チケットぴあがお届けする新着記事一覧 (19/342)
2018年のトニー賞10部門を制したミュージカル『バンズ・ヴィジット』の日本版初演が2023年2月7日(火)から日生劇場で開幕。初日を前にした6日(月)、プレスコールと会見が行われた。ミュージカルエジプトのアレクサンドリア警察音楽隊がイスラエルの空港に到着するところから物語は始まる。彼らはペタハ・ティクヴァのアラブ文化センターで演奏するようにと招かれたのだが、いくら待っても迎えが来ない。楽隊長のトゥフィーク(風間杜夫)は自力で目的地に行こうとするが、若い楽隊員のカーレド(新納慎也)が間違えたのか、彼らの乗ったバスは、目的地と一字違いのベイト・ハティクヴァという辺境の町に到着してしまう。一行は街の食堂を訪れるが、もうその日はバスがない。演奏会は翌日の夕方。食堂の女主人・ディナ(濱田めぐみ)は、どこよりも退屈なこの街にはホテルもないので、自分の家と常連客イツィク(矢崎広)の家、従業員パピ(永田崇人)と店に分散して泊まるように勧めて──。国も宗教も文化も違う、遠い隣の国であるエジプトとイスラエル。たった一晩、二つの民族が日常の中で交わり、溶け合っていく。ストーリー上、何も大きな出来事はない。それでも場面場面で感情が動かされ、旅先で出会った見知らぬ人と通じ合った日々を懐かしく思ったし、観劇後は長い旅を終えたような高揚感と切なさを感じた。本作の最大の魅力はやはり音楽。警察音楽隊が芝居をしながら舞台上で生演奏を繰り広げるのだが、いわゆる歌唱曲以外にも、場面転換の際に流れる音楽もしっかり聴かせる演出。民族音楽やジャズ、即興演奏を得意とするヴァイオリニストの太田惠資、サックス・クラリネット奏者としてフリー ジャズを中心に幅広い分野の第一線で活躍する梅津和時ら、錚々たるミュージシャンが奏でる音楽にぜひ酔いしれてほしい。トゥフィークを演じる風間杜夫は「いっときも早くお客様の前で演じたい。緊張感もありますけど、初日の幕が開くことを楽しみにしております」と挨拶。ディナ役の濱田めぐみは、本作の楽曲の見どころを問われた際、「稽古場で初めて楽隊の音色を聞いたとき、みんなから拍手が沸き起こった」と生バンドの魅力を伝えつつ、「楽曲は素晴らしいのですが、歌い手側はものすごく難易度が高い。今までやった演目の中でトップクラスで稽古を重ねたぐらいメロディが難しかった」。カーレドを演じる新納慎也。実際にブロードウェイで本作を観た経験がある新納は「あまりミュージカルでは聞いたことない中東の音楽にすっかり心奪われて、すごく癒された」と当時を振り返りつつ、「(日本版の)この真っ赤なセットには驚きました。衝撃的なセットの中で、とても繊細な人々の日常の物語が繰り広げられます。日本人の琴線に触れる演出なのでは」などと話していた。東京公演は2月23日(木・祝)まで。その後、大阪・愛知にて上演。取材・文・撮影:五月女菜穂
2023年02月07日トニー賞6部門とグラミー賞2部門を受賞、2006年にはビヨンセ主演で映画化され大ヒットと、ミュージカル史に輝かしい足跡を残す『ドリームガールズ』。初の「日本オリジナルキャスト版」が2月5日(日)、東京国際フォーラムで幕を開けた。主演は、圧倒的な歌唱力で宝塚歌劇団退団後も話題作に出演が続く望海風斗。さらに福原みほと村川絵梨(Wキャスト)、sara、spi、岡田浩暉、駒田一、内海啓貴、なかねかなら、歌声の豊かさ・表現力共に最強のキャストがそろった。本ニュースでは村川エフィ版のゲネプロの様子をお届けする。1960年代のアメリカ。ディーナ(望海)とエフィ(村川)、ローレル(sara)は、スターになることを夢見てNYにやってくる。コンテストでは優勝できなかったものの、才能を見抜いたカーティス(spi)の手腕で、人気シンガーのジェームズ・“サンダー”・アーリー(岡田)のバックコーラスになった3人。カーティスの強引なやり方にジェームズのマネージャー・マーティが困惑する中、エフィの弟で作曲家のC.C.(内海)と共にヒット曲を連発するディーナたち。だがカーティスがソロデビューの条件として告げたのは、「リードシンガーをエフィではなく美しいディーナに替えること」だった……。望海は都会に出て来たばかりの初々しい様子から、次第にスターの階段を上ってゆくディーナの成長を繊細に表現。真面目な性格だが、いったんステージに立てばまばゆいばかりの存在感を放つディーナ役は、まさにハマり役だ。エフィ役の村川も、歌・芝居共にディーナに一歩も引かない構え。名ナンバー「One Night Only」のシーンをはじめ、陰影ある演技で魅せた。ローレルを演じるsaraもミュージカル界のホープだけに、歌唱力はお墨付き。一番年下の設定ということもあり、弾けるような可愛らしさに目を奪われた。野心のためには汚い手も使うカーティスを魅力たっぷりに演じたspiや、スターの悲哀を鮮やかに浮き彫りにした岡田、プライドに揺れるマネージャーを味わい深く演じた駒田など、男たちの厚みのある佇まいも印象的。作曲家ながらエフィの家族として葛藤するC.C.役の内海、追加メンバーとなるミシェル役のなかねかなまで、全員が圧巻の歌唱力で最後まで駆け抜ける。ショーシーンはもちろん、エフィとカーティスたちが口論するナンバーなども思わず引き込まれて息つく暇もないほどだ。演出は、劇団俳優座の演出家で、外部作品でも丁寧な人物造型が高い評価を得ている眞鍋卓嗣。本作では舞台上に一段高くなった「盆」(回り舞台)を設置し、時には「ステージ」に見立てて、「Dreamgirls」など名曲のショーシーンをたたみかけるように見せてゆく。次々と着替える(舞台上での早替りも!)ディーナたちの華やかなドレス(衣裳:有村淳)にも注目だ。回る「盆」は、きらめく音楽が現れては消えてゆくターンテーブルのよう。エンタメ界の光と影を映し出す『ドリームガールズ』ならではの演出と感じた。取材・文/藤野さくら
2023年02月07日人気の演劇ユニット“地球ゴージャス”を率い、自ら作・演出を手掛ける岸谷五朗が、14年ぶりに外部の舞台で主演する。作品は『焼肉ドラゴン』などで知られる鄭義信(チョン・ウィシン)の作・演出による音楽劇『歌うシャイロック』。シェイクスピアの傑作『ヴェニスの商人』の高利貸しシャイロックを物語の中心に据えて再構成、さらにそれを全編関西弁で贈るというノンストップエンターテインメントだ。鄭は、岸谷の出世作となった映画『月はどっちに出ている』(1993年)で、崔洋一監督と共に脚本を担当した時からの「主演俳優と作家という付き合い」(岸谷)。共に演劇畑にいながら「こんなタッグの形は初めて」と楽しみながら稽古開始を待つ岸谷が来阪、作品の魅力や意気込みを語った。「歌うシャイロック」 チケット情報演出では『キンキーブーツ』など“地球ゴージャス”以外の作品も手掛けている岸谷だが、俳優として舞台で主演するのは2008年の祝祭音楽劇『トゥーランドット』以来。この2年間で4作品に関わる多忙な中「ラッキーにもこの期間にお話をいただき『やっとできる!』という感じでした。役者だけで出られる幸せって、ほんとにたまんないですね。ドキドキです」と喜びながらも、「3人で苦楽を共にした」崔監督を11月に亡くし「なおさら、この作品を成功させなければという強い意志になりました」。通常は終始悪役のシャイロックだが、今作は目線が違う。「当時のイギリスのユダヤ人への差別と迫害の中を、シャイロックがどう乗り越えていったか。その開き直りと人生に対する憤りがエナジーにつながっている。脚本を読んで、なんてかわいそうな親子なんだろうと。その時代時代にある常識の怖さなど、ただの『ヴェニスの商人』にはない多面的なおもしろさがあって、ウィシンさんらしい、ウィシンさんじゃないと書けない作品だと思います」と魅力を語る。さらに「関西弁にすることで、シェイクスピアが近所のおっちゃんに見えてくるという親近感が作品全体の魅力になり、何倍もおもしろくなっています」。その関西弁は、2003年のNHK連続テレビ小説『てるてる家族』で関西弁のイントネーションを音符にして覚えた特訓が生きた。「シャイロックは悪徳高利貸しなので、言葉が非常に乱暴。ドラマのお父さん役にはなかった関西弁の悪い言葉がいっぱい出てくるのも楽しいですね」。この2年間、自作の大阪公演が中止を余儀なくされてきた岸谷。まだ続くコロナ禍での上演に「我々は作品を作ることが攻撃であり、乗り越えることだと思っています」と力強く語った。公演は2月9日(木)から21日(火)まで京都・南座、2月25日(土)から27日(月)まで福岡・博多座、3月16日(木)から26日(日)まで東京・サンシャイン劇場にて。チケット発売中。取材・文:高橋晴代
2023年02月06日関西のコンサートプロモーター清水音泉が主催する野外ライブイベント『OTODAMA’23~音泉魂~』の出演者が発表された。本イベントは、2005年から2019年まで大阪・泉大津フェニックスで毎年夏に開催されていたが、昨年より時期を春に移し再始動した。今年は、昨年に引き続き5月に同会場での開催となる。日程は、5月3日(水・祝)・4日(木・祝)の2日間。今回出演がアナウンスされたのは、1日目にオレンジスパイニクラブ、KALMA、The Birthday、SIX LOUNGE、帝国喫茶、東京スカパラダイスオーケストラ、怒髪天、ネクライトーキー、フィッシュマンズ、ヤユヨの10組。2日目は、UA、崎山蒼志、ZAZEN BOYS、水曜日のカンパネラ、CHAI、ドレスコーズ、羊文学、真心ブラザーズの8組。詳しくは公式HP()をチェック。追加出演者は2月26日(日)に発表予定。『OTODAMA’23~音泉魂~』日程:5月3日(水・祝)・4日(木・祝)会場:大阪・泉大津フェニックス出演者(五十音順):【3日(水・祝)】オレンジスパイニクラブ/KALMA/The Birthday/SIX LOUNGE/帝国喫茶/東京スカパラダイスオーケストラ/怒髪天/ネクライトーキー/フィッシュマンズ/ヤユヨ/他【4日(木・祝)】UA/崎山蒼志/ZAZEN BOYS/水曜日のカンパネラ/CHAI/ドレスコーズ/羊文学/真心ブラザーズ/他お問い合わせ:清水音泉■06-6357-3666(平日12:00~17:00)
2023年02月06日「WAHAHA本舗」の全体公演「シン・ワハハ」の記者発表イベントが有観客で1月26日に行われた。全体公演の記者発表イベントは毎回、出演者が様々なネタを披露することで知られるが、今回は昨年9月に亡くなったWAHAHA本舗取締役の村井昭彦の“劇団葬”として執り行われ、久本雅美、柴田理恵、劇団主宰の喰始ら、故人と親交のあった面々が数多く出演した。村井は劇団の経理部長であると同時に、全体公演時のキャスト陣の着替え時間を埋めるために誕生した“おやじバンド”のメンバーでもあり、大福神の名でファンにも親しまれてきたが、闘病の末に昨年9月、67歳で逝去した。この日のイベントは、久本と柴田による漫談でスタート! 柴田は着物姿を久本から「内海桂子師匠!」とイジられるも帯の柄が村井が大好きだったという麻雀牌だとアピールし、村井のアテンドでタイ旅行に行ったエピソードなどを明かしていた。イベントでは過去の公演時のおやじバンドの映像も交えつつ、「ローハイド(老年)」、「スタンドバイミー」、「ラバンバ(中途半端)」など、村井がおやじバンドで歌詞をアレンジして歌ったラインナップを村井と親交のあった劇団員や旧メンバーが披露。懐かしい映像や、公演の合間の深夜のバス移動の映像なども流れ、会場は笑いと拍手に包まれた。イベントの最後は、出演者全員がステージに上がって「上を向いて歩こう」、「また逢う日まで」を熱唱。久本が途中で涙をこらえられず、つけまつげを落としてしまうというハプニングも!イベント後には、久本、柴田、梅垣義明、喰らが出席して、6月に開催の全体公演「シン・ワハハ」の記者会見も行なわれた。そもそも、全体公演は2017年の「ラスト3」で最後だったはずだが…。この点に関し、喰は「“シン”というのは『シン・ゴジラ』、『シン・ウルトラマン』などからのあやかり精神。『またインチキだろ?』と取ってもらっていいです。気持ちとしては毎回、最後のつもり」と開き直る。既に刷り上がったチラシでは赤塚不二夫の「天才バカボン」などに登場するカオルちゃんというゲイのキャラクターが据えられているが、喰は赤塚の事務所から「どう使ってもいいというOKをとった」ことを明かし「赤塚歌舞伎をやります!」と宣言。「梅垣がウナギイヌで久本がニャロメ、柴田はバカボンのパパとか…(笑)。まだ何も決まってないけど、過激にチャレンジ精神で恐れずにやりたい」と語った。久本は改めて自身にとってのWAHAHA本舗について「血であり、肉であり、そのもの。なくてはならない修業の場」と語り、柴田も「他の劇団に出演しても、WAHAHAみたいなところってないんです。ひとりだけの考えでは辿り着けない、想像できないものが完成する面白さがある。絶対にやめないです」と愛着を口にしていた。WAHAHA本舗全体公演『シン・ワハハ~NEW WAHAHA~』はなかのZERO(東京)にて、6月22日より25日まで。文:黒豆直樹
2023年02月06日2月10日(金)にフェニーチェ堺で公演を行う、ジャズピアニスト小曽根真率いるビッグ・バンド「No Name Horses」。フェニーチェ堺季刊誌用に行った取材の中から一部を抜粋してお届けします。「小曽根真 スーパー・カルテット Makoto Ozone Super Quartet」チケット情報——全員がそれぞれの楽器で日本トップクラスの奏者、というメンバーを率いていくのは大変では?よくリーダーをやっていられるね、と心配してくれる方もいます(笑)。でもみんな一流だから、僕がアレンジ(した曲)を持っていってもリハーサルでほとんど指示をしたことがない。吹いたら、わかり合えるんですよ。「これやろ?」って。1回譜面を通して吹いてみて、2回目、3回目になったらどんどん曲がシェープアップして行く。どうしてもみんなが迷っているときは「ここはこんな気持ちやで」ということはたまにあるけど、それはおそらく彼らがやったことのない音楽を僕が書いているから。——小曽根さんが持っている場というか、雰囲気の力があればこそできる部分もあるんじゃないですか?作曲中は自分のなかに色んな音が鳴っています。それに対して、メンバーからは違うものが返ってくることがある。それを喜びとするか、「いや、そうではない」と、あくまで自分に聴こえている音だけに固執するのか。たとえばデューク・エリントン楽団は、当時のアメリカの第一線のミュージシャンばかりが集まっていました。必ずしもみんなが譜面に強いわけではないので、間違えて吹くこともある。それをリーダーのエリントンが聴いて、「その音。そっちでいこう」となることがよくあった。それくらい、音楽というのは“出た音”が真実なんです。それしかない。その音から次の音につないでいくのも、僕のやり方。アメリカでやっているときに教わりました。人の力を借りることの大きさというか、色んな人のアイデアやクリエイティビティを選べる幸せが、リーダーにはある。自分ひとりでやっても、たかだかしれているんです。——小曽根さんくらいの人がそんなことをおっしゃるなんて、なんだか感動します。いや、本当ですよ。マニュアルがあって「このとおりやれ」といったらできるのは当たり前だけど、そうではなくて。どう工夫したらもっと面白くなるのか、こうしてみたらやりやすくなるんじゃないか。そういうクリエイティビティというのは、やるなかでおそらく失敗もあるでしょうが、それにもまた価値があります。(聞き手:スタンダードブックストア中川和彦)◎取材の全編はこちら
2023年02月03日三谷幸喜の代表作のひとつである『笑の大学』が、初めて三谷自身の演出により上演。そこで本作にかける想いを三谷に訊いた。1996年の初演、その2年後の再演(共に山田和也演出)以降、映画化、翻訳上演などを除けば一度も上演されてこなかった『笑の大学』。その理由を問うと…。「僕にとってはすごく特別な作品なんですよね。そんな大事な作品であるだけに、それを託せる俳優さんがふたり揃わなければやるべきじゃないし、やりたくないとも思っていて。それで25年もの年月が空いてしまったわけですが、このタイミングで信頼する内野聖陽さんと瀬戸康史さんに出ていただけることになり、それが今上演しようと思った一番の理由です」昭和15年を舞台に、警視庁検閲官の向坂と、喜劇を売りにする劇団・笑の大学の座付作家・椿の攻防を描いた本作。その誕生のきっかけは、三谷の実体験から。「もともと僕はなんの制約もない小劇場という世界にいたせいか、テレビドラマを初めてやった時に衝撃を受けたわけです。もう制約だらけで。ただそのいろんな制約をクリアしつつ、さらにプラスのものに作り変えていく。それはいまだ自分の仕事のやり方のような気がしています。つまり椿は僕自身であり、向坂は僕の前に立ちはだかる制約。それをひとりの人間に置き換えて作ったのがこの作品なんです」大河ドラマ『鎌倉殿の13人』でも話題を呼んだ三谷だが、コロナ禍においてその制約はさらに厳しいものになったと言う。「一度書いた台本について、『今この人はコロナでお休みなので、今週撮影出来ません。書き直してください』といったことは当然出てくるわけです。その結果、自分の理想から遠ざかっていくのが耐えられない、という作家の方もいるとは思いますが、僕はなんだか嬉しくなっちゃうんですよね(笑)。それを逆手に取って、もっと面白くしてやろうと。椿のようにうまく出来たかどうかはわかりませんが、そういうことに知恵を絞るやり方が僕には向いている。それは25年前から変わらないと思います」そんな三谷の原点とも言える作品、さらにタイトルからテーマは“笑い”なのかと思いきや…。「笑いについての物語ではありますが、僕がここで描きたいのは、“ものを作る上での妥協とはなんなのか”ということ。それはどんな国、どんなモノ作りの現場でも起きていることで、だからこそ海外でも上演されている。笑いにこだわらない、普遍的なテーマがこの作品にはあると思っています」取材・文:野上瑠美子
2023年02月03日丸美屋食品ミュージカル『アニー』の製作発表会見が2月1日(水)、東京都内で行われた。コロナ禍では公演が中止になったり、1幕に短縮した形で上演したりと厳しい選択を強いられてきた『アニー』が、今回は困難を乗り越え、4年ぶりのフルバージョン上演となる。タイトルロールのアニー役(Wキャスト)を演じるのは、深町ようこ(12)と西光里咲(10)。この日の会見で、オーディションを勝ち抜き見事アニー役に決まったときの心境について、深町は「最初はすごくびっくりして、やるぞと気合が入った。そのあと、楽しみな気持ちと嬉しい気持ちがこみ上げてきて仕方がありませんでした」と笑顔で話す。2人はミュージカル『メリー・ポピンズ』(2022)で同じ役を演じていた経験があり、西光は「ようこちゃんが呼ばれたときは、自分はもうダメだったなと思った」と素直な心境を明かしつつ、「そのあとに自分が呼ばれて信じられなくて。こうして今アニーの衣装を着て、ここにいられることがとても幸せで、感謝の気持ちでいっぱいです」と語った。これからどんなアニーを目指したいか問われると、深町は「初めて観にきてくださったお客様も、今まで観にきてくださったことがあるお客様も最後は笑顔で帰っていただけるような、素敵なアニーになりたい」と話し、西光は「そこにいるだけで空気がパッと明るくなるような、向日葵のようなアニーになりたい」と意気込んだ。ウォーバックス役は、2017年度から21年度までの4年間同役を務め、2年ぶりに戻ってきた藤本隆宏。藤本は「2年ぶりということで改めて『アニー』という作品を見つめ直す機会ができた」と話す。昨年客席から『アニー』を観たことを振り返り、「とにかくキャストのみんなも素晴らしかったし、いかに素晴らしい作品であるかを改めて教えてもらった。客席では感動して泣いている方や笑っている方がいて、カーテンコールで涙を流して拍手をする姿も見た。初心にかえって、しっかり演じていかなくてはいけないと思う。その気持ちを大切に、精一杯2023年版アニーを作り上げていきたい」と熱弁した。この日はそのほか、マルシア、笠松はる、財木琢磨、島ゆいかも登壇し、作品への思いを語った。東京公演は4月22日(土)〜5月8日(月)、新国立劇場 中劇場にて。チケットの一般発売は2月4日(土)10時スタート。松本、大阪、名古屋、新潟でも公演が予定されている。取材・文・:五月女菜穂
2023年02月03日1960年代アメリカの煌びやかなショービジネスの世界を舞台に、女性ヴォーカルグループの栄光と挫折、そして再生を描く『ドリームガールズ』。トニー賞6部門・グラミー賞2部門を受賞し、2006年にはビヨンセ主演で映画化された大ヒット・ミュージカルが、読売演劇大賞で優秀演出家賞を2年連続受賞した演出家・眞鍋卓嗣のもと、初の日本オリジナルキャスト版として上演される。上演を前に、主演・ディーナを務める望海風斗が本作の魅力と舞台にかける意気込みを語ってくれた。2021年4月に宝塚歌劇団を退団した元雪組トップスター。退団後開催したコンサートツアー『SPERO』では5万人を動員。その後、『INTO THE WOODS』『next to normal』『ガイズ&ドールズ』などの舞台に出演し、圧倒的な歌唱力で観客を魅了し続けている彼女だが、宝塚トップスター経験者ならではの葛藤もやはりあるそうで…。「男役でも女役でも“人間をつくりあげていく”過程は同じ。ひとりで劇場の空気感をいかに変えていくかという点でも、宝塚時代の大舞台での経験が役に立っています。ただ、男役として18年間稽古を重ねてきたため、女性役を演じること自体がまだ不自然というか…。自然にやると、つい風を切って歩いたり(笑)、そのあたりは未だに難しいですね」。作品ごとにカンパニーが変わるのも、宝塚時代との違いのひとつと語り、「『next to normal』でチームが違った岡田浩暉さんと今回一緒に舞台に立てるのも楽しみ。明るくエネルギッシュな方なので、熱いカンパニーになりそうです。ゴスペルやソウルミュージックを歌われている福原みほさんのグルーヴも凄いし、皆様にいろいろ刺激を受けてますね」と共演者にも期待を寄せる。制作発表では、エフィ役のWキャスト・福原みほ、村川絵梨、ローレル役saraの4人でテーマ曲『Dreamgirls』を披露。「とにかく音楽が素晴らしく、華やかなステージを観ながら音楽を聴いているだけでも充分に楽しめます。そして本作はヒロインたちが現状を変え、前に進んでいく成長物語。演出の眞鍋さんが『現状を変えたいと思っている人の背中を押せるような作品にしたい』とおっしゃっていたように、観た方にパワーを与えられるような作品にしたいと思っています」。長く愛されている名曲の数々が本作の大きな魅力。「今一番好きなのは『Dreamgirls』ですが、これから歌い込んでいくうちに好きな曲も変わっていきそう」と笑う。子どものときから歌を通して心を通わせるのが好きで、今また改めて「歌には無限の力がある」と感じているそう。その歌声でどんなドラマを語ってくれるのか。2月5日(日)~14日(火)東京・東京国際フォーラム ホールC、2月20日(月)~3月5日(日)大阪・梅田芸術劇場メインホール、3月11日(土)~15日(水)福岡・博多座、3月22日(水)~26日(日)愛知・御園座。
2023年02月02日1997年から上演される市村正親のひとり芝居『市村座』の第10回公演が、市村の役者生活50周年を迎える今年、2月から3月にかけて東京、大阪、博多、川越、仙台にて上演される。市村正親に話を聞いた。市村正親ひとり芝居『市村座』 チケット情報これまで、落語の物語をミュージカルナンバーにのせた音楽落語や、落語一人芝居、音楽講談「日生劇場の怪人」などバラエティ豊かな演目を通し、さまざまな市村正親の姿をみせてきた『市村座』。役者生活50周年とも重なる第10回公演は、市村が50 年間で出演してきたミュージカル全作品をその楽曲とともに振り返るといい、「50年にもなると一人でやる負担も大きいけど、『市村座』は市村正親を好きな方が観に来てくださると信じているので、安心しきって僕の50年を歌いきってみようかなと思います。ただもし『中村座』と間違えて来たお客さんがいても、なんかおもしろいもの観たなと思ってもらえるものにしたい(笑)」。歌以外にも、三遊亭圓朝の落語『死神』の一人芝居仕立も行う。落語の演目をもとにした芝居はこれまでもやってきたが、「今回はタイトルに“死”の“神”とついているような演目ですから、そのハードさというかね、シェイクスピアのような部分を出せたらいいかな。そして僕がやるからこそのアイデアも加えたい。例えば寿命の蝋燭が並ぶ部屋で『ファントムが出てきそうだな』なんて台詞があってもいいし(笑)。“市村正親の『死神』”ができたら」とイメージが膨らむ。さらに今回は、『市村座』を共につくってきた作・演出の髙平哲郎が作詞、上柴はじめが作曲し、市村正親をイメージした新曲も披露する。「髙平さんは僕の役者生活50年間を全部知っている方ですから。その髙平さんが歌詞を書いてくれる、そこに上柴さんが曲をつけてくれる。これもすごく楽しみです」。役者生活50周年を迎え、「これからは、自分が何をやりたいというよりは、『市村にこの役いいんじゃない?』と言ってくださるようなものがやりたい。出ずっぱりの役じゃなくても、短く出るような、『ここに市村の存在があったらいいな』というような仕事もしたいし。……まあ、出番が少なきゃ少ないで文句言うだろうけどね(笑)。とにもかくにも僕が元気に仕事をしていることだと思います。そうすればお話がくると思うから」と生き生きと語る。「そういう意味ではこの『市村座』もひとつのオーディションだと思っています。この年齢でこれ全部歌うの!?みたいなね」。今回の会場のひとつでもある大阪は「50年前から公演で行っている土地だから、市村を長く応援してくださる方も多いんですよ」と話す。楽しみなことは「ガード下で餃子を食べるのと、ガード下で焼肉を食べるのと、喫茶店での朝ごはん。この3つは絶対にはずせません(笑)」。『市村座』は、2月26日(日)~28日(火)東京・日生劇場、3月3日(金)大阪・NHK大阪ホール、3月4日(土)・5日(日)福岡・博多座、3月8日(水)埼玉・ウェスタ川越 大ホール、3月10日(金)、宮城・仙台電力ホールにて。取材・文:中川實穂
2023年02月01日“時代の音”を創った早逝の天才音楽家、大村雅朗の没後25周年トリビュート公演が、2月10日(金)フェスティバルホールにて開催される。「大村雅朗 25th Memorial Super Live」チケット情報八神純子『みずいろの雨』、ばんばひろふみ『SACHIKO』、松田聖子『SWEET MEMORIES』、佐野元春『SOMEDAY』、山口百恵『謝肉祭』、南佳孝『スタンダード・ナンバー』、大沢誉志幸『そして僕は途方に暮れる』、吉川晃司『モニカ』、渡辺美里『My Revolution』、薬師丸ひろ子『メイン・テーマ』など1600曲以上の楽曲を手掛け、46歳の若さで他界し伝説の作編曲家として知られる大村雅朗。彼の偉大なる功績を称え、日本屈指のミュージシャンが奇跡の再結集!文字どおり、一夜限りの“メモリアルスーパーライブ”を繰り広げる。音楽監督は、80年代後半から大村サウンドワークスの一翼を担い支えていた名ギタリスト・佐橋佳幸と、大村アレンジ作品に触れ、編曲家を志したという亀田誠治。さらにバンドメンバーは、レコーディングセッションに欠かせなかったリビングレジェンドの山木秀夫(ds)や今剛(g)、メインプログラマーを任され、大村雅朗の最期を看取った石川鉄男(mp)、後年のセッションを共にした斎藤有太(key)、山本拓夫(sax)と無双のスーパーバンド編成でお届け。ヴォーカリストも大澤誉志幸、ばんばひろふみ、南佳孝、八神純子、渡辺美里というオリジナルのラインナップに、数々の名曲たちの薫陶を受けてきた槇原敬之を加えた珠玉の一夜が日本最高峰の音楽の殿堂で実現する。また、トークゲストとして松本隆、ゲストDJとして砂原良徳も出演。チケットは発売中。■本公演に関する特別番組の放送も予定されているのでぜひチェックを!◎「福岡が生んだ音楽家 大村雅朗~響き続ける“時代の音”~」放送局:NHK BS1放送日:2月2日(木) 24:00~ゲスト:松本隆、渡辺美里、中川翔子、川崎鷹也、佐橋佳幸、亀田誠治、八神純子、ばんばひろふみ、大澤誉志幸、南佳孝◎「大村雅朗25th メモリアルスーパーライブ」(福岡公演)放送局:CS「歌謡ポップスチャンネル」放送日:2月4日(土) 23:00~24:45出演:ばんばひろふみ、八神純子、渡辺美里、中川翔子、大澤誉志幸、南佳孝、槇原敬之、川崎鷹也音楽監督:佐橋佳幸、亀田誠治ゲストDJ:砂原良徳トークゲスト:松本隆、木崎賢治◎「大村雅朗コレクション」放送局:CS「歌謡ポップスチャンネル」放送日:2月4日(土) 24:45~25:45
2023年02月01日多くのファンが来場し、大好評の「D’FESTA OSAKA」。2月19日(日)まで、更にラスト7日間の会期延長が決定した。最終チケット【2月13日(月)~2月19日(日)分】は、チケットぴあにて販売しており、現在好評発売中となる。また、会期延長記念として以下のキャンペーンが実施されている。------------「メンバー別69種類ミニクリアファイル」来場者全員プレゼントキャンペーン(数量限定)大盛況により2月19日(日)までの会期延長が決定したことを記念して、ご来場の方全員に、「メンバー別両面プリントミニクリアファイル」をプレゼントいたします。マスクケースやチケットホルダーなどで活躍する、使いやすいコンパクトサイズのクリアファイルは、9グループ・69アーティストバージョンをご用意。数量限定での配布となりますので、「D’FESTA OSAKA」へ行くのを迷われている方、もう一度見たい方も、ぜひお早めにご参加ください!詳しくは、公式サイトなどでご確認下さい。チケットぴあで発売中!※画像(2枚目)はイメージです※ミニクリアファイルは、ご購入いただいたチケットの枚数に関わらず来場者1名につき1枚を、ご希望のグループ内からランダムでお渡しいたします※ミニクリアファイル配布はなくなり次第終了となります。ご希望のグループをお渡しできない場合もございますので、あらかじめご了承ください
2023年02月01日郷本直也と元宝塚トップの貴城けいがW主演を務める、深井邦彦作・演出による舞台『終わりの行方』が1月25日に初日を迎えた。同日の初演前のゲネプロが報道陣に公開された。年老いた父親の介護を通して、“家族”とは何なのかを静かに鋭く問いかける本作。2022年の年の暮れ、旭陽一(里村孝雄)がひとり暮らししている家で階段から落ちて負傷する。三女の泰子(貴城)とその夫・輝明(郷本)がリビングで助けを求める陽一を発見し、事なきを得るが、その1週間後に長女の明子(小林美江)、次女の裕子(舘智子)らが集まり、認知症の症状も出始めた父の今後について話し合いを持つことに…。舞台上では、旭家のリビングで現代(2022年)のパートと二十数年前の過去のパートが入れ替わりながら展開する。過去のパートは母親の死後、引きこもりとなってしまった10代の泰子(遥りさ)、幼馴染の輝明(岡野一平)、父・陽一(有薗芳記)を中心に進み、泰子の様子を見に来た教師(辻本みず希)も加わり、4人が“疑似家族”のようになっていく。この過去パートでは泰子と父の関係は極めて良好に見えるが、現代パートではそれが一転、老いた父の処遇について泰子は「めんどくさい」と本人に向かって言い放ち「施設に入るか、野垂れ死にするか?」と周囲が引くほどの冷酷な言葉と態度を見せる。物語が進む中で、2人の間に何があったのかが明かされていく。と同時に泰子と輝明が結婚後も子どもを作らないと決断するに至った経緯、妊娠中の姪(鈴木朝代)とその夫(長谷場俊紀)の産前離婚クライシスなど、様々な角度から“家族”にスポットライトがあてられ、「家族になるってちょっとしんどいですよね?」、「別の人が簡単に、家族が保とうとしているものを覆さないで!」などなど、様々な人たちの口から思わず漏れる家族を巡る言葉にドキッとさせられる。印象的なのは、様々な局面で登場人物たちが浮かべる笑顔だ。母の死を認めまいと元気にふるまおうとする10代の泰子の笑み、老いた父の変化を認めず、ごまかすように姉たちが困惑しつつ浮かべる笑み。中でも、淡々と事務処理をするかのように父に施設に入るようにと冷たい言葉を紡いでいく泰子が浮かべる穏やかな微笑みは……表情豊かな貴城が演じるからこその凄みを感じさせる。いったい、この家族はどのような“終わり”を迎えるのか?「終わりの行方」はシアター・アルファ東京にて1月30日まで上演中。文章:くろずなおき
2023年01月31日新国立劇場のワーグナー《タンホイザー》が1月28日(土)に幕を開けた。ハンス=ペーター・レーマン演出のプロダクションは、2007年に新制作され、今回が4度目の上演となる。氷のような透明な柱が移動して官能世界と現世を行き来する舞台(美術・衣裳:オラフ・ツォンベック)。いきなりのバレエ・シーン(東京シティ・バレエ団)がある版での上演で、美しく幻想的だ。充実の歌手陣。現代を代表するヘルデンテノール、ステファン・グールドの題名役がもちろん貫禄の出来栄えなのだけれど、それ以上にエリーザベト役のサビーナ・ツヴィラクに惹かれた。スロヴェニアのソプラノで新国立劇場初登場。第2幕から登場し、〈殿堂のアリア〉を歌い出してすぐ、声の表情の多彩さに聞き耳を立てた。役柄さながらどんどん聖性を増していき、第3幕の〈エリーザベトの祈り〉は神々しいほど。特に弱声の巧みさ・美しさは絶品で、あの深い祈りがあってこそ、直後のヴォルフラム(デイヴィッド・スタウト)の〈夕星の歌〉も引き立つというもの。ヴェーヌス役のリトアニアの若手メゾ・ソプラノ、エグレ・シドラウスカイテは初来日。余裕のある広い声域と濃厚な表現で存在感を示す。日本人キャストも頼もしい。日本が誇るバス妻屋秀和の領主ヘルマンはじめ、鈴木准(ヴァルター)、青山貴(ビーテロルフ)ら「歌びと」たちが、ソロでもアンサンブルでも際立った歌唱。短い出番ながら牧童役・前川依子の透明なソプラノも一服の清涼剤のようなインパクトを残している。合唱シーンも圧巻だった。いつもどおりの高水準の新国立劇場合唱団(合唱指揮:三澤洋史)。コロナ禍のオペラ上演はどこも、感染対策のため、人数を減らしたり、舞台裏で歌ったり、合唱シーンに工夫を強いられてきた。舞台いっぱいに広がった合唱の声の“圧”を浴びるのは久しぶりだ。しかも〈大行進曲〉や〈巡礼の合唱〉など、オペラ屈指の名合唱曲のある《タンホイザー》ならなおさら。やっぱりこうでなければ。オペラが戻ってきた!と感慨を深くした。指揮のアレホ・ペレスは新国立劇場初登場だが、二期会や読売日本交響楽団など日本でもすでに定評。正攻法のどっしりとしたワーグナーで、しかも緩むところがない。ピットの東京交響楽団も豊かなサウンドで応えていた。新国立劇場《タンホイザー》は2月11日(土・祝)まで全5公演。上演時間は約4時間(休憩2回含む)。(宮本明)
2023年01月31日神奈川フィルハーモニー管弦楽団と京都市交響楽団でコンサートマスターとして活躍する石田泰尚(いしだ やすなお)が2014年に企画・結成した弦楽アンサンブル「石田組」。彼らのアルバム『石田組 2023・春』が、満を持して4月26日(水)にリリースされる。「石田組」チケット情報また、アルバムの発売を記念した全国ツアー「石田組ツアー2023/2024『石田組』」のスケジュールも発表。5月3日(水・祝)の兵庫公演を皮切りに、北海道から九州まで全国各地での開催を予定している。「石田組」は、プログラムによって様々な編成で演奏をするスタイルを取っている。メンバー=“組員”は、“石田組長”こと石田泰尚が信頼を置く、首都圏の第一線で活躍するオーケストラメンバーを中心に公演ごとに召集。レパートリーはクラシックから映画音楽、ロックまで幅広いジャンルの名曲の数々を掲げ、組員各々の演奏スタイルが最大限に活きるプログラムが各地で設定される。目の前の公演、その時間、瞬間を最も大事にする石田泰尚が放つ緊張感に、卓越した技術で応える組員たちが創り出す、研ぎ澄まされた空間“ライヴ”に魅了されるファンが増幅中。ぜひ一度、「石田組」を体験してほしい。全国ツアーのチケットは順次発売開始。出演メンバーやプログラムも、決まり次第公式サイト()で発表されるのでチェックを!<石田泰尚よりメッセージ>聴いてくれるお客さんが一人でもいてくれる限り、目の前の1公演に全力投球です。仲間の素晴らしい演奏をぜひ聴きにきてください。
2023年01月31日北海道の冬の音楽フェス「OTO TO TABI」が手掛ける、2022年からスタートした初夏の野外音楽イベント「しゃけ音楽会」。今年も2日間の開催が決定しました。1組目のヘッドライナーとしてTHA BLUE HERBの出演が決定。同時に早割チケットの販売も開始します。▼出演アーティスト・THA BLUE HERB 他*アーティストの追加発表や出演日時、そのほかの詳細情報は順次発表いたします【開催概要】タイトル:OTO TO TABI presents「しゃけ音楽会 2023」日程:2023年6月17日(土)・18日(日)会場:札幌芸術の森野外ステージ(札幌市南区芸術の森2丁目75番地)出演:THA BLUE HERB 他主催 : OTO TO TABI【早割チケット】チケットぴあにて、お得な早割チケット(通し券のみ)を枚数限定で販売開始。[早割]2日通し入場券:¥12,000(通常価格¥15,000)*1日券などのチケットの一般販売は3/18(土)から。【開催にあたり】今年も初夏の2日間に開催いたします。1組目のヘッドライナーとしてTHA BLUE HERBの出演が決定しました。また、いつも楽しみに待っててくださるみなさまのために、今年から早割チケットもご用意しています。冬のOTO TO TABIについては、今後もしばらく冬眠し、しゃけ音楽会をメインに力を入れていきたいと思ってます。初夏までの間に楽しめるプレイベントも予定していますので、こちらもぜひ楽しみにしていてください。今年もまた「戻ってきたくなる」ようなイベントを作り上げていきたいと思っていますので、お楽しみに。<OTO TO TABIとは>"北海道の冬に音楽フェスを"との想いから、ただの音楽好きが集まって2011年にスタートしたインディペンデントの音楽イベント。アートやデザイン、地元のフードや雑貨マーケットも楽しめる内容と、独自のラインナップで少しずつファンを増やし、2019年はチケットが完売するなど実績を積み上げてきた。2020年2月で10回目となる予定だったが、新型コロナウイルスの影響により開催中止に。しかし、状況に合わせて時期や場所を大きく変え、同年9月に札幌PARCOの屋上で100名限定の弾き語りライブ「OTO TO TABI×札幌PARCO」や、2021年6月に札幌芸術の森 野外ステージで「OTO TO TABI in GREEN」を開催。2022年から新たな野外音楽イベント「しゃけ音楽会」をスタートさせた。
2023年01月31日cinema staff主催フェス『OOPARTS 2023』が、4月15日(土)・16日(日)の2日間、岐阜市文化センターにて開催される。『cinema staff presents OOPARTS 2023』 チケット情報出演アーティスト第一弾として、cinema staff、bacho、BRAHMAN、Fake Creators(LITE、DE DE MOUSE)、KEYTALK、KOTORI、LITE、mudy on the 昨晩、osterreich、tricot、Wienners、ZAZEN BOYS、アルカラが発表された。チケットは、一般発売に先駆け、2月12日(日)23:00まで2DAYS TICKETのオフィシャルHP先行(抽選)受付を実施。先行チケットのみ「OOPARTS2023 オリジナルデザインマスク付き」なので、この機会をお見逃しなく!
2023年01月30日ブロードウェイミュージカル『MEAN GIRLS』の日本版初演が2023年1月30日から東京建物Brillia HALLほかで開幕する。2004年に米国で制作された映画『MEAN GIRLS』をミュージカル化した本作。18年にブロードウェイで開幕し、同年のトニー賞では作品賞など最多の12部門でノミネートされた。日本版初演となる今回は、数々の海外ミュージカルの演出を手掛けた小林香が演出を担い、生田絵梨花が主演する。アフリカ育ちで16歳のケイディ(生田絵梨花)は、生まれて初めてアメリカに引越し、高校に通うことに。周囲に馴染めずにいたケイディに話しかけたのは、アートフリークのジャニス(田村芽実)とゲイのダミアン(内藤大希)。そして2人から「プラスティックス」という学園の女王様レジーナ(石田ニコル)、カレン(松田るか)、グレッチェン(松原凜子)のスクールカーストTOPの三人組に気をつけるよう告げられて――というリアルな女の子の学園生活を描いたストーリー。初日を前にした29日、ゲネプロ(総通し舞台稽古)と囲み取材が行われた。主演の生田は「作品が始まる前は『ポップでキュートなガールズパワーをお届けしたい』と言っていたのですが、稽古を重ねて、それに留まらない作品のメッセージ性をビシビシ感じています」と話す。「ドロドロしていたり、ブラックだったり、尖っていたり、歪だったり。枠にはまらないいろいろな形を見て『いいな』『自分も自分らしくいたいな』と思っていただけるように、そしてきらきらした気持ちを持って帰っていただけるように、みんなで一丸となって頑張っていきたいと思います」。ジャニス役の田村芽実は「コロナ対策も含めてここまで頑張ってきました。この状況下で幕が開けられることを本当に幸せに光栄に思っています。一生懸命頑張ります」と意気込み、レジーナ役の石田ニコルも「みなさんを引き込んで、楽しませて、あっという間に時間が過ぎるように、私たちも楽しみながら演じたいと思います」と語った。スラングや若者文化がふんだんに織り込まれている作品。上演台本と訳詞も担当した小林は「カルチャーや時事問題の認識がだいぶ違うので、日本のお客様に(脚本の)ティナさんの意図が明快に伝わるように心がけつつ、日本バージョンの翻訳をしました。キャストの皆さんともディスカッションしながら、より分かりやすく伝わるように、改稿に改稿を重ねました」といい、「笑いありノリあり、可愛らしさあり下ネタあり、そして感動あり。ミュージカルの楽しさがいっぱい詰め込まれた作品になっております。ぜひ全身で(作品のイメージカラーである)ピンクを浴びに劇場に遊びに来ていただきたい」。東京公演は2月12日(日)まで。福岡公演は2月17日(金)~19日(日)、キャナルシティ劇場。大阪公演は2月23日(木・祝)~27日(月)、森ノ宮ピロティホール。取材・文:五月女菜穂
2023年01月30日ロシアを代表する作曲家セルゲイ・ラフマニノフの生誕150周年を記念して2月23日、20代の若手実力派音楽家たちを中心に2020年に結成され、話題を呼んでいるタクティカートオーケストラによるコンサートが開催される。指揮を任されたのは、こちらも若き俊英として国内外で活躍する坂入健司郎。「ピアノ協奏曲第2番 ハ短調作品18」のピアノには、22歳にして数々のオーケストラと共演を果たし注目を集めている吉見友貴が参加する。初共演となる坂入と吉見がコンサートへの意気込みを語ってくれた。今回のプログラムについて坂入は「初期に作曲された『管弦楽のためのスケルツォ ニ短調』、誰もが知る代表曲『ピアノ協奏曲第2番 ハ短調作品18』、彼自身が”最後の作品になる“と語った『交響的舞曲 作品45』という、ラフマニノフの人生を追いかけるような面白いプログラムになっています」と語る。「ピアノ協奏曲第2番」はフィギュアスケートの浅田真央がソチ五輪のフリープログラムで使用したことでも有名だが、吉見は「実は、僕もフィギュアスケートは大好きでして(笑)、2番を弾くたびに浅田真央さんが滑っている姿が浮かんできます」と明かす。吉見が師事するアレクサンダー・コルサンティアが旧ソビエトのジョージア出身ということで、ラフマニノフには特別な思い入れがあり「いつも『ラフマニノフの2番には、ロシア人の心の深さ、言葉にならない叫びが出ているんだ』と言っていました。フォルテ(強く)とフォルティッシモ(非常に強く)がありますが、彼に言わせるとフォルテのほうが重厚でロシア人の心が表現されているということで…」と吉見が語ると、坂入も「僕のロシア人の師匠も『ディミュニエンドこそ、感情をクレッシェンド(だんだん強く)していくものだ』と言っていました」とラフマニノフだからこそ求められる豊かな“情緒”があるとうなずく。そして今回、2人が何より楽しみにしているのが、タクティカートオーケストラとの共演。「まだ認知度は高くないですが、彼らがどれだけ素晴らしいかを証明するチャンス。指揮者として彼らのポテンシャルを引き出さなくてはいけない」と坂入が語れば、吉見も「坂入さんを含め、若いみなさんとだからこそ、ゼロからいろいろ試しながら作っていけるのが楽しみです」と期待と意気込みを口にしていた。「ラフマニノフ生誕150周年記念コンサート ~タクティカートオーケストラ特別公演~」は2月23日、東京オペラシティにて開催。取材・文・写真/黒豆 直樹
2023年01月30日アニメ放送40周年を記念して3月18日(土)より『超キン肉マン展』を開催!開催場所はミートくんを救うため、キン肉マンが悪魔超人の一人であるステカセキングとその麓で名勝負を繰り広げた東京タワーとなる。今回、展覧会特別ビジュアルも初解禁となった。このビジュアルのために書き下ろされたキン肉マンが中央に構えつつ、背景にはアニメに登場した超人達の名前が並ぶ。さらに、様々なアニメ名シーンが40の文字を作り上げているアニメ40周年を記念する本展覧会ならではのビジュアルとなっている。会場内にはあの時、夢中になった超人を体感できる!?エリアや、子供の頃、友達と掛け合ったあの必殺技を自身で体験できる!?展示、名シーンの再現や超人たちのアイテムに加えて、まさかのあの人のアレまでリアルに展示!?さらに、ここでしか見られないアニメ放送当時の貴重な資料の数々も展示される!あの頃、確かに私たちの傍にいた超人達。本展覧会は、その当時のリアルな超人達を感じることが出来る貴重な機会になっている。本展覧会の入場券は1月29日(日)”良(1)い肉(29)”の日の正午12:00よりチケットぴあにて販売開始。また、今回は大人券、小人券とは別にチケットぴあ限定で特典付入場券も発売!特典グッズは『超人オリンピックチャンピオンベルト型ベルトバックル』。ロビンマスク、キン肉マン等、伝説の超人達が腰に巻いた超人オリンピックのチャンピオンベルトを再現したベルトバックル。金属を加工して作っており、サイズも縦85mm×横110mm×厚さ3mm、重さも200gと本家チャンピオンベルトにも引けを取らない重厚感とサイズ。あなたの腰に巻かれた時もその存在感を間違いなく発揮するだろう!!
2023年01月30日桐朋学園大学ソリストディプロマコースを経て、ザルツブルク・モーツァルテウム大学在学中にミュンヘン・フィルハーモニー団員となった三井静。国際コンクールでの入賞も重ね、ソリストとしても圧倒的な存在感を示す彼が、ヨーロッパのオーケストラ奏者となった経緯を尋ねた。「プロになることを目指してから師事した最初の2人の先生がオーケストラに所属していたため、自然と自分も将来はオーケストラ奏者になるだろうと思っていました。また、父親が大のクラシックファンであったため、幼少期から演奏会やCD、レコードで交響曲などを耳にする機会が多く、特にオーケストラに馴染みが深かったのも大きいかもしれません。留学中、ソロの演奏活動に専念している時期もオーケストラで弾く事を見据えて勉強していました」三井が留学先に選んだのはオーストリアのザルツブルク。同地を選んだのはなぜだったのだろう。「1番の理由としてはハーゲン弦楽四重奏団のチェリストであるクレメンス・ハーゲンさんの下で勉強がしたかったからです。また、チェリストにとって重要なレパートリーはバッハ、ベートーヴェン、シューベルト、ブラームスとドイツ語圏の作曲家のものが多く、せっかく留学するなら自分の目でその地を見て、空気を感じたいという気持ちもありました。実際に行ってみないとわからないことは多く、同じ国でも都市によって守っている伝統や奏法が微妙に違うことも知ることができました。例えばモーツァルトの演奏スタイルが距離の近いウィーン、ザルツブルク、ミュンヘンで全く違ったのには驚きましたね」そんな彼が文化庁新進芸術家海外研修生としての成果を発表する作品として選んだのはハイドンの「チェロ協奏曲第2番」。コンクールやオーディションでよく演奏される、チェリストの必須曲だ。「奏者の技量だけでなく、度胸やトラブル処理能力も分かるのでオーケストラのオーディションでは必ず課題曲に入ります。しかし、まず音楽としてとても素敵な曲で、古典らしいリリカルさとチェロの明るく澄んだ高音の音色のコンビネーションは他の協奏曲にない魅力です。ハイドンはとても好きな作曲家の1人なので、この曲の持つ魅力を、ぜひこの機会に多くの方にお届けできたらと思い選曲しました。普段はドイツで演奏活動をしているため、久しぶりに日本のお客様の前で協奏曲を弾ける事をとても楽しみにしています。今後もチェリストとしてさらに成長していけるよう研鑽を重ね、音楽が持っている人間的な深みも伝えられる演奏家になっていきたいです」取材・文:長井進之介
2023年01月30日東京藝術大学をご卒業後、すぐに東京都交響楽団の首席ファゴット奏者に就任し、オーケストラ奏者として活躍中の長哲也。オーケストラに所属しながらリヨン国立高等音楽院の大学院に留学し研鑽を積んだ彼の学びと音楽とのかかわりについて尋ねた。「プロのオーケストラ奏者になる事は、子供の頃の漠然とした憧れでした。先生をはじめ、周囲の方々、そして家族のサポートがあり、運良く夢を叶える事ができました。オーケストラ奏者として活動できている事は本当に嬉しく、やり甲斐があります」夢を叶えたあとに海外への留学を決断したのはどのような背景があったのだろうか。「もともと大学卒業後に留学を検討していたのですが、都響に入団することができ、一度計画は白紙になりました。オーケストラ奏者として余りにも足りないことが多く、まずはオーケストラ奏者として充分経験を積みたかったのです。その後、経験を重ねてできることが増えつつも、新たな課題も見えてきました。そのような時期に、Carlo Colombo先生(リヨンオペラ首席ファゴット奏者、フランス国立リヨン高等音楽院教授)と出会い、彼の音色や音楽性、そして人柄に感銘を受け、留学を決意したのです」2019年から文化庁新進芸術家海外研修生として過ごしたリヨン高等音楽院の大学院ではどのようなことを得ることができたのだろう。「Colombo先生のレッスンはもちろん、リヨン国立オペラで彼の演奏を聴いたりする事で、数年間のオーケストラ演奏活動の中で直面していた自分の演奏上の課題の解決の糸口を少しずつ見つけていくことができ、本当に充実した日々でした」今回の演奏会ではその留学で学んだこと集大成ともいえるものが聴けることになる。ファゴットとオーケストラ(弦楽合奏)の共演曲となると曲が限られてくるが、今回ヴィラ=ロボスの「7つの音のシランダ ~ファゴットと弦楽合奏のための~」を選んだ理由は何だったのか。「まずはフランスに関わりのある作曲家の作品を演奏したいという想いがありました。また、ブラジルからフランスに渡り新しいスタイルを探求したヴィラ=ロボスの姿が、日本からフランスへ留学した私自身と重なった事も理由です。ファゴットコンチェルトの演奏機会はかなり稀なので、今回の演奏でお客様にファゴットの魅力をお伝えできればと思っています。そして今後はフランスでの研修で得た経験を、オーケストラでの活動はもちろん、室内楽やソロ演奏も積極的に行い、活かしていきたいです。私自身が2014年のオーチャードホールでColombo先生の演奏に初めて触れて感激したように、聴きにきてくださった方々の記憶に残る演奏をしたい、というのが目標です」取材・文:長井進之介
2023年01月30日パリ国立高等音楽院サクソフォーン科、さらに室内楽科および即興科で学んだサクソフォーン奏者の袴田美帆は、現代音楽や即興演奏など幅広い演奏活動を行っている。美術館や歴史的文化施設で新たな空間芸術を創造するなど、音楽の新しい可能性に挑み続ける彼女がパリを選んだのは必然ともいえるものであった。「もともと“芸術の都”パリに憧れがあり、神戸大学で学んでいるときに同地への交換留学が決まりました。せっかくならサックスも続けたいと思ったところ、向こうでは大学と音楽院の両立が可能ということを知ったので、まず地方音楽院を受験したのです。日々のレッスンや授業など、何もかもが新鮮な毎日の中、“できるところまでやろう”と、その年にパリ国立高等音楽院を受験しました。学費の安さや美術館やコンサートに学生料金で気軽に行けること、なにより新しいことにどんどんチャレンジ出来る自由な雰囲気は、パリならではの魅力だと思います」袴田の幅広い音楽活動はアートマネジメントも学び、様々なコンサートの企画もしてきたことも大きいようだ。「神戸大学は芸術を多角的に学ぶことができるのですが、そこで今もお世話になっている藤野一夫教授のアートマネジメントの授業に出会い、“私がやりたいのは芸術と社会を繋げることだ!”と感じたのです。早速1年生の夏から子どもコンサートを企画するゼミに入れて頂き、“どこで”、“どんな音楽を”、“誰と共有するか”という視点を持ち始め、様々なアートプロジェクトの企画・運営のお手伝いをさせて頂くようになりました。 今後は、歴史文化施設や産業遺産等を利用し、地域文化振興に繋がる企画作りに挑戦したいと思っています」常に挑戦の姿勢を崩さない袴田が文化庁新進芸術家海外研修生の成果発表に選んだ作品はトマジの「サクソフォーン協奏曲」だ。「オーケストレーションが美しく迫力があり、各楽器がそれぞれのシーンを鮮やかに彩る、幻想的で物語のような作品です。いつかオーケストラと演奏したいと憧れていました。文化庁の皆さまをはじめ、たくさんの方に支えて頂いた8年間の留学生活の集大成となるよう、感謝の気持ちを込めて演奏いたします」すでに活発な活動を展開している袴田だが、今後の目標についても尋ねた。「“音楽と社会を繋げるサクソフォニスト”として、多くの人が音楽を通して、新しい発見や挑戦をするきっかけ作りがしたいです。アウトリーチやワークショップ、地域振興に繋がるプロジェクトなど、まずは自分の地元から開催していければと思っています。また若手奏者のみなさんや、進路に迷う学生さんやご家族のサポートも積極的にしていきたいですね」取材・文:長井進之介
2023年01月30日ソリストとして、さらに室内楽奏者としても活躍の幅を広げ、昨年からは東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校にて非常勤講師を務めるピアニストの大崎由貴。東京藝術大学を卒業後、彼女が研鑽の地として選んだのはザルツブルクのモーツァルテウム大学であった。「大学を卒業したらヨーロッパで一から学び直したいという想いを持っていたタイミングで、偶然地元の広島でジャック・ルヴィエ先生のマスタークラスを受講させて頂く機会がありました。そこで先生が自分で課題だと感じながらもなかなか修正しきれずにいた部分を一瞬で見抜き、求めていた方向へ導いてくださったのです。またレッスンの中で先生が隣のピアノで弾いてくださる際の音楽が私の理想とぴったり合致していて…。ほとんど一瞬で心が決まり、マスタークラスの最終日には緊張しながら、“モーツァルテウムで先生のクラスに入りたいです”と伝えたことを今でも覚えています。その後無事入試に合格し、ザルツブルクへ留学が決まったときはとても嬉しかったですね」指導者として後進を育成する中で、自らの演奏にも影響するところはやはり大きいのだろうか。「レッスンで何かを伝える際、自分の中では感覚的にわかっていることも言葉にしてわかりやすいように話すことで、自分の中で様々なことが明確化されるので、自分の演奏にも大きな影響があります。さらに学生とのコミュニケーションを通じて、より良い演奏ができるようになりたいという真摯な熱意に心打たれることも多く、それが自分自身の演奏の原動力の一つになっています」文化庁新進芸術家海外研修制度研修員としてザルツブルクで学んだことを発揮する曲として大崎が選んだのはラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」。名曲中の名曲を選んだ理由を尋ねた。「何度聴いても素晴らしい名曲で、私自身はもちろん、この曲を大好きな方は沢山いらっしゃると思います。“この曲を自分らしく表現したい”、“お客様とこの感動的な作品を一緒に楽しみたい”と思い選びました。また、2023年はラフマニノフ生誕150周年ということもあり、アニバーサリーイヤーを演奏でお祝いしたいという想いもありました。スケールの大きな作品ですが、今回は抒情的な部分や、ロシアの冷たい空気を感じさせるような繊細な美しさに特にこだわって表現したいと思っています」最後に今後の目標について伺った。「様々な方との出会いや経験を通じて得たことを音として表現できる音楽家になりたいです。そして音楽や作品の美しさを、聴いてくださる方と一緒に愉しんでいきたいと思っています」取材・文:長井進之介
2023年01月28日根本宗子がオリジナル脚本・演出を手掛け、豪華俳優陣とともに創り出す舞台『宝飾時計』が2023年1月29日(日)まで東京芸術劇場プレイハウスで上演中だ。開幕前の稽古場にて根本と高畑に話をきいた。根本は「完全オリジナルの新作舞台ですが、出演者8人でギュッと密に上質な作品作りができています。劇団公演とプロデュース公演とでは稽古の仕方が少し違うのですが、今回は劇団公演のときのように、稽古をしながら台本を書き換えるなど、やりたいようにやらせてもらっています」と稽古の手応えを語る。主演の高畑充希は「稽古場に行くと、台本が少しずつ配給されるんですよ。漫画の連載を読むようで、とても楽しいです。特に1幕にたくさんある伏線を2幕でどんどん回収してく爽快感がたまりません。『根本さん、天才だな』と思いながら、毎日稽古をしています」と笑顔。そして「根本さんがしっかりとビジョンを持って、“根本ワールド”を提示してくださるので、安心してついていけます」とも語り、絶大な信頼を寄せていた。本作品は4、5年前に高畑が根本に声をかけたことから始まったという。根本は「私もずっとご一緒したかったんですが、(高畑さんは)きっと何を書いても成立させてくださる。自分の技量がそこまでいっていないときに本を書くと、ただ助けてもらうだけで終わってしまうと思っていました」と当時の思いを明かす。そして「演劇のことしか考えていなかった20代から、30代になって、生活やプライベートの部分でいろいろなことを感じるようになったんです。それに30歳になったぐらいの充希ちゃんと話していて共鳴する部分があって、だんだんとビジョンやモチーフが浮かんできた。(高畑さんに)あて書きしたい役はたくさんありますが、今の我々がやるならという、今このタッグということを一番考えました」。根本は「新作を生み出すことは、作家、俳優、スタッフみんなにとって大変な作業なのに、1回で上演が終わってしまうことが多い。これは私が勝手に思っていることですが、この『宝飾時計』が何度も上演する作品になったらいいなと思っています。しかも主人公をやっている充希ちゃんは変わらずに。例えば40歳になった充希ちゃんがやったらどうなるのか、観てみたいなと思うんです」と思いを語る。それに対して高畑は「これまで私は先輩から役を受け継ぎ、後輩へ受け渡すという機会が多かったんですね。でも今回はあまりにもオートクチュール。違う人が演じたらそれはその魅力があると思うけど、この役に関してはあまり人に渡していきたいと思わないんです。『いろいろな人の念が乗っているよ』と言われます(笑)。そこをあまり重圧として感じず、楽しくやりたいなと思っています」と応えた。東京公演は1月29日(日)まで。東京公演の後、大阪・鳥栖・愛知・長野と巡演する。その他の出演者は、成田凌、小池栄子、伊藤万理華、池津祥子、後藤剛範、小日向星一、八十田勇一。取材・文:五月女菜穂
2023年01月27日アート×ヒト×社会の関係をStudyする芸術祭『Study:大阪関西国際芸術祭2023』が1月28日(金)から2月13日(日)まで開催される。「Study:大阪関西国際芸術祭2023」チケット情報本イベントは、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)を契機に、ソーシャルインパクト(文化芸術経済活性化や社会課題の顕在化など)をテーマとした世界最大級のアートフェスティバル「大阪関西国際芸術祭(仮)」の開催をめざすにあたり、それらの実現可能性を検証するためのプレイベントだ。第2回となる今回は、関西に縁あるアーティストの展覧会をはじめ、国内外のギャラリーが出展し誰もが作品購入を楽しめるアートフェア、そしてアートの可能性を引き出すべくテーマ性を持ったカンファレンスの実施が予定されている。さらにはレストランを会場に、期間限定で食とアートのコラボレーションを実現するアートダイニングなど、芸術祭会期の17日間、アートを『みる』『買う』『食す』『学ぶ』、多彩なプログラムが実施される。チケット(共通パス)は発売中。全会場(展覧会、アートフェア)に開催期間中、何度でもご入場いただけます(※一部、パスのみではご入場いただけない会場があります(別途料金必要))。<展覧会会場>船場エクセルビル大阪府立中之島図書館THE BOLY OSAKAkioku手芸館「たんす」ゲストハウスとカフェと庭 釜ヶ崎芸術大学飛田会館グランフロント大阪(北館ナレッジキャピタル、うめきた広場 サブスペース 、うめきたSHIPホール)<アートダイニング会場>特別メニューを実施!・花外楼 北浜本店特別内覧会/2月6日(月)~8日(水) 15:00~17:00※特別内覧会ではお食事なしで作品がご覧いただけます。・ルポンドシエル・ボンカリテ
2023年01月27日Keishi Tanakaが、3月25日(土)大阪・服部緑地野外音楽堂で『NEW KICKS GREENSPIA 2023』を開催することが決定した。『NEW KICKS GREENSPIA 2023』チケット情報本公演は、関西のコンサートプロモーターGREENS、プレイガイドぴあとの共同イベントで、残念ながら2021年は開催中止となったが、今年ソロ活動11年目を迎え、新たな一歩を踏み出す。Keishi Tanakaは、現在行っている東名阪ワンマンツアー「Chase After Release Tour」と同じ7人バンド編成で出演。共演は、村松拓(Nothing’s Carved In Stone / ABSTRACT MASH)ソロバンド編成とのツーマンライブ。村松拓はなんとこの日がバンド編成での初ライブとなるとのことで、“NEW KICKS=新たな刺激”を是非会場で体感しよう。本日より2月5日(日)23:59までチケットぴあにてオフィシャル先着先行を受付中。なお、一般チケットに加え、小学生を対象としたKIDSチケットの販売も行われる。
2023年01月27日柴幸男(ままごと)が構成・演出・翻訳する東京演劇道場第二回公演『わが町』(原作:ソーントン・ワイルダー)が、1月25日(水)に東京芸術劇場 シアターイーストにて開幕した。柴は、東京演劇道場のメンバーから選んだ23名とともに、誰もが生きているささやかな日常を描いたワイルダーの傑作「わが町」を原作に、現代の東京を立ち上げるべくクリエーションを進めてきた。今回の公演は、2020年の野田秀樹の演出による『赤鬼』に次いで、二度目の東京演劇道場による公演。公演は、2月8日(水)まで。なお、1月26日(木)・29日(日)の公演後にアフタートークの実施が決定。26日(木)は野田秀樹、29日(日)は今回、翻訳協力を行った水谷八也をゲストに迎え、柴と対談をする。チケット好評発売中。当日券あり。~1月29日(日)まで前半割引き(前売りのみ)あり。*東京演劇道場は、「演劇人の出会いの場」として、東京芸術劇場の芸術監督・野田秀樹が立ち上げ、2018年と2022年にオーディションを行った。==東京演劇道場第二回公演『わが町』2023年1月25日 (水) ~2月8日 (水)東京芸術劇場 シアターイースト原作:ソーントン・ワイルダー構成・演出・翻訳:柴幸男(ままごと)翻訳協力:水谷八也出演・創作:東京演劇道場秋山遊楽石井ひとみ大野明香音大滝樹緒形敦小幡貴史兼光ほのか川原田樹北浦愛佐々木富貴子代田正彦末冨真由鈴木麻美谷村実紀鄭亜美手代木花野藤井千帆間瀬奈都美三津谷亮水口早香吉田朋弘李そじん六川裕史===
2023年01月27日映画『迷子の警察音楽隊』を原作に、米国トニー賞10部門を独占したミュージカル『バンズ・ヴィジット』が2月7日(火)から日生劇場ほかで上演される。ペタ・ティクヴァのアラブ文化センターで演奏会に招かれていた、エジプトのアレクサンドリア警察音楽隊。イスラエルの空港に到着するも迎えが来ない。楽隊長のトゥフィーク(風間杜夫)は自力で目的地に行こうとするが、若い楽隊員のカーレド(新納慎也)が聞き間違えたのか、彼らの乗ったバスは、目的地と一字違いのベト・ハティクヴァという辺境の街に到着してしまう。一行は街の食堂を訪れるが、もうその日はバスがない。食堂の女主人ディナ(濱田めぐみ)は、街にはホテルもないので、自分の家と常連客イツィク(矢崎広)の家、従業員パピ(永田崇人)と店に分散して泊まるよう勧める。迷子になった警察音楽隊は、翌日の夕方に行われる予定の演奏会に間に合うのだろうか......というストーリー。今回、イツィク役を演じる矢崎は、役について「夫婦関係におけるダメな夫をまとめたような人物。女性からすると、イツィクの妻のイリスの気持ちがとても分かるそうなんですが、僕は僕でイツィクの気持ちが分かる。彼は、別に家族のことを思っていないわけではないし、働きたくないわけでもないし、夢があるし、いろいろと考えてはいて......まだ大人になりきれていない自分がいるだけなんですよね」と分析。「後半には素敵なナンバーがある。イツィクも現場には満足していなくて、やるせなさや虚しさを抱えている男なんだなというところに着地できたら」と話していた。稽古は「順調すぎるぐらい早く進んでいる」と話す矢崎は、演出の森新太郎を「陶芸家」と表現する。「森さんは1回作品を作るんですけど、そのあとバーンと壊すんですね。そして練りに練って、また新しく作る。“粘土”である僕ら俳優はもうぐにゃぐにゃなんですけど(笑)、練ることで、どんどんいい粘土になっていくのだろうなと思うんです。そうして出来上がった作品をお客様がどう感じるのか。その反応が楽しみです」という。2023年最初の舞台。「怖がらずに何でも突き進んでみようかなと。僕自身がパワーアップをして、変化を感じる一年にしたいです」と今年の抱負を語りつつ、「素敵な作品でスタートできることが嬉しいです。いろいろある世の中ですが、こんな世の中だからこそ、国が違う人々の交流を描いた『バンズ・ヴィジット』という作品は心に染みると思うし、強いメッセージを感じてもらえるはず。劇場でお待ちしています」。東京公演は2月7日(火)から23日(木・祝)まで。大阪公演は3月6日(月)から8日(水)まで、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ。愛知公演は3月11日(土)・12日(日)、刈谷市総合文化センター大ホール。取材・文:五月女菜穂
2023年01月27日江戸川乱歩 名作朗読劇『孤島の鬼』が、1月24日(火)に東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて開幕した。同タイトルの長編小説をベースに、原作では登場しない乱歩作品の探偵・明智小五郎や小林(芳雄)少年が“狂言回し”として劇世界を支える。恋人と友人を立て続けに殺された主人公・箕浦金之助の回想シーンが多くを占める本作の中で異彩を放つのは、金之助に想いを寄せる先輩・諸戸道雄の存在感だ。構成・演出は、声優による朗読劇シリーズを数多く手がけてきた深作健太が続投している。取材日だった初日のキャスティングは、山口智広・神尾晋一郎・井上和彦・青山なぎさの組み合わせ。山口・神尾・青山は白を、井上は黒を基調とする衣装に身を包み、マイクの前に立つ。その背後にはドライフラワーを思わせる植物を束ねた異形の美術が控え、おどろおどろしく得体の知れない乱歩独特の世界観を立ち上げていた。客入れ時から時計の秒針が鳴り響くなど物語の始まりを予感させる演出のもと、4人はゆっくり台本を開く──。殺人事件の真相に迫り死者に報いようとする<箕浦>を演じたのは、山口。たどり着いた孤島で出会った“片輪”の少女<秀代>との邂逅や、タイトルロールである<孤島の鬼>や<諸戸>に翻弄される様子を瑞々しく体現する。神尾は、事件のキーパーソンとも言える<諸戸>のあらゆる葛藤を知的に造形。苦悶の中における妖しい囁きやうめき声にうっとりした観客も多かったのではなかろうか。紅一点の青山は、箕浦の恋人<初代>と<秀代>、そして<小林少年>役など演じた。声色や口調を自在に使い分け、あらゆる役回りを器用にこなして劇世界に貢献する。<明智>と箕浦の友人で殺人鬼の餌食になってしまう<深山木>に扮した井上は、本作の屋台骨ともいえる安定した朗読で作品を支えていた。声のみ出演だった銀河万丈による<諸戸丈五郎>の雄弁さも特筆しておきたい。上演時間は100分強(休憩なし)。公演は1月29日(日)まで。回替わりキャストスケジュールは以下の通り。1月26日(木)19:00=夏川椎菜、松田岳、笠間淳、牧野由依1月27日(金)19:00=重松千晴、汐谷文康、宮地大介、逢田梨香子1月28日(土)13:00=岡本信彦、堀江瞬、鳥海浩輔、久保田未夢1月28日(土)19:00=岡本信彦、佐藤拓也、畠中祐、久保田未夢1月29日(日)12:30=土田玲央、中澤まさとも、高橋広樹、青山吉能1月29日(日)18:00=市川蒼、葉山翔太、山中真尋、逢田梨香子取材・文:岡山朋代
2023年01月26日