チケットぴあがお届けする新着記事一覧 (136/342)
ネルケプランニングによるアイドルステージ第4弾「アンプラネット」の新作『アンプラネット―Back to the Past!―』が、1月5日に開幕。それに先駆け、公開ゲネプロが行われた。【チケット情報はこちら】準惑星アイドル「アンプラネット」はこれまで「少年ハリウッド」「プレゼント◆5」「三日月」「CHaCK-UP」といったグループを世に送り出した、ネルケプランニングによるアイドルステージ第4弾。第一部では物語を、第二部ではライブパフォーマンスを披露するステージで、脚本・演出は亀田真二郎(東京パチプロデュース)。美波日音(冥王星人☆ポミィ)の中に眠る姉の魂をすくいあげるべく、日々奔走する近江 蒼(準惑星ケレス人☆セシィ)、黄楊いるか(準惑星マケマケ人☆マーニィ)、瀬南千翠(準惑星ハウメア人☆サティ)。そんなとき、彼らが通う芸能の名門校・私立SOJ学院に特別講師としてやって来た貴公子系アイドルユニット「三日月」の青羽 要が着けているブレスレットに、姉にまつわる石を見つける。そこである事実に気付いた3人は、秘蔵のオーパーツを使って過去のアメリカに行ってみることに。しかし「三日月」の大ファンという3人組や、濃厚キャラの外国人カップルに絡まれ――!?「アイドルとは一体何なのか、一緒に考えてみよう」という要の言葉から始まる物語。日音の意外な過去なども描かれ、その中に大切な問いかけが流れているストーリーとなっており、アンプラネットの面々がそれをどう受け止め、考え、どんな答えを出すのかは見どころのひとつだ。とはいえ基本的には本シリーズらしい賑やかで楽しい舞台。登場人物たちは全員濃厚で、アンプラネットの面々はもちろん、KIMERUと川上将大による外国人のジェニファー&ジェームズなどは存在感抜群!コミカルな芝居が作品を盛り上げる。また、第二部のライブでは、日替わりゲストとともに10曲以上の楽曲を披露。意外なユニットなども登場し、それぞれがキャラクターを生かしたパフォーマンスで客席を楽しませる。さらに客席参加型の曲もあるので、ぜひペンライトやうちわを使って彼らを応援して!公演は1月14日(日)まで東京・品川プリンスホテル クラブeXにて上演中。取材・文:中川實穂
2018年01月10日吉崎観音がコンセプトデザインを手がけ、昨年放映されたアニメも大きな話題になった「けものフレンズ」の舞台(再演)が2018年1月13日(土)に開幕する。その稽古場に潜入した。舞台「けものフレンズ」チケット情報ヒトの姿をした “アニマルガール”が集まる巨大動物園“ジャパリパーク”を舞台に、フレンズたちの大冒険をオリジナルストーリーで描く本作。2017年6月の初演同様、サーバル役の尾崎由香、フェネック役の本宮佳奈、アライグマ役の小野早稀らアニメと同じ声優が役を演じるほか、今作ではアニメでマーゲイを演じる山下まみがイワトビペンギン役で友情出演することも決定している(1月13日(土)・14日(日))。脚本・演出は舞台『ママと僕たち』シリーズの村上大樹。物語の中心となるのは、ジャパリパークの記念祭で行われるアイドル対決。サーバルがペンギンアイドルユニット・PPP(ペパプ)の公式ライバル”サバンナガールズ”を結成することになり、メンバー集めに奔走する――というストーリーで、この日は歌とダンスのシーンを中心に稽古が行われた。和やかな空気の中、アニメの主題歌『ようこそ!ジャパリパークへ』や『けものみち』など初演で好評を博した楽曲をはじめ、今作の新曲『われらじゃぱりびん』『けものとおどろう』(舞台「けものフレンズ」サウンドトラック収録曲)も披露。『われらじゃぱりびん』はフェネックとアライグマのかわいらしいデュエット&振り付けが魅力だが、そんなふたりに対する他キャラクターの反応も愛らしさ抜群。サバンナガールズとPPPによる『けものとおどろう』は元気で盛り上がる曲。エアギター(!)も披露されるので、ぜひ注目してほしい。芝居についても、初演を参考にしながら再演ならではの一歩踏み込んだ演出がつけられ、小さな仕草から登場&退場の仕方まで各キャラクターらしさを大切につくっていく様子が印象的。キャスト陣も積極的に意見を出し合い、芝居を磨いていく姿からは「今作も観客に楽しんでほしい」という思いが伝わってくる。曲中で客席がノリやすい煽りなども真剣に話し合われていたので、劇場でそんな想いをキャッチしたらぜひひかるぼーで応えて!公演は、2018年1月13日(土)から21日(日)まで東京・AiiA2.5 Theater Tokyoにて。1月13日(土)・14日(日)にマーゲイが出演するほか、16日(火)・19日(金)は日替わりのフレンズたちによる見送り、17日(水)・18日(木)はジャパリパークで記念撮影(抽選10名)なども行われる。取材・文:中川實穂
2018年01月10日『ミュージカル「黒執事」-Tango on the Campania-』が2017年12月31日に開幕した。本作は、枢やなによる同名漫画を原作にした2009年から上演されるミュージカルシリーズの最新作。19世紀の英国を舞台に、名門貴族ファントムハイヴ家に仕える万能の執事でありその正体は悪魔のセバスチャンと13歳の当主・シエルが、女王の密命によって裏社会の事件を闇で片付けていく作品で、今作では昨年劇場版アニメも公開された人気エピソード「豪華客船編」(原作コミック11~14巻に掲載)が描かれる。【チケット情報はこちら】前作に続きセバスチャン・ミカエリス役を古川雄大、シエル・ファントムハイヴ役を内川蓮生が演じるほか、約2年ぶりにグレル・サトクリフ役の植原卓也、ドルイット子爵役の佐々木喜英が出演。さらにロナルド・ノックス役の味方良介、スネーク役の原嶋元久、エリザベス・ミッドフォード役の岡崎百々子ら初参加キャストも注目の顔ぶれが揃う。演出は、今作から児玉明子が手掛ける。今作の舞台は豪華客船『カンパニア号』。セバスチャンとシエルは、ある噂を調査するため船に乗り込むが――。本シリーズの世界観を大きく広げる楽曲はもちろん、豪華客船ならではの華やかな舞台美術、美しい衣装に身を包んだキャラクターたちによる殺陣、映像を多様に活用した演出など、実にさまざまな魅力が詰め込まれた本作。さらに、決してシエルから目を離さない古川の細やかな芝居や、古川と内川の抜群のコンビネーション、植原と味方のコミカルでテンポのいいやり取り、佐々木の“イラッとさせる”個性派キャラ、岡崎がみせる鮮やかなギャップなど、俳優陣による色とりどりの芝居が作品を豊かにふくらませる。主演の古川が「(稽古の)過程はとても過酷なものとなりましたが、出来上がったものは想像以上のものになりました」とコメントしたように、ダイナミックな演出と俳優たちの繊細な芝居が引き立て合う、児玉版ミュージカル「黒執事」が誕生した。今作では、セバスチャンとシエルが「一人の子供と一匹の悪魔」から「伯爵と執事」になるまでの回想や、普段はセバスチャンに守られる立場のシエルが婚約者・エリザベスのために戦う姿なども見どころ。原作ファンはあの“合言葉”もぜひ楽しみにしてほしい。公演は1月14日(日)まで東京・TBS赤坂ACTシアターにて上演後、兵庫、愛知、石川、福岡を巡演。2月12日(月・祝)の千秋楽公演はライブビューイングも行われる。撮影・取材・文:中川實穗(C)2017 枢やな/ミュージカル黒執事プロジェクト
2018年01月10日ミュージカル『三銃士』(2011年)の三銃士役(アトス・アラミス・ポルトス)での共演をきっかけに、橋本さとし、石井一孝、岸祐二の3人が結成したユニット“Mon STARS”。彼らの3度目となるコンサートが、2018年2月20日(火)から22日(木)まで、東京・Bunkamura オーチャードホールで開催される。【チケット情報はこちら】コンサート初日の2月20日(火)には、初のミニアルバム『Lights and Shadows』をリリース。橋本のソロ曲『クリスタルの天使』(『三銃士』より)や、岸のソロ曲『ブイ・ドイ』(『ミス・サイゴン』より)、『レ・ミゼラブル』の名曲『Bring Him Home』など、全6曲が収録されており、これらがコンサートの中心ナンバーとなる予定だ。特にMon STARSらしさが光るのが、石井のソロ曲となるQUEENの「The Show Must Go On」。「実は僕ら3人ともハードロックが大好きだし、心からリスペクトしているのに、今まであまり歌ってこなくて……」と橋本が切り出すと、岸も「ドラマチックで舞台人の僕らにはぴったり。本番前に必ず聴く曲のひとつです」と続ける。フレディ・マーキュリーを敬愛する石井も、「Mon STARSの個性として打ち出せる一曲。ぜひ僕たちの熱いQUEENを体感してください!」と語気を強める。また3人が「名曲生まれちゃいました」と自画自賛するのが、アルバムタイトルにもなっているオリジナルの新曲「Lights and Shadows」。作曲を担当した石井は、「お客さんがペンライトを振ってくれるようなミドルバラードにしたくて」と曲に込めた思いを明かす。作詞を旧知の森雪之丞に依頼し、「こいつら悩みのないおじさんたちやなって思われがちですけど(笑)、僕たちにもちゃんと大人の生きざまと言えるような“影”があるんだっていうのを見せたくて」と語るのは橋本。ゲスト陣には「他力本願爆裂」と3人が笑うほど、豪華な顔ぶれがそろった。『三銃士』で主人公のダルタニャンを演じた井上芳雄(21日)のほか、小西遼生・壮一帆(20日)、中川晃教(22日)が日替わりで出演する。岸が「ゲストの人たちが普段見せないような姿も見せられたら」と語るように、意外な組み合わせが楽しめるのも、Mon STARSのコンサートならではと言えそうだ。リーダーの橋本は、「3人ともバラバラなのに、それが不思議と一致する。そこで生まれる唯一無二の奇跡的なエネルギー」とMon STARSを表現する。そのエネルギーを最大限に感じられる場所こそ、彼らの主戦場である生のステージ。彼らの熱い魂と魅惑の歌声、さらにたっぷりの笑いを会場で堪能しよう。取材・文:野上瑠美子
2018年01月09日法廷は舞台なのです――これはドイツ人の小説家で弁護士フェルディナント・フォン・シーラッハの初戯曲「テロ」の冒頭で、裁判長が客席に向けて発するセリフです。舞台「TERROR テロ」これ!これ!まさしく、これなんですよ!初めて刑事裁判を傍聴した時に思った「芝居っぽいな」という感覚。別に被告人の言動がわざとらしいって意味じゃなく、裁判のやりとり全てが舞台っぽいんです。裁判長が被告人に対して証言台の前に立つよう指示すると、被告人は椅子から立ち上がって歩き出し、証言台の前でピタッと止まるわけ。まるで床にバミリのテープが貼ってあるのかと思うほどに寸分違わずですよ。十数年前に裁判傍聴の本を出版するとき、担当者から「裁判はシェイクスピアより面白い」にしましょうと言われたのを思い出しました。ダサすぎると拒んだけど、シーラッハが「法廷は舞台」と書いているんだからアリだったかもしれませんね。そして、刑事裁判をはじめて見た時に、変だなと思ったのは、最も無関係なのが傍聴人ということ。事件の関係者が傍聴席に座っていることも多々あるんだけど、再現VTRにも入れてもらえないほどの蚊帳の外ですよ。ケータイの電源はOFFで、私語も居眠りも禁止という観劇と同じルールを課せられ、一歩引いた立場で見てる存在。実際の裁判はそうなんです。しかし、この「テロ」は観客に判断を委ねます。エンディングが有罪になるか無罪になるかは、観客次第。もう他人事ではいられないんです。さらに、扱われる事件はテロ。現代に生きる者として逃れることを許されないテーマ。もはや、フィクションの壁を取っ払った「法廷の舞台」なのです。1月からいよいよ「テロ」日本初上演が始まるわけですが、個人的には、どれくらい本当の裁判に近いのかをきっちりと見極めたいですね。原作を読んで素直に思ったのは、「否認事件の割に随分サッパリしてるなぁ」なので。普通の否認事件ならもう少し長めにしっかり審理するでしょ。それが世間的にも大騒ぎになってそうな事件で、被告人質問と情状証人と遺族の証人尋問も結構コンパクトですからね。と言っても、日本の裁判しか傍聴したことないんでドイツの刑事裁判は知らないですけどね。実際、役者の動きや発するセリフ、舞台上に置かれたセットを見れば、そんな細かいことはどうでもよくなるのかもしれませんね。ただ、自分としては、舞台を見た回数より実際の法廷を見た回数の方が多いので、こだわって観たいかなぁと。その上で、ルールの存在を脅かす行為でもあるテロについてもう一度考えたい。どっちに一票入れるべきか……。そんな舞台「テロ」は2018年1月16日 (火) から1月28日 (日)まで、東京・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAにて上演。チケット好評発売中です。阿曽山大噴火★パルコページでも阿曽山大噴火のコメント公開中!
2018年01月09日三谷幸喜が脚本・作詞・構成・演出を務め、川平慈英とシルビア・グラブが出演する『Koki MITANI’S SHOW GIRL vol.2「ショーガール」~告白しちゃいなよ、you~』が、2018年1月8日(月・祝)に開幕する。その稽古場にて川平慈英とシルビアに話を聞いた。Koki MITANI’S SHOW GIRL vol.2 チケット情報本シリーズは、1974年から1988年まで福田陽一郎脚本・構成・演出、木の実ナナと細川俊之の出演でパルコ劇場にて上演されてきた“大人のためのちょっと小洒落た時間”。川平とシルビアが出演する三谷版は2014年にスタートし、2016年に再演。今作はそれに続く第二弾として『告白しちゃいなよ、you』をタイトルに、第一部は三谷書き下ろしの“大人のコイバナ”ショートミュージカル、第二部は華やかなショータイムを届ける。20年ほど前の初共演以来、数多くのステージを共にしてきたふたりは、川平がシルビアを「“相方”という感じになってきた」というほどの仲。そんなふたりと三谷がタッグを組むことで、シルビアは「面白いです。三谷さんって、私たちが普段ステージで求められることとは違う、意外な部分も探し出そうとしてくださるので。もちろんそれで苦労することもありますが、そこがいいんだろうなと思うんですよ。自由にさせてもらうと自分たちがやりやすい方向に持っていっちゃう部分を、敢えてそうじゃない方向に手綱を引いてくれてます」、川平も「自分で言うのもなんですが、三谷さんは自分の大好きな玩具を手に入れて遊んでる感じ(笑)。そうくる!?っていう目から鱗の発想が面白い。稽古場では三谷さんが一番笑ってますよ」と、稽古を楽しむ様子が伝わるコメント。第二弾、三作目となる今作は、「初演は(福田版から作品を引き継ぐことで)失敗できないという思いもあったし、相当気負ってました。でもそろそろ三谷さんの『ショーガール』カラーも染み込んできたので。自由度が広がってきたかな」(川平)と、三谷ならではの“スタイリッシュな裏切りのある大人の芝居”が楽しめるという。日本ではまだまだ珍しい“ショー”を、さらに“大人の時間”として届けるシリーズ。川平は「音楽も知ってる、芝居も知ってる、映画も知ってる人たちが観て、溜飲が下がるようなお芝居にしたい」、シルビアも「もちろんがんばるのですが、観たときに『がんばってるな、あの人たち』と思われないようなものをみせれたら」と、“日本で観られる極上のブロードウエイショー”を目指し稽古に励んでいる。そんな一線級のショーに加え、長澤まさみ、髙嶋政宏、草刈正雄、斉藤由貴、戸田恵子、新納慎也、中川晃教、竹内結子という豪華ゲスト陣も日替わりで出演する公演は、2018年1月8日(月・祝)から14日(日)まで東京・EX THEATER ROPPONGIにて。チケットは発売中。取材・文・撮影中川實穗
2018年01月05日2018年4月に上演される「PHOTOGRAPH 51(フォトグラフ51)」の囲み取材会が行われ、演出のサラナ・ラパイン、主演の板谷由夏、翻訳と芸術面をサポートするドラマターグの芦澤いずみが出席した。【そのほかの画像はこちら】本作は、2015年にウエストエンドにてニコール・キッドマン主演で上演され、好評を博した舞台作品の日本初演。実在する科学者ロザリンド・フランクリンを主人公にした物語で、「世紀の大発見」とも言われる“DNAの二重らせん構造”の発見に貢献したにも関わらずノーベル賞を受賞しなかったロザリンドと、彼女を取り巻く5人の男性の姿を描いていく。板谷のほかに神尾佑、矢崎広、宮崎秋人、橋本淳、中村亀鶴が出演する6人芝居。今回が舞台初主演・初挑戦となる板谷は「すべてのことが楽しみ」と笑顔。サラナは本作を「何年もやりいたいと思ってきた作品」だと言い「ハードなストーリーでありながら、すごく詩的で抒情的な言語を使う。描かれ方や構成そのものも詩的」と魅力を語る。そんな戯曲を初めて日本語に訳した芦澤は「サラナと何度もミーティングを重ね、一言一句に含まれる意味やリズム、演出家の意図を確認していきました」と、英語の台詞に込められた魅力を繊細に反映していったことを明かす。日本語の芝居を初めて手掛けるサラナと俳優の間に言語の違いがあるが、先日、稽古に先行して行われたリーディング(読み合わせ)では「(サラナは)英語の台本を読みながら、私たちの日本語の芝居に一緒に笑っていた」と板谷。言語の違いについて「むしろラッキーだと感じています。言葉が通じないからこそ、なんとなくわかった感じにはならず、絶対にわかるまで、わかり合えるまで探ると思うので。そしてサラナはそういった私の好奇心や質問にきちんと返してくださる方。しかも“プラスα”を足して返してくれるという信頼もあります」。サラナも「“わからない”ということにワクワクしています。なぜなら全然違う視点で(芝居を)見たり聞いたりすることができるから」と語り、このカンパニーならではの深みが生まれそうだ。板谷は自身の演じるロザリンドについて「ストイックさとか強さとか、私に足りないものも持っている人。ものごとに夢中になっていく子供っぽさ、無邪気さ、突進していく集中力に憧れますし、そこは彼女を通して体感したい部分です。人として教わることがすごくある気がしているので、すごく楽しみ」板谷が「人間って面白いなと思ってもらえるし、いろんな発見があると思う」と話す公演は4月6日(金)から22日(日)まで東京・東京芸術劇場 シアターウエスト、25日(水)・26日(木)に大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて上演。取材・文:中川實穂
2017年12月28日1月3日(水)から25日(木)まで大阪・上本町の新歌舞伎座で行われる『デビュー35周年記念 神野美伽新春特別公演』。歌手の神野美伽による芝居と歌の座長公演だ。1984年に『カモメお前なら』でデビューして35年、メモリアルイヤーの幕開けを華々しく飾る。「神野美伽 新春特別公演」チケット情報第一部は芝居「おおきにな~浪花のゆうれい女房~」を上演。舞台は大阪、笑いと涙の夫婦愛を描いた時代劇だ。「新歌舞伎座に立たせていただく中で大事にしていることのひとつに、お芝居は大阪弁でしたいという思いがあります。また、私が今、お客様にお届けするべきことは、見てスカッとする、分かりやすい喜劇だと思うので、今回も楽しんでいただけたら」と神野。主役ながらも序盤で間もなく“幽霊”となる。「お客様だけに見える存在として面白くできたら」と意気込む。第二部は「神野美伽オンステージ」。美空ひばりのヒット曲や、尺八奏者の辻本好美を迎えてのコラボレーションで江利チエミカバーなど趣向を凝らしつつ、自身のオリジナルもたっぷりと聴かせる。「新歌舞伎座のステージからは1階席はもちろん、2階席、3階席のお客様の顔がちゃんと見えるので、客席フロアの照明はなるべく明るくしています。時間が経つにつれ、お客様の顔がどんどん変わり、最後には素晴らしい表情をされているんです」と楽しそうに語る。また、オンステージでは1か月公演だからこそのものを届けたいと言う。「傾斜をつけただけのシンプルな舞台美術を考えています。バックスクリーンや床を染める照明の美しさや音の響き、そして私の歌を楽しんでいただけたらと思います」。近年はニューヨークのジャズクラブでコンサートを開き、国内でもロックミュージシャンとフェスに出演するなど、さらなる進化を遂げている。「私は“演歌歌手”と呼ばれることにものすごく抵抗がありました。なぜ“歌手”という表現ではダメなんだろうと。でも今は、演歌を歌っている歌手だからこそ、できることがあったと気がついて。いろんな経験を通して演歌を歌っているということに確信が持てました」と、今が一番楽しいと目を輝かせる。チケットは発売中。取材・文:岩本和子
2017年12月28日レバノン出身の劇作家ワジディ・ムワワドが執筆し、数々の演劇賞に輝いた『炎 アンサンディ』に続き、上村聡史が演出を手掛ける『岸 リトラル』が東京・シアタートラムで上演される。舞台『岸 リトラル』チケット情報生きる意義を見いだせない青年・ウィルフリードと自らの死を受け入れられない父親・イスマイルの魂が、死体を埋葬すべき場所を求めて旅するさまを描く本作。ウィルフリードの死んだ母親や父子が旅路で出会う“歌う娘”など4役を演じるのが、上村作品初出演となる中嶋朋子だ。8年前に初めて本作を読んだという上村。改めて本を読み返し「荒唐無稽に突っ走りながら、古代と現代を行き来するような叙事詩のような質感が面白いと感じた」と明かす。『炎~』を含めたムワワドの“「約束の血」四部作”の第一作目に位置づけられ、作者が28歳の時に書いた作品だが、いま読んで、強く感じたのは若さゆえのエネルギーだという。「何かを創造し、世界を変革するには、このエネルギーは必要なんだと感じました。個人史的な部分から、大きな歴史――『オイディプス王』からシェイクスピアの『ハムレット』、ドストエフスキーの『白痴』まで様々なモチーフを抱えながら、大きな物語に展開していく。いまだからこそ、それをやりたいと思った」中嶋は、上村の舞台を観て「個人的で、でもすごく大きな物語があると思う」とムワワド作品と重なるものを感じているようだ。中東の荒野で展開する壮大な物語に圧倒されつつ、ワクワクした気持ちも抱いている。「『炎~』もそうなんですが、どうやって稽古から作っていったの? と感じさせるんです。今回、オファーをいただいて、掴み切れないような大きさを感じつつ、でも『あぁ、演劇するってそういうことなんだ』とどこかで思わせてもらいました。いまは『上村さんにすごい切符をもらったぜ!』と思ってます(笑)。私にとって新たな格闘のスタイルになると思うし、地球の硬い核のような深い部分まで掘り起こさないといけない何かがあるはずで、そこに触れた時、私はどうなるんだろう? という気持ちです。いまはまだ、全く想像がつかないですけど、生命として海から陸に上がって、肺呼吸になるくらいの変革、衝撃があるんじゃないかと思ってます」そんな中嶋に対し、上村は彼女の発する声、言葉に特別な“何か”を感じたという。「言葉が美しいんですよね。リアルなお芝居でも古典でも、発語された言葉が透明感をもって伝わってくる。愛することや憎しみ、その葛藤や、静謐さが時に荒々しさをもって、中嶋さんの声を通して伝われば」と期待を寄せる。その発言を受けて中嶋は「未知数です」と苦笑しつつ、歌で世界を変えようとする難役に対し「彼女の歌は歌唱というより、魂の響き。だから、きっと大丈夫」と語る。「俳優の身体を通した言葉に明かりを当てる」――。これは上村が信頼を置く照明の沢田祐二に言われ、自らの核としてきたという言葉。中嶋の歌声がどんなパッションを帯びて発せられるのか。楽しみだ。公演は2月20日(火)から3月11日(日)まで。取材・文:黒豆直樹
2017年12月28日2018年6月23日(土)より、東京・明治座で上演される銀河鉄道999 40周年記念作品 舞台『銀河鉄道999』~GALAXY OPERA~。同作の追加出演者が発表された。【チケット情報はこちら】出演が決定したのは、女優・声優として活躍する美山加恋。演じるのはクリスタルガラスの体を持つ機械化人、クレア。元の体を買い直すため、銀河超特急999号の食堂車で働いており、中川晃教が演じる主人公・星野鉄郎に恋心を抱いている。美山は12月27日に開催された「完全投票型声優イベントV-NEXT」にて、特別賞として同作の出演権を獲得。同じく特別賞を受賞したバレッタ裕もアンサンブルとして出演する。『銀河鉄道999』は漫画家の松本零士により、1977年連載を開始。1978年にはテレビアニメ化、1979年には劇場アニメ化され大ヒットした人気作品。裕福な人々が機械化人となり永遠の命を謳歌する未来世界を舞台に、機械伯爵に母を殺された星野鉄郎が、謎の美女メーテルとともに銀河超特急999号に乗り込み、機械の体をくれる星を目指して宇宙空間を旅するストーリー。舞台版は、1979年に公開された劇場版第1作目をもとに、脚本を坪田文、演出を児玉明子が担当する。公演は6月23日(土)から30日(土)まで東京・明治座にて。その後、7月21日(土)・22日(日)に福岡・北九州芸術劇場大ホール、7月25日から29日大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演される。チケットの一般発売は3月31日(土)より開始。
2017年12月28日2018年1月12日(金)から2月23日(金)までの毎週金曜日と2月14日(水)バレンタインデーの8日間、東京スカイツリー(R)では「SUPER SKYTREE(R) DISCO(スーパースカイツリーディスコ)」が開催される。地上350mの天望デッキにはDJブース、お立ち台、ミラーボールを設置し、他では体験できないディスコ空間が登場し、映像、演出とともに1980年代、1990年代に流行った楽曲を中心としたダンスミュージックが流れる大人の空間を演出。天望デッキの窓ガラスを巨大スクリーンに仕立てたSKYTREE ROUND THEATER(R)では、ディスコ空間を盛り上げる映像を上映予定。今回は、東京スカイツリーが描かれていると話題になった浮世絵師・歌川国芳が描いた「東都三つ又の図」とコラボレーションし、ディスコナイトを盛り上げる。イベント初日の1月12日(金)午後6時半から、本イベントを記念したオープニングセレモニーを開催。セレモニーには、武田修宏、橋本マナミが登壇し、ディスコ全盛期のバブル時代の様子を振り返る。そのほかMCに宇治田みのる、当日DJイベントを行うDJ OSSHY、DJ KOO、KSUKEも登場し、同イベントへの意気込みを語る。なお、イベントの開催にあわせ、東京スカイツリー天望デッキ入場券、展望台内に併設されたレストラン“Sky Restaurant 634”のグランシェフ・牧村のプロデュースする料理をフリーフード・フリードリンク(立食形式)、クロークサービスがセットになった特別企画入場券「SUPER SKYTREE(R) DISCO SPECIAL 3 DAYS」が12月28日(木)午前10時より発売される。■特別企画入場券「SUPER SKYTREE(R) DISCO SPECIAL 3 DAYS」実施期間:2018年1月12日(金)、1月26日(金)、2月16日(金)販売期間:2017年12月28日(木)~2018年2月15日(木)料金:12,000円内容:・天望デッキ入場券【指定日のみ有効、指定入場口より優先案内】・Sky Restaurant 634立食(フリードリンク・フリーフード)、クロークサービス※天望デッキ入場は18:00~21:00まで。※障がい者料金は適用外となります。※入場日の前日まで購入可能。
2017年12月28日西田大輔が脚本・演出を手がける舞台『ONLY SILVER FISH』が、2018年1月6日(土)に開幕する。本作は、西田が主宰するAND ENDLESSで2007年に初演された舞台作品の10年ぶりの再演。今回は舞台に加え、舞台と同じキャストが出演し、異なる役柄&ストーリーで展開する映画版(監督・西田大輔)も春に公開される。舞台の稽古場にて、主演の松田凌と西田に話を聞いた。舞台版「ONLY SILVER FISH」チケット情報映画の撮影は終え、舞台の稽古中というタイミングの取材。西田は「映画と舞台を同じキャストで同時進行するという初めての経験で。普段、作品をつくる中で俳優の人間性を知って、それを役の中に落とし込んでいくのが僕の仕事だと思っているのですが、今回は先に映画の撮影があったので、既にひとつ潜り抜けてここに来ているような想いが今はあります。いよいよホームグラウンド(舞台)での稽古ですが、そもそも座組がすごくいいし、映画を経たことによっていい効果が生まれるんじゃないかと思っていますね」と手ごたえを語る。主演の松田が「舞台ありきの映画、映画ありきの舞台、という感覚の作品ではない」と語った本作。2作で共通しているのは“一匹の魚=シルバーフィッシュ”だけで、全く違うストーリーを描く。舞台版は、ある洋館で開かれるパーティに招かれたメンバーがひとり、またひとりと死んでいくミステリーだ。「こういうワンシチュエーションで会話だけで表現していく作品は、今の西田さんのイメージにはないかも」と松田が語るように、華やかでエンターテインメント性の高い西田作品とはひと味違うものになる。それについて西田は「三谷幸喜さんがワンシチュエーションで上質な芝居をつくって時代を牽引されてるのを下の世代として見ていたので、本当はやりたかったけど『書かない』って決めてたんですよ。だけどやっぱり書いてみたいと思って書いたのが、この作品なんです」と明かしてくれた。そんな本作について松田は「演じていて、『この人の頭の中ってどうなってるんだろう』と思うんですよ。作品全体もそうだし、お話の内容もそうだし、演出もそうなんですけど、裏の裏をかくようなところがあって。セオリー通りじゃない。“この人の作品は観なきゃ損だよ”と思います!」と熱く太鼓判を押す。自身の役柄についても「ずっと出てるし、ほぼ全員と絡んでる。実はそういう役は今まであまりないので、演じてて面白いですね。こんなにもいろんな人と目を合わせて芝居するのは久しぶりで、嬉しいです」と充実を感じているという。松田が「新年一作目に!」とオススメする本作は2018年1月6日(土)から17日(水)まで東京・紀伊國屋ホールにて。映画は2018年春に公開予定。取材・文:中川實穗
2017年12月27日グランフロント大阪のナレッジキャピタル1階にあるメルセデスブランドの発信拠点「Mercedes me Osaka」で、大阪が誇る伝統芸能・文楽とのコラボが実現。12月26日(火)よりラッピングカーの展示がスタートし、除幕式が行われた。「初春文楽公演」「うめだ文楽2018」チケット情報1月3日(水)より大阪・国立文楽劇場で上演される『初春文楽公演』、2月2日(金)よりグランフロント大阪北館4階のナレッジシアターにて上演される『うめだ文楽2018』。両公演の上演演目である『傾城恋飛脚新口村の段(けいせいこいびきゃくにのくちむらのだん)』。遊女梅川を身請けするために300両の金を横領し、梅川と共に実父・孫右衛門の住む新口村へと逃げた忠兵衛。そこで繰り広げられる、親子の情愛や男女の愛を描いた物語だ。降りしきる雪の中、追ってから逃れようとする忠兵衛と梅川の、美しくも悲しいふたりの姿が涙を誘う人気作となっている。その美しい世界を表現したアートワークで、メルセデス・ベンツの車両をラッピング。和と洋がスタイリッシュに融合した、斬新なコラボレーションだ。除幕式では、人形遣いの吉田玉勢(たませ)と吉田簑紫郎(みのしろう)が文楽人形の梅川と忠兵衛を操り、パフォーマンスを行った。梅川を操る簑紫郎は「メルセデスさんという伝統のあるメーカーさんにご協力いただいて、伝統芸能を紹介させていただくというのはすごくありがたいなと思います。このお芝居の時代にこのような車があったら、新口村まで20日間もかけずに、すぐに辿り着けますね(笑)」と笑いを誘い、忠兵衛を操る玉勢は「すごく美しくラッピングされていて、感激しています」とコメントした。コラボラッピングカーの展示は12月26日(火)から2月4日(日)まで。『初春文楽公演』『うめだ文楽2018』のチケットは発売中。
2017年12月27日栗山民也演出、蒼井優、生瀬勝久ら出演で話題の舞台『アンチゴーヌ』。フランスの劇作家ジャン・アヌイがソフォクレスのギリシャ悲劇を下敷きに書いた悲劇だ。稽古場には本番同様のセットが組まれ、静かな緊張感が漂っていた。【チケット情報はこちら】物語の舞台は、古代ギリシャの国家テーバイ。オイディプス王亡き後、王の長男エテオークルと次男ポリニスは王位を巡って相討ちとなり、共に命を落としたため、アンチゴーヌの叔父で、オイディプスの義弟でもあるクレオンが王位に就いている。クレオンは国の秩序を取り戻すため、エテオークルの遺体のみを弔い、ポリニスの遺体は反逆者として野ざらしにして、埋葬した者は死刑にすると宣言した。だが、オイディプスの末娘アンチゴーヌはこの禁令を受け入れようとせず……。この日の稽古は、アンチゴーヌがポリニスの墓に土をかけたことを、衛兵(佐藤誓)がクレオン(生瀬)に報告する場面から始まった。やがて、アンチゴーヌ(蒼井)が連れられてくる。乱暴に扱われながらも毅然とした態度を崩さないアンチゴーヌ。クレオンは衛兵を下がらせ、アンチゴーヌとふたりきりになると、優しく、時に哀願するように彼女に語りかけて違反行為を見逃そうとするが、死者を慰めるためにも兄の埋葬をしたいと望むアンチゴーヌは、自らの行為の隠匿を拒む。そんなアンチゴーヌを今度は威嚇し、あるいは兄達を貶めて説き伏せようとするクレオンだが、彼女の埋葬への意志は固く、議論は平行線を辿る。これは単なる叔父と姪の対立ではなく、社会と個人、秩序と自由、常識と信念の激突なのだ。そんなふたりのドラマを表す上でも、十字に交差する舞台美術が実に効果的。クレオンは十字の一方にある王座に座り、アンチゴーヌの椅子はこれと対置するように置かれるが、応酬の中でふたりの位置はしばしば入れ替わる。議論が進むにつれ、説得に失敗し続けるクレオンは敗者、意志を貫くアンチゴーヌは勝者に見えてくるのが面白い。兄の弔いを続けるために出て行こうとするアンチゴーヌをクレオンが「どこへ行く」と咎めるその方角は、王座と同じ方角でもある。やがてアンチゴーヌの影響が彼女の姉イスメーヌ(伊勢佳世)に及ぶに至って、アンチゴーヌを罰せざるを得なくなるクレオン。彼が息子のエモン(渋谷謙人)や、高橋紀絵、梅沢昌代らが演じるコロスに責められる姿は哀れにすら見える。建前と本音の狭間で苦悩しながら妥協点を模索するクレオンを誠実に演じる生瀬と、退路を断って理想に殉じるアンチゴーヌをひたむきに体現する蒼井。ふたりの40分にも及ぶ圧巻の議論を、観客は十字型の舞台のすぐ下から見守ることになる。所々でシャンソンやヘリコプターの音などが流れていたのも印象的。本作は古代劇ではなく、1944年に初演された現代劇なのだ。2018年の幕開きにこのドラマが私達に突きつけるものを、しかと受け止めたい。公演は1月9日(火) から27日(土)まで東京・新国立劇場小劇場にて。その後、長野、京都、愛知、福岡を巡演。 チケット発売中。取材・文:高橋彩子
2017年12月27日狂言師野村萬斎が1998年から毎年1月に開催してきた「万作萬斎新春狂言会」が20回を超え、来年でサンケイホールブリーゼでの公演も10年目。常連客と共に、初めて狂言を観るという人も多い。この公演は、新春を寿ぐ華やかさや明るさに満ちて心地よく、狂言デビューにオススメだ。「万作萬斎新春狂言2018」チケット情報舞台にはお正月飾りのしめ縄。プログラムは毎年、野村家の元旦の行事である謡初(うたいぞめ)の披露から始まる。今年は『雪山』。会場の空気が引き締まり、新年の幕開きにふさわしい。次に人気の萬斎トーク。くわしくわかりやすく、とても楽しい演目解説だ。そして大名狂言『二人大名』、休憩を挟んで大変珍しい鬼狂言『政頼(せいらい)』。毎年、演目はその年の干支にちなんだものを選び、上演する。2018年は戌年。「関西の能楽界に呼ばれ、週に1度は京阪神に来ています」という超多忙な萬斎が、演目の見どころや想いを語った。『二人大名』は、野遊びに出たふたりの大名がお供がいなくて体裁が悪いと、出合った男に無理やり太刀を持たせるが、逆にその太刀で脅されて…という演目。「狂言では刃傷沙汰にはならないんですよ(笑)。鶏や犬のマネをさせるという、大名のもて遊び方がおもしろい。今年は酉年で来年は戌年だからね、干支を意識してます(笑)。最後には起上がり小法師のマネをするんですが、子供番組(NHK「にほんごであそぼ」)でもやっている内容なので、お子様同伴で来られるのもおすすめです」。『政頼』は、仏教が栄えて不景気になった地獄が舞台。鬼たちを引き連れた閻魔大王が、極楽と地獄に分かれる六道の辻まで亡者を迎えに出る。やってきた鷹匠・政頼を地獄に落とそうとするが…。萬斎が約10年前に復活させた演目で、大人数での上演となる。「和泉流として関西でやるのは初めてです。正月早々、地獄の話で申し訳ないですが、鷹狩は帝王の遊びだと鷹匠の誉れを語るところはお正月らしいですね。そして、地獄にも犬がいたので鷹狩をしてみせる…はい、こちらも犬が出ます(笑)。閻魔大王と鷹匠が友情を築くという、めずらしい展開でほのぼの感もある話ですが、これは鷹狩のシーンをどう見せるかがキモ。その生命線である鷹を手間暇かけて新たに作り、飛んでいるように見える工夫をしていますので、是非お楽しみに。鷹匠の狂言を観て、“一富士、二鷹、三なすび”と、縁起のいい夢を見ていただければ(笑)」。公演は1月25日(木)・26日(金)大阪・サンケイホールブリーゼにて。チケットは発売中。取材・文:高橋晴代
2017年12月27日2018年も『熱海殺人事件』が東京・紀伊國屋ホールで上演される。婦人警官・水野朋子を演じる木崎ゆりあと、演出を手掛ける岡村俊一に話を聞いた。舞台「熱海殺人事件」CROSS OVER 45チケット情報“春の風物詩”と呼ばれるほど紀伊國屋ホールで上演されてきた『熱海殺人事件』。1973年に初演、映画化、ドラマ化もされたつかこうへいの代表作で、2010年につかが亡くなってからも、つか作品を数多く手がける岡村俊一の演出で同劇場で上演され続けている。その2018年版は、木村伝兵衛部長刑事を昨年に引き続き味方良介、水野朋子婦人警官を木崎ゆりあ、犯人・大山金太郎をWキャストでα-X’sの敦貴と匠海、富山から来た刑事・熊田留吉に石田明(NON STYLE)で上演する。木崎はこの9月にSKE48・AKB48を卒業したばかり。女優としてやっていきたいという木崎の、卒業後初の演技仕事となる。「今はビックリというのが一番簡単で分かりやすい気持ちです。『熱海殺人事件』は有名な作品ですし、4人芝居のうちのひとりとして演じるというのも驚きました。早口大丈夫かなとか(笑)、不安なことはいっぱいありますが、その何倍も楽しみ。これ以上ないくらいありがたいです」。そんな木崎を岡村は「AKB48時代からパンチ力がある役柄をやってのけることができる勢いや思い切りの良さがある。今回は傷だらけのゆりあを(笑)、演じてもらおうと思っています」。木崎が演じるのは水野朋子婦人警官役。これまでもさまざまな女優に演じられてきた役柄だが、岡村は「水野朋子はすごいパワハラとセクハラにあう役なので、それに生の反応で返せばいい演技になっていく。俳優というのは『こういうことが起きたときにあなたはどうしますか』と問われ続ける職業だと思うので。だから頭で考えて『こんな役にしようと思ってる』では通用しない。特につかこうへい流の作品は。追い込まれている姿を見せるというような、そういう芝居になると思います」。その中でも木崎は「攻撃陣3人を受け止めて返す側。そのときどきできちんと二塁打を打ったりバントをしなきゃいけない」(岡村)と4人芝居ならではの苦労もありそうだが、木崎自身は「舞台経験がほぼないに等しいので、それでこの極限まで持ってかれる舞台に参加するのが楽しみです!」と頼もしい。岡村の演出作品には、『あずみ』の川栄李奈、『新・幕末純情伝』の松井玲奈と元メンバーが出演しているが「川栄にも松井玲奈ちゃんにも負けたくない気持ちがあります。稽古で『川栄はもっとできたぞ』『松井はもっと動けたぞ』と言われたら悔しいし。超えていきたいですね」公演は2018年2月17日(土)から3月5日(月)まで東京・紀伊國屋ホールにて。取材・文:中川實穗
2017年12月27日眺望抜群の梅田スカイビル27階に誕生した絹谷幸二 天空美術館。世界初の試みである絵の中に飛び込むという、大迫力の3D映像が体験できる美術館だ。開館1周年を迎えた話題のスポットでの、ひと味違うアート体験をご紹介。「絹谷幸二 天空美術館」チケット情報絹谷幸二は、東京藝術大学大学院壁画科修了後にイタリアへ留学し、アフレスコ(壁画の古典技法)による色彩豊かな画風を確立。生きる喜びを高らかに謳いあげるような、エネルギーに満ち溢れた作品は多くの人に支持されている。静かに鑑賞するのではなく、まるで絵画を体験するかのような展示方法を採っているのが、絹谷幸二 天空美術館の魅力。感想を語り合いながら展示を楽しみたいカップルや家族連れにピッタリのアートスポットだ。目玉は幅約14m、高さ約3mの大型スクリーンに絹谷ワールドを再構築した3D映像体験。入場時に渡される3Dメガネをかけてスクリーンを眺めると、音楽とともに絵画の中に入り込むバーチャルツアーがスタート。体をくねらせ空を舞う龍、迫りくる風神雷神、舞い散る紅葉や桜吹雪が、まさに眼前に飛び込んでくる。ここでは、歓声をあげるのも、絵をつかもうと体を動かすのも、鑑賞者の自由。テーマパークのアトラクションのようなワクワクを、心のままに体験してほしい。3D映像を楽しんだ後は、展示ゾーンへ進もう。展示ゾーン「青」には、若き日の留学先・イタリアを描いた作品が並ぶ。壁画の表面を剥がして移し替える「ストラッポ技法」により展示された大作もあり、その大きさに圧倒されること間違いなし。ルネッサンスの巨匠へのオマージュ作品は、どの絵がモチーフになっているのかを語りあうのも楽しい。展示ゾーン「赤」は、富士山や古事記など東洋がテーマの作品が中心。風神雷神をモチーフに現代文明への警鐘を込めた『黄金背景富嶽旭日・風神・雷神』は必見だ。梅田スカイビルの27階というロケーションを生かした「天空ギャラリー」「天空カフェ」からの眺望も、こちらの美術館の魅力。オススメは、夕暮れどき。大阪湾に夕日が沈みゆき、空一面が茜色に染まる瞬間は、筆舌に尽くしがたい美しさだ。「天空カフェ」の窓側にはカップルシートも。絵画にちなんだ色鮮やかなイタリアンソーダやコーヒーなどを楽しみながら、ゆっくりと過ごそう。開館1周年を記念し、3月26日(月)まで特別展示「歓喜あふれる時~歌・食・食、そして藝術~」を開催中。イタリアの人生観「愛して歌って食べる」という喜びを表現した心躍る作品を展示する。お得な割引入館引換券はチケットぴあにて発売中。休館日は火曜日(祝日の場合は開館、翌平日が休館)。12月30日(土)~1月3日(水)、展示替え期間は特別休館。文:上田亜矢
2017年12月27日舞台「パタリロ!」の第2弾新作公演、舞台「パタリロ!」★スターダスト計画★が来年春に上演される。マリネラ王国国王のパタリロが巻き起こす騒動を描いた魔夜峰央の同名ギャグマンガを舞台化した本作で、パタリロを演じる加藤諒、マライヒを演じる佐奈宏紀、バンコランを演じる青木玄徳に話を聞いた。舞台「パタリロ!」★スターダスト計画★ チケット情報2016年12月に上演された第1弾から続投の3人。新作について加藤が「初演でみんなで築き上げた『パタリロ!』の世界を、今作でさらに広げていきます。前回よりもストーリー性が強くなると思うので、その辺りも楽しみです」とキッチリ語れば、美少年マライヒ役の佐奈は「僕はまあ、マライヒの他に(登場人物に)美少年?が増えるらしいので。かかってこいよって感じですけど。絶対負けないので」と発言。それを聞いて青木が大笑いするなど、和やかさに初演のカンパニーの空気の良さが滲み出る。初演に続き脚本を池田テツヒロ、演出を小林顕作が手掛ける今作。ストーリーについて「ロビー少尉が出るってことはあの話でしょ?」(加藤)「うわー!泣いちゃうよ!」(佐奈)とキャストも期待大な様子。加藤は「タイトルになっている『スターダスト計画』とともに、ロビー少尉のエピソードは原作でもすごく人気がありますし、少しシリアスなお話で。その部分をしっかりみせるためにもギャグパートをもっと面白くして、ちゃんとギャップをみせられたら」と意気込む。そんな加藤の演じる主人公・パタリロを青木は「顕作さんは僕らメインキャラクターより周りのタマネギ部隊や魔夜メンズにいっぱい演出をつけるのですが、諒くんに限っては全然違って。弟子と師匠みたいな関係性で、自分の技をどんどん諒くんに注ぎ込む顕作さんを見て『すごいな』と思ったし、ちょっと羨ましい部分もありましたね」。初演で濃厚なバンコラン&マライヒ像を披露した佐奈は「マライヒって、バンコランとの出会いで性格や考え方も変わっていくキャラクターなんですけど、それと同じように(青木が)的確に僕を変えていってくれた」、青木も「佐奈くんのマライヒには感謝しかないです。役をつくるうえでバンコランはマライヒなしには存在しないと思いました」と振り返り、今作でも「バンコランは渡さない!」(佐奈)と熱い関係がみられそうだ。青木が「前作の千秋楽でパタリロにハプニングが起きてお客さんが腹がよじれるほど笑ってたんですけど、僕、あんなにお客さんが笑ってるのを舞台上から見たことがなかったから。あれをもう一回見たい」と話し、加藤も「代表作になるようにがんばりたい」と意気込む今作。公演は2018年3月15日(木)から25日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場、3月30日(金)から4月1日(日)まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演。取材・文:中川實穂
2017年12月27日平昌オリンピックを2か月後に控える今冬、スタースケーターたちが滑ってきた名曲を楽しむコンサート「SKATING MUSIC CONCERT」が行われる。出演は、ヴァイオリニストのSONGiL、ソプラノ歌手のチョン・ウォルソン、ピアニストの追川札章。このうちのSONGiLに、スケートと音楽への思いを訊いた。【チケット情報はこちら】「フィギュアスケートには音楽が不可欠。名曲揃いなので、テレビでよく見ます。ヴァイオリンの弓と弦は、スケート靴の刃と氷の関係に少し似ていますね。スケートはレベルが高い選手でも転ぶ可能性がある競技ですけれども、ヴァイオリンも、指が1ミリでもズレれば音程がズレますし、緊張で硬くなると弓が弦の上をまっすぐ滑らずスリップする危険性がある。ちょっとしたことで音色が変わるため、同じヴァイオリンでも弾く人によってまるで違うのですが、浅田真央さんとキム・ヨナさんもそうですよね。僕は作曲をしたりピアノを弾いたりもするので、その意味では王道というよりオンリーワンなスケーターにも惹かれます」SONGiLは今回、浅田真央の弾むような演技が思い出される『チャルダッシュ』や、高橋大輔・荒川静香・鈴木明子がそれぞれドラマティックに演じた『オペラ座の怪人』などを演奏。「『チャルダッシュ』は今年、北海道の定山渓でボリショイ・サーカスの人達と共演した『華麗なるベネチアンサーカスショー』でも弾きました。クラシック曲として有名ですが、もともとジプシーの音楽なので、様々なアプローチで演奏できる曲です。『オペラ座の怪人』は普段からiPodに入れて聴いたり映画を見たりしている、大好きなミュージカル。昨年リリースしたアルバム『EXOTOPIA』では、ファントムが歌う曲を自分でアレンジしてメドレーにして入れました。どの曲も、好きな選手の場面を思い浮かべ、色々なことを思い出しながら、聴いていただけるのではないでしょうか」ヴァイオリンを「人間として気づいたらやっていた(笑)」と語るSONGiL。練習が嫌でたまらない時期もあったが、中学生の途中から作曲を手がけるようになり、楽しくなったという。「僕がヴァイオリンで、ピアノやドラムやベースなどとバンドを組み、自分の曲を演奏したり知っている曲を編曲したり。熱中すると同時に、これが自分のやるべきことだと思うようになりました」SMAPや東方神起、IL DIVO、Bjorkなどのサポートミュージシャンを経て、現在、自身の演奏活動を展開しながら音楽プロデュースもこなすなど、多彩な活躍を見せる。「スポーツや音楽は政治よりも簡単で、良いものは良いという世界。コリアンとして生まれ、日本で育った身としては、音で両国を繋ぎたいという気持ちがあります。音に全てを込めて表現し、プレミアムなコンサートにしたいですね」「SKATING MUSIC CONCERT」は1月26日(金)東京・音楽の友ホールで開催。チケット発売中。取材・文:高橋彩子
2017年12月27日5月19日(土)・20日(日)に大阪・METROCK大阪特設会場(大阪府堺市・海とのふれあい広場)、5月26日(土)・27日(日)に東京・新木場・若洲公園で開催される野外フェスティバル「METROCK2018」。同フェスの第1弾出演アーティストが発表された。【チケット情報はこちら】出演が決定したのは、エレファントカシマシ、THE ORAL CIGARETTES、KEYTALK、キュウソネコカミ、ゲスの極み乙女。、THE BAWDIES、04 Limited Sazabysの7組。これらのアーティストは東京、大阪両会場に出演する。チケットの一般発売に先がけて、現在、2日通し券の最速先行予約を実施中。■OSAKA METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2018日時:5月19日(土)・20日(日)開場9:00 / 開演 11:00(予定)会場:METROCK大阪特設会場(大阪府堺市・海とのふれあい広場)料金:1日券10,000円 / 2日通し券 19,000円(先行販売のみの取扱い・各税込)※未就学児は保護者同伴に限り保護者1名につき1名のみ入場可。ただしエリア制限あり。■TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2018日時:5月26日(土)・27日(日)開場9:30 / 開演11:30(予定)会場:新木場・若洲公園(東京都)料金: 1日券10,000円 / 2日通し券 19,000円(先行販売のみの取扱い・各税込)※未就学児は保護者同伴に限り保護者1名につき1名のみ入場可。ただしエリア制限あり。★★以下のリンクより「METROCK」をお気に入り登録して、情報をゲット!
2017年12月26日ロシア国家劇場賞受賞、サンクトペテルブルグ都立最高劇場賞に輝いた注目のバレエ団、ロシア国立サンクトペテルブルグ・アカデミー・バレエが2年ぶりの来日中だ。マリインスキー・バレエのプリンシパルとして第一線で活躍し、惜しまれつつも引退したアンドリアン・ファジェーエフがトップとしてバレエ団を率いる。来日公演は12月22日「くるみ割り人形」より開幕。その直前リハーサルの様子を取材した。【チケット情報はこちら】クリスマスのパーティから物語が始まる「くるみ割り人形」。主人公の女の子クララがドロッセルマイヤーおじさんからくるみ割り人形をプレゼントに貰う。おもちゃの戦争に巻き込まれたり、王子様からお菓子の国へ誘われ、お菓子の精たちと楽しく過ごす「くるみ」の舞台は、さながら絵本から出てきた夢の国のようだ。序曲がはじまると、雪降る夜の町並みが舞台上に照らし出される。その道を様々な人々が通り過ぎてゆく。ある人は忙しそうに、ある人は楽しげに、そのひとりひとりに、それぞれのクリスマスの物語を感じさせる演出だ。ともすれば本編の入り口でしかないとも言える往来のワンシーンだが、監督であるファジェーエフはそれぞれを注意深く見つめ、気になればすぐさま「ストップ!」と声をかけ、自らスタイルを示し、そして舞台は、より生きたものに変化していく。開演直前のリハーサルにもかかわらず、わずか3分程度の序曲のリハーサルに費やした時間は正味15分。このディティールへのこだわりは全編を通して発揮されており、特にコールドバレエひとりひとりへの眼差しや指摘が印象に残った。開場直前ぎりぎりまでのリハーサルでも一切妥協しないその姿勢は、その日の観客の目にも納得のいくものであったに違いない。注目ダンサーはアレクセイ・ポポフ。ワガノワ・バレエ・アカデミーを卒業後、マリインスキー・バレエを経て、2016年のシーズンからファースト・ソリストとしてバイエルン国立バレエの団員となり、世界をまたにかけ活躍している。また同じくワガノワ・バレエの薫陶を受けた長澤美絵も出演。ドネツク国立バレエを経て、2010年にキエフ・クラシック・バレエに入団。2014年には、エストニア・タリン国際バレエコンクールにて賞に輝いた。来日公演は12月22日神奈川・藤沢市民会館大ホールでの「くるみ割り人形」で開幕。クリスマス後からは演目を「白鳥の湖」に変え、昭和女子大学人見記念講堂、オーチャードホール、大宮ソニックシティなどを巡演。1月14日(日)大阪・グランキューブ大阪メインホールまで。チケットは発売中。取材・文:yokano
2017年12月25日1月から2月にかけて開催される、大人気アニメ「マクロスシリーズ」と東京スカイツリーのコラボレーションイベント「マクロス BLUE MOON SHOW CASE IN TOKYO SKYTREE」。同イベントに先駆け、12月19日に「『マクロスΔ(デルタ)』クリスマスミニライブ at 東京スカイツリー」が天望デッキ350特設ステージで行われた。【チケット情報はこちら】鮮やかな赤色のドレスを着たフレイア・ヴィオン役・鈴木みのりと、ラベンダー色のドレスに身を包んだ三雲・ギンヌメール役(歌担当)のJUNNAがステージに登場すると、待ちわびた観客から歓声が湧きおこった。アニメ映画『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』の主題歌『愛・おぼえていますか』のワルキューレver.でライブがスタート。1曲目を歌い終えた鈴木から「マクロス35周年、スカイツリー5周年を記念した機会に、こんなに素敵な夜景と素敵なピアノと皆さんと一緒に楽しんでいきたい」と挨拶。また、「ここ(東京スカイツリー)に初めて来た人いますか?」というJUNNAの問いかけに、半数以上の観客が元気よく反応すると、特設ステージの後ろに広がる夜景をふたりが大絶賛して会場を賑わせた。鈴木が「夜景とピアノといえばやっぱりしっとりした曲ですね」と言い、2曲目は『God Bless You』を披露。続けて3曲目、ピアノ伴奏のイントロでひと際大きな歓声と手拍子が沸き起こったのは、『いけないボーダーライン』。JUNNAの力強い歌声に観客のボルテージは最高潮に。同イベントでの歌唱が「今年の歌い納め」という鈴木に、JUNNAも「ワルキューレは止まらずに頑張っていきたい」と来年に向けての意気込みを語り、ラスト曲、マクロスΔ前期エンディングテーマ『ルンがピカッと光ったら』を熱唱した。イベント中は、窓ガラスを巨大スクリーンに仕立てたラウンドシアターを使い、ワルキューレの戦闘シーンやマクロスΔの前期エンディングの映像が映し出される演出、「スカイツリー!覚悟するんよー!」、「スカイツリー、ゴリゴリアターック!」など本ライブ用にアレンジされた歌詞で歌うなどのサービスもあった。眼下に広がる夜景を見ながら「こんな所で歌えるなんて一生に一度かもしれない」とJUNNAが言えば、鈴木も「最近、綺麗な景色や夜景を見るのが大好きになったので、このタイミングで見られるのが嬉しい」と笑顔を見せていた。東京スカイツリーのコラボイベント「マクロス BLUE MOON SHOW CASE IN TOKYO SKYTREE(R)」は、1月9日(火)より開催。なおチケットぴあでは、天望デッキ・天望回廊への優先入場と、ミニ色紙2枚がセットになったスペシャルチケットを発売中。
2017年12月22日石原さとみが4年ぶりに出演する舞台として話題の『密やかな結晶』。原作は小川洋子の同名小説で、次々とモノが消滅していく島で生きる人々の、日常と葛藤が描かれる。そこで石原演じる“わたし”と生活を共にし、彼女を支える“おじいさん”役に抜擢されたのが、村上虹郎だ。舞台『密やかな結晶』チケット情報2015年の初舞台以降、年に1本のペースで舞台に立ち続けている村上。映像作品の印象が強い村上だが、舞台にかける思いは強い。「映像作品は、今後それが残っていくことを前提につくられていると思うんです。でも舞台は、今やらなきゃいけない、今やりたいことを、今観てもらいたいからつくっている。その空間を演者と観客が共有しているわけで。舞台は生ものなので映像とは全然違うもの。僕が今おじいさん役を演じられるのも、舞台ならではだと思います」。そう、この作品で村上が演じるのは、原作では“おじいさん”そのものとして描かれている人物。しかしこの舞台では、20歳前後の容姿を保ったままの“おじいさん”として登場することになる。「すごいテーマがきた!という感じでした(笑)。(演出の)鄭(義信)さんにお会いしていない段階でこの役をいただいたので、どういうことなんだろう?と考えているところです(笑)。過去に舞台で僕が演じた役は、どれも跳ねているイメージなんです。すごく危ういというか、舞台上にいたら目に止めてもらえる役。でも今回はどちらかというと“見守る”役。今までとまったく違う分、超楽しみではありますね」。そんな新境地ともいえる役どころに対し、村上はどのようにアプローチしていくつもりなのだろうか。「今まで演じてきた役に比べて、アプローチの道がたくさんあり過ぎて…。ただ共演者の皆さんの中には、僕より年上の男性がたくさんいらっしゃるので、まずはその方々がどう思っているのかを聞くことが、おじいさんを演じる上では一番リアルかなと思っています。その筆頭にいるのが鄭さんですね」。わたしとおじいさんの生活は、R氏という男性の登場、さらに秘密警察の介入によって大きく揺らいでいくことになる。「構造としてはすごくシンプルな話だと思います。ただすべてが抽象的で、秘密警察の正体も、モノが消滅していく理由もわからないまま。だから人によって受け取り方はさまざまだろうなと思います。でもこれだけは確実に言えます。この舞台は絶対に面白くなります!」舞台『密やかな結晶』は2月2日(金)から2月25日(日)まで、東京芸術劇場 プレイハウスにて。チケットは現在発売中。また2月22日(木)18:30に追加公演が決定。追加公演のチケットは12月23日(土・祝)午前10時より一般発売。取材・文:野上瑠美子
2017年12月22日「大阪が誇る伝統芸能『文楽』の魅力を、みんなと分かち合いたい」という思いで在阪の放送局が集まり、ナレッジキャピタルと共に2015年から毎年開催している『うめだ文楽』。2018年2月には4度目の公演が行われ、若手技芸員による上演のほか、桂南光、NAOTOら様々な分野から招いたゲストと技芸員によるトークショーも展開。演目は「傾城恋飛脚 新口村の段」で、親子の情愛、男女の愛を描いた涙を誘う物語だ。「うめだ文楽2018」チケット情報会場のナレッジシアターが入るグランフロント大阪北館1階の「カフェラボ」では演目に登場する遊女・梅川の名にちなんだ梅を使った2種類のコラボドリンク「梅みるく&ももスムージー」(550円)と「ホット梅ロゼサングリア」(550円)を2月4日(日)まで期間限定で販売する。12月21日には「カフェラボ」にて技芸員によるPRパフォーマンスが行われ、人形遣いの吉田簑紫郎、吉田玉彦、吉田玉延が梅川を巧みに操り、居合わせた人々にスムージーを受け渡した。お昼過ぎ、様々な客がくつろぐ店内に遊女、梅川が現れた。非日常的な場面にざわめきが起きつつも、梅川からドリンクを受け取ったお客様は皆、笑顔に。小さな子どもたちは驚きを隠せない様子だったが、その一挙手一投足を興味深く見つめていた。「お客様が寛いでおられる中でお邪魔にならなかったか、気を遣いました」と、梅川のかしらを操り、本公演のリーダーも務める簑紫郎。「文楽は堅苦しい、難しいのではというイメージがあると思うので、いつもとは違うアプローチで知っていただくきっかけになったと思う」とPRイベントも楽しんだ様子。若手の技芸員にとって成長の場ともなっている『うめだ文楽』。簑紫郎は「梅川は遊女なので色香を保ちつつ、湿っぽさや疲れきった様子をどう見せるか。クライマックスでの情けをかける場面も見せどころです」と気合を入れる。本番では「新口村」にたどりつくまでの場面をスクリーンで見せる。「ストーリーがわからなくても楽しんでもらえると思います。人形がきれいだな、太夫の語りがすごいな、三味線の音色がいいなとか、そんな感じでいいので、ニュートラルに見てほしいです」と誘う。『うめだ文楽2018』は2月2日(金)~4日(日)までナレッジシアターで開催。チケット発売中。なお、文楽人形「梅川」によるコラボドリンクサーブは12月22日(金)14時00分~14時20分にも実施される。◆販売期間:12月21日(木)~2月4日(日)◆文楽人形「梅川」によるコラボドリンクサーブ12月22日(金)14時00分~14時20分取材・文:岩本和子
2017年12月21日沼尻竜典指揮、佐藤美晴演出で18年6月に上演されるNISSAY OPERA『魔笛』。日生劇場開場55周年を記念し、オペラ4演目を全てモーツァルト作品でそろえる「モーツァルト・シリーズ」の一環として上演される注目作だ。公演に先駆けて、関連企画「オペラ・オードブル・コンサートvol.6 『魔笛』」が、日生劇場のピロティにて開催された。オペラ「魔笛」チケット情報この日のピアノ伴奏と進行を担ったのは、本番でタクトを振る指揮者・沼尻竜典。『魔笛』序曲はその沼尻に加え、指揮者・園田隆一郎も登場し、ふたりのマエストロが連弾するという豪華さ。なんでも園田が「今日聴きに行きます」と沼尻に話したところ、沼尻から出演を依頼されたのだという。華やかな幕開きに続いて、出演歌手たちによる『魔笛』の歌唱へ。まず最初は、パパゲーノのアリア「私は鳥刺し」。パパゲーノ役の青山貴がパンフルートを持って登場。客席エリアにも入るなど、所狭しと動き回って陽気に歌う。通常の劇場では考えられない至近距離で、歌やパフォーマンスを楽しむことができるのも、このコンサートの特長だ。普段と違う作品の味わい方により、作品への興味や理解も一層深まっていく。続いて、王子タミーノのアリア「なんと美しい絵姿」。のちに結ばれる姫パミーナの絵姿に思いを寄せる歌だ。未だ見ぬ女性への恋心を表す調べはロマンティック。さらに、二重唱「愛を感じる男の人たちには」。パミーナ役の砂川涼子ととパパゲーノ役の青山の二重唱だ。砂川の清らかな歌声と青山の伸びやかな歌声がどこまでも広がる。沼尻マエストロは気さくに楽しく、時にはカリスマ実演販売士のように(?)セット券情報なども織り交ぜながら、軽妙に進行。高音が散りばめられた夜の女王のアリア「復讐の炎は地獄のように我が心に燃え」では、中江早希が迫力満点の歌唱を披露。また、沈黙の修行中のタミーノが口を聞いてくれずパミーナが悲嘆に暮れるアリア「ああ私にはわかる、消え失せてしまったことが」を砂川がしっとりと歌い上げ、沼尻がユーモアたっぷりに「これを歌えば少子化問題も解決でございます」と紹介したコミカルな二重唱「パパパの歌」では、パパゲーナの今野沙知恵とパパゲーノの青山が、ロビーはもとより階段まで使って活き活きと歌った。改めて、『魔笛』が個性豊かな歌・キャラクターでいっぱいであることを実感するひとときに。全員でのフィナーレに続いてクリスマスソングメドレーも披露され、コンサートは大盛況のうちに幕を閉じた。オペラ「魔笛」は6月16日(土)・17日(日)東京・日生劇場にて上演。チケットの一般発売は2月13日(火)午前10時より。取材・文:高橋彩子
2017年12月21日横尾忠則や宇野亞喜良ら、有名美術家やグラフィックデザイナーが手掛けたポスターを展示する『現代演劇ポスター展 2017-演劇の記憶、時代の記憶、デザインの記憶、都市の記憶』が12月21日(木)から1月10日(水)までの期間、東京・渋谷の3会場で開催される。【チケット情報はこちら】ポスターを貼る事で「街」と「演劇」と「デザイン」と「観客」を繋げてきたポスターハリス・ カンパニーの30周年を記念して開催されるこのイベントでは、カンパニーが所蔵する2万点以上のポスターコレクションの中から、厳選したポスターが展示される。展示点数は当初予定されていた300点から増え、約480点というボリューム。1960年代後半に劇団の旗印として登場し、時代を挑発したアングラ演劇ポスターから、静かな演劇、新劇やミュージカルまで、時代の流れとともに、演劇がどう変化していったのか。ポスターを通して垣間見ることができる貴重な機会になりそうだ。展示されるポスターの中には、現代美術として評価の高い作品も多く、当時の時代性や世相、演劇、デザインの歴史を感じることができる。また、開催期間中は日替わりで演劇やアート業界を代表する舞台芸術家や演出家、デザイナーらによるトークショーが行なわれる。大駱駝艦を主宰する麿赤兒、劇作家・演出家・俳優の長塚圭史、アートディレクターの増田セバスチャンら錚々たる顔ぶれが揃う。1月6日(土)には雑誌「ぴあ」の表紙を描き続けたことでギネス世界記録となったイラストレーターの及川正通が登場する。及川は同展示会とトークショーに向け次のようにコメントを寄せた。「ヒッピー、サイケデリック、アングラの時代。横尾忠則との出会い、寺山修司との出会い。天井桟敷のポスター、舞台美術、音楽、アングラとエロチシズム。マスコミのファッションは「反体制」だった。トリップ劇画とパロディ、そして…「ぴあ」の時代。初期のぴあ表紙~ぴあのホップ~そして36年。ライフワークの「ドリームマップ」。これからは、いよいよデジタル版の「ぴあ」も?!ここだけの話がたくさん飛び出すかもしれないね!」(及川正通)開催期間は12月21日(木)から1月10日(水)まで。会場は東京・渋谷ヒカリエ ホールB、渋谷キャスト スペース、アツコバルー rts drinks talkの3会場を周遊するスタイル。特典付き前売チケットは12月20日(水)まで発売。なおチケットぴあでは、会期中もセット割引券を販売。トークショーの詳細は公式サイトに掲載。
2017年12月20日ソロ・リサイタルや室内楽で頻繁に来日公演を行っているピアニストのニコライ・ホジャイノフ。2018年1月のワルシャワ・フィルとの共演で再び日本の地を踏む。チケット情報「ワルシャワ・フィルとは何度も共演していますが、何と言っても一番強烈だったのはショパン国際ピアノコンクール(2010年)のファイナルです。演奏の途中に電気が消えてしまって…あのような経験は初めてでした(笑)。しかし、指揮者とオーケストラと非常にいい関係が築けていましたから、あのアクシデントは何の妨げにもなりませんでした。1月に共演する指揮者のヤツェク・カスプシック氏とは初共演になりますが、サンクトペテルブルクでの白夜祭でマリインスキー歌劇場管弦楽団の指揮をされている映像を見て非常に感銘を受けました。ルトスワフスキの協奏曲でしたが、音楽をとても生き生きと活気づかせていたのです」忘れ難いコンクールのファイナルでワルシャワ・フィルと弾いたショパンの『ピアノ協奏曲第1番』を再び演奏する。「ショパンのコンチェルトは今でも1番、2番とも頻繁に演奏しますし、そのたびに新しい発見があります。偉大な音楽ですから、イントネーションにしてもフレーズにしても、つねに新鮮なものが見つかるのです」語学も達者で、YouTubeでの日本語でのトークが毎回話題になっているホジャイノフ。その国の文化と言語は、音楽とも密接に関係していると語る。「ある作曲家の作品を演奏するときは、必ずその時代や文化について学びます。どのような背景があってその作品が生まれたのか…その国の文化を知る必要があります。そして文化が一番反映されているのが言語です。日本の作曲家を演奏するときは、もっと日本語を学ぶことになるでしょうね。なぜ日本でこれだけショパンが人気なのかは…『平家物語』に端を発しているのではないかと思います。武士は切腹をする前に「辞世の句」を読みますが、あれほど激しい行為の前に詩を読むというのは、日本人の両極端の性格を感じます。ショパンにもそうした極端な要素がありますし、日本人が非常に高い美意識を持っているように、ショパンも高い美意識を持っている。ショパンのセンシティヴなまでに心に染み入る美が、日本人の感性に合うのでしょう」絵画にも詳しいホジャイノフは、彼の教師であるアリエ・バルディに招かれて、テルアビブのテレビでムソルグスキーの肖像と彼の音楽について語ることもあるという。「作家と音楽家、詩人と画家と作曲家はかつて、みんな同じ場所に集まって芸術について語っていました。音楽を掘り下げていこうとすると自然と他の芸術に関心を持つようになるのではないかと思います」言語と詩と絵画と音楽…ホジャイノフの頭の中には膨大な美のイディオムが蓄えられている。1月のコンチェルトでも聴衆を啓発してくれそうだ。公演は東京・サントリーホール 大ホールにて、1月15日(月) 19:00開演。チケット発売中。取材・文小田島久恵
2017年12月20日ブロードウェイで大評判となった『カラー・パープル』に主演し、2016年のトニー賞主演女優賞を受賞したシンシア・エリヴォ。オペラ座の怪人の続編にあたる『ラブ・ネバー・ダイズ』オリジナル版の主演コンビであるラミン・カリムルーとシエラ・ボーゲス。そして城田優が加わり、ミュージカル界の4人のスターが贈る世界レベルのコンサート『4Stars 2017』の東京公演が12月20日、東京国際フォーラム ホールCで開幕する。同日、彼らが見どころを語った。4Stars 2017 チケット情報先に開幕した大阪公演も評判で、満を持しての東京公演。みな、口々に「今エキサイトしている、ワクワクしている」と語る。ブロードウェイやウエストエンドで『オペラ座の怪人』『レ・ミゼラブル』といった大作に主演し、日本でも大人気のラミンは「東京が大好きですし、戻って来れてとても嬉しい。実は(大阪公演後)2日間お休みを頂いたので、フレッシュな気持ちで臨みます」と東京公演への意気込みを。今年は日本でソロ公演も行ったシエラは「この劇場で出来ることが嬉しい。昨日みんなでサウンドチェックをしましたが、みんなでハッピーになりました」と笑顔だ。SNSなどでも4人の仲の良さが発信されており、この4人だからこそのハーモニーが舞台上では披露される。来日組の3人と英語でコミュニケーションをとり、常に場を和ませている城田について、シエラは「優さんには面倒みていただきっぱなし。大変お世話になっています。本当の意味でファミリー。食事も、私たちが何を食べたくて何が食べられないか知り尽くして、連れていってくれます(笑)」。「東京に来るのは初めて。この3人と出来て、ワクワクしている」というシンシアも、靴が好きだと語り、このあと城田にスポーツショップへ連れて行ってもらう約束をしているそう。その城田は「僕、いつも舞台に立つ時はメンタルが弱くなってしまうのですが、3人のポジティブな力に助けられて、久しぶりに舞台の上で楽しいなと思いました。本当に世界トップの3人の歌声を、ひとりでも多くの方に聴いていただきたい。色々な国の言葉が出てきますが、音楽は国境を越えるというものを体感できる、日本では本当にレアな公演です」とアピール。ちなみに今回は5か国語が登場。城田が英語やスペイン語で歌うだけでなく、ほかのキャストが日本語、ドイツ語、フランス語で歌うものもあるそうなので、お楽しみに。演出はブロードウェイが注目する気鋭の演出家、サラナ・ラパインが担当する。サラナは「色々な作品から楽曲をひっぱってきていますが、その中にもストーリーを展開したかった。今回のコンサートは“愛の探求”がテーマになっています」と語った。“ミュージカル・コンサート”の枠を超えた“作品”であり、世界最高峰の歌声が日本で聴ける貴重な機会である『4Stars 2017』、お見逃しなく。公演は12月28日(木)まで。チケットは発売中。
2017年12月20日映像に加えて、近年は舞台での活躍も印象に残る蒼井優。ことに『三人姉妹』『スポケーンの左手』『あわれ彼女は娼婦』など、翻訳劇に多く求められていることに、どんな劇世界をも担える大きさが表れる。最新作となるのは、フランスの劇作家ジャン・アヌイの悲劇作品『アンチゴーヌ』。ここでもまた、タイトルロールを演じ、人間が社会で生きるとはどういうことなのかという大きな問いを投げかける。舞台『アンチゴーヌ』チケット情報『アンチゴーヌ』の戯曲には、10年ほど前に出会っていたという。今ほど演劇作品に触れていなかった当時、出演した『オセロー』のスタッフから読んでおいたほうがいいと渡された戯曲のうちの1冊で、そのなかでも気になる作品となったそうだ。「もともと自分があまり勇気を出せるタイプではないので、こういう戦ってる女の子が好きだったんです。しかもアンチゴーヌは当時の私と同い歳。このヒロインを見てみたいと思ったんですね」。では、アンチゴーヌは何と戦うのか。生瀬勝久演じる王クレオンが象徴する“国家”“法律”といったものである。国家の反逆者として亡くなり埋葬を禁じられた兄の遺体に、弔いの土をかけて捕らえられるアンチゴーヌ。弔いをやめれば命を助けると言うクレオンに対しても、死刑をも恐れず自分の信念を貫き、その対立がやがて悲劇を導くのだ。「最初に読んだときは完璧にアンチゴーヌ派でした(笑)。でも、大人になった今は、クレオンの立場もよくわかる。どっちも間違ってないというか。私は常々、人間って、ひとつの生命として動物として“世界”に生きることと、ルールを守りながら“社会”に生きることの両方があるなと思ってるんですけど、この作品はまさに、“世界”対“社会”みたいな感じがして。しかも最終的にどちらかに軍配が上がるわけでもないので、観ていただいた方にいろいろ持って帰ってもらえる面白い作品になるんじゃないかなと思いますね」。セリフ量は膨大だ。「恐ろしい挑戦になるなと思いますが(笑)、だからこそ、相手の役者さんとキャッチボールする喜びも大きいだろうなと。役者同士が向き合ったエネルギーがお客さんに届くといいなと思っています」。十字状に組まれたステージの周りを観客が囲むという構造も、「お客さんと一緒に作れるから楽しみ」だと言い、「お客さんも民衆のひとりだと思って来ていただければいいんじゃないかなと思います」と語る。アンチゴーヌと王の対話のなかに飛び込み、思考する喜びを味わいたい。公演は1月9日(火)から27日(土)まで東京・新国立劇場 小劇場にて。その後、長野、京都、愛知、福岡を巡演。取材・文:大内弓子
2017年12月20日「DRUM TAO」と言えば、言わずと知れた和太鼓エンターテイメント集団。だが、12月7日の熊本公演を皮切りに、現在全国を駆け抜けているツアー『ドラムロック 疾風総出演』を体感すると、その印象は少し変わるかも知れない。「和太鼓のTAO」でなく、もっと大きな何かが、そこにはあった。【チケット情報はこちら】ツアータイトルから「和楽器をロックアレンジで聴かせる舞台」という安易な想像をしていたが、幕が上がって間もなく、そう単純な展開でもないことに気づいた。さまざまな和太鼓を始め、チャンッパや箏、三味線などの和楽器で展開されるロックワールドは、単にロック音楽を和楽器でなぞったものでなく、伝統音楽の中に、引いては日本人の心の中にもともと潜んでいた反骨心やかぶく(敢えて華美、軽薄なふるまいを是とする)心の、新たな発見・抽出であり、TAOによる全く新しい表現だ。長柄の錫杖を持った僧侶たちが佇む荘厳なオープニング。何が始まるのかと引き込まれた、その直後にはうっそうとしたジャングルに飛ばされ、気づけばここは、太古の昔か異世界か。めまぐるしい展開で、客席はいつの間にか近未来だったり、大陸アジアの風情に包まれたりする。古代から未来までを、怒濤の総ざらえで見せられた気分だ。それもそのはず、今注目を集めている映像クリエイティブ集団「ZERO-TEN」による調和のとれたプロジェクションマッピング。その壮大なタイムトラベルにはいつも、汗ほとばしらせ筋肉躍らせる、美しい体躯の案内人がいる。これは音楽ライブでありながらダンスショーであり、芝居でありサーカス、また集団行動であり、コシノジュンコ手がけるファッションショーでもある。そこには呻きや祈り、時に雄叫びが響く。野生的に、そして優美に。ビートでのコミュニケーションは言葉を超え、森羅万象を模しながら世界へ誘う。私たちはそこに雪崩を見、雨音を聴き、海鳴りやさえずりや雷鳴を感じつつ、五感をみるみる研ぎ澄まされてゆく。そのうちに気づく。ひと言で和太鼓と言っても、同じ太鼓でも、バチの当たる位置や強さで音が変わり、舞台の立ち位置により響きも変わる。「叩く」というより、「奏でる」と言いたい、音階すら感じさせる立体的な音空間の中にあり、観客は手拍子、あるいは歓声で演奏に参加してゆく。地響きを上げる痛快な演奏に身を投じる、これはまさに体感型・参加型エンターテイメントである。パフォーマーの奏でる音と、観客の発する音が一体となれるのは、彼らの放つ音が分かりやすく、誰もが即時に乗っていけるきっかけに満ちているからに他ならず、老若男女、誰でも参加できるほどハードルが低く、それでいて世界に誇れる高いクオリティの音楽であることを実感させられた。血湧き肉躍るライブ体験、あなたにとってもきっと、永く忘れられないひとときとなるはずだ。同公演は、九州ツアー後に全国を巡演。1月16日(火)に千葉・千葉県文化会館 大ホール、1月18日(木)~1月20日(土)には東京・Bunkamura オーチャードホールにて上演。チケット発売中。取材・文:牛島 彩
2017年12月19日