『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督と、レオナルド・ディカプリオがタッグを組んだ映画『レヴェナント:蘇えりし者』の予告編映像が公開になった。復讐心だけを内に秘め、死の淵から帰還した男の壮絶な旅路を壮大なスケールで描いた圧巻の映像だ。『レヴェナント:蘇えりし者』予告編映像映画は、ハンターのヒュー・グラスの実話にインスパアされたマイケル・パンクの同名小説を映画化した作品。アメリカ西部の未開拓の荒野を旅する途中で熊にノドを裂かれて瀕死の状態に陥るも、仲間のジョン・フィッツジェラルドに置き去りにされてしまったグラス(ディカプリオ)が、自然の脅威に立ち向かいながら、死の淵から蘇り、約300キロもの旅をして、フィッツジェラルドに復讐しようと壮絶なサバイバルに挑む姿を描いている。このほど公開された予告編ではクマに襲われ重傷を負い、最愛の息子を奪われた主人公が過酷な大自然の中でサバイバル生活を送る姿が描かれるが、圧倒的な映像の美しさに目を奪われる。本作の撮影は、『バードマン…』でもタッグを組み、アカデミー撮影賞に輝いたエマニュエル・ルベツキが担当。自然の雄大さ、美しさ、恐ろしさを可能な限り、そのまま写し取ることに挑んでいるようで、森の木々の間から差し込む光、水辺を覆う霧、激流の水しぶき、一面の雪景色と止むことのない雪の粒などがキメ細やかなタッチで描き出される。そんな美しくも恐ろしい世界でディカプリオ演じるグラスの表情は憎しみに満ち、痛みで歪み、復讐を誓った瞳は鋭い光を放っている。この男は復讐を果たすことができるのか? 復讐が果たせたとして、その後に彼を待つものは? 映画本編はもちろん、この予告編だけでも大きなスクリーンで観たいと思わせる映像になっている。『レヴェナント:蘇えりし者』2016年4月 TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー
2015年11月27日『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督と、レオナルド・ディカプリオがタッグを組んだ映画『レヴェナント:蘇えりし者』が来年春に公開されることが決定した。その他の情報/日本公開決定タイトルの“レヴェナント”とは、長い不在や死の地から戻ってきた者を指し、幽霊や亡霊を指す言葉でもある。そのタイトル通り、本作の主人公ヒュー・グラスは、アメリカ西部の未開拓の荒野を旅する途中で熊にノドを裂かれて瀕死の状態に陥るも、仲間のジョン・フィッツジェラルドに置き去りにされてしまう。グラスは自然の脅威に立ち向かいながら、死の淵から蘇り、約300キロもの旅をして、フィッツジェラルドに復讐しようと壮絶なサバイバルに挑む。ハンターのヒュー・グラスの実話にインスパアされたマイケル・パンクの同名小説を映画化した作品だ。『ウルフ・オブ・ウォールストリート』で強烈な主人公を演じて映画ファンを熱狂させたディカプリオは俳優休業を宣言していたが、それを覆して本作への参加を決意。アメリカとカナダの大自然を舞台に行われた撮影は過酷で、フィッツジェラルド役のトム・ハーディの格闘シーンでは鼻が折れた状態で撮影を続行。ディカプリオが全身全霊をかけて挑んだ作品だという。イニャリトゥ監督も本作に多大な情熱を注いでおり、『バードマン…』でもタッグを組み、アカデミー撮影賞に輝いたエマニュエル・ルベツキが撮影監督を、テレンス・マリック、ポール・トーマス・アンダーソンらの信頼を集める才人ジャック・フィスクがプロダクション・デザインを担当。撮影では、巨大センサーを内蔵し、6Kの映像が記録できるARRI ALEXA 65と、スウェーデンのハッセルブラッド社のレンズを導入。照明機材を使わずに自然光だけで臨場感あふれる重厚な映像を描き出す。『レヴェナント:蘇えりし者』2016年春公開
2015年09月02日数々のシェイクスピア作品を手掛けてきた蜷川幸雄。彼が2015年、80歳を迎える歳に、実に8度目となる『ハムレット』に挑戦する。主演は藤原竜也。2003年、日本演劇史上最年少である21歳でタイトルロール(主人公の名がタイトルになっている作品での主役)を演じて以来、実に12年ぶりに同じ役に挑むこととなる藤原に思いを聞いた。「ハムレット」チケット情報「『ハムレット』を演じたいというのは、実は僕から直接蜷川さんにお願いしたんです」という藤原。そのきっかけはさいたまネクスト・シアターの「2012年・蒼白の少年少女たちによる『ハムレット』」を観劇したことだった。蜷川自ら率いる、若手演劇集団の公演だ。決して有名な役者たちが出ているわけではない。しかしその舞台に彼は感銘を受けた。「観ている間、自分の思いが瞬間的にその場から離れて浮かぶような、時空を超えたような感覚になったんです。キャストの若く疾走感あふれる演技もよかったし、唯一の年輩者であるこまどり姉妹さんも素敵でしたし、何よりも演出がすばらしかった」。その勢いのまま、蜷川に「『ハムレット』をやりたい」と願い出たという。「今思えば、なんて大変なことを言ってしまったんだろうという後悔にも近い思いはあります(笑)。けれど、蜷川さんが命を削るようにして作る舞台に自分もあげてもらいたいと思った」藤原といえば、デビュー作である舞台『身毒丸』で蜷川演出を受けて以来、コンスタントに蜷川作品への出演を続けてきた。観客からすれば、蜷川と藤原はすでにツーカーの仲に思えるかもしれない。しかし今年参加した、やはりシェイクスピアの『ジュリアス・シーザー』で、これまでにないほど絞られたのだという。「蜷川さんに、『生まれ変わった藤原竜也を見せてくれ』と言われたんです。僕はこれまで、自分の感情が動くままに感覚的に演じてきた。それだけでは済まない場所に差し掛かったんだとわかりました」。動きや表情はもちろん、セリフひとつひとつのイントネーション、強弱に至るまで、毎日のように飛ぶ指摘。共演の吉田鋼太郎にお願いをして、自主稽古もつけてもらったという。「デビューしてから、こんなに大変だったことはない。けれどこの経験が、次に『ハムレット』を演じる時に生きてくると思う」と笑う。「感性豊かな満島ひかりさんと共演できるのも大きな楽しみ。キャストもスタッフも場所も整った。あとはもう、全力でやるだけです」公演は、1月22日(木)から2月15日(日)まで埼玉・彩の国さいたま芸術劇場 大ホール、2月20日(金)から3月1日(日)まで大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて上演。大阪は2月25日(水)18:00に追加公演が決定しており、チケットぴあでは、プレイガイド独占先行受付を実施。プレリザーブ(先行抽選)が12月15日(月)11:00より受付開始される。一般発売は12月20日(土)より開始。取材・文:釣木文恵
2014年12月15日6月公開の『華麗なるギャツビー』に主演したレオナルド・ディカプリオは、同映画を手がけたバズ・ラーマン監督によって、ウィリアム・シェイクスピアの戯曲「ハムレット」の映画化作品に出演してほしいと熱望されているようだ。シェイクスピア原作の『ロミオ+ジュリエット』(’99)でレオナルドと初タッグを組んだラーマン監督は、またシェイクスピアの戯曲の映画化作品で彼と一緒に組みたいと熱望している。ラーマン監督は、5月1日(現地時間)にニューヨークで行われた同映画のプレミアで、「The Hollywood Reporter」誌の取材に答え、レオナルドとの再コラボの可能性について聞かれると、「『ハムレット』をやりたい。僕にとってギャツビーはアメリカのハムレットなんだ。次に撮る作品として、これしかないと思うんだよ」と語っている。レオナルドは5月8日に放送された朝の情報番組「Good Morning America」に出演し、「最初は僕は出演に躊躇していたんだ。『華麗なるギャツビー』は、読者が登場人物について、様々な解釈を持っているパワフルな小説だから。でもラーマン監督に“ノー”と言うのはほぼ不可能なんだよ」と語り、当初は出演に気が乗らなかったが、最終的に監督に説得されたというエピソードを明らかにした。『ハムレット』は、1900年からこれまでの間、映画化、テレビドラマ化されているが、第二次世界大戦後は7回しか映像化されていない。主演にはローレンス・オリヴィエ、リチャード・バートン、イアン・マッケラン、メル・ギブソン、イーサン・ホークら多彩な顔ぶれの俳優がハムレットに挑戦している。(C) Getty Images(text:Mieko Nakaarai)
2013年05月10日蜷川幸雄が率いる若手演劇集団さいたまネクスト・シアター。その第3回公演となる『2012年・蒼白の少年少女たちによる「ハムレット」』が、2月20日(月)から3月1日(木)まで、彩の国さいたま芸術劇場で上演される。2012年・蒼白の少年『少女たちによる「ハムレット」』公演情報稽古場では、無名の若い役者たちが衣裳や演技のアイデアを出し、そこに蜷川の情熱的な声が飛んでいた。「今ある自分の感性を信じすぎるなよ!」「他人と似ないことをしろ!」「そんなことで新しい風を持ち込めるのか!」……若者たちは途方に暮れながらも、考え、動き、また打ちのめされ、自分にしかできない表現を少しずつ探っていく。厳しい演出だが、「若い連中を矯正するつもりはないよ」と蜷川は言う。実際、昨年のオーディションでは「無表情」の若者たちをあえて選んだ。デジタルな電子機器に囲まれ、遮蔽物を通してしか他者と関われない現代への興味がそこにはある。しかし蜷川はまた、まるで若者たちを挑発して楽しむかのように言い放つ。「オレはお前たちをそこまでは肯定しないぞ!」自身、7度目の演出となる『ハムレット』については、「いつも謎が残り、取りこぼしてしまうものを感じてきた」という。今回は舞台装置にアクリル板を使い、ひんやりとした距離感を体現する。「氷の張った池の下にいる金魚を眺めるようなハムレット。報復の連鎖に荷担することを躊躇し、透明な抑圧の中に生きる姿を描きたい」。翻訳テクストは、藤原竜也が主演した2003年版と同じく河合祥一郎訳。一部カットはするものの恣意的な変更は加えない。そうしたある種の「不自由な条件」の下に他者を信頼し、その言葉を許容していくプロセスに、蜷川は演劇の可能性を見ているようだ。最大の見所は、演歌歌手・こまどり姉妹の特別出演!蜷川はおよそ40年もの長きにわたり、「生活者の目線」として、極貧生活から這い上がってきた彼女たちの存在を意識してきた。果たしてこまどり姉妹はどのように舞台に登場し、そこに若い役者たちはどう応えるのか?「3.11で、老人も若者も子供もみんな体育館に雑居する生活のるつぼが生まれた。かつての演歌にあった混沌さのようなものが、一気に露見してくる共通の土壌が今、できたんじゃないか」。世界的演出家と、無名の若者たち、そして伝説の演歌の女王による実験的『ハムレット』。予想を超えたセッションが生まれそう。チケットは発売中。取材・文:藤原ちから
2012年02月09日井上芳雄が主演するミュージカル『ハムレット』が2月1日、東京・シアタークリエで開幕した。ミュージカル『ハムレット』公演情報はこちら世界中で上演されているシェイクスピア悲劇だが、今回上演されているのは1999年にチェコ・プラハで初演された作品。日本では珍しい“チェコ・ミュージカル”だが、チェコで最も有名なミュージシャンのひとり、ヤネック・レデツキーが生み出した本作は、これまでにブロードウェイや韓国でも上演されており、世界的にも注目度が高まっている。物語は、デンマーク王家を舞台に、王子ハムレットが父を殺し王座と母を奪った叔父に復讐を果たす――という、基本的には原作に忠実なもの。だが、物語の展開よりも登場人物の感情に重きを置き、ギュッと凝縮されたスピーディな展開に。そしてエレキギターのサウンドが印象的なロックナンバーや軽快なポップスなど、多彩な音楽が斬新で、新鮮な『ハムレット』になっている。栗山民也の演出も、城壁を思わせる高さのある壁を一面に配したセットの中、陰影を効果的に使いドラマチックに仕上げた。タイトルロールの井上はこれまでも“王子”的役柄を数多く演じてきており、その意味で彼にとって王道の役かと思ったが、意外にも今までにない新鮮さをもってハムレットを演じている。嘆き、憎しみなど強い“負”の感情を爆発させるハムレットは激しく生々しく、だが目が離せない魅力を放つ。その井上ハムレットを取り囲むメンバーも強力だ。美しく気品あり、そして愚かさも持つ王妃ガートルードを演じる涼風真世はこれ以上ないほどのハマリ役。敵役のクローディアスの村井國夫の重厚さや、ヒロイン・オフィーリア役の昆夏美の透明感、妹オフィーリアへ温かい愛情を注ぐレアティーズ役の伊礼彼方など、それぞれが納得の存在感だ。またハムレットの親友ホレーショー役の成河(ソンハ)の爽やかさ、時にコミカルな演技で作品のガス抜きもするポローニアス役の山路和弘らも印象的。この大劇場常連のキャスト陣が揃い、600席強のコンパクトな劇場で見せる熱演は圧巻だ。公演は2月22日(水)まで同所にて。その後2月25日(土)から28日(火)まで大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ、3月3日(土)・4日(日)に愛知・中日劇場でも上演される。チケットは発売中。
2012年02月02日