行動していきたいと思います。執筆/keiko(監修:初川先生より)自分のところに来てしまうかもという不安から音楽会の参観を見送られたエピソードをありがとうございます。その判断はさぞ葛藤されたことだろうと思います。自分のせいで、子どもが発表を抜けて、台無しにしてしまったらどうしよう。そして、そんなわが子の姿を見てしまったら、ほかの子どもとの違いにいたたまれない気持ちになるに違いない。さまざまな思いがあったことと思います。さて、思うには、未就学児の子どもたちにとって、保護者参観日は特別なものでありつつも、一方で、日常の延長でもあるんだろうと感じます。つまり、本番だからちゃんとやる、そういう気持ちや理解はいつごろ育つんだろうかということです。本番だから頑張る、お母さんやお父さんが見ているから頑張る、そういう意識が育つのは結構個人差があるのではないのでしょうか。例えば、「明日はお母さんが見に行くから、一番かっこいい演奏聞かせてね!」という約束をしたとして、それが実行されるのだとしたら、それはそれで約束を覚えていて、不安緊張興奮さまざまありつつも実際そう振舞えるというなかなかのマルチタスクだと思うのです。親のところに来ずとも、気分が乗らずに、あるいは普段との違いから緊張するなどして練習通りにはできない子どもは少なくないでしょう。本番を本番として、最高のものをと思うのは実は大人だけで、子どもはもっとのびやかに、あるいは自分の不安などの気持ちに正直に過ごしているのかもしれないと感じます。子どもによっては、(より日常に近い)リハーサルの方が得意なお子さんもいます。本番にだけ特別な価値を置くのはやっぱりちょっともったいないなと感じてしまいます。非日常でありつつも、やっていることは子どもたちからしたら練習や日常と同じことで、そこに大好きなお母さんお父さんがいたらそこに惹かれるのは自然な反応だろうと思うのです。そういう意味で参観日におけるお子さんの発達がどんなものかを知るという意味で、「また(まだ)お母さんのところに来ちゃったね」で本来はいいのだろうと思います。いずれそのあたりが育ち、「もうお母さんのところに来なくなったね」の日が来るでしょう。しのくんは、お母さんが音楽会に来なかったことをどう思っているのか、そこがちょっと気がかりです。どんな姿であれ、お母さんに見ててほしかったんじゃないかなと思います。大人は子どもが立派にやっていると自然と褒める言葉が出てきたり、笑顔になったりしますが、でもその際の「立派」とは結構相対的なものではないか(ほかの子どもと比較していないか)というところは気を付けておきたいところですね。難しいのは行事だと練習の成果の場として設定されがちなので、どうしてもまなざしが評価的になびいてしまいます。もちろんよきことはよきとしても、でも、どちらかというと、子どもがぐんぐん日々育ちゆく中の一端を見ているにすぎないので、まだお子さんが「本番だから」を真に理解し自分のモチベーションもそこに持っていけるまでは、あくまでも行事設定の日常場面を参観しているという心持ちでもいいのではと思います。そうは言っても、周りのお子さんや保護者の目が気になったりするのはあるだろうなというのも分かります(なので、多かれ少なかれ葛藤されるのはあるだろうなと思いつつ…)。そして、親がわが子の振る舞いや言動に不安になるのはよくあることですが、それをお子さんにぶつけないことは大事なことだなと感じます。保育園の先生に「行かない」ことを話せたのはよかったですね。行くか行かないか迷う、うちの子ちゃんとやれるか不安。そうした気持ちはお子さんとの間で話し合うよりも、園の先生にお知らせしたり、パートナーと話し合ったり、大人の間で抱えていくとよいと思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月10日良いことだらけと聞いていた療育手帳Upload By カタバミ療育手帳を取得するということに身構えてしまう方は多いと思います。でも私は、まちゃが2歳10ヶ月で正式に自閉スペクトラム症と診断されてから週に1回発達センターで療育を受けつつ、発達障害のあるお子さんがいる友人がSNSで「療育手帳を取得したら良いことがたくさんある」と発信しているのを読んでいました。でもそのときはまだ発達障害に関して、特に制度に関することは分からないことだらけで「療育手帳というものがあるのか」とぼんやりとしか分かっておらず、すぐにまちゃに療育手帳を取得させようとは思っていませんでした。思い返すと、発達センターにも通い始めたころで、これからメキメキと成長するかもしれないと考えていたと思います。療育手帳と受給者証って何?Upload By カタバミ2歳の後半から週に1度、まちゃは発達センターで少人数での療育を受けるようになり、私は療育に集まるお子さんたちが児童発達支援事業所というものにも通っていることを知りました。そして児童発達支援事業所に通うには受給者証というものが必要だということも教えてもらいました。児童発達支援事業所に通うには必要なものがあることがだんだん分かってきたころ、まちゃの2歳年上のお姉ちゃんの幼稚園の同じクラスにきょうだいに障害のあるお子さんがいるママがいて、お話をする機会があり、思い切って質問をしたら受給者証と療育手帳の取得についてとても丁寧に分かりやすく説明してくれました。また同じころにほかのママが「療育手帳を持っていると利点がたくさんある」と話しているのも聞きました。私はまずは受給者証がほしかったのですが、療育手帳についても持っていた方がまちゃのためになると聞いていたので、療育手帳の取得と受給者証の取得を同じ時期に決心しました。取得のための相談窓口というところに緊張して電話をしたら、いつもの発達センターにつながったのでホッとして脱力したのを覚えています。すぐにまちゃの担当の臨床心理士に話がいき「まちゃくんなら取得できるだろう」と言われて、許可が必要だったのかと意外に感じたことも覚えています。児童相談所での発達検査Upload By カタバミ療育手帳の申請をしてから約2ヶ月後に児童相談所で発達検査がありました。まちゃと同室か別室で待つか聞かれて私は同室を選びました。優しい声の若い女性が問題を出してくれたせいかまちゃはリラックスしていて、パズルの問題などは前のめりになって考えて応じていました。しかし「これをこうしてください」など、言葉で説明される問題に入った途端、まちゃは困ったようなはにかんだ表情になりました。このころは今よりもっと発語もなかったため、私にはしゃべることができないまちゃが『問題を解きたいんだけど、何を言ってるのか分からないよ〜』と言ってるように見えました。まちゃは機嫌も悪くなく、やる気もあるけど本当に分からないようで、そこからあとの時間は私へのまちゃに関する長い質問タイムになりました。私は「まちゃはこんなこともできる」「あんなこともできる」と、無意識にまちゃはいろいろ理解していてできることも多いと説明したと思います。発達検査のあとUpload By カタバミ発達検査によってまちゃには知的障害があることが分かり、小児科医から知的障害の程度は「軽度よりの中度」と言われました。今から考えると遅過ぎてあきれますが、そのときになってようやく私は療育手帳の重みを感じてショックを受けた気がします。「まだ幼いので今後言葉が出れば結果はガラッと変わりますから落ち込まないように」と言われました。そのあと、発達センターの療育の先生からも「療育手帳の取得のための検査は言葉が出ていないと低く出るんですよ」と言われました。でも、数週間後にかかってきた児童相談所からの電話では「身辺自立などできていることも多いので軽度です」と言われました。良かったのか悪かったのか分かりませんでしたが、とにかくまちゃは軽度の知的障害があるということで、療育手帳を取得し、私は2年後の更新のときまでになんとかまちゃから言葉が出るようにしようと思いました。私は前もって情報があったのでそんなに構えずに療育手帳を取得しました。夫も止めませんでしたが、親戚は驚いて悲しむかもしれないと考えて黙っていました(今は話しています)。私は自分の経験から、療育手帳を取得するのは特に制度の面では良いことが多いですが、結果を受け止めるのは人によっては大変なので、親御さんと場合によってはご本人がいろいろな情報をよく聞いて調べて決めるのが良いと思います。執筆/カタバミ(監修:藤井先生より)療育手帳の取得の際の発達検査だけでなく、病院や療育センターで行われる発達検査の結果を聞いて、ショックを受けたというお声を聞くことがあります。しかし、小児の発達検査は、年齢が幼いお子さんの場合は特に、将来的な発達指数と直結するとは限りません。療育やご家庭での働きかけ、お子さんの特性によって、変わっていくこともあります。療育手帳を取得することでのメリットもありますので、事前に調べて決められることをおすすめしております。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月09日娘の食事中の姿勢の悪さが気になる!自閉スペクトラム症(広汎性発達障害)の診断を受けている小6の娘。食事中、テーブルに近すぎてよくコップを倒してしまうので食事中の姿勢が気になっているのですが、アドバイスをしてもこだわりからか聞いてくれず…。そんな悩みを児童精神科医の三木崇弘先生に聞いてみました!――SAKURA(以下、――)夫が気になっているということで、食事中の姿勢について質問です。娘は普段特別姿勢が悪いということではないのですが…食事をするときに、ものすごく机に近づいてしまいます。三木先生:具体的に、どういう感じですか?――えーっと…椅子、娘、机のそれぞれの距離が、全くないぐらいですね。Upload By SAKURA――私は、そこまで気になっていないのですが、夫は、明らかに違和感のある姿勢を、どうにかしたいということでした。三木先生:その姿勢でなにか生活に支障はありますか?――机に近すぎるので、手が動かしにくいようで…よく食べ物をこぼしたり、コップを倒してしまったりしてます。あまりに近すぎるので、「机とお腹を拳一個分離して」と具体的に指示してますが、どうにも落ち着かないようで、結局、元の姿勢にすぐ戻ってしまいます。本人のこだわりなのか「これじゃ無理!やりにくい!できない!」と言ってます。でも、その状態だと一つひとつの動きが遅くなります。Upload By SAKURA三木先生:例えば、食器を離してみるなどはどうでしょうか?――やってみましたが、食器を離すと、結局気になるようで、すぐに近づけてしまいます。Upload By SAKURA三木先生:ASDの特性的に、お腹に机がくっついている状態、全部が近い状態が、安心するのかもしれませんね。コップを倒したりするのも、たまになら許容範囲と言うことでよい気がしますが…――あ、結構頻繁です(笑)三木先生:なるほど(笑)マナー的な部分を教えていくと良いかもしれませんね。どんな場所とか、どんな相手とか、「そういうときにはちゃんとしようね」と話していくのもいいかもしれません。相手があーさんの姿勢の悪い状態を見たり、頻繁にものをこぼしたり、倒したりしたら、どう思うかとか、自分の姿勢優先じゃなくて、そのシーンによって臨機応変に対応しないといけないことがあるという部分を教えていくとか。今、小学6年生ということなので、「中学生になったら、大人の仲間入りだから、素敵な姿勢がかっこいいよ」といった声かけで、姿勢も意識させたらいいのかもしれません。Upload By SAKURA――あ、たしかに!今、大人と同じ扱いをしてほしいって気持ちがあるみたいなので、いいかも…!姿勢の悪さは体幹も関係してるかも?三木先生:あと…姿勢が悪いのは、体幹が弱いのかもしれません。――体幹!たぶん弱いです…運動も嫌いで、筋力もないので(笑)Upload By SAKURA三木先生:体幹が弱いと、姿勢を維持できないので。バランスをとることが重要なスポーツにチャレンジしてもいいかもしれませんね。乗馬や、サーフィンなどが姿勢にいいと言われていますが、なかなかチャレンジさせるのは難しいので、バランスボールなども家で手軽にできてオススメです。Upload By SAKURA運動で体幹を鍛えれば少しずつ姿勢なども変わっていくかもしれません。あとは本人の試行錯誤ですね。原因として怪しいものからトライしていくといいです。――なるほど!やってみます!Upload By SAKURA執筆/SAKURAコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月08日学校行事で困る!本人が一番つらそうにしているな…と感じるのは、学校行事で未知の場所に行くことです。家族旅行ではなんの困りごともないのですが、学校行事は不安でいっぱいになってしまうのです。遠足・社会見学・修学旅行など、小学校にはたくさんの行事があり、新しい場所に行くことをワクワクして楽しみにしているお子さんも多いと思いますが、ゆいにとっては大きなストレスになっていて、楽しむどころではなさそうです。当日がせまってくるとどんどん元気がなくなり「怖い、嫌だ」と言うようになっていくのです。つらそうなゆいを見ていて「こんなにつらいなら行事を休ませるのもアリかな」と思ったこともありました。けれど、ゆいには不安はあるけれど、行事に参加して友達と楽しみたいという気持ちもあるのです。なので、なるべく不安を取り除いて参加させる方針にしています。小学3年生の遠足のとき、ゆいが不安がって登校するのを嫌がったことがありました。(そのときの私は、ゆいの障害や特性についてまだ知らなかったため、わがままを言っているのだと思い込み、無理やり登校させてしまいました。今思い返してみると、かわいそうなことをしてしまったな…と思います。)しかし、この出来事があったことで、徐々にゆいの不安な気持ちに向き合うようになりました。今では、少しでも安心して学校行事に参加できるように、ネットを使った「下見」をするようになったのです。Upload By 吉田いらこお役立ちのアプリまずは施設のWebサイトを確認します。施設の画像やフロアガイドで全体像を把握できるようゆいに見せています。そのほかSNSなどにいろんな方が投稿されている施設の画像も、ユーザー目線で分かりやすくとてもありがたいです。とくに詳細画像でなくても、ゆい本人にとっては見るだけで安心材料になっています。また、徒歩圏内の施設だと地図アプリで行き方を確認したり、実際に行ってみたりもします。Upload By 吉田いらこ遊園地の楽しみ方ゆいと小さいころに遊園地に行ったことを思い返すと、屋内のアトラクションを怖がる傾向にありました。当時は「入口が暗いから怖いのかな?まだ幼いし、そりゃ怖いよね」と思っていたのですが、暗いことが怖いのではなく、中で一体何が行われるのか分からないことが怖かったのかもしれません。屋外のアトラクションなどは、これから先の流れが一目瞭然なので安心して乗ることができていました。また、テーマパークによっては、ゆいのように不安が強い人たちをサポートする冊子が準備されている場合があります。この冊子には全てのアトラクションの写真と、大きな音が鳴る・フラッシュがたかれるなど効果の説明が載っています。いわゆるネタバレになってしまうのですが、ゆいのように、何が行われるか分からないことで不安を強く感じてしまう子どもでも、アトラクションが楽しめるよい配慮だなとうれしく思っています。Upload By 吉田いらことにかく予習をたくさんしておく下見は手間も時間もかかりますが、このように工夫すれば初めての場所にだって行けるんだということが分かるのは、本人にとって良いことだと思います。できた!という体験を何度も重ねていき、いつか一人でも気楽に外出できるようになる日が来たらいいなと思っています。執筆/吉田いらこ(監修:初川先生より)遠足や社会科見学等を不安に感じるゆいちゃんが安心して行事に臨めるための工夫のシェアをありがとうございます。何が起きるか分からないところへ出向くのは不安になるのは多かれ少なかれみなさんありますが、「楽しむ」レベルを超えて不安になってしまうと、せっかくの機会がもったいない面がありますし、何より、ゆいちゃんは完全に拒否をしているわけではなく、楽しみたい気持ちもあるわけで(それに気づいているゆいちゃん本人もいらこさんも素敵です)、だとしたら、少しでも安心した気持ちで臨めるように、と工夫するのはとても大事なことですね。今はさまざま情報が出ているので、ネットで調べたり、SNSで調べたり、写真を見たり、地図を見たり、または予習として事前に行ってみたりして、安心して臨めるようにする。ネタバレではあるのですが、大事なのはそこで初めて知って驚くことではなくて、安心して参加して「楽しかった」と思えること。不安要素がいっぱいあるならそれを減らして、ゆいちゃんの場合は、「友達と一緒に楽しく過ごしたい」に注力できるようにする。素敵な手立てだと思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月07日高校生までは感じづらかった「見通し不安」、大学生になり感じた「自由」の恐怖高校生までは特に見通し不安を強く感じた記憶はありません。学校や塾にいる間は学校や塾の時間割に従っていればよく、生きている世界も狭くて役割も限られていたため、家では親の管理に受動的に従っていればよかったからです。そんな私も大学に入り、自分でスケジュールを決める必要が出てきて、生きる世界もぐっと広がりました。ここで私は面食らうことになります。最初の壁は履修登録でした。大学の履修登録では、自分が何をどれくらい学ぶのか、何曜日の何時に何コマの授業をとるのかが完全に自由です。その代わり、留年したり成績が悪くなったりしても自己責任。学生課でシラバスを受け取ったときに、辞書ほどもあるようなその分厚さにめまいがしたのを覚えています。私の通っていた大学では、学生課が出している正規のシラバス(私が面食らった分厚いもの)と、学生たちの間で出回っている裏情報的なシラバス(この授業は履修するだけで単位がとれるとか、「代返」が可能とかが載っている)がありました。そのほか、学生課から配られる、履修登録のしかたについてのさまざまな資料。こうした大量の情報の中から自分に必要な情報を取捨選択し、自分だけの時間割に落とし込んでいくのは至難の業でした。普通の学生なら、学生課に質問に行ったり、あちこちに電話をかけたり、すでにうまいこと獲得していた友達・先輩からいろいろ聞いたりして効率のよいやりかたにたどりつくのでしょうが、コミュニケーション障害がある私にはそれがうまくできませんでした。もともとのコミュニケーション障害に加え、社交不安症のような症状も出ていた私。ちょっとした問い合わせの電話1本かけるのにも小一時間緊張して迷って、声と手を震わせ心臓をバクバクさせながらなんとかやるという感じでした。このため、資料を見ているとちょっと分かりにくくて本当は誰かに聞いたほうがいいんだけど… というようなことを、聞くのが怖いものだから誰にも聞かずにそのまま済ますという回避行動に出ることもありました。社会人になってからも感じた、スケジュール管理への不安30代になって結婚を機に実家を出、トラウマ治療を受けるなどするうち、社交不安症のような症状はほとんどなくなりました。調子を崩していたのが、だんだん在宅で働けるようにもなります。しかし、こうして元気になって働けるようになってからも、スケジュール管理には難しさを感じることがありました。在宅のフリーランスのため、働く時間は完全に自由で、仕事が入ってくる時間もランダム。そして、家事担当として、やるべき家事もあります。こんな中で自分なりのリズムを見つけるのには非常に苦労しました。昔から出先で体調を崩したりすることが多いため、夫が休みの日に当日になって急に「どこそこに行こう」などと言うのにも困りました。最低3日前ぐらいには言ってもらえないと、自分なりに体力の配分したり、行き先や行く手段がどんな環境・条件なのかを下調べして備えておいたりすることができないからです。しだいに、自分は「いつどこでどのように何をするのか」の見通しを立てられる程度まで情報を得て整理しておけば、見通しに関する不安が軽減するのだ、と理解していきました。このため、新しい仕事をするときにはまずどの作業にどれくらいの時間と手間とストレスがかかるのかを把握するように努めています。夫との外出に関する連絡については、なるべく早めに言ってもらって、突発的な予定変更がないように頼んでいます。ネット社会がくれた救いいまの社会がネット社会であることには、デメリットもありますが、24時間どんなときでも手軽に多くの情報を集められることには大きなメリットを感じています。以前だったら電話をかけたり図書館や役所に行ったりして調べなければならなかったことが、手元のPCで手軽に調べられる。これは、私が自分の今後について見通しを立てるときに大いに役立っています。数日後に行く美術館についても、いま通っている資格学校のカリキュラムについても、いまとろうとしている資格の数十年後の見通しについても、いくらでも調べられるのですから。ネット社会がくれる大量の情報をうまく取捨選択しながら、自分のスケジュール管理に活かしていこうと思っています。文/宇樹義子(監修・鈴木先生より)最近はスマホで予定の管理をする人が増えています。対面が苦手なASDの人にはネット社会は確かに救いです。しかし、言葉のキャッチボールができないので誤解や間違いが生じる危険性も潜んでいます。仕事の種類にもよりますが、一般の企業だと急に仕事が入ったりして予定が変わることが多々あるので、決められた仕事を確実にこなせば時間通りに帰れる公務員などが比較的向いていることが多いです。あるいは、気兼ねなく自宅でできる自営業などもいいでしょう。自宅から通っている人は親御さんがいろいろとやってくれることが多く、大学や就職などで一人住まいになってから初めて不注意や不安症状が強く表れて困り、外来を受診するケースが増えています。ADHDは3種類のお薬で、社交不安症はSSRIというお薬で調整することが可能です。困ったら早めに神経発達症の診断のできる精神科へ相談することが肝心です。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月07日「クレーンではなく言葉で伝えてくれたら…」自閉スペクトラム症のある子どもの保護者発達障害の専門家が出会った子どもたちや、その保護者の抱えていたリアルな「困った!」をもとに、対応策などをドキュメントタッチで解説します。今回は、ほぼ発語がない自閉スペクトラム症(ASD)のある子どもとのコミュニケーションの悩みにまつわるエピソードです。Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談マンガ/taeko解説:クレーンも言葉も、コミュニケーション手段の一つーー言語聴覚士今回は、自閉スペクトラム症(ASD)のある子どもとのコミュニケーションに悩む保護者のエピソードをもとにマンガ化してお届けしました。発達障害のある子どもの保護者の方から「クレーンではなく、言葉で伝えられるようになってほしい」というご相談をよくいただきます。マンガでも描いていますが、大切なのは「クレーンも指さしも言葉も、コミュニケーション手段の一つである」という考え方です。ポイント1.今、子どもが手段としているコミュニケーションを受け入れるポイント2.子どものコミュニケーションについて、場面と手段を整理して、伝えたい意図を確認する例えば、場面:お腹が空いている手段:保護者の手を取って冷蔵庫の前に誘導するなど。ポイント3.指さしや発語といったコミュニケーションにつなげるために、同じ物を見て、ことばで伝えることや顔(表情や口形)への注目の機会を増やす同じ物を見て言葉を伝えたり、物を指さしながら名前をはっきり言って口の動きを見せるようにしましょう。ポイント4.絵カード等を活用することで、要求やコミュニケーションにつなげていくマンガのように、物が近くにない場合にも伝える手段として有効です。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月06日卒園と同時に引っ越しわが家は主人の仕事の関係で娘の幼稚園卒業と同時に関西から関東地方へ引っ越しました。転勤が決まったのが3月だったので、私たちは卒園式を終えてすぐにバタバタと引っ越しをすることになりました。転居先での支援継続のため、私は娘が療育を受けていた施設に依頼して、娘の発達検査結果や引継ぎの書類をつくってもらいました。また、就学時健康診断を受け入学予定だった小学校に連絡をして転出の手続きをしました。娘は仲良しのお友達と、そして私は娘が未就園のときから付き合いのあったママ友とお別れです。彼らとの別れの際には涙が出ましたが、見知らぬ地に引っ越すことに私たちはそれほど不安は感じていませんでした。今にして思えば無知(小学校とはどんなものか、これからどんな問題が待ち受けているのかを知らなかった)だからこそ不安を感じなかったのかもしれません。妊娠初期の引っ越しこのときはちょうど第二子の妊娠が分かった時期でもありました。決まったのが急だったこと、転勤先が遠方で土地勘がなかったことなどもあり、引っ越し先の物件選びは「主人の会社に通いやすい場所」「それまでと似たような間取り」「同じような家賃」ということだけを指定し、あとはすべて不動産屋に任せていました。引っ越しは、梱包・開封サービスを使い身体に負担が少ないようにしましたが、第一子(娘)のときと同様につわりが重く、引っ越しの準備作業や移動の際も私はよく吐いていました。引っ越しが済むと私はすぐに、近くのスーパーや病院(産婦人科)を探し、学区内の小学校に入学手続きをしに行きました。近隣のお宅に挨拶をしたときに、通学路と登校班のことを教えてもらいました。入学まであまり日数はありませんでしたが、私は何度か娘と学校までの通学路の確認をしました。登校初日、娘が行方不明に娘の学校では、1年生はしばらくの間、集団下校をすることになっていました。登校班の班長さんに「帰りは○○交差点付近まで学校の先生が引率してきてくれるから、お母さんはそこで待っていれば良いと思う」と言われ、私は下校時間にそこで娘を待っていました。1学年が6クラスあるマンモス校だったので、先生は子どもたちを複数のグループに分けて引率していました。いくつかのグループが私の前を通り過ぎましたが、その中に娘はいませんでした。予定の時間を20分以上過ぎても娘が来る気配はなく、私はもしかして気づかないうちに娘が通り過ぎてしまったのかもしれないと思い、一度帰宅しました。でも家にも娘はおらず、私は学校に電話をしました。電話を受けた先生は着任したばかりだったようで、担任の先生の名前を伝えてもすぐには分からないようでした。児童数が多いということは当然職員数も多く、電話口からは新年度開始直後で先生同士の連携がまだうまくいっていない様子が伝わってきました。結局、担任の先生に聞いても引率した先生に話を聞いても、娘がどこでいなくなったのかは分かりませんでした。引っ越してきたばかりで娘は通学路以外の道をほとんど知りません。私は家の周囲を中心に探しましたが娘の行方は分からないままでした。探し始めて1時間が過ぎたころ、学校の先生から「教員が手分けして探します。娘さんと入れ違いになるといけないので、お母さんは自宅にいてください」と連絡がきました。自宅で連絡を待つ間、私は生きた心地がしませんでした。1時間半後私の携帯に電話がかかってきました。それはコンビニの店員さんからでした。「娘さんがずっとお店の前にいたので声をかけました。帰り道が分からなくなってしまったそうなので、ランドセルの中に書いてあった緊急連絡先にお電話しました」そこは自宅から一番近いコンビニでした。私はすぐにお店に向かいました。店員さんにお礼を言うと「娘さんは泣くこともなく、えらかったですよ」と言われました。娘は小さいころから人見知りもなく、迷子になっても泣かない子どもでした(そのせいでいつも親はひやひやしていました)。このときは私の方が安堵で泣きそうになりました。迷子の経緯私は帰宅後、娘にどうして迷ってしまったのかを聞きました。娘の話によると、集団下校のとき、娘は同じ方面のお友達(初対面)と手をつないで歩いていたけれど、その子は途中で別のルートに分かれる子だったらしい。それに気づかず、ずっと手をつないでいて、そのままその子の下校ルートについていってしまった。引き返す途中で迷ってしまいコンビニ付近にたどり着いた。コンビニは家の近所だったけど、通学路からは外れていて、一人では行ったことがなかったので帰り方が分からなくなってしまった。ーーということでした。学年主任の先生に経緯を話すと「近所なのにどうして道が分からないのですか?通学路の練習はしましたか?」と言われました。いろいろと言いたいことはありましたが私は「まだ引っ越してきて2週間ほどなので。」とだけ伝えました。そのとき私は心身共に疲れ果てていて、娘が無事に帰ってきただけで充分だったのです。翌日病院で翌日は予約していた産科の受診日でした。そのとき、医師から胎児の心音が聞こえないと言われました。Upload By 荒木まち子この時期の流産は『止めることができない流産』なので、行動などが原因にはなりません。それでもショックは大きいものです。私はその後、流産手術(子宮内容除去手術)を受けました。引っ越し、娘の迷子、流産、手術...本当にいろいろなことが重なった時期でした。「仕方がないこと」だってある手術後の安静期間、私はしばらく悶々としていました。「入学前からもっと学校と打ち合わせをしておけば良かった?」「そもそも引っ越し先を不動産屋任せにせずに、わが子に合った環境を第一に考えた地域を自分で探すべきだったのか?」そしてその後、娘は『療育の空白期間』に突入します。私のように、引っ越しや親の体調、きょうだい児の世話、祖父母の介護などで身動きが取れなかったり、周りに助けを求めることができない状況になってしまう人も少なくはないでしょう。でもそれは「仕方がないこと」なんだと私は思うのです。経験値爆上がり私も娘も身をもって経験しなければ分からないタイプです。私が23年間で七転八倒しながら身につけたのは、決して模範的な子育ての方法などではなく、『ベストを目指すんじゃなくてベターを選ぶ』とか、『“受け入れる”と“受け流す”の塩梅』だとか、「あのときは仕方なかったよね」と割り切る図太さだったんじゃないかと思っています。まぁ、身につけたといっても常にうまく対応できているかというとそうでもなく、いまだに子どもがらみの問題や困難に直面しては心が乱れ「どうしたものか」としょっちゅう悩んだりしていますが。ガス抜きや時薬(ときぐすり)を用いながら前へ進むしかない子育て。おかげで私の『経験値』は着実に上がっています(笑)。執筆/荒木まち子(監修:新美先生より)長年のご経験を振り返っての体験談をお聞かせ下さいましてありがとうございます。小学校入学という節目の引っ越しは本当に忙しく大変だったことと思います。準備の期間もほとんどなく、引っ越しでそれまでの関係性がなくなってしまい、どこに相談したらよいのかも分からない、お子さんのこれまでを知っている人がほとんどいない中で、小学校入学という大きな環境変化が重なり本当に大変としかいいようがないです。つらいこと大変なこと、さまざまなことが重なる中で、「『仕方がないこと』もある」と前を向ける荒木さんの強さに敬服してしまいます。なかなかそのように割り切れることばかりではないでしょうが、経験談としてお話しいただいたことで、読者のみなさんがいざというときのイメージをもつきっかけになったらいいなと思います。メインテーマとずれてしまいますが、入学時の登下校については、思いもよらないアクシデントが起きることは本当によくあります。付き添うか付き添わないか、付き添う場合いつまでか、学童や放課後等デイサービスを使うか使わないか、GPSを持たせるかどうかなどよく検討し、いくら検討しても実際には想定外のことが起きてしまうものだと思っておくしかないかもしれません。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月06日ADHDと自閉スペクトラム症(ASD)傾向のある娘わが家には、ADHDと自閉スペクトラム症(ASD)の傾向がある長女(現在は成人しています)と、重度知的障害がある次女がいます。今回は、長女の小学校での出来事をお話しします。長女は、発達障害の正式な診断は受けていませんが、小さいころからコミュニケーションが苦手で、「空気が読めない」ことがたびたびありました。次女と一緒に発達支援施設に通いながら、先生方に成長をサポートしていただき、地元の公立小学校の通常学級に入りました。行き渋りなどもなく元気に通っていたのですが…。小学5年生に進級したばかりのころ。担任の先生が授業の終わりに、「今日の授業がつまらなかった人は手を挙げてください」と問いかけたそうです。もちろん先生が冗談で言っていることを理解して同級生は誰も手を挙げなかったのですが、長女だけが素直に手を挙げてしまいました。それをきっかけに、担任の先生から無視をされるようになり、クラスの中でもいじめられるようになってしまったのです。Upload By ユーザー体験談中学校進学への不安、発達支援施設の先生に相談をするとなぜ、先生はそんな問いかけをしたのでしょう。小学校生活は残り2年あります。そして、このまま同級生たちと同じ公立中学校に進学したらどうなってしまうのだろうか…。不安で仕方がありませんでした。そこで、次女がお世話になっていた発達支援施設の先生に相談をしました。すると、「私立の中学校のなかには、発達障害などの特性がある子どもを受け入れていて、対応にも慣れている学校があるのではないか」とアドバイスをいただきました。「私立中学校という選択肢があるのか!」私たち夫婦は目からうろこでした。当時住んでいた地域には私立中学校がほとんどなく、中学校受験をすることなど考えたこともありませんでした。Upload By ユーザー体験談ただ夫婦で相談し、「このままではいけない」という思いに突き動かされて、急いで情報を集めました。今はインターネットで発達障害などがある子どもへの支援体制、保護者からの評判なども容易に調べられる時代ですが、当時は頼れるものといえば本のみ。塾も比較したりはできず、家から一番近いところに通うことにしました。あとから知ることになるのですが、中学校受験の準備を小5から始めるのは、かなりギリギリでした。それでも、長女がその気になってくれたのが救いでした。一緒に学校見学にも行って、「楽しそう!ここに通いたい!」と思えたことが、さらなるやる気を引き出してくれたように思います。Upload By ユーザー体験談中高一貫校に進学し、家族で引っ越しもそうして、なんとか中高一貫校の女子校に合格することができました。夫婦で心からホッとしたのを覚えています。それを機に、家族で引っ越しもして、まさに心機一転。つらい思いをした長女の環境を大きく変えることができました。進学した中学校の面談では、先生が「大丈夫ですよ」「同じようなお子さんもいらっしゃいますよ」と言ってくださったので、特性も含めて娘のことを受け止めてもらえているという安心感がありました。好きなことを見つけて大学にも進むことができ、6年間、長女を支えてくれた先生方や友達に感謝しています。Upload By ユーザー体験談もちろん、小学校のときも長女の特性を理解し、対応してくれた先生もいたのだろうと思います。ただ、本当に一つの出来事をきっかけに、学校生活が一変してしまいました。受験準備や引っ越しなど大変なこともありましたが、娘の話を聞いて早めの決断ができて本当に良かったです。その後は高校、大学受験をし、社会人となりました。現在も空気が読めないなどの特性はあるものの、支援を使いながらも家を出て生活をしています。これからも自立した生活ができるように、何かあるときには影ながらサポートなどをしていければと思っています。イラスト/taekoエピソード参考/booskaコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月04日立っても立たなくても不安のもと?コウと『見通し』の関係Upload By 丸山さとこ神経発達症(発達障害)がある子どもの中には、『見通しが立たないことによる不安やストレス』が大きく、困ったり悩んだりするご家庭も多いだろうと思います。ASDとADHDがあるコウも幼いころは見通しが立たず、パニックを起こすことがしばしばありました。コウにとって、見通しが立たない状況はイベントや初めての場所などの『非日常的な状況』だけではありませんでした。今思い返すと、見通しが立たないことによる困りごとは、むしろ日常の中にこそたくさんあったと感じます。コウは運動会や発表会などのイベントでは大きなパニックを起こすことは少なかったと思います。不安になったり怖がったりすることはいくらかありましたし、ストレスはあっただろうと思いますが、どうしていいか分からずに立ち止まったりウロウロしたりする姿の方が強く印象に残っています。Upload By 丸山さとこ「見通しも立たないし右も左も分からない」という雰囲気で集団から外れたり一人違うことをしているコウを見ていると、見通しどうこうの前に『今ここは何をするシーンなのかということを気にも留めていないのではないかな?』と感じました。一方、日常生活の何気ない状況では「こうなるはずだろう」というコウなりの見通しが立つからこそ、それが崩れたときは強いショックがあったようです。その傾向は特に小学1年生ごろまで強く出ており、靴1足やパン1個でパニックを起こして親子でヘトヘトになったこともたくさんありました。例えば、コウが保育園児のころ水遊びをするために一旦靴を脱がせようとしてパニックになったことがありました。『外では靴を履かなければならない』と泣き叫ぶコウをなだめながら取り押さえつつ、「サンダルに履き替える途中だから!水遊び用の靴にしよう!!」と話しかけたところで「あっ……水遊び用の靴に履き替えないとパニックになる、ヤバイ前例をつくってしまったのでは…?」と、ゾ~ッとしたのを覚えています。Upload By 丸山さとこ幸い、その後水遊び用の靴履き替えへのこだわりは発生しなかったので「よかった~…!」と胸をなでおろしました。これは、食べている途中のバナナが折れて『このバナナを折らずに食べたかった』と泣く幼児のようなものと思えば、そう珍しくない反応と言えるのかもしれません。自分の見通しが崩れてショックを受けることは幼児どころか大人にだってよくあることです。とはいえ、コウの「こだわり」と表現されるほどの『自分の立てた見通しへの執着』と、それが崩れたときの絶望やパニックを見ていると、「いや~…分かるけど分からんわ~!ケタが違いますわ~!!」と空を仰ぎたくなったこともありました。コウの見通しとこだわりが穏やか(?)になるまでとはいえ、小学校1年生ごろまでのコウは見通しが立たずパニックになりやすかった反面、アッサリとした切り替えの良さがありました。パニックに関しては、成長に伴い少し見通しが立つようになってからの方が大変だった覚えがあります。全く見通しが立たない状態よりも『こうなるはずだった見通し』にこだわり、それ以外の選択肢が目に入らないケースが増えてきたからです。小学2年生~小学6年生の間は、見通しが立つようになったことで減ったパニックもあれば『見通しが立つことで起きるパニック』は増えたりもしていて、「成長に伴い楽になることもあれば大変になることもある…の繰り返しだなぁ」と感じていました。Upload By 丸山さとこ特に小学3年生と5年生のころは『上手くいく見通し』が持てずにパニックになったり怒ったりすることが多く、予定の変更や小さなトラブルがある度に「もう駄目だ!」「絶対上手くいかない!!」と泣いたり真っ青になったりしていました。見通しが立つようになったことに加えて話せるようにもなってきたコウは次第に怒りを爆発させることも増えてきたため、癇癪の嵐のあとは親子ともどもグッタリすることもしばしばでした。そんな中でも、コウは少しずつ『見通しが立たないこと』や『一度立てた見通しの変更』を受け入れるようになっていきました。Upload By 丸山さとこ小6ASD息子「料理しながら撮影」の宿題でパニック直前!母の助言への対応に感じた小さな成長小学6年生のときの調理実習の宿題では「材料の写真を撮るのを忘れてた!」とミスに気づいてパニックになりかけたものの、『残った材料の写真をレポートに使う』という予定の変更とミスへの対応を受け入れられるようになりました。Upload By 丸山さとこコウは、ここ数年を振り返って「『もう駄目だ!と思っても見通しを立て直して動いてみたら何とかなった』という経験が、少しずつ不安や焦りを和らげていったんだと思う」と言います。そうしていく中で、「具体的な見通しが立てられないときも『多分何とかなるだろう』って思えるようになってきたのかもしれない」と言うコウは、「だから、逆に『具体的な見通し』は全然立ってないのに『何とかなるっしょ!』って油断してヤバくなることも増えた」と続けて笑いました。そんな彼を見て、「これからも少しずつ『できるようになって楽になったな』と『だから今はこれが困るんだよな~』を繰り返しながら、いろいろなことが変化していくのだろうな~!」と改めて感じました。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:鈴木先生より)今の時期だと卒業式や入学式などの行事に初めて参加される場合にはあらかじめ昨年のビデオを見せて予習させておくことで安心を与えることができます。我々が初めて行く旅行先のビデオを見て予習するのと同じです。どういう場所でどういう人が来て何をやるかが分かれば少しは安心するのではないでしょうか。また、1日のスケジュールを修学旅行の予定のように分単位で細かく書いて絵や写真も添えてあげるとその順番にできるようになるはずです。視覚的に訴えることが大切です。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月03日ダウン症児の平均寿命は伸びているダウン症のある人は、合併症として心臓疾患を合併する子どもが多く、かつては乳幼児のうちに亡くなることも多く、10歳以上生きられるかどうか、という時代もありました。しかし、現代では乳児の心臓手術などの医療技術が発展したため、昔に比べるととても長く生きられるようになりました。厚生労働省の簡易生命表によると、令和3年度の日本人の平均寿命は男性81.47歳、女性87.57歳となっています。一方、ダウン症児の平均寿命は、60歳前後です。一般の平均寿命に比べると短いですが、ダウン症のある人の死亡時の年齢は72%が40歳以上であることを見ても、昔に比べるとはるかに長生きしていることが分かります。厚生労働省「主な年齢の平均余命」トリソミーのある方のくらしダウン症は、1866年にLangdon H. Downによりはじめて報告された疾患で、染色体異常による疾患の中ではいちばん多い疾患です。正式には「ダウン症候群」といいます。ヒトの染色体は22対44本の常染色体と性染色体の合計46本の染色体によって構成されていますが、この染色体異常により起こる疾患です。ダウン症の場合、約95%は「標準型21トリソミー型」と呼ばれるもので、21番目の常染色体が1本多いことで起こるものです。これは受精時に偶然起こるもので両親の染色体に変異はありません。また、約4~5%は「転座型」21番目の染色体の1本がほかの染色体(13番、14番、15番、21番、22番など)にくっついたことによって起こります。、そしてもう一つ、ダウン症全体の1~3%以下の割合の「モザイク型」は、2つの異なる細胞で身体が構成されています。21番トリソミーを持つ細胞と21番トリソミーを持たない細胞が一定の割合で混在しているというような状態です。上で述べたようにダウン症の原因やタイプについては分かってきているものの、ダウン症そのものを治療する方法は現在のところありません。しかし、医学の進歩によりダウン症のある人に合併しやすい疾患の治療はできるようになってきました。特に、先天的心疾患や先天性消化器疾患などの治療が乳幼児期から行われることで、ダウン症のある人の寿命は飛躍的に延びています。胎児期や乳児期などの早期にこれらの合併症を把握できるようになり、外科手術などの高度な医療を受けられるようになったためです。また、早期療育や生活改善が実施されるようになり、合併症の予防・身体の運動能力の向上がうまくいっていることも寿命が長くなることにつながっていると考えられます。「平均余命」という言葉を知っていますか?平均余命とは、「ある年齢の人々が、その後何年生きられるかという期待値」のことです。一般に知られている「平均寿命」とは、「0歳での平均余命」のことなのです。60歳の男性が、「平均寿命」が80歳だからといって、「残りの人生は20年だ」と単純に考えるのは間違いです。令和3年の簡易生命表によると、日本人の平均寿命は男性が81.47歳 、女性が87.57歳です。65歳男性の「平均余命」は、19.85年になっています。65歳男性の残りの人生は平均約20年になる、ということです。つまり「平均寿命」から計算した16年よりも4年ほど長生きできそうである、ということを表しています。これはダウン症のある人でも同じことが言えます。さらに、ダウン症の場合、生まれてすぐから10歳になるころまでに亡くなるケースも少なくないため、平均寿命はかなり短くなります。例えば0歳のダウン症児の平均余命は48.9歳ですが、1歳のダウン症児の平均余命は51.2歳となっています。1歳でもこんなに違うのですから、10歳を超えたダウン症のある子どもたちは、もっともっと長生きできるでしょう。参考:Causes of death in patients with Down syndrome in 2014-2016: A population study in Japanダウン症がある人の死因は、年代によって異なります。ダウン症がある人は、先天性の疾患を持つことが多いため、乳幼児期はそれが原因で亡くなる人が多いのですが、老年期になるとダウン症のない人と大きな差はありません。2014年から2016年の日本におけるデータによると、乳幼児期から18歳までのダウン症のある人の死因は、先天性心疾患と白血病・リンパ腫などが多くなっています。19歳から39歳の成人期には誤嚥性肺炎や呼吸器感染が多くなり、40歳以降により高まります。ダウン症のある人は老年期が早く、40歳からとされていますが、老年期の死因は、誤嚥性肺炎・呼吸器感染、早期発症アルツハイマー病が多くなっています。ダウン症のある人は悪性固形腫瘍(臓器等の固形のガン)になる人が少ないといわれており、悪性固形腫瘍による死亡は少ないのですが、それ以外ではダウン症のない人と死因は大きく変わりません。厚生労働省 「主な年齢の平均余命」厚生労働省 「主な年齢の平均余命の年次推移」山根希代子 「ダウン症の長期追跡と療育支援」ダウン症の最高齢と日本におけるダウン症のある人の平均寿命長くなってきているダウン症のある人の寿命ですが、最高齢はいくつなのでしょうか。現在記録されているダウン症のある人の最高齢はオーストラリアで73歳、 スウェーデンで87歳、アメリカで70歳です。長寿国といわれる日本では、その年齢をさらに上回り、ダウン症のある人の最高齢は102歳であることが分かっています。1995年から2016年の約20年間の日本のダウン症患者の経年変化における調査によると、20年間で平均寿命は飛躍的に伸び、2010年以降ダウン症のある人の3 人に 1人が60 歳以上であることが分かりました。 trends in longevity among people with Down syndrome in Japan, 1995-2016超高齢社会における障害者施策のあり方に関する研究―日本におけるダウン症者および重症心身障害者に関するエビデンス―|茂木成美現在のダウン症の人の平均寿命は、男女とも60歳前後といわれています。日本人の平均寿命が、男性81.47歳、女性87.57歳ということを踏まえると、ダウン症の人も女性の方がやや平均寿命が長いなどあるかもしれませんが、この場合も「男女とも85歳前後」ということになります。ダウン症がある人の平均寿命は明確な男女差はありませんが、合併症の有無などによる差というものは存在しています。特に、先天性の心疾患で生まれてすぐに心不全など症状を発症してしまうと、寿命が格段に下がると言われています。逆に、10歳までに身体的に重度な二次障害が発症しなければ、寿命はぐっと長くなります。ダウン症の平均寿命が男女とも50歳代を超えているといわれる現代でも、合併症や症状の重度軽度などにより生まれて間もないうちから10歳になるころまでに亡くなってしまうダウン症のある人たちも、まだまだたくさんいるのです。ダウン症では男女の差よりも、症状の重さや合併症の程度などによる差の方がずっと大きいということです。山根希代子 「ダウン症の長期追跡と療育支援」ダウン症のある人の寿命は治療で伸ばすことができるの?ダウン症の寿命が短いのは、合併症を引き起こしやすいからといわれています。特に、一番多いのが先天性の心臓疾患です。以前は、この心臓疾患によって半分近いダウン症児が10歳以下で亡くなっていました。10歳以上生きられるかどうかというのが大きなターニングポイントとなるわけです。現在は乳児を含む小さな子どもの心臓手術の成功率が、かなり上がっているので、生存率は以前と比べて上がっています。また、ダウン症児の多くが併発するといわれている、食道閉鎖症、十二指腸閉鎖症、巨大結腸症、鎖肛、ヒルシュスブルング病などの命に係わる消化器疾患系の合併症もまた、医療の進歩により根治治療さえ可能となってきているのです。そのため、多くの人がこの10歳以上生きられるかどうかというターニングポイントを超えることができるようになり、平均寿命も延びたというわけです。また、大きな合併症ばかりでなく、筋緊張が低下し、筋肉がつくられにくいというも寿命の短縮に関わりがあるかもしれません。これはダウン症の二次障害の中ではあまり重要視されませんが、治療を受けなくても、生活習慣を見直したり運動不足を解消することが、ダウン症のある人の寿命を延ばすことにつながります。ダウン症の平均寿命が延びるということは大変良いことなのですが、それに伴い新たな問題も生まれました。長生きに伴い、乳幼児期や学童期だけでなく、青年期以降にも合併症などの治療が必要となり、その受け皿が少ないことが課題となっています。子どものころは合併症の治療のためにかかりつけ医を持ち、継続して通院していた人も、成長して治療が必要でなくなると、かかりつけ医を受診することがなくなることがあります。しかし、成長後に発症する疾患もあるため、かかりつけ医を持ち、定期的に検査をしたり、症状が見られたときには早めに治療を開始するのが理想的です。ところがダウン症のある人を成人期や老年期まで長期的にフォローする専門の体制がまだ確立されていないため、どの診療科を受診したらよいか分からないといった事態に陥るケースも少なくありません。また、成人のダウン症のある人に、アルツハイマー型認知症を発症する人がいるという事実が明らかになりました。全員に発症するわけではありませんが、40代ごろからその症状が現れる人もいるといいます。原因はまだ明らかにはされていませんが、ダウン症のある人は、異常たんぱく質が産生されやすく、かつ組織や臓器に蓄積しさまざまな障害を引き起こしやすいのです。この異常なたんぱく質が脳に蓄積することで、アルツハイマー型認知症を発症するのではと推測されています。参考:成人期を見据えたダウン症候群のある児への関わり「ダウン症候群のある患者の移行医療支援ガイド」医療の発展と共に著しく伸びているダウン症のある人の平均寿命。より良い成人期を過ごすために大切にしたい医療とのつながり医学の進歩により、ダウン症のある人が少しでも長く生きられる社会になっているというのはとてもすばらしいことです。成長してからも合併症が起きることがあることやアルツハイマー型認知症を発症する可能性が高いあるという報告もありましたが、医療とのつながりを保つことでいざというときに早めに治療を受けることができます。子どものころに治療が終わり病院と遠ざかってしまうこともあるかもしれませんが、成人期以降も定期的に検診を受けたり、気になる症状があるときには早めに受診したりするようにして、医療とのつながりをもっておくとよいでしょう。ダウン症のある人は、体の不調を言葉ではっきりと伝えることが難しいことがあります。大事な症状を見逃さないためにも、定期的に健康診断を受けていると安心です。
2023年03月01日発達ナビ大賞へのご応募ありがとうございました!発達が気になるお子さんを日々育てている中、「子どもの癇癪に困ってしまった…」そんな経験はないでしょうか?発達ナビ会員のみなさんをはじめ、多くの方からお寄せいただいたエピソードの中から、印象的だった5つのエピソードを発達ナビ編集部が選びました。また、あわせてお読みいただきたいコラムもご紹介します!※LITALICO発達ナビ「みんなのアンケート」にてご応募をいただいたエピソードについては上記より遷移し、ご覧いただけます息子の癇癪、理不尽に思えることにも理由があるから癇癪と暴言・問題行動と長年向き合っています。困った事だらけで…。大変だったエピソードが多すぎ…(笑)雪が降ったからイライラする。雨が降ったからイライラする。TVを付けたからイライラする。ご飯のタイミングが遅いからイライラする。こどもの声が嫌だからイライラする等々…。こちらからしたら理不尽に思える事も息子からしたらちゃんと理由があるんですよね…。言葉で上手く伝えられないもどかしさ。ストレスが溜まってもうまくガス抜きができない。感情のコントロールを上手くできない。折り合いの付け方が難しい。上手くクールダウンできない。本人が一番きつい。でも、対応する周りもきつい。癇癪が出る前に上手くコントロールできるようになれば理想的です。でもそれが難しい。そしてそれが息子の特性。(HARUKAさん)息子さんの癇癪やイライラなどに長年向き合っているというHARUKAさん。一見理不尽に思えることでも、本人には本人なりの理由がある…。理解できても、日々対応しなければならないのは大変ですね。一人で悩まずに、医療機関、療育機関など、第3者へ相談することも選択肢の一つかもしれません。発達ナビには、癇癪にまつわる疑問を小児科医の藤井先生にお答えいただいたコラムもありますので、ぜひご覧になってみてください。スーパーでの買い物中に癇癪!レジで後ろに並んでいた人の言葉が胸に刺さり…3歳の自閉スペクトラム娘は、視覚的な記憶が強く、いつもと違う状況にひどく戸惑います。例えば、スーパーでの買い物。一度行くとスーパーの売場の地図のようなものが頭に入り、棚に並んでいるものの位置も覚えてしまうようです。そのため、次に行ったときに陳列が変化しているとたちまちパニックに。元のとおりに戻そうと勝手に品物を動かし始めます。本人は正しいことをしていると言わんばかりのドヤ顔で…先日もスーパーのレジ前のお菓子が引き金に。いつもと違っていたようで、せっせと動かし始め、ほかのお客さんにもお店にも迷惑だからやめさせようとするも、おさまらない。そしてレジの順番がきて強制終了となり、床に転がりバタバタしながら泣き騒ぎ始めました。後ろのおばさんの「お菓子買ってあげたらいいのに」という一言が私に刺さる刺さる…「買っておさまるならいくらでも買うよ」とぼやきたいのを我慢しながらレジ通過。棚の並べ方が気に入らずパニックになっているのであって、何か1つ買ったところでおさまらない。そしてそもそも娘は偏食でお菓子は一切食べない…。なかなか一般の方々には伝わらないよなぁ。欲しいお菓子買ってもらえてないって映るんだなぁ。そして会計を終えても癇癪は続き、袋詰めのところでカゴの中身を投げ始め、床にヨーグルトをぶちまけ、ポテトサラダは容器から飛び出し…ほかのお客さんに当たらなかったのが不幸中の幸い。本人も生きづらくつらいんだろうと思うけれど、日常の買い物も癇癪の種にあふれ、いつも緊張状態でいなきゃいけないのは正直つらい!(プラムさん)「いつもと違うといや」で並べ替えたい――お子さん本人がつらいのはもちろんですが、日々の買い物にも神経を使う状況のプラムさん、おつらいですね…。買い物など外出中での癇癪・パニックは、たまたま居合わせた事情を知らない方には、一見「ただのわがまま」に思われてしまうということも、保護者のみなさんが困ってしまう原因の一つだと思います。発達ナビライターのSAKURAさんも、お子さんが小さいころ、外出時の癇癪に悩んでいたそうです。しかし、子どもが癇癪を起こしたときの自分の中の「ルール」を作ったことで、少し気持ちが楽になったとのこと!ぜひ参考にしてみてください。癇癪中に虐待だと思われて児童相談所に通報今は中学1年の息子。癇癪がとにかくひどい子で未だにあります。自分の思い通りにならないときなど酷く、テレビを破壊されたり壁に穴を開けられたりドアが凹んだり、コンセント部分も凹んだり時計を投げつけて壊されたり(涙)ギャーという声がまた全力…。最悪なのは、窓が開いてるのに気づかず癇癪中にこちらも怒鳴っていたら、虐待だと思われて児童相談所に通報されました。ちゃんと話をして納得して同情されましたが、通報までされたことがあまりにも悲しくて相談員の方の前で泣いてしまいました。癇癪中はその場から離れるというアドバイスをドクターからしてもらい実行しましたが、その場を離れている間も暴れて壁に大きな穴を開けられました(泣)息子からしてみると見捨てられたと感じたようです。ドクターからのアドバイスでもその子によって効かない事もあるんだと身をもって感じた瞬間でした。少しづつ良くはなってきましたが、ゼロになる日がくるのかはわかりません。段々と成長してもうすぐ私の身長を抜かします。そうなったときにまだ続いていたらもう止められないので、そのときは警察や児童相談所のお世話になることを覚悟していますし、本人にもいざとなったら警察に通報するから、とは伝えています。そうならない事を祈るばかりです…。(空色さん)虐待を疑われて児童相談所に通報されてしまい、悲しみのあまり涙してしまったという空色さん。さらに「癇癪中はその場を離れる」というお医者さんからのアドバイスに従ったら、壁に大きな穴が開いてしまったとのこと…。保護者としてどのように接したら良いのか、悩まれている方も多いのではないでしょうか。また、ご近所さんとの関わり方も、気になるところだと思います。空色さんと同じように、癇癪中のお子さんとの向き合い方や、ご近所との関わり方に悩んだというユーザー体験談をご紹介します。お友達を嚙んでしまった!頭を下げ続ける日々1人目が軽度発達障害と言われ落ち込んでいたころ(20年以上前です)、2人目(3歳ぐらい?)を近所にできたショッピングモールに連れて行きました。よくテレビとかで見る、これ買ってくれないと嫌だ~!と地面に寝っ転がって地団駄踏むことを30分近くしてくれました…。1人目とは違う特性だったので、この子どもたちは一体何なんだろう?と本当に悩み疲れ果てていました。そのショッピングセンターには半年行きませんでした。(行けませんでした?)遠いところまで買い物に行ったことを思い出します。2人目を連れて行ったのは3年後のことです。あと、幼稚園でのべ6人のお友達をかみました!(一度にじゃないですよ)自分は人様に迷惑をかけたこともないし、謝ったこともなく、子どものためにどれだけ頭を下げまくったか…(遠い目…)。そんな子どもたちも、まだまだ特性がありますが、もう自立できる歳になりました。まだ、3人目が中学生、3人ともそれぞれ違う特性で、いろいろ私にたくさんの経験をさせてくれました。いい思い出とは言えませんが、20年以上たつと親もあきらめることができるようになります(笑)(ゆうママさん)3人のお子さんそれぞれの特性に違いがあり、癇癪だけではなく他害にも悩まれたというゆうママさん。乗り越えられてきた数々の苦労も、いまは思い出となり、お子さんたちも自立できる年齢まで成長されたとのこと。現在進行形で悩んでいらっしゃる方々の励みにもなるエピソードをありがとうございました!発達ナビライターのかなしろにゃんこ。さんの息子・リュウ太くんも、中学生のころまで癇癪が激しかったそうです。そんな「怒りモード」を鎮めるために、リュウ太くん本人が考え出したイライラとの向き合い方とは…?「自分のお金で」ゲームができず癇癪!息子が小3のとき、アーケードゲームをやりたくて自分のお財布を持って行ったはずが、お財布を家に忘れてきてしまいました。「お金貸してあげるから」と、私がお金を出してゲームをやり、一件落着…のはずだったのですが、食料品売り場で買い物をしようとしたら、どうも息子の様子が怪しい。仕方なく買い物を諦めて帰ろうとしたら、暴れながら私の服を掴んで何度も連れ戻すので、大急ぎで買い物をして車に乗り込みました。そこから家までの10分余り、息子は車の中で全力で泣き叫び、私はうるさくて耳が痛い中、とにかく事故を起こさないように必死でした。家に帰ったら、今度は走って家から逃げるし。自分のお金でゲームをしたかったのに、それができなかったこと、買い物をするはずなのに、買い物をせずに帰ろうとしたことが、自分の予定と違っちゃったんでしょうね。その後もゲームセンターへ行くのに忘れ物をして、何度かパニックになったりしましたが、徐々に自分で折り合いをつけられるようになりました。(なまちゃんさん)自分の予定や見通しがかなわなかったことでパニック、癇癪に繋がってしまった、なまちゃんさんの息子さん。少しずつ折り合いをつけられるようになってきたとのこと、良かったですね。発達ナビライターのウチノコさんの息子、ADHDと自閉スペクトラム症のあるむっくんも、小さなころから今から何をするのか分からない状況や急な予定変更が苦手でした。しかし、「見通し」を伝えることを学んでからはずいぶんと過ごしやすくなったそうです。おわりにわが子の癇癪に「困った!」となってしまう場面にも、子どもなりの理由を理解しながら対処されている保護者のみなさまに、頭が下がるエピソードばかりでした!ご紹介したエピソードの中に、みなさんも、共感したり気づいたりしたことがあったのではないでしょうか。大賞に選ばれた5人の方々には、人気エッセイ本をプレゼントいたします。どうぞお楽しみに!発達ナビでは、これからもみなさんに楽しんでいただけるような企画をしていきたいと思っています。次回の発達ナビ大賞もどうぞご期待ください!コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年03月01日ダウン症とは?特徴や種類についてダウン症は正式名称を「ダウン症候群」といい、染色体異常による疾患の一つです。21番目の染色体が1本多く、3本あるために起こるので「21トリソミー」(トリ=3の意味)とも呼ばれます。染色体異常による疾患のなかで最も多く、約700人に1人の割合でダウン症のある赤ちゃんが生まれています。ダウン症があると、個人差はありますが、一般的には身体、精神(知的)の発達の遅れがみられます。ダウン症のある人は、両目の間が広く見え、少しつり目で鼻が低め、という顔立ちが特徴です。これは顔の中心部の骨が周囲の骨よりゆっくりしたスピードで発達するからだといわれています。また、筋緊張低下のため、力が弱いことが多いです。ダウン症がある新生児の約50%に先天性心疾患、約60%に先天性白内障、斜視などの眼の障害がみられます。ほかにも消化管や耳の疾患にかかる頻度も高めです。ダウン症は大きく分けると3つのタイプがあります。全体の約95%を占めるのが「標準型」です。受精前の卵子や精子が減数分裂するとき、均等に分かれなかったことが原因で起こる偶発的な事象です。両親の染色体には異常がないことがほとんどで、誰にでも可能性があるといえます。約4~5%を占めるのが、染色体の一部が他の染色体に結合することで起こる「転座型」。(保因者である)両親どちらか一方の21番染色体が、ほかの染色体に結合していることが原因です。もっとも少ないタイプが「モザイク型」で全体の約1~3%以下といわれています。受精後の細胞分裂で染色体が分かれなかったことが原因で発症します。正常な細胞と1本多い細胞が混在しているのが特徴で、正常な細胞が多いときは、ダウン症としての症状が軽くなります。参考:21トリソミーのある方のくらし|厚生労働省ダウン症がある人の児童期の成長と青年期以降・ダウン症のある子どもの新生児、乳幼児期ダウン症がある赤ちゃんは、母乳やミルクを吸って飲むのが難しいことがあります。これは筋緊張低下や舌が大きく口が小さいことが理由です。力が弱いためにおとなしく、泣くこともあまりないので、空腹に気づきにくい場合があります。こまめに体調をチェックしてあげましょう。また、ダウン症があると、以下のような合併症が起こりやすいといわれています。先天性心疾患(心室中隔欠損症、心房中隔欠損症など)消化管疾患(鎖肛、十二指腸閉鎖など)眼疾患(白内障、斜視など)耳鼻疾患(難聴、滲出性中耳炎など)血液の疾患(一過性骨髄増殖症など)内分泌・代謝疾患(甲状腺機能異常、肥満、糖尿病など)整形外科疾患(環軸椎亜脱臼、外反扁平足など)神経疾患(点頭てんかんなど)精神発達遅延自閉スペクトラム症・ダウン症のある子どもの未就学時期ダウン症のある子どもは身体・精神(知的)発達が遅いので、周囲に比べてのんびりしています。言葉が出るのもゆっくりです。赤ちゃんのころにはあまり気にならなかった周囲との発達の差は、成長にしたがって大きくなります。個人差はありますが、知的障害は軽度から重度までさまざまあり、平均的なIQは50といわれています。発達は遅めですが、幼児になると自我が目覚め、こだわりや意思の強さが見られることがあります。発達や合併症とは異なる大変さがありますが、なるべく子どもの気持ちを尊重してあげましょう。また、合併症には引き続き注意が必要です。早期発見・早期治療のためにも定期的に診察を受けましょう。・ダウン症のある子どもの学童期小学校は通常学級に通う子どもも、特別支援学級や特別支援学校を選択する子どももいます。通常学級の場合、ダウン症がある子どもは知的障害や難聴などのため、授業についていくのが難しくなることがあります。そのため、中学、高校では、特別支援学級や特別支援学校に進むケースが多いです。また、小児期には多動や自閉的行動を示す場合がしばしばみられます。学童期においても、合併症の定期的な診察は大切です。特に入学など環境の変化により、大きなストレスを感じていることもあります。学校を卒業して作業所などに通うようになると、これまでの生活がガラッと変わります。すると「これまでできていたことができなくなる」「動作が緩慢になる」「笑顔がなくなる」「言葉が少なくなる」「眠れなくなる」など、運動・生活能力が急激に低下することがあります。これは、大きく変わった環境に不安と緊張があるためと考えられます。そんなときは、家族や作業所の支援員など周囲の人のフォローが大切です。できなくなったことを責めたり、どうしてできないの?などと聞いたりするのはやめましょう。まずは、今できていることや分かることを尊重しましょう。できなくなったことを一気に取り戻すのではなく、徐々にゆっくり取り組んでいくことで、少しずつ回復できるといわれています。不安や緊張が大きい場合は、抗うつ剤や睡眠導入剤などを服用する治療が有効なことがあるので、主治医と相談してください。できなくなったことが再びできるようになるまで、数年かかることもあります。焦らず気長に取り組みましょう。ダウン症がある人は、一般的に30歳代後半から運動能力が低下し始め、40歳代からは筋力や持久力も低下するといわれています。また、知的能力のピークは20〜30歳で、以降は徐々に低下するといわれています。40歳をすぎると急激に低下することが多く、「言葉を発しない」「コミュニケーションがとれない」「体を動かすことを嫌がる」「自制が効かない」など、アルツハイマー型認知症に似た症状が出ることがあります。なかには、てんかん発作や妄想などが出てくることもあります。ただし、初期症状の段階で「認知症だ」と決めつけることはできません。白内障などで目が見えにくくなっていたり、耳が聞こえにくくなっていたり、甲状腺機能低下で体を動かすのがつらかったりする場合があります。病状を正しく見極めるために、成人してからも定期的に健診を受けることが大切です。ダウン症は老化が早い?認知症や早老症との関連性ダウン症は早老症の代表的な疾患の一つです。早老症は「早期老化症」とも呼ばれ、実際の年齢よりも早く、全身の老化が急激に進みます。代表的な見た目の老化には、次のようなものがあります。・白髪、脱毛・尖った鼻(鳥のような顔つき)・小顔(上顎より下顎が小さくなる)・音声の異常(高音域がかすれる)・両手、両足の皮膚の萎縮、硬化・アキレス腱などの石灰化ダウン症のある人が早老症を発症するのは、21番染色体トリソミーが原因と考えられていますが、発症するメカニズムなどは、まだ解明されていません。ダウン症がある人は、40歳をすぎると認知症を発症しやすいといわれています。また、その中でもダウン症がある人は、アルツハイマー型認知症の発症率が高いことも分かっています。これは、ダウン症がある人は、アルツハイマー型認知症の原因物質のひとつと考えられているアミロイドβを産生する遺伝子が過剰にあるため、よく似た症状が出現するためです。ダウン症がある人が認知症を発症したときは、次のような症状があらわれます。・時間や季節、場所、人間関係が分からなくなる(見当識障害)・運動能力が低下し、転びやすくなる・細かい手作業(ボタンを留める、箸を使うなど)ができなくなるまた、これまでできていたことが急にできなくなった、言葉が出ない、なども初期症状と考えられます。変化に気づいたら、すぐにかかりつけ医に相談しましょう。ダウン症に伴う早老症は、完全に治す方法や予防法はまだ見つかっていません。症状に合わせた対症療法が主に行われます。聴力低下や白内障など一般の高齢者と同じ対応をします。ダウン症の成人期以降の課題甲状腺機能異常や糖尿病などのダウン症の合併症は、成人期以降にも発症することがあります。新生児から学童期までの医療体制は以前から確立されている一方、20歳代以降、成人期の医療体制は十分だとはいえないのが現状です。合併症や認知症の早期発見、早期治療、対応のためにも、住んでいる地域で十分な医療体制を整えることが急務です。ダウン症のある人が障害や合併症と上手につきあっていくためにかつては20歳を超えないといわれていたダウン症の平均寿命は、現在約60歳といわれています。代表的な合併症である先天性の心疾患や消化器疾患の治療が確立し、この20~30年で平均寿命は飛躍的に伸びました。また、現在、日本には約8万人のダウン症のある人がいると推測されていて、過半数以上は成人していると考えられます。ダウン症のある人が、障害や合併症と上手につきあっていくためには、定期的な健診が欠かせません。また、平均寿命が伸びたことで「親なきあと」も、安心・安全に暮らせるバックアップ体制も重要です。学校を卒業してからも切れ目のない医療体制、支援体制の充実を啓発していくことが必要とされています。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月28日好きなことを楽しめるように次女は幼少期から、工作したり絵を描いたりすることが大好きでした。Upload By まりまりただ、家で親の手伝いのもと実施するのはどうしても限界が…。2年生のときに、本人に、工作したり絵を描いたりできるようなアートスクールに行ってみてはどうかと聞いてみたところ、「行ってみたい!」とポジティブな返答がありました。そこで、次女に合っていそうな、少人数で、かつ自分のペースでできるようなところを探しました。見学・体験して長女と一緒に通うことにこのとき4年生だった長女も興味を示してくれたので、2年生の次女と一緒に見学・体験してみることに。子どもたちが10人弱で先生が2人という少ない人数だったうえ、ほとんど話さなくても何とかなる状況で、次女にとって負担が少なく楽しめた様子。Upload By まりまり長女も楽しめたようで、2人一緒に同じところに通うこととなりました。長女が辞めてしまって、次女も辞めたがった1年少し通ったころ、長女が「辞めたい」と言い始めました。最初のころのように楽しめなくなったとのことで本人の決心は固く、長女はそこで辞めることに。ただ、次女は、長女が休むときは一緒に休んで一人で行くことは全く無く、一緒だったから通えていたという部分が大きかったので、次女も辞めると言い出しそうで心配していたら、案の定「私も辞める」と言い始めました…。Upload By まりまり好きなことは続けて欲しい次女に詳しく話を聞いてみました。すると、次女は「作ったり描いたりするのは好き」「アートスクールは楽しい」けど、「先生と話ができない」「一人で行くのは不安」との話でした。Upload By まりまりせっかく好きで楽しく通えているので、長女が辞めてしまったとか話せないという環境のせいで辞めてほしくないというのが私の気持ちでした。今の次女なら一人でも行けそうきっと、通い始めのころだったら次女の不安もかなり強かったと思います。ただ、すでに通い始めてから1年以上経過しており、アートスクールの担当の先生もずっと変わらない。さらに、このときは3年生の3学期で、次女自身も成長し、学校での生活も順調に過ごせていて安定している…。今なら少し頑張ったら一人で行けそうだと思いました。次女は漠然とした不安感のことが多いので、具体的に、「今のあなたなら一人で行けそう」という上記の理由を話して、何かあったときは電話してもらえればすぐに駆けつけることを保証して少し無理やり送り出したのでした。Upload By まりまりそれから…迎えに行ったら、いつも通りに過ごせたようで、変わらない様子で帰ってきました…!行ってみて「一人でも大丈夫そう」と感じたようで、その後も一人で通っています。アートスクールに通い始めてから、今年で3年過ぎました。この習い事に関しては、「できるようになる」とか「役に立つ」と考えて始めたのではなく、「楽しめる」のを一番の目的にしたので、次女には負担が無くて継続できたのではないかと思いました。これからも、次女が楽しめる限り、続けていってくれたらいいなと思っています。執筆/まりまり(監修:新美先生より)場面緘黙のある方は、不安を抱きやすいことが多く、環境に慣れるのに時間がかかる場合もあります。話すことができないために、突発的なことが起きたときに困るかもしれないという不安もありますね。今回聞かせていただいたエピソードでは、1年間お姉ちゃんと一緒に通って場に慣れて、ご本人も安定した状態だったのでスムーズに一人で通うことができるようになったというお話でした。一人で通えることで自信もついたことでしょうね。特性によって楽しいことを楽しめる場が制限されるのは残念なので、今回伺ったエピソードでは「お姉ちゃんと一緒に1年間」ということでしたが、例えばお母さんが付き添いをして半年通って、慣れたら付き添いをやめるなどと応用できそうなエピソードかと思いました。ありがとうございました。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月28日神奈川県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報既存の教材だけでなくTEACCHメソッドなども用いて子どもの特性に応じた支援を行っています。また、ABAメソッドに沿って、ちょっと難しいことでも一緒にトライすることで目標達成できる経験を積めるようにしています。施設のスタッフは、それぞれの専門的な知識や経験を共有し合うよう努めており、さまざまな意見や経験を統合してより良い支援環境を作っています。そして子ども自身の力で思っていることを表現でき、豊かな心をはぐくんで笑顔を増やせるよう、スタッフ一丸となって子どもの支援に携わっています。神奈川県の児童発達支援をもっとみる千葉県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報言葉のにわ-宝-では、集団をメインとし、個別・小集団のプログラムを状況に応じて提供しています。そのほかにもロボットプログラミング、国家資格キャリアコンサルタントによるソーシャルスキルトレーニング、理科実験室、心理職による造形指導・DTPデザイン作成、パソコン教室、学習支援を提供しています。言語聴覚士をはじめ、保育所等に出張可能な言葉支援のプロの資格取得を義務づけています。自ら学ぶ力、提案する力を遊びや支援を通して育み、さまざまな専門性のスタッフが、一人ひとりのお子さんに寄り添い支援を行います。千葉県の放課後等デイサービスをもっとみる大阪府放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報2023年4月にオープンのグッドフレンズグループが運営する新しい施設です。今回オープンするLe Periでは、大阪市でも数少ない言語聴覚士、作業療法士、理学療法士による専門的な支援が可能です。子どもの日常生活における「苦手」を「できた!」に変えるサポートを行います。もちろん専門支援だけではなく、日々の支援にも力を入れており、集団での関わりを通し、基本的生活習慣や社会性を育てています。制作・運動・プログラミング・クッキング・外出支援と楽しみながらさまざまな体験の積み重ねができます。大阪府の放課後等デイサービスをもっとみる大阪府児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報Le Peri(ルペリ)は”LePetitPriece”と”peri”を合わせた造語です。「いちばんたいせつなことは、目に見えない」子どもたちとかけがえのない時間を共に過ごし、絆を結んでいきます。集団支援では、さまざまな体験を通して興味関心の幅を広げ、子どもの新たな発見のきっかけづくりを行います。園とは違った環境だからこそできる様々な体験を提供し、一人ひとりに沿ったサポートをしています。PT・OT・STによる個別支援で日常生活スキルのサポートも行い、専門的な角度から子どものサポートを行います。大阪府の児童発達支援をもっとみる福岡県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報『就労準備型』のコンセプトで令和4年9月1日にオープンしました。プログラミングの基本概念が支援に効果的なため、カリキュラムの中に取り入れています。まず、パソコンやタブレットを使ったスクラッチをベースにプログラミング。もう一つは、ブロックを利用して組み立てることと、それを使って重さを測ったり重さ比べなどしたりして作ったものの活用まで行います。個別指導を実現するために1人1台のパソコンを準備し、集中しやすい個別ブースを設けています。集団でも行えるカリキュラムの場合は集団で授業を行っています。福岡県の放課後等デイサービスをもっとみる「もっと施設の情報を詳しく知りたい!」「見学をしてみたい!」と思ったら、WEBからもお問い合わせが可能です。施設情報ページでは、掲載されている施設の情報を地域ごとに検索して見ることができますよ。
2023年02月27日「ひきこもり」の相談先、支援、脱出方法やニートとの違いなどよくある質問を整理しましたひきこもりとは「社会との交流をほとんどしないで家庭に6ヶ月以上の長期間ひきこもっている状態のこと」と定義されています。今回は・ひきこもりの相談先・当事者や家族への支援・ひきこもりの脱出ステップや家族がひきこもりの場合の対処法・ひきこもりとニートの違いなど、ひきこもりについてよくある質問をまとめてみました。Q.わが子のひきこもりに悩んでいます。どこに相談をすればいいですか?A.ひきこもりの相談先は主に「公的な相談機関」「医療機関」に分かれます。家庭内暴力などに困っている場合には家族内での解決が困難な場合もありますので、まずはこれらの機関に相談することをおすすめします。ひきこもりが長期化すると、「ひきこもりは家族の問題」「できるだけ他人に知られたくない」「一度相談に行ったが十分な対応が得られなかった」「相談にいっても解決しない」など家族で問題を抱え込んでしまうことが多くなります。日本社会に根強い「世間の目を気にする」「家のことは家族で解決する」という文化が、背景にあると考えられますが、そういった家族の気持ちが一層本人を追い詰めてしまうこともあります。また、ひきこもりはときに家庭内暴力や家族内での対立を生む場合もあります。誰にも言えずに家族だけで解決しようとすると、長期化することで周りの家族にとっても大きな精神的なストレスになります。特に暴力については、早期の相談が大切です。ひきこもりの支援は長期になることもあります。その場合もあきらめず相談機関につながり続けていただくことで、複数の支援機関がネットワーク的に連携しながら見守り、タイミングを待つこともできます。ご家族や本人が相談機関につながり続けることが解決に向けて重要なポイントになります。地域の相談支援を行っている機関をご紹介します。電話での相談を行っている場合もありますので、まずは問い合わせてみるとよいでしょう。ひきこもり地域支援センター…ひきこもりに特化した専門的な第一次相談窓口としての機能を有するのが「ひきこもり地域支援センター」です。センターには社会福祉士、精神保健福祉士、心理士(公認心理師・臨床心理士)などがひきこもり支援コーディネーターとして配置されます。相談支援や訪問支援を早期に行うことで、適切な支援につながることを目的にした施設です。参考:ひきこもり対策推進事業|厚生労働省参考:全国ひきこもり地域支援センター設置状況|厚生労働省精神保健福祉センター…精神保健福祉全般にわたる相談を行っています。こころの健康についての相談、精神科医療についての相談などとともに、ひきこもりなど思春期・青年期問題の相談も可能です。電話や面接で相談できますが、事前の予約が必要なこともあるのでホームページなどで確認しましょう。参考:全国の精神保健福祉センター一覧保健所…地域の保健所でひきこもりの相談支援を行っている場合があります。電話相談、面談による相談があり、保健師、医師、精神保健福祉士などの専門職が対応してくれます。また、相談者の要望によっては、保健師に家を訪問して相談してくれる場合もあります。参考:保健所管轄区域案内|厚生労働省そのほか、児童相談所、福祉事務所、発達障害者支援センターなどの福祉機関などに相談してもよいでしょう。こころの問題や身体症状が強く出ている場合など、精神科、心療内科、小児科などの医療機関に相談しましょう。心理カウンセリングを行っているところもあります。本人が受診を拒む場合や外出できないときには、まずは家族の相談を受け入れてくれる医療機関を探すとよいでしょう。ひきこもり状態の1~2割に家庭内暴力が伴うことがあると言われています。本人への遠慮や周りへの相談のしにくさからから容認してしまったり、第三者の介入を避けたくなることもあるかもしれませんが、密室化してしまうことが最も解決を困難にします。家庭内暴力への対処は「開示・通報・避難」を基本とします。家族だからこそ対処が難しい場合がありますので、ひきこもり地域支援センターなどの専門機関に相談することもおすすめします。就学年齢にある子どもの場合、ひきこもりになるきっかけとして、不登校との関連があると考えられています。不登校で、自宅以外の場所での活動がないまま6ヶ月以上家から出ない状況が続くと、ひきこもりへと移行する場合があります。もしひきこもり状態が生じた場合は、一人ひとりに合った対応をすることが重要になってきます。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンQ.ひきこもり当事者や家族へは、どんな支援がありますか?A.ひきこもりの段階で支援は変わります。その状況により「家族支援」「個人療法」「集団療法」「社会復帰に向けた就労支援」などさまざまな支援の形があります。ひきこもり支援のゴールとは、ひきこもり状態を抜け出し社会参加ができるようになることです。目標とする社会参加とは、働くことであったり、家の外に親密な対人関係を持つことだったり、居場所をつくることだったり、さまざまです。ひきこもりの段階で支援は変わります。その過程は人によって異なりますが、「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」で紹介されているような支援ステップを踏むことが多いようです。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンひきこもりの支援は多くの場合、家族の相談からスタートします。ひきこもりの支援が始まるこの時期、まずは相談に来た家族への支援や、本人がどのような状況にあり、どのような支援が必要かのアセスメントが行われます。家族の面談や、訪問支援などを通して、必要な支援を探り、関係機関との連携などが行われます。まずは家族が相談機関に定期的に相談を続けることが第一歩となります。当事者本人が支援を受けられる状態になると、個人的な心の支援が始まります。本人が相談に行ったり、本人への訪問支援を受け入れたり、精神科などでの治療やカウンセリングを受けたりといった段階です。具体的な個人療法についてはケースや技法によってさまざまですが、当事者の抱える罪悪感や孤立感によりそい、支援を受けようと動き出した本人の気持ちを支えることを基本とします。次のステップはグループでの活動です。精神保健機関や医療機関での集団精神療法やデイ・ケアなどの利用、フリースクールやフリ―スペースなどで家族以外の人と接します。ひきこもりの当事者の中には同世代の人とのコミュニケーションが苦手な人もいます。まずは同じ悩みを持つひきこもりの人と接することがよいトレーニングになることもあります。また、これらの場が居場所として機能します。グループでの活動をするうち、就労したい・外出して活動したいという気持ちが芽生える場合があります。そのような場合には就労支援などの社会参加にむけた支援が始まります。就労支援としてはハローワークをはじめ、地域若者サポートステーション、ジョブカフェ、ヤングワークプラザ、学生職業総合支援センター、職業訓練校などが挙げられます。具体的に就労を検討するのであれば、一般のアルバイトのほか、就労継続支援(A型・B型)(※)などの福祉サービスも利用できます。就労継続支援は、一般企業で働くことは難しいものの、一定の支援があれば継続して働くことができる方に働く場を提供するサービスです。体調や特性に理解のある職場スタッフのサポートの下で働くことができ、賃金をもらいながら人間関係も構築することができます。ネットを利用した在宅就業なども最近では増えてきています。また、いずれ一般企業への就労を目指したい場合には就労移行支援という福祉サービスも用意されています。ビジネスマナーやコミュニケーショントレーニングといった働くための基礎知識や能力を身につける職業訓練、職場探しや就職活動の支援など、就労移行支援事業所に通うことで、就職まで一貫してサポートしてくれるサービスです。※就労継続支援(A型・B型)や就労移行支援は障害者総合支援法に基づくサービスですが、障害者手帳がなくても利用できる場合があります。まずは市区町村の障害福祉窓口に相談に行ってみてください。参考:LITALICO仕事ナビ全国の就労移行支援事業所Upload By マンガで分かる発達障害のキホンQ.ひきこもりから脱出するステップは?家族がひきこもりになったときの対処法A.家族がひきこもりになった場合には、まずは本人の気持ちを理解する、その次に安心して過ごせる環境を作る、など段階を踏んでサポートすることがよいと言われています。また、家族もストレスをため込まないように息抜きなどをすることも重要です。親や家族は誤解しやすいのですが、本人は「怠けたいから」「働きたくないから」ひきこもっているのではありません。むしろ「ひきこもりをやめたいのにできない」と悩み、家族に対しても申し訳なさや引け目を感じています。そうした気持ちを理解することが大切です。ゲームをずっとしている、散らかった部屋で昼夜逆転の生活をしているといった状況は、家族にとっては不安を感じ、注意してやめさせたくなるかもしれません。ですが「家から出す」ために無理やり学校や職場に連れ出したりすることは、逆効果になることがあります。本人にとって、家の中での家族とのつながりさえなくなると、社会とのつながりが完全に断絶されることになるのです。家族との対立や口論などが続くと、家族とさえ話せない孤立した状況を生み出します。昼夜逆転の生活も、家族と顔を合わせたくないという理由から引き起こされる場合もあります。まずは家を居心地の良い、安全に過ごすことができる環境にすることが、初期の段階での重要なサポートとなります。自分の身の回りのこと以外に家族のためのなんらかの役割を担ってもらう、例えばペットの世話、プランターの水やり、玄関の掃除など家庭内で決められた仕事をこなし、それを家族が認めていくことで本人の自己肯定感や家族のコミュニケーションの改善に役立ちます。ひきこもりの原因は親や家族のせいではありません。ですが、「世間の目」が気になる家族の方も少なくないでしょう。家族の方の中には自分を責め、子どもがひきこもり状態の場合は「子どもがひきこもっているのに…」と自分の楽しみや外出を控える方もいるようです。また、親子が家に閉じこもり、子どもが保護者に頼り切ることで「共依存」という依存関係に陥ることもあります。そのような事態を避けるためにも相談機関に相談したり、家族自身がストレスをため込まないように息抜きをしたりしましょう。本人に社会との接点を持つモデルを見せるためにも、家族で閉じこもらないことが重要です。成人している方の場合、相談機関の受診・診断を経て、精神疾患や発達障害などがあれば、障害年金を受給できる可能性があります。年金の受給によって家族の負担が減るだけではなく、本人が家族に小遣いをねだる場合の葛藤やトラブルも減らすことができると考えられます。お小遣いを渡すと際限なく要求するのではないか、特に大人の場合、ギャンブルなどにつぎ込むのではないかと心配する家族の方もいるかもしれません。お小遣いを渡す場合、事前にルールを決めることも重要です。お小遣いは、十分に与えるということに関して、家庭の状況や本人が何に使うかによって額は変わります。またルールを決めたあとは、お小遣いの使途については本人に任せ、家族は口出ししないことも大切です。お小遣いをねだられる場合、家族としてはなかなか受け入れがたい状況かもしれません。ですが、お店に行って買い物をすることも社会参加の一つです。お金を使う機会を持つことは、外とのつながりを保つためにも重要です。お金のことで暴力などが起こってしまう場合は、抱え込まずに早めに相談機関に連絡、相談をしていくことが大切です。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンQ.ひきこもりとニートの違いとは?A.ひきこもりは、社会的参加(就学、就労、家庭外での交遊など)を回避し、6ヶ月以上にわたって家庭内にとどまっている状態を指しますが、ニートは社会的参加はあるものの、働いていない(働く意思がない、働けない事情がある)状態を指します。厚生労働省は、ニートの定義を以下としています。ニートとは15~34歳の非労働力(仕事をしていない、また失業者として求職活動をしていない者)のうち、主に通学でも、主に家事でもない独身者引用:ニートの状態にある若年者の実態及び 支援策に関する調査研究 報告書|厚生労働省高校進学率が非常に高い日本では、高校在学年齢でのニートの状態にある若者は少ないですが、高校卒業以降では、若いほどニート状態になりやすい傾向があると言われています。「ご家族が相談にいくこと」がひきこもりの解決への第一歩になります「ひきこもりは家族の問題」「できるだけ他人に知られたくない」「一度相談に行ったが十分な対応が得られなかった」「相談に行っても解決しない」など家庭で抱え込むことで、長期化したり、状況の悪化につながる場合もあります。家庭内だけで解決しようとせず、早期に専門機関などへ相談しましょう。周りの支援を受けながら、ひきこもりを抜け出す方法を一緒に考えていきましょう。イラスト/taekoコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月26日ひきこもりとは?ひきこもりとは、長い期間社会活動に参加せず、自宅などに閉じこもり続ける状態像を示す言葉です。厚生労働省より公表されている「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」では、原則的には6ヶ月以上にわたっておおむね家庭にとどまり続けている場合としてひきこもりの定義がなされています。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンひきこもりに至った理由や要因は人によってさまざまですが、上記のガイドラインによる定義では、統合失調症などの精神疾患によって家にこもっている状態とは区別されています。ただし実際には確定診断がなされる前の統合失調症などの精神疾患や発達障害がある人が含まれている可能性もあると考えられています。ひきこもりによって社会参加の回避が長期化すると、社会生活への復帰のハードルも高くなってしまいます。ご両親だけでなくご本人も大きな不安を抱えている場合もあります。しかし、社会の偏見や無理解、近所の目や、家族内の意見相違があることも少なくないといわれています。そのため支援を受けられずに家庭内で解決しようとするあまり、状況がさらに長期化し解決が難しくなる場合があるのです。平成25(2013)年の15~34歳(若年層)を対象にした調査によると、日本には推計でほとんど家からでないひきこもり状態にある人が約23.6万人、自分の用事のときだけ外出する準ひきこもり状態の人が約46.0万人、合わせて約69.6万人もの人が広義のひきこもり状態にあるそうです。平成30(2018)年には満40歳から満64歳(中高年層)を対象にした調査が行われ、ひきこもりの推計数は61.3万人であることが分かりました。若年層と中高年層を合わせると約115万人がひきこもりの状況であると推測されます。この事態を受け、厚生労働省をはじめ、行政もひきこもりへの支援を推進しています。Upload By マンガで分かる発達障害のキホン参考:『ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン』|厚生労働省参考:平成26年版子ども・若者白書(全体版)|内閣府Upload By マンガで分かる発達障害のキホンひきこもりの原因単純に本人の性格や甘え、子育てのせいと結びつけられがちですが、ひきこもりのきっかけや要因はさまざまです。『平成26年版子ども・若者白書(全体版)』による調査では、病気や仕事・学業でのつまずきがきっかけとして多いことが分かります。Upload By マンガで分かる発達障害のキホン子どもは成長するに従い、自立とスキルを求められるようになります。他者と折り合いをつけ、円滑にコミュニケーションをとることや、勉強や将来に向けての進学・就職に成功することなど。それらのさまざまなプレッシャーのなかで、外=社会での居場所を失い外に出られなくなった場合、家の中にひきこもらざるを得なくなってしまうことがあるのです。つまり、誰でもひきこもりになる可能性はあるということです。きっかけとして多いのは、いじめや人間関係がうまくいかないこと、成績の低下や受験・就職活動の失敗などの経験が挙げられますが、きっかけがよく分からない場合も少なくありません。一つの原因だけでなく、複数の要因が複雑に関係しているケースもみられます。不登校が長期化してひきこもりになることもあります。最近は、背景に発達障害が関係していることもあるという報告もあります。参考:令和元年版子供・若者白書(概要版) > 特集2長期化するひきこもりの実態|内閣府ASD(自閉スペクトラム症)を背景とする場合、他者の意図や会話を理解したり、状況をくみ取ることが苦手なために、違和感や被害感など抱きやすく、社会参加や他者と関わることに対する不安や恐怖を感じてしまうことがあります。また生活習慣を変えることや、予期せぬ事態に直面することへの抵抗感が強いことも関連して、ひきこもりが長期化する場合があることが分かっています。家族としては、どうしても「なぜひきこもりになったのか」が気になり、突き止めたくなるでしょう。ですが、「どうしてひきこもりになったのか」「何のせいでひきこもっているのか」と原因探しをすることは、ひきこもり状態の解決にはあまり意味がないかもしれません。ひきこもりの解決のためには「なった要因」よりも「ひきこもり状態からどうたら抜け出せるのか」を考え、支援する必要があるといわれています。ひきこもりと精神疾患の関係は?定義上ではひきこもりは精神疾患が原因ではありません。ですが、ひきこもり状態の中には、精神疾患と何らかの関連がある場合も考えられます。この場合、いくらひきこもりを脱しようと頑張っても、根本にある精神疾患の治療や支援をしないと、解決できないことがあります。そこで、ひきこもり状態の裏になんらかの精神疾患や障害が隠れていないかどうか注意することが非常に重要です。精神疾患とひきこもり状態の関係にはいくつかのパターンが考えられます。Upload By マンガで分かる発達障害のキホンひきこもりの人の中には、精神疾患の症状のために家から出られないのに、そのことに気づかず、見過ごされている状態の人も少なからずいるのではないかと考えられています。つまり、『精神疾患からひきこもり状態をひき起こしているが未診断』という状態です。不安障害や統合失調症、双極性障害、うつ病などの症状とひきこもりとの関連が指摘されています。精神疾患の診断がある場合、それ自体の治療が必要な場合もあります。これらの症状がある場合は早めに精神科の受診を検討しましょう。なかでも統合失調症は鑑別が難しい精神疾患です。統合失調症の陰性症状は、エネルギーが下がった状態で起こる症状です。主な症状としては、うつ状態になることと、感情の起伏が少なくなることの2つがあります。陰性症状が進むにつれてほかの人とのコミュニケーションが難しくなり、ひきこもり状態になることがあります。この状態を単なるひきこもりと誤解されてしまうことがあります。統合失調症の主な症状としては、幻覚や妄想、幻聴なども挙げられます。これらの様子が見られる際には、精神科の受診をおすすめします。ただし、引きこもり状態でも妄想などがあらわれる場合もありますので、統合失調症かどうかは医師による慎重な判断が必要です。参考:知ることからはじめようみんなのメンタルヘルス|厚生労働強迫性障害とは、強い「不安」や「こだわり」によって日常に支障が出る病気です。自分でもささいなことだと分かっていても何度も確認を繰り返し、日常生活に支障が出てきてしまいます。例えば「戸締まりを何度も確認してしまう」「不潔に思い、手を何回も過剰に洗ってしまう」などです。世界保健機関(World Health Organization:WHO)の報告では、生活上の機能障害をひきおこす10大疾患の一つにあげられています。もともとの強迫性障害が原因で外出などが困難になり、ひきこもりにつながる場合もあります。例えば「自分は酷いことを周りの人にしてしまうかもしれない」などの強い思い込み(強迫観念)により外出が困難になる場合などです。また、ひきこもり状態から強迫性障害が生じる場合があります。強迫性障害には薬物療法と認知行動療法などの併用が回復には有効だといわれています。参考:強迫性障害|みんなのメンタルヘルス(厚生労働省)参考:「ひきこもり」対応ガイドライン(最終版)の作成・通知について|厚生労働省精神疾患の症状から、人間関係のトラブルや強いストレスをひき起こし、二次的な障害としてひきこもり状態になる場合もあります。近年、発達障害とひきこもりの因果関係が指摘されることが多くあります。発達障害のある人が特性を理解されないまま不適切な環境にいることで、環境との不適応を起こし、二次障害としてひきこもり状態になる場合が少なくないのです。ASD(自閉スペクトラム症)のある人はコミュニケーションの困難のため思春期以降、複雑化する学校生活や人間関係などがうまくいかず、ひきこもり状態になる場合があります。また感覚過敏がある場合も多いため、学校生活でのさまざまな音やにおい、刺激などへの対応に困難を感じ、次第に登校しにくくなることがひきこもり状態につながることもあります。ADHD(注意欠如・多動症)のある人も、不注意や衝動性といった特性が社会適応を困難にしたり、叱責を受けてしまうことで自己肯定感が低くなってしまうことが、引きこもりにつながることがあるといわれています。また、LD(学習障害/限局性学習症)のある人は、学習でのつまずきによって学校に行きたくないと感じてしまったり、自己肯定感の低下を引き起こすことでひきこもりにつながる場合があります。発達障害の根本的な治療法は現代の医学では確立していませんが、周りの理解や環境調整、スキルトレーニングなどによって困りごとが軽減するといわれています。それらの適切な対応をすることで、二次障害としてのひきこもり状態になることを予防したり、ひきこもり状態から早期に抜け出せるようにすることができるかもしれません。また、ひきこもりの状態にある人の中にも、その背景に発達障害が隠れていることに気がついていない人も一定数いると考えられます。発達障害がある場合、さまざまな社会的支援が受けられる場合もあります。幼少期の生育歴などに発達障害に該当する様子がなかったかなど、一度専門機関に相談してみるとよいでしょう。参考:ひきこもりと発達障害|星野仁彦長期間にわたるひきこもり状態や孤立から、しばしば二次障害的に精神疾患の症状が出現することもあります。ひきこもり状態にある人のなかには、引きこもりをやめたいのにやめられなかったり、家族とぶつかったり、近所の人の目を気にしたりなど、「ひきこもっていること」そのものに対して強いストレスを感じている場合があります。これらが心身に影響を及ぼし、対人恐怖症状や強迫症状、被害念慮(妄想)、うつ状態などがあらわることがあり、しばしばそれらがひきこもりから抜け出すことをより困難にすることがあります。しかし、家庭の中だけで解決することは難しいことが多いため、早期に専門機関に相談することが重要です。参考:第1章ひきこもりの心理状態への理解と対応 斎藤環(爽風会佐々木病院診療部長)|内閣府イラスト/taekoコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月25日