こんにちは。エッセイストで経済思想史家の鈴木かつよしです。今わが国では、葬儀の形やお墓というもののあり方が変わってきています。何代にもわたって同じ土地に住み続けるわけでもなく、生涯独身で生きてきたためお墓を守ってくれる子どもがいるわけでもなく。非正規雇用で働いているので100万円もするお墓を亡くなった親のために買ってあげる余裕もなく……。少子高齢化と相対的貧困の増加に伴って、亡くなった人のために家族がお墓を作るということをしない「ゼロ葬」と呼ばれる葬儀のあり方 が急速に広がりつつあります。今回は最新の葬儀事情をご紹介しながら時代とともに変わる供養の形について考えてみたいと思います。●ゼロ葬とは何か、どのような種類があるのかまず、『ゼロ葬』とは何でしょうか。一般的にその語源は宗教学者の島田裕巳先生が提唱してきた『ゼロ死』すなわち、「死んだら何も残さずゼロになるのがいい 」という概念に由来すると考えられています。ゼロ死には「死んでも葬式をあげない 」ゼロ葬儀と、「死んでもお墓は作らない 」ゼロ墓の2つの要素がありますが、最近は葬儀やお墓の業界でそれらを包括して『ゼロ葬』と呼んでいるようです。では、ゼロ葬にはどのような種類があるのでしょうか。ゼロ葬儀とゼロ墓の両面からみてみましょう。●(1)直葬(「ちょくそう」または「じかそう」)一般的な火葬式の手順にあるお通夜も葬儀も告別式も省略し、ご遺体を安置した後は火葬場に直行する形式のことです。関東地方では今や全体の4分の1がこれにあたる と言われています。●(2)遺骨引き取り拒否火葬場によっては遺族が遺骨の引き取りを拒否できるところがあります。その後のお墓等の心配をすることもないため、島田先生は元々はこれを「究極のゼロ葬」としています。●(3)預骨通常は火葬場からの引き取りを拒否できない遺骨を、葬儀会社に一時的に預かってもらうサービスのこと。非正規雇用の増加等に伴い、100万円前後の費用がかかるお墓を購入する経済的余裕のない人が増えているため、数万円の保証金でお墓が用意できるまで遺骨を預かってもらえるこのサービスの利用者は増加しています。しかし、一方で遺骨を預けたまま音信不通になる遺族が急増しており、問題になってもいます。なお『東京都公園協会』では、都民対象に何か所かの霊園で遺骨一時預かりの制度を設けています。●(4)迎骨遺族も高齢で思うように動けないといった場合、NPO法人のスタッフが遺骨を引き取りに来てくれてお寺の合同墓地などに運んで埋葬してくれるサービスのこと。費用は数万円と交通費程度 ですが、非営利活動が中心のため問い合わせが殺到しているようです。●(5)送骨遺骨を郵送ないし特別な宅配便で送るだけで業者がしかるべき合同墓地等に遺骨を埋葬してくれるサービスです。次に紹介する「散骨」も散骨業者に届ける方法が郵送や運送便であるなら送骨の一種であると言うことができます。●(6)散骨遺骨を粉末状にした後、海や山中等に撒く葬送の方法です。法務省の見解では、『節度をもって行われる限りは違法性はない』とされ、自分で段取りするよりは専門の散骨業者に依頼した方がずっと簡単であり一般的です。また陸地での散骨はさまざまなトラブルの原因となるおそれがあるため、今はほとんどが海洋散骨 です。また、遺族が乗船して海洋散骨に立ち会う場合は全体で数十万円の費用が見込まれるため、業者に一任して散骨してもらうケースが増えているようです。その場合の費用はおよそ5~6万円 といったところのようです。●なぜゼロ葬なのか、その時代的背景は?ゼロ葬がどのようなもので、どのような種類があるかについてはだいたいお分かりいただけたかと思いますので、次に、今なぜゼロ葬なのか、その時代的背景とはどのようなものなのかということについて考えてみましょう。経済思想史的な視点で見ますと、農林水産業という第一次産業があらゆる産業の中心であった時代から産業革命によって社会が工業化し、工業従事者の夫とそれを家庭内で支える妻と2~3人の子どもたちという「核家族」が社会の構成単位の中心となった20世紀まで、人間はその時代に合った形の家族を作ることで生きてきました。しかし、わが国では今世紀に入ってから、超高齢化で高齢者の身体機能が相当程度衰えた後も何年も生存し続けること、それに伴う介護や医療の必要性と、それにかかる高額な費用の問題。グローバル化で国外のフロンティアを開拓し尽くしてしまった資本主義が“非正規労働者”という低コストのフロンティアを国内に政策的に作り出したこと、それに伴う貧困層の増大。こういった諸々の“資本主義の限界”が家族という生活単位の勤続疲労と“ゼロ葬の時代”を生み出したと言うことができます。今はもう先祖代々の田畑を耕すためにずっと同じ土地に住み続ける必然性があるわけでなく、子どもたちは非正規雇用なので100万円もするお墓を買うくらいなら自分たちが生きるために使いたいですし、見栄を張るような相手もいないので立派なお葬式を出す必要などありません。だいたいお墓を買ったところで独身の子が多いですから、いずれお墓を守る人もいなくなります 。しかも昔と違って今の宗教は貧しい人たちの心の拠り所ではなくなり、どちらかというと恵まれている人たちの権威と親和性のあるものとなっていますので、宗教色のある供養の形にこだわる気持ちもありません。ざっとこのような理由から、ゼロ葬は今のわが国にあって“当然の弔いの形”になりつつあるのだろうと考えることができるでしょう。●ゼロ葬にするのは経済的な事情が全てではない? 積極的な理由でゼロ葬にした人たちおしまいに、ゼロ葬ないしゼロ墓にするのは何も「経済的に厳しいから」という事情ばかりではなく、ある意味積極的な考え方をもってそうする場合もあるというお話をして締めくくりたいと思います。日本の有名人でも本人や遺族の意思でお墓を作らずに散骨された人が数多くいます。落語家の立川談志さん、作家の山本七平さん、女優の沢村貞子さんや乙羽信子さん、深浦加奈子さん、俳優・歌手で戦後の大スターだった石原裕次郎さん、演歌歌手で宇多田ヒカルさんの実母である藤圭子さん、ザ・ドリフターズの荒井注さんなど、あげたらきりがありません。顔ぶれを見ると何となく共通点が感じられ、筆者には“なくなってからまで偶像のようにあがめられることは本意ではない”的な気概を感じさせる人たちばかりに見えます。こうして見てくると、経済的な事情でゼロ葬を選ぶ人も、金銭的な問題ではなく自分や家族の考え方でゼロ葬を選ぶ人もあり、ゼロ葬は今のわたしたち日本人にとって「しっくりくる」供養のあり方になりつつあるような気がいたします。みなさんはどうお感じになりますでしょうか。【参考文献】・『0(ゼロ)葬ーーあっさり死ぬ』島田裕巳・著●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)●モデル/神山みき(れんくん)
2017年04月25日お墓というとご先祖様が眠る場所…そんな、どこか遠いイメージがありませんか? でもいつかは自分も入る場所。自分はどのお墓に入るのか、夫は? 義両親は? 子供がいない場合は? わからないことだらけのお墓のキホンをおさえておきましょう。■誰がどのお墓に入るかはどうやって決める?誰がどのお墓に入るのかということを定める法律はなく、家族や親戚との話し合いで決めることになります。ただ慣習では、長男長女が先祖代々のお墓を承継者として受け継ぎます。お墓を承継すると、そのお墓に本人とその妻や長子も入ることができます。これまでは、長子以外の次男などは別のお墓を建てていましたが、最近では、お墓をひとつにまとめるケースも増えつつあります。つまり次男でも承継者の承諾を得て同じお墓に入れるということ。とくに子供がいない場合などはそのケースも多いようです。また、長子と結婚した女性の場合、嫁ぎ先のお墓に入ることが一般的とされてきましたが、最近では必ずしもそうしない夫婦も増えてきました。「夫と同じ墓はイヤ!」「義両親と同じ墓には入りたくない」 という場合は、夫婦のお墓を別に建てたり、自身の実家のお墓に入ったりということも可能です。■お墓っていくらぐらいするの?あらたにお墓を建て、維持するためには、いくらぐらいかかるのでしょうか?<お墓にかかるコスト>・墓地の永代使用料(霊園や寺院などに支払う土地利用料)・墓石代とその工事費・維持管理費お墓の値段は、一般的には「永代使用料+墓石で100万円~200万円ぐらい」が多いそう。ただし墓石の値段や立地、区画の広さなどで大きく異なります。永代使用料は安い場合で約30万円、都心の霊園では400万円以上というものも。維持費はお墓の管理費や掃除代などとしての設定が多く、公営や民営の霊園、寺院などによって含まれるサービスや料金はさまざまです。ある地方では、公営霊園の場合は掃除なしで年間維持費が1,000~1万円、民間霊園では掃除代を含めて年間3~4万円とか。また、寺院の場合は、お墓の管理維持費としてではなく、だん家としての会費を支払う形が一般的。寄付やお布施などをあわせると、総額としては公営や民営より高額になるパターンも多いようです。 ■子供がいない場合はどうなるの?子供のいない夫婦や独身の人など、将来お墓を供養してくれる人がいない場合は、「永代供養墓」や「共同墓」という方法があります。「永代供養墓」は、生前にお墓に入る人が費用を前払いすることで、お寺や霊園などが永代に渡り管理してくれるお墓のこと。「共同墓」は、親族以外の他の人と同じお墓に入って供養・管理していくものです。料金などは永代供養墓と同様のケースが多いようです。お墓トラブルで多いのは、維持費を支払っていた人が亡くなり、承継者である子供がいなくなってしまった場合に滞納してしまう…というケース。滞納が続くと撤去のおそれだけでなく、膨らんだ滞納金を親族が請求されてしまうことも。「お墓の維持費を誰が負担するか」は十分に話し合っておくことが重要です。元気なうちは想像もできないことですが、いつかは考える必要が出てくるお墓問題。自分がどのお墓に入りたいのかを実現させるためには、家族で一度ゆっくり話し合うことが大事です。また自分の希望をかなえるために、生前にお墓を用意する、遺言に書き記すといった用意も必要となってきます。自分はどこで永眠したいのかということを、一度ゆっくり考えてみてはいかがでしょうか。
2016年11月15日就活、恋活、婚活、妊活…など、人生にはいろいろな活動があるものですが、私たちが最後に取り組むことになるのは「終活」。親世代と話していると、「お墓」や「生前整理」といった話題が出てくる機会も増えてきました。「自分が死ぬ前には、周りに迷惑をかけないよう色々と準備しておこう」という意識は、近年広く浸透しつつあります。とはいえ、30~40代の私たちにとっては正直まだピンとこない話題。とくにお墓などは「何十年か後に考えればいいや」という感覚です。昨年30~40代の男女を対象に行われたある調査(※)でも、「自分自身の死後の準備について考えたことがない」という人が半数。一方で、「生前に自分で用意しておく必要がある」と感じている人も6割を超えてきています。備えあれば憂いなし。春のお彼岸を前に、今のうちにお墓について知っておいたほうがいいことはあるのか、調べてみました。■やっぱり気になる「お金」のこと! 平均価格は約257万円!?30~40代であれば、「自分が老後どこに住むのか」「そのときの家族構成はどうなっているのか」「だれかに墓守を頼みたいと思うのかどうか」など、まだまだ不明な状況だと思います。しかし人生プランを考えると、「お金」のことだけは少し気になるのではないでしょうか。これだけは今から計画的に考えておかないと、後から困る可能性もありますよね。上述のアンケートでも、お墓について心配に感じる点としては、「金銭が高いのではないかと心配(女性/32歳)」「他の人に迷惑がかからないようできるだけ安く簡素にしたい(男性/43歳)」「維持費など子どもに負担をかけたくないと思う(女性/48歳)」など、金銭面を案じる回答が多くあがっていました。では、自分のお墓を用意するとしたら、いくらかかるのか。調べたところ、東京都内のお墓の平均価格はなんと約257万(永代使用料+墓石価格)でした。思いのほか立派な金額にびっくり!都内だからだろうと思いきや、全国平均でも196万円となかなかの高額です。年金支給額にも期待できない私たち世代にとって、これは結構な負担ですよね…。■安価で利用しやすい「お墓のマンション」がじわじわ人気に「もっと安価なお墓はないのかな」と思ったところで見つけたのが、最近流行っているという「自動搬送式納骨堂」というスタイルのお墓。これはわかりやすく言えば「お墓のマンション」です。この「自動搬送式納骨堂」を取り入れている『 ひかり陵苑 』によると、普段は立体駐車場のようなカタチで骨壷を保管・管理していて、だれかがお参りに来たときは、ICカードをタッチするだけで、自分の家の遺骨箱が自動的に運ばれてきて、参拝ができる――そんな最新式のお墓だそう。普通のお墓に比べると、「都心にあるので気軽に参拝しやすい」「天候に左右されず快適に参拝できる」「風雨にさらされないので痛みにくく、草むしりや掃除も不要」「お供え物やお花は、施設スタッフが日々管理してくれる」など、さまざまなメリットがあります。そして、なんといっても値段が手頃。一般的には平均で100万円前後(永代供養料+管理料)で、さらに先ほどの『 ひかり陵苑 』では、85万円+年間護持会費1.5万円で納骨堂ができるとのこと。通常のお墓の半額以下で済むそうです。■「自動搬送式納骨堂」は今のニーズにマッチした現代のお墓今の時代、不便な場所にお墓を作って親族や子孫に面倒をかけたくはない、と考える人は多いでしょう。とはいえ、「私の遺骨は海にまいて捨てて!」なんて大胆な選択をするには勇気がいるし、何より遺される立場から考えれば、大切な人のお墓がどこにもないというのはちょっと寂しいですよね。「亡くなった伴侶や親のところにお参りに行って話がしたい」などと思う瞬間もきっとあるでしょう。「自動搬送式納骨堂」は、そんな私たちのニーズにぴったり合った現代型のお墓といえそうです。上述のアンケートでも、「従来の霊園や墓地のスタイルより、都心にある自動搬送式の納骨堂のほうがいい」と答えている人がすでに3割も。都心の土地不足がさけばれるなか、こういったお墓は今後もますます増えていくと予想できるでしょう。選択肢のひとつとして知っておくと、自分の先々のプランを考える際や、親のお墓について検討する際にも役立ちそうです。■見学もできる! 人気の目黒エリアにある納骨堂「自動搬送式納骨堂がどんなものか、ちょっと見てみたいな」という人は、先ほど話を伺った『 ひかり陵苑 』で見学ができます。女性に人気の目黒エリアにあるので、お出かけついでにのぞいてみるのも良さそうです。お墓のマンションといっても、こちらは千年以上の歴史を持つ「臥龍山 安養院」が運営管理している納骨堂。周辺には豊かな木々や観音堂などもあり、ちゃんとした“お寺”の雰囲気や安心感もあります。2016年3月末までは、クオカード3,000円分がもらえる特別見学会も実施されています。今年の春のお彼岸は、3月17日(木)から3月23日(水)まで。目黒川はこれから桜の季節でもあります。命のはかなさをも感じさせる桜を眺め、ご先祖に手をあわせると同時に、自分自身の未来のために下調べに出かけてみるのもいいかもしれません。・ ひかり陵苑 (※)文中のアンケートデータは、(株)MediaShakers調べ。2015年10月実施、都内在住の30~40代・男女各50人へのインターネットアンケート調査による。
2016年03月16日「保険クリニック」はこのほど、お葬式やお墓にどのような希望を持っているかについてのアンケート調査を実施し結果を発表した。調査は8月4日~5日、40歳~60歳の500名(男女各250名)を対象に行われた。○40代以上の既婚女性26.4%が「夫と同じお墓はイヤ」調査ではまず、40歳~60歳の既婚者361名に対し「あなたは配偶者と同じお墓に入りたいですか?」と尋ねたところ、男性10.6%、女性26.4%が「入りたくない」と回答。昨年に引き続き、女性が男性を大きく上回る結果となった。配偶者と同じお墓に入りたくない理由について、女性からは「死んでまで一緒にいたくない」「義父母も一緒だから」「自分の両親と入りたい」など、お墓を共にする相手に関する意見や、「お墓はいらない」「散骨してほしい」と、お墓自体に入らない考えを持っている人も見受けられた。ちなみに、配偶者と「入りたい」と回答した女性からは、「縁あって結婚した人だから、夫婦だから」、「一緒にいたい」、「当然だと思うし他に入れる所はない」、「子どもがめんどうだから」といったコメントが寄せられた。○お墓がない人の約6割が「お墓を購入しない」と回答次に、調査対象者全員に、お墓の準備をしているか聞いたところ、52.6%は先祖代々のお墓を持っていることが分かった。先祖代々のお墓がない237名のみの回答で比べると、「生前に購入した(19.0%)」「これから購入予定(21.5%)」「購入しない(59.5%)」という結果に。先祖代々のお墓がない人のうち、およそ6割が「お墓を購入しない」と回答し、その割合は昨年同調査よりも増加した。また、お墓を託せる人については、「子ども(255名)」が最多回答となり、次いで「配偶者(178名)」「いない(145名)」と続き、およそ3割の人にお墓を託せる人がいないことが明らかとなった。○希望の葬儀は「家族葬」、お墓は「霊園・共同墓地」次に、どのようなお葬式をしたいか尋ねたところ、「家族葬(285名)」が断トツ1位となり、多くの人が家族やごく親しい人だけで行いたいと考えていることが明らかとなった。また、お葬式をせずに火葬だけを行なう「直葬(63名)」や、亡くなったことを公にしないで行う「密葬(39名)」など、より簡素化されたお葬式を好む人も多くいることがわかった。最後に、どんなお墓や埋葬方法がいいか聞いたところ、「霊園・共同墓地(216名)」「近所のお寺(教会)の墓地(80名)」「タワー墓地・納骨堂(43名)」といったお墓を希望する人は67.8%。また、お墓を必要としない「散骨(101名)」や「樹木葬(54名)」を選んだ人は31.0%となった。
2015年08月13日今お墓に何が起こっているのか、『葬式は、要らない』(幻冬舎新書)、『0葬 ――あっさり死ぬ』(集英社)などのベストセラー作家で、日本の葬儀・弔いのあり方に一石を投じてきた宗教学者・島田裕巳先生が執筆した、『お墓の未来 ~もう「墓守り」で困らない~』(マイナビ新書)が、5月23日(土)に発行された。この本の中で、最近何かと話題が多い「お墓」の諸問題をまとめ、解決策を提示している。都会に家を建ててしまったけれど、故郷の墓はどうすればいいのだろうか。島田先生にその解決策をインタビューした。――島田先生の新刊『お墓の未来 ~もう「墓守り」で困らない~』では、これまで当たり前の存在だったお墓を管理する人=「墓守(はかも)り」がいなくなることによって起こる問題を中心に解説されています。「墓問題」について、どのような問題が起こっているのか、教えていただけませんか?これからお盆の時期を迎え、テレビや雑誌などでお墓の話題が増えていきますが、最近は「無縁墓が増えている」ことと「新しい葬り方が増えている」ことがよく話題になります。そうすると、みんなが「お墓をどうすればいいの?」という不安を抱くようになります。今はまだ、意外と若い頃にお墓を買っていたり、故郷に墓があるからと安心したりしている人も多く、お墓を維持していくことの大変さをわかっている人が少ないんですね。それがわかるのは、実際に親が亡くなって、葬儀をしたり、埋葬したり、都会でお墓を買ったりして、初めて「こんなに大変なことなのか!」と、気づくわけです。そうすると、自分の子どもにはこんな経験をさせたくないと思うわけです。――確かに、自分の両親が亡くなるまで実感できないかもしれません。お墓を継ぐという意識もありませんでした。人が亡くなると、相続という問題が起こり、いろんなことがそこにかかわってきます。特に団塊世代で、都会に家を建てて故郷に帰らなくなった人が増えているわけですが、そうした中には将来的に「実家の片づけ」を考えなければいけない人も増えています。同じように「墓じまい」という言葉も使われ始め、話題になるようになりました。ですが、本の中でも解説しましたが、墓というものはやっかいなもので一度つくってしまうと、簡単になくすことができません。まだ、その世代は「なんとかしないといけないな」と思いがちです。でも、さらにその子どもの世代になると、故郷にある墓を面倒見ることに疑問を感じるようになります。今あるお墓の1番の問題は、「故郷にある墓が維持できなくなっている」ことにあります。――確かにお墓が問題になっているのだとは思いますが、それは人口減少に悩む地方や、「無縁化」してしまった一部の人の問題なのではないでしょうか?今、自分の将来がどうなるのか、考えることがむずかしくなっています。例えば結婚しなかったらどうなるのか?あるいは、結婚して、家庭をつくって、子どもがいて、年をとって…・・・自分が80歳、90歳になる、そういうことをなかなか考えられないわけです。医療の発達や社会の変化により高齢化社会になったことで、新しい事態が生まれているわけです。そのため、昔の考え方が通じない、一時当たり前と思われていたことが当たり前ではない社会になりつつあります。――なるほど。だからこそ、墓の問題を今、考えなければいけないわけですね。日本の墓は「家」単位でできていて、家が続くことの象徴として墓があります。ですが、今は家の役割が小さくなってきていて、制度がズレてきている、でも簡単になしにすることができないわけです。将来にわたって若い人が墓の管理を維持しなければならないということを、今、考えなければいけないんです。時間がたてばたつほど解決できなくなります。――とはいっても、やはり習慣や伝統は守るべきという考えもあると思うのですが?例えば、今「夫婦別姓」が最高裁で審理されていますが、その場合には何々家の墓といった話も通じなくなります。従来の家のあり方が変わるのに、墓のあり方が変わらないわけにはいきません。かつてのように、妻が同じ墓に入るのが当たり前、今までの墓のあり方がこうだから、ということを後を継ぐ人が受け入れてくれないわけです。習慣や伝統といっても、実は最近生まれたのものだって多いんです。日本は火葬率が99%を超える「火葬大国」ですが、日本で火葬が普及したのは戦後です。クリスマスだって、昭和20年代の頃は男性がバーで騒いで祝うものでした(笑)。社会の変化ともに習慣だって変わるべきです。しきたり=伝統という考えが間違っていて、しきたりは時代にあった新しいものなんです。しきたりが時代にそぐわなくなって家族や親族の間で問題が起こるのであれば、新しいしきたりを考える必要があります。――時代にそぐわなくなった墓のあり方を、変えていかなければいけないわけですね。今、社会がすごく変わってきています。勢いが激しい。人口の減少がますます本格化してきて、2040年には、年間約167万人が亡くなって、生まれてくる数が66万人しかいなくて、毎年100万人ずつ減少していくと予測されていて、想像もつかない事態です。消滅するのは地方や故郷だけでなく、日本全体が消滅しかねないわけです。今の人は世間、共同体の中に生きていなくて、ノマド※という言葉がありますが、ノマド化、個人化しているんです。家社会と言われていたものが、もうなかなか言えなくなっていて、今の日本人はどう生きるべきかを、考えなくてはいけなりました。個人としていろいろなものにしばられない、自由を尊重する方向に進んでいる社会の中で、家を持たない、墓を持たない生き方のほうが、時代に即した生き方になるかもしれません。ですが、墓は簡単に片づけられるものではありません。墓石はどうするのか、墓地をどうするのか、檀家をどうするのか、墓は簡単になしにできません。もっと、「墓ってなんなの?」ということを自分自身が考える必要があります。自分たちを幸せにする墓のあり方、この本を参考にあなた自身の墓をどうすることが理想なのか考えていただきたいです。※ノマド:英語で「遊牧民」の意味。クラウド環境を駆使してオフィスだけでなくカフェなどのさまざまな場所で仕事をする、新しいワークスタイルを指す言葉。このような働き方を「ノマドワーキング」、このような働き方をする人を「ノマドワーカー」と呼ぶ。『お墓の未来 もう「墓守り」で困らない』執筆:島田裕巳価格:918円/税込み新書判:216ページISBN:978-4-8399-5496-3発売日:2015年05月23日シリーズ名:マイナビ新書書籍紹介ページはこちら
2015年05月26日サンセキはこのほど、お墓のポータルサイト「お墓フェ」をオープンした。お墓やお墓参りに関する様々な知識や、最新の情報を発信していく。同サイトは、お墓参りをする側の視点に立ち、お墓やお墓参りを取り巻く新しいライフスタイルを提案・紹介することで、お墓と一生の締めくくりに関して、ポジティブかつ真摯に向き合うきっかけを作り出すことを目的としているという。サイトでは、「おハカせ」「りた」「ボッヒー」のオリジナルキャラクター3人が、お墓や終活に関する知識や最新情報などを紹介。主なコンテンツとして、お墓の値段や準備の仕方など基本情報を掲載する「お墓のキホン」、お墓に関する様々なトピックスを集めた「お墓フェレポート」などを用意している。このうち、「お墓フェレポート」では「生前墓」に関するトピックスを紹介。2015年1月に行われた相続税改正により、基礎控除が4割縮小されることになり、相続税対策を検討する人が増えている。そのため、非課税財産に当たり相続税の課税対象にならない「生前墓」への関心が高まっているという。今後は、日本エンディングサポート協会佐々木悦子理事長による終活についてのコラム連載も予定している。
2015年03月04日メモリアルアートの大野屋は、国内初のペットと一緒に眠れるお墓「ウィズペット」を展開している。この試みは国内初とのこと。○犬・猫だけではなくどんなペットも納骨OK「ウィズペット」は、ペット専用墓地や納骨堂とは異なり、家族のお墓に"共に生きたペットも一緒に埋葬したい"と願う人へ向けた、永代使用権付のお墓。同社では、2003年に業界に先駆けて、ウィズペットを「町田いずみ浄苑」で提供開始し、現在は全国で5カ所を展開している。お墓には、犬や猫だけではなく、どんなペットでも一緒に納めることができるという(納骨できる骨壺のサイズは限りがある)。先にペットだけ納骨もできる。ペット霊園などに入っているお骨も、骨壷に納められている状態なら納骨が可能。石碑のデザインや形は、霊園によって高さなど一部規定があるが、デザインや形は好みに合わせて、自由に作ることができる。石碑にペットの名前やメッセージを刻むこともできるという。他のお墓とは異なり、ペットとともに眠ることができるが、特別な価格設定は設けていないとのこと。購入者からは、「花に囲まれて、家族みんなで一緒にいられる」、「家族も安心して"その時"を迎えられる」など、好評だという。「ウィズペット」取り扱い霊園は、町田いずみ浄苑(東京都町田市)、奥多摩霊園(東京都西多摩郡)など。詳細はウェブサイトで案内している。
2015年01月29日鎌倉新書は27日、総合情報サイト「いいお墓」の利用者を対象に実施した「第6回 お墓の消費者全国実態調査」の結果を発表した。それによると、お墓の購入価格の二極化が広がっていることがわかった。購入したお墓の価格(永代使用料+墓石価格)を聞くと、「100万円以上150万円未満」が25%で最多。以下、「150万円以上200万円未満」が22%、「100万円未満」が15%と続き、200万円未満が6割強を占めた。前回と比べると、150万円未満の割合は前回比5ポイント増の40%に拡大し、低価格墓所・墓石を購入する傾向が強まっていることが判明。その一方で、高価格帯の300万円以上を購入した人は前回の3%から12%に増加し、中には2,000万円以上の人もいるなど、購入価格の二極化が広がっていた。全国の平均価格は196万3,700円で、前回の211万3,200円から約10%下落。東日本は203万5,000円(前回222万4,900円)、西日本は174万3,500円(同200万1,500円)となった。都道府県別では、東京都が最も高く256万7,100円(同269万6,100万円)。前回と比べると、京都府と兵庫県を除いて全体的に減少傾向が見られた。調査日は2015年1月27日。調査対象は2014年1月1日~12月31日にまでに「いいお墓」にて資料請求・相談してお墓を購入した人で、有効回答は848人。
2015年01月27日人が亡くなって初めて必要になる物があります。お墓はその代表でしょう。普段は気にかけませんが誰でもいつかはお墓が必要になります。でもお墓って一体いくらぐらいする物なのでしょうか。お墓価格.net代表取締役、水上孝一さんにお話を伺いました。お墓価格.netさんはインターネット上の店舗で墓石を販売している会社です。代表取締役の水上さんは約20年も石材店に勤務し、その後お墓価格.netを立ち上げました。■お墓も今や中国製です!――お墓がいくらするかについて知りたいのですが。水上代表取締役先に、まずお墓がどうやって作られるかについて知って頂いた方がいいと思います。――確かに製造工程も知らないです。ぜひ教えてください。水上代表取締役今はお墓ってほとんどすべて中国で作ってるんですよ。石を中国の工場に入れて、そこで彫刻などの加工を行なって、それを日本に持って来て組み立てるんです。――中国で作ってるんですか!水上代表取締役ほぼそうです。たとえば街中の墓石屋さんに発注しても、そこから中国の工場に発注が行きます。で、中国から運ばれたものをその墓石屋さんが設置するわけです。――日本で作ったりはしないんでしょうか?水上代表取締役ほぼないですね。特別な加工が必要な場合は別ですが。なのでほぼすべてのお墓は中国の工場からいったん仕入れるわけです。――すると、お墓の価格というのは中国の工場の出荷価格が基本になるんでしょうか?水上代表取締役そういうことですね。中国の工場を出る時の価格は(製品が同じ仕様なら)どこも全部同じなんですよ(笑)。それに必要経費、利益率などを加味して値付けをするわけです。ショウルームを持っていたり、社員をたくさん抱えている会社なら当然その分のコストを乗っけないといけませんので、元が同じ価格で、同じ製品でも価格はぐんと上がってしまうわけです。――なるほど。お墓価格.netさんのお墓の価格はどんなものでしょうか?水上代表取締役たとえば弊社で一番安価な製品は40万円です。――中国から持って来てお客さんの指定墓所に設置しないといけないと思うのですが、その実費などは?水上代表取締役込みです。全国どこに設置してもこのお値段です。――えっ?設置する職人さんなどはどうしているんですか?水上代表取締役全国にうちが仕事を依頼している職人さんがいますので大丈夫です。職人さんが基礎工事も全部やって、運ばれた墓石を組み立てて設置完了ですね。――その職人さんのネットワークを全国に構築するのに時間がかかったのではありませんか?水上代表取締役いえ1年ぐらいでできましたよ(笑)。もちろん私が石材店に20年も勤めてましたので、その時の人脈を使って作ったので。――一番売れている墓石の価格帯はどうでしょうか?水上代表取締役ご相談が多いのは3平米~6平米の広さで70万円~130万円でしょうか。100万円前後の物が一番人気があると思います。他社さんと比較すると100万円以上安価なはずです。――お墓価格.netさんはインターネットのお店なのでこの価格が実現できているんでしょうか?水上代表取締役そうです。無駄なところをすべて省いて安価にして、全国のお客さんを相手にしたいと思っていますので。普通、墓石の商売というのは地域密着型で、潜在的な顧客数というのも限られたものなんです。だから数が出るわけはない、イコール利益率を上げなくてはらない、つまり高価になるってことです。でも、弊社のようなスタイルにすると全国のお客様を相手にできる、イコール数が見込める、安価に対応できるということです。■石を数える単位を「才」という――墓石に使う石の種類で価格はずいぶん違うのでしょうか?水上代表取締役それは違います。たとえば墓石用の最高の石は庵治石(あじいし)とされています。この庵治石は、ヨーロッパ産でも最高レベルとされている石と比較して数倍の価格がします。――するとお墓の価格にも石の価格はかなり影響するんですね。水上代表取締役いえ弊社の場合はあまりそうとは言えないですね。たとえば、「この石は日本産なんで(同じデザイン、仕様でも)墓石の価格が2倍、3倍します」なんて説明をする所があるかもしれませんが、実はそれは誠実ではないですね。――と言いますと?水上代表取締役たとえば、弊社で石を10才使ったお墓があるとします。――才と言うのは何ですか?水上代表取締役石の数を数える単位を「才」と言います。30cm×30cm×30cmの立法体が1才。石は「1才いくら」という風に価格を言い表します。――なるほど。30cm×30cm×30cmの立法体を10個使うということですね。水上代表取締役たとえば1才10,000円の石があったとしましょう。10才ということは100,000円ですね。倍の1才20,000円の石があったしても10才で200,000円。差額は当然100,000円です。でも、デザイン、仕様が同じということは工事費、組立代などは同じなわけですよ。ですから石が倍の価格になったからと言って、お墓の価格がイコール倍になるってことはおかしいわけです。「差額の100,000円上がります」だったらわかりますけれどもね。――それはそうですね。水上代表取締役ですので弊社の場合は、きちんとそれぞれの墓石が何才でできるのかも明示しています。明朗会計でしょ(笑)?■49日に間に合わせてほしい!――その人が亡くなってから「お墓をどうしよう」と考えるものだと思いますが、「早く建ててくれ」と言われないですか?水上代表取締役それは言われます(笑)。みなさん仰るのは「なんとか49日までに建ててもらえないか」ということです。――間に合うんですか?水上代表取締役船便の都合とか色々あるんですが、もちろんできるだけの努力はします。――発注してからできるまでどのくらいの時間がかかるものなのでしょうか?水上代表取締役早い場合は3週間から1カ月ですね。なので早くご発注頂けたら49日には間に合わせることが可能です。■インターネット店舗の悩みとは?――インターネットで営業をするので安価に提供できているのだと思いますが、ネット店だからこその悩みというのはありますか?水上代表取締役それは「信用してもらえるか」ってことですね。インターネット上の店舗ですので「お金を支払って大丈夫か」と、どうしても思われるみたいです。お会いして見積もりをお出しして、とさせて頂くんですが、でも1回会っただけで信用してもらうというのも難しいと思いますし。先日も、3.11の震災被害に遭われた方に依頼されて行って来ました。お気の毒に津波で墓所が流されたんですね。で復旧しなくてはならないと。やっぱりその時初めてお会いするので最初は「どうしようかなあ」という感じでした。――どうなったんですか?水上代表取締役有難いことにご発注頂きました。「弊社は他社さんと比べて100万円くらいお安いですよ。その100万円でハワイに家族旅行をされたらいいじゃないですか」と、いつもそういう風にお話しするんですけどもね。お墓価格.netさんのような営業努力があって、お墓の価格も安価になっていることがわかりました。ちなみに、価格は墓石の価格です。それを設置する墓所の土地代は別途ですのでご注意ください。(高橋モータース@dcp)お墓価格.netのサイト
2012年10月29日プラウド中村は7日、お墓の所在を調査するサービス「お墓探偵」の公式Webサイトを開設した。「お墓探偵」は、国内・海外のお墓参り、故人のご供養などの代行サービス「天生(てんしょう)」を運営する同社のお墓捜索サービス。依頼者が持つ情報を元に、所在がわからなくなってしまった先祖のお墓や、お世話になった恩人や知人のお墓、ファンだった有名人のお墓、大切な方が亡くなった思い出の場所などの所在を調査する。本年1月のサービス開始以来50件以上の調査依頼を受け、90%以上の成功実績をあげているという。料金は成功報酬制。国内の調査で、場所の目安となる情報がおおむねそろっている場合、調査費は2万円+実費から。お墓が発見できなったときは実費のみ負担で、調査費は無料となる。極秘調査、海外調査なども請け負う。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年09月10日「全国優良石材店の会」(略称・全優石)は12日、同会に加盟する石材店で実際にお墓を購入した人を対象に実施した「2012年お墓購入者アンケート調査」の結果を発表した。同調査は、3月~5月の期間に郵送にて行われ、3,153名から有効回答を得た。建てたお墓の形について全国で見た場合、「伝統的な和型」は2011年の47.4%から6.2ポイント減少して41.2%。和型は、2010年に初めて半数を割って以降(49.5%)、減少傾向が続いている。一方、「シンプルな洋型」は昨年の34.3%から大幅増の40.9%、「デザイン墓」は昨年の12.6%からわずかに減った12.0%だった。墓地取得費用を除いた墓石の購入金額を尋ねたところ、「100万円~200万円未満」が最も多く47.0%。以下、「50万円~100万円未満」が25.6%、「200万円~300万円未満」が17.3%、「300万円~400万円未満」が4.8%と続いた。お墓の平均購入価格の全国平均は、2004年の調査開始以降、過去最低となる162万円。また、墓石タイプ別平均価格は、「伝統的な和型」が172万7,300円、「デザイン墓」が171万1,600円、「シンプルな洋型」が149万7,800円となっており、今回、平均購入価格が過去最低を記録したのは、墓石タイプ別で最も安い「洋型お墓」の建立が増えていることが関係していると見られる。地域別に見た場合、最も高いのは九州で195万3,000円。次いで、北陸が165万1,000円、1都3県(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)が164万4,000円、中部が164万2,000円となった。トップの九州は2位以下に大差をつけており、特に最安の北海道の130万6,000円と比べると、差額は64万7,000円に上っている。また、最初に墓石を建てた墓地の形態を調べたところ、「新しく購入した墓地」(寺院、公営、民営含む)が50.6%、「すでにあった墓地」(同)が31.9%、「地域や共同体の墓地」が10.6%、「屋内式のお墓」が0.1%だった。地域別に見ると、関東では「新規購入」(寺院、公営、民営含む)が多く65.7%、1都3県で69.9%(同)、うち「民営墓地」の割合は関東で45.6%、1都3県で51.5%を占めた。東北と中部では、「既存寺院墓地」に建てた割合が高く、東北で38.3%、中部で31.2%。また、北陸、四国、近畿などでは、「共同体墓地」が多く、北陸で39.4%、四国で42.9%、近畿で22.3%に上った。このほか、墓石選びで重視したこととして、「石の色」(44.1%)、「石の材質」(41.9%)、「価格の手頃さ」(35.8%)が上位3位にランクインした。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年07月12日仏事関連サービスの株式会社メモリアルアートの大野屋では、近年注目を集めている「永代供養墓」についてまとめた。「将来お墓を継ぐ家族や親せきがいない」という社会的背景や「お墓のことで子供に負担をかけたくない」という声を受け、寺院や霊園が永代にわたって供養をする永代供養墓への注目が高まっているという。永代供養は、遺骨の安置方法によって3種類に分けられ、個別安置型・集合型・合祀(ごうし)型がある。また、同社が提供している永代供養墓にも屋外集合型や樹木葬、室内墓苑(ぼえん)など多くの種類があり、予算や供養スタイルに応じて選ぶことができる。とくに室内墓苑はコンピューター制御による可動収納型のお墓で、天候に左右されずいつでもお墓参りができると好評だ。一般的なお墓から永代供養墓に移行させるケースもあるという。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年03月15日「墓マイラー」という言葉を、知っていますか?これは、著名人の墓を訪れ故人と向き合う新しい街歩きのスタイルで、歴史に興味のある「歴女」をはじめとして、若い女性たちを中心に人気が高まっています。今回は、その入門編として、「墓マイラー」の心得やおすすめスポットを紹介します。■実は江戸時代から続く風習!「なんか縁起悪そう」とか「お化け出そう」という感じで、ちょっと暗いイメージがあるかも知れません。でも実は江戸時代から続く風習で、「掃苔(そうたい)」という名前で文化人たちの趣味でもあったのです。そして海外でも、主にヨーロッパなどでは有名人のお墓参りをするのは生活文化として根付いていると言われています。■持ち物は?では次に、持参したい持ち物を紹介しておきます。●お花や線香:これは通常のお墓参りと変わりません。その際、線香に火をつけるためのライターやチャッカマンも忘れずに。●カメラ:基本的には撮影禁止ではないので、カメラを持参しても問題ありません。三脚まで用意していくツワモノも多いようです。●ガイド本:最近の「墓マイラー」ブームを受けて、霊園の歴史やどの著名人がどの場所に眠っているかなどをまとめたガイド本も出版されているので、購入していくと良いでしょう。逆に、食べ物はお供えしない方が良いでしょう。カラスなどに荒らされる可能性があり、管理の方に面倒をかけてしまいます。■イベント・サークルを利用する「一人じゃちょっと」という方も多いと思いますので、友人やご両親を誘ってみてはいかがでしょう?特に年配の方は歴史に精通して入る方も多いので、共通の趣味としてきずなを深めることができるかも知れません。またmixiやfacebookなどでファンページをつくって定期的にイベントを開催しているサークルもあるので、参加を検討してみては?■パンフレットを入手しよう!大規模な霊園では「墓マイラー」のために、有名人たちのお墓の場所が記された園内マップを用意しているところもあります。記念にもなるので、いただいていきましょう。■マナーはきちんと守ろう!当然のマナーとして、霊園内では静かに故人をしのぶことを心がけましょう。ただ写真を撮って終わり、というのではなく、お水をかけたり、雑草を抜いたりとマナーや礼儀を守ってくださいね。■都内のおすすめスポット5選!それでは最後に、都内のおすすめの霊園と、そこに眠る著名人を紹介しておきます。●雑司ヶ谷霊園(豊島区):夏目漱石、ジョン万次郎、永井荷風など。●青山霊園(港区):大久保利通、志賀直哉、星新一、秋山好古など。●多磨霊園(府中市):三島由紀夫、東郷平八郎、岡本太郎など。●谷中霊園(台東区):渋沢栄一、横山大観、徳川慶喜、長谷川一夫など。●染井霊園(豊島区):岡倉天心、高村光太郎・智恵子、二葉亭四迷など。(OHSK/ハウコレ)【関連リンク】知的な「囲碁ガール」が話題沸騰中!囲碁を始める準備をしよう山デビューも安心。コストを抑えて登山用具をそろえる方法わが家の食物自給率をアップさせよう!「貸し農園」を手軽に楽しむ方法
2011年12月20日今年は"墓ブーム"が来るのだろうか。先日、インターネットサービスプロバイダのニフティ株式会社が運営するイベントハウス「東京カルチャーカルチャー」にて、『お墓日和 vol.1~墓マイラーたちと美墓デザインの世界~』というイベントが開催された。その後、TVや新聞でも取り上げられ、"墓"および"墓マイラー"が注目されはじめている。"墓マイラー"とは、世界各地の著名人のお墓を巡る人たちのことを指す。今回、このお墓イベントには、こだわりのデザイン墓石を集めた本・『美墓』(幻冬舎)のスタッフが集めたえりすぐりの墓マイラーたちが出演した。それぞれが熱い墓トークを繰り広げたイベントの後、一部の出演者の方々に、なぜ今お墓なのか・お墓の何に引かれるのか等、思いの丈を語っていただいた。■お話を伺った墓マイラー・チェコから来た墓マイラーのホリー・ペトルさん(駐日チェコ共和国大使館一等書記官・チェコセンター東京所長)・あきやま みみこさん(『著名人のお墓を歩く』著者)・カジポン・マルコ・残月さん(WEB『文芸ジャンキー・パラダイス』管理人)――まず、皆さんはどのようなきっかけで墓マイラーになったのでしょうか?ホリー・ペトルさん(以下、ホリー)「昔からの習慣ですね。ヨーロッパでは、親族以外の有名人のお墓にお参りするのは普通のことなんです。ヨーロッパの女性の中には、有名人の墓参りをして、墓石にキスをする人もいますよ」あきやまみみこさん(以下、あきやま)「私は、人に誘われて雑司ヶ谷霊園に行ったのが最初です。もともとカメラが趣味で、雑司ヶ谷霊園に行ってからは、散歩しながらお墓の写真を撮るようになって……200~300くらいは行きましたね」カジポン・マルコ・残月さん(以下、カジポン)「僕はですね……長くなりますよ?(笑)19歳のときに、10代で一番お世話になった人にお礼を言いに行こうと思って。当時の僕にとって、最大の恩人はドストエフスキーでした。将来にも片思いにもすべてに行き詰まって泥沼状態だったのですが、『罪と罰』を読んで救われたんです。なんとか一言でもスパシーバ(ありがとう)と言いたい。そしてお墓に行ったら……心にアート・サンダーが落ちたんですよ!全身が感電したんです!分かります!?今まで教科書や本でしか見たことのないドストエフスキーが、実際に生きていたからこそ、今ここに墓があるんだ!って。それなら、シェイクスピア、バッハ、ゴッホ、手塚先生、恩人全員にお礼を伝えなきゃ、と。もうそこからが僕のお墓人生の始まりで……稼いだお金、全部墓参りに消えましたよ!(笑)」――……ハイテンションなカジポンさんですが、今までに1,316名もの著名人のお墓を参られたそうですね?カジポン「もう、行かないと、人生が前に進まないんですよ!例えば、こんなにチャップリンの映画に感動したのに、お墓に行かないでいいの!?って。『こんなにすてきな作品をありがとうございます』って感謝を伝えに行くんです」――で、19歳から今までずっと、芸術作品への感動を伝えに、墓参りを続けているわけですね。カジポン「ええ、もう19~42歳まで、かれこれ23年間です。23年前にドストエフスキーのお墓の前で頭がショートしてから治ってないんですよ。もう出家したようなもんです(笑)」――ショートですか(笑)皆さん、今までに頭がショートするくらいこれは良かった!というお墓はありますか?ホリー「高尾霊園にある寺山修司さんのお墓ですね。行ったのが天気の悪い日で、みぞれだったんです。その天気の悪さが、寺山さんの雰囲気とバッチリ合っていてとてもすてきでした。竹久夢二さんのも好きですね。小さくてかわいらしいお墓で」あきやま「私は、衝撃だったのは岡本太郎さんですかね。岡本さんの代表的な作品の形をしているお墓で。見つけた瞬間思わず、ワーッって駆け寄っちゃいました(笑)」カジポン「僕は断然、ダニー・ケイです。なんと墓石の形が長椅子!座ってくれと!そして背もたれに、彼が好きだったものがいっぱい彫ってあるんです。サイッコーですよ!」――(ダニー・ケイのお墓を見ながら)ほー、確かにこれはあまり見たことはない墓です。――ところで、お墓、そして墓参りのよさってなんでしょうか?ホリー「すでに亡くなった方のことを知ることができる。故人の研究をするときに、お墓はその人のことを知る資料として優れているんですよ。著名人であれば、墓石の裏にその人の歴史が書かれていることもありますからね」あきやま「私も、時を越えてその人と会える点が魅力だと思います。同じ時代に生きた人ではなくても、その人と会うことができる……いえ、実際に会えるわけではないですが、墓石の前に立つと、気持ちが対面しますから」カジポン「僕は先ほども言ったようにお礼を言いに行くわけですが、芸術家などの墓参りをすると、墓石が言うわけですよ、『おれの作品に感動したんだろ?じゃあ、生きてる人間ともコミュニケーションとれるじゃないか』と。そこが魅力です」――最後に、墓ブーム来ると思いますか?ホリー「ぜひ来てほしいですね。ブームになったら『なんでお墓なんか見に行くの?』って周りにけげんな顔をされなくなりますし(笑)」あきやま「墓参りをする人(=墓マイラー)が増えるかどうかは分かりませんが、お墓に興味を持つ人は増えると思います。自分のお墓をどういうものにしよう、と真剣に考える人が多くなるかと」カジポン「うーん、墓ブームが来る来ると10年前から言われてるんですが、今度こそ来てほしいですね!」墓マイラーの皆さんの、お墓への真剣な思いに頭が下がりっぱなしだった今回の取材。今まで、墓地の前を通るときは、何かに取りつかれそうな気がしてそそくさと通りすぎていた自分の低俗さときたら。「お墓は怖いものじゃないんです」(ホリーさん)というように、もっと身近な存在として考えてもいいのかもしれない。手始めに、近所の墓地に親しみを持つことからはじめてみようと思う。(朝井麻由美/プレスラボ)【関連リンク】占い、ユーレイ、それとも宇宙人? あなたがひそかに信じてるものは?お墓にユーレイいないといいなぁ……。霊感ゼロだけど仏道に入りたいのですが、どうしたらいいですか?出家への道は厳しいです心霊研究家に聞く、心霊スポットで絶対にやってはいけない三つのこと霊が眠る場所へ行く際には慎重に行動してください
2010年04月10日