日本オラクルは8月26日、ERP/EPMクラウド事業戦略に関する説明会を開催した。同社は2016年度のSaaSビジネスの取り組みとして5つの柱を立てているが、その1つが「ERP/EPM Cloud」となる。ERP/EPMクラウドを統括する、常務執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括 ERP/EPMクラウド統括本部長の桐生卓氏は、ERPの近年のトレンドとして、2層型の導入が進んでいると説明した。導入とは、コアとなるERPとしてはグローバルで利用されるパッケージを採用し、事業や拠点単位でローカルのERPを採用し、双方のERPにおいてデータ連携を図るものだ。その目的としては、顧客や市場への最適化を図ること、迅速にビジネスを立ち上げること、事業再編やM&Aなどがあるという。迅速な立ち上げが求められる「ローカルERP」にはクラウド型のERPが採用されるケースが多く、同社としてはこの市場を狙っていく。しかし、桐生氏はこの「2層型ERPモデル」には、とりあえず単機能で安価なサービスや、現場レベルでバラバラにサービスを導入した結果、各サービスやシステム間で連携できないという問題が起こっていると指摘した。そこで、同社としては、「地域統括管理が可能」「広い言語や各国の法制度に対応」「多様な業種・業態への対応」「他の業務領域への拡張と連携」が可能な同社のOracle ERP/SCM Cloudによって、この課題を解決していくという。桐生氏はOracle ERP/SCM Cloudの特徴として「業務統合性」「データ統合性」「セキュア」を挙げた。業務統合性とは、企業の基幹業務を網羅しているうえ、各業務を全体最適化して稼働させるためのビジネス・プロセスを実装していることを指す。データ統合性とは、データモデルが単一であるため、業務とビジネス・プロセスを統合して、ビジネスデータをそのまま活用できることを指す。また、高いコンプライアンスを確保したデータセンターを活用しており、Oracle Application Cloud環境では統合されたID管理が行えるほか、顧客ごとにデータベースが切り離されており、「セキュア」な環境が保たれている。競合のERPベンダーに対するアドバンテージについては、「今、ERPには新たなプラットフォームへの対応が求められている。競合の場合、再構築するしかないのに対し、われわれはPaaSを用いてデータを移行することもできるし、ERP Cloudに移行するという手段も利用できる。さらに、SaaSをつなげていくことができ、新たな機能を使いたくなっても開発する必要がない。また、競合はERPの上流工程となるマーケティング、営業関連といったソリューションが欠けている」という説明がなされた。同日、製造業の製品企画を支援する新たなクラウドサービス「Oracle Innovation Management Cloud」が発表されており、同サービスの紹介も行われた。クラウド・アプリケーション事業統括 ソリューション・プロダクト本部ビジネス推進部 担当ディレクターの中島透氏は、「PLMに近い製品だが、PLMが製品開発・設計の効率化や迅速化を実現するのに対し、Oracle Innovation Management Cloudは製品設計に入る前の製品企画を支援するもの」と、新製品の特徴を説明した。製品設計の前に、事業の方向性、製品企画、法律関係など、製品設計の前の段階で考えるべきことがたくさんあり、その中でどの製品に注力すべきかについても決める必要があるが、これらに関わる情報を管理できる手段が「Oracle Innovation Management Cloud」となるという。「Oracle ERP Cloud」の1つである複数のプロジェクトを管理する「Oracle Project Portfolio Management Cloud」、製品ライフサイクル管理アプリケーション「Oracle Product Lifecycle Management」と連携することにより、商品化に向けた一連の流れを一元的に管理することが可能になる。中島氏によると、グローバルではすでに10社が採用しており、5万ユーザーの契約がなされているという。
2015年08月27日ベクトルは17日、シネ・リーブル池袋にて会社説明会を行い、自社を舞台とした「東京PRウーマン」を先行上映した。○「東京PRウーマン」は、PR会社ベクトルが舞台!2016卒就職活動は例年より3カ月の後ろ倒しの3月解禁、また先行時期も繰り下げにより8月開始となった。これを受け、同社は新たな採用方法として、BS-TBSとタイアップ映画製作事業を発足し、リクルーティング映画「東京PRウーマン」の製作を行った。同作品には、海外で注目されているPR手法"ストーリープレイスメント"が用いられている。これは、ドラマや映画作品の中で商品を露出させる"プロダクトプレイスメント"から発展したもの。ストーリーそのものが商品やサービスと連動することで、鑑賞者にとってより深いレベルで企業・商品・サービスについての理解を促す手法となっている。プラチナムの代表取締役社長の吉柳さおり氏は「PRという仕事はなかなか簡単に説明することが難しい仕事なので、こういった映像をつくって、より多くの方々に知っていただきたい」とコメントした。同社を舞台とした映画作品を上映する会社説明会は、日本初の取り組みだという。今後、同社は「東京PRウーマン」を通じて一人でも多くの人にPRという仕事を知ってもらい、業界活性化に繋がることを期待している。さらに、日々変化する新卒採用の環境に様々な手法を用いてスピーディーに対応し、「いいモノを世の中に広める」という企業理念に共感する学生と最適なコミュニケーションを目指すという。今回製作された「東京PRウーマン」には、山本美月、山本裕典、桐山漣、井上正大、佐藤ありさ等が出演。また、脚本は「ドクターX~外界・大門未知子~」「東京少女」などを代表作に持つ林誠人、監督は「銭の戦争」「推定有罪」などを手掛ける鈴木浩介が担当している。
2015年08月19日●ご飯のおいしさも大事だけど使いやすさも大事日立アプライアンスは、「炊飯器・オーブンレンジ個別説明会」を開催した。説明会では、8月4日に発表された高級炊飯器「ふっくら御膳 RZ-WW3000M」(以下、RZ-WW3000M)で炊いたご飯や、7月発売の過熱水蒸気オーブンレンジ「ヘルシーシェフ MRO-RY3000」(以下、MRO-RY3000)で作った料理の試食体験も行われた。○新「ふっくら御膳」は使いやすさにもこだわった説明会の冒頭では、日立アプライアンス 家電事業部 商品計画本部 キッチン商品企画部の伴秀樹氏が、新型炊飯器のRZ-WW3000Mの開発背景について説明した。日立アプライアンスの調査によると、いわゆる高級炊飯器を購入した人が、炊飯器を購入する時に重視した機能は、1位が「おいしさ」、2位が「内釜」、3位が「使いやすさ」という結果になったという。また、実際に使ってみて感じた不満点の1位には、「手入れのしにくさ」が挙がった。一方、購入時に重要視される「内釜」についての不満はほとんどない。そこで、日立アプライアンスではおいしいご飯が炊けるのはもちろん、使いやすさにもこだわった炊飯器を開発したという。○内釜が約40%軽く伴氏によると、ご飯の甘みやモチモチとした食感に必要なのは「蒸らし」を高温で維持すること。しかし、蒸らし段階ではすでにご飯が水を吸いきっており、釜内には余分な水分がほとんどない。このため、蒸らし時にヒーターで加熱すると、ご飯が焦げ付いてしまう。こういった事情で、現在多くの高級炊飯器は「内釜の蓄熱性を高める」ことを重要視。その結果、内釜は大きく、厚くなる傾向にある。RZ-WW3000Mには、1.2気圧の圧力をかけながら高温スチームを発生させる「圧力スチーム」機能を搭載。沸点を105度に上げた状態で高温スチームを発生させて蒸らし温度を維持する。内釜の周囲を真空断熱材と空気断熱層で囲む「全周断熱構造」のおかげで熱が逃げにくいため、RZ-WW3000Mの内釜には蓄熱性がほとんど必要なく、上下の炊きムラを抑えるために伝熱性のほうが重視される。RZ-WW3000Mでは内釜の素材として、伝熱性に優れたアルミ合金を採用したことで、ご飯のおいしさを犠牲にすることなく、内釜重量で約720gを実現した。約1,200gだった従来モデル「RZ-VW3000M」の内釜に比べて、約40%軽量化した。日立アプライアンスは、内釜で米を研ぐ際、人間の上腕筋と橈側手根屈筋(とうそくしゅこんくっきん)にかかる負荷を筋電計で数値化した。その結果、従来モデルRZ-VW3000Mの内釜と比較すると、内釜を持ち運ぶ際で約3割、洗米時で約2割、負担を減らせたという。説明会では、実際に洗米できる体験も。従来モデルと新モデル、両方で洗米した参加者からは「新モデルのほうが軽い」という声が聞かれた。米の浸し時間・温度、蒸らし時間を調整することで、「もちもち感1」から「もちもち感3」まで3段階の炊き分けができるようになった。「もちもち感1」は酢飯やカレーなどに適した食感で、「もちもち感2」は標準の炊きあがり、「もちもち感3」は炊飯に90分ほど時間がかかるものの、ご飯の甘みが強く感じられる炊きあがりになるという。また、ご飯のかたさは水分量で決まるため、内釜には水位を3段階で加減できる「おこのみ水位線」を設けた。●片付けも簡単なほうがいい○片付け効率が大幅にアップまた、炊飯器の不満点である「手入れのしにくさ」を解消するため、「蒸気口一体型内ふた」を採用した。従来モデルのRZ-VW3000Mでは、本体内部の内ふたのほか、本体外側にある蒸気口を取り外して毎回洗わなくてはならず、炊飯終了後は内釜、内ふた、蒸気口と、複数のパーツをシンクに持って行く必要があった。この手間を減らすために、RZ-WW3000Mでは、炊飯器内側の内ふたと外側の蒸気口を一体化させた「蒸気口一体型内ふた」を開発。炊飯終了後は、内釜と蒸気口一体型内ふたの2パーツだけを持ってシンクに移動できる。日立アプライアンスがモニター実験をしたところ、パーツを炊飯器から外してから、洗って、再び炊飯器に取り付けるまでの時間は、従来モデルでは119秒だったのに対し、RZ-WW3000Mでは80秒と約70%に短縮できた。炊飯器の外側に蒸気口を配置していると、毎回洗わなくてはならないパーツであるにもかかわらず、洗い忘れる人も多かった。これを内ふたと一体化したことで洗い忘れを減らせるという効果も見込める。RZ-WW3000Mは従来モデルに引き続き、炊飯時に発生する蒸気を蒸らし時や保温時のスチームとして再活用する「給水レス オートスチーマー」機能を搭載。このため、蒸気がほとんど炊飯器から漏れない。伴氏によると、高級炊飯器の2015年モデルで蒸気レスを採用しているのは日立アプライアンスの炊飯器のみであり、大きなアドバンテージだと考えているという。○Wスキャンの解凍機能も体験説明会では、過熱水蒸気オーブンレンジ「ヘルシーシェフ MRO-RY3000」の体験試食会も行われた。MRO-RY3000最大の特徴は、食材の重さと温度を両方センシングし、適切な温度に加熱できるという「Wスキャン」システム。そこで、会場では少量の牛乳を60度に温める実験と、200gのミンチ肉を解凍する実験が行われた。また、MRO-RY3000は「ふ」や「はんぺん」などを肉の代わりに使用する「ヘルシーメニュー」も自動調理コースとして搭載している。説明会の最後には、MRO-RY3000で解凍したミンチで作った煮込みハンバーグと、肉の代わりにちくわを使った「ちくわのチンジャオロウスー」も振る舞われた。
2015年08月06日Wi-Fi Allianceは7月14日、近接情報認識の新技術である「Wi-Fi Aware」について記者説明会を開催した。現在、世界で65億人のモバイルユーザーと19億人のSNSアクティブユーザーがいるといわれている。時間軸とで見た場合、SNSでは「現在の近く」で起こっている出来事を知ることができるが、そこで重要となるのは発言の位置情報だ。例えば、小売店やイベント会場、自治体が近接情報を活用することで、より多くの収益を上げ、価値を高められる。2019年には、433億ドルの利益をもたらすと予想されている。近接情報の多くは、GPSやBluetoothビーコンなどの位置データ、あるいは「○店にいる」というチェックイン情報を元にしている。GPSは屋内では使えないか、または精度が大幅に落ちるうえ、サーバー情報をベースとした「近くにいる人」の情報は、少々古くなりやすい。また、大規模なイベントでデータ通信が多く発生すると、サービスレベルが低下する問題もある。○双方向の近接情報認識、新技術の「Wi-Fi Aware」そこで「Wi-Fi Aware」だが、これはWi-Fi Allianceの「Neighbor Awareness Networking」テクノロジーにもとづいた新しい近接情報認識技術で、各端末はサービス名と固有値を含めた小さなデータを発する。このデータ(ハートビート)を受信することで、近くに同じサービスの共有を希望するユーザーがいると、端末だけで判断できる仕組みだ。Wi-Fi Awareは、従来のBluetoothビーコンとは異なり、双方向でのデータのやり取りが可能であり、必要に応じてWi-Fi Directによる直接通信も行える。やや語弊はあるが、ニンテンドーDSの「すれちがい通信」を、多種のアプリケーションで使えるように標準化したようなものと思えばよいだろう。○チップベンダーからの支持は得ており、モバイルOSのAPIサポートが普及への課題フェルナー氏の説明によると、Wi-Fi Awareは、Wi-Fi Alliance内のチップベンダーから幅広い支持を受けている。すでに5社のベンダーが、対応チップを出荷しているという。ただし、Wi-Fi Aware対応アプリを作成するためには、モバイルOSがWi-Fi Aware用のAPIを提供しなければならない。現時点で対応を公表しているOSベンダーはないものの、水面下では動いているようだ。質問に対して「来年には対応スマホが出るだろう。あるいはOSに組み込まれる前に、一部ベンダーの独自実装でエコスステムを作るかもしれない」と回答していた。Wi-Fi Awareについては、YouTubeで「Wi-Fi Aware: Discover the world nearby」という日本語の説明ビデオが公開されているので、参考にするとよいだろう。
2015年07月14日米Microsoftは6月17日(現地時間)、事業グループ改編およびシニアエグゼクティブの人事を発表した。ハードウエアデバイス全般を手掛けるMicrosoft Devices Groupを、Windows 10を開発するOperating Systems Groupに統合してWindows and Devices Group (WDG)とする。また、Dynamics開発チームがクラウド&エンタープライズ(C+E)チームに加わる。今回のグループ改編は「プロダクティビティとビジネスプロセスの再発明」「インテリジェントなクラウドプラットフォームの構築」「パーソナルコンピューティングの向上」という3つの事業目標に沿ったものであると説明している。2013年7月に「One Strategy、One Microsoft」を打ち出した際に、パソコンからモバイルデバイス、バックエンドシステム、クラウドサービスまでOSに関する全てを1つにまとめ、SurfaceやXboxといったハードウエアも1つのグループに一本化した。昨年のNokiaデバイス&サービス・グループの買収で、DevicesグループがLumiaシリーズなども扱うようになり、Windows 10のリリースを前にハードウエア製品の開発とWindows開発を協調して進められるように1グループにまとめた形だ。WDGは、これまでOperating Systemsグループを率いてきたTerry Myerson氏(エグゼクティブバイスプレジデント)が率いる。Nokiaのデバイス&サービス・グループ買収でMicrosoftに復帰した後にDevicesグループを率いていたStephen Elop氏はグループ改編の完了後に退社する。今後3つの事業目標に沿ってWDGがOSとハードウエアを担い、そしてApplications and Services Group (ASG)がサービスを担当する。ASGは引き続きQi Lu氏(エグゼクティブバイスプレジデント)が率いる。C+Eチームはクラウドプラットフォームおよび高付加価値インフラとビジネスサービスの構築を担い、Dynamics製品も扱う。同チームは引き続きScott Guthrie氏(エグゼクティブバイスプレジデント)が率い、Dynamics開発チームが属していたBusiness Solutionsグループを担当していたKirill Tatarinov氏は退社する。
2015年06月18日大阪府は17日、セブン-イレブン・ジャパンと提携し、55歳以上の失業者を対象とした「セブン-イレブン仕事説明会」を24日に開催すると発表した。大阪府は、高年齢失業者の就業機会の拡大に取り組んでいる。今回実施する仕事説明会では、55歳以上の高年齢失業者を対象に、コンビニエンスストアでのレジ打ち等の接客や品出しだけではなく、食事や商品の配達といった様々な仕事内容の紹介や就業条件などを、わかりやすく説明する。募集エリアは、柏原市、四条畷市、大東市、羽曳野市、藤井寺市。説明会開催日は2015年6月24日、時間は1回目が13:30~14:30(受付13:00から)、2回目が15:00~16:00(受付14:30から)。場所はLICはびきの2階大会議室(大阪府羽曳野市軽里1-1-1)。参加費は無料。なお、同イベントは、大阪府とセブン-イレブンが締結している包括連携協定の取り組みの一環で実施する。包括連携協定とは、大阪府と企業のコラボレーションにより、様々な社会課題の解決を図るための協定のこと。
2015年06月18日2015年6月12日、「攻殻機動隊REALIZE PROJECT」の説明会が東京・六本木で行われた。「攻殻機動隊」とは1989年に士郎正宗氏による漫画として誕生した作品。その後1995年に押井守監督により『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』としてアニメ映画化され、世界の注目を浴びた。2002年からは「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX(S.A.C.)」としてテレビアニメ化(神山健治監督)。シリーズは同「S.A.C. 2nd GIG」、「S.A.C. Solid State Society」と続いた。さらに現在、「攻殻機動隊 ARISE ALTERNATIVE ARCHITECTURE」が黄瀬和哉監督、シリーズ構成・冲方丁氏で製作されており、6月20日(土)からは「攻殻機動隊」25周年記念作品の完全新作長編アニメ映画として『攻殻機動隊 新劇場版』が公開される。「攻殻機動隊」はSF作品で、作中に登場するサイボーグ技術「義体」や「電脳」は架空の存在だ。しかし魅力的な作品設定は今でも少なからぬ人たちに影響を与えている。「攻殻機動隊 REALIZE PROJECT(リアライズ・プロジェクト)」は、「攻殻機動隊」らしい科学技術の実現(リアライズ)に向けた情報発信と研究開発、起業活動支援を目的としたプロジェクトである。説明会は2部構成で行われた。第一部は、プロジェクトの概要説明を「攻殻機動隊 REALIZE PROJECT」実行委員長である株式会社プロダクション・アイジー代表取締役社長の石川光久氏が行った。第2部は神山健治氏や冲方丁氏らアニメ作品関係者のほか、慶應義塾大学大学院の稲見教授、南澤准教授を迎えて、REALIZE公開ブレスト「攻殻機動隊の世界はどこまで実現できるか?」と題したトークセッションが行われた。まずは第一部をレポートする。最初に「攻殻機動隊 REALIZE PROJECT」実行委員長で、株式会社プロダクション・アイジー代表取締役社長の石川光久氏が挨拶に立った。石川氏はまず士郎正宗氏の原作について触れ、「話の根っこの強さ、SF設定の緻密さ。設定の時代である2029年が近づけば近づくほど、士郎正宗氏の時代を見る目の凄さを感じる」と語った。アニメについて士郎正宗氏は原作を気にせず好きにしていいと言っているが、原作が緻密に描き込まれているので、描いてはいけない部分があるという。同プロジェクトでは、単に描かれているものを実現するだけではなく、原作に描かれてなかったとしても世界観に合致するものの実現を目指すという。原作に寄り添うだけではなく、士郎正宗氏の原作に近づいていくような、もしかしたら次の攻殻機動隊に出てくるようなものがリアライズできたらと考えていると述べた。また、現在アニメ化が進んでいる「ARIZE」は2029年の前を描いた作品であり、「新劇場版を見ていただければ、リアライズプロジェクトのことも、言いたいことがわかってくれると思う」と述べた。最後に石川氏は「アイデアや技術が間違った方向にいかないように、また日本の科学技術の発展に貢献できるように、実行委員会と事務局が中心となって、産学官と連携して中長期のプロジェクトとして進めていきたい。新たな取り組みとして、ぜひ皆様にご期待いただければと思う」と挨拶を締めくくった。○プロジェクト概要「攻殻機動隊REALIZE PROJECT」では、メディア事業、インキュベーション事業、プロジェクト関連事業、アワード事業等を行う予定だ。まずメディア事業では、攻殻機動隊の世界に近いものを独自に取材してキュレーションしていくほか、SNS連動や、各メディアともタイアップしていく。インキュベーション事業では今回、株式会社NTTドコモベンチャーズの協力で攻殻機動隊のテーマにあった研究開発やスタートアップを対象とした「コンテスト・ハッカソン」を開催することが発表された。これらをアワードとして表彰する予定。説明会ではプロジェクト・関連事業の一例として、日本で初めてとなるフォトグラメトリースタジオ「Avatta」を運営・監修する写真家の桐島ローランド氏が登壇した。「フォトグラメトリー」とはカメラで複数角度から同時撮影して3Dモデルを作るという技術だ。「AVATTA」では、84台の一眼レフカメラ(NikonD5300)を使っている。従来の3Dスキャンによるモデル作成よりもリアルなアバターが作れる点が特徴で、しかも従来は数カ月かかっていた作業が10日間程度ですむようになったという。桐島氏は3Dデータを用いた新しい表現をこれから試していきたいと語った。会場には撮影を行ったモデルの有馬綾香さんが「攻殻機動隊」主役の草薙素子のコスプレで登場した。撮影そのものは手と足を少し広げて立ついわゆる「Aポーズ」で行う。会場では作成した3Dモデルに服や髪の毛のモデルを着せて作った3Dモデルが紹介された。有馬綾香さんのほか、コスプレイヤーのうしじまいい肉さんも撮影を行っており、両者のモデルはウェブサイトで閲覧できるようになる予定。背景には心電図上のパルスが出ているが、これはうしじまいい肉さんが着用しているApple Watchが計測したデータをリアルタイムで反映したものだという。続けて株式会社ライブアース代表取締役社長の庄司真史氏が登壇した。「攻殻機動隊」に登場する電脳、義体、ロボットなど要素技術を整理して、どれだけ現実のものになっているかを検証していき、意味のあるかたちで還元する試みを事務局では行っていくと述べた。庄司氏は特に「攻殻グラフ」という「攻殻」世界の可視化を目指すプロジェクトについて解説した。セマンティックネットワークに基づいて要素をグラフ化し、世界を分析・整理していき、ネットワークは世界を検索するアルゴリズムへと昇華させていくことを目指すという。これまでのグラフ化で「攻殻機動隊」の技術は「機械(ロボット)」、「都市(スマートシティ)」、「人工知能(AI)」、「義体(サイボーグ)」、「電脳(サイバー・ブレイン)」の5つに大別されることがわかった。もっとも実現が難しいのが電脳分野で、2029年までにどれだけ進むかはまだわからない。いっぽう、いまのスピードで技術が進むと、人間のニューロンよりも速い処理速度をもった計算機が安価に手に入ると考えられると庄司氏は語った。各技術を取材し記事にした結果を、読者、専門家、各メディア、事務局での値などから「攻殻係数」として定量評価し、アワードなどを通して、社会の発展に寄与するように還元していきたいという。今回、例として出されたのはライブアースの地球儀技術「LiVEARTH」を使って、産業用ロボットの取引額をウェブ地球儀上に可視化したもの。日本から世界への輸出額が非常に大きいこと、欧州では地域内での取引が多いことなどがわかる。○コンテスト・ハッカソンを実施予定コンテスト・ハッカソンについては、NTT ドコモ・ベンチャーズ取締役副社長の秋元信行氏が紹介した。秋元氏は「攻殻機動隊こそ未来ビジョンなのではないか。現実世界が攻殻機動隊の世界を追いかけている。現在の技術の発展系が攻殻機動隊の世界に繋がり得るのではないかと思っている」と述べた。映像作品だけではなく「日本を代表する未来ビジョン、テクノロジー・ロードマップである」と考えているという。コモンズ代表で事務局の武藤博昭氏はアワード事業について紹介した。サイトから攻殻機動隊らしいニュースをについて報じる「攻殻ニュース」からもっとも「攻殻係数」が高いものを1年に1度表彰する。そのほか、コンテスト・ハッカソン事業で募集するチーム・団体参加、個人参加、企業家向けのそれぞのれの募集種類から優秀な作品を表彰し、開発資金や企業支援などを与える。詳細は応募要項が固まり次第公開されるが、7月に発表、8月に募集を開始し、翌年2月上旬にアワードを実施する予定だという。産官学のコラボレーションを通してイノベーション、大手企業の休眠特許の呼び起こしなどを目指したいと述べた。
2015年06月13日国土交通省は7月下旬以降、羽田空港機能強化を目指した飛行経路の見直し等の機能強化方策に関して、より多くの住民に幅広い理解を得るために説明会を実施する。国土交通省は現在、飛行経路の見直し等の機能強化方策の具体化を関係自治体等と協議しているが、今後は関係自治体の協力も得ながら、より多くの住民に幅広い理解を得ることに注力していくという。そのための具体的手法およびプロセスについて、3月16日に「羽田空港機能強化に関するコミュニケーションのあり方アドバイザリー会議」を設置し、専門家からヒアリングを実施してきた。同会議の議論を踏まえ、今後は関係自治体とも調整の上で、住民を対象とした説明会を開催する。説明会については7月下旬以降、羽田空港周辺(大師地区、羽田地区、蒲田駅周辺、川崎駅周辺)、東京23区西部(大井町駅周辺、品川駅周辺、目黒駅周辺、白金高輪駅周辺、渋谷駅周辺、新宿駅周辺、練馬駅周辺)、東京23区東部(南砂町駅周辺、船堀駅周辺)、埼玉・東京23区北部(和光市駅周辺、武蔵浦和駅周辺)で実施を予定している。詳細な開催会場や日時については改めて公表し、国土交通省ホームページや関係自治体の広報誌等でも発信していく予定となっている。説明会は、説明パネル等の展示と併せて担当者が説明する「オープンハウス型」で行い、2つのフェーズに分けて実施する。第1段階では、機能強化の必要性や実現方策等を中心に説明するとともに、住民の意見・質問・懸念等を募る。第2段階では、環境対策、新飛行経路の運用方法等の詳細な事項を中心に議論を深めていく。これにより、住民の意向を踏まえて2016年夏までに環境影響に配慮した方策を策定していく。なお、説明会以外にも、国土交通省ホームページ内に羽田空港機能強化について特設ページを設け、意見等を常時受け付けている。※写真はイメージ
2015年06月09日三陽商会が、5月20日、15-16AW婦人服展示会および記者説明会を開催した。同社ブランドの「トゥー ビー シック(TO BE CHIC)」は、新ディレクター岩谷俊和による初のコレクションを発表した。新ディレクター就任後初となるトゥー ビー シックの15AWウィメンズコレクションは、1950年代をテーマに、大人のシックを利かせたアイテムを展開。Iラインのチュニックドレス、バレルラインのアウター、フレアスカートなどのクラシカルでエレガントなシルエットに、オリジナルプリントを施してモダンな要素を加えた。2003年に「ドレスキャンプ(DRESSCAMP)」でデビューした岩谷は、装飾的でパワフルなデザインにより独自の世界観を構築してきた。注目のデザイナーを迎えたトゥー ビー シックは、これによりブランド価値の向上と新規顧客の獲得を目指す方針。また、展示会全体としては、他ブランドや異業種とのコラボ企画が多く見られた。トゥー ビー シックは、帽子ブランド「AKIO HIRATA」やアクセサリーブランド「アトリエ染花」とのコラボ商品を、また「マッキントッシュ フィロソフィー (MACKINTOSH PHILOSOPHY) 」は、ロンドンの人気ブックストア「magMA BOOKS」とのコラボ商品を発表した。さらに、三陽商会全社においては、社会貢献活動の一環として行われている再生羽毛「グリーンダウン」の普及活動を下期の中核事業のひとつとしてあげられるだろう。昨年、国内で初めて衣料品に再利用ダウンを使用して大きな反響を呼んだが、今春から組織を一般社団法人化し、「Green Down Project」として新始動した。
2015年05月22日KDDIが12日に開催した、2015年3月期 決算説明会で、囲み取材に対応した同社 代表取締役社長の田中孝司氏は「MVNOは増えてほしくない」と本音を漏らした。説明会では、営業利益が2期連続2桁成長に達するなど、同社の好調ぶりが伝えられた。しかし囲み取材で、業績の先行きを問われた田中社長が漏らしたのは、意外にもMVNOの存在だった。「はっきり申し上げると、MVNOの利用者は予想以上に増えています」と田中社長は切り出した。続けて同氏は、「MVNOが提供するサービスは、モバイル市場のトピックとしてメディアでも取り上げられている。そのため、興味を持つユーザーも増えているようだ。今後も、ますます増えていくと思う」と所感を述べた。KDDIとしては、ユーザーがMVNOに流出する懸念がある。同社でも、子会社としてauのネットワークを利用するMVNOの「KDDI バリューイネイブラー」を運営している。このため、一部の収益はKDDIに還元されるという。しかし、それを差し引いても、MVNOの流行は同社の経営にある程度の影響を及ぼしているようで、田中社長は「あまり増えないほうがいいな、と思う」と苦笑いしていた。(記事提供: AndroWire編集部)
2015年05月12日JUGEMブログやレンタルサーバー「ロリポップ!」など多くのインターネットサービスを提供し、最近はハンドメイドマーケット「minne」のCMも話題になっているGMOペパボ。マイナビニュースでも過去に社長のコスプレやボーイスカウト風内定式、ペパランチョンなどの取材に伺っているが、今回も「新卒採用にむけて、『普通じゃない説明会』を行うのでぜひ来てください!」と誘っていただいた。一体何が行われるのだろうか……!?○会場に入ったところからもう普通じゃない会場に到着するとまず目に入るのが、ロビーに点在する看板。とんかつQ&Aでおなじみ「グーペ」のロースおじさんによる「ベルサイユのぶた」、ロリポップ! キャラクターによる「ロリオとロリエット」など、すでに今回のネタはもしかして……? と思わせるつくりとなっていた。受付をすませると、渡されたのはチケット・チラシ・パンフレットのセット。ちゃんと"もぎり"までいる芸の細かさに感動しながら客席へ向かう。目の前に広がるステージで、何かが行われる予感がビンビンだ。「これは内緒ですけど……下から出てきます」スタッフの方に囁かれ、取材陣に緊張が走った。○豪華なオープニング場内が薄暗くなると、映像が流れ始めた。映画館などでよくある「公演前の注意」だが、なんと出てきたのは「地獄のミサワ」。地獄のミサワさんと縁があるという同社ならではの映像に、集まった学生からも絶えずくすくす笑いが漏れていた。その空気を突き破るように突如スモークがたかれ、ドラマチックな光が場内を満たす。せり上がってきたのは、羽根を背負ったトップスター・佐藤健太郎氏。代表取締役社長という肩書きにふさわしい自信に満ちた眼差しに、堂々としたダンスはまさにトップの風格! ダンサーを従えて踊る姿に、観客は熱い視線を注ぐ。続々と増えるダンサーもよく見ると若手から立場が上の方までそろっており、トップを支える心が伝わってくるようだ。一体感あふれるステージに惜しみない拍手が送られた。○そのまま通常の説明会にワンステージ終えた佐藤社長が「さて、ここからは通常の説明会です」と宣言すると、事業の今後や「もっとおもしろくできる」という理念とミッション、採用方針など説明会はまじめな内容に。だが、Twitter等では「羽根がふよふよして集中できない」「衣装がゆらゆらして集中できない」と絶えずツッコミが入っており、ハッシュタグ「#ペパボ新卒」がトレンド入りするなど話題性においても「普通じゃない説明会」となっている。トップスターである佐藤社長は「サービスもバックオフィスも含めておもしろくしていく、会社そのものがおもしろくなっていけばいいよねという理念でやっています」と語ってくれた。その後も社内の様子がわかる映像、エンジニア職、デザイナー職、総合職の説明、社長×新卒のパネルトークなど、かなり充実。質疑応答も非常に和やかでフランクな雰囲気で進んだ。そしてフィナーレでは再度トップとダンサーズが登場! 惜しまれながらその幕を閉じた。○どうしてこんな説明会になったのかさて、今回の「普通じゃない説明会」一体どういったコンセプトだったのだろうか? 人材開発グループの内田さんにお話を伺った。――今回のテーマに決まったのはどうしてですか?内田さん「昨年、歌舞伎風の説明会を行いました。うちでは"前年をしのぐ壮大さ"がルールなんです。期待に応えるために、今年は更に派手なものとして歌劇団風という試みになりました」――練習にはどれくらいかかっているんですか?内田さん「オープニングには4週間かけています。週1で集まって、あとは各メンバー自主練を重ねました。トップスターが社長、あとはダンスのうまい人が自然に2番手3番手とフォーメンーションを組んでいったのですが、『"次は自分がトップ"という気持ちで踊ってください』と指示を出しました(笑)」――今回の説明会のポイントはどこにありますか?内田さん「マネージャーなど立場が上の人も『新卒ウェルカムでバックアップします』と伝えたかった、というのはひとつのポイントかもしれません。新卒に近い若手社員だけではなく、あえて各職種の責任者を登壇させることで、何も知らずに社会に出てくる人たちに対して教育、バックアップ体制を用意しているというメッセージを贈りたかったんです。本人たちは、とても緊張していましたが(笑)」――就活中の学生さんへのメッセージなどはありますか?内田さん「もともとおかしげな説明会をやりはじめた発端が、就活中の学生さんが普通の説明会に行きすぎて疲れてしまうのではないか、という気持ちからでした。『就活がいやだな』となってしまっていたら悲しいですから……。来ていただいた方に、『就活も悪くない』と思っていただけたらうれしいですね」就活生を思う気持ちから始まっていたGMOペパボの「普通じゃない説明会」また来年も更に壮大なテーマで行ってくれるに違いない。
2015年04月23日シャープは4月17日、「2014年度決算、及び新中期経営計画に関する説明会」の案内状を報道関係者向けに発信した。開催日時は5月14日15時10分より。同社 代表取締役社長 高橋興三氏と代表取締役兼副社長執行役員 大西徹夫氏が出席する。シャープの今後の経営をめぐっては、4月に入って複数の報道機関から、液晶事業の分社化や産業革新機構からの出資受け入れ、優先株による資本増強、本社ビルの売却、3,000人規模のリストラなど、さまざまな再建案が報じられてきた。中でも、液晶事業の分社化と産業革新機構からの出資受け入れ、優先株による資本増強についての先行報道に対しては、同社から「決定した事実はない」と否定するプレスリリースが発信されてきた。これらのプレスリリースでは、「現在、新中期経営計画を策定中であり、本年5月を目処に公表する予定です」としていたが、このたび説明会の実施日を5月14日に決定した。同社の決算資料は5月14日15時に東京証券取引所「適時開示情報閲覧サービス」にて開示される。
2015年04月17日●実は多くの車載機器に採用されているARMコアARMは3月26日、Cypressと共同で記者説明会を開催し、同社の自動車向け製品に関する取り組みを説明した。最初に書いておけば、今回の説明会では基本的には新しい製品とかテクノロジーが説明された訳ではなく、既にARMが提供しているものが再説明されたに過ぎないのだが、それでもわざわざ説明会を開いたというのは、こと国内ではARMのアーキテクチャはSmartphone/Tabletなど向けで、自動車関係では一部のInfortaiment機器向けに利用されている程度、という認識が多く、これを正したいという意図があったのでは無いかと思われる(Photo01)。○ARMの自動車向けストラテジーさて、まずはARMのパートから。ARMがアドレスできる自動車向けマーケットはどんどん大きくなっている(Photo02)という認識がまずあり、運転システムの電子化・ADAS・運転情報とInfortaimentという3つの分野が急速に伸びると予測し、このマーケットを真剣に獲得したいと目論んでいる。既に同社のコアは様々なメーカーが製品に採用、自動車向けに導入が始まっており(Photo03)、決して同社が自動車業界に無縁と言うわけでは無い。ただこれらの市場はARM以外のコアも多く採用されているため、ここでARMの採用比率をより高めてゆきたい、という訳だ。では具体的にどんな用途向けに今後展開が考えられるのか、というのがこちら(Photo04~06)。特に運転席周りの場合、高級車向けにはHUD(Head Up Display)すらも次第に一般的な装備になりつつあり、逆に言えばHUDこそ持たないものの、従来高級車にのみ搭載されていたマルチファンクションタイプのコンソールはミッドレンジを超えて大衆車にまで広がりつつある。Cortex-R5はまさしくこうした用途向けのMCUとして開発された製品である(Photo07)。どのあたりがコンソール用途向けかというと・ EEMBC AutoBenchで、1.0 Automark/MHzの高性能(ちなみにPowerPC系だとこれを超えるのはe200v7コア搭載の製品のみで、殆どの製品は1.0 Automark/MHz未満である)・ Green Hillsから自動車向けに最適化したコンパイラが提供される・ ISO26262/IEC 61508の認証取得に必要なリソースが提供されるというあたりである。実は後半2つは製品そのものというよりも開発環境に関係してくる部分なので、ここをもう少し説明する。自動車業界では最近MBD(Model Base Design)を利用した開発が序々に広まりつつある(Photo08)。といっても、現状ツールとしてはMathWorksのMATLAB/Simulinkが唯一のもので、あとはSynopsisの提供するVirtual Prototypeを初めとするツール類で試作を高速化する環境はあるが、ここで問題になるのはどちらを使うにしても、ターゲットデバイスはMATLAB/SimulinkなりVirtual Prototypeがあらかじめサポートしているものに限られる事だ。そんなわけで主要なプラットフォームベンダーは自社の製品がこれらのツールでサポートして貰える様に努力しているわけだが、ARMの場合主要なコアはもう既にサポートされているから、ここで悩む必要がなくなるのは大きなメリットである。また、例えば途中で利用するSoCのベンダーを変える、あるいは新規に追加するといった話があっても、複数のメーカーが既にARM v8-Rベースの製品を投入しているから、同じCortex-Rベースの製品を選べば開発やメンテナンスの手間がだいぶ省けることになる(Photo09)。勿論これは諸刃の剣であって、逆に半導体ベンダーからすると長期的にはCortex-Rを搭載しただけでは差別化にならなくなるわけで、別の差別化要因を探さないと別のメーカーにシェアを簡単に奪われてしまう事にもなるのだが。●Functional Safetyへの取り組み○具体的にはどのような機能安全対策が取られているのか?続いて話は機能安全の話に。Functional Safetyとして知られるこの機能は、単に自動車だけでなく安全性が必要とされる多くの場所で必要な要件とされている。この分野は、必要とされるリソース(設計・検証や要求されるドキュメントなど)が桁違いに大きくなるので、敢えてこの分野はやらないと公言しているメーカーもあるほどだが、ARMはここに積極的にアドレスする事を宣言している(Photo10)。では自動車における機能安全とはなにか?という一例がこれ(Photo11)。パワーステアリング周りの操作に関しては、故障しないのが勿論一番ではあるが、工業製品ではそれはありえない訳で、では故障したらどう対処できるかをちゃんと考えておく必要がある。一番まずいのはECUが故障したりトルクセンサーが異常を出したりしたときに、パワーステアリング用モーターが固着してしまうことで、したがってこういう事態にならないような設計が必要になるわけだが、そもそも大前提として故障頻度をどの程度に抑えるかという話がある。故障しても事故にならない設計をするのと同様に、コンポーネント内部に関しても「回路の一部が異常をきたしても、直ぐに全体が故障しない」様な設計が求められる。こうした機能安全は、業界に応じて異なる標準化がなされているが(Photo12)、骨子となる部分は基本的には同じで、あとはマージンの取り方とかドキュメントの手法などに相違点がある(一部検証方法などの違いもあるが)程度。流石にARMとしてもこの全部に対応するのは無理であり、まずはAutomotive/Medical/Industrialといったあたりをターゲットにする形だ。具体的にはどんな形で?というのがこちら(Photo13,14)。外部からの放射線などの影響に対してはECCとかMultiple Latchなどの対策が有用だし、Systemaic faultsへの対策はDCLS(Dual-Core Lock Step)などが効果的である。これらを当初からCortex-Rシリーズでは設計に盛り込んでいる、という話である。ただ、単にこれらを設計に盛り込むならず、開発時点でのマネジメントのレベルからこれに配慮してドキュメント(Photo15)を用意すると共に、こうした機構の検証メカニズムを用意、さらにはパッケージとして提供することでメーカーのみならず開発の負荷を減らせる、というのが同社の説明であった。●SpansionのCortex-R5ベースの自動車向けMCU「Traveoシリーズ」○Cypressの自動車向けラインナップさて、ここからはCypressというかSpansionの赤坂伸彦氏(Photo16)により、同社のCortex-R5ベースの自動車向けMCUであるTraveoシリーズの説明があった。まずはマーケット概観(Photo17)であるが、自動車向け半導体の売り上げの伸びは9.5%と、半導体全体の売り上げの伸びである6.5%を上回る勢いであり、これをキャッチアップしてゆくのは当然重要と考えられるとしている。このマーケットに向けて、富士通も昔から製品を提供しており、もう40年近いの歴史がある(Photo 18)。ここで利用されてきたアーキテクチャは同社独自のもの(最近だとFRシリーズ)や、場合によってはARM 9/11といったコアも利用されてきたのだが、同社は(Spansionの買収前に)Cortex-R5の採用を決定、Spansionの買収後にこれをTraveoシリーズとして発表している(Photo19)。なぜCortex-R5を採用したのか、という事に対するSpansionとしての回答はこちら(Photo20)である。もしここで独自コアのまま突っ走っていると、開発環境や自動車向け品質のコンパイラの提供、あるいはFunctional Safetyにまつわるパッケージの準備を全部自前で行う必要があり、そのあたりを勘案するとARMのエコシステムに乗ったほうが楽、というのは特にこれからシェアを伸ばしてゆきたいというメーカーにとっては当然であろう。同社の場合、Traveoをコンソールパネルやボディ制御、EV/HVのモータ制御向けに考えており(Photo21)、例えばモータ制御ならこんなことが出来るという一例が示された(Photo22)。ボディ制御は、本格的なシャーシ制御とかActive Suspensionなどではなく、比較的穏当な範囲の制御に留まっている(Photo 23)。HAVC(Photo24)も同じで、少しづつ機能が増えている事に対応して、MCUの側も少しつづ進化している(Photo25)形だ。そして本題と言うわけでもないが、同社が3月26日に発表した新製品が次のクラスタシステム向けのソリューションである(Photo26)。この分野も最近はアナログメーターが使われているケースはだいぶ減り、LCDに置き換えられつつある。また2D表示以外に3D表示が使われるケースも増えてきている。同社は富士通の時代からこの分野向けのソリューションを長く提供してきており(Photo27)、2D/3Dどちらも実績がある。特に3Dエンジンについては、VRAMを介さずに直接表示を行う機能を持っているのが特徴的である(Photo28)。このクラスタ向けは既に多くの製品がラインナップされているが(Photo 29)、3月26日には内蔵Flashとフレームバッファを1MBに削減した S6J32BAとS6J32DAを新たにラインナップに追加、大衆車向けの廉価なクラスタシステム向けとして提供されることになる。ちょっと話は戻るが、今のところARMは自動車向けのGPUを提供する予定はない(これはYork氏にも確認したが、あくまでSmartphoneやTabletなどのMobile向け、との事)。なので、どんなGPUを使うのか、というのは一つの差別化要因になりえる。実際赤坂氏も「Cortex-R5を使うだけで差別化になるとは考えていないので、どれだけ(OEM/Tier 1が)使いやすい製品を提供するか、という形で頑張ってゆく」とされており、その意味ではCortex-R5の使い方の一つの見本と考えてもよいかもしれない。冒頭に述べた通り、今回の説明会の内容はこれだけであり、何か目新しい話があったというわけでは無い。にも関わらずこうした説明会を開催することで、ARMは自動車業界にも強い、という事を印象付けたいというのが狙いであり、今後も似たような機会が定期的に開かれるかもしれない。ある程度そうした認識が浸透するまでは粘り強く繰り返す、というのはARM本国の意向でもあろうが、ARM(株)の内海社長の得意とする手法でもあるからだ。
2015年04月01日オンキヨーは4月1日から複数回、PCを使わない環境でハイレゾ音源をダウンロード・再生するための説明・体験会を開催する。会場は東京・八重洲のGibson Brands Showroom TOKYOで、入場は無料。説明・体験会は二部構成で、第1部が「スマートフォンでハイレゾ体験! アカウント作成から再生まで」、第2部が「DIGAを使用したPCレスのハイレゾダウンロードについて」となっている。第1部の使用機材はNTTドコモのスマートフォン、第2部の使用機材はパナソニックのレコーダー「ディーガ DMR-BRZ2000」。第1部、第2部ともオンキヨーのスタッフがハイレゾ音源配信サイトから楽曲を購入・ダウンロードし、再生するまでの方法を一貫して説明する。開催日時は下記の通り。入退場は自由で、1部のみ、あるいは2部のみの参加も可能となっている。会場のGibson Brands Showroom TOKYOは、東京都中央区八重洲2-3-12 オンキヨー八重洲ビル、JR東京駅または地下鉄銀座線京橋駅より徒歩5分。4月1日(水)第1部 18:00~18:30第2部 18:35~19:104月8日(水)第1部 18:00~18:30第2部 18:35~19:104月15日(水)第1部 18:00~18:30第2部 18:35~19:104月22日(水)第1部 18:00~18:30第2部 18:35~19:10
2015年03月31日AMDは26日に都内で記者説明会を開催し、ディスプレイ表示技術「FreeSync」とバーチャルリアリティ(VR)コンテンツ向け技術「LiquidVR」について解説を行った。今回はその内容を紹介したい。○ディスプレイ表示技術「FreeSync」FreeSyncそのものは、2014年11月のAMD Future of Computing 2014の際に初めて明らかにされ、その後、Catalyst Omegaの説明会など、過去にも何回か紹介されているのだが、FreeSyncに対応したディスプレイが市場に出回り始めたことももあって、今回改めて詳細な説明が行われた(Photo01)。FreeSyncは、ディスプレイに表示される画像のカク付きや、画が引き裂かれたようになってしまうティアリングを軽減する技術。基本的なアイディアは、画面表示のフレームレートを可変にするというものだ。例えば画面描画が本来のフレームレートに間に合わない場合、あるフレームは描画途中のものが表示され、次のフレームではそれが完成して表示されるということになる(Photo02)。この場合、Refresh 3にあたるものが表示をスキップする形になる。そこで、描画間に合わない場合にはフレームレート自体を遅らせることで間に合わせようという仕組みだ(Photo03)。さて、この仕組みというか効果そのものはNVIDIAのG-SYNCと同じものだが、大きな違いは実装にあたっての問題である。G-SYNCは、NVIDIAの独自技術としてライセンス提供される形だが、FreeSyncはVESAによって、「Adaptive-Sync」として標準化されているように、オープンでライセンスフィーは必要ない。また、G-SYNCはディスプレイ側に対応モジュールを搭載しなければならないが、FreeSyncははDisplayPortに対応したディスプレイであれば、そのまま利用できる(Photo04)。2014年12月の段階では、Samsungが対応ディスプレイを投入予定という話だったが、今回の説明会では6社から8つの対応製品が用意されていることが発表された(Photo05~09)。会場にはそのLGの34UM67-Pが持ち込まれ、FreeSyncの効果のデモが行われた(Photo10,11)。そのFreeSyncであるが、いまのところ利用できるのはRADEON RシリーズのDiscrete GPUと、Kaveri世代のAPUのみである(Photo12)。これに関しては「何しろ正式発表から1 週間でまだ時間が足りないので、全部の検証は終わっていない」としており、技術的にはGCNに対応したGPUであれば潜在的には可能「なはず」という返事であった。また、2015月6月には発表されると思われる次世代(R5/7/9 3xxシリーズ)製品だが、メイン~ローエンドに関しては新アーキテクチャではなく、既存コアの流用になるのはなかば公然の秘密と化している。そこで「次世代の製品、特にローエンドモデルは当初からFreeSyncをサポートするのか?」と聞いてみたところ「I hope so」という、やや怪しい返事であった。ところで再びG-SYNCとの比較に戻るが、価格面以外にも若干ながら性能面でのアドバンテージがある、というのがAMDの説明である(Photo13)。Photo14はAlien:Isolationをプレイするにあたり、G-SYNCのOn/Offでどの程度のフレームレートの変化があるかを比較したものだが、わずかとは言えG-CYNCをOnにするとフレームレートが犠牲になるというのがAMDの説明である。これに対し、FreeSyncではフレームレートの犠牲は無い(Photo15)としている。ちなみに現時点でのFreeSyncの欠点はCrossFire環境では動作しないことで、これは次のCatalystで対応するとのことであった。残念ながら国内では、LG以外のディスプレイの選択肢は無い訳で、このあたりは国内企業への働きかけなどがないとちょっと普及には時間が掛かりそうではある。○LiquidVRもう1つの発表がLiquidVRに関するものである(Photo16)。これは2015年のGDCで発表された、VR(Virtual Reality)向けの技術で、すでにSDK 1.0のαバージョンが開発者向けに提供され始めている。このLiquidVRは、NVIDIAが発表したVR Directに対するカウンターパートというか、AMDからの対抗ソリューションと考えればよい。Oculus Riftに代表されるVR Headsetの利用頻度が高まってくると、求められる要件のレベルは当然上がってくる(Photo17)。それも単にグラフィック能力だけでなく、音響やセンサーの精度や速度の向上も同時に必要とされるようになる(Photo18)。またVRのマーケットが広がるにつれ、ゲームやエンターテインメントだけでなく、教育や医療といった広い範囲での利用が考えらる。こうした分野ではより高い精度が求められる(Photo19)。VRを実現する機能のうち、GPUに求められるのは主にPhoto20の上の4項目である。話をLiquidVRに移すと、現在のSDKで提供される機能の特徴がこちらである(Photo21)。Latest Data Latch(Photo22)はTime Warpと呼ばれる機能の一部をなすものである。このスライドではメールボックスに準えているが、CPUは常にVRヘッドセットのセンサーから頭部の位置や動きを捉え、「次の瞬間にどういう動きをするか」をメールボックスに格納し続けている。このときのGPUは? というと、もちろんこちらも「次に必要な画面」を予測しながらレンダリングを行っているが、こちらは何しろ時間が掛かるから激しく頭を振ってるような状態(例えば物音がしていきなり振り返るとか)では、レンダリング開始時と終了時で頭の向きがずれている可能性がある。そこでレンダリング終了時にGPUはメールボックスを確認し、現在の頭の位置を再確認して、自身の予測とずれているようなら、そこでレンダリング画像をの微調整を行ってずれを最小限に抑えるという仕組みだ。Affinity Multi-GPUは、CrossFire環境でVRヘッドセットを使うときに、通常のAFR(Alternative Frame Rendering)ではなく、右目用と左目用にそれぞれGPUを割り振ることで効率を上げようという仕組みである(Photo23)。このために、専用のドライバが提供される模様だ(Photo24)。最後がDirect-to-Displayで、複数のVR Headsetの規格の違いの吸収、あるいはVR Headsetに非対応なOS上でVR Headsetを利用するためのサポートなどが含まれる。特にDirect Front Buffer Renderingは「現在表示されているフレームバッファに直接描き込む」(通常は表示されていないバッファに描き込みを行い、完了したら切り替えることで描画中の様子を見せないが、ただしその分遅くなる)もので、性能改善にも役立つ仕組みだ。LiquidVRそのものは、なにしろVR Headsetが無いと意味が無い規格であるし、そのVR Headsetそのものや描画方式がメーカー毎に異なったりするし、販売も開発者向けのみで、未だに一般ユーザーにはやや遠いところにあるのだが、早ければ今年中には一般ユーザーへの販売も始まる模様であり、そうした動向をにらんでの対応と考えればよいだろう。
2015年03月27日●なぜ11mmはじまりでF4なのか?キヤノンは3月17日、超広角ズームレンズ「EF11-24mm F4L USM」の技術説明会を開催した。説明会は、イメージコミュニケーション事業本部 副事業本部長 岡田正人氏による商品戦略およびレンズの開発・生産拠点である宇都宮事業所の紹介、ICP第一開発センター所長 金田直也氏によるEF11-24mm F4L USMの技術解説、写真家の石橋睦美氏と凸版印刷 チーフフォトグラファーの南雲暁彦氏による作品を交えたレンズの魅力紹介といった三部構成で行われた。冒頭、岡田氏は事業コンセプトとして「顧客価値の創造」を軸によりよい商品作り行うこと、EFレンズを通して写真文化の発展に寄与することをモットーにしていると紹介。商品戦略の基本はフラグシップ戦略であり、ハイエンド機に先行技術をまず投下して、それをハイアマチュア機やエンドユーザー機に提供していく形をとっている。レンズの開発設計・製造は宇都宮事業所で行っており、その中の宇都宮工場でEFレンズ、各種レンズ、特殊光学レンズを生産している。開発設計では、富士通のスーパーコンピュータ「PRIMEHPC FX10」による高度なシミュレーションシステムを使って、試作機を作る時間とコストを大幅に短縮。従来一晩かかっていたシミュレーションでも、すぐに結果を知ることができるようになったという話だ。製造面では、研磨、レンズコートの蒸着、各パーツの研削、洗浄、組み立てなどを一貫して宇都宮工場で行っており、とくにLレンズに関しては「MADE IN JAPAN」への強いこだわりから、完成まですべての工程をこちらで受け持っている。製造スタッフには「マイスター制度」が導入されており、要求スペックが高い工程は高度な技術を持ったマイスターが責任を持って担当。マイスター制度は「名匠」を筆頭に、S級マイスター、1級マイスター、2級マイスターの階級が設けられている。○なぜ11mmはじまりでF4なのか?さて、EF11-24mm F4L USMについては、「なぜ11mmはじまりでF4なのか?」という疑問が筆者にはあった。すでに他社から35mmフルサイズ用として、12-24mmでF4.5-5.6、もしくは14-24mmでF2.8というレンズが発売されており、もし出すとするなら「12-24mmでF2.8だろう」という漠然とした思いがあったからだ。その事に関してもよく質問を受けたのだろうか、11-24mmでF4になった経緯も語ってくれた。「技術的には12-24mmでF2.8のレンズを作ることは可能で、その方がいいじゃないか、という意見も多くあった」と岡田氏。だが、一段暗くしてでも今までにない画角を提供したいというのが最終決定で、先に語っていたように顧客価値の創造といった観点からも、「今までにないものを」という狙いを優先した。実際、魚眼レンズを除いた中では「EF11-24mm F4L USM」は世界最広角である。次にEF11-24mm F4L USMにおける設計技術について金田氏が詳細に解説した。金田氏が率いる開発センターは宇都宮工場に隣接しており、そこでEFレンズ、コンパクトカメラ、ビデオ、複写機などの光学設計を担当し、光学設計者、メカ設計者、電気設計者が所属しているそうだ。EF11-24mm F4L USMの最大の特長は、11mmという非常にワイドな画角を実現するために作られたレンズの前玉部分、とくに一番前の「G1」と呼ばれている第1レンズは、EFレンズ史上もっとも大口径な研削非球面レンズになっているとのことだ。第1レンズを非球面にすることで、サイズを抑え、歪曲収差をきっちり補正している。加工精度については、この第1レンズを東京ドームのサイズと仮定すると誤差はわずか1mm以内。非常に高い精度で作られているそうだ。第2レンズもガラスモールド非球面レンズとしてはEFレンズ史上最大サイズで、ワイドレンズにとって宿命である樽型の歪曲収差を良好に補正している。そのほか、G3、G16で像面湾曲補正をして周辺画質を向上、異常分散ガラスレンズ2枚(G5、G14)で色収差をキレイに補正する構造となっているそうだ。こういった特殊レンズをふんだんに使うことで、このレンズの特長である、ワイドズームでありながら全ズーム域周辺部まできっちりと描き出す高画質を実現しているとのことだ。次に語られたのは、フレアやゴーストを抑えるための特殊コーティングを3枚のレンズに施していることだ。ナノサイズのくさび状の構造物が反射を抑制する「SWC (Subwavelength Structure Coating)」を第1、第2レンズに、蒸着膜の上に空気の球を含んだ膜を形成する「ASC (Air Sphere Coating)」を第4レンズに施すことで、フレアやゴーストを可能な限り抑制しているそうだ。ちなみに、SWCを2枚のレンズに採用したのもEFレンズではこのレンズが初めてという話だ。最後に構造についてだが、このレンズはLシリーズなので高い耐久性能を持ち、防塵・防滴構造となっている。その中でもやはり苦労したのは、大口径で重い第1、第2レンズなどを含む第1群と呼ばれる部分をどのようなメカ構造にするかという話だ。ズームレンズなので、内部では複雑な動きが要求されるうえに、スムーズさも必要とされるので、転動ローラー構造を3箇所に設けることで実現させたとのこと。また、ある程度の衝撃にも耐えられる設計にしなければいけないので、衝撃吸収ゴム、ウェーブワッシャー (板バネ)を2箇所に設置することでLレンズとしての規格をクリアしたそうだ。●石橋睦美氏が高野山・金剛峯寺などで撮った作品を解説説明会は、写真家2人によるこのレンズによる作品とインプレッションに移った。まず、石橋氏がスライドに作品を映しながら語り始めた。画角がとても広く、周辺部まで歪曲が少ないという特長を生かすには建築写真が向いているだろうとのことで、高野山にある金剛峯寺をメインに撮影したそうだ。石橋氏が最初に紹介したのは、EF11-24mm F4L USMのカタログにも掲載されている大広間の写真。魚眼レンズと比較しても、その画角の広さは驚きで、歪みも少なく精細に描写されている。上下をトリミングしてみれば、むしろ人間の視覚より広がりのある空間が屏風のようであり、新しい表現になるかもしれないと、11mmがもたらす可能性について触れた。また、今回は横位置で撮影したが、これを縦位置で撮影してトリミングし、掛け軸のようにしても面白いと語った。撮影時に気を付けた点では、建築物など直線が多い被写体では極端なパースがつかないように「構図の中心部分をレンズの中心部分にくるように決めた」ことと、燈籠などそれほど大きくない被写体を主役にする場合はなるべく近づいて大きく見せるとのことだった。石橋氏は防塵性能についても、風の強い砂浜で撮影していた時、一緒に使っていたEOS 5D Mark IIIは故障してしまったのだが、こちらのEF11-24mm F4L USMはその後も故障なく動作しており、防塵性能も非常に高いと語っていた。とにかく個性の強いレンズなので、被写体を探すのは大変苦労するが、それを見つけた時は今までにない新しい写真が撮れるとのことだった。●南雲暁彦氏が米国・The Waveで感じた圧巻の11mm南雲氏がEF11-24mm F4L USMとともに訪れたのは、美しい岩肌の景色で有名な「The Wave」。The Waveはアメリカ合衆国のユタ州とアリゾナ州の州境付近「ヴァーミリオンクリフス国定公園」内にある。1日に20人しか訪問が許されない秘境で、写真家にとっても憧れの場所であるそうだ。そのThe WaveでEF11-24mm F4L USMを使えば、今までにない写真が撮れるはず、という南雲氏の予想はバッチリ的中。これまで捉えることができなかった岩肌の模様や岩の造形などが克明に撮影できたそうだ。画角の広さや歪みが少ないのはもちろんのこと、強烈なパースについても「寄り方によってパースの付き方がまったく変わるのが面白い」と語った。南雲氏が絶賛していたのは、EF11-24mm F4L USMの写りは全体的にとにかくシャープで、描写能力が非常に高いということ。空を大きく写した風景の作品では、ありとあらゆる雲が鮮明に描かれており、ぜひともオーロラをこのレンズで撮ってみたいと語っていたのが印象的だった。
2015年03月23日シャープは3月10日、都内にて報道機関向け「液晶タッチパネル新技術説明会」を開催、モバイル機器から70型電子黒板まで、用途に応じた最新UIソリューションを紹介した。冒頭、シャープ 代表取締役 専務執行役員 デバイスビジネスグループ担当 方志教和(ほうしのりかず)氏は、「タブレットなど市場需要拡大の遅れ」「中国市場における流通在庫増」「モデルミックスの悪化」など厳しいビジネスの現状認識を踏まえ、4月1日付となるデバイスビジネスグループの組織体制強化を発表した(中型ディスプレイを管轄するディスプレイデバイス第二本部の新設など)。続いて液晶事業ポートフォリオ変革に触れ、「B to B to B」、つまり非コンシューマ向け市場の車載や医療、電子黒板、サイネージなどの比重を高めるとした。2021年度までに、約40%の比率増という目標を掲げる(2014年度は約15%)。シャープの意気込みとして、競合に対する優位性を表す新規軸を述べた。3点の要素(デザイン・耐環境性能・UI革新)を示したうえで、ディスプレイ技術と電子デバイスとの融合である「ディスプレイUIソリューション」がシャープの強みであると、熱く語った。具体的には、紙とペンの使用感をそのままタッチパネルで実現することを目指した、同社の提唱する新コンセプト「フリードローイング技術」がある。タッチパネルのサイズに関係なく(5型~70型までなど)、同じ操作性の統一した使用感が実現できることがメリットだという。また、独自のUI技術によって、ウェアラブルデバイス、スマートフォン、パソコン、サイネージまで、コネクティビティの進化に貢献していくと語った。シャープのディスプレイデバイス開発本部本部長 伴厚志(ばんあつし)氏からは、今回の説明会における中心テーマである新技術について、4つのポイントで解説があった。○タッチパネル高感度化技術並列駆動センシングによって検知速度を高め、さらに従来比で約8倍という高SN比の検知によって高精細化・大画面化に対応するとした。具体的なユーザーメリットは、「1mmのペン先でも検出可能」「鉛筆でも画面に綺麗に書き込める」「手袋をしたままでもタッチ入力可能」「大画面で50点同時タッチを処理し、大人数で利用可能」といったものだ。また伴氏は、「高感度インセルタッチパネル」を独自の高感度技術で実現し、今後は4Kなど高精細への対応はもちろん、タッチパネルのコストダウンや一層の薄型化、処理速度アップにつながるとした。○ディスプレイ形状とタッチ機能の融合従来の長方形パネルにとらわれない、デザインと融合した直感的な操作の実現を示した。具体的には、会場にデモ展示されていたが、フレームレスUI、円形UI、アーチ型UIという3つの例だ。○ディスプレイに新たな機能を統合カードリーダー搭載ディスプレイがそれだ。従来技術では、有線接続でNFCカードリーダーを機能させていたが、アンテナ部を透明化したNFCカードリーダーをディスプレイ自体に搭載することで、表示と入力を一体化した直感的UIを提供。POS、自動販売機、ショーケースなどでの展開を見込んでいるという。○新たなUI技術への取り組み今後の取り組みとしては、電子ノート、カーブドサイネージ、空間検知(ジェスチャ)など、ディスプレイだけでなくセンシングデバイスやコントローラを融合させ、さらなる利便性と新しい体験を目指すとした。シャープの液晶は、前述した組織の再編に加え、電子デバイス事業統括部門との「横連携」も強力に進めるという。「ディスプレイUIソリューション」というキーワードに注目していきたい。
2015年03月10日TBSの4月期の番組改編に関する記者発表会が3月10日(火)に行われ、3月30日(月)より開始の「はやドキ!」で朝4時台の情報番組に参入することを発表した。会見には編成局長の津村昭夫氏、編成部長・伊佐野英樹氏が出席した。昭和30年4月1日の放送開始から数えて、今年は開局60周年にあたり、「60」のロゴと「未来へつなぐ、From TBS」というキャッチコピーも新たに発表された。今回の改編で特に注目を集めるのがニュースおよび、情報番組。現在、TBSでは早朝の情報番組として5:00から「はやチャン!」そして5:30より「あさチャン!」を放送しているが、3月30日(月)より「あさチャン!」をリニューアルしセットや構成、演出を一新。この「あさチャン!」よりもさらに早い朝4:00~5:30の生放送番組としてニュース、天気予報にスポーツ、エンタメ情報などを伝える「はやドキ!」がスタートする。すでに他局では朝4:00台のニュース情報番組は放送中であり「遅ればせながら」(伊佐野部長)の参戦となる。理由として伊佐野部長は、社員の「残業禁止」を打ち出す企業が増えたことで、それを補うために早朝から出社する人々やいわゆる“朝活”に勤しむ人々が増加したことを挙げる。これまで、高齢層しか早朝のTVを見ないというイメージがあったが、マーケティングにより、早朝からTVを見る人々が増加しているという結果が見られ、他局にならって参戦することを決めたと説明する。さらに「あさチャン!」(5:30~8:00)に続く8:00からの番組として、すでに報じられているように現在放送中の「いっぷく!」の後釜として「白熱ライブ ビビット」(8:00~9:55)がスタートする。「いっぷく!」がニュースに加えて生活情報を伝える番組だったのに対し、こちらの新番組は芸能ニュースなどを含む情報バラエティの色合いが濃くなっている。「いっぷく!」に続いて国分太一(TOKIO)がMCを務めるのに加え、“相棒”には女優の真矢ミキを抜擢。この他、ヒロミ、千原ジュニアらが曜日ごとのコメンテーターを務める。また、午後帯では現在、ドラマの再放送枠となっている「ひるおび」(11:00~13:52)の後の時間帯で、生放送の情報バラエティ「ゴゴスマ~GOGO! Smile!~」(13:55~14:53)がスタート。こちらは現在、名古屋のローカル番組として好評を得ている同番組をTBSでも放送するという形になり、大久保佳代子、林修、松本明子、山口もえ、黒田知永子らが曜日コメンテーターを務める。昨今、各種の記者会見などが午後2時過ぎに開催されることが増えており、その時間帯に生番組の枠を持ちたいというのが、この時間帯に情報バラエティを置く大きな理由だという。朝の「いっぷく!」終了に伴い、「いっぷく!」で紹介していた様々な生活情報をこの「ゴゴスマ」で補うことになるという。現在、この時間帯は裏番組で「情報ライブ ミヤネ屋」(13:55~15:50/読売テレビ)が人気を集めており、TBSのドラマ再放送は視聴率3%ほどを推移しており、「ゴゴスマ」の目標の視聴率として伊佐野部長はまずは「5%を超える」ことを掲げた。(text:cinemacafe.net)
2015年03月10日BSデジタル放送局、BS12ch TwellV(トゥエルビ)のメディア向け改編説明会が9日、都内で行われ、タレントのサヘル・ローズが出席した。同局は、2015年度4月期の改編説明会を実施。4月は開幕するプロ野球パ・リーグ中継のほかスポーツ番組を強化し、ドラマはBS初登場となる渥美清主演の『泣いてたまるか』(毎週土曜 14:00~16:00)をラインナップする。オリジナル番組もテレビ業界初の寿司専門番組『早川光の最高に旨い寿司』(毎週日曜 20:00~20:30)などを充実させるなど、3つのポイントが軸となる。説明会が行われたこの日は、今年1月からスタートした『サヘル・ローズのイチオシNIPPON』(毎週木曜 20:00~20:55)に出演している在日イラン人のサヘル・ローズが着物姿で登場して「着物は身が引き締まりますね。背筋がピットします。うなじがきれいでしょ(笑)」と笑顔。番組は日本の工芸品の技や文化を学んでいる外国人にサヘル・ローズが会いに行くというもので「番組は3カ月目に入りました。新潟からスタートしましたが、大雪の中、古民家巡りをしたのがいちばん印象に残り、収録が終わった後に涙が止まりませんでした。最初はどんな番組作りになるのかと思いましたが、地元の方と触れ合うことで学ぶことも沢山ありました」と収録の感想を。続けて「いちばんの見どころは、『へ~そうなんだ~』と次の日に誰かに話したくなるような内容が盛り沢山です。日本の素晴らしい工芸品や文化など、まだ伝えていないものなどを再発見していただけると思いますよ」とアピールした。滝川クリステルのモノマネが得意なサヘル・ローズ。番組で訪れた地方では「『クリステルをやってみて』と言われたりします(笑)」と要望も多いというが、「動物のモノマネも得意なんですよ。猫が得意で、猫と会話できるんです!」と新たなレパートリーがあることを明かしつつ「(番組で)日本を制覇したいですね。日本のあらゆるところに行ってみたいです。個人的には沖縄や秋田に行きたいですね。地方を訪れることによって地方の活性化につながればいいですよね」と意欲を見せていた。
2015年03月10日フジテレビの4月の番組改編の記者発表が3月6日(金)に行われ、新番組などについても発表されたが、平日午後帯の5時間の生番組に、生放送による「水曜歌謡祭」など“生放送”重視の姿勢が鮮明となった。「LIFE is LIVE」をテーマに掲げた今回の改編だが、まさに“LIVE”の言葉通り生放送が目立つ。平日の13:55~15:50で高橋克実と安藤優子をMCに迎えた情報番組「直撃LIVE グッディ!」を放送。続く15:50~19:00までニュース番組「みんなのニュース」「FNNみんなのニュース」が続き、平日の午後5時間が丸々生放送となる。水曜19:54~20:54にはフジテレビにとって21年ぶりの生放送の音楽番組「水曜歌謡祭」を放送。音楽番組の視聴率低下が叫ばれる昨今だが、その中でも高い視聴率を誇っているとフジテレビが自信を持っている「FNS歌謡祭」のスタッフが集結して本格的な音楽番組を制作する。MCには音楽番組の司会は初めてとなる森高千里と「アンジャッシュ」の渡部健を起用しており、子どもから大人まで誰もが口ずさめる名曲を選び抜き、コラボやカバーなどの様々な企画が展開される。金曜19:00のゴールデン進出となる「世界HOTジャーナル」も生放送による情報番組。タイトル通り毎週、世界のホットな話題を独自の目線と追跡取材で届ける。フジのゴールデン帯の情報バラエティで初のMCとなる東野幸治、現在もコメンテーターとして出演している山里亮太(南海キャンディーズ)、さらに昨年より産休を取っており、これが出産後初仕事となるフリーの西尾由佳理アナウンサーによる3人体制で進行する。ここ10年で最高の改編率で、特にゴールデンに関しては43.8%と大幅な改編を断行したフジテレビ。どのような結果がもたらされるか注目が集まる。(text:cinemacafe.net)
2015年03月06日フジテレビの4月の番組改編の記者発表で、現在深夜番組として放送されている有吉弘行が司会を務める「おーい!ひろいき村」の土曜19時のゴールデン帯進出、「ダウンタウン」、明石家さんまによる新番組の開始が発表された。昨年10月に月曜深夜で放送が始まった「おーい!ひろいき村」は芸能人たちの過酷なチャレンジ、おもしろ実験や検証VTR、“村人”の芸人と有吉さんのトークなどで人気を博しているが、同番組が装いを新たに「~有吉のニッポン元気プロジェクト~おーい!ひろいき村」(仮)として土曜19時のゴールデン帯にお引越し。有吉さんにとってはフジテレビのゴールデン番組のMCは初めての挑戦となる。また、現在「ダウンタウン」による情報バラエティ「してみるテレビ 教訓のススメ」が放送されている金曜日の19:57~の枠にて、「ダウンタウン」の新番組「ダウンタウンなう」(仮)が放送されることも発表。ダウンタウンを筆頭に、質問力の高い芸人たちが、変わった人生を歩んできた人たちから他では聞けない話を引き出していくというもの。ハプニング&アクシデントありの“予定不調和”なトークバラエティとなるという。さらに、明石家さんまがレギュラーとして土曜の夜のお笑い番組に!「オレたちひょうきん族」以来、実に26年ぶりに出演する新番組「さんまのお笑い向上委員会」が4月18日(土)より23:10~23:40でスタートする。かつて「FNS27時間テレビ」で放送された伝説のコーナー「向上委員会」および「明石家さんまの大反省会」を進化させたバラエティ番組で、毎回1組の芸人を“向上ゲスト芸人”に迎え、彼らが次のステージを目指すべく、さんまさんが“向上長”として委員会メンバーの芸人たちと共に英知を結集する。この7月で60歳の還暦を迎えるが、衰えることを知らない、さんまさんのトークに期待が集まる。(text:cinemacafe.net)
2015年03月06日フジテレビの4月の番組改編の記者発表会が3月6日(金)に開催され、ドラマ枠に関して土曜の深夜ドラマ枠の復活、およびそれに伴う火曜9時枠のドラマ(火9)が消滅することとなった。フジテレビでは過去に2012年4月から2014年9月まで、毎週土曜の23:10~23:55で“土ドラ”枠としてゴールデンの時間帯とはひと味違ったドラマを放送しており、昨年4月から放送された、沢尻エリカ主演の「ファーストクラス」は平均視聴率8%を記録するなど話題を呼んだ。2014年10月の改編で廃枠となっていたが、今回23:40~24:05で復活。現時点でドラマの内容は明らかにされていないが、“若手の登竜門”とすべくキャスト、脚本家、スタッフもフレッシュな人材を登用し、若年層に訴えかけていく作品になるという。この土ドラ復活に伴い、現在は火曜の夜9時~、夜10時~(※関西テレビ制作)でドラマが放送されているが、このうち“火9”枠が消滅。過去には「救命病棟24時」シリーズや「神様、もう少しだけ」、「踊る大捜査線」などを送り出してきた伝統枠がなくなることになった。同局の編成部長は会見で今回の土ドラ復活について「9時、10時、11時と(曜日ごとのドラマ放送の)時間を分けて、キャストやジャンルの幅などを広げて多種多様に新たなドラマを作っていきたい」と説明した。ドラマ枠では水曜10時の枠で日本テレビもドラマを放送しており、昨年放送された「ファーストクラス」(第2期)が日本テレビの綾瀬はるか、福士蒼汰らが出演した「きょうは会社休みます」に視聴率で引き離されるなど苦しい戦いを強いられた。これを踏まえて会見では“火9”ではなく“水10”を廃枠とする選択もあったのでは?という質問も飛んだが、夜10時という遅い時間帯の方が見やすいという視聴者の声を考慮したとの説明があった。“土ドラ”以外のフジテレビ制作の3枠(月9・水10・木10)に関しては、すでに内容が報じられているが、月9は「半沢直樹」の原作者・池井戸潤の同名小説を相葉雅紀(嵐)主演、有村架純共演で実写化する「ようこそ、わが家へ」。ストーカーの恐怖と戦う一家の姿と共に、池井戸ドラマの真骨頂とも言える企業の不正との戦いを同時並行で描いていく作品で、月9史上初のサスペンスタッチのホームドラマとなっている。水10では阿部サダヲ主演で、水原希子、藤木直人、山口智子らが共演する「心がポキっとね」。岡田惠和によるオリジナル脚本で、現代社会のストレスを背景に、キレちゃった男、ストーカー女、悩めない男、いい歳して自分探し女という究極のめんどくさい四角関係が展開する。木10は、昨年の同枠放送の「昼顔~平日午後3時の恋人たち~」で高い支持を集めた斎藤工・主演による「医師たちの恋愛事情」を放送。大学病院を舞台に医師たちがそれぞれに秘密を抱えつつ、出世や不倫、恋愛に三角関係と様々な欲望が渦巻く世界を生きていくさまを描く。斎藤さんは年下の外科医として、恋をあきらめた年上の女医に恋愛を思い出させるという役柄で、本作でもセクシーな魅力を存分に発揮してくれそうだ。(text:cinemacafe.net)
2015年03月06日●株式の非公開化によってアグレッシブに蘇ったデルデルは2月25日、都内で記者説明会を開き、10.1型の新タブレット「Venue 10 Pro」および「Venue 10」を発表した。また、コンシューマー事業における今後の展開や新生活キャンペーンについても説明を行った。○株式の非公開化によってアグレッシブに蘇ったデル説明会の冒頭、デル 執行役員 ビジネス&コンシューマー事業統括本部 ジェネラル・マネージャーである原田洋次氏がコンシューマービジネスについて解説した。米Dellは2013年末に株式を非公開化しており、「株式を公開していた時には色々な縛りがあったことに加え、IR情報の提供や市場に向けての説明が必要であった。非公開化したことにより、そこから解き放たれ、製品のサイクルや数、ソフトウェアのサービスなどに対して長期的な戦略を立てて実行できるようになってきた」と、そのメリットを説明した。○キーボードが付属する「Venue 10 Pro」、Lollipop採用の「Venue 10」続いて、クライアント・ソリューションズ統括本部 マーケティングマネージャーの本谷和美氏が、Venueシリーズ初の10.1型タブレット「Venue 10 Pro」と「Venue 10」を紹介した。「Venue 10 Pro」はWindows 8.1 with Bingを搭載したタブレット。個人向けモデルには専用のキーボードが標準付属するのが特徴だ。これにより、ノートPCのように使える「クラムシェルモード」をはじめ、キーボードを台として利用する「タブレットスタンドモード」、テントのように立てて置くことで動画やゲームを楽しむのに最適な「テントモード」など利用シーンに合わせて5つの使い方ができるとした。なお、Venue 10 ProのキーボードはBluetoothといった無線方式ではなく、本体に挿し込むと動作する接触認識方式。そのため、本体と離した状態では利用できないが、電源は本体から供給されるため、電池の心配はいらない。説明会で展示されていたキーボードは英語版だったが、製品版ではもちろん日本語キーボードになる。Venue 10 Proの本体は、タブレットとしては珍しくフルサイズのUSB 2.0ポートを備えているので、マウスやUSBメモリといった周辺機器を接続しやすい。Venue 10 Proのラインナップは、「WiFiスタンダードモデル」(42,980円)、「WiFiハイエンドモデル」(46,980円)、「LTE SIMフリーモデル」(56,980円)の3モデルが用意されている(価格は税別・送料込み)。ちなみに、LTE SIMフリーモデルの対応LTEバンドは1-5、7、8、13、17、18、19、20となっている。スペックの詳細はこちらのニュース記事を参照していただきたい。「Venue 10」はOSにAndroid 5.0 (Lollipop)を採用したモデル。「WiFiモデル」(36,980円)と「LTE SIMフリーモデル」(45,980円)が用意されている(価格は税別・送料込み)。OSのほか、キーボードを付属しない、NFCをサポートしている点が「Venue 10 Pro」と異なる。スペックの詳細はこちらのニュース記事を参照していただきたい。いずれも販売開始はWiFiモデルが4月下旬、LTE SIMフリーモデルが5月を予定している。なお、2月27日よりAmazon.co.jpおよびヨドバシカメラ、ヨドバシ・ドット・コムにて先行予約を実施する。●「XPS 13」はCES 2015で12の賞を受賞続いて、クライアント・ソリューションズ統括本部 クライアント製品&ソリューションマーケティング本部 コンシューマーブランドマネージャーの塚本陽子氏が登壇し、現在おすすめのノートPCを紹介した。まずは1月7日に販売を開始した世界最小の13.3型ノートPC「XPS 13」。XPS 13はCES 2015で12の賞を受賞し、セールスも好調を維持しているという。もう一台は2014年5月発売の14型ノートPC「Inspiron 14 3000」。3万円台から購入できる手軽さに加えて、落下などの事故にも対応する1年間の偶発損害保証があり、2014年の売り上げナンバーワンのノートPCになったという。カラーバリエーションとして、レッドが選べるのも人気の理由とした。最後にスモール・ミディアムビジネス&コンシューマー マーケティング統括本部 コンシューマーマーケティング 渡邊真理子氏が「新生活応援キャンペーン」を紹介した。一つは「生活応援プレゼントキャンペーン」で、特設サイトにてクイズに答え、正解した人の中から抽選で1名に「JTB旅行券100万円相当」と「Venue 10」をプレゼントするというもの。応募条件は旅行後に旅先で「Venue 10」を使っている写真を同社に提供できる方としている。応募期間は2月25日から3月30日まで。このほか、3月3日から同社直販サイトにて「新生活応援」モデルとして「Inspiron 14 3000シリーズ」のCore i3搭載モデルを500台限定で45,980円で販売(税別・送料込み)。4月30日までの限定で「学割キャンペーン」も展開するという。
2015年02月25日シャープは2月13日、液晶事業説明会を開催し、2014年度の液晶事業の見通しと、今後注力する車載用ディスプレイの取り組みについて発表した。2014年度第3四半期の同社液晶事業の売上高は、前期比6.3%減、前年同期比14.2%減の2380億円だった。第4四半期は前期比13.8%増、前年同期比15.3%増の2710億円を見込んでいる。これにより、2014年度の営業利益は400億円となる見通し。第3四半期の業績悪化は、タブレットなどの中型市場の需要拡大の遅れや、中国スマートフォン市場の競争激化によるパネル価格の下落、WQHDなどの高精細パネル市場の立ち上がりの遅れにより、流通在庫が増加したことなどが要因だったという。そして、これらに加え、中国のサプライチェーンでのトラブルも挙げた。昨年夏のタッチパネルメーカー台湾Wintekの経営破綻によるもので、「月産100~150万枚規模のスマートフォン向け液晶とタッチパネルの貼り合わせ工場が、夏以降も稼働していたが、12月初旬に突如閉鎖しストップした。徐々に他のタッチパネルメーカーへの切り換えを進めていたが、このルートに当社製品が多かった」(代表取締役 専務執行役員 デバイスビジネス担当 方志教和氏)と詳細を述べた。一方、今後の展開について、2015年度以降の直近の対応では、中型パネルの新規顧客開拓と拡販を図り、亀山第2工場(三重県)の中小型生産比率を50%まで引き上げることを目指す他、中国市場での競争優位性を確立するため、スマートフォンメーカーが多く集まる華南地区の営業強化、IGZO液晶の高性能化、インセルタッチパネルの早期量産化を進める。なお、インセルタッチパネルについては、今年6~7月より量産を開始する予定で、スマートフォン向けの中小型では、WQHD対応品の量産を低温poly-Si(LTPS)でスタートさせる。17型クラスの中型はIGZOで進めていく方針で、サイネージ向けなどの大型に関してはIGZOとコントローラを組み合わせた「フリードローイング技術」で実現していくとした。2017年以降の中期の対応では、液晶事業のポートフォリオを転換し、車載、IA、医療など社会インフラなどを中心としたBtoBtoB市場に注力して、その比重を拡大していく。スマートフォンやタブレット、液晶TVなどのコンシューマ製品扱うBtoBtoC市場は、低価格志向が強く、サイクルタイムが短い。さらに市場の変動が激しく、急激な売価ダウンのリスクが高い。これに対し、BtoBtoB市場はカスタム性が強く、品質力、技術力、サポート力などが必要で、強みが生きるとシャープでは考えており、「液晶事業のBtoBtoB構成比を2014年度の15%から、2021年度には40%まで引き上げたい」(方志氏)とした。また、BtoBtoB市場の中でも、特に注力する分野として車載を挙げた。バックミラーにディスプレイを内蔵した製品や、超低反射ディスプレイ、インパネ向けにフリーフォームディスプレイ(FFD)、高感度タッチパネルやジェスチャセンサ、さらにディスプレイ技術以外ではカメラを生かしたビューシステムなど、次世代技術をユーザーに提案し普及を目指すとしている。
2015年02月16日●デジアナ変換終了による買い替えをシャープは、2015年の春商戦に向けた液晶テレビの販売施策について説明した。薄型テレビの買い替えサイクルにあわせた「縦横無尽」と呼ぶ新たな提案施策のほか、デジアナ変換サービス終了に伴う買い替え需要に最適化した製品の投入によって、販売拡大につなげる考えだ。シャープ デジタル情報家電事業本部国内営業統轄の居石勘資氏は、「2004年度から2007年度までに薄型テレビを購入したユーザーの買い替え需要や、2009年度以降に販売された32型テレビからの置き換え需要が見込まれている。そんななかで、シャープは横方向だけでなく縦方向へのインチアップを行う『縦横無尽』の提案をする。また、今年3月に控えたデジアナ変換サービスの終了に伴って発生する525,000台の特需に対して、ブラウン管テレビから液晶テレビへの買い替え提案を行っていく」とした。○デジアナ変換サービスの終了にともなって同社によると、ケーブルテレビのデジアナ変換視聴可能世帯数は2,532万世帯。そのうちデジアナ変換サービスのみを利用している世帯は4.2%で、105万世帯になるという。105万世帯のうち「デジタルテレビに買い替える予定がある」との回答が50.0%を占めている。そこから逆算して、525,000台の買い替え需要があると想定している。「すでにデジアナ変換サービスが終了した地域では、サービスが終了する間際、あるいはサービスが終了してから慌ててデジタルテレビを購入する、といった例が出ている。2001年に発売したAQUOSの第1号液晶テレビはアナログ。液晶テレビだからといって、すべてがデジタル放送対応ではない。また、1台目のテレビが地デジ化していても、ベッドサイドのテレビはデジアナ変換サービスの対象という場合もある。アナログテレビをデジタルテレビにきちっと置き換えていくのが、今年の春商戦の重要な施策になる」とする。ブラウン管テレビやアナログ対応の液晶テレビの多くは、画角情報が4:3となっており、デジタルテレビの画角情報16:9とは異なる。「ブラウン管テレビからデジタルテレビへの買い替えにおいては、ワンランクアップの画面の高さを提案することで満足度が高まる。4:3の29型テレビから移行する場合は、同じインチサイズでは画面が小さくなる。40型の提案が、後悔しないテレビ選びにつながる」と一例をあげる。シャープは、40V型のLC-40H20(市場想定価格、税別90,000円前後)、32V型のLC-32H20(同60,000円前後)といった普及価格帯の製品を新たに投入。29型や25型というブラウン管テレビで主流だったサイズからの買い替え訴求を行う考えだ。●2015年春商戦では2つの層を狙うアナログテレビからの買い替えだけでなく、今年の春商戦ではさらに2つの需要層を狙った展開を行う。ひとつは、2004年度から2007年度までに出荷された約2,350万台の薄型テレビに対する買い替え需要だ。「薄型テレビは買い替えサイクルが平均8年間。2004年から2007年に販売されたテレビが買い替え対象となる。AQUOSでは、2006年にプレミアムモデルのRX1、ハイグレードモデルのGX1/2を販売。それぞれ9万台と42万台の販売実績があり、これらのユーザーの買い替えが見込まれる」とする。もうひとつは、2009年度から2011年度にかけて販売された約2,100万台の32型テレビからの置き換え需要だ。「地デジ移行に伴う特需によって、量販店店頭では品薄が発生したため、意図するサイズのテレビを購入できなかったユーザーも多い。40型の商品がないから仕方なく32型を購入した、というユーザーがいたとも聞く。こうしたユーザーに対して、満足度の高い選び方を提案したい。この春テレビを購入すれば、平均買い替えサイクルからみても、節目の年(オリンピック)はカバーできる。4Kテレビのサイズ選びを間違わないようにしなくてはならない」と語る。○「縦横無尽」に満足度の高い提案をそこで同社が打ち出すのが、「縦横無尽」と銘打った販売施策である。これまでのテレビの買い替え提案は、使用中のテレビの「横幅」スペースを考慮したものだった。もちろん、今年の春商戦でも横幅を意識した提案は継続するという。「たとえば、サイドスピーカーを搭載した37型の液晶テレビからの買い替えでは、そのままのサイズで46型を設置でき、画面サイズは1.5倍にできる。だが、今年の提案では、あと左右に3.5cmずつ横幅を確保してもらえれば、52型の液晶テレビが導入できるという提案をしたい。これにより、画面サイズは37型の2倍になり、満足度を持ったインチアップが可能になる」とする。こうした提案に、新たに加えたのが縦スペースの提案である。「アンダースピーカータイプの46型液晶テレビから52型の液晶テレビに買い替えた場合、画面は1.3倍となる。だが、高さが8cm低くなるため、画面は大きくなってもテレビが大きくなった印象が薄い。そこで、5cmだけ縦幅を高くできれば、60型の液晶テレビを導入できる点を訴求したい。そうすれば画面サイズは1.7倍になる。数字上のサイズアップだけで選ぶと、小さく感じて満足感が得られないという問題を、これによって解決できる」とする。今年の春商戦における量販店店頭では、従来の液晶テレビのサイズをPOPで示しながら、満足できるインチアップの提案を行うというわけだ。このように、横の提案だけでなく、新たな"縦"の提案を行うことから、今年の販促施策の名称を「縦横無尽」として買い替えを促進する。○この春商戦が今後のカギを握る国内テレビの基本需要は年間900万台~1,000万台といわれる。地デジ移行後のテレビ需要の低迷は依然と続いているものの、その一方で、すでに底を打ったとの観測もある。基本需要の水準に向けて、回復基調にあるのも事実だ。「ブラウン管テレビから薄型テレビに移行することで、リアリティのある映像を実現した。同様に今度は、4Kテレビに切り替えることで、人間の眼で見た映像を再現するような立体感や臨場感を実現するとともに、ITとの融合が進むといった新たな潮流もある。業界団体である一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)のデータをもとにした当社の予測では、2017年度には4Kテレビが2Kテレビの出荷台数を上回る」とする。テレビ需要は明らかに回復の兆しを見せている。その成長曲線を着実に上向きにできるかは、この春商戦にかかっている。薄型テレビからの買い替え需要では、4Kテレビや満足できるインチアップの提案。そして、デジアナ変換サービスの終了にあわせて、インチアップの満足感が得られる40型や32型といった普及モデルの提案。今年のシャープは、これら2つの戦略で2015年春商戦に挑む。
2015年01月21日日本オラクルは1月15日、NASストレージの新製品「Oracle ZFS Storage ZS4-4」の発表会において、ストレージ製品全般の戦略について説明を行った。初めに、システム事業統括 プロダクト・マネジメント・オフィス 本部長 宮坂美樹氏が、「デジタルデータは爆発的に増加しているが、企業が抱えているすべてのデータが使われているとは限らない。80%のデータは90日を経過するとほとんどアクセスがないという調査結果も出ている。そうした状況を踏まえ、われわれはコストをできるかぎり抑えて、データを最適な場所に配置することを考えている」と、同社のストレージ製品におけるコンセプトを説明した。このコンセプトを実現するのが、フラッシュストレージ、ディスクストレージ、テープストレージから構成される「階層化ストレージ」となる。同社は、フラッシュストレージとして「Oracle FS1 Flash Storage System」、ディスクストレージとして「Oracle ZFS Storage Appliance」、テープストレージとして「StorageTek」というラインアップを持っている。同社は、全体の数%程度の比較的使用頻度の高いデータはフラッシュストレージに、次に全体の10数%の使用頻度の高いデータはディスクストレージに、残りのデータはテープストレージにといった具合に、データのアクセス頻度に応じてデータを自動管理することを推進している。2014年10月に発表された「Oracle FS1 Flash Storage System」は、国内で初めて研究機関に導入されたという。その導入目的は「頻繁にアクセスする研究データ、再現性のない実験データなどの一定期間保管が必要なデータを効率よく保管したい」といったものだった。この研究機関では、同製品とともにテープストレージを導入して、多数のファイルサーバのデータをディスクとテープにまとめて、使用頻度の低いデータをテープに保管することにより、全体的なディスク容量が減って消費電力も削減されたという。また、宮坂氏は米国で昨年12月に発表されたフロント・ポーチ・デジタルの買収について言及し、買収途中のため詳細は明らかにできないとしたうえで、「今後、4Kや8Kに対応した機器やコンテンツが増えることが見込まれるため、フロント・ポーチが持つ高解像度の各種データ、ストレージ管理ソリューションと当社のストレージ製品を統合することで、効率的かつ低コストなデータ保管を実現したい」とその狙いについて語った。システム事業統括 プロダクト・マネジメント・オフィス プロダクト・ビジネス推進部 山崎隆文氏からは、テープ・ストレージ製品の最新動向について説明が行われた。山崎氏は、コンテンツ管理、メディア&エンターテインメント、HPC/ビッグデータ、ヘルスケア、図書館、ビデオ監視といった分野でテープ・アーカイブの需要が高まっていると述べた。同社のテープ・ストレージの中で特徴的な製品としては、StorageTek T10000 T2カートリッジが紹介された。同製品はバリウム・フェライトというビット密度を上げることが可能な素材からできており、従来の素材であるメタルパーティクルよりも磁気が安定しているという。また同氏は、昨年、テープの規格「LTO」のロードマップに「LTO9」と「LTO10」が加わったことを挙げ、今後もテープストレージの進化は続くと語った。
2015年01月16日●日本の電子書籍市場は1,000億円を突破楽天は12月18日に都内で記者会見を開き、電子ブックリーダー「kobo」ビジネスの状況を説明するとともに、新製品「Kobo aura H2O」の体験会を実施した。まずは楽天の田中氏が登壇し、電子書籍の全般的な状況や、同社の電子書籍事業について述べた。日本の電子書籍市場は2013年に1,000億円を超える規模に拡大しており、中でもコミックが全体の70%近くを占めている。楽天Koboも会員数が継続的に増加(具体数には言及せず)、コンテンツの売り上げに関しても2012年から2013年は3.2倍、2013年から2014年に関しても2.3倍に拡大しているという。Kobo事業における2014年の取り組みとしては、3点を紹介。まず電子書籍を扱うストアに関して、従来は楽天ブックスと異なる「楽天Kobo電子書籍ストア」で販売していたが、2013年から順次楽天ブックスへと統合を行ってきた(2014年10月1日より楽天ブックスへの統合を完了)。楽天Kobo電子書籍ストアもまだサイトは残っているものの、すでにトラフィックが少なくなっており、2015年中ごろを目途に閉鎖の予定としている。電子書籍に対する取り組みでは、Androidアプリも楽天UIを取り込み、ユーザービリティを向上。ログインをスキップして簡単に購入できるクイック購入や、コミックのまとめ買い機能、支払い手段にラクーポンを加える機能強化を挙げた。パートナーとの取り組み強化に関しては、12月9日から行われた「進撃の巨人 15巻」の事例を紹介。出版社である講談社、取次の大阪屋(注:楽天が筆頭株主)と連携し、書籍のコミックを購入すると、楽天Koboの関連電子書籍コンテンツがダウンロードできる特製イラストポストカードをプレゼントするというもの。これによって、新規のKobo会員を増やすO2Oの成功事例となったという。今後もこのような、楽天Kobo×出版社×書店、という取り組みを継続する予定だ。また、新サービスとして、すでに海外で行われている自己出版サービス「楽天Koboライティングライフ」のベータ版を12月18日からスタート。コンテンツクリエーターの利便性を向上させるとともに、電子書籍市場のコンテンツ拡大を目指す。2015年以降の予定としては、現在実証実験中の「書店で買える電子書籍カード『BooCa』」をより本格的に展開すること、サイトとアプリの使いやすさを改善、コンテンツジャンルごとの販促戦略という3点を挙げた。最後の販促に関しては、コンテンツごとに行動が異なり、例えばコミックでは一巻無料から全巻購入への誘導、文芸では作家やサブジャンルの買い回り販促を行うという。●防水性と表示能力アップの電子書籍リーダー「Kobo Aura H2O」○防水性と表示能力アップの「Kobo Aura H2O」続いて、すでに先行発売が行われているKobo Aura H2Oを、楽天の糸山氏が紹介した。楽天ブックス(および楽天Kobo電子書籍ストア)は、パソコンやスマートフォン、タブレットでも利用可能だが、専用の電子書籍リーダー「Kobo」も扱っている。Kobo Aura H2Oは、楽天Kobo史上初となる防水・防塵の電子書籍リーダーだ。価格は19,980円(税込)、一般発売は2015年2月下旬となる。主な特徴として、IP67規格に準拠した防水性で、水深1mで最大30分の使用が可能だという。これによって風呂場やキッチン、温泉などでも電子書籍を楽しめるほか、濡れても乾いた布で拭き取るだけでよい。さらにディスプレイも強化している。従来のKobo Auraが6型1,014×758ドット画面だったのに対し、Kobo Aura H2Oでは6.8型1,430×1,080ドット画面とより高精細になった。物理的なサイズもコミック単行本に近くなり、細かい描写もハッキリくっきり表示できる。Eインク使用とフロントライトのComfortLight技術は継承され、内蔵4GBのストレージ、microSDHCカードによって32GBまで拡張できる点は、Kobo AuraとKobo Aura H2Oで共通だ。一方、Kobo Aura H2Oはやや大型化してる。Kobo Auraと比較して、厚みが1.7mm増えて9.7mmに、重量が49g増えて233gになった。そのほか、防水性のためにベゼルとパネルに段差がついている。すでに完了している先行300台の予約に関しては、12月18日から順次送付を開始している。さらに、2,000台の追加先行販売を12月19日10時から開始し、こちらは1,000円分の電子書籍クーポンが付属する。一般発売は2015年2月下旬だが、その理由は生産体制だ。Kobo Aura H2Oはグローバルでよい反応を受け、供給がひっ迫しているという。生産体制を見直した結果、2015年2月から安定供給が可能になるとのことだ。
2014年12月19日カヤックは2015年1月17日に、新卒・中途向け採用イベント「1社だけの合同説明会」を開催する。同社では昨年から、部署や職種を限定せず、より多くの社員と話すことができる機会として「1社だけの合同説明会」を開催している。多くの社員と話し、会社の雰囲気を肌で感じとることができれば、就職のミスマッチを無くせるのではないかという考えのもと、今年も実施する。説明会は、合同説明会の形式で、社員ひとりひとりがブースを持って展開。各自の仕事をプレゼンするほか、入場者との交流も行う。今年のメインコンテンツは、役員と面接ができる「最終面接ブース」。話し合いの内容によっては、その場で内定が出る可能性もあり、実際に昨年は2名の内定者が出たという。「出戻りブース」は、元カヤック社員の出戻り就職について役員が相談に乗るコーナー。ヒカリエや渋谷周辺で働く元社員も歓迎するとのこと。また、カヤックの初期を知る退職者が登壇する「退職者ブース」も設ける。開催日時は、2015年1月17日の13:00~20:00(入場料無料でいつでも入場可能)。会場はヒカリエホール A(東京都渋谷区)。現在、特設サイトで事前予約を受け付けている。なお、当日参加も可能だが、時間を要する場合もあるとのこと。学生も社会人も参加できる。
2014年12月04日●「UP2715K」の解像度は5,120×2,880ドットデルは27日、都内にて液晶ディスプレイ新製品の記者説明会を開催した。発表されたのは、27型製品として世界初の5K対応をうたう「UP2715K」、曲面スクリーンを採用した34型の「U3415W」、そして衝撃的な価格がうれしい4K対応の「P2415Q」と「P2715Q」の4機種だ。価格および個別製品の詳細については既報記事を確認していただくとして、本稿では卓越したスクリーンパフォーマンスを実感できるデモンストレーションも含めて行われた、記者説明会の様子をお届けしよう。記者説明会の冒頭、登壇したデル エンドユーザーコンピューティング事業統括本部クライアント製品マーケティング本部ブランドマネージャーの河田浩行氏は、デルのモニター製品群が出荷ベースで9年連続(2005~2013年)の第1位であることや、4Kモニター国内シェアにおいて第1位であることを示した。さらに、「2013年は4K元年」であったと振り返り、「4Kモニター市場もそう遠くない将来コモディティ化する」と推測。5Kモニター投入への経緯は、新たなフロンティアを切り拓くためであると明かした。○「UP2715K」の解像度は5,120×2,880ドット注目の5K対応ディスプレイ「UP2715K」は、最大解像度5,120×2,880ドットを実現し、リフレッシュレートも60Hzに対応、10億7,400万色の超高精細画質を実現するという驚愕のスペックを誇る。さらに、AdobeRGBでは99%、sRGBでは100%の色域をカバーしたほか、LCDパネルとガラスとの隙間を「オプティカルボンディング」という方式によって埋めるなどの工夫を凝らし、反射率を低減しているのも特徴的だ。また、モニター下部の左右に16Wのスピーカーを内蔵。高精細な映像に加え、臨場感あふれる音を有していることからみても、デルの意気込みが伝わってくる。ユーザーとして気になる5K表示を実現する環境についてだが、DisplayPortを2基使用することになる。ちなみに、DisplayPort1基のみで接続した場合は4Kでの表示となる。現時点では動作確認済みのグラフィックスカードは、NVIDIA Quadro シリーズ(K2000/K2200/K2000D/K4000/K4200/K5000/K5200/K6000)のみで、R344.11以上のドライバが要求される。クリエーターから厚い信頼を得ている同社のワークステーション「Precision」シリーズとの組み合わせこそが「UP2715K」の真価を発揮するという。●34型の曲面ウルトラワイド「U3415W」○34型の曲面ウルトラワイド「U3415W」次いで紹介されたのは、34型の曲面ウルトラワイド製品「U3415W」だ。21:9のアスペクト比を備え、最大解像度3,440×1,440を実現。sRGB 99%の色域を表現可能だ。また、ディスプレイが自然な弧を描いた曲面になっているので、ユーザーの目からディスプレイの端までの距離が、平面ディスプレイに比べ26mmほど近くなる。焦点距離が短くなることで、眼への負担も軽減するという。また、映し出される映像に没入できることから、映像鑑賞やゲームなどの趣味での利用はもちろん、広大なスクリーンサイズを活かして映像編集や写真編集作業、金融トレーディングなどの現場における実用性も兼ね備えている。4K対応製品「P2415Q」「P2715Q」も食指を動かされる価格に眼が向かいがちだが、最大解像度3,840×2,160ドット、60Hzのフレッシュレートを実現しており、sRGB 99%をカバーしている実力派だ。IPSパネルの採用により、従来機種よりも画質、視野角とも向上している。○Adobe製品を用いた「なるほど納得」なデモンストレーションゲストとして招かれていたアドビシステムズ マーケティング本部 デジタルメディアグループリーダーの栃谷宗央氏により、Photoshop CC、Photoshop Lightroom 5を用いたデモンストレーションが行われた。5Kという圧倒的な解像度を誇る「UP2715K」は、「例えば4Kの映像編集を行う際に、映像をフルサイズで表示しつつ作業スペースが得られるメリットがある」と栃谷氏。「U3415W」については、Photoshop Lightroom 5のサムネイル表示の情報量を見せつつ、「Adobeのために開発されたのではないか」と相性のよさについて言及した。また、複数枚数のRAW画像をつなぎ合わせパノラマ写真を作成して見せ、両製品がそれぞれ持つメリットをわかりやすく示してくれた。高精細で圧倒的な美しさや没入感が得られる、それぞれに特徴のある4つの新製品。12月14日は12時から19時まで、15日は12時から20時まで、JR秋葉原駅電気街口改札内イベントスペースにて展示され、実際にその実力を目の当たりにする機会も設けられている。食指を動かされた方は己の眼でチェックしてみてはいかがだろうか。
2014年11月28日インテルは26日、教育市場向けの取り組みに関する説明会を開催した。小学校、中学校、高等学校などの教育市場でICT利活用の促進を図り、合わせて各学校をはじめ自治体や官公庁との協業などを推進する。また、教育向けのタブレットの提供で、2015年以降の国内PC/タブレット市場の拡大を目指す。説明会では、インテル常務執行役員ビジネスデベロップメントの平野浩介氏が登壇。国内ビジネスクライアント市場のPC出荷台数は過去10年間、約800万台で安定的に推移しており、今後もその傾向が続くと想定する。ビジネス市場としてはエネルギーや金融サービス、行政、医療、製造など幅広い分野がある中で、特に教育市場を「市場として成長のチャンスがある」と捉え、特に教育分野に注力する方針を示した。教育分野では、グループ学習用のタブレットの活用や、デジタル教科書の導入やLTE/WiMAXなどモバイルネットワーク環境の普及などが進んでおり、同社は2020年の教育現場では「PC教室の設置」から「一人1台」の方向に加速すると予測する。取り組みの中では、「教育向けプラットフォーム開発」「教育向けコンテンツの開発」「流通パートナーの支援」「政府・官公庁・教育委員会・学校との連携」を行い、一人1台端末の拡販を推進する。プラットフォームの提供に関しては、耐衝撃性の確保や強化パネルの採用、スタイラスペンの標準装備など、大人がオフィスで使うタブレットとは差別化した教育向けのリファレンスモデルを同社が提供。既にNEC「VersaPro タイプVT」、富士通「ARROWS Tab Q555」、東芝「dynabook Tab S80」などから教育向け製品が登場している。コンテンツ開発では、同社と東芝が協働で開発している教育タブレット向けノート編集アプリ「デジタルノート」を紹介した。児童・生徒向けのデジタルノート作成が行えるアプリで、紙とデジタルとの融合を図ることが特徴。例えば児童が書いた紙のノートを撮影し、データ化した紙のノート上に、タブレットで撮影した写真や動画を配置したりデジタルペンで書き込んだりできる。また、2013年に米Intelが買収した、教育用コンテンツの開発・配信会社Knoに触れ、マルチメディア教科書の提供や教師・生徒間のコミュニケーショの推進、教育用ソフトウェアのクラウド上配信といった取り組み予定を発表した。流通/販売パートナーに関しては、株式会社内田洋行代表取締役の大久保昇社長が、教育現場での活用を紹介。学校教育市場への教育機器やコンテンツの製造などを手がける内田洋行は、教育ITC分野はブームとして1985年、1995年、2011年と発生してきたが、2014年は佐賀県や東京都荒川区など自治体主導による教育ITCへの取り組みがみられたことや、文部科学大臣から中央教育審議会に諮問された次期学習指導要領に"一人一人の可能性を伸ばす"内容が盛り込まれたことに触れ、「実際に教育ITCが根付く土壌ができてきた」とコメントした。その要因としてインテルと千葉県柏市で行った一人1台の実証実験、それを基に全国20校で行った国の実証実験などを挙げ、教育ITCの取り組みにより、学力向上や共同作業(コミュニケーション)などで一定の成果を上げたとした。また、教育ITCの発展には特に端末自体の頑丈さや安定した無線LANインフラの整備が重要とした。政府・官公庁・学校などとの連携に関しては、Google for Education日本統括責任者である菊池裕史氏が、Chromebookの学校導入事例を紹介。Googleが提供するChrome OSを載せたChromebookは、26日時点でAcer「C720」、日本HP「Chromebook 11G3」、ASUS「C200MA」「C300MA」「Chromebox」、デル「Chromebook 11」といったラインナップが揃う。菊池氏は従来のWindows PCと比べ、特にクラウドベースによる端末・コンテンツの管理が特徴だとし、特にクラスや教員・学生など、組織ごとにアプリケーションを手軽に管理できる「管理コンソール」が教育機関向けの強みとした。Chromebookの管理者向けプラットフォーム「管理コンソール」では、対象別にパッケージのコンポーネントを設定でき、全端末の機能制限や機能追加などを手軽に設定できる。Windows PCの端末管理ではOSやハードウェア、アンチウイルス、データ暗号化、ブラウザ(アプリ)などを別個に管理・更新する必要があったが、Chromebookでは、自動アップデートするOS/ブラウザ(アプリ)と、ハードウェアの2点のみを一括で管理できることが特徴。また、年単位での維持コストの低さ、教員による端末セットアップの手軽さも、特に教育向け端末としてメリットと強調した。インテルの平野氏は、「教育市場用モバイル/タブレットには、iPad以外にもAndroidやWindowsタブレットが増えており、Chromebookも登場してきた。インテルは企業活動を通して、考える力を高める21世紀型スキルの向上を加速させていく。日本はLTEの普及や子供の学力の高さなど、世界的にみても学習環境が恵まれている。活動を進めていきたい」と締めくくった。
2014年11月26日