コンセプトショップ「裏(ウラ)」が、東京・原宿の神宮前ビルディング裏に、2023年10月7日(土)にオープン。三原康裕によるコンセプトショップ「裏」が原宿に「裏」は、メゾン ミハラヤスヒロ(Maison MIHARA YASUHIRO)を運営するソスウ(SOSU)によるコンセプトショップだ。ジェネラルスケールのスニーカーを展開オープン時には、三原康裕による「ジェネラルスケール(General Scale)」のシューズを展開。“長く履けるヴィンテージの靴を作りたい”という思いを抱いたことからスタートしたラインだ。ハイカットやローカットなど、幅広いラインナップを用意する。また、2024年春にローンチを予定しているソスウ初のオリジナルハーブティーブランド「ティーモロー(TEAMORROW)」のハーブティーも販売。シンガポール発のウェルネス&ビューティーブランド「ホワイトツリー(WHITETREE)」により、「ティーモロー(TEAMORROW)」のためにレシピ調合されたハーブティーとなっている。店舗に置かれる茶筒は、京都「開化堂(カイカドウ)」の茶筒を採⽤しており、高い気密性で茶葉を湿気から守り、香りを保ってくれるのがポイントだ。さらに今後は、「裏」や「ティーモロー」のロゴやグラフィック、パッケージのアートディレクションを担当した植原亮輔による、「キギ(KIGI)」のライフスタイル雑貨も展開される。内装は「インサイドアウト」の久保寛人が担当なお店舗内装は、インサイドアウトの久保寛人が設計を担当。外部と一体感のある店内には、LEDスクリーンやガラス、鏡面、石材などが採用され、それぞれコントラストが効いた空間に仕上げている。【詳細】コンセプトショップ「裏」グランドオープン日:2023年10月7日(土)住所:東京都渋⾕区神宮前2-17-6 神宮前ビルディング地下1F営業日:水曜日・金曜日・土曜日営業時間:12:00~20:00TEL:03-6434-0026
2023年10月09日アニメーションを中心とした映像作品の上映・イベントを行う合同会社クーベルチュール(所在地:東京都世田谷区)は、《スクリーンで観たい!吉浦康裕監督作品特集》を、9月24日(土)池袋・ホールミクサにて開催いたします。イベント詳細: ■《スクリーンで観たい!吉浦康裕監督作品特集》について最新作『アイの歌声を聴かせて』(2021年)が第45回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞を受賞するなど、いま最も注目を集める実力派、吉浦康裕監督。その吉浦監督が手掛けた長編2作品、『イヴの時間』(2010年)と『サカサマのパテマ』(2013年)を一挙に上映します。上映後には吉浦監督ご本人にご登壇頂き、『アイの歌声を聴かせて』の公開から1年を経た現在の視点から、これら2作品について語っていただきます。スクリーンだからこそ映える、繊細かつダイナミックな吉浦ワールドをぜひご堪能ください!イヴの時間 ポスターサカサマのパテマ ポスター■開催概要開催日 :2022年9月24日(土)開催場所:Hall Mixa ホールミクサ東京都豊島区東池袋1-14-3 Mixalive TOKYO B2F*「池袋駅」東口方面 35番出口より徒歩約4分上映作品:『イヴの時間』(2010年)『サカサマのパテマ』(2013年)ゲスト :吉浦康裕監督開催時間:16時30分 開場/17時00分 開映(21時30分 終了予定)入場料金:前売:3,000円 当日:3,500円*当日券は12時より劇場窓口にて発売前売券はチケット for LINEにて9月3日(土)10時より発売 主催 :合同会社クーベルチュール■会社概要商号 : 合同会社クーベルチュール代表者: 代表社員 武智 則之所在地: 〒158-0087 東京都世田谷区玉堤1-11-7-102設立 : 2021年12月URL : 【本件に関するお客様からのお問い合わせ先】合同会社クーベルチュールお問い合せフォーム: 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年09月05日ルシアン ペラフィネ(lucien pellat-finet)からデザイナーの三原康裕氏がデザインを監修した「アルコン(ARCHON)」とコラボレーションしたE-BIKE(電動アシスト付き自転車)とウエアが発売された。今回発表されたモデルは数年前から米国西海岸を中心に流行しているアメリカンヴィンテージバイクをイメージしたファットバイクを、日本の公道を走行できるようにチューニングされた電動アシスト付き自転車。「アルコン」は米国の「SUPER73」や「ウィクド サム(WICKED THUMB)」、シンガポールの「コーストサイクルズ(Coast Cycles)」など海外のE-BIKEを販売する「マッド ボルト ガレージ(MAD BOLT GARAGE)」で展開されているライフスタイルファッションブランドで、デザイナーの三原氏自身が愛車として使用していることから今回のコラボレーションとなった。今回、三原氏が監修したコラボモデルはフロントサスペンションとリアサスペンション付きのフルサスペンションモデル。自転車としての乗りやすさとバイク特有の重厚感、タフさをミックスさせたストリート感溢れたスタイル。カラーはオリジナルのガンメタリックでボディにlucien pellat-finet のロゴ、前輪サスペンションにもスカルなどのモチーフが入る。500ワットのモーターを搭載し、5段変速電動アシスト、ディスクブレーキを搭載し、最大速度24km/h、1回の充電で60-70kmの走行が可能でパワフルかつ乗り心地は快適。同時に発売されたウエアはブラックで統一され、スカル、ピースマーク、リーフのルシアンのシグニチャーモチーフを使用。ジャケットとパンツは裏起毛になっており、同ブランドらしい着心地の良さでE-BIKE同様に快適さが訴求されている。今回のコラボレーションアイテムは、ルシアン ペラフィネ 東京ミッドタウン店、ルシアン ぺラフィネ ギンザシックス店、公式オンラインブティック()で販売されている。E-BIKE(電動アシスト付き自転車) 29万7,000円SPEC・カラー:ガンメタリック・スピード:最大 24km/ 時・モーター:500 ワット・航続距離:60-70km1 回の充電で走行可能な距離運転手の体重、道路の傾斜、地形、風などによって変わります。JP 仕様 ( 道路交通法に準ずるアシスト比率 )・ディスプレイ:LCD ディスプレイ( スピードコントロール , 最大スピード , 平均スピード , 走行距離 )・ブレーキ:ディスクブレーキ・電動アシスト:変速 1-5 段階ペダルの踏み込みで作動電動アシストを使用せずにペダルを漕ぐことも可能・ライト:ヘッドライト、リアブレーキライト・PAS センサー:トルクセンサー・ハードウエア:アルミニウム合・ペダル:アルミニウム合金・タイヤ:ブロックタイヤ・キックスタンド:アルミニウム合金・チェーンガード:カスタムスティールデザイン・スロットル:なし・フレーム:アルミニウム合金・重量:33kg・梱包時重量:40kg (140×37×80cm)・最大積載重量:120kg・バッテリー 48v 15Ah(720 ワット / 時 ) ロック付・バッテリー充電時間:4-5 時間ウエアTシャツ 3万9,600円(+tax) size M,Lジャケット 9万1,300円(+tax) size M,Lパンツ 5万1,700円(+tax) size M,Lキャップ 1万9,800円(+tax) size FREE
2022年03月25日アニメーション映画『アイの歌声を聴かせて』のキャストが決定。土屋太鳳、福原遥、工藤阿須加、興津和幸、小松未可子、日野聡が出演する。本作は、『サカサマのパテマ』で文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞、「イヴの時間」で東京国際アニメフェアOVA部門優秀作品賞を獲得した吉浦康裕が原作・監督・脚本を務める長編オリジナルアニメーション映画。ちょっと変わった不思議な転校生シオンと、ひとりぼっちの真面目少女・サトミとの友情と歌でつながる絆を描いたハートフルストーリーだ。また、「∀ガンダム」「コードギアス 復活のルルーシュ」「ルパン三世 PART5」の大河内一楼が共同脚本を手掛け、「海辺のエトランゼ」の紀伊カンナがキャラクター原案を担当するほか、「ワンパンマン」「食戟のソーマ」のJ.C.STAFFがアニメーション制作、「のだめカンタービレ」の島村秀一が総作画監督を務め、「黒子のバスケ」や「ACCA13区監察課」の劇伴を手掛けた高橋諒が音楽を担当と、最高のスタッフが結集している。アニメーション映画『フェリシーと夢のトウシューズ』で主人公の声を担当した土屋太鳳が今回務めるのは、学力優秀でスポーツ万能な転校生・シオン。ことあるごとにミュージカル調に歌いだす、とびきり明るい変わった性格だが、すぐにクラスの人気者になり、孤立しているクラスメイトのサトミを歌で幸せにしようとするキャラクター。土屋さんは「相手がどうすれば幸せになるのかを気遣う優しさも持っていて、素敵な子」と演じるキャラクターを分析し、「人と人の繋がりや、想いを伝えることの尊さを実感できて、皆さんに力を与えてくれる作品になっています。そういった気持ちが伝わってもらえたら嬉しいです」とコメント。また今回、伸びやかで透明感のある歌声を劇中で披露。劇中楽曲「ユー・ニード・ア・フレンド~あなたには友達が要る~」については「ミュージカル風の曲でリズムが心地良く、シオンの心情も伝わってくる曲なので、彼女の気持ちを込めながら歌いました。どれだけ言葉に感情を乗せられるのかが重要になる曲です。皆さんの背中を押して勇気をあげるような曲ですから、応援する気持ちが伝わるように歌うことを心がけました」と語っている。シオンが転校してきたクラスのクラスメイト、サトミ役は、女優、声優、歌手と精力的に活動する福原遥。「『絶対に出るんだ!』という気持ちでオーディションに挑んだので、実際に役が決まったときは大喜びしました」とふり返った福原さんは、「人とあまり上手く話せなかったサトミがシオンと出会って、どのように変わっていくのか。アニメーションを楽しんで、彼女たちの生き方から何かを受け取ってもらいたいです」と話している。さらに、サトミの幼なじみで電子工作部に所属している研究者顔負けの機械マニア、トウマ役を声優初挑戦の工藤阿須加が担当。アニメが大好きだという工藤さんは「役者の道を目指すときには『いつか声の仕事にもチャレンジしたい』という気持ちがあったので、初めてアニメに携われるということに興奮しました」と心境を明かし、「『アイの歌声を聴かせて』はシオンに振り回されながら、個性的な高校生たちが幸せになっていくストーリーですが、実は台本を読んだときに泣いてしまったんです。それぐらい引き込まれる内容で、絶対に良い作品にしようという熱意を込めて全力で演じました。その気持ちが皆さんに少しでもお伝えできたら嬉しいです」とコメントした。今回発表されたキャストたちの声も入った特報映像も公開。シオンがサトミに「幸せ?」と問いかけるシーンからスタートする本映像では、ゴッちゃんを興津和幸、アヤを小松未可子、サンダーを日野聡が担当することも明らかになっている。『アイの歌声を聴かせて』は秋、全国にて公開予定。(cinemacafe.net)
2021年04月07日長編オリジナルアニメーション映画『アイの歌声を聴かせて』が、2021年10月29日(金)に全国ロードショー。吉浦康裕が原作・監督・脚本を務める。転校生の美少女は“ポンコツAI”?!少年少女の群像劇映画『アイの歌声を聴かせて』は、ポンコツ「AI」とクラスメイトが織りなす青春ストーリー。『サカサマのパテマ』『イヴの時間』などの吉浦康裕が得意とする「AI」と「人間」の関係性というテーマを、少年少女の瑞々しい群像劇として描く。<映画『アイの歌声を聴かせて』ストーリー>景部高等学校に転入してきた謎の美少女、シオンは抜群の運動神経と天真爛漫な性格で学校の人気者になるが…実は試験中の【AI】だった!シオンはクラスでいつもひとりぼっちのサトミの前で突然歌い出し、思いもよらない方法でサトミの“幸せ”を叶えようとする。彼女がAIであることを知ってしまったサトミと、幼馴染で機械マニアのトウマ、人気NO.1イケメンのゴッちゃん、気の強いアヤ、柔道部員のサンダーたちは、シオンに振り回されながらも、ひたむきな姿とその歌声に心動かされていく。しかしシオンがサトミのためにとったある行動をきっかけに、大騒動に巻き込まれてしまう――。ちょっぴりポンコツなAIとクラスメイトが織りなす、ハートフルエンターテイメント!主人公シオンの声優は土屋太鳳ちょっぴりポンコツなAIの主人公シオンを演じるのは土屋太鳳。多彩な楽曲をエモーショナルに歌いあげる。さらに、もうひとりのヒロインであるサトミを福原遥、幼馴染のトウマを工藤阿須加が演じるなど、豪華声優キャストが集結している。登場人物(声優キャスト)主人公シオン(土屋太鳳)とびきり明るい転校生。変わった性格だが明るい人柄で、すぐにクラスの人気者に。実は、サトミの母が開発している試験中のAI。幸せの意味も知らないポンコツな【AI】で、ことあるごとにミュージカル調に歌いだし、思いもよらない行動に走る。サトミ(福原遥)真面目でまっすぐな性格で、母子家庭で家事もこなす母親想いの高校生。人一倍しっかりしているが、本心を見せるのが苦手。ある事をきっかけに学校では孤立してしまっている。トウマ(工藤阿須加)サトミの幼なじみで、電子工作部に所属している。研究者顔負けの機械マニア。密かにサトミに好意を抱き続けているが、一歩踏み出せないでいる。人気NO.1イケメンのゴッちゃん(興津和幸)気の強いアヤ(小松未可子)柔道部員のサンダー(日野聡)美津子(大原さやか)サトミの母親。星間エレクトロニクスの社員で、「シオンプロジェクト」のリーダーを務めている。野見山(浜田賢二)星間エレクトロニクスの研究員。サトミの母・美津子の部下で、「シオンプロジェクト」を担当する。西城(津田健次郎)サトミの母・美津子の上司で、星間エレクトロニクスの支社長。豪華スタッフが集結!長編オリジナルアニメーション作品映画『アイの歌声を聴かせて』は、豪華制作陣のコラボレーションのもと誕生した長編オリジナルアニメーション作品。監督を担当する吉浦康裕は、『サカサマのパテマ』で文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞、『イヴの時間』で東京国際アニメフェア OVA 部門優秀作品賞を獲得したアニメ界の注目人物。また「∀ガンダム」「コードギアス 復活のルルーシュ」「ルパン三世 PART5」といった有名作品を世に送り出してきた大河内一楼が、吉浦と共に共同脚本を手掛ける。さらに『海辺のエトランゼ』原作者で漫画家・紀伊カンナがキャラクター原案を担当、「ワンパンマン」の J.C.STAFF がアニメーション制作、「のだめカンタービレ」「ハチミツとクローバー」の島村秀一が総作画監督を務めるなど、“最高すぎる”スタッフたちが集結する。作品詳細長編オリジナルアニメーション映画『アイの歌声を聴かせて』公開時期:2021年10月29日(金)全国ロードショー声の出演:土屋太鳳、福原遥、工藤阿須加、興津和幸、小松未可子、日野聡、大原さやか、浜田賢二、津田健次郎、咲妃みゆ、カズレーザー原作・監督・脚本:吉浦康裕共同脚本:大河内一楼キャラクター原案:紀伊カンナ総作画監督・キャラクターデザイン:島村秀一アニメーション制作:J.C.STAFF
2020年09月13日練馬区立区民・産業プラザにて「アニメーション・クリエイティブ・テクノロジー・フォーラム(ACTF)2016」が開催され、数多くのアニメ関係者が参加した。同フォーラムはペーパーレス作画をテーマにした初の大規模フォーラムとして1年前に発足したもの。今回のACTFでは作画のデジタル化とフローの改革に取り組んだ制作プロダクションから担当者が登壇し、実際の作品事例を通してデジタル作画に関する講演を行った。本稿では株式会社サンジゲンによる講演「あえてやるんだ!TVPaint作画の可能性」をレポートする。サンジゲンは3DCGでアニメーションを制作するクリエイター集団。「うーさーのその日暮らし」や「蒼き鋼のアルペジオ ‐アルス・ノヴァ‐」など多数の人気作を手がけており、現在は3DCGでセルルックのアニメ「ブブキ・ブランキ」を制作している。そんなサンジゲンからはデジタル作画部チーフの茶之原氏、撮影部部長の山田氏、プロデューサーの佐藤氏の3名が登壇。現場におけるTVPaintを用いた作画について語った。TVPaintはフランス生まれの作画ソフト。25年の歴史を持つ老舗で、絵コンテから撮影まで柔軟性に優れたツールである。ベクター非対応ではあるが、手描きのアニメには親和性が高いという。ではこのソフトを活用してアニメを制作すると、どんなメリット・デメリットがあるのか。最初の実例は「うーさーのその日暮らし夢幻編」。昨年夏に放送されたショートアニメで、第12話を同社デジタル作画部が手がけた。全作画工程(レイアウト・原画・動画)をTVPaintで作画し、仕上げもデジタル作画部がTVPaintで担当。演出チェックもTVPaintで行っているという。唯一撮影のみAfter Effectsが用いられている。講演では実際の画面を見ながらソフトの細かい使い方のデモが行われた。TVPaintを使用するにあたり、1ヶ月間はソフトの調査研究にあてることに。作業期間は1ヶ月半。作画スタッフは演出を含めて4名。総動画枚数は900枚だった。レイアウトから原画、動画、仕上げまですべてTVPaintを使ったことで全体の流れをつかむことができ、デジタルの得意不得意が体感できたという。次の課題は、これを一般のアニメのフローに反映できるのかという点。そこで次に実践したのが「日本アニメ(ーター)見本市」に出品されたシュートアニメ「ヒストリー機関」である。吉浦康裕監督による第29作目で、サンジゲンではTVPaintによる動画の一部を担当した。ここでわかったデジタル作画のメリットは、正確な動画制作ができること。タップ割に合わせたいところを自動でセンタリングできるため、タップのズレを防ぐことができるのだ。サンジゲンが得意とするCGとTVPaintとの相性は良好で、紙でやると動画がおざなりになりがちな部分も、TVPaintなら3Dの動きに合わせて原画が描けるのでずっとコントロールがしやすいというメリットがある。吉浦監督もこのクオリティには満足したとのことで、仕上げからも補正の必要がないと喜ばれたという。そして、話は最新作の「ブブキ・ブランキ」へ。サンジゲン初の元請オリジナルTVシリーズとしてスタートした同作品には、茶之原氏が各話のデジタル作画監督として参加している。同作品の最大の特徴はCG制作ながらセル画のような見え方をする"セルルック"であること。この場合、色と線は別々に出力されるため、TVPaintには線だけ読み込ませることにした。ブブキ・ブランキは3D作画に見えるところが2Dだったり、その逆だったりもする。たとえば3Dモデリングが大変な食事のカットなどもデジタル作画が用いられているのだ。ここで課題になるのは、様々な角度へのオーダーに対して臨機応変に対応できるかどうか、そして社外アニメーターとの連携をどう構築するかということである。フリーランスや他のスタジオと連携をとっているものの、まだまだ試行錯誤の段階。TVシリーズである以上、外部の力を借りないとカット数的に不可能なので、連携は不可欠だ。TVPaintを用いたデジタル作画がより広まることで、スムーズな制作が可能になっていくだろう。現在は少しずつ浸透しつつあるデジタル作画だが、サンジゲンにしても道のりは楽なものではなかった。2014年10月にデジタル作画部が設立され、実験部署として稼動し始めたものの、手描きからの移行スタッフは1名のみ。「劇場版 蒼き鋼のアルペジオ ‐アルス・ノヴァ‐ DC」でCG描き足しと特効をデジタル作画部が担当したものの、行き当たりばったりでデータ管理ミスが発生するなど運用はうまくいかなかった。ここから学んだのは、紙がデジタル作画の工程に入るとメリットがなくなるということ。それ以降、徹底的に紙作画と差別化を図り、デジタル作画の強みを生かした使い方を目指してきた。転機となったのは「日本アニメ(ーター)見本市」の「おばけちゃん」で、原作の絵を生かす方法としてデジタル作画を提案。全体の6割の作画工程をデジタルで完結させ、受け渡しミスが起きないようデータの管理を徹底した。ワークフロー自体を変化させてしまう故に様々な課題も残るデジタル作画だが、1年半かけて実践してきたサンジゲン・デジタル作画部の3名は「デジタル作画は可能性を広げるための技術」と高く評価している。
2016年03月27日日本のTVアニメ視聴者の間で、「お布施」という言葉が使われることがある。自分たちの愛好する作品を支持する意味をこめて、映像ソフト(Blu-ray、DVD)などの関連商品を買うことを指している。言ってしまえば単なる「ファンの買い物」だが、それを「お布施」と呼ぶのは、その金額によるところが大きいだろう。1クール(3カ月)ごとに40~50本ものアニメが入れ替わり「無料」で地上波放映されている一方で、ひとつの作品を支持しようとした時の金額は高くなりがちなので、それが購買行動を「お布施」と呼ばせる所以となっている。例を挙げると、近年Blu-rayでのリリースが主流で、多くの特典が付属する映像ソフトは1本およそ6,000~9,000円、放映期間によるが平均して1作品あたり全5~10本。1作品分コンプリートするとなると、「お布施」は映像ソフトだけで10万円に迫ることもある。このほかにもグッズやCD、イベントなど、すべて追いかけようと思うと大変な出費になっていくし、制作会社側の「取り分」を気にして、「円盤(映像ソフトを指すネット用語)を買うだけで良いのか」と購買行動に悩むファンすらもいる。それくらい、「好きな作品の作り手」の取り分に意識的だ。そんな状況を受けてか、アニメ専門のクラウドファンディングプラットフォーム「OFSEA.IO」の立ち上げが発表された。このプラットフォームの立ち上げ人はアニメ業界関係者ではなく、2015年に設立されたばかりのベンチャー企業の代表で、職務経歴で言えばエンジニアだ。なぜまったく異なるフィールドから、Webサービス立ち上げを決意したのだろうか。本誌では、「OFSEA.IO」運営元のeurie代表・池内孝啓氏にインタビューを実施。まだティザーサイト公開段階のため話せることは少ないとしながらも、立ち上げの目的を語っていただいた。――さっそくですが、「OFSEA.IO」立ち上げの理由を教えてください。日本のアニメファンが持つクリエイターへの投げ銭に対する前向きなカルチャーと、クラウドファンディングの仕組みは相性が良いと思っていまして、少額からアニメ作品への支援ができるような仕組みを作りたいと考えたからです。――サービス名の由来は、やはりアニメへの「お布施」というネットスラングから取られているのでしょうか?はい。仰るとおりです。読みは「オフセア」で、アニメファンが使う言葉としての「お布施」から取っています。とはいえ、「お布施」という言葉が先行すると、コアなアニメファン以外には誤解を生んでしまう懸念もありましたので、Webサービスらしい字面にしました。「.IO」は近年よくWebサイトで使われるドメインで、「IN/OUT」にかけています。また、これは後付けに近いんですが、「OFSEA」を分解すると「OF SEA」になり、イルカの祖先からとった社名「eurie」とのイメージの近似も意識しました。――「お布施」というネットスラングは、TVアニメの作り手への資金還元の意志を示すものだと思うのですが、このプラットフォームでは、TVアニメの作り手が関係するプロジェクトは進行予定でしょうか?深夜アニメ、ファンが「円盤」の購買について考えているような作品のプロジェクトを公開すべく、現在アニメーション制作に関わる企業にアプローチしているところです。深夜帯に放送されているアニメは、作品のみならず制作会社自体にファンがついていることも多くありますし、コアなファンがいればいるほど、このサービスを利用してくださるのではと考えています。――ご自身の好きなアニメやクリエイターについて教えてください。うーん……たくさんありすぎて困ってしまいます(笑) そうですね、今敏監督の『パプリカ』を劇場で見た時、大きな衝撃を受けました。『イブの時間』『逆さまのパテマ』を手がけた吉浦康裕監督の作品も素敵だと思います。――同プラットフォームのターゲットにされている、深夜帯のTVアニメで好きな作品は?最近のものでは、P.A.WORKSの「SHIROBAKO」を興味深く拝見しました。「お布施」の行き先であるアニメ制作現場を舞台にした作品ですし、放映終了後もイベントを開催するなど、今も多くのファンを抱えている作品だと思います。同社が手がけること自体へのファンの期待度も高いですよね。このほか、京都アニメーションの「響け! ユーフォニアム」も好きです。――今名前の挙がったような制作会社にもアプローチをかけているのでしょうか?具体的な企業名はまだ出せる段階にないのですが、今現在活躍している会社にご協力いただけるよう動いているところです。――アプローチ先の関係企業の反応はどうでしたか?まず、クラウドファンディング自体の認知があって、どういった仕組みでプロジェクトを動かしていくのかが通じる下地があるのは助かりました。率直な反応としては、「上手く行くならやってみたい」「本当に人が(プラットフォームに)来るの?」というような声をいただきました。プロジェクト掲載の可否は、アプローチ先の約半数から前向きにご検討いただいている、というような状況です。クラウドファンディングでファンから支援を集めるということ自体が特別なことではなくなるように、これからもアプローチを続けて行きたいです。――プロジェクトの立ち上げから提案しているとのことですが、これまでもそういった企画職などを経験されてきたのでしょうか?いいえ。データ分析を行う企業「アルベルト(ALBERT)」でサービス開発からマネジメントまで経験させていただいた後、2015年に独立して起業しました。アニメ業界の関係者ではないのですが、いちファン、いちIT技術者という立場だからこそ行動を起こせることがあると思っています。――では、ゼロからアニメ業界にアプローチされているのですね。会社内プロジェクトなどではなく、独立したきっかけは何だったのでしょう?昔からテレビアニメや劇場アニメをよく見ているのですが、素晴らしい作品にであって感動したとしても、その気持ちや体験を作り手に還元できる場がほとんどないことに、1ファンとして歯がゆさを感じていたのが根底にあります。もちろん、アニメ作品に還元する手段として、すでに「『円盤』を購入する」、「映画館に足を運ぶ」などの方法はあります。しかし、製作前、また制作段階など、これらの手段に到達する前であっても、何か作り手に手渡す方法があれば、ファンとしても嬉しいし、それがクリエーターへの応援に繋がれば、よい循環を生むのではないでしょうか。日本のアニメという文化の継続発展という意味でも、現状よりもより多くのお金をスムーズに流していく仕組みづくりは必要だと考えています。起業に関しては、前職の起業マインドを大切にする社風に感化されたのは大きいですね。同社は昨年上場し、人数も在籍当初の20人から100人にまで増えるなど、会社の成長を見届けられたことも手伝って、独立を決めました。――話が戻るのですが、プロジェクトの公開ペースはどれくらいになりそうですか?アニメ制作にまつわるプロジェクトを想定しているので、いわゆるTV放送の「クール」に沿って動いていくと思います。とはいえ、作品の放映に対する支援だけをプロジェクト化するのではなく、イベントなどを含め、作品を継続的に支援できるような場にしていきたいです。過去の人気作のプロジェクトも今後進行できればと思います。――プロジェクトに対してユーザーが行う支援額はおよそどれくらいになりそうですか?各プロジェクトのオーナーの意向によるので定額にはならない想定なのですが、1,500円~数千円まで、目安として「円盤」(Blu-rayディスク)よりもやや安いくらいのほうが、支援者も抵抗なく参加できるのではと考えています。逆に、より付加価値の高い数万円~のプランを用意していただいてもよいかと想定しています。――クラウドファンディングは近年国内でも浸透してきており、大手企業が運営する日本発のプラットフォームも複数出てきています。ある程度市場が成熟してきた中で、あえて「アニメ」というピンポイントのジャンルを狙った新規プラットフォームを立ち上げた狙いは?確かに国内にもさまざまなプラットフォームがすでにあり、それぞれの「色」をお持ちです。しかし、海外から始まったクラウドファンディングのムーブメントのイメージからか、スマートウォッチなど「かっこいいモノ」への支援プロジェクトが主流だと感じています。こういった「場」では深夜アニメの支援プロジェクトが多く立ち上がるのは難しいでしょうし、先行事例に準ずるとすれば、ガジェットのような精密機器を輸送するケースを想定しないといけないので、ローンチまでに物流コストへの対策をより突き詰めていかなくてはなりません。アニメというジャンルに特化するデメリットとしては、プロジェクトの数が(他のプラットフォームと比べて)どうしても少なくなるところでしょうか。しかしながら、間口を狭めたからこそ求められる独自の機能があると思っているので、そういった方向に向かって進んでいきたいです。一例としては、制作した作品を OFSEA.IO で支援者向けに配信できる機能追加を今後搭載できないか、試行錯誤しているところです。――最後に、同プラットフォームに注目している読者へ、一言お願いいたします。アニメを観て得た感動を作り手に還元する方法は、現状、「『円盤』を買う」など限定的な方法しかないと思っています。ですが、ソフト化は放映半ば~放映後に行われるので、作品を「作っている」放映前の段階、そして放映中の作品への気持ちのやり場は整備されていません。ティザーサイト公開後、メールで「こういうのを待ってました」というコメントをいただき、大変励みになっています。ティザーサイトでも公開していますが、今年の早春からサービスを公開できればと考えています。ファンの皆さんにはこの歯がゆさを解消する「円盤」とは別の仕組みとして利用していただけたらと思います。良い作品が生まれ、良い作品を楽しめる循環を生む手助けをしていきたいです。
2016年01月25日15-16AWにデビューし、今回で2シーズン目を迎える三陽商会のブルーレーベル・クレストブリッジ(BLUE LABEL CRESTBRIDGE)、ブラックレーベル・クレストブリッジ(BLACK LABEL CRESTBRIDGE)が10月19日、東京・虎ノ門のホテル・アンダーズ 東京52階のルーフトップバーにて16SSコレクションを発表した。クリエーティブディレクターを務めるのは三原康裕。ウィメンズウェアを展開するブルーレーベル・クレストブリッジは、シーズンテーマを「ACQUIRE MARINE」と題し、正統派トラッドスタイルに、新たな発想のマリンエッセンスをプラスした。デビュー時に、同ブランドの新アイコンとして印象付けた“クレストブリッジチェック”は、挿し色に春らしいピンクを取り入れ爽やかに進化。アイテムは、マリンコートやハーフ丈のトレンチ風ジャケット、プリーツスカートなどのウェアに加え、今シーズンからは新たにヘアアクセサリーやハンカチなど低価格の雑貨類も拡充し、スタイリング提案を強化する。一方、メンズウェアを展開するブラックレーベル・クレストブリッッジは、ショーの前半を、ミリタリーかつエフォートレスなテイストを打ち出す「GENTLEMANLY NAVAL」、後半を、アイビースタイルをデニム素材でストリートスタイルへ再構築させた「ALTERNATIVE IVY」という2つのキーワードをシーズンテーマに掲げた。ウィメンズ同様、“クレストブリッジチェック”を用いながら、ブルー、ホワイトなど春夏らしいカラーとデニム素材を中心としたカジュアルなトラッドアイテムを展開。また、今季より国産素材にこだわった、スーツ2型、コート2型も発売する。ショーの前に開かれた会見で同ブランド事業部長・内海嗣雄氏は、「三原康裕氏が監修に入った事により、シューズを含めたトータルコーディネートの提案が出来るようになった。市場においても、国内やインバウンドのお客様に加え、新たにファッション感度の高い層の幅が広がっている」と話した。今後は、更なるブランド認知拡大のために、テレビCMの全国放映、またブランドフェアや交通広告なども実施していく予定だ。
2015年10月30日●「あと5年で限界」発言、トピックとしてまとめられてそうなってしまった7月18日、東京・新宿バルト9にて「日本アニメ(ーター)見本市 初号上映会」が開催された。「日本アニメ(ーター)見本市」はスタジオカラーとドワンゴが共同で制作・配信する短編アニメ企画。さまざまな監督による短編作品を毎週1本のペースで無料配信しており、業界内外の注目を集めている。ジャンルや表現手法などの縛りがない自由な創作の場を提供することで、日本のアニメ文化のさらなる発展と人材育成などにつなげていく狙いがある。同イベントでは、ファーストシーズンで配信された全12話を一挙公開。さらにサードシーズンからも3話分が先行公開された。また、「日本アニメ(ーター)見本市」の企画立案者である庵野秀明監督、ドワンゴの川上量生会長をはじめ、作品を制作した監督陣(雨宮哲氏、荒牧伸志氏、江本正弘氏、谷東氏、鶴巻和哉氏、平松禎史氏、堀内隆氏、本田雄氏、本間晃氏、前田真宏氏、吉浦康裕氏、吉崎響氏)とアニメ研究家で明治大学院客員教授の氷川竜介氏、アナウンサーの山田幸美氏が登壇。「アニメ業界の今後」をテーマにトークを行った。第一線で活躍するクリエイターたちは、アニメ業界の現状をどうとらえているのか。本稿ではトークの内容を中心にレポートしていく。口火を切ったのは、今年5月末に庵野監督が発した「アニメ業界はあと5年で限界を迎える」という言葉の真意を尋ねる質問からだった。庵野監督は「(あと5年くらいで限界という発言は)そういうつもりで言ったんじゃなかったけど、トピックとしてまとめられてそうなってしまった」と苦笑いしながら、「厳しいのは厳しいですよね。展望がないわけじゃないと思いますが、業界全体のシステムが厳しい。ビジネススキームが難しいし、人も来ない。何とかなるんじゃないかなというのと、何ともならないんじゃないかというのがせめぎ合っています」と胸の内を明かした。これに、アニメ研究家である氷川氏は「マンパワーの問題で、企画が増えても人が増えていないんです。諸外国は日本も何倍も人口があるところがアニメを始めたりしていて、マンパワーで負けそうです」とコメント。川上会長も「アニメは社会的影響力のわりに産業規模が小さく、制作環境の犠牲のもとにタイトル数がどんどん増えている状態。このままの形だと業界規模が大きくなっても現場が厳しいので、そこを変えていければいいのでは」と業界の将来を危惧する。一方で、「昔はもっとひどい状況だった」と語るのは、30年間アニメ業界の第一線で活躍するベテラン・荒牧監督。「アニメ業界はどんどんデジタルになって、3D化の流れがくるのかなと見ています。そういう変化を含めてTVシリーズを見ていると、よくがんばっているなと思います。30年前、業界に入ったときはもっとひどい状況で、その頃からもう業界はダメだよねと話していました。よくがんばってるなと思うし、意外と続いたりするのかもしれません」こうした現場の声に対して氷川氏は「アニメはお客さんが思い入れを持たないと何も見えてきません。絵が動くことに意味があるのではなく、お客さんの心を動かすことで生まれる愛が作品を支えています。そのあたり(愛)が痩せてきている気がするのが、一番危惧している部分です」と問題提起し、「アニメそのものがエネルギーになる、日本アニメ(ーター)見本市のような企画があるのはいいことです」とエールを送った。続いてのテーマは「今後アニメーターを目指す若者へのメッセージ」。話題を振られた本間監督は、「僕は業界に入って10年くらいたちますが、人との出会いや関わってきた仕事の運がよかっただけ」と謙遜。その上で、「この業界、先がないような言われ方をすることが多く、楽しい仕事だよと簡単には言えません」としながらも、「絵を仕事にするという信念がある人ならやりがいはあるし、居心地がいい仕事です」とアピール。前田監督も「絵を描いてお金になる業界ってなかなかないですよね」と同意する。また、サラリーマンからアニメ業界に転身したという経歴の持ち主である谷監督は「10年がんばるといいと思います」とコメント。その理由として、自身が10年前にはサラリーマンだったことを挙げ、「今、この壇上にいることを10年前の自分に言っても信じないと思いますから」と笑顔で語っていた。●アニメは多様性が大事だけど、今は二極化しているトークイベントの後半では、観客から寄せられた質問に答える大質問会を開催。「アイデアは普段から溜め込んでいるもの?」という質問に対しては、平松監督が「第一期の作品(『until You come to me.』)ではスタジオカラーからこういうネタでやってくれという感じできたのですが、第二期の『イブセキヨルニ』は普段から見ていた社会問題をやってみました。日本アニメ(ーター)見本市のためというよりは、普段から小さなことでも使えるかなと(溜め込んでいる)」と回答。雨宮監督も「普段から溜め込んだほうがいいというのはその通りだと思います」と同意し、「僕はやっていなかったので大変でした。有名な映画などは共通言語として見ておいたほうがいいと思います」と語った。将来はCGの現場で働きたいという方から寄せられた「CGとアニメの融合について」という質問に対しては、吉浦監督が「より渾然一体となっていくんじゃないか」と回答。「昔は飛行機やロボがCGで人は手描きだったのですが、最近は同一のキャラクターであっても手描きとCGが混在することもあります。手段として、どちらかがやりやすいかを考えて自由に選べる時代になりました」と語っている。根本監督は、「割合としてはCGの方が多くなっていくと思います。現状はCGとのハイブリッドが多いので、CGの分野であっても、手で描くスキルがあればさらに仕事をする上で有利になると思います」とアドバイスを送った。「日本アニメ(ーター)見本市」の企画自体に関する質問も上がった。「企画前にイメージしていたもの、予想してものと変わったことは? 他のクリエイターへの影響は?」という質問に対して、庵野監督は「やったかいがあったし、僕自身よかったなと思っています。アニメは多様性が大事だけど、今は二極化している気がしています。ストップモーションとか影絵とか、アニメには色々な面白さがあったはずなのに、新作ではそういうものがない。それを新作で見てみたいという思いが企画の趣旨でした」とコメント。他のクリエイターへの影響については「こういうものは主流にはならないでしょうけど、端っこでやっていることで業界に広がっているんじゃないでしょうか」と回答し、「単純にアニメは面白いんです。それが伝わればいいなと」と、「日本アニメ(ーター)」見本市の意義について語った。さらに「アニメ制作は中抜きが多い。未来の才能に投資できるクラウドファンディングのような場がほしい。直接的に支援したい」というファンからの声があり、これに庵野監督は「お気持ちは大変うれしいです」とコメントし、「アニメは安いと言われるが、権利関係なども諸々あって、一本作るのにけっこうなお金がかかります。大変なのはもとをとることで、日本アニメ(ーター)見本市はそれを捨てたからできています。今は円盤が売れないと言われていて、色々なスタジオが赤字になっている状態。売れない原因は今突き詰めても仕方ありませんが、小さなお金でも積んでいただければ大きくなります」とアニメ業界の事情を説明。「お金より先にまず気持ちが大事で、愛情があれば。こういうイベントも、お金儲けではなく大画面で見てほしいという気持ちでやっています。自分で言うのもあれですが、愛ですかね(笑)」とアニメへの思いを熱く語った。最後に「ファンとして何かできないか」という質問に対しては雨宮監督が「アニメがすごく好きな人は業界にきてください。それが力になります」と回答。これに庵野監督は「雨宮、いいこと言うね。久しぶりに感動した」と笑顔を見せていた。トークショー後、出演した監督陣のサイン色紙がプレゼントされる大抽選会が行われ、日本アニメ(ーター)見本市の作品上映会を経てイベントは終了となった。アニメがクールジャパンともてはやされる中、業界の低賃金労働と人手不足をどう解決していけるか。第一線で活躍している監督陣も、まだ明確な道筋は見つけられていないようだ。「日本アニメ(ーター)見本市」の可能性と同時に、アニメ業界が抱える問題の根深さを改めて感じたイベントであった。
2015年08月05日日本アニメーター・演出協会(略称:JAniCA)は、過去5年間の「アニメミライ」作品の上映会を開催する。日時は8月1日、2日、7日、9日、21日(各日14:00~16:30)で、1日、2日、9日には作品制作に関わったゲストを招いてのトークセッションも開催される。場所は東京都・乃木坂の国立新美術館 3階 講堂。入場無料(事前申込み不要)。「アニメミライ」とは、2010年より始まった、文化庁による若手アニメーターの人材育成プロジェクトの通称(2015年度より「アニメミライ」の愛称が「あにめたまご」に変更となる)。毎年、4社のアニメ制作企業がそれぞれオリジナルの短編アニメを1作品ずつ制作し、作品制作を通じた人材育成や作品発表機会の確保、各種講座の実施やフォローアップを実施している。今回の上映会は、初回から昨年までの5年間の「アニメミライ」の作品を、5日間のわたり上映するものだ。上映スケジュールは、8月1日が「アニメミライ2011」(旧称:PEOJECT A、参加作品:「キズナ一撃」、「おぢいさんのランプ」、「万能野菜 ニンニンマン」、「たんすわらし。」)、8月2日が「アニメミライ2012」(参加作品:「BUTA」、「わすれなぐも」、「しらんぷり」、「ぷかぷかジュジュ」)、8月7日が「アニメミライ2013」(参加作品:「龍 -RYO-」、「リトル ウィッチ アカデミア」、「アルヴ・レズル -機械仕掛けの妖精たち-」、「デス・ビリヤード」)、8月9日が「アニメミライ2014」(参加作品:「アルモニ」、「大きい1年生と小さな2年生」、「パロルのみらい島」、「黒の栖-クロノス-」、そして8月21日が「アニメミライ2015」(参加作品:「アキの奏で」、「ハッピーカムカム」、「音楽少女」、「クミとチューリップ」となっている(上映時間は各日とも14:00~16:30)。また、上映終了後に実施されるトークセッションのゲストは、8月1日が黄瀬和哉(「たんすわらし。」監督/Production I.G)と谷村大四郎(「たんすわらし。」脚本)、8月2日が村川康敏(「ぷかぷかジュジュ」脚本)と谷村大四郎(「わすれなぐも」脚本)、そして8月9日が外﨑 真(「大きい1年生と小さな2年生」プロデューサー/A-1 Pictures)、吉浦康裕(「アルモニ」監督/ULTRA SUPER PICTURES)、稲垣亮祐(「アルモニ」プロデューサー/ULTRA SUPER PICTURES)が予定されている(8月7日と8月21日はトークセッション実施なし)。
2015年07月21日ドワンゴとカラーが共同で進める短編アニメーション企画「日本アニメ(ーター)見本市」の作品群を解説する番組「日本アニメ(ーター)見本市-同トレス- (第10回放送)」が、1月26日に「ニコニコ生放送」にて生中継された。番組には、同企画の第10弾作品である『ヤマデロイド』の監督を務めた堀内隆氏および江本正弘氏、制作を担当した西川真剛氏が出演。本作は、声優である山寺宏一氏がボーカルを務め、その楽曲とともに山寺氏を模した"ヤマデロイド"が村娘を助け出すために過酷な戦いに挑んでいく様がMV風に描かれたもので、番組ではそんな作品に込められた思いや制作秘話などが語られたほか、山寺氏と監修を手がけたアニメーター・板野一郎氏の各氏によるメッセージも紹介された。制作のきっかけについて、堀内監督は「最初は板野さんにお話がきたのですが、諸事情あって板野さんが難しいということで、お話が僕らに来て、じゃあやろうかな? と。僕らはチャレンジャーなので、胸を借りるつもりで始めちゃったって感じですね」とその舞台裏を明かした。また、本作は声優の山寺氏が全編にわたり歌声を披露するというユニークな構成となっているが、なぜ同氏をフィーチャーしたのかについても、監督は「山寺さんとせっかくお仕事できる機会ですし、作品はお客さんが楽しんでくれて初めて成立するもの。それなら、山寺さんに乗っかろうと(笑)」と当時の素直な気持ちを話した。一方、江本監督は「(アニメーターとして活躍する自分とアニメーターではない堀内監督という)異なる分野で活躍する者同士だったからこその化学反応が起きた」と手応えを感じている模様。堀内監督も「皆にいろんな思いと状況の中で作品に参加してもらったからこそ、こういうものを届けられた」と同調し、続く西川氏も「自社の名前で作品をドンと出すのが少なかったりするので、今回はいい機会だったなと思いました」と話している。また、監修を務めた板野氏の音声メッセージも寄せられ「30代のアニメ関係者が新しい21世紀のアニメーション、2D、3Dのいいところを両方取り入れられるいいところが『ヤマデロイド』にはあるんじゃないかな。2Dキャラと3Dメカの共存みたいな形がいい意味でうまく出ているんじゃないか」と作品を解説。さらに、現状のTVシリーズには「デジタルペイントでしょぼくなってしまって、逆にロボットや飛行機や車がCGになるから2Dのしょぼさが出てしまう」といった問題点があると指摘しつつも、本作については「線画の味、絵の個性、3Dの緻密さ、アニメーションとして動き回れる良さ。(2Dと3Dの)ハイブリッドアニメーションとしては、ひとつこういう方向があるんじゃないかな。2Dのいいところを活かした上での3Dのアクションのいいところ、日本らしさがよく出ている」と称賛している。また、声優の山寺氏からも番組宛にメッセージが到着。山寺氏は今回の作品について「声優冥利に尽きます! こんな事ってありますか? タイトルが『ヤマデロイド』ですよ! 僕にとっては『声優史上に残る快挙!』制作陣にとっては『アニメ史上に残る暴挙!』でしょう」とうれしい胸の内を語った。メインの"ヤマデロイド"については、「顔が似てなくて良かった!」という率直な感想を吐露。「僕ってもしかして、まわりの目には阿部寛さんみたいに見えているのかな?」とユーモアを交えつつも、「『ありがたい話だけど僕に似ていたらギャグにしかならないだろう』と思った」と当初の気持ちを綴っている。山寺氏が全編にわたり歌っている楽曲が印象的な本作。実は坂本冬美さんの楽曲『アジアの海賊』が原曲になっているといい、これは堀内監督が以前、坂本さんのMVに編集・VFXとして参加したことがきっかけだったという。山寺氏も同楽曲が大好きだったといい、「レコーディングの際、初めはもっと高いキーで歌ったのですが『もっと余裕が欲しい』との要望が監督からあり、かなり下げたキーに落ち着きました」、さらに「作詞作曲の中村あゆみさんにメールしたら『楽しみです。自由に歌って下さい』とやさしい言葉を頂きました」などと、舞台裏を明かした。一方、アニメ評論家の氷川氏が注目ポイントを紹介する「氷川の二度見」のコーナーでは、「GLITTER(キラキラ)」をテーマに設定。氷川氏は作中の"金色の屏風"にフォーカスし、「アニメは金色を表現するのが難しいんです。GLITTERとは、つぶつぶに光があたって反射するような輝き方のこと。金色を表現できているということは、GLITTERを表現できているということ。そう思ってみてみると、森の中やミラーボールやサイリウムなど、いろんなところに散りばめられていて、作品の世界観の魅力になっています」と独自の着眼点を解説した。番組の最後には、ゲストの堀内監督、江本監督、西川氏の3氏に向けて「あなたにとってアニメとは?」という質問が投げかけられた。これに対し、西川氏は「生きる糧」と回答。理由には「単純にこれでご飯を食べているのと、次の作品への糧になるという二つの意味」があるとした。また、江本監督は「大衆のためのエンターテインメントであるべき」断言。一方、堀内監督の回答は「道楽」。同氏は「震災があって無力感を叩きつけられたのですが、エンターテインメントというものを根底から考えて、これからもやっていこうかなと」と内なる思いを説明した。なお、1月30日には第11弾作品『POWER PLANT No.33』が「日本アニメ(ーター)見本市」の公式サイトで公開予定(予告編は公開中)。さらに、2月2日には、本作の原案・監督・脚本を務めた吉浦康裕氏、原案・怪獣&ロボデザイン・美術監督を担当した金子雄司氏、キャラクターデザイン・作画監督を手掛けた斉藤健吾氏をゲストに招き、同作の制作秘話や作品に込めた思いなどを語る特別番組「日本アニメ(ーター)見本市-同トレス-」第11回が、動画サービス「ニコニコ生放送」にて生中継される。「日本アニメ(ーター)見本市」は、『新世紀ヱヴァンゲリオン』などで知られる庵野秀明監督が代表を務めるアニメ製作会社・スタジオカラーとニコニコ動画を運営するドワンゴが共同で行う短編映像シリーズ企画。若い才能に"挑戦の場"を提供するべく立案されたもので、さまざまなアニメーターたちが決められた予算と時間の中でオムニバスアニメーション作品を自由に創作し、毎週金曜日に1話ずつ公開していく。作品は公式サイトおよび公式スマートフォンアプリにて無料で視聴できる。(c) nihon animator mihonichi LLP.
2015年01月29日『イヴの時間』でおなじみの吉浦康裕監督による待望の最新作で、2013年11月9日より公開開始となる『サカサマのパテマ』だが、10月24日には、第26回東京国際映画祭(TIFF)の特別招待作品として本作の舞台挨拶がTOHOシネマズ六本木ヒルズ(スクリーン2)にて行われた。今回の舞台挨拶には、吉浦康裕監督とボイスキャストでパテマ役の藤井ゆきよ、エイジ役の岡本信彦が登壇。藤井は紺のミニワンピース、岡本は黒のスーツに華やかなピンクのTシャツ姿で登場した。若い女性の観客が多い会場を見て、吉浦監督は「主に岡本さんファンの皆さん、初めまして」と笑いを誘い「日本初上映ということで、こんなに大きな場所で上映することが出来て本当に嬉しく思います」と挨拶。スコットランド ラブアニメ映画祭2013(Scotland Loves Anime 2013)にて『サカサマのパテマ』が観客賞と審査員賞をW受賞したことを受け、海外を視野に入れて作品を作ったのかと聞かれると「海外というよりは、絵を1枚見ただけで誰でも興味を持ってくれる作品にしたかったんです。小学生から自分の両親まで見てくれる作品を目指したので、結果的には世界の人誰でも見てもらえる作品を意識したことになるのかなと思います」と説明した。藤井は感極まって涙ぐみながら「この作品で初めてヒロインをさせていただいて、スタッフ・キャスト一同本当に熱意を持って取り組んだ作品です。本当に素敵な作品に巡り合えて、このように見て下さる皆様とも会えて、本当に嬉しいです」と挨拶。作品の魅力について聞かれると「こんな不思議なボーイミーツガールの出会い方はないと思います。180度見えてるものも感じてるものも違う男女が、お互いに出会ってどう成長していくのかが描かれていて、とても胸キュンな作品になってるので、楽しんでいただきたいです」と説明した。岡本は「台本を読んで、すごいストーリーに感動して、本当にこのような作品に出会えて幸せだなって思います」と挨拶。「台本を読んだときすごい衝撃を受けたので、デフォルメをせず、感じたことそのままに演じました。視覚だけでなく考えも変わっていく、いろんな視点で物語が展開していくので、本当は完成した映画を最初に見たかったです」と作品への思いを語った。10月24日は岡本の27歳の誕生日ということで、サプライズで『サカサマのパテマ』のキービジュアルが描かれた特大ケーキと、会場から「のぶ君、誕生日おめでとう!」と声を揃えてお祝いされると、まったく知らされていなかった岡本は本当に驚いた様子で「ありがとうございます」と感謝を表し、「27歳になって、これからも頑張って声優としてやっていきたいです。アニメは海外に広がる作品なので、吉浦監督また是非お願いします」とアピール。写真撮影中にカメラマンに頼まれケーキを食べるようなポーズをすると観客から「カワイイ!」との声援が飛んでいた。最後に吉浦監督は「素直に楽しんでいただけたら嬉しいです。余裕があったら100人を超えるスタッフが参加してますので、作り手のことにも思いを馳せて見ていただけたら。今日ジャパンプレミアですが、ここから全国に、そして世界に広がって行けることを願ってます」と締めくくった。上映後、満場の映画館は割れんばかりの拍手が鳴り響いた。『サカサマのパテマ』は、11月9日より全国で公開。配給はアスミック・エース。
2013年10月25日