各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週土曜日は、洋書を専門に扱う原宿のブックショップ「シェルフ(Shelf)」(東京都渋谷区神宮前3-7-4)が選ぶ書籍をご紹介します。■『68TH STREET』上田義彦撮影する写真のカテゴリーにとらわれず、第一線でシャッターを切り続けてきた上田義彦。そんな上田が一枚の紙をモチーフにしたあるシリーズを撮影した。ニューヨーク68丁目の部屋に落ちてきた光は、刻々とその姿を変え、やがて消えていく。上田はその光をある日から飽きずに毎日追いかけ、完璧な美しさでモノクロームの印画紙の上に、彼にとっても命題であった写真の宿命である光と、それによって生まれる影を定着させた。その写真群を託されたのは、上田が信頼し、ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)の2018年春夏キャンペーンなども手掛けている世界有数のトップディレクターファビアン・バロン(Fabien Baron)。印刷・製本は京都のサンエムカラー。数々の写真集や美術書、カレンダーなどの美術印刷で知られるサンエムカラーならではの1,000dpixの高精度印刷と、UVインクとエンボス加工も施した、日本の印刷技術と造本技術の粋を極めた仕上がりになっている。竹芝駅周辺の再開発および鈴江倉庫ビルの取り壊しに伴い、2018年5月20日をもって閉廊した上田義彦がキュレーションするGallery 916では、最後のエキシビションとして本シリーズの上田義彦写真展「68th Street 光の記憶」が開催された。【書籍情報】『68TH STREET』写真:上田義彦出版社:ユナイテッドヴァカボンズ言語:日本語ハードカバー/140ページ/360×250mm発刊:2018年価格:1万円■Shelfオフィシャルサイトで『68TH STREET』を購入する
2018年06月30日上田義彦による写真展「Forest 印象と記憶 1989-2017」が、1月19日から3月25日までGallery 916にて開催される。竹芝駅周辺の再開発に伴い4月15日に閉廊する同所は、2012年2月のスタート以来、かつてない写真体験の場、東京の主要なアートの発信地として、歩んできた。個展として最後になる本展では、30年もの長きにわたり、生命の循環と全身全霊で対峙した上田が紡ぎ出した、生けるものの原初の摂理を現す森の姿が、1989年から2017年の最新作まで約50点並ぶ。上田氏は、「僕が森を撮り始めて、30年が経とうとしている。そして今、アメリカ北西部のQuinaultの森と、日本列島の南に位置する屋久島の森、そして、日本の中心部に位置する奈良の春日大社の原生林、地理的には太平洋を挟んで存在するという以外、無関係に思える三つの森を、僕は写真に撮った。乱暴に言えば、行きがかり上、たまたま偶然、縁があって等など。しかし実は、これら三つの森には僕にとって重要な共通点がある。それはこれらの森が太古から人間によって守り継がれてきた、守らねばならないと、人に感じさせる何か大切な力があったからだということ。それを感じとる大事な力を、人は太古から受け継いできた。それを自分自身にも強く感じる。多くの森に僕は出かけた。しかしこの三つの森と出会った時、特別な感覚に襲われ、そして『撮らなければ』と、強く思った。それは言葉にならない、僕の中で起こった鋭い感覚だった。その感覚が僕に、この三つの森を撮らせることになったのだと思う」とコメント。本展覧会に併せて、青幻舎より写真集『FOREST 印象と記憶 1989-2017』が1月19日に出版される他、1月27日15時から16時半には後藤繁雄(編集者)、2月11日15時から16時半には伊藤俊治(美術史家)、3月3日16時から17時半には飯沢耕太郎(写真評論家)とのトークセッション&ブックサイニングが行われる。【展覧会情報】上田義彦写真展「Forest 印象と記憶 1989-2017」会期:1月19日~3月25日会場:Gallery 916住所:東京都港区海岸1-14-24 鈴江第3ビル 6F時間:11:00〜20:00/土日、祝日 11:00〜18:30料金:一般800円 大学生・60歳以上500円 高校生300円 中学生以下無料休館日:月曜日(祝日を除く)
2018年01月14日写真家・上田義彦の個展「林檎の木」が、12月2日から2018年1月13日まで東京・六本木の小山登美夫ギャラリーで開催される。林檎の木 6 2017 c-print, acrylic frame 63.1 × 52.8 cm ©Yoshihiko Ueda, Courtesy of Tomio Koyama Galleryアート写真、広告写真というカテゴリーやジャンルにとらわれず、35年もの間第一線でシャッターを切り続けてきた写真家・上田義彦。自然、静物、人物など多様な主題を扱いつつも、誠実で一貫したまなざしで、目の前の世界の最高の瞬間を捉え、その写真で多くの人を魅了してきた。本展で発表する新作「林檎の木」は、2013年に上田義彦が群馬県川場村で開催されている「川場村ネイチャーフォトフェスティバル」の審査員として同地を訪れた際に、タクシーで会場へ向かう際に撮影した1枚の写真に由来する。思わずカメラを向けたのは、車窓から見えた、たわわに実った林檎の木。その時の印象が鮮烈で「また撮りたい」という強い想いが残ったという。林檎の木 6(部分) 2017 ©Yoshihiko Ueda, Courtesy of Tomio Koyama Galleryその2、3年後、再び川場村を訪れた上田義彦は、8×10のカメラで撮影。彼が魅かれたのは、林檎の赤、強い太陽の光、それらの生命力。川場村で一番古いと言われる林檎の木の、醸し出される歳月だったという。太陽の光が林檎を照らし、林檎の赤い色が生命力を放ち、その反射と充満した光の中でシャッターを切る瞬間、上田は「眼が歓び、身体全体に歓びがわきあがった」と言う。「林檎の木」には、林檎の木という被写体を通して、生命力やその木が経て来た年月、そしてそこに出会えたという上田義彦の高揚した気分までもが写し出されているかのような作品だ。個展開催初日である12月2日18:00から20:00には、オープニングレセプションを開催。上田義彦も在廊する。【イベント情報】上田義彦展「林檎の木」会期:2017年12月2日〜2018年1月13日会場:小山登美夫ギャラリー住所:東京都港区六本木6-5-24 complex665ビル2F時間:11:00〜19:00休廊日:日、月曜日、祝日。2017年12月29日~2018年1月8日 冬期休廊入場無料
2017年12月02日