チケットぴあがお届けする新着記事一覧 (169/342)
魔劇「今日から(マ)王!」シリーズの第3弾『舞台オリジナル外伝 魔劇「今日から(マ)王!」~魔王暴走編~』が、11月3日(木・祝)に開幕する。舞台オリジナル外伝魔劇『今日からマ王』チケット情報原作は、文庫からアニメ、コミック、ゲームと展開される人気作で、平凡な高校生の主人公が実は“異世界最強の魔王”だった…というファンタジー作品。舞台第3弾では、原作の“魔笛”エピソードをベースに、初の舞台版オリジナルストーリーで上演する。主演の小西成弥に話を聞いた。今作から主人公・渋谷有利を引き継ぎ、演じる小西。3作目にして主演を引き継ぐプレッシャーはないか聞いてみると「あります。でも(前作まで有利役だった)聖也くんとはもともと仲がいいんですよ。その聖也くんが本当に大切に有利を演じていたので、僕はその要素もしっかりと引き継いでいけたらと思います」と真摯に語る。自身にとって初めての座長だが「メインキャストでは一番年下なので、引っ張るというよりはみなさんに支えていただいてる感じです。ただやっぱり、できているかは別としても座長として引っ張っていかないとっていう気持ちはあって。例えばみんなより早く台詞を覚えるとかそんな“行動”でできるだけやっています」。役については「主人公が初めてなので、中心に立っていろんな人と絡む楽しさを感じています。忙しいっていうか(笑)」とフレッシュな感想。「ぜひ観てほしいのは、グウェンダルとのシーン。今作では有利とグウェンダルの距離が縮まるところが見られるので。それと、“魔王モード”になったとき。有利の信念や正義感が出るシーンなので、ちゃんと演じたいですね」。特に好きなシーンを聞いてみると「渋谷勝利(岡田地平)と村田健(反橋宗一郎)の絡みが好きです。地平くんはコメディ体質なのですごく面白いんですよ。それと、ギュン汁のくだりは今回も面白いです!」と笑顔。コミカルなやり取りも多いが「舞台と同じで稽古場の空気もすごく明るいんです。みんな仲がいいし、そういう関係性があるから、(コミカルなシーンも)いい空気でできるんじゃないかな」。「観たら明るい気持ちになってスッキリする作品です。ダンスも歌も殺陣もあるエンターテインメント性の高い作品ですが、その奥にあるメッセージも受け取って頂ければ嬉しいです。初めて観る方にもわかるように作っているので、ぜひ観に来てください!」公演は11月3日(木・祝)から13日(日)まで、東京・全労済ホール/スペース・ゼロにて。取材・文:中川實穗
2016年10月31日今年5月に逝去した作曲家/シンセサイザーアーティストの冨田勲の遺作『ドクター・コッペリウス』がプロジェクトチームにより制作され、11月11日(金)・12日(土)の追悼特別公演で初披露される。10月26日に開かれた制作発表記者会見でその全貌が明らかになった。【チケット情報はこちら】『ドクター・コッペリウス』は、亡くなる1時間前まで打ち合わせをし、冨田が上演を最期まで夢見て創作し続けていた作品。“日本の宇宙開発・ロケット開発の父”と呼ばれ、バレエダンサーでもあった糸川英夫博士の「ホログラフィと一緒に踊りたい」という夢を形にするとともに、『イーハトーヴ交響曲』(2012年)のときに生のオーケストラ演奏で歌い踊ったボーカロイド・初音ミクにバレエ作品『コッペリア』を踊らせたいという冨田の思いが詰まった壮大な交響曲。オーケストラとシンセサイザー、バレエとホログラフィを融合させた“スペースバレエシンフォニー”となる。今回は、3Dで浮かび上がるバレエの衣装に身を包んだ初音ミクが、バレエダンサー風間無限とともに“パ・ド・ドゥ”を踊り、歌う。演出/エレクトロニクスのことぶき光は「映像は当日をお楽しみ」と明言を避け、振付の辻本知彦は「一番最後の曲はとてもいい振付になったと自負してます」と満足の表情でアピールした。1970~1980年代に冨田が制作した音源が入ったオープンリールテープもこのたび発見され、「再サンプリングしてかなりの場所で使います」とことぶき光。楽章の構成は7楽章。ストーリー原案とほとんどのサウンドファイルが遺されていたが、第1楽章と第2楽章はテーマや歌詞が遺されているのみ。プロジェクトチームから冨田氏へ思いを捧げる第0楽章『飛翔する生命体』を冒頭に据え、1と2は欠番となる。指揮の渡邊一正は「リハーサルはこれから。わくわくしています」と笑顔で語った。既存の楽曲を素材として用い、新しい世界観を作り上げるのが冨田の手法。本作には、ヴィラ=ロボス『ブラジル風バッハ』やレオ・ドリーブ『コッペリア』、ワーグナー『トリスタンとイゾルデ』、最後の劇場用映画音楽となった映画『おかえり、はやぶさ』メインテーマが素材として用いられ、新しい世界を作り上げている。当日は、『ドクター・コッペリウス』のほかに、『イーハトーヴ交響曲』、冨田の代表作である『惑星 Planets』(1977年)のリミックスも披露される。冨田勲 追悼特別公演『ドクター・コッペリウス』は11月11日(金)・12日(土)に東京・Bunkamuraオーチャードホールにて開催。チケット発売中。取材・文:門 宏
2016年10月31日中川晃教、平野綾、橋本さとし、濱田めぐみが90分間ノンストップ&全編歌で届けるミュージカル『マーダー・バラッド』が、11月3日(木・祝)に開幕する。オフ・ブロードウェイ、韓国で大ヒットした注目作の日本初演。その公開稽古に潜入した。ミュージカル『マーダー・バラッド』チケット情報物語の舞台はニューヨーク。燃えるような恋に落ちたトム(中川)とサラ(平野)だったが、トムがサラに飽き、一方的に別れを告げ終わってしまう。失恋で酒におぼれるサラを救ったのは詩の博士号を持つマイケル(橋本)。ふたりは恋に落ち、結婚。高級住宅街に家を買い、娘も誕生し、絵に描いたようなしあわせな毎日を送る。だがサラはいつしか繰り返しの毎日に疲れ、トムがオープンしたクラブを訪ねてしまう…。再会し、越えてはならない一線を越えるふたり。そんな彼らを見つめるバーテンダー(濱田)。やがてマイケルがふたりの関係に気がつき、殺人事件へと発展する――。お酒が並んだカウンター、テーブル&椅子が並ぶ舞台。セット転換もなく、4人がほぼ出演しっぱなしで全41曲、ノンストップで紡いでいくという贅沢な作品。一曲一曲に込められたストーリーも濃厚で、4人はときに恋焦がれ、ときに嫉妬に狂い、過激でセクシーな芝居も交えながら、燃えるように愛憎の一部始終を伝えていく。また、狂言回しのようなポジションの濱田は、舞台上でただただ彼らのやりとりを見つめている。物語を進めていく3人からふと濱田に目を移すと、ゾッとするような表情で彼らを睨んでいることが多々あり、その理由は最後にわかるが、得体の知れない存在として舞台上の空気を揺らしていた。「殺人事件」ということで別世界の物語をイメージしていたが、実際は日常の生々しい感情が描かれた作品だった。観る人の“今”によって感想も変わってくるだろうと思う。登場人物それぞれの視点で観劇すると、違う発見もありそうだ。また、舞台の両サイドには、クラブの一部のようにして設けられている“ステージシート”があり、なんと同じ舞台上で観劇できる。今回はこのステージシートからの取材となったが、身体が当たりそうなほどの距離で、彼らの歌はもちろん息遣い、熱気までダイレクトに届く。ぜひ楽しみにしてほしい。公演は、11月3日(木・祝)から6日(日)まで兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール、11月11日(金)から27日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場にて。取材・文:中川實穗
2016年10月31日来年1月に上演される、人気アニメの舞台化作品『ライブミュージカル「プリパラ」み~んなにとどけ!プリズム☆ボイス2017』で、描き下ろしアニメビジュアルが初公開。あわせて、公演後に行われる「スペシャルミニライブ」の出演者が発表された。ライブミュージカル「プリパラ」チケット情報アイドルテーマパーク「プリパラ」を舞台に、アイドルを夢見る女の子たちを描く作品。今年2月に初演され好評を博した内容を、2017年版としてさらにバージョンアップして上演。前回公演に引き続き、アニメでメインキャラクターの声を担当している人気声優たち、茜屋日海夏、芹澤優、久保田未夢、山北早紀、澁谷梓希、若井友希が自身の役で出演する。発表されたスペシャルミニライブの出演者は以下の通り。1月26日(木)11:00緑風ふわり(佐藤あずさ)/そらみドレッシング(茜屋日海夏、芹澤優、久保田未夢、山北早紀、澁谷梓希、若井友希)1月27日(金)13:00緑風ふわり/そらみドレッシング1月27日(金)19:00北条コスモ(山本希望)/そらみドレッシング1月28日(土)11:00紫京院ひびき(斎賀みつき)/そらみドレッシング1月28日(土)15:00紫京院ひびき/ガァルル(真田アサミ)/そらみドレッシング1月28日(土)19:00ガァルル/そらみドレッシング1月29日(日)11:00ノンシュガー(田中美海、大森日雅、山下七海)/そらみドレッシング1月29日(日)15:00そらみドレッシング公演は2017年1月26日(木)から29日(日)まで東京・Zeppブルーシアター六本木にて。チケットの一般発売は10月29日(土)午前10時より。
2016年10月28日東京二期会オペラ劇場で11月に上演される《ナクソス島のアリアドネ》(R.シュトラウス)が現行の形で初演されてから今年でちょうど100年。指揮シモーネ・ヤング、演出カロリーネ・グルーバー。二期会の歴史で初めてという、女性コンビによる上演だ。来日したふたりが記者会見に臨んだ(10月27日)。「ナクソス島のアリアドネ」チケット情報ヨーロッパの主要歌劇場で華々しいキャリアを築いているヤングの来日は、2003年にNHK交響楽団を指揮して以来13年ぶり。個性的なキャラクターが次々に登場し、室内規模の36人編成のオーケストラとともに緊密な音楽の流れを紡ぎ出すこの作品を、「オーケストラと歌手とが互いに作り合う、宝石のような音楽。そして芸術の、シリアスなばかりではない、明るい面を提供できる楽しい作品」と評す。また、「一生懸命な若い人たちと楽譜に深く入り込んでゆくのは楽しい作業だ」と、2日前から始まっている歌手たちとのリハーサルの感触を語った。一方のグルーバーも、ドイツのオペラ専門誌で2度にわたって年間最優秀演出家にノミネートされている注目の存在だ。今回の舞台は2008年にライプツィヒ歌劇場で初演したプロダクション。物語はオペラの楽屋裏ばなしで、オペラ上演を巡って主催者の気まぐれに振り回される音楽家たちの困惑をコミカルに描いたプロローグと、劇中劇として演じられるそのオペラ《ナクソス島のアリアドネ》本編から成る。グルーバーは「実に多層的に多くのテーマが隠れている。それをバラバラにではなく、わかりやすくひとつにすることを心がけた」という。プロローグが見すぼらしい殺風景な地下のスペースで演じられるのは、芸術家がいかに粗末に扱われているかを象徴しているのだそう。会見後には立ち稽古の一部が報道陣に公開された。コロラトゥーラの高度な技術が要求される難曲として知られるツェルビネッタのアリア〈偉大なる王女様〉にも、ステージ上を広く使った、そして細かい表情の演技が次々と指示されてゆく。突っ立って歌うだけでも難しそうなのに…。しかし観る側にとっては楽しさ倍増。1か月後に完成する舞台の多彩さを大いに期待させた。折しも来日したウィーン国立歌劇場が同演目を上演したばかり。この作品の異なる演出による舞台を、ひと月と置かずに同じ都市で観られるのは、世界的にもかなりレアな出来事のはずだ。公演は11月23日(水・祝)・24日(木)・26日(土)・27日(日)の全4回(初日のみ17時、他は14時開演)。いずれも東京・有楽町の日生劇場で。(宮本明)
2016年10月28日安西慎太郎主演の舞台『幸福な職場~ここにはしあわせがつまっている~』 が、2017年1月に上演される。本作は、2009年の初演以来、劇団「東京フェスティバル」が再演を重ねてきた、きたむらけんじ代表作。全国初の心身障害者雇用モデル工場となった日本理化学工業が初めて知的障害者を雇用した時の物語を描く。舞台『幸福な職場』チケット情報主演の安西、松田凌、谷口賢志に話を聞いた。本作への出演について「すごく嬉しい」(安西)、「早く稽古したい」(松田)、「楽しみしかない」(谷口)と口々に語る3人。谷口は「お話をいただいたときに安西慎太郎の名前を見て、とにかく嬉しくて。それに松田凌くんや中嶋しゅうさん、世田谷パブリックシアターで6人芝居でって…最初からおいしいケーキが届いてるのに、どんどんいいものがトッピングされてくみたいな情報しか来ない(笑)」、松田も「主演が他の役者だったら悔しかったと思います。しんた(安西)は、演技力と人間力が好きで、彼とだったらやりたいって思わせてくれる役者さん。今回、ガッツリ芝居で絡めるのがすごく嬉しいです」と共演を喜ぶ。本作の印象を、安西は「前段階の情報に障害を持たれてる方を初めて雇用した会社っていうのがあって、重かったりしっとりした感じかと思っていました。でも逆で、障がいを持たれている方が入ってきたから人間関係が渦巻いていくし、ところどころコミカルで楽しくて、ほっこりするような作品です」と話す。谷口「“泣く”という意味での感動的な作品なのかなと思ったのですが、そこが軸ではない。働くことは普遍的なテーマで、その普遍的なことがある種の小さい奇跡でつながっていくお話です。個人的な話ですが、僕は、障害者の方に対して無駄にやさしくしてないかとか、余計に明るくしてないかとか、もしくは避けてはいないかとか、自問自答することがあります。そんな中でこの作品に携わって、僕自身も何か広がるものがあると思うので、そこも楽しみです」松田「押し付けで奇跡を与えるわけではなく、だけど人生が少し変わる要素を確実に皆さんに届けられる作品だと思っています。必ずなにか持ち帰って頂けるんじゃないかなと思いますので、ぜひ観に来てください!」安西「実際に起きたことなので、強い責任をもって、キャスト6人、そしてきたむらさんをはじめとするスタッフの皆さんで素敵な作品を届けたいなという一心でやります。皆さんぜひ楽しみにしていてください!」公演は2017年1月26日(木)から29日(日)まで、東京・世田谷パブリックシアターにて。取材・文:中川實穗
2016年10月28日11月11日(金)に東京・両国国技館で行われるライブイベント「THE CLASSIC ROCK AWARDS 2016 + LIVE PERFORMANCE」の司会と追加出演者が決定した。【チケット情報はこちら】司会を務めるのは、歌舞伎俳優の尾上松也と、アメリカのヘヴィメタルバンド「メガデス」のデイヴ・ムステイン。また、日本の5人組ガールズロックバンド、BAND-MAIDと、アメリカのハードロックバンド、テスラの出演が決定した。司会就任に際し、尾上は「今回、歌舞伎の舞台ではなくライヴステージで司会という大役を務めさせていただく事になりました。緊張はしていますが、ロックを愛するひとりとして大変楽しみにしています」とコメントを寄せている。チケットは発売中。■THE CLASSIC ROCK AWARDS 2016 + LIVE PERFORMANCE日時:11月11日(金)開場17:00 / 開演18:00会場:両国国技館(東京都)出演:【司会】尾上松也 / デイヴ・ムステイン(メガデス)【アーティスト(順不同)】ジェフ・ベック / ジミー・ペイジ / チープ・トリック / カーク・ハメット(メタリカ)/ジョー・エリオット / フィル・コリン(デフ・レパード) / リッチー・サンボラ / オリアンティ / スロット・マシーン / サラ・ヘロニモ / バンブー / BAND-MAID / テスラ【ジェフ・ベック スペシャルバンド】Gt:ディーン・ディレオ(ストーン・テンプル・パイロッツ)Ba:ロバート・ディレオ(ストーン・テンプル・パイロッツ)Gt:トミー・ヘンリクセン(ハリウッド・ヴァンパイアーズ、アリス・クーパー)Dr:レイ・ルジアー(コーン)
2016年10月28日宝塚歌劇宙組公演『王妃の館 -Chateau de la Reine-』『VIVA!FESTA!』の制作発表が10月26日、都内にて行われた。今月半ばに大盛況の中、人気作『エリザベート』の千秋楽を迎えたばかりのトップコンビ、朝夏まなと、実咲凜音のほか、『王妃の館』原作者の浅田次郎も登壇。公演への意気込みと期待が語られた。宝塚歌劇宙組『王妃の館』チケット情報『王妃の館』はパリの高級ホテルを舞台に、高額ツアーと格安ツアーそれぞれに同じ客室を使わせるという旅行会社の企みのもと、集まった風変わりな人々が様々な騒動を繰り広げるコメディ。原作の浅田は「これはお笑い小説。徹頭徹尾、おやじギャグを散りばめた不思議な小説です」とキッパリ。その中でトップスター・朝夏まなとが扮するのは、セレブ気取りの恋愛小説家、北白川右京。朝夏も「つい10日前まで(『エリザベート』の主役である)黄泉の帝王として君臨していましたが、10日後にはこのようにショッキングピンクのスーツを着て…。とても緊張しました」と苦笑気味だが、「コメディは、自分の意図したものと反して出たものがお客様のウケが良かったりする。予測できないところが難しくもあり、それが上手くいったときの楽しさ、嬉しさがある。大劇場でコメディ作品に挑戦できるのがとても楽しみ。この素晴らしい小説を皆さまに喜んでいただける舞台としてお届けしたい」と意気込む。その朝夏扮する北白川右京を見た浅田は「私はわりと地味なのですが、作家は本当はこうでなきゃいけない!すごく羨ましい。こういう作家に早いうちになっておけばよかった。デビューした時にカツラを被っておくとか、もっと派手なファッションにするとかすれば、私の方向も違ったのかも」と後悔しきり(?)だったが、「実は宝塚の舞台を観たことがなかった。ミュージカルが好きなので興味があったのですが、どうも男ひとりで行くのが気が引けて…。今回望外なことに『王妃の館』の舞台化ということを訊きまして、躍り上がって喜んだ」とのエピソードも。また作中で弱小旅行代理店の女社長・桜井玲子に扮する実咲は、今回が退団公演となる。「今日このように舞台でパフォーマンスをし、コメディの難しさを感じました。最後の公演となりますが、課題はたくさんある。新しい自分をお見せできるよう頑張りたい」と意気込みを語った。後半のショー『VIVA! FESTA!』は世界各地のFESTAをテーマにしたスーパー・レビュー。日本最初のレビュー『モン・パリ』誕生から90周年の記念すべき年に上演される新作として、こちらも注目されている。公演は2017年2月3日(金)から3月6日(月)まで兵庫・宝塚大劇場、3月31日(金)から4月30日(日)まで東京宝塚劇場で上演される。
2016年10月27日アメリカを代表する美術館のひとつ、デトロイト美術館の名作を集めた「デトロイト美術館展~大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち~」の東京展が、10月7日より上野の森美術館にて開催中。【チケット情報はこちら】1885年の創立以来、デトロイト市の財政破綻などの危機にも見舞われながら、自動車業界の資金援助もあり、世界屈指のコレクション数を誇る美術館として知られているデトロイト美術館。今回の巡回展では同美術館から、ゴッホの『自画像』やマティスの『窓』など、近代絵画における巨匠の作品52点を展示、うち15点が日本初公開作品となる。モネ、ドガ、ルノワール、ゴッホ、ゴーギャン、セザンヌ、マティス、モディリアーニ、ピカソなどが描いた名画を存分に堪能することができる。開幕前日の10月6日に行われたプレス向け内覧会には、本展の音声ガイドナビゲーターを務めた女優の鈴木京香が出席。「何度観ても面白い展覧会です。私も何回も来たいと思いますので、ぜひ皆さんも足を運んで、名画との対話を楽しんで」とコメント。また、月・火曜日に限り、来場者が自由に絵画を撮影することができるという同展の特徴に触れ、「通常の展覧会ではあまり撮影ができない展示会が多いですが、デトロイト美術館展は自分のカメラで撮影できる点がとてもいいです。私もカメラが好きですので、来場した時にはぜひ撮影したいです」とアピールした。「デトロイト美術館展~大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち~」は、2017年1月21日(土)まで東京・上野の森美術館で開催。チケットは発売中。
2016年10月27日SF映画の原点にして頂点と言われる作品を原作として作られる舞台『メトロポリス』。佳境に入った稽古場を訪ね、キャストの松たか子、森山未來、演出・美術を手がける串田和美に話を聞いた。90年前の映画が描いた100年後は、今どう表現されるのか。稽古場からは、想像し創造する演劇の豊かさが感じられた。舞台『メトロポリス』チケット情報描かれるのは未来都市メトロポリス。支配者階級と労働者階級に二極化した世界で、支配者の息子フレーダー(森山)と労働者階級の娘マリア(松)が出会い惹かれ合う。やがて、ふたりの交流に危機感を抱いた支配者が、マリアに似せたアンドロイドを作り、労働者たちのもとへ送り込むのだが──というのがとりあえずのあらすじである。が、この舞台で見せようとしているのは話ではないようだ。何しろ冒頭のシーンから、キャスト全員でダンスとは言い切れない不思議なパフォーマンスを見せていく。山田うんの振付で、それぞれが、歩いたり、転がったり、つながったり、人に登ったり。全員で作り出す複雑で意味ありげな動きにただただ見入るばかりである。その舞台ならではの表現について森山は言う。「映画の摩天楼の壮観さとか労働者の数とかをそのまま舞台で見せるのは不可能。じゃあ、ひとりでも群衆を感じさせるとか、舞台上と客席がお互いに想像力を広げられる描写はどうしたらできるのか。それを模索をしている状態なんです」。松もその模索を楽しんでいる。「(森山)未來をはじめ、身体能力という具体的に優れたものを見せてくれる人たちもいれば、どんなことでも何とかするぞっていう頼もしい先輩たちもいて、それぞれがとことん掘っていくのを見ているだけでも面白いんです。そしていつか“これだ”っていう瞬間がくるのを楽しみにしています」。演出の串田自身、どこに辿り着くかまだ見えていない。いや、あえて決めていないのだ。「自分も含めてですけど、演劇ってもっと可能性があるのにここまでしかやれていないっていつも思うんです。だから今回も、限りない表現を探してます。たとえば、言葉と歌の間にあるものとか、もっと突き抜けた先にあるものを。そうして、“これって何だろう”と楽しんでもらえるものを表現できたらというのが、僕の望みなんです」。まさに見たことのないものが、舞台の上で繰り広げられることだろう。最後に「そこで人が何かやってるのを目撃するっていう面白さが舞台にはあると思うので、別にお芝居が大好きじゃなくても、観に来てもらえたらなと思います」と松。本来の観る楽しさが堪能できるに違いない。公演は11月7日(月)より東京・シアターコクーンにて開幕。チケットは発売中。取材・文:大内弓子
2016年10月27日舞台芸術集団 地下空港がぴあと共同制作する新作『SAFARING THE NIGHT/サファリング・ザ・ナイト』を2017年3月、東京・すみだパークで上演する。異次元の移動参加型演劇と題され、観客も移動しながら演劇に「参加する」という異色作。シェイクスピアの『夏の夜の夢』を下敷きに、猛スピードで発展しつつある人工知能と未来について描くものになるという。最先端のテクノロジーを駆使したコレボレーションで話題のWOWの浅井宣通氏の参画も決定している。地下空港は1999年、主宰・演出・脚本の伊藤靖朗が国際基督教大で旗揚げ。2014年には国内応募70組より選抜されイギリス・ウェールズ国立劇場の招聘により渡英。2016年3月上演の音楽劇『赤い竜と土の旅人』がCoRich舞台芸術まつり!2016春で準グランプリと制作賞を受賞。近作は今年6月紀伊國屋ホールで上演した『ポセイドンの牙』。公演は2017年3月1日(水)から12日(日)まで、すみだパーク内の倉、ギャラリーSASAYA等、複数箇所にて行う。なお、地下空港は現在、本公演の出演者(俳優・パフォーマー)、スタッフを募集中。応募締切は2016年11月6日(日)午後10時まで。詳細は舞台芸術集団 地下空港 公式HPまで。
2016年10月27日ザルツブルク・イースター音楽祭(復活祭音楽祭)がサントリーホールにやってくる(11月18(金)~26日(土))。ザルツブルク・イースター音楽祭 in JAPAN チケット情報ザルツブルクは巨匠ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908~1989年)の生まれ故郷だ。彼が1967年に創設したイースター音楽祭は、毎年春に、オペラ上演とオーケストラ・コンサートを中心に約10日間にわたって開催されている。夏のザルツブルク音楽祭とは別組織。年によって暦が移動するキリスト教の「復活祭」に日程を合わせてはいるものの、音楽祭の中身には宗教的な色合いはほとんどなく、イエスの受難日である聖金曜日に「レクイエム」などの宗教曲が演奏されるのが定番になっている程度。もともとカラヤンが自身の芸術的理想を自由に発揮するために起ち上げた場だったのだ。たとえばカラヤン存命中のオペラのほとんどで、カラヤン自身が演出家も兼ねていたように!そんなカラヤンの庭のような音楽祭が開館30周年を祝うサントリーホールで開催されるのは、彼が設計段階からアドバイスを寄せて愛したこのホールにふさわしい。カラヤン亡きあと、現在の音楽祭を担う芸術監督のクリスティアン・ティーレマンと、彼が首席指揮者を務めるシュターツカペレ・ドレスデンが来日して、音楽祭のエッセンスが凝縮されたプログラムを繰り広げる9日間だ。開幕を飾るのは《ラインの黄金》(11月18(金)・20日(日))。ワーグナーはこの音楽祭を彩る重要なレパートリーで、特にカラヤン時代には、上演されたオペラの6割以上がワーグナーだった。その精神を継承した現代屈指のワーグナー指揮者ティーレマンが、ミヒャエル・フォッレ(ヴォータン)、藤村実穂子(フリッカ)ら世界の一線で活躍する歌手たちを率いてワーグナーの真髄を聴かせてくれるはず。そしてさらなる注目ポイントが、そう、サントリーホールでオペラといえばあれ!1993年から2010年まで続いた「ホール・オペラ」が、この《ラインの黄金》で復活するのだ。コンサートホールの音響や空間を最大限に活用した演出により、歌劇場での上演とは異なる感興の、未体験の舞台が毎回出現する好企画だった。今回は、2006年のホール・オペラで《トゥーランドット》を手がけた演出家デニー・クリエフにより、楽劇の理解を視覚的にもフォローする仕掛けが施されているという。歌手とオーケストラが同じ舞台上で演奏することで音楽の密度が高まるのも、特にワーグナーでは大歓迎。初日が待ち遠しい。取材・文:宮本明
2016年10月27日10月も下旬に入ってようやく秋の気配が感じられる東京だが、一足飛びに早くも春の話題を。東京・上野に、音楽で春の訪れを告げる風物詩「東京・春・音楽祭─東京のオペラの森─」。その来季、第13回の開催概要が決まり、発表会見が行なわれた(10月24日)。東京春祭ワーグナー・シリーズ チケット情報オペラ・ファンにとっての目玉は、なんと言っても、2010年から続く「ワーグナー・シリーズ」だ。名匠マレク・ヤノフスキが年1作ずつ進めてきた『ニーベルングの指環』4部作が《神々の黄昏》でいよいよ完結する(4/1、4)。会見には、ウィーン国立歌劇場とともに来日中のヤノフスキも出席、特に共演のNHK交響楽団の実力を賞賛しながら、過去3年を「芸術性の高い成功した公演」と振り返った。今夏のバイロイト音楽祭の『指環』で久しぶりにピットに復帰したヤノフスキだが、「春祭リング」の特色である映像による演出(田尾下哲)を高く評価。「演出が音楽を邪魔しない、とても良い解決策」と、音楽よりも演出重視の傾向が優勢なオペラ界の姿勢に、90年代から長く背を向けていた彼らしい視点で、演奏会形式上演の音楽的な利点に満足気な様子をうかがわせた。コンサートも、さまざまな角度から趣向を凝らした公演ばかり。4年目の「合唱の芸術シリーズ」は、シューベルトの《ミサ曲第6番》をウルフ・シルマー指揮東京都交響楽団と東京オペラシンガーズで(4/9)。大作合唱曲をプロ合唱団で聴ける機会は意外に少ない。音楽祭のレジデント・オーケストラである「東京春祭チェンバー・オーケストラ」は、6年目を迎えて若手精鋭中心の編成に衣替え。フレッシュなエネルギーが充溢しそうだ(3/20)。他にも、上述の『指環』の関連プログラムによる室内楽や、新たに始まる5年がかりのブリテン特集など、気になる公演が目白押しで困る。「春祭」らしいお楽しみが、上野の各博物館や美術館での「ミュージアム・コンサート」だ。コンサートホールとは異なる雰囲気の中で音楽を聴く体験は実に新鮮で、世界遺産に登録されたばかりの国立西洋美術館や、国の重要文化財の国立科学博物館日本館など、歴史的な建築物での公演も超貴重。さらには、上野駅や飲食店、オフィスビル、花見会場まで、人が集まるところならどこでも音楽の場にしてしまうのが「春祭」流。3月16日(木)から4月16日(日)まで1か月にわたって繰り広げられる有料・無料約150の公演を、桜とともに心待ちにしよう!取材・文:宮本明
2016年10月26日傑作推理劇『スルース~探偵~』が11~12月に上演される。最後の最後まで何が真実かわからない、男と男の化かしあいが描かれる本作。西岡徳馬VS新納慎也の<探偵バージョン>、西岡徳馬VS音尾琢真(TEAM NACS)の<スルースバージョン>というWキャストで、深作健太が演出を務める。舞台『スルース~探偵~』チケット情報西岡徳馬と音尾琢真が作品の魅力を語った。1970年に初演され、72年にはローレンス・オリヴィエとマイケル・ケインで映画化。2007年の再映画化ではケインがオリヴィエの役を演じ、ジュード・ロウと共演した。日本では劇団四季が73年に初演し、今も再演を繰り返している。音尾は「映画を2作とも観て、いつかやりたいと思っていました。時間がない中でのオファーでしたが、この作品ならどうにかしてやりたくて」と出演を喜ぶ。西岡も「文学座に入って1、2年目の頃にオンタイムで映画を観て、衝撃的で憧れた。僕もいつかやりたいって言って、以前、話を持っていったこともあるんですけど、そのときは版権の問題でできなかった。もうだめかと思っていたところでこの話をいただいて。これはもう…本当に僕の代表作にしたい。その意気込みで向かわせてもらいます。演劇史に残すつもりで、過去にないくらいの興奮と意気込みを持ってぶち当たろうとしています」と熱く語る。物語は、ミステリー作家のアンドリュー(西岡)が、妻の愛人であるマイロ(音尾/新納)を呼び出すところから始まる。マイロにとある提案をするアンドリュー。マイロはその筋書きどおりに珍妙な手順で宝石を盗むが――。音尾は「ホンに向き合うこと、そして目の前の西岡さんと向き合うことに終始して新しいものを作っていきたい。西岡さんは、僕の一言が変わればそこに返してくれる、そんな素晴らしい俳優さん。その胸に飛び込んでいきます」。対して西岡は「芝居はキャッチボールだから、相手役で全然違う形になるのは当然。どれだけふたりで練れるかが勝負になってくる。ふたりの評判のよさは知ってるから、どういう風にやってくるかなってワクワクしていけばいいんですよ」と懐の深さを見せる。「『探偵役?』って言われるんですけど、探偵は出てこないんですよね」と音尾が話すと、西岡から名言が生まれた。「スルース(=探偵)はお客様です!」。年末の劇場で、男たちの真実と嘘を見破る“スルース”として過ごしてみるのはいかが?公演は、新納が出演する<探偵バージョン>が11月25日(金)から12月11日(日)まで、音尾が出演する<スルースバージョン>が12月17日(土)から28日(水)まで、東京・新国立劇場 小劇場にて。なお、チケットぴあでは東京公演のインターネット先着先行「座席選択プリセール」を受付中。取材・文:中川實穗
2016年10月26日2015年に、市川海老蔵と中村獅童が出演した「六本木歌舞伎」。その第1作『地球投五郎宇宙荒事』(宮藤官九郎書き下ろし)に続き、第2弾の上演が決定した。演出は前作に続き“日本一忙しい映画監督”の異名をとる鬼才・三池崇史、脚本は多才な肩書を持ち、超売れっ子マルチタレントのリリー・フランキー。演目は三池崇史が一度舞台で演出をしている『座頭市』。「海老蔵の代名詞とも言える眼力を封印」してしまうという三池らしい趣向にあふれた作品だ。六本木歌舞伎 チケット情報さらに三池からの熱望により、寺島しのぶの出演が決定。歌舞伎界を牽引する海老蔵と、日本を代表する女優 寺島しのぶ。平成7年の新派特別公演以来22年ぶりの共演となる。それぞれの強い個性がぶつかり合う豪華な顔合わせに期待がかかる。以下、出演者からのコメント。●市川海老蔵(出演)三池監督とは映画で以前からご一緒させていただいておりますが、二年前の六本木歌舞伎で初めて歌舞伎公演での演出もして頂き、私自身、新鮮な気持ちで取り組ませていただきました。今回テーマの座頭市は、勘三郎さんが勝新太郎さんと座頭市についてお話されたことを教えてくださり、その印象が強烈だったのでいつか自分もしてみたいと思っていました。そして、今回初めてご一緒させて頂きますが、脚本はリリー・フランキーさん。どのような変化球が来くるのか楽しみです。こちらも準備をしておかないと、と思っています。そして、何と言っても幼馴染みのしのぶさんが六本木歌舞伎に参加してくださり、共演出来る喜びがとても大きいです。私も精一杯勤めさせて頂きますので、どうぞよろしくお願いいたします。●寺島しのぶ (出演)リリーさんが書いて三池さんが作り海老蔵さんと久しぶりにお芝居できることを楽しみにしております。リリーさんにはリリータイムがあっていつ台本が出来上がってくるのかスリルにあふれていますが当て書きをしてくださるとのことなので楽しみです。みんなでいろんな知恵を振り絞って最高のエンターテイメントにしたいと思います。●リリー・フランキー (脚本)市川海老蔵の座頭市。演出、三池崇史。六本木歌舞伎。そして、寺島しのぶ。こんな傾き(かぶき)まくった歌舞伎がおもしろくないはずがない。まだ、脚本を書いていない私が思うのだから、間違いない。●三池崇史 (演出)歌舞伎の超人たちと六本木で暴れることになろうとは…。しかも『座頭市』。心して臨みます。楽しみにお待ち下さい。六本木歌舞伎 『座頭市(仮)』は、2017年2月4日(土)から2月20日(月)まで東京・EX THEATER ROPPONGIにて上演。チケットぴあでは、10月26日(水)昼12時よりWEB先着先行「プリセール」を受付。
2016年10月25日劇団スーパー・エキセントリック・シアター(SET)の、第54回本公演『土九六(どくろ)村へようこそ』が、10月21日に開幕した。SET『土九六村へようこそ』チケット情報前日の囲み取材で座長の三宅裕司が「今回はSET初期の頃のような、社会的なテーマを笑いと音楽、アクションで楽しく観られるようにしたというような作品です。昔はそういう作品ばかりやっていました」と、本作について解説した。物語は、東京から数百キロ離れた土九六村が舞台。村立30周年のお祭りの真っ最中だが、村長・吉蔵(三宅)のひとり娘であるお龍(西郷みゆき)たちの世代は、村の神様「ドクロ様」の存在に違和感を覚え、親世代とぶつかっている。秘密を抱え、歯切れの悪い反論しかできない親世代。そんな村に、移動型ミュージカル劇団「放浪座」がやってくる。その団長兼演出家のヒロ(小倉久寛)やメインボーカルで息子のアツシ(大竹浩一)は、とある目的で訪れていた――。ミュージカル劇団による歌とダンスや、村人たちのコミカルなやり取りなど、劇中にはハイクオリティーなダンス、歌、アクション、笑いがたっぷりで、ストーリーもわかりやすい。特に三宅と小倉の軽妙なやり取りに観客は爆笑。ふたりのシーンになると客席の温度も上がるようだった。今作はゲストを招かず、劇団員のみで作り上げた。それについて三宅は「僕が65歳で小倉ももうすぐ62歳。SETを残していくためには若手に頑張ってもらわないと困るし、三宅・小倉なしでも人気劇団として成長していきたい。若手にとにかくたくさんギャグを背負わせて、役を与えて、生のお客さんの中での笑い作りを経験させたいと思いました」と、大竹や西郷をはじめ若手の活躍シーンも多い。共に芝居をする小倉は、「周りで若い劇団員が上手に踊ってくれますので、なんか『踊れてるのかな』って勘違いしちゃうんですよね」と、今作でのダンスシーンについて言及。役名からも連想できるあのグループ風のダンスは小倉の見せ場のひとつとなっている。三宅「“ミュージカル・アクション・コメディー”で誰が観ても楽しいお芝居です。今回はテーマをグンと前に押し出してますけれども、初めてお芝居を観る方でも楽しく観られる優しいお芝居になっています。前知識なしでフラッと観に来ていただいて楽しめると思います。お待ちしております!」小倉「僕も踊りますので、ドキドキしたい方はぜひお越しくださいませ」公演は、11月6日(日)まで東京・サンシャイン劇場にて、11月11日(金)・12日(土)に愛知・穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホールにて上演。取材・文:中川實穗
2016年10月25日ウィーン国立歌劇場2016年日本公演最初の演目《ナクソス島のアリアドネ》(リヒャルト・シュトラウス)の初日を翌日に控えた10月24日。出演者らが顔を揃えた開幕会見が、公演会場の東京文化会館で行なわれた。ウィーン国立歌劇場 来日公演 チケット情報ドミニク・マイヤー劇場総裁が「現在あるオペラの中で最も美しいオペラ」と語る《ナクソス島のアリアドネ》だが、歌手には高度な実力が要求される作品だ。既報のように、出演予定だったヨハン・ボータ急逝(9月8日)の悲報を受け、急遽バッカス役に起用されたのはステファン・グールド。つい先日まで新国立劇場の《ワルキューレ》でジークムントを歌っていた彼は、その後10月22日に台湾でマーラーの《大地の歌》を歌ったあとにトンボ返り。23日早朝に羽田に到着したその足で総稽古に直行した。バッカス役は「十分に歌えるテノールは世界に数人だけ」(指揮者マレク・ヤノフスキ)という難役だが、心配は無用。2012年にウィーンで新制作された今回のプロダクションの初演キャストがグールドだったのだ。「悲しい理由で戻ってきた。偉大な友人に代わりはいない」と弔意を表したうえで、「オリジナルは自分。よく知っているプロダクションなのでいつものように歌いたい」と自信を語った。会見には他の主要キャストも出席。音域の広い題名役アリアドネを歌うグン=ブリット・バークミン。難易度の高いコロラトゥーラの技法とカンタービレが要求されるツェルビネッタ役のダニエラ・ファリー。ズボン役の作曲家は、初来日のステファニー・ハウツィール。ヤノフスキはリハーサルに大いに手応えを感じたようで、「みんな、明日の初日まで病気にならないでほしい」と会場を笑わせた。そのヤノフスキといえば、「演出ありきの傾向に嫌気がさした」と1990年代以降はオペラ劇場と決別し、今年のバイロイト音楽祭で実に久しぶりにピットに復帰した、一家言の持ち主。しかし登場人物の心理描写を大切にする今回のベヒトルフ演出は、「舞台で起こっていることに指揮者が責任を持てる」と、彼の厳しいお眼鏡にも適っている様子。盤石の歌手陣も得て、音楽を尊重した充実の上演が繰り広げられるはずだ。《ナクソス島のアリアドネ》は10月25(火)・28日(金)・30日(日)の3公演。日本公演はそのあと11月6(日)・9日(水)・12日(土)《ワルキューレ》(東京文化会館 大ホール)、10日(木)・13日(日)・15日(火)《フィガロの結婚》(神奈川県民ホール 大ホール)と続く。取材・文:宮本 明
2016年10月25日手塚治虫文化賞を受賞した島田虎之介による人気漫画を原作に、多彩なキャストが集結した<音楽劇『ダニー・ボーイズ』~いつも笑顔で歌を~>。真田佑馬、水田航生のタッグでも話題だが、ふたりを支えるのが剣幸、悠未ひろ、AKANE LIVという元宝塚歌劇団の実力派だ。舞台ファンにはうれしい3人の共演、稽古場で話を聞いた。【チケット情報はこちら】作品の主人公は、戦後単身でブロードウェイに渡って活躍した実在の日本人「サトウ・イサオ」をモデルにした「伊藤幸男(イトウサチオ)」だ。本作ではサチオとその仲間が結成したコーラスグループ「ダニー・ボーイズ」を中心に、夢を追った人々の軌跡が描かれていく。物語は時空を超え、劇中劇では往年の名曲が登場する。なかでも「『A列車で行こう』は最高です」(悠未)。「ザ・ミュージカル! というカッコいいシーンもあって、楽しんでいただけると思います」(AKANE)3人がともに、「舞台に生きる者としてリンクする部分が多い」と話すように、歌、そして舞台への情熱が物語を引っ張るようだ。「劇中でサチオの『ハーモニーの幸せはここにしかない』というセリフがあって、音楽を愛している人の言葉だなと、心に刺さりました」(剣)では、3人の役柄は?まず剣は、サチオを取り上げた産婆ツネと往年の大女優の2役、いずれも人生の先輩的役柄だ。悠未は男役を演じる女優役で、劇中劇ではマッカーサーに扮する。「サングラス姿がほんとにかっこいい!」と、剣も絶賛する。そしてAKANEは、日米ハーフのアシスタントディレクター役と、いずれもどこか「自分自身と通じる役柄」だとか。また、宝塚歌劇という故郷を同じくする先輩後輩との共演が互いに支えになるとも。「実は宝塚を目指したきっかけは剣さんで。気持ちがふわふわするくらいうれしいです」(AKANE)主役に挑む真田、水田については、「真摯に作品に向き合って、勘がいいしダンスもさすが。作品を引っ張ってくれています」と、教えてくれた。さらに、剣とベンガル扮する夫婦の愛らしい掛け合い、個性派・柄本時生の達者な演技力など見どころは随所にちりばめられている。「観終わって、お客様がジーンと温かい気持ちになって下さったら嬉しいです」(AKANE)、「音楽でエネルギーを届けたい」(悠未)「好きなことをやっている幸せ感が見どころ。お客様にハッピーになって帰っていただきたいです」(剣)とのメッセージ。舞台への愛がはじける音楽劇となりそうだ。公演は10月26日(水)から29日(土)まで東京・東京国際フォーラム ホールCにて上演。その後、大阪でも上演する。チケットぴあ電話受付にてチケット発売中。詳細はリンク先にて。取材・文:大西美貴
2016年10月21日北尾トロのベストセラーをもとに2012年に上演され、好評を博してから4年。スタッフ・キャストを一新し、新しいストーリーで戻ってきたのが、この『裁判長!ここは懲役4年でどうすか 2016』だ。主演の中村優一に加え、石田晴香、佐藤すみれ(SKE48)などフレッシュな配役のほか、藤田玲や仁藤萌乃ら実力派も顔をそろえた本作。東京・ 全労済ホール/スペース・ゼロで開幕した舞台は、工夫を凝らしたセットに演者の熱演で、約2時間があっという間だ。舞台『裁判長!ここは懲役4年でどうすか 2016』チケット情報駆け出しのノンフィクションライター北尾友弘(中村)は、今日も霞ヶ関裁判所で傍聴に励んでいた。最初は覗き見気分でネタ探しにやってきたものの、裁判官や被告、検事、弁護士が織りなす法廷ドラマにすっかりハマってしまったのだ。傍聴席で顔見知りになった女子大生・勝村日向(石田)や“ダンディさん”こと段田誠(宮原将護)、“グレさん”こと木暮透ら、傍聴の先輩たちにツウな情報を教えてもらいながら、北尾は裁判の面白さを味わっていた。そんなある日、ふとしたことから日向が過去、裁判に関わっていたことを知り……。三方を客席で囲まれた法廷のセットをメインに、物語は主人公である北尾の視点で展開。難しい法廷用語も、多彩な裁判のケースとダンディさんらの解説で自然と理解できる仕掛けだ。中村は、ウラオモテのない性格だが少々頼りない駆け出しのライターを素直に演じて好演。覗き見気分で始めた傍聴が、次第に自分自身を振り返るきっかけになる過程を無理なく見せる。またトラウマをもつ日向役の石田は、可憐なたたずまいに明瞭な滑舌が印象的。緊迫感の続く舞台でホッとする存在だ。クライマックスは、乖離性同一性障害(多重人格)をもつ橘秋介(藤田)と、妹・春子(仁藤/佐藤とダブルキャスト)の公判だろう。尺は短いものの、演技派の藤田と仁藤の熱演で、事件に至らざるを得ない人間の愚かさや切なさがしっかりと伝わってくる。また、人情派の小田島裁判長(嶋村太一)、実直そうな田村弁護士(西嶌亮)、一見冴えない弁護士の浅野(浅倉一男)らが個性を表すことで、裁判の駆け引きの面白さが浮き彫りに。なかでも、クールで無表情な市原検察官役・水木ゆうなが、言い逃れをしようとする被告人に内なる炎を燃え上がらせるシーンは、胸がスッとした。機械的に進むのではなく、あくまで有機的に決着を探るのが裁判と知り、思わず傍聴を経験したくなる1本となった。公演は10月23日(日)まで。取材・文佐藤さくら
2016年10月21日俳優の大倉孝二と劇作家・演出家のブルー&スカイによる演劇コンビネーション「ジョンソン&ジャクソン」による最新作『夜にて』が10月20日渋谷・CBGKシブゲキ!!にて開幕した。ジョンソン&ジャクソン チケット情報2012年ナイロン100℃の番外公演として『持ち主、登場』を上演し、2014年には正式な演劇コンビネーションとして立ち上がった「ジョンソン&ジャクソン」。今回、大倉孝二とブルー&スカイが共同で執筆・演出をおこなうこのユニットに、演劇界の実力派とともに、ヒロインには映画や舞台でも幅広く活躍中の佐津川愛美が参加した。物語は、飛鼠山(とびねずみやま)の麓にある温泉街、黒帳(くろとばり)温泉郷の鄙びたスナックが舞台。因習めいた不気味さが漂うその街にあるスナックのママ(佐藤真弓)、ホステスの加奈(菊池明明)、そして刑事の東屋(大堀こういち)。そこに、何者かに襲われ怪我を負ったライターの調(しらべ・大倉孝二)が、医者の犬塚(ブルー&スカイ)に連れられて来る。5年前に黒帳で起こった事件を調べていたが、黒い影に襲われ金も荷物も奪われた。そんな調に、旅館の若女将月子(佐津川愛美)は宿の寝床を提供するが、いつしかそんなふたりの間に恋模様が芽生えてゆく。だが、ふたりの間に町を牛耳る竜一(鎌田順也)が現れ、知らず知らずのうちに調は、渦中に引きずり込まれてゆく。会話の一つ一つに、バカバカしさが織り込まれ、時に失笑、時に大笑いしている間に、気づけば、サスペンスの物語の行方が気になりハラハラしている……という「バカバカしさ」と「ハラハラ感」と、そして「キュン」もある、不思議な感触の作品に仕上がった。大倉は「ジョンソン&ジャクソン」シリーズでは今回が初主演。強烈な住人達の中に放り込まれたよそ者・調が翻弄され右往左往する姿は、どこか愛嬌もあり、この先彼がどうなってしまうのか観ている側もハラハラさせられる。「ジョンソン&ジャクソンという得体の知れない面白さにハマりつつある役者として、おふたりの信じる世界についていきます!」と語るヒロインの佐津川は、清純なビジュアルを最大限に生かし、謎を秘めた旅館の若女将を好演。初日に向けてそれぞれ、「この秋、本当に沢山の芝居が上演される中、我々のを選んでもらうのは中々、困難なことだと思いますが、何の意味もない、くだらないものが好きならば是非、『夜にて』を!「何なんだよ!」と思ってもらえるはず」(大倉)、「意味のないくだらない演劇というか、「意味のなさ」「くだらなさ」をテーマにした演劇だと思っています。そういうのを好きな人が少ないと噂を聞くので、これをきっかけに数人増えてほしいと思います」(ブルー&スカイ)とコメントを寄せた。デタラメに笑いながら、謎解きも楽しめるあっと言う間の2時間、約240名の劇場、密な空間で、実力派の俳優達による生の芝居を堪能してほしい。公演は10月30日(日)まで渋谷・CBGKシブゲキ!!で上演中。その後11月、盛岡、いわきでも公演。
2016年10月21日昨年、映画『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』をオーケストラの生演奏で楽しむ『ディズニー・イン・コンサート』で美声を披露したジャック・スケリントン役のダニー・エルフマンが、再び帰ってくる。明日、10月22日(土)・23日(日)に『ティム・バートン&ダニー・エルフマンのハロウィーン・コンサート』が東京・東京国際フォーラム ホールAで開催。20日には都内某所でリハーサルが行われた。【チケット情報はこちら】今回のコンサートは、ティム・バートン監督とダニーがタッグを組んだ全15作品を総勢130人のオーケストラとコーラスで生演奏するコンサート。2014年に日本でも開催されたコンサートの再演で、前回同様にジョン・マウチェリが指揮を務め、東京フィルハーモニー交響楽団が演奏、洗足フレッシュマン・シンガーズ/NHK東京児童合唱団がコーラスを担当する。また、スペシャルゲストとして、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』でサリーの吹き替えをした土居裕子も出演し『サリーの歌』を披露する。この日が初のリハーサル。コンサートをリードするジョンは、「また来日できてうれしい」と久しぶりの再会に笑顔で挨拶。その表情からも、同じ顔合わせで開催できることを心待ちにしている様子がうかがえた。今年、スペインのバルセロナでも同内容のコンサートを行ったジョンは、楽譜を見ながら手早く且つ丁寧に各楽器に指示を与えていく。身振り手振りで演奏の盛り上がりを全身で表現し、メロディを口ずさみながら演奏に入るタイミングなどを指導するジョンは、実に楽しそう。『チャーリーとチョコレート工場』や『ピーウィーの大冒険』の演奏で自分の指示に適格に応えるオーケストラの面々に、ジョンは満足な表情で返す。演奏と手直しを繰り返し、次第に熱が帯びてくると、楽曲はカラフルに生き生きと生まれ変わっていった。コンサートと同様に、会場にはモニターが用意され、実際に流れる映像とともにリハーサルは行われた。映画の象徴的なシーンと、ティム・バートンが作品製作時に手描きしたスケッチなどをつなぎ合わせた特別編集映像は、『シザーハンズ』や『フランケンウィニー』などの作品を一層深く味わうことができるはずだ。2日間のリハーサルを終えると、東京国際フォーラム ホールAでのゲネプロを経て、本番を迎える。『ティム・バートン&ダニー・エルフマンのハロウィーン・コンサート』は、10月22日(土)・23日(日)開催。チケット発売中。取材・文:門 宏
2016年10月21日10月15日(土) 池袋RUIDO K3を舞台に、アイドルからシンガーソングライターに転進した井上紗希の初主催ライブが開催された。過去にはSO.ON projectやTokyo Cheer2 Partyの4期生メンバーとしてアイドル活動を行ってきた井上紗希。卒業後は、シンガーソングライターへ表現のスタイルをシフト。ソロ活動と平行する形のもと、secondrateのメンバー(Vo&G)としてバンド活動も行っている。【チケット情報はこちら】井上紗希は、ライブハウスと同時に路上でも積極的にライブ活動を実施。今年5月に行った初のワンマンライブでは250人を動員。今回、自身初の主催ライブは、井上紗希のライブはもちろん、secondrate、酒井大輝、PARIS ON THE CITYが出演しイベントに華を添えた。ライブは、井上紗希のアコギのストロークをリードに幕を開けた。冒頭を飾ったのは、彼女自身の姿や心模様が等身大で響いた『可愛い人になりたい』。続く『one heart』はアコギの弾き語りからスタート。彼女の切々とした歌声へ、演奏陣が優しく寄り添ってゆく。そして、今にも壊れそうな歌声を場内に響かせるように、心を泣き濡らすバラード『なんてね』を披露。続いて、バクバクとした片思いの恋心を、胸に秘めた本音の感情を、彼女はときめいた想いと一緒に『りとるがーる』に乗せ届けてきた。「KISSがしたいのに」と願う少女の気持ちから見えてきたのは、青春という言葉がピッタリなティーンズの妄想した恋心。最後は、会場中の人たちとタオルを振まわし無邪気にはしゃいだ『ヒーロー』を披露。熱狂を描きながらライブは終了するも、止まぬアンコールの声に導かれ、ふたたび舞台に姿を現した。「誰も友達がいない中ひとりで上京した私にとって、ファンの人たちは東京の家族みたいな存在なんです」と語り、『手紙』『幸せの基準~頑張ってる人へ~』の2曲を演奏した。井上紗希の歌は、何時だって触れた人の心に光を灯してくれる。その電池が切れそうになったら、また彼女のライブに触れ、充電していけばいい。彼女もまた、ファンの人たちと触れ合うことで心に光を灯し続けている。取材・文:長澤智典
2016年10月21日宮藤官九郎作、いのうえひでのり演出の劇団☆新感線最新作『Vamp Bamboo Burn~ヴァン!バン!バーン!~』が10月19日、大阪のフェスティバルホールで開幕した。平安時代の吸血鬼(生田斗真)がビジュアル系バンドのヴォーカリストとして現代に蘇り、愛するかぐや姫の生まれ変わりを探し求める時空を超えた物語。2016年劇団☆新感線夏秋興行 SHINKANSEN☆RX 「Vamp Bamboo Burn~ヴァン!バン!バーン!~」チケット情報体操競技の床に例えるなら、助走して捻って回って踏み切って、パーンと空中で大技を決めた瞬間パカッと「どこでもドア」が開き、着地後にはまったく別世界が広がっていた、というような。文字通り予測不可能な展開なのだ。物語は海外のB級ホラー、特撮、SF、時代劇、Vシネマ、純愛…など複数の映画をザッピングしながら、同時にテレビやCMもチェックするような感覚。「帰ってきたぜ、オオサカー!」の掛け声に、観客も総立ちで応える音楽フェスタイムまで盛り込まれ、盆と正月をいっぺんに味わうような気分。そんな縦横無尽な脚本を舞台化したいのうえ演出は、まるでマジックでも見るようで。映像や照明、舞台装置を効果的に駆使し、ダイナミックに観客を劇世界へと誘っていく。芸達者な劇団員らは、宮藤の視点でより灰汁を煮詰めたようなキャラ付けが一周回って新鮮にも感じられ、何より豪華ゲスト陣が破天荒な役柄を存分に楽しんでいる様子が一層お祭りムードを盛り上げる。効果音に合わせ変顔も厭わない生田だが、ここぞの場面では、心底かっこいい!と見惚れてしまう、人目を惹く美貌は本物。ヒロインの小池栄子は、人知を越えた役柄を体当たりで演じる、硬軟自在な手数の多さに舌を巻く。同じく、カメレオン的活躍で複雑な設定と役柄に説得力を持たせる中村倫也。妖艶さを湛えた視線で観客の心を射抜き、抜群の演技力で物語を牽引していく、もう一人の主役と呼びたい存在だ。さらに、妖しくもキュートな魅力でファンタジー要素を担う篠井英介。地元関西が生んだアイドルグループ、ジャニーズWESTの神ちゃんこと神山智洋は、劇団初参加にして大健闘。登場の度に爆笑をさらい、本領発揮のダンスも披露。限られた場面にもばっちり爪痕を残している。かくして、見所満載の物語は、劇的な幕切れを迎える。今こそ「千年前から愛してる」の告白が、深く切なく胸に突き刺さる。愛を語る男女の声、視線、佇まい、そしてあの決着の付け方――。いのうえ美学が結実したシビれるほどの光景に、万雷の拍手が沸き起こった。公演は、10月31日(月)まで大阪・フェスティバルホールにて上演中。チケットぴあWEBサイトでは、当日引換券を発売中(※受付は先着順)。取材・文:石橋法子
2016年10月21日旗揚げ20周年を迎えた阿佐ヶ谷スパイダースが、彼らの代表作のひとつ『はたらくおとこ』を12年ぶりに再演する。 女性キャストの北浦愛は今回が初出演となるが、その他は長塚圭史、中山祐一朗、伊達暁の阿佐ヶ谷スパイダースメンバーに加え、池田成志、中村まこと、松村武、池田鉄洋、富岡晃一郎と初演時のメンバーが再集結していることも話題だ。その注目作の上演を前に、作・演出の長塚圭史と出演の池田成志に話を聴いた。阿佐ヶ谷スパイダースPresents『はたらくおとこ』チケット情報「この時期の僕の作品は過激でストーリーも荒唐無稽で、凶暴というか暴走するような展開。そんな作品の真骨頂であり、僕らにとって記念碑的作品である『はたらくおとこ』。その作品を2016年に上演したらどういう反応が返ってくるのかなっていう興味はまずありますね。12年前とは世の中が全く変わっているわけで、ある意味現実の方が追い越している部分もある。それと、有り難いことにお客様からの再演希望が凄い高い作品だったんです。で、キャストも揃って20周年で…。それはもうやるしかないな、と」と笑顔で語る長塚圭史。その傍ら、前回の上演時に精神的にかなり負担があったという池田成志は「最初、この話を聞いた時は『う~ん、やんのか~』って感じ」と苦笑気味。しかも出演者の何人かは、「他の人は皆出ますよ!」という口説き文句で出演OKしたというオマケ付。「巧妙な技に引っかかりました(笑)。でも、12年前のキャストと同じ作品に挑めるって、なかなかない経験。今では楽しみですよ。単なる同窓会的な芝居には絶対できないですしね」と意気込む。ここ最近は、別の演劇ユニット「葛河思潮社」として、三好十郎の戯曲作品の演出に取り組んでいた長塚。その経験を経ての再演は大きな意味を持つと語る。「素晴らしい戯曲に立ち向かって立ち向かって、それでまた自分のこういうところに戻ってくるっていうのは、ワクワクするところではありますね。今、この戯曲を読み返してみると、恥ずかしさもありつつ、なかなか面白い部分があるなとも思えるようになりました。展開の早さだったり、あるいは会話のしつこさだったり。そのバランスが意外と面白い。20代ということもあると思うけど、筆の勢いみたいなものが確実にあって。その作品を、今の自分が、このメンバーで改めてやれる事は凄いことだと思います」(長塚)。「いろいろな贖罪の形があちこちに散りばめられていて、意外に社会性を帯びてる作品。その塩梅をどう見せるか。そして12年と言えば干支がひとまわりするくらいの時間。俺たちよく生き残ってたよな、という奇跡のような感覚と共に、この12年の経験値もうまく出せれば良いですね」(池田)公演は11月3日(木・祝)から20日(日)まで東京・本多劇場、11月23日(水・祝)福岡・キャナルシティ劇場にて。その後、広島、大阪、名古屋、盛岡、仙台を巡演。
2016年10月21日「私自身はずっとこの道を見てきました。この共演はとても大きなことなのです」11月に実現するエルサレム交響楽団との初舞台について、西本智実はその特別な思いを強調した。日本公演に先立つ11月12日には、エルサレム響の本拠地ヘンリー・クラウン・シンフォニーホールを訪れ初の共演を行う。西本智実(指揮)/エルサレム交響楽団 チケット情報「師匠をはじめ、多くのユダヤ系の名音楽家から、私は大きな影響を受けてきました。今まで約30か国で指揮しましたが、その音楽の旅の中でイスラエルは常に“道しるべ”のような存在でした。そして今回ついに、初めてこの国を訪れ、イスラエルを代表するオーケストラとの共演が叶います」会場の近くには有名な世界遺産「岩のドーム」がそびえ立つ。首都エルサレムは、ユダヤ教、イスラム教、キリスト教全ての聖地としても知られている。「ここは宗教的にも独特の場所で、その多様な影響をしっかり体験してくるつもりです。現地で感じる空気とか、風とか、そういった言葉にできないものを持ち帰って、日本で聴く人にもイスラエルへの旅を想像していただけるような演奏にしたいです」記念すべき出会いに選ばれた作品は、マーラーの交響曲第5番。彼女が愛して止まない楽曲であると同時に、ユダヤ人マーラーはエルサレム響にとっても特別な存在である。「お互いにとって本当に大切な作品。彼らの持ってる演奏上の“語法”の中で、ある部分では共有したり、逆に化学反応を起こしたりなど、予想を超える体験になりそうでとても楽しみです」今回の日本ツアーも、西本の強い意向で、全10公演のメイン曲は本作のみという。それだけマーラーへの思いは強い。「マーラーの作品については、歌がない場面でも歌曲的というか、“無言歌”のようにも感じます。第5番の有名なアダージェット(第4楽章)は特に隠れたテキストを感じますね」「ただ、綺麗だけでは片付けられないのもマーラー。とにかく感情の振り幅がものすごい。演奏者も心して取り組まないと、精神的にも肉体的にも参ってしまうほどです」「音楽というものは、演奏家だけでは完成せず、聴く人の中に届いて最終完成します。ぜひご来場いただき、一緒に音楽を作り上げましょう」超名曲ドヴォルザークのチェロ協奏曲や、映画「ベニスに死す」のテーマ曲「アダージェット」でおなじみのマーラー第5交響曲など超豪華プログラムの今公演は11月29日(火)東京芸術劇場 コンサートホールにて開催。
2016年10月20日松本りんすと小田祐一郎のコントコンビ、だーりんずが11月20日(日)東京・渋谷のユーロライブで単独ライブ「だーりんず ~ベストネタライブ90分~ 『カツライブ』」を開催する。だーりんず チケット情報伊集院光に1年間限定でカツラを誂えてもらい自信を深めた、だーりんず松本。見事キングオブコント決勝大会進出を果たしたものの、優勝賞金を手にすることはできなかった。そこで、自前でカツラをかぶるためにと、ベストネタをひっさげて単独ライブを敢行。はたして松本は無事、自腹でカツラを維持できるか。あるいは「コントの時、薄毛を見られたくないっばっかりに立ち位置がおかしくなっていた」と伊集院を心配させた時代に逆戻りしてしまうのか。ふたりの命運を左右する単独ライブにご注目を。<だーりんず コメント>■松本りんす「カツライブ」という名前には3つの意味があります。「勝つライブ」「喝ライブ」「カツライブ」。僕がモチベーションとカツラを維持するには、このライブ成功に掛かっています。■小田祐一郎今年は「キングオブコント 2016」決勝に、行かせてもらいました!あのネタをやった僕らが、ラブホテル街のど真ん中で、単独ライブ、やらせてもらいます!!ライブのチケット一般発売は10月29日(土)午前10時より。チケットぴあではインターネット先行を本日20日(木)午後6時より受付。
2016年10月20日FRESH! by AbemaTV&ニコニコ生放送で隔週木曜日に放送されている「アニメぴあちゃんねる」。本日10月20日(木)の放送はゲストに声優の橋本ちなみと、アニソンシンガーのMICHIを迎える。【チケット情報はこちら】橋本は今年10月からスタートしたTVアニメ『Lostorage incited WIXOSS-ロストレイジ インサイテッド ウィクロス-』で穂村すず子役を務めている。また、MICHIは沖縄県出身で、今年の9月に1stアルバム『Sprint for the Dreams』をリリースしている。今回の放送ではレギュラー陣に加え、ゲストのふたりもハロウィン仕様で登場する。番組では、橋本とMICHIがそれぞれのプライベートを写真で公開。飲みに行くのが好きという橋本のプライベートショットや、MICHIが故郷の沖縄へ撮影に行った時の写真など、ふたりの意外な素顔が明かされる。会員放送では、橋本とMICHI、ふたりのデビュー前の写真を公開。ふたりがなぜこの道を志したかについてトークを展開する。そのほか、水泳でジュニアオリンピックに出場するほどの実力だったという橋本の写真や、生徒会に所属していたMICHIの写真など、ふたりの過去について写真で掘り下げる。ゲストを交えたクイズコーナーも実施。「クイズ!5文字ワード!」と題し、答えが5文字の常識問題を出して、それを出演者5人でそれぞれ1文字づつ答える。さらに高野麻里佳、タカオユキ、秦佐和子のレギュラー3人が、どこまで視聴者の気持ちをわかっているか、「アンケート・ランキングクイズ」に挑戦。視聴者に3~4択のアンケートに回答してもらい、その答えのランキングを当てるクイズを行う。■アニメぴあちゃんねる日時:10月20日(木)午後8時~午後10時出演:タカオユキ / 秦佐和子 / 高野麻里佳 / 美濃部達宏ゲスト:橋本ちなみ / MICHI
2016年10月20日前回公演『名なしの侍』で、サンシャイン劇場進出という大きな目標を達成した劇団鹿殺し。そんな彼らが次の一手として選んだのは、2003年に上演した初期作品のリバイバル。じつはこの作品、劇団員・オレノグラフィティにとっては非常に思い出深いもの。劇団鹿殺し チケット情報「僕が劇団鹿殺しを観て“初めて衝撃を受けた作品”なんです。高校演劇仲間の繋がりで1つ前の公演も観てたんですけど、それは『やりたいことはわかるけど情熱のかけかたが間違ってる』感じで(笑)。でもこの『image~』は本当に衝撃を受けて、それがきっかけで入団を決めました」(オレノ)その作品は、彼の言葉を借りれば「今の鹿殺し作品より、お客に対して(作品が)“暴力的”で“乱暴”」。しかしそれは言い換えれば、荒削りかつプリミティブなパワーでもあったということ。そんな作品を13年を経て再び上演するにあたり、劇団が迎えたゲストは「虚構の劇団」の小沢道成。実は鹿殺しには初出演となるものの、オレノと小沢は虚構の劇団にオレノが客演したり、小沢が主宰する演劇プロジェクト「EPOCH MAN」にオレノが音楽で参加したりと、ここ数年で密に交流を重ねてきた間柄。「いつか絶対に劇団公演に出て欲しいと思っていたので。ようや実現しました」(オレノ)「(作家の)丸尾丸一郎さんも舞台で共演してるし、演出の菜月チョビさんも何度も話してるし。なんだか初めて飛び込む現場という感じではないんだけど、でも劇団での皆さんは初めて。そこはどうなるんだろう、と」(小沢)「なんかあったら言ってね。劇団での俺ら、全然違うから(笑)」(オレノ)彼らが思うお互いの共通点は「演劇が好き」ということ。「どれだけ純粋に好きか、一緒にものづくりをやってるとそれはわかるんですよね。そして僕も『演劇が好き』な人が好き。その熱意は劇団でも変わらないんじゃないかな、と思うので、そこは信頼してます」(小沢)「でも僕は同じことをミッチー(小沢)に思うんですよ。この人演劇好きだなあ、と」(オレノ)しかしながら初参加の作品が、近年の鹿殺し作品とは違った傾向ということで……。「ビジュアル撮影の時点で、こうなるとは予想もしてなかったというか(笑)。まだ稽古に入ってないというのもあるけど、まったくどういう作品になるのか想像がつかないかも。ただ、確実に自分にとって得るものは多いはずだから、そこは楽しみかなと」(小沢)「タイトルの『image』は『想像せよ』という意味。お客様のイメージと演者のイメージが合致した時に凄いものが生まれる、と、そういうメッセージが込められてます」(オレノ)鹿殺しが新たに挑む“原点回帰”、そのパワーは近年の小劇場作品では感じられない快楽を与えてくれるかもしれない。11月23日(水・祝)から東京・駅前劇場にて。チケット発売中。取材・文:川口有紀
2016年10月20日ポップスとオペラの歌唱を融合させた“ポップオペラ”の第一人者、藤澤ノリマサ。今年は織田信成、荒川静香らが出演するアイスショー『Fantasy on Ice 2016』で、フィギュアスケートとのコラボレーションに挑戦。8月には4年ぶりとなるオリジナルフルアルバム『MESSAGE』をリリースし、現在は11月16日(水)の新潟まで続く全国ツアー『藤澤ノリマサ CONCERT TOUR 2016』の真っ最中。【チケット情報はこちら】「今回のツアーは、ピアノ、ギター、パーカッションという初のアコースティック3ピースをバックに、歌をじっくり聴いて頂けるスタイルで行っていますが、12月の『Xmas with you』コンサートでは、いつも通りバンド編成でやる予定」というように、全国ツアーが終わるとすぐに、クリスマス・コンサートが控える。編成だけでなく、クリスマスならではの構想も。「昨年歌った、高橋真梨子さんの『for you』の評判がよかったので、昭和の名曲や日本のスタンダード、クリスマスの名曲みたいなものをカバーしようかと思っています。暖かで、クリスマスにピッタリなコンサートを目指しているのですが……」と、選曲に頭を悩ませているところ。クラシック界の12月の風物詩といえばベートーヴェンの『第九』だが、彼の代表曲『希望の歌~交響曲第九番~』はこの曲をモチーフにしたものだ。「年末だけではなく、僕は1年中歌ってますけど(笑)。サビの部分をみなさん一緒に歌ってくださるのが毎回楽しみ」というが、もうひとつ楽しみにしているのが、久々となるオーチャードホールでの公演だそう。「僕にとって特別な場所なんです。長年、オペラからTOTOといったバンドまで見ていますが、独特の雰囲気があるし、音響も素晴らしい会場。憧れの場所だったので、2013年、僕の5周年コンサートで初めてステージに上がったときは、すごく緊張しました。静寂のあとの拍手が爆発するような感じだったのを覚えています。また、あの場所で歌えるのがうれしい。あるファンの方に“フェイクの王様になってください”っていわれたんです。その場の雰囲気で自由に変わるフェイク。オーチャードホールに、どういう舞台の神様がいるかわからないけど、オーチャードらしいフェイクを楽しんでみたいですね」『藤澤ノリマサCONCERT2016~Xmas with you~Vol.2』は、12月2日(金)大阪・森ノ宮ピロティホール、16日(金)東京・Bunkamuraオーチャードホール、24日(土) 北海道・道新ホールで開催。チケットは発売中。取材・文:坂本ゆかり
2016年10月19日梅棒 6th OPUS『GLOVER -グラバー-』が、10月15日に東京グローブ座で開幕した。今作では、大貫勇輔、梅田彩佳、松浦司(Shya7)らをゲストに迎え、シェイクスピア「ロミオとジュリエット」をベースに “ダンス×J-POP×演劇”という独自のスタイルで上演する。梅棒 6th OPUS『GLOVER』チケット情報劇場に入り、まず圧倒されたのは美術。むき出しの鉄骨とそこに植物のように這う管、そして植物が天井を覆い、これから始まる『GLOVER -グラバー-』のスケールの大きさを予感させる。この美術、劇中では照明によってもさまざまに印象が変わっていた。梅棒の舞台は基本的に台詞がない。出演者のダンス、芝居、曲(J-POP)の歌詞で物語を表現するのが独特のスタイルだ。台詞がなくても、物語の軸となる大貫演じるロメオと梅田演じるジュリエッタの恋模様はもちろん、その周囲の登場人物たちの心の機微までしっかり伝わってくる。今作ではやや複雑な設定もあったが、そこのわかりにくさもなかった。それは衣裳などの視覚的な要素もあるし、キャスト達のダンスや演技、そして演出によるものだろう。「台詞がない」ということが逆に、舞台を豊かにしているように感じた。加えて面白かったのは、今まで何度も聴いてきたであろうJ-POPが梅棒の舞台で聴くと「こんなにいい曲だったのか」と感じることだ。それはストーリーに乗って心情にピタリとリンクしていることや、魅力的なダンスと合わさっていることもあるだろうが、この独特な表現方法の舞台を受け止めているうちに観客の感受性も全開になっているからではないかと思う。バラバラなミュージシャンの曲を使いながら観客の集中力を途切れさせないのも、細部まで世界観を作り込んでいるから。もちろんダンスは一番の見どころだ。物語に沿って、アニメーションダンスやブレイクダンスなどさまざまなジャンルのダンス、さらにダンサーならではの美しい殺陣などが次々と観られる贅沢さは、梅棒ならでは。中でもやはり世界を舞台に活躍する大貫の技術には圧倒された。その高い身体能力を敢えて無駄遣いする、梅棒の舞台だからこそ見られるシーンなども楽しく、のびのびとした大貫の姿が印象的だった。そして梅田はこの舞台の華。少しずつ恋を学んでいくジュリエッタの愛らしさや透明感は、梅田でなければ成り立たないと感じるほど。梅田がダンスすると自然と目が引き付けられる、そんな魅力がある。その個性的なゲストたちをひとつの作品の上でつないでいく梅棒メンバーの存在も強く感じられる舞台だった。公演は、10月23日(日)まで東京グローブ座、10月25日(火)から27日(木)まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて。取材・文:中川實穗
2016年10月19日