NTTデータは2015年10月1日付けで、同社グループにおける人工知能(AI:Artificial Intelligence)の応用ビジネスを推進するための組織として、「AIソリューション推進室」を技術開発本部サービスイノベーションセンタ内に設置すると発表した。AIソリューション推進室は、NTTの研究所が保有する人工知能技術(音声認識、画像認識、自然言語処理、知識処理、機械学習など)と、NTTデータが保有する情報活用ノウハウ・プラットフォームを組み合わせ、人工知能を活用した幅広いシステム・サービスの創出などを目的としたもの。当初は、人工知能技術のスペシャリスト20名の体制で活動を開始し、順次体制を拡大していく。同社はすでに、「融資審査やマーケティング分析のミドルオフィス業務における意思決定・知的判断の支援 」「窓口やコンタクトセンターの顧客対応業務における手続き、商品などの相談支援」「オフィス、公共施設、店舗などでのグローバルなコミュニケーションの支援」「スマートフォンなどのモバイル端末や人型ロボットを介したコンシューマー向け対話型サービス」において、人工知能の応用を進めている。同社は人工知能関連のシステムおよびサービス提供で、2018年度までに累計200億円の売上を目指す。
2015年09月30日UBICは9月25日、人工知能の成長を可視化することに成功、人工知能の成長過程を視覚的に把握し、テキスト解析の精度を効率的に向上するコンサルティングサービスの提供を開始すると発表した。同社は、人工知能によるEメール自動監査システム「Lit i View EMAIL AUDITOR(以下、EMAIL AUDITOR)」により、企業内の大量のメールを自動的に監査し、企業が防ぎたいリスクを発見するソリューションを提供している。「EMAIL AUDITOR」に搭載された人工知能「バーチャルデータサイエンティスト(以下、VDS)」が、豊富な経験をもつ監査人(社内外の監査スタッフや弁護士など)から不正を判断する特徴を学び、監査人がすべてチェックすることが不可能な大量の電子メールのテキストから、情報漏洩やカルテルなど不正行為への関与の疑いがあるコミュニケーションや行動を、監査人に代わって見つけ出すというものだ。今回提供開始となったサービスは、EMAIL AUDITOR導入企業に対するコンサルティングサービスとして提供される。人工知能の成長を測定するポイントは、監査人が「不正に“関連する”と判断した文書」と「不正に“関連していない”と判断した文書」が、正しくスコア付けされているかどうかで判断。成長プロセスは、「成長初期」、「成長期」、「成熟期」の3つの段階に分けることができ、成熟期に到達すると、安定したメール監査機能としての稼働が確認できたことになる。同社では、VDSの学習機能が適切に働いているかどうか分析するコンサルティングを行ってきたが、今回の可視化の手法を用いることによって、従来よりも、より直感的に人工知能の成長過程を把握することが可能になり、成長の精度やスピードが適正であるかどうかを容易に判断することができるようになったという。
2015年09月25日○人工知能という鉱脈ソフトバンクが発売したロボット「ペッパー」。ユーザーの感情を理解するという触れ込みに、「そんなものは存在しない」と指摘をするのはKDDI総研のリサーチフェロー小林 雅一氏。ネットメディアの連載で、ペッパーを「チャットボット」と分類します。問いかけた内容に応じて返事をする「ボット」のようなものだというのです。ソフトバンク VS KDDIの代理戦争かと邪推の一つもしたくなりますが、「感情」の定義には哲学的なテーゼが残され、私は小林説を支持します。一方で、テレビ東京の子供向け番組「おはスタ645」で、お笑いトリオ「ロバート」と上手に絡むペッパーの実力も評価しています。それぞれ「AI(人工知能)」への解釈や、期待度の違いといっても良いでしょう。人と同等以上の知能を求めるのか、擬似的で良いとするのかです。AI研究における世界の主流は前者で、「ディープラーニング」により研究は加速しています。しかし今、日本の「AI業界」に暗雲が垂れ込めています。○中国に持って行かれる自動運転や介護ロボ、より便利なスマホOSなど、AIへの期待は、多くの産業で高まっています。AIの研究は古く、コンピュータが開発された当初からスタートしていました。当時のアプローチは、あらかじめ「考え方」を与えておくか、ボットのように多くの「解答例」を用意するものでした。これらは良くも悪くも、人間の想像の枠内に収まり、「知能」と呼べるかという議論もありました。「ディープラーニング」はまったく別の発想です。語弊を怖れずにひと言で説明するなら、コンピュータ自身が「考え方」を見つけ出すというアプローチです。認識方法や評価基準といった「考え方」そのものを見つけ出すので、より人間に近づく可能性どころか、平成57年(2045年)には、人工知能は人間の知能を越えると囁かれております。そして現時点のAI研究において、日本は世界に劣っている訳ではありません。特許の数では米国に負けても、コンピュータ開発におけるノウハウがあり、それを支える人材がいるからです。ただし、現時点です。○東ロボくんまでが9月18日の日経新聞2面に見つけた見出しです。中国も「東大合格ロボ」開発デッサンの狂ったドラえもんが確認される「石景山遊園地」のように、中国得意のコピー商品かと思いきや、「東大合格ロボ」の開発を手がける教授 新井 紀子氏に誘いがあり、中国との連携を決めたというのです。2011年より開発が始まった「東ロボくん(愛称)」は、大学入試センター試験の合格を、AIが目指すというもので、発表当時は失笑が漏れるほど荒唐無稽と思われたプロジェクトでした。これが今では8割の私大で合格可能性が80%に越えるまでに成長しています。そして中国との連携。日経新聞は理由の一つに「お金」を挙げます。新井教授が勤める国立情報学研究所から、割り当てられる研究予算は年間数千万円であるのに対し、中国側の予算は30億円で桁が二つ違います。○お詫びと訂正当初、「国立情報学研究所」を「国立情報科学研究所」と誤記していました。また、「中国側の(新井氏らへの)オファーは30億円」としていましたが、ただしくは中国の研究開発費の予算が30億円の誤りでした。お詫びして訂正します。文部科学省も手をこまねいている訳ではなく、来年度予算の概算要求でAI研究計画を打ち出し、100億円を投じて研究施設を整備すると記事は続けますが、読了後、ある社長を思い出します。○第二、第三のありまぁすWeb制作の新規事業を立ち上げようとした運送会社のI社長。まず、手がけたのは、新規事業用の部屋の増設。「箱を作れば、中身はあとからついてくる」という発想は、トラックを買えば仕事が入り、仕事を請けてから勉強を始めても、どうにかなったバブル期に創業したI社長の経営哲学。社内でWeb制作ができる人物は、営業マンとして中途入社してきた新人のただひとり。面接で語った趣味の「Web制作」に白羽の矢を立てたのです。素人同然だという抗弁も「勉強すれば良い」で却下されます。いわば「研究員」のような立場ながら、営業マンとしての仕事は免除されません。営業マンとしての業務と両立させるため、「研究員」は寝る間も惜しみますが、営業マンは「裁量労働制」の契約のため、残業や早朝、休日出勤への割増賃金が支払われることはありません。そしてなんとか一人前のWeb制作者になったとき、研究員はそっと辞表を置いて会社を去りました。より良いオファーがあったからです。彼は言います。「場を与えられたことには感謝している。しかし、技術は自分の努力で身につけた」社内に技術は残されず、増設された部屋は物置となります。文科省の取り組みに同じ影を見つけます。予算要求にある「AI研究の拠点」とは、埼玉県和光市の「理化学研究所」。あの「ありまぁす」といった女性のためだけに、ピンクに塗られた研究室を用意したあの「理研」です。騒動を経てもなお、日本最高水準の研究機関ではあります。しかし、「2位じゃダメなんでしょうか?」と蓮舫氏が問うたスーパーコンピュータ「京」も理研の施設内にあり、AIの研究に高機能のコンピュータは不可欠。のはずなんですが、「京」があるのは神戸市の理研「計算科学研究機構」。果たして100億円は研究のためだけに使われるのでしょうか。「ハコモノ0.2」「適材適所 0.2」の匂いがします。先の研究員は、当時をこう締めくくりました。「誰も助けてくれなかったし、理解もしていなかった。そして結果だけを求められた」○エンタープライズ1.0への箴言まず、箱物という発想がダメ宮脇 睦(みやわき あつし)プログラマーを振り出しにさまざまな社会経験を積んだ後、有限会社アズモードを設立。営業の現場を知る強みを生かし、Webとリアルビジネスの融合を目指した「営業戦略付きホームページ」を提供している。コラムニストとして精力的に活動し、「Web担当者Forum(インプレスビジネスメディア)」、「通販支援ブログ(スクロール360)」でも連載しているほか、漫画原作も手がける。著書に「Web2.0が殺すもの」「楽天市場がなくなる日」(ともに洋泉社)がある。最新刊は7月10日に発行された電子書籍「食べログ化する政治~ネット世論と幼児化と山本太郎~」筆者ブログ「ITジャーナリスト宮脇睦の本当のことが言えない世界の片隅で」
2015年09月24日モバイル管制、人工知能、そして日本の固体ロケットの良き伝統――。さまざまな話題と共に、「イプシロン」ロケットの1号機が打ち上げられたのは、今からちょうど2年前の、2013年9月14日のことだった。大勢の人々に見守られながら、内之浦宇宙空間観測所を離昇したイプシロンは、搭載していた衛星「SPRINT-A」(のちに「ひさき」と命名)を無事に予定通りの軌道に乗せ、華々しいデビューを飾った。そして現在、この1号機より能力を高めた「強化型イプシロン」の開発が進んでいる。この「強化型」で、イプシロンはどのように変わるのだろうか。連載の第1回では、イプシロンが先代のM-Vロケットからどう変わることを目指して開発されたのかについて紹介した。第2回では「強化型」でイプシロンはどう変わるのかについて紹介した。最終回となる今回は、強化型の次に予定されている「イプシロン最終形態」の検討と、そしてイプシロンが真にロケットとして成功するために必要な条件について見ていきたい。○イプシロン最終形態イプシロンの高性能化、低コスト化に向けて、段階的に改良が行われていくということは第2回で触れたが、それでは「強化型」の次、最終的な真の姿はどうなるのだろうか。現在はまだ決まっていないが、いくつかの検討が進められている。なお、JAXAはこの機体を「イプシロン最終形態」、もしくは「進化型イプシロン」と呼んでいる。その検討例の一部が、『ISASニュース 2014年7月号』で紹介されている。たとえば「例1」(中央)は、当初計画されていた「E-1」に近い。「例2」(右から2番目)は機体のすべてが大きくなり、M-Vロケットに近い規模になる。「例3」(一番右)は少し冗談のような形をしているが、まず両脇のブースターだけで離昇し、燃焼を終え、分離されると同時に、中央のモーターに点火するという飛行シーケンスを取るという。この検討例は、右に行くほど打ち上げ能力が大きくなる。たとえば「例3」であれば、小惑星探査機「はやぶさ」が打ち上げられた軌道に向けて、800kg以上の探査機を打ち上げることも可能になる。「はやぶさ」の打ち上げ時の質量は510kgだったから、それと比べるとはるかに大きな探査機を打ち上げることができるわけだ。さらに、2014年8月に開催された『28th Annual AIAA/USU Conference on Small Satellites』の発表では、ブースターを3基、4基もつ案も示されている。ただ、2015年1月に発表された、新しい宇宙基本計画の工程表によると、中型(「はやぶさ」などと同クラス、あるいはそれよりも大きな規模)の科学衛星については「H3」ロケットを使用することとし、イプシロンは「公募型小型」と、さらにそれよりも小さい規模の「革新的衛星技術実証」といった、小型の衛星の打ち上げに使用されることとなった。したがって、「例3」ほどの規模にまで進化する可能性はあまりないかもしれない。現在のところ、この最終形態は、2016年度内に開発に着手し、2020年代初頭に打ち上げることを目標にしているという。○H3ロケットとイプシロンイプシロンの今後について忘れてはならないのが、H3ロケットの関係である。現在のイプシロンは、第1段にH-IIAロケットの固体ロケット・ブースター(SRB-A)を流用している。このことはSRB-Aの量産数を増やすことになるため、低コスト化を裏打ちする要素のひとつにもなっていた。だが、すでに周知の通り、H-IIAロケットは2020年代の前半に運用を終え、後継のH3ロケットに切り替わることが計画されている。H3では固体ロケット・ブースターも変わり、現在のSRB-Aではなくなるため、イプシロンのためにSRB-Aを製造し続けるか、あるいはH3のブースターと共通できるように設計を変えるかを選ばなくてはならなくなった。これについて、どちらが得策かの検討が行われ、最終的に後者が選ばれた。文部科学省によると、「新型基幹ロケットの固体ロケットブースタを、イプシロンの1段モータと共用せず、現行のH-IIA/Bロケットの固体ロケットブースタを継続使用とする場合、イプシロンの専用部品として製造することになる部品単価の高騰による機体コストの大幅な上昇に加え、製造治工具についても専用品となることで、共用する場合に比べて維持コストの増加が甚だしく、固体ロケット技術の維持の観点からも非効率になると見込まれる」としている。なお、2013年ごろにも「新型基幹ロケットの固体ロケット・ブースターと、イプシロンの第2段とを共通化する」という話が出たことがある。イプシロンの第2段、というのが少し奇妙に思えるが、これは当時、新型基幹ロケットのブースターがSRB-Aよりも小さくなることが検討されていたためである。その後、検討が進められる中で、H-IIAのSRB-Aと同じ規模、すなわち現在のイプシロンの第1段と同じ規模になったことで、この話は幻となった。ただ、いくらSRB-Aと同規模とはいえ設計は変わるため、イプシロンの第1段として使うには改修が必要となる。特に、SRB-Aにはあったノズルを動かして方向を制御する機構が、H3用のブースターではなくなることになったため、イプシロンのために新しい制御機能を開発しなくてはならない。また、H3のブースターはまだ設計が固まったわけではないので、今後検討や開発が進められる中で計画の変更などがあれば、その影響を大きく受けることになる。たとえば、もしブースターのサイズが再び小さくなることがあれば、第1段ではなく第2段と共有するという案が復活する可能性もある。また燃焼パターン(どのようにしてモーターを燃焼させるか)に変化が出れば、SRB-Aを第1段に使う場合と比べ、打ち上げ能力が多少変化することもあるだろう。(編注:2015年6月発表の資料ではH3と固体ロケットブースターを共有化することで600kg級の打ち上げ能力とする方針を打ち出している。)実質的に主導権をH3が握っている状態で開発を進め、さらにH-IIA/BからH3に切り替わるのと同じタイミングで、イプシロンもH3のブースターに対応したヴァージョンに切り替わらなければならないことは、開発する側にとっては大きな負担になり、その性能や、また最終形態の検討などにも影響が出る可能性がある。○打ち上げ数をどう確保するかH3のブースターを使ったイプシロンや、最終形態が完成したとして、次に目指すべきなのは、安定した数を継続して打ち上げることだろう。特に、当初目標とされた、1機あたり30億円前後という打ち上げコストを実現するには、とにかく数多く量産し、打ち上げなくてはならない。しかし、小型の科学衛星については2年に1回、またさらに小さな規模の革新的衛星技術実証プログラムも2年に1回ほどの頻度しか計画されておらず、これでは少ない。特に革新的衛星技術実証プログラムは、1回の打ち上げで超小型衛星を複数搭載することも考えられているため、純粋に1回につきイプシロン1機を使うということにはならない。小型科学衛星と革新的衛星技術実証プログラムとは別に、2016年度には経済産業省の小型地球観測衛星「ASNARO-2」、さらにその後には、ヴェトナムの小型地球観測衛星「LOTUSAT1」と「LOTUSAT2」の打ち上げも計画されている。LOTUSATはASNARO-2の同型機で、日本がヴェトナムに対して行う円借款によって造られる。ただ、それでも合計3機で、また毎年発生する需要でもないため、打ち上げ数が不足することには変わりない。小型の科学衛星の数が増えたり、ヴェトナムがさらに10機や20機とASNAROを発注してくれれば話は別だが、そんなことは望むべくもない。したがって、ASNAROシリーズを商業衛星として広く展開し、他国や国内外の企業に売り込んでいき、またヴェトナムのような例をさらに別の国でも作り出していく必要がある。さらに、ASNAROとは別の、他の小型衛星の打ち上げも受注できるようにしなければならないだろう。だが、小型衛星がブームと言われたのも今は昔、すでにそのブームは過ぎつつある。米国の小型ロケットも、最近ではNASAや軍関係の小型衛星の打ち上げばかりで、商業衛星の打ち上げはほとんどない。商業ロケットの雄と称されているスペースX社も、かつては「ファルコン1e」という小型ロケットの開発計画をもっていたが、需要なしと判断され、中止されている。もちろん小型衛星の需要がゼロになったわけではなく、また今後盛り返す可能性もないわけではない。しかし、現在ある需要は、インドの「PSLV」ロケットや、ロシアの「ドニェープル」ロケットがそのシェアの大半を握っており、最近では欧州の「ヴェガ」ロケットも登場した。これらはいずれもイプシロンの2倍以上の打ち上げ能力をもつ中型ロケットだが、主となる衛星を2機同時、あるいは複数の超小型衛星と同時に打ち上げるといった方法で、イプシロンがターゲットにしているクラスの衛星打ち上げを行っている。また、今後数年のうちには、中国や韓国も小型、中型ロケットを送り出してくる予定となっている。米国やロシアなどでは、小型ロケットを開発している企業もいくつか出てきている。イプシロンの打ち上げ数を増やすためには、すでに他のロケットがもっているシェアを奪い、そして今後出てくる新しいロケットをも跳ね除け、さらに衛星とのセット販売などで、新しい顧客を開拓していかなければならない。イプシロンの将来は、商業ロケットとして成功できるかどうかにかかっている。
2015年09月18日クーロンは9月10日、人工知能を搭載したコメントシステム「QuACS(クアックス)」を採用するWebメディアを対象に行ったユーザーの動態調査結果を発表した。QuACSは人工知能を搭載したコメントシステム。Webメディアに数行のコードを埋め込むだけで、読者が自由に意見や感想を投稿できるコメント欄を設置できる。読者がコメント欄に投稿した言葉や文章の意味を解析する「文章評価」機能のほか、誹謗中傷や罵詈雑言、差別用語、人権侵害、公序良俗に反する内容、違法取引、出会い目的などの内容を自動的に判別する人工知能「フェアプレイアルゴリズム」を搭載する。調査は8月1日~8月31日の期間で実施した。調査では、コメントシステム「QuACS」を採用したWebメディアにおけるユーザーを3つに分類。「QuACS」を通して記事にコメントを投稿している「コメント投稿ユーザー」と、コメントに対して「Agree」ボタン「Disagree」ボタン押下のアクションを実施した「アクションユーザー」、コメント投稿もアクションもしない「一般ユーザー」の3つとなる。調査内容は、「1ページあたりの平均滞在時間」「1ユーザーあたりの月間平均PV」。調査結果によると、1ページあたりの平均滞在時間をユーザー分類ごとに見ると、「コメント投稿ユーザー」「アクションユーザー」がともに長時間滞在することがわかった。「一般ユーザー」と比べ、「アクションユーザー」は5.54倍、「コメント投稿ユーザー」は8.46倍とそれぞれ高い平均滞在時間を示した。1ユーザーあたりの月間平均PV数は「一般ユーザー」と比べ、「アクションユーザー」が3.85倍、「コメント投稿ユーザー」が6.29倍となった。調査結果を通じて、コメントシステム「QuACS」を通してコメントやアクションを起こしたユーザーは、Webサイトに長時間にわたって滞在する傾向があるだけでなく、エンゲージメントが高くなる傾向があることがわかった。クーロンでは今後も、コメントシステム「QuACS」導入効果やユーザーとのエンゲージメントを測る指標を示すなど、Webメディアのマーケティングサポートを充実するとしている。
2015年09月17日モバイル管制、人工知能、そして日本の固体ロケットの良き伝統——。さまざまな話題と共に、「イプシロン」ロケットの1号機が打ち上げられたのは、今からちょうど2年前の、2013年9月14日のことだった。大勢の人々に見守られながら、内之浦宇宙空間観測所を離昇したイプシロンは、搭載していた衛星「SPRINT-A」(のちに「ひさき」と命名)を無事に予定どおりの軌道に乗せ、華々しいデビューを飾った。そして現在、この1号機より能力を高めた「強化型イプシロン」の開発が進んでいる。この「強化型」で、イプシロンはどのように変わるのだろうか。連載の第1回では、イプシロンが先代のM-Vロケットからどう変わることを目指して開発されたのかについて紹介した。第2回となる今回は、いよいよ本題となる「強化型」でイプシロンはどう変わるのかということについて見ていきたい。○あくまで試験機だった1号機2010年から開発が始まり、その後わずか3年で開発された「イプシロン」は、こうして無事に初打ち上げを迎えた。しかし、これでロケットとして完成したわけではなかった。もともとJAXAでは、段階を踏んで開発し、徐々に当初の目標に近付けていくという方法を採っていた。まず自己診断機能やモバイル管制といった新しい技術を実証を行う試験機の「E-X」を開発し、続いて高性能化と低コスト化を狙った試験機「E-I´」(イー・ワン・ダッシュ)を開発、そして最終的にその高性能化と低コスト化を実現させた完成形「E-I」(イー・ワン)を開発するという流れである。当初の計画では、2014年9月に打ち上げられた1号機がE-X、続く2号機と3号機がE-I´、そして4号機以降がE-Iになるとされていた。E-Iがどういう形態のロケットになるかは、さまざまな検討がされていたが、おおむねE-Xよりも打ち上げ能力は大きくなり、一方でコストは低くなると見積もられていた。たとえばE-Xでは、地球低軌道へは1200kg、地球観測衛星などが多く打ち上げられる太陽同期軌道へは450kgの打ち上げ能力をもっている。打ち上げコストは約38億円だった。しかしE-Iでは、地球低軌道へは最大1800kgほど、太陽同期軌道へは最大で750kgの打ち上げ能力をもち、コストは30億円前後にまで下がるとされた。○2号機対応と高度化ただ、最近発表される資料などでは、E-X、E-I´、E-Iといった呼び名は使われなくなっている。その代わりに「イプシロン2号機対応開発」と「イプシロン高度化開発」といった言葉が使われるようになった。「2号機対応開発」は2012年度から始まったもので、イプシロンの2号機で打ち上げられる「ジオスペース探査衛星」(ERG)に対応するための改良のことである。ERGがイプシロンの2号機で打ち上げられるということは、ずいぶん前から決まっていたが、同時に試験機(E-X)と同じ能力ではERGが打ち上げられないこともわかっていた。そこで、ERGのために打ち上げ能力を上げるための開発が行われることになったのである。もうひとつの「高度化開発」は2014年度から始まったもので、E-Xから打ち上げ能力を向上させると共に、衛星フェアリングの内部を広くし、より大きなサイズの衛星も搭載できようにするなど、さまざまな改良を加える開発のことである。これは主に、経済産業省が開発している小型のレーダー衛星「ASNARO-2」に合わせたもので、ASNARO-2も試験機の能力では打ち上げられず、またフェアリング内部に収めることすらできないため、その対応のために開発が必要となった。イプシロンにとっては、科学衛星だけでなく、ASNARO衛星も主要な「お客さま」になることが予定されているため、この対応は必要不可欠なものだった。また、ASNARO-2の打ち上げに対応できれば、他の小型衛星の打ち上げも可能であることが確認できているという。2号機対応開発と高度化開発は、「打ち上げ能力の向上」という点で被っているようにも思えるが、事実そのとおりで、「2号機対応開発の打ち上げ能力向上は、3号機以降にも適用する」とされていた。一方で、高度化に含まれる、衛星フェアリングの内部を広くするといったのいくつかの改良点については、ERGの打ち上げでは必要なかったことや、またERGの打ち上げが2015年度中に予定されていたため、高度化開発の完成が間に合わないという事情もあり、両者はこのように別のプロジェクトとして進められていた。ところが2014年8月27日に、JAXAは「ERGの開発中に、事前に予見していなかった技術的課題が発生し、その解決のために、打ち上げ時期を2016年に延期する」と発表する。さらに打ち上げ時期の見直しと共に、ERGの軌道の要求も変わったことで、打ち上げ能力をさらに上げる必要が生じた。そこで高度化開発の内容もイプシロンの2号機から適用されることになった。そして2号機対応開発と高度化開発を合わせ、ひとつのプロジェクトにすることが決定され、2014年10月、新たに「強化型イプシロン・ロケット・プロジェクト」が立ち上げられた。○強化型イプシロン強化型イプシロンが完成すれば、打ち上げ能力が増え、たとえば高度500kmの太陽同期軌道への打ち上げ能力は、試験機の450kgから590kgへとなる。また衛星フェアリング内の広さも増える、これによりERGやASNARO-2を打ち上げることが可能になる。もう少し細かく見ていくと、まず目立つ変化としては、全長が24.2mから26.0mへと少し伸びることが挙げられるだろう。特に、第2段機体のある部分の印象はずいぶん違うはずだ。第1回で触れたように、試験機の第2段機体にはM‐Vロケットの第3段機体を改良したものが用いられたが、第1段(H-IIAロケットのSRB-A)よりも直径が小さいため、衛星フェアリングの内部に収められていた。試験機の写真を見ると、SRB-Aの第1段のすぐ上に、衛星フェアリングが載っていることがわかる。この中に第2段、第3段、そしてPBSと衛星がすべて入っていたのだ。しかし強化型では、2段機体の直径を太くし、フェアリングの外部に出すことでフェアリング内部の広さを拡大させると共に、第2段の推進薬量も増加させる、「2段エクスポーズ化」という改良が行われる。もちろん改良点はそこだけではない。たとえば第3段の機器が搭載されている部分の構造が軽量化され、さらに使用する部品も簡素化されるなど、細かい部分も含めると、とてもここでは取り上げきれないほど数多くの改良が各所に施される。これにより打ち上げ能力の向上と、フェアリング内部の拡大の両方が実現する。また衛星を分離する際の衝撃も小さくなり、衛星にとって乗り心地が良くなる他、内之浦でのロケット組み立て作業や、打ち上げに向けた準備作業などにも手が加えられ、作業時間の短縮や、低コスト化につながるとされる。強化型の開発は順調に進んでおり、JAXAは2015年8月6日、2015年3月末に上段のサブサイズ・モーター(実機よりも小さな試験用のモーター)の地上燃焼試験が実施され、計画どおり終了したこと、そして6月18日にはJAXA相模原キャンパスで衛星分離試験が行なわれ、分離時に発生する衝撃や衛星分離挙動が確かめられたことなどを明らかにしている。このまま開発が順調に進めば、強化型イプシロンの1号機は2016年度に、ERGを積んで打ち上げられる予定となっている。また同年度中にはASNARO-2の打ち上げも計画されている。ただ、この強化型イプシロンは、あくまでASNARO-2など、当面の小型衛星の打ち上げ需要に対応するための、喫緊の技術課題を解決するための開発であり、E-I´として呼ばれていたものに近く、まだ完成形——いわゆる「E-I」——ではない。現在のところ、完成形のイプシロン(ISASは「最終形態」と呼ぶ)の姿はまだ決まっていない。そして、さらにこの先、イプシロンには大きな壁が待ち構えている。(続く)
2015年09月16日信州大学は9月14日、独自の人工タンパク質を用いた「タンパク質ナノブロック(PN-Block)」を開発し、複数種類の超分子ナノ構造複合体を創り出すことに成功したと発表した。同成果は同大学大学院総合工学系研究科博士課程3年の小林直也氏、同大学学術研究院繊維学系の新井亮一 助教、横浜市立大学大学院生命医科学研究科の雲財悟 助教らの共同研究グループによるもので、米国化学会誌「Journal of the American Chemical Society」の9月9日発行号に掲載された。同研究グループは、独自の二量体人工タンパク質と三量体ファージタンパク質を融合することで「PN-Block」を開発し、樽型(ラグビーボール型)や正四面体(テトラポッド型)などの超分子ナノ構造複合体を自己組織化により同時に創出することに成功した。同技術は将来的に次世代半導体のための有機無機ハイブリッドナノ材料開発、次世代医薬品のためのドラッグデリバリーシステムや人工ワクチン開発などへの応用が期待されるという。
2015年09月14日電通は9月11日、ワン・トゥー・テン・ロボティクス(1-10Robotics)と業務提携し、最先端のコミュニケーションロボット用AI(人工知能)や会話エンジンの開発を推進していくことを発表した。電通は2014年11月に社内横断組織「電通ロボット推進センター」を立ち上げ、「開発」「エージェンシー」「コンテンツ」の3つのビジネス領域から顧客が抱えるさまざまなロボットに関する課題解決のためのソリューションを提供してきた。1-10Roboticsは1-10HOLDINGSが、コミュニケーション分野でのロボットの市場規模が2020年までに少なくとも現在の3倍となる6,000億円超に拡大するとの予測から設立した子会社で、ロボット関連テクノロジーの専門会社として最先端のコミュニケーションロボット用AIや会話エンジンの開発を行っていく。すでに、1-10HOLDINGSの子会社ワン・トゥー・テン・デザインは、ソフトバンクの感情を持ったパーソナルロボット「Pepper」の開発にも携わるなど、ロボット開発分野で多くの実績を残しており、1-10Roboticsはその事業を継承する。
2015年09月11日トヨタ自動車はこのほど、米国のマサチューセッツ工科大学のコンピュータ科学・人工知能研究所(CSAIL)およびスタンフォード大学のスタンフォード人工知能研究所(SAIL)と、人工知能に関する研究で連携していくことに合意したと発表した。今後5年間で同社は、合計約5000万米ドルの予算を投じ、CSAILおよびSAILそれぞれと連携研究センターを設立する。今回設立される両連携研究センターでは、人工知能をクルマやロボットへの応用を目指し、「様々な環境における物体の認識」「高度な状況判断」「人と機械との安全な相互協調」などを実現するための研究を推進する。CSAIL所長のダニエラ・ラス教授は「我々の研究チームでは、周囲の環境を認知し、安全な走行を実現するための先進的なクルマのアーキテクチャーを研究する。一連の研究は、交通事故死の低減や、事故を予防するクルマの開発にも大きな役割を果たすと考えている」と述べた。SAIL所長のフェイフェイ・リ教授は「我々は、スタンフォード大学が誇る視覚情報処理および機械学習、大規模データ解析などの技術に基づいて、クルマが様々な状況下で物体や人の動きを認識、予測し、安全で適切な判断をするための技術に取り組んでいく」と語っている。また、トヨタは、米国国防総省の国防高等研究計画局が主催する災害救助用のロボット競技大の元プログラムマネージャーであるギル・プラット博士を招聘し、同博士の協力のもとクルマやロボットの知能化研究を強化していく。本連携研究センター設立には同博士も関わっており、両連携研究センターで今後実施する研究やその活用も博士の助言を得ながら推進していく。トヨタは、今後の産業技術の基盤を担う人工知能に関する研究開発をより一層強化し、本連携研究の成果は自動車やロボット、情報サービスなど将来の製品開発に幅広く応用していくとのこと。
2015年09月07日BI.GarageとUBICは9月7日、BI.Garageのソーシャルメディアマーケティングに関する知見と、 UBICが保有する人工知能技術を組み合わせ、人工知能を活用したSNSマーケティング支援サービスの提供に向け協業したことを発表した。サービスの第一弾として、BI.Garageが2009年より開発・提供しているTwitterアカウント運用支援ツール「Tweetmanager」に、UBICが開発した人工知能「バーチャルデータサイエンティスト(Virtual Data Scientist、以下VDS)」およびVDS関連技術との連携機能を追加する。VDSがTwitter上に投稿される大量のテキストを短時間で解析し、その結果から導かれるユーザーの属性情報などをマーケティング戦略に取り入れることで、Tweetmanagerの利用企業はより効果的な施策を実施することが可能となる。両社は今後、連携をより一層深め、Twitter運用を行ううえでリスクになる可能性のあるツイートを自動監査し通知するシステムの開発を進めるなど、ソーシャルメディア領域でのサービス展開を継続して推進していくという。
2015年09月07日トヨタ自動車は9月4日、米国マサチューセッツ工科大学のコンピュータ科学・人工知能研究所(Computer Science and Artificial Intelligence Laboratory:CSAIL)およびスタンフォード大学のスタンフォード人工知能研究所(Stanford Artificial Intelligence Laboratory:SAIL)と、人工知能に関する研究で連携することに合意したと発表した。両連携研究センターでは、クルマやロボットへの応用を目指し、「さまざまな環境における物体の認識」「高度な状況判断」「人と機械との安全な相互協調」などを実現するための研究を推進する。同社は、DARPA Robotics Challenge(米国国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)が主催する災害救助用のロボット競技大会)の元プログラムマネージャーであるギル・プラット(Gill A. Pratt)博士を招聘し、同博士の協力の下、クルマやロボットの知能化研究を強化していく。連携研究センター設立には同博士も関わっており、両連携研究センターで今後実施する研究やその活用も博士の助言を得ながら推進していく。
2015年09月07日トヨタ自動車(トヨタ)は9月4日、米マサチューセッツ工科大学(MIT)のコンピュータ科学・人工知能研究所(CSAIL)およびスタンフォード大学のスタンフォード人工知能研究所(SAIL)と、人工知能に関する研究で連携していくことに合意したと発表した。今後5年間でトヨタは、合計約5000万ドル(約60億円)の予算を投じ、CSAILおよびSAILそれぞれと連携研究センターを設立する。両連携研究センターでは、クルマやロボットへの応用を目指し、「さまざまな環境における物体の認識」「高度な状況判断」「人と機械との安全な相互協調」といった技術の研究を推進するとしている。また、トヨタはDARPA Robotics Challengeの元プログラムマネージャーであるギル・プラット博士を招聘し、同博士の協力のもとクルマやロボットの知能化研究に取り組んでいく。両連携研究センターで今後実施する研究やその活用もプラット博士の助言を得ながら進めていくこととなる。今回の連携研究に関し、トヨタは「今回の連携では、クルマに留まらず、お客様の暮らし全般をより良いものにすることを目標に、研究に取り組んでいく。人工知能研究の最先端を走る米国のトップ2大学および、プラット博士との協力のもと、これまでにない新たなテーマに挑戦し、トヨタの研究開発を大きく飛躍させていきたい」とコメントしている。
2015年09月07日伊勢丹新宿店では、9月16日より、カラフル・ボード株式会社が提供する人工知能を使ったファッションアプリ「SENSY(センシー)」を活用した“人工知能接客サービス”を開始する。同店内では、このプロジェクトの一環で、8月26日から「SENSY」のプロモーションビデオを放映している。「SENSY」とは、慶応義塾大学と千葉大学との共同開発でリリースされた人工知能が搭載された無料のファッションアプリ。同アプリ内にインプットされている提携ブランドの服を、ユーザーが“好き”“嫌い”で分類していくことで、人工知能がファッションセンスを学習し、好みにマッチした商品を提案してくれる。同アプリと提携しているファッションブランドは、2,500以上で、モデルやスタイリストなど、有名人のファッションセンスも手に入れることができる「センスリンク機能」も搭載。選んだ商品を実際に購入できるECサイトへアクセスすることもできる。“人工知能接客サービス”は、自身のスマートフォン等や店頭販売員がタブレット端末にインストールされた「SENSY」を使って接客するサービスで、「SENSY」が来店客の好みを解析、よりパーソナルなアイテム提案を行うというもの。同店担当者によれば、「将来的には、『SENSY』をヒト型ロボットやデジタルサイネージにインストールさせ、“人工知能に相談しながら買い物する”という新しいショッピングの形を実現したい」と話す。現在、同店本館2階ウエストパーク、同店メンズ館インターナショナルクリエーターでは、「SENSY」のプロモーションビデオを放映している。9月16日からは、メンズ館1階プロモーションスペースで、実際に「SENSY」を体験できるサービスを実施する。この際は、「SENSY」と連動するブランドは30を超え、雑誌『SENSE(センス)』との連動企画も用意している。10月28日からは、メンズ館2階、6階、7階の商品を中心に、コーディネート提案できるサービスを開始予定。またレディスフロアでも、9月16日から雑誌『SPUR(シュプール)』と「SENSY」が連動した企画「SPUR MUSEUM~モードの頭のなか展~」も実施するという。
2015年09月03日みずほ情報総研とみずほ銀行は8月28日、共同で実施したIoTと人工知能に関する産業・社会の動向調査の結果として、「みずほ産業調査『IoT(Internet of Things)の現状と展望 -IoTと人工知能に関する調査を踏まえて-』」を刊行した。同レポートは、みずほ銀行のWebサイトからダウンロード可能。両社は、今後あらゆる産業・企業に大きな可能性とインパクトをもたらすと想定されるというIoTを中心に、国内外の産業・企業動向の他、先進的なテクノロジーの進展・活用動向などに関する調査を実施。その結果を受けて、未来の産業やライフスタイルの姿を示したレポートを「みずほ産業調査」として共同でまとめた。同レポートでは、まずIoTの全体動向としてIoTの概念整理から始め、昨今の市場動向や国内外の産業・企業動向などを示した上で、普及に向けた課題や日本企業におけるIoTへの取り組みの方向性についての示唆を提示した。次に、IoTの応用分野として移動・物流、生活・くらし、ものづくりを取り上げ、IoTが実際に社会の中でどのように実現するのか、IoTによって社会がどのように変わるのかといった点について、最新の活用事例を含めて紹介している。また、IoTを支える基盤に着目して人工知能とセキュリティの動向を解説している他、IoTに関連する最前線の領域で活躍する有識者へのインタビューを通じて、IoT時代を切り拓く人材の姿を示した。同レポートはPDF形式であり、表紙・裏表紙を含め全174ページ。
2015年08月31日みずほ情報総研とみずほ銀行は28日、IoT(※)と人工知能に関する産業・社会の動向調査を行い、このたび「みずほ産業調査『IoT(Internet of Things)の現状と展望 ―IoTと人工知能に関する調査を踏まえて―』」として共同で刊行したと発表した。なお、同調査レポートは、みずほ銀行のホームページよりダウンロードできる。(※)レポートでは、"モノ、ヒト、サービスの全てを包括したインターネット化による価値創造"と定義。○日本でも重要施策の一つとしてIoTへの取り組みが掲げられている近年、モノとインターネットの融合により新たな付加価値を創造するIoTへの注目が高まっているという。米国や欧州を中心に、さまざまな産業や企業において、IoTを戦略に掲げた取り組みが進められていることがその背景にあり、日本でも、6月30日に閣議決定された「『日本再興戦略』改訂2015 ―未来への投資・生産性革命―」に、重要施策の一つとしてIoTへの取り組みが掲げられている。また、ソーシャルコンピューティングの普及やビッグデータ活用の本格化、人工知能やロボットの高度化など、テクノロジーは加速度的に進化を続けており、注目すべき新たな取り組みも次々と登場してきているという。このような新たなテクノロジーの登場・進化とその普及・進展は、産業構造や企業の競争環境の変革にとどまらず、個人のライフスタイル等も含めた社会全体に大きな影響を及ぼすものと考えられるとしている。こうした大きな変革の波の中で、テクノロジーの動向と、テクノロジーがもたらす産業・社会への影響を把握しておくことは、企業が戦略や経営の方向性を決定する上でますます重要だという。こうした観点から、みずほ情報総研とみずほ銀行では、今後、あらゆる産業・企業に大きな可能性とインパクトをもたらすことが想定されるIoTを中心に、国内外の産業・企業動向のほか、先進的なテクノロジーの進展・活用動向等に関する調査を行い、未来の産業やライフスタイルの姿を示したレポートを「みずほ産業調査」として共同でまとめたとしている。同調査レポートでは、まず、IoTの全体動向として、IoTの概念整理から始め、昨今の市場動向や国内外の産業・企業動向等を示したうえで、普及に向けた課題、日本企業におけるIoTへの取り組みの方向性についての示唆を提示。次に、IoTの応用分野として、移動・物流、生活・くらし、ものづくりを取り上げ、IoT が実際に社会の中でどのように実現するのか、IoTによって社会がどのように変わるのかといった点について、最新の活用事例を含めて紹介している。また、IoTを支える基盤に着目し、人工知能とセキュリティの動向を解説しているほか、IoTに関連する最前線の領域で活躍する有識者へのインタビューを通じて、IoT時代を切り拓く人材の姿を示したという。みずほ情報総研とみずほ銀行は、我が国の産業の発展と、顧客の企業価値向上に貢献するために、今後も協力して取り組んでいくとしている。
2015年08月31日CYBERDYNEとPEZY Computingは8月24日、CYBERDYNEのロボットスーツHAL向けに適用可能な小脳処理機能と学習型汎用AI(人工知能)の共同開発を目的とした業務提携を前提とする資本提携を行ったと発表した。発表によれば、CYBERDYNEは7月10日にPEZY Computingに対し出資を行っており、今後HAL向けの小脳処理機能を含む信号処理技術および小脳機能を実装したプロセッサの共同開発を行っていく。PEZY Computingが2012年に開発したMIMD型では世界最大規模となる1024コアのメニーコアプロセッサ「PEZY-SC」は、現在の並列処理コンピューティングの主流であるSIMD型と比較して、同時に多種多様な演算処理を多並列に行え、柔軟な処理が可能となることから、運動と姿勢制御に大きな役割を果たす高性能な小脳機能の高度な実現が期待されるほか、高い省電力性により、バッテリー駆動を前提とするロボットスーツへの適用が見込まれている。HALには現時点でも複雑な信号処理技術が導入されているが、人間の小脳と同等以上の信号処理性能、反応速度および適応能力を有した小脳機能が実装されることで、利用者の身体機能や外乱に高速に適応する能力が向上し、より高度な使用と安全な運用が可能になると期待されている。これにより、HALを装着した利用者の小脳機能や医師の指示に従う知能を備えた学習型HALが実現できたり、職場や生活環境で安全かつ柔軟に機能する学習型汎用AIを備えたさまざまなロボットの実現につながっていくとしている。
2015年08月24日NECは8月20日、自動でデータの傾向を学習する人工知能ソフトウェア「NEC Advanced Analytics - RAPID機械学習 V1.1」を発売すると発表した。同製品は、高精度な画像認識やデータ関連性の分析を行うディープラーニング技術を搭載しており、事前に手本となるデータを読み込むことで、自動で傾向を学習する。カメラ画像からの不審者の自動検出などが可能となる「画像解析版」と、求職者の適性にあった求人企業の紹介など効果的なマッチングを実現する「人材マッチング版」という2種類のほか、検証評価用の短期ライセンスとして「検証評価版」が用意された。また、メモリに読み込むデータ量を圧縮することで、省リソースで高速処理を実現し、サーバ1台から導入することができるという。初年度年間利用料は「画像解析版」が530万円~(税別)、「人材マッチング版」が560万円~(税別)。「検証評価版」は1カ月間利用料が110万円~(税別)と設定されており、いずれも8月21日の出荷開始を予定している。
2015年08月21日データセクションは8月20日、人工知能(ディープ・ラーニング)を活用した「Web画像フィルタリングサービス」の提供を開始した。利用料金は月額10万円(税別)~となる。同サービスはAPI経由で提供され、Web上に多数存在する画像を自動判定し、ジャンル分類を行う。例えば、裸や事件などの不適切画像を自動で判定することで、自社メディアや掲示板、SNSなどに不適切な画像が投稿された場合でも、掲載前に自動で除外可能となる。また、学習データ(顧客が保有している画像判定したいデータ)を用意することで企業ごとのカスタマイズが可能になり、顧客ニーズに沿ったサービス提供を実現する。これにより、さまざまな画像の中から、性的・官能的な画像や凄惨な画像といった不適切画像を高精度かつ低コストで判定可能となる。同社は今後、さらなる高精度化を図るほか、動画・音声領域への展開や広告などのリコメンド領域での活用を目指す。また、同技術を利用するサービス展開にも取り組んでいく意向だ。
2015年08月21日篠崎愛らが所属する芸能事務所シャイニングウィルとクラウドファンディングサイト「GREENFUNDING by T-SITE」を運営するワンモアは、篠崎愛の人工知能(AI)をつくることでアイドルの活躍の幅を拡大していく実験プロジェクト「篠崎AIプロジェクト」をスタートした。同プロジェクトは、篠崎愛の人工知能(AI)をつくり、アイドルの活躍の幅を拡大していく実験プロジェクト。動機として、シャイニングウィルの担当者は「タレントの消費のスピードが早い」ことを挙げ、大切なタレントが「消費される存在」ではなく「一生残る存在」となることをめざすという。また、同プロジェクトでは、オルツの人工知能「al+(オルツ)」の技術を使用。「篠崎AI」は、本人の代わりにファンと24時間いつでも対話する、街中の電子案内板などの社会インフラに入るなどの展開を想定しているが、今回のクラウドファンディングでは、第一歩として、「最低限、対話できるスタートモデル」の開発を目標とする。支援額に応じたリターンが設けられており、その中には「『篠崎AI』に初期登録される会話パターンの「投げかけ・質問」項目を考えられる権利」や「篠崎愛と篠崎AIの対談イベント」への招待のほか、「"篠崎愛との焼き肉食事会"で一緒に焼き肉を食べながら会話できる権利」などが挙げられている。
2015年08月20日オルツは8月19日、電通と共同で、人工知能による芸能人のデジタル人格クローン生成の共同プロジェクトを立ち上げることを発表した。同社の開発する人工知能「al+ (オルツ)」は、個人やその集合体のライフログデータなどを分析することで個人の人格をクラウド上に再構築するパーソナル人工知能だ。ユーザーが普段利用するさまざまなSNSやアプリケーションと連携することで、自動的にユーザーの思考を学習し、アプリケーション上にて仮想的に、ユーザーの人格コピーを生成することができる。同社によると、今後、同技術を搭載したアプリの提供を行うという。時期は未定で、まずはiOSからスタートし、順次Androidへも対応する予定となる。また、今回発表された電通との共同プロジェクトでは、コミュニケーションエンターテインメントコンテンツの提供を目的とし、芸能人のデジタル人格クローンの共同開発を行っていく。その第一弾として、アイドルの篠崎愛を人工知能上に再現するという。なお、同サービスの提供時期は発表されていない。(2015年8月19日時点)
2015年08月19日LINEは8月7日、日本マイクロソフトが開発・提供する人工知能「りんな」を活用した、人工知能(AI)型のLINE公式アカウントを提供すると発表した。LINEの企業向けAPIソリューション「LINE ビジネスコネクト」を利用している。LINEは2012年6月より企業向けにLINE公式アカウントの提供を開始し、これまで国内外で300を超える企業やブランドに導入されているという。また、2014年2月にはLINE公式アカウントの各種機能を企業向けにAPIで提供し、各企業がカスタマイズして開発・提供できる「LINE ビジネスコネクト」を発表。従来のLINEユーザーへの一方通行のメッセージ配信のみならず、特定のユーザーに対してより最適化されたメッセージ配信や双方向コミュニケーションなどを可能にしている。今回、提供を開始する人工知能(AI)型のLINE公式アカウントは、LINEの企業向けAPIソリューション「LINE ビジネスコネクト」と日本マイクロソフトが開発・提供する人工知能「りんな」の会話エンジン技術を活用し、企業向けの新たなマーケティングソリューションとして提供するもの。このサービスの導入により、企業は、LINE公式アカウントでの個々のユーザーとの会話内容をもとに、おすすめの商品や必要な情報を提供したり、ユーザーからのさまざまな問い合わせに対し、的確にLINE上で対応しつつ、オペレーターの人的コストを削減したりといったことができるようになり、新たなCRM/マーケティング・ツールとして、LINE公式アカウントを有効に活用できるという。なお、企業での導入に先駆け、日本マイクロソフトのLINE公式アカウント「りんな」(LINE ID:@ms_rinna)を公開しているので、ユーザーは「りんな」と会話を楽しみ、企業は自社の導入検討の参考にすることができる。
2015年08月10日LINEは7日、企業向けAPIソリューション「LINE ビジネスコネクト」と日本マイクロソフトが開発・提供する人工知能「りんな」を活用した、人工知能(AI)型のLINE公式アカウントを企業向けに提供すると発表した。新たに提供される人工知能(AI)型のLINE公式アカウントは、企業向けの新たなマーケティングソリューションとして提供されるもの。「LINE ビジネスコネクト パートナープログラム」認定の公式パートナーであるデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム、トランスコスモスを通じ「LINE ビジネス」対応ソリューションのひとつとして「りんな API for Business」を提供、企業のLINE公式アカウントに実装することで導入可能となる。同サービスを導入することで、企業は、LINE 公式アカウントでの個々のユーザーとの会話内容を元に、おすすめの商品や必要な必要な情報を提供したり、ユーザーからの問い合わせに対し、的確にLINE上で対応しつつ、オペーレーターの人的コストを削減したりなど、新たなCRM/マーケティングツールとして、LINE公式アカウントを活用できるとしている。
2015年08月08日LINEは7日、日本マイクロソフトと連携し、人工知能「りんな」を活用した人工知能型のLINE公式アカウントを、企業向けに提供することを発表した。「りんな」は日本マイクロソフトが開発した"女子高生AI"。7月末頃から、この技術を使ったLINE公式アカウント「りんな」が公開されており、SNSを中心に話題になっていた。「りんな」では、Bing検索エンジンで培ったディープラーニング技術と、機械学習のクラウドサービス「Azure Machine Learning」を組み合わせた会話エンジン技術を活用。LINE上でメッセージを送ると自動で返信があり、会話を楽しめる。今回、企業向けの新たなマーケティングソリューションとして、「りんな」の会話エンジン技術を利用した「りんな API for Business」と企業向けAPI「LINE ビジネスコネクト」を組み合わせた、LINE公式アカウントサービスを提供。導入することで、特定のユーザーに対して、より最適化されたメッセージ配信や双方向コミュニケーションを提供できる。ユーザーの会話内容をもとにしたおすすめ商品や必要な情報の提供など、マーケティングツールとしての利用や、オペレーターの人的コスト削減のための問い合わせ対応といった用途があるという。
2015年08月07日KDDIは8月6日、グローバル・ブレインが運営するコーポレート・ベンチャー・ファンド「KDDI Open Innovation Fund」を通じて、ファミリー向け知能ロボット「Jibo(ジーボ)」を開発する米国拠点の企業Jibo,Inc.に対し出資を行ったと発表した。Jiboは人間とのコミュニケーションを焦点とし、抽象的な型でありながら豊かな動作表現力を持つ、ファミリー向けの知能ロボット。マサチューセッツ工科大学メディアラボで、パーソナルロボット研究グループを率いるシンシア・ブリジール准教授が創業者として開発している。KDDIはこれを、ロボティクス市場における有望なスタートアップ企業であると判断し、資本提携を決定した。KDDIは同出資を通じ、Jiboが日本に進出する際はビジネス開発、マーケティング、ローカライズなどの幅広い支援を行うとともに、Jiboを中心とした、家族とモノの新しいコミュニケーションが生まれる世界を顧客に提案する。Jiboに対しては、電通ベンチャーズも出資している。携帯キャリアによるロボットへの取り組みとしては、ソフトバンクロボティクスが自社開発として「Pepper」の一般販売を開始、2カ月連続で1000台が1分で完売しているほか、NTTドコモも、しゃべってコンシェルの技術を活用した「OHaNAS」をタカラトミーと共同開発している。
2015年08月07日KDDIは6日、グローバル・ブレイン運営のコーポレート・ベンチャー・ファンド「KDDI Open Innovation Fund」を通じて、ファミリー向け知能ロボット"Jibo(ジーボ)"を開発する米国拠点の企業「Jibo」に出資したと発表した。出資額は明らかにされていない。Jiboは「顔認識」「写真撮影」「物語の読み聞かせ」「メッセージやスケジュールの読み上げ」「テレビ電話」の5機能がデフォルトで搭載予定のファミリー向け知能ロボット。開発者はSDKを通じてJiboの機能拡張が行える。Jiboはマサチューセッツ工科大学メディアラボで、パーソナルロボット研究グループを率いるシンシア・ブリジール准教授が創業者として開発。サービス用ロボット市場の拡大が見込まれ、ロボットと同名の企業Jiboはロボティクス市場における有望なスタートアップ企業であると判断され、今回の資本提携に至った。KDDIは今回の出資を通じて、Jiboが日本進出の際に、ビジネス開発、マーケティング、ローカライズなどの支援を行っていく予定。また、Jiboを中心としたサービスを提供していく。
2015年08月06日●Googleの人工知能とは異なる性格日本IBMは30日、同社のコグニティブコンピューティングプラットホーム「ワトソン(Watson)」の開発状況について報道機関向けの説明会を開催した。ワトソンは、名前は見かけるが、内容については正しく理解されているとは言い難い。IBMが目指す第3世代コンピューティングシステムの現状と未来についてレポートしよう。○スタートはクイズ番組ワトソンは元々、コンピュータが自然言語で投げかけられた質問に対し、文脈を含めた質問の意図を理解し、回答する「質問回答システム」としてスタートしたプロジェクトだ。2011年にはコンピュータが学習能力のみで米国のクイズ番組「ジェパディ!」に答えられるのか、という企画が行われ、百科事典など書籍約100万冊分のテキストデータを学習したワトソンが人間と対決して勝利を収めている。この対決ののち、ワトソンは一般デベロッパー向けにも提供を開始している。IBMはワトソンを、自然言語を理解し、人間の意思決定を支援するための「コグニティブ・コンピューティング・システム」と呼んでいる。「コグニティブ」とは「認知」という意味の単語で、コンピュータが言語を認識し、文脈等を類推して学習を重ねていくアプローチのシステムだ。IBMはこのコグニティブ・コンピューティングこそが、コンピュータにおける第3世代のコンピューティングであると定義している。第1世代はデータを入力して単純な演算結果を得られた、初期のコンピュータ。第2世代が現在我々が使っているような、プログラム(アプリケーション)によってさまざまな汎用的な処理を行えるようになった状態だ。そして第3世代では、プログラムを用意しなくてもコンピュータが自分で収集した情報からさまざまに類推し、学習を深めていき、人間がコンピュータの助けによって専門知識を拡張したり、知識や技能の習得を早められるようになる。コンピュータやインターネットの登場(いわゆる情報革命)により、現代は、人間がひとりで処理するにはあまりに膨大なデータが溢れている状況だ。たとえばSNSから得られる非構造化データと、センサー類から得られるデータをそれぞれ相関性を持った形で処理する必要があるが、今のツールではそうしたことができない。ワトソンはまさに、そうした独立したデータ同士を分析し、意味のあるものに変換するためのツールなわけだ。○個性の異なるさまざまなワトソンワトソン自体は、IBMのサーバー上に構築されたLinux上で動作するソフトウェアだ。用途によってクラウドで提供されることも、ハードウェア込みのシステムで提供されることもあるが、例えば医療向けとサポート向けにまったく同じシステムが提供されるわけではない。ワトソンは各分野ごとに最適化するよう、取得するデータの重み付けや分析する言葉の傾向、出力内容などといったアルゴリズムを変更することができ、それが20以上のAPIのパッケージとなって提供されている。つまり、目的によって様々な個性を持ったワトソンたちがいることになる(ちなみに、ワトソンは物理的にも複数存在する)。それぞれのワトソンが蓄積した学習結果は、ひとまとめにされることはなく、個々のシステムとして育っていく。この点は、巨大なサーバーファームの中で世界中のデータを喰らって巨大化していく印象のある、Googleの人工知能とは性格を異にした存在だと言えるだろう。●ロボット店員の登場も近い!?○どう使われているのか基本的に、ワトソンの機能は「データを与えて学習させ、質問を投げかけるとデータから答えを類推して回答を導き出す」ことだ。質問の入力として自然言語を認識でき、データソースとしてはテキストだけでなく、画像や音声、動画、MRIやレントゲンからの入力なども加えられているという。ワトソンでは莫大なデータを人間では不可能な速度で解析し、最適な対応を導き出せるため、たとえば投資分野においては、アナリストなどから毎日発行される数千以上ものレポートを検証し、次に投資するべきターゲットの候補をピックアップする、といったことも実現できる。もっとも、これだけであれば、ちょっと気の利いた検索機能と大差ないように思えるが、ワトソンでは莫大なデータから、ワトソン自体が類推して「発見」または「発明」と呼べるような新しい回答を導き出せる点が異なる。現象としては、人間がふとしたことから思いつく「発想」に近い。たとえばその一例として、料理誌「ボナペティ」と共同で、ワトソンに化学や文化、食品に含まれる成分などの情報を与えることで、新しいレシピを考案する「シェフ・ワトソンwithボナペティ」という試みが行われ、実際にまったく新しいレシピも考案された。これは、単なる検索ではできない機能だ。また、医療分野ではiPhoneで肌を撮影した画像をワトソンが解析・学習し、メラノーマ(悪性黒色腫)とそうでない皮膚を見分けるシステムが構築されている。診断率が高くなれば、医療機関に通わなくても自己診断が可能になるし、専門家でなくとも早期に異常を発見して治療に結びつけることもできるようになるわけだ。また、現在は教育分野においてもコグニティブ・コンピューティングを役立てようと開発が進められているという。特定の問題をかかえる生徒に対し、教師が対応するためのアシスタント的な役割を果たすという。米国ではワトソンを使った「CogniToys」というおもちゃが登場している。このワニのおもちゃに話しかけると、無線経由でインターネットに接続し、ワトソンがバックボーンで処理をして子供からの質問に答える。子供の年齢や好みを理解して会話のレベルを変えることもできる。また、ワトソンをソフトバンクの「Pepper」のバックボーンとして動作させるデモでは、ヤマダ電機の店員として、客と4Kテレビの商談を自然な日本語で行う様子が公開された。ロボット店員というのもまるでSFのような話だが、すでに実現まであと一歩というところまで来ているようだ。●1年間で4年間分の進化をするワトソン○Watson Yearの1年は実世界の4年分ワトソンのロードマップについての質問があったときに、IBM Watson事業シニア・バイス・プレジデントのマイク・ローディン氏の口から、興味深い言葉がでた。ワトソンの開発チーム内では1四半期で通常の1年分の進歩があるという。つまり1ワトソン年=通常の4年分というわけだ。ローディン氏は、2013年にワトソンの事業をスタートさせたとき、2015年にどんなことができるかはさっぱりわからなかった。従って将来ワトソンがどうなっているかは、まったく予想ができないというのだ。通常の4倍もの速度で進化を続けるワトソンは、やがてさまざまな形で自然に人間の知的生産を支えるツールになるのだろう。ワトソン自体は前述したようにサーバー上に構築するシステムなので、クラウドと連携して動作する機会の多いスマートフォンとは相性がいい。将来は、たとえばニュースアグリゲーションサービスも、ワトソン経由で記事の内容までを加味して配信が行われるなど、まるで自分だけの秘書のように動作するワトソンサービスを多数使い分けるような時代もそう遠くはなさそうだ。日本においてはIBMはソフトバンクと共同でワトソンの日本語対応および日本の事業者への導入拡大を図っており、初期エコシステムのパートナーとして9社が発表されたほか、東大医科学研究所がワトソンを使ったがん研究を開始するなど、その一歩を踏み出したところだ。これまでの4倍の速度で進化していくワトソンを使い、日本ならではのサービスが生み出されるのか、期待したい。
2015年08月03日日本IBMは7月30日、東京大学医科学研究所(東大医科研)と日本IBMが「Watson Genomic Analytics」(ワトソン・ジェノミック・アナリティクス)を活用して先進医療を促進するための、新たながん研究を開始すると発表した。「Watson Genomic Analytics」の利用は、北米以外の医療研究機関では初だという。がん細胞のゲノムには数千から数十万の遺伝子変異が蓄積しており、それぞれのがん細胞の性質は変異の組み合わせによって異なっているという。そこで、がん細胞のゲノムに存在する遺伝子変異を網羅的に調べることで、その腫瘍特有の遺伝子変異に適した治療方法を見つけ、効果的な治療法を患者に提供することが可能となるという。インターネット上には、がん細胞のゲノムに存在する遺伝子変異と関連する研究論文や、臨床試験の情報など膨大な情報があり、東大医科研では、「Watson Genomic Analytics」の活用により、特定された遺伝子変異情報を医学論文や遺伝子関連のデータベース等の、構造化・非構造化データとして存在する膨大ながん治療法の知識体系と照らし合わせる。そして「Watson Genomic Analytics」は科学的に裏付けられたエビデンスと共に、有効である可能性を持った治療方法を提示するという。今回のがん研究では東大医科研が有するスーパーコンピュータ「Shirokane3」と、クラウド基盤で稼働する「Watson Genomic Analytics」が連携し 、研究を進めていくためのビッグデータ解析基盤とする。また、 将来的には臨床応用への可能性を検証していくという。
2015年07月30日日立製作所は7月22日、賛否が分かれる議題に対し、大量のテキストデータを解析し、肯定的もしくは否定的な意見の根拠や理由を英語で提示する技術を開発した。開発された技術は、意見を述べる際に人やコミュニティに重要と考えられる健康や経済、治安などの価値に着目し、世の中の事象とそれぞれの価値との相関関係を用いて、大量のニュース記事から、より確実性の高い根拠や理由を抽出。複数の価値を基準にすることで、1つの側面に偏ることのない根拠や理由を提示する。同技術は、人とコンピュータの論理的な対話を可能とする人工知能の実現に向けた基礎技術であり、将来、企業が持つ文書や公開されているレポート、病院の電子カルテなどを解析し、業務を支援するデータや意見を生成するシステムへの応用が期待されるという。具体的には、「賛否の根拠や理由を抽出するための基準となる価値体系辞書の作成」「大量のテキストデータから事象と価値の相関関係データベースの作成」「抽出した根拠や理由となる可能性のある文について確実性の算出」「多数のアルゴリズムを非同期かつ分散的に実行するアーキテクチャの構築」を行う。価値体系辞書の作成にあたっては、人やコミュニティが判断をくだす際の根本にある価値をリスト化するとともに、それらの価値と関係が深い単語をデータベースでの使用頻度に基づいて抽出し、価値に対してポジティブかネガティブかに振り分けた。さらに、使用頻度に応じて重要度を付与することで、価値とそれに関連する単語を体系的に整理し、例えば、「健康」という価値においては、「運動」はポジティブ、「病気」「肥満」はネガティブなどのように単語の関連性を体系的に整理している。事象と価値の相関関係データベースの作成にあたっては、大量のニュース記事の中で使用されているさまざまな文章の中から、記載されている事象がどのような価値をもたらしているかを抽出した。この手法により、約970万件のニュース記事から、約2億5千万からなる相関関係データベースを作成したという。そのほか、価値体系辞書と相関関係データベースを活用して抽出した文を、引用元の記載や数値データの有無、使われている表現などの指標を用いて数値化することで、議題に対して関連性の高いものであるかどうかを判定する。根拠や理由となる可能性のある全ての文にこの処理を行い、数値を算出することで、より確実性の高い文を選出し提示することができる。今回開発されたアーキテクチャは、1つのアルゴリズムを並列に分散処理するとともに、次のプロセスへの非同期な処理を行うことで、指定した時間内に根拠を抽出することができる。なお同技術は、東北大学(総長:里見進)大学院情報科学研究科の乾・岡崎研究室の協力を得て開発された。
2015年07月23日リクルートホールディングス(以下、リクルート)の人工知能(AI)の研究機関であるRecruit Institute of Technology(RIT)は7月16日、世界最大のデータサイエンティストコミュニティである「Kaggle」において、日本企業として初の共催となるデータ予測コンペティション「RECRUIT Challenge Coupon Purchase Prediction」を開催すると発表した。Kaggleは世界で最も大きなデータサイエンティストのコミュニティで、企業や研究者がデータを提供し、Kaggleコミュニティに所属する世界194カ国、30万人以上のデータサイエンティストや研究者が最適モデルを競い合うコンペティションの運営を行っている。コミュニティには、物理/生物/化学/経済/金融/数学/統計/コンピュータ科学などの幅広い領域の研究者が所属しており、Kaggle上で実施されるコンペに毎日2,500人以上が参加している。また、コミュニティのフォーラムでは新しい解析手法やアルゴリズム、分析のTipsなど毎日200以上の投稿がされており、データサイエンティストがスキルやナレッジを身につける学習の場にもなっている。リクルートは、2015年4月1日よりAI分野の研究所として新生RITをスタート。その取組みの一環として今回、Kaggleコミュニティに所属するグローバルのデータサイエンティストおよそ30万人と協働し、データ予測によるマッチングサービスの提供に挑戦していくという。その第一弾となる取組みとして、リクルートライフスタイルの運営する割引チケット共同購入サイト「ポンパレ」における購買データ(約1年分)をもとにした特定期間(1週間)におけるクーポン購買予測をテーマ に、9月末までの約2カ月半の間コンペを開催する。RECRUIT ChallengeのWebサイトより参加申込みが可能。対象者は、原則的に誰でも参加可能(※詳細の参加資格はkaggleの参加ページの要項に記載有)。7月16日 10:00~10月1日 8:59(日本時間)の期間開催される。賞金として、1位に3万ドル、2位に1万5,000ドル、3位に5,000ドルがKaggleより支払われる予定。
2015年07月17日LIPは14日、人工知能による入会審査をパスした大学生・大学院生のみが入会できるSNS「Lemon」のユーザーエントリー受付を開始した。利用料は無料。「Lemon」は、「30%以上の既存メンバーとの親和性がある」と人工知能に判定された場合のみ入会できるという、大学生・大学院生向けのSNS。アプリではなく、Webブラウザを介して利用できる。6月25日より、完全招待制でベータ版を運用開始しており、海外留学生、モデル、ライターなどの経歴を持つ大学生などが加入している。サービスには、親和性が高い相手を人工知能で検出し、毎日相互に紹介する「メンバー紹介機能」や、自由に書き込み・コメントができる掲示板「ボード機能」などがある。また、公式特別アカウントとして数名の難関企業ヘッドハンター、芸能プロダクション関係者が登録されており、メンバーに対しスカウトが届くこともあるという。サービス開始当初は、大学生・大学院生限定だが、今後は社会人のエントリーも可能になる予定だとしている。なお、審査方法に関する詳細は公開されていない。
2015年07月14日