先日開催されたU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジで、昨年の優勝チームとして、大会前から注目を集めていた、malva future select。予選リーグを2位で通過すると、ラウンド16でSORISSO SELECTにPK戦の末、敗れました。昨年同様、攻撃的なスタイルで大会を沸かせたmalva future selectの浅野智久監督(以下、浅野)に、試合中に送ったアドバイスやマルバが目指す育成などについて話を伺いました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)昨年優勝ということで開幕前から注目を集めたmalva future select(C)新井賢一<<関連記事:今年も熱い試合がたくさんあったワールドチャレンジ2023を振り返る■コーチに何か言われるのを待っているのはマルバの姿勢ではない――大会を通じた感想を聞かせてください。(SORISSO SELECTにPK戦で敗退)浅野チームとして、ちょっとずつ良くなってきていました。マルバらしさって何だろうと、昨日もずっと考えていたんです。結論としては、少し感じを変えたいなと思っていました。ただ頑張るというよりは、自分たちで感じて、狙いを持ってプレーする形にしたいなって。ラウンド16の試合前に練習をしたのですが、そこでは子どもたちがコーチに頼りすぎている空気を感じたんです。コーチからなにかを言われるのを待っていたので「マルバって、そういうのじゃないよね?」と話をしました。「もっと自分たちで感じて、どうやったら点を取れる、どこを狙っていく?どこが危ない?じゃあどうするっていうのが俺らのサッカーだから、それをやろうよ」という話をしました。「勝ち負けの前に、まずはそれを目指さないと駄目だよね」って。「勝ち負けの前に目指さないといけないもの」について語ってくれた浅野監督(C)新井賢一――その成果か、かなり相手を押し込んでいましたね。浅野ポジションを4-2-2-2にして、流動的になるようにしたんです。その方がマルバっぽいから、もっと自由にプレーしようという話して、試合に入ったら、結構良かったんですよね。PKで負けてしまいましたけど、世の中の人にもっとマルバのサッカー、フットボールを見てもらいたかったです。それは僕らが見せたいというよりは、周りの人たちに必要なことだろうと思っているので。その部分はもったいなかったですが、やれるだけのことはやりました。■上田綺世は、監督が要求することに応えつつ点を取ることにこだわったから今の活躍がある――この経験を、選手たちにどう今後に活かしてほしいですか?浅野マルバからプレミアリーグに行く選手であったり、バロンドールを出すことを目標にしているので、そこを目指してほしいです。この前もOBの上田綺世と話をしていて、いまお話したようなことを、あいつにもずっと言ってきたんですね。彼も「自分の特徴や、自分に何ができるかが、プロにつながった」と言っていました。監督が要求することに応えつつ、ストライカーとして点を取ることにこだわってきて、その結果がベルギーリーグで22ゴールですから。「それもマルバと一緒に成長してきたことだね」って話をしたんですけど、今いる選手たちにもそこは求めたいです。そこに到達するイメージは湧いているので、そうなってくれたらいいなと思っています。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■選手たちはどう感じたのか試合後、選手たちに話を聞きました。(予選リーグ2試合目FC PORTA戦後)インタビューを受けてくれたのは郷内煌生くん(10番)、松原龍南くん(5番)試合の感想を語ってくれた選手たち(C)新井賢一■初戦は緊張していつものプレーができなかった――1試合目は横浜F・マリノスプライマリーに0-1で敗れました。試合の感想を聞かせてください。郷内どっちに転んでもおかしくない状況だったんですけど、コーナーキックの1点で勝敗が決まってしまったので悔しいです。みんな緊張していて、自分たちがいつもやっているプレーができなくなって、そのときに失点してしまったので、焦って点を返せずに負けてしまいました。松原1試合目は少ししか出ていないのですが、外から見ていて、攻める人数が少ないなと思いました。後半は相手に攻められていたので、こっちが攻めに行くときの人数が少なくて、点を決められませんでした。――2試合目のFC PORTA戦では、郷内選手がフリーキックから2点決めました。キックは得意なのですか?郷内はい。相手のGKが大きくはなかったので、良いコースに蹴れば入るかなと思って蹴ったら入りました。――2試合目は、どのような感想を持っていますか?松原前半は点を取ることができなかったけど、自分たちのペースだったので、後半に入って点を決めることができたので良かったです。みんなが積極的に仕掛けていたので、ファウルをもらうことができて、(フリーキックからの)点につながったと思います。■チームのために自ら志願してバックラインを修正――2試合目は郷内選手が自分から、監督に「後ろのポジションをやった方がいいと思う」と言ったそうですね。郷内はい。1試合目はみんな緊張していて、バックラインがしっかりできていなかったので、僕が入って修正しようと思いました。自分としては、勝利に貢献することを考えていて、チームの攻撃が足りているようだったら守備に入ったり、守備が十分だったら自分で点を決めにいくことをしたいと思っています。ワールドチャレンジ2023決勝戦の動画はこちら>>ワールドチャレンジ2023の記事はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2023年09月15日U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2022で、ベスト4に進出したのが湘南ベルマーレアカデミー選抜です。攻守にバランスのとれたチームで、準々決勝では播戸竜二監督率いる大和ハウスDREAMSを撃破しました。準決勝では、優勝を果たしたmalva future selectに1対3で敗れましたが、選手個々の能力を活かした戦いでベスト4に輝きました。湘南ベルマーレアカデミーでは、どのような考えのもとに選手を育成しているのでしょうか?チームを率いる太田隆一監督(以下、太田)と、エースとして攻撃を牽引した、背番号10番の末廣大翔選手(以下、末廣)、守備の要として活躍した背番号13番の建脇獅音選手(以下、建脇)に、準決勝終了後に話を聞きました。(取材・文:鈴木智之、写真:新井賢一)常に全力を尽くす湘南スタイルで戦い抜いた湘南ベルマーレアカデミー選抜(C)新井賢一<<関連記事:バルサのPKを3連続ストップで勝ち上がったヴィッセル神戸を制し、malvaスクール選抜が優勝■クラブのOB・遠藤航のように1対1のデュエルはこだわる――準決勝は1対3の結果でした。試合の感想をお願いします。太田前々から理解はしていましたが、マルバさんの高いスキルは素晴らしかった。完敗です。――ハーフタイムにもっと戦うこと、局面のプレーを頑張ろうという話をしていました。後半の立ち上がりはその姿勢を見せて、1点返しましたね。太田連戦ということで疲労はあったと思いますが、湘南ベルマーレとしては、常に全力を尽くす、100%を出すことはアカデミーからトップまで一貫してやっていることです。その部分で、前半の入りは少し残念でした。――ベルマーレの育成について聞かせてください。ジュニア年代で大事にしていることは、どのようなことでしょうか?太田クラブとして「湘南スタイル」がありますので、最終的にそれをトッププロとして表現できる選手を育成したいと思っています。そのベースを作るジュニア年代では、インテリジェンスやテクニカルな部分、100%を出し切るところは意識しています。あと、OBである遠藤航選手がドイツでデュエル王になっているように、1対1のデュエルはこだわってやっています。準決勝では出し切れませんでしたが、そこの重要性は、育成年代でしっかりと伝えていきたいと思っています。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■ただプロになればいいわけではない、長く活躍するためにはU-12年代から主体性が必要な理由――選手たちに「自分でチャレンジすること」の重要性を話していた姿が印象的でした。太田彼らは未来ある選手です。これからジュニアユース、ユース、トップと目指してい中で、厳しい状況でも全力を尽くすことや、主体性を持ってプレーすることを求めています。ただプロになればいいわけではなく、トップレベルで長く生きていけるサッカー選手になるためにも、ピッチ内外でしっかりとした人間でなければいけません。ですので、この年代から、主体性の部分を求めています。――主体性を高めるために、どのようなアプローチをしていますか?太田ジュニア年代なのでまだ子どもではあるのですが、ひとりの大人として扱うことを心がけています。彼らには、ひとりの人間としていろんなものを感じ取って判断し、行動に移すようになってほしいです。今大会の目標も、選手たちに決めさせました。自分たちで決めたのであれば、実行していくために何が必要かを、主体的に考えるようになります。プレーにおいても「湘南スタイル」というクラブのモデルがありますが、もしかしたらこちらが求めていることよりも、子どもたちの方が良い選択をする可能性もあるので、その部分では余白を持ちながら、見てあげたいと思っています。■ピッチに立った瞬間から研ぎ澄まされた状態を作らないと痛い目に遭うバルサなど普段は戦えない海外勢へのチャレンジがこの大会の魅力と語った太田監督(C)新井賢一――ワールドチャレンジという、海外にチャレンジする大会の意義はどのように感じていますか?太田目の前に世界があるというモチベーションは、他の国内の大会とは違います。選手にとってすごくいい刺激になったんじゃないかと思います。――この時期に、11人制の大会に出ることに関して、どのようにとらえていますか?太田個人的には、6年生のうちにもっと11人制を経験した方がいいと思っています。ただゴールキーパーにとっては、ゴールが大きすぎると感じたので、大人用と少年用の間のサイズのゴールでもいいのではないかなと思います。11人制でプレーをすると、8人制のときとは違った一面を見ることができます。「こんなことができるんだ」と、新たな発見があるのも、面白いところだと思います。――選手たちに、この大会の経験をどのように生かしていってほしいですか?太田準決勝に関して言えば、ピッチに立った瞬間から研ぎ澄まされた状態、アラートな状態を作り上げなければ痛い目に遭うと肌で感じたと思います。この思いを忘れずにいてほしいと思います。■大会を通じて、サイドへのボール展開など試合運びの面で成長もエースとして攻撃を牽引した、末廣大翔選手。守備の要として活躍した、建脇獅音選手にも話を聞きました。攻撃をけん引した末廣大翔くんと守備の要として活躍した建脇獅音くん(C)新井賢一背番号10番・MF末廣大翔(すえひろだいと)――準決勝を振り返って、感想をお願いします。末廣後半からシステムを変えてマンツーマンにして、最初は良かったんですけど、徐々に疲れが出てきて崩されました。悔しいです。――後半開始直後、クロスから素晴らしいアシストをしましたね。末廣キックは自分の特技でもあるので、出せてよかったです。――大会を通じた、自分のプレーの感想を教えてください。末廣最初の方は全然だったのですが、徐々に上がってきたのは良かったです。他の試合ですが、得点のシーンで自分がサイドに開いたときに、サイドバックが外に開いたので、中でボールをもらったところから、2点を取ることができたので良かったです。――この大会で成長したと感じるところはどういうところですか?末廣これまでは縦に仕掛けることが多かったのですが、逆サイドにもボールを展開できるようになったことです。――好きな選手は?末廣日本代表では本田圭佑選手。海外ではロベルト・カルロス選手。ベルマーレでは杉岡大暉選手です。杉岡選手のプレーは自分と似ていて、縦にくさびを入れるプレーが好きです。13番の建脇くんはこの大会屈指の快速、malva future selectのオツコロ海桜くんと対峙する場面も(C)新井賢一背番号13番・FW/DF 建脇獅音(たてわきしおん)――試合の感想をお願いします。建脇立ち上がりから相手にペースを握られてしまって、そこからやられてしまったのでとても悔しいです。――この大会で成長したと感じるのはどういうところですか?建脇コーチのアドバイスを試合で意識することで、相手に通用するようになってきたので良かったです。――相手の7番(オツコロ海桜)とマッチアップすることが多かったですが、守備に関してはどうでしたか?建脇相手にセカンドボールを触られることが多く、そこからやられてしまうことがあったので、次はしっかり改善して戦えるようにしたいです。――大会を通じた、自分のプレーの感想を教えてください。建脇空中戦は結構自信があるのですが、1対1の対応はまだ足りないなと感じました。――好きな選手は?建脇ベルマーレの高橋諒選手です。たくさん走って、ドリブルで相手をかわすプレーが好きです。湘南ベルマーレ出身、遠藤航がプロサッカー選手になるために大切にしてきたこと>>ワールドチャレンジ2022決勝戦の動画はこちら>>サッカーにおける認知・判断を高める賢いサッカー選手を育てるトレーニング
2022年08月30日