アクト・ツーは5月26日、未知のウイルスからPCを守るアンチウイルスソフト「DeP(ディフェンスプラットフォーム HomeEdition)」の無償版を一斉配布すると発表した。「DeP(Defense Platform)」は、ウイルスをAPIで察知・捕捉し対処する。新型ウイルスの侵入も阻止する「情報漏洩対策」として開発された技術を搭載している。アクト・ツーによると、日本は先進国の中でもホワイトリスト型セキュリティソフトの導入が遅れているという。そのため、開発元であるハミングヘッズの全面協力の下、日本国内での認知度と普及を促進するために、無償版の配布を決めたという。また、米国でも同日に無償版の提供を開始する。日本国内で900社以上が導入する「メイドインジャパン」の技術を米国市場でも本格的に普及させることを目的としており、米国版「DeP」は「SHINOBI」という名称で提供される。使用期間に期限はないが、利用者側で操作できるリスト項目数は1000個(有償版は無制限)までに限定される。
2015年05月27日不正送金や遠隔操作など個人、法人を問わず様々なウイルスやマルウェアの被害を受ける可能性が高まるなか、家庭でもすぐに実現できる強固なセキュリティ環境の構築方法について識者らによる解説が行われたのが、去る3月15日(日)に東京・秋葉原で開催されたセミナー「あなたのPCは安全?動作が重い?自宅でもできる次世代セキュリティ対策 ― DefensePlatform書籍出版記念セミナー ―」だ。このセミナーの講演でハミングヘッズの顧問 石津広也氏は、「これまでできなかった防御を可能にする純国産セキュリティ」をテーマに、アンチウイルスソフトを中心としたこれまでのセキュリティ対策では難しかった未知の脅威からPCを守る方策を「DefensePlatform」の解説を通して披露した。その模様をレポートする。○アンチウイルスソフトの限界と現在進行形の新たな脅威創業15年の技術ベンチャーで、純国産のセキュリティソフトメーカーであるハミングヘッズ。その最大の強みは、WindowsAPI監視に関する特許を有しており、プログラムに不正動作をさせない技術を製品に実装できる点にある。Windows上で動くソフトウェアはすべてAPIを使用するため、そこを監視できれば、ソフトウェアの挙動を完全に把握し、そしてコントロールすることが可能となるのである。こうした極めて優位性の高い独自技術を背景に、同社の情報漏えい対策製品は電力、金融、官公庁といった機密性の高いシステムを扱う企業や組織を中心に約900社もの導入実績を誇る。24時間365日、サービスを停止させることが許されない重要インフラ企業でも十数年にわたって使われ続けており、そのような信頼性の高いコア技術をベースに標的型攻撃対策製品として開発されたのが「DefensePlatform」である。石津氏は、「これまでいくつものセキュリティ対策製品が守れなかった脅威であっても確実に守れるように開発したのが『DefencePlatform』です」と語る。ここで同氏は、昨今の脅威の深刻さを端的に示すマルウェア被害の実例を2つ紹介した。1つは、2013年12月に米国小売大手T社で、2014年9月には米国小売大手H社で発生した情報漏えい事件である。どちらの事件も同じ手法でPOSネットワークが攻撃され、クレジットカードなどの情報が盗み出された。その被害件数は前者が7千万件、後者が最大6千万件に及ぶ。いずれの攻撃にも同じマルウェアが使われているが、T社の事件を知っていたH社も情報漏えいを防ぐことはできなかった。もちろん、アンチウイルスソフトやIPSなど一般的なセキュリティ対策は実施済みだ。石津氏はこう力説する。「なぜ両社はウイルスに気付かなかったのか? それはアンチウイルスソフトは基本的に、過去に発見されたマルウェアが記されたパターンファイルによって検知を行うため、検知されないよう工夫された新種や亜種への対応が遅れがちであり、また攻撃先が1社の場合はそこで発見されない限りマルウェアの存在に気付くことができないからだ。さらにPOS端末は機能が限定されているために、監視項目がサーバーなどに比べて少なくなりがちなことから、被害に気づきにくい傾向にある」もう1つのマルウェア被害の実例は、昨年より脅威が叫ばれているMITB (マン・イン・ザ・ブラウザー) 攻撃によるインターネットバンキング不正送金である。警察発表によると、昨年この攻撃によって29億1000万円に及ぶ被害が発生しており、そのうち37.3%が法人口座での被害だという。MITB攻撃に用いられるマルウェアは次々と新種亜種が作られるため、やはり既存のアンチウイルスソフトでの検出が困難だ。加えて、通信先が正規の銀行サイトのため、通常のネットワーク監視を行っていても異常を検知しにくい。「つまり、既存のアンチウイルスソフトが効かず、さらにネットワーク監視でも発見できないような攻撃が蔓延していることが、今日のセキュリティの大きな問題なのです」(石津氏)実際、アンチウイルスソフトでは現在流出しているマルウェアの45%しか検出できない、と大手セキュリティベンダーの幹部が発言して波紋を呼んだことは記憶に新しい。○プログラムの「今」の挙動を監視する「DefensePlatform」の実力とは既存のアンチウイルスソフトやネットワーク監視ソリューションが限界に達している中にあって、その限界を突破する新たなソリューションとして登場してきたのが「DefensePlatform」だ。これまでのアンチウイルスソフトは、前述のように過去に発見されたマルウェアと突き合わせて検知を行うという、過去の事例に依存する方式を採用している。「ビルの管理にたとえるならば、入り口に警備員が立っていて、来訪者と犯罪者リストを照らしあわせ、リストになければ通すということになります。これでは、もしリストに記載されてない悪意を持つ人間がいたとしても入り放題となってしまう。それがパターンファイルの限界なのです」(石津氏)対して「DefensePlatform」の仕組みは、Windows内部のプログラムの動作を監視し、プログラムが自動で破壊・改ざん・漏えいしようとする動きを制止するというものだ。そのため、マルウェアが新種であろうと亜種であろうと (さらにはたとえ正規のプログラムであろうと) 一定の疑わしい動作をすればそれを見つけて止めることができるのである。「ビルの監視で言えば、ビル内の人々の行動を監視していて、悪いことをしたら即座に捕まえるということ」と、石津氏は表現している。○ホワイトリスト方式のセキュリティを支援する豊富な機能現在は、毎日20万件ものマルウェアが新たに登場していると言われており、もはやアンチウイルスソフトのように過去のデータと突き合わせる「ブラックリスト方式」では脅威を防ぐことはできない。「DefensePlatform」のように、あらかじめ許可したプログラムだけに動作を認める「ホワイトリスト方式」への発想の転換が切実に求められているのだ。とはいえ、これまでにあったホワイトリスト型と言われるセキュリティ製品は、使うアプリケーションをすべて把握して登録設定が必要となり、実用性の面で問題があるといった事例が多数あった。しかし「DefensePlatform」の場合、WindowsのOS本体や国内企業でよく使用されているビジネスアプリケーションはあらかじめホワイトリストに登録済みなので、基本設定だけで高度なセキュリティを実現することができるのである。さらに、新たにアプリケーションをホワイトリストに追加登録する際も、ダイアログのボタンで簡単に行えるようになっている。また、アプリケーションごとに「他のユーザーがどのような選択をしたのか」という情報が、グラフなど視覚的に提示されるため、判断に迷った際の参考になる。他にも、端末に負荷がかかるスキャンが一切不要であるため、性能が不足しがちなタブレット端末でも快適に使用できる点も特筆に値する。「これまでできなかった対策ができるようになる反面、カバーできない部分も存在します。UTMなど他のセキュリティ製品と組み合わせることで、本当の意味で安心できるWindows環境を作っていける製品だと自負しています。Webサイトでは評価版も用意しているので、ぜひその効果を実感してください」──石津氏は会場に向けてこう訴えかけ、セッションを閉じた。なお、「DefensePlatform」を活用した家庭でのセキュリティ環境構築方法の詳細については、今回のセミナーの題材となった書籍(マイナビムック)「PCセキュリティ“超” 向・上・計・画」を参照するといいだろう。
2015年03月27日ニフティは2月3日、@nifty会員向けサービスとして、各端末にウイルスソフトをインストールすることなく、同社の「@niftyセキュリティセンター」にてウイルススキャンを行い、ネットワークに接続された機器の通信に対してセキュリティ機能を提供する「スマートサーブセキュリティ機能」を備えた「常時安全セキュリティ24プラス」の提供を、同日より開始した。同社では2003年より、3つの端末までウイルス対策ソフトをインストールできる「常時安全セキュリティ24」を提供しているが、セキュリティソフトがインストールされていない端末は保護できないという課題があった。「常時安全セキュリティ24プラス」では、この課題を解決するため、IoT時代を見据え、セキュリティソフトがインストールされていないネットワークカメラやゲーム機、スマートデバイスにも対応する(HTTP通信、SMTP通信、POP通信が対象)「スマートサーブセキュリティ機能」を追加した。月額料金は従来と同じ500円だが、別途初期費用が5000円必要(いずれも税別)。「スマートサーブセキュリティ機能」では、インターネット接続する際、「@niftyセキュリティセンター」を経由し、ここでウイルススキャンを行う。そのため、「@niftyセキュリティセンター」経由でインターネットにアクセスされるデータに関しては、端末を問わず防御できる。この機能は、同社が従来から提供していたスマートサーブ機能を活用したもの。スマートサーブは、自宅のネットワーク(LAN)に接続された機器を外出先から操作できるネットワークサービスだ。「@niftyセキュリティセンター」と自宅間はVPNで接続することにより、安全性を担保する。そのため、自宅のVPN端末としてスマートサーブ機能も合わせ持ったサービスアダプタ(NV900W)を設置する必要がある。初期費用の5,000円はこの端末代だ。サービスアダプターは、ルータ機能も備え、無線LANも利用できる。なお、「スマートサーブセキュリティ機能」は台数の制限はなく、サービスアダプター配下の端末はすべて保護される。また、「スマートサーブセキュリティ機能」として、2015年2月25日から「@niftyセキュリティセンター」にて「安全評価機能」も提供する。この機能はサービスアダプターの配下の機器が、詐欺サイトやフィッシングサイトなどの悪質なサイトに接続されることを防ぐ機能。ウイルススキャンおよび「安全評価機能」はシマンテックのウイルススキャンエンジン「Symantec Protection Engine」と、悪質な活動の発生源、新種の脅威などに関する情報を提供する情報サービス「DeepSight Datafeed」を活用している。シマンテックによれば、「DeepSight Datafeed」を利用したサービス提供は国内初だという。なお、同社ではサービス開始を記念して、2015年3月31日までに「常時安全セキュリティ24プラス」に申し込んだ場合、初期費用を無料にするキャンペーンを実施する。
2015年02月03日北海道大学(北大)は1月5日、生体内でB型肝炎ウイルス(HBV)が認識される仕組みを解明したと発表した。同成果は北大、名古屋市立大学、国立感染症研究所、米ロックフェラー大学、東京都医学総合研究所、フェニックスバイオらによるもので、12月31日付(現地時間)の米免疫学雑誌「Immunity」に掲載された。同研究グループは、HBVがヒト肝細胞に感染した際のセンサー分子は何か、またHBVを認識した後にどのような免疫応答が発生するのかについて、自然免疫に着目して研究を進めた。その結果、DNAウイルスであるHBVが、細胞内のRNAセンサーとして知られるRIG-Iによって認識されることを発見。その下流で抗ウイルス活性のあるインターフェロンを産生し、感染防御を誘導することがわかった。また、RIG-Iは、センサー分子として働くだけでなく、直接的にウイルスの複製を阻害する働きを持っていることも判明した。さらに、この複製阻害の仕組みに基づいたB型肝炎治療の創薬を支持する結果が、ヒト肝臓を移植したヒト化マウスモデルを用いた実験で得られたという。今回、生体内での分子センターを同定し、その認識機構の一端を明らかにしたことに加え、ウイルスの抑制の可能性を示唆する結果も得られたことによって、新たな視点でのHBV治療薬の開発につながることが期待される。
2015年01月05日嘔吐(おうと)や下痢などのつらい症状が現れるノロウイルス。寒い冬の季節になるとよく耳にするウイルスのひとつだが、どのような特徴があるのだろうか。ライオンのヘルスケアマイスター・山岸理恵子さんに話を伺った。○ノロウイルスの発生時期は近年、ニュースに取り上げられることも多いノロウイルスだが、感染しやすい時期や流行時期はあるのだろうか。「ノロウイルスは、2002年に命名されたウイルスで、それまで一般の人にとっては、単に『おなかの風邪』として認識されることが多かったようです。1年を通じて発生していますが、秋ごろから感染報告が多くなり11月~1月ごろがピークとなります。ノロウイルスは自然界での抵抗力が強く、空気中で長く生きることができます。気温が低くなるとさらに長く生存できるようになるため、冬場に感染した患者が多くなります」。自然界での抵抗力の強さからか、ノロウイルスは集団食中毒の原因となることも多い。気温が低くなってきた時期が、感染に注意したい季節となる。○10~100個のウイルスで感染では、ノロウイルスにはどのような特徴があるのだろうか。「ノロウイルスはウイルスの中でも比較的小さく、空気中に浮遊しやすいです。また、手のシワなどにも入り込みやすいので、丁寧に手洗いしないと残留してしまいます。たった10個から100個のウイルスで感染するとされており、発症後、症状が治まった後も2週間から4週間ほどはウイルスを排出し続けるため、感染が広まりやすいと考えられます」。感染しても症状の出ない場合(不顕性感染)もあり、本人の自覚が無いままウイルスを排出しているケースもあるという。「ノロウイルスは、宿主であるヒトの小腸上皮細胞でのみ増殖します。つまり、増えるのはヒトの体内のみで、食べ物の中などでは増えません。そのため培養して特性をつかむことも難しく、類似の代替えウイルスによる研究がされています」。培養が難しいウイルスの場合、ウイルスを分離して特定することも困難となるため、食品中のノロウイルスを検出することが難しい。そのことが、食中毒の感染経路や原因の究明をより難しくしているという。○感染はほとんどが経口感染自然界での強い抵抗力をもつノロウイルスだが、ヒトへの感染経路は限られるという。「ノロウイルスはほとんどが経口感染で、予防には口からウイルスを入れないことが大切です。『手洗いをきちんとする』『加熱された食材を摂(と)る』などを心がけることで、感染のリスクは減らすことができます。また、体力のある人は軽症で済む場合も多いので、普段から免疫力の高い、健康的な生活を心がけておくことも大切です」。万一感染しても、より軽症で済ませるためには普段の生活で免疫力や体力をつけておくことが肝要。栄養のある食事、適度な運動などでノロウイルスに負けない体作りもしておきたい。写真と本文は関係ありません○取材協力: ライオン ヘルスケアマイスター・山岸理恵子さんボディーソープほか、スキンケア商品の開発に長年携わった後、現在のヘルスケアマイスターとなる。商品開発の経験を生かし、主にライオン快適生活研究所にて健康で快適な暮らしのための情報発信に尽力している。
2014年12月10日東京大学と科学技術振興機構(JST)は11月21日、インフルエンザウイルスの増殖に関わる約300個の宿主タンパク質の同定し、それぞれのウイルス増殖サイクルにおける作用を決定することに成功したと発表した。同成果は同大学医科学研究所の河岡義裕 教授と渡邉登喜子 特任准教授らによるもので、11月20日付け(現地時間)の米科学雑誌「Cell Host and Microbe」オンライン版に掲載された。現在、インフルエンザの治療薬としてタミフルなどの抗ウイルス薬が使われているが、それらの薬剤は特定のウイルスタンパク質の働きを抑えるため、遺伝子の変異によって薬が効きにくくなる耐性ウイルスが発生してしまう危険性がある。そのため、ウイルスのタンパク質に作用せずにウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬の開発が求められている。ウイルスは宿主細胞内のたんぱく質の働きを利用して増殖するため、宿主細胞のタンパク質とウイルスの相互作用を抑える薬剤があれば、有効なインフルエンザ治療薬となる可能性がある。同研究グループは、インフルエンザウイルスタンパク質と結合するヒトタンパク質(宿主因子)を網羅的に探索。その結果、11種類のインフルエンザウイルスタンパク質と相互作用する1292個の宿主因子を同定した。次に、それらの宿主因子がインフルエンザウイルスの増殖とどのように関係しているのかを調べたところ、ウイルスの増殖効率に影響を与える323個の宿主因子を同定した。また、それらの宿主因子の機能を阻害する薬剤が抗ウイルス薬として有効であるかどうかを検討した結果、いくつかの薬剤に抗ウイルス効果があることが確認された。今回得られた成果は、インフルエンザウイルスの増殖や感染のメカニズムを明らかにするために有用であるとともに、インフルエンザ治療薬開発の重要なターゲットになると期待される。
2014年11月21日アディーレ法律事務所は14日、B型肝炎の給付金請求手続に特化したWebサイトを開設した。弁護士が給付金の請求手続を最大限サポートするという。アディーレは、B型肝炎の給付金請求の専門チームを設置し、相談に対応している。今回開設したサイトでは、B型肝炎と給付金の基礎知識、給付金を受け取るまでの流れなどを詳しく掲載しているほか、寄せられた質問をQ&Aとして紹介し、用語集では専門的な用語をわかりやすく説明している。また、サイトにて「7日間でB型肝炎の給付金制度がわかる! メールマガジン」の申し込みも可能となっている。日本では、予防接種法により、幼少期に集団予防接種の強制が実施されてきた。その際、注射器(注射針や注射筒)の使い回しというずさんな管理が行われ、40数万人(国の推計)もがB型肝炎ウイルスに感染したといわれている。現在では国が責任を認め、感染被害者を対象に給付金が支給されるようになったが、給付金を受け取るには訴訟手続が必要であり、専門的な知識や労力が求められる。さらに請求期限も2017年1月12日までと決められており、これまでの給付金受給者は8,748人(2014年8月1日法務省発表)と、感染被害者全体のわずか2%にとどまり、救済は道半ばとなっているという。
2014年11月14日Trend Microはこのほど、「『Shellshock』関連の脆弱性をさらに確認|トレンドマイクロ ブログ|トレンドマイクロ セキュリティ ブログ (ウイルス解析担当者による Trend Micro Security Blog)」において、現在のところ、bashの脆弱性(通称:Shecllshock)を悪用した、HTTP、SSH、DHCP、FTP、SIP、SMTP、VPNなどのプロトコルを経由する侵入経路が存在すると伝えた。利用できるプロトコルは今後さらに増えるおそれもある。9月24日に広く知られるようになったShellshockに関連するCVEは現在6つになっている(CVE-2014-6271、CVE-2014-7169、CVE-2014-6277、CVE-2014-6278、CVE-2014-7186、CVE-2014-7187)。これらを悪用されると、ユーザー権限がない状態でも遠隔からのコマンド実行が可能とされている。環境変数が指定できる仕組みになっている通信プロトコルがいくつか存在しており、今後影響範囲はさらに拡大する危険性がある。組込み機器などでbashが使われているケースでは、アップデートされないままボットネットの構築などに悪用される危険性も高い。bashを使用している場合、引き続きShellshockに関する最新の情報を入手するとともに、常に最新の状態へアップデートすることが推奨される。
2014年10月06日MSDは9月26日、C型慢性肝炎治療薬「バニヘップ カプセル150mg(一般名:バニプレビル)」の製造販売承認を取得したと発表した。同治療薬はC型肝炎ウイルス(HCV)の複製に関わる酵素を阻害するもので、「ペグインターフェロン アルファ-2b」および「リバビリン」との3剤併用療法により、日本人のC型肝炎患者の約70%を占めるジェノタイプ1型のC型慢性肝炎に効果を示すという。現在、日本では約150万~200万人がHCVに感染していると推定されているが、感染がわかっていない人や、わかっていても通院しない人も多い現状がある。さらに、慢性肝炎、肝硬変、肝がん患者の75%がHCVに感染しており、年間3万人が肝がんで死亡している。同社は、「同治療薬および既存のC型慢性肝炎治療薬を通して、患者や医療従事者の皆さんに貢献できるよう努力していく」とコメント。なお、同治療薬は日本でのみ発売を予定している。
2014年09月26日赤ちゃんの初めての発熱として、もっとも多いのがこの突発性発疹。はしかや水ぼうそうのウイルスほど感染力は強くないものの、季節を問わず発生し、ほとんどの子が1歳までに突発性湿疹にかかります。そうしたことがわかっていても、生後まもない赤ちゃんが「さっきまで普通だったのに突然40度近い高熱!」となると、心配になりますよね。そこで今回は、突発性発疹にかかった時のケアや回復までの経過をお伝えしたいと思います。■突発性発疹の原因と症状突発性発疹には2種類あり、ほとんどがヒトヘルペスウィルス6型(HHV-6)の初感染による症状ですが、一部ヒトヘルペスウィルス7型(HHV-7)も存在します。そのため「突発性発疹は一度かかると再びかかることはない」といわれていますが、まれにもう一度かかる場合があるようです。感染後の潜伏期間は10日から2週間。突然40度近い高熱を出すわりには元気で、発熱期間は3~4日。平熱に戻った翌日くらいからお腹や背中を中心に赤い発疹が出て全身に広がると、血中に中和抗体が現れるため完治と診断されます。数日間かけて発疹は消えますが、かゆがることは少ないです。また、発熱しても比較的機嫌が良く、元気もあるのが特徴ですが、数日間は夜寝付きが悪かったり、ぐずったりすることもあります。病院へ行くと薬が処方されますが、発熱で食欲も落ちやすいため、食べ物に混ぜて服用させようとすると全量飲めないことがあるので気をつけましょう。服用薬以外に解熱剤の座薬を入れても、数時間後に高熱に戻ってしまうこともよくあります。水分補給をこまめにし、脇の下などリンパがある場所をやさしく冷やして、「大丈夫だよ」と安心させてあげてくだ下さい。■こんな時は要注意一般的な突発性発疹とは症状が少し違ったり、生後4ヵ月以下で「突発性湿疹と診断されるには少し早いかも…」という場合、腎臓の病気の可能性も考えられます。その見極めには、採血やおしっこの検査が実施されます。わが家の次女も生後4ヵ月で突発性発疹を発症し、採尿や採血をしました。その際、一緒にアレルギー検査をしてもらうこともできたので、お子さんのアレルギーが心配な方はお医者さんに相談してみるのもよいかもしれません。突発性湿疹は発疹が現れた時点で完治となりますが、赤ちゃんは発熱で体力をかなり消耗しています。1ヵ月近くは抵抗力の低下からほかの感染症にかかりやすいため、できるだけ人混みを避け、無理がかからないよう気をつけてあげましょう。「突発性発疹はどの子も必ず経験する」と言われていても、わが家の長女は2歳半まで熱ひとつ出さず、「いつ来るの…?」と待っているうちに幼稚園生になってしまいました。このような場合もある一方で、次女は早く(生後4ヵ月)にかかったので「発熱した時はしっかり見守る」ということを、子どもから改めて教わった気がします。親も常に知識をブラッシュアップさせながら、子どもの様子を見守っていくことが大切なのですね。
2014年08月22日毎年、12月頃に猛威をふるう「ノロウイルス」。下痢や嘔吐(おうと)を引き起こし、8人に1人が感染しているという推計もある恐怖のウイルスだ。予防方法はいくつかあるが、先ごろノロウイルス対策商品としてにわかに脚光を浴びた商品がある。その正体とは―。○ウイルス界のフェラーリノロウイルスは主に腸管で増殖し、腸管の粘膜上皮のポンプ機能を破壊することで腹痛、嘔吐(おうと)、水溶性の下痢などの症状を引き起こす。インフルエンザウイルスの3分の1ほどの大きさで、口から10~100個ほど入っただけで感染が成立するとされており、その感染スピードの速さから「ウイルス界のフェラーリ」とも呼ばれている。感染症に詳しい、東京医科大学の松本哲哉微生物学講座主任教授は「ノロウイルスの感染経路としては、食中毒よりもむしろ人から人へとうつるケースが多いことがわかっています。ただし周囲に感染者がおらず、どこで感染したかわからない場合もあります。また、インフルエンザと違って、ノロウイルスの場合はワクチンも治療薬もありません。以前、ノロウイルスに感染した人でも繰り返し感染を起こすので、毎年ノロウイルスへの備えをしておかないといけません」と話す。○救世主の名はラクトフェリン30秒以上の手洗い、食品や調理器具などの加熱といった対策手段がある中、注目されているのが「ラクトフェリン」という成分だ。ラクトフェリンはたんぱく質の一種で、母乳、特に初乳に多く含まれており、赤ちゃんを感染症から守る役目を果たしている。「ラクトフェリンはヒトの免疫力を高める作用と病原体を弱める作用の2つの側面を持っています。その相乗効果がノロウイルスの感染を防ぐと考えられています」。○棚から消えた「森永ラクトフェリンヨーグルト」そのラクトフェリンを配合した商品の中で今最もホットなのは、森永乳業が販売している「森永ラクトフェリンヨーグルト」だろう。今月9日にNHKの番組でノロウイルス対策としてラクトフェリンが紹介された途端、スーパーなどの小売店に消費者が殺到。一部店舗では売り切れ状態になったり、買い占めを防ぐための購入数制限が設けられたりするなどの現象が起こった。森永乳業によると、「今年ならではのノロウイルス対策法」として紹介されたことにより、放送直後(12月9~15日)の森永ラクトフェリンヨーグルトの売り上げは、前年同期間比で770%となっているという。森永乳業は、ラクトフェリンの有効性を科学的にも分析しており、今年9月に461人(平均年齢59.3歳)を対象にした調査結果を発表した。試験では100mgのラクトフェリン含有食品の摂取頻度ごとに6つのグループに分けて、ノロウイルス感染性胃腸炎と思われる症状(腹痛、吐きけ・嘔吐(おうと)、下痢)での医療機関の受診者割合や医師の診断結果などについて調査した。その結果、ノロウイルス感染性胃腸炎と思われる症状で医師の診断を受けた人の割合は、摂取頻度が「ほぼ毎日」の人は「週1回程度」の人に比べて7.1%も減少しており、有意な差が見られた。また、医師からノロウイルスの疑い、または検査でノロウイルス確定と診断された人の割合に関しても有意な差が見られた。摂取頻度が「週1回程度」の人に比べて、「週4~5回」の人で6.1%、「ほぼ毎日」の人で6.5%の減少が確認された。○チーズ200gかラクトフェリン強化商品か松本主任教授は、ラクトフェリンはノロウイルスだけでなく風邪やインフルエンザにも有効かもしれないと話す。「実際、冬の流行期に行われた調査で、ラクトフェリンを摂取していたグループは、ラクトフェリンを摂取していなかったグループと比べて、発熱や鼻水など感染症の症状の発症率が有意に低かったという結果が認められています」。ラクトフェリンは冬場に摂取しておいて損はない成分なのだ。ラクトフェリンは、生乳やナチュラルチーズなどからでも摂取可能だが、有効量の目安となる100mgを摂取しようとなると「チーズでは100gとか200gの単位で食べる必要があり、毎日食べるのは現実的ではないと思います」。基本的には、ラクトフェリンが重点的に配合されている製品を食べた方が継続もしやすいという。チーズ200gかラクトフェリン強化食品か―。どんな方法にせよ、きちんと毎日ラクトフェリンを摂取することが、寒い冬を健康に過ごすためのコツとなりそうだ。
2013年12月24日内閣広報室は13日、首相官邸ホームページに「インフルエンザ&ノロウイルス特集ページ」を新設した。同特集ページは、冬に流行のピークを迎えるノロウイルスとインフルエンザへの注意喚起を目的として、家庭や職場でできる予防対策や政府の取り組みなどをまとめたもの。「インフルエンザにかからないためには」「政府が取り組むインフルエンザ対策」「ノロウイルスによる感染を防ぐには」などを閲覧できる。「インフルエンザにかからないためには」では、感染経路を断つこと、予防接種を受けること、免疫力を高めることなどを推奨。「正しい手の洗い方」など、インフルエンザから身を守るために気をつけるポイントを紹介する。ノロウイルスについても、家庭でできる予防対策の3つのポイント、「手洗い」「人からの感染を防ぐ」「食品からの感染を防ぐ」について、具体的な方法を示すなど、感染の拡大防止を呼びかけている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年12月17日ドイツの製薬企業・ベーリンガーインゲルハイムグループの日本法人、ベーリンガーインゲルハイム ジャパン株式会社は、28週間の治療後に、肝硬変を有するC型慢性肝炎患者で、最大71%がウイルス学的著効(薬効を示すこと)を達成したことが新たなデータで明らかにされた、と発表した。この結果は、ベーリンガーインゲルハイムが開発中の、インターフェロンを併用しない2つの直接作用型抗ウイルス剤を含む併用療法を受けた、C型慢性肝炎患者(ジェノタイプ1b型)において示されたもの。肝硬変は、肝細胞が破壊され消失して瘢痕(はんこん)組織となるものであり、発症すると肝機能が徐々に低下し、肝臓がんおよび肝移植のリスクが高くなる。インターフェロンによる副作用は重度になることもあり、その副作用には、心不全、敗血症、白血球減少症、失明などがある。インターフェロンは現行の治療選択肢のすべてで併用されており、その負担を軽減するためには、インターフェロンを併用しないで済む治療法が渇望されている。ジェノタイプ1型(ジェノタイプ1a型、ジェノタイプ1b型)はC型慢性肝炎の最も一般的なタイプで、インターフェロンを併用した治療レジメンでは最も治療困難なタイプでもあり、また、肝硬変患者は従来から治療への反応が不良で、特にインターフェロン治療では効果が認められなくなっている。今回の結果では、インターフェロンを併用しない28週間の治療後、最大でC型慢性肝炎患者(ジェノタイプ1b型)の71%がウイルス学的著効を達成した。今回のデータは、肝硬変を有するC型慢性肝炎患者という特定の患者集団に対してインターフェロンを併用しない治療法で、高いウイルス学的著効率が示された初めてのデータで、治療期間が大幅に短縮される可能性も示されている。この結果は世界で推定3,400万人の、肝硬変を発症する20%のC型慢性肝炎患者にとって意義あるものとなった。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年04月26日幼い頃に受けた集団予防接種で注射器を使い回しされたのが原因として、全国10地裁で国に損害賠償を求めて争われているB型肝炎訴訟。このほどの原告側との和解協議では、発症した場合に一時金を支給するにとどめられ、和解金を支払わない方針が国から示された。しかし、医療機関にかかることが少ないため実態が見えにくかった未発症者(キャリアー)の6割以上が、医療費の経済的負担を感じ、差別や偏見を経験するなどの被害を受けている人も多いようだ。これは、毎日新聞が実施したアンケート調査の結果として報じている。原告側は、薬害C型肝炎でのキャリアと同水準の1人1,200万円の和解金を求めているが、国側は接種から20年以上経過したキャリアーには損害賠償請求権がないと主張、「将来、肝炎などを発症する割合は相当程度低い」とも指摘している。原告の多くが定期的な血液検査や差別・偏見で悩むしかし、アンケートでは約9割が定期的な血液検査に通い、医療費の負担は「家計を圧迫して苦しい」といい、「家族に迷惑を掛けていると感じる」を合わせると64%に上るという。健康状態でも73%は「体調管理に気を使っている」と答え、常に不安を抱えた状態のようだ。さらに生活面の影響は深刻だ。差別・偏見を受けることが多く、差別が怖く家族以外には感染を知らせていないとか、家族にも言えないケースもあるという。「家族らに負い目を感じる」とした人は73%に達していて、発症者より割合が高く、また「夢を断念した」「性格が内向的になった」も20%以上いたとのことだ。保険加入困難、恋愛・結婚を断念…原告からのアンケートの自由記述欄に多かったのは、「生命保険の加入が難しい」「加入できても保険料の割り増しや条件付きの契約になってしまう」「保険に入れないので自分が死んだ時は家族の生活費を補償してほしい」など、保険での制約と要望だったという。また、つらいと感じるのは自身の健康問題に限らないようで、「親族が緊急に輸血を必要としても手助けできない。臓器提供の意思があってもできない」「48歳の若さで夫を亡くした母がショックでうつ病になり、家族がバラバラになってしまった」「友人の反応に過敏になり、パニック障害を発症した」「(子供に母子間感染させた女性からは)息子は交際相手に肝炎を告げるのが苦で恋愛も結婚もあきらめた」「子供が成長過程で発症し、母子心中まで考えた」「子供が偏見を受けず、充実した治療体制が確立されないと死んでも死にきれない」「『性交渉で感染したんでしょ?』と誤解されるのが悔しい」など、それぞれに深刻な悩みと戦っているようだ。専門家の意見は?専門家からは、「発症していなくても、感染したこと自体の被害を考慮すべき」との声が出ており、薬害問題に詳しい新潟医療福祉大の片平特任教授(保健学)は「発症の有無以前に『感染した』という事実が原告の人生に大きな影を及ぼしていることが推察される。和解協議は感染被害者の身体的・精神的・経済的・社会的被害を十分考慮に入れて進めるべきだ」と話している。こうして考えると、キャリアーへの何らかの対応は必須ではなかろうか。
2010年10月27日