チケットぴあがお届けする新着記事一覧 (154/342)
スタジオジブリのアニメ映画で知られる『魔女の宅急便』が新たにミュージカル化される。脚本・演出は岸本功喜、作曲は小島良太。主役のキキを演じるのは話題の新星、上白石萌歌だ。ミュージカル「魔女の宅急便」チケット情報「子供の頃から『魔女の宅急便』の映画や本で育ったので、本当に驚きました。今日、初めて衣裳を着て、やっと実感が湧きました。共演の方々にお会いしたら、皆さん扮装姿で、うわぁトンボ君だ!オソノさんだ!って、まるで物語の中から出てきたみたいでした。トンボ役の阿部(顕嵐)さんは黒縁のメガネが似合っていました。トンボ君より筋肉がすごくて大人っぽい印象ですが、お芝居したらきっと可愛いトンボ君になるんだと思います」映画での好きなシーンを聞くと、愛くるしい目をキラキラ輝かせた。「満月の夜、自分の故郷から新しい町へと旅立つシーンです。ラジオから『ルージュの伝言』が流れ、輝く町を見下ろしながら、キキは箒に乗って飛んでゆきます。舞台ではフライングもあるそうなのでドキドキです!キキは13歳で旅立ちますが、私も仕事のために地元・鹿児島から13歳で上京しました。不安と楽しみ、故郷への愛おしさ、そんな気持ちはキキと同じかな、と思います。また、ジジが喋らなくなるシーンも印象的です。自分からいろんなものが消える悲しさ、空が飛べなくなる辛さを繊細に演じて、その先、力強く成長していく姿を描きたいです。ジジは子役さんが演じるそうで、きっと可愛いでしょうね!映像も取り入れる演出があるそうなので、きっとお客さんも一緒に飛んでいる気分になれるはずです!」まだ幼さを残す17歳。2011年に第7回「東宝シンデレラ」オーディションでグランプリを受賞。映画やドラマ、舞台で経験を積み、最近では紅茶のCMに出演してcharaの『やさしい気持ち』を歌い、その可憐な歌声が評判になった。「歌は大好きです。幼稚園の年長から習い事として、ミュージカルスクールに通っていました。すごく人見知りで、人前に出たくないタイプだったんです。スクールの発表会でひらがなの世界を表現したミュージカルをやったのですが、私は「うーん」と考え込む“う”の役(笑)。オーディションを受けたのも、周りの勧めでした。昔は自分の意思がなかったんです。それでもこの仕事に関わるうちに、どんどん女優になりたい気持ちが膨らんできました」今は、演じることが楽しくて仕方ないという。「お芝居をしていると、自分のどこにそんな感情が隠れていたのか!と驚きや発見がいっぱいあって、ワクワクします。演じることで、新しい自分を知ることができます。ひとつの人生とは思えないくらい、いろんな自分を見てきた気がします。『魔女の宅急便』でも、また新たな自分に出会いたいです」公演は6月1日(木)から4日(日)まで東京・新国立劇場 中劇場、8月31日(木)から9月3日(日)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演。東京公演のチケットは発売中。大阪公演は5月20日(土)10:00より発売開始。取材・文:三浦真紀
2017年05月15日“世界最高峰のオーケストラ”ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団が、首席指揮者・芸術監督サイモン・ラトルとのコンビで、今年11月に東京・川崎公演を行うことが決定した。「ベルリン・フィル来日公演」のチケット情報2016年5月にサントリーホールで行ったベートーヴェン交響曲ツィクルス(全曲演奏)に続く今回は、ラトルが同ポストで来日する最後の日本公演となる(2018年に任期満了で退任)。2002年にベルリン・フィルの首席指揮者・芸術監督に就任して以来、“世界最高峰のオーケストラ”の能力を最大限に引き出すアプローチ、演奏レパートリーの拡大や教育プロジェクトの実施など、その手腕を存分に発揮してきたラトル。11月の来日公演では、これまでの在任期間を振り返るようなベストレパートリーを披露する。15年にわたって蜜月を築き上げてきた偉大なるマエストロと世界最高峰のオーケストラの集大成に期待が高まる。さらに1公演のみ、ソリストとして現代ピアノ界のスーパースター、ラン・ランが出演するのも注目だ。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の来日公演は、11月23日(木・祝)にミューザ川崎シンフォニーホール、11月24日(金)・25日(土)にサントリーホールで開催。チケットの一般発売は5月27日(土)より開始。また、チケットぴあでは一般発売に先駆け、5月13日(土)より東京公演、5月18日(木)より川崎公演の先行販売を実施する。◆TDKオーケストラコンサート2017ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団来日公演指揮 サイモン・ラトル【日程・会場】11月23日(木・祝) ミューザ川崎シンフォニーホール [プログラム(1)]11月24日(金) サントリーホール 大ホール [プログラム(2)]11月25日(土) サントリーホール 大ホール [プログラム(1)]【出演】ピアノ:ラン・ラン(※11月24日のみ出演)【演奏曲目】<プログラム(1)>ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)陳銀淑(チン・ウンスク):新作 (タイトル未定/ベルリン・フィル委嘱 2017年秋ベルリンにて世界初演予定)ラフマニノフ:交響曲第3番 イ短調 Op.44<プログラム(2)>R.シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」 Op.20バルトーク:ピアノ協奏曲第2番 ト長調 Sz.95 (ピアノ:ラン・ラン)ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 Op.98
2017年05月12日少女漫画界屈指の大ヒット作『王家の紋章』が現在ミュージカルとなって上演されている。昨夏の初演の好評を経て早くもこの春には再演。5月7日に幕を閉じた東京公演に続き、今週末には大阪公演が開幕する。主人公であるエジプト王メンフィスを演じる浦井健治、ヒロイン・キャロルを演じる新妻聖子に、役作りのこだわりから再演版のみどころまで、話を訊いた。チケット情報はこちら現代アメリカから不思議な力で古代エジプトへタイムスリップしてしまったキャロルと、古代エジプトの若き王・メンフィスの愛を軸に、国同士の争いや陰謀といったドラマを描いていく壮大な物語。ふたりはともに「王族」(原作漫画ファン)を公言しているが、再演にあたっては「稽古場で“メンフィスとキャロルはこうだ!”というものを、どんどん提示していきました」と浦井。具体的な例を新妻に聞くと「初演はメンフィスとキャロルが恋に落ちる展開がわりとスピーディでした。その“一体、いつ好きになったのよ”という感じも王族としてはたまらなかったのですが(笑)、今回はふたりが惹かれあう過程をもっと丁寧に描こうと試行錯誤しました。それによって、原作を知らない方でもスムーズに観ていただけるようになったと思います」。彼らをはじめカンパニーの努力が実を結び、再演は物語としてのまとまりがより増し、ミュージカルとしての完成度も高まった。役作りについても、「今回僕が意識しているのは、メンフィスは“王子”ではなく“王”だということ。初演では原作に忠実に、綺麗に立ち上げようとしたのですが、ちょっと“王子様感”が強かったと思うんです。今回は“王”である説得力を増すために、キーを低めにしたりしています。また宿命のライバル・ヒッタイトのイズミル王子(宮野真守、平方元基のWキャスト)との関係性を深めたくて、どうしてもイズミルと直接剣を交えたいとお願いしたら、演出の荻田浩一さんが採用してくださった。激しい殺陣がつきましたが、そのシーンはとても血がたぎります」と再演版・メンフィスのポイントを浦井が熱く語る。ちなみに新妻は原作愛が深すぎて「いたるところで誰も気付かないような仕掛けをしている」そうで、浦井が「先日、舞台上でキャロルを抱きしめたら、身長差があるので聖ちゃん(新妻)が浮いちゃった!でもそのサイズ感もたまらなく可愛いよね」と話したところ「計算、計算! 自ら浮きにいったの(笑)」。そんなユニークなやり取りの中には、作品愛とともに、ふたりの信頼関係も垣間見れる。「再演で、ミュージカル『王家の紋章』が、初演から目指していたひとつの完成形に到達したと思います。その状態のものを大阪に持っていけるのは光栄です」(浦井)、「大阪で有終の美を飾れるよう、日々進化して、大阪公演はお祭り状態になればいいですね」(新妻)。なお、キャロル役は宮澤佐江とWキャスト。大阪公演は5月13日(土)から31日(水)にかけて、梅田芸術劇場メインホールで上演される。
2017年05月12日世界23か国、500都市で上演、世界観客動員数は700万人を突破し、2016年にはオフ・ブロードウェイでも成功を収めた和太鼓エンターテイメント集団DRUM TAO(以下、TAO)。彼らの新作『ドラムロック 疾風』のプレビュー公演が、5月6日に大分・パトリア日田で行われた。【チケット情報はこちら】彼らが掲げるテーマは「“和太鼓”で世界に通用するエンタテインメントショーを作る」こと。極限まで鍛え上げた肉体で、和太鼓の概念を超えた圧巻のパフォーマンスを繰り広げ、これまでに歌舞伎やJ-POP、アイススケートなどともコラボ。公演のたびに進化するステージで魅せる彼らが、今作ではロックをテーマにした舞台を展開している。衣裳デザインは今回もコシノジュンコが手掛け、昨年からタッグを組む映像クリエイティブ集団ZERO-TENのプロジェクションマッピングもさらに進化。ドラムパフォーマンスと融合した舞台は、観る者をグイグイと惹きつける。今作についてTAO代表の藤高郁夫は「“ROCK”と和太鼓を合わせた瞬間、理屈抜きでカッコいい“日本エンタテインメント”ができるんじゃないか?と思い、創っては壊すことを繰り返しながら完成させてきました。各国の音楽をヒントに、多彩な音表現を持つ和太鼓で表現する舞台世界は、五感で「日本のカッコ良さ」を感じてもらえるはずです」とコメント。また、女性メンバーで座長の西亜里沙は「気が付けば昨年の“ハチャメチャに楽しい”作品をさらにハチャメチャにした、とてもカッコいい舞台ができました。メンバーもキャラクター豊かになっていて、とても華やかです。観ると絶対元気になりますので、ぜひ劇場で一緒に楽しみましょう!」と自信を持って語り、岸野央明も「僕たちが常々大切にしているのは、何事も既成概念にとらわれることなく、自由な発想でいるということ。良い!と思うもの、例えば海外で聴いた音楽やどこから持ってきたの?という音源までも吸収し、アレンジしながらアウトプットしてきました。年々それが強くなり、今回も僕ら自身が面白いと思う舞台を創ることができました。タイトルの“ロック”を音楽はもちろん、舞台全体、アーティストひとりひとりから感じてください!」と力を込める。舞台上を駆けるような疾走感あふれるビートに、美しいメロディ。そのふたつが重なり合った瞬間、シビれるほどの感動が生まれるはずだ。公演は7月19日(水)から30日(日)まで、東京・Zepp ブルーシアター六本木にて開催。取材・文:黒石悦子
2017年05月12日Live Musical「SHOW BY ROCK!!」~THE FES II-Thousand XVII~が5月11日に東京・ステラボールで開幕。初日公演前には公開ゲネプロと囲み取材が開かれ、クロウ役の米原幸佑、シュウ☆ゾー役の鎌苅健太、チタン役の糸川耀士郎、MCことエムシ役のKimeruが登壇した。Live Musical「SHOW BY ROCK!!」~THE FES II-Thousand XVII~チケット情報「SHOW BY ROCK!!」は音楽・バンドをテーマとしたサンリオキャラクターで、スマートフォン向けソーシャル音ゲーアプリとしても大人気の作品。今回はその5周年を記念したLive Musical「SHOW BY ROCK!!」初のライヴイベントとなり、10月にはシリーズ2作目となるミュージカル公演が予定されている。囲み取材で米原は「今回のライヴイベントは10月の公演に向けての布石でありお披露目。『SHOW BY ROCK!!』の音楽ってこんなにカッコいいんだぜ!とより分かってもらえるライヴになると思いますので、存分にはしゃいで、存分に楽しんで帰ってもらえたら」と挨拶。それぞれのバンドの特徴について「シンガンクリムゾンズはばかな奴らの集まりなんです。だけどライヴが始まった瞬間にまとまる一体感や派手なライブパフォーマンスに注目してほしいし、ぜひ煽られて欲しいなと思います。他のバンドに負けないぞって気持ちは僕らが一番表に出てる気がします」鎌苅は「トライクロニカはアイドル。男性アイドルのライブでメンバーが仲良くしていると、僕もキュンキュンすることがありますし、そこを観ていただきたいです」、糸川は「アルカレアファクトは『俺たちはアイドルじゃない、アーティストだ、俺たちの音楽を聴け』っていうNAMAIKIスタイル。ピアノサウンドが綺麗な楽曲で、お客さんも声を出して盛り上がれるところもあります」と紹介した。謎に満ちた役を演じるKimeruは「今回、僕の役は10 月の公演に向けた布石となっています。ライヴを観ていただけたら、僕の存在がなんとなく明かされる感じになっています」と説明した。稽古中のエピソードを問われ糸川が「セレン役の板垣李光人くん(15歳)にみんなメロメロだった」と話すと鎌苅は「そこは気を使いましたね。李光人くんがかわいすぎるんですけど、うちにもゆうたろう(リク役)っていうめちゃくちゃかわいいやつがいて。みんなが李光人にいきすぎたら、俺はゆうたろうにいきました(笑)」と明かすなど、各バンドの仲のよさを滲ませた。その後の公開ゲネプロでは全9曲を披露。芝居も挟みながら各バンドの魅力あふれるパフォーマンスで客席を盛り上げた。ライヴは、5月11・12日のGenius、13日のDestinyと2種類のプログラムで上演。「“ライヴ2日間”のお話で、初日がGenius、2日目がDestinyという全然違う内容になってます。両方観ていただけけると10月がより楽しみになる構成です!」(米原)。ぜひ劇場に足を運んで!取材・文:中川實穗
2017年05月12日日本文学への憧れとリスペクトを込め、シス・カンパニーと劇作家・北村想がオリジナル戯曲でタッグを組む「日本文学シアター」、待望の第4弾『黒塚家の娘』が、風間俊介、趣里、高橋克実、渡辺えりの出演で、 明日5月12日(金)に初日を迎える。舞台『黒塚家の娘』チケット情報これまで太宰治、夏目漱石、長谷川伸ら近代文学の巨星たちの名作をモチーフに、北村想独特の感性と言葉のマジックで新機軸に挑んできた人気シリーズ。今回はこれまでの近代文学から一気にさかのぼり、「安達ケ原の鬼婆伝説」が由来の能「黒塚」がモチーフ。極限まで削ぎ落とされた舞台空間で無限大の表現を可能にした能の世界。その世界観に敬意と憧れを抱く北村想が、般若の面に人間の哀しさと恐ろしさを映し出す謡曲「黒塚」からインスピレーションを得て戯曲を書き下ろした。物語の舞台は現代、祈祷する山伏ならぬ、「聖書」の教えを説く「悩める若き牧師」が登場。とある理由から傷心を抱え放浪の旅へと出たところ、霧深い森に迷い込んでしまう。そして、森の奥で出会った謎めいた母娘が暮らす屋敷で一夜を過ごすことに。休もうとする彼の前には、「開けてはならない」という禁忌の扉が。 そこに、後を追ってきた盲目の先輩牧師が現れて……。初日を明日に控え、趣里「最初に台本をいただいたとき、面白くて一気に読んでしまいました。そのとき感じたワクワク感や切なさの感覚は、今も変わっていません。この作品は、宗教や哲学を描いていて、男女の理解し合えない関係や女性の幸せについて考えさせられるところも多いのですが、どこかポップで決して重たくならないところが素敵です」、高橋「最初は、哲学や宗教論が出てくるし、おいおい大丈夫か?と心配だったんですが、実際は、宣伝写真のイメージとは違って、こんなに笑うシーンがあっていいのか、と思うほど。4人だけの出演者なのに稽古場が本当に濃くて楽しくて……」、渡辺「この作品は、どこか昔のアングラっぽい遊びの精神があって、不条理の匂いもする小劇場っぽい芝居です。それを、風間さんや趣里ちゃんのような若い方や、やはり小劇場出身の高橋さんとご一緒できることが、とっても嬉しいです」とそれぞれに意気込みを語った。演出は、前3作から続き寺十吾が続投。個性ぶつかり合う4人の俳優たちとの充実のスタッフワークが今回も楽しみのひとつに。公演は5月12日(金)から6月11日(日)まで東京・シアタートラムにて。
2017年05月11日6月9日(金)東京・東京国際フォーラム ホールAで開催される「オリンピックコンサート2017」の追加出演アスリート/オリンピアンが発表された。【チケット情報はこちら】出演が決まったのは、小平奈緒(スケート・スピードスケート)、大野将平(柔道)、張本智和(卓球)、敷根崇裕(フェンシング)、荻原健司(スキー・ノルディック複合)、荻原次晴(スキー・ノルディック複合)の6名。オリンピックコンサートは、日本オリンピック委員会(JOC)が主催し、1997年からスタート。オリンピックの競技映像と壮大なシンフォニーオーケストラの共演や、アスリート、オリンピアンたちによるトークが楽しめるコンサートとして、毎年人気を博している。チケットは発売中。■オリンピックコンサート2017日時:6月9日(金)開場18:00 / 開演19:00会場:東京国際フォーラム ホールA(東京都)
2017年05月11日大原櫻子が初めて主演を務める舞台『Little Voice(リトル・ヴォイス)』(5月15日(月)開幕)。舞台初日を目前に控えた某日、稽古場を取材した。舞台『Little Voice(リトル・ヴォイス)』チケット情報稽古場の中央にはヒロイン リトル・ヴォイスの家のセット。ブラウン管のテレビやラジカセ、ダイヤル式の電話など、どこか懐かしい匂いだ。中央には階段があり、2階に上がって左側がリトル・ヴォイスの部屋。レコードが飾られており、彼女がこの小空間で音楽に慣れ親しんだのが想像できる。この日は粗通し稽古。大原櫻子が演じるリトル・ヴォイスは喋らない、動かない、ひたすら内に籠る静の芝居。普段、明朗で笑顔の多い大原が、芝居に入ると別人のように暗い顔で大人しくなる。リトル・ヴォイスとは逆に、安蘭けいが演じる母親のマリーは暴れ放題。突拍子のないセリフや行動が多く、どうリアルに見せるのか、難しい役どころだ。安蘭は、火事の後のシーンでのウィスキー瓶の扱い方を演出の日澤雄介と話し合っていた。手に持つのは不自然と思った安蘭は、おもむろに瓶を足でつついて乱暴に転がしてみる。「その方法もありだね!」と日澤。マリーがダメ母なら、その彼氏のセイ・レイも極めつけのクズ男。高橋和也は、演出家から「もっと野心でギラギラしていい」と言われ、威圧感が数段パワーアップ。隣人のセイディ(池谷のぶえ)は、この家族のつなぎ役的な存在であり、何ともいい味を出している。ミスター・ブー(鳥山昌克)は観客と役者を繋ぐコメディリリーフ。そして、リトル・ヴォイスに心を寄せるビリー(山本涼介)は唯一の癒し。リトル・ヴォイスとビリーのシーンは甘酸っぱさに溢れている。ひたすらリトル・ヴォイス可哀想…と思って見ていたら、2回目のショウシーンで圧倒された。リトル・ヴォイスは歌真似を始めると、表情がガラリと変わる。シャーリー・バッシーの曲では力強さが漲り、マリリン・モンローになると舌ったらずに甘く、エディット・ピアフは低音をたっぷりと、ジュディ・ガーランドの「Get Happy」に至っては、セクシーに舞い歌う。この辺り、大原のスケール感がたっぷりと味わえることだろう。リトル・ヴォイスの才能開花で栄光を掴める!と周りの大人たちが喜んでいた矢先、嫌々歌わされたリトル・ヴォイスは心を病む。狂乱のシーンでは怒涛のごとく歌真似が繰り広げられ、この上ない凄まじさ。現実と脳内が入り混じり、混乱する様子が迫りくる。このクライマックスは衝撃そのもの、ぜひ目撃していただきたい。公演は5月15日(月)から28日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場にて。チケット発売中。取材・文:三浦真紀
2017年05月11日爆発的な笑いが魅力のストリートショーと、ドラマ性の強い舞台作品でパントマイムの魅力を提示しながら、常に新たなものに挑戦し続けるサイレントコメディー・デュオ、が~まるちょばが、今、全国51か所(現時点)を巡る未曾有の全国公演に取り組んでいる。赤いモヒカンのケッチ!と黄色のモヒカンHIRO-PONに、意気込みをきいた。が~まるちょば全国公演 チケット情報「今年はちょっと違う」という今回の全国公演。「2013年から2015年にかけて、東京JACKというツアーで東京の全62市区町村に出向いて行ったのですが、これが好評で、今度のツアーはその全国版となります」と話すケッチ!。HIRO-PONも「東京JACKでは普段足を運んでくれないお客さんもたくさん観に来てくださった。こんな嬉しいことはない。50か所もできるという喜びは大きいですね」と明かす。上演するのは、1999年の結成当初から世界中の観客を魅了し続けている『That’sが~まるちょばSHOW』。身体を張って皆を笑いに引き込むネタそのものは当初からまったく変わっていないというが、「つい最近、2000年にやった時の映像が見つかったのだけど、これが全然違う!今はもっと洗練され、無駄な動きがなくなってきています」(ケッチ!)、「毎回毎回、段取りは同じだけれど、いつも初めて出会ったようにびっくりしながら演じている。飽きそうになったとしても、常に違う面白みを見出します」(HIRO-PON)と、果てなき進化をうかがわせる。同時上演は、『ロッケンロールペンギン』。「ロッケンロールペンギンさんという別のグループが出演すると思われた方がいましたが、そうじゃないです(笑)。が~まるちょばを結成する前からふたりでやっていたものが原型の、日本ではあまり上演する機会がなかったパフォーマンスですね」(HIRO-PON)。「ペンギンの姿でやる“クラウニング”──つまり、道化です。ニュージーランドでやったことがあるんですが、ペンギンが身近な土地だけに、ペンギンの動きを表現した思わぬ場面で受けたこともありました(笑)」(ケッチ!)。子供から年配の人まで、全国のあらゆる人たちの心を掴みたい、という思いは強い。「僕らのほうから近くまで出向きますから、湯上りにサンダルつっかけて観に来てください!」とふたりは意気盛ん。HIRO-PONの「人生折り返さず、往きっぱなしでもいいんじゃないかと思う」という言葉どおり、ぐんぐん先を目指して行くが~まるちょばの挑戦は、限りなく続く。全国公演は現在開催中、5月27日(土)千葉県・船橋市民文化ホール、5月28日(日)埼玉県・草加市文化会館、7月1日(土)神奈川県・相模女子大学グリーンホールほか、全51都市(現時点)を巡演。チケットは順次発売。取材・文:加藤智子
2017年05月11日2年前のSKE48卒業後からは女優として活躍中の松井玲奈が、2015年に初演された鴻上尚史作・演出の舞台『ベター・ハーフ』に出演する。主演映画が次々公開されるなど映像で引っ張りだこの松井だが、つかこうへい原作の主演舞台『新・幕末純情伝』(2016・17年)では演出の岡村俊一に「この作品はもう松井玲奈以外ではやりたくない」と言わしめ、女優としての幅広い才能を発揮している。その『新・幕末~』は松井が紅一点で他は全員男優、かつ大所帯の座組みだったが、今回の『ベター・ハーフ』はコンパクトな四人芝居。また他の3人(風間俊介、中村中、片桐仁)は初演から続投で、この再演には松井だけが新キャストとして加わる。舞台『ベター・ハーフ』チケット情報「台詞の量ももちろん多いですし、どうなるんだろうという緊張感があります。『新・幕末~』のときは周りが持ち上げてくれるみたいな感覚があったんですけど、この作品はみんなで支え合っていく“人間パズル”みたいなお芝居なんだろうなと。初演からさらにブラッシュアップして上がっていく皆さんに、私がどれだけ追いついて同じラインに立てるかがすごく大事なんだろうなと思っています」松井が演じるのは、デリバリーヘルスで働きながらアイドルとしてデビューすることを夢見る・平澤遥香。遥香はトランスジェンダーの友人・小早川(中村)に頼まれ、小早川が出会い系サイトで知り合った男性と会う。だがそこにいた諏訪(風間)も、正体を偽って小早川とやり取りしていた沖村(片桐)の代わりで……。「自分の夢に向かって突き進む芯のある女の子だから、ブレのない真っ直ぐな人にやってほしいという鴻上さんのご意向で、今回声を掛けていただけたみたいです。境遇などで遥香に共感するところはありつつ、『どうしてそう思うんだろう?』って疑問に思うところも今はたくさんあるので、自分とは違うところも突き詰めていって、どういうキャラクターが出来上がるのかが楽しみです」そもそも芝居に興味を持ったのは、宝塚好きの母の影響で観た、天海祐希出演の舞台『オケピ!』がきっかけなのだとか。「鴻上さんに初めてお会いしたときに、舞台が好きだとお伝えしたら、『良かった。嫌いだったらどうしようと思った』と安心していただけました(笑)。その日にしかないライブ感が楽しくてよく観に行きます。舞台を観ることは特に、覗き見をしているような感覚があって面白いですね」大好きな舞台に立ち、本格女優への扉をまたひとつ叩く。公演は6月25日(日)から7月17日(月・祝)まで東京・本多劇場にて。その後、全国を巡演。取材・文:武田吏都
2017年05月11日シンガーソングライターのななみが、naNami名義でアニメソングのカバーアルバム『この歌がいつか誰かの決心になりますように』をリリース。naNamiは『機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096』の1stエンディングテーマ『Next 2 U -eUC-』でゲストボーカルとして参加したときの名前。ななみに、リリースにあたる経緯について聞いた。【チケット情報はこちら】リリースのきっかけについて「“naNami”はボーカリストで、ひらがなの“ななみ”はシンガーソングライター、と今はしっかりと分けています。ガンダムユニコーンで歌った経験が大きくて、“自分じゃない誰かの曲を自分の声だけで伝えることをしたい”と思いました。それで、今回はボーカリストとしてCDを出しました」と説明。「昔からアニメが大好きだった」こともあって、「たくさんの思い出に寄り添えている曲は、アニソンが多いのではないか」ということから、アニメソングのカバー集を作ろうと思ったそう。収録曲の中で、唯一リアルタイムに影響を受けたのは、アニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』のエンディングテーマ『secret base ~君がくれたもの~』。一番好きだというこの曲以外の収録曲は、ほとんどが彼女が生まれる前の曲ばかり。「いろいろ調べまして、シンガーソングライターとしての私がこれまで歌ってきたことに近い名曲を選びました」というその内容は、『はじめてのチュウ』(キテレツ大百科)や『想い出がいっぱい』(みゆき)など全10曲。歌い方にもこだわり、「皆さんにとって思い出深い曲ばかりだと思いましたので、当時のことを思い出しながら聴いていただけるのに邪魔にならないよう、ウィスパーボイス気味に歌っています。聴いている人にそっと寄り添えるような歌を表現することを心掛けました」と明かした。アルバムタイトルにもそんなテーマが込められ、「アニメを観ていた頃に描いていた夢が今叶えられてないとしたら、この歌をきっかけに明日からの決心になるんじゃないか」と思い名付けたそうだ。ななみは、同作をひっさげたリリースライブを、6月17日(土)大阪・南堀江knave、18日(日)東京・二子玉川KIWAで開催。さらに、弾き語りライブ「ギターなんて大嫌い~vol.3」を、8月26日(土)東京・二子玉川KIWA、27日(日)大阪・南堀江knaveでおこなう。すべて昼・夜の2公演だ。「リリースライブはアルバムから昼と夜に5曲ずつ披露して、残りは私がやりたいカバー曲などを考えています。“ギターなんて大嫌い”はシンガーソングライターとしてのライブ。今回カバーしたからこそ、“100%ななみ”の気持ちを歌えるライブもさらに楽しみになりました」と話す。“naNami”と“ななみ”の歌声を生で。チケット発売中。取材・文:門 宏
2017年05月11日8月20日(日)に長崎市稲佐山公園野外ステージで行われる野外フェスSky Jamboree 2017の追加出演者が発表された。【チケット情報はこちら】出演が決まったのは10-FEET、サカナクション、[Alexandros]、HEY-SMITH、キュウソネコカミ、Crossfaithの6組。すでに出演が発表されていたストレイテナー、MONOEYES、くるり、ヤバイTシャツ屋さんとあわせ、全10組の出演者が出揃った。同フェスは今年で19回目を迎え、長崎では夏の風物詩となっている老舗ロックフェス。客席はスタンディングエリア、傾斜となった芝生エリアのふたつがあり、海と山に包まれた大自然の中、思い思いのスタイルでライブを楽しめるのが魅力。チケットの一般発売は6月18日(日)午前10時より。なお一般発売に先駆けて、エフエム長崎にて早割先行(500円引)を実施。5月17日(水)16時より放送されるエフエム長崎のラジオ番組「Spicy voxx」および、SkyJamboreeオフィシャルwebサイトにて5月18日(木)午前10時から5月24日(水)午後6時まで受付。■Sky Jamboree 2017 ~one pray in nagasaki~日時:8月20日(日)開場10:00 / 開演11:00会場:長崎市稲佐山公園野外ステージ(長崎県)出演:ストレイテナー / MONOEYES / 10-FEET / くるり / サカナクション / [Alexandros] / HEY-SMITH / キュウソネコカミ / Crossfaith / ヤバイTシャツ屋さん※雨天決行(荒天の場合は中止)
2017年05月10日今年3月にデビュー10周年を迎えたシンガーソングライターのLOVEが、久しぶりのバンド編成によるワンマンライブ『LOVE Live 2017 ’Pearl’ TOUR』を4月25日に下北沢GARDENにて開催。メンバーは、御供信弘(B)、佐治宣英(Dr)、大坂孝之介(Key)、弓木英梨乃(G)の4人。“粒ぞろい光沢のフルバンドの巻”というサブタイトルにぴったりの技巧派のミュージシャンが揃った。【チケット情報はこちら】この日のライブは、約2年ぶりとなるニューアルバム『Pearl』のリリースツアー。新作の1曲目を飾る『Drive』でライブはスタートし、緩やかに流れるメロディに観客は笑顔で体を揺らす。そのまま、『The Better』『OK To Be Happy』と新作からハッピーなナンバーが続き、心地よい雰囲気で幕を開けた。新作には、デビュー10周年の節目にふさわしい楽曲も収録。LOVEが活動の中で大切にしている今年6回目を迎えた主催イベントのタイトルナンバー『今日ここにいるという事』や、イベントをおこなうきっかけとなった福島県相馬市の女の子の成人祝いに、自らの姿も重ねて書いたという『はたちのころ』などを披露。ライブの人気ナンバー『君は僕のセンユウ』や『オドレイ』などももちろん演奏。このメンバーでしか再現できないであろうスケール感の大きいドラマティックなアレンジに観客は大興奮。『Let Your Love Sing!』で魅せたアドリブ合戦は見ごたえ十分で拍手喝采となった。また、LOVEが「10年の中で一番の贅沢」と語ったカスタムギター“フォーチュン・レディ”で、アリシア・キーズとジョン・メイヤーがニューヨーク・タイムズスクエアで披露した『If I Ain’t Got You』の即興カヴァーも披露。ひとりでアリシアの歌とジョンのギターソロを演奏し、観客を盛り上げた。ライブ終盤に「日々の生活の中で“すり減っている”と感じている方もいらっしゃると思います。でもそれは、“積み重なっている”んだそうです」とアルバムタイトル『Pearl』にかけたメッセージを贈ると、山あり谷ありの人生を鼓舞するナンバー『One More Day』を力強く歌い上げた。アンコールでは、新曲『Stay Gold』をアコースティック・ギターで弾き語り。曲に入る前には、観客への感謝をアドリブで歌にして届けた。ラストは、再びメンバーを迎え入れ、『LOVE CONNECTION』を演奏。1stアルバムに収録されている『My Name Is LOVE』をマッシュアップし、決意も新たに次の一歩を踏み出した。LOVEは7月30日(日)に代官山LOOPにて、毎年恒例の真夏のライブイベント「360度ライブ」を開催。同公演のチケットの一般発売に先がけてオフィシャル先行を実施中。受付は、5月15日(月)午後11時59分まで。取材・文:門 宏
2017年05月10日文学と演劇をもっと気軽に!と始まった“文劇喫茶”シリーズの第一弾『それから』(夏目漱石原作)が5月3日に東京・俳優座劇場で開幕。同日、公開ゲネプロと囲み取材が行われ、平野良、帆風成海、今立進(エレキコミック)、日替わりゲストの寿里が登壇した。文劇喫茶シリーズ『それから』チケット情報夏目漱石の名著を原作に、劇団「□字ック」の山田佳奈が演出を手掛け、平野良、帆風成海、今立進(エレキコミック)の3人芝居(+日替わりゲスト)でみせるという挑戦作。映像などは使わずに、ただただ芝居とシンプルだが印象的な演出でみせていく。物語は、良家の次男坊である代助(平野)を中心に描かれる。大学を卒業しても、社会とは距離を置き、実家からの援助で自由気ままに生きる代助。そんな代助のもとに銀行に就職した親友の平岡(今立)から一通の手紙が届く。「昨日二時に東京着、明日の午前に会いたし」。この親友とその妻・三千代(帆風)との再会が代助を思わぬ方向へ導いていく――。ゲネプロ後の囲み取材で平野が「役者として普段は見逃してしまいがちな細かいところも一つひとつ拾いながらお芝居を積み上げる、繊細な作業が多い」、今立も「演出の山田さんもしっかりと芝居をつけてくださり、繊細につくられたもの」と口を揃えたように、目線の動きをも印象的にみせる濃厚な舞台。帆風は「台詞は多いのですが一つひとつの言葉の端々にいろいろなものを込めていけたら」と話したように、文学作品ならではの密度でさまざまな感情が表現されていく。また、数々の登場人物を、帆風と今立がさまざまな表現で演じているのも見どころ。中には代助の会話相手がそのまま別の人間となるシーンも。その鮮やかな演じ分けに楽しまされた。そうやって登場する平岡、三千代、父、兄嫁、兄など、相手によって違う顔を見せる代助にも注目したい。さらに、日替わりゲストの登場シーンは、演じる俳優によって全く違うものになっている。ゲネプロでは寿里の自由さに笑いが起きていたが、松本寛也(9日)、加藤良輔(10日)、佐藤貴史(11・12日)、宮下雄也(13日)、米原幸佑(14日)とこれからのゲストもかなり濃厚。期待したい。親のすねをかじった生活や親友の妻との不倫など、どこか筋の通っていない印象のあった代助。しかし平野はそこをひとつ新鮮な切り口で演じていたように感じたし、それが原作の描く世界に新たな景色を生んだように思う。“文劇喫茶”の名の通り、文学好きも演劇好きもぜひ新しい世界を体験して!公演は5月14日(日)まで。取材・文:中川實穗
2017年05月09日5月18日(木)に日本初演を迎えるミュージカル『パレード』。20世紀初頭のアメリカで起きたレオ・フランク事件(冤罪)を題材にした作品で、主演の石丸幹二と堀内敬子の17年ぶりのミュージカル共演や、森新太郎が初めて手掛けるミュージカル作品としても注目を浴びている。その稽古場に潜入した。ミュージカル『パレード』チケット情報本作は、人種差別の意識やさまざまな思惑、権力、そして世間により、無実の人間(レオ・フランク/石丸)が犯人に仕立て上げられていくさま、夫の無実を信じ疑いを晴らすために動く妻(ルシール・フランク/堀内)の姿を描いた作品。この日、稽古が行われていたのはレオの裁判シーン。レオの職場のスタッフやフランク家に勤めるメイドらが、レオの身に覚えのない証言を次々と述べ、有罪の判決が下されるというシーンだ。裁判では、州検事ヒュー・ドーシー(石川禅)は、被害者が最後に着ていた服を持ち出したり、被害者の人生を大げさに語りあげたりと派手なスタンドプレーで陪審員を煽る。冤罪と知っていると余計に白々しく感じるが、その嘘を真実にするのが「民衆」という存在だった。製作発表で森が「主人公は言う間でもなくフランク夫妻ですが、もうひとり主役がいるとしたら、彼らを追い詰める民衆ではないか」と話したその存在。観客はもしかしたらこの「民衆」に自分を重ねる人も多いかもしれない。反ユダヤ主義を扇動する男(新納慎也)にアッサリ煽られる民衆、真犯人の調子のいい証言に踊らされる民衆、ザワザワした声がいつしか強い「殺せ!」という叫びになる。火の粉が風に煽られ大きく燃え広がり、真実を焼き尽くすさまを見たようだった。セットは奥に並んだ民衆の姿もよく見える八百屋舞台。中央が回転すると並んだ民衆が壁のように視界を遮る瞬間があり、その向こう側を見せなくしていたのも印象的だった。ちなみに石丸と堀内以外の全員がこの名もなき民衆を演じるという。森は、例えば“お辞儀がちょっと深い”など妥協なき姿勢が印象的。特に裁判の最後、レオの陳述の歌唱シーンでは、声のトーンや一歩踏み出すタイミング、レオの思いが溢れ出す瞬間など、石丸と話し合いながら繊細に作り上げていて、そうやって生まれたシーンは、それまでの民衆の高揚を断ち切るほどに胸に強く響く印象的なものになっていた。重く深く繊細なテーマの作品だが、どの場面も驚くほど理解しやすいのは森の演出、そして実力派揃いのキャストによる芝居、歌唱の賜物。ぜひ劇場に足を運んでこの熱を体感してほしい。公演は5月18日(木)から6月4日(日)まで、東京・東京芸術劇場プレイハウスにて。取材・文、撮影:中川實穗
2017年05月09日手塚治虫の漫画を、横山裕主演で舞台化した妄想歌謡劇「上を下へのジレッタ」が5月7日、東京・Bunkamuraシアターコクーンで開幕した。脚本・演出は倉持裕。音楽は宮川彬良。出演は横山のほか、中川翔子、浜野謙太、本仮屋ユイカ、馬場徹、銀粉蝶、竹中直人ら。妄想歌謡劇「上を下へのジレッタ」チケット情報1960年代の東京。その斬新すぎる演出によってテレビ業界を追われた自称・天才TVディレクターの門前市郎(横山)が、“ジレッタ”によって、自分を追放した芸能界に復讐を企て、さらには政治の世界をも巻き込んでいく。“ジレッタ”とは、ヴァーチャル・リアリティのように人間の妄想を他人に共感させることができる仕組み。マスコミ社会を舞台に、人間のなまなましい欲望を風刺する作品の中で、人間の妄想によって立ち上がる“ジレッタ”の世界観は、まさに奇抜で強烈。妄想歌謡劇と銘打たれたように舞台上では、歌や踊り、美術、衣装など様々な要素を駆使して“ジレッタ”が立ち上がり、客席も同時に様々な“ジレッタ”を体験することになる。初日公演前の会見で横山は「歌ってお芝居することが初めての経験で、皆さんに助けてもらいながら稽古しました」と、歌が盛りだくさんの舞台の大変さを語りつつも「キャストそれぞれ登場シーンに歌があるんですけど、それぞれカラーがちがって、本当バラエティ豊富で魅力的な方々が集まったなと思います。どういう化学反応が起きるか。皆さん畑ちがいで歌い方もちがうので、これを楽しんでいただけたら」と公演をPR。横山の座長ぶりについては「横山さんは原作の門前が乗り移っているみたいで、幕が開いた瞬間からギラギラして、すごいオーラ」(中川)、「ずっと集中力が途切れないのがすごい。今回は仕掛けがとっても多くて、スタッフさんと役者をつなぐ橋渡しまでしてくださって、本当に目がいくつあるんだろうと思います」(本仮屋)と共演者から絶賛。出演者同士の雰囲気も良好の様子で、特に横山に毎日飲みに連れて行かれているという浜野について「ちゃんと太ってきてるんですよ。ザ・中肉中背」(横山)、「(原作漫画のキャラクターに)そっくりになってきた」(中川)とかけあい、会場を笑わせた。公演は6月4日(日)まで東京・Bunkamuraシアターコクーンにて、6月10日(土)~19日(月)に大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演する。東京公演は立見券、当日券整理番号をチケットぴあにて受付中。
2017年05月09日高橋陽一の同名サッカー漫画が原作の舞台 超体感ステージ「キャプテン翼」の製作発表が、5月8日に東京・Zeppブルーシアター六本木で行われた。超体感ステージ「キャプテン翼」チケット情報製作発表には、元木聖也(大空翼役)、中村龍介(若林源三役)、松井勇歩(日向小次郎役)、鐘ヶ江洸(岬太郎役)、鷲尾修斗(三杉淳役)、反橋宗一郎(松山光役)、土井一海(早田誠役)、加藤真央(新田瞬役)、皇希(次藤洋役)、そして原作者の高橋陽一、総合演出を手がけるEBIKEN(蛯名健一)、脚本・演出アドバイザーの加世田剛、振付の松永一哉が登壇した。日本にとどまらず世界中のプロサッカー選手に影響を与えた名作漫画「キャプテン翼」初の舞台化となる本作。高い身体能力を持つ俳優たち、EBIKENをはじめ世界規模で活躍するスタッフ陣に加え、“超体感ステージ”の名の通り演劇界では初となる最先端技術を導入。プレミアム体感シートでは、舞台と連動したリアルな振動を観客が体感できるなど、これまでにない“五感で楽しめる舞台”をつくりあげる。会見では、キャストによるダンスパフォーマンスを披露。日本では数人しかできる人がいない“ダブルコークスクリュー”(アクロバットの空中技)ができる元木や、ジュニアユース時代にリオネル・メッシと戦った経験も持つ鷲尾、ダンスの世界大会で優勝した経験を持つ皇希らキャスト9名が、身体能力を生かしたパフォーマンスで会場を盛り上げた。原作者の高橋は、キャストを前に「すごいパフォーマンスだった」と絶賛。「(漫画で)実際にはできないアクロバティックなプレーばっかり描いているんですけど、それができちゃうっていうのはすごいと思います」という言葉に翼役の元木も「限りなく再現していきたい」と応えた。舞台はオリジナルストーリーになるといい、脚本を手掛ける加世田は「夢についてのお話だと思うので、その辺もしっかり描いていきたい」と話した。少年時代に読んでいた世界的な名作漫画の舞台に出演することについてキャスト陣は皆、感慨深げ。さらに元木は「キャストやスタッフの名前を見たときに、不可能だと言われていることも可能にできるメンバーだと感じました。“超体感ステージ”としてお客さんが今まで感じた事ないステージになると思います」、中村も「お芝居をしっかり作り上げたうえで役者の引き出しにある動きだったり特技だったりを出して、エンターテインメント性の優れた作品にできれば」と意気込みを語った。公演は8月18日(金)から9月3日(日)まで、東京・Zeppブルーシアター六本木にて。取材・文:中川實穗
2017年05月09日梅棒 7th ATTACK「ピカイチ!」がこの夏に上演される。<ダンス×J-POP×演劇>という独自のステージが人気を集め、公演を重ねるごとに注目の高まる梅棒。これまでの最大規模となる7作目は、梅棒ワールド全開のコメディ作品。総合演出を手掛ける伊藤今人(梅棒)、ゲストの千葉涼平(w-inds.)に話を聞いた。梅棒 7th ATTACK「ピカイチ!」チケット情報今作は“学園モノ”。伊藤は「前作『GLOVER』がいい話で感動したっていうお客様もいると思うんですけど、今回は男の子だなって思ってもらえるような、めちゃくちゃなコメディをやろうとしています。前作で好きになった人はズッコケるかもしれませんが、もともと梅棒はこんだけバカな奴らだよっていう。こんなぶっ飛んだ梅棒もまたおもしろいなと思ってもらえたら!」。その中で千葉が演じるのは、意外にも悪役(予定)。「悪役を演じたことはあまりないです」と言う千葉に、伊藤は「きっとないだろうなと思って」とニヤリ。「せっかく出てくれますからね!ちょっとドキッとするような悪さとか、むちゃくちゃぶっ飛んだ役を千葉さんが演じたら面白い」(伊藤)。梅棒作品への初参加を「自分に今までなかったものを引き出してくれるんじゃないかってすごく楽しみ」と喜ぶ千葉。梅棒の舞台の印象を聞いてみると「面白かったです。J-POPを中心に使われてたのもすごく印象的でしたし。僕は前作の冒頭で今人さんが語り部的なお芝居をされてたのがすごく印象に残っているんですよ。あれでぐっと惹きつけられましたから。“ダンス舞台”というイメージがあったので意外でしたね」。千葉に出演をオファーした理由は「舞台上の千葉くんを観て、楽しんでいろんなことに挑戦してくれる人なんじゃないかと感じて。それにパフォーマンスが全力だったので梅棒に合うなと思ったんですよね」(伊藤)。「千葉くんはブレイクダンスをはじめいろんなダンスが踊れますし、大きな劇場でも学園モノのドタバタ感がある派手な動きが映えそう」と期待する伊藤だが、それに加え今作で千葉に踊ってもらいたいダンスがあるという。「梅棒のジャズダンスを!優雅に踊る一般的なジャズダンスと違って、我々のはゴリゴリに力で振り回すみたいな(笑)、特徴的な動きをしますので。それを千葉くんが踊ると思うと楽しみ」(伊藤)。今作では東京、大阪、名古屋、福岡と全国4か所を巡演する。伊藤は「名古屋に行けるのが初なので嬉しいです。福岡も前回、歓迎してくれてる感が半端なかった。満員ですごい熱気だったんですよ。大阪もコメディへのリアクションが大きいし…楽しみしかないです!」公演は、6月23日(金)から7月2日(日)まで東京・Zeppブルーシアター六本木ほか、大阪、名古屋、福岡にて。取材・文:中川實穗
2017年05月08日落語の伝統を守る一方で、独演会ではさまざまな挑戦を続けている柳家三三。昨年は文化庁芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞するなど、その活躍がいっそう注目されるなか、六ヶ月連続独演会〈たびちどり〉で挑む演目が、大作『嶋鵆沖白浪(しまちどりおきつしらなみ)』だ。幕末から明治期に活躍した柳派の談洲楼燕枝(だんしゅうろう・えんし)が創作した長編人情噺を、毎回2話ずつ高座に上げ、全12話を通すという試み。長らく演じ手が途絶えていたという本作への想いを、三三に聞いた。たびちどり 柳家三三 六ヶ月連続独演会チケット情報大商人の跡取りでありながら侠客となった“佐原の喜三郎”。物語は彼と、やはり裕福な家の娘ながら芸者から遊女へ身をやつすお虎の運命を軸に、巾着切りの庄吉や、なまぐさ坊主の玄若、三宅島に流された罪人の長・勝五郎、旗本の優男・梅津長門ら多彩な人物を巻き込んで展開する。「人情噺というと泣ける話をイメージするかもしれませんが、元々は広い意味で人情の機微を描いた話のことなんですよ」と三三は言う。「燕枝は九代目市川団十郎と親交が深かったこともあり、この作品も“白浪物”(盗賊を主人公とする物語)や“三尺物”(博徒や侠客が主人公)、“世話物”(町人の人情を活写した芝居)と、色々な要素がたっぷり詰まっているんです」と、その口調にも自然と熱がこもる。今回はこの大作を12話に分け、三三自ら再構成。「怪僧玄若坊」「闇の島脱け」「お虎の美人局」など、内容に合わせて付けられたタイトルは、どれもワクワクするものばかりだ。「本当にね、なぜこの演目が長い間忘れ去られていたのか不思議なくらい」と三三は話しつつ、「ただ、長編だけにダイナミックな場面と地味な場面とがありますから、そこは1話ずつ観ても楽しめるように調整しました。あとは、初見でも、途中の回を観ていなくても内容が分かるように、前回までのあらすじは読み物で配る予定です」と“続き物”ならではの工夫を明かす。そんな苦労もいとわないのは、落語のもつ豊かな世界をもっと知ってもらいたいから。「燕枝が活躍した当時は町内に1軒ずつくらい寄席があって、人々は晩ご飯を終えた後、ちょうどテレビを観てくつろぐ感覚で寄席に足を運んだそうですよ」と三三は語る。「だから『あの寄席で面白い“続き物”をやってるぞ』と評判になると、その寄席によその町からわーっとお客さんが集まったりしてね。艶のある場面にドキドキしたり、切った張ったの立ち回りにハラハラしたり。そういった楽しさを、現代のお客さんにどうやったら届けられるか。それだけを考えて演りたいですね」という三三。その言葉からは、名作を伝える演じ手としての覚悟が伝わってきた。公演は愛知・大須演芸場と大阪・グランフロント大阪にて、5月から10月まで毎月1回ずつ開催。チケット発売中。取材・文佐藤さくら
2017年05月08日ゴールデンウィーク恒例のクラシック音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン『熱狂の日』音楽祭」が、今週5月4日(木・祝)から東京国際フォーラムほかで開催される。「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン『熱狂の日』音楽祭2017」のチケット情報フランス・ナントで誕生した「ラ・フォル・ジュルネ」は、世界中から2,000人以上のアーティストが集結し、朝から晩まで複数のホールでコンサートを繰り広げる、まるでロックフェスのような音楽祭。一流の演奏が1公演・約45分、チケットは1,500円からのリーズナブル価格で味わえる。小学生以下はもちろん、0歳児から鑑賞できるコンサートがあるほか、屋内外での無料イベントも催され、老若男女だれもが気軽に楽しめるのが人気のポイントだ。2005年の日本初開催から昨年までの総来場者数は700万人以上を数え、いまや日本のみならず世界有数の大規模のフェスへと成長を遂げた。今年は「ラ・ダンス舞曲の祭典」をテーマに、3日間で約350公演を開催(うち有料は122公演)。宮廷舞踊や民俗舞踊を取り入れたクラシックの名曲はもちろん、20世紀以降のジャズやロック、ワールド・ミュージックに触発された作品、さらにはタンゴやフラメンコ、和太鼓やジャズまで、多彩なプログラムが目白押し。その他、アコーディオンの巨匠リシャール・ガリアーノによるタンゴへのオマージュ、スマートフォンを使った観客参加型作品(タン・ドゥン作曲の「パッサカリア」)、メキシコの民族音楽グループ、テンベンベの初来日、和太鼓奏者・林英哲と天才パーカッション奏者シモーネ・ルビノの東西打楽器バトルなど、他のクラシックコンサートではなかなか味わえない「ラ・フォル・ジュルネならでは」のユニークなプログラムも予定されている。「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン『熱狂の日』音楽祭2017」は、5月4日(木・祝)から6日(土)の3日間、メイン会場の東京国際フォーラムほか、大手町・丸の内・有楽町エリアで開催。チケットは公演当日までチケットぴあで発売。また、音楽祭本公演に先駆けて、4月29日からは丸の内エリアでプレイベント(無料)が開催されている。
2017年05月02日朝海ひかる女優10周年記念ツアーDANCE LIVE『will』が6月に上演される。2006年に宝塚歌劇団を卒業し、2007年に女優として歩き始めた朝海の10年間を歌やダンスで振り返る内容となる本作。朝海に話を聞いた。【チケット情報はこちら】『エリザベート』から『私はだれでしょう』(こまつ座)まで幅広い作品に出演してきた朝海。「10年間で出演してきた舞台の音楽を使って構成します。『これはあの作品の曲ね』と楽しんでいただきながら、私が歩んできた道をお客様と一緒に振り返っていく、プロフィールのようなショーになると思います」。豪華なゲスト陣にも注目。「思い出深い作品の相手役をしてくださった方やお世話になった方にお声がけしました。忙しいスケジュールを縫ってご出演いただけるのが本当に嬉しくて。私自身も楽しみにしています」。それぞれの印象を聞いてみると、『DNA-SHARAKU』で相手役を演じたSpiは「ふたりとも初めて演じるような役どころで。一緒に『ああでもないこうでもない』と試行錯誤しながら作っていったので、戦友みたいな感じです」、『エリザベート』で共演した伊礼彼方は「お互いこんな大きなミュージカルに出るのも初めてだったので、そんなところから仲良くしていただいて。気心知れている方です」、『蜘蛛女のキス』と『天翔ける風に』で相手役を演じた石井一孝は「楽しくて明るくてエネルギーが溢れていて。いつも引っ張ってくれる、お兄さんみたいな方です」、石川禅は「初めての『エリザベート』で禅さんにいろんなことを教わって、そして支えてもらいました。本当に大変お世話になった方です」と朝海と縁の深い俳優ばかり。ゲストコーナーを設け、トークとミニライブをするという。10年という節目にファンへの“感謝”と“これからもよろしく”という想いをこめて作り上げる本作。これまでで印象的だったファンの言葉を聞いてみると、「私はありがたいことにいろんなジャンルのお芝居、いろんな劇場に出演させていただいているのですが、私のファンでいることでいろいろな世界を見ることができる、という風におっしゃってくださって。それがすごく嬉しかった。私の世界も広がってますが、一緒にファンの方たちの世界も広がっていってくれてるんだなって。一緒に歩んでいる感がすごくあって嬉しかったですね」。「この10年、宝塚を卒業して舞台に立てたことは本当にファンの方々あってのことです。その感謝の気持ちをこの作品にすべて込めますので、受け取っていただきたいなと思います」公演は、6月7日(水)・8日(木)に東京・よみうり大手町ホール、6月11日(日)に大阪・ナレッジシアター、6月14日(水)に宮城・仙台イズミティ21小ホールにて。取材・文:中川實穗
2017年05月02日昨年12月に東京で日本初演を迎えた劇団四季の新作ミュージカル『ノートルダムの鐘』が、7月23日(日)から9月28日(木)まで、京都劇場にて上演される。劇団四季「ノートルダムの鐘」チケット情報物語の舞台は、15世紀末のパリ。ノートルダム大聖堂に隔離されている鐘突きのカジモド、カジモドを世話する大聖堂大助祭フロロー、警備隊長フィーバス、そしてこの3人が同時に愛するジプシーの娘エスメラルダの4人を中心とした、愛の物語。本作について、カジモド役のひとりである飯田達郎は「この作品ほど心を揺さぶられたことはない」と、しみじみ語る。「人間は、宗教、人種、価値観の違いによって偏見を持つことも多く、その象徴としてカジモドがいると思うんです。そして、カジモドには人間の持つ寂しい思いや恥じらい、エスメラルダは美、フロローは嫉妬…と、それぞれが何かを象徴するようなキャラクターになっているんです。だから、お客様は誰かに共感したり、リンクするものがある。それは世代や性別によっても異なりますし、その時のその人の状況によっても変わってきます。けれど、“愛は宿命を変えられるか”という根本のテーマは共通していて、物語の光と闇につながっている。だから、どんな人も心動かされるのだと思います」。劇団四季の作品の中でも新たな試みが取り入れられている本作。舞台はシンプルに、芝居や動きは俳優に委ねられている部分も多いのが特徴だ。「基本的な動きは決められていますが、自由な交流や自由な動きが認められていて、その日のお客様とその日のキャストで作り上げる感覚があります。美術も大きなセットに頼らずに、木でできた板がベンチになったり、壁になったり、坂道になったりと、マンパワーで動かしていくんです。それがよりお客様の想像をかき立てると思いますし、だからこそ感動も大きいのだと思います。それに、客席から見える位置にクワイアという聖歌隊を配置するのも初めての試み。演じていても毎回新しい発見がありますし、新鮮に感じます。人間力がすごく試される舞台なので、俳優も常に120%の気持ちで臨んでいます」。宿命とどう向き合って生きるのか、他者を認めること、お互いに理解し合うこと…。本作から受け取るメッセージは多い。「時代が変わっても変わらないものがあるという、普遍的なテーマを持った作品なんですよね。本当にいろんな要素が詰まっているので、何度観てもいろんな目線で楽しめると思います」6月25日(日)まで東京・四季劇場[秋]にて上演中。その後、7月23日(日)から9月28日(木)まで京都劇場にて上演。取材・文:黒石悦子
2017年05月01日今年2月6日にソロデビュー15周年を迎えたYUKIが、3月15日に発売されたアルバム『まばたき』を引っ提げた15周年記念ツアー<YUKI concert tour “Blink Blink”2017>を、4月29日(土・祝)の広島グリーンアリーナよりスタートさせた。【チケット情報はこちら】『さよならバイスタンダー』、『tonight』など、最新アルバム『まばたき』の収録楽曲はもちろんのこと、15年間のソロ活動で生み出してきた数々の楽曲達をふんだんに散りばめたセットリストに、なんとステージ上には、ツアーとしてはなかなかお目にかかることのできない8人編成のストリングス、5人編成のホーン、コーラス2人にバンドと、YUKIを含めた総勢20人が豪華な演奏とパワフルなパフォーマンスで集まったファンを魅了。「みんな元気?今日多分、私が一番幸せ!」とMCで語っていたYUKI。「みんな今日、私に良いとこ連れてって欲しいよね?大丈夫!いいとこ連れてってあげる」と会場に集まった約7,000人のファンを大いに盛り上げた。また、毎回ステージ衣装にも注目が集まるYUKI。今ツアーでは、新進気鋭のデザイナーTOMO KOIZUMI、YUIMA NAKAZATO、MEGMIURAが手掛けたそれぞれのデザインの衣裳も要注目。7月23日(日)に開催されるYUKIの故郷・北海道は函館アリーナでのツアーファイナルまで、残り全国7か所12公演、圧巻のエンターテインメントをファン達に届けてくれそうだ。神奈川・大阪・北海道公演のチケットの一般発売に先がけて、オフィシャル先着先行を実施。受付は5月1日(月)午後6時から7日(日)午後11時59分まで。■『YUKI concert tour“Blink Blink”2017』5月13日(土) マリンメッセ福岡(福岡県)5月14日(日) マリンメッセ福岡(福岡県)5月20日(土) セキスイハイムスーパーアリーナ(宮城県)6月7日(水) 日本ガイシホール(愛知県)6月8日(木) 日本ガイシホール(愛知県)6月24日(土) 朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター(新潟県)7月1日(土) 横浜アリーナ(神奈川県)7月2日(日) 横浜アリーナ(神奈川県)7月8日(土) 大阪城ホール(大阪府)7月9日(日) 大阪城ホール(大阪府)7月22日(土) 函館アリーナ(北海道)7月23日(日) 函館アリーナ(北海道)※終了公演は割愛
2017年05月01日今夏、世田谷パブリッシアター開場20周年記念公演として上演される『子午線の祀り』。1979年初演の、木下順二による不朽の名作に、同劇場芸術監督の野村萬斎が満を持して演出に挑む。舞台『子午線の祀り』チケット情報「『子午線の祀り』は、いわば僕の演劇の原体験なんです」と萬斎は語る。父(野村万作)が初演から出演していたこともあり、1979年の初演時から折あるごとに観劇していたと言う。そして1999年、32歳で平知盛役に初めて抜擢され、2004年の再演にも出演した。「古典的な『平家物語』の世界と現代劇との融合、歌舞伎や新劇など色んな出自の方々が己のスタイルをぶつけあって最終的にひとつの作品をつくりあげる、今の僕のすべての精神は『子午線の祀り』から始まったと言っても過言ではありません」萬斎にとって今作を演出するのは初めて。「今回の新しい演出の重要なテーマは“レクイエム”です。作品を通じて、観客は歴史や宇宙の運行という自分ではコントロールできない大きな世界と出会い、人はただ生かされているということを知る。それはひとつの“弔い”の儀式と言えるのではないかと思うんです。生も死も、等しく肯定せざるを得ない」主人公の知盛は13年ぶりに演じる。「クライマックスでの知盛の“見るべき程の事は見つ”という台詞は死が見えていない人には言えないものです。年齢を重ねた今なら、より真に迫って言えると思う。抗えない老化もひとつの無常ですから。諦念を持ちながらも、自分の生を全うしたという思いを持たないと、この台詞に真実味を持たせるのは難しい」。共演は、近年活躍目覚しい成河をはじめ、前進座の河原崎國太郎、実力派俳優の今井朋彦、村田雄浩、若村麻由美らが名を連ねる。「今回成河君にお願いする義経は、私の父や歌舞伎俳優の市川右近さんなどが演じてきた、古典的様式美が必要とされる役でした。でも今回は様式性よりも(萬斎がモーション・アクターを務めた)『シン・ゴジラ』ならぬ“シン・義経”にしたかった(笑)。成河君は身体にキレがあるし声も高くてよく響く。新しい義経像を作っていただけると期待しております」最後に、世田谷パブリックシアター20周年に寄せて、自身の芸術観を語ってくれた。「現代のアートは、ほとんどの作家が一代限りですよね。古典芸能は後継者に自分のDNAを入れこみ、無形文化財という伝統の厚みをつくる。芸術監督たるもの、パブリックに文化を担っている意識で、狂言が滅びないようにするのと同じように、現代演劇の天才たちのつくる演劇文化を残していきたいです」東京公演は7月1日(土)から23日(日)まで。世田谷パブリックシアターにて。なお、チケットぴあでは5月1日(月)よりインターネット先行申込みの受付けを開始する。チケットは5月14日(日)一般発売。取材・文:落 雅季子
2017年05月01日雪組トップスター早霧(さぎり)せいなと咲妃(さきひ)みゆの退団公演となる『幕末太陽傳』『Dramatic“S”!』が、4月21日、兵庫・宝塚大劇場で幕を開けた。本公演は103期初舞台生40名のお披露目公演でもあり、幕開きには羽織袴姿の初舞台生が口上を行い、ショーでは美しいラインダンスを披露した。宝塚歌劇雪組『幕末太陽傳』/『Dramatic “S”!』チケット情報第一幕の『幕末太陽傳』は、1957年に公開された鬼才・川島雄三監督の映画を原作にしたミュージカル。実在した品川の遊郭・相模屋を舞台に巻き起こるさまざまな人間模様を軽快に描いた人情喜劇で、『居残り佐平次』を中心に、『品川心中』『三枚起請』『お見立て』などの古典落語を組み合わせて作られた物語だ。早霧が男役の集大成に演じるのは、無一文で相模屋にやってきた町人・佐平次。豪勢に芸者を呼び、大尽遊びに興じた翌朝、堂々と居残りを決め込んで番頭まがいの仕事を始め、次々と起きる騒ぎを持前の度胸と機転で解決していく。そうするうちに佐平次は廓の人気者となるが…。佐平次は、早霧の個性をギュッと詰め込んだようなキャラクター。飄々として軽妙でいなせなカッコ良さもあり、どこか人を惹きつける魅力がある。それでいて、表では見せない佐平次の“陰”の部分も繊細に表現している。また、咲妃が演じるのは客を選り好みする相模屋の女郎おそめ。気が強く、トップを争うライバルのこはると大乱闘を立ち回りで魅せるシーンも見もの。佐平次とおそめとの関係性も早霧と咲妃の関係性を表しているようで、ほっこりと温かさを感じる展開だ。そして、次期トップスターの望海風斗(のぞみ・ふうと)は、長州藩士・高杉晋作役。佐平次との友情や信頼関係が生まれていく様を丁寧に演じ、安定感のあるしなやかな演技で魅せる。他にも、佐平次とおそめを中心としながらさまざまな人物にスポットが当たり、テンポ感のある展開で見せるのが楽しい。第二幕の『Dramatic“S”!』は、雪組の魅力をたっぷりと堪能できるショー。ゴールドのゴージャスな衣裳をまとった華やかなプロローグから、下級生にも見せ場を作り、ノンストップで繰り広げていく。初舞台生によるロケットも見応えのある展開で、初々しさと共に頼もしさも感じさせる。さらに、サヨナラならではの壮大な演出、黒燕尾のクールな群舞、咲妃とのロマンチックなデュエットなど、瞬きすら惜しいほどに見どころ盛りだくさん。早霧を中心とする雪組の、熱く強い“絆”を感じるステージになっている。公演は、5月29日(月)まで兵庫・宝塚大劇場にて上演中。その後、6月16日(金)から7月23日(日)まで東京宝塚劇場にて上演。東京公演のチケットは5月14日(日)10:00より一般発売開始。取材・文:黒石悦子
2017年05月01日鈴木おさむが作・演出を手掛ける舞台『僕だってヒーローになりたかった』が、7月に東京・兵庫で上演される。本作は「悪役になるしかなかった男」の、可笑しくも切なく、悲しい物語で、主人公を務めるのは田中圭。対して、前期のNHK連続テレビ小説『べっぴんさん』で岩佐栄輔を好演した松下優也がヒーローを演じる。ストレートプレイは久しぶりの出演となる松下に、現在の心境を聞いた。「僕だってヒーローになりたかった」チケット情報今回演じるのは、日本を救う正義のヒーローだが、どんなヒーロー像が出来上がるのかはまだイメージ段階。「現状では、ただヒーローになっても面白くないと思うから、ちょっとだけ周りが見えていないヒーローになりたいなと、勝手に思っています(笑)。こっちは笑わせてるつもりがなくても、笑いになるような人物にしたいですね」。音楽活動も精力的に行いながら、映像に舞台にと、役者としても幅広い活躍を見せる松下。初めて芝居の楽しさを感じた瞬間は、初舞台で初主演を務めたミュージカル『黒執事』だった。「カーテンコールのときに関西弁で喋ったら、笑いが起きたんです。そのときに、“あ、お客さんを欺けてたんや”と。最初に楽しさを覚えたのはそこですね。今でもなるべく自分とかけ離れた人を演じたいですし、その役がどこからきて、何をしていて、どこへいくのかというお芝居の前後を考えることが楽しいです」。さらにその後『Paco~パコと魔法の絵本~from「ガマ王子vsザリガニ魔人」』で、演じることへの意識が変わった。「僕の役が、睡眠薬を大量に飲んで、自分で病院に行くという人物だったんです。それに、客席の目の前で大泣きするシーンがあって。睡眠薬を大量に飲む経験なんてないし、すぐに泣けるような器用な人間じゃないので、どういう状態で作るかっていうのはすごく苦労しました。でもその経験があったからこそ、役の空気感や状態の作り方を掴むことができた気がします」。『べっぴんさん』を経ての舞台。役者としての松下にますます注目が集まっているが…。「今まで舞台を観る機会があまりなかった方にも、生の空気感を感じていただきたいですね。客席との近い距離感の中でのお芝居だったり、出演者も少ない中でどう見せるのか、僕も今からすごく楽しみにしています」と松下。しかも兵庫公演は、地元・西宮での上演だ。「生まれ育った町で、すごく思い入れのある場所なので、うれしいですね。ぜひ地元の方にも楽しんでいただきたいです」。公演は、7月6日(木)から23日(日)まで東京・俳優座劇場、7月26日(水)・27日(木)兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて上演。東京公演は5月10日(水)11:00まで、兵庫公演は5月9日(火)までプレリザーブ受付中。一般発売は5月13日(土)10:00より。取材・文/黒石悦子
2017年05月01日“天使の歌声”の呼び名で世界中で愛されるウィーン少年合唱団が、日本ツアーのために来日。4月27日に都内で記者会見を行った。「ウィーン少年合唱団 2017年 日本公演」のチケット情報1498年創設の歴史を誇るウィーン少年合唱団。教育と伝統の継承を重んじる方針のもと、10歳から14歳の約100名のメンバー全員が寮生活をし、ハイドン、モーツァルト、シューベルト、ブルックナーという合唱団にゆかりのある作曲家の名がついた4グループに分かれて活動している。“ウィーンの音楽大使”として世界各地へのツアーを行っており、今年3月にはその活動が認められ、ユネスコの「無形文化遺産」に登録されたばかり。今回のツアーは「モーツァルト組」が来日し、2つのプログラム(A・B)を披露。Aプログラム「合唱名曲集」は、グレゴリオ聖歌からルネサンス、ロマン派から現代まで多彩な曲目が並ぶ。ウィーンの作曲家の作品も数多く、まさに合唱団の伝統を披露する内容といえる。もうひとつのBプログラム「世界の旅」では、世界各国の民謡ほか、日本語で歌う「ふるさと」「花は咲く」「ソーラン節」も注目だ。芸術監督のゲラルト・ヴィルトは「日本で初披露する曲や少年たちが楽器やダンスを披露したりと、老若男女誰もが楽しめる構成をご用意しました。ぜひご期待ください」と抱負を語った。記者会見の最後は、合唱団のメンバーたちによるパフォーマンス。ツアープログラムから「美しく青きドナウ」(J・シュトラウスII世作曲)とタケカワユキヒデの「ビューティフル・ネーム」の2曲を、まさに“天使の歌声”といえる美しいハーモニーで披露した。「ウィーン少年合唱団 2017年 日本公演」は、4月30日(日)常陸大宮市文化センター公演から6月18日(日)東京オペラシティ公演まで、全国各地で29公演がおこなわれる。
2017年04月27日ある日突然、17歳だった自分が25年の歳月を“スキップ”してしまったら……北村薫の小説『スキップ』が演劇集団キャラメルボックスの成井豊の作・演出により13年ぶりに舞台化され、4月26日にサンシャイン劇場で初日を迎えた。昭和40年初頭、女子高生としてごく普通の生活を送っていた一ノ瀬真理子。体育祭を終えて帰宅し、自分の部屋でお気に入りのレコードをかけながらついうとうとしてしまう……次に彼女が目覚めた時、そこは見知らぬ場所だった。目の前に現れた同い年ほどの少女は、自分はあなたの娘で、真理子は今42歳だという……。この舞台では、真理子を2人1役で演じるのが最大の特徴だろう。17歳の真理子を演じるのは乃木坂46を卒業後、本格的な舞台は初挑戦となる深川麻衣。実は稽古前は「レコードのかけかたもわからなかった」という彼女だが、蓋を開けてみれば彼女の初々しさと芯の通った存在感が、「昭和の時代の女子高生」によく合う。そして、42歳の真理子を演じるのは霧矢大夢。外見は42歳、しかし中身は女子高生という難しい役どころを、深川が演じる“17歳の真理子”と時には入れ替わり、時に同時に演じてゆく。いつしかこのふたりがすんなりと同一人物に見えてくるのは、舞台作品ならではの魅力だ。人生が“スキップ”する……一見SF的な設定だが、この作品の肝はそこではない。突然日常を壊され、さまざまなものを失った真理子。彼女は最初こそ動揺するものの、やがて「夫、娘を持ち、高校の国語教師である桜木真理子」という自分の状況を受け入れる。そして夫と娘の助けを借りながら、かつての真理子の役割を果たすことを選択する。それは努力と、何よりも勇気が必要な行動のはずだ。しかし彼女の選択がすんなりと腑に落ちるのは、ふたりの女優の演じる姿から「真理子」という人はそういう人だ、という説得力が溢れるからだろう。また、日常を壊されたのは真理子だけではない。夫は“42歳の”妻を、娘は“42歳の”母を失う。彼らは戸惑いつつもまたそれを受け入れ、17歳の真理子の支えとなる。その優しさと強さに救われる気分になる観客も多いはずだ。そしてそれも、42歳の真理子が、彼女の年月の中で積み上げてきたもののひとつ。観ているうちに気付かされる。真理子ほどの数奇な境遇でなくても、未来がどうなるかわからず、不確定の出来事が起こっていくのは私たちも同じ。何が起こるかわからない日常もまた、「冒険」なのだと。新しいものごとが始まってゆくこの季節に、背中を押してくれるようなそんな作品だ。公演は5月5日(金・祝)まで、池袋サンシャイン劇場で上演される。前売券は予定枚数終了。当日券は各公演日の前日に電話予約を受付。詳細は公式サイトに掲載( )。取材・文:川口有紀
2017年04月27日新国立劇場が30代の演出家たちを迎えて送る「かさなる視点―日本の戯曲の力―」。若手の演出家が昭和30年代の近代戯曲に取り組むシリーズのフィナーレを飾るのは、次期新国立劇場演劇芸術監督に就任が決定している小川絵梨子による田中千禾夫の長編戯曲『マリアの首-幻に長崎を想う曲-』。4月中旬、その稽古場を訪ねた。舞台『マリアの首-幻に長崎を想う曲-』チケット情報作品の舞台は終戦後、原爆によって被爆した長崎。無惨に破壊された浦上天主堂の側で暮らす人々を、三人の女性を主軸に描く。昼は看護婦、夜は娼婦として働く鹿(鈴木杏)。とある恨みを胸に秘めながら原爆症の夫の世話をしている忍(伊勢佳世)。鹿と忍とともに病院に勤める静(峯村リエ)。浦上天主堂マリア像の残骸を保存しようと行動する女たちと、それを取り巻く男たちの、か弱くも力強く生きようとする姿を描いた、昭和34年初演の名作である。稽古場の扉を開けると、まず大掛かりな舞台美術が組まれているのが目に飛び込んできて、作品のスケールの大きさを予感させる。続いて、壁一面に貼られた長崎の浦上天主堂にまつわる資料。昨年の秋に、小川が長崎を訪れて撮った写真も貼られている。現存する被爆のマリアの写真もあった。長崎の方言の表や、当時のキリスト教者の習慣を書いた紙など、稽古場を挙げて全員が歴史や宗教の勉強に取り組みながら作品づくりをしていることがわかる。演技の方向付けを俳優とともに探りながら、戯曲の解釈についての俳優からの質問に丁寧に答える小川。「今この場で起こってることを重視してほしい。想像と体感の両方に演技の軸を置くことが大事」と忍役の伊勢にかけていた言葉が印象的だった。小川は自らも舞台上にあがり、近い距離感で俳優に動きの指示を与える。舞台に寝転がってみせたり、表情ゆたかにくるくると立ち回る様子を見て俳優陣からは時に笑いもこぼれる。鹿の台詞がキッカケで、舞台美術が回り、転換する場面があるのだが、これまで数々の舞台で磨かれてきた鈴木の声は深く重く響き、本作を支える大きな柱としての存在感を感じた。筆者が訪れた稽古時間には、三人の女性のひとり、峯村リエの出番はなかったが、献身的で寡黙な中にも深い情熱を持つ役どころを彼女がどう演じるのか、他の出演者を見ながら想像と期待が膨らんだ。小川に、本作のテーマのひとつである「母性」にどうアプローチしていくか質問すると「母性もそれを突き放した冷たさも表れている。その葛藤を丁寧に描きたい」と答えてくれた。公演は5月10日(水)から28日(日)まで東京・新国立劇場 小劇場にて。取材・文:落 雅季子
2017年04月27日昨年、誕生30周年を迎えた『ドラゴンクエスト』。記念イベントが続々と行われているが、昨年10月には吹奏楽による演奏会『「ドラゴンクエスト」ウインドオーケストラコンサート』が開幕した。いよいよ、これまで誰も生で聴いたことのない“吹奏楽編曲”によるシリーズ“VII”“VIII”“IX”のコンサートが、初お披露目となる。先日、初めて音を出す“試奏”がおこなわれ、そこで指揮者の大井剛史と永峰大輔に話を聞いた。【チケット情報はこちら】これまで、“I”から“VI”までのコンサートを手掛けた大井は、「ドラクエコンサートはお客さんとの一体感に特別なものがある。僕もそうだけど、音楽が体に染みついているんですよね。こちらも一緒に楽しんでいる感じがあって雰囲気がいいんです」とその魅力を語った。永峰も、「組曲の中には、マッシュアップ(複数の曲を編集してひとつの曲にする)されているものがあって、街やフィールド移動などゲームをしている感覚を思い出します。ゲームでは場面が変わると音楽が切れちゃいますけど、最後まで聴けるのもおもしろいですよ」と他の演奏会にはない楽しさを語った。実際のコンサートでは、ゲーム音楽プロ交響楽団「JAGMO」で様々なコンサートを担当してきた永峰がタクトを執る。ゲームをクリアしてから演奏に臨むという永峰は、「“VIII”はこの間やっとクリアしました。“VII”は途中です」とゲームも楽しんでいる様子。「ちゃんとゲームをクリアしたところで伺える永峰さんのお話も楽しいですよ」と大井が太鼓判を押すように、コンサートでは楽曲の合間に指揮者によるMCも。音楽家としての視点で語られるドラクエ音楽も楽しみのひとつだ。同コンサートの演奏を務めるのは、吹奏楽団では日本随一と名高い東京佼成ウインドオーケストラ。この日の試奏では、楽団の正指揮者である大井が担当し、永峰がその様子を見守った。大井の指示のもとテキパキと進行し、“IX”の交響組曲が少しずつ明らかになっていった。ゲームのオープニングを飾るおなじみの「序曲」から始まり、王宮、街、フィールドへと誘っていく。ひとつひとつの音にアクセントのある管楽器の音色は、気持ちをワクワクと高めていくようだ。今後は永峰が指揮を受け継ぎ、演奏者たちと音を作り、本番を迎える。“VII”“VIII”は、CD化されているがコンサートは初。“IX”は、吹奏楽による演奏自体が初となる。「ドラゴンクエストVII, VIII」は5月4日(木・祝)大田区民ホール・アプリコ 大ホール、「ドラゴンクエストIX」は7月9日(日)かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホールにて開催。また、「ドラゴンクエストⅠ・Ⅱ・Ⅲ」も5月20日(土)・21日(日)に開催。チケット発売中。取材・文:門 宏
2017年04月27日