映画『貞子』が、2019年5月24日(金)より全国の劇場で公開される。『リング』シリーズ最新作、中田秀夫が恐怖の“原点”を描く“見た者は1週間後に呪い殺される”という「呪いのビデオ」の恐怖を描いた鈴木光司のホラー小説を、実写映画化したホラー映画『リング』(1998)。当時誰もが日常生活の中で使う「ビデオテープ」という媒体を介して呪いが拡散されていくという衝撃的な設定で恐怖を掻き立て、興行収入20億円を超える大ヒットを記録、社会現象までも巻き起こし、のちに続くJホラーブームの火付け役となった作品だ。映画『貞子』は、伝説的ホラーシリーズの幕開けとなった同作で監督を務めた中田秀夫が再びメガホンを取り、恐怖の“原点”を描くシリーズ最新作。『リング』公開から20年、『スマホを落としただけなのに』(2018)のヒットも記憶に新しい中田監督が、オリジナルチームを率いて、時代の変化と共に恐怖の形状を変えてきた貞子を再び世に送り出す。あらすじ病院で心理カウンセラーとして働く茉優(池田エライザ)は、警察によって保護されたひとりの少女を担当する。一切の記憶をなくし、自分の名前すら言えない少女と向き合う茉優だったが、次第に彼女のまわりで奇妙な出来事が起こり始めるー。一方、WEB マーケティング会社に勤める祐介(塚本高史)の薦めでYouTuberとなった、茉優の弟・和真(清水尋也)は再生回数の獲得に焦るあまり、心霊動画を撮ろうと、死者5人を出したある団地の火事跡に忍び込むが…。新ヒロインに池田エライザ本作で新ヒロインに抜擢されたのは、映画『みんな!エスパーだよ!』(15)以降、『ルームロンダリング』(18)、『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(18)、『億男』(18)と話題作に立て続けに出演し、若手実力派女優として躍進著しい池田エライザ。松嶋菜々子(『リング』)、中谷美紀(『らせん』)、仲間由紀恵(『リング0 バースデイ』)、石原さとみ(『貞子 3D』)など、錚々たる女優が代々演じてきた本シリーズのヒロインのバトンを受け継ぐ。池田演じる心理カウンセラーの秋川茉優と共に事件に巻き込まれていく石田祐介役には、『木更津キャッツアイ』シリーズなどで活躍する塚本高史。また、貞子の呪いを呼び起こすきっかけとなるYouTuber秋川和真役には『渇き。』『ソロモンの偽証』に出演し、ドラマ「インベスターZ」で初の連続ドラマ主演を果たした清水尋也が選ばれた。記憶を無くし茉優の病院で保護される謎の少女役には、新人子役・姫嶋ひめか。茉優の同僚の精神科医・藤井稔は『新宿スワンⅡ』『曇天に笑う』の桐山漣、少女の母親、祖父江初子役には女優のともさかりえが担当する。また、1998年の初代『リング』で貞子と遭遇しながらも奇跡的に生き残る女子高生・倉橋雅美を演じた佐藤仁美が、同役で再登場する。映画『リング』の主題歌、女王蜂によるカバーで再び映画『リング』の主題歌であり、貞子の代名歌となった「feels like “HEAVEN”」が、人気アーティスト・女王蜂によるカバーで映画『貞子』のプロモーション使用楽曲に起用。“踊りたくなるくらいお洒落な音楽”との声もSNSであがるほど、現代風にアレンジされたメロディが特徴となっている。女王蜂のボーカル・アヴちゃんは、「彼女の生い立ちやカリスマ性にリスペクトを込めて、アートワークを作成し、代表曲をカバーしました。 貞子の呪いを拡げる為の、お手伝いをはじめます。」とコメント。白髪×黒衣装という“逆貞子”に扮した強烈なビジュアルも披露している。【作品情報】映画『貞子』公開日:2019年5月24日(金)原作:鈴木光司「タイド」(角川ホラー文庫刊)監督:中田秀夫脚本:杉原憲明出演:池田エライザ、塚本高史、清水尋也、姫嶋ひめか、桐山漣、ともさかりえ、佐藤仁美
2019年02月17日Jホラーブームの火付け役となった『リング』の最新作『貞子』が池田エライザ主演で5月24日(金)より公開されることが決定。中田秀夫監督が再びメガホンを取り、恐怖の原点を描く。■ストーリー病院で心理カウンセラーとして働く茉優は、公団住宅にある自宅が火事になり、警察によって保護されたひとりの少女を担当する。一切の記憶をなくし、自分の名前すら言えない少女と向き合う茉優だったが、次第に彼女のまわりで奇妙な出来事が起こり始める――。■社会現象を巻き起こした『リング』シリーズ1998年、“見た者は1週間後に呪い殺される”という「呪いのビデオ」の恐怖を描いた鈴木光司のホラー小説を、中田監督が映画化した『リング』。興行収入20億円を超える大ヒットを記録し社会現象となった。また『リング』と同時上映された『らせん』に続き、1999年には続編『リング2』が公開され興行収入42億を記録、2000年には原作エピソードに映画独自の設定を盛り込んだシリーズ3作目『リング0 バースデイ』が公開され、映画に登場する怨霊・貞子は恐怖の象徴として知られるようになった。さらに2012年以降、現代版貞子として蘇り、3Dとなってスクリーンから飛び出す『貞子3D』や、ユーザーのスマホと本編を連動させた『貞子3D2』、2大ホラーキャラクターが共演した『貞子vs伽椰子』が製作された。■中田秀夫監督で新たな恐怖が誕生…そんな『リング』シリーズの最新作は、その名も『貞子』。『リング』公開から20年、再び中田監督がメガホンをとり、鈴木氏の「タイド」を原作に、この新時代に恐怖の原点を描く。同シリーズはハリウッド版『ザ・リング2』以来、14年ぶりの監督となる中田監督。「今回の『貞子』では、今、純粋に私自身が『イケてる』と思うホラー表現をシンプルに、がむしゃらに追求したつもりだ」と明かし、「『リング』を同時代で観てくれた世代にとっては、『そうそう!』と肯いてもらえるものを、観てはなくとも貞子の風貌、動きは知っているティーンたちには、『今度の貞子はここが違う、スゴい!』と驚愕してもらえるものを目指した」と幅広い世代が楽しめる作品になっていると語っている。■新ヒロインは池田エライザ「この映画、容赦ない」そして、松嶋菜々子(『リング』)、中谷美紀(『らせん』)、仲間由紀恵(『リング0 バースデイ』)と、豪華女優陣が演じてきたヒロインのバトンを今回受け取ったのは、『みんな!エスパーだよ!』『一礼して、キス』『億男』などに出演する池田エライザ。心理カウンセラーとして働く秋川茉優役で出演する池田さんは、喜ぶと同時に「『貞子』というタイトルを私が背負っていいものか不安な気持ちになりました」とコメント。「平穏な世界にじわじわと迫り来る恐怖…。現場は穏やかに見えて、いつも何処か張り詰めていました」と撮影の様子を明かした彼女は、「生唾を飲んで、身を硬直させ、冷や汗をかき…最後にはそこが映画館である。ということに安堵していただける…のかな。保証はできませんが、1つ言えるのはこの映画、容赦ないです。どうか楽しみに待っていてください」とメッセージを寄せている。■「きっと来る~」超特報公開実は、今回の公開発表を前に、第1弾映像となる超特報が劇場とウェブで限定公開されていた。不気味な洞窟や響く水滴音、そして頭の集合体が映し出されたと思いきや、髪の長い女が登場と、緊張感溢れる場面が続くこの映像。最後にはお馴染みのフレーズが流れるが、その歌声はゴスペル調でどこか新しさも感じる。またすでに映像を見た人たちからは「とうらぶの映画の予告で貞子出てきて会場ざわついた」「映画が始まる前に貞子の予告流れてすごく怖くて泣きそうになった」「観たい!!!貞子!!!」「めっちゃ怖くてびっくりしたwwwwww」と早くもSNS上で話題になっている。『貞子』は5月24日(金)より全国にて公開予定。(cinemacafe.net)
2019年02月08日映画『スマホを落としただけなのに』が2018年11月2日(金)公開。主演に北川景子を迎え、『リング』シリーズの中田秀夫監督が新たな物語を綴る。『このミステリーがすごい!』大賞の“隠し玉”ついに映画化原作は、新進の作家・志駕晃による同名小説『スマホを落としただけなのに』。ミステリー&エンターテインメントの新人賞とされる「このミステリーがすごい!」大賞を2017年に逃すものの、“受賞には及ばなかったもののベストセラーになる可能性を秘めている作品”として隠し玉として、2017年4月に発売された。刊行されるやいなや、スピーディな展開と圧倒的な描写力で、小説愛好家の中で話題に。特に、スマホを落とすという誰にでもありそうな日常の災難からとんでもない厄災につなげていく過程が面白いと、現代の日常生活に潜む恐怖に着眼した、ストーリー設定から幅広い層の共感を得た。主演北川景子、大事件に巻き込まれていく派遣社員役に主演は、NHK大河ドラマ「西郷どん」、日本テレビ「家売るオンナ」など、TVドラマで個性的なキャラクターを演じてきた女優の北川景子。映画『スマホを落としただけなのに』では、彼氏がスマホを落としただけなのに、身に覚えのないメールの送信、SNSのなりすましなど、奇妙な出来事から次第に大きな事件へと巻き込まれていく、派遣社員の稲葉麻美役を演じる。千葉雄大、成田凌などフレッシュなキャスティング稲葉麻美の周りで起こる事件の捜査を行う刑事、加賀谷学には、第40回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した千葉雄大。映画『帝一の國』『亜人』出演の若手俳優が、身元不明の女性の遺体が次々と発見される、連続殺人事件を追いかける。先輩刑事役には、原田泰造。また、映画『劇場版コード・ブルー –ドクターヘリ緊急救命-』『さよならくちびる』と話題作への出演が続く、成田凌がセキュリティ会社に勤めるSE・浦野善治役に。SNSでつきまとうようになったネットストーカーに困った稲葉麻美が頼る、信頼のおける人物だ。ドラマ「おっさんずラブ」でコミカルな演技をみせた田中圭もキャスティング。全ての発端となるスマホを落とした、ちょっと頼りない麻美の彼氏・富田誠を担当する。監督は『リング』シリーズの中田秀夫これまで国内外から映画化のオファーが殺到していた『スマホを落としただけなのに』。映画化に期待が寄せられる中、メガホンを取ったのは中田秀夫監督だ。『リング』『ザ・リング2』などで、日本のみならず世界中を震撼させた名監督が、新たな物語を切り取る。ストーリー彼氏の富田(田中圭)に電話を掛けた麻美(北川景子)は、スマホから聞こえてくる聞き覚えのない男の声に言葉を失った。たまたま落ちていたスマホを拾ったという男から、富田のスマホが無事に戻ってきて安堵した麻美だったが、その日を境に不可解な出来事が起こるようになる。身に覚えのないクレジットカードの請求や、SNSで繋がっているだけの男からのネットストーキング。落としたスマホから個人情報が流出したのか? ネットセキュリティ会社に勤める浦野(成田凌)に、スマホの安全対策を設定してもらい安心していた麻美だったが、その晩、何者かにアカウントを乗っ取られ、誰にも見られたくなかった写真がSNSにアップされてしまう。「違う! それ私じゃない! 私、何もやっていない!」時を同じくして、人里離れた山の中で次々と若い女性の遺体が見つかり、事件を担当する刑事・加賀谷(千葉雄大)は、犯人が長い黒髪の女性ばかりを狙っていたことに気が付く。スマホを拾ったのは誰だったのか。連続殺人事件の真犯人はいったい誰なのか。そして明らかになる“奪われた麻美の秘密”とは?ただ、スマホを落としただけなのに……。【作品情報】映画『スマホを落としただけなのに』公開日:2018年11月2日(金)全国東宝系公開監督:中田秀夫脚本:大石哲也出演:北川景子 / 千葉雄大 / バカリズム要潤高橋メアリージュン酒井健太筧美和子 / 原田泰造 / 成田凌 / 田中圭主題歌:ポルカドットスティングレイ「ヒミツ」(UNIVERSAL SIGMA)
2018年07月30日女優の北川景子が、ホラー映画の巨匠・中田秀夫監督と『スマホを落としただけなのに』で初タッグを組むことが分かった。本作は、2017年に「このミステリーがすごい!」大賞の“隠し玉”として発売された同名小説をベースに、身近な落とし穴に潜む現代の新たな恐怖を描くサイバーミステリー。■“あなたにも起こりうる…” 最新SNSミステリーが映画化!原作は、ニッポン放送エンターテインメント開発局長として勤務する志駕晃が、宝島社主催のミステリー&エンターテインメントの新人賞、第15回「このミステリーがすごい!」大賞に応募した作品。発売2か月で10万部を突破、現在15万部を記録するなど、デビュー作としては異例の売り上げを見せている。物語は、主人公・麻美の彼氏・富田が落としたスマートフォンが“連続殺人鬼で狡猾なハッカー”である男に拾われたことをきっかけに、その男に気に入られてしまった麻美が、身近なSNSやインターネットで監視され、追い詰められていく、というもの。スピーディな展開と圧倒的な描写力で現代の日常生活に潜む恐怖を描いており、発売直後から話題を呼び、映画化のオファーが各社から殺到していた。また、今年のカンヌ国際映画祭のマーケットに出品したところ、撮影前にもかかわらず、すでにアジア圏を中心に32社から問い合わせが殺到、韓国でのリメイク企画も決定している。■北川景子も震撼、スマホやSNSは「どこに落とし穴があるか分からない」彼氏がスマホを落としたことにより、メールやSNSに絡んだ奇妙な出来事が起こり、次第に思いもよらない大事件に巻き込まれていく主人公・稲葉麻美を演じるのは北川景子。監督は、『リング』シリーズや、『L change the WorLd』『クロユリ団地』などを手がけてきた中田秀夫監督が務める。「自分自身ではなく、恋人がスマホを落としたことから、自分自身の過去、個人情報、SNSのアカウント情報、写真などが次々と流出し、人生が変わってしまう不運な主人公を絶対に演じたい」と思ったという北川さん。「スマホやSNSのセキュリティ管理は、きちんとしているつもりでも、どこに落とし穴があるか分からない…。でも、本当の人と人の絆や愛は、スマホを通じてではなく、心で通じ合うものだというのが、この作品のテーマだと思っています」と語る。「中田監督とは初めてご一緒しますが、脚本に対する私の質問のひとつひとつに丁寧に答えてくださり、中田さんと一緒に映画を作れるならとても安心だと思いました。普通のカップルの普通の日常が、ただスマホを落としただけで一変してしまう…。そんなスリリングな部分と、日常のシーンとのコントラストに配慮しながら丁寧に作っていきたいと思います。良い作品を作れるよう頑張ります」と期待を込めている。■中田監督「ライバルはヒッチコック」!「この原作の題名にまずはヤラレました」と語る中田監督は、「現代人(ほぼ世界中の人々)が『最も身近な相棒』をうっかりどこかに置き忘れただけで、『いったいどこまでの目に遭うの?』と誰もが関心を持つテーマで、エンターテインメントの題材としても大きな可能性を感じます」とコメント。「ヒロインを北川景子さんに演じていただくことで、状況は最悪なのだけれど、同時に、洗練され、どこか優雅なテイストを持つ、ミステリーにしたいと思っています。そういう意味で、おこがましいですが、『ライバルはヒッチコック』を胸に、撮影に挑みます」と意気込んでいる。また、「殺人事件に巻き込まれる経験をした人は滅多にいませんが、スマホを落とした経験は誰にでもあるでしょう。しかしそのスマホを拾ったのが、悪意をもった天才クラッカーだったら…」と話すのは、著者の志駕氏。「私自身、酔っ払ってスマホを落とし、誰にも連絡が取れず四苦八苦した経験から生まれたサイバーミステリーです。運よく出版化にこぎつけたと思ったら、僅か1年半で映画化となり、さらに密かにこの人ならばと思っていた北川景子さんにまさか本当に主演してもらえるとは……。スマホを落としただけなのに、その後の夢のような展開にただただ驚いています」と喜びを明かす。「しかし普通はスマホを落とすと、データの流出やSNSのなりすましなど、とっても怖い目にあいますので、この映画を見てセキュリティを強化してください。絶対に、参考になるはずです。なにしろこれは、誰にでも起こりうるミステリーですから」。日本の総人口を超える“スマホ”の存在が凶器となり、現代に潜む恐怖を描くと同時に、“スマホ”があるからこそ感じられる真実の愛を描くという、新たなSNSミステリーに期待が高まる。『スマホを落としただけなのに』は11月2日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2018年06月04日●漫画原作の魅力はキャッチーなキャラクター第57回小学館漫画賞一般向け部門を受賞し、「このマンガがすごい! 2009オンナ編」第1位に輝いた小玉ユキの漫画『坂道のアポロン』が実写映画化され、3月10日より公開される。長崎・佐世保を舞台に、孤独な青年・薫(知念侑李)が札付きの不良と恐れられるクラスメイト・千太郎(中川大志)と、心優しいクラスメイト・律子(小松菜奈)と出会い、ジャズを介して心を通じあわせていく。アニメ化されたときには、演奏シーンのリアルさが「名場面」として話題を読んだ同作。実写映画化にあたっては、三木孝浩監督自らキャスティングに関わっているという。今回のキャスティングのポイントや脇を固める俳優陣の魅力について、三木監督に話を聞いた。○男性ファンが多い作品――原作やアニメが人気の『坂道のアポロン』ですが、私の周りにも男性でこの作品が好きな人がいて、幅広い世代に支持されているのかなと思いました。男性ファンがすごく多い作品ですよね。選曲も良くて、「Moanin」や「My Favorite Things」は、初心者でも聞きなじみのある曲ですし、全然ジャズを知らない薫が段々ジャズを演奏する喜びに気付いていくという展開なので、薫目線で入っていけるのだと思います。僕もこの作品に関わるまではそんなにジャズに詳しくなくて、作品に関わりながら「あ、ジャズってこういうところが楽しいんだ」と気づいていけたので、映画にする上でも入りやすさはすごく大事にしました。――今、漫画原作の映画がすごくたくさんあるという状況ですが、その魅力はどういうところにあると思いますか?やっぱり、良い作品が本当に多いという、日本の漫画文化の深さがあるのだと思います。もちろん小説原作でもたくさんありますが、漫画原作の面白さは、キャラクターにあるのではないでしょうか。ストーリーの起伏だけでなく、それぞれのキャラクターに魅力がある作品がすごく多いなと思います。今回も、客観的に見ると千太郎はすごくキャッチ―なキャラクターだと思うんですよね。その魅力に薫が引っ張られていくのですが、漫画ならではの面白さが出ている強烈なキャラクターなのではないかと思います。――今までの中川さんのイメージとも、また少し違うキャラクターのように思いました。そうですね。映画化の企画をもらったときに、誰よりもまず「千太郎、誰がやるの? 今の日本映画界にいる?」という話になりましたから(笑)。ハーフ顔に見えて、ガタイが良くて、ドラムができて……もう、キャスティングする側からしたらゾッとするようなキャラクターですけど、だからこそ、トライしがいがある。ヴィジュアルもドラムの演奏も含めて、大志君がキャラクターを体現してくれて嬉しかったです。●薫と千太郎はセットで考えていた○運命的な2人にオファー――キャスティングには1から関わっていらしたんですか?もちろん、まっさらな状態から関わっています。多分キャスティングだけで半年か1年以上かかりましたし、「いいキャストが見つかるまで、これは進められないね」と言っていました。定期的にプロデューサーと集まってキャストを探していたのですが、何かのタイミングで、フッと「知念君と大志君の身長差は面白いな」という話になったんです。そこから大志君がドラムをかじったことがあると聞いて、「おっ!」と思って、プロフィール写真を茶髪にしたり短髪にしたり落書きして、「千太郎、いけるんじゃないの!?」という話になってから、グッと現実味を帯びて来ました。――薫と千太郎はセットで探されていたんですか?完全にセットでしたね。組み合わせを考えているうちに、知念くんと大志くんのコンビにすごくピンときたんですが、2人が、実は共演経験もあって仲が良いということは、全然知らなかったので、すごく運命的だと思いました。――小松さんについてはいかがですか?律子のキャストは、まず「薫と千太郎を決めてから」という思いはありました。すごく難しいポジションなんですよね。薫と千太郎の2人はキャラクター作りの拠り所があるのですが、律子は受け身の立場。2人を見てどういう表情になるのか、というのが芝居のベースになります。『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』を監督したとき、菜奈ちゃんの演技のすばらしさを感じていましたが、本当に何かを感じて出る表情のリアリティが素晴らしい女優さんだと、改めて思いました。お客さんは律子というフィルターを通すことで、2人のことをより深く理解していくので、すごく重要な役どころです。菜奈ちゃんが素敵なのは、技術で泣いたりするんじゃなくて、現場で内から湧き出た感情を大事にするところ。その表情の嘘のなさに、ますます信頼できる女優さんになったと感じました。――ほかにも豪華キャストが集まっているのがすごいですよね。ディーン・フジオカさん(桂木淳一役)も、真野恵里菜ちゃん(深堀百合香役)も、中村梅雀さん(律子の父・迎勉役)もすばらしかったです。梅雀さん、本当にその世界では名の知れたベーシストですし。もともとご本人はエレキが得意ですが、今回を機に「ぜひウッドベースもやりたい」とおっしゃっていて、実際にめちゃくちゃうまくて。何よりやはり、「プレイするのが楽しい」という表情が1番出ていましたね。あの梅雀さんの表情で、恐る恐る入ってくる薫が「ジャズって、楽しい」と思えるような、優しく迎え入れてくれる感じに助けられました。もちろんディーンさんもアーティストなので、ピアノもギターもできるんですよ。でもトランペットはやったことがなかったので、「これを機にぜひ覚えたい」と特訓してくださって。音楽に対するモチベーションがものすごく高いメンバーに集まってもらえたことが嬉しかったです。■三木孝浩1974年生まれ、徳島県出身。これまでに、いきものがかり、FUNKY MONKEY BABYS、YUI、ORANGE RANGE等、数多くのPVやライブ映像、TVCM,ショートムービーなどを手掛け、MTV VIDEO MUSIC AWARDS JAPAN 2005 最優秀ビデオ賞、カンヌ国際広告祭2009メディア部門金賞などを受賞。2010年に『ソラニン』で長編映画監督デビュー。以降、『僕等がいた』(前篇・後篇/12)、『陽だまりの彼女』(13)、『ホットロード』(14)、『アオハライド』(14)、『くちびるに歌を』(15)、『青空エール』(16)、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(16)、『先生!、、、好きになってもいいですか?』(17)などがある。(C)2018 映画「坂道のアポロン」製作委員会 (C)2008 小玉ユキ/小学館
2018年03月09日●友情を超えた、眩しい絆の物語第57回小学館漫画賞一般向け部門を受賞し、「このマンガがすごい! 2009オンナ編」第1位に輝いた小玉ユキの漫画『坂道のアポロン』が実写映画化され、3月10日より公開される。長崎・佐世保を舞台に、孤独な青年・薫(知念侑李)が札付きの不良と恐れられるクラスメイト・千太郎(中川大志)と、心優しいクラスメイト・律子(小松菜奈)と出会い、ジャズを介して心を通じあわせていく。メガホンをとった三木孝浩監督は、恋愛映画の名手としても知られているが、今回は薫と千太郎の友情が物語を動かしていく。知念、中川、小松という若手トップクラスの俳優陣や同作の見どころについて、三木監督に話を聞いた。○未成熟な人間がもがく姿を描きたい――恋愛映画のイメージが強い三木監督ですが、今回は薫と千太郎、2人の友情がメインなのかなと思いました。恋愛映画のイメージ、強いですか?(笑) 僕は、大きなくくりで「青春映画」が多いということなんだと思います。だから恋愛も青春映画だし、友情も青春映画なんですよね。「未成熟な人間が、自分のあるべき姿に向かってもがく」ところに美しさを感じるし、キャラクター達がすごく愛おしくなるので、描くのが好きなテーマです。もがく対象が恋愛のときもあれば、部活のときもあり、音楽や友情だったりもする。でも目指すものがそれぞれ違うだけで、根底には未成熟な人間の成長があります。――今回の『坂道のアポロン』では、これまで恋愛映画で使われていた手法を、2人の友情を描くときにもとられていたというお話でしたが。普通のラブストーリーに使う手法を、薫と千太郎の関係を描くときに応用したところはありますね。たとえば薫が千太郎を見る時の音楽や映像表現は、女の子が魅力的な男の子を見た瞬間の演出にしています。「強烈な魅力を放つ千太郎に、どんどん反発しながらも惹かれていく薫」という図を、一種のラブストーリーに見えてもいいかな、くらいの感覚で撮っていました。というのも、この作品は単なる友情の話ではなく、それぞれが奥底に孤独を抱えながら、「独りじゃない」と思わせてくれる相手に出会う物語だからなんです。薫と千太郎が音楽を通じて「自分がここにいていい」という証明を見つけて、互いに存在理由を見出していく。その友情を超えた結びつきは、律子の目線で見るとすごくうらやましく感じるし、映画を観た方が「その中に入りたい」と思ってくれたら、世界観が描けているということなのだと思いました。――夜の教会に2人で並んでいるところや、2人で坂道を駆け下りていくところなど、あまりにもまぶしすぎて……。手を取ってダッシュするって、映画『卒業』のような駆け落ちパターンですからね(笑)。しかも笑顔で駆け下りていく。でも、薫と千太郎だったら「そうだよな」と納得してしまう感じがありますし、観客の方にも愛おしく見えたらいいなと思いました。●期待以上の演奏シーンに、監督もキュンキュン○律子のキュートさは小松菜奈ならでは――一方で、律子と薫もキュンとするシーンが多くて、糸電話のシーンやキスシーンも素敵でしたよね。糸電話も、昭和の時代設定だからこそ描けるアナログ感でしたね。電話も携帯ではなく家の電話ですし、なかなかコミュニケーションを取れない難しさがある。でも顔を見合わせることがやっぱり一番のコミュニケーションというところが、この時代を描く面白さだったりもしますし、今までにない空気感を出せたのですごく楽しかったです。――出演者の方も少しレトロポップ感のある顔立ちなのかなと思いました。特に菜奈ちゃんは、60年代のファッションがすごく似合うんですよ。元々、モデルもやっているので何でも似合うんですけど、あのキュートさは、なかなか出せない。やっぱり、菜奈ちゃんだなと思いました。――三木監督は、映画を観てキュンとしたりするタイプなんですか?めちゃめちゃします(笑)。もう、キュンキュンしてますね。――撮影中もキュンキュンされているんですか?かなりしています(笑)。でも今回何が一番キュンと来たかって、完成披露のときの舞台挨拶かな。その場でピアノを演奏した知念くんと、ドラムを演奏した大志くん、2人の目線が合った瞬間は、もうキュンキュンしました。映画の演奏シーンも、千太郎と薫が「よしいくぞ!」と目を合わせたり、相手の演奏を見て「すごいな」と笑顔になっていたりする瞬間、2人は笑顔なのに、観ているこっちは泣けてくるんです。彼らが音楽を演奏している姿を見て、孤独を抱える2人が本当に幸せそうな表情をしているところが、やっぱりグッときました。演奏シーンでは互いの目線を撮るときに、2つのカメラでそれぞれ顔に寄っていたんですが、モニターを並べて見ていたら、「これだけ演奏を練習してきたけど、もう、表情だけでシーンが成立するんじゃないか?」という気持ちになりました。これまでの準備や練習があって、感情も高めて来たからこそ、この表情が出来るんだなと思いました。表情だけで2人のすべてが伝わる、それくらいの演技をしてくれたんです。○アニメ版に刺激された――映画を拝見しても、よくあの演奏を……とびっくりしました。やはり演奏シーンはすごく大事に撮られていたんですか?原作も素晴らしいですし、僕も元々アニメ版を観ていたので、文化祭のシーンのすごさは身に染みていました。プレイヤーの動きをトレースして、もはや音楽が流れていなくても音の伝わるようなアニメーションになっていて、すごいと思っていたのに、それを自分が撮らなきゃいけない。これを実写でやるとなると、役者に相当負担がかかると思いました。実際に若い年代の俳優さん達がやらなければいけないと考えると、最初は「それは無理じゃないかな」と、思ったくらいです。でも目標としては、遜色ないものを作りたかったですし、特にこだわって作った部分でした。――演奏シーンをプロの方の吹き替えにしようと考えたりはしなかったんですか?最初は、手元はプロのプレイヤーに任せるという選択肢もあるのかな、と思いました。でもこちらの想像以上に、2人が演奏曲を完璧にトレースできていたので、もう本当に、感動しましたね。嘘をつかなくてすむというのは、監督として本当に幸せな事です。本人が演奏しているというリアリティがあるからこそ、感動できるというのは大きいです。■三木孝浩1974年生まれ、徳島県出身。これまでに、いきものがかり、FUNKY MONKEY BABYS、YUI、ORANGE RANGE等、数多くのPVやライブ映像、TVCM,ショートムービーなどを手掛け、MTV VIDEO MUSIC AWARDS JAPAN 2005 最優秀ビデオ賞、カンヌ国際広告祭2009メディア部門金賞などを受賞。2010年に『ソラニン』で長編映画監督デビュー。以降、『僕等がいた』(前篇・後篇/12)、『陽だまりの彼女』(13)、『ホットロード』(14)、『アオハライド』(14)、『くちびるに歌を』(15)、『青空エール』(16)、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(16)、『先生!、、、好きになってもいいですか?』(17)などがある。(C)2018 映画「坂道のアポロン」製作委員会 (C)2008 小玉ユキ/小学館
2018年03月07日昼ドラの王道“ドロドロ” が土曜の夜に蘇る“オトナの土ドラ”枠の第8弾が決定。ヒロインに石田ひかり、共演に今井翼を迎え、ジャパニーズホラーのレジェンド・中田秀夫が演出を手掛け、いけないオトナの事情が錯綜するドロドロの背徳恋愛サスペンス「屋根裏の恋人」が6月3日(土)より放送される。西條衣香(石田ひかり)は、夫・誠の父の死を機に、義父が遺した鎌倉の洋館に、夫と娘・息子と引っ越してきた。奔放な姑と同じ敷地内で暮らしていくことに不安はあったが、長年の夢だったフラワーアレンジメント教室を自宅サロンで開けること、一家四人が広々と過ごすことができる念願の住処だ。ある日、洋館の庭で行われた引っ越しパーティーに、昔の恋人・瀬野樹(今井翼)が突然現れる。彼は「借金とりに追われているから匿ってくれ」という。衣香は瀬野を追い返そうとするが、彼は姿を消していた…。その夜から、西條家では、不思議なことが起こる。冷蔵庫の食料が減っていたり、夫の洗濯物が無くなったり。そして、衣香の結婚記念日に信じられないことが起きた。家族が帰らない家の屋根裏からバイオリンの音色が聴こえてきた。音に導かれるように、屋根裏へ登っていくと、瀬野がバイオリンを奏でている。彼は、西條家の目を盗んで、屋根裏に棲みついていたのだ。彼は何から逃げているのか?本当の目的は何なのか?そして、明らかになっていく家族が抱えた秘密とは?本作のヒロインにして、専業主婦で優しく穏やかで人当たりも良く、「いい妻」「いい母」「いい女」の仮面をつけている一方で、心の中では毒づく事で、表面の穏やかさを保っている一面を持つ西條衣香を演じるのは、女優の石田さん。14年ぶりの連続ドラマ主演に「とても感慨深い」と話し、「ドラマの現場はやりがいもあり、やはりとても楽しいので、いただいた役を精一杯、心を込めて演じていきたいです」と意気込みを寄せた。また初共演の今井さんについては「キャリアを積まれ、どんどん素敵な大人の男性になっていらっしゃるというイメージです。私の相手役にはお若すぎるのでは…とちょっぴり申し訳ない気持ちもありますが、初めての共演、とても楽しみにしております」と語った。そして、彼女の前に18年ぶりに突如現れ、勝手に家の屋根裏に棲みつく元恋人を、民放・連続ドラマ出演は14年ぶりとなる今井さんが担当。「このところ舞台で芝居を学んでおりますが、これまでに無い役柄をしっかりと落とし込んで演じ視聴者の方々に土曜の夜をワクワクしていただける作品になればと思います」と明かし、謎に包まれた影のある色っぽい男役をいかに演じるのか、期待高まるコメントを寄せた。2人の実力派俳優を迎え、演出には『リング』『仄暗い水の底から』『クロユリ団地』『劇場霊』など日本を代表するジャパニーズホラーのレジェンド・中田監督。脚本は、「ストロベリーナイト」の旺季志ずかが完全オリジナル作品として手がける。次々と明らかになるメインキャラクターの裏の顔にハラハラ、瀬野は救いの天使なのか全てを壊す悪魔なのかというモヤモヤ…ハラハラ、モヤモヤ…略して“ハラモヤ”が巻き起こる本作。今後の続報も楽しみに待ちたい。「屋根裏の恋人」は6月3日(土)より毎週土曜日23時40分~東海テレビ・フジテレビ系全国ネットにて放送。(全8話予定)(text:cinemacafe.net)
2017年04月16日『ソラニン』『くちびるに歌を』を手がけた三木孝浩監督を特集する上映イベント「三木孝浩 filmo day ~音楽と映画~」が、11月8日(日)に開催されることがこのほど決定した。『僕等がいた』『ホットロード』『アオハライド』など、恋愛青春映画の名手として大ヒット作の多くを手がける三木監督。映画監督デビュー5周年を記念して実施される本イベントでは、ミュージックビデオ監督出身の三木監督にとって長編映画デビューとなった『ソラニン』をはじめ、山崎賢人が初映画出演にして主演を務めた『管制塔』、初めて“ラブストーリー”ではない本格的な“人間ドラマ”に挑んだ『くちびるに歌を』の、どれも音楽をモチーフにした3作品が上映される。中でも『管制塔』は、2011年の公開当時、ロケ地である稚内での先行上映と東京・大阪にてわずか2週間しか上映されず、ニューヨーク・ロンドン・ノルウェー・シカゴでの国際映画祭で高い評価を受けた作品であり、今回の劇場での上映は貴重な機会となる。『ヒロイン失格』『orange』と公開作が続く山崎さんが披露する初々しい演技と歌声も見どころだ。三木監督は今回のイベント開催に際して「昨年、『くちびるに歌を』を撮り終えて、ふとこれまでの自分を振り返った時に、あぁやっぱり自分の作品は音楽によって背中を押されてるんだなぁと実感する瞬間がありました。音楽が翼になって、見たかった風景(シーン)を求めて旅をする。それは MVディレクター時代から変わらない自分の創作の源でもあります。そうして創ってきた映画たちを、今回あらためて皆さんに観ていただける機会ができたことをとても嬉しく思います」とコメントしている。また、イベントでは三木作品出演者からの映像コメントをスクリーンで上映するほか、ゲストを招いての舞台挨拶、三木監督作品のパッケージ販売、さらに三木監督のサイン会も開催される。作品ごとに出入りは自由となっており、音楽ライブフェスのような映画上映ベントとして、ぜひチェックしてみて。「三木孝浩 filmo day ~音楽と映画~」は11月8日(日)、渋谷ユーロライブにて開催。(text:cinemacafe.net)
2015年10月13日ASIAN KANG-FU GENERATIONやORANGE RANGE、いきものがかりなど、数多くのアーティストのミュージックビデオを手掛ける三木孝浩監督。映画監督デビューを飾った『ソラニン』以来、能年玲奈主演の『ホットロード』、本田翼&東出昌大主演の『アオハライド』など、青春映画の新たな名手として着実にフィルモグラフィーを更新し続けている。15歳だったすべての人へ――。そんな印象的なキャッチがつけられた三木監督の最新作『くちびるに歌を』は、今15歳という年齢を迎える子どもたちや、かつて15歳だった私たち大人の心を、確かな感動で包み込むような素晴らしい作品に仕上がっている。乙一の変名として知られる中田永一による原作小説は、アンジェラ・アキ「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」を物語の主軸に、アンジェラさんが長崎県・五島の中学校を訪ねたテレビドキュメンタリーがもとになっている。原作を読んだ三木監督は、映画化への強い思いを抱いたそうだ。「ああそんなことに悩んでいたなあというような、自分が15歳だったときの気分を思い出させてくれた作品だったんです。だから自分の実体験も重ねやすかったですし、すごく自分で映画化したいなと思いました」。撮影に入る前に、ひとりでロケハンを行ったという三木監督。舞台となった長崎県・五島の透き通るような海の青と、生き生きとした緑が視界に飛び込む美しいショットの数々が映し出されている本作は、三木監督が「手紙」からイメージされる風景を自らの足で探し、イマジネーションを膨らましていったそうだ。本作の何よりの魅力は、合唱に夢中になって挑む子どもたちの真摯な姿だろう。仲村ナズナ役の恒松祐里や桑原サトル役の下田翔太をはじめ、今後この作品が機転となり活躍していくであろう子役たちが、演じる役とともに成長する姿を生き生きと感じることができる。映画制作において子役の演出は難しいと言われることがしばしばあるが、三木監督はその行程が楽しかったと語る。「むしろ大人に芝居をつけるよりも楽しいですね。すごく変化や成長しやすい時期ですし、“1”言ったら“5”も“10”も自分の中で考えてくれていたりするので。これだけ人数がいると、それぞれの相互作用があって、ひとりの子がいい芝居をすると、それに引っ張られるように周りもいい芝居をしたりとか、その影響し合う姿を観ても面白かったですね」。『ソラニン』『管制塔』と同様、ひとつの楽曲が物語の主軸となり、“未熟”な登場人物たちが、音楽を通して成長していく様を描く本作。だからこそ、クライマックスにおける演奏シーンが観るものの心に感動をもたらすのだが、過去作品を振り返りながら、合唱がテーマとなった本作の演出の裏側について三木監督は明かす。「みんなほぼ合唱に関してははじめてだったので、一から練習して本番に向けて頑張りました。そこが実は撮影の狙いでもあって、子どもたちが役者として成長していく姿と、この子たちが物語の中で成長していく姿というのが、撮りながらリンクしていくといいなと思ったんです。役者として合唱を練習していくその成長過程をちゃんとこの子たちが体感することで、物語の中でそれが投影されれば、すごくリアルにできるんじゃないかと。それは過去の作品にも言えるのですが、音楽単体で聞くよりも、物語のキャラクターをそれぞれ知った上で歌を聞くと、よりその歌が深く聞こえるというのはどの作品にも共通する部分だと思います。この作品も、最後に合唱する姿を観て、それぞれのキャラクターのいままでのことを思いながら、歌詞にその子たちの気持ちが乗って歌ってるんだということを、観たひとが想像してくれたらいいなと思っています。合唱っていうのは、たぶんそれぞれの悩みはあるけれど、一緒に歌うことでその子たちの救いになっているというのが、言葉での説明ではなく、観てるひとの体感として感じてもらえる効果があるんじゃないかなと思いましたね」。子役のキャスト陣に対して、大人側のキャストには木村文乃や桐谷健太といった魅力的な配役はもちろんだが、本作のもうひとつの大きな見どころとしてあげられるのは、やはり主演を務めた新垣結衣のキャスティングだろう。印象的な彼女の笑顔が封印され、まったく笑わないクールな柏木ユリ役を新垣さんが演じる本作は、観るものに新鮮な意外性と、新垣さんの新たな魅力を感じさせる。三木監督はそんなキャスティングへの“戦略”を語った。「毎回キャスティングするときに、特に女優さんは、いままでにない表情を切り取りたいなと思っていて、パブリックイメージと逆のキャスティングをしています。それが観ているひとの予想を裏切ったり、逆にギャップを感じさせることで、共感度が増すと思うんです。今回も、パブリックイメージ的には明るくて元気なイメージがある新垣さんにあえて笑っている姿を封印してもらうことで、どこかでドキッとするというか、“あれ、いつも笑っているひとが笑っていない”という負荷がかかっている状態で観てもらうことで、なぜそうなんだろうと能動的に想像してもらう。もしかしたら、普段は明るく見えている新垣結衣本人にもそういう一面があるんじゃないかと思ってもらえたら“勝ち”かなと思っているんですね。それが柏木ユリを演じてもらう上で実は大事なポイントだった気がしますね。特にあんまり自分の気持ちを吐露するキャラクターではないので、柏木は子どもたちを今観てどう思ったんだろうとかどう感じたんだろうと想像しながら柏木ユリが再生していく様を観てもらえればと思いました」。錆びてぼろぼろの車や折りたたみ式のガラケーなど、ユリの人物造形における細部に至るまでの設定が、柏木ユリという人物をなんとも実在感のあるキャラクターに仕上げることに成功しているのだが、実は柏木ユリ人物造詣の多くは映画オリジナルのもの。そこには、三木監督の並々ならぬ思いが注がれていた。「実は、原作はほとんど中学生それぞれの話なので、柏木ユリ自体のキャラクター造形や、柏木先生の視点は深く掘り下げられてないんです。ですが、物語のベースになっているアンジェラ・アキさんの『手紙』が、歌の一番が十五歳の自分が大人の自分に宛てて書いた手紙、二番が大人の自分が十五歳に向けて書いた手紙という構成になっているので、映画自体も十五歳の視点と大人の視点というのを相互に作用させられるような構成にしたいなと思いました。なので、柏木先生については、折りたたみケータイに執着してるところとか、映画オリジナルですごく膨らませた部分があります」。本作の人間ドラマとしての魅力は、三木監督が柏木ユキという主人公に仮託した大人の目線に他ならない。これまでの作品では、どちらかといえば物語の中で成長していく“子ども”の主人公たちに目線に寄り添ったかたちが多かった三木監督だが、本作における「手紙」の構成になぞらえて描かれた二つの視線は、本作をさらに感動的に演出している。そしてそんな柏木ユキの人物造形への思い入れは、三木監督自身が親になったことが大きいようだ。「今回視点の変化っていう部分では、自分が親になったっていうのがすごくありますね。今回の映画の中で中学生だけの視点だけじゃなくて、柏木先生というのを強く入れたかったというのはその部分で。撮影前の取材やオーディションをしたり準備をする中で、子どもたちの成長をみて自分がハッとさせられる瞬間っていうのが多かったんですね。子どもたち視点っていうのはもちろん大事なんですけど、子どもたちが成長する姿を観る大人がどう感じるかっていう方が、この作品を描く上では逆に一番重要なんじゃないかなと思ったんです。だからこそ、柏木先生が大人の代表として子どもたちの姿をみることで変化していくっていうのは、一番共感してもらえるんじゃないかなと思いました」。現在5歳と2歳の二人のお子さんがいるという三木監督。演出の際にも、自分の娘が十五歳ぐらいになったらどんな悩みを持つのか想像しながら作ったのだそう。本作に溢れる暖かい目線は、父親としての三木監督のひととなりが現れているからこそなのかもしれない。「今後残っていく作品にしたい」と思い制作したという本作を経たいま、今後の展望について語ってもらった。「映画の中で成長だったり再生だったりを描くのが、毎回自分の中でテーマになっていて、ジャンルは変わっても今後もそれがモチーフになるのは変わらない気はしますね。そこが愛おしいというか、未熟だったり未完成な人間が、それでももがきながら自分のあるべき姿を求めて頑張っている姿というのが、観る方としても感動しますし、作り手としてもそこを描きたいなと常々思っています」。人間ドラマの描き手として、今後の三木監督に期待したい。(text:cinemacafe.net)■関連作品:くちびるに歌を 2015年2月28日より全国にて公開(C) 2015 『くちびるに歌を』製作委員会(C) 2011 中田永一/小学館
2015年09月08日ヴイエムウェアは3月3日、副社長を務めていたジョン T. ロバートソン氏が代表取締役社長に、2005年10月から代表取締役社長を務めていた三木泰雄氏が代表取締役会長に就任すると発表した。三木氏は、「ジョンは2007年に入社したのだが、当時の従業員は30名弱。当時から、2人でヴイエムウェアを成長させるべく、奮闘してきた。社内でも『次の社長はジョン』と見られており、ようやくその時が来たことになる」と、今回の社長交代が規定路線だったことを明らかにした。三木氏の会長就任後のミッションは、「新規事業の開拓とパートナーとのリレーションシップの強化」となる。「パートナーの数はますます増えている一方、リレーションシップの強化が重要になってきている。こうした業務と社長としての任務を一人でこなすことは難しい」と、会長職への就任理由を説明した。ロバートソン氏は、2007年に入社後、5年にわたりエリア バイスプレジデントを務める。その後、2012年にVMware ASEANのバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャに就任し、シンガポールを拠点にアジア地域のビジネスを開拓してきた。2014年にヴイエムウェアの副社長に就き、今回、社長に就任する運びとなった。ロバートソン氏は20年以上、日本で生活しているとのことで、日本語が堪能。発表も流暢な日本語で行われた。同氏は、2015年度の事業戦略について、「モバイルとクラウドへの対応が迫られる顧客の成功に向け、"One Cloud, Any application, Any Device”を実現する」と説明した。同社が目指すOne Cloud, Any application, Any Deviceとは、あらゆるデバイスからあらゆるアプリを企業のプライベートクラウドとパブリッククラウドから構成されるハイブリッドクラウドで利用することを可能にすることを意味する。また、ロバートソン氏はヴイエムウェア自身が「Japanese Heart」と「外資系mind」を兼ね備える「ハイブリッド企業」だと語った。「Japanese Heartは、例えば、チームワークのよさや顧客のための奉仕をいとわないところに表れており、また、外資系mindはグローバルのベストプラクティスを利用できるところにある」と同氏。今後は、社長として、「三木氏とのコンビネーションを続けていく」「vCloud AirやAirWatchといった新規事業への投資を積極的に行っていく」「これまで以上に離職率を抑えるため、女性活用を進め、ワークライフバランスを強化していく」といった3つの点に注力していくという。マイクロソフトも前日に社長交代を発表したが、現社長が会長に就任し、社長がカバーしきれない業務をサポートしていくという同様の内容の社長交代劇となった。ヴイエムウェアは、昨年、国内でパブリッククラウド「vCloud Air」を提供開始したが、それ以来、サービスプロバイダーとの付き合い方も変わってきているという。これまではサービスプロバイダーに対しソフトウェアを提供するのみだったのが、一緒になってクラウドサービスを開発する方向に向かっているとのことだ。ヴイエムウェアのほかにも、日本IBMやマイクロソフトも企業のハイブリッドクラウド活用の推進に力を入れており、競争はますます激化している。各社の社長交代が、今後どのような形でビジネスに影響を及ぼすのか、興味深い。
2015年03月04日横山秀夫の傑作ミステリー『64(ロクヨン)』が佐藤浩市主演で映画化されることが決定した。『ヘヴンズ ストーリー』の瀬々敬久監督がメガホンを執り、前後編2部作の大作として2016年に東宝系で公開される。『64(ロクヨン)』は、警務部広報室の広報官で、かつては刑事だった主人公・三上義信が、昭和64年に起きた未解決の少女誘拐殺人事件“ロクヨン”に挑む姿を描いたミステリー。映画の前編では、加害者匿名報道を巡る広報室と記者クラブの確執と、その狭間で三上が広報官として覚醒していく様が描かれ、後編では、ロクヨンをなぞるように新たに発生した誘拐事件に、今度は広報官として真っ向から立ち向かう三上の姿が描かれるという。横山秀夫作品はこれまでに4作(『半落ち』『出口のない海』『クライマーズ・ハイ』『臨場 劇場版』)が映画化されており、『64(ロクヨン)』は4月からピエール瀧主演でNHKでドラマ化されることも決定している。原作に惚れ込みオファーを受ける前から出演を熱望していたという佐藤は「『クライマーズ・ハイ』の時もそうでしたが、『64』も原作を読んだ時から大変な仕事になるという覚悟を決めなければ出来ない作品です。しかし自分がやりたい、やらなければいけないという演者の欲と必ず強い作品に出来るということを信じて、監督スタッフと共にぶつかりたいと思います」と語り、脚本の製作段階から“三上”という男の人物像とその演出法について瀬々監督と意見をぶつけ合っているという。映画化にあたり横山氏は「原作の世界観を共有し、さりとて具象の檻にとらわれることなく、映像作品として優れたものに昇華して欲しいと願っています。活字と映像は好敵手であり、だからこそ無二の親友にもなりうる。職業人として尊敬する佐藤浩市さんをはじめ、出演者の皆さんと制作スタッフの情熱が、原作と映画を切っても切れない関係にしてくださると信じています」と期待を寄せている。本作は2月26日(木)から5月まで、東宝撮影所や関東近郊にて撮影を行い、10月の完成を目指す。『64-ロクヨン-前編/後編』2016年 全国東宝系ロードショー
2015年02月18日「半落ち」「クライマーズ・ハイ」などの傑作を生み出してきた警察小説&人間ドラマの名手・横山秀夫が7年ぶりに世に放った衝撃作「64-ロクヨン-」を前編・後編の2部作で実写映画化されることが決定。さらに、佐藤浩市が主人公を務めることが明らかとなった。昭和最後の年、昭和64年。その年に起きた少女誘拐殺人事件は刑事部で「ロクヨン」と呼ばれ、少女の死亡、未解決のままという県警最大の汚点として14年が過ぎ、時効が近づいていた。平成14年ーー主人公の三上義信は「ロクヨン」の捜査にもあたった敏腕刑事だが警務部広報室に広報官として異動する。そして記者クラブとの確執、キャリア上司との闘い、刑事部と警務部の対立のさなか、ロクヨンをなぞるような新たな誘拐事件が発生。刑事部と警務部の軋轢、未解決のロクヨンと新たな誘拐事件の関係、そして三上の一人娘の行方。驚愕の展開が次々と三上を襲う…。2012年度「週刊文春ミステリーベスト10」第1位、2013年度「このミステリーがすごい!」年間1位、2013年度「本屋大賞」第2位に輝き、過去のどの警察小説よりも警察、記者たちの葛藤・攻防がリアルに描かれ、瞬く間に文壇を席巻した「64-ロクヨン-」。映画化に挑むのは、『ヘヴンズ ストーリー』で「第61回ベルリン国際映画祭」国際批評家連盟賞を受賞するなど世界的にも評価され、『アントキノイノチ』や6月より公開となる『ストレイヤーズ・クロニクル』を手がけた鬼才・瀬々敬久。オファーを受ける前、原作を読んだ段階から出演を熱望していたという佐藤さん。『感染列島』『ヘヴンズ ストーリー』でもタッグを組んだ瀬々監督と、脚本製作段階からすでに“三上”という男の人物像とその演出法について意見を交わしていたという。「『クライマーズ・ハイ』のときもそうでしたが、『64』も原作を読んだときから大変な仕事になるという覚悟を決めなければ出来ない作品です。しかし自分がやりたい、やらなければいけないという演者の欲と必ず強い作品に出来るということを信じて、監督スタッフと共にぶつかりたいと思います」と気合十分。原作者・横山氏は、過去4作映画化されており、本作で第5作目。「64」には思入れがあったようで「何年も苦しんで執筆した作品なので、自分の分身のように感じる」と語る。また、2部作で映画化されることについては「知らされたときは本当に驚きました。嬉しい半面、『64』の文庫本を上下巻で出している身としては『冒険だな』とも。本では上巻、映画では前編の出来と質がまず問われますよね。恐いけれどもワクワクする。冒険のパートナーに『64』を選んでいただいたことに感謝しています」と喜びを語った。センセーショナルな事件を解決に導いていくだけではなく、主人公・三上が複雑な関係性の中で悩み、苦しみ、生きていく様を描いている本作。前編では加害者匿名報道を巡る、広報室と記者クラブの確執のその狭間で、三上が広報官として覚醒していく様が描かれ、後編では新たに発生した因縁の事件「ロクヨン」をなぞる誘拐事件に対し、かつては刑事として、今度は広報官として真っ向から立ち向かう三上の姿が描かれるという。『64-ロクヨン-』は2016年、全国東宝系にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年02月18日「AKB48」グループ全メンバーを対象とした主演女優オーディションを勝ち抜いた“ぱるる”こと島崎遥香が主演する、ジャパニーズ・ホラーの巨匠・中田秀夫監督の最新作のタイトルが、『劇場霊』に決定。共演に足立梨花、高田里穂、そして「花子とアン」の町田啓太(劇団EXILE)を迎え、初公開となる場面写真3点とメイキング画像、さらに中田監督からのコメントが到着した。トップ女優を目指すも、成果が出せず悩んでいる若手女優・沙羅(島崎遥香)は、新作舞台のオーディションでようやく脇役を手にする。その舞台の主演をめぐり、香織(足立梨花)や葵(高田里穂)ら若手女優の熾烈な争いが繰り広げられる中、不気味な劇場の中では、不可解な事件が起き始める。沙羅はスタッフの和泉(町田啓太)とともに事件の真相を探るうち、劇場内に潜む恐怖の存在に気付いていく――。『女優霊』(‘96)『リング』(‘98)で日本だけでなく世界中を恐怖に陥れ、2013年の前田敦子主演『クロユリ団地』では10億円突破の大ヒットを生んだ中田監督。撮影所を舞台に巻き起こる恐怖を描く伝説のホラー映画『女優霊』から20年、『劇場霊』というタイトルとなった最新作は、舞台を不気味な劇場に移し、女優たちを次々と襲う恐怖を映し出していく。「『女優霊』や『リング』を同時代的には観ていない若い観客の方々にも、この恐怖を体感していただきたい」と語る中田監督は、作風であるじっとりとした空気の恐怖にとどまらず、フルスピードで駆け抜ける恐怖が絶え間なく襲いかかるJ(ジェットコースター)ホラーを誕生させた。Jホラーで描き出すのは「“演劇=虚構”の隙間に忍び込む“魔物”です。その“魔物”は稽古中のステージ上、楽屋、倉庫、そして舞台下の奈落へと“現実への侵入”を止めません。今回は疾走感、おぞましい異形感というものを強く意識しています」と、中田監督は語る。また、全「AKB」グループ内のオーディションを勝ち抜き、主演に大抜擢された島崎さんについては、「ホラー映画的ルックと高い集中力を兼ね備えた方」と大絶賛。「主役に決定して、リハーサル中には、不安と決意の入り交じった緊張した顔をしていて、この映画への真摯な向き合い方がとてもいいと思いました。その不安感や決意は、映画の役の感情表現として相乗効果を上げています。島崎さんがその“ネコ科の大きな瞳”で不安に震えるとき、恐怖におののくとき、私はこころの中で快哉を叫んでいました」と、ヒロインの心情とも重なった名演に太鼓判を押している。『劇場霊』は2015年3月完成予定、秋に全国にて公開予定。(text:cinemacafe.net)
2014年12月14日“Jホラー”ブームを牽引する中田秀夫監督の最新作『クロユリ団地』の大ヒット御礼舞台あいさつが1日、都内で行われ、中田監督と主演を務める前田敦子が出席。同日、中田監督と『クロユリ団地』プロデューサーチームによる新作始動が発表された。現時点で詳細は「何も決まっていない」(中田監督)というが、「きっと皆さんも、(前田演じる)明日香やミノル君の行方が気になっているんじゃないかなあ……」と『クロユリ団地』続編の可能性も示唆していた。その他の画像映画は、“謎の死”が相次ぐ老朽化した集合住宅・クロユリ団地を舞台に、前田演じる主人公が暮らす部屋の隣室で老人が孤独死した事件をきっかけに、次々と起こる恐ろしい怪奇現象が描かれる。先月18日に全国162スクリーンで公開され、初登場第1位を記録する大ヒットスタート。2週目も好調に推移し、今年公開された邦画実写作品としては、初めて2週連続で1位に輝いている。前田本人も、本作が上映中の劇場に足を運んだといい「たくさんの皆さんが観にきてくださった。私がチケットを買う頃には、ほとんど席が埋まっていて、端っこの席で鑑賞した」とヒットを肌で感じた様子。また、先月には日本との同時封切りが実現した台湾で舞台あいさつに立ち、「ファンの皆さんがいろんな場所で、私たちを先回りしてくれて、温かく歓迎してくれた」とニッコリ。現地ではご当地グルメに舌鼓を打ったそうで「すっごく食べましたよ。たぶん3人前くらいは」(前田)、「横で見ていて、すっげーと思いました」(中田監督)と会話を弾ませた。中田監督は「心に染み入るホラーを目指した。もちろん、恐怖描写にも力を入れたが、ぜひ現代人が抱える孤独と、その隙間に入り込む“この世ならざるもの”を感じてもらえれば」と新境地となった本作への自信をさらに深めていた。『クロユリ団地』公開中
2013年06月01日ベン・アフレックが監督・主演を務める映画『アルゴ』の特別試写会が12日に行われ、ゲーム『メタルギア・ソリッド』シリーズを手がける小島秀夫がトークショーに登壇した。その他の写真本作は、1979年のイラン革命の際に実際に起こった、CIAによる人質救出作戦の全貌を映画化した作品。CIA局員のトニー(アフレック)は、過激派によるアメリカ大使館襲撃から逃れてカナダ大使宅に身を潜めた職員6人を国外に脱出させようと“ニセの映画製作”計画を考案。6人を映画クルーに変装させ、作戦を決行する姿を描く。小島は、著書『僕の体の70%は映画でできている―小島秀夫を創った映画群』を執筆するなど、映画通としても知られている存在で、トークショーでは本作が今年観た映画の中でダントツの1位だと評価。『ゴーン・ベイビー・ゴーン』『ザ・タウン』に続き、本作でも監督を務めるアフレックに対しても、「アフレックは『俺は世界中のもの凄いデキる監督と仕事をしてきた』と言ってたけれど、そんな人に勝てるわけがない(笑)。クリント・イーストウッドも凄い人だけど、彼は多分その上にもいける人。ぜひ友だちになりたい」と絶賛した。そんな小島が手がけるゲーム『メタルギア・ソリッド』シリーズは、スネークと呼ばれる主人公を操作し、敵に見つからないように隠れながら敵地へ潜入するというもので、累計販売本数3240万本、今年で生誕25周年を迎える人気作だ。スネークと本作の主人公・トニーの立場はどこか共通する部分が多いのだが、小島自身も以前、ワシントンD.C.にある国際スパイ博物館を訪れたことがあるそうで、トークショーでは映画『アルゴ』が基にした事件の写真を見学する小島の様子がスクリーンに映し出された。劇中では、人質がイランを脱出するために変装をしたり、全く違う人物になりすますためにトニーから指導を受けるシーンが登場するが小島は、「映画製作がカモフラージュになるなんてアホな作戦、フィクションでは考えつかないですよ。でも、映画製作と特殊メイクが人を救った。それを描いたアフレックは本当にうまい」と言い、「こんなにワクワクする映画はないと思う。自信を持ってオススメできます。僕の身体の20%はアフレックになりつつありますけどね(笑)」と、会場の笑いをとっていた。『アルゴ』10月26日(金)丸の内ピカデリーほか全国公開
2012年10月16日人気ミステリー作家・横山秀夫の4つの短編を、仲村トオル、岸谷五朗、玉山鉄二、渡部篤郎という4人の人気俳優をそれぞれ主演に据えて映像化した「横山秀夫サスペンス」。WOWOWで放送された本作がこのたび、DVDでリリースされ、4作品をまとめた予告編も到着した。『半落ち』、『出口のない海』、『クライマーズ・ハイ』などの映画化作品をはじめ、その著作が数多く映像化されている横山秀夫。数々の名作の中から「真相」(双葉社刊)に収録されている「18番ホール」、「他人の家」の2作と、「看守眼」(新潮者刊)に収められている「自伝」、「静かな家」をそれぞれ約1時間のドラマとして映像化した本作。「18番ホール」は、地元の村の再開発の話を聞いて村長選に立候補した男が主人公。実は彼には12年前のある秘密を隠すため、何としても当選する必要があった。当初は楽勝と思われていたが、強力な対抗馬の存在で徐々に暗雲が…。『行きずりの街』の公開を控える仲村トオルが当選のために必死で奔走する主人公に挑む。「静かな家」は「誤報」というタイトルで岸谷五朗を主演に映像化。ある地方新聞の記者が、写真展の日程を誤って報道してしまうのだが、それに端を発して謎めいた事件が…。「自伝」の主人公で、母に捨てられたトラウマを抱えて生きるライターを演じるのは『ノルウェイの森』がまもなく公開となる玉山鉄二。彼の元に家電量販店の会長の自伝執筆の依頼が。取材の初日、その会長は人を殺した過去を告白。そこから衝撃的な真実が明らかになる。「他人の家」は強盗事件で服役し、いまは妻との静かな暮らしを望みつつも前科のせいで行くあてをなくした男が、近所のがんを患った老人の申し出で、彼の養子に入り家を受け継ぐ約束をする。ここから、彼と妻は、恐るべき事件に巻き込まれることになる。渡部篤郎が再起を図る前科者の悲哀を見事に表現している。日本随一のミステリー作家の作品を原作にした4人の実力派俳優の物語が一挙に楽しめる本作。男たちの運命は――?「横山秀夫サスペンス」DVDは発売中(同時レンタル中)。※こちらの予告編映像はMOVIE GALLERYにてご覧いただけます。MOVIE GALLERY「横山秀夫サスペンス DVD-BOX」価格:4,980円(税込)発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント© 2010 WOWOW■関連作品:行きずりの街 2010年11月20日より全国にて公開© 2010「行きずりの街」製作委員会クライマーズ・ハイ 2008年7月5日より丸の内TOEI1ほか全国にて公開© 「クライマーズ・ハイ」フィルム・パートナーズ■関連記事:【TIFFレポート】仲村トオル俳優デビュー25周年50度カクテル一気飲み「ファイヤー!」仲村トオル、チャン・ドンゴンとの再会に感激!『行きずりの街』韓国公開も即決定ハズレなし!「映画館大賞2010」まもなく発表中谷美紀が選ぶ「1本」は?尾野真千子インタビュー「ここで隠したら一緒になれない気がした」と“覚悟”明かす堺雅人が語る太宰、そして『人間失格』――。「近代文学と“再会”できました」
2010年11月02日若い世代を中心に絶大なる人気を誇る漫画家・浅野いにおの作品「ソラニン」の実写映画化を手がけた三木孝浩監督の動画インタビューが到着!宮崎あおいを始めとする若手人気キャストを迎え、主題歌はASIAN KUNG-FU GENERATION(以下、アジカン)が担当するなど、公開前から大きな話題を呼んでいる本作。これまで、多くのミュージックビデオの演出を行ってきた監督とあって、映画化に際してもライヴシーンを重視。原作について「音のない表現で音を感じさせて素晴らしい」と絶賛しつつ「映画ではそれとは違う形で音楽が持っている力を表現したかった」と思い入れを明かす。さらに、宮崎さんとのクランクイン前の会話、バンドのシーンにまつわるエピソード、主題歌をアジカンに決定した経緯、自らの青春時代についてまで、落ち着いた口調ながらも熱い思いが感じられるコメントが並ぶ。監督の視点、思いを知ることで、作品の見え方、受け止め方がまた違ってくること請け合い。映画を観る前に、ぜひご覧あれ!『ソラニン』は4月3日(土)より全国にて公開。※こちらのインタビュー映像はMOVIE GALLERYにてご覧いただけます。MOVIE GALLERYシネマカフェSweet「『ソラニン』 素晴らしきマンガワールド特集」■関連作品:ソラニン 2010年4月3日より全国にて公開© 2010浅野いにお・小学館/「ソラニン」製作委員会写真:太田好治■関連記事:芽衣子は理想の恋人?あなたの青春恋愛ソングは?『ソラニン』アンケート結果発表映画公開直前!『ソラニン』原作者・浅野いにおから動画メッセージが到着超豪華!宮崎あおい、高良健吾らキャストサイン入り『ソラニン』プレスを1名様にプレゼント桐谷健太×近藤洋一インタビュー「そっくりなベーシストが出てくるマンガがあるよ」宮崎あおいの言葉にアジカンのゴッチ感激!「録音して着ボイスにしたかった…」
2010年04月02日映画『ソラニン』の試写会が3月15日(月)、若い世代に人気の書店『ヴィレッジヴァンガード」(以下V.V.)主催で開催され、本作の三木孝浩監督とV.V.のオンラインショップの“中の人”こと中本恵二氏によるトークイベントが行われた。トークイベントは作品上映後ということで、中本さんは映画を観たばかり。早速、感想を尋ねると「いまもウルウルしていて、感動冷めやらぬ感じです。印象に残ったのは、最後のライヴシーン。宮崎あおいさんのギターを弾いているときの真剣な表情は、演技を超えてかなり(役に)入っているな、と。ひと言で言えば、観てよかったな、と」と絶賛。三木監督はこの言葉にホッとした様子。その三木監督は、ミュージックビデオの分野で活躍しており、本作で初めて映画監督に挑戦した。以前から(原作の)浅野いにおさんの作品は好きだったものの、「ソラニン」だけは読んでいなかったとか。「読んでみたらまさしく自分がやってきた音楽というフィールドに近い、バンドをやる若者たちの話で、ぜひやりたいと思って(監督の話を)引き受けました。音楽をテーマにしつつ、『夢を持ってるんだけど、まっすぐに進めないモヤモヤした感じ、冷めている感じ、想いと戦っている感じ』に共感できたし面白いと思った」と語った。中本さんは、原作漫画の連載当時、および漫画の発売当時について「よく『浅野いにおの新刊読んだ?』と話してました。読んでみて『なかなかない物語だな。売ってやろう!』という気持ちになって、当時かなり押しましたし、お客さんの反応も良かったですね」とふり返った。さらに話は世代論に。「浅野さんよりも少し上の世代」と言う三木監督は、90年代後半を引き合いに「あの頃は、斜に構える感じでも、根本は明るいというか、少しのん気さがあった。『ソラニン』のシビアな感じ…例えば貯金残高がなくなったり、タイムリミットが差し迫ってるという感覚はこの世代ならではかも。(劇中の)種田(高良健吾)や芽衣子(宮崎あおい)の悩み方ってきっと僕らの世代以降の悩み方だと思うんです。自分の幅が見えてしまい、設定が出来てしまう」とも。これに中本さんも「劇中の、ギターを初めて弾いた少年の『世界が開けたような』感覚を得る機会が少なくなっている。ネットで検索すれば何でも見える時代で、自分の発見に感動することがなくなった」と頷く。監督はさらに、自らの経験を挙げ「僕は徳島の田舎育ちで、高校時代に『映画監督を目指す』と周りに話して、何となくビデオ回して作った作品を『これは傑作なんじゃないか!』って幻想したりして(笑)、それがモチベーションになってた。いまは、例えば曲を作ればすぐにマイスペースに上げられて世間にも評価されてしまう。そこで自分のレベルにある程度、想定がついてしまう」と現代の“手軽さ”が、皮肉なことに若者たちの“熱”を奪っている現状を語った。若い世代を中心とした観客は、真剣な眼差しで監督の言葉に耳を傾けていた。また、トークイベントの最後には三木監督は、『ソラニン』以後について「浅野先生の別作品もやってみたいですね。『世界の終りと夜明け前』(小学館刊)が大好きなのでぜひ映像化したいです」と意欲を語った。『ソラニン』は4月3日(土)より全国にて公開。■関連作品:ソラニン 2010年4月3日より全国にて公開© 2010浅野いにお・小学館/「ソラニン」製作委員会/写真:太田好治■関連記事:『ソラニン』Twitterが熱い!フォロワーが3,000人突破宮崎あおい、夢はガソリンスタンドのバイト?『ソラニン』イベントで幻の楽曲も公開アジカン後藤バンドブレイク前をふり返り「僕らはちょっとおかしい」ふたりの想いをつなぐ歌!『ソラニン』劇場鑑賞券を5組10名様にプレゼント高良健吾率いる劇中バンド熱唱のデモCD付き!『ソラニン』特別前売鑑賞券予約開始
2010年03月16日『亀は意外と速く泳ぐ』や『転々』など、ゆるりとしたギャグと徹底的に作り上げられた独特の世界観で数々のファンを魅了する、日本映画界きっての奇才・三木聡。またもや摩訶不思議なタイトル『インスタント沼』と名づけた、監督の集大成とも言うべき最新作がDVDリリースされた。作品の随所から見られる監督の「映画」へのこだわり、そしてその原風景について、話を聞いた。実は、「〜沈丁花ハナメの冒険〜」という副題を考えていたと話す監督が、今回主軸に置いたのは、30歳前後の岐路を迎えたヒロイン・沈丁花ハナメ(麻生久美子)の“成長譚”。これまでにも増して、この作品では、主人公が前向きに人生と向き合っていくさまがストレートに描かれている。「ただギャグをやる以外の、別の楽しみ方を映画の中で見つけたいという気持ちはあった」と監督は話す。「人生の中で、成長しなきゃいけないとか、利益を上げなきゃいけないとか、いろんなことの目標値を周りに設定されるじゃないですか。でも、目標のない人生がむなしいというのは単なる植えつけで、別に意味なく一生を過ごしてもその人が良ければそれでいいわけじゃないですか。頑張らなきゃいけない理由なんて何にもないんですよね。そういう柵からちょっとフリーになってもいいんじゃないかという気持ちはあったと思います、2008年の夏は。それはそのときの気分だったんだろうし、それを観た人がまた別の気分を見出してくれると、ちっちゃい思想しかない映画が勝手な広がりになっていく。観た人がそれぞれ自由に思ってくれることが一番ですよね」。そんな三木監督の作品に欠かせない要素というのが、ナンセンスなジンクスや“未確認”生物の存在。今回も、物語のゆくえを司る“沼”しかり、河童や空飛ぶ龍しかり、期待を裏切らない、ナンセンスがそこかしこに転がっている。「やっぱり目の前にあるものだけを認めなくてもいいんじゃないかというのは、映画の基本構造としてあります。僕自身も、底なし沼があったらいいなと思ってた世代なわけですよ。小さい頃は、アマゾンに人が落ちたらピラニアに喰われて骨だけが浮いてくるということにドキドキした世代だから。デヴィッド・リンチとかも大好きな監督なんだけど、ある種の“まがまがしさ”というのを映像にしていくことに惹かれるんです」。続けて、監督は楽しそうにこう語る。「僕の映画の原始的な体験って小さい頃大好きだった西部劇ごっこなんです。おもちゃの兵隊を目の高さに持ってきて、別の世界をミニチュアサイズの中に作っていくという構築の仕方はいまも影響されてるのかなと思います。小学校6年生くらいのときって男子より女子の方が成長してる感じがあるじゃないですか?その関係っていまもあると思うけど、女性の監督さんはその辺がすごくドラスティックで、俺が作っている映画の方が随分単純でくだらないなと思うことはありますね(笑)」。では今回、なんでまた“沼”を題材に選んだのか?それも日本の社会が急成長した70年代、幼い頃の日常にあった、沼が埋め立てられ団地にされていくという景色と深く結びついていた。「沼とかがブルドーザーで埋められてるのを見て、何で埋め立てちゃうんだろうと。社会が成長していく上で排除されているものに対して、あってもいいんじゃないという気持ちはありますね。雑多なものやイメージが街の中にあるからこそ街なんだという気もするし、そういうことへのアンチテーゼも池や沼に結びつき、骨董屋にも結びついていったんだと思います。電球商会(劇中の骨董屋)というのはまさにカオスで、昔は古着の山の中にすごく高いものが埋まってるんじゃないかという幻想みたいなのがあったと思うんだけど、そういうのが無くなることへの懸念もあったり。『転々』のときも、無くなってしまうだろう空き地とか、開発中の変な建物だとか、ぽつんと駐車場に取り囲まれたアパートとかを背景にしているんですよ」。脱力系ワールドとは裏腹に、既成の価値観やルールをぶち壊すスピリットを強く感じさせる三木監督。改めて、監督にとっての“映画”とは何かを聞いてみた。「こうでなきゃいけないというのがない、懐の深さが映画の最大の特徴だと思います。特に2000年以降は、映画界以外の分野からいろんな人が参入したり、いろんなトライ&エラーがなされてきた。(不景気の煽りを受け)いまはちょっとみんなへこんでますけど、それが終わったときに映画がどんなトライ&エラーをしていくのか楽しみですし、自分も目撃者としてそこにいたいという気はありますね」。早くも次回作が待たれるが、では監督、次はどんな映画を撮ってみたいですか?「ロックな映画をやってみたいですね。僕も一時期バンドをやっていたことがあるんですけど、大きな声でバカバカしく歌うっていう。昔の『ロッキー・ホラー・ショー』でおっさんが編みタイツ履いてたり、ああいうロックそのものの破天荒でバカバカしいイメージを再現したいなと思いますね(笑)」。三木聡監督プロフィール1961年神奈川県生まれ。テレビの構成作家やシティボーイズのライブの作・演出などを務めた後、最近では、高視聴率のドラマ「時効警察」の脚本・演出でも話題になる。監督作に『イン・ザ・プール』(’05)、『転々』(’07)など。「インスタント沼ミラクル・エディション」発売元:角川映画/販売元:ポニーキャニオン価格:4,935円(税込)発売中© 2009「インスタント沼」フィルムパートナーズ■関連作品:インスタント沼 2009年5月23日よりテアトル新宿、渋谷HUMAXシネマほか全国にて公開© 2009「インスタント沼」フィルムパートナーズ■関連記事:『蒲田行進曲』と麻生久美子の浅からぬ因縁とは?風間杜夫は必死の自毛アピール【どちらを観る?】加瀬亮の“染まり”を検証『重力ピエロ』&『インスタント沼』幸運!?の“ジリ貧”『インスタント沼』特製マグカップを2名様にプレゼント「出たとこ勝負(笑)!」麻生久美子が30歳を前に迎えた岐路と出会いとは?引越し大好きの麻生久美子、“ジリ貧”脱出法を伝授「おかげで運気が上がった」
2009年12月08日