歌舞伎をはじめ、日本初のオペラや翻訳劇にも出演した近代の名優、七世松本幸四郎が襲名してから今年でちょうど100年目となる。これを記念して、七世幸四郎の曾孫である市川染五郎、尾上松緑、市川海老蔵の3人が中心となり、七世幸四郎ゆかりの作品を上演する『日生劇場十二月歌舞伎公演』が12月7日(水)、同劇場にて開幕する。『日生劇場十二月歌舞伎公演』チケット情報染五郎は、100年ぶりの復活上演となる『碁盤忠信』で佐藤忠信役を務める。「七代目幸四郎というと、曽祖父ではありますが私にとっては伝説の名優です。『碁盤忠信』は100年前、曽祖父が襲名披露で演じた演目です。僅かに残る台本と向き合い、衣裳や音楽など荒事の新作を作るつもりで取り組みたいと思っています」と語った。また、個人的な思いとして「それぞれが自分の役割をしっかり務め、その結果、『誰がよかったですか』とお客さまに判定していただく、対決という感じで務めてみたいと思っています。私たち3人は一生この世界で同時代を生きていくわけですから歌舞伎の灯を消さないよう、力を合わせて頑張っていきたいです」と話した。茨木童子の伝説を題材にした舞踊劇の大曲『茨木』に挑む松緑は、「(『茨木』は)これを第一歩に生涯かけて務め続けられればと思っています。初役ですのでコクとまではいかないと思いますが、何とか墨絵の重厚感みたいなものが出せればと思っています」と気合の入ったコメントを寄せた。また、夜の部に3人揃って出演する『勧進帳』について「親戚3人で一年の締めくくりとしてやれることが楽しみですね」と話し、共演するふたりについても「染五郎さんとは気心が知れていて、今後ふたりで継承していきたい演目が多くあります。海老蔵さんとも互いの息はよくわかっているつもりです」と語った。海老蔵は近代随一と言われた七世の弁慶役について「今回は曽祖父が生涯におよそ1600回以上務めたとされる『勧進帳』の弁慶を務めさせていただきます。この作品自体、祖先の七代目團十郎が作ったものですので、やはり市川家のひとりとして、気を引き締めて務めていかなければなりません」と心境を語った。また「3人とも将来は歌舞伎界を支えていかねばならない立場。この公演をきっかけに改めて(歌舞伎と)真摯に向き合い、しのぎをけずり、芸道精進していきたいですね」と話していた。公演は東京・日生劇場にて12月25日(日)まで上演。チケットは発売中。なおチケットぴあでは、花道シートと厳選レストランでの食事がセットになった企画チケット及び、平日限定の筋書付チケットを発売中。
2011年11月30日来月行われる新橋演舞場『吉例顔見世大歌舞伎』は、七世尾上梅幸の十七回忌、ならびに二世尾上松緑の二十三回忌の追善公演として、故人とゆかりの顔ぶれと演目を揃えて上演される。上演に先立ち、9月26日、昭和を代表する歌舞伎の名優・七世梅幸と二世松緑のふたりを偲ぶ会が日比谷の東京會舘で開催された。会場には、歌舞伎界を中心に800名を越える各界の著名人が出席し、出席者は開場とともにふたりの写真が並ぶ祭壇に献花を捧げた。「吉例顔見世大歌舞伎」チケット情報七世梅幸の長男・尾上菊五郎、孫・尾上菊之助、二世松緑の孫、当代・尾上松緑はそれぞれ壇上から出席者に挨拶し、坂田藤十郎の発声により献杯を行った。菊五郎は「ふたりを全然知らないお客様も増えています。大恩人のふたりの孫たちが、一生懸命頑張ってくれているので大分肩の荷もおりました。松緑おじさんの気配り・目配り、芯に立つ人は、こうでなくてはならないなというところを当代の松緑が引き継いでくれています。今日の会場は、父が大好きで、結婚式も挙げた場所。皆様に来ていただけて本当に嬉しい。お祭り騒ぎが好きでしたからね。沢山のお客様に観ていただいて当人たちを喜ばせたい。そのためには、なんでもやります」と挨拶。松緑は「祖父(二世松緑)から技術的な事を教えてもらう前に亡くなった。菊五郎のお兄さんをはじめ、これまで菊五郎劇団の方々に教えて頂きました。祖父が生きている間に、恩返しは爪のかけら程もできなかったが、自分の子供が舞台に出るぐらいにさせて頂いた、劇団というところへの恩返しが、ひとかけらでも出来ればという気持ちが強いです。まずはご覧になって頂くお客様に喜んでいただけるというのが一番。来てよかったと笑って帰って頂けるように、1か月間、舞台を勤めたい」と舞台への意気込みを語った。菊之助は「祖父に話をもっと聞いておけばと、役をさせて頂くときに思います。稽古の時には、厳しかったです。教わったものは数少ないですが、その中のひとつにまだ学生だった頃に、祖父と父とご一緒させて頂いた『三人道成寺』というのがありまして、そのお稽古をつけて頂いたのが厳しかったですけれども有難かったです」と思い出話を披露。ふたりの名優の映像や、故人と親しくしていた著名人による思い出話など、会場は終始和やかなムードに包まれていた。公演は11月1日(火)から11月25日(金)まで、東京・新橋演舞場にて上演。 チケットは発売中。
2011年09月27日