StudyHackerこどもまなび☆ラボがお届けする新着記事一覧 (22/27)
学校では学べない力を手に入れることができるという「旅育」。文字通り、「旅を通じて行う教育」ですが、じつは旅そのものだけではなく「旅の後」も重要なのだそう。そう語るのは、旅育の第一人者である旅行ジャーナリストの村田和子さん。「遠足は家に帰るまでが遠足」といわれますが、旅育は家に帰った後も続くようです。その他の、旅育で重要となる考え方や具体的メソッドと併せてアドバイスをしてくれました。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)旅は時間感覚をつかむ機会にあふれている移動が伴う旅は、子どもが「時間の感覚を学ぶ」にも最適です。そのためにも、まずは「スケジュールを共有する」ことが大切です。幼い子どもと旅行するときに親御さんがいちばん気を遣うのは、電車などでの移動中に子どもが静かにできるかというところでしょう。よくあるパターンとしては、移動中に子どもが「あと何分?どれくらい?」と大きな声で何度も聞いてくるというもの。それに対して「あと少しだから静かにして」なんて言う親御さんもいますが、そもそもなぜ子どもがそうやって聞いてくるのかと考えたことはあるでしょうか?じつは、「不安」が子どものぐずる要因になることが多いのです。スケジュールを知らなければ、いまある状態がいつまで続くのかわからず、大人だって不安になるでしょう?その不安を解消してあげるために、まずはスケジュールを共有してあげてください。「今日はここからここまで行くよ」「時間は何分くらいかかるから、なにをして過ごそうか」と事前に話してあげれば、子どもは安心感を得られ、静かにできることが多いと感じます。同時に、スケジュールを共有することが時間感覚をつかむことにもなります。子どもというのは、どのくらいの時間になにができるかという感覚をまだつかめていないものです。旅にはその感覚をつかむ機会があふれています。たとえば、電車の乗り継ぎに15分かかるとしましょう。「15分あるからなにをしようか」と子どもに考えさせるのです。経験を重ねるうち、「15分だとご飯を食べるのは難しいから、トイレに行って飲み物を買う」というふうに、徐々に時間の感覚をつかんでいくはずです。そして、移動時間を家族のコミュニケーションに使うというのもおすすめです。家族旅行を敬遠する人は、移動中に子どもが騒がないかと心配することが多いようです。でも、よく考えてみてください。家族といっても、親が仕事をして子どもが保育園や学校に通っていれば、全員が一緒に過ごせる時間は朝食や夕食の時間など本当に限られたものです。しかも、子どもが大きくなるにつれその時間はさらに減っていきます。でも、家族旅行での移動時間は必然的に家族が一緒に過ごすことになる。考え方を変えて、移動時間を貴重な家族のコミュニケーションの時間ととらえてはどうでしょうか。子どもにチャンレンジを促す父親の役目そして、旅先では子どもにいろいろなチャレンジをさせてあげてほしいですね。さまざまな体験プログラムなどの他、日常から離れた環境だからこそできるチャレンジも旅にはあふれています。もちろん、チャレンジすることには不安も伴います。それでもチャレンジをしたというその事実が、「次もまたやってみよう!」という積極性を子どもにもたらしてくれます。そういう意味では、お父さんと子どもだけの時間、父子旅行などもおすすめですね。その間、お母さんはひとりの時間を楽しみ、リフレッシュすれば一石二鳥です。共働き家庭が増えているとはいえ、子育ての中心はお母さんが担うことが多いものです。そのためお母さんは、一生懸命さや責任感から「危ないことはやっちゃ駄目!」と保守的になったり、「ちゃんと野菜も食べなさい」と、旅先でも日常と同じように細かいことを子どもに言ったりしがちです。なにを隠そう、わたしにもその傾向がありますしね(笑)。でも、お父さんはワイルドというか、大人になっても冒険好きな部分を持っている方が多いようです。ちょっとくらい危ないことでも「やってみよう!」と子どものチャレンジを促す傾向が強い。子どもにとってまだ難しいことでも、少し背伸びをさせてチャレンジさせるのがお父さんという存在です。それでたとえ失敗したとしても、子どもは必ずなにかを得るはずです。食事も、お父さんと子どもだけなら、「今日1日くらいいいよな」「お母さんには内緒だからな」なんて言って、揚げ物やスパゲティーなど好物だけを食べるということもあるかもしれない(笑)。そんなお父さんと子どもだけの秘密の体験も、子どもにとっては印象深いものになります。それに、仕事が忙しいお父さんが日常のなかで子どもと一緒に過ごせる時間は本当に限られています。お父さんと子どもの絆を深める意味でも、父子旅行はとてもいいと思いますよ。旅の記録を「モノ」として残して成功体験を思い出させる最後に、旅が終わった後についてアドバイスをしておきましょう。子どもは未来を見て生きています。つまり、日々起きたことは脳の奥にしまわれていくのです。でも、せっかくなら、家族旅行の思い出や、旅先での成功体験を日常で思い出し、そのたびに子どもが自己肯定力を高めることにつなげたいものです。そうするために、旅をなんらかのかたちで「モノ」として残してあげましょう。写真もデータのまま保存するのではなく、子どもと見返してプリントしてアルバムにする。あるいは、子ども自身が選んだイチオシの写真を部屋に飾ってみる。写真じゃなくても、旅先でつくった「モノ」を飾るということでもいいでしょう。それらを見れば、子どもは旅の経験、自分が頑張った経験を思い出すのです。わたしの家庭では、旅先から家族それぞれがちょっとずつコメントを書いた絵葉書を自宅に送るようにしていました。息子に「パパとママがけんかした」なんて書かれたこともあります(笑)。写真に残っていないささいなことは意外と忘れてしまうものですが、こうしてコメントがあればしっかり思い出になるのです。しかも、これは子どもの成長記録にもなります。幼いときは大きく拙かった字がだんだん小さくなり、そのうち難しい漢字も交じってくる。思春期になると面倒なのでしょうね。ほんのひとことになったりもする(笑)。写真のアルバムとはまたちがった思い出の残し方なので、ぜひトライしてみてください。『家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ 旅育BOOK』村田和子 著/日本実業出版社(2018)■ 旅行ジャーナリスト・村田和子さん インタビュー一覧第1回:子どもの人生は“旅”で幸せになる。いまの時代こそ親子で旅に出るべき理由第2回:旅先での行動は“親子別々”に。“親の不在”が深める子どもの「自信」第3回:旅の計画には“正解がない”。子どもの「考える力」を育む旅行プランの立て方第4回:忘れてはいけない“旅の記録”。旅先での成功体験を思い出すたび「自己肯定力」が高まる【プロフィール】村田和子(むらた・かずこ)1969年8月29日生まれ、神奈川県出身。旅行ジャーナリスト。2001年、生活情報サイト「All About」運営スタート時に旅行情報のガイドに就任したことを機に執筆活動を開始。モットーは「旅を通じて人・地域・社会が元気になる」。現在は家族旅行を応援する旅行情報サイト「家族deたびいく」を運営しながら、消費者視点での旅の魅力や楽しみ方を年間100以上の媒体で紹介する他、旅行に関する講演、旅行サイトや宿泊施設のコンサルティングもおこなう。得意なテーマは旅育、家族旅行、ひとり旅、記念日旅行、ヘルスツーリズムなど。特に旅によって子どもの生きる力を育む旅育を村田式教育メソッドとして著書等を通じて啓蒙を進めている。一児の母。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年02月11日子どもの心の教育のひとつとして大切なのが、「倫理観を育てる」ことです。倫理観を育てるためには、敏感期と呼ばれる時期の過ごし方が大きく関わっています。今回は、倫理観と敏感期の関係や、倫理観を育てるための具体的な方法についてご紹介しましょう。「自分さえよければいい」という行動倫理観とは、「人として守るべき社会的な秩序や規律に対する考え方」を指します。倫理観が欠如してしまうと、自己中心的な考え方になってしまったり、「自分さえよければいい」と、相手の気持ちや周囲の人々との関係性を全く考えない行動を起こしたりするようになってしまいます。また、善悪の判断がつかなくなってしまうこともあり、最悪の場合は犯罪に走ってしまうことも。昨今、問題視されているSNSに非常識な行動をアップするという行為や、「SNS映え」のために所かまわず写真を撮るといった行為も、倫理観の欠如が関わっているといわれています。そうならないためには、敏感期に倫理観を育てる必要があるのです。子どもの吸収力が非常に高い時期は?敏感期とはモンテッソーリ教育に基づいた考え方で、子どもが母親のお腹の中にいる7ヶ月の胎児期~6歳前後までの間にさまざまな物事に興味を持ち、ある一定のこだわりが強くなる時期を指します。この敏感期は、子どもの吸収力が非常に高い時期なので、親は子どもが興味を持った物事を肯定的に見ることが大切です。・胎児7ヶ月~3歳前後【話し言葉の敏感期】子どもはこの間に聞いた言葉や音をもとにして話し始める・生後6ヶ月〜3歳前後【秩序の敏感期】物の位置や順序などにこだわりを持つ・0~3歳前後【運動機能の発達の敏感期】歩く・座る・持つ・運ぶといった動きの獲得※3~6歳になると今度はそれらの動きよりもさらに高度な運動を獲得するための敏感期が訪れる・4~6歳前後【数の敏感期】数字に対して興味を持つ【文化の敏感期】生き物、地理や歴史に興味を持つイヤイヤ期と考えないで!子どもの倫理観を育てるためには、上記の中でも「秩序の敏感期」が重要となってきます。場所に対して強いこだわりを見せる時期なので、自宅のダイニングテーブルで自分の定位置以外の席に座ることを嫌がる子が多いようです。また自分が座る位置はもちろん、家族がいつもと違う席に座ることにも抵抗を感じます。ほかには、おもちゃの置いてある場所がいつもと変わったというだけで大泣きすることも。このとき、親は単なるワガママやイヤイヤ期だと考えてしまいがちですが、子どもとしては場所が変わったことに対する抵抗の背景に「秩序を守りたい」という意識があるのです。子どもはまだまだ、この世の中がどんなふうに回っているのか、どんな仕組みになっているのかわかりません。そのため、毎日自分が慣れている場所や物事(秩序)を確認します。そして、その通りになっていないと、途端に不安になってしまうのです。逆に、場所や物事が一定だと、安心して生活を送ることができたり、新しいことに挑戦できたりするようになります。ゆえに、場所へのこだわりを認めてあげることは、物事に正しい道すじがあることへの理解や自分の中での基準を作ることにつながり、倫理観を育てるのに非常に有効なのです。子どもの倫理観を育てるには?子どもが場所へのこだわりを見せるようになったら、以下のポイントに注意しながら生活してみてください。「秩序を守りたい」という子どもの気持ちを優先することで、「イヤイヤ!」や「ダメー!」といった行動が改善されるかもしれません。そして、秩序を守ることが、子どもの倫理観を育てることになるでしょう。■何事も一定を保つ自宅のダイニングテーブルの席などはもちろん、洋服や靴を置く場所、おむつを替える場所など、できる範囲で位置・場所を決めておきましょう。子どもにとっての「ここは○○をする場所だ」という秩序を守ってあげることで、倫理観を育てることはもちろん、日々の行動がスムーズになりますよ。「○○はここに片付けようね」と導いてあげれば、子どもが率先して片付けをするように。■変更時には理由を説明する自宅の場合はある程度、子どもの秩序を守った場所を決められるものの、外出先などではそれが難しいこともあるでしょう。そうした場合は「なぜ今日はいつもと違うのか」についてしっかり説明し、子どもの不安を取り除いてあげることが大切です。大人にとっては些細な変化でも、子どもにとってはパニックになってしまうほどの大きな変化だということを理解してくださいね。***場所の敏感期の子どもは、イヤイヤ期と混合されるような行動も多いため、親としてはストレスが溜まったり、イライラしてしまったりすることもあるかもしれません。しかし、場所の敏感期の過ごし方は、子どもの倫理観に大きく影響します。敏感期の仕組みを理解して、倫理観を育てるチャンスを逃さないようにしましょう。文/田口るい(参考)東洋経済オンライン|家でもできる「モンテッソーリ教育」のコツ東洋経済オンライン|超厄介な2~3歳児にイライラしない人の心得日経 xTECH|第12回・価値観力を高めるためにStudy Hackerこどもまなびラボ|モンテッソーリ教育に学べ!子どもの才能が伸びる「敏感期」に親がするべきこと。社会福祉法人 聡香会 きたしば保育園|言語敏感期はいつごろから
2019年02月10日いま注目度を増している「旅育」とは、「旅を通じておこなう子ども教育」のことです。でも、ただ子どもと旅に出ればいいのでしょうか?旅育初心者のため、その第一人者である旅行ジャーナリスト・村田和子さんが具体的なアドバイスをしてくれました。旅育をするにあたってまず重要となるのは「子どもを子ども扱いしない」ことだそう。そして、「体感をもって学ぶ」ことの重要性に子ども自身に気づかせることだとも。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)「子どもを子ども扱いしない」という姿勢旅育とは「旅を通じておこなう子ども教育」。つまり、旅によって「子どもが大人に向かって成長する」ことが目的です。であれば、まず重要となるのは「子どもを子ども扱いしない」ことではないでしょうか。大人の友人同士で旅行するというときに、行き先を告げないとか相手の希望を聞かないということはあり得ませんよね。でも、家族旅行となると、親はどうしてもそうしてしまいがちです。そこで、子どもを子ども扱いしないために、「旅の計画から子どもと一緒にする」のです。ただ、小学校に上がる前くらいの幼い子どもだと、現実的な旅行プランを出すことは難しいでしょう。それに、せっかく子どもが「あれをしたい」「これをしたい」と言ったのに、現実的に難しいからと却下してしまうと、教育という点から見れば逆効果。自己肯定力を下げることになってしまいます。そこで、夏休みに海に行くのか山に行くのかといった複数の案から選択させるのです。ただ選択するだけですが、それでも子どもにとっては自分が決めた旅になるので、旅に臨むモチベーションがまったくちがってきます。意欲的に旅に出るわけですから、旅がもたらしてくれるさまざまな効果(インタビュー第1回・第2回参照)も格段にアップするというわけです。旅の計画を立てることは頭を使うことだらけもう少し子どもが大きくなったら、計画を立てるときに家族会議をしてください。家族それぞれが行きたい場所を挙げてプレゼンをするのです。どうしてその場所に行きたいのかといった理由を各自が訴え、他の家族はそれをしっかり聞く。すると、子どもは、「パパの案もいいな」と思ったりもします。そして、自分の案とどう折り合いをつければいいのかと考えて答えを導こうとする。こうして、社会に出たときにも重要となるコミュニケーション力や他者理解の力が自然と養われるのです。小学校中学年になれば、旅の計画の一部を思い切って子どもにまかせてみてください。目的地への行き方もひとつではありません。車がいいのか、電車がいいのか、電車でも新幹線を使うほうがいいのかと考えさせてみるのです。旅の計画というのは、本当に頭を使うことが多いものです。宿はどうするのか、観光はどうするのか、さらに予算も絡んでくる。考える要素がたくさんあるうえに、正解もない。それこそ、「正解がない」といわれる時代に必要な「考える力」を育むことになるのです。これにはインターネットの普及が好影響を与えてくれています。インターネットがない時代に、時刻表とにらめっこして予定を組むのは子どもには難しかったことでしょう。しかも、目的地周辺の観光や宿の情報を得る手段も限られていました。でもいまなら検索をすれば複数の経路に宿や観光の情報がすぐに示されます。いまの時代だからこそできるようになった教育だともいえます。身をもって「百聞は一見にしかず」を知るただ、インターネットにはデメリットもある。幼いときからあたりまえのようにインターネットに触れてきたいまの若い世代は、頻繁に旅行をする人とまったくしない人というふうに二極化しています。以前ならなかなか得られなかった情報に触れたからこそ「実際に体験してみたい」と思う人と、「家にいて得られるものになぜ時間やお金をかけるのかわからない」と思う人にわかれているのです。後者には「情報=リアル」という価値観が根底にあるのだと思います。でも、実際に旅先で本物を見ると、思っていたものとちがうということはよくあることですよね。それは、「思っていたよりも良かった」でも「思っていたほど良くなかった」でもいいのです。重要なのは、「情報とリアルはちがう」と体感すること。つまり、身をもって「百聞は一見にしかず」を知ることなのです。わたしの息子が小さいときにはじめて海に行ったときのことです。息子もテレビなどを通じて海も波も知っていて、海が見えてきたときには「わー!海だ!」とはしゃいでいました。ところが、実際にビーチに立ったら、「波が怖い」と言って海に近寄ろうともしなかった。息子はまさに五感で海を体感し、息子なりに海というものを知ったわけです。幼いときから体感をもって学ぶことの大切さを知る。そういう経験があれば、どんな情報化社会になろうとも、本物の重要性を見失うことはないと思うのです。『家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ 旅育BOOK』村田和子 著/日本実業出版社(2018)■ 旅行ジャーナリスト・村田和子さん インタビュー一覧第1回:子どもの人生は“旅”で幸せになる。いまの時代こそ親子で旅に出るべき理由第2回:旅先での行動は“親子別々”に。“親の不在”が深める子どもの「自信」第3回:旅の計画には“正解がない”。子どもの「考える力」を育む旅行プランの立て方第4回:忘れてはいけない“旅の記録”。旅先での成功体験を思い出すたび「自己肯定力」が高まる(※近日公開)【プロフィール】村田和子(むらた・かずこ)1969年8月29日生まれ、神奈川県出身。旅行ジャーナリスト。2001年、生活情報サイト「All About」運営スタート時に旅行情報のガイドに就任したことを機に執筆活動を開始。モットーは「旅を通じて人・地域・社会が元気になる」。現在は家族旅行を応援する旅行情報サイト「家族deたびいく」を運営しながら、消費者視点での旅の魅力や楽しみ方を年間100以上の媒体で紹介する他、旅行に関する講演、旅行サイトや宿泊施設のコンサルティングもおこなう。得意なテーマは旅育、家族旅行、ひとり旅、記念日旅行、ヘルスツーリズムなど。特に旅によって子どもの生きる力を育む旅育を村田式教育メソッドとして著書等を通じて啓蒙を進めている。一児の母。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年02月10日家族旅行の計画を立てる場合、普通であれば「家族みんなで楽しめるもの」にしようとします。ところが、「旅を通じておこなう子ども教育」――「旅育」の第一人者である旅行ジャーナリスト・村田和子さんは、意外な提案をしてくれました。「いつも家族一緒に行動するという考え方を捨てる」というのです。果たして、その真意はどんなものなのでしょうか。まずは、旅育が子どもだけではなく親にもメリットをもたらしてくれるという話からはじめてもらいました。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)旅先ではいくらでも「褒めポイント」が見つかる「旅を通じておこなう子ども教育」というと、「子どものためのもの」と考えるのが普通です。でも、親子で旅をすることは、じつは親にもいろいろなメリットをもたらしてくれるのです。まずは「褒め上手になれる」こと。子どもの自己肯定力を育むために、「子どもは褒めて育てることが大事だ」といわれますよね。でも、日常生活のなかで子どもを褒めるのはそう簡単なことではありません。子どもが毎日できていることを褒めるには、親にもスキルが必要とされます。日常生活では、きちんとできなかったことのほうが目につくので、どうしても叱ることのほうが多くなってしまいます。でも、旅先では「褒めポイント」がいくらでも見つかります。旅では時間と場所がスケジュールによって区切られていくので、それぞれに小さな目標を立てやすいからです。たとえば電車で1時間の移動をするとしましょう。子どもに「1時間、なにをして過ごそうか」「まわりには寝ている人もいるから静かにできることがいいよね」「じゃ、静かに絵本を読んでみる?」と話しながら一緒に目標を立てるのです。宿に着く前には、「これから宿の人たちがみんなで『いらっしゃいませ』って言ってくれるから、大きな声で『こんにちは』とあいさつをしようか」という具合です。もちろん、目標をきちんと達成できたら、たくさん褒めてあげましょう。子どもの自己肯定力は、親に「あなたはすごい」といくら言われたところで伸びるものではありません。お父さん、お母さんと一緒に立てた目標を達成し、「できた」「うれしい!」と自ら感じる――そういう実体験がなければ、本当の自己肯定力は身につかないのです。旅行中は日常生活とは異なる刺激も多く、親も気持ちに余裕があるので、自己肯定力を育む絶好の機会となります。子どもにとって大事なものは「親が元気であること」それから、「リフレッシュできる」ことも親にとっての大きなメリットだととらえています。そもそも子どもにとっていちばん大切なものはなにかというと、お父さんとお母さんがいつも元気でいてくれることなのです。そういう意味では、旅行では、親御さんもしっかりリフレッシュして、英気を養うことも重要です。忙しい毎日のなか、子どもに対して「本当ならああしてあげたい(でもできない)」という罪悪感から、「家族旅行ぐらいはずっと一緒にいてあげよう」と考える親御さんも多いものです。でも、わたしは親がリフレッシュすることも重要だと考えているので、「いつも家族一緒に行動する」という考え方を捨てることを提案しています。わたしの家族の場合、夫は温泉が好きでわたしは美術館が好き。もちろん子どもに体験させてあげたいこともたくさんある。家族みんなでつねに行動すると、誰かが我慢することになります。そうしないために、数時間であっても家族それぞれが好きなことをやる時間を設けるのです。そうすれば、家族みんなが満足できる旅になる。小さい子どもがいても心配無用です。いまは、短時間の託児サービスや、自然体験やサバイバル体験など子どもが楽しめるキッズプログラムを提供している宿泊施設が増えていますから。それらを利用して、親御さんもなにかひとつくらいは自分が好きなことをやるというわけです。しかも、これは子どもの成長という点でもメリットがあります。子どもが他人に褒められたら謙遜はご法度わたしがそういうプログラムをはじめて利用したのは、息子が4歳のとき。わたしと夫はスキーをして、息子は森を探索するプログラムに参加しました。プログラム終了後、ちょっと心配しながら息子を迎えに行ったのですが、息子は目をきらきらさせて「ママ、動物の足跡を見つけたよ!」と報告してくれたのです。これは、家族みんなで体験したら起こり得ないことでした。なぜなら、子どもが自分の体験をわざわざ説明する必要がありませんからね。親子別々に過ごしたことで、その間に味わった感動を子どもが一生懸命に親に伝えようとする。それこそ、子どものコミュニケーション力を大きく伸ばしてくれます。ひとつ注意しておくとすれば、「親は謙遜してはいけない」ということでしょうか。こういう子ども向けのプログラムを利用したときなど、旅先では他人に子どもが褒められる機会が多いものです。ところが、そういうときに親はつい謙遜してしまいます。大人の社会ではあたりまえの謙遜ですが、子どもが褒められたときに限っては絶対にNGです。これにはわたしの反省も込められています。息子ひとりでそば打ち体験プログラムに参加したときのことでした。終了後、指導してくれた人に「お子さん、本当に頑張っていましたよ」と褒められたのに、わたしは「ご迷惑をおかけしなかったですか」とつい言ってしまった。すると、息子は「僕はひとりで頑張ったのに、ママは全然わかってない!」と激怒したのです。それこそ子どものプライドを傷つけることになり、自己肯定力を高めるどころではなく、深く反省しました。旅先で子どもが褒められたのなら、「ありがとうございます」と素直にただお礼を言って、子どもには「褒めてもらえたね、良かったね」と言ってあげる。そうして子どもの自信とよろこびを深めてあげるようにしましょう。親がいない世界で子どもは素顔を見せるまた、子ども対象のプログラムを利用する際に、親がついて行ったりすることは、わたしはおすすめしません。子どもがよろこぶ顔を見たいとか、写真を撮りたいと同行する親も多いようですが、それなら親子一緒に参加するプログラムを選べばよいのです。子どもだけが対象のプログラムに親が同行することは、先にお伝えしたメリットを失うばかりか、デメリットをもたらします。子どもは、親の前では無意識のうちにどこか自分の役割を感じながら行動していることも多いと感じます。たとえば兄弟なら、上の子どもは無意識に「お兄ちゃんらしく」振る舞おうとして、本来したいことを我慢してしまう。子どもなりにストレスを感じることもあるでしょう。ところが、親がいない、まわりが自分の日常を知らないなかでは、役割から開放されお兄ちゃんも意外にやんちゃな一面を見せたりすることもあります。まさにそれは、その子の素顔ですよね。他にも、参加している子どもたちが、素直な姿で本当に好きなものを見つけられるように、子どもだけの世界に浸って集中できる環境にしてあげることも大切だと思うのです。『家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ 旅育BOOK』村田和子 著/日本実業出版社(2018)■ 旅行ジャーナリスト・村田和子さん インタビュー一覧第1回:子どもの人生は“旅”で幸せになる。いまの時代こそ親子で旅に出るべき理由第2回:旅先での行動は“親子別々”に。“親の不在”が深める子どもの「自信」第3回:旅の計画には“正解がない”。子どもの「考える力」を育む旅行プランの立て方(※近日公開)第4回:忘れてはいけない“旅の記録”。旅先での成功体験を思い出すたび「自己肯定力」が高まる(※近日公開)【プロフィール】村田和子(むらた・かずこ)1969年8月29日生まれ、神奈川県出身。旅行ジャーナリスト。2001年、生活情報サイト「All About」運営スタート時に旅行情報のガイドに就任したことを機に執筆活動を開始。モットーは「旅を通じて人・地域・社会が元気になる」。現在は家族旅行を応援する旅行情報サイト「家族deたびいく」を運営しながら、消費者視点での旅の魅力や楽しみ方を年間100以上の媒体で紹介する他、旅行に関する講演、旅行サイトや宿泊施設のコンサルティングもおこなう。得意なテーマは旅育、家族旅行、ひとり旅、記念日旅行、ヘルスツーリズムなど。特に旅によって子どもの生きる力を育む旅育を村田式教育メソッドとして著書等を通じて啓蒙を進めている。一児の母。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年02月09日「子どもの年齢があがるにつれ、絵本では物足りなくなってきた様子……」「もうすぐ1年生。いつまでも絵本ばかり読ませていていいの?」「小学生になり、あまり本を読まなくなった我が子。もっと本を楽しんでもらいたい!」今回は、親御さんたちのそんなお悩みにおこたえするべく、佼成出版社オススメの幼年童話シリーズをご紹介します。読み聞かせから一人読みへ。絵本から児童文学への移行のコツ本の紹介をさせていただく前に、幼少期のお子さんにとって「幼年童話」がいかに大切であるかをお伝えしたいと思います。子ども向けの本には「絵本」や「児童文学」がありますね。皆さんおなじみの絵本は、ふんだんに描かれた絵と言葉を一緒に楽しむもの。一方の児童文学は、挿絵が入るものの、主として言葉による物語です。実はその中間に、「幼年童話」というものがあるのをご存じでしたか?幼年童話の特徴について、金沢学院大学准教授の米川泉子先生が次のように解説しています。幼年童話は、(中略)大きな文字と絵によって描かれている。絵本と比べると絵よりも言葉に主軸が移っていながらも、児童文学に比べると絵が多く描かれている。また、言葉はひらがなを主体として書かれており、漢字が使われる場合にはルビがふられている。そして、絵は、児童文学のような挿し絵としてではなく、言葉だけでなくストーリーを伝える役割を十分に持っているのが特徴である。(引用元:米川泉子(2013),「絵本と児童文学のはざまにある幼年童話を考える」, 聖霊女子短期大学紀要, 第41号, pp. 81-91.)太字は引用にあたり施したこうした幼年童話のおおよその対象年齢は、就学前の5・6歳から小学校低学年の8歳ごろまで。米川先生によるとこの時期は、絵本を読む楽しみを持ちながらも、主に文字から楽しみを味わう児童文学へと進んでいく時期。この年齢にある子どもは、言葉による秩序の世界に入っていく過程にあるものの、まだ論理的に考える力が備わっていないのだそう。そんな時期に、言葉がメインであり、かつ絵にもストーリーを伝える役割がある幼年童話を読むことで、子どもは言葉を獲得しながら、これまで知らなかった世界へとスムーズに向かうことができるのだそうです。また、『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』の著者で、受験のプロとしても知られる松永暢史氏は、幼年童話を読むことの意義を次のように述べています。子どもの頃、物語に挿絵があるとうれしかった記憶はないでしょうか。絵本からいきなり文字だけの世界へ移るのは、子どもにはハードルが高く感じられます。そこでまず、絵本に比べると絵の量は少ないけれど、文章が良く、挿絵に作り手の神経が行き届いているような幼年童話へ進みます。この手の幼年童話であれば、親が読み聞かせることもできる長さです。早い子で小学校入学前から読み始め、小学校中学年くらいまでに最適です。こうした幼年童話の中には、単純な物語に複数の登場人物が出てくるものがあります。こうした本を一人で読み切れるようになると、難関私立中学の国語の入試問題をラクラク解けるくらいの国語力がつきます。(引用元:Googleブックス|『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』書籍のプレビュー)太字は引用にあたり施した読み聞かせにも、一人読みの練習にも最適で、国語力アップにも効く幼年童話。ぜひ子どもに読ませてみたいと思いませんか?はじめての幼年童話におすすめ!「おとのさま」シリーズ幼年童話にチャレンジしたいと思ったら、質に定評のある“シリーズもの”から始めてみてはいかがでしょう。そこでご紹介したいのが、「おとのさま」シリーズ。“現代の日本に住むおとのさま”がいろいろな経験をする様子を楽しく描いたこのシリーズは、全部で7作品(2019年2月現在)。保育士やミュージシャンなどユニークな経験をもつ中川ひろたかさん作、お2人のお子さんをお持ちの絵本作家・田中六大さん絵による、人気シリーズです。■シリーズ作品一覧はこちらからご覧いただけます。今回は、この中からおすすめの3作品をご紹介しましょう。『おとのさまのじてんしゃ』ここはお城の天守閣。双眼鏡で街の様子を見ていたおとのさまが、ある日不思議な乗り物を発見しました。「わしは、あれにのりたい」。初めて見る自転車に、おとのさまは興味津々。さっそく街に下りて自転車を買いにいきます。最初は転んでばかりのおとのさまでしたが――。現代の日本に住む、ちょっとおとぼけなおとのさまとお供のさんだゆうとの会話が楽しい、ユーモアたっぷりの幼年童話。「おとのさま」シリーズの第1作です。【編集者コメント】初めてこのお話を読んだとき、おとのさまとさんだゆうとのとぼけた会話に笑いが止まりませんでした。その面白さやそれぞれのキャラクターの魅力を画家の田中六大さんがさらに倍増させて、最高に楽しい1冊にしてくださいました。おとのさまはお城に住んでいますが、時代は現代の日本。だから、街の人たちとはちょっと感覚がずれています。でも、何度転んでもひたむきにがんばる姿や、知らないものにも興味を持って挑戦する姿を見ていると、いつのまにかおとのさまのことが大好きになってしまうのです。『おとのさま、ゆうえんちにいく』お城の近くに、遊園地がオープンしました。さっそくお供のさんだゆうを連れて遊園地に向かうおとのさま。観覧車、ジェットコースター、メリーゴーランドと遊園地を満喫するおとのさまでしたが、最後に入ったおばけ屋敷で……。子どものように楽しむおとのさまと、乗り物が苦手なさんだゆうとの対比がおもしろい、シリーズ第4作目です。【編集者コメント】「おとのさま」シリーズの第4弾。今作では、初めて遊園地を訪れます。尻込みするさんだゆうをよそに、アトラクションを満喫するおとのさま。観覧車では隣のカップルにちょっかいを出したり、相変わらず自由な行動でさんだゆうを困らせます。しかし、臆病なさんだゆうも、おばけ屋敷だけは得意な様子。平気な顔をしてどんどん進んでいくのですが……。初めて遊園地に行ったときの、あのドキドキを思い出すことができる1冊です。最新作!『おとのさま、ほいくしさんになる』作者の中川ひろたかさんは、実は「日本で最初の男性保育士」。保育士としての勤務経験をもとに、保育園の様子をおとのさまの目線で楽しく描いたのが、最新作『おとのさま、ほいくしさんになる』です。ここはお城の天守閣。お城の前をおさんぽする保育園児たちを見て、どうしても保育士をやってみたくなったおとのさまは、近くの保育園で1日保育士体験をすることになりました。やんちゃな子どもたちの前では、さすがにたじたじのおとのさまでしたが、だんだん調子が出てきて……。子どもの心を持ったおとのさまと保育園の子どもたちとの会話が楽しい、シリーズ第7弾です。【編集者コメント】今回はおとのさまが保育士さんになって、子どもたちのお世話をします。元保育士の中川ひろたかさんならではの、実体験を元にしたリアルなエピソードも満載。いつもは自由な行動で周りを困らせるおとのさまが、子どもたちに振りまわされる姿が見ものです。***「こどもまなび☆ラボ」をお読みの皆さんのお子さまたちにピッタリの幼年童話をご紹介しました。はじめての幼年童話は、ぜひ「おとのさま」シリーズから始めてみてはいかがでしょうか。(参考)米川泉子(2013),「絵本と児童文学のはざまにある幼年童話を考える」, 聖霊女子短期大学紀要, 第41号, pp. 81-91.Googleブックス|『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』書籍のプレビュー
2019年02月08日先行きが見えないといわれる時代――。ただ単に学校での勉強ができるのではなく、さまざまな力を伸ばしてあげたいと考えている親御さんも多いはずです。そんななか、学校の勉強だけでは学べない力を身につけるために効果的なものとして、「旅を通じておこなう子ども教育」、「旅育」が注目されています。その第一人者である旅行ジャーナリスト・村田和子さんに、旅育とはどんなものなのかを教えてもらいました。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)旅育の本質は「親子のコミュニケーション」一般的に旅育といった場合、旅先での子ども向けの体験プログラムを指す場合が多いように思います。ただ、わたし個人としては、「旅を通じておこなう親子の関わり方」こそが旅育の本質だと考えています。わたしがひとり息子と一緒に旅をするようになったのは、息子が生後4カ月のときからでした。非日常の世界でとびっきりの笑顔を見せる様子を見て、「どうせならいろいろなところへ一緒に旅したい」と思って、息子が9歳のときまでに47都道府県をすべて踏破しました。ただ、親子での旅をはじめたときから、旅育を意識していたわけではありません。はじめての子育てがとにかく大変で……自分のストレス発散のために旅に出たというだけのことでした。ところが、子どもと一緒に旅をすると、いろいろな発見があった。こうして、旅を通じた教育というものを意識するようになったのです。そしてこの旅育は、いまの時代にこそ必要性を増しているように感じています。教育においてもビジネスにおいても、その重要性が声高に叫ばれているもののひとつが「グローバル化」です。でも、いまの子どもが考える世界というものは、むしろ以前より狭くなっていると感じるのです。子どもにとっての世界は日常の延長でしかない子どもにとっての世界をつくるのは、子どもが出会う大人たちです。いま、日常生活で子どもが出会う大人というと、親、学校や幼稚園の先生、お友だちのお母さんくらいのものでしょう。核家族化が進み、おじいちゃんやおばあちゃんと日常的に接することも少なくなりましたからね。ましてや親は、子どもの安全のために「知らない人と話しちゃいけない」としつけます。一方、わたしが子どもの頃は地域のイベントが頻繁にあって、買い物をするのも近所の商店街。お店のお兄ちゃんやお姉ちゃんのことを好きになったり、あるいは口うるさいおじさんがいたりと、親以外のいろいろな大人に関わり、そういう大人に自分の存在を認めてもらったり、時に叱られることもあたりまえでした。私も母親になってわかりましたが、子どもというのは、自分が住んでいる日常が延々と広がっているものが世界だと思っています。となると、いまの子どもたちが考える世界は、以前と比べて単一的で狭くなっていることは間違いありません。だからこそ、あえて、もっと広い世界やさまざまな価値観を見せてあげる必要があると思うのです。親子で旅に出ると、親も気づいていなかった子どもの良さを褒めてくれる人にも出会います。そうすると、子どもは「自分にはこんないいところがあるんだ」と自信を持ちますし、「そういう見方もあるんだ」と親にとっても勉強になる。そういう「世界の広さ」「多様性」に気づかせるという意味で、子どもたちにはいまこそ旅育が必要だと思うのです。子どもに対する親の究極の願いを旅がかなえるまた、世界の広さや価値観の多様性に気づくことは、子どもが幸せな人生を送ることにもつながります。いま、グローバルな考え方と同様に、これからの子どもたちに必要なものとして挙げられるのが「生きる力」です。新しい学習指導要領では、それを育むために「生きて働く“知識・技能”」「未知の状況にも対応できる“思考力・判断力・表現力等”」「学びを人生や社会に活かそうとする“学びに向かう力・人間性”」の3つを偏りなく育成することが重要だとしています。これらをすべて持ち合わせていれば、確かに素晴らしく理想的な人間です。でも正直なところ、「では親としてどうすればよいか?」と考えると、戸惑うこともあります。そこで、教育現場とは別に、親として「息子にどう生きてほしいのか」とわたしは考えてみたのです。すると、答えはとてもシンプルでふたつに絞れました。ひとつは「自分らしく、豊かで幸せな人生を送ること」。それから「夢や理想を持ち、それに向かって歩むこと」です。親が子どもに願うものは、健康に育ってほしいということは当然として、究極にはこのふたつに行き着くのではないでしょうか。まわりからどんなに幸せに見えても、本人が幸せと感じられなければ、幸せな人生とはいえません。また、現状の幸せに満足してしまうとチャレンジ精神を失うことになりますから、より良い人生を歩むためにも夢を持って進む力も手に入れてほしい。欲をいえばきりがありませんが、これらを子どもが満たしてくれれば親としても大満足だと思いませんか?そして、このふたつを満たすためには、それこそ世界の広さや価値観の多様性を知っておくことが大切です。いろいろな世界や価値観を知ることで、誰かに決められて凝り固まった幸せではなく、子どもそれぞれの幸せや夢、理想というものを見つけていくことができるからです。『家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ 旅育BOOK』村田和子 著/日本実業出版社(2018)■ 旅行ジャーナリスト・村田和子さん インタビュー一覧第1回:子どもの人生は“旅”で幸せになる。いまの時代こそ親子で旅に出るべき理由第2回:旅先での行動は“親子別々”に。“親の不在”が深める子どもの「自信」(※近日公開)第3回:旅の計画には“正解がない”。子どもの「考える力」を育む旅行プランの立て方(※近日公開)第4回:忘れてはいけない“旅の記録”。旅先での成功体験を思い出すたび「自己肯定力」が高まる(※近日公開)【プロフィール】村田和子(むらた・かずこ)1969年8月29日生まれ、神奈川県出身。旅行ジャーナリスト。2001年、生活情報サイト「All About」運営スタート時に旅行情報のガイドに就任したことを機に執筆活動を開始。モットーは「旅を通じて人・地域・社会が元気になる」。現在は家族旅行を応援する旅行情報サイト「家族deたびいく」を運営しながら、消費者視点での旅の魅力や楽しみ方を年間100以上の媒体で紹介する他、旅行に関する講演、旅行サイトや宿泊施設のコンサルティングもおこなう。得意なテーマは旅育、家族旅行、ひとり旅、記念日旅行、ヘルスツーリズムなど。特に旅によって子どもの生きる力を育む旅育を村田式教育メソッドとして著書等を通じて啓蒙を進めている。一児の母。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年02月08日下の子が1歳に届くかどうか、という時期に、心不全を起こしました。まだ小さな子供の体に2度の心臓の手術が行われ、集中治療室に2ヶ月ほど入ることになりました。命の保証はできないと、お医者さんが難しい顔をするようなコンディションで、私と夫は交代で電車を乗り継いで、1時間以上かかる病院へほぼ毎日通うことになりました。下の子供のことも心配でしたが、ちょうどその頃小学校2年生になるかならないかの年齢だった上の子供のことも、心配でたまりませんでした。集中治療室に入れるのは、親と祖父母だけ。たとえ兄弟であっても、就学年齢にあたる上の子供は入ることができません。学校で病気をもらっていたりしたら、集中治療室の他の子供達の命が危ないからです。ある日突然弟が入院したかと思ったら、一度も顔を見ることができず、生死が危ぶまれる。7歳の子供には理解をすることも難しいですし、とても「怖い」経験でもありました。本当だったら生や死については、もっと年齢が行ってから、ゆっくりと話し合おうと考えていました。けれど、そんなことができないくらいのスピードで、下の子の病状は悪化していきます。弟が死ぬかもしれないということ、死ぬとはどういうことなのか、話をしないわけにはいきませんでした。親が毎日帰りが遅くなるのも、子供にとっては辛いことでした。どんなに頑張っても、家庭の空気は緊張してしまいます。そんな時にイギリスの家族のもとから届いたのがパトリス・カーストのThe Invisible String、『目に見えない糸』(本邦未訳)です。そばにいなくても、遠く離れていても、愛情が伝わる糸が人の間にはあるのよ、と絵本の中でお母さんは子供たちに言い聞かせます。もしも、死んでしまったとしても。派手に売れているわけではありませんが、長い間、苦しむ子供たちを支えてきた、隠れたベストセラーなのだと知ったのは、幸い下の子供が健康を取り戻した後のことでした。著者パトリス・カーストは、学校へ行くことを怖がっていた息子のために、この本を書いたといいます。親と離れるのが怖い小さな子供の不安を、やさしくほぐしていくこの本は、結果的に入学だけでなく、引っ越しや親の離婚、死別など、子供が出会うかもしれない多くの「別れ」の不安と悲しみを和らげてくれる本として、多くの子供たちを癒してきました。昨年の冬に、新装版が出版されました。今まではハードカバーだけだったのですが、新装版にはペーパーバックもあり、手に取りやすくなりました。大きなハート型のピンク色の風船と、そこから届く糸が印象的な表紙です。子供を取り巻く世界と「危機」正常な状態であれば、大人は子供を守ろうとします。けれど、大人がどれだけ手を尽くしても、子供が「子供の手に余るような難しいこと」と直面することはしばしばあることです。離婚、引っ越し、いじめ、死別。親としては、本当はあまりにも小さい時期に、子供にそんな思いをさせたくはありません。けれど、不幸にして、子供にとって理解が難しいような困難に直面してしまうことも、残念ながらあるのです。大人にとっても向き合うのが難しい、こういった感情を子供たちが乗り越えていくための手助けになるような本があります。先日『みんな違って、みんないい。違いを恐れない子に育てるための「多様性」を学べる絵本』でご紹介した『いろいろいろんなかぞくのほん』では、本当にさりげなく、幸せでない家族もいるんですよ、というメッセージが入っています。同じ著者が書いたThe Great Big Book of Feelings (『いろいろいろんなきもちのほん』本邦未訳)もまた、様々な感情について、子供たちにサポートを与えてくれます。怒りや、嫉妬はどんな感情なのか。気持ちを持て余した時にはどうすればいいのか。たとえば図書館の閉鎖への抗議運動のように「良い怒り」もあるんですよ、と説明した後で、手短に「怒りで人を傷つけないためにはどうすればいいのか」が載っています。非常に初歩的な、感情のコントロールの手ほどきになっているとも言えるでしょう。親の別離を経験した子供の心に寄り添う絵本離婚率の高いイギリスでは、親の離婚、別離にまつわる絵本も豊富です。日本でも現在、1000組の結婚で、約5組が離婚するということがわかっています。1960年代には1000組に2組程度でしたから、2倍以上です。イギリスでも日本でも、親の離婚や離別は、子供にとって珍しいことではなくなってきているのかもしれません。もちろん、離婚が一概に子供にとって悪いことだとは言えません。イギリスでは、親の離婚や別離を経験した子供達の実に82%が、「親は自分のために一緒にいるよりも離婚してよかった」と考えているという調査結果もあります。それでも、親の別離は、子供にとって大きな変化をもたらします。親が別れた場合、両親が共同親権を持って、2つの家を行ったり来たりしながら育つことが多いですから、子供にとっては今までの生活がぐらりと変わることになります。こうした子供達の心に寄り添うための本が必要ですし、それなりの数出てきています。Mum and Dad Glueという絵本をご紹介しましょう。主人公の少年は、両親の別離を受け止められずに、接着剤を探しにいきます。ママとパパの関係を直したい!別れて欲しくない。一生懸命接着剤を探す少年に、接着剤やさんのご主人は声をかけます。パパとママは一緒ではなくなるかもしれないけれど、パパとママのあなたに対する愛情は壊れないのよ。ずっとずっと。独特な絵柄が可愛らしいだけでなく、お父さんとお母さんが別れることで世界が全部壊れてしまっているように見える子供の気持ちをよく表しています。離婚した親の子供がよく抱きがちな「自分が悪い子だったから、お父さんとお母さんは別れちゃったんじゃないか」という気持ちにも触れています。比較的平易な英語で書かれているので、英詩のリズムも楽しめます。英語読み聞かせ動画はこちら。テレビで放送されたのではないでしょうか。読み聞かせの時に「この子のせいなの?」「もちろん違うわ」といったような会話も入ります。イギリスの国民的絵本作家×谷川俊太郎さん訳の名作以前『もっとも “英語らしい音” は絵本の中に。読み聞かせで味わう英語の「リズム」と「イントネーション」』にて、イギリスの子供たちに愛されている絵本We’re Going on a Bear Hunt『きょうはみんなでくまがりだ』をご紹介しました。その作者であるマイケル・ローゼンによる、Sad Book『悲しい本』という作品があります。著者本人の息子、エディーが18歳で亡くなった後の悲しみを切々と綴った本です。子供向けに売られてはいますが、ローゼン本人は「すべての人のための本」だと言っています。にっこり笑っている絵に「こうしている時も悲しい」と説明がついていたり、と悲しみを持て余してしまう苦しさを淡々と描いていきます。児童書作家のローゼンが子供たちと自分の息子の死について話した後に生まれた本で、英語版は5歳から7歳向けとなっていますが、題材が重いものですから、子供によっては辛いと感じるかもしれません。お子さんに与えるのであれば、一度確認したほうがいいと思います。とはいえ、非常に優れた絵本です。日本語訳は詩人の谷川俊太郎さんが手がけています。みんなと同じことができなかったとしても最後にもう一冊、水が苦手なワニの子供が主人公である、The Crocodile Who Didn’t Like Waterをご紹介しましょう。みんなと同じことができないワニの子は、心配したり悲しんだりしますが……。『みにくいあひるの子』の現代版と言ってもいいようなこの本。みんなができることができない、というしょんぼりとした気持ちを勇気付けてくれます。わくわくドキドキするような物語も素敵ですし、ハッピーエンドの物語もとても素晴らしいものです。頑張って、自分だけできなかったことが、できるようになった、という物語も素敵ですね。けれど、どんなに頑張ってもどうしても苦手なものがある時には、この本がそっと子供を支えてくれることでしょう。「みんなと一緒」ではない子供の個性が肯定される物語が必要な子供も、クラスに何人かはいるはずです。悲しいのにうまくSOSを出せなかったり、辛いのに笑ってしまったり。大人と同じように子供の世界も、波風から守られているわけではありません。今は必要ないかもしれません。けれど、もしも何かが起きた時、実は子供を助ける本も数多く書かれています。そばにある辛さとむきあっていけるように。子供の手助けをする本は、すぐそばにあるかもしれません。(参考)Patrice Karst, The Invisible String, (Devorss & Co, 2000)メアリ ホフマン 著, 杉本 詠美 訳(2018),『いろいろいろんなかぞくのほん』,少年写真新聞社.Mary Hoffman, The Great Big Book of Feelings, (Frances Lincoln Children’s Bks, 2017)Kes Gray, Mum and Dad Glue, (Hodder Children’s Books, 2010)Michael Rosen, Sad Book, (Candlewick, 2008)マイケル・ローゼン 著, 谷川 俊太郎 訳(2004),『悲しい本』,あかね書房 .Gemma Merino, The Crocodile Who Didn’t Like Water, (Macmillan Children’s Books, 2013)May Bulman, “Divorce rate for heterosexual couples hits 45-year low, figures show”, Indipendent 26 September 2018.,厚生労働省、平成29年(2017)人口動態統計(確定数)の概況、平成30年9月7日、Owen Bowcott, TChildren of divorce: 82% rather parents separate than ‘stay for the kids’, Guardian, 22 Nov., 2015.国立社会保障・人口問題研究所「表6-11 性,年齢(5歳階級)別有配偶者に対する離婚率:1930~2015年」『人口統計資料集2018年版』
2019年02月07日才能や素質は生まれ持ったもので、いくら努力しても才能や素質がなければダメ……と思っている方も少なくないはず。ところが世の中には、生まれ持った才能や素質はそれほどでもないのに「成功者」と呼ばれる人たちが数多く存在します。彼らに共通する成功の要因――それは「GRIT」(やり抜く力)です。自分で考え、選び、そして行動するとき、あるいは何かをやってみたけれどうまくできずに挫けそうになっているとき、GRITが十分に備わっていれば、子どもたちは壁を乗り越えることができるでしょう。GRITは生まれ持った能力ではなく、今からでも家庭で身につけさせることができるのです。これからの時代、お子さんに持っていてほしいGRITの力がどんな場面で発揮されるか、またGRITはどうしたら身につけられるのか、例を挙げながらご紹介します。世の中の成功者に共通する「GRIT」(やり抜く力)とは?「GRIT」は、Guts(度胸)、Resilience(復元力)、Initiative(自発性)、Tenacity(執念)の4つの頭文字をとった言葉で、やり抜く力のことを意味しています。ここ数年、アメリカでは、これまでに考えられてきた「才能」「知性」に加えて成功者に共通する要素として注目されています。例えば、プロ野球のイチロー選手は、天賦の才という言葉だけでは説明しきれない大記録を次々と打ち立ててきましたが、彼自身、「僕を天才と言う人がいますが、僕自身はそうは思いません。毎日血の滲むような練習を繰り返してきたから、いまの僕があると思っています。僕は天才ではありません」(引用元:児玉光雄 著(2012),『天才・イチロー逆境を超える「言葉」』,イースト・プレス.)と発言しているとおり、強い気持ちで不断の努力を続けてきた結果だということは多くの人が認めるところです。また、世界的な「成功者」の中でも、FacebookのCEOマーク・ザッカーバーグ氏は「信念とグリット」がビジネスでの成功のカギだと言ってますし、バラク・オバマ元アメリカ合衆国大統領もスピーチの中で何度も「GRIT」という言葉を使っています。国内に目を向ければ、古くは江戸時代に全国各地を歩いて測量した伊能忠敬や本田技研の創業者、本田宗一郎も並外れたGRITの持ち主です。そして最近では、ノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学iPS細胞研究所所長の山中教授が「9回失敗しないと、なかなか1回の成功が手に入らない」と語っています。このように、世の中の成功者にはGRITが備わっているのです。特別な才能や知性がなくてもGRITが強ければ成功できるやり抜く力や粘り強さを表わすGRITという概念自体は、目新しいものではありません。ここ数年で注目されている理由のひとつに、心理学を専門とするペンシルバニア大学のアンジェラ・ダックタース教授が行なった研究結果があります。彼女は、さまざまな分野で成功している人は誰か、また成功した理由は何かを調べました。対象者には以下のような人たちを選び、「GRITの高さ」と「成功」との関連性を証明するに至ったのです。・アメリカ陸軍士官学校の士官候補生・単語のスペルの正確さを競う大会「ナショナル・スペリング・ビー」での優勝者・教育困難なエリアという過酷な現場で働き続けて生徒の学力を伸ばした教師・民間企業のトップセールスマンこの研究で彼女は、才能や知性がある人が必ずしもGRITが強いというわけではないこと、逆にそれほど目立った才能を持っているとはいえない人でも、GRITが強ければ成功しているということを明らかにしました。つまり、才能や知性にあふれた特別な運命のもとに生まれなくても、やり抜く力や粘り強さにあふれていれば成功への道筋を切り開けるというわけです。さらに、このGRITは生まれ持った特別な能力ではなく、誰でも今から伸ばしていくことができる力だといわれています。もちろん、子どもだけでなく私たち大人も、今日からトレーニングをすればGRITを高めていくことができます。家庭でできる、GRITを伸ばす習慣4つお子さんの「やり抜く力」を伸ばしてやりたいと考えているのであれば、ご自身のGRITにも目を向けて、一緒に高めていくことを考えることをおすすめします。親が目標に向かって頑張っている姿は、子どもにとって一番身近なお手本であり、勇気づけられるものです。ダックタース教授のご家庭では、お子さんと一緒に次の4つのルールを課しています。【1】家族全員(親も)ひとつは “ハードなこと” に挑戦するダックタース家では、家族がそれぞれヨガやランニング、ピアノなど「意図した練習」が必要となる“ハードなこと”を決めて挑戦しているそうです。皆さんも、例えば「毎日30分、本を読む」「1年間、スイミングに休まず通う」「最寄り駅の1つ前で降りて通勤する」のような、やってみよう、やらなければと思っていることに家族全員で挑戦してみてはいかがでしょうか。【2】“ハードなこと” は自分で選ぶどんなことに挑戦するかは、自分で選びます。人任せにしないことで発言に責任がうまれ「やり抜く力」が伸びるからです。できないことや興味のないことを親に言われたからといって続けても意味はありません。それぞれがよく考え、ときには家族で相談し話し合い、最終的には自分で決めることが大切です。【3】 “ハードなこと” は変えてもいい一度、決めて始めてみたけれど続かないこともあります。その場合、他のものに変えてもいいというルールにしているそうです。ただし、それには「区切りのいい時期までは続ける」という条件があります。習い事であれば発表会や大会まで、スポーツジムなどであれば入会月や年度末といった区切りのいいところまでは続けることで「やり抜く力」を高めます。【4】高校生になったら、“ハードなこと” を2年間は続けなければならない小さいうちは、挑戦に粘り強く取り組むことも難しいかもしれません。【3】の区切りのいい時期も、大人からすれば「あっという間」の期間になることもあります。それでも、区切りを決めた期限まで「やり抜く」ことができたら、きちんと評価し褒めてあげましょう。そして、ある程度成長したら区切りのいい期間を長くします。まずは、難しそうでもやってみようと思い(Guts:度胸)、ちょっとくらいうまくいかなくても続けて(Resilience:復元力)、自分が決めたことを(Initiative:自発性)、決めた期間までは最後までやり遂げる(Tenacity:執念)ことが、GRITそのものを伸ばします。***果たして、自分にはどれくらいのGRITがあるのだろうと興味をもったら、10の質問に5段階で答える「グリッド・スケール」という指標でスコアチェックしてみてはいかがでしょうか。これはダックワース教授が研究で使ったスケールで、著書『やり抜く力――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』に紹介されています。(参考)Study Hackerこどもまなび☆ラボ|才能よりも大切な「GRIT」!子どもの “やり抜く力” の育て方 ~家庭内ルール~BizHint|グリットHR NOTE|「GRIT」とは何か?成功者に共通するのは「才能」じゃなく「やりぬく力」DIAMOND online|子どもの「グリット」がみるみる上がる4大家庭ルールリンダ・キャプラン・セイラーロビン・コヴァル(著)三木俊哉(訳)(2016),『GRIT(グリット)平凡でも一流になれる「やり抜く力」』, 日経BP社.アンジェラ・ダックワース(著)神崎朗子(訳)(2016),『やり抜く力――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』,ダイヤモンド社.児玉光雄 著(2012),『天才・イチロー逆境を超える「言葉」』,イースト・プレス.Angela Duckworth|Grit Scale
2019年02月06日「脱・ありきたり」で作文に余韻を残す前回(第9回)お届けした「“書き出しのパターン”12選」では、「書き出し」に工夫を凝らすだけで、ひと味違った作文になることに気づいてもらえたのではないでしょうか。さて、連載最終回となる今回は、作文の「締めくくり」のパターンを紹介します。多くの子どもが「書き出し」同様、「締めくくり」にも、工夫を凝らしていません。いえ、そもそも、子どもは、「締めくくり」の重要性に気づいていません。書くことに精一杯という子どももいるでしょう。しかし、作文の「締めくくり」は、単に「文章の終わり」ではありません。読む人の読後感(余韻)を左右する極めて重要なパートです。多種多様な「締めくくり」を子どもの目に触れさせて、その重要性や魅力に気づかせてあげることは、お父さんお母さんの役目ともいえます。もちろん、本記事でも、多種多様な「締めくくり」の例を紹介していきます。ぜひお子さんと一緒に読み上げるなどしてみてください。【「平凡な締めくくり」の例】お題:遠足平凡な締めくくり:とても楽しい1日でした。平凡な締めくくり:またいつかあそびに行きたいと思います。お題:お母さん平凡な締めくくり:というわけで、わたしのお母さんは、とてもやさしいです。平凡な締めくくり:しょうらい、わたしもママのようになりたいです。お題:好きな食べ物平凡な締めくくり:これからもオムライスをたくさん食べたいです。平凡な締めくくり:やっぱりわたしはオムライスが好きです。お題:学校平凡な締めくくり:だから、ぼくはこのがっこうが大好きです。平凡な締めくくり:これからも、お友だちといっしょに、たくさんあそびたいです。お題:読書感想文平凡な締めくくり:もういちどよみたいと思います。平凡な締めくくり:友だちにも、おすすめしたいです。「平凡な締めくくり」と書きましたが、決してこれらの締めくくりがいけないわけではありません。いずれも作文をていねいに終わらせています。そもそも「締めくくり」の良し悪しは、作文の内容との関係性によって決まるものなので、「締めくくり」の例だけをお見せして「平凡」といってしまうのは乱暴でもあります(全文をお見せできずすみません!)。とはいえ、上記の例文が、平凡な雰囲気を漂わせる「締めくくり」であることには多くの方が同意するのではないでしょうか。読みやすく理解しやすい作文かもしれませんが、“その子らしさ”が光っている印象を受けません。作文の「締めくくり」に使えるパターン22選では、「平凡」とは一線を画す「締めくくり」のパターンを紹介しましょう。【1】「自分が叫んで」締めるぼくはさいごに、こうさけびたいです。「くそー、次のしあいでは、かならずオレが得点を決めてやる!」はずかしいけど、もう一度言わせて。「だれか〜、わたしのことを助けに来て〜!」【2】「誰かの言葉」で締めるコーチがわたしのかたをたたいて言いました。「よくがんばったな」コウタくんが目をキラキラさせてぼくに言ったのです。「オレにまかせておけ!」【3】「ため息」で締めるやれやれ、じごくのような1日が、ようやくおわりました。ふ〜う、校門を出たら、どっとつかれました。【4】「自分をホメて」締めるあれっ、わたしって、もしかしたら天才かも?自分で自分にハナマルをつけてあげたいと思います!【5】「反省して」締めるもう、二度とウソはつきません。はい、そうじはサボらないと、ここで約束します。【6】「決意」で締めるよし、あしたから早おきして、ランニングをするぞ。次のテストでは、ぜったいに100点をとってやる!【7】「質問・疑問」で締めるわたしのこの考え方が、まちがっているのだろうか?先生、くやしいときに泣くことって、いけないのでしょうか?【8】「余韻を残して」締めるたぶん、きのうよりは、かしこくなっているはずだが……。さてさて、明日の本番はどうなることやら……。【9】「ギャグ」で締める引っこしたら、次こそ、小さくてかわいい犬をかいたいワン。オレも男だ。ゾウのように大きな心をもてるよう、がんばるゾウ。【10】「嘆き」で締める真冬のマラソン大会だけは、かんべんしてほしい。さんすうのしゅくだいは、もうコリゴリだ。【11】「キーワード+感嘆符」で締めるやき肉たべほうだい、バンザイ!大谷せんしゅ、さいこう!【12】「自分ツッコミ」で締めるあしたのきゅうしょくのメニューはこれで決まり。って、わたしはシェフか!それでは、おにゃさす!って、ぼくはカジサックか!【13】「シーン」で締めるふりかえると、ピューっと強い風がふいて、だれものっていないブランコがユラユラとゆれていました。声がするほうにかおを向けると、ずっと遠くのほうで、お姉ちゃんが手をふっているのが見えました。【14】「たとえ」で締める大きなタワーが、まるでエンピツのように見えました。それはまるで、でっかいたいようが、空いちめんに、オレンジ色の絵の具をまきちらしたかのようでした。【15】「ことわざ」で締めるこういうのを「たなからぼたもち」というのでしょうか。ああ、これが「月とスッポン」ってやつか。【16】「『もしかしたら』や『ひょっとしたら』」で締めるもしかしたら、正しいのは、ぼくではなく、弟のほうだったのかもしれない。ひょっとしたら、しょうらい、彼は、そうりだいじんになっているかもしれないぞ。【17】「なぜなら」で締めるなぜなら、私は学級いいんちょうだからです。なぜなら、しょうらいぼくは、うちゅうひこうしになるからです。【18】「けっきょく」で締めるけっきょく、ぼくらの作った作品は、選ばれませんでした。けっきょく、わたしの願いはかないませんでした。【19】「つまり」で締めるつまり、ぼくらは負けたのだ。つまり、わたしたちは、生かされている、ということです。【20】「だから」で締めるだから、歯いしゃさんはキライです。だから、ぼくは日記を書き続けているのです。【21】「そう」で締めるそう、これがわたしの正体なのだ。そう、ぼくこそが、ヒーローになりそこねたザンネンなやつなのだ。【22】「慌てて」締めるあっ、ママがかえってきた。作文はここまで。しまった、もう書くスペースがない。おわらせてもらう。文章の「書き出し」同様に、「締めくくり」にも、さまざまなパターンがあります。最後の「『慌てて』締める」などは、少しズルい終わり方のようにも感じます。しかし、10歳未満の子どもにしてはウィットに富んでいると思いませんか?注意するどころか、おもいきりホメてあげたい「締めくくり」です。もちろん、「締めくくり」のバリエーションは、子ども自身が、さまざまな「締めくくり」に出合いながら、少しずつ増やしていくものです。個性的な「締めくくり」や魅力的な「締めくくり」を目にしたら、どんどん取り入れてマネするよう伝えてあげてください。一度使った「締めくくり」は、子ども自身の“引き出し”になるはずです。その“引き出し”は、その後も長きに渡って、その子の作文を手助けしてくれることでしょう。人と違う「締めくくり」をホメよう作文の「締めくくり」には、漫才や落語でいうところの「オチ」の役割もあります。不思議なもので、中身がやや平凡でも、「締めくくり」がうまかったり、個性的だったり、気が利いていたり、目を引いたりすると、作文全体の印象がよくなるものなのです。もちろん、一発で会心の「締めくくり」を書くのは、大人でも簡単にできることではありません。「書き出し」と同じく、書いた文章を読み返すときに、再検討するクセをつけましょう。「平凡な締めくくりはイヤだなあ」。子ども自身にそういう気持ちが芽生えたとき、その子の作文能力は、急激に伸びていくはずです。たくさんのパターンで「締めくくり」を書いていくうちに、自分の得意な「締めくくり」を手にする、あるいは、作文のテーマや内容、文体の硬軟などによって、最適な「締めくくり」を選べるようにもなるでしょう。お友だちと違う「締めくくり」は、その子にとっての宝物です。親御さんは、その宝物こそを大事にしてあげてください。
2019年02月06日「頭がいいのに、空気が読めない」「高学歴なのに、なかなか就職先が決まらない」——そんな大人が周りにいませんか?もしかしたら彼らは、IQが高くてもEQが低いのかもしれません。EQとは、IQと並び能力を示す指標のひとつで、「心の知能指数」とも呼ばれているものです。そんなEQの育成には、幼少期の親の「愛」が不可欠といわれています。では、親はどんなことを心がければいいのでしょうか。EQとは何か、なぜ「愛」が必要なのかを踏まえ、ご紹介していきたいと思います。学びのモチベーションを左右するEQEQは比較的新しい概念で、注目度は高いものの、その定義はまだはっきりしていません。現時点で、EQ研究者が提唱していることは、EQの高い人は自分の感情を上手にコントロールできるということです。EQの高い人は、「明るい」「嬉しい」「楽しい」「意欲」「安らぎ」「やる気」といった、前向きかつ積極的な感情を生み出すことができるといわれています。それらの感情は、前向きな思考、前向きな行動を引き起こすことにつながります。例えば、仕事で失敗してしまったとき、「次はこうしよう」と改善策を考えたり、「もう1回やってみよう」とチャレンジしたりできるのがこのタイプ。逆に、「もうだめだ」とすぐに諦めたり、「こんな仕事を任せるほうが悪い」と他人のせいにしたりしてしまう人は、EQが低いのかもしれません。こうしたことは、子どもにも当てはまります。テストで実力が発揮できなかったとき、「次は頑張ろう」と思えるか、「もう嫌だ」となってしまうか……。EQの高さにより、その後の学びに対するモチベーションが180度変わる可能性があるのです。EQ向上のポイントは「幼少期」と「親」EQは、「非認知能力」のひとつといわれています。非認知能力とは、IQなどの数値化できる能力ではなく、内面的な能力のことです。今、こうした能力が日本で注目されており、2018年4月施行の学習指導要領では、資質・能力の3つの柱のひとつ、「学びに向かう力・人間性等」に位置づけられています。では、いつどうすれば健やかな非認知能力を身につけられるのでしょうか。教育経済学の研究者ジェームズ・ヘックマンさんは、幼少期が勝負だといいます。ヘックマンさんの主張は大きく2つです。ひとつは、子どもの教育に国が公共政策としてお金を使うなら、就学前の乳幼児期がとても効果的だということ。もうひとつは、幼少期に非認知的な能力を身につけておくことが、大人になってからの幸せや経済的な安定につながるということです。(引用元:すくコム NHKエデュケーショナル|世界で注目される非認知的能力って?)非認知能力の育成には、親の接し方が大きく影響するといわれてます。具体的には、親は何をすればいいのでしょうか。教育学・育児学を専門とする白梅学園大学学長の汐見稔幸さんは、「無条件の愛を与えてあげること」といいます。無条件で愛されている、いつだって助けてくれるという基本的な信頼感と安心感を育てることです。(中略)この安心感と、親に見守られてやりたいことをやる中で、非認知能力の基礎ができていきます。(引用元:はぐくむ|1~3歳が大事!「非認知能力」が未来を生き抜く子供たちに必要です!)つまり、自分の子どものEQを高めたいと思うなら、まずは幼少期からたっぷり愛情を伝え、「信頼感」と「安心感」という土台を築かなければならないのです。EQを高める親の愛情表現2つ「もちろん、子どものことは愛している。でも、どうやって愛情表現をしたらいいかわからない」という親御さんもいるでしょう。意識せずとも自然に愛情を伝えられる人は、決して多くはありません。そこで、簡単にできて子どもに伝わりやすい愛情表現の方法を2つご紹介します。■言葉で伝える親から子どもへの愛情は、「わざわざ口に出して言わなくても伝わっている」と思われがちです。しかし、子ども本人からすれば、本当に愛されているのか、疑問に思ったり不安になったりすることもあります。親が忙しそうに夕食の準備をしているとき、「ママはなんだか僕の話を聞いていないみたい。もう僕のことを好きじゃないのかな……」と考えてしまうなど、子どもの心はとても繊細なのです。ですから、日常的に言葉で伝える習慣を身につけておくとよいでしょう。例えば、朝起きたときに、「今日も大好きだよ」と言うようにしたり、親子愛をテーマにした絵本を読み聞かせながら、「ママも○○ちゃんのことをとても大切に思っているよ」と言ってみたり。日々の何気ないひとときに、さりげなく言うくせをつけるといいのではないでしょうか。子どもの年齢によっては、照れくさそうにするかもしれません。でも内心はとても嬉しいのです。子どもにしっかり伝わるように、愛情は「言葉」でたくさん伝えてあげてください。■スキンシップをはかるスキンシップは、愛情を伝える重要な一手段です。親であれば、子どもが小さい頃から、意識せずとも抱っこしたり、ほっぺにキスしたりしてきたかと思います。ただ、子どもの成長とともに、その機会が減ってきているという方もいるかもしれません。なかには、子どもが嫌がることもあるでしょう。その場合は、無理にベタベタする必要はありません。スキンシップにはさまざまなやり方があります。例えば、「遊びながらコショコショくすぐってみる」「褒めるときに頭を撫でる」「嬉しいことがあったらハイタッチをする」「おでこに触れて熱を測る」などといったさりげない行動も、スキンシップのひとつです。また、子どもと話をするとき、意識的に手を握ることで心を通わせることもできます。「△△って言われたお友だちはどんな気持ちになったかな?〇〇ちゃんがそう言われたらどんな気持ちがすると思う?」など、大切なことを子どもに言い聞かせるときは手を握ってみましょう。また、子どもから話を聞き出したいときも、しっかり手を握って話を聞いてみてください。言いにくいことであっても、少しずつ話してくれるかもしれませんよ。***子どもに自分の気持ちを伝えたり、子どもを思いきり抱きしめたり——親から子どもへ愛情表現することで、子どもだけでなく親自身も癒されたり、安心したりできるはずです。であれば、EQを高めるという目的がなくとも、日常的に行なっていきたいと思いませんか?そうして積み重ねられた親の愛情は、結果的に子どものEQを高め、前向きで豊かな人生につなげられるのではないでしょうか。(参考)高山直著(2003),『EQ こころの鍛え方』,東洋経済新報社.すくコム NHKエデュケーショナル|世界で注目される非認知的能力って?はぐくむ|1~3歳が大事!「非認知能力」が未来を生き抜く子供たちに必要です!All About暮らし|育て直しは何歳からでもできる効果的に伝わる子どもの愛し方絵本ナビ|親の愛情表現は子どもを世界一しあわせにする!『パパと ママの たからもの』PHPファミリー|親子のスキンシップが、かしこい脳をつくる!
2019年02月05日小学校に入学したら、学習の進みに合わせて辞書が必要になります。かつては紙の辞書を使うのが主流でしたが、最近は小学生から電子辞書を使うご家庭も多くなってきているようです。でも、紙の辞書と電子辞書を比べてみて、子どもにとってどちらの学習効果が高いのでしょうか。それぞれのメリットとデメリットをご紹介します。親世代に馴染みのある紙の辞書か、最新機能の電子辞書か!?学生の頃、一冊の辞書をボロボロになるまで使ったという経験はありませんか?お子さんが小学校に上がり、そろそろ辞書が必要かなというときに、まずは紙の辞書を購入するご家庭がほとんどでしょう。しかし最近では、中学受験で推奨されていることもあり、小学生から電子辞書を使うお子さんも増えてきています。CASIOが2015年に行なった調査によると、電子辞書を使っている子どもの70%以上が小学4年生~中学1年の間に使い始めているという結果が出ています。中学受験を始めるタイミングか、入学祝いなどのタイミングで購入して使い始めるというご家庭も多いのかもしれません。しかし、親御さんの中では、電子辞書に頼りすぎてしまうのを懸念する方もいるよう。そこで、紙の辞書と電子辞書のメリットとデメリットを比べてみましょう。紙の辞書は引く過程の中でも学び、使いこむ達成感も!国語辞典、漢和辞典、英和辞典、和英辞典など、子どもにとって必要な辞書は、学年が進むにつれて増えていきます。学校の授業でも辞書の引き方を学びますし、子どもに最初に買い与える辞書は、やはり紙の辞書が最適です。家庭学習をしていて、子どもが「〇〇ってどういう意味?」と質問してきたときも、親がすぐに意味を教えてしまうのではなく、「国語辞典で調べてみたら?」という声掛けをして、辞書を引かせる習慣をつけることも大切です。本棚にある紙の辞書であれば、サッと取り出してサクッと調べられるなど、手軽に引くのに便利ですね。また、ご両親世代にも馴染みがあるというのもメリットのひとつです。ネットで引いて意味を見つけることは、「他人の持っている情報を見せてもらった」ことと同じです。でも、紙の辞書ならば、情報と情報を結びつけて、自分のものにする力もつけてくれます。紙の辞書を繰り返し使うことによって、探す過程で間違ったり、思わぬ発見をしたり、行ったり戻ったりしながら、知識を自分のものにすることができます。(引用元:ベネッセ 教育情報サイト|中学生の英語辞書選び。紙の辞書と電子辞書の違い)太字は編集部にて施した電子辞書はボタンひとつで目的の単語に行き着くのに対し、紙の辞書はパラパラとページをめくって、行ったり来たりしながら、やっと目的の言葉にたどり着きます。その時間は一見無駄なように思えますが、そのように探す過程こそが、自分のものにするために必要なのです。そのほうが、より記憶にも残りやすいとも言われています。また、紙の辞書の場合、パッと開いたときに、自分が調べたい単語のほかにも、綴りが似た単語が前後にあるので、あわせて覚えることもできます。一度調べた言葉を蛍光ペンで印をつけたり、書き込みをしたり、付箋を貼ったり……。紙の辞書であれば足跡を残すことで達成感が感じられるでしょう。その積み重ねも決して無駄にはなりませんね。<紙の辞書>■メリット・辞書を引く手順をすることで、単語や意味を覚えやすい・機械のように壊れることがないので、長持ちする・使いこんでいく達成感がある・ラインを引いたりと直接書き込みができる・価格が電子辞書に比べて安い■デメリット・かさばるので持ち運びに不便・単語を引くのに時間がかかる・音声利用ができないので、発音などが確認できない辞書を引くだけじゃない、プラスアルファな機能も充実一方で、スマホやタブレットが身近にある子どもたちにとって、電子辞書は見た目にも魅力的。直感的に操作ができて、画面やボタンを押せば知りたい言葉や漢字、英単語が一瞬で出てくるので、遊び感覚で辞書を引くことができます。紙の辞書を引くのとは違い、時間をかけずに意味を知ることができるので、勉強時間が貴重になってくる受験時期には最適です。さらに、タブレットの操作などに慣れているお子さんであれば、電子辞書の操作もすぐに覚えることができるでしょう。また、「辞書で単語を引くのが面倒……」というお子さんでも、電子辞書なら喜んで使ってくれる場合もあります。「もっといろいろ調べてみたい!」というように、調べることへの意欲を持続できる、という点でも優れているでしょう。電子辞書のメリットは、たくさんの辞書を一つにまとめ、串刺し検索できること。いろいろな解釈を一度に学べるほか、紙の辞書とは違い、英語などの発音まで確認できる。また、英検などの問題集や図鑑も入っているのにコンパクトで軽く、子どもでも気軽に持ち運びができる。(引用元:日経トレンディネット|新学期、子どものための電子辞書の選び方英語が重要)電子辞書の最大の魅力は、ひとつの機器に複数の辞書が搭載されていること。国語辞典に漢和辞典、英和辞典など、何冊も持ち歩く必要はありません。また、英語学習でも活用できるのも魅力のひとつ。音声機能があるので、紙の辞書ではできない発音の確認などもできるのです。小学校で英語の授業が必須科目になったこともあり、これからますます取り入れるご家庭も増えてくるでしょう。ただし、選び方や与え方には注意点も。電子辞書は小学生低学年・小学生高学年・中学生など年代に合わせてラインナップが揃っているので、年齢に適したものを選ぶようにしましょう。さらに、電子辞書は2万円〜3万円ほどと高額なので、取り扱い方をきちんと伝えて、大切に使わせることも重要です。<電子辞書>■メリット・コンパクトで持ち運びが便利・いろいろな辞書が入っている・ボタンひとつで辞書を引くことができる・発音などが確認できる・子どもが楽しみながら辞書を引くことができる■デメリット・機械なので壊れることもあり、寿命がある・価格が高い・対象の年代があるので、将来的に買い換える必要がある***まずは、紙の辞書を買い与えて基本的な辞書の引き方を学んでから、子どもの性格や年齢に合わせて電子辞書を選んであげるのもいいでしょう。地道に辞書を引いて学習できる子もいれば、電子辞書で辞書を引く楽しさを実感する子もいます。どちらが子どもに適しているかは、そのご家庭の考え方や環境、そして子どもの性格によっても変わってきます。まずは、必要な時期に必要なアイテムを揃えてあげるのが、親としてできること。それぞれのメリット・デメリットを踏まえて、辞書選びをしてみてくださいね。文/内田あり(参考)日経トレンディネット|新学期、子どものための電子辞書の選び方英語が重要CASIO EX-wordベネッセ 教育情報サイト|中学生の英語辞書選び。紙の辞書と電子辞書の違い早稲田ウィークリー|なぜ「電子辞書」より「紙の辞書」なのか?
2019年02月04日“年末の大掃除” は、どうやら日本独特の習慣のようです。2009年にサウジアラビアで放映された『改善』という番組では、日本の学校で子どもたちが自ら校内を掃除する姿が紹介され、「すばらしい!」と大絶賛されました。日本では当たり前の光景ですが、欧米など海外の学校清掃は清掃員がやるのが普通で、「掃除」が果たす教育効果に改めてスポットが当たったのです。今回は、子どもの成長に大いに影響を与える掃除や片付けの効果を見直してみましょう。なぜ子どもは片付けられないのか?調査によると、家庭での子どもの片付けに対して満足いかない親は約8割、それによるストレスを感じている親は約9割にも上っています(2015年 野村不動産アーバンネット調べ)。そして、その2大理由は「使ったものを元に戻さない」「不要なものを捨てられない」です。ほかにも「ものを大切にする習慣がない」という理由もありました。どうやら、ただガミガミ「片付けなさい!」というだけでは効果はなく、“なぜ片付けなければいけないのか” を子どもに理解させる必要があるようです。人間の「脳」は秩序を好む!日本を飛び出し世界的な片付けブームを巻き起こした「こんまり」こと近藤麻理恵さん。現在アメリカをベースに活躍する彼女の片付け術がこれほどまでに受け入れられた一因に、片付けがもたらす心理的効果が認められたことがあります。掃除や片付けによって、メンタルの問題が解消され、生産性アップや肥満解消までもが達成されるという、いわば自己啓発的セラピー効果が評判を呼んでいるのです。まずは、汚い部屋がもたらす心理的影響を確認しましょう。(1)脳:人間の脳は秩序を好む乱雑な環境は人の認知能力と集中力を低下させることを、プリンストン大学(アメリカ)が2011年に研究結果として発表しています。つまり、散らかった部屋で勉強することは、とても効率の悪いことなのです。(2)身体:無秩序な環境はストレスを生み、身体に悪影響を及ぼす常に散らかった状況では、コルチゾール(ストレスホルモン)が分泌されることで不安が増長される傾向にあります。そのことが暴飲暴食につながったり、感染症や消化器官にも悪影響を与えたりすることもあるそうです。さらに、良い眠りの妨げになることもわかっています。(3)時間:頭と心の整理ができず時間が無駄に元の場所にものを戻さないため、どこに何があるのか把握できず、探し物が見つからずにイライラ。また、散らかっている状況は頭の整理もつきにくく、心理的にも落ち着かなくなるため、作業にも時間がかかってしまいます。掃除&整理整頓をして「生きる力」を身につけようまた、日本で学校掃除が実施されているのは、文部科学省が学習指導要領で定める「生きる力」を身につけるための一環。掃除や整理整頓の教育効果は国も認めているのです。では具体的にどんなメリットがあるのでしょうか。■責任感・自立心・自主性が生まれる「自分のことは自分でやる」習慣が大事です。■思いやりの気持ちを持てる掃除をすることで、きれいな状態を保つには手間と労力がかかることを知り、感謝の気持ちが芽生えます。■空間や時間の使い方を学ぶきれいな状態を保つことで、時間と空間をより効率よく使えるようになることが体感できます。きれいな状態が作業効率を上げるのは間違いないですが、その状態を保つ努力を自分自身ですることが、子どものメンタル面の成長をさらに促してくれることがわかりますね。モノの “住所” を決めて整理整頓を習慣化ドイツには、「人生の半分は整理整頓である」ということわざがあります。その心は、身の回りが整理されていることが人生に大いに影響するということ。ドイツでは、この精神を子どもの頃からしっかりと教えられるのだそうです。ドイツ人のお母様を持つ料理研究家の門倉多仁亜さんが推奨されている、“子どもも実践できる整理術” についてご紹介しましょう。【コツ1】「なぜ整理整頓しなければならないのか」を考えるただ「片付けなさい!」と叱るのは逆効果。“片付け=嫌なもの”という意識を子どもに植えつけかねません。「どうしてきれいを保たなければいけないのか」、その理由がひいては「自分が楽するため」とわかれば、自然と行動も変わるはずです。ドイツでは、使ったものは元に戻すことを徹底して教え、学校に行くときの持ち物準備も子ども自身の責任。大人が手伝うことはしないそうです。こうして、「自分のものは自分で管理する」クセが身についていくのです。【コツ2】「モノの住所」を決める掃除や片付けをするときの手間を省けるように、わかりやすく取り出しやすい収納を心がけることが肝心です。あまり細かく場所を指定しすぎないことも大事。例えば「勉強セット」なら、ボックスを決めてその中に入れることは徹底してやってもらいますが、箱の中はさほど気にしないこと。“ゆるめにざっくり” の余地を残しておくことが継続のコツです。(1) 一緒に使うものはまとめて収納「勉強セット」「ゲームセット」など用途ごとにまとめて。(2) 使う場所に収納リビングで使うものはリビングに、子ども部屋で使うものは子ども部屋に、が基本。例えば、洗面所の壁にほうきやモップをセットしておき、「汚れたときに、気付いた人が掃除しよう」と家族で共有しておくと、子どももお掃除に参加しやすくなります。(3) 取り出しやすく収納使う頻度が高いものほど、手が届きやすい場所に収納しましょう。【コツ3】「掃除&片付け」を習慣化いくら片付けを意識して生活したとしても、時間がなくて置きっぱなしになることもよくあるはず。そんなときのために、「片付けタイム」を設けて、まとめて掃除&お片づけを。タイミングは、夕食前や就寝前など毎日の習慣に付随して決めると、習慣化しやすいでしょう。【コツ4】指示は具体的にもし、子どもに掃除や片付けの指示をするなら、「本を本棚に戻してね」「テーブルを拭いてね」など具体的にしましょう。「本棚をきれいにしてね」はNGです。「きれいに」では、子どもには抽象的すぎて伝わりませんのでご注意を。その経験の積み重ねが、子どもが片付け上手になる道になります。【コツ5】成果を褒める「お片付け上手にできたね」「いつもきれいに拭いてくれてありがとう」など、そのつど必ず声をかけてあげてください。子どもは褒められたら嬉しくて「次もがんばろう!」と思うものです。モチベーションは継続の大きな力になります。 ***人気メンタリストのDaiGoさんも、著書『人生を思い通りに操る片付けの心理法則』の中で、片付けによる心理的効果が人生に与える影響について認められています。“捨てるものを決める” “手順を決める” “掃除の仕方を考える” など、「掃除と整理整頓は人生の疑似体験かも!?」と思える部分が多いことに気づきます。我慢、継続、思いやり、自主性、責任感。お掃除や整理整頓で身につく能力を挙げてみると、自己肯定感にもつながるものばかりです。“きれい好き” は遺伝でも性格でもなく、成長の過程に身につけられるもの。子どもの頃に習慣化しておくことが何より大事なようです。(参考)Newsweek|「こんまり」人気の深層—片付けは不眠や不安や肥満さえ癒すベネッセ教育情報サイト|「ドイツ式整理術」で片付けができる子に!ベネッセ|家族で年末の大掃除!子どものやる気を高める効果もアリベネッセ|なかなか片付けてくれない…片付けられない子どもへの接し方ノムコムwith Kids|子どものお片付けに関するアンケート結果発表サンキュ!|モノ・コト・時間からの解放。心に響く“フランス式片付け金言集文部科学省|第6章特別活動uncluttere.|Scientists find physical clutter negatively affects your ability to focus, process informationメンタリストDaiGo著(2017),『人生を思い通りに操る片付けの心理法則』,学研プラス.
2019年02月04日年齢が上がるにつれて、子どもたちの習い事の個数は増えているようです。習い事や通信教育に関する情報を提供するサイト「ケイコとマナブ.net」の調査結果によると、以下のデータが出ています。■未就学児ー1.62個■小学校低学年ー2.02個■小学校高学年ー2.14個この結果をどう考えればいいのでしょう?■参照コラム記事はこちら↓多すぎる習い事のデメリット。習い事の上手な選び方と削り方のコツ
2019年02月03日小さなお子さんをお持ちだと、「モンテッソーリ」という横文字を目や耳にすることが多いかもしれません。ご存知の方も多いでしょうが、これは「モンテッソーリ教育(モンテッソーリメソッド)」の通称。日本において、小学校入学前から子どもの能力を伸ばそうとする「幼児教育」の分野で人気です。皆さんの中にも、「子どもにモンテッソーリ教育を受けさせたいな」「モンテッソーリってどんな教育なんだろう」と考えている方は少なくないでしょう。そこで今回は、モンテッソーリ教育の特徴についてご説明します。モンテッソーリとはいわゆる「モンテッソーリ」とは、イタリア出身の医師マリア・モンテッソーリ(1870~1952)によって生み出された教育法です。モンテッソーリは、女性として初めてローマ大学の医学博士号を取得した才女。大学卒業後は知的障害を持つ子どもの教育に取り組み、知能を向上させることに成功しました。知的障害を抱えた子どものための教育を、障害を持たない子どもの教育にも活かせると考えたモンテッソーリは、1907年に貧困層向けのアパート内で開設された保育施設「子どもの家」の監督・指導に従事します。そこから生まれた教育法が、モンテッソーリ教育なのです。モンテッソーリ教育は21世紀の現代でも多くの人に支持されています。日本の有名人だと、中学生でプロデビューした高校生棋士・藤井聡太氏の通っていた幼稚園がモンテッソーリ教育を導入していたということで、近年はモンテッソーリ熱が高まっているようですね。モンテッソーリの思想とキーワードモンテッソーリを語るにあたって、避けて通れないキーワードがいくつかあります。マリア・モンテッソーリの思想とともにご紹介しましょう。自主性(independence)モンテッソーリにおいては「自主性(independence)」が非常に重視されています。とはいえ、「勉強しろと言わなくてもすすんで勉強できる子どもに育てる」といった程度ではなく、子どもが身の回りのことを自分でできるようにさせるのが大事なのです。モンテッソーリは著書において、自主性について以下のように述べています。子どもというのは、無力さという生来の特性のため、また社会における個人という特質のため、行動を制限する枷(かせ)に縛られています。自由(liberty)を基礎とする教育法というものは、子どもがこれら多様な障害を乗り越えるのを助けるべく、関与しなければならないのです。言い換えると、子どものトレーニングは、合理的な方法において、子どもの行動を制限する社会的な束縛を軽減するようなものでなければいけません。いかなる教育的活動も、幼児のトレーニングにおいて有効であろうとするならば、この自主性という道程において子どもが前に進むのを助けるものでなければいけません。私たちは、彼らが支えなしに歩き、走り、階段を上り下りし、落ちているものを拾い、自分で服を脱ぎ着し、自分で風呂に入り、はっきりとしゃべり、自分が必要としていることを明確に表現できるようになるよう、子どもたちを手伝わなければならないのです。子どもたちがそれぞれの個人的な目的と欲求を満たすことができるような助けを与えなければなりません。これら全てが、自主性のための教育を構成するのです。(太字による強調は編集部が施した)(引用元:Maria Montessori (1912), The Montessori Method, translated by Anne E. George, New York, Frederick A. Stokes Company.)モンテッソーリ教育を導入している「愛珠幼稚園」(世田谷区)の園長・天野珠子氏も、子どもの自主性を以下のように強調しています。「教具」についてはのちほど説明しましょう。子どもの自主性を尊重し、それを大人が気づき、手伝うことで子どもの自立につなげていく、ということをモンテッソーリ教育では大切にしています。そのためのひとつの手段として、さまざまな専用の教具を使うことが特徴の一つです。子どもたちは時期に合わせた教具を自由に選び、遊ぶことで、発達と自立をしていきます。(太字による強調は編集部が施した)(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|子どもの自主性を尊重し、集中力と柔軟な対応力を育む「モンテッソーリ教育」【愛珠幼稚園園長 天野珠子先生】)敏感期(sensitive period)子どもは大人の手を借りず、ひとりで物事をこなしてみたくなる時期があるもの。モンテッソーリ教育において、何をやってみたくなるのかは子どもの発達段階によって異なると考えられ、そのような時期は「敏感期(sensitive period)」と呼ばれています。環境心理学などを研究し、『幼児教育のための空間デザイン―モンテッソーリ教育における建築・設備・家具・道具―』(風間書房、2018年)を著した高橋節子氏によると、子どもは生まれつき「発達の法則」を持っているとモンテッソーリは考えていたそう。そしてその法則に基づいて、さまざまな敏感期が訪れるのだそうです。敏感期には以下のような例があります。言語の敏感期では、子どもは単語だけではなく、細かい文法も一緒に習得する。そして、発達の計画が目指した通りに言語を獲得すると、言語の敏感期は終わり、新たな別の能力を獲得するための敏感期が始まる(太字による強調は編集部が施した)(引用元:J-STAGE|子どものための物理的環境とは何か――モンテッソーリ教育の場合――)例えば1歳半の子どもが階段を何回も何回も上ろうとすることがあり、危ないからと下ろしてもまた上る。これは「足腰の敏感期」で、自分の足の筋肉を発達させて動き回るために必要な行為なのです。(太字による強調は編集部が施した)(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|子どもたちが自ら育つ力を応援する「モンテッソーリ教育」のメソッド【愛珠幼稚園園長 天野珠子先生】)整えられた環境(prepared environment)上述したとおり、モンテッソーリ教育では子どもの自主性が重視されています。そして、教育者の役割は子どもに知識を詰め込んだり命令に従わせたりすることではなく、「整えられた環境(prepared environment)」を用意して、子どもが自主性を養えるようにしてあげることだと考えられているのです。教師は「積極的(active)」であるよりも「消極的(passive)」でなければならない、とモンテッソーリは述べました。子どもたちを積極的にリードすることではなく、子どもが自主性を発揮できる環境(教室)を整えてあげることが教師の仕事なのです。北米モンテッソーリセンターによると、「整えられた環境」には6つの原則があるそう。「知的な環境」を作り出すには、自由で美しい空間が必要なようですね。1.自由:子どもが好奇心をもって自由に移動でき、そこでどんな活動をするか選べる。2.構造と秩序:宇宙における「構造と秩序」が反映されるようにする。3.美しさ:見た目に美しく、リラックスできる場所にする。4.自然さと迫真性:プラスチックよりも、木やガラスの素材を用いる。5.社会的環境:子ども同士が交流できるようにする。6.知的環境:上記5つの条件を満たさなければ、せっかくの知的環境が目的を果たせない。モンテッソーリ教育の活動上記のような特徴を持つモンテッソーリ教育ですが、具体的にどんなことを行っているのでしょう?高橋氏によると、モンテッソーリ教育における活動は「教具の練習」「日常生活の練習」「社会性の獲得」に大別できるそうです。順に見ていきましょう。教具の練習モンテッソーリといえば教具、というほど有名です。教具(material)とは、モンテッソーリ教育において使われる、何度も使うことによって子どもの感性の発達を目指す専用の道具。多くは木製で、一見おもちゃのように見えます。ひとつひとつの教具には目的が設定されています。ジャンルは「日常生活の練習」(後述)のほか、「感覚教育」「言語教育」「算数教育」「文化教育」の5種類です。特に有名な教具が、大きさの異なるピンク色の木製ブロックが10個セットになった「ピンクタワー」。「感覚教育」の教具に分類され、五感のなかでも特に「視覚」を刺激するものです。三次元の立体物を見たり持ったりすることで、「大きい」「小さい」という概念を理解させるという目的があります。モンテッソーリは著書のなかで、「ピンクタワー」について以下のように述べています。1つ目のブロックは一辺が10cmで、ほかのブロックは1cmずつ小さくなり、いちばん小さいのは一辺が1cmです。活動においては、これらピンク色のブロックを緑のカーペットの上に出し、いちばん大きいキューブを最下部に、ほかのブロックを大きさ順に積み、てっぺんに1cmのキューブを載せて、小さなタワーを作ります。子どもは毎回、緑のカーペットの上にばらまかれたブロックのなかから「最も大きい」ブロックを選ばなければいけません。このゲームをいちばん楽しむのは2歳半の子で、小さいタワーを作り上げるとすぐ手で軽く払って壊し、ピンクのキューブが緑のカーペットの上に散らばっているのをうっとり眺めます。そして再びタワーの建設を始め、作っては壊しを一定回数繰り返すのです。(引用元:Maria Montessori (1912), The Montessori Method, New York, Frederick A. Stokes Company.)子どもたちが教具で遊ぶ様子が目に浮かんできそうですね。このように、モンテッソーリ教育においては、教具で遊ぶことにより教育が行われるのです。日常生活の練習モンテッソーリ教育は、子どもを天才・秀才に育てることを目的としたものではありません。そもそも貧しい地域で始まったモンテッソーリの「子どもの家」に集まってきた子たちは、貧しい家の出身でした。彼らは親からじゅうぶんな教育や世話を受けられず、不衛生な状態だったようです。モンテッソーリ教育において、「しつけ」とは、大人の言うことを聞かせることではなく、子どもが自分のことを自分でできるように導くことを指します。「しつけられた」人間というのは「自分の主人(master of himself)である」人なのです。これは、上に挙げた「自主性」というキーワードとも大きく関わっています。モンテッソーリ教育の目的とは、自主性を持つ子どもを育てること。そして自主性のある子どもとは、身の回りのことを自分でできる子どもなのです。モンテッソーリによると、「子どもの家」に来園した子どもたちが毎朝することは「日常生活の練習」でした。まず先生は、子どもたちの爪や歯がきれいかどうかチェックします。そして服のボタンが取れていたり靴が汚れていたりすれば、子どもの注意をそちらに向けさせます。このようにして、自分の姿を観察することに慣れさせ、人からどう見えるのか興味を持たせるのだそうです。そして手や耳の正しい洗い方を教え、子どもが体を清潔に保てるようにするのです。そのあと、子どもたちはエプロンをつけて教室の掃除を行います。まず、教具が正しく置かれて綺麗な状態かどうか確認。雑巾やホウキの使い方を教わって、みんなで掃除します。身なりをきちんと整えたり、掃除を自分ですることは、日本の小学校でも教えられていますが、モンテッソーリ教育においてはそれを小さい頃から教えているのですね。社会性の獲得モンテッソーリにおいて、子どもに社会生活(social life)への準備をさせてあげることは非常に重要だとされています。社会とは、年齢や立場の違うさまざまな人が暮らしている空間。そして「社会性」を獲得するため、モンテッソーリ教育では異なる年齢の子どもたちが同じクラスで学びます。年齢によってクラスを分けることは不自然であり、社会性の発達に悪影響だと考えられたからです。年齢の異なる子どもたちが同じクラスで学ぶと、年上は年下の面倒を見て、年下は年上を見習うという教育効果があります。前述の高橋氏は、モンテッソーリ教育における「社会性の獲得」について以下のようにまとめました。すなわち、子どもたちは社会生活と同様に異年齢の仲間の中で、個別の活動をしながらも、互いを尊重し、調和し、助け合いながら活動し、問題が起きたときには子ども同士で解決することで、真の意味での社会性を身につけるとされたのである(太字による強調は編集部が施した)(引用元:J-STAGE|子どものための物理的環境とは何か――モンテッソーリ教育の場合――)モンテッソーリを家庭で取り入れるにはここまで読んだら、ご自身のお子さんをモンテッソーリの保育園や幼稚園に通わせたくなったかもしれませんね。けれど、もう別の施設に通っていたり、近くに施設がなかったりする場合も。そんなときは、モンテッソーリ教育のエッセンスを家庭に取り入れてみてはいかがでしょうか?手軽な方法をお教えします。まずは、ハーバード大学教育学部長で、モンテッソーリの著書に「前書き」を書いたヘンリー・H・ホームズの言葉をご覧ください。モンテッソーリの教具を自宅で保有することは、おそらく教具そのものに対する害を別にすれば、何の害もないだろう。しかし教具を教育的効果のあるものにするならば、適切な指導のもとに用いなければならない。加えて、教具はモンテッソーリ教育における最も重要な要素では絶対にないのだということを忘れてはいけない。(太字による強調は編集部が施した)(引用元:Maria Montessori (1912), The Montessori Method, New York, Frederick A. Stokes Company.)モンテッソーリの教具は、あくまで手段にすぎないというのです。では、モンテッソーリ教育における最も重要なこととは何なのでしょう?前述の天野園長は以下のように話します。子どもの自主性を尊重し、それを大人が気づき、手伝うことで子どもの自立につなげていく、ということをモンテッソーリ教育では大切にしています。たまに誤解を受けることがありますが、教具で学ぶことだけがモンテッソーリ教育でありません。例えば愛珠幼稚園では、ほかの普通の幼稚園と同じように体育や音楽の時間もあります。ですが、指導方法は決して命令口調ではなく、子どもたちが自発的にやりたくなるような雰囲気をつくることを重視します。(太字による強調は編集部が施した)(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|子どもの自主性を尊重し、集中力と柔軟な対応力を育む「モンテッソーリ教育」【愛珠幼稚園園長 天野珠子先生】)子どもの自主性を尊重し、それが育つような環境を用意することなら、家庭でもできそうですね。たとえば以下のような方法があります。1.身じたくを自分でさせる。親がやってあげようとしたら拒否するようなことは、どんどん子どもにやらせてあげればいいですね。子どもが一人でレインコートを着るとします。やっと着られたと思ったら、ボタンがずれている。その時、せっかく一人で着られたものを親が勝手に外してはいけません。モンテッソーリ教育では、まず鏡を見せることにしています。子どもが自分の姿を見て自己訂正させる機会をつくってあげるのです。それで、子どもが外してほしいと言えば外してあげればいいし、自分でやるといえばやらせればいい。それでうまくできなかったとしても、自分でやったほうが、次から自分で注意をするようになります。人がやってくれたら、どこが間違っていたのか自分で気づくことなく終わってしまうでしょう。(太字による強調は編集部が施した)(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|自分でできるという自信が学習意欲につながる。「モンテッソーリ教育」成長のためのヒント【愛珠幼稚園園長 天野珠子先生】)2.家事を手伝ってもらう。ごはんの時間は子どもに配膳を手伝ってもらいましょう。子どもは食事の時間が楽しみ。「野菜を洗う」「配膳を手伝う」などかんたんなことから始めさせるのがおすすめ。配膳を手伝ってもらう場合には、食器は子どもの手が届く位置に収納し、お皿やお箸などを自分で選んでもっていける配置にしておきましょう。(太字による強調は編集部が施した)(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|特別な環境がなくても大丈夫!家庭で実践できるモンテッソーリ教育)3.家庭の一角に子ども用の「コーナー」を設ける。たとえば、身支度を自分でできるよう、子ども用の「身支度コーナー」を作るなどがおすすめ。身支度コーナーには、小さな鏡、くし、髪留めなどを並べて置いておき、自分で身支度を楽しくできる環境を作ってあげるのです。そのスペースは子ども専用。物をしまう場所や、レイアウトも自分で決めさせてください。(太字による強調は編集部が施した)(引用元:同上)4.自宅の内装を美しく魅力的に整える。物理的環境は魅力的で豊かでなければならないとされた。その例として、花や絵画などの装飾や、テーブルクロスの使用について述べている。また、家具も魅力的なものであるべきだとし、例えば子どもが日常的に使用する木製のイスは魅力的、あるいは洗練されたものであるべきだとし、籐のイス、肘掛けイス、ソファを置くのも良いとするなど、家具にも多様性をもたせる必要があるともしている(太字による強調は編集部が施した)(引用元:J-STAGE|子どものための物理的環境とは何か――モンテッソーリ教育の場合――)モンテッソーリの「教具」を買いたい!モンテッソーリ独自の教材として知られる「教具」。教具を使うこと自体が最も重要ではないのだといっても、やはり教具のデザインやそれに込められた思想は魅力的です。知育玩具として購入し、家庭で使いたいと思うのも無理はありません。日本でも、複数の通販サイトで個人的に教具を購入することができます。すでに述べたように、教具にはそれぞれ意図が設定されており、「日常生活の練習」「感覚教育」「言語教育」「算数教育」「文化教育」の5種類。さらに、0歳児~3歳児向けの簡単な教具もあります。せっかく教具を買うのなら、気にしてほしいのが「棚」についてです。「子どもの家」において、教具は専用の教具棚に収納されます。子どもが自分で出し入れしやすいよう、高さは低く、横に長いのが特徴です。大抵のご家庭において、棚をはじめとする家具は大人が使いやすいように選ばれたもののはず。長く使うことを考えれば仕方ないのですが、そうした家具は大きくて重いため、子どもには使いづらいという欠点があります。一方でモンテッソーリ教育において、家具や教具は子どもが使いやすいように設計された「子どもサイズ」です。そのような道具を使うことによって、子どもは無理なく「日常生活の練習」を行うことができます。日々のお片付けもやりやすくなるはずです。なので、教具を買うにしても買わないにしても、モンテッソーリ教育の考えをとりいれてみて、子ども用の「棚」を検討してみてはいかがでしょうか?子どもが使いやすいサイズの棚を用意して、おもちゃの数はそれに収まるように留めるのです。「新しいおもちゃが欲しいなら、ほかのものを手放す」ルールを作れば、取捨選択することも学べます。国際モンテッソーリ教師の資格を持つ田中昌子氏によると、「全体がよく見え、いつも決まった場所に決まったものがある」ことが大事だそう。つまり、棚は子どもでも見渡せるくらいに低く、しかも棚に物を置きすぎてはいけないのです。このような基準でおもちゃの収納棚や本棚を選んでみてください。「無印良品」や「ニトリ」のカラーボックスを使って、子ども用の収納棚を手作りしている人もいるようですよ。日本にモンテッソーリの学校はある?家庭でいろいろ工夫してみるのも大事ですが、やはり子どもにモンテッソーリ教育を受けさせるなら、教具が豊富にそろっている施設に通わせるのがいちばん。保育園・幼稚園・小学校・中学校から1つずつご紹介します。●モンテッソーリ学芸大学子どもの家(目黒区)2004年に開園した、東京都の認証保育園です。まるでイタリアの邸宅のような、黄色い壁と美しい庭が特徴。保護者も過ごしたくなってしまう魅力的な環境です。教具がそろっているのはもちろん、リトミックや外国人講師による英語のレッスンも行われます。●愛珠幼稚園(世田谷区)1934年に設立されたという私立幼稚園です。モンテッソーリ教育を導入したのは1974年。教具を用いる活動や外遊びだけでなく、地域との交流やボランティア活動も大切にしているそう。本記事にも登場した天野珠子園長のもとで、毎日ワクワクする生活を送れそうです。●マリア・モンテッソーリ・エレメンタリースクール(横浜市)6~12歳の子どもは知的好奇心にあふれているという前提のもと、教具を使いながら幾何学や生物学を学んだり、農業や工業など学校外の専門家から話を聞いたりといった学習活動を行っているそう。ネイティブの先生による英語教育にも力が入っています。●The Montessori School of Tokyo(港区)2歳~15歳の子どもが学ぶインターナショナルスクール。33カ国・150人以上の子どもたちが集まっているとのこと。中等部のカリキュラムは、さまざまな文章を書いたり口頭発表を行ったりといった言語活動がメインになり、やや一般的な学校に近づくようです。モンテッソーリを知る本モンテッソーリについて大まかに紹介してきました。もっと詳しく知りたいと思ったら、関連書籍を読んでみるのがいちばんです。インターネットで購入したり、図書館で探したりしてみてください。●佐々木信一郎『子供の潜在能力を101%引き出すモンテッソーリ教育』(講談社、2006年)入門書として人気の、気軽に読める新書です。モンテッソーリの理念が具体的に分かりやすく説明されているとして好評を得ています。●マリア・モンテッソーリ著、 AMI友の会NIPPON訳・監修『子どもから始まる新しい教育 』(風鳴舎、2017年)モンテッソーリ自身による講演や文章をまとめて再構成したもの。国際モンテッソーリ協会公認のブックレットです。提唱者によって語られる生き生きとした言葉とじかに向き合えば、モンテッソーリの本質に近づけるはず。***日本でもますます注目されている幼児教育。モンテッソーリ教育の恩恵を多くの人が受けられるようになるといいですね。(参考)Maria Montessori (1912), The Montessori Method, New York, Frederick A. Stokes Company.J-STAGE|子どものための物理的環境とは何か――モンテッソーリ教育の場合――StudyHackerこどもまなび☆ラボ|モンテッソーリ教育とシュタイナー教育の違いは?理念と方法論を徹底比較StudyHackerこどもまなび☆ラボ|子どもの自主性を尊重し、集中力と柔軟な対応力を育む「モンテッソーリ教育」【愛珠幼稚園園長 天野珠子先生】StudyHackerこどもまなび☆ラボ|子どもたちが自ら育つ力を応援する「モンテッソーリ教育」のメソッド【愛珠幼稚園園長 天野珠子先生】StudyHackerこどもまなび☆ラボ|自分でできるという自信が学習意欲につながる。「モンテッソーリ教育」成長のためのヒント【愛珠幼稚園園長 天野珠子先生】StudyHackerこどもまなび☆ラボ|特別な環境がなくても大丈夫!家庭で実践できるモンテッソーリ教育NAMC Montessori Teacher Training Blog|The Six Principles of the Montessori Prepared Environment Explained学研モール|モンテッソーリ教具学研モール|ピンクタワーHarvard Graduate School of Education|Henry Wyman Holmes, 1880-1960講談社絵本通信|子育て相談 モンテッソーリで考えよう!モンテッソーリ学芸大学子どもの家愛珠幼稚園マリア・モンテッソーリ・エレメンタリースクールThe Montessori School of Tokyo
2019年02月02日前回『世界で叫ばれるメディアリテラシーの重要性――デジタル社会に振り回されないために』という記事では、「メディアリテラシー」について詳しくご紹介し、習得のためには子どもの頃からトレーニングを始めることがとても大切だとお伝えしました。今回は、日本国内でのメディアリテラシー教育について詳しくみていきます。日本でのメディアリテラシー教育総務省は、子ども向けのページでメディアリテラシーについて次のように定義しています。◎メディアリテラシーとは次の3つを構成要素とする、複合的な能力のこと。メディアを主体に読み解く能力。メディアにアクセスし、活用する能力。メディアを通じコミュニケーションする能力。特に情報の読み手との相互作用的(インタラクティブ)コミュニケーション能力。(引用元:総務省|こども向けページ)現在、学習指導要領に「メディアリテラシー」という言葉は使われていません。しかし、総合学習や美術、技術・家庭科などの授業で、情報やメディアの扱い方についての学習はすでに行われています。ただ、それが十分に活かされているかどうかについては未知数です。しかしNHKが、BBC(英国放送協会)やYLE(フィンランド公共放送協会)と同じように情報発信側からメディアリテラシーについての取り組みを積極的に行っており、提供されているツールを実際の授業に生かしている教師の方もいらっしゃいます。その内容について、次に詳しくご紹介します。メディアリテラシー教育におすすめのツール国もメディアリテラシー教育の重要性を認識していて、総務省が家庭や学校向けのサービスを提供しています。それも含めて、役立つツールをご紹介します。■総務省『子ども向けページ』「テレビの見方を学ぼう」というテーマで、ニュース製作の過程をアニメ仕立てで見せるツールと、“映像不思議シュミレーター”で番組制作の際行われる作業(カメラアングルや編集、音楽など)をわかりやすく解説するツールが提供されています。どちらもネット上で子ども自身が操作して体感できるようになっており、また「プロからのひとこと」で詳しい説明も見られるようになっているので、楽しみながら学ぶことができます。『先生・保護者向けページ』貸出教材が紹介されています。小学校低学年、高学年、中学生、高校教師向けのカテゴリー別にそれぞれに合った教材を見ることができます。たとえば、小学生低学年向けメディアリテラシー教育入門教材「うっきうきテレビたんけん」の「テレビのウソ?ホント?」では、テレビ番組(アニメ・ドラマ・ニュース)の空想と現実について、暴力面も含めて考えさせられる内容となっています。■NHK for schoolNHKでは放送・メディアに関する調査・研究を継続的に行っており、その動向や結果を月刊誌「放送研究と調査」で発表しています。その中でもメディアリテラシーについてはたびたび取り上げられ、子どもへの教育促進にも役立てられているようです。NHKデジタル教材である“NHK for school”でも番組を配信、家庭や学校で使えるツールを提供していて、メディアリテラシーをメインに扱った番組が2つあります。どちらも実際のプロの話や時事問題、使い方に要注意なSNSをとりあげるなど、実用性の高い内容になっています。過去の回も含めて全てがネット配信されていますので、いつでも見たいものを選んで見られるのも便利ですね。『メディアのめ』池上彰さんのわかりやすい解説でメディアについて詳しく知ることができます。オープニングの動画では、サッカー選手のある一瞬をとらえた写真を例にとり、切り取った写真では「ダンスをしているように見える」けれど、全体の写真を見てみると「シュートを必死で防ごうとしているところ」だということを、実際の写真を使って説明しています。たしかに、本当は緊迫している写真なのに、一部分を切り取ってしまうことで、なぜかユーモラスな写真に見えてしまう……まさにメディアリテラシー教育ですね。「切り取り」の力、おそるべしです。『メディアタイムズ』高杉真宙さん、芦田愛菜さんなどが出演するドラマ仕立てで、メディアについて様々な角度から見て興味を誘われる内容になっています。大阪市立本田小学校では、調理実習後の盛り付けコンテスト用の撮影写真で「写真加工はありなのか?」の問題をクラスみんなで考えるために、メディアタイムズの「写真は‘ありのまま’を伝えてる?」を視聴したそうです。そしてその後、先生は番組を活用したメリットを3つ挙げています。・身近な話題を考えることで必要感を持って学べる・番組を通して客観的に論じあえるためスムーズな話し合いができる・番組が2つの選択肢を提示して終わる形をとっているため、その後の議論につなげやすい。学習効果についてとてもよく考えられた番組構成はさすがですね。■『窓を広げて考えよう体験!メディアリテラシー』(かもがわ出版)元TBS報道キャスターで白鴎大客員教授の下村健一さんによる「しかけ絵本」で、メディアリテラシーを学ぶ絵本としておすすめです。絵本の随所に“窓”がくり抜かれていて、窓から見える“一部”の絵とページをめくって見た全体の絵を比べることで、実際のメディア(情報)の受け止め方をよく理解することができる仕組みになっていて秀逸。たとえばあるページでは、窓からのぞく人々は全員マスクをしていますが、全体像を見てみると、それがほんの一部の人に過ぎないことがわかります。このように“体験”できることで、切り取るパーツにより情報が操作できることを学ぶのです。難しいことを言わなくても、子ども心を惹きつける可愛い絵と仕掛けで自然と学べるのが最大の魅力の本です。どれも家庭で気軽に試すことができますので、遊び感覚で始めてみてはいかがでしょうか。***メディアリテラシー教育には、発信する側と学校や親の協働が不可欠です。メディアについて詳しく知ることで、ニュースの見方が変わってきます。見方が変わると、情報の受け方も能動的になってきます。メディアは、テレビやネットから入るものだけではありません。何気無い友人との会話や、街の広告など身の回りにあふれているため、常に考える習慣を身につけることはとても大切です。世界には様々な境遇の人がいて、皆それぞれの考えを持ち、物事に対する感じ方も様々。そのことを知り、グローバルな視点を広げるためにも、メディアリテラシー教育の必要性は日本でもこれからますます高まっていきそうです。(参考)総務省|放送分野におけるメディアリテラシー東洋経済 ONLINE|子どもが間違った報道に踊らされないために 出す側の理屈と受けての注意を絵本で学ぶNHK for School|メディアタイムズNHK for School|メディアのめNHK for School|対話で育むメディア・リテラシー〜「メディアタイムズ」を活用して〜
2019年02月02日道徳の授業が教科化されるなど、学校や社会で子どもたちの「心の教育」に力を入れるなか、思考力と対話する力を育てるもっとも効果的な方法として、『こども哲学』が注目されていることをご存知ですか?これからの時代、求められる能力は思考力とコミュニケーション能力ーー。よく耳にする言葉ですね。しかし問題は、「どうやってその能力を育てるの?」ということです。『こども哲学』はみんなが自由に自分の考えを話し、人の意見に耳を傾け、積極的に議論して「自分で考える力」と「自己表現」が身につく対話活動です。そのメソッドは、親子の会話にも取り入れることができるので、ぜひ参考にしてみてくださいね。道徳の教科化で「哲学対話」=「こども哲学」にも注目集まるまず、“哲学”と聞いて何を思い浮かべますか?「難解」「変わり者の学問」「実社会では役に立たない」「成績に結びつかない」……、このように、わたしたちの日常とはあまり縁がないように感じている方も多いのではないでしょうか。たしかに、大学で専門的に学ぶいわゆる“学問としての哲学”には、そのようなイメージがありますね。しかし、ここでご紹介する『こども哲学』は、哲学対話と呼ばれる対話活動を意味します。それは決して難しいことではなく、いくつかのシンプルなルールを守っていれば、「どんな発言もOK」といった自由なものです。最近では、有名小学校や私立中学校・高等学校で教科として導入されたり、国際バカロレアのプログラムにある「哲学」との関連性で語られたりと、教育プログラムとしての側面にもスポットがあたっています。また、2018年度から教科化された道徳の教科書にも哲学対話が紹介されるなど、「心の教育」を重視し始めたここ日本でも注目が集まっているのです。『こども哲学』の歴史は意外にも古く、1920年代にドイツで萌芽し、アメリカの哲学者であるマシュー・リップマンによって1970年代に大きく躍進しました。その後世界各地に広まり、さまざまな教育機関で実践されるようになりましたが、ここまで広く知れ渡るようになったのは、ある映画がきっかけであると言われています。それは、フランスのドキュメント映画『ちいさな哲学者たち』(2011年公開)です。舞台はフランスのある幼稚園。3歳~5歳の子どもたちと哲学対話を行った2年間の記録を集約したこの映画は、「こども哲学」の真髄とも言える要素がふんだんに詰まっています。「愛とは何か」「賢いとはどういうことか」「どういう状態を自由と呼ぶか」、さらに貧富の差や人種問題に関係する問いを子どもたちが話し合うのですが、びっくりするほど世界を鋭く観察し、物事について深く考えている子どもたちの対話の様子は、観客を大変驚かせたといいます。「こども哲学」は大人も変える!哲学・哲学教育を専門とする立教大学の河野哲也教授は、「『こども哲学』では、哲学的なテーマについて子ども同士で対話をすることで、他人と合理的に議論する力、自分自身で自律的に考える力を養うことができます」と述べています。議論といっても、哲学対話はただの意見交換とは違います。子どもたちが同じテーマについて異なった意見を関連づけて対話を広げて深めていくことが目的です。普段の授業では、子どもたちは唯一の正解を求められますが、この『こども哲学』では自分の考えを素直に述べることが求められるのです。ここで、実際にどのようなことがテーマになるか、例を挙げていきましょう。河野教授が監修を務めたNHK Eテレの子ども向け哲学番組『Q〜こどものための哲学』では、次のような「子どものギモン」をテーマにしていました。・ふつうってどういうこと?・なんで勉強しなきゃいけないの?・なんでお母さんはいつも怒るの?・カッコイイってどういうこと?普段お子さんから「ねえねえ、これってどういうこと?」と聞かれるような内容ばかりですね。ここで「お母さん忙しいから、あとでお父さんに聞いて」と子どものギモンに向き合うことを避けてしまっては、思考力と対話力は身につきません。それはお子さんだけではなく、親御さんも同じです。逗子で「こども哲学教室」を主宰し、親子で哲学対話することをテーマにした『自信をもてる子が育つこども哲学ー“考える力”を自然に引き出す』(ワニブックス)の著者である川辺洋平氏は、「『こども哲学』は親子の相互理解を深めます」と述べています。なぜなら、哲学対話を通して、子どもは物事を深く考える思考力が身につき、親は子どもの発言や考えていることを理解できるようになるからです。子どもの思考力と対話力を引き出すだけではなく、親にとっても子どもとの関係性を見つめ直すよいきっかけになる「哲学対話」。ご家庭でも取り入れてみたいと思いませんか?子どもたちと哲学対話をするときの注意点川辺氏が代表を務めるこども哲学教室・アーダコーダでは、子どもたちと哲学対話をするにあたって、次のようなルールを決めています。・ひとが話しているときはきく・自分が考えているときは待つ・自分の思ったことを言う・ひとの嫌がることはしない・何も言わなくてもいいこうしたルールを守ることで、「ちゃんと聞いてもらえる」「ゆっくり考えても待ってもらえる」「何を言っても怒られない」「ひどいことをされない」「何も言わなくても怒られない」という安心感を得ることができ、考えることの楽しさを感じられるようになります。河野教授も、哲学対話でもっとも気をつけなければならないことは「セイフティ=安心」であると述べます。セイフティとは、自分の意見を言うことに躊躇を覚えずにすむ状態のこと。子ども同士が哲学対話をするときにも、その場にいる進行役としての大人は、子どもたちが自由に発言し、気楽に質問や反論ができる雰囲気を作り出すことを心がけなくてはなりません。グループで対話をする場合、基本的には丸い円になって座ります。それは、お互いの顔が見え、誰が何を言っているかがわかる「相互理解」や「安心感」を与えるという理由からです。全員がリラックスした状態であることが好ましいので、必ずしも円であることにこだわる必要はないでしょう。自分の意見を堂々と言える子もいれば、緊張したり恥ずかしかったりしてなかなか発言できない子もいるかもしれません。そんなときは「コミュニティボール」(毛糸を巻きつけてボールにしたもの)を使い、ボールを手にした人が発言し、次に発言する人にそのボールを渡す、という方法を取り入れましょう。「ボールを持っているから話してもいいんだ」「あの子がボールを持っているから黙ってちゃんと聞こう」という意識をもつことが大切なのです。哲学対話では、ディベートのように相手を言い負かすのではなく、いろいろな考えを認めることを重視します。そして、対話を深めるためにも「みんな考えが違って面白いね」で終わらず、相手の意見でわからないところがあれば「どうして?どんなときにそう思うの?」など、どんどん質問しましょう。最終的にひとつの結論が出る必要はありません。30分なら30分と時間を決めて、終わりの時間になったら終了とします。親子でやってみよう!家庭でできる哲学対話ここまでは、グループで行う哲学対話の方法や概念についてお伝えしてきました。ここからは、家庭でも簡単にできる哲学対話についてご説明します。まず、『こども哲学』の入り口は“受け止めること”です。子どもが言っていること、やっていることの奥にある、本当に伝えようとしていることは何かな?どうしてその表現になったのかな?ということに、保護者が思いを巡らせましょう。■テーマを決めようテーマはなんでも構いません。できれば子ども自身に決めさせるといいでしょう。最初は「友だち」「学校」「勉強」など、子どもにとって身近なテーマがいいかもしれませんね。(例)・友だちは必要?・優しさってどういうこと?・なぜ学校へ行かなきゃいけないの?■対話してみよう大人は「正しい答え」や「立派な答え」を考えてしまいますが、答えを出すことが目的ではありません。思考力と対話力を伸ばすためには、子どもの発言をさらに広げることを心がけましょう。(例)親:「誰にでも優しくしなきゃいけないと思う?」子:「もちろん!」親:「でも世の中には悪い人もいるよね。悪い人にも同じように優しくするべきかな?」子:「うーん、悪い人には優しくしなくてもいいかな」親:「じゃあその悪い人が本当に困っていたらどうする?」子:「その人が本当に反省していたら助けてあげる」このように、子どもからどのような発言が飛び出すかはわかりません。しかし、どんな答えが返ってきても決して否定しないでください。まずは受け止めて、どんどん対話を深めていきましょう。***哲学対話は、今すぐにでも始められるとても簡単なコミュニケーションです。子どもは意外と物事をしっかりと考えているものです。対話を進めていくうちに、「本当はこんな風に考えていたの!?」と驚かされることになるでしょう。ぜひ親子で挑戦してみてくださいね。(参考)川辺洋平(2018年),『自信をもてる子が育つこども哲学』,ワニブックス.河野哲也(2018年),『じぶんで考え 自分で話せる こどもを育てる哲学レッスン』,河出書房新社.NHK for School|Q ~こどものための哲学特定非営利活動法人 こども哲学 おとな哲学 アーダコーダSHINGA FARM|子どもの学びのコト|「こども哲学」川辺洋平氏×伸芽会 飯田先生のスペシャル対談!「『こども哲学』ってなに? 幼児のうちから身につけたい“力”とは」
2019年02月01日近年、コミュニケーション教育の観点から注目を集めている演劇。演劇を作るだけでなく、鑑賞することによっても十分な教育効果が得られることは『観劇に出かける親子は驚異的に少ない。メリットだらけの演劇鑑賞、しないなんてもったいない!』で以前、紹介しました。しかし、演劇はまだまだ文化として一般的ではありません。「子どもと観劇したいけれど何を見にいって良いかわからない……」と感じている方も少なくないのではないでしょうか。そんな方のために、子どもとの初めての観劇におすすめの団体とその作品を紹介します。観劇で育まれる子どもの「感受性」団体の紹介の前に、観劇で得られる教育的効果を確認しておきましょう。前出の記事『観劇に出かける親子は驚異的に少ない。メリットだらけの演劇鑑賞、しないなんてもったいない!』では、演劇鑑賞のメリットを以下のようにまとめています。1. 様々な感情を体験し、感情表現が豊かになる2. 共感する力、社会性が育まれる3. 家族間のコミュニケーションが促進されるまた、現代演劇の振興を手がける日本芸能実演家団体協議会も、演劇鑑賞の効果について次のように解説しています。演劇を鑑賞すると、鑑賞者はその物語を通じて、感情が揺さぶられる。これは、日常で体験するコミュニケーション内でより、ダイナミックな感情の動きである。一方であくまでも疑似体験であるため、ある意味安全に様々な感情が抽象的に体験される。(引用元:公益社団法人日本劇団協議会|「芸術団体における社会包摂活動の調査研究」報告書)テレビや映画と違い、観劇には「直接性」と「過剰さ」があります。子どもたちは、スクリーンやモニターを挟むことなく「直接」、「過剰」に表現されたダイナミックな感情の動きを体験することができるのです。この体験が、子どもの「感受性」を育てます。そして、演劇で物語を疑似体験することで、日常においてもでも、他人の置かれた状況を想像する力を養うことができるでしょう。幼少期にこのような「感受性」を身につけた子どもは、成長するにしたがいコミュニケーション能力をも身につけることができると言われています。ほかにも、表現を楽しむ力などを養うことにもなるはず。こんなに教育効果の高い「観劇」、まさに「しないなんてもったいない!」ですね。子どもと一緒に本気で楽しめる作品5選!それでは、定期的に子ども向けの公演を行っている団体とその作品をご紹介します。観劇は子どもだけでなく大人も一緒に楽しむことが大切です。なぜならば、親の興味や趣味嗜好が子どもの好みに大きく影響を与えるから。親がなんだか楽しそうにしているもの、そこに子どもは憧れを感じ、興味を示すのです。ですから是非、「これは自分が見てもおもしろそうだぞ!」と思う作品を選んでみてくださいね。【劇団四季】■『裸の王様』日程:2019年5月4日(土)〜12月演劇といえば劇団四季を想像される方も多いのではないでしょうか。劇団四季は全国に専用の劇場を持つ、日本最大のミュージカル劇団です。ミュージカルは歌や踊りが含まれ、演劇の中でも特にダイナミックな体験を得ることができます。そのため、子供が飽きにくく、初めての観劇に向いているでしょう。劇団四季は子ども向けのファミリーミュージカルを毎年4本作成しています。2019年の作品の中でのおすすめは、劇団四季が作成した初めての子供向け作品であり、今も愛され続けている『裸の王様』です。台本は詩人・演出家として知られる寺山修司氏が執筆。世界で一番たくさんの服を持っているおしゃれな王様の元にやってきた、デザイナーのスリップとスリッパが引き起こす騒動を描きます。誰もが知っているアンデルセンの名作を、寺山氏が幻想的に再構成した『裸の王様』は大人も子どもも楽しむことができます。【日生劇場】■谷桃子バレエ団 バレエ『眠れる森の美女』日程:2019年8月23日(金)〜8月25日(日)1993年の日生劇場開館30周年を記念して始まったファミリーフェスティヴァルは、劇場主催ということで演劇だけでなく、クラッシクコンサートやバレエなど舞台芸術全般を楽しめます。毎年7月後半から8月にかけて4演目が行われますが、2019年作品のおすすめは、古典バレエの名作『眠れる森の美女』です。少し硬いイメージのするバレエですが、豪華な舞台セット、オーケストラの生演奏、訓練されぴったりと揃ったダンスに、お子さまはきっと圧倒されることでしょう。また、言葉がメインにならない分、想像力を養うこともできます。バレエを習い始めたお子さまに「本物」を見せてあげることで、お子さまの練習スイッチが入るかもしれませんよ。【演劇集団円】■円・こどもステージNo.38『青い鳥』日程:2019年12月21日(土)〜12月27日(金)演劇集団円は俳優の橋爪功が代表を務める劇団です。普段は難解な大人向けの内容ですが、毎年12月21日〜27日は「円・こどもステージ」を上演しています。この「円・こどもステージ」、良質な台本と音楽から数々の賞を受賞していて、かなり高い評価を受けています。かつては、詩人の谷川俊太郎が台本を担当したこともあるのです。2019年に38回を迎える「円・子どもステージ」ではモーリス・メーテルリンクの『青い鳥』を上演します。名作童話として知られていますが、元は童話劇として作られました。実際に上演されている作品を見たことのある方は少ないのではないでしょうか?チルチルとミチルの物語を通して、子どもに生と死、喜びと悲しみなど普遍的な問題を豊かなイメージとともに投げかけます。熟練した俳優の演技も魅力です。【人形劇団プーク】■人形劇団プーク×さくらプラザ こどもの日スペシャル!『三びきのやぎのがらがらどん』&『いつもちこくのおとこのこ』日程:2019年5月5日(日)人形劇団プークは1929年にできた老舗の人形劇団です。人形劇はアニメや絵本と同じくデフォルメされたキャラクターを用いるため、人間では限界のある豊かな世界を表現することができます。『かいじゅうがまちにやってきた』や『エルマーのぼうけん』など、有名な絵本を原作とした人形劇を上演しているため、子どもにとって観劇のハードルが低いでしょう。劇団が運営している、絵本から飛び出てきたような可愛らしいプーク人形劇場は全席が子ども仕様になっているので、その点でもおすすめです。人形劇団プークは毎年いくつかの演目をレパートリーとして用意しており、全国の劇場や学校など様々なところで公演を行なっています。その中で、2019年のこどもの日に戸塚区民センターさくらプラザで上演される『三びきのやぎのがらがらどん』&『いつもちこくのおとこのこ』を紹介します。『三びきのやぎのがらがらどん』は子どもの頃に読んだことのある方も少なくないのではないでしょうか。 『いつもちこくのおとこのこ』はブルガリアの美術家の手がける不思議な世界が魅力です。【鳥の劇場】■『鳥の演劇祭(タイトル未定)』 ※リンクは『鳥の演劇祭11』日程:2019年10月26日(土)~11月17日(日)「鳥の劇場」は鳥取県鳥取市で同名の劇場を運営する劇団です。地域とのつながりを大切にした取り組みが評価され全国的にも注目を集める鳥の劇場ですが、子ども向けのプログラムに特に力を入れています。託児サービスや子ども向け演劇だけでなく、「小鳥の学校」という子ども向け演劇学校や、高校生と海外のアーティストのワークショップなど数々の試みを実施しているのです。その中で最も大きな試みが毎年秋に行われる『鳥の演劇祭』です。鳥の劇場のある城下町、鹿野町全体を会場とし、世界中のカンパニーの作品を上演するだけでなく、様々なお店を誘致し、町歩きも楽しめる演劇祭です。サーカスや写真家が家族写真を撮影してくれる企画も実施しています。演劇教育で実施されていることがほぼ全て体験できるのが魅力です。2019年は日中韓共同開催の国際演劇祭「BeSeTo(ベセト)演劇祭」との合同開催だそう。これはかなり楽しめる内容だと思います。旅行も兼ねて、緑に囲まれた環境で、演劇漬けの一日を送ってみませんか?子どもが騒ぐかもしれないと不安な方へ子どもとの観劇を考えたとき、どうしても頭に浮かんでしまうのが「子どもが騒いでしまうかも……」という不安。でも安心してください。子ども向けの演劇は、劇団も他の観客も子どもが騒ぐことは織り込み済みなため、多少うるさくしても大丈夫。とはいえ、事前にしっかりと子どもに観劇マナーを教えておくことでもある程度対策できるでしょう。しかし、実際行ってみるまで何が起こるかわからないもの。そこで、そんな不安を解消するための対策を2つ紹介します。1.通路側の席に座る通路側に座ることで、他の人に迷惑をかけることなくロビーに戻ることができます。また、四季劇場は客席後方に前面がガラス張りの親子観劇席を用意していたり、日生劇場ではロビーにモニターを設置していたりなど、大きめの劇場では子どもが落ち着くまでの間も観劇できるサービスを用意しています。子どもが騒いでしまう危険性が高い時は、そのようなサービスのある大きめ劇場に訪れると良いでしょう。2.アウトリーチを活用する「子どもが騒いでしまうことが不安」なのは、知らない他の親子の観劇の邪魔をしてしまうかもと考えてしまうからですよね。だったら、子ども会などで劇団を呼んでみてはどうでしょうか。舞台芸術作品を劇場以外の場所で上演する(アウトリーチ)を行なっている子ども向け劇団は少なくありません。例えば、子ども向け作品を多数上演しているTheatre Ort(シアター・オルト)は「よみきかせ」の気軽さと「おしばい」の迫力を組み合わせた「よみしばい」を実施しています。園や子ども会などに提案してみてはいかがでしょう。***演出家の平田オリザさんを学長に迎えた、演劇を専門的に学べる国内初の国公立大学の開校が発表されるなど、ますます注目を集める演劇教育。東京大学の推薦入試実施など、教育におけるコミュニケーション能力の比重は徐々に大きくなっています。コミュニケーション教育に非常に効果的な演劇を、まずは気軽な観劇から始めてみてくださいね。(参考)Study Hackerこどもまなびラボ|観劇に出かける親子は驚異的に少ない。メリットだらけの演劇鑑賞、しないなんてもったいない!劇団四季日生劇場ファミリーフェスティヴァル演劇集団円人形劇団プーク 鳥の演劇祭11 |”BIRD” Theatre Festival TOTTORI 11劇団四季|心を育む 劇団四季ファミリーミュージカル 2017Theatre Ort|プロフィール of Theatre Ort神戸新聞NEXT|演劇学ぶ初の国公立大平田オリザさん学長に
2019年01月31日「子どものために」と思えば思うほど干渉してしまう、失敗しないようにとつい手を差し伸べてしまう……とお悩みの親御さんも多いのではないでしょうか。「子どもを立派に育てなければ」「きちんとしつけしなければ」というプレッシャーは、親ならば誰もが感じているはずです。しかし、これからは「子どもが自分で考える力」や「自分で選ぶ力」がますます求められる時代です。いつまでも先回りして手助けしていては、それらの力を伸ばしてあげることはできません。手を出さずに見守ることは、手を出すことより忍耐が必要です。子どもの自立心を育むためにも必要な「親の忍耐力」。今回は「親の意識を変えるとグンと楽になる子どもとの関わり方」についてお話します。親がガミガミ言ってしまうのは理由がある!そもそも、なぜ親は子どもに対してガミガミ言ってしまったり、行動を先読みして口出ししてしまったりするのでしょう。40年以上にわたりモンテッソーリ教育を実践している『愛珠幼稚園』の園長・天野珠子先生は、インタビューで「育児中、親の思い通りに進まなくてイライラしてしまうのは原因がある」と述べています。トイレトレーニングが進まない、飲み物をよくこぼす……など、子どもがうまくできないことに対して、親は「やっぱりまた失敗した!自分でやったほうが早いしイライラしないのに」と思いがちです。しかし天野先生は、「肉体的にきちんと発達していないのでできないことが当たり前なのに、やれと要求して親が勝手にイライラしている」ことが根本的な問題だと説きます。たとえば、子どもが「できない」ことには、手が届かない、場所が高すぎるといったいくつかの要因が重なっていることもあります。その場合は、少し補助してその要因を取り除いてあげればできるようになるのです。そして、親は一歩引いた場所から子どもを観察して、「今何ができているのか、何ができていないのか」という“発達の様子”を見極め、指導ではなく適切なアドバイスをするように心がけましょう。「何度言ってもおもちゃを片づけない」ことを悩んでいるのなら、子どもがおもちゃで遊んでいる様子をよく観察してみてください。すると、子どもは全部のおもちゃを使って遊んでいないことに気づくはずです。夢中になって遊んでいる数個だけを出してあげて、しまう場所を決めてあげれば、子ども自身も混乱せずにスムーズに片づけられるようになるでしょう。先回りする親のもとで育った子どもはどうなる?脳科学者の茂木健一郎氏は、「日本の子どもは“自分で決める力”が絶対的に欠けている」と警鐘を鳴らしています。自分で決めることを恐れ、選択する能力が磨かれないまま成長すると、自分の失敗を人のせいにしたり、親から自立することができなかったりするので、これは深刻な問題です。リスクを恐れて自分で決められない子どもたちが増えていることに対して、「むしろリスクを取れる子になることが大切」と茂木氏。なぜなら、リスクを取るときには、やる気のもとになるドーパミンという物質が分泌されるからです。その結果、もし失敗しても、それは成功と同じか、あるいはそれ以上の学びを得られるとのこと。だからこそ、親は積極的に「子どもが自分で決める体験」をさせてあげるべきでしょう。また、日本メンタルアップ支援機構で代表理事を務める大野萌子氏によると、先回りしすぎる親の影響は、子どもが成長してからも色濃く表れるといいます。「親の言うことを聞いていればよい」と支配的な親に育てられてきた子どもは、自分で考えるということを放棄しがちです。親の圧力が強いと、それをはねのけることにエネルギーを費やすよりも、迎合することで丸く収めることができ、家庭内での生きやすさを獲得してきたからです。(引用元:東洋経済ONLINE|「子どもを潰してしまう親」には共通点がある)これからの時代に確実に求められる「自分で考える力」「自分で選ぶ力」を身につけるためにも、親子の関係性や接し方は非常に重要なのですね。失敗こそが学びのチャンス!親の意識改革が子どもの自主性を伸ばす近道最近の子が挑戦したがらないのは、負けることや間違えることへの恐怖心が高まっているからだと言われています。『東大生を育てる親は家の中で何をしているのか?』(文響社)の著者で、進学塾VAMOSの代表である富永雄輔先生は「親はつい成功体験を重視しがちですが、成功体験と同様に失敗体験も子どもの挑戦力を育てるためには欠かせません」と述べています。富永先生によると、「理想は、成功が51・失敗が49」とのこと。そのことを頭の片隅に入れておいて、49の失敗体験があってこそ51の成功がより生きるのだと考えることが大切です。「失敗しないように手助けしなきゃ」ではなく、「できなくてもいい」「その失敗が子どもの挑戦力につながる」と、意識を変えてみませんか?「親がやってあげようとしたら拒否するようなことは、どんどん子どもにやらせてあげればいい」とは、前出の愛珠幼稚園園長・天野先生の言葉です。子どもが「自分でやる!」と言い張って聞かないことはよくありますよね。そのこだわりこそが、子どもの自主性を育てる鍵になるのです。ただし、自分ひとりでレインコートを着た子どもを前にして、たとえボタンがずれていたとしても、親が勝手に外して直してはいけません。その場合はまず鏡の前へ連れて行き、子どもが自分の姿を見て自己訂正する機会をつくることが大切です。人がやってくれたら、どこが間違っていたのか気づくことなく終わってしまいますが、自分で気づき、間違いを正すことができれば、子どもにとって大きな自信につながります。子どもが自発的にやりたくなる工夫とは?モンテッソーリ園の指導方法は、命令口調ではなく、子どもたちが自発的にやりたくなるような雰囲気をつくることを重視しています。その手法を参考に、ご家庭でも取り入れてみてはいかがでしょうか。■子どもになにか聞かれたとき、「こうすればいい」と答えをすぐに教えることはせず、「あなたはどうしたいの?」「どうすればいいと思う?」と聞き返す。■子どもが「こうだと思う」と言ったことがもし違っていても、すぐに間違いを指摘せずに、「そうかな?ほかにないかな?」と問いかける。■なんでも自分で考えさせて、大人はお手伝いをするだけ。このように、自分で考えて、失敗しながらも解決することを繰り返すと、子どもたちは物事に柔軟に対応できるようになります。「吉祥寺こどもの家」の百枝義雄園長も、子どもの能力を伸ばすために親は「教えない」ことが大切だと述べます。誰だって、一生懸命やっている横で「違うよ」「間違ってるよ」「こうするんだよ」と言われ続けたら、せっかくのやる気も失われてしまいますよね。それは子どもも同じです。やる気と自信は、子どもの試行錯誤の経験の中から生まれてくるもの。大人が先回りして教えても、結果的には何もいいことはないのです。上手な声かけと自主性を育む会話のコツ最後に、『「自分で考える力」が育つ親子の対話術』(朝日新聞出版)の著者・狩野みき先生が提案する、子どもの「伝える力」を磨くための環境づくりについてご紹介します。「伝える力」とは、子どもが自分で答えを見つけ、言いたいことを言えるということ。それは子どもの自主性を育むことにも直結します。1.子どもが何を言っても受け止める「何を言っても否定しない」と子どもに伝われば、安心して話すことができます。2.子どもと対等な関係になる子どもと同じ目線に立ち、ときには子どもを頼って相談してみてもいいでしょう。3.子どもの意見を聞く「どこに行きたい?」「何をしたい?」と聞いて子どもの意見を尊重しましょう。「立場の強い人の意見が通る」という認識が変わります。4.「親と話すと楽しい」と思わせる一見くだらない子どもの発言に対して、否定したり呆れたりせずに前向きな質問を返すようにします。するといざというときに「親に話したい」と思ってくれるでしょう。5.親も理由を考えて口にする子どもにばかり考えさせずに、親も一緒に「考える仲間」になりましょう。親「どうして○○なのかな?」、子「△△だからじゃない?」という会話ができるのが理想です。6.「あなたの味方」と安心させるたとえば意見がぶつかり合ったとしても、「何があってもあなたの味方」という絶対的な信頼があれば安心して話せます。「議論はするけど敵じゃない」と伝えましょう。***先回りや干渉は子どもへの愛情があってこそ。しかし、いずれ子どもは成長し、親の元から巣立っていきます。そのとき子ども自身が困らないように、小さいうちから自主性や自立心を育むことが大切です。そのためにも、親自身が「見守る」忍耐力を身につける必要がありますね。(参考)Study Hacker こどもまなび☆ラボ|自分でできるという自信が学習意欲につながる。「モンテッソーリ教育」成長のためのヒント【愛珠幼稚園園長天野珠子先生】『これからの未来を生き抜くできる子の育て方』(2018年),洋泉社MOOK.東洋経済ONLINE|「子どもを潰してしまう親」には共通点があるStudy Hacker こどもまなび☆ラボ|子どもの自主性を尊重し、集中力と柔軟な対応力を育む「モンテッソーリ教育」【愛珠幼稚園園長天野珠子先生】東洋経済ONLINE|家でもできる「モンテッソーリ教育」のコツ
2019年01月31日我が子の未来が順風満帆で輝かしいものとなるように……親であればそう願っていますよね。しかし実際には、他人からの心ない態度に傷ついたり、自分の能力に限界を感じたりするでしょう。そんなとき、「前を向く力」があれば、もう一度立ち上がることができるのです。いま、どんな困難な状況にあってもめげることなく前を向いていける力が求められています。お子さまの「前を向く力」を育てるために、親ができることを考えてみました。やり場のない気持ちは「切り替える」「やりすごす」子どもは、自分ひとりで解決できない困難を目の前にしたとき、親や先生などの身近な大人に「なぜ悩んでいるのか、苦しんでいるのか」「どうしたいのか」を言葉で伝えられないことがよくあります。原因がいくつも絡み合って、自分の中で整理がうまくできないために言語化できないのです。私たち大人の社会においても、似たようなことは起こります。すべてを白黒はっきりつけて解決できればいいのですが、そうとも限らないのが現実です。傷つき悩む子どもたちは、困難な状況をうまく乗り越えられないでいると、頭痛や腹痛など身体の不調を訴えることもありますし、不登校になってしまうこともあります。または、抱えているストレスをいじめや暴力で発散するケースも考えられます。この時代を生きていくには、困難に立ち向かう方法だけでなく、やり場のない気持ちをうまく切り替える方法ややりすごす方法を身につけて、前を向いて進む力が求められています。この力を「レジリエンス」といいます。海外では40年近く前から「レジリエンス」について研究が進んでいましたが、国内でレジリエンスが注目されたきっかけのひとつは、2011年3月11日の東日本大震災だといわれています。そのため、防災や減災といった意味合いで使われることもありますが、心理学では「逆境やトラウマ、惨事、脅威、もしくは重大なストレス源に直面したときにうまく適応するプロセス」(アメリカ心理学会)と定義されています。前を向く力「レジリエンス」が高い人の特徴「レジリエンス」は、誰もが元々もっている力で、大人になってからでも高めることができます。逆に、心身の疲労によって衰えることもあります。人によってレジリエンスの程度には差がありますが、高めていくには次のようなことがカギになると埼玉学園大学の小玉正博教授は述べています。【レジリエンスを高める考え方や行動】●気持ちや感情をコントロールする力●変化する状況に順応できる柔軟性●自分は大切だという感覚●必要な時に助けを求められる力●自分を犠牲にしない●楽観的であること●嫌なことを割り切る力これらをご覧になっていかがでしょうか。「前を向く力」といっても、困難へ正面から立ち向かうパワーや、限界まで粘り強く向き合うためのガッツではなく、「しなやかさ」「融通が利く」「受け入れる」に近いものが多いですね。困難な状況にあってもパニックを起こさず、また怒りや悲しみ、悔しさを自分でコントロールすること、状況に応じて順応すること、自分のことを大切に思いひとりで問題を抱え込まないことが「前を向く力」をつけるための大切な要素となります。子どものレジリエンスを育てるために親ができること3つ上記にレジリエンスを高める考え方や行動をご紹介しましたが、実際に私たちは、どのようなことを意識すれば、子どものレジリエンスを育てられるのでしょうか。臨床心理学者で東京学芸大学名誉教授の深谷和子先生は、次の5つが大切だといいます。レジリエンスを育てるために大切なこと1.自己肯定感(自尊感情)を育てる2.愛し愛されることができる子どもに育てる3.友だちとのかかわりをもてる子に育てる4.多様な体験をもつ子に育てる5.目標(志)をもつ子に育てる(引用元:Z会さぽナビ|特集 折れない心を育てる(1) 【インタビュー】「レジリエンス」こそ 親が子に残せる最高の資産(1))この中で最も重要なのは「自己肯定感(自尊感情)」で、自己肯定感が育っていれば2~5に連動してプラスの効果があるそうです。自己肯定感とは、「自分ならできる」「自分は愛されている」「ここにいてもいい存在だ」と思える気持ちです。また、自己肯定感が高い子どもは学力も高いという調査結果もあり、子どもの教育を考える上で注目されています。これら5つの観点で子どもを育てるために親ができることを3つご紹介します。それは「結果よりプロセスを褒める」「チャレンジを援助する」「人とのつながり感じさせる」です。(1)結果よりプロセスを褒める「上手にできたね」「やればできるじゃない」といった結果を褒めるよりも、途中でどんなふうに頑張っていたのか、以前に比べてどれくらい成長しているのかというプロセスを褒めます。たとえ、うまくいかず失敗に終わってもそこまでに至る意欲や頑張りを褒めることで、「またがんばろう」という気持ちが芽生えます。【プレセスを褒める声かけ】・「このあいだの日曜日よりも10回も多く縄跳びが飛べたね!」・「毎日漢字の練習を頑張ってるもんね、すごいよ!100点おめでとう」・「(点は入らなかったけど)たくさんパスがもらえるようになったよね!かっこよかったよ」(2)チャレンジを援助するわが子が失敗して傷つかないように、あれこれ先回りして手を差し伸べることを控えます。とても無理なことに無謀なチャレンジをさせるのではなく、ちょっと頑張れば手が届きそうなことに「チャレンジしてみよう」と思わせることがポイントです。子どもが多様な経験をし、必要なときには「助けて」と言える環境を作り、助けを求めてきたら必要な分だけ援助するようにします。【チャレンジをうながす声かけ】・「上り棒、半分登れるようになったんだね。一番上まで登れるようになったら、遠くに何が見えるか教えてね!」・「顔を水につけられるなんてすごい!じゃあ、目も開けられるかな?」・「補助なしでも逆上がりができそうだね。来週もお父さんと一緒に練習しよう!」(3)人とのつながりを感じさせる不安や心配事など何でも話せるように、「私たちはあなたのことをいつでも守っている」というメッセージを子どもに繰り返し伝えましょう。自分が守られていることで安心でき、自己肯定感も高まります。また、周りの人や社会の中で自分が大切にされていることに感謝の気持ちをもつように意識させることも大切です。【人とのつながりを意識させる声かけ】・「お父さんとお母さんは〇〇ちゃんのことをいつも大切に思っているよ」・「どんなことでも相談にのるからね。〇〇くんが大好きだから、いつでも〇〇くんを見ているよ」・「おばあちゃんは〇〇ちゃんのことが本当に大好きなのね。早く会いたいな、って言ってたよ」・「先生が〇〇くんの体調を心配して電話をくれたよ。うれしいね」子どもの前に困難が立ちはだかったとき、その悩みや苦しみを乗り越えるのは子ども自身。親は心配のあまり、つい手を差し伸べたり口を出したりしたくなりますが、励ましや援助を続けることが大切です。子どもが「自分は少しずつ成長している」「失敗しても、また頑張れる」「周りにいる人は自分の味方だ」と思うことが、前を向く力につながります。***失敗したとき、行き詰ってしまったとき、そのままつぶれてしまわず、気持ちを切り替えて感情をコントロールしながら目標に向かって行けるような、しなやかな心を育ててあげたいですね。(参考)Z会さぽナビ|特集 折れない心を育てる(1) 【インタビュー】「レジリエンス」こそ 親が子に残せる最高の資産(1)ベネッセ教育情報サイト|乳幼児期から育む、折れない心【前編】困難に負けない、レジリエンスとはベネッセ教育情報サイト|乳幼児期から育む、折れない心【後編】レジリエンスを伸ばす保護者の働きかけNPO法人 青少年こころの悩み支援センター|困難を乗り越える子どもに久世浩司著(2014),『なぜ、一流の人はハードワークでも心が疲れないのか?』, SBクリエイティブ.久世浩司著(2015), 『マンガでやさしくわかるレジリエンス』, 日本能率協会マネジメントセンター.ジェシカ・ジョエル・アレキサンダー・イーべン・ディシング・サンダール著、鹿田昌美訳(2017),『デンマークの親は子どもを褒めない 世界一幸せな国が実践する「折れない」子どもの育て方』, 集英社.
2019年01月30日藤井聡太七段(*)が幼いころ受けていたことで注目を集めている『モンテッソーリ教育』。その歴史は古く、とくに海外では優秀な人材を育てる教育法として確固たる地位を築いています。一方で、「興味はあるけど、近所にモンテッソーリ教育の幼稚園や保育施設がない……」と諦めている方もいるのではないでしょうか?たしかにモンテッソーリ教育は、専門の知識を身につけた教員のもと、専用の教具を使わなければ学ぶことが難しいと思われがちです。しかし、自宅でもその要素を取り入れて遊ぶことは可能なのです。今回は、モンテッソーリ教育を取り入れた遊びの紹介と、それによって子どものどんな能力が伸びるのか、詳しくご説明します。*…2019年1月現在自立心と自己肯定感が育まれる独自の教育メソッドまずは、モンテッソーリ教育について簡単におさらいしましょう。■モンテッソーリ教育とは?女性医師であり教育家でもあったマリア・モンテッソーリによって、20世紀初頭にイタリアで考案された、子どもの自発性を重視する教育法。「子どもには自分を育てる力(自己教育力)が備わっている」という考え方が根本にあり、「自立していて、有能で、責任感と他人への思いやりがあり、生涯学び続ける姿勢を持った人間を育てる」ことがモンテッソーリ教育の目的。40年以上にわたりモンテッソーリ教育を実践している『愛珠幼稚園』の園長・天野珠子先生は、「子どもの自主性を尊重し、それを大人が気づき、手伝うことで子どもの自立につなげていくことを大切にしています」と話します。つまり、親がすべきことは、「手取り足取りフォローしてあげるのではなく、挑戦する心を育てて応援すること」なのです。天野先生は「一人でできることが増えるほど、子どもの自己肯定感は育ちます」と述べています。モンテッソーリ教育とは、子どもを自立へと導き、自分で考えて物事に対応できるようになる、いわば“生きる力”を育む教育法でもあるのです。■モンテッソーリ教育の特色子どもは、その時期の発達に沿って「一人でやりたいこと」が出てくる。それは、“ある時期”に“ある行為”のみに現れることがわかっており、その時期を『敏感期』と呼ぶ。敏感期には、その時期に合わせた専用の教具を使って遊ぶ。それらの教具を使ったあらゆる学習活動を『お仕事』と呼び、子ども自身が自由に選んで遊ぶことで発育と自立をうながす。天野先生によると、「敏感期に合わせて、夢中になることを満足するまでやらせてあげるという経験が子どもの成長には必要」とのこと。敏感期に適切な環境に出合うと、子どもは集中現象を起こします。そして、集中現象が次々に満たされていくと心が満足し、お腹が空いたのも忘れるほど夢中になるらしいのです。私たち大人は、子どもが夢中になって何かに取り組んでいる様子を見守りたい反面、時間の都合や周囲への遠慮などから「さ、もう充分遊んだでしょ?」と切り上げてしまうことがよくあります。しかし、子どもの“夢中”は、大きな成長につながる重要な鍵です。時間や状況が許す限り、満足するまでとことんやらせてあげましょう。続いて、『敏感期』と『お仕事』について詳しくご説明します。敏感期に寄り添う優れた教育プログラムまず、本格的な『敏感期』に入る前に幼稚園で最初に行うのは【日常生活の練習】です。これはモンテッソーリ教育の基礎にもなるので、しっかりと身につけなければなりません。その後、【感覚教育】【言語教育】【算数教育】【文化教育】と続きます。■日常生活の練習大人のまねをしたがる「模倣期」と、身体が発達する「運動の敏感期」を利用して、自分の体を意志通りにコントロールする能力を身につけることが目的です。・ボタンをかける・室内を掃く・洗濯をする・ものを磨く・縫うなど、日常生活で行うさまざまな動作を大人がお手本を見せながら練習します。「自分のことを自分でできるようになる」という自立心や独立心のベースを築くことができます。■感覚教育言語・算数・文化教育という知的教育分野の基礎となります。感覚器官を使ってさまざまなことを練習し、感覚を洗練させることで、外界からより繊細な情報を収集できるようになり、知性や情緒が発達します。・対にする・段階づける・仲間分けするという3つの操作法が組み込まれた教具を使うことで、「ものを観察する能力」と「ものを考える方法」が身につきます。■言語教育絵カードや文字カードを使い、ことばの発達段階に合わせてきめ細やかなステップを踏んで、語彙を豊富にしたり文法を覚えたりします。「日常生活の練習」や「感覚教育」と合わせて行うことで、自然と文字の読み書きができるようになります。■算数教育算数教具を手で扱いながら、数の概念の基礎、十進法から簡単な計算までを学びます。ビーズを使い、数の具大量や十進法で桁が上がることを体感したり、数種類の切手を交換して掛け算を覚えたりします。■文化教育「ことば」と「数」以外の幅広い分野を学びます。世界地図パズルや時計などの教具に触れながら、子どもの知りたいという要求に応えるのです。分野を統合した「総合学習」のようなものです。幼稚園や教育施設で使用される教具は360種類にものぼり、すべて体系的につながっています。赤、青、黄の三原色をベースにした色鮮やかなものが多く、優れた教育的効果を発揮するだけではなく、子どもが思わず触りたくなるような魅力あふれるものばかりです。モンテッソーリで学ぶ子どもの「お仕事」モンテッソーリは著書の中で、「大人の仕事が生産的労働であるならば、子どもの仕事は人間を形成すること」と述べています。「つまみたい」「並べたい」といった衝動も、子どもの内面からあふれる自立への強い欲求であると言えるでしょう。つまり、家庭の中での自立や人間形成につながる事柄はみんな、子どもが自分自身を創るための「お仕事」でもあるのです。「モンテッソーリのメソッドを家庭で取り入れるためには、何よりも大人の子どもに対する接し方を重視する必要があります」と語るのは、モンテッソーリ教育施設「吉祥寺こどもの家」園長の百枝義雄先生。まずは、子どもをよく「観察」することから始めましょう。親にとっては不可解に見える子どもの行動にも、子どもが大きく成長するヒントが隠されているのです。子どもの “こだわり” と “伸びる能力” の関係性は以下です。同じことを同じ順序で繰り返したい「順序へのこだわり」→段取り力へ発展同じことを同じようにしたい「習慣へのこだわり」→集中力を育てる同じ場所に同じ人がいないと気持ちがわるい「場所へのこだわり」→倫理観へ発展高いところに乗って歩きたい「運動へのこだわり」→バランス感覚をつける3本指を使いたい「指先運動へのこだわり」→器用な手先をつくる(引用元:東洋経済ONLINE|家でもできる「モンテッソーリ教育」のコツ)このように、「こだわりを満足させることで伸びる能力」について理解できていれば、家庭でもモンテッソーリのメソッドを取り入れやすくなるはずです。家庭で子どもの能力を引き出すポイント次に、モンテッソーリ教育を取り入れた簡単な遊びをご紹介します。おすすめは「親指・人差し指・中指」の三指を使うお仕事です。【あけ移し】トングなどを使って豆や石を一方の容器からもう一方の容器に移します。100円ショップでも手に入るシュガートングが、子どもの手にはちょうどいいですよ。慣れてきたらピンセットを使って、大きめのビーズのあけ移しにも挑戦してみましょう。仕切りのあるケースを使えば、色別に分けて入れることもできます。色を認識し、判断して選り分けるという工程が生まれるので、難易度もアップしますよ。【お料理のお仕事】玉ねぎの皮むきや茹でたじゃがいもの皮むき、またはゆで卵の殻をむく、など「むく」という作業は料理を始める最初のステップとして非常に有効です。指先を使うだけの作業なので危険度が低く、すぐに達成感が得られるのもいいですね。また、前出の百枝先生による『「自分でできる子」が育つ モンテッソーリの紙あそび』(PHP研究所)では、モンテッソーリ園と同じ「お仕事」を自宅で再現する方法が紹介されています。この本を参考に、ハサミやのり、とじ針と毛糸などの道具を用意すれば、付属の型紙を使って気軽に「お仕事」に挑戦できます。たとえば、型紙を写して線に沿って「切る」、線に沿って一定間隔で描かれた点を目印にして「穴をあける」または「縫う」など、モンテッソーリのメソッドに基づいた手法で遊ぶことができるのです。そして、あの藤井七段が子どものころ100個作ったことで話題になった「ハートバッグ」の型紙と編み方も載っています。最後に、子どもが興味を抱き「やってみたい!」となったとき、親は次の点に注意しましょう。・親のお手本を子どもが見ているときには話さない・説明するときは動きを止める・手出しや口出しはしない・子ども自身が試行錯誤するチャンスを奪わない・出来ばえを評価しない穴をあける道具(「かるこ」など)や、抜い差し用の針は、初めて使わせるとき「危なくないかな?」と心配になるかもしれません。使うときは危なくないように見守ったり、子どもの手でも扱いやすい小さめの道具を用意したりと、「どうしたら子どもがうまく使えるか」ということを考えて取り組ませるといいでしょう。『「自分でできる子」が育つ モンテッソーリの紙あそび』(PHP研究所)***モンテッソーリ教育を家庭でも取り入れるには、道具を揃えるより先に「親の心がけ」が必要です。子どもが夢中で取り組んでいる様子を黙って見守り続けるーー簡単なようで難しいですよね。しかし、子どもには大人が思っている以上の能力が備わっています。子どもの自己教育力を信じて、見守ってあげましょう。(参考)Study Hacker こどもまなび☆ラボ|藤井聡太六段、Amazon共同創立者ジェフ・ベゾスが幼児期に受けていた「モンテッソーリ教育」とは?日本モンテッソーリ教育綜合研究所|モンテッソーリ教育についてStudy Hacker こどもまなび☆ラボ|子どもの自主性を尊重し、集中力と柔軟な対応力を育む「モンテッソーリ教育」【愛珠幼稚園園長 天野珠子先生】Study Hacker こどもまなび☆ラボ|子どもたちが自ら育つ力を応援する「モンテッソーリ教育」のメソッド【愛珠幼稚園園長 天野珠子先生】産経WEST|天才・藤井四段も学んだ「モンテッソーリ教育」とはー集中力と自分らしさ、周囲に流されず「好きなことをとことん追求する子供」に『できる子になる!0歳からのお手伝い』クーヨンBOOKS12,2015年6月,クレヨンハウス.東洋経済ONLINE|家でもできる「モンテッソーリ教育」のコツ百枝義雄・百枝知亜紀 著(2018年),『「自分でできる子」が育つ モンテッソーリの紙あそび』,PHP研究所.
2019年01月29日『こどもまなび☆ラボ』では、これまでに何度も読書の大切さや読書と学力の関係性についてお伝えしてきました。さらに、小さいうちから読書を習慣づけることで、勉強面だけではなくあらゆる面で良い影響を及ぼすこともわかっています。では実際に、東大や一流大学に通っているような人は、幼少時どのような読書環境で過ごしてきたのでしょうか。また、親は子どもにどのような読書環境を与えてあげるべきなのでしょうか。賢いから本を読むの?本を読むから賢いの?「東大家庭教師友の会」が約7,000人の現役東大生から集めた経験談を分析した結果によると、8割以上が親に「勉強しなさい」と言われずに勉強し、東大に合格したといいます。『こどもまなび☆ラボ』の過去の記事からも、子どもに「勉強しろ」と口うるさく言うことが逆効果であることは明らかになっています。(「勉強しろ」は逆効果!統計でわかった、親が本当にやるべき3つのこと)ただし「読書」に関しては、子どもが小さいうちから親が導き、促してあげることで、確実にその習慣は身につきます。あらゆる調査結果からも、一流大学に通う学生の多くは幼少期からたくさんの本を与えられて育ち、成長後も読書が習慣になっていることがわかっています。プレジデント社が行ったアンケートで、現役東大生の小学校時代の読書冊数は、平均で月7.4冊という結果が出ました。全国平均が月5.6冊(学研教育総合研究所 小学生白書Web版「小学生の日常生活に関する調査」2014年より)だったので、小学校6年間で130冊もの読書量の差が出るという結論が導き出されました。この結果を見て、「将来東大に合格するような子は、そもそも普通の子どもより賢いからたくさんの本を読んでいるんじゃない?」という感想を抱いた方もいるのではないでしょうか。でも実は、賢いから本を読む、という認識は間違っているのです。教育や子育てに関する数多くのベストセラーをもつ教育環境設定コンサルタントの松永暢史氏は「賢い人は本が好きだと思っている人はいると思いますが、逆です」と述べています。「(中略)本を数多く読むと言語的な理解力が上がり、言語を使いこなす能力も身につきます。さらに、考える時間も増えて思考力が高まる。結果、勉強もできるようになるわけです」(引用元:産経Biz|賢さの鍵握る“読書体験”東大生が小学生時代に読んだ本って何だろう?)つまり、本をたくさん読むからこそ思考力や理解力が高まり、成績に結びつくのです。東大などの一流大学に通う学生たちは読書家が多く、幼い頃からの読書習慣のおかげで合格することができた、という話もよく聞きます。そのような子たちは、どんなきっかけで本を好きになり、読書習慣を身につけることができたのでしょうか。また、そのために親ができることはあるのでしょうか。調べるうちに、いくつかの共通点が見えてきました。読書に熱中する “ハマり体験” が子どもの脳を刺激する!『プレジデントFamiliy(2018年秋号)』の特集「東大生192人頭のいい子の本棚」では、東大生が小学生におすすめしたい本を紹介しています。「ハリーポッター」シリーズ(1位)、「かいけつゾロリ」シリーズ(2位)、「ズッコケ三人組」シリーズ(3位)というランキング結果から、東大生も子どものころは普通の小学生が読むような娯楽作品を好んでいたことがわかります。ここで注目すべきは、「シリーズもの」を読むことをすすめている、という点です。東大生の多くは、小学生のうちに「シリーズものの本を読みきった」という経験があります。また、「学校の図書室の本をほとんど読み尽くした」と語るほど読書に熱中したことがある東大生も少なくありません。東北大学加齢医学研究所の瀧靖之教授は、「自分の好奇心の赴くままに好きなことに熱中しているうちに、わからないことは誰に聞けばいいのか、どうやって調べればいいのか、というストラテジー(戦略)が身につきます」と述べています。それがのちに勉強や仕事の面で非常に役立つのです。また、夢中になって楽しめることが多ければ多いほど、神経伝達物質のひとつであるドーパミンが放出されます。シリーズ物に熱中することもいわゆる「ハマり体験」の一種であり、それにより脳が大いに刺激されたということも考えられるでしょう。親がつくる『アラカルト本棚』のすごい効果偏差値35から読書習慣の改善で東大合格を果たした西岡壱誠氏は、東大生100人にアンケートをとり、彼らの幼少期の読書遍歴や読書法について著書(『東大生の本棚』・東洋経済新報社)にまとめています。西岡氏は、子どもに無理やり「親が読ませたい本」を読ませることだけはしてはいけない、と説きます。誰しも「この本を読みなさい!」と押し付けられるのは億劫であり、それがきっかけとなって読書嫌いにもなりうる危険性もあります。ですから、子どもが「自分で読みたい本」を選ばせてあげる必要があるのです。さらに、親から押し付けられるのではなく、「多くの本をおすすめしてくれたのが良かった」と非常に多くの東大生が答えたそう。その中でも、『親が作ったおすすめの本の本棚』=『アラカルト本棚』の存在が、その後の読書習慣に強く影響を及ぼしていることがわかりました。アラカルト本棚には、文化系の本も理系の本も、雑誌も漫画も小説も、ジャンルや本の形態も飛び越えた「おすすめ」が並びます。ある学生は、そこに置いてあった科学アドベンチャーシリーズを読んで理系に興味を持ち、東大理学部に進んだそうです。つまり、子どもに特定の本や特定の分野だけを無理に押し付けるのではなく、その時々の興味関心に沿って自由に選べる本棚を作ることで、子どもは自然と興味のある本に手を伸ばすようになるのです。「知りたい!」「読みたい!」そのタイミングを逃さない中学受験指導を行っている浜学園の国語科講師・木村潤一先生は、「レベルが上位のクラスほど読書量が多い」といいます。塾の教材やテストで、物語やエッセーなどいろいろな本を活用していますが、引用するのは本の中の一部でしかないんですね。そこで授業後に、全体を読んでみようと自ら考えるのは、やはり上位クラスの子供たちです。もともと知的好奇心が強く、自分の知らないことがあったらすぐに知りたがる子が多い。教材で使った翌日には、本を手に入れて読んでいる子もいますよ。(引用元:PRESIDENT Online|できる子の家で読まれている本50冊)つまり、「続きが気になるけど……まあいいか」「また今度、時間があるときに続きを読もう」とならずに、知的好奇心が抑えきれずに、すぐに行動に移して「気になること」を即解決するのも、賢い子の特徴であると言えるでしょう。読後にアウトプットする習慣がある前出の『東大生の本棚』著者・西岡壱誠氏は、東大生の読書法の特徴について次のように語っています。東大生は読書法の工夫で「思考力」も鍛えています。「自分の頭で考えて、自分の地頭を鍛えるような読書」をしている。(中略)しかもそれを、小さい頃から実践しているのです。(引用元:PRESIDENT Online|東大式“読んで終わり”にしない本の読み方)たとえば、本を読み終えて「ああ、面白かった!」と確かに感じたのに、しばらくすると内容を忘れてしまった……ということはありませんか?いくら印象深い内容でも、時間が経てば忘れてしまうのは脳の構造的にも当然なのですが、西岡氏によると「東大生は読んだ内容を忘れにくく、本から得た知識を活用できている」らしいのです。それは東大生の多くが、小さい頃から「あること」をしているから。「それ」は何かというとーー「感想」です。東大生は、本を読んだ後、「感想」をアウトプットするから忘れないのです。(引用元:同上)西岡氏によると、本を読んだ後に生じる感情を言語化することが記憶の定着につながるだけではなく、「感想を誰かに聞いてもらう」「それに対してフィードバックしてもらえる」という経験が重要であるとのこと。なるほど、インプットした知識をアウトプットすることが大切なのですね。お子さまのアウトプットの習慣をつけるために、以下のことを取り入れてみてはいかがでしょうか。■読書日記をつける感想は一行でもOK。もちろんたくさん書ける子はどんどん書かせてあげましょう。感じたことを自分の言葉で残すことで表現力も高まります。また市販の読書日記や読書ノートを利用するのも手です。ぬりえやシールなど子どものテンションを上げる仕掛けがたくさんあるので、アウトプットがしやすいかもしれません。いろいろな読書日記があるので、親子で読書日記を選ぶところから始めてみるのもおすすめです。■感想を話し合う「〇〇が△△したところがおもしろかった」など、本の内容についてお子さんに話してもらいましょう。どんなところに心が動かされたのか、お子さんの考えを聞くよい機会になると思います。また、親子で同じ本を読み、感想を話し合ったりする「親子読書」も◎ですよ。本についての会話を楽しむことで、インプットした知識をしっかりと記憶に根付かせることができるでしょう。***東大生の幼少時代の読書環境や読書法は、なにも特別なものではありません。むしろ子どもの好奇心を伸ばし、あらゆることに興味をもつきっかけづくりとしての読書体験が必要なのですね。(参考)Study Hacker こどもまなび☆ラボ|東大生の親の4つの特徴。「勉強ができる子」の脳を育てるために、親がするべき心がけ産経Biz|賢さの鍵握る“読書体験”東大生が小学生時代に読んだ本って何だろう?「東大生192人頭のいい子の本棚」,プレジデントFamily,2018年秋号.東洋経済ONLINE|頭のいい子に共通する小学校時代の過ごし方東洋経済ONLINE|東大生の親が子にかけた「本好きになる魔法」PRESIDENT Online|できる子の家で読まれている本50冊PRESIDENT Online|東大式“読んで終わり”にしない本の読み方神奈川県大和市|家読(うちどく)の推進について大分県竹田市立都野小学校|親子読書のすすめ
2019年01月29日楽しいお正月を過ごし、新年気分を味わった1月がまもなく終わり、2月を迎えようという頃。この時期に気になり始めるのは、2月3日、節分の豆まきのことではないでしょうか。もうすぐやってくる“怖~い鬼さん”に戦々恐々としているお子さんもいるかもしれませんね。節分には、「鬼は外、福は内」と言いながら家族で豆をまく。そんなご家庭は多いと思います。そこで今回のコラムでは、節分の由来が学べて、豆まきが待ち遠しくなる絵本をピックアップ!親御さんのための「節分の基礎知識」もご紹介しますよ。節分の由来がわかる絵本『おにはそと!ふくはうち!』いもとようこ 文・絵中央鬼のお嫁さんにされてしまったおふくは、菜の花をたよりに村へ逃げ帰ります。追いかけてきた鬼に、おふくの母親は炒り豆をぶつけて「この豆から花が咲いたらおふくを返す」と言いました。鬼は今日も、花が咲くのを待っています。【広報担当より】子どもといっしょに、豆まきのお話が楽しめます。怖い鬼も、いもとようこさんの優しい貼り絵になると、ユーモラスで可愛らしささえ感じます。各シーンの鬼の表情も、じっくりお楽しみください。そもそも「節分」って何?知っておきたい「節分の基礎知識」2月3日の節分は、立春の前日。本来、「季節を分ける」ことを意味する節分は1年に4回あるのですが、新しい年が始まる立春の前日の節分が古くから重視されてきました。今の暦で言う2月3日は、旧暦で言うとだいたい大晦日。節分の風習は、新しい年を無病息災で迎えられるよう邪気を払うためのものとして、今日にまで受け継がれています。節分の風習の起源は、疫病をもたらす悪い鬼を追い払う「追儺」(ついな)という儀式。平安時代ごろから宮廷行事として、旧暦の大晦日に行なわれていました。では、節分に「炒った豆をまく」のはなぜなのでしょう。平安文学が専門の同志社女子大学・吉海直人教授が、次のように解説しています。現在のように豆撒きが行われるようになったのは、宇多天皇(※)の時代とされています。鞍馬山の鬼が都に出没した時、鬼の目(魔目)に豆を投げつけて退治した故事に由来するとのことです。最初は「豆撒き」ではなく「豆打ち」でした。(中略)そもそも何故豆を撒くのかというと、語呂合わせで「豆」が「魔を滅する」ものだからです。なお撒いた豆から芽が出るのは縁起が悪いとされているため、必ず炒った豆を使うことになっています。(引用元:同志社女子大学|教員によるコラム 「節分」について)※宇多天皇……平安時代の天皇(在位887年~897年)。太字は引用にあたり施したまた、豆は子孫繁栄にご利益がある、豆に宿る穀物の力には鬼を退治するパワーがある、などとして信じられているとも言われるそう。節分に行なう習慣としては、豆まきのほかにも、「豆を年齢の数だけ(あるいは1つ足して)食べる」「ヒイラギの枝に焼いたイワシの頭を刺したものを玄関などに飾る」「縁起のよい方角を向いて恵方巻にかぶりつく」といったものがありますよね。これらはどれも、旧年への感謝を表したり、新年を健康に無事に過ごせるよう祈ったりするための儀式です。このことを心に留め、子どもと一緒に、節分の習慣をより大事にしたいですね。節分が楽しみになる、3冊の絵本をご紹介節分の豆まきの起源を歴史的に遡ってきましたが、子どもにこれをそのまま説明しても分かりにくいでしょう。「節分では『泣き虫鬼』や『ヤダヤダ鬼』を追い払おうね」と言うのはよくある方法ですが、絵本を使ってみるのもいいですよ。いくつかある“節分の由来にまつわる物語”のひとつが、冒頭でご紹介した『おにはそと!ふくはうち!』です。さらに、次にご紹介するような絵本を読み聞かせて、節分の習わしに親しんだり、「鬼」というものについてお子さんと一緒に考えてみたりしてはいかがでしょうか。『おにはそと』せなけいこ 作・絵豆まきで鬼たちは逃げだしますが、残された可愛いちび鬼は人間の子どもたちと仲良く遊びます。鬼の親分がちび鬼を連れ戻しに、よろいを着て来ますが、豆まきに降参。親分はちび鬼のお父さんでした。心が和む楽しい絵本。【広報担当より】オバケがお得意な、せなけいこさん。本作はめずらしく“おに”です!「おにさんこちら、てのなるほうへ」……オニのちびちゃんと人間の子どもたちの楽しそうなこと。幼稚園や保育園の読み聞かせにも、ぴったりです。『ないた赤おに』浜田廣介 作/いもとようこ 絵人間と仲良くしたい赤おにのために、自ら悪役を買ってでる青おに。青おにのおかげでたくさんの友だちを得た赤おにでしたが、青おにがどうなったのか気になって訪ねてみると……。友情の美しさと孤独の哀しみを描いた童話の傑作。最後の「アカオニクンニンゲンタチトハドコマデモナカヨクマジメニツキアッテタノシククラシテイッテクダサイ。ボクハシバラクキミニハオメニカカリマセン。」で始まる青おにの言葉!この青おにの言葉は、友だちのすばらしい愛と勇気がいっぱい、いっぱいです。「ドコマデモキミノトモダチアオオニ」と書いているところは、なんという深い深い愛の言葉でしょう。何度読んでも感激がうすれることはありません。(いもとようこさんより)『オニたいじ』森 絵都 作/竹内 通雅 絵直木賞作家・森絵都さん&竹内通雅さんによるユーモア絵本。小さなまめたちの大きな冒険!~みんなの幸せを祈って まめたちはきょうも行く~節分の日の豆まき。今年の豆たちは、オニのお面をつけたおじさんではなくて、世界にいる本物のオニを退治したいと考えた。豆たちは、自転車泥棒、銀行強盗、密猟者、地球の侵略者を撃退。痛快で楽しいオニ退治の絵本。【広報担当より】豆まきの本は数あれど、たいがい主役はオニ。このお話は、なんと「豆」が主役という斬新さ。竹内通雅さんのカラフルで迫力ある絵と、森絵都さんの壮大な宇宙規模!?のストーリーがクセになります。***豆まきの由来が学べて、節分を様々な角度から楽しめる絵本をご紹介しました。ぜひこの機会に、親子で一緒に節分を味わい尽くしてくださいね。(参考)同志社女子大学|教員によるコラム 「節分」についていこーよ|節分の意味って?子どもに教えたい豆まきの由来ヨミドクター|豆まき楽しい思い出にNIKKEI STYLE|日本人はなぜ豆を投げるのか「節分」民俗学
2019年01月28日「メディアリテラシー」という言葉を聞いたことがありますか?情報の洪水の中に生きている私たち。溢れる情報の中から、自分にとって有益なものを正しく選び取ることができる能力は、人生においてとても重要なことです。子どもの頃からその術を知り、訓練していくことが、いま求められています。子どものお手本になるべく知っておきたい「メディアリテラシー」についてみていきましょう。メディアリテラシーとは『日本大百科全書:ニッポニカ』によると、メディアリテラシーは以下のように定義されています。新聞やテレビなどの内容をきちんと読みとりマスメディアの本質や影響について幅広い知識を身につけ、批判的な見方を養い、メディアそのものを創造できる能力のこと。(引用:コトバンク|メディアリテラシー)多くの情報を評価し、識別し、選択するための能力と言えます。日々、テレビや新聞、ネットニュースなどでたくさんのニュースが配信されていますが、まずはそれらが “全て” ではないことを知ることが大事でしょう。何気なく入ってくる情報をやり過ごしてしまいがちな忙しい日々ですが、これからはますます必要となってきそうな能力です。なぜ「メディアリテラシー」を学ぶ必要があるのか近頃は“フェイクニュース”も氾濫しているため、知りたい、知る必要があることなどについて、時には受け身ではなく、自分で情報を収集し、総合評価できるようになることが特に重要です。子どもへのメディアリテラシー教育の普及に尽力されている、元TBS報道キャスターの下村健一氏は次のようにおっしゃっています。「フェイクニュースかどうか調べるためのファクトチェックのサイトの信用性まで疑われる今、結局メディアを信じられなくなり、自分の気にいる偏った情報だけを信じてしまうようになると、社会の分断は進むばかり。最初に得た情報以外の他の情報も受け止められるキャパシティーを残しておくためにも、情報の受け取り方を子どもの頃から身にしみこませるように学んでおかないと手遅れになります。」情報に踊らされないために、偏った情報で偏見を持った人にならないために、そしてダイバーシティの世界で生きていくために、メディアリテラシーを身につけなければいけないのですね。またメディアリテラシーを学ぶことは、子どもの視野を広げることにもつながっていくでしょう。メディアリテラシー教育の現状実際に世界では、子どもへの教育はどのようになっているのでしょうか。いくつかの例をご紹介します。【イギリス】イギリスでは国営放送BBCの取り組みが注目されています。2002年に「CBBC(6~13歳向け)」と「CBeebies(幼児・親向け)」の放送を開始した当初から、インターネットを安全に使うための方法を楽しく説明する、親向けにもアドバイスを提供するなどの試みを行っています。また、学校の授業の一環として活用できるようなビデオ製作や編集のためのツールを教師用指導ガイダンスとともにウェブサイト上で提供するなどした取り組みは非常に評価されています。そのほかにも1972年に放送開始した「Newsround」という子ども向けニュース番組も、子どものメディア学習支援を意識した内容を充実させてメディアリテラシー教育に貢献しています。【フィンランド】フィンランドはメディアリテラシー教育に関してとても熱心な国で、初等・中等教育のカリキュラムに「メディアスキルとコミュニケーション」というテーマで組み込まれ、社会、国語、アートなどの授業の中で実践されています。メディアのプロや専門教師が授業をするなど、取り組みが進んでいます。また、フィンランド公共放送協会(YLE)は、家庭と学校の両方向けの「Mediakompassi(メディアコンパス)」というプロジェクトを2000年半ばに立ち上げ、テレビ、ウェブサイト、イベントなど多方面からメディアリテラシー教育にアプローチ。テレビ番組は学年層別に5番組を展開して、目指すのは、「メディアへの理解」「メディアスキルの上達」「メディア制作の経験」です。サイトにも年齢別に映像を含めた多様な情報が提供されており、家庭での学習に活用されています。13〜18歳を対象にした最終的な段階では、プライバシーの保護やメディア所有の集中化の問題、情報の背後にあるメッセージやメディアリテラシーの習得自体についてなど、かなり難しい切り込んだ内容になっていて本格的です。その他にもスウェーデンでは1980年代からすでに学校教育にメディアリテラシー教育が取り入れられていますし、アメリカでは2000年にアメリカ教育省と全米芸術基金がアメリカで初めてのメディアリテラシー教育助成金制度を開始し、成果を挙げています。メディアリテラシーの重要性は世界中で認知されていると言ってもいいでしょう。***こうしてみてくると、メディアリテラシー教育にはまず「メディアそのものを知る」ことが大事なのがわかります。ニュースは単に事実を伝えているだけなのではなく、裏に意図が潜んでいる場合があります。それを汲み取れる思考回路形成のために、子どもの頃からのトレーニングが有効なのですね。次回は日本の取り組みについてご紹介します。(参考)コトバンク|メディアリテラシー東洋経済 ONLINE|子どもが間違った報道に踊らされないために 出す側の理屈と受けての注意を絵本で学ぶNHK放送文化研究所|「メディア・リテラシー教育をめぐるヨーロッパの最新動向小林俊哉(2017),「アメリカにおけるメディアリテラシー(3)—2000年から2000年代中葉までー」,新島学園短期大学紀要 第37号 1頁-17頁.
2019年01月27日お子さまには、時間を忘れるほど夢中で遊べるものがありますか?それがゲームであってもブロックであっても、ぜひその集中力を褒めてあげてください。なぜならば、この遊びに向けられる「集中力」を上手に育てていくことで、学習時の集中力へつなげることができるからです!■参照コラム記事はこちら↓遊んでいる子どもを叱るのはNG!?「集中力」を作り出す、たった2つの方法とは
2019年01月27日昨年の全米オープンに続き、2019年の全豪オープンでも優勝を飾った大坂なおみ選手。アジア人として初の世界ランキング1位の座も確定し、テニス界の今後を担うスーパースターとして世界中で注目されています。大坂選手のここ1年の躍進の裏側にあったもの、それは日々のメンタルトレーニングです。以前は試合中に感情を爆発させてしまうことがあったものの、彼女が頻繁に「我慢」という言葉を口にしているように、メンタル面でも大きな成長を遂げていたのです。そこで今回は、「怒り」の感情が心身に与える影響や、大坂なおみ選手から学ぶ、子どもでも感情のコントロール(アンガーマネジメント)ができるようになるために家庭内でできることをまとめてみました。「怒り」が子どもの成長に与える悪影響ここでは感情の中でも「怒り」に着目し、怒りが心身に与える影響を見てみましょう。筑波大学で行われた研究では、怒りの感情に適切に対処しない状態が続くと、怒りの感情が持続し、心身共に悪影響を及ぼすことが実験の結果示されています。特に、身体に与える影響としては副交感神経の機能低下が挙げられるとのこと。副交感神経とは自律神経のひとつで、体を緊張状態に導く「交感神経」と対をなしたリラックス状態に働く神経です。副交感神経の機能の低下は交感神経の優位につながり、緊張状態が維持されることから、だるさや倦怠感、冷えやこり、胃腸の不調等の症状に悩まされるのだそう。しかし同時に、この研究では「怒りの持続を避けるための2つの対処法」が示されています。ひとつは怒りの感情を適切に相手に伝えようとすること。もうひとつは相手を見返すために何か行動を起こすことです。反対に単純に怒りの感情を爆発させた場合、怒りは持続し、相手の怒りの感情も喚起させてしまうことがわかっています。この研究結果は、思わず怒りの感情が芽生えたときには怒らないようにするのではなく、怒りという感情に適切に対処できる術を学ぶことの重要性を示していると言えます。また、両親が感情のコントロール方法を学ぶことも重要です。名古屋大学の研究では母親が怒りやすい性格の場合、子どもも怒りやすい性格になることがわかっています。子どもは両親の姿を見て育ちます。自分自身が子供に悪影響を及ぼさないよう、怒りやすいと実感している方はまず自分から変わるよう心がけましょう。感情を爆発させた子どもへの対処法感情を爆発させた子どもへの向き合い方によって、子どもの感情への対処の仕方は変わります。ここでは「親が子どもの気持ちに寄り添う方法」を紹介します。【1】気持ちをしっかりと受け止める感情の爆発に対して叱ったり無視したりすると、子どもの自己肯定感の低下や両親への不安感につながります。まずは子どもの話をじっくり聞いてください。そして「お友だちに嫌なことを言われたんだね。それは悲しいね」など、子どもの気持ちをしっかりと受け止めてあげましょう。子どもによってはうまく感情を言葉にできない場合もあります。そんなときはギュッと抱きしめてあげることも効果的です。「お父さん(お母さん)はあなたの気持ちをわかっているよ」と態度で示してあげるのです。【2】心を解きほぐす手伝いをする感情の爆発は子どもが自分自身の感情をうまく言葉にできず引き起こっている場合に多く見られます。気持ちをしっかり受け止めることで子どもが落ち着いたら、「〇〇ちゃんは、お友だちと一緒に折り紙で遊びたかったけど、お友だちは別の遊びをしたいって言ったんだね。それで〇〇ちゃんは悲しくなって泣いちゃったのね」など、子どもの混乱した心を一緒に整理していきましょう。ただし、一方的な意見の押し付けは禁物。あくまで子どもが自分で考えるお手伝いをするスタンスで臨むことがポイントです。【3】気をそらせる感情の爆発の原因となる出来事には解決できない問題や回復までに時間のかかる問題もあります。その際は別のことで子どもの気をそらしてあげることも大切です。公園やスーパーに行くなど場所を変えたり、美味しいものを食べたり、一緒に子どもの好きなテレビ番組を見たりなど、子どもに合わせて注意を他のところに向けてあげましょう。そんな簡単なことで!?と思うかもしれませんが、大人だって気分転換をしたあとはケロリと嫌なことを忘れてしまう場合もありますよね?子どもだって同じことですよ。普段からできる!家庭内アンガーマネジメント子どもが自分で感情をコントロールできるようになるためには日頃からの習慣づけが必要です。そのアプローチ方法は、「感情から行動にアプローチする方法」と、「行動から感情にアプローチする方法」の2つがあります。今回は大坂なおみ選手も実践していた行動から感情にアプローチする方法を、アンガーマネジメントと呼ばれる1970年代にアメリカで誕生した心理トレーニングから2つ紹介します。【1】「待つ」ことを習慣づける子どもが負の感情を抱いた際にすぐに表現するのではなく、少し待って考えてみるように促しましょう。そうすることで成長してからも自分の気持ちを整理して伝えることが習慣づけられます。たとえば、「時計の3のところまで(怒ることを)待ってみようか」などと言って具体的な時間を示し、無事達成することができたら褒めてあげるなどすると良いです。また、ご褒美を設定することも効果的です。ただし、待つ際に提示した条件を破ることは子どもへの悪影響になります。あくまで約束を守れることだけ条件として提示しましょう。【2】交換日記をする子どもが文字を書けるようになったら連絡帳のような交換日記を始めることをお勧めします。その日にあったことを書いてもらうことで、親が子どもの現在の状況を確認できることはもちろん、子ども自身も自分の気持ちを言葉にすることを習慣づけられるからです。また、一方的に提出を求めるだけでなく、親自身も日記を書くことで、きちんと自分のことを気にかけてくれているのだと子供は実感することができるでしょう。書く時間を設けることが難しい場合はコメント程度でもかまいません。短くてもよいので毎日続けていくことが大切です。もし学校で嫌なことがあったときでも、紙に感情を書き出すことでストレスが軽減されます。この感情を書き出す作業は「エクスプレッシブ・ライティング」と呼ばれ、1日最低8分間書くだけでメンタルが強くなり、ストレスが解消されるとのこと。もしかしたらこちらは、大人にこそ必要かもしれませんね!そして親の側も、家事のことや仕事のことなどを子どもと共有してみるのもオススメです。いつもとちょっと違う、“密度の濃い” 親子の会話ができますよ。(参考)NEWSポストセブン|大坂なおみを勝利に導いた行動から感情に働きかける方法東洋経済ONLINE|大坂なおみが世界の称賛と同情を集めたワケ山内星子(2009),「母親の怒り特性が幼児の怒り特性に与える影響 -媒介変数としての感情会話に着目して-」, Human Developmental Research Vol.23,175-188ベネッセ教育情報サイト|急に怒り出す!感情がコントロールできない子どもの対処法は?YOMIURI ONLINE|子どもでも実践できる!怒りのコントロール方法東海学院大学紀要3(2009)|感情のコントロールプログラム研究の展望:発達障害への適用に向けて東洋経済ONLINE|「感情を紙に書く」習慣でストレスは減らせる
2019年01月27日「今度のテストを頑張ったら、おもちゃを買ってあげるね」「お手伝いしてくれたら、お小遣いをあげるよ」——このような、“もので釣る”という行為をしたことのある方は少なくないと思います。実は、こうした行為が「アンダーマイニング効果」という現象を引き起こし、子どものやる気を奪ってしまう可能性があることをご存知でしょうか。今回は、子育て中の方にぜひ知っていただきたい、子どものやる気と「アンダーマイニング効果」の関係性について詳しく説明します。どっちが大事? やる気には2種類あるやる気(=動機づけ)には、2種類あります。ひとつは、達成感や充足感、行動そのものに対する喜びといった自分の内部から生み出される「内発的動機づけ」。もうひとつは、報酬や評価、賞賛といった外部からの刺激により生み出される「外発的動機づけ」です。例えば、掃除をするとき、「部屋がきれいになるのが嬉しいからやる」というのは「内発的動機づけ」、「掃除をしたらお菓子がもらえる約束をしているからやる」というのは「外発的動機づけ」です。やる気を持続させるためには「内発的動機づけ」が大事だといわれています。なぜなら、「外発的動機づけ」には物理的な限度があり、長続きしないからです。例えば、親が子どもに「掃除をしたらお菓子をあげる」と約束しても、掃除をするたびにずっとお菓子をあげ続けることはできません。また、「外発的動機づけ」による行動の場合、次第に行動の質が落ちていくことがあります。例えば、「お菓子がもらえればいいや」と適当に掃除を終わらせたり、親が見ているときだけ掃除したりといった悪知恵が働くからです。一方、「内発的動機づけ」によって掃除をする場合は、掃除そのものにやりがいを見出して行うため、やればやるほどもっと掃除が好きになったり、上達したりといったことも期待できます。子どもの成長を願うなら、「内発的動機づけ」を引き出してあげることが必要なのです。やる気を奪う!?「アンダーマイニング効果」ところが、親が知らず知らずのうちに、子どもの「内発的動機づけ」を奪ってしまっていることがあります。それは、「アンダーマイニング効果」によるものです。「アンダーマイニング効果」とは、もともと持っていた「内発的動機づけ」に対して、「外発的動機づけ」がマイナスの影響を与え、やる気を減少させてしまうことです。ウィキペディアでは、下記のとおり定義づけられています。内発的に動機づけられた行為に対して、報酬を与えるなどの外発的動機づけを行うことによって、モチベーション(やる気)が低減する現象である。例えば、好きでプレイしていたゲームに金銭的な報酬を与えられると、やる気がなくなってしまうなど。抑制効果ともいう。(引用元:ウィキペディア|アンダーマイニング効果)例えば、もともと勉強が好きな子どもに、もっと頑張ってほしいからと、親が「勉強を頑張れば、ご褒美をあげる」と約束するとします。そうすると、子どもはご褒美があるうちは頑張りますが、ご褒美がなくなると頑張らなくなってしまう――これが「アンダーマイニング効果」です。もともと勉強が好き(内発的動機づけ)で、自ら進んで勉強をしていた子どもでも、ご褒美を与えられることにより、それをもらうこと(外発的動機づけ)を目的として勉強をするようになってしまうのです。そして残念なことに、一度そうなってしまった場合、「好きだから勉強する」という気持ちはどんどん薄れてしまい、もとに戻りにくくなってしまいます。やる気を最大限に発揮してほしいという親心から与えたご褒美により、子どものやる気がなくなってしまうわけです。これでは、意味がありません。やる気を育てる、3つの「ご褒美」テクニックでは、子どもにご褒美をあげることは、やめたほうがいいのでしょうか。これに関しては、必ずしもそうとは言いきれません。「アンダーマイニング効果」の特徴を生かし、うまく子育てに取り入れれば、良い効果をもたらすことも。そこで、3つのご褒美の活用例をご紹介します。1. ご褒美を形のないものにするご褒美は、一時的なやる気を引き出すには強力な効果を発揮することがあります。ですから、「アンダーマイニング効果」さえ起こさなければ、ここぞというときには積極的に導入していきたいものです。生活情報サイト「All About暮らし」子育てガイドの佐藤めぐみさんによれば、「アンダーマイニング効果」は、お金やおもちゃ、お菓子など目に見えるご褒美によって起こる現象だそうです。逆に、目に見えないご褒美では起こりにくいといわれています。つまり、形のないものをご褒美にすればいいのです。例えば、子どもがお手伝いをしたらギュッと抱きしめる、宿題を早く終わらせたら「すごいね」と褒めてあげる——こうした形のないご褒美は、親子のコミュニケーションにもなるのでおすすめです。2. ご褒美をポイントカード方式にするすでに、子どもにご褒美を与え、「外発的動機づけ」によりやる気を引き出している場合は、そこから徐々に「内発的動機づけ」によるやる気に移行させていく必要があります。その手段の一つを、「All About暮らし」子育てガイドの福田由紀子さんが紹介してくださっています。目標を達成できたらシールやスタンプを与えて、一定の数が集まったら、何かと交換できるというシステムです。(中略)また、達成するまでに、たくさんのほめ言葉をもらうことによって、目的が「モノと交換すること」から「認められること」に移行していきます。そして、ほめられることを繰り返すうちに、自分で自分をほめることができるようになっていきます。それが、内発的動機づけ(自発的なやる気)に繋がっていくのです。(引用元:All About暮らし|やる気を育てる! 良いごほうびと悪いごほうびの違い)このように、急ではなく、徐々に移行していくことがポイントです。このやり方であれば、もともと「内発的動機づけ」がなく、ご褒美がなければ行動できなかった子どもも、徐々にご褒美なしで行動できるようになるかもしれません。3. ご褒美を、好ましくない行為をやめさせるために使う書評サイト「新刊JP」には、書籍『行動経済学漫画ヘンテコミクス』(佐藤雅彦、菅俊一、高橋秀明著、マガジンハウス刊)のこんな一コマが紹介されています。ある日、子どもたちが落書きをしていると、いつもとは違って笑顔のおじいさん。「こどもはいたずらするぐらいが元気があってよろしい」そう言うと、なんとおこづかいを渡しはじめました。次の日もその次の日も、おじいさんは落書きをした子どもにおこづかいをあげます。しかし数日後、「すまんがもう今日からこづかいはやれなくなった」「もうお金がないんじゃよ」と急にあげるのをやめてしまいました。すると子どもたちは、すっかり落書きをする意欲をなくしてしまったのです。(引用元:新刊JP|行動経済学を使って「いたずら書き」をやめさせる?その驚きの方法とは)これは、「もともと持っていた『内発的動機づけ』に対して、『外発的動機づけ』がマイナスの影響を与え、やる気を減らしてしまう」という「アンダーマイニング効果」の特徴を逆手にとり、子どものいたずらに対するやる気を消滅させた例です。子どもにやめさせたい行為があるなら、その行為に対してあえてご褒美を与えることで、やめさせることができるかもしれません。例えば、テレビゲームをやめさせたいなら、下記のようなプランを試してみてはいかがでしょうか。(1) テレビゲームのステージを一つクリアするごとにシールをあげる(2) 子どもはシールが欲しくて、ますますテレビゲームに熱中する(3) しばらくしたら、「シールがなくなった」と言って、シールをあげるのをやめる(4) 子どもはシールがもらえないから、テレビゲームをやらなくなるこのように、子どものゲームが好きという気持ち(内発的動機づけ)に対して、シールをもらうこと(外発的動機づけ)がマイナスに影響し、やる気をなくすという展開が期待できます。***“もので釣る”というと聞こえが悪いですが、ご褒美を与えるという行為も、我が子を愛する親の気持ちの表れです。「アンダーマイニング効果」の特徴を知り、ご褒美を上手に取り入れ、子どものやる気を引き出すことに役立ててくださいね!(参考)株式会社日立システムズ|人を活かす心理学【第17回】報酬はやる気を削ぐ? 内発的モチベーションプレジデントオンライン|アドラー心理学で解明「やる気」の出し方ウィキペディア|アンダーマイニング効果URANARU|心理学のアンダーマイニング効果の例と逆の効果All About暮らし|ご褒美を子供のやる気アップに使っていいの?All About暮らし|やる気を育てる! 良いごほうびと悪いごほうびの違い新刊JP|行動経済学を使って「いたずら書き」をやめさせる? その驚きの方法とは
2019年01月26日この春、お子さんが小学校入学を控えている親御さんのなかには、小さな心配事をいくつも抱えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。登下校や給食、トイレ、授業態度、宿題……うちの子、大丈夫かな?と、数え上げればキリがないくらいいくつもの不安が押し寄せてきますよね。また、先輩ママからは「今はクラスのほとんどの子が、入学前にひらがなをマスターしてるよ!」と言われたかと思えば、入学説明会では先生から「ひらがなや数は入学後に教えるので、今から勉強しなくても大丈夫ですよ」と言われるなど、一体どこまでできていれば大丈夫なの!?と混乱しているかもしれませんね。学校や地域によって多少ばらつきはありますが、入学後にお子さんが困らないために、「本当に身につけなければならないこと」があります。今回は、お子さんが無事に楽しい小学校生活がスタートできるように、入学前にできておいた方がいいことをまとめました。「ひらがな」「時計」は基本。「時間を意識する」ところまで発展させよう!幼稚園や保育園とは違って、小学校では一人ひとりに先生が細かくフォローしてくれることはあまりありません。もちろん勉強面やお友だちとの付き合い方などは指導してくれますが、基本的な生活習慣や、学校生活をスムーズに送るための基本的な知識は、入学前に家庭で身につけておくのが一般的です。とくに「ひらがなで書かれた自分の名前を読むことができる」「時計を見て行動できる」この2つはぜひ入学前に身につけておきましょう。「うちの子、まだ時計が読めない!」と焦ることはありません。以前ご紹介した記事で時計の数え方を詳しく説明しているので、ぜひ参考にしてみてください。(小学校1~3年生の算数「時間と時刻」につながる【レベル別 時計の数え方】)ただし、時計が読めるようになったとしても、そこで終わりではありません。できれば、「時計が読めること」から一歩進んで「時間(時計)を意識する生活」を送る練習ができるとなおいいでしょう。『1人でできる子が育つ「テキトー母さん」のすすめ』(日本実業出版社)の著者・立石美津子さんは、「幼稚園・保育園では、「次は○○をするよ」と、その都度細かい指示を出してくれました。しかし小学校では、時計を見て次の時間割を確認したり、休み時間にトイレに行くタイミングを考えたりと、子ども自身が時計を見ながら行動する必要があります」と述べています。そのためにも、お子さんとの普段の会話を少し工夫して、日常生活の中で意識的に時間を強調してみるといいですね。「早くしなさい!」と言うだけでは、子どもは時間の感覚がつかめないまま「言われたからやる」という状態に陥ってしまいます。自分で時計を見て時間を逆算したり、あと○分でこれをやる、と計画性をもって行動できるように、アナログ時計を見せながら次のような声かけをしてみましょう。□「早く起きなさい!」→「おはよう。ほら、時計見て、もう7時だから起きようね」□「早く食べちゃいなさい!」→「学校へ行く準備があるから、7時30分までには食べ終えてね」□「早く準備しなさい!」→「あと10分で8時よ。それまでに着替えようね」このように、会話の中で「○時○分までに」「あと○分で○時だよ」という時間表現を入れることで、子どもは意識的に時計を見るようになります。すると自然に「時計を見て行動する」ことが習慣づいて、入学後はスムーズに学校生活を送ることができるでしょう。45分間じっと座って集中できる?小学校の授業は1コマ45分なので、この時間は集中できなければなりません。ただし、入学したての子どもはほとんどがソワソワして落ち着きがないもの。先生もそのことがわかっているので、最初のうちは子どもたちの興味を引きつける工夫をしたり、途中で声を出して話し合う時間を作ったりと、45分の中でメリハリをつけて飽きさせないようにするはずです。その後、学校生活にも慣れてしばらくしたら、多くの生徒に落ち着きが出てきて、45分間集中を保てるようになっていきます。しかし、いつになってもぼーっとして頭の中で別のことを考えたり、周りのお友だちにちょっかいを出したりする子もいます。子どもの身体についての研究を行っている日本体育大学教授の野井真吾氏は、「座っているとき、背もたれに寄りかかったり、頰づえをついたりしてぐにゃぐにゃになる子が最近増えている」といいます。授業に集中できない理由として、次のふたつの原因が考えらます。ひとつは「前頭葉の発達が未熟である」こと。そしてもうひとつは、「セロトニン神経の弱化」です。前頭葉機能の発達が未熟であると、物事に集中することも気持ちを抑えることもうまくできないといいます。そのため、授業中も集中を維持できず、いつもそわそわとしていて落ち着きがなくなってしまうのです。また、良い姿勢を保つために重要な役割を果たす「セロトニン神経」の活性が低下していることも、集中力を欠く原因になっていると言われています。セロトニンは、日中に太陽光を浴びることで増加します。昼間に体内で作られたセロトニンをもとに、夜にはメラトニンという体温を下げて眠りを誘うホルモンが生成されます。夜になってもコンビニや塾、テレビやゲームなどにより必要以上に明るい光刺激を受けることで、メラトニンの分泌が抑えられてしまい、体内リズムが狂い、よく眠れない、朝起きられないといった現象が起きているのです。(引用元:ベネッセ 教育情報サイト|授業に集中できない小学生「前頭葉」と「セロトニン」がカギ)つまり、外遊びをしないことで良い姿勢を保つために重要な神経が十分に機能せず、体内リズムが乱れて睡眠不足になり、結果的に授業に集中できない状態になってしまうのです。日中はできるだけ外遊びをして、早寝早起きなど規則正しい生活を心がけるようにすると、授業に集中する体勢を整えることにつながるでしょう。整理整頓、持ち物の管理は自分で!ライフオーガナイザーの鈴木尚子さんは、「入学前の春休みまでには、子どもが自分で持ち物を管理できる環境づくりを整える必要があります」と述べます。小学校は幼稚園や保育園に比べて、自分で管理しなければならないものが格段に増えます。それなのに、おもちゃや絵本がいっぱいで勉強道具を収納するスペースがない!ランドセル置き場が確保できない!となると、子ども自身も整理整頓の習慣が身につきません。入学前の春休みは、学校に行く準備がしやすい環境を整えてあげて、少しずつ整理整頓を身につけさせるチャンスです。また、片付けの習慣を身につけることで思わぬ相乗効果も期待できるそう。モノの管理は、勉強、生活、仕事の基本です。それが身につくと、頭の中の管理までできるようになってくるので、時間の管理やコミュニケーション(対人関係)の管理にまでつながってきます。(引用元:Milly|【小1の壁 対策】来春の新一年生ママが今からすべきこと「新生活は早めのキッズスペース作りでスムーズに!」)「見えるものが管理できなければ、見えないものは管理できません」と鈴木さん。さまざまな管理の基礎を築き上げる最初のステップとして、小学校入学は絶好のタイミングなのです。まずは、親御さんと一緒に整理と収納について考えます。「机の一番上の引き出しにはよく使うものを入れよう」など、子ども自身が使うときに取り出しやすく、片付けるときにしまいやすい方法を見つけましょう。また、何年生でどれくらい必要なものが増えるのか、先輩ママにリサーチするのもいいでしょう。お習字道具、ピアニカ、リコーダー、彫刻刀など、学年によって持ち物が増えていきます。コツは「パンパンに詰め込むのではなく、空間に余裕をつくる」こと。つねに「八分目」を目指すことで、何か新しいことに取り組むときに必要なものを追加しやすくなります。入学前のこの時期、これから先の楽しい6年間を想像しながら、ぜひ親子で一緒に部屋と心を整える有意義な時間を過ごしてください。ほかにも「保護者の名前、電話番号、だいたいの住所(町名)を言うことができる」「学校までの道順がわかる」「和式トイレで用を足せる」などがあります。今はまだ完璧ではなくても、できるようになると親も子どもも安心して学校生活が送れることばかりなので、早い段階から積極的に身につけさせるといいですね。***■入学前にぜひ読みたい!『小学生になったら図鑑』(ポプラ社)入学準備から小学校生活まで、楽しくなる366のコツとヒントが満載です。この1冊があれば入学準備はバッチリ!(参考)Study Hacker こどもまなび☆ラボ|小学校1~3年生の算数「時間と時刻」につながる【レベル別 時計の数え方】立石美津子(2014),『1人でできる子が育つ「テキトー母さん」のすすめ』,日本実業出版社.ベネッセ 教育情報サイト|授業に集中できない小学生「前頭葉」と「セロトニン」がカギMilly|【小1の壁 対策】来春の新一年生ママが今からすべきこと「新生活は早めのキッズスペース作りでスムーズに!」
2019年01月25日子どもの心身の健康に欠かせない「睡眠」。必要な睡眠時間は、幼児期(3〜5歳)で11〜13時間、学童期(6〜12歳)で10〜11時間といわれています。しかし、不足している子どもが多いのが現状です。みなさんのご家庭ではいかがでしょうか?子どもの睡眠が足りているかどうか、きちんと把握し、十分な睡眠時間を確保してあげられていますか?今回は、子どもの睡眠不足の危険性についてお話ししたうえで、寝不足な子に共通してよく見られる傾向と、十分な睡眠をとらせるための秘策をご紹介します。睡眠不足は「学力」や「人格形成」にも影響する!睡眠不足は健康にはもちろんのこと、学力や心にも影響をおよぼすことがわかっています。具体的には、どんなことが懸念されるのでしょうか。【健康への影響】睡眠不足は、体に様々な症状を引き起こします。その一つが、免疫力の低下です。通常、睡眠中は様々なホルモンが分泌され、それらが体の機能を整えるうえで重要な働きをします。それが、睡眠不足になると少なくなり、体のバランスが崩れてしまうそうです。また、睡眠不足は体温や交感神経、副交感神経の異常を招くといわれています。それらの異常は、朝起きれなくなったり、肥満や高血圧を引き起こしたりする、非常に厄介なものです。さらに、幼少期の睡眠不足は、その後の生活習慣にも影響するといわれています。手遅れにならないうちに改善しないと、大人になってから健康に支障をきたすこともあるのです。【学力への影響】学力への影響も無視できません。ある調査では、成績が上位の子ほど早い時刻に寝ていることがわかっています。睡眠には、レム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)があり、およそ90分おきに訪れるレム睡眠の間に、脳が記憶を整理するといわれています。ですから、睡眠時間が短ければ短いほど、そのチャンスが減ってしまうのです。つまり睡眠不足は記憶が定着せず、せっかくの学習努力が無駄になってしまうかもしれません。勉強したことをしっかり身につけるには、十分な睡眠が欠かせないのです。【心への影響】子どもが睡眠不足になると、感情のコントロールが難しくなるということが指摘されています。遊んでいてもイライラしてしまい、友だちと喧嘩してしまうことも。気づかないうちに友人関係を悪化させてしまうかもしれません。昌仁醫修会瀬川記念小児神経学クリニック理事長の星野恭子先生は、「夜型の幼児は攻撃性が高く、不注意が多い。夜型の5歳児は三角形が書けない」と話しています。このように、睡眠が不足すると、心にも影響がおよびます。小さな子どもが、コントロールのきかない感情を抱え、心を痛めてしまうのです。寝不足な子が出している3つのサインさて、こうした様々な危険にさらされている寝不足な子たちは、共通して何かしらのサインを出しています。それを親御さんが敏感に察知することで、早期に睡眠不足を解消させてあげられるかもしれません。そこで、下記に寝不足な子によく見られるタイプや行動、様子を挙げていきたいと思います。【寝不足のサイン1:自己肯定感が低い、イライラしている】子どもの態度や発言に注目してみてください。理由やきっかけもなく常にイライラしていたり、「どうせ自分なんか」「頑張っても無駄だし」といった投げやりな言葉を口にしたりしていませんか?文科省の調査から、睡眠不足の子どもには、自己肯定感が低く、イライラしやすい子が多いということがわかりました。自己肯定感が低いということは、自分の能力に自信がなく、自分の存在価値が見出せないということ。自分で自分のことを好きになれないのです。子どもの態度や発言に「あれ?」と思うような点があれば、それが要注意のサインと考えられるでしょう。【寝不足のサイン2:昼間の居眠りが多い、休日に遅くまで寝ている】日常的な行動にも、睡眠不足のサインは潜んでいます。昼間に居眠りをしていることが多かったり、休日に寝溜めをしたりする行動は、まさに普段の睡眠が足りていない証拠です。授業中も居眠りしてしまい、授業の進度についていけなくなってしまうことも。対応が遅れると、不登校になるケースもあるといわれています。こうした行動は、周囲から「怠け者」と誤解されることが少なくありません。せめて親だけでも、子どもの睡眠が足りていないということに気づいてあげたいところです。【寝不足のサイン3:毎日忙しい、何事にも頑張りすぎてしまう】何事にも真面目に、一生懸命取り組む頑張り屋さんは、睡眠不足になりやすいといわれています。学校や塾、習い事など、忙しい毎日を送る子どもは少なくありません。それらを無理矢理すべてこなそうとすれば、睡眠時間を削るしかない、ということになってしまいます。子どもの様子を見て、「ちょっと頑張りすぎているな」と気になるなら、それが要注意のサインといえるのではないでしょうか。まずは親の睡眠時間を確保するべき我が子の睡眠が足りていない――。その事実に気づいたとき、親はどのようにして、子どもの睡眠時間を確保すればいいでしょうか。実は、親だからこそできる秘策があるのです。睡眠文化研究所が行なった調査「都市生活における家族の睡眠の現状」によれば、親子が同じ部屋で眠る家庭は全体の80%で、子どもの睡眠は親の睡眠と密接に関係しているそうです。そして、「夜型の母親が夜型の子どもをつくる」「両親の睡眠の健康が悪いと、子どもの睡眠健康も悪い」ということが明らかになっています。つまり、子どもの睡眠時間を確保するなら、その前に親の睡眠時間を確保するべきなのです。とはいえ、家事や仕事で忙しい親にとって、睡眠時間を増やすことは大変なことでしょう。その場合は、親子で寝る部屋を別々にしてみたり、夜行なっていた家事を朝に回してみたりと工夫してみましょう。子どもの未来を決めかねない「睡眠」。家族で話し合い、できることから少しずつ試してみてくださいね。***子どもの睡眠不足に気づき、それを改善できるのは、親だということがわかりました。これを機に、ぜひ家族で睡眠について話し合ってみるのはいかがでしょう。部屋の環境を整えたり、就寝時間を調整したりなど、家庭ごとに異なる最適な改善策が見つかるかもしれませんね。(参考)ALL About暮らし|子どもの夜型化には危険がいっぱい!オークローンマーケティング|子どもの睡眠に関する調査結果東洋経済オンライン|「成績のよい子」は、だいたい何時に寝るのかダイヤモンドオンライン|睡眠不足で脳に恐ろしい影響が?子どもの最適な勉強・読書時間とは睡眠屋オンラインショップ|理想の睡眠時間で子供の成長の手助けをヤフーニュース|大人よりも深刻――子どもの「睡眠負債」その実態とは文科省|睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立等との関係性に関する調査の結果(概要)産経WEST|「早く起きることが苦痛」塾通い・スマホで体内時計リズム“崩壊”、寝不足の子供続出…睡眠教育の効果は睡眠文化研究所|都市生活における家族の睡眠の現状
2019年01月25日イギリスの小学校では、クリスマスの時期によく、教会でクリスマス発表会を開きます。上の子はキリスト教系の公立校に行ったので、もちろんですが、宗教と特に関わりのない公立校に通っている下の子も、7歳になった今年、教会での発表会デビューをしました。クリスマスの歌を歌ったり、クリスマスの話をしたり。楽器の得意な子は楽器を弾きますし、詩を朗読する子供もいます。7歳から12歳までの子供たちが、生き生きと発表をしていったのですが、今回特に興味深かったのは、発表のテーマが単純に「クリスマス」ではなく、「世界の冬の祭り」だったことでした。キリスト教の(より詳しく言えば英国国教会の)建物の中で、キリスト教ではあるものの、異なる風習を持つロシア正教やギリシャ正教、さらにキリスト教とは異なる宗教であるユダヤ教やヒンズー教のお祭りが紹介され、歌が歌われたのです。これは、イギリスの小学校できちんとカリキュラム化されている「RE」と地理、音楽や国語などの勉強がすべて渾然となったような、とても面白い催し物でした。世界には異なる文化やしきたりがあふれているイギリスは移民の多い国です。ですから、お互いの文化的背景を、幼い頃からある程度理解していくことがとても大切になります。実際にこの国に暮らす私は、ディーワリー(ヒンズー教のお祭りで10月から11月頃に行われるもの)の時期には道路が渋滞することに気づくことがあります。同僚をお茶に誘って、ラマダン(イスラム教の断食月)が終わったらまたねと断られたことも、引っ越したばかりの頃はありました。さすがに今では日付を気にしていますが、その頃は全く考えていなかったのですね。ちょうどクリスマスのあたりには、ユダヤ教のハヌカー(光の祭り)がありますから、「良いクリスマスを!」ではなく「良いハヌカーを!」という挨拶を時折耳にすることになります。イギリスの小学校の必須科目「RE」とは自分の家庭のものとは異なる文化はどうしてもわかりにくいものですから、イギリスの小学校や中学校では、RE(Religious Education「宗教学」)が必須となっています。必ずしも信じるために学ぶのではなく、不必要な摩擦をさけ、お互いを尊重するために学ぶのです。グローバル化が進み、様々な人々が肩を並べて暮らす現代社会を生きるための基礎素養だと考えられているとも言えるでしょう。REの時間は、地方自治体ごとに、何を教えるのかが変わりますが、多くの場合、子供達にとっては日々の生活に密着した情報を学ぶ時間でもあります。イスラムの人たちは豚肉を食べないから、お弁当のベーコンサンドイッチをあげちゃだめですよシク教徒の男の子たちは髪の毛を神様からもらった大切なものであると考えているから、学校でふざけてでもターバンをとろうとしちゃいけませんよこのように、REの時間は、まさに「自分にとってはふつう」のことが、同じクラスで勉強するお友達にとっては「ふつう」ではないのかもしれない、ということを、学ぶ時間でもあるのです。ニュースの理解度を左右する!?哲学、公民、地理と共にさらにセカンダリースクール(日本でいう中学校のようなもの)に通う上の子供をみると、小学校で学んだREの知識が、上の学校で学ぶ哲学や、公民、地理といった教科に密接に結び付けられていることがわかります。イスラム教がどのような宗教なのか、シク教は一体どのような教義を持っているのか。知っているか知らないかで、ニュースの理解もまるで変わってしまうことでしょう。日本の教育には多くの長所がありますが、イギリスの子供達がREの時間に学ぶような基本的な知識を、まだあまり偏見を持たない年齢の時に教えられることがないのは、残念なことだと思います。異なる文化やしきたりが学べる絵本日本で育つ子供達も今後、様々な習慣や文化をもつ人々と触れ合うことが多くなると予測されます。そういった人たちが近所にやってくる可能性もあれば、自分たちがやがて日本の外へ出ていく可能性もあるでしょう。様々な文化を持つ人たちに囲まれた社会で育つ子供達のために、平易な言葉で様々な習慣を説明する絵本があります。そのうちのいくつか、日本語に訳されているものを中心にご紹介しましょう。■『イライジャの天使―ハヌカとクリスマスの物語』舞台はアメリカ。年老いた黒人のキリスト教徒であるイライジャが、白人のユダヤ教徒の男の子マイケルに、自分が彫った木彫りの天使を渡すのですが、ユダヤ教では偶像崇拝は禁止されていますから、マイケルは困ってしまいます。宗教も人種も年齢も飛び越えて、友情は友情であると力強く訴える、心温まる物語ですが、同時に、こういった文化的ルーツを持つ家庭のしきたりも垣間見ることができます。■『ラマダンのお月さま』イギリスの作家、ナイマ・ロバートによる本書は、本国でも高い評価を得ている絵本です。1ヶ月間のイスラム教の断食を家族と過ごし、月の満ち欠けを見まもる少女の気持ちが、美しい絵と言葉で表現されています。これを読んでいてわかるのは、ラマダン(断食)が、必ずしも「苦しいこと」「我慢をすること」なのではなく、世界中のイスラム教徒たちにとって、共に信仰を確認し、月を見上げる1ヶ月であるということです。■Rama and Sita: The Story of Diwali英語絵本に目を向けると、日本ではなかなか馴染みのないような文化にも触れることができます。例えばこちらは、ディーワーリー(ヒンズー教のお祭り)の起源を描いた、ポップな色彩の楽しい絵本です。探せば日本語の絵本も数多くある、世界の風習や信仰、そしてしきたりの本。自分の家庭の中にいるだけでは見えないもの、より多様性のある社会への道しるべとなる本を、ぜひ意識的に選んでいただきたいと思います。(参考)マイケル J.ローゼン 著, さくま ゆみこ 訳(2012),『イライジャの天使―ハヌカとクリスマスの物語』,晶文社.ナイマ・ロバート 著, 前田 君江 訳(2016),『ラマダンのお月さま』解放出版社.Malachy Doyle, Rama and Sita: The Story of Diwali, (A & C Black, 2012)
2019年01月24日「人は教えることによって、もっともよく学ぶ」という古代ローマの哲学者セネカによる名言や「教うるは学ぶの半ば」という中国のことわざにもあるように、学習の定着にはインプットとともにアウトプットも大切です。学校ではアクティブ・ラーニングを取り入れ、子どもたちがアウトプットする機会が増えてきているとはいえ、まだまだ「学習=インプット」というイメージが根強いのが現状ではないでしょうか?今回はアウトプットの効果にくわえて、アウトプットの具体的な学習方法を紹介します。アウトプットは脳内の記憶を定着させるインプットとは、脳の中にさまざまな情報を「入力」することを、逆にアウトプットは脳の中に取り込んだ情報を処理して外へ「出力」することをいいます。子どもの勉強で言えば、インプットは教科書を読んだり先生の話を聞くこと、アウトプットは問題を解いたりテストを受けたり、あるいは文章を書いたり発表したりすることが当てはまるでしょう。インプットとアウトプットの最も大きな違いについて、精神科医の樺沢紫苑氏は自著において「運動」があるかどうかだと述べています。「書く」「話す」といった運動神経を使った記憶は、「運動性記憶」と呼ばれます。運動性記憶の特徴は、一度覚えるとその後はほとんど忘れることはないということです。3年ぶりに自転車に乗ったら乗り方を忘れていた、ということはないはずです。(引用元:樺沢紫苑(2018),『学びを結果に変える アウトプット大全』p.22, サンクチュアリ出版)これを学習面に置き換えると、「手で書いて覚える」「声を出して覚える」などの動きを伴うアウトプットは記憶を定着させることになります。また皆さんが学生のころ、友だちから「分からないから教えて」と言われたり、分からないところを教え合ったりしたことはありませんか?いざ、教えるとなると分かっていたつもりなのにうまく教えられなかったことや教えてみてはじめて本当に理解できたと感じた経験は多かれ少なかれあるでしょう。「教える」ことも記憶を定着させるための重要なアウトプットのひとつなのです。『強烈なオヤジが高校も塾も通わせずに3人の息子を京都大学に放り込んだ話』の著者である宝槻泰伸氏は小さいころに以下のようなアウトプットをしていたとのこと。たとえば、本を読んだら感想文を書く。もし感想文が長くなりそうであれば、口頭で説明(ドライブ中や入浴中)をさせられたそう。これは、本やマンガ(歴史ものや伝記など)の内容の定着をはかり、プレゼンの練習にもなりますよね。(引用元:Study Hackerこどもまなび☆ラボ|知識の詰め込みではない「答えを導き出すための力」をつける、今注目の「探究学習」とは?)アウトプットはこんなに効果があるのですね。であれば、ぜひ子どもたちにもアウトプットの機会を増やしてあげたいものです。記憶定着のためのアウトプット法7つ家庭でできる学習や記憶が定着しやすいアウトプットの方法を7つご紹介します。お子さまの生活にどんどん取り入れて、学習効果をアップさせたいですね。■覚えたいことは手で書く「書く」という動作は記憶を定着しやすくさせます。プリンストン大学とカリフォルニア大学ロサンゼルス校との共同研究で、講義でとったノートが「手書き」か「ノートパソコン」かで学生を分けて試験を行なったところ、「手書き」の学生のほうが良い成績をとったことが明らかになったそうです。■落書きは見つけても叱らない授業中、教科書の人物写真や肖像画にこっそり落書きをしたりノートの端にパラパラマンガを描いたりして遊んだことはないでしょうか? 実は、落書きをしている間、私たちの喜怒哀楽の感情が刺激され、それが記憶力を高める効果があるそうです。■教科書はサッと確認して問題集をたくさんこなす教科書に書かれていることを完全に理解してから問題集に取り組むよりも、サッと確認してすぐに問題集を解き、間違ったところを教科書で確認して再び問題集に取り組むようにしましょう。細切れでインプットとアウトプットを繰り返すことで記憶が定着しやすくなります。■本を読み終わったら内容や感想を聞く子どもが本を1冊読み終わったら、「どんなお話だった?」と内容を尋ねたり、「どんな気持ちになった? それは、どうして?」と感想を聞いてみましょう。■普段の会話で質問するときは「教えてほしい」という姿勢で学校でその日にあったことを子どもが話してくれたら、「それって、どういうこと?もうちょっと聞かせて」のように、1つでも質問をするようにして「教える」体験を積み重ねるといいようです。■叱るときも「教えてほしい」を意識して何か態度を改めさせたいときや反省を促したいときにも親の意見を聞かせる(インプットさせる)のではなく、「どうして、○○だと思うの?」などの質問を通して「教えてほしい」と意思表示をするようにします。■教える手段は「言葉」以外でもOK言葉で伝えたり言い表すことがスムーズにできなかったり苦手に感じていたりするお子さんには、無理に話をさせる必要はありません。自分の気持ちを表現する手段は、紙に文字で書いたり絵を描いたりしてもいいのです。「アウトプット:インプット=7:3」が最適アウトプットをインプットより多くする上で最適な割合は「7:3」と言われています。これは心理学者アーサー・ゲイツ博士によるコロンビア大学での実験結果から明らかになったものです。小3から中2までの100名を超す子どもたちを対象に、「紳士録」(人名年鑑)にある人物プロフィールを9分間で記憶し暗唱させました。この実験で最も高い結果を出したのは、「覚える時間」に約40%を使ったグループで、さらに、年上の子どもの場合は約30%を使ったグループの得点が高かったのだそう。慣れないうちはインプットの時間を4割ほど費やし、だんだん減らして3割にすると、アウトプットとインプットのバランスが良い状態だと言えます。これは前述のアウトプット法「教科書はサッと確認して問題集をたくさんこなす」で言えば、教科書を読む時間を3~4割、残りを問題集に充てるのが最適です。かなりアウトプットの比率が大きいように感じますが、逆に言えば私たちはインプット過多の傾向が強いのかもしれませんね。今回ご紹介したアウトプット法に限らず、子どもに対して常に「意見を教えてほしい」という姿勢で接することが、子どものアウトプットの機会を増やすことになるようです。さっそく、できるところから試してみてはいかがでしょうか。(参考)Study Hackerこどもまなび☆ラボ|知識の詰め込みではない「答えを導き出すための力」をつける、今注目の「探究学習」とは?ベネッセ教育情報サイト|インプットよりアウトプットで子どもは伸びるSTUDY HACKER|世界の教育、基準は “アウトプット” に移行中!グローバル人材になるための「アウトプット力」の磨き方。名古屋商科大学|インプットからアウトプットへ福島みんなのニュース|今週の名言【人は教えることによって、もっともよく学ぶ】セネカ樺沢紫苑(2018),『学びを結果に変える アウトプット大全』, サンクチュアリ出版
2019年01月23日