堺雅人と山田孝之が共演する映画『その夜の侍』のメイキング映像が公開された。愛する妻を失い復讐だけを考えて生きる男と、出所した犯人の男。対峙したふたりの男の姿を演じる俳優陣の緊迫した空気が伝わってくる映像だ。『その夜の侍』メイキング映像本作は、5年前に妻をひき逃げされて復讐を誓う男、中村(堺)と、刑期を終えて出所したひき逃げ犯・木島(山田)を主軸に、彼らを取り巻く人々の孤独や葛藤を描いた人間ドラマ。劇団“THE SHAMPOO HAT”を率いる赤堀雅秋氏が主演も務めた舞台を、自ら映画化した作品だ。このほど公開されたのは、殺された妻の5回目の命日の夜、ついに中村と木島が対峙する重要なシーンの撮影現場をおさめたもの。撮影現場では大量の雨を降らせたが、中村役の堺は傘もささずに包丁を握る右手に力を込め、愛していた妻を想い、復讐して良いのかと葛藤する男を熱演する。これまで堺は、相手を翻弄する食えない男を演じることが多かったが、本作では急に訪れた妻の死に翻弄され、苦しむ男を全力で演じており、映像では「カット」の声がかかった後の苦渋に満ちた表情が印象的だ。一方、山田演じる木島は不敵な表情を浮かべ、暴力的な行動に出るもその内面には人知れぬ孤独を抱えている人物。雨のシーンでは、木島に不釣合いな赤い花柄の傘が彼の恐ろしさを引き立てており、カメラがまわる前に赤堀監督の演出を受けながら、徐々にテンションをあげていく山田の姿を見ることができる。さらにメイキング映像は、中村が木島に出会い、刃を向ける緊迫したシーンへ。圧倒的な量の雨を降らせながら、ふたりが格闘する複雑なシーンだが、堺、山田とも緊張感が切れることがなく、ふたりの気迫に応えるように赤堀監督らスタッフたちが撮影を進めていく様を確認できる。堺と山田が、むき出しの感情をぶつけ合い、人間の醜さやその本質を体現する映画『その夜の侍』。行き場をなくしたふたりの男が物語の結末でどこにたどり着くのか気になるところだ。『その夜の侍』11月17日(土)より全国ロードショー
2012年11月09日17日公開の堺雅人主演映画『その夜の侍』の完成披露試写会が7日にユナイテッド・シネマ豊洲で行われ、堺、山田孝之、新井浩文、綾野剛、谷村美月、田口トモロヲ、赤堀雅秋監督が舞台あいさつに登壇した。その他の写真本作は、劇団“THE SHAMPOO HAT”を率いる赤堀氏が、自ら作・演出と主演を務めた同名舞台を改稿し、監督を務めた作品。ひき逃げ事件で妻を失った思い出から抜け出せず、犯人への復讐を計画することで自分を保っている主人公・健一(堺)と、ひき逃げ犯の木島(山田)、そして彼らを取り巻く周囲の人々が抱える孤独や葛藤を描いた人間ドラマ。堺は本作について、「とても生々しくグロテスクで汚いんだけど、観終わったあとに美しく、崇高なものを観た不思議な気持ちになる」と話し、「大事な人を亡くした主人公が弔いへ向けて一歩踏み出す話ですが、僕自身も3.11の震災後に抱いていた、弔いたいけどどうしたらいいのか分からない心情が主人公と重なり、この役をやりたいと思いました」と語った。堺と山田は初共演となったが、堺は、「3年分くらいガッツリ共演したので、しばらくは顔も見たくない(笑)」と山田へ本音をぽろり。山田も、「僕も撮影が終わってから、CMで堺さんを見ると『うぇー』ってなりましたね」と反撃した。さらに、「堺さんとの共演シーンを楽しみにしていたが、撮影が始まるとつらい・寒い・帰りたいで最悪でした」と吐露し、本人たちにとってはそれほど濃密で重厚な撮影だったようだ。また、「非常に緊張してます」と、冒頭からハンカチで何度も汗を拭う姿が見られた綾野があいさつ後に中座する場面も。数分後舞台へ戻り、「貧血でした」と苦笑しつつも、「決して面白い作品ではないですし、かつ分かりやすい感動があるわけでもない。でも人間の愚かな姿が実直に出ていて、すごい作品が出来たのではないかと思う」と自信を見せた。続けて堺も、「おすすめしにくい映画だけど、僕は大好きです。願わくば、みなさんの心に突き刺さる作品でありますようにと祈るばかりです」と本作をアピールした。『その夜の侍』11月17日(土)より全国ロードショー取材・文・写真:滝島千尋
2012年11月08日井上真央が主演で贈る、綱引きの女性チームの奮闘劇を描いた『綱引いちゃった!』の女性限定試写会が、11月7日(水)に都内で行われ、井上さんを始め、玉山鉄二、渡辺直美のキャスト陣と水田伸生監督が登壇した。『舞妓 Haaaan!!!』など宮藤官九郎とタッグを組み、笑いあり涙ありの心温まるコメディを手がけてきた水田監督の最新作となる本作。大分市役所広報課の千晶は、市長の命令で町おこしのために、かつては大分出身のチームが世界一に輝いたこともある女性だけの綱引きチームを結成。母・容子を始め閉鎖が予定されている給食センターのメンバーたちと大会に参加になるのだが…。この日は、女性限定試写会ということで登壇した井上さんは「見事に女性ばかりですね!この映画の撮影現場も雰囲気はずっと“女子会”みたいで、毎日楽しかったです」と挨拶。しかし、玉山さんは「非常に緊張しています」と女子たちの独特の雰囲気に圧倒された様子だったものの、渡辺さんが大女優風のコメントを連発すると「ムカつきますね(笑)」とツッコミを入れ会場の笑いを誘っていた。この日は、“女子会”をテーマにしているとあって、一般女性からのお悩みに対する相談会を開催。井上さんらゲストが事前に応募を募っていたお悩みに答えた。しかし、1問目の「朝が弱いんですがどうしたらいいですか?」という高校生からのお悩みに、「私も朝は弱いんです」と共感を寄せる井上さんだったが、「まだ17歳の高校生ですからね。社会に出れば、何が何でも起きないといけないこともあると思うので大丈夫ですよ」とザックリとした返答。これに渡辺さんから「適当だなぁ(笑)」とすかさずツッコミが入る一幕も。続いての質問では、「どんな年齢でも、どんな体型でも、自信を持って生きていくにはどうすれば?」と渡辺さんへのピンポイント質問が。「絶対、直美ちゃんをバカにしてますよね(笑)」と玉山さんが今度はフォローしたかと思いきや、「でも、(渡辺さんと)マンションが一緒なんですけど、この前エレベーターで偶然会ったときは、絶対お風呂に入ってないだろ…という感じの見た目でビックリしました」と裏切りの暴露!渡辺さんも「あのときはホントに酷いカッコをしていました…」と反省していた。最後の質問では、「どうしたら、真央ちゃんみたいに女子力がアップするの?」と今度は井上さんへのピンポイント質問が読み上げられたが、「いや~、特にないです」と照れつつも、「でも、毎日お風呂には入ってます(笑)」と渡辺さんをイジり、イタズラっぽい笑顔を浮かべていた。その後も、渡辺さんがおなじみのビヨンセのモノマネを披露するなど、最後まで大きな盛り上がりを見せたこの日の“女子会”。井上さんも「こんな時代だからこそ、女子の力を!」と語りかけ、客席の女子たちから大歓声を浴びていた。『綱引いちゃった!』は11月23日(土・祝)より全国東宝系にて公開。■関連作品:綱引いちゃった! 2012年11月23日より全国東宝系にて公開© 2012「綱引いちゃった!」製作委員会
2012年11月07日興行収入23億円を記録し、大ヒットした『大奥』の続編『大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]』が完成し25日、都内の劇場で堺雅人、菅野美穂、柄本佑、西田敏行、金子文紀監督が出席して完成披露試写会が行われた。作品の画像よしながふみの人気コミックを原作に、本作では前作より過去にさかのぼり、五代将軍綱吉の時代が舞台。謎の疫病によって男女の立場が逆転してしまった江戸時代で、女将軍や女人禁制の大奥が誕生した過程が絢爛豪華に描かれる。映画公開前に放送されるテレビドラマ版『大奥有巧・家光篇』との二部構成。堺は放送中のドラマ版で野心的な主人公・有巧(ありこと)を演じ、映画と合わせて1人2役を務めており「有巧と違って、右衛門佐は包容力があるタイプ」と分析した。一方、“生類憐みの令”で知られる五代将軍・綱吉を演じる菅野は「綱吉といえば、犬将軍ですもんね。お話をいただき、『犬を抱っこできたらいいな~』という下心があったんですが(笑)、台本をいただいて何という大役なんだと震え上がった」と振り返った。そんな菅野について、“お仕えする”堺は「まるで1本の大きなの木のような存在で、僕はそこにまとわりつく“つる植物”のようだった」とコメント。「本当にお美しくて、危険で甘い香りもある」とゾッコンの様子だった。西田は綱吉の父・桂昌院を演じ、「菅野さんがとても素晴らしくて、圧倒されました。(役柄同様)溺愛することができましたし、その気持ちは僕自身もストレートに持っている」と目尻が下がりっぱなし。一方、右衛門佐の右腕を演じ、今作の語り部も兼任する柄本は「ナレーションはほぼ初めてで…」と恐縮しきりだった。前作『大奥』、そして放送中のドラマの演出も手掛ける金子監督は「前作は10代をメインにした青春群像劇で、今回は堺さんが30歳から60歳くらいまでを演じている」と説明。「抵抗できない現実を受け入れて、いかに生き抜くか。登場人物が葛藤する姿は共通している」と両作品に共通するテーマ性を語り、「今まで4本の映画を作ったが、一番気に入っている。正直、反省点がない」と誇らしげな様子だった。映画『大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]』12月22日(土)全国ロードショー
2012年10月26日2007年、宮崎県の保健所で起こった犬と人間の奇跡の実話を、20年にわたり山田洋次監督作品の共同脚本・助監督を務めてきた平松恵美子監督が、堺雅人を主演に迎えて映画化する『ひまわりと子犬の7日間』。このたび本作の主題歌が、初の武道館ライブが3分でソールドアウトとなるなど絶大な人気を誇る音楽グループ「ソナーポケット」による書き下ろし曲「花」に決定した。ある日、母犬・ひまわりと生まれたばかりの子犬が、保健所に収容される。飼い主が見つからなければ、母子ともども“処分”されてしまうことになるが、保健所の職員・彰司やその家族、仲間たちは必死に子犬を守ろうとするひまわりの姿に心打たれ…。現在の日本で、飼い主のいない犬が置かれている状況を逃げることなく真っ直ぐに描く本作。彰司役の堺さんを筆頭に、中谷美紀、吉行和子、檀れい、小林稔侍など数々の映画賞に輝く実力派俳優陣が名を連ねており、オードリーの若林正恭の映画初出演作としても注目を集めている。今回、ひと足先に同作を鑑賞したソナーポケットは「僕らは3人共、実家で犬を飼っているので、感情移入せずにはいられず、犬と人間の家族愛に終始感動しっぱなしでした」と感想を語る。さらに「僕らは普段、“笑顔の連鎖”を合言葉に日々活動しています。この映画を観てくれる人たちにも笑顔があふれるような、そんな素敵な主題歌を作りたいと思います。いざ!笑顔の連鎖!」とコメントが寄せられている。果たして彰司やその仲間たちは、信じる心を失ってしまった母犬にもう一度愛を伝えることができるのか?ソナーポケットの楽曲が本作にどのように寄り添い、彩りを与えてくれるのか公開を楽しみに待ちたい。『ひまわりと子犬の7日間』は2013年3月9日(土)より宮崎先行公開、3月16日(土)より全国にて公開。■関連作品:ひまわりと子犬の7日間 2013年3月9日より宮崎先行公開、3月16日より全国にて公開© 2013「ひまわりと子犬の7日間」製作委員会
2012年10月17日堺雅人主演の映画『鍵泥棒のメソッド』が30日、インンターネットで予約できる前売券“ムビチケ”の販売で本作がナンバーワンを記録したTOHOシネマズ西宮OSで舞台あいさつを実施し、堺、内田けんじ監督が登壇したその他の写真本作は、『運命じゃない人』『アフタースクール』を手がけた内田監督が4年ぶりにメガホンを執った最新作。売れない貧乏役者の桜井(堺)、転倒して記憶を失った殺し屋のコンドウ(香川照之)、婚活中の女性(広末涼子)の三人が巻き起こす事件を描く。当日は台風直撃だったため、「大変な日に大丈夫ですか? お帰りの足は。我々も新幹線でこちらに伺って、神社のえびすさまのお導きかとうれしく思っています。映画をご覧いただいたみなさんの上気したお顔を見られるのが役者にとって望外の喜びです」という、観客を気づかう堺の言葉ではじまった舞台あいさつ。“本当にダメダメ”な主人公・桜井を演じての感想を聞かれると堺は、「案外素だったりして。いろんな方にヘタなお芝居が絶妙だったと言われるたびに、心の柔らかい部分が傷ついたりして。売れていない役者ですが、純粋だし、楽観的に物事をとらえるし、僕はすごくいい役者だと思っています。売れてないのが致命的ですけど(笑)」と苦笑していた。殺し屋役を演じた香川との一騎打ちのシーンについては、「あのシーンはエアガンが不調で、何度かお芝居できないほど本当に痛いこともありました。香川さんからあれは笑いをこらえるのが大変だったと言われました」と堺が振り返ると、内田監督は、「本番で堺さんが突然、『てめぇ』としがみつくアドリブをして、香川さんが笑いを堪えるのが大変だったと言ってました。あれが唯一のこの映画のアドリブです。あのシーンは面白かったので6回やってもらいました(笑)」と、わきあいあいとした現場でのエピソードを明かしていた。また、本作の大ヒットを祈願して、西宮中央商店街のキャラクター・ふくみみ福ちゃんが登場。耳たぶが幸運を呼ぶと言われていることから、狭い階段のなか堺が自ら触ろうとすると、ふくみみ福ちゃんが落ちそうになる場面も。その光景を見ていた内田監督に「(落ちたら)記憶がなくなっちゃうよ」と茶化されると、堺は「僕と福ちゃんが入れ替わるかもしれないね(笑)」とすかさず返し、会場を笑いの渦に巻き込んでいた。『鍵泥棒のメソッド』公開中
2012年10月01日堺雅人、菅野美穂が主演する映画『大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]』の主要キャストが揃った華やかなポスター画像がこのほど公開された。その他の写真本作は、2010年10月に公開された『大奥』の続編となる劇場版第2弾。謎の疫病によって男性の数が激減し、男女の立場が逆転してしまった江戸時代を舞台に、五代将軍綱吉(菅野)を頂点とする“大奥”の人間模様を描く。このほど公開されたポスター画像の中心には、才覚と野心で“大奥”の世界をまい進していく右衛門佐(堺)と、将軍綱吉(菅野)の姿があり、ふたりを取り囲むように、側用人として綱吉に使える柳沢吉保(尾野真千子)、右衛門佐の片腕となる部屋子の秋本(柄本佑)、綱吉の側室である伝兵衛(要潤)、大奥の御台所(正室)信平(宮藤官九郎)、そして綱吉を溺愛する父・桂昌院(西田敏行)が並ぶ。キャッチコピーには、“孤独なふたつの魂は、やがて永遠の愛に”とあり、“大奥”での陰謀や愛憎劇が渦巻く中で、右衛門佐と将軍綱吉にどのような運命が待っているのか気になるところだ。このポスターや映画チラシは、29日(土)より本作を上映する予定の劇場に設置、配布される。映画『大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]』12月22日(土)丸の内ピカデリーほか全国ロードショー
2012年09月26日内田けんじ監督の4年ぶりの新作『鍵泥棒のメソッド』が15日に全国で封切られ、内田監督をはじめ、堺雅人、香川照之、広末涼子、森口瑤子が新宿バルト9で初日舞台あいさつに登壇した。その他の写真本作は、『運命じゃない人』『アフタースクール』など先が読めないスリリングな悲喜劇で高く評価される内田監督の最新作で、キーワードはずばり“胸キュン”。広末は「堺さんのモンチッチヘアがすごく可愛い。映画ではもっと長いし、こんな短いの初めて」とこの日珍しく短髪で登場した堺に思わず胸キュンした様子。堺は「若い人はモンチッチってわかるのかな。でも非常に光栄」とニンマリしていた。その後広末が「髪は短ければ短いほど好き」だと告白すると、内田監督はすかさず帽子を脱ぎ、坊主頭をアピール。香川は「バリカン持ってこい!」と息巻いた。その香川は一昨年のNHK大河ドラマ『龍馬伝』を皮切りに、広末と3年連続で共演しており「『龍馬伝』では広末さんを追いかけ回す役で、去年共演した役ではちょっと好きになってくれて、今回やっと両思いになれるんです」と満面の笑み。さらに「そして今年の秋の舞台では、僕がついに広末さんを振るんです」とドヤ顔を見せた。銭湯で記憶を失った殺し屋コンドウ(香川)のロッカーの“鍵”を、売れない役者・桜井(堺)が盗んだことからふたりの人生が逆転。桜井が危険な裏稼業に巻き込まれ、ピンチに立つ一方、コンドウは婚活中の女性編集長・香苗(広末)と出会い、逆プロポーズされてしまう。「本当に面白い映画。期待してください。以上です」(堺)、「幸せな時間を過ごせるはず。僕も一緒に座ってみなさんと見たい」(香川)、「きっと3連休がハッピーになる映画。たっぷり笑って、楽しんで」(広末)とキャスト陣も自信のアピールだった。映画は第15回上海国際映画祭で、日本映画として初の最優秀脚本賞を受賞。9月11日(現地時間)には、トロント国際映画祭のコンテンポラリー・ワールドシネマ部門で上映され、会場を笑いに包んだ。『鍵泥棒のメソッド』公開中
2012年09月18日映画『鍵泥棒のメソッド』が9月15日(土)に公開を迎え、堺雅人、広末涼子、香川照之、森口瑤子、内田けんじ監督が都内劇場で舞台挨拶を行なった。『運命じゃない人』、『アフタースクール』と巧妙な仕掛けのどんでん返しに次ぐどんでん返しで、観る者を魅了した内田監督の最新作。売れない役者と堅物の女性編集者、冷徹な殺し屋の運命が、殺し屋の記憶喪失をきっかけに交錯していく。これから映画を鑑賞する観客を前に、堺さんが「本当に面白いんで期待して観てください!」と満面の笑みで語ったのを始め、キャスト陣はみな作品の完成度に自信を覗かせる。内田監督は「みなさん、ハードルを上げるので…」と苦笑しつつも、「リラックスして楽しんでください!」と笑顔で作品を送り出した。この日は劇中のキーワードでもある“胸キュン”経験をキャスト陣がそれぞれ発表。広末さんは「堺さんのモンチッチヘアー」と書かれたボードを掲げ、「撮影中はもっと長かったので、今日お会いしてキュンとしました。かわいいです」と堺さんを見つめてニッコリ。堺さんは「光栄です!そうです、モンチッチを意識しました!」と大喜びだったが、広末さんは男性のヘアスタイルに関し「短ければ短いほど好き」なのだとか。するとこれまで公の場で常に帽子をかぶり続けてきた内田監督がおもむろに帽子を取り、坊主頭を披露。広末さんは大感激だったが、その様子を見た香川さんが「バリカン持ってきて!」と舞台袖に向かって叫び、客席は笑いに包まれた。そんな香川さんの胸キュンは「広末さん」。実は2人はここ数年、続けて共演しているそうだが香川さんは「最初の『龍馬伝』では僕が広末さんを追いかけるけど、振り向いてももらえなかった。去年の『世にも奇妙な物語』ではちょっとだけ好きになってもらえて、今回でやっとお互いに…。今年の秋にも舞台で共演しますが、ここでは僕が広末さんを振ります!この先、どうなるんでしょう」と得意満面に広末さんとの関係の“ステップアップ”を明かし、再び劇場は笑いに包まれた。ちなみに堺さんのボードに書かれた回答は「…」。堺さんは「生まれてから1回もキュンとしたことがない」と明かしたが、ここで客席は「えー…?」という落胆のため息に包まれ、テンションは急降下。堺さんは「こんなひどい空気になるとは…」と困惑しつつ申し訳なさそうに頭を下げていた。森口さんは、昨年の冬に貰ったというカブトムシの幼虫が、気が付いたらおしりを振りながら成虫になっていたというエピソードを披露し、その様子にキュンとなったと告白。堺さんはこのエピソードに「少しキュンとなりました」と必死に胸キュン経験をアピールしたが、広末さんから「人生の初キュンがカブトムシって…」と呆れられていた。内田監督は、そんな堺さんを見やり「この年で初めてキュンとなったらタチが悪そう(笑)。いつか堺さんから恋の相談を受けたい」と爆笑していたが、堺さんは「この年で初めて胸がキュンとなったら心臓麻痺ですよ!」と苦笑していた。『鍵泥棒のメソッド』はシネクイントほか全国にて公開中。■関連作品:鍵泥棒のメソッド 2012年9月15日よりシネクイントほか全国にて公開© 2012「鍵泥棒のメソッド」製作委員会
2012年09月16日2010年に一世を風靡し、時代劇映画No.1の大ヒットを記録した“男女逆転”『大奥』。あれから2年――堺雅人を主演に迎え、豪華さもドロドロ感もさらなるスケールアップを遂げた続編『大奥 ~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]』が今冬より公開となる。このたび、本作の待望の予告編がついに解禁!“犬将軍”と呼ばれた徳川綱吉の時代。自らの野望を叶えようと暗躍する男・右衛門佐(堺さん)が大奥に現れる。不安と孤独に身を焦がし愛を求め続ける女将軍・綱吉(菅野さん)を、己の野心のために利用しようと近づいていく右衛門佐の謀略を軸に、大奥に渦巻く究極の愛憎劇が描かれる。今回届いた映像でまず目を引くのが、その豪華な世界観。将軍・綱吉を演じる菅野さんらの衣裳はもちろん、彼女を取り巻く美しき男たち、その数なんと3,000人!女子にとっては、まさに時代劇版“イケメン・パラダイス”?しかしご存知の通り、大奥はそんな楽園とは程遠い世界。男たちの業がひしめく中、一際ダークな魅力を放つのが堺さん演じる大奥総取締・右衛門佐。綱吉の心の隙間に優しく、かつ計画的につけ入ろうとするが、そうそう簡単には彼の野望は成就しない。次なる将軍を生むために数多の男たちと床を共にし、自身を「卑しい女」と嘆く綱吉の悲しみは右衛門佐の想像を超えており、自身の野望との間で葛藤する。そして、西田敏行演じる綱吉を溺愛する父・桂昌院の陰謀により、この愛憎劇はさらなる悲恋と男たちの嫉妬で激しく燃え上がっていく。さらに、先日発表されたMISIAが歌う本作の主題歌「Back In Love Again(feat.布袋寅泰)」をバックに、堺さんと菅野さんが切なく抱きしめ合うシーンはもちろん、2人のあわやベットシーン!?という際どい映像まで収められ、『大奥』の魅力を存分に味わえる仕上がりとなっている。宮藤官九郎を始め尾野真千子に要潤と、脇を固める華やかなキャスト陣に重厚感ある撮影セット、これぞ豪華絢爛と呼ぶに相応しい世界観である。まずはこちらの映像で、悲哀と欲望に満ちた『大奥』の世界を覗いてみて?映画『大奥 ~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]』は12月22日(土)より全国にて公開。映画同様、堺さん主演で“男女逆転”大奥の誕生秘話と、その過程で引き裂かれる純愛を描くTVドラマ「大奥~誕生~[有功・家光篇]」は10月、TBS系列にて放送開始。※こちらの予告編はMOVIE GALLERYにてご覧いただけます。MOVIE GALLERY■関連作品:大奥 ~永遠~[右衛門佐・綱吉篇] 2012年12月22日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2012男女逆転『大奥[右衛門佐・綱吉編]』製作委員会
2012年09月13日堺雅人主演の映画『鍵泥棒のメソッド』が、現地時間11日に開催されたトロント映画祭のコンテンポラリー・ワールドシネマ部門で上映され、本作のメガホンを執った内田けんじ監督が上映後に行なわれた舞台あいさつに登壇した。その他の写真『鍵泥棒のメソッド』は、人生が入れ替わってしまった貧乏役者(堺)と記憶を失った殺し屋(香川照之)、婚活中の女性(広末涼子)の三人が巻き起こす喜劇を描いたヒューマンドラマ。内田監督ならではの先の読めない展開と絶妙な笑いを盛り込んだ本作は、“世界的な視野と注目すべきストーリー性を持つ作品”をセレクションする本部門に選出された。トロント映画祭への参加は初となる内田監督。観客から撮影エピソードについて聞かれると「キャストの演技が素晴らしく、演出しながら笑いをこらえることに必死だった」と回答。さらに劇中に登場するクッキーの缶には2000万円の大金が入っていたことを明かし、「紛失したら困るので、撮影が終わったらすぐにプロデューサーが持って帰った」という裏話を披露し、笑いを誘った。また「次の作品を早く観たいです。構想はありますか?」と質問されると、内田監督は「頭の中には構想があるのですが、この作品がヒットしないと次の作品が作れないので応援して下さい」と語り、次回作への意欲をのぞかせた。早い段階でチケットが完売し、上映が始まると序盤から笑い声が多く上がったという本作とあって、終了後には「最高でした!」「ファンタスティック!」など絶賛の声が次々と寄せられ、内田監督は笑顔でサインや写真撮影に応じたという。『鍵泥棒のメソッド』は、9月15日(土)より公開される。『鍵泥棒のメソッド』9月15日(土)よりシネクイント他 全国ロードショー
2012年09月12日劇作家・井上ひさしの最後の作品『組曲虐殺』が今冬再演される。2009年に栗山民也演出で初演されたこの作品は、音楽を全編、小曽根真の書き下ろし楽曲でつづる“音楽評伝劇”だ。今回、初演と同じスタッフ・キャストで、井上作品を連続上演してきた“井上ひさし生誕77フェスティバル2012”の掉尾を飾る。主演の井上芳雄に本作への思いを訊いた。プロレタリア作家の小林多喜二が、29歳の若さで特高警察に虐殺されるまでの2年9か月を描いた本作。多喜二を演じる井上は、「自分にとって『組曲虐殺』は、井上ひさし先生の思い出と共に、忘れられない宝物。絶対に再演したいと願っていました。初演メンバーが揃ったのも、作品の力に拠るところが大きいのでは」と話す。壮絶な最期で知られる多喜二だけに「演じる前は漠然と、激しさや痛みのようなものをイメージしていた」という井上。「でも井上先生の台本には、朗らかで、芸術に造詣が深く、人々に愛される人物が描かれていて、新鮮でした」。劇中では、恋人の瀧子や姉チマ、 多喜二の活動を支援するふじ子はもちろん、多喜二をマークしている特高刑事ですら、気がつけば彼に温かい眼差しを向けてしまう。「実際、魅力的な人だったんでしょうね。周囲からたくさんの愛情を受けていたからこそ、自分もそれを、虐げられた人々に返すことができたんじゃないでしょうか。社会のシステムを憎んでも、人間そのものは決して憎まない人だった気がします」。『組曲虐殺』は、井上にとって、表現面でもひとつの転機となった作品だ。「栗山さんからは『生死の瀬戸際に身を置くプロレアタリア作家の覚悟に迫れ!』と叱咤激励され続けて。演じる上で感情をどこまでどう出すのか、新しい挑戦でした。小曽根さんには『これまでと違う歌い方を試してみようよ』と、即興的な歌唱を教えていただきましたね。その後、別の作品を演じても、『今の、多喜二だったよね』と言われてしまうほど(笑)。俳優として大きな体験でした」。今は、井上ひさしの遺した言葉を伝えることが、自身の使命だと感じているという。「先生が書いてくださった言葉は、自分のちょっとした工夫など歯が立たないほど、すごい力をもっている。再演でも、まっすぐに体ごと、ぶつかろうと思っています。『後に続く者を信じて走れ』という多喜二の歌詞があるのですが、僕も、若い世代を含め多くの人に、彼の思いや生き様を伝えるつもりで演じたいです」。公演は12月7日(金)から30日(日)まで東京・天王洲銀河劇場にて上演。チケットは9月29日(土)より一般発売開始。なお、チケットぴあでは9月13日(木)11時までインターネット先行抽選・プレリザーブを受付中。東京公演の後、来年1月に各地を巡演。取材・文:高橋彩子
2012年09月12日何やら堺雅人が広末涼子に話しかけている。どうやら少し前のTV取材で香川照之が放送禁止用語を連発していたらしい…。堺さんはそれを子供のように嬉々として報告し、香川さんは「大丈夫、大丈夫」と鷹揚に構え、その脇で広末さんはケラケラと笑いながら耳を傾ける。いい年して(失礼!)、先生が急用でいなくなったのをいいことにおしゃべりで盛り上がる学校の教室みたいな雰囲気である。映画『鍵泥棒のメソッド』で内田けんじ監督の下、3人が紡ぎ出した意外な空気感とは?演技論から互いの魅力まで深く、楽しく3人が語り合った!「こんなに練られた脚本、楽ちんな現場はない」(堺)売れない役者・桜井(堺)と殺し屋のコンドウ(香川)、編集者の香苗(広末)という全く交わりのなかった3人の男女の人生が、コンドウの記憶喪失をきっかけに複雑に絡み合っていくさまが、観る者をあっと驚かせる内田監督ならではのハラハラドキドキ&どんでん返しアリの展開で描き出される。堺さんにとっては『アフタースクール』に続く2度目の内田作品出演となるが「特に努力したことはなかったし、とにかく監督に言われたことだけを『はいはい』とやろうと決めていた」とあっけらかんと語る。自分で考えるのではなく、あえて監督の“操り人形”となる。その真意とは?「とにかく監督の指示が的確で、その通りにやれば面白いものができるという確信がありました。普段のどの作品でもそうしてるかと言われたらそんなことなくて、こんなに練られた脚本、楽ちんな現場はなかなかないです。たいていはイヤな奴がいたりしますから(笑)。演じてて、ここまで葛藤がないのも珍しいですね。内田さんの作品なら、明日から撮影ですって言われてもすぐ行けますよ。現場にさえ行けば何とかしてくれるから」。広末さんもそんな内田演出に身を任せる中で「新たな芝居を引き出してもらった」という。気をつけたのは「笑わないこと」。一見、俳優に求められるごく当たり前の表情のコントロールのように思えるが、コトはそう簡単ではなかったようで…。「一貫して感情を表に出さないということを意識していましたが、それを通じてこれまでの自分のお芝居の作り方が、喜怒哀楽を開放していく作業だったのだと実感しました。演じていて、どうしても素の感情で反応してしまうんです。コンドウと話して『この人は努力家だ』と感じて、“笑う”というよりも自然にフッと口角が上がってしまったりするのですが、そういう起伏も抑えなくてはいけなくて…」。堺さんによると広末さんがあまりに「かわいすぎてNG」となることもあったとか…。「優しいし、気が付くから他人の芝居に全て反応してくれるし。それは普段ならありがたいことだけど、今回は全く気が利かない人としてそこにいなきゃいけなかったので、苦労されたと思いますよ」と堺さんは傍から見ていて感じた香苗という役の難しさをそう語る。「反応しないことで生まれる不協和音こそが、この映画の空気感」(広末)明らかな“表情”ではなく、“視線”だけで感情を伝えるというのも、内田監督によって教えられた表現のひとつだと広末さんは続ける。「役柄の性格を表そうとするとつい自分ばかりに目が行ってしまうのですが、監督に言われた動きをするだけで揺れる気持ちが表せたんです。『この人は不安です』とか『悲しい』とか『もっと』、『大きく』という言葉ではなく、動きで説明することで役になれたし、感情の表現も自然に出てきました」。普段から「死ぬほど台本を覚えて」現場に入るという香川さんだが、本作ではそれに「“死ぬほど何が何でも”をもう1枚増やして」さらに深く台本を読み重ねて撮影に臨んだ。それでも現場に入って「まだ脚本が読めていなかった」と感じることがあったという。「あるシーンで監督に『そこは相手の顔を見て』と言われたんですが、よく読めば書いてあるんです。もちろん『顔を見る』とは書いてないけど、この会話なら当然見るだろうと。字面だけで通り一遍に覚えて、心理的作業を積み重ねてもそこには至らないんだけど、本来は俳優が読み込んでいないといけないところ。たぶん、そこで相手の顔を見なくても成立はするんですよ。“キャリア的なもの”をドロドロと出して水増しすれば『香川さん、うまいですね』って。でも本当は見ないといけない。そういうことに気づかされたことが何度かありました」。3人一緒のシーンは幾度もあったが「現場で一緒に演じられる幸せと共に、お客さんとなって傍観したい思いに駆られた」と言うのは広末さん。「あるインタビュアーの方が“化学反応”と仰っていましたが、むしろ反応しないことで生まれる“不協和音”こそが、この映画の独特の空気感なんじゃないかって感じるんです」。堺さんも我が意を得たりとばかりに広末さんの言葉にうなずき、続ける。「3本の線がしっかりとあって、でも自分がお芝居しているときはほかの2本を無視できるんですよね。それは信頼している方とでないと難しい。僕(桜井)は僕の問題に没頭してて、コンドウはコンドウで事情があって、全く話を聞いてなくて違うことを一生懸命考えている香苗がいて、3人が全く噛み合わないアンサンブルを奏でてる。それはすごく豊かで楽しいことだと思います」。堺さんにとって“俳優”の役を演じるのは初めて。特に演技をめぐるコンドウとのやり取りは抱腹必至である。「真面目で几帳面なイメージの堺さんがあんなにだらしなくて、あんなに芝居が上手なのに本当に下手なお芝居ができる。その“腕力”がすごい」とは広末さんの感想だ。“腕力”という言葉がたいそう気に入った様子の堺さんは「いちいち言葉が正確だから傷つくんだよ!」と広末さんの言葉を嬉しそうに受け止める。改めて、俳優を演じてみての感想は?「俳優って何て捉えどころのない職業かと思いましたね。制服もライセンスもないから、これをやっておけばという“記号”がないんですよ。だから『ヘタな芝居をする』という演技も考えれば考えるほどドツボにハマっちゃう。結果的にはそこで『何もしない』ことにしました。相手が香川さんで技術と技術のぶつかり合い――『堺VS香川 演技合戦!!』みたいなことになったら絶対に分が悪いから、そっちで勝負したくないなというスケベ心もあり(苦笑)、何もせずにボンヤリした感じでそこにいました。つまり何が言いたいかというと、『これをやっとけば役者』というものはないけど、役者を役者たらしめている唯一のものは、指示に対して何の疑いもなくそこに居続ける力、ある種の鈍感力なのかなということ」。「演じれば演じるほど『演じたくない』と思う」(香川)何とも深い話に「すごい皮肉と取れるかもしれないけど、いい言葉だね」と香川さん。自身は“演じること”と“本音”の間で揺れる思いをこんな言葉で表現する。「ある意味で全ての人間が演じてるわけですよ。嫌な仕事でも『好き』と言って、『バカヤロウ』と思いつつも笑顔で『ただいま』と言ったり。“演じる”というのが人間の仕事。だからこそ、それを解いて本音を言う瞬間が面白かったりする。今回、僕も俳優の役をやったけど、それは二重三重の複雑な構造になっていて、演じない瞬間、本音に肉薄する瞬間がこの映画の面白味だと思ってます。実はそれはどの映画でも同じで、僕は演じれば演じるほどに『演じたくない』と思うし、自分のメッセージを出したいなと思ってる。本当の意味で“演じない”役をやりたいですね」。下ネタがどうのと盛り上がっていたのと同一人物とは思えない深みのある言葉。何よりインタビュアー以上に「うんうん」と深くうなずく堺さんと広末さんの表情が印象的だった。まずは百聞は一見に如かず。溶け合うことのない化学物質が奏でる不協和音をお楽しみあれ!(photo:Toru Hiraiwa/text:Naoki Kurozu)■関連作品:鍵泥棒のメソッド 2012年9月15日よりシネクイントほか全国にて公開© 2012「鍵泥棒のメソッド」製作委員会
2012年09月11日売れない貧乏役者(自殺願望あり)と、殺し屋(記憶喪失)との人生が入れ替わり。殺し屋を演じることになった役者は、危険な依頼を受けて大ピンチに。役者を目指すことになった殺し屋は、婚活中の女性の逆プロポーズを受け幸せに? しかし、記憶が戻った時、殺しの依頼、大金の行方、結婚が絡み合い、 想像できない展開へと転がり出す ――笑いとハラハラ・ドキドキのサスペンス、そしてトキメキまで盛り込んだ、 映画の楽しさが200%詰まったエンターテインメント・ムービー「鍵泥棒のメソッド」。出演する堺雅人、香川照之、広末涼子にインタビューを行った。■内田監督との仕事の感想は?堺:ちょっとおかしな言い方ですが、内田監督の現場って本当に楽なんです。監督の頭の中に完成された間とお芝居がある。本当に的確に指示をしてくださるし、その指示に精一杯答えていけば内面もそこに近づいていける。本当に楽だな~と毎シーンつぶやきながら演じてましたし、そういえば三年前もそうだったな~というのをだんだん思い出しました。ただ前作の『アフタースクール』は作品の性質上、すごくたくさんルールがありましたけど、今回はそのルールが少し減って、香川さん、広末さんをはじめとする共演者の方々との芝居のハーモニーとか、その場でしか起きないブレが生かされている、そういう性質の作品じゃないかと思います。香川:強したっていう気分です。脚本を読みこめてなかったと。もっと細かくひだを読み取らなくてはいけないのに、気分で押し切って、読めているつもりでも読めてなかったと思い知りました。内田監督から形を与えてもらうことで、自分では感情で、右脳で演技しているつもりだったのに、実は形でやっていることに気づかされる。形を与えられているのに、それによって感情を作ってもらえる。形によって、形から脱せられるというんですかね。不思議な二重構造、三重構造というのが毎日起こっていました。僕みたいに右脳と左脳が離れて旅をしているタイプの俳優にとっては非常に面白い、初めての体験でした。あの脚本でこの演出、内田さんにしかできないだろうなと思いました。若い頃のキャリアに戻ったような新鮮さがありましたし、久しぶりに離れがたい作品になりました。広末:ドキドキしました(笑)。香川さんもおっしゃっていましたが、最近は年齢もキャリアも重ねてきたからか、「お任せします」と渡されて、役者陣で練ってこねて熱くして、お芝居を作っていくような現場が多かったんです。今回は自分の意思や想いに勝る、熱い監督の完全なお芝居の構成があったので、そこにどう近づくかという芝居作りがすごく新鮮でした。毎回OKをもらえるかドキドキしながら本番を重ねて。OK!って言われた時にすごく嬉しくてほっとする。こういう緊張感って大切だなと改めて感じました。■共演の方々の印象は?堺:広末さんは、今までご一緒した作品で見てきた、どれでもないお顔をされていました。ぜひ映画館でちゃんと観てみたいです。香川さんについては…僕は香川さんが何をしてもびっくりしないので(笑)あれだけのポテンシャルと引き出しを持っていらっしゃる方だから。ご一緒できたってだけで非常に嬉しかったですね。香川さん、僕、広末さんという三人の和音は、相当バラバラだと思うんです。こんなに違うのにそれでも響きあうというのが逆に面白いなと。似通った音の和音じゃなくて、ちょっと複雑な和音、時には不協和音で。不協和音が面白いというのは内田さんもおっしゃってましたね。三人が均一になるのではなく、しらけた人が一人いたり。その空気がなんだか心地よかったですね。香川:堺さんとは共演する機会がとても多くて、脚本を読んだら「堺さん、こんな感じだろうな」堺さんは「香川さん、こういう感じだろうな」とある程度予想はできるんです。もちろん作品によって役が違うわけだから、常に演技のニュアンスは変わるんですけど、お互いその違いを微妙に感じながら演技するタイプなので。でも今回、その予想以上の不思議な違いがありました。予想通りでも演じた体感が違うというか。理由はわからないけれど。科学反応が起こるような初顔合わせではないのに、起きていたんですね。それは広末さんにしても同じことで。何度も共演して演技を観てきているのに、やっぱり違う、新しい広末さんが目の前にいる。最初の3日間くらいはずっと感じていたんですが、途中から皆が思っている、僕が知っている広末さんを全部忘れて、香苗にしか見えなくなっていました。この不思議な科学反応は、内田監督のマジックなのかもしれませんね。広末:堺さんは、面白かったですね(笑)役者の役は初めてとおっしゃっていましたけど、お芝居が下手な役者のお芝居なのか、堺さんのお芝居が下手なのかわからなくなるくらいおかしくって(笑)それはつまり巧いってことなんですけど。それくらいこれまで見たことない、堺さんのお芝居でした。香川さんは、記憶を失っている時、つまり桜井であるコンドウのおぼつかなさと、記憶を取り戻したコンドウの怖さが本当に対称的で。見せつけられました。さすがだなって。■作品の見どころは?堺:最後まで目が離せないハラハラドキドキの展開になっています。それでいて観終わった後には、恋をしたくなるようなラブストーリーにもなっており、いろんなエンターメインメント要素が詰まった作品です。香川:内田監督作品というとストーリーが入り組んでいて、その入り組んでいるのが解れていくところに快感があるというのが今までの持ち味だと思いますが、今回のストーリーは一本の道をただ走ります。ただその中に登場する人物が複雑な人生を背負っていて、その関係性が非常に入り組んでいるという、これまでとはアングルを変えた作品になっています。いずれにしても大変上質な喜劇に仕上がっている作品です。広末:本当に楽しい大人のシュールなラブコメディだと思います。お芝居をこんなに楽しませて頂いた映画は初めてかもしれません。私自身、演じるのを忘れて、お客さんとしてその場で見たくなってしまうくらい堺さんや香川さん、他のキャストの皆さんの素敵なお芝居がたくさん見られる映画です。■作品情報出演:堺雅人、香川照之、広末涼子、荒川良々、森口瑶子 監督・脚本:内田けんじ配給・宣伝:クロックワークス9月15日 全国ロードショー(C)2012『鍵泥棒のメソッド』製作委員会
2012年09月07日俳優の堺雅人が1日、都内で行われた主演作『鍵泥棒のメソッド』の完成披露試写会に共演する香川照之、広末涼子、森口瑤子、主題歌「点描のしくみ」を手掛けた吉井和哉、内田けんじ監督とともに出席した。ロングランを記録した『アフタースクール』以来となる内田監督との再タッグに「前回は非常に込み入ったお話で、正直“分かったふり”をしていたが、今回は1回で意味が理解できた」とニッコリ。「本当に面白いです、以上!」と並々ならぬ自信を見せた。その他の写真観る者を見事にだます巧みなストーリー展開と、独特の世界観でファンの多い内田監督の3年ぶりとなる最新作。売れない貧乏役者・桜井(堺)が、銭湯で転倒して記憶を失った伝説の殺し屋・コンドウ(香川照之)のロッカーの鍵と自分の鍵をすり替えて、コンドウになりすましたことで、ヤクザ絡みの事件に巻き込まれていく姿をスリリングかつコミカルに描いた。本作は、先日開催された第15回上海国際映画祭で、日本映画として初の最優秀脚本賞を受賞したばかり。異色キャストの組み合わせによる化学変化も健在で「役者さんを見ているだけでワクワクした。皆さん、絶妙な表情を見せてくれるので」(内田監督)。香川は記憶を失った後、生真面目で努力家な青年に大変身し「まぁ、僕自身が両極端な性格ですからね。最終的には見てくれるお客さんが判断してくれるので、こちらでふたつの役柄も細かく分けたりはしない」と役作りについてコメント。婚活中の女性編集長・香苗(広末)と出会い、逆プロポーズされる展開に「僕だって恋するんです」と“宣言”し、会場を沸かせた。一方、“お相手”を演じる広末は「生真面目で几帳面。一生懸命に生き、感情を表に出さない役柄でしたが、堺さんと香川さんのお芝居を見ていると、こっちも思わず吹き出してしまって…」。撮影中には「可愛すぎる」という理由でNGになったシーンもあるといい、新境地のヒロイン役に苦心した様子。物語の“鍵”を握る資産家の愛人を演じる森口は「とても大人で柔和な現場。楽しい愛人生活を送ることができた(笑)」と振り返っていた。吉井はキャリア初となる主題歌の書き下ろしに「最初は台本を読んでも、何が何だかよくわからなくて(笑)」。それでも「映画のテーマと、自分が人生について思うことをすり合わせることができれば。映画には随所に、監督のロック好きが垣間見える。いつかぜひ映画に出させてほしい」と今回のタッグに満足そうな表情。内田監督は吉井の大ファンだといい「新曲を聴けるだけでうれしい。本当にかっこいいです!」と大感激だった。『鍵泥棒のメソッド』9月15日(土)よりシネクイント他 全国ロードショー
2012年08月01日2010年に永眠した劇作家、井上ひさし。存命ならば77歳の誕生日を祝うはずだった今年、『井上ひさし生誕77フェスティバル2012』と銘打ち、1月から12月まで8本の作品を上演している。このフェスティバルの特別企画として、8月16日(木)より東京・紀伊國屋画廊にて『井上ひさし「せりふ」展』(入場無料)が開催される。井上ひさし関連のチケット情報井上ひさしが綴りつづけた70作にもおよぶ戯曲。今回展示されるのは、戯曲の中から切り取られた77個の“せりふ”。額装された“せりふ”を目で見るだけではなく、スピーカーから聴こえる“せりふ”を「音」として耳で楽しむこともできるそうだ。『井上ひさし「せりふ」展』は8月16日(木)から28日(火)まで紀伊國屋画廊にて開催。なお、『井上ひさし生誕77フェスティバル2012』の今後のラインナップは、8月まで上演中の『しみじみ日本・乃木大将 』、8月末から9月に『芭蕉通夜舟』、11月から12月に『日の浦姫物語』が上演される。チケットは一部を除き発売中。
2012年07月25日井上ひさし作、蜷川幸雄演出による舞台『しみじみ日本・乃木大将』の開幕が、7月12日(木)に迫った。『井上ひさし生誕77フェスティバル2012』と銘打って今年8本上演される井上戯曲のうち、本作はその第5弾にあたる。稽古の様子を取材した。「うるさいチームだよ、まったく」と笑い混じりに蜷川がこぼすのは、キャスト陣のことだ。風間杜夫、根岸季衣、六平直政、山崎一、大石継太、朝海ひかる、香寿たつき、吉田鋼太郎。いずれも舞台が原点といっていい生粋の演劇人が揃う。特に目立ったのは、六平。演技を始める直前までギャグを飛ばし、出演者同士で段取りを確認した後には「みんな、わかったよな?」と仕切ってみせる。さらに、それに応える面々の切り返しもまた笑いを生み、稽古場の一体感が高まっていく。芝居が始まり、各人が役に扮しても、この空気は変わらない。むしろ、歌がふんだんに使われている分だけ、にぎやかさは増している。時は明治天皇大葬の日、殉死することを決意した陸軍大将・乃木希典の物語。設定だけ聞けば、重くシリアスな作風を想像しそうだが、実際には、驚くほどばかばかしい。“何を描くか”と“いかに描くか”。テーマとテイストの間に飛躍があるからこそ、ドラマがいっそう輝きを放つ。まさに井上作品の真骨頂がそこにはあった。日露戦争の英雄と称えられる一方で、愚将の烙印を押されることも少なくない乃木。彼は明治天皇にどんな思いを抱いて命を絶ったのか。周辺の人物によるコメントを通して主人公の人物像を浮き彫りにする物語は少なくないが、本作が珍しいのは、5頭の馬がその役割を務めるところ。しかもそれぞれ、前足と後足が別の意志を持つ。知的に考える前足たちと、生理にまかせて行動する後足たちと。10の人格ならぬ“馬格”による乃木の立場をめぐっての議論が、天皇制に対する賛否両論と重なって興味深い。また、「もしも○○が乃木大将の立場だったら、こんな態度に出るかも」と馬たちが何パターンも演じ分ける場面は、バラエティ番組さながらのおかしさだった。1979年に芸能座が初演した作品で、今回は、1991年のこまつ座公演以来21年ぶりの上演となる。蜷川は「俳優が演技を競い合うような戯曲。ト書きに細かく書かれているので、演出家はほとんどすることがない」と言いながら、「軽演劇風にみせたい」と明快に方向を示す。7月12日(木)から29日(日)まで彩の国さいたま芸術劇場 大ホールで上演。その後、大阪、新潟で公演を行う。
2012年07月06日二転三転していくストーリーで観る者を翻弄していく内田けんじ監督の最新作『鍵泥棒のメソッド』。立場がまるっと入れ替わったことで生まれる奇妙な人間模様を見せる堺雅人、香川照之、広末涼子の3人の主要キャストの“何とも言えない顔”が印象的な本作のポスターがこのほど公開された。ある日、銭湯で転倒し記憶を失った伝説の殺し屋と、たまたまそこに居合わせた一人の売れない貧乏役者、2人の男の人生が入れ替わるところから始まる予測不能なストーリー。転倒した男の持っていた大金に目がくらみ、彼に成りすます貧乏役者・桜井に堺さん、記憶を失い自分が桜井だと思い込んでいるコンドウに香川さん、役者として努力するようになるコンドウに恋する女性編集長・香苗に広末涼子が扮する。先日閉幕した第15回上海国際映画祭で日本映画史上初となる最優秀脚本賞を受賞するなど、その独特の笑いがファンの心を捉えている本作。今回届いたポスターにも、内田作品に通低する「笑い」、「ハラハラ・ドキドキ」、「トキメキ」の要素がたっぷり詰め込まれている。中でも目を引くのが堺さんの“困った顔”である。これまでの出演作『ゴールデンスランバー』や『ツレがうつになりまして。』などでも“困った顔”で女性たちの母性本能をくすぐってきた堺さんだが、本作ではどうやら少し事情が異なるよう。ポスターの中央にいる彼の心を占めるのは“バレる”ことに対する不安なのか、何かを思案する“なんとも言えない顔”を見せている。その右側で、殺し屋よろしくこちらを睨みつけるのはコンドウ役の香川さん。眼光の鋭さと真剣味を帯びた表情がかえって滑稽さを醸し出している。ピリリと刺すような視線はさすが、念願の歌舞伎界入りを果たした男の目ならでは?そして左側では婚活中女子・香苗役の広末さんが静かに獲物(未来のだんな様)を見定めるような表情を浮かべており、香川さんとは異なる女の凄みを出している。記憶喪失をいいことに成り代わりでコンドウを“騙す”桜井、そのことを知らずに桜井に“翻弄される”香苗…。果たして真実が明かされたときに起こるファンタジーとは?三者三様の表情も去ることながら、彼らのバックに散りばめられたそれぞれの“手書きメモ”やワイルドな雰囲気を漂わせる荒川良々、細かいシーンのビジュアルなど至るところに本作を紐解く“鍵”が隠れているよう。あなたはどこまで読み解ける?『鍵泥棒のメソッド』は9月15日(土)よりシネクイントほか全国にて公開。■関連作品:鍵泥棒のメソッド 2012年9月15日よりシネクイントほか全国にて公開© 2012「鍵泥棒のメソッド」製作委員会
2012年07月06日11月公開の堺雅人主演映画『その夜の侍』の主題歌が、UAが歌う昭和の名曲『星影の小径(こみち)』に決定した。映画『その夜の侍』は、赤堀雅秋が自身の劇団・THE SHAMPOO HATで2007年に上演した舞台を自ら脚本・監督を務めて映画化した作品。5年前に起こったひき逃げ事件で妻を亡くした中村(堺)と、刑期を終えて出所した犯人・木島(山田孝之)を主軸に、ふたりを取り巻く人間たちの孤独と葛藤を描き出す人間ドラマ。UAが歌う『星影の小径』は、1950年に発売され大ヒットとなった歌謡曲で、ちあきなおみら多くの歌手によって歌い継がれてきた名曲だ。「まずエンディングは『星影の小径』しかないと思い、せん越ながら歌えるのはUAさんしかいない!」という赤堀監督の熱烈なオファーを受けたUAはこの依頼を快諾。彼女は今回の主題歌を歌うにあたり、「アイラヴユー、アイラヴユー。愛することは許すこと、あの人を、私を。いつまでも、いつまでも」と、歌詞と本作の内容に絡めたコメントを寄せている。現段階では、UAの歌う『星影の小径』のリリース予定はなく、彼女の歌は“映画館”のみで聴くことができる貴重なトラックになりそうだ。『その夜の侍』11月17日(土)より全国ロードショー
2012年06月26日堺雅人と中谷美紀が出演する映画『ひまわりと子犬の7日間』の特報動画とポスターが公開された。『ひまわりと子犬の7日間』特報動画『ひまわりと子犬の7日間』は、2007年に宮崎県で実際に起きた出来事をもとに、管理所に収容され、命の期限が決められた母子犬と、職員たちの姿を描いた物語。山田洋次監督のもとで20年にわたって脚本家、助監督として経験を積んだ平松恵美子監督がメガホンをとり、堺、中谷の他に、でんでん、若林正恭 (オードリー)、吉行和子、夏八木勲らが出演する。このほど公開された動画では、宮崎県の農家で夫婦の愛を受けてすくすくと育った子犬が、ある事情からひとりぼっちになり、管理所に収容されるシーンが描かれている。本作の原作は、宮崎県中央動物保護管理所に収容された母子犬をめぐる実話を記録した山下由美の著作『奇跡の母子犬』(PHP研究所刊)。ポスターには、「首輪を失った母犬“ひまわり”。もういちど、きみに、愛を伝えたい」とあり、“ひまわり”という名前は、太陽の下を堂々と歩いてほしい、そんな思いを込めてつけられた名前だという。本作で堺は管理所職員の彰司を、中谷は彰司を見守る幼なじみの獣医・五十嵐美久を演じる。これまで、『武士の一分』、『母べえ』、『おとうと』などで“家族”と“生と死”をテーマに人間ドラマを深く描いてきた平松監督が、初監督作品となる本作で、どのような物語を描くのか注目したい。本作は、2013年3 月16日(土)新宿ピカデリーほか全国で公開される。『ひまわりと子犬の7日間』2013年3月16日(土)新宿ピカデリーほか全国ロードショー
2012年06月22日井上公造が松田聖子の3度の結婚を徹底分析!17日、読売TV「クギズケ!」に出演した芸能レポーター、井上公造が再々婚をした松田聖子の隠された驚きの結婚の法則をレポートした。井上は以前、松田聖子に関しての著書を出版したことがあるほど聖子ちゃん通の一人。結婚発表のタイミング結婚相手の河奈裕正氏は今年3月に准教授になったばかりで一つの発表タイミングになった。河奈氏は井上独自の取材によると、一昨年離婚をしているという。昨年の年賀状から、これまでの家族写真では無くなったという。大変腕の良い歯科医でTVの嘱託医としても勤めている。結婚発表は必ずコンサート前井上は「聖子ちゃんはマスコミが沢山集まるのが大好き」と話し、「結婚発表をコンサート前にするのは聖子ちゃん一流の計算がある。」とも...。聖子と郷ひろみの結婚、離婚は順番に郷ひろみとの別れの会見の時の名言「生まれ変わったら一緒になろう」も、名古屋で会見を見ていた当の本人の郷は、思わず「そんなことは一度も言っていない」と思ったという。二人の別れから、互いに結婚、離婚を繰り返すが、必ず順番に起きているという。その都度、ファンは聖子と郷が赤い糸で結ばれていると信じたがっている。そして50代に突入している二人は今も輝き続けている。井上は「聖子ちゃんは多くのスキャンダルがあっても一つも曇らない」とコメントを締めくくった。元の記事を読む
2012年06月18日井上芳雄が主演するミュージカル『ルドルフ ザ・ラスト・キス』の製作発表が3月29日、都内にて行われた。登壇者は井上のほか、共演の和音美桜、一路真輝、村井国夫、演出のデヴィッド・ルヴォー。『ルドルフ ザ・ラスト・キス』チケット情報はこちら物語は1889年に起きたオーストリア・ハプスブルク家の皇太子ルドルフと男爵令嬢マリー・ヴェッツェラの心中事件、通称“マイヤーリンク事件”に材を取り、父である皇帝と政治的に対立していくルドルフの信念や、マリーとの許されざる恋を描くもの。日本では2008年に井上芳雄主演、宮本亜門演出で初演されたが、今回は主演の井上はそのままに、演出に英国出身のデヴィッド・ルヴォーを迎え、彼が2009年にウィーンにて上演した版をベースに装い新たに再登場する。世界を活躍の場にしながら日本でも数々の舞台を作っているルヴォーは「3年半ぶりに日本で演出することができて嬉しい」と話し、「私はもともと演劇畑の人間なので、ミュージカルをやるにあたっても人物の成長、劇的な構造というのを強調したい。キャストはみんな本当にぴったり。特にルドルフは井上さんでなければ今回の舞台は残念な結果になっていたと思う(笑)」とみどころと期待を語る。井上は20歳の時のデビュー作『エリザベート』でも皇太子ルドルフを演じており、「自分のデビューだった役がタイトルロールになる作品があって、それを自分が演じさせていただける。なんてすごいことだろうと初演の時にも思ったのですが、さらに再演が出来るとは。自分はルドルフの生まれ変わりなんじゃないかというくらい(笑)、縁があるなと思います」と感慨もひとしお。さらに「実際に僕もルヴォー版をウィーンで観てすごく面白くて、いつかルヴォーさんの演出を受けたいと思っていたのが実現した。世界中のミュージカル俳優に自慢したい!」と喜びを口にする。また相手役となるマリーに扮する和音美桜とはミュージカル『三銃士』でも恋人役を演じており、「声の相性もいいし、和音さんがこちらを感じてそれに沿ってくれる“吸い付く感じ”がする」と相性のよさを語る。その和音も「井上さんはとても芯のある声で、いつも引っ張ってくださる。新しい挑戦が多い役ですがプレッシャーに負けないように頑張りたい」と意気込みを話した。また父皇帝であるフランツ役の村井国夫は「ルヴォーの演出を受けるのは23年ぶり。23年間声がかからなかったってことは、たいした役者じゃないと思われていたのかな(笑)」と会場を笑わせ、「でもデヴィッドの素晴らしさを良く知っているのでどうしてもやりたいと志願しました」と自ら出演志願したことを明かした。さらにマリーの友人・ラリッシュ伯爵夫人役の一路真輝は「帝国劇場に7年ぶりに出演させていただくのが、私の大事な『エリザベート』(一路が主演したミュージカル。役柄的にはルドルフの母親にあたる)に縁のあるウィーンを舞台にした作品で嬉しい。楽しみに演じさせていただきます」と語っていた。公演は7月5日(木)から29日(日)まで、東京・帝国劇場にて。チケットは4月21日(土)に一般発売開始。
2012年03月29日存命ならば昨年末に喜寿を迎えるはずだった劇作家・井上ひさしの8作品を、今年1年に渡り連続上演する『井上ひさし生誕77フェスティバル2012』。その第2弾となるのが、こまつ座公演『雪やこんこん』だ。開幕直前となり仕上げ段階に入った、本作の都内稽古場を見学した。『雪やこんこん』公演情報時代は昭和20年代の終わり、女座長(高畑淳子)率いる〈中村梅子一座〉がたどり着く、北関東の温泉旅館に併設された芝居小屋の楽屋が舞台。あらかたの小道具も備わった状態の稽古場は、その時代の空気で充満している。役者たちは着物、浴衣、袢纏(はんてん)、羽織などを身につけ、“中村梅子”の名が一面に染め抜きされた目立つ袢纏を羽織った高畑も、女座長役らしいキリリとした表情でスタンバイ。まず特徴的だったのは、セリフへのこだわりだ。井上ひさしの戯曲は、“一字一句変えない”が原則。ゆえに、他の現場よりも圧倒的にセリフに対する指示が多い。プロンプターはついているが、演出の鵜山仁自ら「細かいんだけど、ここ『だ』がないんです」など、台本と照らし合わせて細かいチェックをする。役者たちはやや苦戦しているが、“てにをは”すらおろそかにしないことによって、だんだんと作品の持つ心地よいリズムに導かれていくのがわかる。また、気になる箇所があるとすぐにその役者のところまで近づいていき具体的に動いてみせる鵜山は、運動量の多い演出家という印象。その動きに至る理由を筋道立てて言葉によってもわかりやすく伝えながら、「律儀に全部やってくれというんじゃないが、意味合いとしてはこんな感じ。それを踏まえて"いい加減"に」など、役者に対して適度な余白を残す。続いて、中村梅子と、芝居小屋がある旅館の女将で梅子の生き別れの娘であるらしい和子(キムラ緑子)とのシーン。高畑、キムラという演劇界を代表する女優同士の顔合わせは、期待どおりに見応え十分。本作には井上ひさしが集めた古今東西の大衆演劇の名ゼリフが散りばめられているが、そのセリフまわしが舞台人ならではの粋なリズムで語られるのが心地よく、何よりふたりのチャーミングで情に厚いキャラクターが人情芝居にぴったりだ。井上が旅芝居の狂言の筋書きを分析して書き上げた本作には、自己犠牲、報恩、助け合い、正義は勝つ……といった要素が詰まっている。現代ではあたかもほこりをかぶったかに見える“庶民の夢と理想”が、名優たちの演技で色鮮やかによみがえる。2月19日(日)から3月11日(日)まで東京・紀伊國屋サザンシアター、3月16日(金)・17日(土)には大阪・森ノ宮ピロティホール、3月19日(月)・20日(火)には山形・川西町フレンドリープラザにて公演を行う。取材・文:武田吏都
2012年02月16日2010年10月に公開された『大奥』の続編が、秋からTVドラマで放映、12月から劇場で公開され、堺雅人がどちらにも主演することが発表された。その他の写真『大奥』は、よしながふみの同名コミックを原作に、謎の疫病によって男女の立場が逆転してしまった江戸時代を舞台に、女将軍を頂点とする“大奥”の人間模様を描く異色SF劇。続編はどちらも前作より前の時代の物語で、10月クールスタートのTVドラマでは『大奥[有功・家光篇]』として徳川三代将軍の家光(多部未華子)と、彼女の支えになろうとする慈悲深い男・有功(ありこと/堺)の物語が展開。続いて公開される映画『大奥[右衛門佐・綱吉篇]』では、“生類憐みの令”で知られる四代将軍・綱吉(菅野美穂)と、大奥総取締役の座を狙う謎の男・右衛門佐(えもんのすけ/堺)のドラマを描く。両作で“見た目は瓜二つ”ながら別人を演じる堺は「大変なお役をいただきました。ドラマ、映画と、半年ちかいご奉公になります。精一杯、つとめさせていただくつもりです」と意気込みを語り、「原作は、以前一度読んでいたのですが、あらためて読みなおすと、“男女逆転”という設定以外は、とても硬派な歴史劇でした。歴史上の人物や、事件が丁寧にえがかれています。大河ドラマに参加する時のような、意気込みと緊張感でのぞみたいと思っています」とコメント。前作に続いて監督を務める金子文紀氏は「前作では男女の立場が変わっても、変わらない“男とは、女とは?”、“男らしさ、女らしさとは?”を描くことが僕自身のひとつのテーマでした。今回の映画では、そこから更に一歩踏み込んで“人にとっての幸せとは何か?”、“心が満たされるとは?”、“心の解放とは?”といったことを大きなテーマとして描いていこうと思っています」と説明。TVドラマ、映画と連続して公開されることで、前作以上に壮大にして、精緻な人間ドラマが描かれるようだ。TVドラマ『大奥[有功・家光篇]』10 月クールTBS 系列にてオンエア映画『大奥[右衛門佐・綱吉篇]』12月22日(土)全国ロードショー
2012年01月17日井上ひさしが存命ならば、喜寿を迎えるはずだった2012年。『井上ひさし生誕77フェスティバル2012』と銘打ち、1年を通じて8本の井上作品が上演される。その第1弾が、1月開幕の長塚圭史演出『十一ぴきのネコ』だ。井上ひさし×長塚圭史という初のカップリング、長塚初のミュージカル、ネコのみで繰り広げる物語……などなど、未知数の要素でいっぱいの本作。“百聞は一見にしかず”の思いと抑えがたい好奇心を抱えながら、11匹の“オス猫”たちが奮闘中の稽古場を見学した。『十一ぴきのネコ』公演情報北村有起哉、山内圭哉をはじめとし、演劇ファン垂涎の通好みな男優たちが一堂に会している。その彼らが何をしているかというと、一列に行進したり、組体操のピラミッドのようなものを作ったり。まるで体育の授業風景のような、微笑ましく健全な空気が漂う。さすが個性派俳優たちというべきか(?)、統一の動きをする場合も単純に揃うのではなく、個々の違いが際立って表れるのが面白い。立ち位置や役割を早急につかんでいる者もいれば、無意識下にわが道を突き進んでしまっている者もいる。そこがまたこの11人だからこその味になっているのだが、ひとつの流れを皆が体得するまでの時間は当然長くなる。放任主義の姿勢をとりつつ演出席で苦笑いする長塚に、山内が「40オーバー集めたらこんなんなるの、わかってたはずやろ!」と返し、稽古場全体が爆笑に包まれる。ネコたちは自由にのびのびと作品創りに励んでいる様子だ。演出家を中心に、キャストが全員で話し合う回数が非常に多いのも印象的だった。少しでも気になる点が生じれば、すぐに輪になり、忌憚なく意見を交わす。皆の意見をすりあわせるうちにどんどん辻褄が合っていき、あるベストな地点へと着地する。見学していた小一時間で、そんな光景を何度も目にした。全員がフラットな立場で、ある意味全員が演出家のようでもある。この風通しの良い空間に芝居作りの原点を感じたのと同時に、人心をつかむ長塚演出術の一部を垣間見た気がした。本作は、エサを求めるネコの集団を描きながらも、近代化した人間社会への冷ややかな警鐘が、井上ひさしの肉声のごとく聞こえてくる手強い戯曲だ。“子どもとその付添いのためのミュージカル”と銘打たれているが、シニカルなその声は“付添い”たる大人たちにこそ突き刺さるだろう。作者の思いを、若い長塚と井上作品においては新鮮味あるキャストがどう咀嚼して最終的に作品化するか、見どころである。『十一ぴきのネコ』は、1月10日(火)から31日(火)まで東京・紀伊國屋サザンシアター、2月5日(日)に山形・川西町フレンドリープラザ、2月11日(土)・12日(日)に大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて上演される。取材・文:武田吏都
2011年12月27日堺雅人が故郷の宮崎を舞台にした、実話に基づいて作られる映画『ひまわりと子犬の7日間』に主演することが決定。『壬生義士伝』以来となる中谷美紀との共演を果たしていることも明らかになった。映画の原案となったのは山下由美の手による「奇跡の母子犬」(PHP研究所刊)。宮崎県のとある農家でのちに“ひまわり”と名付けられる子犬が飼い主の老夫婦の元ですくすくと成長するが、悲しい事情でひまわりは一人ぼっちに…。やがて、彼女は愛くるしい子犬たちを授かるが、近所からの通報がきっかけで管理所に収容されることになる。飼い主が見つからなければ、7日後には母子ともども“処分”されてしまうことになるが、管理所の職員やその家族、仲間たちは必死に子犬を守ろうとするひまわりの姿に心打たれ…。全国で殺処分されてしまう犬と猫は毎年約23万匹。管理所に収容されて生きて出られるのはわずか10%ほどで、7日間の「命の期限日」を過ぎるとその命は消されてしまうという現状がある。映画の冒頭では、犬の目線で世界を描くことで母犬の想いや子犬たちの“生命”を深く訴えると共に、こうした悲惨な現状に対し、少しでも多くの小さな命を救うべく一石を投じる。家族や管理所に関わる人間たちの衝突や葛藤をも描くことで、単なる動物愛護にとどまらず幅広い層に訴えかけていく。管理所の職員・神崎を演じる堺さん。過去に、故郷の宮崎に凱旋し舞台「宮城野」に出演したことはあるが、映画で宮崎の人間を演じるのは初めて。「『宮崎が舞台の作品』ということで、一も二もなく飛びつきました。18歳で上京しましたが、故郷の人間を演じるのは初めてのことです。幼い頃からなじんだアクセントで芝居をすることは、長年の夢でした。中年にさしかかったいま、こうしたお仕事をいただいたことは、俳優としても何か意味があるような気がしています」と喜びを語る。さらに「宮崎県では去年、口蹄疫が発生しました。自らの手で、大切に育ててきた命を終わらせなければならない日々は、本当につらかったことと思います。また、今年は東日本大震災もありました。そうしたこともあり、この仕事は僕にとって、『命と向き合う』作業になるのではないかとも思っています」と作品への強い思いを明かしてくれた。撮影も宮崎で行われるが、中谷さんとの久々の共演に触れ「なんだか生まれ育った土地にお迎えするような照れ臭さも感じますが、彼女の、精魂こめた、力強い演技を間近で見られることを、本当に楽しみにしています」とも。現在放送中のTVドラマ「南極大陸」に続いて犬と縁の深い作品が続くが、犬たちとの触れ合いも楽しみなところ。中谷さんが演じるのは、獣医・五十嵐美久。映画について「動物を飼うことの幸福な面だけではなく、その影に隠れた悲しい現実に目を向けた上で、それでも動物とふれあうことの喜びを伝える作品であることに共感を覚えました」と語ると共に、役柄について「動物と子供と向き合うことになるので、虚飾のない素直な心で演じたいと思います」と意気込みを語る。さらに、堺さんとの共演については「市井の人を魅力的に演じるという一見簡単そうでとても難しいことをサラリとなさる方という印象があるので、今回の作品での共演を楽しみにしています」と期待を口にする。『壬生義士伝』公開からおよそ9年。その間、数々の映画やドラマ、舞台に出演してきた2人が再共演で起こす“化学変化”に注目したい。監督を務めるのは山田洋次監督の下で映画を学び『十五才学校IV』、『武士の一分(いちぶん)』、『母べえ』、『おとうと』では共同脚本、『たそがれ清兵衛』、『隠し剣 鬼の爪』で助監督を務めた平松恵美子。「“憎しみの連鎖”ではなく、“愛情の連鎖”というものが本来あるべきことではないか。それがこの作品のテーマ」と語り、宮崎ロケについても「抜群のロケーションを最大限に生かして、ひまわりが巡り会う大切なシーンを丁寧に撮影したいと思います」と抱負を語った。これまで『クイール』、『犬と私の10の約束』、『きな子〜見習い警察犬の物語〜』など動物を扱った数々の感動作を世に送り出してきた松竹だが、ここに山田洋次監督が育んできたエッセンスを注入!そして地元・宮崎で堺さんがどのような輝きを見せるのか?撮影は12月まで行われる予定だが、完成が楽しみだ。『ひまわりと子犬の7日間』は2013年春、全国にて公開の予定。■関連作品:ひまわりと子犬の7日間 2013年春、全国にて公開
2011年11月17日堺雅人と中谷美紀が2013年春に公開される映画『ひまわりと子犬の7日間』で共演することが発表され、新作への想いを語った。その他の情報映画は、宮崎県中央動物保護管理所に収容された母子犬をめぐる実話を記録した山下由美の書籍『奇跡の母子犬』を原作に、山田洋次監督のもとで脚本家、助監督として経験を積んだ平松恵美子監督がメガホンをとる。タイトルにある“ひまわり”とは、太陽の下を堂々と歩いてほしい、そんな思いを込めて母犬につけられる名前。堺は、“命の期限日”が付けられる母子犬と対面する管理所職員を演じ、中谷は獣医役だという。平松監督は「“憎しみの連鎖”ではなく、“愛情の連鎖”というものが本来あるべきことではないか。それがこの作品のテーマです」と語る。宮崎県出身の堺は、「“宮崎が舞台の作品”ということで、一も二もなく飛びついた。幼い頃から馴染んだアクセントで芝居をすることは、長年の夢だった」と喜び、「宮崎県では去年、口蹄疫が発生し、今年は東日本大震災もあった。この仕事は僕にとって、“命とむきあう”作業になるのではないかと思っている」と意欲的。獣医役を「虚飾のない素直な心で演じたい」と話す中谷は、「動物を飼うことの幸福な面だけではなく、その影に隠れた哀しい現実にも目を向け、その上で動物とふれあうことの喜びを伝える作品で、共感を覚えた」と語っている。ふたりが映画で共演するのは『壬生義士伝』(滝田洋二郎監督)以来、約9年ぶり。本作は今年の11月から宮崎で撮影を開始し、2012年3月の完成を目指す。『ひまわりと子犬の7日間』2013年春全国ロードショー
2011年11月17日「ぴあ映画生活」調査による10月7日、8日公開の映画・満足度ランキングは、宮崎あおいと堺雅人の共演で贈る“うつ病”に直面した夫婦の物語『ツレがうつになりまして。』がトップに輝いた。2位は東野圭吾の同名小説を映画化した『夜明けの街で』が、3位に韓国で大ヒットしたバイク・アクション映画『クイック!!』が入った。その他の写真1位の『ツレがうつになりまして。』は、夫がうつ病(心因性うつ病)になったことをきっかけに変わっていく夫婦の姿を描いた細川貂々の同名コミックを映画化したもの。出口調査では「人が支え合って生きることの素晴らしさを感じて温かい気持ちになった」「夫婦のやり取りが微笑ましく、泣きながら笑っているというシーンが多かった」「堺雅人の役に共感した。うつ病について以前よりも理解できた気がする」「病気のことを正確に、誤解を与えないようにわかりやすく描きながらも、娯楽映画として成立させているところがすごい」など、幅広い世代からの支持を集めた。2位の『夜明けの街で』は、不倫関係に落ちてゆく男女と殺人事件が絡み合う恋愛ミステリー。出演は岸谷五朗、深田恭子、木村多江。アンケート調査では「揺れ動く男性の心情が深く伝わってきて切なく、どういう結末を迎えるのかドキドキした」「人の感情が複雑に絡まり合って、それぞれの気持ちがわかり納得できた。見応えのあるラストもよかった」「サスペンスとラブストーリーが程よいバランスで完成度の高い作品」など、特に女性を中心に好評だった。(本ランキングは、2011年10月7日(金)、8日(土)に公開された新作映画8本を対象に、ぴあ編集部による映画館前での出口調査によるもの)
2011年10月11日実話を基にした細川貂々のベストセラーエッセイを映画化した『ツレがうつになりまして。』が10月8日(土)に公開初日を迎え、主人公の夫婦を演じた宮崎あおいと堺雅人を始め、佐々部清監督、原作者の細川さんと望月昭ご夫妻が登壇し、舞台挨拶を行った。夫がうつ病になったことをきっかけに、これまでの自分たちを見つめなおし、成長していく夫婦の姿を優しく温かく描いた夫婦の物語。宮崎さんと堺さんはNHK大河ドラマ「篤姫」に続き2度目となる夫婦役で息の合った演技を見せているが、再共演での互いの印象について聞かれると、宮崎さんは「とにかく真面目ですよね。たくさん色々と調べられるし、うーん…」と一瞬口ごもり、堺さんに「終わり!?」とつっこまれる一幕も。改めて「すごく頭をよく使ってらっしゃいますし、そのときの感情も大事にできる方なので、役者として尊敬しています」と宮崎さんが語ると、堺さんも宮崎さんについて「どっしりとそこに立っている方。『篤姫』のときもそうだったのですが、日常に自分を戻してくれるような、揺らぎのない豊かな存在感で、100%信頼できる存在」と全幅の信頼を見せた。そんなおふたりの現場での様子を「いつも台本を持たずに本棚から本を出して読んだり、宮崎さんは編み物をしたりと、うちのおじいちゃんとおばあちゃんを見ているような、小津安二郎の作品に出てくる老夫婦のような居ずまいでした」と語る佐々部監督。当の二人も「ここまで来たら手を変え品を変え、ずっと夫婦を」(堺さん)、「いろんなバージョンで(笑)」(宮崎さん)と、“夫婦役”に居心地の良さを感じているようだった。原作者の細川さんと望月さん夫妻も今回撮影に参加したが、完成した映画について「とても温い空気の映画にしていただいて、ありがとうございました」(細川さん)、「こんな素敵なお二人に演じてもらえて、夢のような話です」(望月さん)と感謝を口にした。また、この日壇上にはもうひとり、重要な共演者であるグリーンイグアナの“イグ”も登場し、みんなの注目の的に。宮崎さんが「かっこいいんですよね。癒されます」と優しく撫でれば、堺さんも「心の中でいつも『ありがとうございます』と敬礼してました。尊敬する俳優です」とすっかり心酔した様子で、会場を沸かせた。4年越しでの映画化実現から遂に公開を迎えた本作。最後に、堺さんと宮崎さんそれぞれから「『どんな瞬間も自分を誇りに思う権利がある』という、俳優としてもとてもありがたい言葉を映画からいただきました。その姿一つ一つがみなさんの心に響けばこれ以上の幸せはありません」(堺さん)、「この作品をみなさんに愛していただけることを祈ってます」(宮崎さん)と心のこもったメッセージが贈られると、500人の観客から温かい拍手が送られた。『ツレがうつになりまして。』は全国にて公開中。■関連作品:ツレがうつになりまして。 2011年10月8日より公開© 2011「ツレがうつになりまして。」製作委員会■関連記事:宮崎あおい&堺雅人夫婦になれる喜び、「一緒にいることが当たり前」の関係『ツレうつ』原作・細川貂々が明かす、宮崎あおい&堺雅人への特別な思いとは?宮崎あおい、堺雅人と「とことん夫婦役を演じ続けるのも面白そう」堺雅人、17歳の設定は「ハードル高かった」あなたならどうする?『ツレがうつになりまして。』プレス&ポスターを5名様プレゼント
2011年10月09日細川貂々(てんてん)の人気コミックエッセイを実写映画化した『ツレがうつになりまして。』に出演する宮崎あおいと堺雅人。NHK大河ドラマ『篤姫』に続き夫婦役で再共演するふたりが、夫のうつ病という現実と向き合う姿を軽やかに、そして真摯に演じきった。「堺さんとなら絶対、大丈夫だなって」(宮崎)、「あおいちゃんには、絶大なる安心感がある」(堺)と相思相愛ぶりをアピールするふたりが、作品にこめた想いを語る。その他の写真結婚5年目を迎えた売れない漫画家の妻(宮崎)とうつ病になったサラリーマンの夫(堺)が、病を機に夫婦関係を見つめ直し、手を取り合いながら困難を乗り越えていく。「何日か前に、改めて映画を観直したんです。“そこにいる夫婦”という日常をこんなに自然に表現できたことが、自分にとってはすごく幸せなことだなって思いました」としみじみ語る宮崎。「それは堺さんが隣にいてくれたからなんです」と再共演した喜びを隠さない。堺は当初、今回の再共演を「へー、すごいな」と客観的に捉えていたといい「だって、このふたりで夫婦役ですからね。自分の中で相当にハードルが上がってしまうんじゃないかって」。それでも宮崎との再会には「何の不安もなくて、むしろ『絶対大丈夫、こりゃラクチンだな』って(笑)。変な言い方だけど、達成感もなくて。いいコメントが出せなくてゴメンなさい」とサラリ。そんな二人が出した結論は「自分たちなりの“ツレうつ”を作り上げる」ということ。当事者が書き上げた実話エッセイが原作ではあるが、「僕らがお手本(原作)に近づく必要はないなって」(堺)。うつ病患者という役どころも「形だけ真似れば、うつ病に見えるじゃないかというのは絶対にイヤだった。たとえ実際にうつ病になられた方に、お叱りを受けても、自分なりに病気と向き合いたかった」と気負わず、そしてこだわりを忘れない。夫の闘病と同時に、宮崎演じる妻の成長も描かれる本作。「役柄としては、大雑把な女性なんですね。そういう面は少し意識しましたけど、いざお芝居が始まったら、堺さんをはじめみなさんがすべてを受け止めてくれた感じです」(宮崎)、「むしろ、あおいちゃんの演じる成長物語が、映画の“幹”になってくれるから、僕は安心して“枝葉”になれた」(堺)。やはり俳優として、相性バッチリなのだ。こうなると宮崎&堺のさらなる再共演を期待したくなるもの。堺もすっかり乗り気で「次は敵対する関係もいいかもね。バイキンマンとドキンちゃんじゃないけど、好きなんだけど嫌いみたいね。だって、あおいちゃん、時々“悪い目”してるもん(笑)」。宮崎も「じゃあ、次はドキンちゃん役で(笑)」と再共演に意欲を見せた。『ツレがうつになりまして。』10月8日(土)公開取材・文・写真:内田涼
2011年10月07日