●百田夏菜子が"オリザJr."に演出家・平田オリザによる同名小説を、『踊る大捜査線』シリーズの本広克行監督が映画化した青春映画『幕が上がる』が2月28日から公開。主演は他のアイドルとは一線を画す存在として熱い支持を集める、ももいろクローバーZ。高校演劇を舞台に、全国を目指す少女たちの姿を描いた本作は、モノノフ(ももクロのファン)以外の観客の胸にも確実に響く作品に仕上がった。部長のさおりに扮したももクロリーダーの百田夏菜子、演劇部の看板女優・ユッコ役の玉井詩織、さおりを慕う後輩部員・明美役の佐々木彩夏、強豪校からの転校生・中西役の有安杏果、ムードメーカー・がるるに扮した高城れにの5人が、映画初主演で感じたことは?――役柄を掴んだ、手ごたえを感じたといった瞬間はいつでしたか?高城れに(以下高城):やっていくうちに、だんだん"がるる"という役を自分自身が好きになっているのが分かりました。あと最初はどこまで自由にやっていいのか分からなかったけど、顧問役のムロ(ツヨシ)さんがクランクインして、アドリブも入れながらすごく自由に演技されていて、監督もいいね!という反応だったので、あ、もっと自由にやっていいんだと思えました。玉井詩織(以下玉井):クランクイン前に監督と役柄について話す時間がなかったので、撮影をしていく中で作っていきました。役柄を掴めたとか、そういう感覚は分からないのですが、完成した作品を観たときに、きちんと"ユッコ"として映画の中で生きられていたので嬉しかったです。百田夏菜子(以下百田):"さおり"は部長で演出家という、みんなをまとめて劇中劇を作り上げていく役でした。なので、撮影前に参加した(平田)オリザさんのワークショップのときから、どんな時にみんなのお芝居を止めたり、アドバイスを入れるのか、オリザさんの姿を見ていました。撮影に入ってから、自分でもだんだんみんなのお芝居で気になるところが出てきて、止めて指示できるようになっていきました。本当に演劇部のお芝居を作り上げている感じがして、嬉しかったです。佐々木彩夏(以下佐々木):現場ではモニターを見なかったので、どんな風に映っているのか全くわからなくて不安もありましたが、自分の中でだんだん"明美"ちゃんがはっきりしていくのが分わかって嬉しかったです。台本に書いていない部分も感じられるようになって楽しかったし自信になりました。有安杏果(以下有安):自分たちの演技を観て手ごたえを感じたとか、そういう瞬間はなかったのですが、でも最初はこうかなぁと思いながら監督に相談していたのが、いつの間にかこう思うと変化していったのが嬉しかったですね。あと、衣装に"中西"って名前が入ってたり、スタッフの方もみなさん役名で呼んでくれていたので、呼ばれたり、制服を着ると、役に入れた気がします。――百田さんの部長っぷりはいかがでしたか?玉井:普段、普通に生活しているときにはリーダーっぽいところってないんですよ。でもライブでの最後の言葉とか、ちゃんと締めるところはリーダーらしいんですよね。今回の部長役でも、最初はオリザさんを見て、「あんな風に止められないよ、できない!」とか言ってたんですけど、いざ撮影に入ったらバンバン止めてきて。どんどん部長らしくなってきて、ちょっと悔しかったですね(笑)。佐々木:私はオリザさんに肩が揺れるって指摘されてたんですけど、明美ちゃんがスランプになるところで、部長に同じことを言われて、オリザさんに見えました。玉井:オリザJr.だね。高城:さおりはなんだかんだ言って、部員のみんなのことをちゃんと見ていて部長らしいし、そこがももクロのリーダーにもかぶると思いました。有安:部員が実際の大会の舞台上でお芝居をしているときに、さおりは演出家として袖から見守ってるんですが、撮影は別だったので、完成した作品で初めてそのときのさおりの表情を見て、部長だなって感じました。あと、メンバー以外の子たちも部長として見ているのが伝わってきたので、ちゃんと部長やってんじゃんって思いましたね。百田:みんな、いいこと思ってるんじゃん。普段は恥ずかしくて言えないんだね~。みんな、わたしのことが好きなんだね♪4人:(一斉に)インタビューだからだよ!●メンバーが大切にしていることとは?――特によく覚えているシーンはどこですか?高城:がるるは私と一緒で落ち着きがないんですけど。百田&玉井:あ、気づいてたんだ。高城:なんでも大げさにしちゃうっていうか。本編でも中西さんが転校してきたのを知って、「やばい、やばい!」って大声を張り上げて走り回って、その後、無駄にちょっかいを出すんですよ。結局、本編では使われてないんですけど、監督がカットをかけないから、中西さんへの質問攻めを続けたんです。百田:あれ、すごかったよね。高城:中西さんはキャラクター的に、返すわけでもないから、ひとりでベラベラベラベラ。有安:あまりに来るから、最後は私も中西という役を守り切れなくて、笑っちゃいました。百田:今日は朝、何食べてきたの?玉井:シャンプーは何使ってるの?とか。有安:中西が何のシャンプーを使っているかまでは役作りしてませんでした(笑)。――難しかったシーンは?玉井:劇中劇の「銀河鉄道の夜」のシーンです。私はジョバンニという主役をやらせてもらったんですけど、静かな環境の中でひとりで長いセリフをしゃべることってなかなかなかったから、すごく緊張しました。でもその静けさが楽しくもありました。有安:私は2つありました。ひとつは転校したてのときに、さおりと自転車を押しながら歩いているシーン。その時点でのさおりと中西との距離感がはっきりつかめなくて。完成した作品を観ても、いまだにあれでよかったのかなと思ってしまう場面ですね。あともうひとつは転校前の回想シーン。本当の演劇部の子たちの中に入って劇中劇をやるシーンがあって、強豪校という設定だし、すごいプレッシャーでした。――副顧問役の黒木華さんと共演して感じたこと、得たものは?玉井:気さくでおもしろい方なんですけど、話し方はイメージ通りで、大きな声を出したりはしないんです。それが、予告編でも出てくる先生が灰皿を投げつけるシーンでビックリしました。「そうじゃないでしょー!」ってすごく大きな声で。黒木さんからあんな怒鳴り声が出てくるのは想像できなくて衝撃でしたし、やっぱり女優さんはすごい!と。あと、そのあとにカットがかかると、「あ、はい、じゃ、もう1回やります」って淡々と次に行っていて(笑)、本当にすごいと思いました。百田:私は黒木さんとお芝居をしているときに、自分でも感じたことのない感情を引き出される感覚があったんです。女優さんってこんな感じなのかなと感じる瞬間を与えてもらえて感動しました。佐々木:志賀(廣太郎)さんと黒木さんが「ロミジュリ」をやる場面があるんですけど、そこがおもしろくって。黒木さんは本当にいろんな顔を見せてくれるので、どれが本当の黒木さんなんだろうって思いました。――ひとつの目標に向かって一生懸命頑張っている少女たちの物語ですが、夢を叶えるために大切だと思うことを教えてください。高城:ずっと思いを持ち続けるって難しいことで、ブレることもあると思うんです。辞めようかなって思ったり。でもそれでも最終的にやりたいという気持ちに戻れればいいし、意志を持ち続けることは本当に大切。自分を信じることも大事だと思います。玉井:そのことを続けること。夢を追って、すぐに叶えられる人もいるけれど、いずれにしても自分が叶えたい分野を続けていなきゃたどり着けない。だから続けることですね。百田:言葉にすることってすごく大事だと思ってて、私たちも昔から叶えたい目標や夢は言葉にするようにしてきました。言葉にすると、周りのスタッフさんとか全員の団結にも繋がるし、みんなが同じ方向に向かっていけると思う。それに口にしているほうが、必要なときに寄って来てくれる人がいたりして、実際に私たちもそうして夢を叶えてきたので、言葉にするというのは、とても大事だと思います。佐々木:ももクロも演劇もひとりじゃなくてみんなで叶える目標だと思う。だからみんなで叶えようっていう気持ちが大切だと思っています。個人の夢だとしても、それを指導してくれる先生がいたり、応援してくれる両親がいたりするので、自分のための夢だとしても、周りの人たちのために頑張るという気持ちも大事かなって思います。有安:夢に向かっているときって、一度はダメかもって感じてしまうものだと思うんです。でもあえて、大丈夫、いけるんだ!って思うことはすごく大事。自分を信じることはやっぱり大切だと思う。でもそのためには、練習だったり、周りを信じることが大事だと思います。――本作の公開の後には舞台版でも主演が決まっています。映画を楽しみにしている方と、舞台版に向けてメッセージをお願いします。百田:映画はどの世代の方が観ても、キラキラした青春が感じられる作品だと思います。大人の方には高校時代を思い出してもらって、これから高校生になる人には、こんな楽しいことが待ってるんだと思ってもらえたら嬉しいですね。舞台版については、オリザさんがハードルを上げているという噂を耳にしています(笑)。オリザさんと本広監督って、最強タッグだと思うので、しっかりとしがみついていきたいと思います。有安:あ、高城さんが最後にひと言あるそうです。高城:あ、あの…。佐々木:大丈夫だよ。高城:ももいろクローバーZが主演の作品ですけど、みんなが知ってるももクロじゃないよっていうのも見てもらいたいし、同時にもっともっとももクロに興味も持ってもらいたいので、ひとり最低2回は観てください。有安:ちゃんと言えてよかったね。玉井:まだ慣れないの?高城:慣れないぃ…。■プロフィールももいろクローバーZ百田夏菜子、玉井詩織、佐々木彩夏、有安杏果、高城れにの5人によるガールズユニット。08年に「ももいろクローバー」を結成し、ストリートライブから活動を開始。10年5月にメジャーデビューを果たす。次第にメンバーの身体能力を活かしたアクロバティックなダンスやライブ中のトークの面白さなどから、個性的なグループとして認知され、人気を集めるようになる。11月4月の公演でグループ名を「ももいろクローバーZ」と改め、入れ替わりのあったメンバーが、以降、現在の5人に定着。12年にはNHK紅白歌合戦に初出場を果たした。業界内にもファンが多いことで有名。『幕が上がる』は「ももいろクローバーZ」として初の主演映画となる。(C)2015平田オリザ・講談社/フジテレビジョン東映ROBOT電通講談社パルコ
2015年03月03日