瀬戸内海の島々を舞台に開催される現代美術の国際芸術祭「瀬戸内国際芸術祭」。2013年に行われる第2回目の日程などがこのほど決定した。第1回「瀬戸内国際芸術祭」は2010年7月19日から10月31日までの105日間にわたって行われ、8つの国と地域から75組のアーティスト、プロジェクト、16のイベントが参加し、93万人の来場者があった。第2回目となる2013年は、4月28日(日)から9月23日(祝)までの期間を、「ART SETOUCHI 春(4月28日~5月6日)」「ART SETOUCHI 夏(7月14日~8月19日)」「ART SETOUCHI 秋(9月15日~9月23日)」の3つの期間に分けて開催。会期総計は108日間に及ぶ規模となる。会場も前回の会場となった高松港周辺、直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島、宇野港周辺に加え、中西讃の五つの島が新たに加わることになった。参加アーテイストもベテランから新進の作家まで、22カ国・地域の175組・プロジェクトが名乗りを上げている。美術家の横尾忠則氏は土庄町の豊島の民家を改修し、絵画などを展示する「豊島横尾館」を整備する。また、写真家の荒木経惟氏も、JR予讃線のラッピング車両を手掛け、来場者の足をアートで彩る計画だ。アーティスト日比野勝彦氏が参加するほか、俳優の南果歩氏が演劇などを計画している。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年12月28日今年の夏、雄大な自然が広がる瀬戸内から誕生した新たな映画の祭典「瀬戸内国際こども映画祭2011」。このメインイベントである脚本コンペティション「エンジェルロード脚本賞2011」では国内外から139本もの作品が集まり、その中から1本の作品がグランプリに輝いた。作品のタイトルは、『笛の伝言〜瀬戸内海賊物語〜』。瀬戸内海で活躍した村上水軍の子孫にあたるガキ大将の女の子が、仲間の子供たちと村上水軍の秘宝を探す冒険物語である。3年後の次回映画祭でのオープニング上映に向けて地元・瀬戸内で早くも期待の声が集まる本作について、グランプリを受賞した大森研一、湯原弘康のふたりに話を聞いた。今回二人が題材として選んだ伝説の海賊「村上水軍」は、地元・愛媛の人々にとっては身近な存在。愛媛出身の大森さんはこの題材を選んだ経緯を語る。「これは日本版『グーニーズ』です。地元が愛媛で歴史好きだったので、海賊大名(村上水軍)は身近な話題だったから、元々構想は頭の中にあったんです。たまたま瀬戸内国際こども映画祭の脚本募集の話を聞いて、これはピッタリだなと。日本映画で、実写で子どもの冒険映画はたぶん『僕らの七日間戦争』以来作られてないんじゃないかと思うんです。『グーニーズ』を観たときの感動のように、子どもが観て本当に楽しい映画にしたいんです」。共同脚本を手がけた湯原さんもこの言葉に頷く。「僕も、全ての人に愛される映画でなくてもいいと思います。大人にはそんなに面白くなくても、子どもが観て面白ければいいんだと」。この村上水軍について、「基本かっこいい、というところに尽きる」(大森さん)、「広い海で自由に生きているってところに、海賊はロマンがあると思う」(湯原さん)とそれぞれの“男のロマン”を語るおふたり。海賊というと『パイレーツ・オブ・カリビアン』然り、カリブ海の大海原を舞台に戦う男たちというイメージがあるが、本作がユニークなのは“女ガキ大将”を描いているという点。このアイディアはどこから来たのか?湯原:重松清さんの「くちぶえ番長」という小説を何年か前に読んでいて、女主人公っていいなと思ってたんです。海賊というと、ジャック・スパロウもルフィ(「ONE PIECE」)も男だから、強い女海賊というのを見てみたいなと。実際、主人公は海賊ではないんですけど。大森:たまたまですけど、愛媛には「鶴姫伝説」というのがあって“日本のジャンヌ・ダルク”って呼ばれているんです。愛媛では海賊の映画というと「鶴姫の話?」って聞かれるくらい有名なんですよ。さらに、大森さんは村上水軍の魅力をこう語る。「水軍の人たちは、最初は文字通り“海賊”で略奪したりしてたんですが、村上武吉が登場して、悪さをする海賊たちを組織化したんですよ。それが新撰組に似てると思いました。近藤勇が道場に来る暴れん坊たちを集めて新撰組を作り上げたみたいな、そういうカッコよさがあると思います。それ以降、村上水軍はメチャクチャやっていたのを改めて、きちんと掟を決めて通行税をとって、悪さをする船に対してだけ略奪をしたりしたんです。それは偉い人の船だろうが関係ない。村上水軍は完全に独立していて、信長とも秀吉とも家康とも戦っているんです。どこにも属さずに、瀬戸内の王として。略奪したお金も島の人々のために使ったりもしていたようです」。実はこの村上水軍、愛媛には子孫が多く実在するようで、陸上やり投げのアテネ&北京オリンピック日本代表・村上幸史選手もそのひとりにあたるのだとか。湯原:村上水軍の子孫、全員集合!なんてやったら面白いですよね(笑)。大森:撮影は来年の予定ですが、子役には地元出身の子どもたちも起用して、主題歌も地元出身のアーティストを考えてます。地元パワー集結の、みんなで一緒に作っていく映画にしたいですね。地域とそこに住む人々に密着したプロジェクトならではの“生きた”空気に期待が寄せられる本作。中でも小豆島の海と山に囲まれた絶景は見どころのひとつになりそう。実際にロケ地ハンティングを終えたという大森さんと湯原さんは現在、来年の撮影に向けて脚本の練り直し段階にいるという。3年後の公開がいまから楽しみだが、最後に、映画監督への道をスタートさせたおふたりから、同じように映画監督を目指す人々にメッセージを贈ってもらった。大森:実際に映画化するという脚本賞はなかなかないので、熱い思いを持っている方はぜひ、次回のエンジェルロード脚本賞に挑戦してもらいたいですね。湯原:新人脚本家というのは企画書を書いている時期が長くて企画書で終わってしまうことが多いんです。企画書が通っても、脚本まで書ける機会は少ない。新人だと、脚本を書けるところまでたどりつくのが難しい。瀬戸内国際こども映画祭は、まず脚本が書ける、さらに脚本だけの勝負で賞がいただける、とても貴重なチャンスだと思います。だから多少スケジュールがきつくても、がんばって挑戦した方がいいと思います。「シネマカフェくんのふらっと映画祭」■関連作品:瀬戸内国際こども映画祭 [映画祭] 2011年8月20日(土)〜28日(日)、小豆島、直島、高松、全5会場にて開催
2011年10月31日この夏、新たな国際映画祭として開催される「瀬戸内国際こども映画祭2011」の記者発表会が5月18日(水)に都内で行われた。海外からのゲストやメインイベントとなる映画脚本コンペティション概要が発表されたほか、本映画祭の親善大使を務める大橋のぞみが登場し「こども夢宣言」を行った。香川県の高松に小豆島、そして近年、アートの島として注目を集める直島を舞台に産声を上げた瀬戸内国際こども映画祭。「ドリームビッグ!(夢を大きく!)」をテーマに、3年前から開催の準備が進められてきた。益田祐美子プロデューサーは、瀬戸内がこれまでに『瀬戸内少年野球団』や『世界の中心で、愛をさけぶ』、最近では『八日目の蝉』など多くの映画作品の舞台になってきたことを挙げ、豊かな自然と人々の温かさがあるこの地で映画祭をやりたいという思い、人口が減り続ける地方の活性化など映画祭の意義を熱弁した。また、会場のひとつである小豆島を舞台にした『二十四の瞳』を監督した巨匠・木下恵介の生誕100周年を前に、映画祭にメインイベントとして「エンジェルロード脚本賞2011」を開催。瀬戸内地域を舞台に、子供が活躍する場面を含んだ脚本を公募し、グランプリ作品を映画化するという試みで、締め切りまでに海外からの4作品を含む計139作品が集まった。映画監督・金子修介が選考委員長を務め、映画祭最終日にグランプリが発表される。会見に出席した金子監督は「脚本は構成とキャラクター。読みながら映像が浮かんでくるのが良い脚本。(応募条件である)子供をどうつかんでいるのか」が選考のポイントと明かす。国際映画祭とあって、海外からのゲストも多数。1968年の『ロミオとジュリエット』で15歳にして世界を魅了し、近年では『マザー・テレサ』に主演し話題を呼んだオリヴィア・ハッセーが来日し、『マザー・テレサ』が映画祭で上映されるほか、映画祭シンボルマークも手掛けているアーティストのマッケンジー・ソープ、中国の水墨画家・王子江も来場する。映画祭で上映される作品は、「子供が純粋に楽しめる作品」から「大人に学んでほしい、親子で観られる作品」まで様々なジャンルから選出。『二十四の瞳』や『ヨーンじいちゃん』など現地で撮影された作品も上映される。上映作のひとつ『チェブラーシカ』で声優を務めているのぞみちゃんが、オリーブの冠を頭に乗せて登場し「大きな夢を追う!」と力いっぱいの“夢宣言”を行った。のぞみちゃんは、「湖でスケートをやってみたい」、「家族で宇宙旅行に行って、無重力の中で飛んでみたい」など笑顔でこれから実現したい夢を明かしてくれた。地方を舞台にした国際的なイベントとして今後の展開が楽しみな「瀬戸内国際こども映画祭2011」。開催は8月20日(土)より28日(日)まで。■関連作品:チェブラーシカ (2010) 2010年12月18日より全国東宝系にて公開© 2010 Cheburashka Movie Partners /Cheburashka Project■関連記事:『チェブラーシカ』中村監督×原作者ウスペンスキー国境を越えた傑作誕生の秘密アニメ2本立て『チェブラーシカ』&『くまのがっこう』試写会に5組10名様ご招待【TIFFレポート】『チェブラーシカ』原作者ビックリ?日本の観客は「大人ばかり」
2011年05月18日