佐藤浩市と樋口可南子が夫婦役を演じ、北海道に住む夫婦の愛や家族の絆を描く映画『愛を積むひと』が10月末にクランクアップを迎え、メイキング写真と佐藤、樋口のコメントが到着した。その他の情報本作は、2004年に『石を積むひと』のタイトルで出版されロングセラーとなったエドワード・ムーニー・Jrの小説を基にしたヒューマン・ドラマ。東京下町の工場をたたみ、北海道に移住してきた不器用な夫と、彼を支える妻の愛と絆を大自然の四季の移ろいとともに描く。『釣りバカ日誌』シリーズ、『武士の献立』の朝原雄三監督がメガホンを執り、佐藤、樋口のほか、北川景子、野村周平、杉咲花、吉田羊、柄本明らが出演する。北海道・美瑛町の丘に本建築のオープンセットを建て、約1年にわたって撮影を敢行したという本作。北海道では、十勝岳での登山撮影や、雑木林での茸狩りのシーン、旭川空港での別れのシーンなどの撮影が行われたといい、夫婦が移住する前の回想シーンの撮影を東京都内で行い、10月末に佐藤、樋口らキャストはクランクアップを迎えた。今後は北海道で冬の風景を撮影し、来年1月末に映画を完成させ、初夏の公開を目指す。佐藤は「足掛け4か月の撮影は、夏編と秋編との間が2か月ぐらい空いていました。美瑛の大地に本建築で家を作って、そのオープンセットでほとんどのロケをしたので、美瑛の風光明媚な風景、人々の優しさ、空気感は確実にフィルムに焼き付いていると思います」と話し、「可南子さんとの共演は、昔の日本映画を知っている者同士ということで、安心してキャッチボールができました」と振り返った。また、「朝原組は『釣りバカ日誌』で三國(連太郎)と一緒にやってきたスタッフが多いので、みんな僕の後ろに三國を見るだろうし、逆に言うと僕は朝原さん含めて、スタッフの後ろにまた三國を見る。そんな、普段なかなか無い相関性がありました」と語った。樋口は「美しい大自然の中で、静かに戦ったという感じ。命の時間が長くないと知った妻は、残された時間をどう夫と過ごすのだろう? 自分のため、夫のため、娘のため、何をしたいのだろう? ロケの間、ずーっと考えていたような気がします」と明かし、「実は、石塀を夫に作って欲しいという希望を出すところが、とりわけ難しかった。この突飛な希望って大丈夫なのかなぁと思っていたのですが、浩市さんの石を積む姿を見ていたら、なんだか妙に納得してしまいました。私の答えは、言いません。映画を観て下さる方からもいろんな答えが出そうで、今から楽しみです。演じ終えて、苦労はたくさんあったのに、純な気持ちを失わないこの夫婦は、つくづくいいなぁと思いました」とコメントを寄せた。『愛を積むひと』2015年初夏 全国ロードショー
2014年11月18日佐藤浩市と樋口可南子が第二の人生を歩む夫婦を演じた、映画『愛を積むひと』。北海道を舞台に大自然の中で撮影が行われている本作からこのほど第一弾となる特報映像が公開された。第二の人生を大自然に包まれた美しい土地で豊かに過ごそうと、東京下町の工場をたたみ、北海道に移り住むことにした夫婦・篤史(佐藤浩市)と良子(樋口可南子)。以前に外国人が住んでいたという瀟洒な家を手に入れ、良子は野菜やガーデン作り、篤史は、良子の長年の憧れでもあった家の周りの石塀を作るなど、ささやかながらも豊かな生活を満喫していた。そんなある日、良子が倒れる。以前から患っていた心臓の病が悪化していたのだ。心配させまいと夫に病状を言わず退院し、明るくふるまう良子。そんな良子に、景気の良いときも悪いときも結婚以来、毎年贈り続けていた一粒の真珠を篤史は今年も誕生日にプレゼントする。笑顔で受け取る良子を見つめながら、夫婦2人の幸せなときが続くことを願う篤史。しかし、その願いは届かず突然、良子は最期の時を迎える。悲しみにくれる篤史のもとに、亡き妻から手紙が届のだが…。今回届いた映像には、佐藤さんと樋口さんが笑顔で歩くシーンが映し出される。「あっちゃん、ありがとう」と優しく語りかける良子が篤史と腕を組むシーンでは、夫婦の絆の深さを垣間見ることができる。北海道の美しく雄大な土地や、夫婦が暮らした家を空撮でダイナミックに映し出し、人生の豊かさや希望を感じさせる映像だ。1年という歳月をかけて、北海道の雄大な自然、豊かな四季とかけがえのない夫婦の愛、家族の絆を描く本作。エドワード・ムーニー・Jr.の「The Pearls of The Stone Man」を基に『釣りバカ日誌』シリーズ、『武士の献立』でメガホンをとった、巧みな人間ドラマの演出で定評のある松竹の社員監督・朝原雄三が映画化。主人公・篤史に佐藤さん、篤史の妻で病を抱えながらも、陽気でしっかり者の良子に樋口さんが演じるほか、篤史と良子の一人娘・聡子役に北川景子、更生を誓い、篤史の家の石塀作りを手伝う青年・徹役に野村周平、誰にも言えない秘密を抱える徹の恋人・紗英役に杉咲花、娘の将来を心配する紗英の母・美智子役に吉田羊。そして、頑固一徹な紗英の義父・熊二役には柄本明と豪華俳優陣が集結している。映画『愛を積むひと』は2015年初夏、全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2014年10月04日昨年、国内の映画賞を総なめにした『八日目の蝉』の成島出監督の待望の新作『草原の椅子』がついにクランクイン!主演の佐藤浩市を始めに西村雅彦、吉瀬美智子などを引きつれ、“世界最後の桃源郷”と呼ばれるフンザ(パキスタン・イスラム共和国)での長期ロケに臨むことが明らかとなった。佐藤さんが演じるのは、カメラメーカーに勤める主人公・遠間憲太郎。西村さん扮する取引先の社長・富樫との間に友情が芽生え、互いに本音を語り合う中で、2人はこれからの人生をどう歩んでいくかを模索するようになる。そんな折、2人は何もない草原にただ椅子がぽつんと置かれた写真に出会う。その写真に桃源郷を見つけた2人は、強い衝撃に導かれるようにしてフンザへと旅立つ決意をする――。原作は、人気作家・宮本輝による同名小説。これまで多くの作品が映画化され、是枝裕和監督による『幻の光』ではヴェネチア国際映画祭で金のオゼッラ賞を受賞するなど、類稀なストーリーテラーとして注目を浴び続けてきた奇才である。本作は1995年に発生した阪神・淡路大震災をきっかけに始めた自身の40日間に及ぶシルクロードでの6,700キロの旅の体験を基に、人知を超えた雄大な自然と一人の小さな人間の生との対比を描き出す。映画化にあたり、舞台は2011年に発生した3.11東日本大震災以後の東京、つまり“現在”へと設定を変え、今後“どう生きて行くべきなのか”を観る者に問いかける。時代劇、現代劇からコミカルな役まで、様々なジャンルに出演し続け、ドラマや映画で圧倒的存在感を放つ佐藤浩市と、舞台を始めテレビ、映画、ラジオなどジャンルを越えて活躍を見せる西村雅彦。2人の男たちに加え、佐藤さん扮する遠間が密かに想いを寄せ、共にフンザへと旅立つことになる器屋オーナー・篠原貴志子役には、『ガール』での演技が記憶に新しい吉瀬美智子が扮する。先日クランクインし、フンザ、カリマバード、スカルドゥといったパキスタン・イスラム共和国での撮影は8月から1か月半にもわたるという。厳しく雄大な自然が残る“世界最後の桃源郷”で、彼らが感じるものとは?そして、人間ドラマの名手・成島監督が彼らの姿を通して呈示するものとは?『草原の椅子』は2013年春、全国にて公開。■関連作品:草原の椅子 2013年春、全国にて公開
2012年07月09日アジア最大のショートフィルムの祭典「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア」が6月16日(木)に開幕。実行委員長を務める別所哲也をはじめ、佐藤浩市に石井竜也らが出席し、開会式が執り行われた。1999年から始まった同映画祭だが、今年は震災を受けて一時は開催さえも危ぶまれた。そんな中、別所さんは創設当初から同映画祭を応援をしてきたジョージ・ルーカスから「こんなときだからこそ、日本からメッセージを発信し、若い映画作家たちを応援してほしい」と激励を受けたという。そして、復興を支援するためのチャリティオークションの開催や「チャリティショートフィルム」プロジェクトとしてショートフィルム製作が決定。世界中から“笑顔になる瞬間”をテーマに投稿された写真とEMI MARIAが歌う楽曲「Proud」を組み合わせて『GET UP』が作られた。このプログラムの趣旨に賛同した佐藤浩市が製作に参加し、大森清一郎監督らと共にアイディアを出し合って作品は完成。この開会式の中で上映されたが、投稿された写真と一緒に地震、そして福島の原発事故を想起させる煙と壊れた建物の絵が映し出されるなか、人々の“手”が繋がり笑顔を取り戻していくという内容で、上映が終了すると、会場は温かい拍手で包まれた。佐藤さんは「分かりやすさと力強さ」をテーマとし「『こんなことじゃない』と思われる被災者の方々もいらっしゃると思いますが、10人に1人、100人に1人でも勇気づけられる人がいるなら、我々は発信し続けていかなくては」と思いを明かした。ちなみに“手”のアイディアは佐藤さんのもので、実際に佐藤さんも手だけの出演を果たしている。映画の最後には、「闇の中に立ち止まっていてはいけない」という佐藤さんのメッセージも映し出される。阪神大震災で被災した経験を持つEMI MARIAも「傷が全くなくなることはないかもしれない。でも今回のことを経て、周りの人々との絆を強くすることができました。少しでも早く復興できれば」と呼びかけた。また、今年から創設された「フットボールプロジェクト」を記念して、サッカー解説者の松木安太郎も出席。今年はJリーグにとって20周年の年となるが、松木さんは「僕がJリーグ開幕当初に監督をやっていた頃に、子供だった人たちがとうに20歳を超えている。日本代表の選手も海外のトップリーグで活躍していてすごく嬉しいです」と感慨深げ。「世界のどこに行ってもサッカーがある」とサッカーの持つ力を強調、別所さんと記念Tシャツを交換した。さらに、この日は「話題賞」の授与式も行われたが、今年、ショートフィルムで話題賞に輝いたのは、ミュージシャン、アーティストであり、映画監督としても活躍する「米米CLUB」の石井竜也による「笹舟」。相変わらずの奇抜なファッションで登場した石井監督だが、見た目と裏腹に映画は自身初となる“直球の”時代劇。武士と町人の娘の身分違いの恋が描かれるが、1月の凍えるような寒さの京都で3日間の撮影が行われた。ショートフィルムとはいえ、監督はかなり細部に至るまで丁寧に撮影。「俳優をその気にさせるのが監督の仕事」と語り、カメラの裏側のセット、家屋の天井など見えない部分まで作りこんだことを明かした。また、石井監督も震災に際して、様々な支援活動を展開しており、多くのミュージシャンがコンサートツアーの中止を発表する中でもあえて、予定通りに敢行したことを明かし「こういう時期だからこそ、コンサートなどをやっていくべきだと思います。ずっと閉じこもってばかりはいられず、魂の開放が必要。今後の心の復興は難しいことですが、そういう部分で一役買えたらと思います」と継続的な支援を誓った。別所さんは改めて「3月11日以降、いろんなことが変わりましたができることを私たちなりに発信していければ」と映画祭の意義を語った。「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2011」は6月16日(木)〜19日(日)まで表参道ヒルズスペース オーにて、6月22日(水)〜26日(日)までラフォーレミュージアム原宿ほか各所にて開催。特集「ショート ショート フィルムフェスティバル & アジア 2011」■関連作品:ショートショート フィルムフェスティバル & アジア2011 [映画祭] 2011年6月16日から6月19日まで表参道ヒルズスペース オー、6月22日から6月26日までラフォーレミュージアム原宿ほかにて開催■関連記事:映画でもう一度日本をアピール!観光庁とのコラボでショートフィルムを制作C・ファース&K・ナイトレイ共演作ほか、スターたちが出演の短編作品が日本上陸!ルーカス監督に中田英寿などが出品!ショートフィルム祭典で復興支援オークションアカデミー賞公認!国際短編映画祭「SSFF」チケットを25組50名様プレゼントショートショートフィルムの新しい挑戦ついに“Jリーグ”ともコラボ企画決定!
2011年06月16日篠原涼子主演の人気ドラマの劇場版第2弾となる『アンフェア the answer』のキャストが発表され佐藤浩市、山田孝之、大森南朋が新たに本作から出演することが明らかになった。検挙率No.1を誇る敏腕の美人刑事・雪平(篠原さん)が、「アンフェアなのは誰か」というメッセージと共に連続して起こる予告型殺人事件の犯人を追うという展開で、多くの視聴者を惹きつけたドラマ「アンフェア」。これまでに三浦春馬に瑛太、江口洋介、椎名桔平ら人気の俳優陣が演じる個性的なキャラクターが予測不可能な騙し合いを繰り広げてきたが、謎を残した前作『アンフェア the movie』から4年を経ての劇場第2弾は“雪平、最後の事件”と銘打たれ、ついに“アンフェアなるもの”の答えが明かされる――?本作では、北の大地・紋別(北海道)で、雪平に連続殺人の容疑がかけられる。警察の内部機密が隠されていると言われるUSBの存在を巡り、元夫、同僚、上司、検察、凶悪犯罪者らが雪平に迫る。雪平役の篠原さんはもちろん、現実主義かつ日和見主義の野心的な警視庁捜査一課長・小久保を演じる阿部サダヲ、推理大好きの鑑識員で様々な技術を駆使して雪平に協力する三上を演じる加藤雅也、現在は所轄の刑事となっている情に厚い山路役の寺島進、そして雪平の元夫でフリーのジャーナリストである佐藤役の香川照之など、おなじみの面々はもちろん、今回の映画でも続投する。加えて、新たに登場する男たちも強力!佐藤浩市が演じるのは、現在の雪平の上司で、北海道西紋別署のたたき上げの刑事にして捜査一課長・一条。また、山田孝之は、東京地検の若き検察官で、正義感と強い上昇志向を持つ村上を、そして大森南朋は雪平を付け狙う謎の男・結城に扮する。北海道で2月に開始された撮影は、4月に都内でクランクアップ。現在は完成に向けての編集作業が続けられている。冬の北海道に始まり、様々な思惑が絡み合う緊迫の逃避行の中で、雪平夏見は誰を信じ、誰に裏切られ、そして誰を裏切るのか――?『アンフェア the answer』は9月17日(土)より全国東宝系にて公開。■関連作品:アンフェア the movie 2007年3月17日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国東宝系にて公開© 2006 Kansai Telecasting Corporation.All Rights Reserved.アンフェア the answer 2011年9月17日より全国東宝系にて公開■関連記事:シネマカフェ読者ゴコロなんでもベスト5(第14回)頼りになる“アネゴ”女優は?ヤバイ役者にヤバイスタッフが作ったヤバイ映画がついに完成!篠原涼子、江口洋介、キャスト勢揃い『アンフェアthe movie』完成披露試写会あの雪平刑事がスクリーンに『アンフェア the movie』試写会に20組40名様をご招待
2011年05月18日少しだけ気だるそうに、そして時折、辛辣で毒っぽさを含んだ言葉を交えつつ、映画について語る佐藤浩市の口調からは、映画という仕事への確かな愛情と情熱がひしひしと伝わってくる。つい先日、50歳の誕生日を迎えたばかりの彼の最新作『最後の忠臣蔵』が公開となった。佐藤さんが演じたのは、四十七士のひとりとして吉良邸討ち入りに参加しつつも、最後に同志たちと共に死ぬことを許されなかった寺坂吉右衛門。作品について、映画という仕事について、そして俳優人生について――佐藤浩市が、語りつくす。寺坂吉右衛門が“生”を感じる瞬間に興味を感じた「僕自身、きちっとした『忠臣蔵』には興味がない」と佐藤さん。今回の“後日譚”とも言うべき物語について「日本人に愛され続けてきたあの『忠臣蔵』の世界とは違ったところの面白さがある」と語る。「これまで僕がやって来た『忠臣蔵』は、『忠臣蔵外伝四谷怪談』であれ、TVドラマの『1/47』にしろ、言葉は悪いけどある意味“なんちゃって忠臣蔵”なんです。日本人が愛し続けてきた忠臣蔵というのは、忠義や組織論、自分の生とは別のところに価値を置くという美徳といった部分なんですけど、今回の映画も含めて、僕が演ってきたのは人間くささや生々しい人間の姿に焦点を当てた物語なんです。それは『新選組!』(NHK)で芹沢鴨を演じたことにも繋がってくるんだけど…。例えば『土方歳三をやらないか?』という話はこれまでもあったけど、正統的な『忠臣蔵』と同じで僕はそこ(=正統的な『新撰組』)には全く興味がない。だけど芹沢鴨の、己の器を知る哀しさとかそういう部分を演じるのには惹かれる。“埋没感”っていうのかな…」。では今回演じた寺坂吉右衛門については?大石内蔵助から、志士たちの遺族の今後を託されて“生かされた”吉右衛門という男のどの部分に共感や面白さを抱き、役を作り上げていったのだろうか?「この男が自分の“生”を感じる瞬間ですね。彼の中で、唯一楽しみにしていたのが、(遺族のために)お金を届けた先々で必ず尋ねられる『なぜあなたは生き残ったのか?』という質問に答えることなんではないか、と。『これはお話せねばなりませんが…』と自分の人生を否定的に語り出すときに、アイロニカルに自分の“生”というものを感じているんだろう、と。それを(観客に)分かってもらう必要はないんだけれど、そういう部分を自分で作っていきながら吉右衛門になっていくわけですね。それは“共感”というのとは違うかもしれないですが僕なりのやり方なんです」。本作に続き、来年も『のぼうの城』が公開されるなど時代劇への出演が続く。時代劇に出演するということにはやはり特別な感慨が?そう尋ねても「いや、別に」とそっけない反応…と思いきや、「ただ、こないだね…」と言葉を繋げる。「『のぼうの城』で京都にいたとき、小林正樹監督の『切腹』(’62)をフィルムで観る機会があったんです。いま観ると、それほどでもないところはあるんだけど、でもやはり“なんちゃって”時代劇ではないんですよ。役者さんも時代劇から入られた方ばかりで、腰の落ち着き方とか違うんですよ。それを観て『あぁ、もう少しちゃんと時代劇に向き合いたいな』と思ったのは事実ですね」。「節目で良い作品に出会う“ツキ”があるんですよ」時代劇に限らず、現代劇、コメディと数々の作品で存在感を示しつつ、50歳を迎えた。40代をふり返っての感想は?「ソツがなかった、という感じかな…。それなりにこなしてきたという(苦笑)。50代に向けては…また『切腹』の話になるんですが、あの当時、出ている方はほとんど40代半ばで、(主演の)仲代達矢さんに至っては30代ですよ。ところが明らかに、僕と同じくらいか僕よりも年をとって見える。それは、日本人の平均年齢が関係しているんでしょうが、50年前の人たちは明らかに我々より大人だったということなんですよね。10年くらい違いがあるんじゃないかってくらい年を取ることが先送りされてる。実際、『50歳って何だろう?』という感じで50代を迎えてみると『こんなに小僧なのか?』と思うくらい成熟してない(苦笑)。ちゃんと大人になっているはずなのに、大人になりきれていないって焦りを感じてます」。とは言うものの俳優としては、これ以上ないと言っていい着実なキャリアを積んできたのでは…?「ツキはあるんですよ。節目で良い作品に出会えてる。30代の頭に『トカレフ』に出会って、そこから確実にキャリアが変わっていったし、その後も石井隆と出会って『GONIN』をやったり。40代で守りに入りそうなときには、三谷(幸喜)さんから『マジックアワー』のような作品をいただけた。節目でチャレンジさせていただけるのは幸せな商売ですね」。息子の謝恩会で父・三國連太郎と三谷幸喜の本で“共演”三谷監督の名前が出たついでに、50代を機に舞台も進出する気は?と向けてみるとやはりというべきか「うん、ないね」とツレない返答。「まあここまでやらないのも意地かな(笑)。でも、息子の学校の卒業式の謝恩会で、三國(連太郎)と一緒に朗読劇をやったんですよ、三谷さんに本書かせて。まあそこで(三國さんと)同じ舞台にいられたというのは良かったですね。あとは別にやりたいと思わない(笑)。やっぱり、自分の中で“好き”と“嫌い”は大きくあるんだけれど、自分を客観視できるものがいいんですね。出来上がったものを自分で見られないと…。19か20で(デビュー作の)『青春の門』に出たんだけど、それまで、映画は好きだったけど、生業としてやっていけるなんて思ってなかった。『どうしていこうか?』って思ってたときに、その映画の最後で(自身が演じた)信介がバイクで去るところの自分の顔のどアップを映画館で見たんです。そのときに、何だろう?感動でもないし…『あ、これを続けたい』って思ったんです。自分のアップを見て自分なんだけど自分じゃないような感覚を感じてこれが続けられたら、と思った。そのときに改めて、映画だなって本当に思えたんです。それから30年、よく続けてこれたよね」。「舞台に出るでも自分で撮るでもなく、でも映画に関わってあと15年くらいやれたらいいね」と言って、唇の端を曲げてニヤリ。いやいや、15年じゃ周囲がほっといてくれないだろう。まだまだこれまで見たことのない佐藤浩市を見せてほしい。■関連作品:最後の忠臣蔵 2010年12月18日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2010「最後の忠臣蔵」製作委員会■関連記事:桜庭ななみが号泣初日挨拶杉田監督に「このヤローって思った」桜庭ななみクリスマスは「友達と集まろうとか話してます(笑)」『最後の忠臣蔵』役所広司インタビュー“生かされた男”の矜持を語る『最後の忠臣蔵』リアリティを追及し世界文化遺産でも撮影敢行!役所広司&佐藤浩市で描かれる“その後”『最後の忠臣蔵』試写会に50組100名様ご招待
2010年12月22日映画『最後の忠臣蔵』の完成報告会見が6月17日(木)、東京・内幸町の帝国ホテルで行われ、主演の役所広司、共演の佐藤浩市が、開催中のFIFAワールドカップに参戦中の日本代表にエールを送った。本作は、赤穂浪士四十七士の討ち入りと切腹後、大石内蔵助の命により生き残った瀬尾孫左衛門(役所さん)、寺坂吉右衛門(佐藤さん)が葛藤を抱えながら使命を全うする年月を描く物語。大石の娘・可音(桜庭ななみ)を育てる使命を受けた孫左衛門の生きざまに、役所さんは「上司の娘を育てる使命をサムライとして全うしようとして、自分が育てた娘に女性を感じたかもしれない。男の強さと弱さを持っていたところが面白い」と感慨深げ。劇中、無二の親友となる4歳年上の役所さんへのライバル心を聞く質問に、佐藤さんは「4歳って結構デカいんですよ、僕からしたら役所さんは大先輩。これまで1シーン、2シーンご一緒させてもらったり、でしたが、今回ガッツリやらせていただけるのがとても嬉しくて楽しみに撮影に通っていました」と恐縮しきり。会場の笑いを誘った。一方、サムライ繋がりで、初戦を突破し19日(土)に第2戦のオランダ戦を迎えるサッカー日本代表の話題になると、役所さんは「(初戦は)もちろん見ました。次も期待しています。サムライジャパンに押されて『忠臣蔵』の記事が小さくなるんじゃないか不安もありますが。でもジャパン、ずっと応援していきます」と苦笑い交じり。佐藤さんは「僕は逆に、サムライジャパンのお陰で『忠臣蔵』の記事が大きくなるんじゃないかと期待しています。野球でもそうですが、こういうときにみんなが高揚して一体になる共有意識を持つっていいことだと思う。そういう意味でも次戦突破を期待しています」と先輩と上手く息を合わせて、エールを送った。本作は、ワーナー・ブラザース映画が製作委員会の幹事社として製作する作品の第1弾。製作総指揮を務める同社社長のウィリアム・アイアトン氏は「世界の映画祭への出品や海外の国への配給を考えている。いま、英語字幕版が完成したばかりの段階で、これから映画祭はまずヴェネチア、ローマにコンタクトをとります。ヴェネチアのコンペに持って行ければ」と明かした。ヴェネチアの審査委員長は今年、ジョン・ウー監督。男の美学を語る“巨匠”だけに、本作がコンペに選出されれば、快挙のひと波乱があるかも!?『最後の忠臣蔵』は12月18日(土)より丸の内ピカデリーほか全国にて公開(photo:O.NAOYA/text:Yoko Saito)■関連作品:最後の忠臣蔵 2010年12月18日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2010「最後の忠臣蔵」製作委員会■関連記事:役所広司×佐藤浩市“討ち入り後”を描いた『最後の忠臣蔵』で世界へ!
2010年06月17日池宮彰一郎の小説「最後の忠臣蔵」が、役所広司と佐藤浩市を主演に迎え映画化されることが発表された。池宮作品ではすでに「四十七人の刺客」が1994年に高倉健、中井貴一、宮沢りえらを配して映画化されているが、本作は「四十七人の刺客」の後に出版された「四十七人目の浪士」(※のちに「最後の忠臣蔵」に改題)が原作。大石内蔵助を始めとする浪士たちが吉良邸に討ち入り主君に殉じて切腹したのち、密かに生き残った2人の男たちの姿を描いた物語となっている。役所さんが演じるのは、赤穂浪士・瀬尾左孫衛門(せのお・まござえもん)。討ち入りの直前に仲間たちの元から逃亡、討ち入り後に志士たちが英雄視される中で、“裏切り者”“臆病者”という罵り、蔑みを浴びながら生きる。一方の佐藤さんの演じる寺坂吉右衛門(てらさかきちえもん)は、討ち入りを果たした四十七士の一人であり、「忠臣蔵」ファンの間でも名の知られた人気の志士。討ち入りには参加したもののその直後、討ち入りの事実を後世に伝えることを目的に、大石内蔵助の命で隊から離脱した浪士であり、2人が吉良邸討ち入り後の時代を生きる姿、そして瀬尾の逃亡の真の理由が描かれる。これまで幾度となく時代劇で名演を見せてきた役所さんと佐藤さん。近年では、三谷幸喜監督作『THE 有頂天ホテル』に共に出演しているものの、本格的な共演は今回が初めて。果たしてどのような絡みを見せてくれるのか?メガホンを握るのは、長年にわたりTVドラマ「北の国から」シリーズの演出を担当してきた杉田成道。これまでに舞台で手塚治虫原作の「陽だまりの樹」やつかこうへい作の「幕末純情伝」といった時代劇の演出を手掛けている。共演者には安田成美、笈田ヨシ、山本耕史、伊武雅刀ら演技派の俳優陣が名を連ねる。『ラスト サムライ』、『硫黄島からの手紙』といったヒット作を世に送り出してきたワーナー・ブラザースが日本発の大作として日本人の心に深く刻まれた「忠臣蔵」で世界に勝負を賭ける!『最後の忠臣蔵』は2011年正月第二弾として全国公開予定。■関連作品:最後の忠臣蔵 2011年正月第2弾として全国公開
2009年11月04日