StudyHackerこどもまなび☆ラボがお届けする新着記事一覧 (22/28)
時代が変わるとともに、子どもを取り巻く環境や、いわゆる「できる子」の定義も変わっていきます。子育てをしていくなかで、「自分が子どもの頃とは状況がまったく違う」と感じ、戸惑ったことのある親は多いはず。現在の子どもには、どんな能力が求められているのでしょうか。今回は、これからの未来を強く生きていける子どもの特徴について紹介していきます。親世代が子どもだった頃の「できる子」とは現代の子どもの親世代は「大人の言うことが聞ける子」こそが「できる子」とされていました。約20~30年前の日本は高度経済成長期で景気が良く、雇用形態は正社員が基本で、なおかつ勤続年数に応じて順調に給料が増えていく終身雇用制度が整っていたからです。ゆえに、しっかり勉強して安定した会社に勤めることができれば、その後の人生は安泰であるという考え方が一般的になっていました。そして男性が働きに出て、女性は主婦として子育てや家事に勤しみ、三世代や四世代で同居するのが当たり前でした。そのため、変化を求めずに画一的な生き方を選択できること、大人の言う通りに行動したり勉強したりできることが、できる子や優秀な子の条件だったのです。画一的では生き残れない現代しかし今は、かつての日本とは違い、正社員、派遣社員、フリーランスなど、働き方にバリエーションが生まれています。また、終身雇用制度が崩壊しつつあり、人々の生活に格差がみられるようになってきました。さらに、核家族が増え、共働き世帯が増加していることから、昔のような「家に帰れば、お母さんやおじいちゃん、おばあちゃんなど、誰かしら大人がいる」という状況が当然ではなくなり、放課後は学童保育や塾、習い事に行く子どもが増えています。加えて、昔とは違ってインターネットやスマートフォンが生活の一部となったことで、人々が得られる情報が一気に増えました。そしてSNSなどの普及で、会ったことのない人や違う国の人とインターネットを通して知り合い、コミュニケーションをとることも可能となっています。こうした時代の変化により、かつて当たり前だった「こんな勉強をして、こんな会社に入って、結婚して子どもに恵まれれば、将来は安泰」という画一的な生き方は通用しなくなったのです。これからを生きる子どもに求められるもの人々の生き方が多様化している現代で、子どもがすこやかに生きていくためには、以下のような力が求められています。1. 情報リテラシーを持つことかつては暗記などの詰め込み教育が基本でしたが、インターネットが発達した現代では誰でも手軽に情報を手に入れることができます。そのため、たくさんの知識を持つことよりも、情報を的確に活用する能力が重視されるようになっています。具体的には、インターネット上のフェイクニュースに騙されることなく正しい情報を見極めることや、自分や他人の個人情報のリスク管理ができることなどです。昨今ではインターネットを通じた犯罪に子どもが巻き込まれたり、匿名での誹謗中傷などで子ども自身が加害者になってしまったりするケースが非常に多くみられるため、親や周りの大人がインターネットの使い方を正しく指導する必要があります。2. さまざまな価値観を認めること生き方や働き方のバリエーションが増えている現代では、さまざまな価値観が溢れています。そんな中で、自分とは違う価値観を認められないと、子ども自身が生きづらくなったり、価値観が違う人に対して攻撃的になったりすることもあります。誰でも受け入れなければいけないというわけではなく、価値観が違うのは悪いことではないと理解するのが大切です。また、祖父母との同居が当たり前で、近所の人々との付き合いが多かった昔とは違い、現代は親や先生以外の大人とのかかわりが少ない子どもが増えています。そのため、ワークショップやイベント、旅行などで普段接点のない人々とかかわる機会を意識的に増やし、さまざまな価値観に触れる機会を作るのも有効です。3.自分自身を理解して意思を伝えること現代の子どもは、学校だけでなく習い事や塾など、忙しい日々を送っているケースが多くみられます。しかし、日々やるべきことが子どものキャパシティーを超えてしまうと、それまでは問題なく行ってきたことでも拒否したり、すべてにおいて無気力状態になってしまったりすることもあります。そうならないためには、子ども自身が自分について理解し、親に意思を伝えられることが重要です。子どもがなんでも話しやすい環境を作るためにも、親は話をしっかり聞く習慣を作りましょう。4. 誰かと協力して何かを成し遂げること核家族や一人っ子が増えており、SNSなどでインターネット上のつながりを持てる現代では、実際に誰かと協力することに対して消極的になってしまう子どもが珍しくありません。しかし、協調性や思いやりを持ち、誰かと協力して何かを成し遂げることは、子どもの成長過程ではもちろん、社会に出た後も必ず役立ちます。また、昨今は地震や洪水などの自然災害が頻発しています。災害の現場では、地域住民との協力が必要不可欠であり、子ども自身が生き延びることにもつながります。家庭では、お手伝いや宿題などで子どもと共同作業をする際に、協力することの大切さを伝えるのもおすすめです。***親世代が子どもだった頃よりも、さまざまな力が必要とされる現代の子どもですが、子どもならではの吸収力や柔軟性は今も昔も変わらないものです。小さなうちから、生きていくうえで大切なことを伝え、子どもがたくましく生きていけるようサポートしていきましょう。文/田口るい(参考)文部科学省|2.現代の子どもの成長と徳育をめぐる今日的課題YOMIURI ONLINE|これからの教育に大切になるもの~「主体性」を育むこと~ベネッセ教育情報サイト|【これからの時代に必要な力】変化の激しい時代を生き抜く方法ベネッセ教育情報サイト|幼児期から育成したい!「非認知能力」とは?【前編】All About|パパに知ってほしい!ワンオペ育児はなぜ辛いのか?
2019年03月16日小学校に入ると、人の話を聞く機会が一段と増えます。授業はもちろん、朝会や学校行事、進学や進級で出会った新しいお友だちとのコミュニケーションなど。話を聞くのは大事なことですよね。小学校受験では実際に、「聞く力」を確認するための課題が出ることもあります。先生のお話を聞いた後、そのお話の内容についての出題があり、傾聴姿勢と記憶力を問われるというもの。これらは、小学校からの勉強で大切な能力だから出題されているのでしょう。うちの子は話を聞けなくて……と嘆く親御さんも少なくないでしょう。でも、「聞く力」は家庭内でも養っていくことができるはずです。自他の区別がついたら、聞く力を意識して人の話を聞くどころか自分の話をしてばかり、という子もいます。自分の気持ちをわかってほしいという気持ちが強く、相手を理解しようとすることが二の次になってしまうのは、子どもの特性として仕方がないことのようです。話し方についての著書を50冊近く出している、株式会社話し方研究所会長の福田健氏は、「子どもの聞く力」について以下のように話しています。子どもの視点は自己中心に傾きやすい。自他の区別がついて、相手の存在を意識するようになった段階で、親は子どもの聞く力が伸びるように手を貸さなくてはならない。それを怠ると、話を聞く力が身につかないまま大人になってしまうのだ。(引用元:福田健 (2014) ,『わが子に伝える「話し方」の技術』,小学館.)「自他の区別」と「相手に自分と異なる心があること」がわかるようになるのは、まだまだ赤ちゃんである1歳頃と言われています。だからこそ、できるだけより幼い頃から子どもがしっかりと人の言葉に耳を傾け理解するよう、親の方が意識を持っておくといいですね。まずは「話す力」より「聞く力」最近の教育では、特に自己表現や発信力に重きが置かれている傾向があるようで、人前で発表することや大勢の中で意見を言えることができる子になるようにと、「話す」ほうに力を入れている親御さんも多いことでしょう。しかし、上手に話ができるようになるには、人の話を聞いて吸収したり言葉の持つ力を感じたりすることが大切です。赤ちゃんの発達の段階でも、話すより先に聞き分ける力を身につけてから言葉として発しようとするように、まずは知っている言葉の数が少ない時期だからこそ、「聞く力」をつけたうえで「話す力」を養っていくとよいでしょう。聞く力は、ことばの習得にはなくてはならない能力です。もっと言えば、物事を学ぶ際の基本姿勢としてなくてはならないもの。学ぶ姿勢の背骨のようなものです。幼児期では特に5歳くらいになると、聞く力があるかどうかで、その後の知能の発達や学習能力にも大きな差が出てくるようになります。(引用元:祖川泰治(2015) ,『IQがみるみる伸びる0歳から6歳までの遊び方・育て方』,廣済堂出版.)また、臨床心理士として、子どもの心と教育をテーマに活動している河井英子氏は、言葉をしっかりと聞くことは、単に国語の力がつくというだけでなく、思考力を高め、理解力を深めることにも深くつながっていくと言います。それはまさに、学力を伸ばすために最も重要な条件。「話す力」「書く力」は、話させたり書かせたりすれば、その能力を他者が確かめることが容易です。しかし、きちんと「聞く力」がついているかどうかは、はたから見ているだけではよくわかりませんよね。だからこそ、家庭で「聞いているかな?聞いたことを理解しているかな?」と意識的に確かめ合うような時間が有意義になってきます。家庭内でチェック!日常で養う「聞く力」もしも、お子さまに「聞く力」があまり身についていないようだと不安なら、家庭内で以下のことを確かめてみましょう。□会話のキャッチボールはできている?ふだんの親子の会話を振り返ってみましょう。「幼稚園で何して遊んだの?」「おすなばあそびと〜、おかいものごっこと〜。」「そういえば、買い物に行かなくちゃね。夕飯は何がいいかな?」というような、話の道筋を逸れるような会話を無意識にしている場合は要注意です。親が子どもの話に熱心に耳を傾けないことには、子どもに聞くことの重要性は伝わりません。□叱るときにばかり言葉を多く使っていない?子どもがモタモタしていたりすると、親はついしつこく叱り続けてしまうことも。しかし、くどくどと叱られる経験が多くなると、子どもは防衛手段として心の耳を閉じ言葉を聞き流す癖をつけてしまうのです。そうならないためにも、逆に褒める場面でたくさんの言葉を使ってみてはいかがでしょうか。褒め言葉は「すごいね」などと簡潔になりがちですが、具体的な感想を交えながらたっぷりと褒めてあげれば、子どもは聞くことで嬉しい気持ちが生まれ、自ずと聞く姿勢も身についていくはずです。□話の内容を簡単に要約できる?人の話を聞くことができる人は、話の要旨がわかるはず。これは国語力の高さに結びつきます。会話の中で、意識的に「要するに◯◯だということだね」と返答してみたり、逆に子どもに「ひとことで言うと、どういうこと?」と要旨を言わせてみるのもいいでしょう。□伝言ゲームができる?楽しく遊びながら「聞く力」をチェックするには、伝言ゲームもいいでしょう。母が子どもに文を伝え、それを父に伝えてもらい、最後に母が確認するのです。最後まで集中して聞き、聞き取った内容を復唱し、確認を取らなければならない一連の作業は、正しい傾聴姿勢につながります。うまく伝えられたときには、「さすが◯◯ちゃん!しっかり聞けたね」と一緒に喜んであげましょう。□読み聞かせをしている?読み聞かせは心を豊かにし親子の関係を深めるだけでなく、文字を通した言語活動が豊かに育つ土台作りにもなります。上記の「伝言ゲーム」と組み合わせ、読み聞かせした内容を伝えさせるのもいいかもしれません。例えば父親の不在時に母親が読み聞かせをして、父親が帰宅したら子どもがその本の内容を伝えるようにすれば、親子間のコミュニケーションにもなります。***しっかりと聞いてほしいからといって、ちょっと話を聞けなかっただけで「なんで聞いてないの!」と怒ってしまうのはNG。目を見てもう一度話してあげれば、きっと聞こうとする姿勢になってくれるはずです。言葉に込められているものを聞きとることができれば、相手の気持ちを汲み取ることができるようになり、自分の気持ちも言葉で伝えることができるようになります。「聞く力」は、「話す力」「書く力」、そしてコミュニケーションの根幹。家庭内でたくさんの言葉を持って「聞く力」を身につけていけるといいですね。文/酒井絢子(参考)富士チャイルドアカデミー|人の話を聞かない子供を「話を聞ける子」に育てるにはPHPファミリー|幼児期が大切です「聞く力」で伸びる 7つの能力高濱正伸(2013) ,『伸び続ける子が育つ!お母さんへの60の言葉』,青春出版社.福田健 (2014) ,『わが子に伝える「話し方」の技術』,小学館.祖川泰治(2015) ,『IQがみるみる伸びる0歳から6歳までの遊び方・育て方』,廣済堂出版.陰山英男(2011) ,『子どもの学力に不安を感じた時に読む本新学習指導要領に対応した新しい勉強法』,小学館.
2019年03月16日待ちに待った春が到来、いよいよ新学期が始まりますね。特に、小学校へ入学するお子さんのお父さん、お母さんは期待と不安で胸がいっぱいなのではいないでしょうか。「うちの子、きちんと授業についていけるだろうか」「宿題を忘れずにできるかしら」……など、“学び”に関する心配も多いかと思われます。でも、“家庭で子どもが自ら机に向かう勉強習慣”を身につければ、きっと大丈夫。今回は、「はじめての勉強習慣」をスタートさせる際のポイントや注意点についてご紹介しましょう。なぜ「勉強習慣」を身につけておいたほうが良い?ここで言う「勉強習慣」とは、“家庭で子どもが自ら机に向かい、勉強や宿題を行う習慣” のこと。では、そもそもこの「勉強習慣」を身につけておくことが望ましい理由って何でしょうか?まず、「勉強しなさい」「宿題は終わったの?」と私たち親が口うるさく言う必要がなくなりますよね。これは親にとっても子どもにとっても、精神衛生上とても良いことだと思います。もちろん、学力面でのプラス効果も大きいものがあると思います。でも、それだけではないのです。2020年から実施される教育改革にも関係してきます。すでにご存じの方も多いと思いますが、これからは「主体的な学び」(=子どもたちが学ぶことに関心を持ち、自ら学ぶ姿勢)が重要視されていく時代が始まります。この「主体的な学び」につなげるためにも、家庭での勉強習慣は、“自分から学ぶ第一歩” としてとても大切なことなのです。「勉強」しないとなんだか気持ちが悪くなる!?では、「勉強習慣」を身につけるにあたって、ぜひ知っておきたいポイントを3点ご紹介しましょう。<1>新1年生はできれば「入学前」。記念日や節目の時期も最適新1年生の場合は、「小学校入学と同時」でもいいのですが、できれば「入学前」が好ましいです。というのも、小学校へ入学すると、新しいお友達、先生、校舎、授業……と、子どもを取り巻く環境がガラリと変わりますよね。そんな中、家庭でも新しい習慣を、となると子どもに負担になってしまう場合があるのです。入学前から家庭での勉強習慣をつけておけば、小学生になってからも勉強にスムーズに取り掛かることができるでしょう。入学前に始める場合、内容は小学校で最初に習うような、簡単なひらがな・カタカナ・数字の読み書きなどがオススメです。一方、「花まる学習会」代表の高濱正伸氏は著書の中で、4月の年度初めや誕生日、1月からなど節目のいい時期や記念日が、子どもにとってやる気満々の最適の時期だと言っています。もし、新2年生、3年生に進級するお子さんの場合は、「今日から○○ちゃんは、●年生だもんね。△年生のときとは違う〇〇ちゃんに変身しようか」などと声かけしてあげるのもいいでしょう。開始する時期は、お子さんの性格や、やる気度合いに合わせるのが良さそうです。<2>生活の中に「型」をつくる高濱氏は、勉強ぐせをつけるために「『型』をつくることが重要だ」と書いています。「歯磨きをしたり、お風呂に入ったりするのと同じように、生活の中に、必ず『勉強』をルーティンワークとして組み入れること」がポイントなのだとか。では、1日のうち「いつ」行うのがよい?という疑問が湧きますよね。高濱氏は、「朝」が理想的な時間帯だと言っています。例えば、朝食後、学校に行く前に必ず漢字ドリルや計算ドリルを5分だけやる、というように。この場合は、平日だけではなくできるなら土日も行います。「学校から帰ったらすぐ」、「夕食後」などもいいそうですが、習い事がある日などはやる時間がずれてしまいますよね。そういう意味で、他の用事に影響されることがほとんどない「朝」が好ましいのだとか。まだ低学年の年齢、しかも勉強習慣を身につける最初の段階で、いきなり1日に1時間も2時間もやる必要はなく、5分~10分でOKです。毎日その時間になれば必ずやる生活習慣として、「型」をつくり上げて、その「型」が崩れると気持ち悪い、という意識を定着させるのが狙いである、と高濱氏は書いています。そして、それが最初の小さなクセとして定着したら、次には、「学校から帰ったら必ず宿題を済ませる」「夕食後の30分は必ず他のドリルをやる」というように、少しずつ「型」を増やしていけばよいそうです。<3>子どもが集中できる環境を整える最近では、リビングで子どもに勉強や宿題をさせるご家庭も増えていますよね。ひとり部屋や専用の学習机は必ずしも必要ではないという考え方も広まっています。2010年に発表されたデータによれば、東大生の約48%が「子どもの頃、リビングで勉強していた」と答えたとか。リビングは家族の気配を感じ、お子さんが安心感を持てる場所なので、勉強習慣も始めやすい場所と言えます。ただ、リビングで行う場合は、テレビや音楽は消す、下に弟や妹がいる場合はお絵かきなどを一緒にさせて集中モードに切り替える、特に低学年のうちは、できるだけ保護者がそばで付き添う、などお子さんがリラックス、かつ集中して勉強に取り組める空間づくりをしましょう。以上3つのポイント、いかがでしたか。どれも難しいことではありませんが、「勉強習慣」を身につけるためにはぜひ押さえてほしい内容ばかりです。ぜひ、実践してみてくださいね。やっぱり “親のひとこと” が効果テキメン!もし、「勉強習慣がなかなか身につかない」、「(子どもが勉強しないので)つい、“勉強しなさい” と口うるさく言ってしまう」といったお悩みが出てきたら、ぜひ試してほしいのが、以下にご紹介する「言葉かけ」や「接し方」。親の言葉・接し方できっとお子さんの意識が変わって、勉強に前向きに取り組めるようになりますよ。■「〇〇ができるようになったね、すごいね!」“褒めて伸ばす” が、やはり効果テキメンです。何でもかんでも褒めるのではなく、「できるようになったこと」に着目して褒めてあげるとさらに良いとか。小さなことでも、できるようになったという「変化」を見逃さないのが大切です。子どもの「自分にもできる、やれる」という自信につながります。■いつも穏やかな態度、笑顔で接する穏やかなまなざし、口調、物腰……そんな「穏やかオーラ」が子どもの学習環境には重要だそうです。親の穏やかなオーラは子どもの心の安定につながり、それが勉強に向かう際にとても必要なことなのです。■「知ることが楽しい」「自分でできた」という体験を体で覚えさせる子どもが「あ、そういうことか」「わかった!」と、“知る(理解できる、わかる)喜び”を感じることが、「もっと知りたい!」という学ぶ意欲につながります。そんな体験をたくさん積ませるように接してみてください。例えば、解けない問題に対しては、親がヒントを出していくのも手。答えが出るまでヒントを出し続けてもいいので、とにかく「子どもが自分で答えを見つけ出すこと」が重要。子どもの心に、「自分でできた」という達成感を味わわせてあげましょう。***勉強習慣は、お子さんの学力面でプラスになるだけではありません。「継続して毎日やれている」ということが、自己肯定感や自信にもつながっていくのです。他のものごとに対しても、「できる、やれる」と、挑戦する意欲が湧いてくるでしょう。1日5分から、始めてみませんか。文/鈴木里映(参考)高濱正伸(2014),『高濱流わが子に勉強ぐせをつける親の習慣37』,永岡書店ベネッセ 教育情報サイト|「勉強習慣を身につける3つのポイント」七田式教育公式サイト|「東大生を育てた学習方法とは?小学生の家庭学習習慣の育て方と勉強のやる気を上げる方法&おすすめ教材」All About|「子供の勉強習慣いつからどうやって始めるべきか?
2019年03月15日「先行きが見えない」といわれる時代だからこそ、「子どものために」と考えて塾に通わせることはもちろん、子どもにあれやこれやと習い事をさせている親御さんは多いはず。でも、もしかしたら……自覚しないままに、「教育虐待」をしてしまっている可能性も否定できません。そう語るのは、育児や教育に関する執筆活動の他、各種メディアで活躍する教育ジャーナリストのおおたとしまささん。教育虐待の実態から、現在の家庭教育がはらむ問題点を解説してくれました。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)いまとむかしの「教育虐待」のちがい教育虐待という言葉は新しいものではありますが、きっとむかしから似たようなことはおこなわれていたはずです。子どもに過剰に勉強をさせようとする、いわゆる教育ママは何十年も前から存在しましたよね。ただ、かつての教育虐待と現在のそれはニュアンスが若干ちがってきているようにも思います。かつての厳しい家庭教育には、わかりやすい「ゴール」がありました。目指すのは東大をはじめとした難関大学に入学すること。そのゴールに達すれば、その後の子どもの一生が保障されると親は考えていたのです。だからこそ、勉強させることについてはどこまでも厳しく徹底していた。テストの点が良くなければ、手を上げることもあったかもしれません。でも、逆にいえば、テストの結果が良ければ文句はいわない。そういうシンプルな構造のものでした。一方で、いまは「学歴が役に立たない」ともいわれる時代です。それはつまり、かつてのゴールがゴールではなくなったわけです。もちろん、「学歴が役に立たない」といっても、決して「学歴が必要ない」時代になったわけではありません。学歴はいまも一定の武器になることはたしかです。でも、なかには高学歴を得たうえで、英語ができないといけない、プログラミングができないといけない、コミュニケーション能力が高くないといけない、プレゼンがうまくないといけない……といったさまざまな情報を鵜呑みにしてしまった親もいます。そういう親が子どもをスケジュール漬けにしていることが、現在の教育虐待です。でも、子どもをそんなスーパーマンみたいな人間に育てようとすることは、果たして現実的でしょうか?習い事の本来の意義を知る重要性そういう親は、そもそも習い事を子どもにさせることの意義を取り違えています。習い事とは、子ども自身が求めるものをすることによって、夢中になり、達成し、挫折を味わい、そして壁を乗り越えることで、「やり抜く力」を育ててくれるものであり、なんらかのスキルを得るのは副次的な成果です(インタビュー第3回参照)。子どもにプログラミングを習わせたとして、子どもが大人になったときに現在のプログラム技術が通用するでしょうか?断言できますが、「絶対に通用しない」といっていいでしょう。でも、子ども自身が「プログラミングを学びたい」というのなら話は変わります。徐々に難しいレベルのプログラミングを学びはじめるうち、子どもは「どうしてもわからない」という壁にぶつかります。そこで、考えて考えて「こうすればいいんだ!」という「突き抜け体験」をする。その体験こそが子どもの力になるのであって、スキルそのものに意味があるものではないのです。子どもにさまざまなスキルを身につけさせようとすることは、必要かどうかもわからないアプリをスマホにいくつも入れようとしているようなものです。本当に子どものためを思うのなら、スマホそのものの性能を上げる、つまり子ども自身の力を伸ばしてあげることを考えなければなりません。壁に穴が空いたら赤飯を炊け現在の教育虐待のやっかいなこととして、「親も子どもも無自覚」という点も挙げられます。なかには、コーチングまで学んで子どもを完全にコントロールして勉強や習い事をさせている親もいます。コーチングの本来の使い方ではなく、広い意味ではこれも教育虐待につながる可能性がありますが、当然、親は「子どものため」だと思っています。一方で、うまく操作されているがために、子どもにも「虐待されている」という自覚はありません。だから、思春期を迎えても反抗期が訪れない。「いい子に育った」と思ったら大間違いです。そういう子どもは成人しても誰かに指示を与えられないと落ち着かず、つねに自信を持てない、なにをやっても楽しくないという人間になる。なぜなら、「自分の人生を生きたことがない」からです。むしろ、むかしからいわれる「壁に穴が開いたら赤飯を炊け」じゃありませんが、子どもが中高生になって反抗期が訪れたら、よろこばしいことだととらえるべきです。現在の教育虐待には、「親自身の不安を解消しようとしている」という構造があります。親が持つ「この子はちゃんと生きていけるのだろうか……」という不安を解消するため、親が思う解決策を与えようとしているわけです。でも、子どもはこれから親の価値観を超えた世界で生きていかなければなりません。親が与える解決策はあまり意味がないといっていいでしょう。まずは「親は無力である」と親が自覚することが大切です。子どもは親が思っているよりもたくましいものです。子どもの生きる力を信じてあげましょう。いまの子どもには「ぼーっとする時間」が足りないそして、あれやこれやと習い事をさせる代わりに、「ぼーっとする時間」を与えてあげてください。少しでも時間があればなにか習い事を詰め込もうとする親がいるために、いまの子どもたちにはその時間が圧倒的に足りていません。この「ぼーっとする時間」は人間の成長にとても重要なものです。そういう時間があって、「暇だな」「なにをして過ごそうかな」と子どもははじめて自発性を発揮します。そして、「じゃ、本を読もう」「映画を観よう」などと考える。そこで、「なにをしているときに自分は幸せなのか」と知る。それが「人生の羅針盤」になるのです。その羅針盤を持たないまま成長すると、人生のあらゆる場面で進むべき方向を自分で決められない人間になってしまいます。たとえどんなに優れた能力を秘めた人間であっても、その能力を使うこともできないでしょう。塾や習い事にこれだけ多くのレパートリーが出てきている時代、わたしは皮肉を込めて「そのうち、『ぼーっとする時間』を売る塾というものができる」といっています。「子どもメディテーション教室とかね(笑)。仮にそんなものができても利用することなく、子どもが本当に「ぼーっとできる時間」を大切にしてあげてください。『中学受験「必笑法」』おおたとしまさ 著/中央公論新社(2018)■ 教育ジャーナリスト・おおたとしまささん インタビュー一覧第1回:過当競争極まれり。難関中学への“逆転入学”が子どもに弊害をもたらしている第2回:「間に合わせの学力」では人生厳しい。「本質的な学力」を伸ばす“1日10分”の学び第3回:学力は人並程度あればいい。「新たな時代」を生き抜くためには“3つの力”が必要だ第4回:「教育虐待」のやっかいな実態。今の子どもには“決定的に足りない”時間がある【プロフィール】おおたとしまさ1973年10月14日生まれ、東京都出身。教育ジャーナリスト。麻布中学校・高等学校卒業、東京外国外大学英米語学科中退、上智大学外国語学部英語学科卒業。株式会社リクルートを経て独立し、数々の育児誌、教育誌の編集に関わる。心理カウンセラーの資格、中学高校の教員免許を持っており、私立小学校での教員経験もある。現在は、育児、教育、夫婦のパートナーシップ等に関する書籍やコラム執筆、講演活動などで幅広く活躍する。著書は『受験と進学の新常識 いま変わりつつある12の現実』(新潮社)、『名門校とは何か? 人生を変える学舎の条件』(朝日新聞出版)、『ルポ塾歴社会 日本のエリート教育を牛耳る「鉄緑会」と「サピックス」の正体』(幻冬舎)など50冊を超える。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月14日外遊びのなかでも、鉄棒や縄跳び、鬼ごっこなどに比べて、運動量の少ない「砂場遊び」。小さいうちから遊べる、ひとりでも大勢でも楽しめるといったメリットがある一方、手や服が汚れる、砂に菌が混ざっていないか気になるといった親御さまも多いのではないでしょうか。そんな砂場遊びに、子どもの成長や発達を促す効果が豊富にあるということはご存知ですか。もし、それを知らずに “食わず嫌い” していたとしたら、非常にもったいないことです。そこで、今回は、砂場遊びが子どもの成長・発達にもたらす効果と、安心して安全に遊ばせるために親が心がけるべきこと、より楽しく遊ばせるコツをご紹介します。砂場遊びはとにかくメリットだらけ!まずは、砂場遊びが子どもの成長や発達にもたらす効果を見てみましょう。【メリット1:手先が器用になる】砂場遊びで一番活発に動かすものは、「手」ではないでしょうか。乾いた砂のサラサラや、水に濡れた砂のドロドロなどの感触を楽しみながら、さまざまな動かし方をします。例えば、手のひらですくったり、指でなぞったり、強く握って固めたり。手の運動量はとても多いのです。そのため、自然と手先が鍛えられ、器用になっていきます。【メリット2:運動能力がアップする】「立つ」「座る」という動作を繰り返すので、実はいい運動になっているのです。また、「運ぶ」「積む」「持つ」「掘る」ことで体のバランス感覚も養えます。砂を詰めたバケツを運ぶ、そのバケツを逆さにして、そーっと中身を出す。山を崩さないようにトンネルを掘るなど、微妙な力の加減を覚えることができますよ。【メリット3:創造力が高まる】公園にある遊具のなかでも、ブランコは「こぐ」、滑り台は「滑る」と使い方が決まっていますが、砂場の遊び方はさまざま。「今日はどうやって遊ぼうかな」「砂でどんな形がつくれるかな」と、アイデア次第で無限に広がります。そのため、自然と子どもの創造力——新しいものをつくりだす能力が高められていくのです。大人も驚くようなアイデアが生まれることも少なくありません。【メリット4:社会性が身につく】砂場遊びはひとりでもできますが、お友だちと一緒に遊ぶこともできます。一緒に何かをつくったり、ごっこ遊びをしたりするなかで、役割分担や道具の貸し借り、順番を守るといった場面に遭遇することも。時には、コミュニケーションがうまくいかず、お友だち同士で揉めてしまうこともあるかもしれません。ですが、そういうなかで、子どもたちは少しずつ社会性を身につけていくのです。【メリット5:集中力・忍耐力が高まる】砂場遊びの定番といえば、山づくりや泥団子づくり。それらで遊ぶ子どもたちをよく観察してみると、より高い山をつくろうと慎重に砂を積みあげる姿や、団子を握りつぶさないよう力加減する姿などが見られます。時には、失敗して山を崩してしまったり、団子を粉々にしてしまったりする姿も。こうした作業のなかで、子どもたちは集中力や忍耐力を高めているのです。このように、砂場遊びには、子どもの成長・発達に関するたくさんのメリットがあるのです。安心・安全な砂場遊びのための3つの心がけしかし残念ながら、砂場遊びをすると手や服は汚れますし、そのなかに菌や危険物が混ざっている可能性もゼロではありません。ですが、だから砂場遊びをさせないというのではなく、少しでも安心して安全に遊ばせられるよう工夫するという考えにシフトしてみましょう。■汚れてもいい服を着させるどんなに注意していても、服は汚れます。そのたびに、「もう、こんなに汚して!」と子どもを叱ったり、「洗濯で落とせるかしら……」と不安になったりするのは大変です。あらかじめ、汚れてもいい服を着させ、のびのびと遊ばせてあげましょう。■危険なものが落ちていないかチェックする砂そのものは、子どもの体に付着しても洗い落とせばいいのですが、砂に危険物が混入していたら、そういうわけにいきません。例えば、タバコの吸殻やガラスの破片、動物のフンなどが砂場に落ちていないか、あらかじめチェックしてから遊ばせましょう。■砂を口に入れないよう注意する砂のなかにはたくさんの菌が存在します。多少触れるぶんには、免疫力アップにもつながるので、あまり神経質になる必要はありません。ですが、砂で汚れた手を口に含んだり、洗わずに食事したりすることのないよう注意しましょう。砂場では「ポジティブな感想」を子どもに伝える最後に、子どもたちを砂場でより楽しく遊ばせるためのヒントをご紹介します。まずは、砂場遊びを盛り上げる道具を用意してあげることをおすすめします。砂場遊びに使用する道具としては、水を運ぶためのバケツや、砂を掘るためのスコップ、砂に水をかけるためのジョウロなどが挙げられます。それらは、家にあるもの——例えば、バケツの代わりに空の容器、スコップの代わりにプラスチックのスプーン、ジョウロの代わりにペットボトルで代用することも可能です。いつでも使えるよう、ひとまとめにしておくとよいでしょう。もうひとつのヒントは、遊んでいる子どもへの適切な声かけについてです。■感覚を共有する手に砂をかけるなど、子どもにいろいろな心地よい刺激を与えながら、「サラサラの砂が気持ちいいね」と感覚遊びをすることが効果的なのだとか。「心地よいね、気持ちいいね」と親子で “共感体験” するような声かけが、子どもの創造力を育みます。■ポジティブな感想を山や泥団子を作るときは、「どうしたらきれいな丸の形になるかな?」と親子で試行錯誤してみるのも手です。作りたいものをどうやって作るか、ああでもないこうでもないと考えているとき、子どもたちの集中力は鍛えられているのです。完成したときは、ぜひ「おいしそうだね~!」など、ポジティブな感想を伝えてあげてくださいね。大切なのは、親が子どもに共感しながら、ポジティブな声かけをすること。それがあると、子どもは砂場遊びによりよいイメージを抱き、積極的に遊ぶようになるでしょう。***子どもの成長・発達にさまざまなメリットを与えてくれる砂遊び。親子一緒に楽しむことで、子どもにとってよりよい体験となり、その効果も高まります。せっかくなので、親御さまも幼少期を思い出して、お子さまと一緒に遊び方を考えたり、工夫したりして、思いきり楽しんでくださいね!(参考)Study Hackerこどもまなび☆ラボ|一生に一度のゴールデンエイジに運動能力を一気に伸ばす!幼児期に重要な3つの外遊び。ウチコト|いつから砂場はデビューできる? 砂場で遊び始める時期の注意点&砂場遊びのメリットとは?いこーよ|協調性も創造性も!砂場遊びは子どもの学びの宝庫日経DUAL|脳に効き、創造力を育む泥&土遊び4選
2019年03月14日「有名大学に入学し、有名企業に就職すれば一生安泰」という時代は過去のものとなりました。いまの子どもたちは、親には想像もできない「新たな時代」を生き抜いていかなければなりません。そのためには、これまでの「学力」とはちがう力も必要となることでしょう。それには「3つの力」があると、育児や教育に関する執筆活動の他、各種メディアで活躍する教育ジャーナリストのおおたとしまささんは語ります。「3つの力」とはどんなもので、また、どうすれば伸ばすことができるのでしょうか。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)「やり抜く力」がIQの差を飛び越えさせるこれから長い人生を歩んでいくいまの子どもたちが身につけておくべき力――。教育ジャーナリストという立ち場上、わたしもよく聞かれることです。これには次の3つの力があると考えています。【1】そこそこの知力と体力【2】やり抜く力【3】自分とはちがう能力を持つ人たちとチームになる力ちょっとあいまいないい方になりますが、ひとつは「そこそこの知力と体力」です。さすがに人並みの知力と体力がなければ、人生において成功を収めることはそう簡単ではありません。でも、人並みでいいのです。偏差値50を切っていても、ボリュームゾーンに入っていれば十分。子どもなら、人とコミュニケーションが取れて、落ちこぼれじゃない学力があって、友だちと一緒に遊べる体力があればいい。もうひとつは、「やり抜く力」。最近、アメリカのある心理学者が「GRIT(グリット)」という呼び名で提唱しているのも「やり抜く力」です。これは、「Guts(度胸)」「Resilience(復元力)」「Initiative(自発性)」「Tenacity(執念)」の頭文字を取ったもの。これを日本では「やり抜く力」と訳しています。このGRITをめぐって、「IQが高いよりGRITが高いほうが人生で成功している割合が高い」という研究結果が出ています。その「成功」とはなにかという疑問もあるのですが、おそらくは「社会のなかで一定の成果を出している」ということでしょう。たしかに、IQは体力ほど大きな差を生むようには思えません。普通の人間は「超人ハルク」にけんかを挑んでも勝てませんが、努力次第ではIQがはるかに高い人より大きな成功を収めることもできるでしょう。その努力の要になるものこそ、自分が定めた目標に向かって諦めない、「やり抜く力」です。個性があるゆえに個人の力は限られているこれらふたつは個人の力です。加えて、これからの時代には、「自分とはちがう能力を持つ人たちとチームになる力」も求められるとわたしは考えています。たとえば、すごく頭の回転が速くてぱっとものごとを決めてしまう人が、慎重で「いやいや、ちょっと待って」とじっくりものごとを考えられる人とチームになることにも大いに意味があるでしょう。いままでは個人の力を高めていけば生き残れる時代でした。誰もが個人の力を高めて世のなかで勝ち組になろうとしていたのです。でも、これからはちがいます。孤立する人間にとっては厳しい時代になるでしょう。個人個人が持っている能力は、それぞれに個性があるがゆえに限られています。どれだけ個人の力を高めても、できることはたかが知れたものでしょう。そう考えれば、自分にはない力を持っている誰かとチームにならなければなりません。さまざまな力を持った人間が集まったチームの一員となって、あらゆる課題に対応できるかどうか――。それこそが、今後の世界で伸びていく、自身の能力を存分に発揮するためのキーとなるのではないでしょうか。習い事をする意味は挫折を乗り越えることでは、子どもがこれら3つの力を伸ばすにはどうすればいいか。「そこそこの知力と体力」に関しては、きちんと学校に通っていれば問題ありません。義務教育とは、まさに「そこそこの知力と体力」を身につけさせるものですからね。残りのふたつに関しては、本来、親御さん自身がその力の使い方を実生活のなかで見せてあげることがいちばんです。でも、仕事で「やり抜く力」や「チームになる力」をどんなに発揮している人も、会社勤めをしていれば、その姿を子どもに見せることは難しいかもしれません。そういった場合、子どもの「やり抜く力」を伸ばすためには、なんといっても習い事が効果的です。習い事の種類は問いません。重要なのは、「親がやらせたい」ものではなく、「子どもがやりたい」ものにすること。この場合の習い事の目的は、「やり抜く力」を伸ばすことであって、「子どもになにかのスキルを身につけさせること」ではないからです。自分がやりたい習い事なら、子どもは夢中になって取り組むでしょう。だから、はじめた当初はすぐに成果が出る。けれど、レベルが上がってくれば、そのうち壁にぶつかります。「もうやめたいな……」という気持ちも出てくるでしょう。でも、そのネガティブな気持ちを乗り越えたときに、それまでとはちがう新たな達成感を得ることができます。夢中、達成、挫折、そして乗り越える――。この一連の経験こそが子どもの「やり抜く力」を育ててくれるものであり、習い事をする意味でもあるのです。また、「チームになる力」を伸ばしてあげたいのなら、学校や塾以外の人間が集まる集団に子どもを入れることが効果的でしょう。たとえば、夏休みにいわゆる「子どもキャンプ」に参加させる。そうすると、年齢や出身、文化もちがう見ず知らずの子どもやその親たちと過ごすことになります。同じ学校や塾に通っているという「前提」を共有していない人間とともに活動することが、「チームになる力」を伸ばしてくれると期待していいと思います。『中学受験「必笑法」』おおたとしまさ 著/中央公論新社(2018)■ 教育ジャーナリスト・おおたとしまささん インタビュー一覧第1回:過当競争極まれり。難関中学への“逆転入学”が子どもに弊害をもたらしている第2回:「間に合わせの学力」では人生厳しい。「本質的な学力」を伸ばす“1日10分”の学び第3回:学力は人並程度あればいい。「新たな時代」を生き抜くためには“3つの力”が必要だ第4回:「教育虐待」のやっかいな実態。今の子どもには“決定的に足りない”時間がある(※近日公開)【プロフィール】おおたとしまさ1973年10月14日生まれ、東京都出身。教育ジャーナリスト。麻布中学校・高等学校卒業、東京外国外大学英米語学科中退、上智大学外国語学部英語学科卒業。株式会社リクルートを経て独立し、数々の育児誌、教育誌の編集に関わる。心理カウンセラーの資格、中学高校の教員免許を持っており、私立小学校での教員経験もある。現在は、育児、教育、夫婦のパートナーシップ等に関する書籍やコラム執筆、講演活動などで幅広く活躍する。著書は『受験と進学の新常識 いま変わりつつある12の現実』(新潮社)、『名門校とは何か? 人生を変える学舎の条件』(朝日新聞出版)、『ルポ塾歴社会 日本のエリート教育を牛耳る「鉄緑会」と「サピックス」の正体』(幻冬舎)など50冊を超える。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月13日「学力」とは、「教育を通じて獲得した力」です。一般的には、「どれだけ勉強ができるかを示す力」といっていいでしょう。文科省がおこなっている学力調査などは、まさにその意味で使われているものです。しかし、育児や教育に関する執筆活動の他、各種メディアで活躍する教育ジャーナリストのおおたとしまささんは、「『本質的な学力』とは『どう生きていくか』を考える力」だと語ります。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)勉強をし過ぎる子どもと全然しない子どもいま、小学生を見ていて問題に感じるのは、勉強をする子どもとそうではない子どもの差が開き過ぎているということです。これは中学受験に付随する問題でもあります。いまの中学受験は競争が過酷ですから、受験をするとなるとすごく勉強をしなければなりません。一方、中学受験をしないと決めた子どもは、逆に勉強を全然しなくなる傾向にあるように感じます。人間形成のためか、あるいはいわゆる後伸びする力を養うためか、「子どもの頃にはできるだけ遊んだほうがいい」という意見もあります。でも、その遊びがただゲームをするだけだったり、スマホをいじるばかりだったりというものであれば問題でしょう。もちろんずば抜けて勉強ができる必要はありませんし、教科書を丸暗記するような必要もない。でも、教科書に書かれていることを筋道立てて理解し、小学校で得るべき基礎学力を身につけておかなければ、その子どもの後々の人生は厳しいものになるはずです。それこそ、中学受験はしなくても、高校受験や大学受験の場面で壁にぶつかることになるでしょう。基礎学力や学びの姿勢がなければ、そういうときに手にしようとするのは「付け焼き刃の学力」でしかないのです。つまり、高校入試や大学入試という目的をクリアするためだけの「間に合わせの学力」です。もちろん、それで目的を達成できれば問題はないかもしれません。ただ、付け焼き刃の学力だけしかない場合と、それとは異なる「本質的な学力」を身につけている場合では、その後の人生は大きく変わってくるはずです。「教養」が世界での自分の生かし方を示すでは、「本質的な学力」とはどんなものでしょうか。それは、ふたつの要素にわけられるとわたしは考えています。ひとつは「教養」。もうひとつは、「学び続ける力」です。教養とは、「さまざまな学問の観点から世のなかを見る目を養うこと」です。ここではひとつの卵を例にしましょう。家庭科の観点からなら、卵を使ってどんな料理がつくれるのかという見方になる。栄養学の観点なら、黄身にはビタミンが多くて白身にはタンパク質が多いといった見方になるでしょう。理科なら、この卵がニワトリのものなのか別の生き物のものなのかを見分けるための方法を考える。社会科なら卵の値段が決まった理由を考えるかもしれないし、数学なら卵の容積を求めたり、殻が描く放物線を数式で表す方法を考えたりするかもしれません。ひとつの卵というものも、いろいろな学問の観点、角度から光を当てることによってその本質が立体的に見えてきます。「教養を得る」ということは、そういうふうにさまざまな視点に立つことで、ものごとをより正確に捉えられるようになることなのです。そうして教養を得ると、自分が置かれている世界を正確に把握し、そのなかで自分をどういうふうに生かしていくのかと考えられるようになっていきます。つまり、自分が「どう生きていくのか」を判断できるようになるのです。これは「学ぶ意味」でもあり、もはや付け焼き刃の学力とはまったく別のものですよね。そして、教養が身についていれば、日常のなかで、「あ、こういうことも学ばないといけないな」と新たな課題を次々に見つけることもできるはずです。そういう意味では、「学び続ける力」も教養に含まれると考えることもできるかもしれません。抽象的思考を高めるのは幼いときの「具体的体験」子どもに本質的な学力、つまり教養を身につけさせたいのであれば、幼い頃から「具体的な体験」をできるだけたくさんさせることが重要です。11歳くらいまでは、人間は抽象的な思考を苦手としています。だから、小学生のうちは「りんごがいくつでみかんがいくつ、合わせていくつでしょう?」というふうに、目に見えるもの、手で触れられるものを使って学びます。でも、中学生以降になると、抽象的思考ができるようになる。「x」や「y」という概念上の数字を使って表す方程式を理解するようになります。抽象的思考では、りんごやみかんのような具体物を使いません。でも、頭のなかでは抽象的なものを具体物と同じように操作しています。そして、小さい頃に具体物に触れた体験が豊かであればあるほど、抽象的思考がより得意になるのです。そのために、小さい子どもにはできるだけさまざまな体験をさせてあげてほしいと思います。また、高校受験や大学受験を見越した実利的な面からわたしの意見を述べると、やはり小学校の低学年のうちに学習習慣を身につけさせておくべきです。先にお伝えした、「学び続ける力」にも通じるものですが、受験で成果を出すにも、結局は「自ら学ぶ」姿勢が必要だからです。そのためには、学校で出される宿題以外に、ほんの少しでもいいから別の勉強をすることを子どもの習慣に組み込んでみてください。内容は本当になんでもOKです。市販のドリルをやってもいいし、新聞を読んで気になった記事に対する感想を書くということでも、虫が好きな子どもなら自分で虫図鑑をつくるというプロジェクト型のものでもいいでしょう。そして、それらをやる時間は本当に短くてもいい。1日に10分の「自ら学ぶ」習慣がついていれば、その10分を30分や1時間に伸ばすことができます。でも、ゼロを1にすることはものすごく大変です。自ら学ぶ習慣がないまま大人になると、その後の人生が充実したものでなくなる可能性が高いことは、簡単に想像できますよね。『中学受験「必笑法」』おおたとしまさ 著/中央公論新社(2018)■ 教育ジャーナリスト・おおたとしまささん インタビュー一覧第1回:過当競争極まれり。難関中学への“逆転入学”が子どもに弊害をもたらしている第2回:「間に合わせの学力」では人生厳しい。「本質的な学力」を伸ばす“1日10分”の学び第3回:学力は人並程度あればいい。「新たな時代」を生き抜くためには“3つの力”が必要だ(※近日公開)第4回:「教育虐待」のやっかいな実態。今の子どもには“決定的に足りない”時間がある(※近日公開)【プロフィール】おおたとしまさ1973年10月14日生まれ、東京都出身。教育ジャーナリスト。麻布中学校・高等学校卒業、東京外国外大学英米語学科中退、上智大学外国語学部英語学科卒業。株式会社リクルートを経て独立し、数々の育児誌、教育誌の編集に関わる。心理カウンセラーの資格、中学高校の教員免許を持っており、私立小学校での教員経験もある。現在は、育児、教育、夫婦のパートナーシップ等に関する書籍やコラム執筆、講演活動などで幅広く活躍する。著書は『受験と進学の新常識 いま変わりつつある12の現実』(新潮社)、『名門校とは何か? 人生を変える学舎の条件』(朝日新聞出版)、『ルポ塾歴社会 日本のエリート教育を牛耳る「鉄緑会」と「サピックス」の正体』(幻冬舎)など50冊を超える。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月12日思い切り走ったり、ボールを蹴ったり……体を力強く動かすスポーツジュニアにとって、丈夫な体づくりは不可欠。その根幹となるのが“強い骨”です。骨の主な材料は、カルシウムとたんぱく質。たんぱく質が骨の土台を作り、その中にカルシウムがたくわえられることで、骨は形成されていきます。骨の中のカルシウムが多いほど強くて頑丈な骨になり、逆に不十分だとスカスカでもろい骨に。骨づくりに欠かせない栄養素を豊富に含む牛乳や乳製品は、意識しないと不足しがち。そこで今回のテーマは「骨づくりに効くカルシウム強化メニュー」。食事に牛乳や乳製品を添えるだけでなく、料理の中からも子どもの骨づくりを応援しましょう!生地の中にカルシウムをプラス!『ヨーグルトピザ』ヨーグルトを加えてカルシウムを強化した生地は、中はもっちり、まわりはカリカリ。混ぜたりのせたり、楽しくかんたんにできるから、子どもといっしょに作るのもおすすめです。■ 材料(直径15cmのもの2枚分)(A)薄力粉……1カップ弱(100g)(A)プレーンヨーグルト……1カップ強(210g)(A)ベーキングパウダー……小さじ1/2(A)塩……小さじ1/4ハム(1cm角)……3枚プチトマト(半分に切る)……2個ピーマン(輪切り)……1/2個ツナ(オイル漬け・缶汁をきる)……1/2缶ピザ用チーズ……50gピザソース(市販)……大さじ2サラダ油……少々■ 作り方(1)ボウルに(A)を入れ、泡立て器でよく混ぜる。(2)フライパンにサラダ油を薄くひき、(1)の半量を平らに流し入れて両面を中火で焼く。(3)いったん火を止め、ピザソースをぬり、具とチーズを半量ずつのせる。ふたをして弱火にかけ、チーズが溶けるまで加熱する。もう1枚も同様に作る。【栄養士より:ここがポイント!】・ピザ生地は、甘くないパンケーキミックスにヨーグルトを加えて作ってもかまいません。より気軽に作れますよ。・おすすめは、ゆで卵とにんじん&果汁ジュースをプラスしてあげること。果汁100%のジュースは果物が不足したときに代用できます。卵でたんぱく質をさらに強化。***ヨーグルトピザ1枚で、主食と主菜と乳製品をまとめてとることができます。オーブンを使わず、フライパンで作れてしまうのも嬉しいところ。サッと作れて手軽に食べられるので朝食にもいいかもしれませんね。■ 『かんたん! おいしい!ジュニアのためのスポーツごはん栄養満点パワーチャージレシピ』株式会社 明治(監修)/2017年、金の星社■ この書籍の監修者インタビューを掲載しています試合当日の朝食には「炭水化物をたっぷり」。スポーツ栄養学にもとづいたメニューとは?不足しがちな「たんぱく質」と「カルシウム」、朝ごはんに取り入れるコツ
2019年03月12日入学や進学で環境が変わるこの時期。「新しい環境になじめるかな?」「勉強についていけるかな?」と心配事を抱えて不安でいっぱいになっていませんか?親の不安な気持ちは、子どもにも伝わるもの。親御さんご自身が余裕をもって新しい環境を迎えるためには、どうしたら良いのでしょうか。まずは自宅でできることとして、少しずつ知育アイテムを取り入れることから始めてみましょう。次第に子どもは好奇心が刺激されて、不安な気持ちが小さくなっていくはずです。新しい環境や勉強に対する不安より、「はやくたくさんのことを知りたい!」という期待のほうが大きくなれば、新生活への心配事も吹き飛ぶのではないでしょうか。今回は、子どもの勉強意欲や知的好奇心を自然と高めてくれるアイテムを家庭の中に取り入れるコツをお教えします。子どもの能力を伸ばすとっておきのアイテムとは?賢い子の家にあるものと聞いて何を思い浮かべますか?よく言われているのは、『図鑑』『地図』『地球儀』ですね。なぜ、それらが家にあると、子どもの能力を伸ばすことができるのでしょう。図鑑、地図、地球儀は、どれも子どもの頭に浮かんだ「?」を解決するのを手助けするアイテムです。しかし現代では、「知りたいことを知るため」「情報収集のため」だけであれば、インターネットで充分ですよね。では、今あえてこれらのアイテムを家に置いておく意味とは一体何なのでしょう。なぜ図鑑や辞書や地図がいいかといえば、編集者が情報をきちんと整理して、必要なものを目立たせてくれているからです。(中略)想定される読者とその背景を理解して、どう届くかということを編集者が考えてまとめてくれたものが辞書、図鑑、地図。気づきを生みやすい情報を集合させて、わかりやすいかたちで整理してくれている本の力は、インターネットでは置きかえられません。(引用元:WEDGE Infinity|頭がいい子の家のリビングに辞書・地図・図鑑があるのはなぜ?)そう述べるのは、『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』(すばる舎)の著者・小川大介氏です。つまり、あらかじめ図鑑や辞書などの紙で得た知識があるからこそ、インターネットという玉石混交の情報の渦の中に飛び込んでも、情報を取捨選択することができる、というわけです。また、30年以上にわたり難関中学・高校受験指導を行ってきた家庭教師の西村則康先生は、たくさんの家庭にお邪魔するうちに気づいたことがあるそうです。それは、「できる子の家庭は、意外と散らかっている場合が多い」ということ。「お母さんが一生懸命片付けても、子どもの好奇心が勝ってリビングにモノが転がり出てしまっているんです。たとえば、リビングの中心に地球儀が出してあって、それがほこりをかぶっていなければ、「この家の子は地理に興味があって、しょっちゅう眺めているのだろう」と判断できます」と西村先生が言う通り、せっかく買った図鑑も地球儀も、実際に使わなければ何の意味もありません。「ただ置いてあるだけ」ではなく、日常の生活の一部として家庭に馴染ませることが大切なんですね。図鑑・地図・地球儀は小学校の授業で必ず役に立つ!次に、それぞれのアイテムがもたらすメリットについて、より具体的にご紹介します。「本当にいつか役に立つのかな?」と半信半疑の親御さんも、きっと安心できるはずですよ。■図鑑16万人の脳画像を見てきた脳医学者・瀧靖之先生は、著書『「賢い子」に育てる究極のコツ』(文響社)の中で、「成績が伸びていった子は幼い頃から図鑑が大好きで、よく見ていた」と述べています。そして、伸びる子の親は、図鑑を使って子どもの好奇心を上手に刺激していることがわかっていて、それは脳科学の観点からも理にかなっていると説きます。本を読むときは、脳の中でも、「言語野」と呼ばれる「側頭葉」や「前頭葉」などの部分が活性化します。それに加え、図鑑は必ず画像(写真やイラスト)をともないますから、図形認識や空間認知を担う領域など、言語野以外の複数の脳の領域も同時に活性化できます。脳の刺激という面だけで考えても、「図鑑は子どもの脳にいい」ということがわかるでしょう。(瀧 靖之(2016年),『「賢い子」に育てる究極のコツ』,文響社.)また、図鑑の題材の多くは自然科学なので、理系の能力を伸ばすアイテムとしても最適です。たとえば、就学前に魚の図鑑を眺めていて「エラ呼吸」という言葉が目に入ったとします。その時点ではよく意味がわからなくても、小学校6年生の理科で呼吸について習ったとき、「あ!図鑑に出てきた!」という気づきにつながります。このように、「自分はこれを知っている」という自信は、確実に子どもの学習意欲を高めるでしょう。■地図今、子どもの行動力や空間認識力が低下傾向にあることが問題視されています。大人である私たちも、スマートフォンや車のナビゲーションシステムの発達により、音声案内のおかげで地図を読まずに目的地までたどり着くことが可能になりました。しかし、どんなに時代が変わっても「地図が読めること」は、生きていくうえで必要不可欠な能力であり、もちろん学校教育でもしっかりとカリキュラムが組まれています。小学校1・2年生は、生活科の授業において地図を読むための基礎的な力を養います。学校探検や通学路探検、学区内探検を通じて簡単な絵地図などを書かせることで、身近な場所について認識します。小学校3年生からは、本格的に社会科の授業が始まります。地域における社会的事象や地形といった深い知識を学ぶために、地図の見方や記号などを認識し、具体的に活用しながら学習に活かします。また、地図を作成することで空間認識力を養います。生活科の授業に比べて、学ぶ範囲は身近な地域→市区町村→都道府県→世界へと広がります。■地球儀「百ます計算」に代表される陰山メソッドで有名な教育者・陰山英男先生が「子どもの知的好奇心を刺激し、満たすのに地球儀は最適」と太鼓判を押すほど、地球儀は子どもの学びの可能性を広げてくれるアイテムです。一言で地球儀と言っても、基本的なものから付属のタッチペンで音声情報を聞くことができるものまで、今はさまざまな種類が展開されています。お子さんの興味をそそるものを一緒に選んであげましょう。小学校の授業に地球儀が登場するのは5年生から。それまでに、地球儀を身近な遊び道具として生活の中に取り入れることで、小学校高学年からの学習にもスムーズに入っていけるはずです。親が家庭でできること最後に、これらのアイテムを上手に活用するために親ができることについて考えていきましょう。■はじめての図鑑にはワクワク感を!前出の瀧靖之教授は「3~5歳頃に訪れる『なぜなぜ期』には、ぜひ図鑑を活用して子どもの好奇心を思考力に結びつけましょう」と述べています。初めて図鑑に触れさせるときに重要なのが、「図鑑には知らないことがたくさん詰まっていて、ページをめくれば世界が広がって楽しい!」と実感することであり、それを親と共有することです。■図鑑から実体験へとつなげる子どもが図鑑を見て目を輝かせていたら、その内容に関する体験をさせてあげるといいでしょう。恐竜なら博物館、魚なら水族館……図鑑と現実が結びつくと、知識はより強固になります。■地図を貼るならリビングに子どもの目線に合う位置に地図を貼ることで、リビングでリラックスして過ごしているときにも、無意識に目に入ってきます。すると、地図が生活の一部となり、いずれ学校で勉強する地図学習においても抵抗なく受け入れることができるでしょう。■手づくりの地図が宝物になる就学前のお子さんなら、少しずつ地図に慣れさせましょう。いつもは自転車で通り過ぎる近所の道も、あえて地図を片手に徒歩で探索してみると意外な発見があるかもしれません。手づくりの地図を用意して「きれいなお花が咲いている場所」や「猫ちゃんが集まっている公園」に、花や猫のシールを貼って印をつけるのもいいですね。■子どもが自然に手に取る工夫を隂山英男先生は、テレビの近くに図鑑や地球儀を置くことをすすめています。理由は、ニュースやクイズ番組を見て気になったことをすぐに調べられるからです。子どもの行動パターンや生活動線を考えて、「この場所にこれがあったら、学習意欲の向上につなげられるかも」と想像して、さりげなく置いてあげるのがポイントです。■ニュースの話題に国名が出てきたらチャンス!スポーツを題材にすれば低学年の子どもでも世界の国に興味を持つことができます。「サッカーワールドカップが開催されたロシアってどこ?」「テニスの国際大会が開かれるウィンブルドンってどこにあるの?」ニュースから流れてくる話題に耳を傾けていると、自然と世界の国々に興味がわいてきます。■一歩進んだ地球儀の活用法「どうして夏は暑いの?」「どうして夜になると暗くなるの?」こういった疑問に答えるときも地球儀が役立ちます。たとえば懐中電灯を太陽に見立てて地球儀に当て、「日本に太陽が当たっているとき、裏側のブラジルは真っ黒だよね。だから日本が昼ならブラジルは夜だね」と説明しましょう。さらに深い理解につながります。***重要なのは、知育に役立つアイテムを置いておくことではありません。それらをいかに活用し、お子さんの学びにつなげることができるか、そのことを忘れないようにしましょう。(参考)WEDGE Infinity|頭がいい子の家のリビングに辞書・地図・図鑑があるのはなぜ?日経BPムック(2017),『日経DUAL Special!』,日経BPムック.瀧 靖之(2016年),『「賢い子」に育てる究極のコツ』,文響社.洋泉社MOOK(2017),『子どもの脳を伸ばす最高の勉強法』,洋泉社.Study Hacker こどもまなび☆ラボ|もっと地図を楽しもう!「地図が読める」だけじゃない、子どもが地図に親しむメリットStudy Hacker こどもまなび☆ラボ|地球儀で子どもの興味関心をグローバルに!遊びながら学べる、地球儀の上手な活用法。
2019年03月11日これまでの価値観や人生モデルが崩壊し、「考える力」が求められるとされる昨今、中学入試においてもいわゆる「思考型入試」が導入されるケースが増えつつあります。それにより、中堅以下の学校、そして難関校においても変化が起きているそうです。育児や教育に関する執筆活動の他、各種メディアで活躍する教育ジャーナリストのおおたとしまささんにお話を聞きました。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)オーソドックスだった開成中が出した変化球問題いま、中学入試は過渡期にあります。その象徴のひとつが、教育界でいうところの「開成ショック」。2018年2月、開成中が国語の問題として出したのは、かいつまむと以下のようなものでした。「ふたつの支店でおこなったカニ弁当の販売について、それぞれの支店の売れ行きを示したグラフを基に、ひとりの社員を評価する部長に対し、その意見を否定する社長の考えを読み取る」という内容です。問いは、「社長は、部長の報告のどの表現に、客観性が欠けたものを感じたのでしょうか。二つ探し出し、なるべく短い字数で書きぬきなさい」というものでした。この問題の模範解答や採点基準を見たわけではないのではっきりとはいえませんが、おそらくはディベートに求められるような力を試したのではないでしょうか。ディベートには自分の意見と関係なく、賛否双方の立ち場から論理を組み立てる力が必要とされます。これは、それこそ「思考型」と呼ばれるタイプの問題といえるでしょう。これまで割とオーソドックスな問題を出してきた開成中が、こういった「変化球」の問題を出したことで、「2020年にはじまる大学入試改革を先取りしているのではないか」と大きなトピックになったわけです。首都圏では「適性検査型入試」が激増ただ、わたしは単純にそうだとは思いません。大学入試改革に合わせたわけではなく、「世のなかが求める学力観」に合わせた変化なのだと思います。いま、世のなかが求める学力とは、大きくは3つだと見ていいでしょう。【1】相手のいわんとしていることを正確に読み取る「読解力」【2】知識の量に関係なく考えられる力、いわゆる「論理的思考力」【3】自分の考えをアウトプットする「表現力」教育界では、知識を詰め込むのではなく、この3つのサイクルを鍛えることにもっと力を入れないとならないといわれています。そういう背景もあってか、大学入試改革との関係はさておき、「思考型入試」を含む「適性検査型入試」が激増していることはたしかです。これは、ある教科の試験で思考力を問う問題が出題されるというものではなく、いわゆる4教科型とはちがう試験によって合否を判定する入試のこと。入試をおこなう首都圏の中学は約300ありますが、いま、なんとその半数近くの学校が適性検査型入試を導入しています。もちろん、定員の全員をその入試で取るわけではありません。300人の定員があれば、たとえば250人は従来の4教科型、50人は適性検査型の試験で入学させるという具合です。適性検査型入試がもたらした中堅校でのシナジー適性検査型入試全盛といえるいま、中堅以下の学校では面白い変化が見られます。そういう学校に、「通常の4教科型入試では難関校に入れないから」という理由で入学した場合、当然、「自分は勉強ができない」という劣等感を抱えることになります。一方、適性検査型入試で「君にはこういういいところがあるよ!」と評価されて入学した子どもは自己肯定感が高い状態にある。そうすると、いわゆる学力なら同じ偏差値帯にある子どもでも、自己肯定感のちがいによってその後の学力の伸びに差が出てくることもあるのです。しかも、そういう子どもは、知識量では難関校に進む子どもにかなわないかもしれませんが、思考力や応用力、創造力という面では遜色ない、あるいは凌駕しているという場合もあるでしょう。すると、中堅以下の学校にそれぞれちがう良さを持った多様なタイプの子どもたちが集うこととなり、相乗効果、いわゆるシナジーを生むことにもつながるのです。こうして、その学校における学びの質は上がっていきます。そういう学校では、「多様な人間との協働」という、いまの子どもたちに求められるといわれる生き方そのものを学んでいるともいえるのではないでしょうか。中学受験の過当競争に「異議あり!」一方、難関校には別の変化が起きています。それは、塾によるものです。現在の塾の入試対策カリキュラムはものすごく研ぎ澄まされていて、指示通りにこなせば誰でも難関校に入学できるようになってきています。いわば、某トレーニングジムのようなもので、とにかく指示通りに大量の課題をこなせば、ガリガリだった人間がマッチョになって、もともと体力があった人間を負かすようなことが起きているのです。かつての中学入試では、そのような逆転現象はなかなか起きるものではありませんでした。難関校には、いわゆる地頭がいい子どもが順当に入っていたのです。ところが、いまは、以前なら入学できなかったような子どもも入ってくる。そうすると、教師は「いままではこんなに手がかかる子どもは入ってこなかった……」と感じながら、たくさんの小テストをやらせたり宿題を出したりと、手取り足取り教えないとなりません。これは、「逆転入学」した子どもにとっても、決して幸せな状況ではないはずです。本来、難関校というのは自由な校風の学校が多いものです。「1伝えれば10わかる」という生徒がほとんどのため、教師も無駄な宿題なんて出しませんし、「あとは自分でやっておいてね」といえる。子どもたちは、その自由を謳歌します。でも、入学したはいいが、周囲に置いていかれないように必死に勉強することになれば、その自由を味わうどころではありませんよね。そもそも、そういう子どもが難関校に入学するためには、過酷な筋力トレーニングのように、小学生としては考えられないほどの努力をしなければなりません。いまの中学受験は「過当競争、極まれり」という状態なのです。もちろん、「頑張れば難関校に入学できる」ことに「夢がある」といういい方もできるかもしれません。ただ、無理をさせるのはいかがなものでしょうか?もっとそれぞれの子どもにフィットした学校、楽しい学校生活があるとわたしは思うのです。勝ち負けではなくて、子どもが最後に笑える中学受験のやり方というものを考える必要があるのかもしれません。『中学受験「必笑法」』おおたとしまさ 著/中央公論新社(2018)■ 教育ジャーナリスト・おおたとしまささん インタビュー一覧第1回:過当競争極まれり。難関中学への“逆転入学”が子どもに弊害をもたらしている第2回:「間に合わせの学力」では人生厳しい。「本質的な学力」を伸ばす“1日10分”の学び(※近日公開)第3回:学力は人並程度あればいい。「新たな時代」を生き抜くためには“3つの力”が必要だ(※近日公開)第4回:「教育虐待」のやっかいな実態。今の子どもには“決定的に足りない”時間がある(※近日公開)【プロフィール】おおたとしまさ1973年10月14日生まれ、東京都出身。教育ジャーナリスト。麻布中学校・高等学校卒業、東京外国外大学英米語学科中退、上智大学外国語学部英語学科卒業。株式会社リクルートを経て独立し、数々の育児誌、教育誌の編集に関わる。心理カウンセラーの資格、中学高校の教員免許を持っており、私立小学校での教員経験もある。現在は、育児、教育、夫婦のパートナーシップ等に関する書籍やコラム執筆、講演活動などで幅広く活躍する。著書は『受験と進学の新常識 いま変わりつつある12の現実』(新潮社)、『名門校とは何か? 人生を変える学舎の条件』(朝日新聞出版)、『ルポ塾歴社会 日本のエリート教育を牛耳る「鉄緑会」と「サピックス」の正体』(幻冬舎)など50冊を超える。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月11日2008年の金融危機リーマンショック以降、世界で金融改革が行なわれ、マネー教育の重要性も高まっています。著名な投資家ウォーレン・バフェット氏は、「子どもたちは、金融知識や実践能力を、読み書き同様早い段階で身につけるべきだ」と言っています。また、イギリスでは「7歳の時の金銭感覚が一生続く」と言われているそうです。日本では、“お金の話” は触れにくいトピックで、家族間でも敬遠されがちな傾向がありますよね。海外でも、人にむやみにお金の話を持ち出すのはもちろんNGですが、家庭内では健全なマネー教育が早くから行なわれているようです。しっかりとした金銭感覚を持った賢い大人になるために、今後は早めのマネー教育が必要だと、日本でも認知され始めてきています。今回はマネー教育のポイントをご紹介しましょう。家の貯金は1万円!?日本のマネー教育の現状■家庭でのマネー教育日本の家庭でのマネー教育は、お小遣い制を中心に行なわれているようです。小学校入学時に始める家庭が多く、知るぽると・金融広報中央委員会(2015年度調査)によると、7割強の小学生がお小遣いをもらっています。低学年の約6割の家庭が「時々」親が必要と判断したときにあげ、中学年以降は月1回など定期的お小遣い制に移行、そのほかにもお手伝い制やお年玉も子どもがお金を手にする機会となっています。親はお小遣いの使い方で金銭感覚を身につけてほしいと願っていますが、お小遣い帳をつけている子どもは少なく、3割にも届きません。せっかくのマネー教育の機会なのに、お金の使い方や価値を十分に伝えきれていない印象です。また、あるテレビ番組での「家の貯金はいくらあると思いますか?」という子どもたちへのインタビューの答えは――「1万円?」「1億円!!」など。戸惑いながら答える子も多く、金銭感覚がなかなか育まれていない現状が垣間見えました。■学校でのマネー教育学校での現状はどうでしょうか。「中学校・高等学校における金融経済教育の実態調査報告書」(日本証券業協会・金融経済教育を推進する研究会調査2014年調べ)によると、中学1~2年で金融教育の時間が全く取れていないと回答した学校が6~7割に達しています。教員は金融教育の必要性を認識していながら、時間不足と教員自身の知識不足を問題点としてあげています。日本証券業協会が中学生以上向け教材として「株式学習ゲーム」を提供するなど、意識は徐々に高まっていますが、学校での教育もまだまだこれからといったところのようです。また2008年の金融広報中央委員会調査では、「金融・経済の仕組みに十分知識があると思う」人はわずか6.7%しかいませんでした。日本のマネー教育不足は明確な問題として浮かび上がっているのです。マネー教育大国では小学校低学年から「お金」を学ぶ海外はどうなのでしょうか?マネー教育大国と言われているイギリスとアメリカの例を見てみましょう。【イギリスのマネー教育】イギリスでは、1990年前後の年金改革や個人年金がらみの問題で国の財政を圧迫した経験があり、それ以降金融教育に力を入れてきました。2014年から「数学」と「市民教育」の科目として金融商品、マネー管理、税金などを含む「金融教育」がカリキュラム化され、小学校低学年から学び始めます。知識のベースができる14~16歳には金融システムを学ぶ経済が必修科目となっています。また、子どもの将来のための資産形成を目的とする「ジュニアISA」では、16歳から子ども自らの運用が認められているのです。学んできたことが実践できる仕組みはとても有効ですね。【アメリカのマネー教育】アメリカの青少年への金融教育の始まりと言えるのは、1997年ジャンプスタート連盟(NPO団体)が公表した「K-12対象のパーソナルファイナンス教育の全国基準」と、全国経済教育協議会発表の「経済教育における任意の全国基準」でした。さらに、2001年の教育改革により、金融経済教育が特別推奨分野のひとつに指定されたことで、取り組みが広がります。全米共通のカリキュラムはないながらも、その重要性を訴える提言が何度か政府になされており、学校、NPO単位で積極的なパーソナルファイナンス教育が行なわれています。家庭でも、投資について教えることが珍しくなく、早くから実践として株の運用を始める子どもも少なくありません。バフェット氏が関わる子ども向け金融教育アニメや金融アメフトゲームなどのツールも充実していて、楽しく学べる土壌が育っています。このように、国の経済状況などによってベースに違いはあるものの、両国ともマネー教育に積極的ですね。日本も学ぶべき点は多いのではないでしょうか。家庭でのマネー教育には「5つのポイント」がある雇用や年金問題などを抱えるなか、日本でもマネー教育の必然性は確実に高まっています。早い段階で子どもの金銭感覚を養うために家庭でもできることを、プロのアドバイスからご紹介しましょう。(1)始めるタイミング小学生低学年~中学年のお小遣い制に切り替えるタイミングが多いようです。もしくは、子どもがお金に興味を持って質問をしてきたときもチャンス。例えばファイナンシャルプランナーの竹谷希美子氏の場合、消費者ローンのテレビCMを見て「お金を借りる」ことについて興味を持ったお子さんに、ローンの仕組みを説明、住宅ローンについても話し、家にたくさんのお金がかかることを知ってびっくりしていたそうです。子どもの興味を逃さないこともポイントですね。(2)マネー教育のステップ竹谷氏のお子さんは中学生の時から投資を始めたそうですが、そうなるまでには学ぶ順番が大事とおっしゃっています。つまり、お小遣いの管理(=義務教育)から始め、投資(=高等教育)に進むこと。限られたお小遣いをやりくりすることで、忍耐力とマネージメント力が培われ、お金の管理に自信がつきます。投資はそれからです。(3)お小遣いシステムの決め方子どもの性格によって、あげ方を変えることも考えましょう。竹谷氏の場合、コツコツタイプのお子さんは月額制に、行き当たりばったりタイプのお子さんには年棒制にして必要なときに現金を渡し、残高が減っていくシステムにして計画性と忍耐力を育む工夫をしたそうです。画一的な方法ではなく、親が見極めて最適な方法を見出してあげることはとても重要ですね。(4)お小遣い制のルールを決めるポイントは3つ。「あげっぱなしにしない」「お小遣いで買うものの範囲を決める」「使い方は子どもに任せる」。お小遣い帳をつける習慣をつけ、定期的にお金に関する相談に乗るようにしましょう。また、「お菓子はお小遣いから買う」、「勉強に必要な筆記用具は親が買う」など、用途の線引きをはっきりさせておきましょう。範囲内の使い方に口出しはNG。もし計画通りにいかず困るようなら問題点を話し合うことは大切です。(5)お金の使い方を学ぶお金の管理に慣れてきたら、使い方にフォーカスしてみましょう。アメリカの投資教育では貯金箱に4つの口があるそうです。「SAVE(貯める)」「EXPEND(欲しいものに使う)」「INVEST(投資)」「DONATE(寄付)」。使い方の違いでお金の活かし方が変わり、それにより社会貢献もできることに気づかせる目的があります。これはさすがに難しいとしても、お金を使う際にそれが「必要」なのか、ただ「欲しい」だけなのかを、意識させることが重要なのだそう。購入後しばらくたって、お小遣い帳に記された “モノ” を改めてみて、親が「あれ、使ってる?」と聞くなどして、それは本当に必要だったのか、それとも単に欲しかっただけだったのかの確認を繰り返すことで、needとwantの違いがわかるようになります。そうなると、お金の使い方にも変化が現れるでしょう。子どもに手ほどきすることで、大人もとても勉強になりそうですね。***経済評論家の川口一晃氏は、「子どもたちに知ってほしいのは、“貯め方や殖やし方” よりも “使い方”」とおっしゃいます。「夢を実現するためにはお金が必要。どうやって貯めようか?」この流れがとても大切。お金は “よく生きるための手段” なのだという意識が、お金に縛られない生き方へと誘います。こう考えると、“お金のことを話すのはタブー” という意識も自然となくなるのかもしれません。お金に対して偏見を持ってしまう前に、早めのマネー教育が肝心のようですね。(参考)EL BORDE(野村證券)|あなたは子どもに「お金教育ができる?」知っておきたいマネー教育5つのポイントPRESIDENT Online|「一生、お金で苦労しない子が育つ」家庭のマネー教育Woman Excite|「お小遣い」でお金の教育子どもの年齢別・金融教育法Woman Excite|英国では3歳から!子どものお金の教育のために、ママにできることベネッセ教育情報サイト|子供に金銭感覚を身につけさせる教育方法とは?日本証券業協会|株式学習ゲーム日本証券業協会|「海外における金融経済教育の調査・研究」報告書Forbes|ビジネス|日本の子供に金融教育が必要な理由REUTERS|金融知識は「子供時代に身に着けよ」=バフェット氏国立社会保障・人口問題研究所|【特集:各国における所得保障の動向】イギリス年金制度の歴史的展開と近年の改革の流れ斉藤美彦氏知るぽると|「子どものくらしとお金に関する調査」(第3回)2015年度調査知るぽると|「金融に関する消費者アンケート調査」(第3回)の結果東洋英和女学院大学学術レポジトリ|パーソナルファイナンスと パーソナルファイナンス教育について
2019年03月10日みなさんは普段、お子さんとの会話でどのようなことに気をつけていますか?親子の会話は、コミュニケーションを深めるだけではなく、子どもに安心感や自己肯定感を与える役割も果たします。また、「お母さん、お父さんは私の話をちゃんと聞いてくれている」「ぼくの話に興味を持ってくれている」というプラスの感情は、子どもの脳にも良い影響を及ぼします。今回は、親の質問力によって子どもの論理的思考を育てるコツをご紹介します。ぜひ参考にしてくださいね。親子の会話は “その瞬間” を大切に教育学者の有元秀文氏は、著書『学力をグングン伸ばす親の「質問力」』(扶桑社)で次のように述べています。家庭でのコミュニケーション、親子の会話はその子は将来人間関係を作るベースとなり、人間的な魅力を生む基礎となります。親子の会話はおろそかにしてはいけないのです。親に話したばかりに怒られたり、自分の行動や考えを否定されたりすると、子どもは「親に話さない方がいい」と思うようになってしまいます。これが、親子の会話がなくなる原因の一つだということは間違いありません。(引用元:有元秀文(2018),『学力をグングン伸ばす親の「質問力」』,扶桑社.)忙しくしていると、つい「はいはい」と適当に相づちを打ったり、「また今度じっくり聞かせて」と後回しにしたり、子どもとの会話を億劫に感じることもありますよね。それはきっと、「会話なんていつでもできる」「今じゃないといけない理由がない」という思いがあるからではないでしょうか。しかし、子どもにとっては「今」が大事で、後回しにされると「話を聞いてもらいたい」という気持ちもしぼんでしまうのです。ついどちらかが一方的に話してしまったり、軽く返事をするだけで終わったりと、親子だからこそおろそかになってしまいがちな日々の会話。それは「脳にとってもあまり良くない」と、文教大学教育学部教授で小児科医の成田奈緒子先生は説きます。脳を刺激する親子の会話は「論理的思考」がカギになるとのこと。前頭葉を刺激するためには、親のほうが論理的な考え方を言葉にして伝えていくこと、そしてできるだけ豊かな語彙を用いて、きちんとした言葉遣いで話しかけていくことが重要です。(引用元:洋泉社MOOK(2017),『子どもの脳を伸ばす 最高の勉強法』,洋泉社.)具体的にはどのように話しかければいいのでしょう。たとえば、「出かけるから早く準備して」とだけ言うのではなく、「12時におばあちゃんのおうちに行かないといけないから、あと10分で家を出ないと間に合わないよ」と、目的や理由を明確にしたうえで伝えるといいそうです。仮説を立てる練習で論理的思考が育つ!おしゃべりが上手な子、自分の気持ちを伝えるのが苦手な子、いろいろなタイプのお子さんがいますよね。これからの時代に確実に求められるのは、「自分の考えを論理的に相手に伝える能力」です。しかし、『小学生からのロジカルシンキング』(SBクリエイティブ)の著者・苅野進氏は、それらの能力を大人になってから身につけるのは難しいといいます。そこで重要なのが、子どものころから家庭で「思考の型」を持たせるように心がけること。その型をつくるのに効果的なのが、「仮説を立てる練習」だそうです。最近の入試では、「自分の意見を書きなさい」というように、問題解決能力を試す問題が増えてきています。完璧な正解はないものの、頭の中でどのようにして物事を組み立てて、論理的な思考で問題を解決できるか、ということが評価されるようになってきているのです。その能力は「仮説を立てること」でぐんぐん伸びていきます。たとえば、突然「今日の夜ごはんは何だと思う?」と聞くとします。そこで子どもが「えー、わからないよ」と答えて終わってしまうようでは、深い思考力を身につけることができません。「今日の夜ごはんは何だと思う?」「わかった、カレーだ!」「どうしてそう思うの?」「昨日は肉じゃがだったでしょ?あまった材料でカレーが作れるよ」「今日の夜ごはんは何だと思う?」「うーん、ハンバーグかな」「どうしてそう思うの?」「テストでいい点を取ったから、ごほうびに大好きなハンバーグを作ってくれると思って」「今日の夜ごはんは何だと思う?」「コロッケ!」「どうしてそう思うの?」「きのう山盛りのコロッケを食べる夢を見たんだもん」小学校低学年くらいでは、まだまだ論理的な仮説は立てられません。たとえ子どもの答えが論理的でなかったとしても、「仮説を立てる」という思考の型を育てることが重要です。どんな答えでも、親は「なるほど、そういう理由なんだね」と返してあげれば大丈夫です。親の質問力を高めるテクニックベネッセ教育総合研究所の小泉和義さんは、日常生活を通じて親自身の子どもへの「質問力」を高めることが重要だといいます。そのためにも、次の2つのポイントを押さえておきましょう。1. 保護者自身が好奇心を持って質問する相手の気持ちに寄り添って「共感」することがコミュニケーションのベースです。子どもが話をしてきたら、興味を持ってしっかりと聞いてあげましょう。2. 質問には質問で返す子どもに「今日のおやつはなに?」と聞かれて「シュークリームよ」と答えるのではなく、「さてなんでしょう?」と聞き返してみてください。子どもが発したひとつの質問をうまく活かし、複数の質問を生み出すのがコツです。日常の中に子どもが質問する機会をたくさん作ることが、子どもの好奇心を広げる下地になります。また、子どものこころのコーチング協会代表理事・和久田ミカ氏は、「親子の信頼関係の土台は、親が日頃から子どもの話をていねいに聞くこと」と述べています。6歳ぐらいまでの子どもは、まだ経験が少ないので自分の気持ちをうまく言葉で表現できないことがあります。(中略)親が質問し、子どもが考えて答えを出す会話のキャッチボールをすることで、“抽象的”な言葉を“具体的”な言葉に落としこむことができ、何をすればいいか見通しをつけることができます。(引用元:ママノート|親の「質問力」で、子どもの考える力が伸びる!)子どもに質問するときには次の点に注意しましょう。1. 責めない×この聞き方はNG!「なぜやらないの?」「どうしてできないの?」このような質問は、子どもが責められているように感じます。○この聞き方がおすすめ!「どんなことが原因になっているのかな?」「どうしたらできるようになるかな?」原因になっていることや解決策を考えられるように質問するのがコツです。2. 否定しない×この聞き方はNG!子どもの答えに対して明らかに「違うな」と感じても、「違うでしょ!」と否定しないでください。子どもは自分の気持ちをわかってもらえないと思い、会話を続けたくなくなってしまいます。○この聞き方がおすすめ!「なるほど、あなたはそう思ったのね」と、子どもの言葉をいったん受け取りましょう。そのうえで「お母さんは○○だと思うな」と伝えれば、会話のキャッチボールが続きます。3. YES・NOの2択で聞かない×この聞き方はNG!「やるの?やらないの?」「いるの?いらないの?」この質問の仕方は、言い方によっては脅迫されているように感じることも。YESかNOかの2択の質問は『クローズドエンド・クエスチョン』といい、答えがひとつしかないものを意味します。たとえば「いま雨が降っていますか?」など、すでに答えが決まっていてそれ以外の回答がないため、会話が広がることがありません。○この聞き方がおすすめ!「どうすればいいと思う?」と、子どもが自分で答えを出せるように導いてあげましょう。たくさんの答えが存在する質問『オープンエンド・クエスチョン』で聞くのがコツです。意見を求めたり、深い説明を求めたりする質問の仕方が理想的です。***一問一答は会話ではありません。親子の会話のキャッチボールを弾ませるためには、子どもの好奇心や表現力を引き出す『親の質問力』が重要です。お子さんの話に耳を傾け、たくさん質問してあげましょう!(参考)有元秀文(2018),『学力をグングン伸ばす親の「質問力」』,扶桑社.泉社MOOK(2017),『子どもの脳を伸ばす 最高の勉強法』,洋泉社.洋泉社MOOK(2018),『これからの未来を生き抜く できる子の育て方』,洋泉社.ベネッセ教育情報サイト|保護者の「質問力」を磨こう[学校では今]ママノート|親の「質問力」で、子どもの考える力が伸びる!ママノート|子どもへの「質問」3つのNGポイント
2019年03月10日子どもは時に、大人をハッとさせるような疑問を投げかけてきます。その疑問に正確かつ誠実に答えようとすればするほど、「この答えは本当に子どもに響いているのかな?」「ちゃんと納得できたかな?」と不安になってしまいますよね。今回は、いつの時代も大人を悩ませる子どもの疑問、「どうして勉強しないといけないの?」について、とことん考えてみましょう。「将来のため」はNGみなさんも子どものころ、親御さんに「どうして勉強しないといけないの?」と聞いたことはありませんか?すると、このような答えが返ってきたのではないでしょうか。「いい大学に入るためだよ」「今のうちに勉強しておかないと後で苦労するよ」「なりたい職業につくためだよ」確かにその通りですね。大人になってみると、学生時代にしっかりと勉強することの大切さや意味を実感することも多いはずです。でも、はたして、その回答で子どもは本当に納得し、勉強に対するモチベーションが上がるのでしょうか。ふくしま国語塾主宰のカリスマ教師・福嶋隆史先生は著書の中で次のように述べています。「「将来のためだから」と言われても、たいていの子どもは何年・何十年も先の自分の “将来像” をイメージすることなどできないので、あまり良い答えとは言えません」また、教育・子育てアドバイザーの鳥居りんこさんは、勉強に悩む多くの中高生から相談を持ちかけられるそうです。そこで出たひとつの結論を紹介します。優秀な子供が勉強する目的を見失った時に、大人が「試験のため」「知名度の高い大学へ行くため」「裕福な生活をするため」と言って丸め込もうとすると、親の期待とは正反対のところに着地するケースは少なくない。そうした大人の意見は、幸せに至るひとつの“手段”であって、人生の“真の目的”ではないから子供の疑問解消には至らないのだろう。(引用元:PRESIDENT Online|「なぜ勉強が必要?」子供への模範解答3)ただ漠然と「将来のため」と言い聞かせても、いま現在勉強の意義について疑問を感じている子どもにとっては、納得のいく答えではないようです。ではいったい、どのような回答が望ましいのでしょうか。「勉強する意味」の答えはひとつじゃないここからは、教育のプロや各界の著名人が「人生の先輩」として考えた回答を見ていきましょう。■広い視野で世界を見るため前出の鳥居さんは、藤沢市の聖園女学院中学・高校の校長、ミカエル・カルマノ神父に「人はなぜ勉強しなければならないのでしょう?」と問いかけたところ、次のような答えが返ってきたそうです。「勉強は自分の窓を開けるということです。学ぶことで、今まで見ていたものとは違う何かを見ることになります。視界を広げるために学ぶのです」■子どもの「生きる力」を引き出すため教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏は、勉強とは「生きる力を引き出すこと」だと説きます。もともとeducationの語源はラテン語のdocere(引き出す)であるという説があります(アルク語源辞典より)。子どもにインプットするのではなく、アウトプットさせるように仕向けるという意味です。それが正しいとするならば、「未知なる状況に接しても狼狽することなく、道理を見極めて対処する能力」こそ、どんな状況の中でも「生きる力」であり、それを引き出すことこそがeducationの本来の意味だといえるのではないでしょうか。だとすれば大人がすべきことは、子どもに「生きる力」を授けることではなく、子どもの「生きる力」を引き出すことであるといえるはずです。(引用元:おおたとしまさ(2013年),『子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?』,日経BP社.)■生きるうえで役立つものを選ぶため将棋棋士の羽生善治さんは、道徳について考える本の中で「どうしてお母さんは、ボクの嫌いな勉強をおしつけてくるんだろう?」という子どもの疑問に対して、「たくさんのことを知ると生きていく上で役に立つから」と答えています。この世界にはたくさんのものがあります。目に見えるもの、見えないもの、手にふれられるもの、ふれられないもの、その一つひとつを知ってゆくのが勉強で、外で遊ぶのも勉強です。お母さんは世界のたくさんのことを知ってほしいのです。それが大きくなって大人になった時に生きていく上でとても役に立つ事を知っているのです。たくさん勉強して、たくさん遊んでできるだけたくさんの事を知ってください。そして、大人になったときにいらないものは自分の判断ですべて捨てて、残ったものがあなたが勉強したものです。(引用元:文 やまざきひろし/絵 きむらよう・にさわだいらはるひと(2018年),『答えのない道徳の問題どう解く?』,ポプラ社.)■これからの時代に必要な能力を伸ばすため東京大学名誉教授で教育学者の汐見稔幸先生は「なぜ勉強するのか」という問いに、「好奇心や思考力、表現力を伸ばすため」と答えています。これからは「教えたことをどのくらい覚えているか」ということを学力の目安とするよりは、「与えられたテーマをどう解決していくか」という思考力や、「考えたことをどう伝えるか」というコミュニケーション力や表現力を学力として考えたほうがよい、としたうえで、「豊かな思考力を身につけるには“思考する練習”が必要」とのこと。つまり、テストで良い点数をとるために勉強が必要なのではなく、もっと広い視野で物事を考え、自分の言葉で表現する手段として勉強することが大切なのです。■“学び方” を知るためまた、筑波大学准教授でメディアアーティストの落合陽一氏は、勉強する理由を「新しいことを考えたり、新しいことを身につける方法を学ぶため」と説きます。新しいことを学ぶ必要がある時に、「どう学ぶのが自分にとって効率的か」を知っていると非常に有利になります。そのためにどうやってその状態に自分を持っていけるかを考えながら、常に勉強し続けることが大事になってくるのです。(引用元:落合陽一(2018年),『0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書』,小学館.)よく「学校の勉強なんて社会に出たらまるで役に立たない」という言葉を耳にします。しかし「学習する訓練」を怠っていたら、社会に出たときに新しいことを学習する方法がわからないのでつまずいてしまうのです。■たくさん失敗して成長するため教育評論家の石田勝紀氏は、高校受験を控えたある生徒に「勉強の意味」について聞かれたとき、「自分の成長のため」と答えました。さらに「トップ校にいく人と比べて自分ができないという比較ではなく、1ケ月前の自分と比べて成長したのかどうか」が重要であり、途中で投げ出さず、諦めない姿勢を貫くことの大切さを伝えたのです。また、石田氏は「学び=成長は、失敗や間違いから生まれるもの」だとも説きます。「何が学べたか、次はどうすればうまくいくか?」に焦点を当てるようにすれば、子どもの中に「自分はできる」という自信や希望が芽生えます。そのことを目の当たりにしてきた先生ならではの回答ですね。大事なのは「ごまかさないこと」これまでご紹介してきた“教育のプロ”の回答を参考にして、いくつか答えを考えてみました。ぜひ参考にしてみてください。これから〇〇くんはたくさんの人と出会うよね?その中には、自分とはまったく違う考え方の人もいるかもしれない。そういった人たちとも一緒に遊んだりお話したりするときに、それまで勉強してきたことが役立つんだよ。知らないことを知るって楽しいことなんだよ。ワクワクして「もっと知りたい」って自然に思えることが本当の勉強なんだ。だから、勉強は「楽しむため」にするんだよ。頑張って続けてきたことは、いずれ必ず大きな花を咲かせる。スポーツでも習い事でも、「もうやめたい」って諦めそうになっても頑張って続けることが大事。勉強だって同じだよ。勉強する内容よりも大事なことは、勉強を続けること。続ける力をつけることだよ。途中で投げ出したら何にも残らなくなっちゃうから、目の前の課題をコツコツこなしていけば、いずれ大きな宝物になるよ。これらはほんの一例です。もしお子さんが納得できなければ、親子で一緒に考えてみましょう。お子さん自身が勉強の意味について深く考え、向き合うことが、答えを導き出す唯一の方法です。***大人は子どもの疑問に完璧に答えられなきゃいけない!とプレッシャーを感じていませんか?だからといって、ありきたりな言葉で適当にごまかしても、子どもはすぐに見抜きます。それよりも「お母さんもわからないから一緒に考えてみよう」と提案しましょう。(参考)福嶋隆史(2010年),『わが子が驚くほど「勉強好き」になる本』,大和出版.PRESIDENT Online|「なぜ勉強が必要?」子供への模範解答3おおたとしまさ(2013年),『子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?』,日経BP社.文 やまざきひろし/絵 きむらよう・にさわだいらはるひと(2018年),『答えのない道徳の問題どう解く?』,ポプラ社.汐見稔幸(2008年),『汐見先生の素敵な子育て「子どもの学力ほ基本は好奇心です」』,旬報社.落合陽一(2018年),『0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書』,小学館.東洋経済ONLINE|「勉強する意味は?」と問う子に刺さる言葉東洋経済ONLINE|子どもに「夢を持て」と言う前にすべきこと
2019年03月09日最近の子どもたちはとにかく忙しい!学校から帰ってきたらすぐに塾や習い事、そして家に帰っても学校の宿題、夕飯を食べてお風呂に入ったらもう寝る時間……。もしかしたら大人よりもハードなスケジュールをこなしているのでは?と心配になることもありますよね。そんな子どもたちにとって、家でゆっくり過ごせる時間はとても貴重です。だからこそ、身体も心も脳もしっかりと休めてほしいと考えるのは、親ならば当然なのではないでしょうか。今回は、子どもたちの家庭での過ごし方について、ある提案をします。現代は、親も子どももとにかく忙しい!2013年、ベネッセ教育総合研究所が子どもたちの放課後の時間の過ごし方について詳しく調査したところ、「『忙しい』と感じる」と答えた小学生は51.2%もいました。そして「もっとゆっくり過ごしたい」と答えたのは74.2%、2008年の調査時に比べて5.3%も増えていたのです。また、平日放課後に学校の宿題をする時間は43.1分、学校の宿題以外の勉強時間は33.8分でした。それに塾や習い事の時間も加わるため、学校が終わってから夜寝るまでの間は、ほとんど休む間もなく忙しく過ごしているように感じ取れます。共働きの家庭では親御さん自身も時間に余裕がなく、家にいるときもバタバタとしてしまいがちです。学校に仕事に家事、と家族全員が忙しく、ゆっくりと過ごす時間をとることが難しくなりつつあるのではないでしょうか。しかしそんな状況でも「ダラダラ過ごすよりはいいでしょ?」「忙しくても充実感があるから平気」と思ってはいませんか?それは親にとっても子どもにとっても、あまり良い状況だとはいえません。忙しいと受け身になる!?NPO法人子育て学協会会長で、チャイルド・ファミリーコンサルタントの山本直美氏は、子どもたちが毎日忙しく過ごすことに警鐘を鳴らしています。今のこどもたちは様々な面で満たされていますから、生活全般に創意工夫がなくなる傾向にあります。(中略)そういう時代に、「毎日習い事」「土日は習い事の掛け持ちで予定がぎっしり」というような状況になると、子どもたちはただこなすことに精いっぱいになってしまいます。どんな体験も受け身になり、自分の意思で選ぶということができなくなるのです。(引用元:日経DUAL|もしかして親のエゴ?子どもの「習い事」落とし穴)良かれと思ってたくさんの習い事をさせても、結局それをただこなしているだけでは意味がありません。また、身体が疲れきってしまうと、本来のパフォーマンスができずに、その習い事自体が嫌いに嫌いになってしまうことも。本当に我が子のためになる習い事だけに絞り、時間を有効に使うように心がけましょう。優秀な子ほど家ではダラダラしているでは逆に、子どもが家にいるときぼーっとしている様子を見て、「うちの子、家でこんなにダラダラしているけど、学校ではしっかりやってるのかしら!?」と心配されている親御さんもいらっしゃるのではないでしょうか?心配はいりません。国立大学付属小学校の松尾英明教諭は「健全な子どもほど、実は家で“ガス抜き”をしている」と断言しています。私の経験上言えるのは、学校で、成績だけではなく人格的な面も含めて「本当に素晴らしい」と賞されるような子どもは、実は家庭でダラダラしていることが多いということです。家庭訪問や面談で担任がその子どもを褒めると「信じられない。家ではひどいんですよ!?」と愚痴を聞かされることもしばしばあります。(引用元:PRESIDENT Online|なぜ頭のいい子は家でダラダラユルユルか)むしろ、家の中でもピシッと気を張っているほうが危険であるといいます。家の中でリラックスできないということは、親の期待に沿う言動や生活態度を意識しているということ。そのような緊張感を強いられた子どもたちは、いったいどこでガス抜きをするのでしょうか。それは「外の社会」です。学校やお友だち付き合いの中で、無意識に発散させている場合も多く、「家ではいい子なのに……信じられない!」と親御さんを驚かせることもあるかもしれません。家庭が子どもにとって「安心できる場所」であることは、優秀な子が育つ条件のひとつでもあるのです。ぼんやりすることで脳が元気を取り戻す文教大学教育学部教授で小児科医の成田奈緒子先生は「脳を効率的に働かせるには、必要のないときは休ませるという切り替えが大事」と述べています。最近の研究では、ぼんやりしているときにも脳は活動していることがわかっています。「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」と呼ばれるこの脳の活動によって、外部からの刺激をシャットアウトしてぼーっとすることで、今までに蓄積した知識を前頭葉にたぐりよせる訓練になるのです。精神科医の樺沢紫苑氏も、このDMNによってインプットされている情報が整理されるので、ぼーっと過ごす時間こそアイデアが生まれやすくなるといいます。子どもの発想力を伸ばすためにも、脳を休ませてダラダラする時間は決して無駄ではないのです。ちなみに、テレビやパソコンは刺激になるので、画面をただ見ていても脳の休憩にはなりません。子どもの想像力や思考力を育てるには、外からの刺激が一切ない状態でぼーっとすることが一番です。「もう、ダラダラしてないでシャキッとしなさい!」「まだやってないことがあるんじゃないの?」「宿題は?明日の準備は?やることがないなら部屋を片づけて」子どもがダラダラしていると、つい言ってしまうこれらの言葉。きっとそれは、家の中でもきちんとして過ごさなきゃだめだ、という思い込みによって不安感が募ってしまうからでしょう。ぼーっとすることは決して悪いことではありません。むしろ、脳を休めることで明日への活力を取り戻し、さらには子どもの発想力を伸ばすことにもつながるのです。***たまには親子でのんびりダラダラしてみるのもいいのではないでしょうか。お子さんの健康のためにも、なにごともほどほどに、バランスの良い生活を送りたいですね。(参考)ベネッセ教育総合研究所|ベネッセのオピニオン 第57回「ゆとり」がない子どもたちの放課後ー多忙な子どもたちの生活時間を考えるー日経DUAL|もしかして親のエゴ?子どもの「習い事」落とし穴PRESIDENT Online|なぜ頭のいい子は家でダラダラユルユルか洋泉社MOOK(2017),『子どもの脳を伸ばす 最高の勉強法』,洋泉社.Study Hacker|夕食後は絶対にダラダラしなさい。夜の過ごし方を今すぐ変えるべき本当の理由。
2019年03月08日子どものなかには、中学年の頃までは勉強ができたのに高学年になったら成績が下がってしまう、逆に中学年まではぱっとしなかったのに高学年になったら一気に成績が上がる、いわゆる「後伸び」をする子どももいます。両者にはどんなちがいがあるのでしょうか。ウェブサイト「中学受験情報局『かしこい塾の使い方』」主任相談員の小川大介さんは、「幼い頃の熱中体験」に鍵があるといいます。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)後伸びする子、そうじゃない子のちがいとは?「幼いときになにかに熱中した経験」があるかどうか――。これが後伸びする子どもとそうなない子どものちがいだとわたしは考えています。後伸びする子どもは、エネルギーにあふれています。体力だけでなく、好奇心や自分の世界を深めていく心のエネルギーも強い。そのエネルギーを生み出すのは、幼いときに好きなことを好きなだけやった経験です。夢中になって遊び続けてパタンと寝てしまうような子どもっていますよね?布団にもたどり着けずに電池が切れたように寝てしまうような(笑)。それは、自分の興味が向いているものに体力と心の限界まで熱中していたということ。つまり、そういう子どもは、なにかを「やりたい」と思ったときに瞬時に動けて限界まで集中し続ける力を持てているということなのです。その「なにか」が勉強になったとしたらどうでしょうか。体と心の強いエネルギーを勉強に向けるわけですから、成績が伸びていくのは当然のことです。つまり、後伸びする子どもにしたければ、幼い頃には好きなことを好きなだけやらせてあげる必要があります。幼い子どもが好きなことというと、たいていは「遊び」になるでしょう。それでいいのです。「なにをするか」ではなく、「なにかに熱中すること」が重要なのですからね。「遊び」と「勉強」をわけて考える必要はないそして、そもそも「遊び」と「勉強」をわけて考える必要もありません。むかしから定番の積み木など「知育玩具」と呼ばれるおもちゃがあるように、程度のちがいこそあれ、勉強には遊びの要素があり、遊びにも勉強の要素があるものだからです。そういった勉強の要素を含む遊びを、わたしは『1日3分! 頭がよくなる子どもとの遊びかた』(大和書房)という本にまとめました。掲載している58種類のなかから、いくつかおすすめのものを紹介しておきましょう。【頭が良くなる遊び】(1)折り紙グシャグシャ遊び親子それぞれが好きな色の折り紙を選び、まず手でグシャグシャと丸めます。それを開いて、折り目がかたちづくる○△□といったかたちを見つけて、ペンでなぞりましょう。そのうち、子どもが乗り物や動物のかたちを発見することもあるかもしれない。図形のかたちをとらえ、想像力を育むことにもなる遊びです。(2)ひたすら直線並べ遊び積み木をひとつの入れ物に入れておき、「○○ちゃんのところからテレビまで積み木いくつかな?」などと声をかけ直線で積み木を並べさせます。自分の手でひとつずつ並べるため、ごく自然に長さや広さを体感することになります。最後は、積み木を一緒に数えながら片づければ、数の学習にもなりますね。(3)言葉パズル遊び50音が書かれている「あいうえおカード」を使って、相手がつくった言葉から抜いた1字を使った言葉をつくるという遊びです。たとえば、子どもが「あひる」とカードを並べたら、親がそのなかから「ひ」を抜いて「ひまわり」とする。今度は子どもが「ひまわり」から1字を抜いて好きな言葉をつくるという要領。どの1字を使うかを考え、それが含まれる言葉を思い浮かべることは、幼い子どもにとってはかなりの知的作業です。わざと子どもがまだ知らない言葉をつくって、それを教えるということもできますね。習い事が成長する感覚、挑戦意欲を育てる子どもが熱中することというと、習い事も挙げられます。習い事には子どもの成長に好影響を与えることがいくつも含まれています。ひとつは「多様性を知る」こと。世代や価値観が異なるさまざまな人に交じって、学校の先生とはちがう先生と習い事に取り組む。子どもは、これまで知らなかった世界を知ることになります。もうひとつが、自らの「成長感覚をつかむ」ということ。習い事は、やったらやっただけ成果が見えるようにできています。スイミングでも書道でも、はじめたからには「○級になりたい、○段になりたい」というふうに思うものでしょう。そのために、教室以外でも練習をするようにもなります。そして、努力を続けることで技能が身についていき、目標を達成したという成功体験を得る。これが、自分が成長していく感覚や挑戦意欲を育ててくれるのです。もちろん、「熱中すること」が重要ですから、習い事も世間一般にいいと言われているものではなく、子どもが興味を示すものでなければなりません。とはいえ、習い事をはじめてもすぐに「もうやめたい」といったり「今度はあれがやりたい」と興味の方向が変わったりする飽きっぽい子どもがいるのも確かです。そういう子どもは、同じように飽きっぽく見えても、その原因は異なる場合があります。赤ちゃんのように瞬間的に別のものに興味が向かってしまう、こらえ性がない本来の意味での飽きっぽさなら、「もう1回頑張ってみようか」と、やはり我慢することを教える必要があります。単に「うちの子は好奇心旺盛だから」で片づけると、成長能力がまったくないまま大きくなってしまう可能性があるからです。もうひとつのケースは、単純に「ビビり」だというもの。面白そうと思って教室に行ってみたものの、先にはじめているまわりの子は自分より上手だった。そこで弱気になって、「やっぱりやめる」と逃れようとしているのなら、そこは親が励ましてあげるべきでしょう。もちろん、家でも子どもと一緒に練習をする。そうして練習すれば、確実に上達するという事実を教えてあげればいいのです。いずれにせよ、飽きっぽく見える子どもの裏になにが潜んでいるのかを見定めてあげて、熱中体験、成功体験をきちんとつくってあげることが大切です。『1日3分! 頭がよくなる子どもとの遊びかた』小川大介 著/大和書房(2017)■ 中学受験のプロ・小川大介さん インタビュー一覧第1回:“国語嫌い”になりやすい子どものタイプと、親がやりがちな間違った教育法第2回:“リビング学習でかしこくなる”は勘違い。東大生がリビングで勉強する本当の理由第3回:子どもは勝手にかしこく育つ。“自ら学ぶ力”を伸ばす辞書・地図・図鑑の活用法第4回:“後伸び”する子としない子の違い。成長後に学力が急伸する幼少期の過ごし方【プロフィール】小川大介(おがわ・だいすけ)1973年生まれ、大阪府出身。ウェブサイト「中学受験情報局『かしこい塾の使い方』」主任相談員。プロ家庭教師集団「名門指導会」副代表。京都大学法学部卒業。関西最大手の進学塾の看板講師として活躍後、個別指導教室「SS-1」を創設。教科指導スキルに、声かけメソッド、逆算思考、習慣化指導を組み合わせ、短期間での成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。家庭をひとつのチームと見立てておこなう独自のカウンセリングは実施数5000回を超え、高い精度でクライアントを成功へ導いている。受験学習はもとより、幼年期からの子どもの能力の伸ばし方、親子関係の築き方といった子ども教育分野でも定評がある。著書に『1日3分! 頭がよくなる子どもとの遊びかた』(大和書房)、『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』(すばる舎)、『親子で学べる! カピバラさんドリル 小学社会47都道府県』(かんき出版)など多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月08日「小学校入学を期に、もっと辞書に親しんでもらいたい」「早い段階から辞書を引くことに慣れさせたい」「わからない言葉を自分で調べる癖をつけさせたい」大人が子どもに辞書を与えるとき、きっとさまざまな想いを込めているはずです。授業で使用するようになるのは小学校3年生からですが、辞書に慣れさせるのに早すぎることはありません。今回は、子どもが辞書と仲良くなるためのコツをお教えします。辞書を引くことはいいことだらけ!今の時代、わからないことはインターネットですぐに調べることができます。親御さん自身も、わざわざ辞書を引くよりも、手元のスマートフォンですばやく調べたほうが効率的だと感じてはいませんか?しかし、紙の辞書を「わざわざ」引くという行為は、私たちが思っている以上に良い影響があります。これからはじめての辞書を選ぶ人も、すでに辞書を買ったけどまったく活用できていないという人も、子どもが辞書を引く習慣をつけるメリットについて改めて考えてみましょう。■問題解決能力が身につく!辞書引き学習の生みの親・深谷圭助氏は、「疑問に思ったらすぐに調べる癖がつくと、自ら問題を解決する力の獲得につながります」と述べています。疑問に感じた言葉に出会ったとき、気になってすぐに調べる子は自分の好奇心や興味の対象に対して敏感です。その感性を最大限に引き出すためにも、疑問をすぐに解消し、さらに新しい疑問を生み出して解決する、というサイクルが効果的。1冊の辞書があれば、子どもの疑問のほとんどは解決できます。■一覧性によってプラスの知識が手に入る!学研プラス辞典編集室の今井優子編集長は、国語辞典特有の「一覧性」に着目しています。言葉を探していく過程で、ちょっと前だったりうしろだったりして、1ページずつめくることがあると思うんですけど、途中でイラストがあって興味をひかれたら、そこで止まってもいいわけです。そうやって関係ない語にも目を止めて、言葉がこんなにあるということを感じるだけでも意味があると思いますよ。(引用元:学研キッズネット|実践!国語辞典を楽しく使いこなそう 学研 子ども向け国語辞典編集室インタビュー第1回(全4回))目的の言葉を調べるだけならインターネットでも充分です。しかし国語辞典で調べると、同音異義語や反対語などもおまけとして知ることができます。つまり、言葉そのものの意味プラスアルファの知識が得られるというわけです。■辞書の正確性が子どもの判断力を育てる!インターネットは便利である反面、検索して一番上に出てきたものが一番正しいとは限りません。一方国語辞典には、インターネットとは比べものにならない“正確性”がベースにあります。なぜなら、本になって出版されているものは何度も精査された情報であり、誰もが信用できるに値するからです。大人はそれまでの経験で「この情報は正確かどうか」と判断できます。しかし、子どもはまだ判断力が未熟であり、間違った情報を信用してしまいがちです。「判断する力」をつけるためのツールとしても、国語辞典の活用は理にかなっているのです。子どもがもっと辞書を好きになる!では次に、日常の中でどのようにして辞書を取り入れればいいのか、子どもが辞書を好きになるにはどうしたらいいのか、具体的なコツをお教えします。■はじめての辞書の選び方これから辞書を購入する予定であれば、次のことを覚えておくと辞書選びに迷いません。まずは一緒に書店へ行き、実際に見本を触り、ページをめくってみましょう。最も重視するのは、子どもがひとりで使いこなせること。低学年のうちは、すべての漢字にふりがなが振ってある「総ルビ」のものがおすすめです。例文にもルビが振ってあると、よりスムーズに理解が深まります。また最近の子ども向けの辞書では、漢字の書き順も掲載されているのが一般的。言葉の意味と書き順を一度で学ぶことができて一石二鳥です。複数の辞書が気になった場合は同じ言葉を引き比べてみましょう。出版社によって表現に違いがあるので、どの説明がわかりやすいか、文字が見やすいか、じっくり見比べます。■辞書を置く“場所”が重要!子どもの「知りたい!」「気になる!」にすぐに応えられてこそ、辞書は本領を発揮できます。もし机の中にしまいこまれていたら、汚れないようにケースに入っていたら……最初のアクションが「面倒なもの」になってしまいますよね。できればリビングに、そしてケースから出して置いておきましょう。テレビを見ているとき、家族で会話をしているとき、ふと頭に浮かんだ「?」を瞬時に解消することで、子どもは辞書の利便性に気づきます。■遊びの中にも辞書を取り入れる辞書に慣れさせるためにも、ぜひ辞書を片手にしりとりを。自分では思い浮かばなかった言葉との出会いがあり、新鮮な驚きとともにより強く記憶に残るでしょう。また、目を瞑ってパラパラと辞書をめくり、ピタッと止めたページに沿って適当に指をさします。言葉の意味の部分だけを読み上げて、その言葉はなんなのか当てっこする遊びも、楽しみながら学びにつながるのでおすすめです。■「調べて終わり」にはしない!前出の学研プラス今井氏は、調べた言葉をさらに発展させるために次のような提案をしています。たとえばスナック菓子の袋に「さくさく」って書いてあったらそれをいっしょに調べてみる。国語辞典だととなりに「ざくざく」がのっていますから、次は「ざくざく」と書かれているお菓子を買ってきて、「さくさく」とどうちがうのかを実際に食べ比べてみる、なんていうふうにどんどん広げていけるといいですね。(引用元:同上)体験したことを言葉で表現できれば、子どもの世界は無限に広がっていきます。ただなんとなく通り過ぎていく出来事に足を止めて、意味を調べて言語化できる能力をつけることは、確実に子どもの将来の可能性を広げていくことにつながります。親がすべきこと・できること最後に、子どもが辞書と仲良くなるために親としてできることをまとめました。お子さんがどのようにして辞書と関わっているのか、適度な距離感で見守ってあげるのがポイントです。■最初の一歩は「すでに知っていることを調べる」「せっかく買ったのに全然興味を示してくれない」という場合、子どもが好きなものについて調べてみましょう。好きな食べ物や動物を改めて辞書で調べてみると、あっと驚く新鮮な発見があるかもしれません。■「頼りにしてるよ」がやる気につながる親がわからない言葉に出会ったときも、ぜひ子どもに調べてもらいましょう。「これってどういう意味かな?教えてくれる?」と聞けば、子どもはがぜんやる気を出します。■親も辞書を引く姿を見せる子どもが辞書を引いているとき、ぜひ親御さんも大人用の辞書で同じ言葉を調べてみましょう。普段から親が辞書を引くことが当たり前の光景になっていれば、子どもも自然と手に取るようになります。■強制しない!「絶対に辞書を引かなければ」というプレッシャーに押しつぶされて、辞書を手に取ることが億劫になってしまっては元も子もありません。すぐに「自分で辞書を引いて調べなさい」と言うのではなく、気分が乗らないようであればインターネットで調べてあげてもいいでしょう。***辞書は子どもにとって、わからないことを教えてくれる大事な友だちです。仲良く、末長く付き合っていくためにも、日常的にうまく活用するように心がけたいですね。(参考)Study Hacker こどもまなび☆ラボ|子どもの問題解決能力を高めてくれる。今こそ“辞書の力”を見直そう!3M|正しい「辞書引き」学習法とは?学研キッズネット|実践!国語辞典を楽しく使いこなそう 学研 子ども向け国語辞典編集室インタビュー第1回(全4回)maybest教育・学習参考書おすすめ情報サービス|小学生国語辞典のおすすめランキング10選【2019年最新版】
2019年03月07日ビフとチップ、それにキッパーという3人の子供が出てくる物語があります。日本では決して有名な作品ではありません。けれどイギリスの子供だったら、誰でも知っているでしょう。実はこの3人、イギリスの子供達が学校で文字を読む練習をするために使う、オックスフォード大学出版社の「リーディングツリー」シリーズの登場人物です。英語圏を一歩出たら、知っている人はあまりいないでしょう。けれどイギリスでの知名度は、『ハリー・ポッター』にも劣らないかもしれません。検定教科書のないイギリスの小学校での「国語」教育前にもお話ししましたが、イギリスの小学校には検定教科書がありません。クラス内でディスカッションをするために、英語の授業ではクラス全員が同じ本を読みますが、日々の宿題や音読課題には、それぞれの子供のレベルに合った本が渡されるのです。字の読み方に慣れていない子供が、少しずつ新しい単語に出会い、読むのに慣れていくようにデザインされた、オックスフォードの「リーディングツリー」シリーズ。英語を母語とする子供にとって、いわゆる「国語」の副読本として、イギリスの約80%以上の小学校で採用されています。「オックスフォードリーディングツリー」の中でさらにシリーズ分けがされており、冒頭でご紹介した3人の子供が登場するお話に加え、ドキュメンタリーや、過去の名作の書き直し版、詩や科学、歴史など、取り扱われるトピックも多彩です。ビフとチップ、そしてキッパーが出てくる物語は、だいたい4歳から6歳ぐらいまでの年齢の子供が、よく学校で手渡されて家に持って帰ってきます。我が家の下の子供は、7歳になってからビフやチップと別れて、SFのシリーズやスポーツ選手の伝記を持って帰ってくるようになりました。下の子の読書のペースは最近までゆっくりだったので、私も下の子供の宿題に付き合っているうちに、この3人の様々な冒険を何度も耳にすることになりました。日本でも購入が可能です。8つのレベル別のストーリーがまとめて紹介されているガイドブックもあります。教科書がないことの大きなメリット科目によっては教科書がないことを不便だと感じることも多いのですが、こと英語に関しては、このシステムはとてもうまく機能しているように思います。様々な家庭から、全くバラバラな能力を持って子供達が集まってくるとき、画一的に授業をするのではなく、その子供のレベルに合った本を読み進められるというのは、大きなメリットです。読むのが苦手な子には低いレベルの本が、読むのが得意な子には高いレベルの本が手渡されます。家で数回読んで満足したら先生にチェックしてもらって次に進むので、本を読むのが好きな子はどんどん先へ進んでいきます。最初は低いレベルで始まったはずなのに、次々に読み進めていき、気づいたらクラスで一番高いレベルの本を読んでいた、というような子供もいます。逆にそうでない子は、ゆっくりと自分のペースで読書を進めることになります。英語の授業内で週に2度ほど、先生やティーチングアシスタントさんが、一人一人音読と理解度をテストしてくれます。日によっては上級生が下級生のクラスに来て、リーディング・バディ(Reading buddy・読み仲間)としてペアを組み、ちゃんと読めているか確認してくれることもあります。小学校の音読の宿題、こんなに違う!日本 VS. イギリス実は上の子は、日本の小学校で出される、国語の音読の宿題がとても苦手な子供でした。読むのは上手だったのですが、毎日同じ内容を何度も声を出して読むのがとても苦痛だったようです。その後、小学3年生でイギリスに来て、様々な本が週に何冊も手渡され、どんどん音読の課題図書が変わっていった時には、あまり嫌がることもなく読み進めていくことができました。数日ごとに異なるお話に出会うことで、好奇心が刺激されたのでしょう。そういえば私も、小学1年生の国語の教科書を、手渡されたその日に読み終えてしまうような子供でした。渡されてすぐに読み終えてしまい、「半年間これで勉強するの?」と呆然としたことを覚えています。教科書による制限がある日本の学校の音読では、比較的少ない量の文章が与えられ、それを完璧に仕上げていきますね。一方、イギリスの識字教育では、一度一度は完璧でなくてもいいから、飽きない程度に、近いレベルの本がたくさん手渡され、少しずつ難易度を上げていきます。そのうちに、どんどん読めるようになっていくのです。日本では、教科書で足りない読書量を図書室が補っていました。もちろん、イギリスの小学校でも、学校の図書室や街の図書館を使って、学校の読み物に限らない読書教育も施されています。それを考えると、小学3年生の下の子供は、クラスで渡される多読教材と図書館で借りた本を合わせて、少なくとも週に3冊から4冊の本を学校から持ち帰っていることになるでしょうか。この量は、教科書が「貸し出し」されるものであるからこそ、財源的に可能なのでしょう。本は「まるまる一冊」、そして「大量に」読むもの「リーディングツリー」を使った識字教育には様々な利点があるのですが、私が最も評価しているのは、実は個別のレベルに合わせた教育ができるという点ではありません。むしろ、子供達が早い段階で本を「まるまる読むもの」「たくさん並べて読むもの」と認識できるという点を、一番高く評価しています。小学校低学年の子供でも、最初から最後まで、本をまるごと一冊通して読むのが当たり前になっているのです。また、週に何冊も読むので、大量の文章を読むことに対する抵抗感がぐんと減ります。さらに、同じトピックについて書かれた様々な本に出会う機会も多いので、「同じ物事を扱っていても本によってちょっとした違いがある」ことに気づくのも早いようです。実は以前、日本の大学で英文学を教えていた頃は、学生さんの英語力を上げるために多読教材(学習者のレベルに合わせて、単語や文法の難しさが調整されている薄い書籍)を使っていました。学校の教科書や、問題集の「切れ切れになった英語の文章」を読むことの方が圧倒的に多い日本の学生さんに、どれだけ薄っぺらくても、「最初から最後まで」「大量に」読む経験を積んで欲しかったからです。実際に多読教材を多く読んでいくにつれ、英語を読む能力は上がっていきます。並行して、授業で扱う原著も読んでいたのですから、負担でなかったはずはないのですが、それでも原書だけでなく大量の英文を読む訓練は遠回りではなかったはずです。私が日本の大学で使っていたものは英語学習者のためのグレーデッド・リーダー(Graded Reader)であり、下の子供が通うイギリスの小学校で使われている読み物はネイティブの子供達のためのものですから、内容も難しさのポイントも違いますが、基本的な考え方は同じです。少ないものを完璧にするのではなく、好奇心やワクワクするような感情が死なない程度の難しさで、数多くの文章に触れること。子供達が成長していくうちに、現実の世界で触れる英文は多岐にわたるものですから、広く雑多な文章の世界への入り口として、イギリスの小学校に「リーディングツリー」のような教材があることは、素直に羨ましいことだなあと、私は思うのです。Roderick Hunt, Oxford Reading Tree Read with Biff, Chip and Kipper: Level 11 First Chapter Books: The Strange Box (Read with Biff, Chip and Kipper. First Chapter Books. Level), (Oxford University Press, 2014)Oxford University Press|オックスフォード・リーディング・ツリー古川 昭夫, 宮下 いづみ(2007),『イギリスの小学校教科書で楽しく英語を学ぶ』, 小学館Roderick Hunt, STAGE 1+ FIRST SENTENCES PACK (Oxford Reading Tree), (Oxford University Press, 2011)
2019年03月07日2018年4月から、小学校では道徳が「特別な教科」になりました。子どもたちの“心の教育”や“倫理観”は、これからますます重視され、学校だけではなく家庭や社会全体でも考えなければならない重要な問題になっていくでしょう。今回は、なぜ道徳を学ばなければいけないのか、そして家庭でも取り入れたい道徳教育についてお話します。なぜ今『道徳』に注目が集まるのか?まず、道徳が教科化された背景や目的について振り返ります。従来、小中学校では「道徳の時間」が週1回、教科外活動として設けられていました。親御さんの多くも記憶に残っているのではないでしょうか。その後、2015年には学習指導要領が一部改訂され、道徳は「特別の教科」(道徳科)になります。そして小学校は2018年から、中学校では2019年から全面実施されることが決定されたのです。■道徳教育が重要視されるようになった理由社会のグローバル化によって、今後ますます多種多様な文化や価値観を持った人と接する機会が増えます。お互いの違いを認めて受け入れることが求められる時代に、道徳教育は避けては通れない課題となりました。また、急速に発展したインターネット社会において、コミュニケーションの方法や倫理観にも大きな変化や新しい価値観が発生しました。そのため、対人関係の構築の仕方も家庭内の「しつけ」だけにとどまらず、社会全体で考えなければいけない教育の問題へと変化したのです。また、教科としての道徳教育を早急に推進していくにあたり、大きな影響を与えているのは「いじめ問題」です。従来の道徳教育では、「いじめは許されない」と発表させたり書かせたりするだけで、やや表面的な教育に終始していました。しかしこれからは、客観的な意見を出し合うよりも、「自分だったらどうするか」と真正面から問題に向き合うことが重要であり、現実のいじめ問題に対応できる資質や能力の育成が求められるようになったのです。■授業内容と評価基準教科外活動から「特別の教科」になった道徳。その授業内容はどのように変化していったのでしょうか。学習指導要領には、「自分の考えを基に話し合ったり書いたりするなどの言語活動を充実すること」と記載されています。つまり、従来の読んだり聞いたりするインプット重視の教育から、自分の考えをアウトプットすることを重視する方向へとシフトしているのです。道徳の授業を通して、「考える力」「議論する力」が求められるようになっていることも特徴だといえるでしょう。また道徳は「特別な教科」ということで、数値での評価はありません。道徳科における評価は他教科とは異なります。「他人の考えをしっかり受け止めている」など子どもが成長した様子を担任が見定め、「励まし、伸ばす」文章を書いてもらうことが評価となるのです。その際、ほかの子どもと比較することはせず、「規則の尊重」や「家族愛」など、内容項目ひとつひとつを評価しない、という決まりになっています。心の教育を軽視するとどうなる?道徳教育を考えるとき、東京都独自のある取り組みが参考になります。それは平成12年に策定された『こころの東京革命』です。■『こころの東京革命』とは?親と大人が責任を持ち、次代を担う子供の正義感や倫理観、思いやりの心を育み、自らが手本となりながら、人が生きて行く上で当然の心得を伝えていこうという取り組み。その中で、大人が子どもに伝えるべき大切なことをまとめているので、要約してご紹介します。また、その大切なことが身についていないとどうなってしまうのか、あわせてお伝えします。○社会の「きまり」や人との約束を守るみんなで決めた「きまり」や約束を守ることは、人との信頼関係を築き、維持するための基本であり、社会のなかで自分らしく生きていく上で欠くことができません。・きまりを守れないと秩序を乱して周囲から孤立してしまいます。その結果、自分には価値がないと思い込み、自己肯定感の低下につながります。○思いやりをもつ多様な人々と共に生きるためには、自分だけでなく他人にも心を配らなくてはいけません。思いやりとは、自分の欲しないことを他人にもしないという基本的姿勢から生まれてくるものであり、他人を愛する心をもつことが大切です。・他者への思いやりがないと自分を大切にすることもできません。すると、何事にも無気力で投げやりになってしまいまいます。○自らを律する時と場合に応じて我慢をし、かつ目標を見失わずに粘り強く物事をやり遂げることで、自らを律することの大切さと達成の喜びを感じられます。・我慢ができないと自分の要求を力づくで通そうとします。すぐに結果を求めるようになり、諦めが早くなります。○責任感、正義感をもつ自分に与えられた役割を果たし、自分の行為に責任をとるとき、人は大切な存在として尊ばれます。公平公正に対応しようとする態度、善悪の判断がしっかりでき、人として許されないことにはノーと言える強い意志をもつことが大切です。・責任感と正義感の欠如は、すぐに投げ出したり逃げたりすることにつながります。自分の判断基準が曖昧だと人に流され、決断力も身につきません。○人々や社会のために役立つことに喜びを見いだす人々や社会のために役立つことを自ら積極的に行い、また、さまざまな人々との関わりを通して何かをやり遂げることは、社会を豊かにするとともに、自分自身の充実感を高めることにもつながっていくものです。・人のために行動ができないと、自己中心的で他者の気持ちが理解できない人間になります。家庭でできる道徳教育道徳教育は、学校で学ぶだけで身につくものではありません。子どもたちが育つ環境、つまり家庭における役割がとても重要であることは言うまでもなく、親としてどのようにして子どもに道徳心を教えるのかは重要な課題です。そこで、家庭でも取り入れやすい道徳教育をご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。■ピグマリオン効果を利用して絵本から道徳心を学ぶ時代を超えて語り継がれてきた物語には、「悪いことをすれば自分にかかえってくる」「正直な人にはよいことがある」といった道徳的な概念を学ぶのに適した内容が多いのが特徴的です。絵本スタイリスト®︎景山聖子さんも、「Study Hacker こどもまなび☆ラボ」の人気連載「絵本読み聞かせコーチング」で、子どもの道徳心を育む方法を紹介しています。たとえば「お友だちと仲良くしてほしい」「困っている人に手を差し伸べるような子になってほしい」と望むのなら、そんな“理想の行動”をしている人物が出てくるお話を読み聞かせるのです。(中略)そして絵本を読み聞かせてから、お母さんは子どもにこうなってほしいという思いを込めて「○○ちゃんみたいだね」と言い、後は子どもを信じ続けてください。このプロセスを何度も繰り返すだけで、期待が現実化し、子どもの行動が変わっていきます。(引用元:Study Hacker こどもまなび☆ラボ|100回叱るより1冊の絵本。「ピグマリオン効果」を引き出す読み聞かせで、幸せを現実のものに)これは「ピグマリオン効果」を利用した方法です。ピグマリオン効果とは、相手に期待することで、相手もこちらからの期待に応えようとするため、最終的に「期待通りの結果」を得られる現象のこと。絵本に限らず、普段から「○○くんはお友だちの気持ちがわかる優しい子だね」と語りかけてあげるだけで、その効果は実感できるはずです。■役割を与えて責任感や自信を植えつける子育てや教育、社会問題などの記事を多数執筆するシアトル在住のアイネズ・モーベーン・ジョーンズ氏は、日本ならではの優れた教育に着目しています。それは、掃除や給食、動物の世話係に至るまで、さまざまな「役割」を子どもたちに課していること。そして、それらの活動を通して子どもたちの道徳心や倫理観は育まれる、と述べています。仲間と協力し合うこと、責任感を持つこと、あとの人のことを考えて行動すること、ズルをしたら必ず誰かに迷惑がかかること。日々の学校生活の中で、子どもたちは自然とそれらを学び、無意識のうちに身につけているのです。もちろん家庭でも取り入れることができます。「これは○○ちゃんに任せようかな」「これからは玄関のお掃除係になってね」と、子どもでもできる簡単なことから任せてみましょう。すると、自分に与えられた役割をきちんとこなそうと努力し、褒められた喜びが自信につながり、さらに家族を喜ばせようとポジティブな行動力が芽生えます。■親子で一緒に「答えのない問題」について考える家庭での道徳教育にぜひ活用してほしいのが、こちらの本です。『答えのない道徳の問題どう解く?』(ポプラ社)この本は、これからの時代を生き抜く力を育むために、対話から子どもの本音を引き出すことを目的としています。・ついていい嘘と、ついちゃいけない嘘ってどう違うの?・どうして正義のヒーローは、悪者を殴ってもいいんだろう?・ネット上の友だちと学校の友だち、どっちが本当の友だち?これらの疑問に対して、教育評論家の尾木直樹さんや詩人の谷川俊太郎さん、卓球の水谷準選手などの著名人が真剣に向き合い、独自の回答を提示してくれます。正解のない問いを親子で一緒に考える良いきっかけにもなりますね。***答えがない道徳教育だからこそ、ぜひ親子で一緒に考えてみませんか?深く話し合ってみると、大人が思っている以上に子どももいろいろなことを考えているとわかり、お子さんの意外な一面を発見できますよ。(参考)Study Hacker こどもまなび☆ラボ|道徳教育の必要性とは?「特別の教科」になった本当の理由Study Hacker こどもまなび☆ラボ|“心の教育”忘れてない?確かな学力・健やかな体の基盤になる『道徳力』を育てるヒント東京都|「こころの東京革命」行動プラン ~大人が変われば、子供も変わる~Study Hacker こどもまなび☆ラボ|100回叱るより1冊の絵本。「ピグマリオン効果」を引き出す読み聞かせで、幸せを現実のものに東洋経済ONLINE|外国人が感じた日本の「道徳教育」のすごみ文 やまざきひろし/絵 きむらよう・にさわだいらはるひと(2018年),『答えのない道徳の問題どう解く?』,ポプラ社.
2019年03月06日「どうしたら子どもがかしこくなってくれるのだろう――」。この、答えがありそうで実際には答えのない問いに苦心されている親はとても多いかもしれません。しかし、ウェブサイト「中学受験情報局『かしこい塾の使い方』」主任相談員の小川大介さんは、「子どもは勝手にかしこくなる」と語ります。大切なポイントは、そうなるための家庭環境をつくること。その家庭環境づくりに欠かせない「三種の神器」ともいえるものが、「辞書」「地図」「図鑑」だといいます。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)辞書は「言葉の置き換えの練習帳」「子どもにかしこくなってほしい」と考えると、つい「とにかくたくさん勉強をさせる」という発想になり、問題集や参考書などの教材を買い与えたくなります。でも、いわゆる学習教材とはちがった効果によって子どもをかしこくさせる3つのツールがあります。その3つとは、「辞書」「地図」「図鑑」。それぞれが子どもになにをもたらすかについて、順に説明していきます。【辞書】辞書はいうまでもなく言葉の意味を、「定義」したもの。辞書を引くとき、子どもは「この言葉は厳密にはどういう意味なんだろう?」と考えています。その意識は「論理的思考力」に直結するのです。「だいたいこんな感じ」と内容をふわっと理解するだけでは、論理的思考力は伸びません。論理的思考力を育むには「定義」という観点が重要なのです。また、国語のテストなどで「◯◯をわかりやすく説明してください」という問題がありますよね。「説明する」とは、簡単にいえば「別の言葉に置き換える」ことを意味します。辞書はそれこそ置き換え作業されたものが記されているものです。それに触れることで、言葉の置き換え作業や、他人にものごとを説明する能力が伸びる。辞書は、「言葉の置き換えの練習帳」なのです。地図から「神の視点」を得る。図鑑は「何度も読み解けるメディア」【地図】「地図」が伸ばしてくれるのは「客観的思考力」です。地図は俯瞰視点で描かれています。本来であれば、地上にいる人間には見られない世界(視点)ですよね。いわば、上から見下ろす「神の視点」を得ることで、第三者的な視点、客観的思考力が育まれます。また、地図に触れることは縮尺と距離を体感することでもある。いま自分がいて広く感じられるこの場所も、地図上で見ればほんの小さなものだと知る。算数に例えるなら、「割合と比」の勉強をしていることに他なりませんよね。【図鑑】図鑑の効果は、テレビなど映像メディアと比較するとわかりやすいかもしれませんね。映像にはたくさんの情報が含まれています。それをすべて文字情報に置き換えると膨大な量になってしまう。だから、図鑑は「いかに情報を削ぎ落とすか」という観点でつくられています。なぜなら、重要な要素をはっきりさせるためです。図鑑の多くが写真ではなくイラストを使っていることも同じ理由です。単純化し、注目するべきポイントを浮かび上がらせているわけです。その特徴によって、図鑑は「何度も読み解けるメディア」になっています。膨大な情報を含む映像を見た場合、「なんとなく知った気」になって終わり。一方で図鑑の場合は、あるときは掲載されている動物の生息地が気になって地球儀で調べたり、あるときは異なる動物の共通点に気づいたりと、自分の気づきによって見るポイントが変わるのです。それこそ、「自ら学ぶ」という姿勢を育むものといえるでしょう。親自身が子どもにとっての「第一の環境」このように、「辞書」「地図」「図鑑」は、子どものさまざまな力を伸ばすために有用なツールです。とはいえ、「今日から図鑑を見なさい」と子どもに押しつけたところで、親御さんの思惑どおりに興味を示すということは少ないでしょう。よく引き合いに出される話ですが、水を飲みたいと思っていない子ヤギを水場に引きずって行ったところで水を飲むことはありません。でも、喉が渇いたときに水場を教えてあげれば自分で勝手に水を飲みに行く。その原理は子どもの勉強にも通じます。子どもは「自分で勝手に育つように、かしこくなるようにできている」のです。親がやるべきことは、子どもが「水が飲みたい」と思ったときのために「水」を用意しておくことではないでしょうか。辞書や地図、図鑑を用意しておくのです。それらを置くのは勉強部屋とは限りません。リビングでもダイニングでも、子どもが手に取りやすい場所に置いておきましょう。子どもに無理やり読ませたり、「一緒に読もう」と頑張ったりする必要はまったくありません。辞書や地図、図鑑に「子どもがいかに自然に出会うか」という発想で、子どもにとっての家庭環境をつくることが大切です。子どもが日常生活のなかでふとなにか気になることに遭遇した。家に辞書や地図、図鑑が身近にあるから使ってみた――そういうシチュエーションをなるべく多く発生させれば、子どもの「自ら学ぶ力」を育てることにつながるのです。そして、「三種の神器」を置くこと以外に、もうひとつ大切なことがあります。それは、「親自身が第一の環境」だという認識を持つことです。親がいつも楽しそうにしているだけで、子どもがかしこくなる可能性は高まるのです。親がいつも楽しそうにしていて家族の仲が良ければ、子どもは人としゃべったり、人の話を聞いたりすることが楽しいことだと思うようになります。勉強でも仕事でも、多くの人の話を素直に聞ける人間が伸びていきますよね。人と心地良くつながれることは、それだけで能力を発揮する土台となるのです。そして、親が楽しく毎日を過ごすには、親が自分自身を好きになること。それが、子どもをかしこくする家庭環境づくりのスタートです。『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』小川大介 著/すばる舎(2016)■ 中学受験のプロ・小川大介さん インタビュー一覧第1回:“国語嫌い”になりやすい子どものタイプと、親がやりがちな間違った教育法第2回:“リビング学習でかしこくなる”は勘違い。東大生がリビングで勉強する本当の理由第3回:子どもは勝手にかしこく育つ。“自ら学ぶ力”を伸ばす辞書・地図・図鑑の活用法第4回:“後伸び”する子としない子の違い。成長後に学力が急伸する幼少期の過ごし方(※近日公開)【プロフィール】小川大介(おがわ・だいすけ)1973年生まれ、大阪府出身。ウェブサイト「中学受験情報局『かしこい塾の使い方』」主任相談員。プロ家庭教師集団「名門指導会」副代表。京都大学法学部卒業。関西最大手の進学塾の看板講師として活躍後、個別指導教室「SS-1」を創設。教科指導スキルに、声かけメソッド、逆算思考、習慣化指導を組み合わせ、短期間での成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。家庭をひとつのチームと見立てておこなう独自のカウンセリングは実施数5000回を超え、高い精度でクライアントを成功へ導いている。受験学習はもとより、幼年期からの子どもの能力の伸ばし方、親子関係の築き方といった子ども教育分野でも定評がある。著書に『1日3分! 頭がよくなる子どもとの遊びかた』(大和書房)、『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』(すばる舎)、『親子で学べる! カピバラさんドリル 小学社会47都道府県』(かんき出版)など多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月06日まるで学校や塾の先生のように、子どもに勉強を教えている教育熱心な親御さんもいるかもしれません。でも、それは家庭教育で本当に重要なことではないと指摘するのは、ウェブサイト「中学受験情報局『かしこい塾の使い方』」主任相談員の小川大介さん。では、その「家庭環境で本当に重要なこと」とはどんなものでしょうか。小川さんは「子どもの『成長したい』という意欲をつくること」、そして「子どもが心地良く勉強できる環境づくり」だと語ります。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)学校、地域、家庭——3つの教育が人間を育てる家庭環境の大切さをお伝えする前に、大前提として教育には3つの種類があり、それぞれに役割があることを知っておいてほしいと思います。その3つとは、「学校教育」「地域教育」「家庭教育」です。まずは「学校教育」の意義についてです。学校教育がなかった古い時代の教育というのは、地域と家庭だけでおこなわれていました。でも、それでは当然のことながら得られる知識が限られてしまいます。学校とは、まとまった体系的な知識を学び、課題に取り組める場です。しかも、親や地域の大人とはちがう専門性を持つ教師が、子どもの成長の度合いに合わせて適切な課題を与えてくれる。そういう意味で、いうまでもなく学校教育は重要なものです。「地域教育」は、多様性を知るために重要なものです。地域の祭りや習い事の教室で、年代も価値観も異なる多くの人たちと会う。そうして子どもは自分の世界を広げていきます。学校にも多くの人間が集まりますが、学校は一定の体系のもとに成り立っていて、その教育は基本的に一方通行。本当の意味での多様性は学校教育ではなく、地域教育で知るものなのです。そして、親御さんが大きな役割を果たすのが「家庭教育」。家庭教育のもっとも重要な要素は、「子どもに安心感と自信を与える」こと。家族とのふれあいのなかで子どもは自分の存在を認められ、「自分は生きていていいんだ」と安心し、自信を持つ。それが「成長したい」という意欲、成長の土台をつくるのです。家庭教育のもうひとつの重要な要素として、「誰よりも親が子どもの近くにいる存在」であることが挙げられます。子どもは自ら学び行動する力を持っていますが、その力を発揮するにはあることが必要です。それは、親による「フィードバック」です。学校で先生に褒められた話をしたら、お父さんがよろこんでくれた。一生懸命にスポーツの練習をしていたら、見学に来ていたお母さんが微笑みながら見ていてくれた。自分の言葉や行動に、いちばん近くで見てくれている親がなにかを返してくれるから、子どもはさらに動こうとする。もちろん、「もっと頑張ろう!」と思う。それが子どもの原動力になるのです。家庭「教育」というと、どうしても学校教育のような勉強を家でもさせることのように思ってしまう親御さんもいますよね。でも、家庭教育とはそういうものではない。子どものなかに「勉強が楽しい」「できるようになったらうれしい」というマインドを育ててあげることがなによりも重要なのです。勉強部屋にこだわらずに集中できる空間を選ぶそういうマインドを育てることは大切ですが、一方で、「家庭」という場が勉強に適した環境であることも確かです。「リビング学習」という言葉を知っている人なら、「東大生の多くがリビングで勉強していた」という話も耳にしたことがあるでしょう。ただ、「東大生にはリビング学習経験者が多かったから、リビング学習をすればかしこくなる」と勘違いしている人も多いようです。しかし、残念ながらリビングで勉強をするだけで東大に行けるほど学力が上がるわけではありません。東大に受かるような勉強ができる子どもは、「自分がいつどんなやり方で勉強をすれば効率的か、楽なのか」を感覚としてつかんでいます。たとえば、「数学をやるときには時計の音すら聞こえない静かなところでやりたい」とか、「生物の勉強は眠くなるから喫茶店のほうがいい」といった具合に自己分析ができている場合が多いようです。ノートなど筆記用具の使い方から勉強のメニューのつくり方、タイムテーブル、そして場所の選び方まで、自分なりのスタイルをきっちりつかんでいるのです。上記のように自己分析できる子たちですから、勉強をするからといって勉強部屋だけにこもるような方法を彼らは選びません。たとえば、「リラックスして柔軟にものを考えたいときは、家族の会話や生活音がちょっと聞こえるシチュエーションでやりたい」というふうに考えることもあるのです。勉強部屋だけにこだわらず、さまざまな勉強をするにあたってそれぞれベストの空間をチョイスした結果、気がついたらリビングの滞在時間が長くなっていた――それだけのことなのです。ただ、頭がいい子どもはリビング学習の比率が比較的高くなることは、じつは理にかなっています。なぜなら、どういうときに人間が集中しやすいかというと、「リラックスできる空間にいて、かつ適度な緊張感と安心感がある」ときだからです。それは、まさにリビングです。一方、自分ひとりの空間である勉強部屋は、あくまでも自分だけの世界ですから緊張感はなく、集中力も下がりやすい場所だと考えることができる。もちろん、これは大学受験を控えた受験生に限ったことではありません。むしろ自分で環境をつくったり選んだりすることが難しい小さな子どもがいる親御さんこそ、きちんと知っておくべきことではないでしょうか。勉強だからと勉強部屋に缶詰めにしても、勉強の内容によっては逆に子どもがまったく集中できないこともあるのです。「子どもがいまやろうとしている内容を、もっとも心地良く集中してやれる場所はどこか」と子どもと一緒に考え、ベストな環境を選んであげてください。親は、世界中の誰よりも子どものそばにいて、好き嫌いをいちばんわかってあげられる存在なのですから。『親も子もハッピーになる最強の子育て』小川大介 著/ウェッジ(2018)■ 中学受験のプロ・小川大介さん インタビュー一覧第1回:“国語嫌い”になりやすい子どものタイプと、親がやりがちな間違った教育法第2回:“リビング学習でかしこくなる”は勘違い。東大生がリビングで勉強する本当の理由第3回:子どもは勝手にかしこく育つ。“自ら学ぶ力”を伸ばす辞書・地図・図鑑の活用法(※近日公開)第4回:“後伸び”する子としない子の違い。成長後に学力が急伸する幼少期の過ごし方(※近日公開)【プロフィール】小川大介(おがわ・だいすけ)1973年生まれ、大阪府出身。ウェブサイト「中学受験情報局『かしこい塾の使い方』」主任相談員。プロ家庭教師集団「名門指導会」副代表。京都大学法学部卒業。関西最大手の進学塾の看板講師として活躍後、個別指導教室「SS-1」を創設。教科指導スキルに、声かけメソッド、逆算思考、習慣化指導を組み合わせ、短期間での成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。家庭をひとつのチームと見立てておこなう独自のカウンセリングは実施数5000回を超え、高い精度でクライアントを成功へ導いている。受験学習はもとより、幼年期からの子どもの能力の伸ばし方、親子関係の築き方といった子ども教育分野でも定評がある。著書に『1日3分! 頭がよくなる子どもとの遊びかた』(大和書房)、『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』(すばる舎)、『親子で学べる! カピバラさんドリル 小学社会47都道府県』(かんき出版)など多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月05日運動量の多い“スポーツジュニア”を支える親御さんにむけ、「栄養満点・簡単に作れる・美味しい」料理の作り方をご紹介する「ジュニアのためのスポーツごはん」。第2回のテーマは「一品料理をフル活用!」。ご飯も肉も野菜もワンプレートにまとめてしまえば、品数を多く作らなくても栄養バランス◎なメニューができあがります。そして何より、工程がシンプルでスピーディに作れるのが魅力!栄養もボリュームも満点のスポーツごはんは、意外と簡単に作れるのです。卵を使って栄養バッチリ!『野菜たっぷりオムライス』ケチャップライスは、炊飯器に材料を入れてスイッチオンするだけ!具をゴロゴロ入れて、栄養満点に炊きあげましょう。■ 材料(2人分)米……1合鶏もも肉(1.5cm角)……1/2枚(150g)ブロッコリー(小房に分ける)……1/4個玉ねぎ(1cm角)……1/2個にんじん(1cm角)……1/4本ピーマン(1cm角)……1個(A)ケチャップ……大さじ3(A)塩、こしょう……各少々卵……4個(B)牛乳……大さじ1 1/2(B)マヨネーズ……大さじ1/2バター……大さじ3ケチャップ……適量■ 作り方(1)米は洗って炊飯釜に入れ、目盛り通りに水(分量外)を加え、大さじ4の水を取り除く。(2)ブロッコリーは花と軸に切り分ける。花は玉ねぎと同じくらいの大きさの房に切り分け、軸は1cm角に切る。(3)(1)に(A)を加えて軽く混ぜ、鶏肉、玉ねぎ、にんじん、ブロッコリーの軸を加え、炊飯する。炊きあがったら、ブロッコリーの花、ピーマン、バター大さじ1を加えて混ぜる。(4)ボウルに卵を割り入れて溶きほぐし、(B)を加えて混ぜる。(5)フライパンにバター大さじ2を溶かし、(4)を流し入れてスクランブルエッグを作る。(6)(3)を器に盛り、(5)を半量ずつのせ、ケチャップをかける。【栄養士より:ここがポイント!】・ご飯はパワフルに動くための大切なエネルギー源。1回の食事で茶碗に大盛り1杯以上食べるのが目標です。オムライスなら大盛りご飯もモリモリ食べられますよ。・牛乳とキウイフルーツを添えてあげるとさらに◎。スポーツジュニアに必須のたんぱく質&カルシウムアップがかないます。キウイフルーツは、コンディションをととのえるビタミンCが豊富なおすすめの果物です。***ご飯と卵が主役で、野菜が不足しがちなイメージのあるオムライス。ですが、ご飯と一緒に野菜も肉も炊きこんでしまえばラクに栄養強化できます。お子さんが大好きなオムライスを、パワーチャージメニューに変身させちゃいましょう!■ 『かんたん! おいしい!ジュニアのためのスポーツごはん栄養満点パワーチャージレシピ』株式会社 明治(監修)/2017年、金の星社■ この書籍の監修者インタビューを掲載しています試合当日の朝食には「炭水化物をたっぷり」。スポーツ栄養学にもとづいたメニューとは?不足しがちな「たんぱく質」と「カルシウム」、朝ごはんに取り入れるコツ
2019年03月05日子どもが幼少期のうちからつけておきたいのが、「伝える力」です。相手に自分の意思をしっかりと伝えることができれば、良好な人間関係を築いたり、精神的に安定したりすることにつながるでしょう。そのためには、親が子どもとの関わり方やコミュニケーションを工夫する必要があります。今回は、伝える力の重要性や、子どもに伝える力を身につけさせるためのコツについて紹介していきましょう。「あれ食べたい」が友だちに伝わらない理由日常生活の中では、自分の意思を相手に伝える場面がたくさんあります。例えば、食べたいものや欲しいものを親にリクエストするとき、友だちと遊ぶ約束をしたいとき、先生に忘れ物をしたことを報告するとき。自分の意思を伝える相手が親や祖父母などの身近な存在であれば、「この前テレビで見た、あれが食べたい!」といった断片的な伝え方をしても、ある程度は真意を汲み取ってもらえることも多いでしょう。しかし、友だちや先生に同じような伝え方をしても、相手の理解を得られない可能性が高いのではないでしょうか。もし子どもが友だちに「明日、公園で遊ぼうね!」と伝えたとしても、その友だちは「何時に、どの公園で遊ぶんだろう?」と不明点が残り、結局遊べなかったり、親同士で改めて連絡を取ったりすることになります。自分の意思を伝えるためには、相手が必要とする情報が何なのか、どんな言い方をすれば正確に伝わるのかを理解することが前提にあるのです。気持ちをうまく伝えられないから「相手を叩く」伝える力が乏しい場合、自分の意思がうまく伝わらないことにイライラしたり、イライラが暴力などに変わったりすることもあります。小さな子どもが自分のおもちゃを他の子どもにとられたとき、相手を叩いたりしてしまったり噛んでしまったりすることがあります。これは「とらないでほしい」という気持ちをうまく伝えられないから。伝える力があれば、「とらないでほしい」と言葉にできるため、こうした状況にも落ち着いて対処することができるようになります。また、伝える力があれば、非行などのネガティブな誘いがあっても、しっかり断ることができます。大人の中にも、断るという行為が苦手であることから不本意な状況に陥る人が少なからずいますよね。そのような人には伝える力が十分に備わっていないことが多いのです。伝える力は、トラブル回避に役立ち、ひいては自分自身を守ることにもつながります。伝える力を養うためのコツ子どもの伝える力は、家庭内でのコミュニケーションを工夫して伸ばすことが可能です。子どもが自分の意見をしっかり伝えられるように、また余計なトラブルを避けるためにも、以下の点を意識してみましょう。■子どもの感情を言葉にしてあげる子どもは語彙力が乏しいため、自分の気持ちをうまく言葉にできないことも多いです。そんなときは、子どもの様子や話の内容から「それは〇〇っていう気持ちだと思うよ」と感情を言葉にしてあげましょう。他の子どもにおもちゃをとられてイライラしているようだったら「おもちゃをとられて『悔しい』って思ったんだよね」などと子どもの気持ちを汲み取ってあげるのです。そうすることで、子どもは「悔しい」という感情がどんなものなのかを理解し、言葉として伝えられるようになっていきます。■「そのとき、どう思ったの?」と聞く何かを伝えたいときには、まず「自分がどう思っているか」がベースになります。そのため、子どもに自分がどう思っているかを意識させる習慣を作ることが大切です。「どう思ったの?」と聞いても、最初は「嫌だった」「楽しかった」といった簡単な答えしか返ってこないかもしれません。しかし、感情を言葉にすることに慣れていけば、「くやしかった」「もっと頑張りたいと思った」などの表現ができるようになっていきます。また、自分の意思と向き合う習慣を付けることは感情のコントロールにもつながります。■5W1Hに沿って質問をする5W1Hとは、Who(誰が)When(いつ)、Where(どこで)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どのように)を表す言葉です。何かを伝えたいときにこれらの項目を意識すると、伝えたいことがより明確になります。子どもは断片的な情報のみで何かを伝えようとしたときは、これらに沿った質問をして伝えたいことの全体像を共有するようにしましょう。また、親が子どもに何かを伝えるときも、「明日の朝、公園に砂遊びをしに行こう。ちょっと遠い公園だから自転車で行こうか」など、5W1Hに則って話すようにすれば、徐々に子どもが真似するようになることも期待できます。■「断ること」「断られること」はネガティブなことではないと伝える伝える力が弱い人の特徴として「断ること・断られることを恐れてしまう」というものがあります。その場合、何かを伝える前に「こんなことを言って断られたらどうしよう、嫌われたらどうしよう」「断って相手を傷つけたらどうしよう」と不安になってしまい、最終的に自分の本意ではない状況に巻き込まれたり、我慢を強いられたりします。そうならないためには、断ることや断られることに対して、親自身がポジティブに捉えることが大切です。例えば、子どもに何かを断られた際には「自分の意見を言ってくれてありがとう」と言い、子どもの頼みを断る際にはその理由をしっかりと説明しつつ、「来週ならできるよ!」などの具体的な妥協案を出しましょう。***子どもの伝える力を養うことができれば、友だち付き合いがうまくいくようになるだけでなく、親子のコミュニケーションも取りやすくなります。将来、子どもが社会に出た後にも必ず必要となる力なので、積極的に伸ばしていきましょう。文/田口るい(参考)ベネッセ教育情報サイト|自分の気持ちを相手に伝える力を育てよう[ソーシャルスキル]東洋経済オンライン|家庭内の会話で、国語力を上げる2つの方法学研キッズネット|子どもの伝える力を育てる2つのチャレンジNHKエデュケーショナルすくコム|子どもの気持ちを知るヒント「思いを『言葉』で伝えさせる」ecomam|人に頼むことは、相手への信頼を伝えること
2019年03月04日「これからの子どもには『考える力』が必要だ」という言葉をここ数年よく目にするようになりました。しかし、その「考える力」とはどういうものなのでしょうか。お話を聞いたのは、ウェブサイト「中学受験情報局『かしこい塾の使い方』」主任相談員の小川大介さん。小川さんによると、「『考える力』とは明白なる『技術』」なのだとか。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)「考える」と「悩む」はまったく別のもの「考える力」とひとことでいっても、人によって定義はばらばらです。いま、大学入試改革に伴っていわれている「考える力」とは、「自分なりの価値観を明確にして社会との関係づくりをしていける力」。いわば、自己決定力のことです。わたし個人としては、これを「考える力」と呼ぶのはちがうように感じています。では、わたしが定義する「考える力」とはなにか――。それは、事象を正確にとらえて分析し、課題を設定する。そして、情報など自分が使えるあらゆるものを組み合わせることでなんらかの変化を生み出していく。その一連のプロセスを進めていける力こそが、「考える力」なのだと思います。はっきりお伝えしておきたいのは、「考える」と「悩む」はまったく別のものだということ。なにかを目の前にして「うーん」とうなって止まってしまう。これは、「考える」ではなく、ただ悩んで苦しんでいるだけです。なぜそこで悩んで苦しむかというと、先に述べた一連のプロセスを経ていないからです。なにが課題なのかを見つけようとしないままに、「答えらしきもの」が浮かんでくることを追い求めているだけ。だから、もやもやとして苦しいわけです。ものごとを明確にすることには、いまなにが起きているのかを見る、情報を集めるというステップ、あるいは、時系列に並べ直す、重要度を整理するといったファクターがある。そして、そういうものを割りつけていきながら、ものごとを徐々に分解しまとめていく必要があります。つまり、「考える」とは明白なる「技術」なのです。親子の会話で子どもの「考える力」を伸ばすでは、どのようにその技術を身につけさせればいいのでしょうか。ここでは、家庭での親子の会話でできることを紹介します。たとえば、ヨーロッパの難民問題のニュースを親子で見たとします。子どもに「これってなに?どういうこと?」と聞かれた。そこでただ教えてしまっては、子どもは考えるプロセスを身につけることはできません。かといって、いきなり「どう思う?」と聞いても、まだ考えていないのですから、自分なりの答えは返ってこないでしょう。そうではなく、順を追って問いかけるのです。まずは「難民って知ってる?」と問いかけ、知らないのなら一緒に調べてみる。そして、「なにが起きているのか」という現状を一緒に確認します。難民にはどんな事情があり、なぜヨーロッパの人たちは怒っているのか、ニュースのコメンテーターはどう解説したかといったことです。次に、「もし自分が難民の側だったらどう思う?」「逆にヨーロッパの人だったら?」と、立ち場を変えて想像させてみます。こうしてようやく、「じゃ、あなたはどう思う?」「どうしたらいい?」という問いかけの段階に至ることができ、「もっとよく話し合ったらいい」といった子どもなりの答えにたどり着かせることができるわけです。もしかしたら、結局「わからない」という答えが返ってくるかもしれません。でも、そこに至るまでの問いかけによって、考えることに必要なプロセスを経ているのですから、子どもにとっては「考えるトレーニング」になっているのです。一様に国語の勉強を押しつけるのはよくないいまの例で、まず難民という言葉を調べるとお伝えしました。考えるという行為は言葉を使ってするものですから、考えるためには考えるべきことに関連する言葉の意味を知っている必要があります。つまり、「考える力」を伸ばすためには、国語力が重要なキーワードとなります。とはいえ、幼い子どもに一様に国語の勉強を押しつけるのは間違いです。というのも、子どものタイプによって言葉にあまり関心を示さない、「言葉に反応したくない」という時期があるからです。それは、一般的に小学校1~2年生の頃に表れます。比較的女の子に多いのが、いろいろな言葉を覚えることが好きなタイプ。一方で男の子に多いのは、「同じ内容を表せるならどの言葉でもいい」と考えるタイプです。前者はものごとが定まっていくことですっきりしたいタイプで、言葉を知ってものごとがはっきり見えてくることで安心できるということ。すると、自然にコミュニケーション力も上がるので、その子どもにとっては単語力の重要性がさらに増していくことになります。後者は、いわば「算数タイプ」。言葉にあまり反応しない代わりに数字に強い、算数が得意な傾向があります。数字というのは抽象化されたものですよね。みかんが3個でも本が3冊でも、同じ3です。算数が得意な子どもは、ものごとをまとめていく抽象化能力に長けているのです。そして同時に、表現の広がりに対して関心を示さないということでもあります。さらに、「言葉も数字もまどろっこしい、直接見たい」「わからないことはとりあえずやってみたい」と考える、「体感タイプ」といえるタイプの子どももいます。算数タイプ、体感タイプの子どもに無理やり国語の勉強を押しつけると、確実に国語が嫌いになってしまいます。もちろん、コミュニケーション力はどんなタイプの子どもにも必要なものです。「言葉に反応したくない時期」を過ぎる9歳くらいになれば、タイプを問わずコミュニケーションに必要な国語力を伸ばしてあげないといけません。とはいえ、大前提としては、それぞれのタイプや成長段階を踏まえてその教育をする必要があります。まず親が国語力の4要素を知るでは、子どもの国語力をアップさせるためにはどうすればいいのでしょうか。やみくもに問題集をこなせばいいわけではないし、たくさんの本をただ読めばいいわけでもありません。重要なのは、国語力というものがどのように成り立っているかを親が知ることです。国語力は4つの要素にわけられます。「語彙力」がベースにあり、その上に「読む力」「解く力」「答える力」があるという構成です。ひとつのテーマを与えられたときに、それに関連する情報をどれだけ頭のなかに広げられるか。それが「語彙力」。「読む力」は「内容を理解し要約する力」。「解く力」は「情報を分析する力」です。随筆や小説を扱う場合なら、登場人物の立ち場や心情を理解する「共感する力」も「解く力」に含まれるでしょう。そして、「答える力」はいわゆる「表現力」です。「答える力」は、2段階にわけられます。自分のなかにあるものをなんらかの言葉にいったん置く第1段階。表現する相手を想定してさらに言葉を置き換えていくという第2段階です。国語力にはこういう要素があることをまず親御さんが理解することが大切です。というのも、国語が苦手な子どもがどこでつまずいているのかを知らなければ対処できないからです。そもそも言葉を知らないのなら、意味を調べることを教えないとならない。言葉を知っていて読むこともできているのにテストの点数が悪いのなら、「解く力」が足りないと考え、どのように問題をとらえたか、どう思ってその答えにしたのかを子どもに聞いて、「解く力」をつけてあげなければなりません。どの段階でつまずいていて、その原因がどこにあるのか。子どもと一緒に分析して対処してほしいと思います。『親も子もハッピーになる最強の子育て』小川大介 著/ウェッジ(2018)■ 中学受験のプロ・小川大介さん インタビュー一覧第1回:“国語嫌い”になりやすい子どものタイプと、親がやりがちな間違った教育法第2回:“リビング学習でかしこくなる”は勘違い。東大生がリビングで勉強する本当の理由(※近日公開)第3回:子どもは勝手にかしこく育つ。“自ら学ぶ力”を伸ばす辞書・地図・図鑑の活用法(※近日公開)第4回:“後伸び”する子としない子の違い。成長後に学力が急伸する幼少期の過ごし方(※近日公開)【プロフィール】小川大介(おがわ・だいすけ)1973年生まれ、大阪府出身。ウェブサイト「中学受験情報局『かしこい塾の使い方』」主任相談員。プロ家庭教師集団「名門指導会」副代表。京都大学法学部卒業。関西最大手の進学塾の看板講師として活躍後、個別指導教室「SS-1」を創設。教科指導スキルに、声かけメソッド、逆算思考、習慣化指導を組み合わせ、短期間での成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。家庭をひとつのチームと見立てておこなう独自のカウンセリングは実施数5000回を超え、高い精度でクライアントを成功へ導いている。受験学習はもとより、幼年期からの子どもの能力の伸ばし方、親子関係の築き方といった子ども教育分野でも定評がある。著書に『1日3分! 頭がよくなる子どもとの遊びかた』(大和書房)、『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』(すばる舎)、『親子で学べる! カピバラさんドリル 小学社会47都道府県』(かんき出版)など多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月04日3〜5歳くらいは「なぜなぜ期」とも言われるように、子ども自身に疑問が溢れ出てくる時期なのだそう。親は「またか……」と参ってしまいますが、この質問は子どもが「順調に知能が発達している証拠」なのです。さて、“答えがあるようでない質問”にはどう答えてあげればいいのでしょう?■参照コラム記事はこちら↓「なぜ?」は学びの第一歩!子どもの知的探究心を伸ばす3つの答え方。
2019年03月03日「男女平等」という考え方が社会に広く浸透しているいま、学校教育現場も例外ではありません。男女で明白なちがいがある体を使うスポーツなどはともかく、勉強の場合であれば男女平等であることはごく自然なことでしょう。でも、V-net教育相談所を主宰し、さまざまな独自教育メソッドを開発している松永暢史さんは、「子どもの学習意欲をかき立てて学力を伸ばすための手法は、男の子と女の子それぞれでちがう」と語ります。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)女の子が潜在的に持つ「忍耐力」に期待する男の子を男の子らしく育てるには「好奇心」、女の子を女の子らしく育てるには「感受性」を伸ばしてあげることが大切だとわたしはとらえています。(インタビュー第3回参照)。でも、できれば子どもには勉強もできるようになってほしいですよね。男女それぞれに特質があるのと同じように、学力を伸ばしてあげるためのコツにも男女のちがいがあります。女の子にはまず「駄目なことは駄目」だと教える必要があります。なぜなら、「わがまま」に育てないためです。女の子の場合、どうしても「かわいい、かわいい」と育ててしまいがちです。しかも、そのかわいさゆえ、本人が要求しないうちからものを与えてしまうこともあります。そうやって甘やかしていれば、あたりまえですがわがままに育ってしまう。ただ、わたしが長く教育に携わるあいだに見てきた限り、残念ながら「わがままでかしこい女の子」はめったにいません。というのも、勉強というものは我慢してやらなければならない側面が強いものだからです。親がわがままに育てた結果、忍耐力が育たず勉強嫌いになってしまう女の子が多いのです。でも、本来なら女の子は男の子以上に忍耐力を備えているものなのです。大人になれば、男には到底耐えられないであろう出産を経験することが多いわけですし、親として負担の大きい子育ての中心を担うのですからね。甘やかしたくなるところを親が我慢し、女の子が潜在的に持っている忍耐力を発揮させて辛抱強く勉強をさせる。そういう工夫が女の子に対しては必要だと考えています。男の子は「面白い!」と思えば一気に学習意欲が増す一方で男の子の場合は、基本的にはあまり勉強に向きません。理由は簡単で、女の子と比較すると忍耐力が足りませんから(笑)。しかし一方で、「面白い!」と思った場合には、女の子よりもよっぽど熱心に勉強をするようになります。これは、好奇心に従って行動したがるという男の子の特質によるものです。学者に男性が多いのも、そういう側面が影響しているのかもしれません。面白いと思う対象があれば、寝る間を惜しんで研究にいそしむのが男性というものです。であれば、男の子には「面白い!」と思うように勉強させる工夫が必要になります。そもそも、子どもが「勉強したい」と思うときにはどんな気持ちが働いているのでしょうか。それはシンプルに、「頭が良くなりたい」という気持ちです。「頭が良くなっている」という実感があれば、「面白い!」と思い、一種のたかぶりを感じるわけです。これはたとえば、跳び箱に挑戦し徐々に高い段を跳べるようになるときと同じ原理です。「5段を飛べた」というわかりやすい実感によってたかぶりを感じ、「今度は6段に挑戦しよう」というチャレンジ精神が生まれるのです。男の子に勉強させたければ、跳び箱のようにできるだけステップアップをわかりやすくさせる工夫が必要です。これについては男女のちがいはありませんが、「面白い!」と感じることで一気に学習意欲が高まる男の子の場合、より強く意識しておくべきことでしょう。「だまされない」ために言語能力を高めるまた、子どもの性別に関係なく高めるべき「だまされない」力についても、わたしなりの考え方をお伝えしておきます。私たちが最大限に楽しい人生を歩むためには「武装」が必要です。この場合の武装とは、攻撃手段ではありません。自分を守る、より具体的にいえば「だまされないようにする」ための手段を意味します。「だまされる」とは、相手のいっていることを正確に理解せず、あるいは相手の言葉に対する判断をせず、相手の思い通りにされてしまうことです。この世のなかは、人をだまして儲けようとする人間がいくらでもいる社会であることは明らかです。わたしたちが接する情報の多くも、誰かが利益を上げるために流しているものが少なくありません。そして、そうしたものとのやり取りは最終的に言語でなされます。契約書の内容をきちんと把握できない人間は、だまされてしまうこともあるでしょう。ですから、「だまされない」ためには言語能力を高める必要があるのです。インタビュー第2回でもお伝えしたとおり、子どもの言語能力を高めるには読み聞かせと音読が有効。とりわけ『徒然草』などの古典作品は、言語能力を高めるのに最適です。ただ、古典だととっつきにくいと思われる方には、わたしの著書『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』(すばる舎)で紹介している「読むだけで頭が良くなる厳選本145冊」をおすすめしています。戦後の文学作品や絵本の中にも、正しい日本語の系譜を受け継いでいる作品は数多くあるのです。言語能力はまぎれもなく、あらゆる勉強に必要な力。言語能力を高めることは、より良い人生を歩むためだけでなく学力を高めるためにも、必要なことなのです。子どもにとって体験が伴わない知識は意味がない最後に、特に男の子を育てるうえで大切な「体験」の重要性についても触れておきます。大人になったときのことを思えば、男性は「なにか」ができないといけません。そのためには、子どもの頃から「なにか」を得るための経験をたくさんしておく必要がある。男の子の好奇心が反応して行動をしようとしたときには、できるだけその気持ちをかなえてあげるべきです。その役割を担うのはやはり同じ男性である父親でしょう。母親は少しでも「危ない」と思ったら子どもの行動を止めてしまいますからね。そして、母親とは別に子どもの行動を妨げるものが「スイッチとクリック」の存在です。いまの子どものまわりにはゲーム機やパソコンなどさまざまな機械があふれています。スイッチがある機械で遊んでしまうと、本来必要である好奇心に従った行動は起きませんし、現実世界での「体験」が減ってしまいます。成長途中にある子どもにどれだけ知識を与えても、それ単体ではほとんど役に立ちません。体験を伴って得た知識でなければ、後で引き出して使うことができないのです。男の子を「なにか」ができる男性に育てるため、なるべく多くの体験をさせてあげてください。その体験は、現実世界で起こり得ることならどんなことでもいいのです。ただ、都会の高層マンションのなかに閉じこもっていては、好奇心はそうそう芽生えませんし、体験をなかなか得られないということになるでしょう。そういう環境なら、たとえば動物を飼ったり、鉢植えで植物を育てたりするということでもいい。「家のなかでもできること」をなるべく増やして、男の子の好奇心が働くような環境をつくってあげるよう、親御さんには心がけてほしいですね。『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』松永暢史 著/すばる舎(2015)■ 教育環境設定コンサルタント・松永暢史さん インタビュー一覧第1回:“AIに勝つ力”は学校教育では育たない。親にしか伸ばせない子どもの「7つの力」第2回:国語力は“〇〇の音読”で爆発的に伸びる。読むだけで子どもの頭がよくなる名作本の選び方第3回:思考と行動、男女の違いを徹底解説。“男の子らしさ”“女の子らしさ”が伸びる教育方針第4回:学力を伸ばすコツは男女で違う!子どもの性別で見る学習傾向と、勉強法のひと工夫【プロフィール】松永暢史(まつなが・のぶふみ)1957年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学文学部哲学科卒業。V-net教育相談事務所主宰。教育環境設定コンサルタント、学習アドバイザー、能力開発椅子トラクター。「サイコロ学習法」「ダイアローグ法」「抽象構成作文法」など多数の教育メソッドを開発。子どもの個性に合わせてどのような教育をすることが正しいかを導き出し、学習計画、教育機関利用法、進学計画等を提案する。個人授業では国語を担当。『頭のいい小学生が解いている 算数脳がグンと伸びるパズル』(中経出版)、『落ち着かない 話を聞けない マイペースな 小学生男子の育て方』(すばる舎)、『「ズバ抜けた問題児」の伸ばし方』(主婦の友社)、『新 男の子を伸ばす母親は、ここが違う!』(扶桑社)など、教育関連の著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月03日お子さんは毎日、テレビを見ていますか?テレビ視聴は、年齢を問わず、家族みんなが楽しめるものです。しかし親としては、「うちの子どもはテレビを見すぎなのではないか?」「テレビ番組の内容によっては悪影響があったりするのではないか」などと心配してしまうこともあるでしょう。でも、テレビ視聴は子どもにとってプラスの要素もたくさんあるようです。そこで今回は、テレビ視聴と学びの関係を解説しながら、ためになる番組をいくつか紹介します。テレビ視聴で興味を持つきっかけにする!昔から学校現場でも教育番組を活用してきたように、テレビというメディアは、実は教育的な側面を持っています。また近年では電子黒板が導入されたり、パソコンを活用して教材として映像を使用することも多くなっていますね。映像を使うメリットは、言葉や画像では伝えづらいことでも、現代の子どもたちの頭にスッと入り、より学習効果も高いことが挙げられます。学校でも活用されているような教育番組であれば、安心して視聴させているご家庭も多いことでしょう。しかし、エンターテイメント性の高い番組はどうでしょうか?もしかしたら、お子さんが率先して見たがるのは、むしろこのような番組かもしれませんね。であれば、番組視聴を知識の入り口やきっかけにしてみるのはどうでしょうか?エンターテインメント性の高い番組の中にも、学習につなげられるものがあります。テレビ番組は、視聴者に興味や関心を持たせることがとても得意です。例えば、旅行番組を見て「行ってみたい」と思ったことは誰にでもあるでしょうし、ちょっとした雑学の紹介などでも楽しんで知識を得られる工夫が凝らされています。(引用元:ベネッセ 教育情報サイト|テレビ番組は学習の素材の宝庫だった!学習への意欲を高める活用方法とは)番組を見て終わりではなく、そこから学習に広げられるように、親がちょっとした働きかけをするのがいいようです。たとえば、クイズ番組であれば、親子でどちらが先に正解するか競い合ってみたり、旅行番組に出てきた外国の場所を地球儀で調べてみたり、子どもが興味を示した場所に実際に出かけてみたり、テレビに登場した生き物を水族館や動物園などに行って見てみたり……。時には、テレビ番組で出てきた話題について親子でディスカッションをしてみるのもいいでしょう。直接知識が身につく内容でなくても、興味を持ったり、知りたい、行ってみたいと思うきっかけになることが重要なのです。親子で一緒に楽しみを共有することも大事!実際に子どもがいる家庭では、どのような番組が多くみられているのでしょう。小学生以下を対象とした2017年の調査「Kids/ex」によると、子どもが親と一緒に見る番組の1位は『世界の果てまでイッテQ!』、2位『ザ!鉄腕!DASH!!』、3位『サザエさん』、4位『ドラえもん』、5『ちびまる子ちゃん』と、バラエティーやアニメが上位にのぼっています。とくに1位と2位のバラエティー番組は、タレントが海外や日本国内のさまざまな情報を紹介したり、いろいろな課題にチャレンジする番組内容で、親子で楽しむのにぴったりです。このような国内外の情報や課題に取り組む内容のバラエティーが選ばれているのは、親が子どもと一緒にテレビを見るとき、ただ会話が弾むだけでなく、知的好奇心や情操を養うことを期待している表れでもあるでしょう。(引用元:電通報|親子で見ているのはどんな番組?ファミリー視聴が大切なわけ)※太字は編集部で施したまた、先ほどの調査結果では、保護者の6割近くが「子どもの好きな番組を一緒に楽しみたい」「子どもが親の好きな番組を気に入る」と回答していることからも、親側も子どもとテレビを視聴することを望んでいて、それがコミュニケーションのひとつにもなっているようです。一緒に楽しむなかで、子どもが今どんなことに興味があるのかを知ることにもつながるでしょう。子ども向けの教育番組は、どうしても子どもだけでの視聴になりがちです。しかし、親子で楽しめる番組であれば、番組を視聴する時間を共有した後に、そこから何か学習につながる行動にも移しやすいのもメリットのひとつですね。子どもの意欲や興味につながる番組3選具体的には、どんなテレビ番組が子どもの学ぶ意欲や興味につながりやすいのでしょうか。今回は、おすすめのテレビ番組を3つピックアップしてみました。<おすすめ1>〇5歳児にもわかりやすく説明できるかな!?【チコちゃんに叱られる】NHK総合 毎週金曜午後7時57分|再放送毎週土曜午前8時15分「歩いていると靴に小石が入るのはなぜ?」や「コタツでウトウトするのはなぜ?」など、身近なのに考えたことがない疑問を楽しい検証実験で解決!生意気だけど憎めない、チコちゃんのキャラクターも人気。<おすすめ2>〇各界のスペシャリストがわかりやすく解説!【世界一受けたい授業】日本テレビ 毎週土曜午後7時56分国語、数学、科学、保健体育などの教科ごとに名物講師が登場し、目からウロコな授業を展開。米村でんじろう先生の迫力満点の実験授業や、滝川洋二先生の名探偵コナンと謎解きができる授業など、親子で楽しめる内容が満載。<おすすめ3>〇生きものたちの迫力映像や感動物語が見もの!【ダーウィンが来た! 生きもの新伝説】NHK総合 毎週日曜午後7時30分|再放送毎週火曜午前4時2分日本に生息する身近な生き物から、世界各地の秘境で暮らす珍獣まで、放送ごとにある生き物を深掘りし、人間が知られざるドラマを発掘。最新機材を駆使して撮影された映像には、普段見ることがない生き物の様子が映し出されている。このような番組を見ることは、興味を持つきっかけ作り以外にも学びの効果があります。例えばクイズ番組や謎解き系の番組であれば、考える力を高めたり、実験や検証系の番組であれば、普段の生活の中でも疑問に思ったことを追求したり、確かめてみることが大切ということを自然と学べますね。***子どものテレビ視聴には、時間やテレビ番組の内容など、親がある程度制限をすることは必要です。しかし、1日の終わりに親子でテレビを見ながら思いきり笑ったり、視聴内容についての話をするひとときは、親にとっても子どもにとってもかけがえのない時間でもあります。その中で興味を持ったこと、疑問に思ったこと、初めて知ったことを、親子で次のアクションにつなげてみてください。その興味や意欲こそが、テレビ視聴で得られる“学び”なのかもしれません。文/内田あり(参考)ベネッセ教育情報サイト|テレビ番組は学習の素材の宝庫だった!学習への意欲を高める活用方法とは電通報|親子で見ているのはどんな番組?ファミリー視聴が大切なわけベネッセ教育情報サイト|子どもにテレビを見せることのメリットとは?子育てに取り入れるポイントもご紹介!NHK総合|チコちゃんに叱られる日本テレビ|世界一受けたい授業NHK総合|ダーウィンが来た! 生きもの新伝説
2019年03月02日「男の子には男の子らしく、女の子には女の子らしく育ってほしい」と願う親御さんも少なくないでしょう。でも、ひとむかし前とちがい、現在の学校教育現場には「男女平等」の考え方が広く浸透しています。そう考えると、「男の子を男の子らしく、女の子を女の子らしく」育てるには家庭教育が鍵となりそうです。V-net教育相談所を主宰し、さまざまな独自教育メソッドを開発している松永暢史さんによると、女の子は「感受性」、男の子は「好奇心」を伸ばすことが大切なのだそう。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)危険で面白いことを求める男、安全で楽しいことを求める女男女というものをわたしなりに観察して思うのは、「男と女では頭のなかで使う言語がちがう、脳のつくりそのものがちがうのではないか」ということ。一輪の花を見ると、女性は「まあ綺麗!」なんて反応を示しますよね。わたしは男ですから男性の立ち場からの見方になりますが、男からすれば、そういう女性の反応は過剰に映ることもある。だけど、彼女たちはただうわべの言葉を発しているのではなく、本当にそう感じています。つまりこれは、「女性のほうが男性よりもだいたいにおいて感受性が強い」ということを示していることの裏付けです。巫女やシャーマンもほとんどが女性ということも、女性の感受性の強さを表しているように思います。つまり、女性は基本的に受け身の姿勢、「なにかが起こるのを待っている」ところがあるのかもしれません。でも、男はそれじゃつまらない。「なにか面白いことはないか」とすぐに動いてしまうのが男性です。ちょっとくらいの「危険」が伴ったとしても「面白い」ことを求めるのです。遊園地の長い行列で待たされれば、男性は退屈します。でも、女性は、待っている間も友だちと楽しく話せれば満足する傾向が強いようです。女性にとっては「危険」があって「面白い」ことより、「安全」で「楽しい」ことが重要なのです。男性が女性に惹かれるのは、当然、本能的という部分もあるでしょう。でも、女性が持っている強い感受性がとらえる情報などが、自分たちがとらえるそれよりも有意義だと男性が感じることがあるのも、その大きな一因であるように思います。なにかに接した際の女性の反応は、男性には過剰に映る一方で、ときに心を強く揺さぶられることもあるのです。感受性の強さが女性の特質であり人間的魅力であるのなら、やっぱり女の子の場合はその感受性を壊すことなく大切に育てていくような教育が必要でしょう。そのために必要なことは、できるだけ自然の「生」を体験させるということ。たとえば、人間が調理などの手を加えていない果物を味わう。その際には、味覚だけではなく嗅覚でも自然の「生」を味わっていることになります。ただ、視覚と聴覚の場合はそう簡単ではありません。わたしたちのまわりの目や耳に入るものは、映像や音楽、騒音といった、人につくられたものが多いからです。それでも、意識的に探せば見つかるものです。風や雨の音、鳥の声、そういうものに敏感に反応する。公園などにある草木を気に留めていれば、その変化を味わうこともできるでしょう。もちろん、たまには景色のいい大自然に連れて行ってあげてください。これら、自然の「生」を味わいながら芸術に親しめば、感受したことを自分で表現できるようにもなります。そうすると、さらに感受性を高めることができるようになるのです。女の子は感受性、男の子は好奇心を伸ばす一方、「なにか面白いことはないか」とすぐに動き回りたくなる男の子の場合は、その好奇心と行動力を伸ばしてあげなければなりません。ここで、男女に対するわたしの考えにおけるそもそもの前提についてお伝えしておきましょう。わたしたちが置かれている状況、これを「境遇」と呼びます。そして、境遇以外の一切のことは「環境」です。環境から境遇になんらかの出来事、たとえば夏の森で涼しい風を感じる、美しい景色を見るといったことが起こったとします。それを受け取ることが、女性が得意な「感受」です。では、感受したらどうすればいいでしょうか。ただ受け取るだけではもったいない。「気持ちいい!」「すごい!」「綺麗!」というふうに言葉を発してもいいし、文章や音楽、絵にする、カメラで撮影するということでもいいでしょう。感受性を伸ばす手法として先に少しお伝えしましたが、さまざまなかたちで、「心情表現」をするのです。もうひとつのパターンがあります。環境から境遇になんらかの刺激が届くと、「好奇心」が起きますよね。そうすると、どうすればいいか。それは、「追体験」です。「こんなものは見たことがないぞ」などといった好奇心に従って、行動を起こすのです。極端にいえば、人間がやっていることはこのふたつのパターンしかありません。そして、「感受して心情表現する」パターンは女性を、「好奇心を持ち追体験する」パターンは男性を成長させるのです。男の子の教育についての話に戻しましょう。女の子にはその特徴である感受性を伸ばしてあげる教育をするという考え方と同様に、男の子の場合にも好奇心に従って行動する力を伸ばしてあげるといいと思います。近年、教育現場における問題のひとつに挙げられるのがADHDです。すぐに気が散ってうろちょろしてしまうという、「注意欠陥・多動性障害」のことですね。ただ、わたしからすれば過剰にとらえ過ぎているようにも思えるのです。そうした傾向を無理に押さえつけようとするばかりでは、好奇心旺盛で行動的という男の子の特徴を消すことにもなりかねません。そういう前提で考えれば、その好奇心と行動力を存分に発揮できる環境を親が用意してあげるべきでしょう。学校の授業中にはちょっと問題になる行動でも、豊かな自然環境のなかでならなんら問題はありません。もちろん、子どもをひとりで山や海に行かせるわけにはいきませんから、週末に一緒に遊びに行く時間を確保する努力も親御さんには求められることなのかもしれませんね。『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』松永暢史 著/すばる舎(2015)■ 教育環境設定コンサルタント・松永暢史さん インタビュー一覧第1回:“AIに勝つ力”は学校教育では育たない。親にしか伸ばせない子どもの「7つの力」第2回:国語力は“〇〇の音読”で爆発的に伸びる。読むだけで子どもの頭がよくなる名作本の選び方第3回:思考と行動、男女の違いを徹底解説。“男の子らしさ”“女の子らしさ”が伸びる教育方針第4回:学力を伸ばすコツは男女で違う!子どもの性別で見る学習傾向と、勉強法のひと工夫(※近日公開)【プロフィール】松永暢史(まつなが・のぶふみ)1957年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学文学部哲学科卒業。V-net教育相談事務所主宰。教育環境設定コンサルタント、学習アドバイザー、能力開発椅子トラクター。「サイコロ学習法」「ダイアローグ法」「抽象構成作文法」など多数の教育メソッドを開発。子どもの個性に合わせてどのような教育をすることが正しいかを導き出し、学習計画、教育機関利用法、進学計画等を提案する。個人授業では国語を担当。『頭のいい小学生が解いている 算数脳がグンと伸びるパズル』(中経出版)、『落ち着かない 話を聞けない マイペースな 小学生男子の育て方』(すばる舎)、『「ズバ抜けた問題児」の伸ばし方』(主婦の友社)、『新 男の子を伸ばす母親は、ここが違う!』(扶桑社)など、教育関連の著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月02日4月の入園・入学に向け、お子さんたちの心の中はいま、ワクワクすると同時に不安でいっぱいの時期。親御さんたちも、持ち物の用意や名前付けなどで忙しくしつつも、新生活のスタートを控えたお子さんたちのことが心配なのではないでしょうか?ベネッセが実施した調査によれば、親御さんが子どもの入園・入学前に心配なこととして最も多いのは「友だち付き合い」。新しい環境で、うまくお友だちを作ることができるか、新しいお友だちの輪に入って行けるか……。良いお友だちに恵まれ、楽しく園・学校生活を過ごしてもらいたいというのは、多くの親御さんの共通の願いのようです。そこで今回は、入園・入学が楽しみになる絵本をご紹介します。「保育園・幼稚園・小学校では、毎日こんなことをするんだね」「お友だちがいっぱいで楽しそう!」「早くみんなと遊びたい!」と、不安を解きほぐしながら期待を高めていけるような絵本です。細部まで行き届いた細かいイラストも、見ていて楽しめますよ。『ほいくえんのいちにち』おかしゅうぞう・文/かみじょうたきこ・絵保育園って、どんなとこ?楽しいのかな?友だちいっぱい、できるかな?保育園の一日をスケッチ風に描いた絵本です。ドキドキ、ワクワク、保育園の楽しさ、素晴らしさが、画面いっぱいに広がる、大型ガイド絵本です。お昼ごはんのあとは「おやすみなさい」。保育園のお昼寝ってどんな感じ?【編集者コメント】朝の送りから、夜のお迎えまで、保育園で子どもたちが一日どんな風に過ごしているのか描かれた、ロングセラー絵本です。赤ちゃんクラスから年長さんまで紹介しているので、初めて保育園に預ける親御さんはもちろん、もう保育園に通っているお子さんが来年、再来年はどうやって過ごすのか、予習ができる一冊となっています。部屋のすみずみから子どもたちの表情やポーズまで、細かなところにもご注目ください。『ようちえんのいちにち』おかしゅうぞう・作/ふじたひおこ・絵幼稚園の子どもたちは、どんな一日を過ごすのかな?お友だちと乗る通園バス、歌やダンスの時間、楽しみなお弁当、年の違う子との交流……。ワクワクすることがいっぱいの幼稚園の一日を紹介する、大型ガイド絵本です。お揃いの制服・帽子に通園かばん。おにいさん・おねえさんぽくてかっこいい!【編集者コメント】憧れのバス通園や、お揃いの制服など、保育園とはひとあじ違う幼稚園での生活。様々な遊びや行事を通じて、お友だちを思いやりながら仲良く生活する様子が描かれています。ご自宅での読み聞かせの他にも、これから入園されるお子さんへのプレゼントとしてもご好評いただいております。季節ごとの行事を紹介した、続編の『ようちえんのはる・なつ・あき・ふゆ』と合わせてご覧ください。『いちねんせいのいちにち』おかしゅうぞう・作/ふじたひおこ・絵一年生になったら、どんな一日を過ごすのかな?朝の集団登校、国語や算数のお勉強、おいしい給食、たくさんの友だち……。楽しいことがいっぱいの新一年生の一日を紹介する、大型ガイド絵本です。教室には、机も椅子もひとりにひとつ。お友だちとわいわいしているのも楽しそう。【編集者コメント】遊びの要素が多かった保育園や幼稚園から、様々な決まり事があり、本格的に勉強も始まる小学校へ。お子さんだけでなく、親御さんの不安も一番大きい時期ではないでしょうか。ですが、小学校の生活には、学ぶことの楽しさや、今までよりももっとたくさんの友だちとの出会いがあります。この絵本を通じて、楽しい学校生活を想像しながら、入学への期待感を高めていただければと思います。続編の『いちねんせいのがっこうたんけん』『いちねんせいのはる・なつ・あき・ふゆ』と合わせてご覧ください。***絵本の読み聞かせを通して、子どもたちの入園・入学前の“不安”を、ぜひ“楽しみ”に変えてあげてください。四月になり園・学校生活が始まれば、絵本で見た風景と実際の生活とを重ね合わせることができます。「きょうはこれとおんなじことをしたんだよ!」なんて会話もできて、長く楽しめますよ。子どもたちの新生活が、お友だちいっぱいの楽しいものになりますように。(参考)ベネッセ教育情報サイト|子育てノウハウ これでバッチリ!入園・入学準備ベネッセ教育総合研究所|第3回【ベネッセ研究員より】 小学校入学前後の子どもを持つ親の悩みと課題 ~『幼児期から小学1年生の家庭教育調査』(自由回答分析)より~
2019年03月01日親ならば、「子どもには頭が良くなってほしい」と願うことはあっても、「頭が悪くなってほしい」と願うことはありません。では、そもそも学力を高めるためにはどんな力が必要なのでしょうか。素人だと教科によってちがうと思ってしまいがちですが、V-net教育相談所を主宰し、さまざまな独自教育メソッドを開発している松永暢史さんは、「学力を高める力とは言語能力」だと断言します。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)勉強ができるということは言語能力が高いこと親御さんが子どもに「勉強ができるようになってほしい」と願うのなら、「言語能力」を伸ばしてあげることを心がけてください。「勉強ができるということは言語能力が高いことに他ならない」というのが、教育に長く携わってきたわたしの結論です。言語能力というと国語というひとつの教科に限られた力だと思われるかもしれませんが、あらゆる勉強は言葉を使ってするものです。数学だって言語で説明されて理解できればいいのですからね。言語能力は、大きくふたつにわけられます。耳にした、目にした言語を正しく受け取る「了解能力」と、自分の意志を正しく相手に伝える「運用能力」です。これらを伸ばすには、実践するしかありません。つまり、「本を読み、文章を書く」ということ。ただ、どちらもまだ難しいような幼い子どもの場合、まずは「聞かせる」ことからはじめます。子どもにきちんと言語を理解させるには、「読み聞かせ」が重要です。人間というのは知能がすごく発達した動物です。それこそ、親が話していることを聞いているだけでしゃべれるようになるのですから、本当にすごいことですよね。赤ちゃんは、言葉を覚えようと大人以上に注意深く親の言葉などの周囲の音を聞いている。その前提を思えば、幼少の時期に正しいリズムの日本語を聞かせてあげる必要があります。言語能力を高めるには過去の名作を音読する正しいリズムとは、例を挙げると石焼きいもの移動販売車から聞こえてくる「いしや~きいも~」の呼び声。「たけや~、さおだけ~」もいいですね。これらに共通する特徴とは「一音一音切っている」ということ。これが日本語の音読のベースなのです。「ショッピング」という言葉も、英語の正しい発音だと日本人には「ショピン」に聞こえますよね。英語は子音で終わることが多い言語であることに対して、日本語は一音一音に母音がつく言語なのです。幼い子どもには、きちんと一音一音切って遠くに話しかけるような日本語に触れさせることが大切です。では、具体的になにを読み聞かせればいいのでしょうか。わたしは、「古典」を聞かせることを提唱しています。もちろん、子どもが言葉を理解しはじめれば、本人に音読をさせます。古典を読み聞かせること、音読させることに驚いた親御さんもいるでしょう。ただ、これには明白な理由があります。『徒然草』をきちんと一音一音で切って音読すると、子どもの国語の力はぐっと伸びます。どういうことか説明しましょう。言葉は時代につれ徐々に変化していますが、当然、その変化は前の時代の言葉を受けたものです。『徒然草』は、江戸時代に寺子屋と藩校でもっとも音読された随筆で、当時の役人や作家など文章を書く人間に『徒然草』を知らない人はいません。つまり、前の時代にテキストとしてよく読まれたものを音読すればするほど、その後ろの時代――この場合であれば、現代の言葉の力が高まるというわけです。では、『源氏物語』や『枕草子』を楽に読めるようになるにはどうすればいいのか。その答えは、その前の時代の『古今集』を音読することです。そしてさらに、『古今集』を楽に読めるようになるには、その前の時代の『万葉集』を音読するのです。読み方の手本は「宮中歌会始」です。新春恒例の行事ですから、ニュース等で目にしたことがある人も多いでしょう。そのイメージで、『徒然草』なら「つ、れ、づ、れ、な、る、ま、ま、に」と一音一音切って読んでみてください。読むだけで子どもの頭が良くなる本があるわたしは、実験として幼い子どもがいるお母さんばかりを集めて古典の音読会を2年間ほど続けたことがあります。その結果、子どもたちの国語力は爆発的に伸びました。まだ小さいのに、みんなが長いセンテンスでしゃべることができるようになったのです。とはいえ、古典にとっつきにくさを感じる親御さんもいるかもしれません。でも安心してください。戦後に生まれた文学作品や絵本のなかにも、正しい日本語の系譜を受け継いでいる作品はたくさんあります。それらは、わたしの著書『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』(すばる舎)で「読むだけで頭が良くなる厳選本145冊」として紹介しています。これは、400冊を超える作品のなかからわたしが実際に音読して選びました。選んだ本は、一音一音切って読んで、意味が綺麗に伝わってくる作品ばかりです。作家、絵本作家のなかにも日本語本来のリズムがきちんとわかっている人がいるのです。ただ、「何歳のお子さんにはこの作品」と、年齢別におすすめ作品を紹介することはできません。子どもはそれぞれ成長に差があるので、一概にどの本がいいと決められないからです。とはいえ、著書で紹介した145冊はいずれもわたしが自信を持っておすすめできるいい作品ばかり。そのなかから気になる作品を選んで子どもに読み聞かせをしてあげたり、子どもに音読させたりしてみてください。間違いなく、子どもの国語の力は大きく伸びていくはずです。『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』松永暢史 著/すばる舎(2015)■ 教育環境設定コンサルタント・松永暢史さん インタビュー一覧第1回:“AIに勝つ力”は学校教育では育たない。親にしか伸ばせない子どもの「7つの力」第2回:国語力は“〇〇の音読”で爆発的に伸びる。読むだけで子どもの頭がよくなる名作本の選び方第3回:思考と行動、男女の違いを徹底解説。“男の子らしさ”“女の子らしさ”が伸びる教育方針(※近日公開)第4回:学力を伸ばすコツは男女で違う!子どもの性別で見る学習傾向と、勉強法のひと工夫(※近日公開)【プロフィール】松永暢史(まつなが・のぶふみ)1957年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学文学部哲学科卒業。V-net教育相談事務所主宰。教育環境設定コンサルタント、学習アドバイザー、能力開発椅子トラクター。「サイコロ学習法」「ダイアローグ法」「抽象構成作文法」など多数の教育メソッドを開発。子どもの個性に合わせてどのような教育をすることが正しいかを導き出し、学習計画、教育機関利用法、進学計画等を提案する。個人授業では国語を担当。『頭のいい小学生が解いている 算数脳がグンと伸びるパズル』(中経出版)、『落ち着かない 話を聞けない マイペースな 小学生男子の育て方』(すばる舎)、『「ズバ抜けた問題児」の伸ばし方』(主婦の友社)、『新 男の子を伸ばす母親は、ここが違う!』(扶桑社)など、教育関連の著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月01日「先行きが見えない」と異口同音に語られる時代。これから長い人生を歩まなければならない子どもたちは、どんな力を身につけておくべきなのでしょうか。V-net教育相談所を主宰し、さまざまな独自教育メソッドを開発している松永暢史さんは、子どもたちに必要なものとして、7つの力を掲げています。そして、そのなかでも根幹となり得るのが「感受性」だといいます。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)「判断力」と「創造力」の礎となる「感受性」子どもに必要な力として、わたしはまず「判断力」と「創造力」を挙げます。判断力がなければ、知識を持っていたとしてもそれを正しく使うことができません。それから、「他の誰もやっていないことをやりたい」「つくりたい」「描きたい」といった願望はいつもわたしたちのなかにある。いわば、創造力は、人間らしくあるための力といえるでしょう。ただ、それらふたつの力に先行して必要なものが「感受性」です。ものを感じ取る力がなければ、正しい判断もできないし、新しいものを生み出すこともできません。判断力、創造力、それに先立つ感受性――この3つが、子どもにとってもっとも大切な力です。それらに加えるなら、「観察力」「探究心」「着想力」「思考力」も大切な力になります。観察は目だけでなく頭でもおこなうもの。言葉がなければ、鋭く深い観察はできません。動物は、人間が仕掛けた罠を観察して見破るということはそうできませんよね?でも、人間なら「あれは罠じゃないか?」と言葉で考えて罠の存在を見破ることができる。動物よりはるかに優れた観察力を持つのが、人間という生き物なのです。そして探究心。ものごととは、目に見えている部分ではなくその下に重要なものが埋まっているものです。だとすれば、なにかに興味を持ったら立ち止まってとどまりそれを突き詰める必要があります。着想力は創造力のベースになる力です。なにかをつくりあげる力があったとしても、そもそもその「なにか」を思いつく力がなければつくる課程に進めません。そして、いうまでもなく、考える動物である人間には思考力が求められます。「7つの力」を伸ばすには家庭環境が重要でも、残念ながら、いまの学校教育はこれらの力を伸ばそうとしているようには思えません。何十人かでまとめてクラス分けされ、先生の話をちゃんと聞くことが求められ、たくさんの宿題を課される。わたしには、近い将来AIに取って代わられる仕事の訓練をされているように見えるのです。では、先に述べた「判断力」「創造力」「感受性」「観察力」「探究心」「着想力」「思考力」はどんなものかというと、これらは「AIが持てない力」です。「AIにできないことはなにか」と考えたわけではありません。「これからの人間にとって大切なものはなにか」と考えると、結果的にAIにできないことに行き着くのです。そして、これらの力を学校教育で伸ばしてくれないのであれば、家庭環境の在り方こそが重要になります。たとえば、感受性というものは、誰かに壊されることなくゆっくり育まれて徐々に良くなるものであって、ある教育によって突然良くなるものではない。「これから感受性を伸ばす教育をします」といった具合に伸ばすことはできません。ということは、子どもの感受性を向上させることは親にしかできないことなのです。感受性を伸ばすには「甘いお菓子」はNG!?子どもの感受性を伸ばしてあげたいのなら、まず「甘いだけのお菓子」をあげることをやめましょう。甘みというものは強烈な味覚ですから、甘いものを口にし続けると他の味を感じる力が鈍くなってしまいます。同じ甘みを持つものでも、果物だったらどうでしょうか?甘いけど酸っぱさも含むなど、味わいが多重です。そういった複雑さを感じ取れる力こそ感受性でしょう。子どもの感受性を伸ばすには、甘いお菓子ではなくて果物を与えるべきです。もちろん、これは一例です。他のさまざまなことについても、刺激が強いものを受け取って反応するのではなく、できるだけ余計な刺激物がない、いい自然環境に触れることが大切です。たとえば、同じことが聴覚についてもいえます。人間の耳は20キロヘルツまでの音しか聞き取ることができません。でも、自然界には20キロヘルツ以上の高周波の音がたくさん存在します。じつは、人間というものはこれらの高周波音を肌で感じ取っているのです。そして、その経験が豊かであるほど感受性も豊かになります。そう考えると、土があって草が生えていて海や川から心地いい風が吹くような環境に子どもを置いてあげる必要がある。ただ、特に都会の子どもだとそういう場所にひとりで行くことはできるものではありません。つまり、自然に囲まれた場所に子どもを連れて行ってあげるのが親の重要な役割なのです。『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』松永暢史 著/すばる舎(2015)■ 教育環境設定コンサルタント・松永暢史さん インタビュー一覧第1回:“AIに勝つ力”は学校教育では育たない。親にしか伸ばせない子どもの「7つの力」第2回:国語力は“〇〇の音読”で爆発的に伸びる。読むだけで子どもの頭がよくなる名作本の選び方(※近日公開)第3回:思考と行動、男女の違いを徹底解説。“男の子らしさ”“女の子らしさ”が伸びる教育方針(※近日公開)第4回:学力を伸ばすコツは男女で違う!子どもの性別で見る学習傾向と、勉強法のひと工夫(※近日公開)【プロフィール】松永暢史(まつなが・のぶふみ)1957年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学文学部哲学科卒業。V-net教育相談事務所主宰。教育環境設定コンサルタント、学習アドバイザー、能力開発椅子トラクター。「サイコロ学習法」「ダイアローグ法」「抽象構成作文法」など多数の教育メソッドを開発。子どもの個性に合わせてどのような教育をすることが正しいかを導き出し、学習計画、教育機関利用法、進学計画等を提案する。個人授業では国語を担当。『頭のいい小学生が解いている 算数脳がグンと伸びるパズル』(中経出版)、『落ち着かない 話を聞けない マイペースな 小学生男子の育て方』(すばる舎)、『「ズバ抜けた問題児」の伸ばし方』(主婦の友社)、『新 男の子を伸ばす母親は、ここが違う!』(扶桑社)など、教育関連の著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年02月28日