蝶の羽ばたきのような些細なことが大きな出来事を引き起こすことをバタフライ効果という。平山瑞穂さんの新作『バタフライ』のタイトルの意味は、そこにある。「自分のなんでもない行動が誰かの人生に影響を与えているのに、本人はまったく自覚していない。自分たちの日常にもそういうことが起こっているのではないか、という発想がはじまりでした」本作はたった1日の間に、いろんな人の行動が重なって思わぬ出来事が起きる過程を描いた群像劇。登場するのは継父を憎む女子中学生、不登校の少年、正義感の強い元教師の老人、上司に不満を持つOL、小さな工務店の2代目社長、ネットカフェで暮らす青年…。「事実上の主人公は中学生の2人。この年頃は自意識が芽生えているのに自分の力では何もできず、虐げられやすい立場にいる。そこで苦しんでいる子たちは結構いるのではないかと思い、彼らが救われるように描きたかったんです」他の登場人物は、最終的に起きる事件から逆算して生み出したという。彼らの一本の電話が、路上での会話が、公園でのやりとりが、ある出来事を引き起こす。といってもみな駒のように配置されているのではなく、一人一人の事情が奥行きとリアリティを持って描かれているのが魅力。「結局いちばん書きたいのは個々の人間とその人生模様。そこは手抜きをしなかったつもりです。頑張っているのに納得のいく人生を送れていない人ばかりになったのは、意図したことではありません。自分が潜在的に、そういう人たちを書きたかったんだと思います」また、バタフライ効果という仕掛けについては、あるルールを設けた。「一人の人物が何度も少年たちの人生に関わるのは話ができすぎていますよね。ですから一人が2回以上、事件に結びつく役割を果たすことはしない、と決めました」すべてを知るのは作者と読者のみ。全員が幸せになるわけではないが、「いつもその人物の人生の一部を切り取っているにすぎない、と意識して書いています。そのなかで、いい方に向かっていくことが描けたら」あなたも日常のなかで、誰かの人生を変えているかもしれない。そう実感できる一冊だ。◇中学生の七海は、母親の再婚相手から性的虐待を受け苦しんでいた。彼女が心許せるのは、オンラインゲームのチャット相手で…。幻冬舎1500円◇ひらやま・みずほ作家。1968年生まれ。’04年『ラス・マンチャス通信』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞してデビュー。著作に『あの日の僕らにさよなら』『忘れないと誓ったぼくがいた』など。※『anan』2016年3月2日号より。写真・岡本あゆみ(平山さん)森山祐子(本)インタビュー、文・瀧井朝世
2016年02月29日元祖替玉10円 とんこつラーメン専門店「博多三氣」を運営する博多三氣は23日、東京都西多摩郡瑞穂町に関東初出店となる「博多三氣 瑞穂店」をオープンする。 ○関東でも、替玉は何玉でも10円というシステムを採用「博多三氣」は、福岡市近郊で店舗展開をしている博多とんこつラーメンの専門店。今回出店となる新店は、場所は新青梅街道沿いで、「ジョイフル本田 瑞穂店」近く。すでに外観は完成しており、現在は内装工事を進めている。客席数は最大級の58席で、ゆったりと着席が可能。「博多三氣」の特色である福岡県産ラーメン専用小麦「ラー麦」100%の自家製麺と、老若男女を問わず楽しめるあっさりスープ、さらに替玉は何玉でも10円というシステムは関東でも採用する。一般的に麺は、コスト面と麺づくりの難しさから外国産小麦を利用するラーメン店が多いという。その中で同店がコストの高い国産小麦のみにこだわるのは、国内の農業の活性化に貢献したいという思いと食の安全性にこだわったからだという。麺、スープ、チャーシュー、ねぎ、餃子などほとんどの食材を九州から直送することにより、福岡の店舗とまったく同じ味を再現しているという。店内の作りは博多の祭り「博多祇園山笠」「博多どんたくみなと祭り」をモチーフに、屋台を彷彿とさせるカウンターで博多の街の魅力を楽しみながらラーメンを楽しめる。なお、店内はカウンター席のほかボックス席や座敷もあり、小さな子供連れでも安心して利用できる。開店日時は、6月23日 11時。営業時間は、11時~24時(オーダーストップ23時45分)。なお、情報は掲載時のもの。
2015年06月14日4月3日に新国立劇場で幕を開けた『マニラ瑞穂記』。明治中期、スペインからの独立に揺れるフィリピンを舞台に、希望や挫折に直面する日本人たちのドラマが展開する。演出の栗山民也が本作の魅力について語った。千葉哲也、山西惇、稲川実代子といった実力派のベテラン、新国立劇場研修所出身の若手を迎えた本作。“からゆきさん”と言われる日本人娼婦たちに彼女たちを仲介する女衒・秋岡伝次郎、理想に燃え、海を渡り独立運動に加わった志士たち、領事館のエリートら、それぞれの立場を背負い異国の地に生きる人々の姿が描かれる。百十数年前の決してメジャーとは言えない歴史をテーマにした秋元松代の戯曲をいま、舞台化する意義は?そんな問いに栗山は、歴史認識をめぐる日韓関係や日米間の基地問題、さらには海を越えた世界情勢など、まさにいま、我々が抱える問題に触れつつ「この作品は、“いま”という時代を映した鏡のような物語」と力強く語る。新国立劇場演劇「マニラ瑞穂記」チケット情報「独立を勝ちとったと思ったら、実はフィリピンはスペインからアメリカに2千万ドルで売買されていた……という流れなんて、ウクライナにロシアが介入してそれを世界が非難するという構図そのまま。決して過去の歴史を描いた物語ではなく、“いま”を描いた危険な歴史劇なんです」。その中で主人公・秋岡伝次郎は人情家でカリスマ性にあふれ、時代を駆け抜けるある種の風雲児として描かれる。栗山は、彼が持つ不思議な“引力”を「遅れてきた男」という言葉で表現する。「時代の申し子というよりは、時代から遅れるか、少し先を走り抜けた男なのかな?そうやってずれている奴って魅力的なんです。『何者か?』と言われたら『秋岡だ』としか言えない。そんなハッキリしたアイデンティティを持った男はいまの時代、なかなかいないでしょ?現代から見て、明らかに間違った男でもあるんですが、そこはしっかりと時代がこの男を裁いています」。いまの社会で求められる「わかりやすさ」や「明快な解答」とは対極とも言える作品ではあるが、だからこそとも言える「切れ味」や「問いかけ」をはらんでいる。「いまは文化もメディアも1週間ごとの『週刊誌文化』でニュースもTVも分かりやすい解説や解答しか喜ばれない。でも時間をかけて自分の中で熟すまで考えないと、言葉も文化も育たないし、人間の魅力というのは分からない。その意味でこの作品は、知的好奇心を刺激し、考えさせてくれる作品。歴史の岐路に立った瞬間のゾクッとするような感覚が味わってもらえると思います」。公演は4月20日(日)まで新国立劇場小劇場にて上演。チケット発売中。取材・文:黒豆直樹
2014年04月07日「あの俳優かっこいいよね」と、女性たちの中で熱い視線を集めている俳優に平山浩行がいる。チオビタのCMでお馴染みの、爽やかで自然な笑顔が印象的な、あの素敵な男性だ。現在34歳。俳優デビューは25歳。決して早いとは言えない年齢でのスタートではあったが、彼の「役者になりたい」という夢は中学生の頃からずっと抱き続けていたもの。上京後、飲食店で働きながらチャンスを待っていた彼が最初に手にした役者の切符は、ドラマ「高原へいらっしゃい」のオーディション。そこから見事に夢への一歩を踏み出し、いま平山浩行は期待の俳優として銀幕の中にいる──。「この前の平山と今回の平山は違うねと言われるようにしたい」「ドラマのときと同じメンバーで、今度は映画として、また一緒に仕事ができるというのが嬉しかったですね」。ドラマ「臨場」の第2シーズン「臨場 続章」から主人公・倉石(内野聖陽)の部下・検視補助官役として永嶋を演じている平山さん。フィルモグラフィーには数多くのタイトルが並んでいるが、面白いのは「臨場」を筆頭に「女刑事・音道貴子 凍える牙」、「JOKER ジョーカー許されざる捜査官」、「悪党」、「都市伝説の女」など刑事ドラマへの出演が続いていること。本人も「ほんとに刑事役が多いんです」と苦笑い。けれど、同じ役柄が続くということは、それぞれの刑事役がハマリ役であり、その好演が次の役を引き寄せている、いい連鎖でもある。その一方で、同じような印象を与えたくないという自分なりのハードルも…。「刑事役と言っても、役柄によって設定も年齢も立場も違うので、決して同じではないんですが、その中で、この前の平山と今回の平山は違うねと言われるようにしたい気持ちはありますね。だから、刑事もののオファーをいただくと、今度はどういう感じでやろうかな?髪形をこんなふうに変えてみようかな?とか、いろいろ考えます(笑)。『臨場』シリーズに関しては、検視官の制服を着ると自然にスイッチが入りますね」と、永嶋という役に愛しさを向ける。『臨場 劇場版』で再び永嶋を演じる平山さんが、今回自身に課したのは、永嶋の“成長”。具体的には検視官・倉石を補佐する“スピーディーさ”だと説明する。「何も言わなくてもスッと道具を出せるのが僕の役。検視補助官にとって、そのスピーディーさは何よりも大切なんです。検視官の言葉を一字一句逃さずに記録していく正確さも大切。検視官が言っていることを耳で聞いて、次はどう行動すればいいのか──そういう一連の動きをドラマの頃よりもスピーディーにする、成長を見せたいと思いました。まあ、普段の僕はゆったりとしたタイプなんですけどね(笑)」。ふと表情をゆるめたときに垣間見える平山さんの笑顔。この優しい笑顔に世の女性たちは惹かれるのだろう。もちろん、刑事役としての凛々しい佇まいも魅力的。劇場版ではスピーディーさに加え、倉石に近づきたい、越えたいという永嶋の葛藤もじんわりと伝わってくる。永嶋は、強盗殺人事件で父親を亡くしたことを境に不良から警察官を目指した、いわゆる“改心組”と言われる警察官。地域課勤務から検視補助官として倉石の下に配属されて2年半、そこには常に「死に対する恐怖感がある」とキャラクターの心情を分析する。「映画やドラマの撮影では、本物ではないとしても目の前に死者がいるわけで──どういう気持ちでそこにいるのだろうって思うと恐くなるんです。もしそうだったら…というリアリティを常に考えながら演じていました」。また、表だって見えないが、永嶋役のこんなところが「意外と大変だった」という裏話も。「検視鞄などの小道具は、ドラマシリーズが始まったときからのものを受け継いできているので、小道具にも味があるというか歴史を感じます。ただ、鞄を持って歩くことって、芝居的には邪魔なときもあるんです。倉石さんたちは事件現場に到着すると、すぐに車から降りるけれど、永嶋は運転して、車を止めて、検視鞄を取りに行って、そこから走って班のみんなに追いつかなければならない。地味に大変なんです(笑)。現場でも鞄をどこに置けば邪魔にならないかな、とか(検視のしやすさ)を考えながら演じていました」。「真っ白な状態で現場に臨む」チャレンジ精神現場での対応力を自然と役に活かせるのも平山さんの手腕。けれど、そこに行き着くまでには挫折もあったそう。「自分は役者に向いていないんじゃないか?と思うことは過去何度もありました…」と、これまで歩いてきた俳優人生をふり返る。「以前は、演じるキャラクターについてものすごく作り込んでいかなければならないのかなと思っていたんです。けれど、最近は現場に余計なものを持っていかないようにしています。というのは、僕の思っているキャラクター像と、監督が求めているキャラクター像が真逆だったことがあって。そのとき、僕は何も(演技が)できなくなってしまったんです。参ったなと、本当に参ったなと…。そのとき、こういうのもある、こんなのもあるというように、現場でいろいろ引き出せないとダメだと思った。いまはどんな球を投げられても受け取れるように、真っ白な状態で現場に臨むようにしています」。演じる役について事前にリサーチし、それを自分の中に取り入れ、色を付け、そしてすべてを白紙に戻す──刑事役が続いても同じ印象を残さないのは、そんな地道な努力があってこそ。加えて「できないからこそ次はやってやろうと思うし、はなからできないだろうと思われているものに挑戦するのも好き。とにかく、挑戦することが好きなんですよね」。そんなチャレンジングな姿に女性は、いや男女問わず惚れるのではないだろうか。そして、自分自身が努力を重ねているからこそ、女性に対しても「頑張りを応援したい」とエールを贈る。「いまの女性は強くなってきているというか、“男性いらず”の女性も増えているような気がするんです。仕事に集中していたりとか、そういう一生懸命なところは邪魔したくない。理想は、お互いが好きなことをしながら一緒にいられる関係ですね。相手が何か目標を持って頑張っていたら、僕自身も同じように頑張っている姿を相手に見せることが大事なのかなと。結婚願望もあります。僕、子供が好きなので、20代後半の頃からできれば早く結婚したいと思っていて。でも、こればっかりは出会いがないと、きっかけがないことにはどうにも始まらないんですよね…。なので、気長に待ちます(笑)」。待つことによって得られる運がある──。年齢にとらわれることなく、努力を惜しまず、夢を信じて歩んできた平山さんだからこそ、彼が口にする「待つ」という言葉には、何か特別な輝きがある。そんな俳優・平山浩行が、今後どんな役に挑戦するのか、どんな一面を見せてくれるのか、楽しみに待ち続けたい。(text:Rie Shintani)■関連作品:臨場劇場版 2012年6月30日より全国にて公開© 2012「臨場」劇場版 製作委員会
2012年06月27日女優の平山あやが2月22日(火)、出演映画『インシテミル7日間のデス・ゲーム』のブルーレイ&DVDの宣伝隊長に就任し、東京・新宿区のゲオ北新宿店でトークイベントを行った。特製エプロンを付け、カウンターでのレジ打ち業務を務める“指令”を受けると、「レジが好きで、将来レジのバイトをしようと思っていたけど、これまでバイトをしたことがなかったので、今日は楽しみに来ました」とソワソワ。「あまりにもレジが好きで、使わなくなった本物のレジ、(数字のテンキーを)押すタイプを2台持っていて、小さいときはお年玉とかくずして入れて遊んでいました」と告白。司会者からレジの魅力は?と聞かれると「(バーコードにセンサーを当てて)ピッとやっただけで値段が出るなんて、あんなにすごいモノはない」と熱弁をふるうレジマニアぶりで、取材陣を笑わせた。本作は、時給11万2千円という高額で7日間の心理学実験に参加した男女10人が、死の推理ゲームを繰り広げる姿を描くミステリーで、平山さんを含め芸能事務所ホリプロのスターキャストが総出演した。もし同ゲームにこのメンバーで参加した場合、一番最初に殺しておきたい人は?と聞かれると、「北大路欣也さん。これはマズイっていう雰囲気があるので」と即答。またまた会場の笑いを誘っていた。『インシテミル7日間のデス・ゲーム』ブルーレイ&DVDは2月23日(水)より発売開始。『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』 [DVD]価格:3,980円(税込)『インシテミル 7日間のデス・ゲーム ブルーレイ&DVDセット』価格:4,980円(税込)『インシテミル 7日間のデス・ゲーム ブルーレイ&DVD プレミアムBOX』価格:6,980円(税込)販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ※レンタル同日開始公式サイト:■関連作品:インシテミル 7日間のデス・ゲーム 2010年10月16日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2010「インシテミル」製作委員会■関連記事:綾瀬はるかインタビュー“末っ子気質”で過酷なデス・ゲームを生き残る?藤原竜也『インシテミル』見どころは…片平なぎさの怪演?インタビュー映像到着『インシテミル』28か国配給決定バナナマン日村、インディアンの心情に苦戦?7年ぶりに「藤原竜也のオールナイトニッポン」復活!『インシテミル』舞台裏を暴露藤原竜也インタビュー「劇中の状況に置かれたら?武器次第かな…(笑)」
2011年02月22日