六本木ヒルズ「森美術館」は、企画展「村上隆の五百羅漢図展」を開催する。期間は2015年10月31日から16年3月6日まで。スーパーフラット理論を提唱し、現代美術展「GEISAI」を開催するなど、日本を代表するアーティストの1人として知られる村上隆。今回はその近年における活動を紹介したもので、日本では数少ない村上作品を扱った展覧会となる。中でも、代表的な作品となるのが、東日本大震災をきっかけとして2012年に制作された絵画「五百羅漢図」だ。この作品は高さ3m、幅100mにも及ぶキャンバスに修行僧の姿を描いたもの。そこには、有限の生と無限の宇宙、自然が交錯しており、宗教を超えた祈りが込められている。芸術はわれわれの世界、人間のリアリズムにどれだけ肉薄できるのか。そんな村上の芸術観に迫る作品が、会場には数多く展示される。森美術館でも14年ぶりとなる村上の展覧会。アニメポップだけでない、村上のもう一つの顔を知る貴重な機会となりそうだ。【イベント情報】村上隆の五百羅漢図展会場:森美術館住所:東京都港区六本木6-10-1六本木ヒルズ森タワー53階期間:2015年10月31日から16年3月6日
2014年11月20日2004年の映画『花とアリス』の前日譚となるエピソードが、岩井俊二監督初の長編アニメーション映画『花とアリス殺人事件』として2015年2月に公開されることが明らかになった。映画『花とアリス』(2004年)は、映画『Love Letter』(1995年)や『スワロウテイル』(1996年)の監督、東日本大震災復興プロジェクトチャリティーソング「花は咲く」の作詞などを手がける岩井俊二氏が原作・脚本・監督を務めた作品。もともと岩井監督がショートフィルムとして発表したもので、後に長編映画としても公開され、友情と恋に揺れる2人の少女、花(鈴木杏)とアリス(蒼井優)の姿と日常を描いた。発表された『花とアリス殺人事件』では、前日譚となる2人の出会いのエピソードを中心に描かれるという。脚本と音楽も岩井監督が手がけ、主人公の花とアリスの声優には、『花とアリス』同様、アリス役を蒼井優、花役を鈴木杏が務める。また、公開されたポスタービジュアルでは、アニメーションとなった"花"と"アリス"の姿が見られる。物語は、石ノ森学園中学校へ転校してきた中学3年生の有栖川徹子(通称アリス)は、「ユダが、四人のユダに殺された」という噂を聞かされることから始まる。「花屋敷」と呼ばれる隣の家に住む「ハナ」ならユダについて詳しいはずだと教えられたアリスは、花屋敷へ潜入。そこで待ち構えていたのは、不登校のクラスメイト・荒井花(通称ハナ)で、2人の出会いが描かれていく。自身初の長編アニメーションとなる岩井監督は「作品を作り終えてもなお、あの二人は僕の中に居座り、十年の歳月が過ぎてもなお、平然とそこに居続け、気がついたら僕はこのアニメを作らせていた。二人がいつまで居座る気なのか、それはちょっと僕にもわからない」とコメントを寄せている。そして、蒼井は「アリスだったあの日から、早10年。声も大分、野太くなっていますが、がんばりました。眩い青春時代を2度もありがとうございます。またアリスになることが出来、心から嬉しかったです。作品の完成が楽しみでなりません」と作品への期待を伝え、そして、鈴木は「花とアリスに再会できて、とてもとてもうれしいです。十年経って三十歳近くなった(!)私たちが中学生の声になれているのか、、、ちょっと不安。でも観てくださる方が楽しんでくださればいいな、と思います」と語っている。アニメーション映画『花とアリス殺人事件』は、2015年2月公開予定。(C)花とアリス殺人事件製作委員会
2014年10月16日岩井俊二監督、初の長編アニメーション映画『花とアリス殺人事件』が2015年2月に公開されることが発表され、ポスター・ビジュアルが公開された。本作は、岩井監督の2004年公開の映画『花とアリス』の前日譚を描くもので、ヒロインを演じた蒼井優と鈴木杏が声優を務める。その他の画像岩井監督が花(鈴木)とアリス(蒼井)の日常、友情、そして恋に揺れる姿を瑞々しく描いた『花とアリス』から約10年。『花とアリス殺人事件』では、ふたりの出逢いのエピソードが描かれるといい、岩井監督が脚本と音楽も担当する。このほど公開されたポスター・ビジュアルは、『花とアリス』のポスターと似たような構図でふたりが描かれており、史上最強の転校生アリスと史上最強のひきこもり花が出逢ったとき「世界で一番小さな殺人事件が起こった。」と書かれている。本作は既にプレスコ(セリフを先行して収録する手法)により、収録が終わっており、「アリスだったあの日から、早10年。声も大分、野太くなっていますが、頑張りました。眩い青春時代をニ度もありがとうございます。またアリスになることが出来、心からうれしかったです。作品の完成が楽しみでなりません」(蒼井)、「花とアリスに再会できて、とてもとてもうれしいです。十年経って三十歳近くになった(!)私たちが中学生の声になれているのか…ちょっと不安。でも観てくださる方が楽しんでくださればいいな、と思います」(鈴木)とコメントしている。岩井監督は「作品を作り終えてもなお、あのふたりは僕の中に居座り、十年の歳月が過ぎてもなお、平然とそこに居続け、気がついたら僕にこのアニメを作らせていた。ふたりがいつまで居座る気なのか、それはちょっと僕にもわからない」と語っている。『花とアリス殺人事件』2015年2月 全国ロードショー
2014年10月16日映画『Love Letter』『スワロウテイル』の監督や、東日本大震災復興プロジェクトチャリティーソング「花は咲く」の作詞など、多彩な分野で活躍する岩井俊二。2004年、蒼井優と鈴木杏を主演に岩井監督が原作・脚本から手がけた映画『花とアリス』の前日譚エピソードが、監督初の長編アニメーション『花とアリス殺人事件』として描かれることが決定し、アニメになった主人公・“花”と“アリス”の可愛らしいポスター・ビジュアルが到着した。『花とアリス』は、現在につながる“Wヒロイン”の元祖ともいうべき、花(鈴木杏)とアリス(蒼井優)という、幼なじみの2人の少女たちが繰り広げる友情や恋愛模様を描き、蒼井さんと鈴木さんがともにブレイクするきっかけとなった作品。そして今回、いまなお多くのファンに愛され続ける『花とアリス』の前日譚となる2人の少女の出会いのエピソードが、岩井監督初の試みとなる長編アニメーション作品として描かれる。アニメの少女に新たな息吹を吹き込むのはもちろん、アリス役の蒼井さん、花役の鈴木さんだ。石ノ森学園中学校へ転校してきた中学3年生の有栖川徹子(通称・アリス)は、1年前に3年1組で起こった「ユダが、4人のユダに殺された」という噂を耳にする。近隣から恐れられている“花屋敷”の住人・ハナがユダに関して詳しいと教えられたアリスは、話を聞こうと“花屋敷”に潜入。そこで待ち構えていたのは、不登校のクラスメイト・荒井花(通称・ハナ)だった…。本作でも自ら原作・脚本・音楽を担当している岩井監督は、「作品を作り終えてもなお、あの2人は僕の中に居座り、十年の歳月が過ぎてもなお、平然とそこに居続け、気がついたら僕にこのアニメを作らせていた。2人がいつまで居座る気なのか、それはちょっと僕にも分からない」と語り、本作への思い入れの強さを伺わせている。また、中学生のアリスの声を務めることになった蒼井さんは、「アリスだったあの日から、早10年。声も大分、野太くなっていますが、頑張りました。眩い青春時代を2度もありがとうございます。またアリスになることができ、心から嬉しかったです。作品の完成が楽しみでなりません」とコメント。鈴木さんも「花とアリスに再会できて、とてもとても嬉しいです。十年経って三十歳近くになった(!)私たちが中学生の声になれているのか…ちょっと不安。でも観てくださる方が楽しんでくださればいいな、と思います」と、ファンに対しても喜びを口にする。2015年2月の公開に向けて目下製作中の本作だが、先行してアニメーションで描かれた花とアリスのポスター・ビジュアルが完成し、本作公開に向けて期待が高まっている。『花とアリス 殺人事件』は2015年2月より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2014年10月16日村上隆がプロデュースした初のカフェ「バー・ジンガロ(Bar Zingaro)」が、中野ブロードウェイ2階にオープンした。バー・ジンガロのテーマは「コーヒー」「カクテル」「アート」の3本柱。店内にはオーナー・村上隆によるアート作品の他、彼がセレクトしたアートも展示されている。現在展示されているのは、22日より中野ブロードウェイ4階の「Oz Zingaro」で「三人展」を行う陶芸作家の上田勇児、大谷工作室、熊谷幸治の作品。内装はノルウェーの首都オスロに本店を構え、東京にも出店するカフェ業界でグローバルに知られる「フグレン(Fuglen)」が手掛けた。コーヒーやエスプレッソを中心としたカフェメニューの他に、カクテルやビール、ワインなど酒類がラインナップ。パンやケーキなどの軽食も用意されている。今後は、現在中野ブロードウェイ内に4店舗展開しているギャラリー「Kaikai Zingaro」「Hidari Zingaro」「pixiv Zingaro」「Oz Zingaro」をつなげるコミュニケーションの場、イベントスペースとして展開していく考え。
2013年11月16日「スーパーフラット」(’00)、「ルイ・ヴィトン×村上隆」(’03)、「ムラカミ・ヴェルサイユ」(’10)などの作品を発表し、世界を驚かせてきたアーティスト・村上隆による初監督作品『めめめのくらげ』。このたび世界中がいまかいまかと公開を待ちわびる本作の待望の予告編とポスター・ビジュアルが遂に解禁となった。主人公の小学生・正志は、引っ越してきた新しい家に、見慣れない段ボールを見つける。中から出てきたのは、くらげの様な不思議な生き物!どこか愛くるしいその生き物を“くらげ坊”と名付け、次第に仲良くなっていく。リュックにくらげ坊を連れて転校先の学校に行くと、ほかの生徒も、くらげ坊と同じく大人には見えない不思議な生物=“ふれんど”を連れていて…。今回、解禁となったポスターには「あの村上隆が映画監督はじめました」と堂々とした“監督宣言”アピール!周りには村上隆の代表的デザインの“目”のアイコンが浮かぶ中、中央に本作のストーリーのメイン的な存在のキャラクター“くらげ坊”がひょっこりと頭を出している。同時に公開となった予告編でも、くらげ坊が空に高く舞い上がり、街を全速力で飛ぶ姿が確認できるが、そのキュートな表情はかなりの存在感だ。この予告編でも流れている、主題歌「Last Night,Good Night」を歌っているのは日本のみならず海外でも話題を巻き起こし続けているヴァーチャルアイドル・初音ミク。村上さんが直々にオファーをしたという、「livetune」というソロプロジェクトでも活動している、いま最も注目を集めるクリエイターの一人・kzが手がけた楽曲を伸びやかに歌い上げている。TOHOシネマズ六本木ヒルズ10周年作品となる本作。アーティスト・村上隆の初監督作は日本で、そして世界でどのように受け入れられるのだろうか?公開を楽しみに待ちたい。『めめめのくらげ』は2013年4月26日(金)よりTOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国にて公開。※こちらの予告編はMOVIE GALLERYにてご覧いただけます。MOVIE GALLERY■関連作品:めめめのくらげ 2013年4月26日よりTOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国にて公開© Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
2012年12月18日毎回公演の度に注目を集める劇団・ハイバイの岩井秀人。自身の引きこもり体験を描いた『ヒッキー・カンクーントルネード』は彼の代表作であり原点だ。この作品のその後を描いた新作『ヒッキー・ソトニデテミターノ』で岩井が初めて東京・PARCO劇場に登場する。稽古場でキャストの吹越満、古舘寛治、チャン・リーメイに話を訊いた。『ヒッキー・カンクーン~』のラストで家の外に出てみようと決意した主人公が、今作では引きこもり支援団体のメンバーとして、様々な人に対峙していく。吹越は自身の演じる役について「僕って意外と、今までこんなに華奢で弱々しい役をやったことがないんです。岩井さんに僕の存在感のなさが見抜かれているってことですね」と語ると古舘、チャンともに「吹越さんが存在感ないわけないじゃないですか!」と反論。それに対し吹越は「いや、居酒屋で声が通らない」と笑わせた。この作品を「終わりに向かっていく感じがシックで、10月にぴったり」と独特の表現で評した吹越。古舘が「扱っている題材は決して軽くないのに、セリフのやり取りにユーモアがある。これぞ岩井節だなあと感じた」と言葉を継ぐと、チャンが「前作が問題提起だとしたら、今作でその問題をより深く掘って行くのかと思いきや、意外とお祭りみたいに楽しめてしまう」と語り、吹越が「秋まつりだね」とまとめた。稽古場に岩井が登場するや、声をかけずとも控えテーブルに自然と集まるキャスト。すでに何度も繰り返しているはずの吹越の登場シーンでスタッフの間からクスクスと笑い声が聞こえる。引きこもり支援団体の吹越とチャンが、引きこもり20年選手である古舘と掛け合うシーンでは、特に何度も繰り返しセリフの言い方やテンポを確認する岩井。古舘に対する「もっと強く」という指示に、キャストやスタッフから「シェイクスピア劇!」と声がかかる。古舘がわざとらしいまでに朗々とした声でやってみると、稽古場は爆笑。笑いながらも岩井の細やかな指示を役者たちが即座に反映し、繊細なニュアンスを構築していく。吹越はこの作品について「芝居と呼ぶと何かがこぼれてしまう。何の役にも立たない、けれどとても好きで大切な置物やぬいぐるみ。そんなものが1か月PARCO劇場に存在すると思ってください」と語った。そんな新たな言葉で表現される舞台を、楽しみに待ちたい。PARCO劇場にて10月4日(木)から14日(日)まで上演。チケット発売中。取材・文:釣木文恵
2012年09月28日岩井俊二監督の最新作で全編英語で外国人キャストを中心に製作された『ヴァンパイア』が、9月15日(土)についに日本で公開。東京・渋谷のシネマライズで行われた舞台挨拶に岩井監督と日本から本作に参加した蒼井優が出席した。自殺願望を抱える少女たちと彼女たちの血を欲する高校教師の姿を描いた本作。岩井監督にとっては『花とアリス』以来、8年ぶりの長編劇映画であり、蒼井さんと共に舞台挨拶に臨むのも同作以来。岩井監督は「気がつけば8年のブランクがあり、自分の中では休んでたわけではなく、駆け抜けていたんですがお待たせしました」と映画の公開を待ちわびたファンを前に挨拶。昨年、発生した東日本大震災に触れ「被災地(宮城県)の出身ということもあり、去年は『自分にやれることをやろう』という思いでこの映画の公開を後ろ倒しにしました。やっとここまで来れたという思いです」と感慨深げに語った。蒼井さんは、人生初のベリーショートのヘアスタイルを初めて公の場で披露。本作への出演は「大河ドラマの撮影の最中で2泊しかできず、楽しいだけではなく眠かったんですが(笑)、いまだに夢だったのではないかと思います。映画が公開になると言われても実感のない、幸せな時間でした」と笑みを浮かべる。2人の関係の始まりは、蒼井さんの映画デビュー作『リリイ・シュシュのすべて』まで遡る。この10年ほどの間での互いの変化について尋ねると、岩井監督は「いろんな成長はしてるんでしょうけど、魂のど真ん中付近は変わらない子だな、と会うたびに感じます」と語る。一方、蒼井さんは岩井監督について「変態度に拍車がかかった」と語り、この新作についても「かなり変態な映画になってます」とユーモアたっぷりにアピールした。これに対し岩井監督は「蒼井さんとは不思議な縁がある」と言い、「僕の作る映画の変態な部分に食いついてくる」と蒼井さんも同様に変態であると指摘する。蒼井さんはすでに今後、映画化予定の岩井監督の手がける新作の脚本に目を通したそうだが「これもかなり変態で面白かったですよ」とすかさず反撃。壇上で互いに“変態”のレッテルをなすりつけ合い笑いを誘っていた。蒼井さんは久々の岩井作品出演について改めて「“監督”岩井俊二さんを見られたのが泣けるぐらい嬉しかった。早く長編映画を観たいと思ってたので、まさかその場に自分がいられるとは思わず、本当に嬉しかったです」と感激を口にする。さらに「こういう作品は作りづらいという現状があります。これが失敗でもしようものなら、これからさらに作りづらくなってしまいます。さらなる変態映画のためにみなさんのお力をお貸しください!」と呼びかけた。同世代の上戸彩が昨日、「EXILE」のHIROとの結婚を発表したこともあり、去り際には報道陣から交際中の俳優・鈴木浩介との結婚について質問が飛んだが、蒼井さんは「うふふ」と笑みを浮かべて劇場を後にした。『ヴァンパイア』はシネマライズほか全国にて公開中。■関連作品:ヴァンパイア 2012年9月15日よりシネマライズほか全国にて公開© 2011 Rockwell Eyes, Inc. All Rights Reserved.
2012年09月16日脚本から監督・音楽・撮影・編集・プロデュースに至る1人6役を務めた、8年ぶりとなる最新長編映画『ヴァンパイア』について、“変態な純情映画”と自ら称す岩井俊二監督。瑞々しい美しさと毒気が同居する独特の世界観が映画ファンを魅了してやまない彼が“ヴァンパイア”を描く、と聞いたら気にならずにはいられない。本作で監督が目指したものとは――?女優・玄里が映画の“創り手”の素顔に迫る!第1弾は、岩井監督との対談をお届けします。玄里:初めて監督とお会いしたのは昨年の釜山国際映画祭でしたよね。ちょうどそのとき『ヴァンパイア』を出品されてたんですよね?岩井:そうそう、映画祭を回り始めたのが(昨年の)1月からだったから、作ってからずいぶん経つね。玄里:今回、カナダのバンクーバーで撮影されて、日本から少人数のスタッフで撮影を行ったと以前に話されていたと思うんですけど、監督は脚本から撮影まで…6役こなすのは大変ではなかったですか?岩井:実際はストーリーボードを書いたり、デザインもやったりしてるからもう少しやってるんだけど、いつもと違うのは自分でカメラを回すというところだけで、あとは大体いつもと同じ感じで、自分で企画して、本書いて、撮って、編集して仕上げていくっていう。映画1本を自分でこなすというのは学生時代以来だね。玄里:カメラを回すのは楽しかったですか?大変でした?岩井:大変だね。全部自己責任で、自分でフォーカスを送らなきゃいけないから、間違えたら自分のせいになるというね(笑)。すごく緊張感があった。玄里:主人公の男の子(サイモン)の服が岩井監督の私服に似てるなって思ったんですけど(笑)、偶然ですか?西洋人なんだけど、西洋人ぽくないというか。岩井:自分が着るものもそうだし、マットなものが好きだったり、多少抽象的なところがいいんだろうね、物語を遮らなくて。オレっぽかったとか、オレに似てると言う人が多いんだけど、そうなのかなと思うんだけど…。ケヴィン(・ゼガース)はどちらかというと素朴なタイプの子じゃなくて、トム・クルーズみたいな系統の印象があったから。この話は派手なところが出ちゃうのは違うから、そこはもっとギークな感じでやろうと話して作り上げていったんだ。やっぱり自分の中では、そんなに自分っぽくやったつもりはないかな…?玄里:たぶん、話し方とか似てるんですよね。例えば、保健室で蒼井優ちゃんが自殺未遂をした後に慰めるシーンで、「君の体の中には細胞がいくつもあるから、それを生かしてあげなきゃいけない」という台詞が印象的で。以前、私が車の運転が下手なのを相談したときに「ニシキヘビに雁字搦めになるより、熊に襲われるよりいいじゃん」みたいなことを監督が言ってたの覚えてます?何かそのときを思い出したんです。岩井:そうだっけ(笑)?確かに、あれは自分っぽいかもしれないね。今回、『ヴァンパイア』の小説で、主人公の脳の中を語っている話を書いてるんだけど、“血を飲みたい”という衝動がどこから来ているのか、その衝動のゆくえがどこにあるかって辿ると命とか宇宙とかなのかな、みたいなことが展開されるんだよ。彼の衝動って、男性にとっては性欲のメタファーだったりするから、男の人は自然にあの一連の行為を「ああ、そういうことなんだな」って感じると思う。玄里:血を飲むという行為がですか!?岩井:あそこまでして血を飲んだのに吐いちゃって、吐いたらすっきりして小便して去っていくという。あのあっけなさが男性は変なところで合点がいく造りになっていて、なぜ彼が血を飲みたいのか分からないけど、“上がって降りていく”一連のパターンが男性だと分かるんだよね。女性でも分かるのかな?玄里:血を飲む…うーん。岩井:何かに取りつかれたようになるんだけど、何かが満たされると急に興味がなくなったり。でも何かすると、また火が付いてしまったりとか。こういうパターンってあるよなという。玄里:なるほど。じゃあ、主人公ももしかしたらいずれか血を飲むことに満足して、血はもういいやってことになるかもしれないってことですね。岩井:女の子の前で話すと照れるんだけど、男を主人公にすると男のどうしようもないダメな部分を描きたくなるんだよね。真面目ぶって立派な人を描く気持ちになれなくて。社会的にとか人間性とかじゃなくて、根源的にオスであるという。そこまでいくと自分も安心して受け入れられるというか…。自分の作品の中で立派な人とか、ちゃんとしている人ってあまり出てこないんだよね、バカな人ばかり出てくる。今年は『番犬は庭を守る』、『ヴァンパイア』と男性の主人公が続いてるけど、それを女性にするときもあって。自分の中ではどっちも自分のエッセンスが入ってるから、そんなに大差ないんだけどね。だけど、観る側に偏見があって、男がやると許されなくても女の子だと許されることもあるんだよね。例えば『四月物語』の主人公(松たか子)を男にしちゃうと、危ないストーカーに見えちゃうしね(笑)。玄里:あくどい感じになりますね。岩井:そうなの、男からすれば不公平だろって話なんだけど。『ヴァンパイア』もその気になれば主人公を女の子にできるよね。元々、吸血鬼・カーミラという代表的な古典の吸血鬼ものがあって、それは女の子が男の子を狙う話だし、『ぼくのエリ 200歳の少女』もそうだよね。玄里:岩井監督は元々ヴァンパイア映画は好きなんですか?岩井:子供の頃は、夏になると必ず洋画劇場とかで『吸血鬼ドラキュラ』のシリーズをやっていて、夜9時の時間帯で、ただでさえ白人が出てくると怖いわけよ。見慣れないし、血を吸ったりしてるから、ヴァンパイア映画を観るとそれが頭の中で循環しちゃって、洋画を観れば観るほど白人が怖くなってくるというスパイラルに入ってて、とにかく怖かったね。そうこうするうちに『エクソシスト』が出てきて。ラブストーリーとか、何も起きないものを観てても急にガッとやられるんじゃないかって。玄里:いつか牙を出すんじゃないかって(笑)。岩井:それが大学のときに萩尾望都さんの「ポーの一族」という漫画を読んで、それは漫画の中でベスト5に入るくらい大好きな作品なんだけど、これは吸血鬼の不老不死をテーマにしているんだけど、それに憧れて、友達と自主映画でそういう映画を作ったことがあるの。その頃からヴァンパイア映画に一方ならぬ思い入れがあって、プロになったら作ってみたいなと思ってたんだけど、プロになってからはまだ誰も作ったことがないような、ヴァンパイア映画って呼んでいいのか分からないくらいのものを目指したくなったんだ。ヴァンパイアじゃないから『ヴァンパイア』というタイトルなんだよね。『ヴァンパイア』というタイトルをつけたいから、ヴァンパイア映画じゃないものにしたかったというか。この映画は自分の中では、コメディのつもりなんだ。玄里:最後のシーンとか…?岩井:それもあるし、見えない美しい世界を追い求めていけばいくほど、逆の結果が待ち受けているという、そんな世界を描いてる、ある種のブラックコメディなんだよね。そう見ると、非常に不謹慎なことばかり描いてる作家なのかもしれないけど。ユーモアも含めて、不謹慎は大事だと思う。マス目だけで作ってても楽しめないからね。■関連作品:ヴァンパイア 2012年9月15日よりシネマライズほか全国にて公開© 2011 Rockwell Eyes, Inc. All Rights Reserved.
2012年09月14日岩井俊二監督の8年ぶりとなる最新作『ヴァンパイア』の公開を記念して、岩井監督が描いたストーリーボードやポスターなどを展示する“岩井俊二祭り”が代官山蔦屋書店で展開されている。5日には、同店で岩井監督と著述家の湯山玲子氏によるトークショーが行なわれ、岩井監督のサイン会も実施された。その他の写真カナダを舞台に全編英語で撮りあげた本作は、血を飲みたい欲求を抑えられない高校教師と自殺志願の少女たちの不思議な関係性と恋を描く。主演をケヴィン・セガーズが務めるほか、蒼井優やレイチェル・リー・クック、クリスティン・クルックらが出演している。トークショーでは、湯山氏が、「なぜ本作で“ヴァンパイア”をネタにしたのか」と聞くと、「これだけたくさん(作品が)ある“ヴァンパイア”というジャンルの中で、誰も作っていないものをみつけたんです。10年くらい前、『リリイ・シュシュのすべて』を書く前にみつけました」と明かす岩井監督。そもそも、映画『ヴァンパイア』は、岩井監督著作の同名小説をもとに製作された作品。「小説で描けることと、映画で描けるところは自分の中で違います。小説のもてるダイナミズムを損なわずに、映画にしていって、映画のなかでも良いペースのものをつくりたいと思うと、そんなに長いものは作れないです」と、実写化するにあたっての苦労を吐露した。また、本作にはケイシャ・キャッスル=ヒューズをはじめ、多くの女優が出演しているが、それに対して岩井監督は、「今回の女優さんは、ケイシャ・キャッスル=ヒューズも、クルックも、実物も綺麗ですが、映像に乗っかって初めてものになる感じです。みんなスクリーン映えする方でした」とコメント。湯山氏が“映像のメロディーメーカー”と形容するように、岩井監督がどのように“ヴァンパイアの世界”を描いているのか期待が高まりそうだ。『ヴァンパイア』9月15日(土)シネマライズほか全国順次ロードショー
2012年09月07日岩井俊二監督、8年ぶりの長編劇映画となる『ヴァンパイア』に蒼井優が出演している。カナダを舞台に外国人キャストを起用し、全編英語で撮影された本作で、岩井監督はなぜ蒼井をキャスティングしたのだろうか?監督の最新コメントが届いた。その他の写真本作は、表向きは誠実な教師でありながら、自殺サイトで血の提供者を探しているサイモンが“死にたい少女たち”に寄り添ううちに、しだいに少女たちに感化されてゆく様を描いた作品。岩井監督が脚本、監督、音楽、撮影、編集、プロデュースを手がけ“変態な純愛物語”と自称するドラマを完成させている。本作はカナダが舞台だけに、ドラマや映画で活躍するケヴィン・セガーズや、『クジラの島の少女』で注目を集めたケイシャ・キャッスル=ヒューズ、レイチェル・リー・クックら多く外国人俳優が出演しているが、蒼井は劇中に登場する日本人留学生・ミナを演じている。岩井監督は「物語のクライマックスに大きく関わって行く」というこの役柄について「ごく自然に蒼井優が浮かび、本人に相談した」と振り返る。思い返せば、蒼井は岩井監督が2001年に発表した映画『リリイ・シュシュのすべて』で映画デビューを飾り、2004年の『花とアリス』でも岩井作品に出演。今回のオファーについて蒼井は、岩井監督曰く「海外のオーディションでは実年齢だと幼すぎると言われるので高校生役はちょうどいいはずだ、と本人もやる気満々」だったそうだ。8年ぶりの長編映画のキャスティングの際に“ごく自然”に名前が浮かぶほど、蒼井に信頼を寄せている岩井監督は、本作の撮影を終えた後も「ハリウッドと日本では演技の方法論が随分違うが、蒼井優はどちらでもまったく違和感がない。言語の壁はあるけれど、それがなければ中国でも韓国でもヨーロッパでも活躍できる女優だと思う」と分析する。前2作で観客に強烈なインパクトをもたらした“岩井俊二×蒼井優”が、最新作『ヴァンパイア』でどのようなドラマを見せてくれるのか、9月15日(土)の公開を楽しみに待ちたい。『ヴァンパイア』9月15日(土)シネマライズ他にて全国順次公開
2012年08月28日劇団ハイバイの主宰にして、今春には初のテレビドラマ脚本で向田邦子賞を受賞した気鋭の作・演出家、岩井秀人。いま、もっとも注目されている演劇人のひとり岩井が、ついに新作『ヒッキー・ソトニデテミターノ』でパルコ劇場へ初進出を果たす。主演を務めるのは、『フキコシ・ソロ・アクト・ライブ』でかつてないソロパフォーマンスの世界を切り開き、映画『冷たい熱帯魚』(2010年公開・園子温監督作品)での怪演も話題を呼んだ吹越満。初の顔合わせとなるふたりに、公演にかける思いを訊いた。『ヒッキー・ソトニデテミターノ』チケット情報自らの引きこもり体験をもとに作られた、岩井の処女作にして代表作『ヒッキー・カンクーントルネード』(2003年初演)。当初は本作を上演する予定だったが、吹越の「やっぱり初演には初演にしかないものがある。だから例えば続編にするとか」という言葉が岩井を止まらせた。初演では岩井が主人公の登美男を演じており、吹越は「そのことへの恐ろしさから(出演に)二の足を踏む部分もあった」と語る。だがそれが逆に岩井を駆り立て、「僕の中でどんぴしゃなのが来ちゃった(笑)」と、引きこもりだった登美男が外に出てからの物語『~ソトニデテミターノ』が誕生するに至った。吹越を登美男役にと思った理由を、「あれ、結構長いこと引きこもってたよねっていう、吹越さんの空気感がおもしろいなと思って」と明かす岩井。加えて吹越の「自分のことを自分で見立てているようなコントロールの引き具合」にも惹かれると言う。吹越は「役者としてキャリアが何十年あっても、初めてもらった脚本に対しては素人だと僕は思うんです。だからその脚本の慣れてなさ加減と、引きこもりってことがうまく噛み合えば、僕ぐらいのキャスティングがちょうどいいんじゃないかと思う」と笑った。吹越に岩井作品の魅力を訊くと、「すべてですよね」と即答。さらに「いいところというより、イヤなところが何もない」と続ける。すると岩井は「僕の場合、まさにそう思いながら作品を作っているところがあって。僕、演劇というものの95パーセントくらいはすごく嫌いなんですね。だから消去法で、それはちょっとやらないでくれよっていうのを避けて、ずっとやり続けている感じ」と語る。つまり演劇における残りの5パーセントが、岩井独自の世界観を形作っているのである。と同時に、「自分の母や、母の友達にも伝わるものじゃないと作っちゃダメだと思う」とも。5パーセントの意外性と、普通の生活を送る人にも通じる日常性。その不思議な融合を、新作でも見せてくれることだろう。公演は10月4日(木)から14日(日)まで東京・パルコ劇場にて上演。チケットは8月25日(土)より一般発売開始。なお、チケットぴあではインターネット先行・いち早プレリザーブを8月6日(月)11時まで、インターネット先行・プレリザーブを8月9日(木)11時まで受付中。取材・文:野上瑠美子
2012年08月03日『リリイ・シュシュのすべて』、『花とアリス』の岩井俊二監督が脚本・監督・音楽・撮影・編集・プロデュースと1人6役を務め、8年ぶりの長編映画として贈る『ヴァンパイア』。9月の日本公開に先駆けて、このたび本作の全貌を掴む手がかりとなる予告編とポスター・ビジュアルが解禁となった。仕事熱心で認知症の母を介護する高校の生物教師・サイモンは、まじめそうな外見とは裏腹に、若い女性の血を飲みたいという欲求を抑えられずにいた。そこでサイモンは血を求めて自殺サイトを徘徊し、自殺志願者の娘たちを言葉巧みに誘い出すのだが…。第34回サンダンス映画祭や第61回ベルリン国際映画祭を始めとする各国の映画祭に出品され、「岩井俊二は日本語以外でもその作家性を見せつけた」と高く評価された本作。『シーズ・オール・ザット』のレイチェル・リー・クックやいまハリウッドで注目を集めている個性派若手キャストに加え、唯一の日本人キャストである蒼井優との再タッグも話題を呼んだが、本作は俗に言う“ヴァンパイア映画”とは一線を画す。岩井監督が描き出すのは、「死にたい少女たち」の血を求めて彼女たちに寄り添ううちに、次第に彼女たちへの思いがピュアな愛へと昇華していく一風変わったヴァンパイアの“純愛物語”である。血を求める主人公・サイモンの行動は異常ながらも、その行動にどこか儚さと美しさを感じさせるのは岩井監督ならではの映像の美しさと、それを彩る音楽があってこそ。予告編には見事な“表情の演技”を見せる蒼井さんの姿も映し出されているのでご注目。そして、ポスターには「惹かれあう孤独な魂たちこの世の果ての恋物語」という文字。この普通ではない“恋”の行き着く先とは?まずはこちらの予告編から、切なくも美しい“岩井ワールド”を一足先に体感してみては?『ヴァンパイア』は9月15日(土)よりシネマライズほか全国にて公開。※こちらの映像はMOVIE GALLERYにてご覧いただけます。MOVIE GALLERY■関連作品:ヴァンパイア 2012年9月15日よりシネマライズほか全国にて公開© 2011 Rockwell Eyes, Inc. All Rights Reserved.
2012年06月19日劇場版“クレヨンしんちゃん”20周年記念作品『映画クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶ!オラと宇宙のプリンセス』に、ココリコ(遠藤章造・田中直樹)、土田晃之、藤井隆の4人がゲスト声優として出演することになり、アフレコ終了後、インタビューに応じた。その他の写真遠藤ら4人は『クレヨンしんちゃん』のTV放送が始まった1992年にデビューし、今年で芸歴20年を迎えた同期芸人。実生活ではそれぞれ、子どもを授かり“パパ芸人”としても知られる彼らが、今回、その育児経験を買われて、しんちゃんの妹・ひまわりのお世話をするヒマワリ星の“イケメンDEイクメン軍団”役に抜てきされた。遠藤は「滑舌があまり良くないし、もう40歳なんで老眼がきちゃって、台本が見えづらかった」と思わず苦笑い。「僕と田中君はアゴがしゃくれているので、どうしても空気が抜けてしまって…。僕はサ行が苦手」(土田)、「僕はラ行が、斜めに逃げてしまう」(田中)とこちらも四苦八苦の様子。一方、藤井は収録にテンションが上がり過ぎたといい「新感覚のアフレコを提案したかった」と自信満々!?それでも、ぐずるひまわりを必死にあやそうと悪戦苦闘するシーンには、4人とも実体験が活かされたと口を揃える。実際の“イクメン”ぶりを聞いてみると、遠藤は開口一番「諸事情で(笑)娘とは一緒に住んでいないんですよ。でも週に1~2度はうちに泊まりにくるし、お弁当を作ることもある」と自虐的なコメントで、他の3人から「何かあったの?」と白々しい指摘。相方の田中は「子どもに対しては、友だちという感覚がある」。ただ、持ち前の動物愛が強すぎて「まだ、言葉を話し始めた頃、イヌを見て『ワンワン』って言っていたのを『違う、あれはジャック・ラッセル・テリア!』と注意してしまったことがある」と反省する場面も。藤井は「できるだけ一緒に遊ぶようにしています。でもお母さん(タレントの乙葉)にはかなわないですね」。4人の子どもを持つ“子だくさん芸人”の土田は「子育てってついつい難しく考えがちですが、いわば“生活”なので特別なことじゃない」と説得力ある持論を披露。「もううちは一番上が中学生で、サッカーやろうって誘っても全然乗ってこない。まあ僕が本気を出しちゃうからなんですけど(笑)。子が親を見て育つのはもちろん、親が子を見て成長するんです」と育児論を熱弁すると、遠藤、田中、藤井の3人も大きくうなずいていた。本作は、しんちゃんこと永遠の5歳児・野原しんのすけが、ささいなケンカをきっかけに「オラ、妹なんていらないゾ!」と口走ったことから、ひまわりが宇宙にある“ヒマワリ星”のプリンセスとして迎えられ…。野原一家が家族の絆と全宇宙の存亡をかけた大騒動に巻き込まれる姿が描かれる。『映画クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶ!オラと宇宙のプリンセス』4月14日(土)から全国ロードショー(C)臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2012取材・文・写真:内田 涼
2012年04月13日映画『friends after 3.11【劇場版】』が3月10日(土)に公開を迎え、岩井俊二監督とナビゲーターを務める松田美由紀、本作に出演している“脱原発アイドル”藤波心が舞台挨拶を行なった。岩井俊二が震災後に多くの人々と会い、話を聞くことで日本の現状や今後の社会の在り方について問い直すドキュメンタリー。昨年末にTVで放送された内容に追加映像を加えて公開された。岩井監督は「運命に導かれるように松田さんと久々に再会し、熱く語り合った」と本作を作ることになった最初のきっかけを明かす。当初は「易々と消化できるものではなく、3.11後に自分で作品を作る気持ちはなかった」というが「出会いを通じて自分でもやれることがあると気づいた」と心境の変化について語った。現在の状況を「原発、核の脅威にさらされた未曾有の危機にある」と訴え「大人も子供も真剣に向き合わないといけないという気持ちで(この映画を)作りました」と語りかけた。「これまで原発のことや環境について関心もなく日々を過ごしてきた」という松田さんは3.11で全ての意識が変わったという。「知ってしまってからは引き返せない。これだけ多くの国民が政治や国、マスコミの問題、こんなに不自由だったということを知ってしまった。知ったからには黙ってていいのか?規律正しく忠実と言われる日本人ですが、ここは立ち上がらなくてはと思って活動してます」と胸の内を明かした。本作はベルリン国際映画祭のフォーラム部門に正式招待されており、藤波さんもドイツを訪れたが「現地で一番言われたのは『これだけ地震が多く、広島、長崎(への原爆投下)を経験してる日本でなぜまだ脱原発できないんだ?』ということでした」と現地の声を紹介。また、本作への参加を通して「当たり前の生活ができることが一番ありがたいことだと改めて気づいた」と語った。明日3月11日で震災から1年を迎えるが、震災および原発の是非についての関心、問題意識を高めていくことを改めて訴え、客席からは大きな拍手がわき起こった。なお、本作の続編がBSスカパー!にて3月22日(木)に放送されることも決定。震災後、脱原発に向けて積極的に発言している坂本龍一らを始め、世界からの視点で震災後の社会について描かれる。『friends after 3.11【劇場版】』はオーディトリウム渋谷にて公開中。■関連作品:friends after 3.11【劇場版】 2012年3月10日よりオーディトリウム渋谷にて公開
2012年03月11日映画『SHAME−シェイム−』の女性限定試写会が3月1日(木)に都内で開催され、上映後のトークイベントに漫画家の倉田真由美と作家の岩井志麻子が出席した。ありとあらゆる形で日々、セックスに勤しむセックス依存症の男性の赤裸々な日々を描きつつ、彼がそうした生活の中で隠し通そうとしている真の姿を浮かび上がらせていく。それぞれの著書で、自身の経験談を含め様々な男女の性体験について綴っている2人だが、この日も過激なトークが炸裂。放送禁止用語を連発しつつ、異常な数の女性とセックスをしている男性や、男性を狂喜させるいわゆる“名器”と言われる女性器について、年齢を重ねての性欲についてなど、聞いている方が思わず赤面してしまうような話題についてクロストークを展開した。特に、女性が男性を魅了する上で、美貌や性格以上に「セックス」が重要な要素となりうることを熱弁。千葉、東京、埼玉で起きた保険金殺人事件で起訴されている木嶋佳苗被告の言動に触れ、倉田さんは「相当、自分の体に自信があったんですね。都市伝説と思ってたけど、名器ってあるんですね」と感嘆。岩井さんは、話題の「オセロ」中島知子と一緒に住んでいると言われる女性占い師と同じような手口に以前、引っかかったことがあると明かし「共通点がいっぱいあるんですよ。『ブラッド・ピットとジョニー・デップが自分を取りあって決闘した』とかとんでもないホラを吹くんですが、大人が真顔で言うから本気にしちゃった」と告白。ちなみにその女性も決して美人ではないが、セックスのテクニックで男性をオトシたと豪語していたそうで、岩井さんも「妙に納得した」とのこと。「女のあそこは無限なのね」(岩井さん)、「男性は一見して形状が分かるけど女性は分からないから」(倉田さん)、「だからこそ彼女たちは自信が持てるのかも」(岩井さん)と神妙な顔で頷いた。この日は観客から寄せられた質問や相談にも答えたが、「出産後に夫とはセックスレスになった」という女性に倉田さんは「うちもセックスレスですが、普通はそうですよ」と語り、岩井さんも「日本人は家族になるとセックスしにくくなるけど、別にそれでいいと思う」と回答。岩井さん曰く「配偶者を思い浮かべて自慰行為ができるかどうかがセックスレスかそうじゃないかの見極め点」とのことだが、倉田さんは「無理」と即答。「25歳ですが性欲がない」という女性の悩みにも2人は「別にそれでいい」(倉田さん)、「一生、処女・童貞のままでも不都合ない」(岩井さん)と答え、雑誌やテレビが煽る“セックスレスの危機”に対して疑問を呈した。また作品にちなんで「SHAME(恥ずかしい)なことは?」という質問に倉田さんは「以前は話せなかった恥ずかしいことがいまでは漫画のネタになる。恥ずかしくなくなるというのがおばちゃんになったということかも…(苦笑)」と開き直った。岩井さんは「ハメ撮りの写真が流出するよりも中学のときに書いた詩が出る方が恥ずかしい」と答えて客席は笑いに包まれた。『SHAME−シェイム−』は3月10日(土)より全国にて公開。■関連作品:SHAME−シェイム− 2012年3月10日よりシネクイント、シネマスクエアとうきゅうほか全国にて公開© 2011 New Amsterdam Film Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute■関連記事:2012年、最も挑発的な衝撃作『SHAME−シェイム−』試写会に10組20名様をご招待英国アカデミー賞『アーティスト』最多候補。D・ラドクリフはG・オールドマンを応援J・クルーニー、レオ、ブラピの3大スター対決!ゴールデン・グローブ賞候補が発表
2012年03月01日先月開催されたサンダンス映画祭でも上映された、岩井俊二監督の全編英語による最新作『ヴァンパイア』が、2月10日(現地時間)より開催される第61回ベルリン国際映画祭のパノラマ部門に正式出品されることが決定し、岩井俊二監督からコメントが到着!唯一の日本人キャストととなる蒼井優の起用の理由や役どころについても語ってくれた。俗に言うところの“ヴァンパイア映画”とは趣が異なるとも言われる本作。主人公は、仕事熱心で認知症の母を介護する高校の生物教師・サイモン。一見、真面目そうな外見とは裏腹に、彼は若い女性の血を飲みたいという欲求を抑えられずにいる。血を求めて自殺サイトを徘徊し、自殺志願者の娘たちを言葉巧みに誘い出していくのだが…。“ヴァンパイア”と呼ばれた男と彼に血を提供した女たちの物語が展開する。岩井監督にとってベルリン国際映画祭への参加は『undo』、『PiCNiC』、『リリイ・シュシュのすべて』に続き4回目。岩井監督も現地入りし、舞台挨拶とティーチインに参加するとのこと。「観て、何かを感じてもらえると嬉しいです」と静かに意気込みを語った。作品については「この物語を最初に書き始めたのは、もう10年以上前でもあり、内容もヴァンパイアの映画ではないので、最近のブームとはあまり関係ない映画です。改めてふり返ると、命とは、という予想外に大きなテーマを描こうとしていたんだなと感じます」とやはり、現在、ハリウッドを中心に次々と製作、公開されている“ヴァンパイア映画”とは異なるということを強調。本作でハリウッド長編デビューを果たす蒼井さんの起用理由に関しては「彼女にやってほしい役があったからです」と説明。気になるその役どころはというと、「交換留学生の役です。高校生なので実年齢的には無理がありましたが、カナダの本物の高校生の中に入ると、むしろまだ幼く感じるぐらいでした。カナダの高校生は貫禄あり過ぎです」と明かしてくれた。今回、到着した画像では凛々しい顔が印象的の蒼井さんのほか、サイモンや彼に誘い出されたと思しき女性たちの姿が。いくつかの画像では真っ白い風船のようなものが写っているが、これは何を意味するのか?謎は深まるばかりだ。『花とアリス』から7年、『市川崑物語』から5年。岩井監督は果たして何を見せてくれるのか?『ヴァンパイア』の日本公開は2011年を予定。■関連作品:ヴァンパイア 2011年公開予定■関連記事:謎の沈黙から1年…世界最小の映画祭「岩井俊二映画祭」がついに開幕
2011年02月07日日本を代表する映画監督の一人、岩井俊二。1994年に発表した映画『undo』以来、心が締め付けられるようなラブストーリー、懐かしさがこみ上げてくるような青春物語、ショッキングな内容の問題作など、さまざまな映画を制作してきました。そんなの作品の中で、ビジネスウーマンがもっとも好きなものとは?694名の女性に、選んでもらいました。 >>男性編も見るQ、あなたが一番好きな岩井俊二監督映画は?1位花とアリス27%2位スワロウテイル22%3位Love Letter20%4位リリイ・シュシュのすべて12%5位打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか? 7%■『花とアリス』が好きな人は……・「ありふれた日常が題材になっているので、話に入って行きやすい」(22歳/福祉/その他)・「少女漫画のような展開と映像の雰囲気が好き」(26歳/ソフトウェア/プログラマー)・「蒼井優と鈴木杏のピュアな演技にキュンとする。特に蒼井優がバレエを踊るシーンは最高」(23歳/小売/販売)・「女の子の世界観がすごくリアルに描かれているから」(26歳/生保/営業)・「心が温かくなる映画」(25歳/IT/プログラマー)■『スワロウテイル』が好きな人は……・「幻想的な話だから」(26歳/IT/秘書・アシスタント)・「劇中のCHARAの歌声が印象的で、さらに映画に合っていたので」(25歳/通信/販売)・「映像がとても印象に残ったから」(26歳/団体/事業開発)・「映像と音楽がとてもよく合っていて、観ているうちに引き込まれていった」(27歳/IT/総務)・「CHARAの演技が切なく心にしみるから」(25歳/商社/営業)■『Love Letter』が好きな人は……・「ストーリーに感動した。一人二役を務めた中山美穂も、素晴らしい演技だった」(23歳/医薬品/研究開発)・「切ないけどほっこりする映画だった」(24歳/IT/営業)・「とてもキレイで泣ける作品」(27歳/金融/営業)・「ミステリーな部分も少しあって、切なさだけでなくいろいろな気持ちが味わえたから」(27歳/IT/SE)・「何度見ても飽きず、見る度に『お元気ですか?』のシーンでキュンとする」(24歳/その他/その他)■『リリイ・シュシュのすべて』が好きな人は……・「衝撃的なシーンが多かったが、実験的な作品で面白かった」(26歳/医薬品/営業)・「現代社会そのもので、ミステリアスな映画」(28歳/小売/販売)・「その後活躍する俳優たちを予見しているかのようなキャスティングがすごい」(23歳/商社/財務)「映像の美しさが良い」(29歳/不動産/総務)■『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』が好きな人は……・「題名からして印象的。不思議な世界観がある」(29歳/官公庁/事務)・「初恋の切なさを思い出せるから」(29歳/精密機器/秘書・アシスタント)・「淡い恋模様が描かれているが、切な過ぎなくて爽やか」(26歳/マスコミ/秘書・アシスタント)総評作品ごとにさまざまな世界観を生み出す岩井映画の中でも、女性は「全体的にほわっとしていて可愛らしい雰囲気」(24歳/ソフトウェア/クリエイティブ)を持った作品を好む人が多く、1位に選ばれたのは2004年公開の『花とアリス』でした。主役を務めた鈴木杏と蒼井優の、圧倒的な表現力にも支持が集まり、「二人のピュアな演技にキュンとする」(23歳/小売/販売)といったコメントが多く挙げられました。2位には1996年公開の『スワロウテイル』がランクイン。幻想と現実が混ざったような不思議なストーリーや、その世界観に引き込む映像美に並び、主役も務めたミュージシャン・CHARAが歌った印象深い主題歌も支持されました。この作品と4位の『リリィ・シュシュのすべて』で音楽を担当したのは、人気音楽プロデューサーの小林武史。彼が監督し、岩井俊二がプロデュースした『BANDAGE バンデイジ』(小林武史監督:1月16日公開)にも、ぜひ注目してみてはいかがでしょう。(文・兄矢壱子)>>男性編も見る■関連リンク【女性編】1月公開の観たい映画ランキング【女性編】2009年公開で面白かった映画ランキング【女性編】好きなコメディ映画ランキング調査時期:2009年12月8日~12月14日調査対象:COBS ONLINE会員調査数:女性694名調査方法:インターネットログイン式アンケート完全版(画像などあり)を見る
2010年01月12日岩井俊二監督の作品は、美しい映像、心に響く物語、印象的な音楽使いなどによって、独特の世界観が築かれています。「岩井美学」とも言われている彼の作品には、全作に共通する点がある一方で、それぞれ実に異なる個性が放たれているのも事実です。そんな岩井映画の中から、一番お気に入りの作品を選ぶなら?263名のビジネスマンに聞いてみました。 >>女性編も見るQ、あなたが一番好きな岩井俊二監督映画は?1位スワロウテイル25%2位Love Letter17%3位リリイ・シュシュのすべて14%4位花とアリス12%5位打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?11%■『スワロウテイル』が好きな人は……・「なんとも言えない情感とCHARAの音楽がシンクロして感動した」(28歳/商社/企画開発)・「独特の世界観がたまらない」(28歳/化学/営業)・「CHARAが歌っていた主題歌がとても好きだから」(25歳/卸/総務)・「観た後いろいろと考えさせられた」(25歳/食品/研究開発)・「映像の美しさと使われている楽曲が好き」(26歳自動車関連/設計)■『Love Letter』が好きな人は……・「心の奥で響くものがある」(23歳/教育関連/研究開発)・「中山美穂がきれいだったから」(27歳/教育関連/研究開発)・「とにかく映像が綺麗。また、話の内容が切ない」(27歳/商社/営業)・「見終わった後、気持ちがスッとする」(25歳/ソフトウェア/SE)・「ロマンチックなところが良い」(26歳/医薬品/営業)■『リリイ・シュシュのすべて』が好きな人は……・「中学生の複雑な時期を描いていて、重い内容だったけいろいろと考えさせられたから」(23歳/教育関連/総務)・「圧倒的な映像美と思春期特有の心情を描いているところが好き」(23歳/その他/その他)・「14才の少年少女のリアルな心の声が繊細に描き出されていて、非常に心に残っている」(22歳/その他/その他)・「音楽と情景があっている」(22歳/ソフトウェア/プログラマー)■『花とアリス』が好きな人は……・「蒼井優の演技がとても良い」(23歳/機械/設計)・「ほんわかできる」(27歳/金融/営業)・「切ない恋物語が心にしみるから」(25歳/電気/営業)■『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』が好きな人は……・「題名からして気になったが、内容も面白かった」(27歳/自動車関連/営業)・「少年時代特有の感情がうまく表現されているから」(27歳/IT/法務)・「小学生の頃の甘酸っぱい恋が描かれていて、感動的だったから」(26歳/自動車関連/研究開発)総評ビジネスマンの4人に1人が、1996年に公開された『スワロウテイル』が一番好きな岩井俊二作品であるとい回答する結果となりました。過去とも未来ともつかない時代を背景に、重々しくも美しい世界観の中で、「円」を求めて日本にやってきた移民たちのドラマが描かれた本作では、「観た後いろいろと考えさせられた」(25歳/食品/研究開発)というビジネスマンも。主演を務めたCHARAが歌った主題歌が大好きというコメントも多く寄せられました。2位に選ばれたのは、1995年公開の中山美穂主演映画『Love Letter』。小樽と神戸を舞台に、切ない恋に絡んだ謎解きが展開されていく本作は、「心の奥で響くものがある」(23歳/教育関連/研究開発)、「見終わった後、気持ちがスッとする」(25歳/ソフトウェア/SE)など、ストーリーの透明感が人気の理由のようです。3位から5位には小学生や中学生を主人公にした作品が並んでランクイン。自分がその時代に抱えていた感情を思い出しながら作品を味わった人も多かったのではないでしょうか。観る者の心のどこかに、必ず共感をはじめとする振動を呼び起こす岩井氏がプロデュースをした『BANDAGE バンデイジ』(小林武史監督:1月16日公開)にもぜひ注目してみてはいかがですか?(文・兄矢壱子)>>女性編も見る■関連リンク【男性編】1月公開の観たい映画ランキング【男性編】2009年公開で面白かった映画ランキング【男性編】好きなコメディ映画ランキング調査時期:2009年12月8日~12月14日調査対象:COBS ONLINE会員調査数:男性263名調査方法:インターネットログイン式アンケート完全版(画像などあり)を見る
2010年01月12日