√K Contemporary(ルートKコンテンポラリー/東京・新宿)にて開催中の比田井南谷 生誕110年「HIDAI NANKOKU」展では、ご好評につき、会期を2023年2月4日(土)まで会期を延長し、ギャラリートーク等のイベントを開催いたします。2023年1月からは新たな出展作品を加えた後期展示となっておりますので是非ご覧ください。また、√K Contemporaryの特別展として、2022年に生誕100年を迎えた富岡惣一郎の個展「白の世界」を地下スペースにて開催しています。併せてご覧ください。比田井南谷 生誕110年「HIDAI NANKOKU」展示風景【比田井南谷 生誕110年「HIDAI NANKOKU」 一部展示替えにて2月4日まで会期延長】生誕110年を迎えた2022年にスタートした本展は、ご好評につき一部展示替えの上、2023年2月4日(土)まで会期を延長して展示しています。この度の展示替えでは、未発表作品も新たに出展し、南谷作品の魅力をより感じていただける展示となっておりますので、是非ご覧ください。比田井南谷 Work 70-A (1970)比田井南谷 左) Work 64-A (1964) 右) Work 79-5 (1979)比田井南谷 左) Work 63-2-1 (1963) 右) Work 63-4 (1963)比田井南谷 左から 心線 No.5 (1947) No. 6 鼎と葬 (1947) No. 7 鳥と弓(1949) 論語 (1953)本展の詳細はこちら→ 【比田井南谷の魅力に迫る!イベント開催!】皆様にさらに比田井南谷の魅力を感じていただき、その作品群を理解していただく機会創出の場として、下記の通りイベントを開催いたします。京都芸術大学の書画コースの特別講義や保坂健二朗氏(滋賀県立美術館 ディレクター)をゲストをお招きしたギャラリートーク、アーティストやキュレーター達と比田井和子氏が対談する動画コンテンツの配信を予定しています。●京都芸術大学 書画コース特別講義2023年1月28日(土)に『生誕110年「HIDAI NANKOKU」』をテーマにした京都芸術大学 書画コースの特別講義を当ギャラリーにて開催いたします。比田井南谷のご息女である比田井和子氏が講師を務め、ギャラリー内にて講演・トークを行います。Zoomウェビナーを使用したオンライン配信ですので、一般の方も参加自由となっておりますので是非ご視聴ください。京都芸術大学 書画コース特別講義開催日時: 2023年1月28日(土)14:30~16:00参加方法: Zoomオンライン(下記参加のリンク先となります) ●「HIDAI NANKOKU」ギャラリートーク比田井南谷の芸術とは何なのか?「線の芸術」を生み出した書家 比田井南谷の作品群を通してその創造性や芸術性について掘り下げていきます。元国立近代美術館主任学芸員であり、現在は滋賀県立美術館にてディレクターを務めていらっしゃる保坂健二朗氏をゲストに迎え、比田井和子氏(比田井南谷 ご息女、天来書院取締役会長)と高橋進氏(日本女子体育大学名誉教授・比田井南谷研究家)と共に比田井南谷についてお話いただくギャラリートークです。是非ご参加ください!日時 :2023年2月3日(金)19時~20時会場 :√K Contemporary(新宿区南町6)参加費:無料申込 :√K Contemporaryまでメール又は電話にて申込Email: info@root-k.jp / Tel:03-6280-8808*定員になり次第受付終了■登壇者のご紹介●保坂健二朗 | 滋賀県立美術館 ディレクター2000年慶應義塾大学大学院文学研究科修士課程修了。東京国立近代美術館主任研究員を経て、2021年1月から滋賀県立美術館ディレクター。これまで東京国立近代美術館では「日本の家 1945年以降の建築と暮らし」(2017)、「声ノマ 全身詩人、吉増剛造展」(2016)、「フランシス・ベーコン展」(2013)など多数の展覧会を企画。また「Logical Emotion」(チューリッヒ、クラクフ、ハレ、2014)、「Double Vision」(モスクワ、ハイファ、2012)など国外の美術館の企画にも携わる。滋賀県立美術館では「人間の才能 生みだすことと生きること」展を企画。おもな著書に『アール・ブリュット アート 日本』(監修、2013、平凡社)など。●比田井和子 | 天来書院 取締役会長比田井天来の次男、比田井南谷の長女。学習院大学大学院人文科学研究科哲学専攻修士課程修了。卒業後、伏見冲敬編『書道字典』(角川書店)編集に参画。出版社勤務を経て株式会社天来書院を創設。書道書籍の発行と、ビデオやDVDのプロデュース、講演などによって、書の芸術性と真の姿を広く紹介している。2000年から二年間、佐久市立(当時は望月町立)天来記念館の館長をつとめた。(『現代書道の父 比田井天来』より転載)●高橋進 | 日本女子体育大学名誉教授 南谷オフィシャル・サイト運営1979年学習院大学大学院人文科学研究科哲学専攻博士課程単位取得退学。学習院大学文学部哲学科助手を経て、1983年日本女子体育短期大学専任講師に就任。2006年から日本女子体育大学教授となり2015年定年退職。専攻は西洋近代哲学・思想史。日本女子体育大学では哲学・倫理学・美学美術史を教授。共訳書として、ジョゼフ・キャンベル『千の顔をもつ英雄』(人文書院)、N.レイノルズ・M.マコーミック『20世紀ダンス史』(慶應義塾大学出版会)など。■比田井南谷について語る:比田井和子氏対談動画コンテンツ 配信現在活躍する若手アーティストやキュレーター達と比田井和子氏が対談し、南谷について深堀りする動画コンテンツを配信いたします。大山エンリコイサム氏(現代アーティスト)、タムラマサミチ氏(インディペンデントキュレーター/Echangeur22 キュレーター)、佐藤達也氏(書家)といった、様々なバックグラウンドを持つ若手世代の皆様と比田井和子氏が対談し、それぞれの視点からみる比田井南谷を語る対談動画です。配信チャネル、日程等詳細は√K Contemporaryの企画展ページにてお知らせいたします。どうぞご期待ください!本展Webサイト→ 【比田井南谷 生誕110年「HIDAI NANKOKU」開催概要】■企画展名:比田井南谷 生誕110年「HIDAI NANKOKU」英題 :110th Anniversary Commemorative Exhibition, HIDAI NANKOKU■会期 :2022年11月12日(土)~2023年2月4日(土)■入場料 :無料■会場 :√K Contemporary(東京都新宿区南町6)Tel 03-6280-8808 / Email info@root-k.jp ■主催 :一般社団法人 日本美術継承協会■企画構成:√K Contemporary■協力 :天来書院、比田井和子、比田井義信、高橋進、高橋蒼石、SEI-RIN■デザイン:田原慎太郎【天来書院について】天来書院は大正6年に現代書道の父、比田井天来が創設した「書学院」に由来し、書関連の書籍出版やイベント等多岐にわたる活動を行っています。歴代の古典名品を収蔵する「書学院」は天来から南谷に引き継がれ、1990年に比田井和子氏により現在の商号「天来書院」となりました。書の普及と啓蒙に尽力し、動画配信等も行っています。Webサイト: 【「生誕100年 富岡惣一郎 | 白の世界」開催中】√K Contemporaryの地下にあるSpace√Kでは、冬の特別展として昨年生誕100年を迎えた富岡惣一郎の個展「白の世界」を開催しています。富岡惣一郎は新潟の中でも特に雪深い地域に生まれ育ちました。幼少期より雪に囲まれて育った富岡にとって、雪景色はまさに原風景であり、その画業の中で徹底して「雪」を描き続けました。雪を良く知る富岡は、色や質感にこだわり、黄変や亀裂、剥落の無い絵具の開発に着手、長い年月をかけて独自の白絵具「トミオカホワイト」を創り出しました。この絵具を用いて描かれた雪景は、独特な質感をもち、富岡が目にし、描こうとしたその「雪」の世界を今に伝えています。富岡の作品群は山々や河川、森林といった自然を私たち人間の視点ではなく、何かもっと大きな存在としてみているような感覚を起こさせます。そして、私たちに自然の雄大さと、その中で生かされているという事実を再認識させ、自然への畏怖を覚えさせてくれるのです。新型コロナウイルスで経験したように、人知の及ばない事象が発生する世界に生きる私たちが、大きな自然に抱かれて生かされている存在であること、そして悠久の時の中のごく一瞬を生きていることを、富岡の作品群を通して感じていただけましたら幸いです。【Artist | 富岡惣一郎 / Soichiro Tomioka(1922~1994)】1922年新潟県高田市(現上越市)に生まれ、高校卒業後、三菱化成工業広告宣伝部門に勤務しながら独学で絵を学ぶ。1962年に新制作協会賞を受賞。1963年、第7回サンパウロ・ビエンナーレで近代美術館賞を受賞し注目を集める。1965年、ロックフェラー財団招待留学生としてニューヨークに渡り、7年間滞在ののち1972年に帰国。帰国後は日本国内で「雪国巡礼」を行い、作品を制作。1984年、東郷青児美術館大賞を受賞。1989年には日本政府専用機の壁画デザインを手掛ける。1990年、新潟県六日町(現南魚沼市)にトミオカホワイト美術館を開館。1994年死去(享年72歳)。Public Collection東京国立近代美術館(東京)/新潟県立近代美術館(新潟)/箱根彫刻の森美術館(神奈川)/迎賓館赤坂離宮(東京)/出光美術館(東京)/SOMPO美術館(東京)/長野県白馬村役場貴賓室(長野)/日本青年館国際会議場(東京)/在日米国大使館(東京)/総理府政府専用機(総理執務室、閣議室、婦人室、エントランス)【「生誕100年 富岡惣一郎 | 白の世界」開催概要】■企画展名:生誕100年 富岡惣一郎 | 白の世界英題 :100th Year Anniversary Commemorative Exhibition, Tomioka Soichiro | The World of White■会期 :2022年12月20日(火)~2023年2月4日(土)*2022年12月27日(火)~2023年1月7日(土)までは冬季休業のため休廊■入場料 :無料■会場 :Space √K(東京都新宿区南町6 √K Contemporary B1F)Tel 03-6280-8808 / Email info@root-k.jp ■主催 :一般社団法人 日本美術継承協会■企画協力:√K Contemporary■デザイン:田原慎太郎【日本美術継承協会について】日本美術継承協会は日本固有の美術作品を後世に正しく継承することを目的として設立されました。美術品が私たちに語ってくれる歴史や文化を失う事なく、貴重な文化資産とし次世代へ残していくため、美術品の継承、保存・修復、そして美術振興活動を3本の柱として普及と啓蒙に努めております。Webサイト: 【√K Contemporaryについて】√K Contemporaryは、次世代を担う優れたアーティストを広く紹介していく場として、2020年3月神楽坂にオープンしました。先人達の芸術思考を学び、その審美眼を以って主に戦後から現代、そしてコンテンポラリーアートを幅広く紹介するこのギャラリーには、時空や国境を越えて芸術の本質に触れる場を作りたい、という想いが込められています。Webサイト: TW : @rk_contemporaryFB : @rootkcontemporaryIG : @rk_contemporary【新型コロナウイルス感染症対策について】新型コロナウイルス感染症の拡大状況により、開催内容が変更となる可能性がございます。何卒ご了承ください。ご来場の際は、マスク着用及び検温、手指のアルコール消毒に御協力ください。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年01月18日インテル セキュリティは11日、日本市場における事業戦略説明会を記者向けに開催した。2011年にインテルがマカフィーを買収してのち、マカフィーはインテルのセキュリティ事業部としてブランド統一が進められきた。登壇したマカフィー代表取締役社長のジャン・クロード・ブロイド氏は、同事業部の目標を、コンシューマ向けには「人々、家族のデジタルライフを保護する」、法人向けには「ユーザーのNo.1セキュリティパートナーとなる」と紹介。ビジネス市場では、対象端末の複雑化、検知と復旧にかかる時間的な制約、人材不足といった必要なリソースの制約が課題とし、これらを「脅威対策のライフサイクル」で対処することが重要だと、日本での事業戦略の概要を説明した。○サイバー脅威を「共有」「自動化」で対処「脅威対策のライフサイクル」とは、同社が2015年11月に提唱した、サイバー脅威をシステムで捉えた企業向け事業戦略。サイバー脅威に対し、防御、検知、復旧、適用の4つを、適切な方法で継続的に運用していく。マカフィー常務執行役員 法人営業本部 本部長の田井祥雅氏は、大手企業における情報搾取や不正侵入被害といった国内外のセキュリティ事件を例に挙げ、「なぜセキュリティ事件は引き続き発生するのか。サイバー犯罪は組織的、巧妙になっており、企業の自主対策では対応できなくなっている」と事件が起こってしまう背景を解説。この状況のなかで、2015年12月28日に経済産業省がサイバー攻撃から企業を守る観点で策定した「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」が出されるに至ったと、企業独自で脅威に対応する難しさを説明した。「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」では、経営者が認識する必要がある3原則、経営者がセキュリティ対策を実施する上でセキュリティ責任者に指示すべき10項目が記されている。これをまとめると、大きく2つのメッセージがあるという。ひとつは、「経営リスクとしてサイバー攻撃を捉え、対策を継続していく」こと。もうひとつは、「サイバー被害は起きてしまうもので、起きた後にどう対応するか」ということだ。これは、防御だけでなく、検知、復旧を合わせた「脅威対策のライフサイクル」に通じる脅威対策でもあるとする。従来は防御重視だったセキュリティ対策だが、防御できなかった場合は脅威を認識できず、被害が広がる恐れがある。「ハッカーは既存の防御策をどう破れば侵入できるかわかっている」(田井氏)。時間が経つほど被害が拡大するため、どの部分にどのような脅威があるか、素早く正確に検知する必要がある。しかし、脅威を検知するだけでは、継続的な対策は不十分だという。複数のベンダー製品を使っている場合は横断的な情報確認ができない(製品間の壁)ほか、脅威情報が部署間でうまく共有されず、例えば法務部で見つかった脅威と同じような症状の端末が広報部で見つかり、端末の動作を停止させるといった効果的な運用ができない(組織間の壁)、パッチ対策や回復処理などを適切に行えない(運用の壁)といった要因があり、被害が深刻化してしまう。同社が提案する継続対策のキーポイントは、脅威情報を組織・製品間で共有すること、検知した脅威情報をもとに自動的に対処することの2点。同社は150以上のパートナーと協業し、脅威情報の共有やセキュリティ機能を連携させる取り組み(パートナーエコシステム)を推進していく。○個人向けセキュリティはクラウドを軸に対策マカフィー取締役 専務執行役員 コンシューマ事業統括の田中辰夫氏は、コンシューマ事業のビジョンを説明。同社はコンシューマ向けセキュリティ製品として、「マカフィー リブセーフ」などマカフィーブランドのセキュリティソフトウェアを発表している。2014年までは、「マカフィー リブセーフ」でデバイスのセキュリティ対策を行ってきたが、2016年以降は個人情報の保護やプライバシー保護、ホームセキュリティやウェアラブル機器まで、セキュリティ対策の範囲を広げる。オンラインバンキングやSNS、アプリストアなどに加え、上記のホームセキュリティやウェアラブル機器に対しても、クラウドを軸にしたセキュリティサービスを展開していく想定だ。
2016年03月11日マカフィーは12月9日、2015年に発生したサイバー脅威の傾向と、今後の脅威予想を発表した。同社は、日本国内の経営層や情報システム部門などのビジネスパーソンを対象にした「セキュリティ事件に関する意識調査」を元に、2014年より「10大セキュリティ事件ランキング」を公開している。これは、過去1年間に発生した主なセキュリティ事件を30件選定し、それらの事件の認知度を測定することによって、社会に与えた影響を分析するといもの。これによると、2015年は「日本年金機構への標的型攻撃で125万件の年金個人情報が流出」が1位で、2位が「振り込め詐欺/迷惑電話による被害」、3位は「大手金融機関やクレジットカード会社などをかたるフィッシング」となった。1位になった日本年金機構の情報流出事件では、人の心理を欺いて重要な情報を暴露・公開させる「ソーシャルエンジニアリング」という手法が使われていた。いかにも業務に関係しそうな内容のメールにマルウェアを添付して開かせることによって、機密情報が流出した。この問題についてマカフィーは「これ(日本年金機構による流出)を責めることはできないでしょう」とまとめている。同社はテストで、10通のメールに隠された7通のフィッシングメールを当てる「フィッシング・クイズ」を提供したが、回答者の80%が、少なくとも1通以上のメールがフィッシングメールであることに気付かないという結果が出ていたためだ。マカフィーの執行役員 SE本部 本部長 田井祥雅氏は「これまで日本では、サイバー攻撃者に侵入されないようにする『防御』ばかりが議論されてきたが、この事件をきっかけに『侵入されることは当たり前』という前提に立ち、侵入された後の被害を最小限に抑えるための取り組みが重要であることが認識された」とコメントしている。こうしたセキュリティ状況を踏まえた上で同社は、多層防御の新たなコンセプトとして「Threat Defense Lifecycle(脅威対策のライフサイクル)」を提案している。侵入を防ぐ「防御 (Protect) 」に加え、入り込んできた敵を「検知 (Detect) 」し、迅速に「復旧 (Correct) 」するというプロセスを統合し、データを共有しながら、得られたインテリジェンスをフィードバックすることで、情報の流出に強いセキュリティ環境を構築できるという。一方で「McAfee Labs脅威予測レポート」では、自動車が将来の脅威となり得ると指摘。McAfee Labsの上級副社長 ヴィンセント・ウィーファー氏は「2020年には、ネットワークに接続されたコネクテッドカーが2億2,000万台に増加すると予測されている。攻撃者もそこを狙ってくるはずだ」とコメントし、さまざまなコンセプト実証コードや脆弱性が見つかるという見通しを示した。また、盗まれたデータの闇市場への流出についても危険視している。同氏は「われわれがオンラインショッピングサイトで顧客のデータを関連付け、マッチングしているのと同じように、攻撃者側も盗まれたデータを蓄積し、ビッグデータを関連付け、情報の価値を高めていくだろう」とコメントした。その以外の領域でも攻撃が拡大し、進化したサイバー脅威が登場する可能性が高いという。家庭内で使わるデバイスは、今後もネットワークにつながるものが増えていくため、必然的に攻撃者のターゲットが増加する。家庭内で使われる個人のデバイスのセキュリティについても一層の注意を払う必要があると指摘している。また、攻撃対象となり得るデバイスは増える一方で、攻撃ツールの難易度が下がる。セキュリティの技術的な知識を持たない人でも手軽に攻撃を実行できる環境が整いつつある。同氏はこうした見通しを踏まえ、「防御側は統合されたセキュリティを通じて脅威情報を共有し、よりスマートになっていかなければならない」とし、同時に「それでも100%防御することは難しいため、侵入を受けたときにどうするかという手段を用意していく必要がある」と注意を呼び掛けた。
2015年12月10日●10~4位の注目は無線LAN関連のセキュリティ問題インテル セキュリティは13日、「2015年のセキュリティ事件に関する意識調査」の結果を発表した。セキュリティ分野における2015年のニュースの中で、最も認知度が高かったトピックとして、1位に日本年金機構の年金個人情報流出事件がランクインした。この調査は、国内の経営層や情報システム部門などのビジネスパーソンを対象としたもので、1,552人に対して、2014年11月から2015年10月までに発生したセキュリティ事案に対する認知度を尋ねた。企業規模が均等になるようにしたほか、業種は日本全体の就業人口の割合に近くなるように設定されているという。○2014年の1位はベネッセの顧客情報流出事件2014年に引き続き2回目の調査で、前回は1位が「ベネッセ、顧客情報が大量流出」だった。同社の執行役員 SE本部本部長の田井祥雅氏は、「不正アクセスが多く、LINEの乗っ取り、JALマイレージWebサイトなどが目立った事件だった」と感想をコメントした。2015年となる今年の結果の中で、10位から7位では、特に「無線LANのただ乗り」で全国初となる電波法違反容疑で逮捕された事案を紹介。また、6位から4位の中でも、公衆無線LANのセキュリティ問題が紹介された。日本でも公衆無線LANスポットが増えており、無料で使える場所も多くなっているが、田井氏は「自分でセキュリティを保った機器で使わないと、乗っ取りやデータの閲覧などが起きてしまう」と警告する。さらに東京五輪が開催される2020年に向けて、公衆無線LANスポットはさらに増加するとみており、「こういう事件が起きやすくなってくる」と指摘する。●3位は今も話題の金融関連フィッシング3位には「大手金融機関やクレジットカード会社などを語るフィッシング」がランクイン。以前からフィッシングの問題は海外を中心に警告されていたが、国内でも問題が広がっており、ビジネスパーソンの間でも問題が認知されているようだ。フィッシング攻撃では、従来は本物のサイトに偽装した偽サイトに誘導して金融機関のIDとパスワードを盗むといった攻撃が多かったが、最近はマルウェアによって本物のサイトにアクセスして入力されたID・パスワードを盗むといった攻撃があり、田井氏は「さらに巧妙なものが出てきている」と注意を喚起する。2位は、特に日本で問題となっている振り込め詐欺。今年1~9月の特殊詐欺全体の被害額は前年比で減少しているが、振り込め詐欺の認知件数は20%以上増加した。話題になることも多いため、届け出が増えたことで件数が増加して、認知が広がって被害額も減っているとみられるが、「手口は巧妙化し、親になりすますなど、若い人を騙す手口も出てきている」と田井氏。1位は日本年金機構に対する標的型攻撃で、125万件の年金個人情報が流出した事件。田井氏は、「侵入されてしまうことは、今は当たり前になった。入られたらどうするかを考えるのが重要」と話し、侵入されても被害を抑えるような対策が必要という認識を示す。ランキングを概観して田井氏は、「標的型攻撃が語られた1年だった」と振り返る。さらに、ソーシャルエンジニアリングによる攻撃が行われ、「攻撃が起きるのは当たり前で、どのように準備をしているかが大事」と指摘した。●企業内のセキュリティ対策、全体的に遅れ調査では、企業内のセキュリティ対応状況も同時に聞いており、インシデント対応チームの存在や攻撃時の対応準備、予防、検知・分析などの対策が実施されているかといった項目についての結果も公表された。金融機関に限ると対策状況はやや高めだったが、全体平均では半分以下の点数となり、全体として対応が遅れている現状が浮き彫りになった。田井氏は、「サイバー攻撃には国境がない」と強調し、誰でも攻撃される可能性があることを指摘。「攻撃は災害と一緒で当たり前に起きる」(田井氏)ことから、発生時にどういった対応をするか、その取り組みが重要になってくると話し、企業の対応を促した。○家庭ネットワークから侵入して企業を狙うさらに、2016年の脅威予測について、米Intel Security McAfee Labs上級副社長のヴィンセント・ウィーファー氏が説明。ウィーファー氏は、まず企業の従業員を狙った攻撃を紹介する。BYODや在宅勤務の広がりで、企業内部のネットワークを狙うのではなく、よりセキュリティが弱いとみられる家庭のネットワークから侵入して企業を狙う、という攻撃が増えるとみる。弱い部分を狙うという攻撃では、実際の標的の関連企業などを狙った攻撃などもあり、ウィーファー氏は危険性を訴える。自動車への攻撃に対する危険性も指摘する。スマートフォンと連携してリモートでアクセスできるようになるなど、ネットワーク化が進んでいる自動車は、「セキュリティ原則のないままのネットワークに繋がった自動車が増加する」と指摘し、2016年は「色々な弱点が見つかる」と警告する。ウィーファー氏は、すぐに攻撃が発生するというよりも、2016年はスマートカーの弱点が発見される年になるとみている。一般的に攻撃によって盗まれた個人情報は闇市場で売買されているとされるが、ウィーファー氏は広範囲に集められた情報がデータマイニングによって関連付けられて、より精度の高い個人情報として取引されるようになると予測する。また、電力などの重要社会インフラへの攻撃やIoTへの攻撃についても、2016年に拡大するみており、さらなるセキュリティ対策の必要性を強調する。○急増するIoTデバイスへの攻撃今後5年間では、IoTでIP接続のデバイスが急増し、より多くの標的が生まれると推測。「2020年までに2,000億台のデバイスが存在するようになるといわれ、デバイス同士が相互に接続するようになる」とウィーファー氏。そのうちの1つのデバイスが攻撃されると、相互接続する別のデバイスに対しても攻撃が可能になるため、「企業は社内だけでなく、従業員の家庭にあるエンターテインメントシステムまで気にしなければならなくなる」と総括した。サイバー攻撃は今後さらに進化していくとみており、「より高度化し、さらに大衆化、一般化する」とウィーファー氏は語る。誰でも簡単に攻撃できるようになり、しかも高度化しているため、「防御は100%成功しない」(ウィーファー氏)ことから、侵入された後、どのように防御するかという点を重視する。攻撃に対する対策としては、侵入を防止する防御だけでなく、侵入を検知し、適切に復旧するというライフサイクルに加えて、それぞれの段階で得られた知見をそれぞれの対策に反映させることが重要だという。「これによってより強いセキュリティができる。この脅威対策のライフサイクルを提唱していきたい」と田井氏は語り、包括的なセキュリティ対策の必要性を訴えた。なお、同社では同様の調査を海外では実施していないが、海外に比べて日本ではモバイル通信環境が充実しているため、「米国はPCベースの攻撃が多いが、日本はモバイルへの攻撃が多い」(ウィーファー氏)という。また、ランサムウェアの攻撃が少なく、今回の調査でもランキング外だったというが、これはまだ言語の問題があるとしている。ただ、以前は言語の問題で被害の少なかったフィッシングが日本でも頻繁に見られるようになった通り、今後の攻撃拡大も懸念される。「短期的、戦術的な攻撃の違いはあっても、全体としてはグローバルと同じ傾向」とウィーファー氏は強調し、「日本だから」という考えをせずにセキュリティ対策をすることを求めた。
2015年11月13日