更新日:2021/05/30
外貨建て保険で苦情が発生?金融庁の動きや生命保険協会の報告件数なども解説!
- 本当に元本は維持されるの
- 仕組みがよくわからない
- 本当に資産運用ができるの?
- 苦情件数が増加傾向にあるのは本当か?
- 苦情やクレーム・トラブルはどのようなものか?
- 外貨建て保険は、なぜ苦情やクレームが発生しやすいのか?
- 外貨建て保険は、大損する可能性があるのか?
- 外貨建て保険のメリットとデメリットは何か?
- トラブルを回避するために知っておきたいこと
- 目的別の外貨建て保険の紹介
内容をまとめると
- 外貨建て保険の苦情は、2019年に2,282件で前年より1割増加している
- 外貨建て保険の苦情やクレームが多いのは、加入者が販売商品の内容をしっかりと理解できていないことが要因
- 外貨建て保険は、デメリットや為替変動などを理解していれば大損はしない保険商品
- 外貨建て保険のメリットは、資産形成をしながら保障も得られる点にあり、デメリットは、為替変動の影響を受けることや両替手数料がかかる点がある
- 外貨建ての保険は、保険といいつつも投資の一面があることを理解することが大切
- 目的別のおすすめの保険、メットライフ生命「ドルスマート S」、ソニー生命「米国ドル建終身保険」などを紹介
- 外貨建ての保険に加入するか迷っているときは、無料保険相談をして比較検討するのがおすすめ
- 今ならスマホ1つで無料オンライン相談できるので、この機会に保険の悩みを解決しましょう!
目次を使って気になるところから読みましょう!
外貨建て保険の苦情件数が増加しているって本当?
外貨建て保険には、終身保険や個人年金保険、養老保険があります。
いずれの保険も貯蓄性が高く、保険金や解約返戻金があるもので掛け捨ての保険ではありません。
外貨て保険の販売は、銀行などの代理店が取り扱っていることが多く、保険の特徴や仕組みをしっかりと理解せずに申し込みをしているケースが多くあります。
外貨建て保険の苦情件数は、生命保険協会の発表では2019年では2,282件となっており前年よりも1割増えています。
日本は、現在超低金利時代で円建てで運用しても、あまり収益にならないとして米ドルや豪ドルで保険料を運用する外貨建て保険を進めるケースが見られます。
銀行で外貨建て保険を勧められるため、それが保険だと思っていない顧客も多く、保険証券が届いてから保険だったと気がつく場合もあるようです。
外貨建て保険における苦情・クレームやトラブルはどんなものがある?
手数料が高くて損した
なぜ外貨建て保険では苦情・トラブルが発生しやすいのか?
外貨建て保険の苦情件数を分析すると、高齢者やその親族からのものが多く見られます。
販売しているのが、銀行などの代理店であったために「保険」という認識が低く、契約を済ませて、保険証券が届いてから保険だと気づくパターンもあるようです。
銀行などの代理店が販売したとしても、販売商品について一通りの説明はしているはずですが、購入者が商品の内容を理解していないことが苦情やクレームが多くなっている一因だと考えられます。
では、どのようなことが具体的に苦情やクレームの原因になっているのでしょうか。
たとえば、
- 円建ての受け取り保険金額がイメージと違う!
- 生命保険は元本保証だと思っていたのに円高になって損してしまった!
- 海外も低金利の時代になり思ったよりも儲からない!
です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
円建ての受け取り保険金額がイメージと違う!
一般的な保険は円で計算され契約しているので、受け取った保険金額のイメージが違うということは起こりにくいです。
しかし、外貨建て保険は、保険料のほかに受け取る保険金額がドル建てで米ドルや豪ドルベースで計算されているので、保険金額に対してイメージが違うと、感じられる方もいるでしょう。
外貨建て保険は、投資商品としての一面もあります。
特に、一時払いの養老保険など保険料を一括で払い込んで満期保険金を受け取る仕組みになっています。
一時払いで支払った保険料は、ドル建てで米ドルや豪ドルで計算されて満期保険金を支払うときの為替レートによって、受け取る保険金額が違ってきます。
外貨建て保険に入るときには、円建てよりも運用率がよいなどの説明を受けて、受け取れる金額も多くなるというイメージを持ちますが、実際には為替レートによって決まるので、元本割れしてしまうケースも出てくるのです。
生命保険は元本保証だと思っていたのに円高になって損してしまった!
現在の日本は、超低金利時代で円建てでは金利が安い点から、外貨建てである米ドルや豪ドルにした方が、金利が高く貯蓄商品は受け取れる保険金も多くなる可能性があるとして、販売が促進されています。
そのため、養老保険や個人年金保険、終身保険について外貨建てをすすめる傾向があるのです。
円建てにしたときの保険金額が元本保証されることはなく、受け取るときの為替レートによって金額が変わります。
為替レートとは、1ドルに対して日本円がいくらになっているかということをいいます。
例えば、1米ドルが110円や1豪ドルが120円となっている場合は、受け取り保険金額に反映されます。
実際に保険金を受け取るときにも為替レートの変動によって、支払われる保険金額が変動します。
外貨建て保険に入るときに、元本保証だと思っていたのに、円高になって元本割れしてしまい、損をするリスクもあります。
海外も低金利の時代になり思ったよりも儲からない!
日本は、2016年にマイナス金利政策を実行したために、円建ての養老保険や個人年金保険、終身保険などは運用率が下がったために、資産形成などを目的としている加入者に対して、外貨建て保険をすすめる動きがありました。
当時は、マイナス金利政策をしている日本に比べて、米ドルや豪ドル、ユーロの方が運用率がよく、元本割れするということはありませんでした。
しかし、2019年ごろから貿易摩擦などによって、世界経済も不透明感が強まり、外貨の金利も低下していきました。
外貨建て保険の金利が高いときは、運用率もよく、受け取れる保険金額も十分なものだったのです。
しかし、金利が低くなったことで外貨建て保険の販売も積極的に行わなくなっていったようです。
以前のイメージを持っている契約者は、外貨の金利が低くなっていることを知らない方もおり、「利回りが思ったほどでない」と苦情やクレームになっている場合もあるのです。
外貨建て保険は大損する危険な商品?やってはいけない投資?
外貨建て保険は、外貨で運用するので投資商品という一面も。
円安になれば利益が出やすくなりますが、反対に円高になれば損益となることがあります。
保険金を受け取る金額が大きければ、1ドルあたりの為替レートが10円違えば円建てにしたときに受け取れる金額も大きく違いが出てきます。
外貨建て生命保険の場合でも、為替レートの影響を受けます。
例えば、1ドル100円のときに日本円の100万円を円建てにすると、1万ドルです。
円高ドル安になり1ドルが90円のときに1万ドルを円建てにすると、90万円になり10万円の損失になります。
円安ドル高になり1ドルが110円のときに100万円を円建てすると、110万円になり10万円の利益になります。
為替変動で、受け取れる保険金額が変動するのでリスクが伴いますが、円安になれば受け取れる保険金額は支払った保険料よりも得になる可能性があります。
円高になったとしても多少の差だったときは、大きな損にはならないので、デメリットやリスクを知ったうえで契約すれば問題がないと言えます。
苦情やクレームにならないように保険商品の性質をしっかりと理解しましょう。
外貨建て保険のメリットとデメリットとは?
外貨建て保険に入るときには、いくつかの点でメリットとデメリットがあります。
このどちらもしっかりと理解したうえで、入るようにすると失敗がないでしょう。
外貨建て保険では、保険金を受け取るときの為替レートが大きくかかわってきますが、今後どのように変動していくかわかりません。
世界の経済状況で、為替相場も変わっていきます。
外貨建ての保険で得をするか損をするかは、そのときにならないとわからないのが実情です。
ここでは、外貨建て保険のメリットとデメリットをそれぞれ見ていきましょう。
外貨建ての保険のメリット
- 資産運用と保障の両立ができる
- 為替が円安なら保険金が増加
- 保険料が割安
外貨建ての保険のデメリット
外貨建ての保険のデメリットは、
- 為替変動に影響される
- 保険金の受取時まで金額が確定されない
- 契約時と解約時に手数料がかかる
リスクを理解することが大事!トラブルを避けるために覚えておくこと
外貨建ての保険は、投資としての一面を持っていることを理解する必要があります。
外貨建てでは、満期金を受け取るときのレートの変動によって、予定していたよりも支払われる金額が元本割れする場合もあります。
このようなことが苦情やクレームになることが予測されます。
また、外貨から日本円に両替するときも手数料がかかるので、満期金が目減りしてしまうことも考慮すべきです。
外貨建ての保険は、保険のセールスパートナーから勧められる場合もありますが、銀行などの代理店が販売していることが多く、保険商品であることをしっかりと理解しないまま契約してしまう方もいます。
銀行の定期預金などとは異なり、元本が保証されたものではないので、保険であることをしっかりと理解する必要があります。
しっかりと理解することが苦情やクレームを回避する要素といえます。
目的別のおすすめ外貨建て保険を紹介!
それぞれの保険会社で外貨建ての保険が販売されています。
どのような目的で入るのか明確にして、外貨建ての保険であることを理解して加入するようにしましょう。
今回紹介するのは、
- 死亡保険金:10万ドル
- 保険期間:終身
保険料 | |
---|---|
メットライフ生命 「ドルスマートS」 | 30歳男性 15年払込満了 268.60USドル |
ソニー生命 「米国ドル終身保険」 | 35歳男性 60歳払込満了 176.20USドル |
マニュライフ生命 「こだわり外貨終身」 | 30歳男性 60歳払込満了 標準:209.00USドル 非喫煙者:191.00USドル |
の3つです。
それぞれを苦情やクレームにつながらないように詳しく見ていきましょう。
保険料を抑えたいなら メットライフ生命「ドルスマート S」
メットライフ生命「ドルスマートS」は、積立利率変動型の終身保険です。
特徴は、
- 2.5%の積立利率を最低保証
- 死亡保障や解約時、解約返戻金が米ドル建てなので多くもらえる可能性がある
- 払込通貨・受取通貨を米ドルか日本円のどちらか選べる
- 死亡保障と資産形成の両立ができる
- 三大疾病や介護にも備えられる
- 死亡保険金
- 高度障害保険金
- 30歳男性
- 保険期間:終身
- 払込期間:15年
- 終身保障:10万ドル
基本プラン | 低解約返戻金プラン | |
---|---|---|
保険料 | 281.4USドル | 268.6USドル |
支払う保険料は、米ドルが基準となっているので円で支払うと毎月の金額が変わります。
解約返戻金については以下の通りになります。
経過年数 | 支払累計額 | 解約返戻金 積立利率2.5% (返戻率) |
---|---|---|
10年 | 32,232USドル | 20,792USドル (64.5%) |
20年 | 48,348USドル | 52,688USドル (108.9%) |
30年 | 48.348USドル | 62,868USドル (130.0%) |
支払累計に対して、経過年数が長くなればなるほど返戻率が上がり、20年経過したときには支払った保険料よりも返戻金が多くなります。
しかし、外貨建ての保険は受け取るときのレートが影響するので、必ずしも試算の通りになるとは限りません。
このことが、苦情やクレームの一因になってしまうのが現状としてあります。
資産運用商品としてみるならソニー生命「米国ドル建終身保険」
ソニー生命の「米国ドル建終身保険」は、無配当の終身保険です。
特徴は、
- 死亡保障が一生涯継続
- 米ドル建て保険で、為替リスクがある
- 保険料の高額割引制度はある
- 身体障がいになったときには、保険料の払い込みが免除される
- 契約貸付が利用できる
- 死亡保障
- 高度障害保障
- 35歳
- 死亡保険金:10万ドル
- 保険期間:終身
- 払込満了年齢:60歳
男性 | 女性 | |
---|---|---|
保険料 | 176.2USドル | 147.9USドル |
解約返戻金については、解約を申し出たときのレートで受け取れる金額が増減しますが、おおよその試算は以下の通りになります。
経過年数 | 払込累計額 | 解約返戻金 (返戻率) |
---|---|---|
10年 | 21,144USドル | 18,250USドル (86.3%) |
15年 | 31,716USドル | 29,170USドル (91.9%) |
20年 | 42,288USドル | 41,440USドル (97.9%) |
25年 | 52,860USドル | 55,350USドル (104.7%) |
この金額は、あくまでも試算であってレートの増減があれば試算よりも受け取れる解約返戻金が減る場合もあります。
ソニー生命は、手数料によって受け取れる金額が目減りする心配がないので、資産形成に役立てるものになっています。
非喫煙者が三大疾病に備えたいならマニュライフ生命「こだわり外貨終身」
マニュライフ生命の「こだわり外貨終身」は、積立利率変動型の終身保険です。
この保険は、一生涯の保障と資産形成の両立が可能で、資産運用を考えている方にもおすすめです。
特徴は、
- 米ドルと豪ドルのどちらかを選択できる
- 最低の積立利率が設定されていて安心
- 非喫煙者料率が適用されてタバコを吸わない人は保険料が割安
- 特定疾病保険料払込免除特約を付加すると疾病発症後の保険料が免除になる
- 死亡保険金
- 高度障害保険金
- 30歳男性
- 保険金:10万ドル
- 保障期間:終身
- 払込期間:60歳満了
- 特定疾病保険料払込免除特約:あり
標準 | 非喫煙者 | |
---|---|---|
保険料 | 209.00USドル | 191.00USドル |
この保険は、特定疾病保険料払込免除特約を付加していると、がん・急性心筋梗塞・脳卒中の所定の状態になると、以後の保険料が免除になります。
さらに、特約の部分があるので解約返戻金が増える仕組みになっており、解約して返戻金を受け取って治療費などに充てることができます。
解約返戻金については、加入時に確認しておくとよいでしょう。
(参考)外貨建て保険の苦情件数の増加を受けた金融庁の動き
外貨建ての保険に関しての苦情やクレームは、生命保険協会が調査を開始してから年々増加しており、2019年も前年比で1割増加しています。
その理由にはいくつかの点が考えられますが、外貨建て保険のリスクについて理解していない方が多いようです。
そこで、金融庁も外貨建ての保険の苦情件数の増加を受けて注意喚起の動きがあります。
顧客に対して、リスクが伴うことやレートによっては元本割れすることがあることを資料を用意したり説明を明確にしたりすることを要請。
販売するときに顧客に外貨建ての保険であることの説明を行い、為替リスクの影響を受けることや支払った保険料よりも受け取れる保険金が減ってしまう可能性を募集資料や比較表などを活用するのが望ましいとしています。
外貨建て保険選びに迷ったら無料保険相談を活用しよう!
一般的な円建ての保険に入るときでも、どれに加入すればいいのか迷ってしまうものです。
ましてや外貨建ての保険を勧められたときに、加入していいものか判断に迷ったときや適した保険がわからないときは、無料保険相談を活用しましょう。
- 保険の仕組みや保険金の受け取り方などわからない
- レートの影響をどのくらい受けるのか
- 為替レートはどの時点で反映されるのか
外貨建ての保険は、外貨で運用されてメリットもありますが、レートの増減で支払う保険料や受け取れる保険金なども増減する保険商品です。
為替レートによるリスクもあるので、保険の仕組みを正しく理解してトラブルを回避しましょう。