2015年9月16日 12:00
イプシロン・ロケット、初打ち上げから2年 - そして「強化型」へ (2) 「2号機対応」と「高度化」から「強化型」へ
モバイル管制、人工知能、そして日本の固体ロケットの良き伝統——。さまざまな話題と共に、「イプシロン」ロケットの1号機が打ち上げられたのは、今からちょうど2年前の、2013年9月14日のことだった。大勢の人々に見守られながら、内之浦宇宙空間観測所を離昇したイプシロンは、搭載していた衛星「SPRINT-A」(のちに「ひさき」と命名)を無事に予定どおりの軌道に乗せ、華々しいデビューを飾った。
そして現在、この1号機より能力を高めた「強化型イプシロン」の開発が進んでいる。この「強化型」で、イプシロンはどのように変わるのだろうか。
連載の第1回では、イプシロンが先代のM-Vロケットからどう変わることを目指して開発されたのかについて紹介した。第2回となる今回は、いよいよ本題となる「強化型」でイプシロンはどう変わるのかということについて見ていきたい。
○あくまで試験機だった1号機
2010年から開発が始まり、その後わずか3年で開発された「イプシロン」は、こうして無事に初打ち上げを迎えた。
しかし、これでロケットとして完成したわけではなかった。
もともとJAXAでは、段階を踏んで開発し、徐々に当初の目標に近付けていくという方法を採っていた。