チャールズ・ディケンズの不朽の名作『二都物語』を基にしたミュージカルが、井上芳雄と浦井健治の出演で2013年夏に東京・帝国劇場にて上演される。『オリバー・ツイスト』『クリスマス・キャロル』などでも有名なイギリスの文豪チャールズ・ディケンズ。彼の書いた小説『二都物語』は、18世紀後半のフランス革命動乱期、ロンドンとパリの“二都”を舞台に、ひとりの女性をめぐるふたりの男性の悲劇的な恋と運命を描いたもの。この長編小説を原作に、脚本・作詞・作曲をジル・サントリエロが手がけミュージカル化した。2007年に米・フロリダで上演後、2008年にブロードウェイで公演が行われ、来夏、日本での初演が決定。なお、日本では宝塚歌劇団が過去『二都物語』を舞台化しているが、これとは別の作品となる。井上はシドニー・カートン役を、浦井はチャールズ・ダーネー役を演じる。演出は鵜山仁が担当する。公演は2013年7月18日(木)から8月26日(月)まで東京・帝国劇場にて上演。チケットは2013年春に発売予定。
2012年07月30日井上芳雄が主演するミュージカル『ルドルフ ザ・ラスト・キス』の製作発表が3月29日、都内にて行われた。登壇者は井上のほか、共演の和音美桜、一路真輝、村井国夫、演出のデヴィッド・ルヴォー。『ルドルフ ザ・ラスト・キス』チケット情報はこちら物語は1889年に起きたオーストリア・ハプスブルク家の皇太子ルドルフと男爵令嬢マリー・ヴェッツェラの心中事件、通称“マイヤーリンク事件”に材を取り、父である皇帝と政治的に対立していくルドルフの信念や、マリーとの許されざる恋を描くもの。日本では2008年に井上芳雄主演、宮本亜門演出で初演されたが、今回は主演の井上はそのままに、演出に英国出身のデヴィッド・ルヴォーを迎え、彼が2009年にウィーンにて上演した版をベースに装い新たに再登場する。世界を活躍の場にしながら日本でも数々の舞台を作っているルヴォーは「3年半ぶりに日本で演出することができて嬉しい」と話し、「私はもともと演劇畑の人間なので、ミュージカルをやるにあたっても人物の成長、劇的な構造というのを強調したい。キャストはみんな本当にぴったり。特にルドルフは井上さんでなければ今回の舞台は残念な結果になっていたと思う(笑)」とみどころと期待を語る。井上は20歳の時のデビュー作『エリザベート』でも皇太子ルドルフを演じており、「自分のデビューだった役がタイトルロールになる作品があって、それを自分が演じさせていただける。なんてすごいことだろうと初演の時にも思ったのですが、さらに再演が出来るとは。自分はルドルフの生まれ変わりなんじゃないかというくらい(笑)、縁があるなと思います」と感慨もひとしお。さらに「実際に僕もルヴォー版をウィーンで観てすごく面白くて、いつかルヴォーさんの演出を受けたいと思っていたのが実現した。世界中のミュージカル俳優に自慢したい!」と喜びを口にする。また相手役となるマリーに扮する和音美桜とはミュージカル『三銃士』でも恋人役を演じており、「声の相性もいいし、和音さんがこちらを感じてそれに沿ってくれる“吸い付く感じ”がする」と相性のよさを語る。その和音も「井上さんはとても芯のある声で、いつも引っ張ってくださる。新しい挑戦が多い役ですがプレッシャーに負けないように頑張りたい」と意気込みを話した。また父皇帝であるフランツ役の村井国夫は「ルヴォーの演出を受けるのは23年ぶり。23年間声がかからなかったってことは、たいした役者じゃないと思われていたのかな(笑)」と会場を笑わせ、「でもデヴィッドの素晴らしさを良く知っているのでどうしてもやりたいと志願しました」と自ら出演志願したことを明かした。さらにマリーの友人・ラリッシュ伯爵夫人役の一路真輝は「帝国劇場に7年ぶりに出演させていただくのが、私の大事な『エリザベート』(一路が主演したミュージカル。役柄的にはルドルフの母親にあたる)に縁のあるウィーンを舞台にした作品で嬉しい。楽しみに演じさせていただきます」と語っていた。公演は7月5日(木)から29日(日)まで、東京・帝国劇場にて。チケットは4月21日(土)に一般発売開始。
2012年03月29日井上芳雄が主演するミュージカル『ハムレット』が2月1日、東京・シアタークリエで開幕した。ミュージカル『ハムレット』公演情報はこちら世界中で上演されているシェイクスピア悲劇だが、今回上演されているのは1999年にチェコ・プラハで初演された作品。日本では珍しい“チェコ・ミュージカル”だが、チェコで最も有名なミュージシャンのひとり、ヤネック・レデツキーが生み出した本作は、これまでにブロードウェイや韓国でも上演されており、世界的にも注目度が高まっている。物語は、デンマーク王家を舞台に、王子ハムレットが父を殺し王座と母を奪った叔父に復讐を果たす――という、基本的には原作に忠実なもの。だが、物語の展開よりも登場人物の感情に重きを置き、ギュッと凝縮されたスピーディな展開に。そしてエレキギターのサウンドが印象的なロックナンバーや軽快なポップスなど、多彩な音楽が斬新で、新鮮な『ハムレット』になっている。栗山民也の演出も、城壁を思わせる高さのある壁を一面に配したセットの中、陰影を効果的に使いドラマチックに仕上げた。タイトルロールの井上はこれまでも“王子”的役柄を数多く演じてきており、その意味で彼にとって王道の役かと思ったが、意外にも今までにない新鮮さをもってハムレットを演じている。嘆き、憎しみなど強い“負”の感情を爆発させるハムレットは激しく生々しく、だが目が離せない魅力を放つ。その井上ハムレットを取り囲むメンバーも強力だ。美しく気品あり、そして愚かさも持つ王妃ガートルードを演じる涼風真世はこれ以上ないほどのハマリ役。敵役のクローディアスの村井國夫の重厚さや、ヒロイン・オフィーリア役の昆夏美の透明感、妹オフィーリアへ温かい愛情を注ぐレアティーズ役の伊礼彼方など、それぞれが納得の存在感だ。またハムレットの親友ホレーショー役の成河(ソンハ)の爽やかさ、時にコミカルな演技で作品のガス抜きもするポローニアス役の山路和弘らも印象的。この大劇場常連のキャスト陣が揃い、600席強のコンパクトな劇場で見せる熱演は圧巻だ。公演は2月22日(水)まで同所にて。その後2月25日(土)から28日(火)まで大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ、3月3日(土)・4日(日)に愛知・中日劇場でも上演される。チケットは発売中。
2012年02月02日先日亡くなった原田芳雄さんの最後の主演作『大鹿村騒動記』のヒット御礼舞台挨拶が8月8日(月)に都内劇場で開催され、阪本順治監督をはじめ大楠道代、松たか子、佐藤浩市、石橋蓮司が登壇。原田さんを偲ぶと共に撮影の日々をふり返った。長野県の山間の村で、300年もの村歌舞伎の伝統を持つ大鹿村を舞台に村人たちの悲喜こもごもを描いた本作。原田さんが自ら阪本監督に提案する形で製作され、先日の公開直後、原田さんは急逝した。この日の舞台挨拶は阪本監督からの是非にという声もあって実現。監督自らが司会進行を務める手作り感たっぷりの舞台挨拶で、劇中、村役場の職員を演じた松さんが役柄そのままに撮影、録音の禁止などの注意事項を読み上げた。大楠さんは「公開と同時に悲しい、悲しいことに遭遇しました。心の晴れない日々が続いていましたが、こうしてヒットを原田さんに報告できることを嬉しく思います」と挨拶。佐藤さんは「ベテラン勢の軽妙な演技に阪本監督の奇抜さのない王道演出。安心して楽しめる映画を遺して、芳雄さんはあちらに逝かれたんだなと思います」としみじみと語った。松さんも撮影をふり返り「夢のような数か月でした」。そして原田さんの“盟友”石橋さんは「原田芳雄も大変喜んでいると思います。普段、(撮影中に)役者同士は付き合いはないものですが、この作品はいつも一緒に顔を合わせていて、映画の中の村人たちのようでした。佐藤浩市がいま、どんな仕事してるのか?失敗しやしないか?とか気になったり(笑)。これも精神的“村長”原田芳雄のおかげです」と思いを語った。阪本監督は「いま芳雄さんがもしここにいらして、『ご気分は?』と尋ねたら映画の中のセリフのように『あれ?』って言うんじゃないかと。肉体は失われても、精神やその人の言葉は失われるとは思いません。きっとそのへんをピョンピョンしてる」と語りかけた。キャスト陣は阪本監督に尋ねられるままに撮影時の思い出話を披露。大楠さんが松さんにビンタするシーンについて、思い切ってビンタした後の松さんの表情について大楠さんが「ポカーンとした顔がかわいかった」と言えば、松さんは「痛いとか考える余裕もなくスコーンと入って気持ちよかった」と笑顔を見せた。また佐藤さんにとって本作が40代最後の作品となったが、佐藤さんは「(松さんへの)『好きだからだよ』というのが、40代最後のセリフになりました。これでいいんだなと言い聞かせて思いの丈をぶつけようと思ったら、テストの段階で監督が飽きちゃって『違う言い方を』と言われました」と明かす。その結果、どんな言い回しになったのかはぜひ劇場で確認を!村の歌舞伎のシーンでは、松さんは歌舞伎を演じる石橋さんたちの世話をしていたそうだが、そんな松さんを石橋さんは村のボランティアと勘違い。「待ってる時間が長かったんですが、『今回は本当に世話になってね』とか『女優になりてぇんだろ?東京に連れてってやろうか?』と言われました」と暴露し、会場は笑いに包まれた。阪本監督は、「以前、ある飲み屋である俳優と殴り合いの喧嘩になったことがあって、原田さんが間に入って止めてくれました。原田さんの家でも別の俳優に喧嘩売って、拳を合わせてるところを止めてもらったことがありまして、一体、何をさせてたんでしょう…(苦笑)」と泣き笑いのような表情で原田さんとの思い出を披露した。ちなみに「飲み屋で喧嘩になった俳優はもちろん、この壇上にはおりません!」と言明したが、すると佐藤さんがとぼけたような顔を見せつつ苦笑い。阪本監督と佐藤さん、原田さんの深い絆が見え隠れするエピソードに会場は温かい笑いに包まれた。最後の写真撮影で大楠さんは、劇中で原田さんがずっと被っていたテンガロンハットを手に写真に収まり「帽子の主も今日、来ていて『ありがとう』と言っています」と語った。阪本監督は故・忌野清志郎による主題歌「太陽の当たる場所」の中の「この運命に甘いキスを送ろう」という一節を挙げ「みなさんで甘いキスを送ってください」と呼びかけ、舞台挨拶は幕を閉じた。舞台挨拶が行われた東京・銀座の丸の内TOEIでは、当初の3週間の上映の予定をさらに2週間延長。全国でも97館での上映から170館以上に拡大。昨日8月7日(日)時点で15万人を動員し、興行収入1.5億円のヒットとなっている。『大鹿村騒動記』は全国にて公開中。■関連作品:大鹿村騒動記 2011年7月16日より全国にて公開© 2011「大鹿村騒動記」製作委員会■関連記事:原田芳雄の遺作で共演した松たか子が追悼コメント「魂の強さ決して忘れない」加療中の原田芳雄が車椅子で登場!温かい拍手に涙名優たちが魅せる珠玉のドラマ『大鹿村騒動記』試写会に50組100名様ご招待
2011年08月08日個性派俳優として年を刻むごとに輝きと味わいを放っていた俳優の原田芳雄さんが昨日午前、上行結腸がんから併発した肺炎のため、都内の病院で71歳で死去した。長男でミュージシャンの原田喧太から報道陣に向けてコメントが発表されたのに加え、原田さんの最後の映画出演作となった『大鹿村騒動記』で共演した松たか子も、追悼の談話を発表した。喧太さんのコメントでは、先週11日(月)の『大鹿村騒動記』の舞台挨拶に関して、医師から「99%無理」と言われながらも見事に舞台に上がった父の偉大さが綴られている。以下、喧太さんのコメント全文マスコミ関係の皆様本日午前9時35分、父原田芳雄が上行結腸癌から併発する肺炎で亡くなりました。3年前に大腸癌の手術後、長い間抗がん剤治療をして癌と戦って来ましたが、残念な結果となってしまいした。しかし、最後の最後までの役者魂の凄さには本当に頭が下がります。今回の入院で何度も山を乗り越えて、11日の舞台挨拶は99%無理と言われたのですが、自らの力を振り絞って、見事舞台に上がって皆を驚かせたものです。担当の医師の方々も見事な闘病生活でしたと言ってくれてます。今まで関わって下さった方々、お世話になった方々、そして、原田芳雄を応援してくださった皆様、心よりお礼申し上げます。最後に、役者 原田芳雄の魂は永遠生き続けますので、これからも応援宜しくお願いします。感謝原田喧太松さんは『大鹿村騒動記』で、原田さん演じる主人公・善の元を何かと訪れ、面倒を見る村役場の職員・美江役で出演。11日(月)の舞台挨拶には松さんも登壇したが、映画の公開を無事に見届けて旅立った原田さんの役者魂を「決して忘れない」と語る。以下、松さんのコメント全文哀しいしらせに、言葉もありません。しかしながら、映画の完成、そして船出を見届けた、芳雄さんの魂の強さを、私は決して忘れません。心より御冥福をお祈り申し上げます。芳雄さん、お疲れ様でした。ありがとうございました。松たか子原田さんは1968年に『復讐の歌が聞こえる』で銀幕デビューを果たし、その後はアウトロー的な役柄を数多くこなし、個性派俳優として映画、ドラマで人気を博した。黒木和雄監督による『TOMORROW 明日』、『美しい夏キリシマ』、『父と暮せば』の“戦争レクイエム三部作”や鈴木清順監督の『ツィゴイネルワイゼン』、『陽炎座』など100本を超える映画に出演。近年でも2007年と2008年にはそれぞれ3本の出演作が公開されるなど、精力的に活動していた。特に最近では頑固なオヤジや祖父の役で、味わいのある演技を見せていた。最後の映画となった『大鹿村騒動記』は原田さんがNHKのドラマ「おシャシャのシャン!」(2008年放送)に出演した際に、300年以上の伝統を誇る長野県の山間の大鹿村の“大鹿歌舞伎”と出会ったことが企画のきっかけとなった。原田さん自ら阪本順治監督に提案し、豪華キャストを迎えて製作された。昨年秋に大鹿村で撮影され、今年5月4日には大鹿村で完成披露試写会と舞台挨拶が行われ、原田さんは阪本監督、大楠道代、岸部一徳と共に村に凱旋し、元気な姿を見せていたが帰京後に入院。先週11日(月)の本作の舞台挨拶には車いすに乗って登壇し、声が出ないために共演者で“盟友”の石橋蓮司がコメントを代読した。16日(土)の初日舞台挨拶は欠席し、その後、体調が急変し昨日午前、帰らぬ人に。まさに映画の船出を見届けての旅立ちとなった。■関連作品:大鹿村騒動記 2011年7月16日より全国にて公開© 2011「大鹿村騒動記」製作委員会■関連記事:加療中の原田芳雄が車椅子で登場!温かい拍手に涙名優たちが魅せる珠玉のドラマ『大鹿村騒動記』試写会に50組100名様ご招待
2011年07月20日腸閉塞と肺炎の併発が伝えられ、現在、加療中の原田芳雄が主演映画『大鹿村騒動記』のプレミア試写会に出席。のどの炎症のために共演の石橋蓮司がメッセージを代読したが、病を押しての車椅子での登場に会場からは温かい拍手がわき起こった。300年の伝統を誇る歌舞伎を持つ長野県の山間の大鹿村で巻き起こる悲喜こもごもを描いた本作。撮影は大鹿村でのオールロケで行われた。5月に大鹿村で凱旋の特別試写会が行われた際は原田さんも監督らと共に出席し、元気な姿を見せていたが、その後、体調を崩していた。この日は、大楠道代に佐藤浩市、松たか子、瑛太、冨岡智嗣、石橋蓮司、小倉一郎、でんでん、加藤虎ノ介に小野武彦という超豪華共演陣と阪本順治監督がズラリ。阪本監督はこの顔ぶれを見渡し「僕から言うことはないので存分に笑って楽しんでください」と挨拶。大楠さん曰く、村での撮影は「撮影して、宴会して、次の日、また撮影して宴会」という日々だったそう。松さんは「先輩たちのお話も面白いし、芝居も見せていただいきまして」とニッコリ。瑛太さんも「貴重な時間でした。みなさんの思い出話や、蓮司さんのおもしろ話が聞けました」と笑顔でふり返った。そんな中で佐藤さんだけは「監督が寂しいからなのか、僕だけがスタッフの方の旅館に泊まることになって、ひとり飲みでした…」と渋い顔。周囲が楽しい思い出を語れば語るほど、佐藤さんだけは苦笑いを浮かべ、大先輩たちとの現場に関しても「控室でみなさんをお迎えして挨拶するところから始める、若かりし頃を思い出しました」とふり返っていた。そして舞台挨拶の終盤、娘さんに車椅子を引かれて原田さんが登場。会場は割れんばかりの拍手で主役を迎えた。長年の“盟友”石橋さんは「原田芳雄はこう見えてシャイなので」と前置きしてメッセージを代読。「今日はどうもありがとうございます。どうぞごゆっくりご覧ください」という原田さんらしい短い言葉に会場は笑いと拍手に包まれた。そんな観客や共演陣の温かさに気持ちが緩んだのか、原田さんの目からは止めどなく涙が…。共演陣に囲まれるようにして、いつまでもやまない拍手の中、原田さんは舞台を後にした。『大鹿村騒動記』は7月16日(土)より全国にて公開。■関連作品:大鹿村騒動記 2011年7月16日より全国にて公開© 2011「大鹿村騒動記」製作委員会■関連記事:名優たちが魅せる珠玉のドラマ『大鹿村騒動記』試写会に50組100名様ご招待
2011年07月11日