第65回カンヌ映画祭の受賞結果が、フランス時間27日夜、発表された。最高賞パルムドールに輝いたのは、ミヒャエル・ハネケ監督の『アムール(原題)』。ハネケは2009年に『白いリボン』でパルムドールを受賞しており、わずか3年の間に二度もカンヌの最高賞を獲得したことになる。最高賞の次にあたるグランプリは、イタリアのマッテオ・ガッローネ監督の『リアリティ(原題)』が受賞。ガッローネ監督は、前作『ゴモラ』で審査員特別賞を受賞している。男優賞は『狩り(原題)』のマッツ・ミケルセンが受賞。受賞スピーチでミケルセンは「感激している。すごいサプライズだ」とコメント。授賞式後の記者会見では、思わず泣きそうになったと告白した。同作品でのミケルセンの演技ついて、審査員のひとりユアン・マクレガーは、「静かで繊細な演技。観る者の心を完全に惹き付ける」と褒めたたえている。今年のコンペ部門にはアメリカ作品が多く、ブラッド・ピット、ニコール・キッドマン、リース・ウィザースプーン、ブルース・ウィリス、マシュー・マコノヒー、クリステン・スチュワート、ロバート・パティンソン、シャイア・ラブーフなどハリウッドスターが多数レッドカーペットを歩いた。しかしアメリカ映画は何も受賞しないまま。同じく、フランス映画の受賞もなかった。日本の監督の作品はなかったが、日米合作のアッバス・キアロスタミ監督作『ライク・サムワン・イン・ラブ(原題)』がコンペ入り。「ある視点」部門では若松孝二監督の『11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たち』が上映されたが、受賞には至らなかった。主な受賞結果は以下のとおり。パルムドール:『アムール(原題)』グランプリ:『リアリティ(原題)』監督賞:カルロス・レイガダス(『闇の後の光(原題)』)審査員賞:『天使の取り分(原題)』男優賞:マッツ・ミケルセン(『狩り(原題)』)女優賞:クリスティーナ・フルトゥ、コスミーナ・ストラタン(『ビヨンド・ザ・ヒルズ(原題)』)脚本賞:クリスティアン・ムンジウ(『ビヨンド・ザ・ヒルズ(原題)』)ある視点:『アフター・ルチア(原題)』取材・文:猿渡由紀
2012年05月28日