東芝は6月18日、盗聴が理論上不可能な量子暗号通信システムにより、ゲノム解析データの通信を行う実証試験を8月31日から開始すると発表した。実データを用いた量子暗号通信システムの実証試験は、国内初となる。量子暗号通信は、光子の量子力学的な性質を利用する通信手段。通常の光通信では、大量の光子を使い1ビットのデータを送信しているため、いくつかの光子を盗まれても、盗聴に気づくことができない。量子暗号通信では、光子1個に1ビットのデータを載せて送るため、盗聴があると光子の状態が変化し、確実に盗聴を検知することが可能となる。盗聴されていないことが保証された暗号鍵を、次々に更新しながら暗号化することにより、通信データの盗聴は理論上不可能とされている。実証実験では、東芝ライフサイエンス解析センターにおいて、日本人ゲノム解析ツール「ジャポニカアレイ」で解析したゲノム解析データを、量子暗号通信システムにより暗号化し、7km先の東北大学 東北メディカル・メガバンク機構まで送信する。実証期間は、2017年8月までの2年間で、長期間の運用における通信速度の安定性や天候、温度や光ファイバーの状態など環境条件の影響度などを検証する。
2015年06月18日東京大学(東大)は5月27日、一般相対性理論から導き出される重力の基礎となる「時空」が、さらに根本的な理論の「量子もつれ」から生まれる仕組みを計算を用いて解明したと発表した。同成果は、同大国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)の大栗博司 主任研究員、カリフォルニア工科大学数学者のマチルダ・マルコリ教授と大学院生らの物理学者と数学者からなる研究グループによるもの。詳細は米国物理学会が発行する学術誌「Physical Review Letters」に掲載された。世界は、「電磁気力」「強い力」「弱い力」「重力」の4つの力が存在しているとされているが、このうち重力を除く3つの力については量子力学を基礎とした理論を用いて統一的に説明できることが分かっていたが、重力も含めて統一的に説明するためには、重力も量子化する必要があった。一般相対性理論では、ある時空に含まれる情報は、その内部ではなく表面に蓄えられるとする原理「ホログラフィー原理」により、量子効果から重力現象の基礎となる時空が生じるとされてきたが、その仕組みはよくわかっていなかったという。今回、研究グループは、量子効果から時空が生じる仕組みの鍵は量子もつれであることを見出し、中でもエネルギー密度のような時空中の局所データが、量子もつれを用いて計算できることが示されたとしており、これにより、量子もつれが重力現象の基礎となる時空を生成することが示されたとする。なお研究グループでは、今回の成果について、一般相対性理論と量子力学とを統一する理論の構築に向けた研究の前進に寄与することが期待されるとコメントしている。
2015年05月28日昨年エイベックスからメジャー・デビューを果たしたシンガー・ソングライターの大森靖子と、演劇界の外部からも注目を浴びる劇作家/演出家の根本宗子。以前から互いの作品のファンだったという両者によるタッグが舞台『夏果て幸せの果て』で実現する。大森は音楽を担当するのみならず、俳優としても舞台にあがり、弾き語りも披露する予定だという。大森靖子×根本宗子『夏果て幸せの果て』チケット情報根本「タイトルの通り、大森さんの<夏果て>という曲に触発されて脚本を書きました。<夏果て>は監禁殺人事件が歌詞の題材なので、怖いとか暗いというイメージを持つ人が多いと思うんですけど、そこでどれだけ幸せなものを観せられるかを考えています。被害者が監禁されているという意識がないような物語にしたいですね」劇中では鳥肌実演じる怪しげな中年男性が、城川もね演じる女子高校生を監禁している、という設定だ。ふたりの奇妙でいびつな関係性が作品のひとつの肝となる。大森「<夏果て>は、実際にあった残酷な事件を歪ませて少し幸せにするっていう感覚で書いたんです。そもそも、辛い現実をちょっと浮かせてマシにするのが音楽の役割だと思っているので。<夏果て>も暗い曲だけど、現実にあった事件よりは明るいんですよ。その辺はもう、鳥肌(実)さんの幸せそうな感じを見て完璧だって思いましたね(笑)」舞台には現実の大森靖子と妄想の中の大森靖子が登場。それぞれを根本、大森が演じる。舞台は大森の部屋とコンビニエンスストア。東京芸術劇場に、虚実入り混じった空想世界が現出することとなりそうだ。これは、普段演劇を観ない層にとっても新鮮な体験をもたらす作品だろう。大森「私のファンって、“どうしよう?拍手、していいのかなあ?”みたいな状況には慣れっこなはずなので、その“どうしよう?”を楽しんで欲しいですね。で、素直に色んなことにびっくりしたり引いたり笑ったりしてくれたらいいと思います」根本「私は自分の劇団公演が終わった約2週間後に本番があるんです。そんな短期間で長編を2本続けてやるって聞いたことがないし、2本目を2週間の稽古でやるっていうのも珍しい。で、どちらもその時々で自分の中で浄化したいと思っていることを書いていて、ある意味、ドキュメンタリーみたいになっている。だから、2本続けて観た人には何か特別に感じてもらえるものがあると思います」公演は6月3日(水)から9日(火)まで東京・東京芸術劇場 シアターイーストにて上演。チケット発売中。取材・文:土佐有明
2015年05月26日defytime Japanはこのほど、テロメア理論に基づいたエイジングケア製品「defytime TAA クリーム」を発売した。5月25日には、東京丸の内丸ビルにて、講演「ヒトテロメラーゼ酵素と老化・寿命について」を開催する。「テロメア」は、遺伝子情報が詰まった染色体の先端にある部分のこと。ヒトの細胞は分裂を繰り返して新しくなるが、細胞分裂する際にそのテロメアが少しずつ短くなっていくという。一定の長さより短くなると細胞の生存性が失われ、身体にさまざまな老化現象が現れる。その老化現象を食い止めることにつながると言われているのが「テロメラーゼ」という酵素だ。テロメラーゼは、細胞分裂するたびに短くなるテロメアを保護する働きがあるという。「テロメラーゼの活性を高めれば、細胞分裂の寿命を延ばすことができるのではないか」と、世界中でさまざまな研究が行われている。今回、開催する講演には、テロメア研究第一人者のビル・アンドリュース博士が登壇。同博士は、テロメア短縮に介入することによって人間の寿命を延長する方法を研究している。講演では、これまでの研究データや開発秘話などを織り交ぜ、求めるビジョンやテロメア理論に基づく製品開発展望を含めて講義する。講演日時は5月25日の14:15~16:00(入場は14:00時より)。場所は東京丸の内丸ビル、丸ビルホール&コンファレンススクウェア8F。同社では同博士が「テロメア」と「テロメラーゼ」の研究を基に開発したエイジングケア化粧品「defytime TAA クリーム」(ディファイタイム ティエーエ― クリーム)の販売も開始した。限定2,000個の販売で、価格は18万円(税別)。defytimeウェブサイトで販売している。
2015年05月15日アートの観点から捉えるビジネスセミナー「ビジネスとアートの相関性理論」が、六本木の「イマ コンセプト ストア(IMA CONCEPT STORE)」で開催される。日程は第1回が5月12日、第2回が5月19日だ。ファッションとアートの双方に精通したビジネスパーソンが、ビジネスとアートの相関性について語るこのセミナー。第1回のゲストには、「ジョージズ(George’s)」や「シボネ(CIBONE)」などのライフスタイルショップを展開するウェルカムの代表取締役・横川正紀が登場する。横川正紀は03年に世界中の食を提供する「ディーン&デルーカジャパン(DEAN & DELUCA JAPAN)」を設立。その後、国立新美術館のミュージアムショップ「スーベニアフロムトーキョー(SOUVENIR FROM TOKYO)」や、西麻布のネオビストロ「ハウス(HOUSE)」などを展開している。今回のセミナーでは前半に、これまでに自身が手掛けてきたHOUSE事業における立ち上げから現在に至るまでの過程などを、ビジュアルと共に振り返る。更に、後半部分では自身が現在見ている景色や、共有したい感性などについて語られる。第2回のゲストは、これまでに『成功することを決めた』や、『やりたいことをやるビジネスモデル-PASS THE BATONの軌跡』などの著書を手掛けてきた、スープ専門店「スープストックトーキョー(Soup Stock Tokyo)」を主宰するスマイルズの代表取締役・遠山正道。セミナーでは現在のポジションに至るまでの経緯や、これまでに手掛けてきた事業におけるビジュアルイメージ戦略などについて語られる。また、企業として出展が決定している国際芸術展「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」の出展作品に込めた想いなども紹介される予定だ。【イベント情報】「ビジネスとアートの相関性理論1」(第1回)会場:イマ コンセプト ストア住所:東京都港区六本木5-17-1 AXISビル3階会期: 5月12日時間:20:00から21:30まで料金:一般 3,500円、雑誌『IMA』定期購読会員 3,000円定員:80名「ビジネスとアートの相関性理論2」(第2回)会場:イマ コンセプト ストア住所:東京都港区六本木5-17-1 AXISビル3階会期:5月19日時間:19:30から21:00まで料金:料金:一般 3,500円、雑誌『IMA』定期購読会員 3,000円定員:80名
2015年05月11日水野敬也の恋愛本が原作の新ドラマ「LOVE理論」(テレビ東京)。冴えない童貞大学生に、カリスマキャバクラ店長がモテテクを教える内容ですが、実は女性にとっても使える理論が盛りだくさん!そこで1~2話に登場した理論の応用方法を紹介します。●未来のお姑さんや小姑さんには勇気を出して「暴露返し理論」こちらは自分の暴露話をすると、相手も思わず人に言えない秘密を暴露し、心を開き始めるという「暴露返し理論」。ドラマでは、主人公が想いを寄せるヒロインに実家が貧乏であることを打ち明けると、彼女からも同様に父親の借金の話を聞き出せて、同調意識で仲良くなる場面がありました。この理論は、女性同士でももちろん使えます。とくに短時間で距離を縮めたい人間関係にこそ有用。例えば、彼のお姉さんや妹さん、そして将来のお姑さんである彼のお母さんなどとは、ひんぱんに会う機会が少ないけれど、好印象を持たれたいですし、互いに心を開いて、早く信頼関係を築きたいですよね。そこで、「実は…」と、女同士だからわかる“あるある”ネタを暴露してみて。人には言いにくい悩みを打ち明けて、相談にのってもらうのも◎。勇気を出して自分の弱みを見せることで、相手との距離を一気に縮められるはず。ここで注意したいのは、彼についてのネガティブな暴露や愚痴を言ってしまうこと。「わかる!」「え!そうなの!?」とその場は盛り上がったとしても、彼の株を下げるような発言はあなたの株を下げることにもなるので避けましょう。●難しい女性上司との距離が縮まる!「秘密の共有理論」秘密を共有した男女は距離が縮まり、恋愛感情が芽生えやすくなるという「秘密の共有理論」は、女性上司との有効な人間関係を目指すときに応用できます。職場での女性同士のイザコザはよくありますが、とくに自分より年齢もキャリアも上の女性上司に嫌われるのはなかなか恐ろしいもの。そこで媚びを売らずに、自然と仲良くなれて、良好な人間関係を築けるのが、この秘密の共有なのです。例えば、暴露返し理論の延長線上で「これ、誰にも言わないでくださいね」と前フリしつつ、学生時代にやらかしてしまったことをプチ暴露したり、「繁盛しちゃうのであまり人にはおすすめしたくないんですけど」と行きつけのお店をこっそり教えたり、「皆には理解されないんですけど実は○○が好きなんです」と、好きな芸能人や好きなタイプを教えるのもアリ。仕事中のふとしたタイミングや、帰り道が一緒になったとき、飲み会で近くの席に座れたときなど、話すチャンスを上手に狙いたいですね。●苦手な人と仲良くなれる「キャッチ&リリース理論」クラブでナンパするときに、ちょっと話しかけてはすぐ離れ、また話しかけ…を繰り返すことで、短時間で何度も会ったような印象を与える「キャッチ&リリース理論」。人は、会った回数が増えるほど好意や信頼感が増すため、長時間話し込むよりも効果的なのです。職場で、なんとなく話しかけにくい人がいたら、ぜひこの理論を活用してみて。朝の「おはようございます」から始まって、その人の席の近くを通ったり、廊下などですれ違うたびに「その服、可愛いですね!」「チョコ食べませんか?」など、一言でいいので積極的に話しかけましょう。相手が心を開いてきたら、タイミングを見計らって「暴露返し理論」や「秘密の共有理論」を実践。きっと仲良くなれるはず!このように、女性同士の人間関係にも応用できるドラマ「LOVE理論」。キャバクラ店長を演じる片岡愛之助さんのキレキレっぷりも注目です。深夜枠ということもあって男性向けのお色気シーンたっぷりですが、笑える演出なので、女性でも楽しめる人は多いはず。今後も意外と使える理論が続々登場しそうなので、気になる人はぜひチェックしてみてください。<文:富士みやこ>
2015年05月08日理化学研究所(理研)は10月23日、経験による脳回路の変化を新しい理論モデルで予測することに成功したと発表した。同成果は、理研脳科学総合研究センター神経適応理論研究チームの豊泉太郎 チームリーダーと、米コロンビア大学理論神経科学センターのケニス・ミラー 教授、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校の金子めぐみ 研究員、同マイケル・ストライカー 教授らによる研究グループによるもの。10月22日付け(現地時間)米科学雑誌「Neuron」に掲載さた。人が経験を通じてさまざまなことを学習することができるのは、脳回路内の神経細胞同士のつながりである「シナプス」の結合の強さが動的に変化する「可塑性」という性質を持つためだといわれている。これまでの研究から、神経回路の中でよく使われるシナプス結合は強くなり、あまり使われないシナプス結合は弱くなるという「ヘッブ型可塑性」によって、特定の細胞グループが同時に活動しやすくなり、学習が進むと考えられてきた。一方、神経活動が極端に強くなったり、弱まったりすることをシナプスの強さの調整によって防ぐ「整調型可塑性」という仕組みも存在し、この2つの可塑性が相互に調節し合いながら学習を成立させていることがわかっている。しかし、2つの可塑性がどう組み合わさって学習を成立させているのか、その仕組みは明らかになっていなかった。同研究グループは、左右の眼から入力情報のうち、どちらが大脳視覚野で優先的に処理されるかが経験とともに変化する「眼優位性の可塑性」という現象に着目。近年の実験で、この現象は神経回路のつながりの強弱が先に「ヘッブ型可塑性」によって変化し、しばらくして回路全体の活性が「整調型可塑性」によって調節されることが示されている。同研究グループは、経験による脳回路の変化を明らかにするため、この「眼優位性の可塑性」を忠実に再現できる、新しい理論モデルの構築を目指した。従来の理論モデルでは、2種類の可塑性がつりあうことで安定状態に達すると考えられてきたが、解析の結果、2種類の可塑性の時間スケールに違いがある場合にはシナプス結合が不安定になって眼優位性の可塑性を忠実に再現できないことがわかった。この問題点を克服するため、同研究グループは「ヘッブ型可塑性は短い時間スケールで、整調型可塑性はより長い時間スケールで働き、それぞれ独立に安定状態に達する」という新しい理論モデルを構築。そのモデルが、「眼優位性の可塑性」の実験結果を非常によく再現できることを確認したという。今回、経験による脳の変化を司る2つの可塑性が相互に調整しながら働くメカニズムが明らかになったことで、脳の成長や記憶のメカニズムの理解が進むだけでなく、薬剤が脳の発達障害や学習障害に与える影響を予測して、医療現場などにフィードバックすることも可能になると期待される。
2014年10月24日