こんにちは。メンタルケア関係を中心に執筆しているメンタルケア心理士の桜井涼です。『病後うつ』という言葉を聞くと、あまりいいイメージを持たない方がいるかもしれません。病後うつとは、大きな病気をした後に心と体が思うように動かなくなるもので、「気の持ちようだ」、「単なる落ち込みだ」でなるものではありません。病後うつの初期の場合は、家族の手助けで良くなることがあります。ケア方法を知っておくだけでも、何かあったときに役立てることができますのでお伝えしたいと思った次第です。●病後うつの原因とケア方法●発症の原因大きな病気をすると、さまざまな制限を設けなければならなくなることがあります。たとえば、糖尿病になった場合だと、食事制限などをさします。その他に、・心身的な苦痛・日常生活においての制限・制限による焦りなどがあります。今まで自由に動いていた体が、動かしづらかったり、日常生活の中で人の手を借りないとできないことが出てきたりといったことです。このような状況の中で、「早く良くならなくてはいけない」というあせりも出てきます。このようなことが、心に大きな負担 となってしまうことが一つの要因となっています。●病後うつの症状あせりやイラ立ちの心の状態が、長く続くと次のような症状を出現させてしまうのです。大きな症状として挙げられるのは以下の通りです。・抑うつ・不眠・不安感・イライラ・落ち込み特に初期に多いのが不眠 です。さまざまなことを考えてしまい、眠れなくなってしまうことから始まるようです。「本当に良くなるのだろうか」、「病気になってみんなに迷惑をかけている」などを考えてしまいます。リハビリが必要になったり、食事制限があったりすると、どうしても、「自分が家族の負担になっている」と考え込んでしまうことが増えます。しかも、こういった症状を家族に話せないでいることが多いのです。脳卒中・肝炎などを発病させ、回復期に入ってくると、この考えが強くなる人が多いと言われています。いざ活動を始めようとすると、体とはうらはらに心がついていかない状態と考えてほしいと思います。●ケア方法本人の話を聞いてあげることが家族にできる一番の方法です。アドバイスしたり、励ましたりすることも大切ですが、まずは話に耳を傾けてあげましょう。アドバイスや励ましの言葉は時として、本人に無理をさせてしまう ことにつながります。本人は真剣に悩んでいるので、全てにおいて肯定的に捉えられるよう、休息を取る方向(休むことは悪いことじゃない)がいいです。また、パートナーや家族の支えが必要です。病気の療養を第一に考えるがゆえに、「頑張れ!」と励ましてしまうことがあります。でも、不眠などが始まり、心がついていかない状況下での励ましは心の 状態を悪くさせてしまいます 。「今はゆっくり休むときだよ」と心と体をゆっくり休ませることを大切にさせましょう。不眠や落ち込み、イライラなどの症状がひどくなっていく場合は、迷わず心療内科やメンタルヘルス科への受診をしましょう。早い段階の受診が、病後うつの回復につながります。●おわりにアメリカの遺伝子学者であるDr.ジェフ・ミラーは、こう言っています。『治療において、体と心は1つである。切り離して考えてはいけない。体同様、心を癒やすことも必要なのだ』大きな病気をした人にとって、今後の生活や自分の体のことを心配するのは当然です。しかし、考えすぎてしまうことで、心の病気 へと発展することがあります。これが病後うつです。それにいち早く気づいてあげられるのが家族です。病気をした家族がいたら、話を聞いてあげるという大切な行動を起こしましょう。それが一番のケア方法であり、心を回復に向けることの第一歩になるからです。【参考リンク】・うつ病教室 | 一般社団法人日本うつ病センター()●ライター/桜井涼(フリーライター)
2016年02月24日