(画像はイメージです)子宮体がんとイソフラボンの摂取女性のがんに関しては、胃がんは低下しているのに乳がん、子宮体がんは大きく増加しています。子宮体がんの発現にはエストロゲンが抑制方向の作用を持つため、早い初経、遅い閉経、未産婦などがリスク要因と想定しています。大豆食品にはイソフラボンは化学構造がエストロゲンと似ていることから、子宮体がんの発生には予防的に働くことが予想されますが、いくつかの疫学的調査では結果が一致せず、前向き研究もありません。JPHCによる検討国立がん研究センターの「多目的コホート(JPHC)研究」で大豆摂取とイソフラボンの関連を調べ、その結果をBJOGで発表。対象は45-74歳の女性約4万人、観察期間は平均12年。大豆食品の総摂取量は、アンケートに含まれている豆腐、納豆、みそなどの8項目から算出。追跡期間中に、対象者集団のうち112人が子宮体がんと診断されました。イソフラボン摂取量を低摂取、中摂取、高摂取の群に分けて低摂取群に対するハザード比を計算しました。大豆食品量も同じ計算を行いました。結果は、イソフラボン摂取量、大豆食品摂取量共に子宮体がんのリスクには有意な変化はありませんでした。可能性としては,日本人においては大豆食品やイソフラボンの摂取量は元々高いこともあり、大豆食品やイソフラボンの摂取量と子宮体がんの関係を明らかにするには、更に大規模な研究が必要と結論。【参考】・国立がん研究センタープレスリリース・BJOG文献
2014年06月23日(画像はプレスリリースより)森下仁丹第14回日本抗加齢医学会総会で発表森下仁丹は九州大学と共同で「ザクロエキス」が皮膚で長寿遺伝子が活性化することを確認した。「ザクロエキス」由来のポリフェノール成分の皮膚細胞(HaCaT細胞)のSIRT1活性化作用を検討。その結果、エラグ酸、ブニカリン、ブニカラジン、ウロリチンAの4つのポリフェノールがベータアクチン中のSIRT1を活性化することを確認した。この実験は皮膚細胞を用いた実験。今後皮膚老化作用に関しては動物皮膚にこのポリフェノールあるいはザクロエキスを塗布した実験や経口投与したときの皮膚の変化を検討することが必要となる。人での経口投与あるいは肌に塗布による皮膚の老化の予防あるいはシミ・シワの改善等の検討が必要となる。ザクロ1968年にザクロに含まれるエストロンが発見された。エストロンにはエストロゲン様作用ががあることからザクロには女性の更年期障害を緩和するといわれたことがある。国民生活センターは市販のザクロジュースにはエストロゲンは含まれていないことを発表。成分としてアルカロイドとタンニンを含むため過剰摂取は危険。カロリー制限と寿命延長効果カロリー制限や低温環境下にある動物は代謝速度が低下し、それに伴い加齢速度も落ち、寿命が著しく延長する。加齢速度を制御していると想定されているのが、SIRT1遺伝子。周囲の環境ストレスに適合するために発現し、様々な作用を有することが確認されている。【参考】・森下仁丹プレスリリース
2014年06月18日(画像はイメージです)アロエステロール(R)の光老化モデルマウスに対する効果森永乳業は、第68回日本栄養・食糧学会でアロエステロール(R)の皮膚の光老化に対する予防効果を発表した。紫外線照射で誘導される皮膚水分量とシワの深さの変化を予防することを明らかにした。(画像はプレスリリースより)アロエステロール(R)森永乳業はアロエベラゲルから抗肥満効果および抗糖尿病効果を示す有効成分としてアロエステロール(R)を同定。昨年は乾燥肌に女性56名がアロエステロール(R)を含む食品を8週間摂取したところ、無摂取群に比べて腕の皮膚水分変化量の増加傾向が見られ、シワ平均深度が有意に低下することを報告。この水分保持作用はアロエステロール(R)が繊維芽細胞のコラーゲンやヒアルロン産再生能を高めることによると推定。アロエのは古くから傷薬として使われてきたが、その有効成分は主にアロエに含まれる多糖類と考えられていた。今回の実験に用いられたアロエステロール(R)は多糖類ではなく、植物の細胞膜を構成する脂質の一種である植物ステロールであることから、アロエの効果に新しい切り口を発見。アロエステロール(R)が経口サプリメントとして乾燥肌にうるおいを与えたり、日焼けによる皮膚の老化に対するアンチエイジング作用を示したりすることが期待される。【参考】・森永乳業プレスリリース
2014年06月10日プロの料理レシピサイト「E・レシピ」がご紹介する『今日の献立』は、旬の食材を使ったバランスのよい献立メニュー。今夜の夕食にオススメの献立を毎日ご紹介!今日の献立は「がんもどきの煮物」を含めた全4品。味がしっかり染み込んだ、がんもどきとナスがホッとする和食の献立です。カツオのたたきは梅肉みそダレでサッパリと。 がんもどきの煮物 だしを吸ったふわふわながんもどきと、切り込みにしっかり味が染みこんだナスは、ホッとする和食の味です。 カツオのたたき・梅肉みそダレ 梅酒の梅入りで食べやすい梅肉に。かつおのたたきの臭みが気になる方にもおすすめです。 具だくさんの豚汁 里芋、大根、ニンジン、ゴボウなど。お好みの具を入れてだしに野菜のおいしさが出た豚汁です。 和風デザートアイス 市販のアイスクリームに抹茶を溶いてかけるだけでおしゃれなおもてなしデザートに。 ⇒今日の献立一覧はこちら
2014年05月30日現在放送中の月9といえば、恋愛ものの印象が強いこの枠のイメージとはかけ離れた、ギラついた裏社会ドラマ『極悪がんぼ』。椎名桔平さん、三浦友和さんをはじめとしたキャラの濃い男性陣に囲まれ、トラブル解決に奮闘するヒロイン・薫役の尾野真千子さんは、「きれい」「かっこいい」とネット上で女性に人気です。一方、前回のドラマ『失恋ショコラティエ』で人妻・サエコを演じていた石原さとみさんは、「エロかわいい」「色気がありすぎる」と、尾野さんとは違う魅力で注目を集めていましたね。あえてスキを見せて、期待させるような素振りをする。そんな小悪魔系女子のサエコに、男性たちはキュンキュンしっぱなし、女性たちは「この策士め!」とイライラする……という現象がTwitter上でも起こっていました(一部では、あのやりすぎ感がいい!と逆にサエコファンになる女性も見られましたが)。とはいえ、イラつきはするものの、心のどこかであんなふうにかわいく男を手玉に取ってみたいなーなんて思っていたりして。私には小悪魔の素質がないから……と諦めて、サバサバキャラに走った方なんかもいるかもしれませんね。【実はあなたもついてる?小悪魔な嘘】でも、本格的な小悪魔になれなくても、ちょっとした小悪魔テクニックならば使ったことがある、という人は多いのではないでしょうか。例えば、みなさんはこんな嘘をついたことはありませんか?(例)・デパ地下のお総菜を買ってきて、お皿に盛り直して「私の手作り」と言って彼に食べさせた・古いアパートに住んでいるとバレるのが嫌で、彼に「実家に住んでるから」と言い、絶対に部屋に招かない見栄っ張りと言うべきかもしれませんが、これだって立派な小悪魔テクです。男性に本当の自分を見せずに、惑わせようとしているのですから。ただし、小悪魔よりも小振りな「プチ小悪魔」なのかもしれませんが……。ここで実際に、そんな「プチ小悪魔」さんたちから伺った、男性をその気にさせる方法をご紹介します!【自然体でもできる!プチ小悪魔テク・初級編】●「視力が両目とも0.2の私は、好きな人と会う時にはコンタクトもメガネもしないで裸眼。恥ずかしさもなく相手の顔をじーっと見られるし、その視線は『好きです』って言葉よりも相手をドキドキさせるみたい」(29歳・建築)●「口ベタなので、合コンに行ってもほとんど話さず、その場のノリに合わせてニコニコしてるだけ。でもそのほうが男子ウケはいい気がする。『今日は話せなかったから、今度2人だけで会おう』と誘われることも多いんですよ」(27歳・金融)これはなかなかの「プチ小悪魔」っぷりではないでしょうか?どちらの体験談も、自分の特性を十分に生かしているせいか、無理のないテクニックですよね。【とりあえずほめろ!プチ小悪魔テク・中級編】個人のキャラや特性に関係なく、誰にでも使える言葉のテクニックもあります。●「男性と話す時は『すごい!』『大変だね』『カッコいい』『がんばってるんだね』の4つの言葉を組み合わせて使えば、だいたいの会話が成立して、しかも好感度を上げられる」(27歳・メーカー)恋愛How to本にも似たようなことが書かれていますが、男性はとりあえずほめておけばOK!というのは本当だったんですね。そんなに単純なの?と悲しい気持ちになる体験談ではありますが、これは職場や合コンで、すぐにでも実践できそうです。【自分をレベルダウン!プチ小悪魔テク・上級編】最後に、あえて自分をレベルダウンさせる、という「プチ小悪魔」テクニックをご紹介します。●「実は私、東大卒なんです。合コンとかでそれをバラすと男性に引かれるので、某女子大の出身だってことにしています」(29歳・証券)●「仕事柄、パソコンに強いのですが、そう話すと引かれることが多いので、初対面の男性にはだいたい事務職と言ってます」(32歳・SE)高学歴や高収入、機械に強すぎる、などの女性は男性にコンプレックスを抱かせてしまう場合があり、出会いの場では苦労することも多いようですね。そのためにわざわざ自分を偽るなんて、せっかくの能力がもったいない気もしますが……男性のプライドの高さを考えると、ある程度は仕方のないことなのかも。ありのままの彼女たちを愛してくれる男性が現れるといいんですけどね。今回ご紹介した「プチ小悪魔」テクニックは、男性ウケを狙いながらも、女性に嫌がられないものばかりですよね。そこが女子ウケが悪い「小悪魔」との違いなのでしょう。「小悪魔」になれなくても「プチ小悪魔」になれば、女から恨まれることなく、素敵な男性をつかまえることができるかもしれませんよ!(文=三浦由子)
2014年05月19日カネカは5月7日、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)と、iPS細胞を用いて創薬スクリーニングを行うための自動培養装置の開発を目指した共同研究契約を締結したと発表した。CiRAではiPS細胞からさまざまな組織や臓器の細胞へ分化させる技術開発が進められており、患者由来のiPS細胞(疾患特異的iPS細胞)を用いて病態解明や治療法の研究開発を行うことが可能になっており、新薬開発の初期段階における副作用検査や創薬ターゲット探索など創薬分野でのiPS細胞の活用が期待されるようになっている。一方、同社は細胞培養工程でCPC(Cell Processing Center)のようなクリーン度の高い施設を必要としない自動細胞培養装置の販売を行ってきたが、今後、今回の契約をもとに細胞培養装置の新たなターゲットとして、CiRAの技術を活用したiPS細胞を用いた創薬スクリーニング装置の開発を進めることで、根治薬のない希少・難治性疾患に対する治療薬の開発が促進されることが期待できるようになると説明している。
2014年05月07日京都大学iPS細胞研究所(CiRA)は、iPS細胞の初期化の過程として、ヒトの体細胞は、中胚葉や内胚葉の細胞のもととなる「原条」と呼ばれる構造の細胞に似た状態を経て初期化されることを明らかにしたと発表した。成果は、CiRAの高橋和利講師、同・山中伸弥教授、スタンフォード大学の田邊剛士研究員(元CiRA)らの研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、日本時間4月24日付けで英オンライン科学誌「Nature Communications」に掲載された。ほ乳類の発生過程で現れる溝の様な構造。マウスの場合、発生開始から6~7日目に見られ、この部分で細胞の形態が変化し、中胚葉や内胚葉の細胞のもとになる。山中因子ともいわれる、初期化因子因子「OSKM」こと「OCT3/4」、「SOX2」、「KLF4」、「c-MYC」を含む転写因子を発現させると、分化した体細胞が多能性を獲得するが、その効率は決して高くない。この効率の悪さの要因として、OSKMの添加に加えて、「初期化の障壁を取り除く」あるいは「未だに知られていない2次的なイベントが必要である」と考えられてきた。それらを明らかにすることで初期化効率の改善が期待されるわけだが、集団の中で大部分を占める初期化されそこなった細胞が各種解析結果において大きなノイズとなり、初期化の分子機構を研究する上で障壁となっていた。そのため、iPS細胞へと初期化される過程にある細胞の中で起きているイベントを捕まえることはとても難しいのが現状だったのである。昨年、高橋講師らは細胞表面の抗原(タンパク質)である「TRA-1-60」を指標に初期化途中の細胞を集めるという手法を開発。ヒトの細胞の内、OSKM誘導によって生じたTRA-1-60陽性細胞がiPS細胞へと初期化される途中段階の細胞であることを示すことに成功した。また、TRA-1-60陽性細胞の動態解析から、初期化の開始段階ではなく、その後の成熟過程がボトルネックとなって初期化の効率を決めていることも明らかにしている。しかし、実は初期化途中の細胞の特徴についてはまだほとんどわかっていないという。そこで今回の研究では、真正なiPS細胞の候補である途中段階の細胞としてTRA-1-60陽性細胞を集め、遺伝子発現についての解析を実施したのである。「ヒト線維芽細胞(HDF)」にOSKMを作用させてからさまざまな日数において、iPS細胞へと初期化される途中の段階であるTRA-1-60陽性の細胞(d3~d49)が回収され、それらの遺伝子発現が調べられた。比較として、もとのHDF細胞に加え、初期化が終わったiPS細胞(iPSC)やES細胞(ESC)、さらにiPS/ES細胞から少し分化させた細胞の「内胚葉(EN)」、「中胚葉(ME)」、「神経外胚葉(NE)」、「原条様中内胚葉(PSMN)」についての解析が行われた。すると、初期化途中の段階の細胞、特に20~49日目の細胞はPSMNにとても似ていることが明らかになった。また、初期化の途中にあるTRA-1-60陽性細胞ではPSMNに特徴的なマーカー遺伝子の「BRACHYURY(T)」、「MIXL1」、「CER1」、「LHX1」、「EOMES」などが一過的に活性化していることが確認されたとする。一方でほかの系統の細胞に特徴的なマーカー遺伝子は一時的に活性化することはなかったという。これらの結果から、TRA-1-60陽性細胞が初期化の後半でPSMNと似た遺伝子発現をしていることがわかったというわけだ(画像)。以上の結果から、iPS細胞へと初期化される際には、原条の様な状態を経ていると考えられるという。逆に原条の状態を誘導すると、初期化の効率が高くなることが予想されるとする。そこで原条に関連する転写因子をいくつかOSKMと同時に誘導したところ、FOXH1を利用した場合にできるiPS細胞のコロニー数が飛躍的に増加することが確認された。また、FOXH1の機能を「RNA干渉法」により抑制すると、iPS細胞のコロニー数も対応して減少。これらの結果からFOXH1が初期化を促進することがわかったのである。今回の成果により、TRA-1-60を目印として初期化の途中にある細胞を捕まえる戦略により、初期化途中の細胞がPSMNと似た状態を経ることが明らかにされた。このPSMNに似た状態が次第に変化して、iPS細胞へとさらに初期化されるというわけだ。初期化過程の研究を進めることで、iPS細胞のより強固な樹立を可能にすることができると考えられるとしている。
2014年04月25日アクサダイレクト生命保険(以下アクサダイレクト生命)はこのび、カカクコムが3日に発表した『価格.com保険アワード2013』において、同社の「カチッと終身がん」が”がん保険の部(インターネット部門)”で第1位を獲得したと発表した。『価格.com保険アワード2013』とは、カカクコムが運営する総合保険比較サイト「価格.com保険」において、2013年の1年間でユーザーから最も申込み数の多かった保険商品を販売チャネル別に選出するもの。このたび、がん保険の部(インターネット部門)において、アクサダイレクト生命のがん保険(終身型)「カチッと終身がん」が第1位を獲得したという。カカクコム・インシュアランスによる「カチッと終身がん」の評価寸評は、シンプルでありながら、インターネット上で保障内容をオーダーメイドで組み合わせることができる商品。カカクコム・インシュアランスは、カカクコムの100%子会社。
2014年04月14日(画像は「アリスの棘」公式サイトより)試写会で白衣姿をお披露目4月11日(金)放送スタートの連続ドラマ「アリスの棘」(TBS系)の第一話完成披露試写会が4日開催され、自身初となる医師役で出演する上野樹里が白衣姿で登場し、ドラマのPRをした。ダークヒロイン役を務める上野(水野明日美)は、父を死に追いやった医師たちに復讐するために、ターゲットを追いつめていくというダークヒロイン役を務める。上野は、自身のドラマ内での演技について、「ラストまで理性的に感情を押し殺して進んでいく。そんな孤独な女性の心情を丁寧にブレずに演じさせていただいている」(まんたんウェブより)とコメントした。「アリスの棘」の出演オファーを受けた際、上野は、温かい世界観の映画「陽だまりの彼女」の撮影中で、ちょうどまったく違うシャープなジャンルに挑戦したいと思っていたことから引き受けたという。他には、中村蒼、藤原紀香、岩城滉一、國村隼、栗山千明、オダギリジョーらが豪華キャストが出演する。今から「アリスの棘」が楽しみである。【参考リンク】▼「アリスの棘」
2014年04月08日富士フイルムは4月7日、静岡県立静岡がんセンターと共同で開発した人工知能の技術を用いて、画像診断をサポートする類似症例検索システム「SYNAPSE Case Match」に、新たに肝臓がんの画像検索機能を加えたと発表した。同製品は、過去の症例データベースから、病変の画像の特徴が類似した症例を瞬時に検索し、似ている順に表示するシステムである。医師は、表示された画像やその診断結果を参考にして、CT画像の診断を行うことができる。富士フイルムは、2012年10月より肺がんを対象に同製品を展開してきたが、対象疾患を拡大して欲しいとの要望が多かった。そこで今回、類似症例検索の対象に肝臓がんを新たに追加した。肝臓がんは、がんの中でも罹患数、死亡数が多い疾患の1つで、肝臓がんの疑いがある患者には、造影剤を使用するCT検査が行われる。肝臓がんは早期発見が重要なため、画像診断医には、CT画像における腫瘤の濃染のパターンや形状などから、肝臓腫瘤を正確かつ迅速に診断することが求められる。今回の「SYNAPSE Case Match(Ver.2.4)」は、静岡がんセンターで蓄積された約1000の肺がんの症例データベースに加え、約300例の確定診断のついた肝臓腫瘤の症例データベースが搭載されている。さらに、導入施設ごとに自院の症例を追加登録して症例データをより充実させることができる。独自の画像解析技術を組み込んだ画像検索機能は、肝臓腫瘤の病変部の複雑かつ多様な画像を、濃染のパターンや形状などの特徴で分類して数値化し、医師が診断の際に留意する観点に基づいて画像の類似性を定量化している。また、画像診断医や臨床医が自院で診断した症例を登録し教育目的に使用できる「ティーチングファイル機能」の他、「電子医学書」などを標準搭載。充実した機能で幅広く医師をサポートする。加えて、同社の放射線読影レポーティングシステムと組み合わせて使うことで症例の管理、実症例を用いた学習への活用を効率的かつ効果的に行える機能を備えている。なお、同製品は、富士フイルムメディカルを通じて5月下旬より発売する。
2014年04月07日理化学研究所(理研)とカネカは3月29日、植物の中でも樹木の細胞壁に多く含まれる高分子量の芳香族化合物「リグニン」の分解物を微生物に与えることで、バイオプラスチックの1種で、多くの微生物がエネルギー貯蔵物質として体内に蓄えるポリエステルである「ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)」の合成に成功したと共同で発表した。成果は、理研 環境資源科学研究センター バイオマス工学連携部門 酵素研究チームの富澤哲特別研究員、同・沼田圭司チームリーダと、カネカ GP事業開発部の松本圭司将来技術グループリーダーらの共同研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、日本時間3月29日付けで米化学会発行の科学誌「ACS Sustainable Chemistry & Engineering」オンライン版に掲載され、後ほど印刷版にも掲載される予定だ。環境循環型社会へと転換を図るためにには化石資源を代替できる技術をあらゆる分野で早急に確立する必要があるが、太陽電池をはじめとする各種代替えエネルギー生産技術が実用化されているエネルギー分野に比べ、材料分野は石油由来プラスチックの代替材料がいまだ確立されておらず、立ち後れた状況となっている。しかし、研究開発そのものが進んでいないわけではなく、バイオプラスチックは代替材料の有力候補の1つとして注目されているのはご存じの通りだ。そうした製品化されたバイオプラスチックの1つが、「ポリ乳酸」である。生物由来の資源(バイオマス)を主原料とするバイオプラスチックは、これまで、大気中の二酸化炭素の量を総体的には増加させない「カーボンニュートラル」という観点が強調されてきたが、実用化に向けていくつかの課題があった。その1つが、食料系バイオマスを原料としてバイオプラスチックを生産することによる食糧問題の悪化だ。その問題は、食料生産と競合しない非可食かつ未利用のバイオマスを原料とすれば回避できる。リグニンは未利用の植物性バイオマスとして知られており、樹木の細胞壁に多く存在し、芳香族化合物からなる高分子量化合物だ。リグニンの構成成分である「p-クマル酸」、「カフェ酸」、「フェルラ酸」、「シナピン酸」などの「リグニン誘導体」(これらがネットワークを形成することでリグニンが形成される)は「スフィンゴモナス」属や「シュードモナス」属の微生物細胞内で「芳香族カルボン酸」を経て、「ピルビン酸」や「オキサロ酢酸」、「コハク酸」に変換されることが知られている。さらに、ピルビン酸から誘導される「アセチル-コエンザイムA」は、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)の前駆体の1つだ。これは、微生物を利用してリグニン誘導体を原料としたPHAの生産が理論上可能であることを示唆しているという。今回の研究では未利用バイオマスの代表格であるリグニンを原料とし、PHAというバイオプラスチックを微生物合成することが目標とされた。研究チームは、まずPHAを効率よく合成する微生物を探すため、11種類の微生物を前述した4種類のリグニン誘導体と、芳香族カルボン酸(「バニリン酸」、「4-ヒドロキシ安息香酸(4-HBA)」、「2,5-ジヒドロキシ安息香酸(2,5-DHBA)」、「3,4-ジヒドロキシ安息香酸(3,4-DHBA)」、「シリンガ酸」、「3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸(3,4,5-THBA)」)が単一炭素源として含まれる無機塩培地で培養し、それぞれの微生物の増殖の評価が行われた。その結果、芳香族カルボン酸の1つである4-HBAの存在下でPHAの生産株として有名な「ラルストニア・ユートロファH16」(R.ユートロファ H16)が比較的良好な増殖を示したのである。続いて、R.ユートロファ H16のPHA合成能力を検討するために、その増殖、PHAの蓄積量、および合成されたPHAの化学構造の解析が実施された。R.ユートロファ H16の培養方法は、最初から無機塩培地で培養する1段階培養、およびR.ユートロファ H16を成長しやすい富栄養培地で増殖させた後に、無機塩培地へ培地を変え培養する2段階培養の2種類で行われた形だその結果、R.ユートロファ H16の乾燥菌重量は0.69g/Lであり、PHAを63wt%蓄積することが判明(画像1~3)。2段階培養では、2,5-DHBAと3,4-DHBAを炭素源とした場合にPHAの蓄積が確認でき、PHA蓄積率は26wt%と13wt%だった。精製後に得られたPHAは、糖や植物油を原料として合成したPHAに比べ、分子量がやや低いものの、フィルムなどのプラスチック製品として利用可能な物性が示されたのである。得られた結果を代謝経路と併せて考察した結果(画像4)、R.ユートロファ H16では、リグニン誘導体から芳香族カルボン酸に変換する経路(画像4注の赤点線矢印)がリグニン誘導体をPHAへと変換する際のボトルネックであることが明らかとなり、代謝経路を改変することにより、PHAの生産性をさらに改善できることが示されたという。今後は、未利用バイオマスであるリグニンを、バイオプラスチックの生産という形だけでなく、幅広いバイオリファイナリー技術と融合することにより、幅広い物質生産へと利用することが求められるとする。また、リグニンは植物から得られるバイオマス資源の中で、唯一芳香族を有する化合物であり、有効利用が期待されているとした。また今回の研究では、リグニンが有する芳香環を開環することで利用しているが、開環反応を経由せず芳香族化合物として利用することが望まれるという。一方で、リグニンの分解物を利用するのではなく、非常に高分子量のリグニンを分解すると共に物質生産を行う新しいタイプの微生物も必要になるとした。研究チームは今後、リグニン分解とバイオプラスチックの合成を同時に進める新たな微生物反応系の構築を目指すとしている。
2014年04月01日岡山大学は、正常な黄体細胞がリンパ管を通じて卵巣外へ流出することによって黄体が卵巣から消失することを発見したと発表した。同成果は、同大大学院環境生命科学研究科 動物生殖生理学分野の奥田潔教授らによるもの。詳細は米国オンライン科学雑誌「PLOS ONE」に掲載された。多くの哺乳類において排卵後の卵巣に形成される黄体は、黄体ホルモンを分泌することで雌の体を妊娠できるようにするが、妊娠に至らなかった場合、黄体は卵巣から消滅し(黄体退行)、妊娠可能な状態が解除され、次の排卵を待つこととなる(ヒトでは月経が生じる)。これまで黄体退行は、黄体を構成する黄体細胞がプログラムされた細胞死(アポトーシス)ならびに黄体へ侵入したマクロファージによる貪食作用(死細胞の除去)によると考えられていた。しかし、研究グループでは、アポトーシスと貪食による卵巣からの黄体細胞除去には5日程度掛かる健康なウシに、薬剤(プロスタグランジン F2α)を用いて人為的に黄体退行を誘導した場合、約24時間で黄体が卵巣から消えるが、黄体細胞除去に働くマクロファージの数は生理的な黄体退行時と変わらなかったことから、従来の説に疑問を感じ、新たなメカニズムの探索を行ったという。その結果、卵巣から採取されたリンパ液中に多数の生きた黄体細胞を発見したほか、リンパ液中の黄体細胞の数は黄体退行時に急激に増加し、特に黄体が卵巣上から完全に消滅する際に黄体細胞の流出が重要であることが判明したという。今回の「黄体細胞がリンパ管を通じて卵巣から流出する」という成果について研究グループでは、リンパ管を通じて細胞が流出する現象はがん転移の際に観察されていたが、そうした細胞流出が生理的な器官の消失に関与するという報告はなく、今回の発見は生物学的に重要なものとなると説明するほか、ウシの人工授精では排卵のタイミングをコントロールする必要があるが、排卵には前の排卵時に形成された黄体の消失が必須条件となるため、今後、大量の黄体細胞を任意のタイミングでリンパ管へ流出させる技術を開発することで黄体退行を人為的に制御できるようになれば、効率的に排卵を促し人工授精を行うことが可能になるとコメントしている。
2014年03月24日順天堂大学と理化学研究所(理研)は3月4日、がん研究所、米・ペンシルバニア大学との共同研究により、「遺伝性難聴」の内で50%以上という最大の割合を占める「GJB2(GAP JUNCTION PROTEIN, BETA-2)変異遺伝性難聴(コネキシン26遺伝子変異型難聴)」の原因である「GJB2(コネキシン26遺伝子)」変異によるメカニズムを明らかにしたと共同で発表した。成果は、順天堂大 医学部耳鼻咽喉科学講座の神谷和作講師、理研バイオリソースセンターらの研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、3月4日付けで科学誌「Journal of Clinical Investigation」に掲載された。聴覚障害は出生児1000人に1人の割合で発症する、先天性疾患の中で最も高頻度に発生する疾患の1つで、その半数以上は遺伝子変異を原因とする遺伝性難聴だ(さらに遺伝性難聴は、まれだが皮膚疾患など難聴以外の症状を伴う「症候群性」と難聴を主症状とする「非症候群性」に分類される)。GJB2変異遺伝性難聴は冒頭で述べたように、その中でも日本においては最大となる50%以上もの割合を占めている。GJB2変異遺伝性難聴は難病に指定されており、常染色体劣性と常染色体優性の遺伝形式を持つ「感音性難聴」で、言語発達や教育にも大きな支障をきたしてしまう。また、現時点では同疾患に対する根本的な治療法や治療薬は存在していない。そして「コネキシン26」は、内耳の細胞間のイオン輸送を行うギャップ結合の構成要素の1つであり、内耳リンパ液のイオン組成を保つことにより音の振動を神経活動へ変換することを可能とする重要な分子だ。画像1は内耳・蝸牛の構造である。画像1の右上は内耳・「蝸牛」の位置で、右下は蝸牛の断面図。蝸牛管と呼ばれる空間は高いカリウムイオン濃度のリンパ液で満たされている。左上は蝸牛管の拡大図だ。音の振動を受けた「有毛細胞」では、リンパ液中の高濃度のカリウムイオンが細胞内に一気に流入することで、振動を電気信号に変換し神経活動を生み出している。このカリウムイオンの流れを表したのが画像1の左中央で、カリウムイオンはギャップ結合により細胞間で輸送され、再びリンパ液に戻されることにより、常に高いカリウムイオン濃度を維持している。つまりイオン輸送ができなければ、このリンパ液のカリウムイオン濃度が下がり、振動によるイオンの流入が起こらないために、音から神経活動への変換ができずに聴覚障害の状態となってしまうというわけだ。画像1の左下は、コネキシンは細胞膜で6個の集合体を形成し、これが隣り合う細胞の集合体と連結することにより、中央に分子の通路を持つギャップ結合を形成する(このギャップ結合は分子量約1000以下の低分子やイオンを濃度勾配によって透過させ、細胞間の物質輸送を可能とする)。なおコネキシンは耳以外にも心筋、眼の水晶体、皮膚など、体のさまざまな場所に存在してギャップ結合を形成しており、心筋のギャップ結合は細胞同士を電気的に結合させ、同期的な興奮伝達を行っている。全身で重要な役割を担っていることから、体のさまざまなコネキシン遺伝子が変異を起こしてしまうと、多くの難治性疾患が引き起こされてしまうというわけだ。またコネキシン26、「コネキシン30」は内耳ギャップ結合の主な構成要素であり、ギャップ結合の集合体(巨大なタンパク質複合体)を「ギャップ結合プラーク」と呼ぶ。なお内耳には、コネキシン26と同等のイオン輸送機能を持つほかのコネキシン分子も豊富に存在しており、コネキシン26の働きだけが低下したとしても、そのイオン輸送機能はある程度補完されることが予想されるという。それにも関わらず、なぜコネキシン26の変異を持つ遺伝性難聴患者が重篤な聴覚障害を示すのか、その原因はわかっていなかったのである。そこで研究チームは今回、コネキシン26変異がどのように難聴の原因となっているのかを調べるため、内耳においてコネキシン26遺伝子が部分的に欠損する新しい疾患モデルマウスを作成して研究を進めたというわけだ。コネキシン26変異を持つ患者は劣性遺伝型と優性遺伝型という異なる2種類の遺伝形式により発症し、類似した症状を示す。この点に注目し、2つの遺伝形式を持つコネキシン26遺伝子改変マウスにおける共通点が詳しく調べられた。その結果、2種類の難聴モデルマウスでは共に内耳の細胞から細胞へイオンを輸送するギャップ結合プラークが劇的に分断され(画像2)、大きさが27%程度にまで縮小し、それに伴いほかのコネキシンの量も33%程度にまで減少することが発見されたのである。これにより内耳のイオン輸送ができなくなり、音の振動を神経の電気信号に変換するための内耳リンパ液の組成が異常になるために難聴になると考えられるという(画像3)。この現象は胎生期から始まり、内耳のギャップ結合プラークの正常構造はコネキシン26の発現に完全に依存して維持されていることが証明された(画像4)。つまりギャップ結合プラークの集積・安定化には正常なコネキシン26が必須であり、変異または欠損があると、このタンパク質複合体は劇的に分断されてしまい、ほかのコネキシンと共に減少していくことが明らかになったというわけだ。そこで研究チームはさらに詳しく調べることにし、その結果、コネキシン26の変異により分断されたギャップ結合プラークの周囲では、分子「カベオリン1」および「同2」の量が増加し、これらが行う「エンドサイトーシス」と呼ばれる細胞膜の取り込みが過剰になることがギャップ結合崩壊の原因である可能性が示唆されたのである(画像5)。加えて、研究チームは患者と健常者のコネキシン26およびほかのコネキシンを同時にヒト培養細胞にて発現させ、ギャップ結合プラークの形状と物質輸送能の変化の解析を実施。すると、患者が持つ変異型コネキシン26やコネキシン26が欠損した状態のギャップ結合プラークは、やはり断片化されており、それに伴い物質輸送能も大きく低下していることが判明したのである(画像8)。画像8は、ヒト細胞と患者・健常者の遺伝子を組み合わせて内耳の病態を再現した際の蛍光顕微鏡画像。ヒト培養細胞に健常者の正常コネキシン26遺伝子および難聴者の変異遺伝子を内耳に存在するほかのコネキシン(コネキシン30)と共に導入することにより、内耳での病態を再現することが可能となった。ヒト遺伝性難聴で検出されているコネキシン26・R75W変異およびコネキシン26欠損状態においては、難聴モデルマウスと同様、ギャップ結合プラークが断片化していることが判明。それに伴い物質輸送能も大きく低下することが確認された。これまでコネキシン26変異型遺伝性難聴は、コネキシン26単独でのイオン質輸送能の低下が原因であると考えられてきたが、今回の研究によりコネキシン26がギャップ結合全体のタンパク質複合体を安定化させる役割を持ち、その働きが異常になった際に起こるギャップ結合複合体の崩壊によって内耳のイオン輸送能が低下することが、GJB2変異型遺伝性難聴の大きな原因になっていることが明らかになったというわけだ。現在のところ、この遺伝性難聴に対しては人工内耳や補聴器の適用があるものの、根本的な治療法、治療薬は存在しない。研究チームでは今回開発されたコネキシン26遺伝子欠損マウスを用いて、iPS由来細胞とコネキシン26の遺伝子治療を組み合わせた難聴治療実験を試行し、すでに有効な成果が得られているという。さらに、今回発見された患者の変異コネキシン26によるギャップ結合プラークの劇的崩壊現象は、培養細胞によっても容易に再現可能なため、この現象を有効性判定に利用すれば判定基準のなかった薬剤スクリーニングが可能になるとする。これらはコネキシン遺伝子の変異に起因する、心臓伝導障害(心疾患)、白内障、掌蹠角化症(皮膚疾患)などの多くの遺伝性・難治性疾患の病態メカニズム解明や創薬スクリーニングの指標としても大いに活用できると考えられるとしている。
2014年03月04日横河電機は2月27日、細胞の塊や培養容器に貼りついた状態の細胞の画像から、個々の細胞の形態を簡単かつ高精度に定量化する共焦点定量イメージサイトメーター「CQ1」(画像1)を開発したと発表した。細胞検査を初め、iPS細胞やES細胞、STAP細胞などの多能性細胞による再生医療研究、がんなどの疾患研究では、細胞の画像観察に加え、面積や形状などの形態を定量化して把握したいというニーズが高まっている。正常状態の細胞のデータと比較することで、細胞がどのような状態にあるかを簡単に判断することができるのが主な理由だ。対象となる細胞には、培養液中の浮遊細胞、培養容器に貼りついて単層状に培養された平面培養細胞、3次元培養された細胞の塊などがある。これらを定量化するためには、これまでのところは、蛍光顕微鏡を使って目視で測定するか、細胞の形態を定量化する専用装置を利用するのが一般的だ。それら従来の装置は、細胞の塊を1つ1つの細胞に分けたり培養容器から剥離する必要があったりすることから、データの種類や精度に限界があった。そのため研究者や検査士は、塊のまま本来の生体機能や特性を維持した状態で、形態に関する多様で高精度なデータを取得できる装置を求めていたのである。そこで同社は、これらのニーズに応え、累計台数2200台以上という世界中の研究機関で広く使用されている共焦点スキャナユニット「CSU」を中心としたワンボックスタイプの共焦点定量イメージサイトメーターとして、「CQ1」を開発した。共焦点スキャナユニットは、通常の光学顕微鏡に取りつけて共焦点顕微鏡システムにすることができるユニットだ。共焦点顕微鏡は、蛍光試薬などで染色した試料にレーザを照射し、励起された蛍光を観察することで、きわめてコントラストの高い鮮明な画像を、任意の焦点距離で選択的に得ることができるのが特徴である。このため、試料を切片にすることなく生きたまま断層(スライス)画像を得たり、そのスライス画像データから3次元立体像を構築したりすることが可能だ。さらにCSUは「ニポウディスク(回転円板)」とマイクロレンズアレイを組み合わせた従来にない「マイクロレンズアレイ付きニポウディスク式共焦点光学技術」が採用されているのが特徴である。ニポウディスクには多数のピンホールが渦巻き状に配置されており、これによってマルチビームスキャンを行うことが可能だ。さらに、このニポウディスクのピンホールに光を集中させてより明るくするために組み合わせられているのが、微小なレンズを格子状に並べたマイクロレンズアレイである。これにより、高速スキャン性能を保ったまま、光の利用効率を大幅に改善可能。この技術により、細胞を塊のまま個々の細胞の表面積、体積などの3次元形態情報や細胞の位置情報を簡単に、しかも高精度に定量化できるのである。CQ1の特徴を改めて述べると、まず「細胞を剥離せず、形態情報を高精度に定量化」が可能な点だ。細胞の塊をバラバラにしたり、培養容器から細胞を剥離したりすることなく細胞本来の生体機能や特性を維持した状態で、高精度に定量化することができる。2次元情報である面積に加え、3次元情報である体積、表面積、細胞の個数や位置、細胞内の微小な粒子の位置、蛍光強度などの各種データを視認性よく、表・グラフ形式で表示すことが可能だ。2点目は、生きた細胞観察機能を有している点だ。CSUについても前述の通りだが、共焦点スキャナとして、レーザ光による細胞ダメージ(光毒性)や蛍光退色を最小限に抑えながら、細胞のスライス画像を高速に得ることができる。CQ1にはCSUが搭載されているので、生きた細胞の3次元、多色観察が可能だ。研究や検査で使った細胞も破棄する必要がなく、細胞を無駄なく活用できるため、再生医療用細胞の品質管理・検査・実験に適しているとする。3点目は、再現性の高いデータ。励起するレーザのパワーモニタ機能により、安定したレーザパワーを維持すると共に、定期的に内部校正を行い、レーザパワー以外の変動要素の影響も補正し、再現性の高いデータが取得できるようになっているとした。そして主な市場だが、再生医療分野、医学・病理学・解剖学・生物学などの基礎研究分野、薬学、創薬研究、細胞を扱う研究・検査分野(FISH法など)やこれらに関連する分野としている。用途は、iPS/ES/STAP細胞研究、再生医療に用いられる細胞研究、創薬、疾患研究における細胞品質評価、病理切片評価などとした。発売は2014年5月を予定しており、同社は同製品を3月4日から6日まで国立京都国際会館で開催される「日本再生医療学会総会付設展示会」に参考出品する予定とした。なお、CQ1の仕様は以下の通り。光学モード:マイクロレンズ付き広視野ニポウディスク共焦点、位相差(オプション:画像2)蛍光観察レーザ:405/488/561/640nmから2~4色選択、10穴フィルタホイール内蔵搭載カメラ:sCMOS2560x2160ピクセル、16.6mm×14.0mm (2倍対物レンズで96ウェルプレートの1ウェル全範囲をカバー)対物レンズ:最大6本 (2倍~40倍ドライのみ、位相差、長作動)培養容器:マイクロプレート(6、12、24、96、384ウェル)スライドガラス、カバーガラスチャンバ、ディッシュ(35、60mm)特徴量:細胞数、細胞内顆粒数、輝度、体積、表面積、面積、周長、直径、球形度、円形度、ほかデータ形式:画像:16bitTIFFファイル(OME-TIFF)、表示画面をPNG形式で出力、数値:FCS形式、CSV形式本体サイズ・重量:600mm×400mm×298mm、38kgユーティリティボックスサイズ・重量:275mm×432mm×298mm、18kg
2014年02月28日乳がんは、女性14人のうち1人がかかるといわれている、女性にとって身近な病気です。乳がんの罹患率は、30歳代から増加し始め、50歳前後にピークを迎えます。一般的に30~40歳代は子育て期。学費負担が50歳代まで続く家庭も少なくありません。お金がかかる時期にがんにかかったとしても治療に専念できるように、今から備えておきたいものです。乳がんを体験した子育て中の女性、がんサバイバーママへの取材等をもとに、がん治療に役立つがん保険について紹介します。乳房再生手術も保険診療に!乳がんの治療は切除手術が基本です。がん病巣部分を手術で取り出し、再発予防のために放射線治療や抗がん剤治療、ホルモン療法を行うのが一般的になっています。手術や放射線治療等を受ける1年目には大きな出費があり、2~5年目は再発予防のためのホルモン剤の治療と定期検診が行われます(ただし、ステージや治療方法等により、治療費が高額にかかる期間は異なります)。1年目の医療費が高額になる要因の1つに、「乳房再生手術」があります。がんの治療費は大半が保険診療ですが、乳房再生手術の一部(人工乳房を使用した場合)で健康保険等が使えませんでした。ところが、2013年7月にインプラント(シリコンジェルのラウンド型人工乳房)が、2014年1月には自然な形のバストを再建できる最新タイプの人工乳房(アナトミカル型/しずく型)が保険適用となりました。自由診療であったときは、乳がんの乳房全摘+乳房再建の手術費用で150~200万円程度かかったケースもあったのですが、保険診療の対象となったことで、高額療養費制度の適用となったのです。1ヶ月の自己負担限度額は「80,100円+(医療費-267,000円)×1%」(※下記の表参照所得区分:【一般】70歳未満)と、乳がん患者の負担はかなり抑えられるようになりました。乳がん患者にとって朗報ですね。ただ、手術の患者負担が軽減したとはいえ、乳がんの場合、1年目は術後に放射線治療や抗がん剤治療等の再発予防のための治療費が高めになっているケースが多く、退院後の通院費負担も相応の覚悟が必要です。抗がん剤治療を受ける場合、かつらを使うこともあり、医療費以外の支出も増える可能性があります。乳房再建手術が保険適用になったとしても、1年目の負担は50万円近くかかってしまうケースは多いといえます。そのため、入院だけに備えるものではなく、通院治療にも対応できるがん保険を選ぶ必要があるといえます。高額療養費制度の自己負担限度額(70歳未満 2013年度)がん診断給付金と通院保障に注目するがん保険選びで重要なのは、「がん診断給付金」です。所定の状態になった場合に100万円、200万円等の所定の一時金が支払われるものです。がん保険によって、どんなときに給付が受けられるか、再発した場合に対応しているか等の内容が異なりますので、がん保険を選ぶ場合は、がん診断給付金の内容は必ずチェックしたいものです。がん診断給付金の内容をチェックする際のポイントは、次の3点です。入院の有無支払い回数支払い条件(複数回払いの場合)1.入院の有無がん診断給付金には、(A) がんと診断されたら、入院の有無を問わず給付が受けられるもの(B) がんと診断され、入院した場合に給付が受けられるものの2種類があります。(B) は(A) よりも保険料は安く設定されているものが多いです。乳がんの場合、手術のために入院するケースが多く、(B) のがん保険でも十分だというがんサバイバーママが多かったです。ただ、入院の有無を問わず給付される(A) のがん保険を選択したほうがより安心です。2. 支払い回数支払い回数に関しては、(C) 1回の支払い(D) 複数回払い(給付から一定期間を経過していて、かつ、がんと診断された場合は再度給付金を支払う。※入院が条件の保険会社もあるので注意が必要です)の2種類があります。保険料が安く設定されているがん保険は、(C) であることが多いです。ただ、がんは再発・転移する可能性の高いものなので、(D) を選択するほうが長い目でみると安心です。複数回払いの給付金の支払い条件は各保険会社により異なります。がん保険に加入する前には、3. の支払条件に関しても確認しておきましょう。(3) 支払い条件(複数回払いの場合)複数回払いのがん診断給付金の場合、「2年に1度」や「3年に1度」を限度にする等の支払い条件が決まっています。最近では、「1年に1度」になっている保険商品も登場しています。先進医療で、切除せずに乳がんを治療する方法もがんサバイバーママの多くが「これからの時代、付けておいたほうが安心だと思う」という特約(オプション)に、「先進医療特約(がん先進医療特約)」があります。先進医療(がん治療に特化した先進医療)の中には、「切らずに乳がんを治療する」粒子線治療や経皮的乳がんラジオ波焼灼療法(初期の乳がん)があります。先進医療の場合、技術料が全額患者負担です。たとえば、鹿児島にあるメディポリスがん粒子線治療研究センターで乳がんの粒子線治療を受けた場合、288万3,000円の費用がかかります。経済的な手当てがないと、治療に踏み込めないケースも多く、保険で備えておくのが賢明だというのです。先進医療とは、保険診療の対象ではないものの、厚生労働省が高度な先進技術であることを認め、保険給付の対象にするか否かを検討している医療技術のことです。技術料は全額自己負担となるので、この技術料と同額を保障するのが先進医療特約です。この特約は、医療保険に付加できます。がん先進医療特約は、先進医療のうち、がんに特化した技術に対してのみ保障するというもので、がん保険に付帯する場合はこちらになります。いずれの場合も、月払保険料は100円前後です。ご加入の医療保険に先進医療特約が付帯されていない場合は、がん先進医療特約の付帯されたがん保険を選択するのが賢明ですよ。コラム監修者プロフィール 柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)CFP(R)/1級ファイナンシャルプランニング技能士関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。家計アイデア工房 代表※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2014年02月27日日本郵便はこのほど、米保険大手アメリカンファミリー生命保険(アフラック)のがん保険「生きるためのかん保険Days」について、販売する郵便局数を倍増すると発表した。3月3日に現在の1,500局から約2倍の2,980局に拡大する。同社は「今後も、身近な郵便局を通じて、より多くのお客様のニーズに一層お応えしてまいります」としている。
2014年02月24日九州大学(九大)は2月19日、「神経障害性疼痛」の慢性化に「二次リンパ組織」である脾臓における免疫細胞の1種「樹状細胞」のリソソーム酵素「カテプシンS」の働きによる抗原特異的なリンパ球の1種である「CD4+T細胞」の活性化が重要であることをマウスによる研究で明らかにし、活性化したCD4+T細胞は「脊髄後角」へ浸潤し、「インターフェロン-γ(IFN-γ)」を産生分泌することで「ミクログリア」の活性化をさらに深化させることが疼痛の慢性状態への移行に極めて重要であることを突き止めたと発表した。成果は、九大大学院 歯学研究院の中西博教授らの研究チームによるもの。研究は科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)の一環として行われ、詳細な内容は米国東部時間2月19日付けで米神経科学会誌「Journal of Neuroscience」に掲載された。神経系における損傷または機能障害によって持続的な痛みが発生する神経障害性疼痛は、モルヒネも奏効しない難治性疼痛として知られている。近年、神経障害性疼痛の慢性化において、リンパ球の1種であるT細胞が関与することが示唆されていた。しかし、その詳細なメカニズムについては不明な点が多く残っている。「単核食細胞」に特異的に発現するリソソーム性システインプロテアーゼの1種カテプシンSは「抗原提示細胞」の1種である樹状細胞において、抗原提示を行う「MHCクラスII分子」に結合している「インバリアント鎖」(MHCクラスII分子が抗原以外のペプチドとの結合するのを防ぐために結合したペプチド)の最終段階の分解に関与し、抗原提示機能の発現に重要な役割を担っている。なお抗原提示細胞とは、抗原をT細胞に提示することで、T細胞を活性化させる役割を持つ。またMHCクラスII分子とは、抗原提示細胞の「エンドソーム」(細胞小器官の1種で、細胞内に存在する細胞外物質を取り込む小胞)内に存在するタンパク分子で、抗原を結合すると細胞膜表面に移行しCD4+T細胞に抗原を提示することで活性化させる働きを持つ。中西教授らの研究チームは、これまでカテプシンS欠損あるいは脳移行性のないカテプシンS特異的阻害剤「Z-Phe-Leu-COCHO(Z-FL)」が、神経障害性疼痛の発症にはほとんど影響することなく慢性化を有意に抑制することを見出していた。そこで研究チームは今回、カテプシンSが二次リンパ組織(リンパ球の抗原提示による活性化に関与する脾臓やリンパ節などの組織)での抗原提示によるT細胞の活性化に関与し、神経障害性疼痛の維持・慢性化において重要な役割を担っている可能性を検討することにしたのである。神経障害性疼痛モデルマウスは、脊髄神経を腰神経レベルで切断することで作成された。野性型マウス(DBA/2系統)では神経障害に伴い、二次リンパ組織である脾臓の肥大化が認められ、T細胞などが産生分泌するサイトカインの1種であるIFN-γを発現したCD4+T細胞(Th1細胞)の増大が確認された。また、脾臓に分布する樹状細胞においてカテプシンSが増大することも明らかとなったのである。一方、カテプシンS欠損マウス(DBA/2系統)ではこれらの変化やインバリアント鎖の最終段階の分解は生じず、神経障害性疼痛の維持・慢性期における疼痛の有意な緩和が認められた(画像1)。また、野生型マウスにおける脾臓摘出によっても神経障害性疼痛の維持・慢性化が有意に抑制されることが確かめられたのである。画像1のグラフでは、カテプシンS欠損マウスにおける神経障害性疼痛の有意な緩和が確認可能だ。グラフの見方は、PWT(g)は機械刺激に対する疼痛閾値で、「+/+」は野生型マウス、「CatS-/-」はカテプシンS欠損マウス。ipsiは神経障害側後肢への機械的刺激を表す。そして、contraは反対側後肢への機械的刺激だ。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001は野生型マウスの疼痛しきい値との比較である。そこで次に神経障害性疼痛を発症した野性型マウスの脾臓よりCD4+T細胞を単離し、神経障害5日目のカテプシンS欠損マウスあるいは脾臓を摘出した野生型マウスに腹腔内投与が行われた。その結果、投与直後から3日間に渡ってこれらのマウスにおいて疼痛の有意な増強が認められたのである。さらに免疫組織化学的解析の結果、IFN-γを発現したT細胞の神経障害側の脊髄後角(末梢知覚神経から送られてくる痛覚情報を上位中枢へ中継する脊髄の部位)への浸潤が確認された(画像2)。これは末梢神経障害に伴って「血液脊髄関門」(血液から脊髄への物質の移行を制限する機構)の透過性が一過性に増大するという報告と一致するという。(画像2)さらに、脊髄後角に浸潤したTh1細胞がIFN-γの産生分泌により脊髄ミクログリア(脳脊髄に存在し免疫機能を担う中枢神経中のグリア細胞の1種)を刺激し、ミクログリアの活性化をさらに深化させている可能性が検討された。IFN-γ受容体の下流シグナルである「STAT1」のリン酸化が調べられたところ、リン酸化STAT1はミクログリアの核に局在することが認められ、転写因子としての活性化が確認されたのである(画像3)。なおSTAT1とは、IFN-γ受容体の活性化によりリン酸化され、核内に移行して転写因子として働くタンパク分子のことだ。以上の結果より、二次リンパ組織である脾臓における樹状細胞のカテプシンSの働きにより、抗原特異的に活性化したTh1細胞の脊髄後角への浸潤、ならびにIFN-γ を介した脊髄後角ミクログリアの活性化のさらなる深化が、疼痛の慢性状態への移行に極めて重要であることが明らかとなった(画像4)。今回の成果により、神経障害により脾臓などの二次リンパ組織の樹状細胞におけるカテプシンSに依存したIFN-γ陽性CD4+T細胞(Th1細胞)の活性化が引き起こされ、活性化したTh1細胞の脊髄後角への浸潤によりIFN-γを介した脊髄後角ミクログリアの活性化状態のさらなる深化が引き起こされることが明らかになった。このことからカテプシンSの二次リンパ組織での働きが神経障害に伴う疼痛の慢性状態への移行に極めて重要であることが示唆されるという。また今回の研究により、カテプシンSが神経障害性疼痛に対する治療薬開発における新たな標的分子となることが提示された形だ。一方で、神経障害に伴う二次リンパ組織における免疫応答にはマウス系統間での差異が認められ、C57BL/6系統マウスでは神経障害に伴うTh1細胞の活性化が認められていない。このように末梢神経障害に伴って脾臓のような二次リンパ組織において分化した成熟T細胞は末梢血中に移出し、脊髄を含む体組織に浸潤すると考えられる。そこで今後は、神経障害性疼痛を発症した患者の末梢血におけるT細胞サブセットの詳細な解析を行うと共に、カテプシンS特異的阻害剤ならびに免疫抑制剤の神経障害性疼痛に対する治療薬としての有効性について検討を行う予定とした。
2014年02月20日22時~午前2時は、お肌のゴールデンタイムと言われていますね!この時間帯に、しっかり睡眠をとることで、細胞が再生し、美肌や美髪が作られます。このゴールデンタイム、細胞だけでなく腸にも必要ってご存知でしたか?腸のゴールデンタイムの過ごし方次第で、自然と痩せ体質が作られるのだそうです!■腸のゴールデンタイムって何?お肌のゴールデンタイムは聞いたことがあるけど、腸のゴールデンタイムなんて初めて聞いた!という方も多いかと思います。腸のゴールデンタイムとは、食後3時間のことで、この3時間をどう過ごすかで痩せ体質になるか、余分なものを溜めこむ体質になるかが決まってしまうというのです!■リラックスするだけで痩せられる?!食後の3時間は、腸が食べたものを消化・吸収するための大切な時間です。腸の働きは、副交感神経が司っているため、PCやスマホなどに夢中になっていると交感神経優位の状態になってしまい、腸がスムーズに動きません。そのため、栄養の吸収が上手くいかなかったり、未消化のものが残って便秘の原因になったりと腸トラブルを引き起こし、溜めこみやすい身体を作ってしまいます。食後3時間をリラックスして過ごして副交感神経優位な状態を作り、腸の働きをスムーズにすれば、余分なものを溜めこまない痩せ体質を作ることができるのです!■食事中も気を付けて!食事中も、リラックスして食べることが大切です。急いで食べたり、スマホ片手に食べていては、交感神経が活発に働いてしまい、腸の働きが悪くなってしまいます。食べることに集中して、よく噛んで食べましょう!噛むことで副交感神経を刺激することが出来るだけでなく、よく噛めば、唾液中に含まれる若返りホルモン「パロチン」もたっぷり分泌されて美ボディにも美肌にも役立ち、一石二鳥ですね。■スイッチをONするには?副交感神経のスイッチをONするには、とにかくリラックスすることが大切!好きな音楽を聴いたり、本を読んだり、彼やお友達と楽しいおしゃべりをするのも良いですね。アロマやハーブティもおススメ。鼻からの刺激はダイレクトに脳に伝わり、リラックスした状態を作ります。「良い香り♪」と思う、その気持ちが副交感神経の働きを活発にさせます。■おわりにえ?食後3時間も起きてない!すぐ寝ちゃう・・・という方、要注意ですよ。すぐに寝てしまうと腸の働きが悪くなるだけでなく、睡眠中に血糖値が上下して安眠できません。できるだけ寝る3時間前までに食事を済ますか、どうしても時間がない方は、夕食を減らして消化・吸収にかかる時間を短くしてあげましょう!腸のゴールデンタイムをリラックスして過ごすことで、睡眠中のお肌のゴールデンタイムの質もぐっと向上します!痩せ体質も美肌も叶う腸のゴールデンタイム。これからは、しっかりリラックスして過ごして下さいね。(岩田麻奈未/ハウコレ)
2014年02月19日東京医科歯科大学(TMDU)は2月17日、東海大学との共同研究により、ほ乳類の個体発生に重要な働きをする「ゲノムインプリント記憶」が、生殖細胞でリプログラミング(消去・再成立)される際の消去過程に「能動的脱メチル化機構」が機能することを、マウス個体を用いた実験で突き止めたと発表した。成果は、TMDU 難治疾患研究所・エピジェネティクス分野の石野史敏 教授、同・李知英 特任講師、東海大の金児-石野知子 教授らの共同研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、1月13日付けで英オンライン総合学術誌「Scientific Reports」に掲載された。ほ乳類の発生過程では、ゲノムワイドな「DNA脱メチル化」が、(1)受精から着床までの初期発生の時期、(2)「始原生殖細胞(primordial germ cell:PGC)」が将来の生殖巣(精巣や卵巣)である生殖隆起まで移動し定住する時期で起きる。特に、PGCでは脱メチル化に伴うインプリント消去後、精子・卵子形成過程でインプリントが再刷り込み(再成立)されるので、インプリントは完全に消去(脱メチル化)される必要がある(画像1)。画像1は、ゲノムインプリントのリプログラミングを表した概念図だ。ゲノムワイドの脱メチル化は、受精直後の受精卵(a)と生殖細胞系列のPGCの中で起きる(b)。精子、卵子に刷り込まれたゲノムインプリント(c、d)は体細胞系列で一生維持され、細い黒線がそれを表す。PGCは、初めは体細胞と同じゲノムインプリントを持っているが(太い黒線)、将来の生殖巣(卵巣や精巣)である生殖隆起に定住する前後で消去される仕組みだ(b)。なおDNAメチル化とは、DNA塩基「シトシン(C)」が「メチル基(CH3)」で修飾されることをいい、一般的にはこれが起きると遺伝子が抑制される形だ。よって、DNA脱メチル化は、その反対の現象である。ゲノムインプリントの場合、精子、卵子にメチル化状態が刷り込まれ、インプリント遺伝子の発現・抑制の両方に機能し、消去の際に脱メチル化される。そのゲノムインプリントとは、ほ乳類発生に重要な「エピジェネティック」情報の1つのことで、父親・母親由来ゲノムからのみ発現する「インプリント遺伝子」の発現制御を行う。ゲノム刷り込みともいわれるこの情報は、ほ乳類のライフサイクルで生殖細胞において消去・再成立され次世代に伝わる形だ。脱メチル化過程でメチル化シトシン(5mC)は異なる2つの機構で未修飾のシトシン(C)に変換される。「受動的脱メチル化(passive demethylation)」は5mCが細胞分裂に伴って希釈されていく機構、「能動的脱メチル化(active demethylation)」は細胞分裂に依存せずCまで変換する機構だ。しかし、前述した(1)、(2)の時期にどちらの機構が関与するのか、見解は二転三転していたという(画像2)。初期発生における卵子に由来する「雌性前核」は、細胞分裂と共に徐々に希釈される受動的脱メチル化を受ける(画像2a)。それに対して精子に由来する「雌性前核」、つまりPGCにおけるゲノムインプリントの消去は能動的脱メチル化の代表例と考えられていた(画像1・2b)。しかし2009年以降、ゲノム中に5mCの酸化誘導体である「ヒドロキシメチル化シトシン(5hmC)」などの存在が確認され、この酸化反応を触媒する「Tet(ten eleven translocation)酵素」群もほ乳類で同定されたことから、それまでの考えは大きく修正されることになったという。5hmCは「能動的脱メチル化機構」の中間体でもあるが、雄性前核の場合、Cから5hmCへの急速な変換後は受動的に希釈されること(画像2c)、PGCでのゲノムインプリント消去も、PGCの細胞分裂速度の速さから考えて受動的脱メチル化を支持する意見が優勢になったのである(画像2c)。2002年に研究チームは胎仔期のPGCにおいてインプリント記憶の消去が起きる過程を世界で初めて検出することに成功した。インプリント消去途中のDNAメチル化パターンがモザイク状を示すことが能動的脱メチル化の関与を示唆する証拠であると考えられ(画像3)、受動的脱メチル化反応に対する阻害剤としてDNA複製阻害剤の「アフィディコリン」、能動的脱メチル化の阻害剤としてDNA塩基除去修復に働く「Poly(ADP-ribose)polymerase(PARP)阻害剤」の「3-AB」の2つの薬剤のPGCにおける脱メチル化における効果が生体において測定された。画像3は、PGCにおけるゲノムインプリントの消去に関するグラフとモザイク状メチル化パターン。胎仔から分離したPGCの「H19-DMR」の場合、PGCにおける脱メチル化は胎仔期9.5日目から11.5日目までにほぼ完了する。途中のメチル化パターンには、メチル化(黒丸)部分と非メチル化(白丸)部分が1本のDNA(左から右への一行)に混在したモザイク状模様が見られる。細胞分裂による希釈では説明できず、能動的脱メチル化の関与が示唆されるとした。その結果、どちらの薬剤も脱メチル化を阻害することから、両方の機構がこれに関係していることが判明した(画像4)。特に、DNA複製を止めた状態でも脱メチル化反応が進むことは(画像4)、生体内でのPGCのインプリント消去に能動的脱メチル化機構が積極的に関与することを物語っているという(画像2d)。画像4は、脱メチル化反応に対する阻害剤の効果を表したグラフ。胎仔期9.5日目から半日置きにDNA複製阻害剤または塩基除去修復阻害剤を母体に投与し11.25日目に胎仔から分離したPGCのH19-DMRのメチル化度が調べられた。コントロール(右)と比べて塩基除去修復阻害剤(中央)の高い阻害効果は能動的脱メチル化の証拠だとする。DNA複製阻害剤(左)も一部に阻害効果が見られたが、脱メチル化はかなり進行していることも能動的脱メチル化の関与を示唆するという。卵子形成では、インプリント消去の開始から短時間で、「減数分裂第一分裂」に入り、そこで個体の性成熟まで細胞分裂が停止する。完全に両親由来のインプリンティング記憶の消去(特に父親由来のインプリント記憶消去)がなされないと、次世代の子供の発生に重大な問題を生じると考えられるという(画像5)。その意味で、PGCにおける能動的脱メチル化は、ヒトを含めたほ乳類の個体発生において重要な役割を果たしているといえるとした。画像5は、能動的脱メチル化の生物学的意義を表した概念図。メスのPGCではゲノムインプリントの消去開始から減数分裂が開始されるまでの細胞分裂の回数は限られる。受動的脱メチル化だけでは幾つかの卵細胞にメチル化DNAが残り(細胞分裂3回ならば2/8、4回ならば2/16)、特に、父親型インプリントが残る場合は発生異常の原因となると考えられるという。よって、能動的脱メチル化はゲノムインプリントの完全な消去に必須の機構と考えられるとしている。今回の研究はゲノムインプリントの消去に能動的DNA脱メチル化が関与することを、生体内から分離したPGCを用いて明らかにすることに成功した形だ。今回の成果は、PGCにおける真の脱メチル化機構を明らかにしただけでなく、能動的DNA脱メチル化の卵子形成における重要性を示したことで、ほ乳類の生物学に重要な新局面を拓いたものといえるとしている。
2014年02月19日北海道大学(北大)は2月17日、チェコ・南ボヘミア大学との共同研究により、胚(受精卵)の一部を染色して観察すると、チョウザメの始原生殖細胞「PGC(Primordial germ cells)」はカエルと同様の機構で生み出されることが判明し、一方、この細胞をチョウザメとは異なる発生過程を示すキンギョの胚に移植したところ、キンギョの生殖腺へ移動する能力を持っていたことから、卵や精子の元となる細胞の形成や移動には種を越えた共通性があることが示されたと発表した。成果は、北大 北方生物圏フィールド科学センター 七飯淡水実験所の山羽悦郎 教授らの国際共同研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、日本時間2月6日付けで米オンライン科学誌「PLoS ONE」に掲載された。世界三大珍味「キャビア」を求めて乱獲されたため、チョウザメ天然魚は世界中で激減し、保護の対象となっているが、チョウザメはいわゆる古代魚、「生きた化石」とされ、進化を解明するうえで重要な材料としても知られている。現在、絶滅危惧種のチョウザメを復活させるため、チョウザメの配偶子(卵や精子)をほかの種で作らせる技術の開発が進められている。そのためには、配偶子の元となる細胞であるPGCの由来を明らかにしなければならないというわけだ。すべての生殖細胞の元になるPGCは、胚発生の早い段階で胚中に形成される。PGCは将来の生殖腺とは離れた領域で形成され、胚発生を通して生殖腺へと移動する性質を持つ。カエルなどの無尾両生類やゼブラフィッシュなどの魚類では、特定の細胞質(生殖細胞質)を受け継いだ細胞がPGCに分化することが知られているが、PGCが作られる胚の領域はそれぞれの種で大きく異なる。例えばカエルでは卵黄に富む胚の植物極側でPGCが形成され、ゼブラフィッシュでは胚の動物極側でPGCが形成されるという具合だ。その中間的なパターンを示す動物系統がいるのか、いるとしたらPGCはどのように発生するのか、そうした点はこれまで明らかにはなっていなかった。今回の研究対象であるチョウザメの胚発生パターンは、カエルによく似ていることが知られている。今回の研究では、生殖細胞質あるいはPGCだけを緑色蛍光で標識するようにデザインされたメッセンジャーRNAを極小のガラス針で発生過程の胚に顕微注入することで、チョウザメ胚のどの領域でPGCが形成され、どのように将来の生殖腺形成部位に移動するかが詳しく調べられた。さらに、PGCの移動機構が生物間で保存されているかどうかを調べるため、緑色蛍光で可視化したチョウザメのPGCを単離してキンギョ胚に移植し、その移動パターンが観察されたのである。その結果、まず明らかになったのが、チョウザメの生殖細胞はカエル胚と同じく植物極付近に分布しており、PGCはそれを取り込むことで植物極側で形成されるということ。つまり、チョウザメは魚類であるにも関わらず、カエルに似たPGCの形成パターンを示すことが判明したのである。ところが、生殖腺へと移動中のPGCをチョウザメ胚から取り出しキンギョ胚へと移植すると、チョウザメPGCはキンギョのPGCと同じ経路をたどり、キンギョの生殖腺に定着した。この結果は、見かけ上大きく異なるPGCの発生パターンを持つ遠縁の動物種間であっても、PGCの移動機構が機能的に保存されていることを示しているという。今回の研究により、その生殖細胞の元になる細胞の発生パターンが生物間でどのように変化するのか、不明であったミッシングリンクの1つが埋められた形だ。しかし、チョウザメはすべての種が絶滅危惧種に指定されている一方で、キャビアの需要は世界的に高まり続けているという現状もある。その一方で、キャビア(成熟したメスの生殖細胞)の元になる細胞であるPGCの性質や、その細胞がどのように生殖腺を形成するのかはまったく調べられてこなかったのも事実だ。今回の研究はチョウザメの生殖腺が発生する仕組みの基礎的な知見となるだけでなく、将来の生殖コントロールや効率的な養殖生産につながることが期待されるとしている。
2014年02月18日産業技術総合研究所(産総研)は2月17日、和光純薬工業 試薬事業部 試薬開発本部 ライフサイエンス研究所との共同研究により、移植用細胞に残存する未分化のヒトiPS細胞やヒトES細胞を、通常は廃棄する細胞培養液を用いて簡便に検出する技術を開発したと発表した。成果は、産総研 幹細胞工学研究センター 糖鎖レクチン工学研究チームの舘野浩章 主任研究員、同・平林淳 首席研究員兼研究チーム長、同・器官発生研究チームの小沼泰子 主任研究員、同・伊藤弓弦 研究チーム長らの共同研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、現地時間2月12日付けで英オンライン総合学術誌「Scientific Reports」に掲載された。ヒトiPS/ES細胞は、いろいろな細胞に分化できる「多能性」と、分裂して自分と同じ性質の細胞を増やせる「自己複製能」を持つ。その2つの能力により、再生医療のための細胞材料として大きな期待が寄せられているところだ。ただし、ヒトiPS/ES細胞を用いた再生医療には大きな解決すべき課題もある。ヒトiPS/ES細胞から分化させることにより調製した移植用の細胞に、ヒトiPS/ES細胞が残存していると、それらが腫瘍を形成する危険性があるのだ。よって、患者の危険性を最小限にするためには、実際に移植治療を行う前に、移植用細胞にヒトiPS/ES細胞がどの程度残存しているかを品質検査することは必須だ。そのため、移植用細胞に残存するヒトiPS/ES細胞数を計測する技術の開発が求められていたのである。これまでのところ、「フローサイトメトリー法」や「qRT-PCR(Quantitative Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction:逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)法」などの技術があるが、それぞれに問題があった。フローサイトメトリー法は、溶液中に懸濁させた細胞の散乱光や蛍光を1個ずつ高速で測定する方法で、大量の細胞の性質を解析する際によく用いられる一般的手法である。もう1つのqRT-PCR法は、RNAを鋳型に逆転写を行い、生成されたcDNAをPCR法で増幅して、DNAの定量を行う方法で、調べたい遺伝子の量を定量的に解析する一般的手法だ。しかしこれらの従来技術では、せっかく作った移植用細胞の一部を破壊して検査に使用する必要があった。このような問題点を解決するために、細胞自体を用いずに、移植用細胞にわずかに混入するヒトiPS/ES細胞を簡便に検出する新たな技術の開発が求められていたのである。そうした要求の中で進められた今回の研究において見出されたのが、ヒトiPS/ES細胞に特徴的な「O型糖鎖」を持つ「ポドカリキシン(H3+ポドカリキシン)」が、さまざまな種類のヒトiPS/ES細胞から培養液中に分泌されているという点だ。なお糖鎖とは、単糖がつながることによりできた一群の化合物のことだが、糖同士だけでなく、タンパク質や脂質などとも複合体を形成し多様な分子を形成するのが特徴である。すべての細胞表面を高濃度に覆い、その構造は由来する生物、組織、細胞により異なることから「細胞の顔」とも呼ばれ、細胞や疾患を判別するためのマーカー(疾患診断や細胞同定のための指標)として有効だ。細胞と細胞の情報伝達を仲介することにより、さまざまな生命現象に関与することでも知られている。またO型糖鎖は糖タンパク質の糖鎖の内で、タンパク質の「セリン」または「スレオニン残基」に結合している糖鎖のことをいう。そしてポドカリキシンは、高度にO型糖鎖などで糖鎖修飾されているのが特徴の膜タンパク質の1種だ。ヒトiPS/ES細胞に発現するポドカリキシンは、ヒトiPS/ES細胞に特異的に存在する「Hタイプ3」というO型糖鎖を持っている。このポドカリキシンは腎臓などほかの組織にも存在するが、ヒトiPS/ES細胞に特徴的なH3+ポドカリキシンは、これまでの研究では通常の体細胞からは分泌されていないことがわかっている。つまり、培養液中のH3+ポドカリキシンを調べることで、細胞自体を使わずにヒトiPS/ES細胞を検出できるというわけだ(画像1)。通常、タンパク質は特有のアミノ酸配列を認識する抗体を用いて検出することが多いが、ポドカリキシンは多量のO型糖鎖で覆われた巨大な「ムチン」様タンパク質であるために、抗体を用いることはできなかった。そこで、H3+ポドカリキシンに多く存在する特徴的な糖鎖構造に着目し、そのO型糖鎖を認識する「レクチン」を2種類用いて検出する新しい「サンドイッチアッセイ」系による検出システムが考案されたのである(画像2)。なおムチンとは、動物の上皮細胞などから分泌される粘性物質のことだ。高度に糖鎖修飾された糖タンパク質であり、高い保水性と粘性を持つ。そしてレクチンとは、糖鎖に結合するタンパク質の総称で、ヒトからウイルスまですべての生物に存在する。糖鎖に結合することにより、さまざまな生命現象に深く関与していることが明らかになってきた。またサンドイッチアッセイとは、ある特定の分子を2種類の検出分子でサンドイッチ(挟み込む)することにより検出する方法の総称だ。2種類の抗体を検出分子として用いる抗体-抗体サンドイッチアッセイが一般的であり、疾患を診断する際によく用いられる。今回開発された検出システムの詳細な方法は以下の通りだ。H3+ポドカリキシンを認識する「rBC2LCN」を判別試薬として固定化した反応容器を準備する。なお、rBC2LCNとは、グラム陰性菌「Burkholderia cenocepacia」由来のレクチン「BC2L-C」のN末端ドメインの組み換えタンパク質のことだ。未分化なiPS/ES細胞と反応するものの、分化した体細胞とはまったく反応しないため、未分化なヒトiPS細胞を検出するための検出試薬として有効である。1滴(50μL)の細胞培養液を反応容器に入れ1時間反応させてH3+ポドカリキシンを吸着させる。洗浄して細胞培養液を除いた後、rBC2LCNとは別のO型糖鎖を認識する酵素標識「rABA」を、反応容器に吸着したH3+ポドカリキシンと1時間反応させる。rABAは、キノコ「Agaricus bisporus」由来レクチン「ABA」の組み換えタンパク質に酵素「ペルオキシダーゼ」を標識したもの。基質を加えると濃い青色を呈する。酵素標識rABAを発色させ、その発色強度を測定して、H3+ポドカリキシン量を決定する。H3+ポドカリキシン量から、H3+ポドカリキシンを分泌したヒトiPS/ES細胞数を算出する。今回開発された検出システムのポイントは、第1にrBC2LCNを判別試薬として用いてヒトiPS/ES細胞から分泌されるH3+ポドカリキシンだけを選択的に反応容器に吸着させること、そして、第2に1分子のH3+ポドカリキシン上に100個以上あると予測される構造のO型糖鎖を認識するrABAを検出試薬とすることで、1分子のH3+ポドカリキシンに多くの酵素を付着させて高感度検出を実現したことの2点点だ。すなわち2種類のレクチンを用いることで、選択性と高感度を両立させたのである。今回の検出システムを用いると、多数の検体を3時間以下という迅速さで検査することが可能だという。また、10mLの培養液で1000万個の細胞を培養している場合、5000個(0.05%)以上のヒトiPS/ES細胞の検出ができるとした。移植用細胞中のヒトiPS/ES細胞の混入率を測定できるため、ヒトiPS/ES細胞を用いた再生医療の安全性評価法として期待できるとしている。今後は、今回の技術を実際の再生医療に用いるヒトiPS/ES細胞由来の移植用細胞の安全性評価に利用し、ヒトiPS/ES細胞を用いた再生医療の促進に貢献していくという。また今回の技術の感度と定量性をさらに向上させると共に臨床検査機器を開発し、再生医療分野に広く普及させていく予定としている。
2014年02月18日京都大学、科学技術振興機構(JST)の2者は2月14日、生体内で細胞を不十分な状態で初期化を行うと、エピゲノムの状態が変化し、がんの形成を促すことを見出したと共同で発表した。成果は、京大 iPS細胞研究所(CiRA)所属兼岐阜大学大学院・大学院生の大西紘太郎氏、CiRA/同・大学 物質-細胞統合システム拠点(iCeMS)の蝉克憲 研究員、CiRA/iCeMS/JSTさきがけの山田泰広教授らの研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、米国時間2月13日付けで米科学誌「Cell」に掲載された。iPS細胞は分化した体細胞に、「山中因子」といわれる4種類の遺伝子(Oct3/4、Sox2、Klf4、c-Myc)を作用させることで作製することができる。しかし、体細胞を初期化するためには、さまざまな反応が細胞内で協調して働くことはわかっているものの、いまだにその詳細なメカニズムについてはわかっていない。細胞を初期化する途中には、iPS細胞ではないコロニーがよく現れることが知られているし、一部の細胞は正しい初期化からそれ、不十分な初期化が起きているという報告もある。しかし、このような初期化に失敗した細胞について、これまで研究がなされていなかった。うまく初期化できなかった細胞ができてくる過程には、がんが形成される過程と似た部分がある。初期化の際には、分化した体細胞は無限増殖・自己複製能を獲得し、遺伝子の働き方がダイナミックに変化するが、このイベントはがんができる過程でも重要なイベントだ。このような類似性から、初期化プロセスとがん形成が共通したメカニズムで進められている可能性が考えられるという。そこで研究チームは今回、不十分な初期化を起こすことで、がんの形成が起きないかどうかを調べるため、生体内で初期化が起きるマウスのシステム作りを行った。研究チームは「Doxycycline(Dox)」を作用させると、4種類の山中因子が働く仕掛けを持ったマウスを遺伝子改変によって作製。Doxとは抗生物質の1種で、遺伝子工学では同物質に反応して遺伝子のオン・オフを制御する仕組みがよく用いられている。今回は、Doxが体内に取り込まれると、山中因子が働くことに加えて、蛍光物質が作られるようにもなっている。そのため、Doxを作用させると細胞は赤く光り、初期化因子が働いてiPS細胞が誘導されるというわけだ。このマウスに28日間Doxを与えたところ、各種臓器において体細胞がiPS細胞へと初期化され、さらにiPS細胞から3胚葉に分化した奇形腫が形成されていることが確認されたという。一方で、7日間Doxを与え、さらにDoxを抜いて7日後に観察したところ、腎臓を初め各種臓器で腫瘍の形成が見られたが、こちらは奇形腫とは異なる、腫瘍を形成していたのである(画像1・2)。今回の方法で作り出された腫瘍細胞が調べられた結果、小児腎臓がんである「腎芽腫」とよく似た性質を示していたという。これは、今回作り出したマウスが、腎芽腫のモデル系として有効なツールであることを示している。また、「エピゲノム」の状態(DNAのメチル化度合い)も調べられ、その結果、元の腎臓の状態を保持しつつも、部分的に多能性幹細胞(iPS/ES細胞)と似たパターンになっていることが明らかとなった(画像3・4)。一般的にがんの形成は遺伝子の変異が蓄積することで生じると知られている。今回作り出した腎臓の腫瘍の細胞は腎芽腫にとてもよく似た性質を示していたが、遺伝子の変異は見つからなかったという。この細胞からiPS細胞を作り、腫瘍由来の細胞を含む「キメラマウス」が作られたが、そのマウスの体内では腫瘍由来の細胞も正常の腎臓を形成していることが確認された。これは、今回の腫瘍の形成には遺伝子の変異が決定的な要因ではなかったことを示しているとする(画像5・6)。今回の成果により、マウスの体内で初期化を起こす仕組みを作り、不完全な初期化が腎芽腫と似た腫瘍の形成が引き起こされることが示された形だ。これまで、がんの形成には遺伝子変異の蓄積が重要であるといわれてきたが、今回の結果から、ある種の腫瘍は遺伝子の変異ではなく、エピゲノムの状態の変化によってもがんが形成されることが示されたのである。つまり、エピゲノムの状態を変化させることができれば、がん細胞の性質を変化させ、将来的にはがんの新しい治療法につながる可能性があるという。また今回の研究では、ゲノムの変異を起こさずにエピゲノムの状態を制御する手法としてiPS細胞の技術が利用された。このようにiPS細胞技術を利用することで、疾患研究に新しい観点をもたらすことが期待できるとしている(画像4)。
2014年02月14日京都大学は1月30日、すい臓の「ランゲルハンス島(すい島)」において、血糖値を下げる効果のある唯一のホルモンである「インスリン」分泌における重要因子である細胞内ATP(アデノシン三リン酸)濃度と、カルシウムイオン濃度の動態を同時に可視化することに成功し、インスリンを分泌する細胞は血糖値(血中ブドウ糖濃度)の変化に伴った細胞内ATP濃度の変化を鋭敏に感知することにより、インスリン分泌を制御していることSを明らかにしたと発表した。成果は、京大 白眉センターの今村博臣特定准教授、同・大学院 生命科学研究科の垣塚彰 教授、同・大学院 医学研究科の稲垣暢也 教授らの共同研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、1月24日付けで米生化学・分子生物学会の学術誌「The Journal of Biological Chemistry」に掲載された。食事後に血糖値が上がると、ランゲルハンス島の大部分を占めるβ細胞がそれを感知してインスリンを分泌し、肝臓や筋肉などに作用し、これらの組織において血中のグルコースの取り込みを促進し、結果として血糖値を下げる。β細胞からのインスリン分泌がうまく行かなくなると糖尿病となるため、インスリン分泌の仕組みを理解することは糖尿病の予防や治療を考える上でとても重要だ。これまでの研究によって、ブドウ糖が細胞内で分解された時に作られるATPがインスリン分泌の直接の引き金である細胞内カルシウムイオン濃度を制御する重要因子であると予想されていた。しかし、実際にATP濃度がβ細胞内でどのように変化するのか、そしてカルシウムイオン濃度の複雑なパターンの形成に関与しているかは不明だったのである。今村特定准教授らは、以前に開発していたATP濃度に応答して蛍光色が変化するバイオセンサをマウスより単離したすい島の細胞内に導入して蛍光顕微鏡でイメージングすることにより、生きたすい島細胞内のATP濃度の変化をリアルタイムに追跡する方法を確立した。また、同じ細胞に蛍光のカルシウム指示薬を導入することによって、インスリン分泌の直接の引き金である、すい島細胞内カルシウムイオン濃度も同時に測定。この測定系を用いて、さまざまな条件ですい島細胞内のATP濃度とカルシウムイオン濃度が変化する様子が調べられた。その結果、ブドウ糖濃度が上昇することによって急速に細胞内ATP濃度の上昇が引き起こされることが実際に確かめられ、このATP濃度の上昇が初期のカルシウムイオンの濃度上昇に必要かつ十分であることも実験的に示されたのである。一方で、ブドウ糖刺激後しばらくしてから生じるカルシウムイオン濃度の振動期においては、ATP濃度の明瞭な振動は起こらず、ATPが高い濃度で保たれていることがカルシウム振動の維持に必要であることを示す新たな知見が得られたという。糖尿病になることで、すい島細胞内におけるATPとカルシウムイオンの動態がどのように変化するかを詳細に調べることによって、糖尿病が発症する仕組みの解明や新たな治療戦略につながると期待されるとした。
2014年02月06日京都大学は1月20日、Tリンパ球活性化により起こるダイナミックな酸性糖「シアル酸」を含む「糖鎖」の変化は、シアル酸結合タンパク質を介した免疫細胞同士の結合に変化をもたらす仕組みであること、つまり免疫系における細胞結合のための分子スイッチとなることを明らかにしたと発表した。成果は、京大 医学研究科の竹松弘 准教授、同・大学 生命科学研究科の内藤裕子 助教(当時)らの研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、2013年12月2日付けで「Journal of Biological Chemistry」電子版に掲載された。糖といえばグルコースを代表とする地球上の生命のエネルギー源であるが、生体は、糖を使ってポリマーを形成し、エネルギー源以外の機能も糖に付与している。最も代表的な例がグルコースのポリマーだ。そのポリマーにおける結合様式が変わると、栄養源となるデンプンと同様の組成で、セルロース繊維を構成するというわけだ。細胞の表面は糖鎖で覆われているが、その糖鎖の末端を占めるのがシアル酸だ。「カルボキシル基」を持つ酸性の単糖の1種。分子としては「ノイラミン酸骨格」を持つ。細胞はこのシアル酸を介してほかの細胞や分子との認識を行っており、このシアル酸を介した分子間の認識(結合)がさまざまな細胞の機能に重要な役割を果たすことが知られている。またシアル酸はその末端での局在から、インフルエンザウイルスといった病原体の標的となることも多い。免疫系のリンパ球もこのような分子間認識を介して制御されていることが考えられるが、リンパ球が活性化すると、複数あるシアル酸の分子種の内、主要な分子種が「N-グリコリル(N-グリコリルノイラミン酸)型」から「N-アセチル(N-アセチルノイラミン酸)型」へと変換されることが報告されていた(画像1)。シアル酸分子内に複数存在するヒドロキシル基(水酸基)が修飾され、C5位に着目すると、これらの分子種がわかる。つまり、T細胞は活性化されてもシアル酸は持ち続けるが、その種類を変化させるというわけだ。細胞表面の糖鎖は「第3の生命鎖」、「細胞の顔」などとも称され、異なる細胞は異なる糖鎖を発現することが広く知られているが、その一方で、これら糖鎖の違いがどのような認識分子により認識されるのかなど、その分子機構については未知な部分が多く、生命科学分野におけるフォロンティア領域であるとも考えられるという。そこで、今回、活性化したTリンパ球におけるシアル酸分子種の変化に注目し、その免疫応答における意義の解明が試みられたのである。まず研究チームは免疫応答において中心的な役割を果たすTリンパ球に着目し、マウス活性化Tリンパ球においてシアル酸分子種の変化を起こすメカニズムから調べることにした。その結果解明したのが、Tリンパ球はN-アセチル型からN-グリコリル型を作る酵素「CMAH」の遺伝子発現を抑制しているという事実だ。また、シアル酸分子種の変化はシアル酸結合タンパク質である「シグレックファミリーレクチン」からの認識を変化させることも判明。シグレックファミリーはシアル酸の修飾や、結合様式の違いを認識でき、細胞内でのシグナル伝達経路を制御することのできる分子群であると考えられる。その一方で、細胞と細胞の結合を媒介する細胞接着分子としても働く。そして活性化Tリンパ球はBリンパ球上の分子「CD22」からの認識を逃れると共に、同じく免疫細胞のマクロファージ上のレクチン「シアロアドヘジン」との結合性を上昇させていたのである。N-グリコリル型を作れないCMAH遺伝子欠損マウスを用いてTリンパ球の活性化を調べると、CMAH欠損マウスではTリンパ球の活性化が亢進していることが確認された。つまり、N-グリコリル型のシアル酸は活性化を抑制するが、Tリンパ球の活性化はN-グリコリル型のシアル酸の発現を抑制しており、シアル酸とTリンパ球活性化の関係を考えると、両者はポジティブフィードバックの関係にあったのである(画像2)。また、N-グリコリル型の抑制が起こっていない活性化前のTリンパ球では、活性型モデルBリンパ球とのCD22を介した結合が亢進しており、抗原非特異的なTリンパ球とBリンパ球の結合を起こすことがわかった。Bリンパ球が活性化する場であり、Tリンパ球が認識する抗原特異的にBリンパ球の活性化を助ける「胚中心」において、活性化リンパ球におけるシアル酸分子種の制御は、本来、応答する抗原を介して結合するべきリンパ球同士の認識を可能にしていることが明らかとなったのである(画像3)。よって、今回新たに作成されたN-グリコリル型を抑制できないCMAH遺伝子トランスジェニックマウスでは、マクロファージとの結合が抑制されることで、細胞障害性Tリンパ球の活性化が亢進することが示唆された。今回の研究結果から、マウス免疫系は抗原を介したリンパ球間の結合を可能とするため、発現するシアル酸分子種をうまく制御していることが考えられるとした。これらシアル酸を含む糖鎖は細胞の外側に存在するため、免疫系におけるシアル酸とシアル酸結合タンパク質との結合を人為的に制御することで、リンパ球が結合する細胞を制御できることが考えられ、これを介して、免疫応答を人為的に制御できる可能性が考えられるとした。ヒトではCMAH遺伝子が欠損しており、N-グリコリル型のシアル酸を生合成できないと共に、ヒトは上述のシアル酸分子種を介したリンパ球の活性化を制御できないとする。このCMAH遺伝子欠損はチンパンジーとの分岐後に起こったもので、ヒトに特徴的な性質だ。その事実から、今後は、CHAH遺伝子欠損マウスをよりヒトの状態を反映できるモデルマウスとしてとらえ、ヒトの免疫制御に結びつける研究を行っていく予定とした。
2014年02月04日東京大学分子細胞生物学研究所(IMCB)は1月23日、幹細胞マーカー「Lgr5」が、ほとんどのヒト大腸がんで多量に発現していること、そして大腸がんが腫瘍を作るために極めて重要な役割を果たしていることを見出したと発表した。成果は、IMCBの秋山徹教授、同・川崎善博講師らの研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、1月23日付けで英オンライン科学誌「Nature Communications」に掲載された。最近の再生医学や幹細胞研究の飛躍的な進歩によって、腸管では「腸管幹細胞」が自己複製すると同時に分化して腸管を形成する機構が解き明かされてきている。このような研究で重要な役割を果たしているのは、幹細胞に多く発現し、幹細胞を特定するための目印の「幹細胞マーカー」となるいくつかの分子だ。Lgr5も腸管幹細胞マーカーの1種で、さまざまな研究に利用されており、また、腸管幹細胞の機能に重要な役割を果たしていることが示されている。なお、Lgr5は「7回膜貫通型タンパク質」の1種で、細胞膜を7回貫通する特徴的な構造を持つタンパク質だ。細胞外の因子を受け取り、細胞内に伝える役割を持つ。一方でがん研究にも幹細胞という概念が導入され、腫瘍を形成しているがん細胞は一様でなく、一部の「がん幹細胞」と呼ばれる細胞のみが強い造腫瘍性を持つこと、さらに、がん幹細胞は、自己複製すると同時に、造腫瘍性の低下したがん細胞に異分化して増殖すると考えられるようになってきた。化学療法や放射線治療によって一時的にがんが退縮しても再発してくるのは、大部分の造腫瘍能の低下したがん細胞が死滅しても一部のがん幹細胞が生き残っている可能性が示唆される。従って、がん細胞における幹細胞性の重要性を明らかにすることは現在のがん研究の最も重要な課題の1つだ。そこで研究チームは今回、幹細胞マーカー「Lgr5」に注目。ほとんどのヒト大腸がんで多量に発現していること、そして大腸がんが腫瘍を作るために極めて重要な役割を果たしていることを見出したのである。例えば、特定の遺伝子の発現を抑えることができる「siRNA」(短いRNA配列)を用いて大腸がん細胞のLgr5の発現を抑制すると、胸腺を欠くため免疫機能が働かないマウス(ヌードマウス)で腫瘍を作る能力が顕著に低下することが明らかになった。一般に、腫瘍を作る能力が低下したがん細胞は、シャーレの中での増殖能が低下したり、細胞死を起こしたりすることがよく知られている。しかし、Lgr5の発現が低下した大腸がんの細胞はこのような性質を示さなかったという。従って、Lgr5の幹細胞性に関わる機能が造腫瘍性に重要である可能性があると示唆されたというわけだ。それでは、なぜLgr5は大腸がん細胞で多量に発現しているのかという点にも研究チームは迫り、大腸がん細胞では転写因子の1種「GATA6」が大量に発現しており、直接Lgr5の転写を活性化していることを見出した。なお転写因子とは、DNAの特定の塩基配列に結合して、遺伝子の発現を調節するタンパク質の総称のことをいう。またその後の解析によれば、大腸がんの細胞ではsiRNAの1種「miR-363」の発現が低下していることがわかり、大腸がんにおけるGATA6とLgr5の大量発現はmiR-363の発現の低下によるものと示唆されたという。miR-363はGATA6の発現を抑制する働きがあるが、発現が低下しているためにGATA6の発現が増加しているという仕組みだ(画像)。今回の成果は、細胞内におけるmiR-363、GATA6、Lgr5の3分子による情報伝達の仕組みががんの分子標的薬を創製する上で重要な標的となることを示唆しているという。今回の研究の成果により、今後、この仕組みを標的とした薬剤が開発され、大腸がんの治療に貢献することが期待されるとした。
2014年01月29日東京大学は1月22日、活性酸素によって誘導される細胞死や免疫応答を促進する細胞内の「シグナル伝達分子」であるタンパク質「ASK1」の分解を促進させる新たなユビキチン化酵素タンパク質「Roquin-2」を発見したと発表した。成果は、東大大学院 薬学系研究科 薬科学専攻細胞情報学教室の一條秀憲 教授、同・松沢厚特任准教授、同・丸山剛 特任研究員(当時)らの研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、日本時間1月22日付けで「Science Signaling」オンライン版に掲載された。活性酸素とは、「スーパーオキシド」、「ヒドロキシラジカル」、「過酸化水素」、「一重項酸素」など、酸素に由来する反応性の高い分子の総称のことをいう。ミトコンドリアでのエネルギー産生や細胞膜での酵素反応などによって生体内では常に生成されている。そして生体内で活性酸素が過剰に産生されてしまうと、生体を構成するタンパク質やDNA、細胞膜などが損傷を受ける可能性があり、活性酸素によって修復できないほど細胞が障害を受けると、細胞死が誘導される仕組みだ。このような活性酸素によって誘導される細胞死は、心筋梗塞や脳梗塞といった虚血性疾患や神経変性疾患、糖尿病、がんなどさまざまなヒトの疾患に関与することが知られていた。また過剰な免疫応答は、強いアレルギー反応や炎症を引き起こし、ぜんそくや皮膚炎、リウマチなどの自己免疫疾患につながってしまう。しかし、このような細胞死や免疫応答が、どのような仕組みによって調節されているかについては、不明な点が残されていたのである。研究チームはこれまで、ASK1が活性酸素誘導性の細胞死や免疫応答を促進すること、ASK1が活性化されるとそれに伴ってASK1が「ユビキチン化」され、分解されることも見出していた。ただし、ASK1のユビキチン化に関与する分子やユビキチン化の仕組みについてはまだ明らかになっていなかった。そこで、研究チームは今回の研究でも引き続きASK1に注目。そして、その分解を促進させる新たなタンパク質を同定し、細胞死や免疫応答を適切に調節する仕組みを見出したというわけだ。なお、ASK1などのシグナル伝達分子とは、細胞内外のさまざまな環境の変化を感知し、その情報を核や細胞内の小器官へと伝達する一連の分子群のことをいう。また、ユビキチンとは76個のアミノ酸からなる小さめのタンパク質で、ほかのタンパク質の修飾に用いられるという特徴を持つ。タンパク質の分解やDNA修復、小胞膜輸送、シグナル伝達など多様な生理機能に関わっている。特にユビキチンが共有結合によって鎖状に連なった「ポリユビキチン」は、タンパク質分解酵素複合体である「プロテアソーム」によって認識され、分解されるべきタンパク質の目印となることがわかっている。今回の研究では、具体的に、特定のタンパク質を消失させる「RNA干渉法」を用いた「スクリーニング」によって、ユビキチン化に関わる約1500の遺伝子の中から、このASK1のユビキチン化分解を促進するタンパク質の探索が行われた。RNA干渉法とは、標的とする遺伝子と塩基配列が同じ2本鎖RNAを細胞内に導入すると、標的とする遺伝子のmRNAが分解され、その遺伝子の発現が抑制できる技術のことをいう。またスクリーニングとは、目的とする遺伝子やタンパク質などを、多くの群の中からさまざまな手法を用いて選別・特定する作業のことである。スクリーニングの結果に発見されたのRoquin-2だ。解析の結果、Roquin-2は、実際にヒトの細胞において、活性酸素の刺激によって活性化したASK1をユビキチン化して分解を促進すること、また活性酸素によって誘導される細胞死を抑制することが確認されたのである。さらに、実験に広く用いられている原始的なモデル生物である「線虫」において、Roquin-2がASK1を分解することによって、細菌に対する免疫応答が調節されていることも見出された。これらの結果は、Roquin-2がASK1のユビキチン化分解を介して、活性酸素による細胞死や免疫応答を調節するタンパク質であること、またこのRoquin-2によるASK1の分解は、原始的生物である線虫からヒトまで進化的に保存された重要な仕組みであることを示しているという。以前に研究チームは、Roquin-2とは逆の働きをする、ASK1からユビキチンを外すタンパク質として「USP9X」を同定しており、USP9XがASK1の分解を抑制してその活性を持続させ、活性酸素誘導性の細胞死を促進することを見出していた。その結果も合わせると、生体内で起こるASK1を介した活性酸素誘導性の細胞死や免疫応答は、USP9Xや今回同定されたRoquin-2のバランスによって適切に調節されていることが示唆されたという。Roquin-2は、過剰な細胞死や免疫応答を原因とする虚血性疾患や神経変性疾患、炎症や自己免疫疾患など、さまざまなヒトの疾患に対する新たな治療標的となることが期待されるとしている。
2014年01月23日累計35万部突破の伊吹有喜の同名小説を、『八日目の蝉』(’11)で映画賞を総ナメにした永作博美を主演に映画化した『四十九日のレシピ』が、4月16日(水)にBD&DVDで発売決定。豪華な特製ブックレットや初回限定版にはレシピカードも収録することが判明した。同作は日本を代表する実力派女優・永作博美の『八日目の蝉』(‘11)以来となる主演最新作で、母が遺したレシピに導かれ、母の人生を旅するの娘の百合子(永作)や父の良平(石橋蓮司)の49日間を描いた感動のヒューマンドラマ。永作、石橋をはじめ、岡田将生、二階堂ふみという実力派俳優が集い、『百万円と苦虫女』(‘08)『ふがいない僕は空を見た』(‘12)など独自の視点で話題作を放ち続けるタナダユキ監督がメガホンを取った話題作だ。このほど解禁になった情報によれば、2枚組の特典DVDディスクに豪華映像特典を収録。「WOWOW放送ナビ番組「辛口篇」&「甘口篇」」、「監督×脚本家のコーヒータイム」、「まかないのレシピ「ごはん編」&「おやつ編」」、「メイキング」、「舞台挨拶集」などを予定するほか、封入特典として豪華な特製ブックレット、初回生産限定版には映画の世界観そのままのレシピカード(3枚組)を封入。映画の本編を補完するような特典の数々は見逃せない。また奇しくも同作は、先日惜しまれながらも食道がんで逝去された女優、故・淡路恵子さんの遺作に。良平の口うるさい姉・珠子役を、人間味たっぷりに演じ上げた淡路さん。日本映画界に貢献した偉大なる女優の最後の勇姿を、じっくりと見届けてはいかがだろう。<『四十九日のレシピ』DVD&Blu-rayリリース情報>DVD【本編DVD+特典DVD/2枚組】¥4,500(税抜)+税Blu-ray【本編Blu-ray+特典DVD】2枚組¥5,500(税込)+税発売日:4月16日(水)※レンタル版同時リリース販売元:ポニーキャニオン(C) 2013 映画『四十九日のレシピ』製作委員会(text:cinemacafe.net)■関連作品:四十九日のレシピ 2013年11月9日より新宿バルト9・有楽町スバル座ほか全国にて公開(C) 2013映画「四十九日のレシピ」製作委員会
2014年01月23日がん、と聞くと怖い病気だとは分かっていても、「私はまだまだ若いから大丈夫・・・」と人事のように思いがち。しかし現在は、生涯のうちにがんになる人は2人に1人という時代。まだまだと言って、のほほんと待ち構えているのではなく、若い時からこそ、がんについての知識をきちんと学び、向き合うことが大事なのです。実は最近中学からがんについての特別授業「生きるの教室」というものがあることをご存知でしたか?バイエル薬品株式会社が設立100年を迎えた2011年より取り組んでいるプログラムは、今後の日本の未来を担っていく中学生に対し、がんの知識や予防、早期発見、検診の重要性を伝えるために実施されているもの。これにより、将来の日本における検診率アップとがんによる死亡率を下げることを目標に掲げています。実際に、昭和56年から死因の第1位ががんであり、平成23年には年間1万7千人以上が、がんが原因で亡くなっているという現状の埼玉県に位置する入間市立金子中学校でも、12月に実施されたばかり。そこでは 東京大学医学部附属病院 の放射線科准教授/緩和ケア診療部長の中川恵一先生が講師として 、また、乳がん体験者の集いである、あけぼの会埼玉支部支部長の持田豊子さんが講師として登壇し、生活習慣の改善でがん予防が可能であること、検診による早期発見の大切さを伝えました。また、生徒達はただ授業を聞くだけではなく、グループワークにも積極的に参加。「がんで大切な人を失わないために自分は何ができるか」を話し合い、班ごとの発表で率直で活発な意見を発表しました。受ける前のアンケートでは約8割以上が「がんは予防できない病気」と考えていたり、約6割以上が「2人に1人はがんになる」という事実を知らなかったという生徒達。また、約7割以上が「がんについて家族と話したことがない」という経験を持ち、約7割以上が「家族ががん検診を定期的に受けているかどうか知らなかった」というほど、がんに対しての知識だけでなく、家族のがんに対しての意識も薄かったということが浮き彫りとなってしました。しかし講師達によるセッションや自分達で行うグループワーク、そして事後アンケートなどで、彼らたちのがんへの意識と理解をより深いものへ、そしてがんへの予防を考えるだけではなく実行させるものへと明らかに変化していったことが見受けられたようです。このように、現代は中学生からがんについての知識を深めていく時代。皆さんもがんになってからはではなく、そうなる前にきちんと知識を養い、予防を始めていきませんか?
2013年12月26日がんの高度先駆的医療技術開発するため、共同研究を進めてきた国立がん研究センターと島津製作所は、創薬研究手法の開発などから、3つの成果を得られたと発表した。1つ目は、腫瘍組織中の薬物分布濃度を可視化する分子イメージング技術の確立により、ヒトの腫瘍組織中の薬物分布濃度と効果との関連の評価を開始したこと。国立がん研究センター研究所 臨床薬理部門 部門長 濱田哲暢氏らによるもので、医薬品の早期相の臨床試験(第I相臨床試験)の促進を目指すという。これまで見ることが難しかった組織の間質、血管部位、腫瘍部位への移行などを捉えることができるこの創薬研究手法は、ヒトの腫瘍組織中の薬物分布濃度を可視化する分子イメージングを行うことで、投与量の設定、作用の評価、臨床試験の短縮を可能にするという。なお、この研究は厚生労働省革新的医薬品・医療機器・実用化促進事業「全ゲノム配列解読・分子イメージング技術を組み合わせた革新的創薬研究手法の開発と個別化医療の実現」および国立がん研究センターがん研究開発費「抗悪性腫瘍薬の新規臨床薬理研究手法の開発に関する研究」により行われた。2つ目は、DDS抗がん剤(パクリタキセル内包ナノ粒子:NK105)の薬剤分布を高精細画像化し、DDS抗がん剤が通常の抗がん剤よりもがん組織に多く長く集まり、かつ、正常組織にはほとんど移行しないことを明らかにしたこと。国立がん研究センター東病院臨床開発センター 新薬開発分野 部門長 松村保広氏らによる成果。具体的には、質量顕微鏡を利用し、NK105を投与したマウスのがん組織と正常組織を画像で評価した結果、NK105ががんの塊の奥深くまで長時間集まっていること、および正常な組織にはほとんど移行していないことが確認できたという。DDS抗がん剤の創薬コンセプトがマウスにおいて証明されたことで、現在進行中の第III相臨床試験の結果が期待されるほか、前臨床の段階で詳細な薬剤分布を確認できたことで、次世代のDDS抗がん剤開発においても大きな一歩となるという。なお、この研究は国立がん研究センターがん研究開発費(特別)「がんナノテクノロジー研究プラン」により行われた。3つ目は、がん治療において適用範囲や品目が拡大する抗体医薬品の投薬量の決定や副作用の予測、医薬品の品質管理などを目的とし、多品目にわたる抗体医薬品に対応可能な血中濃度モニタリング技術(質量分析を用いた血液濃度測定技術を開発したこと。この研究は、島津製作所 ライフサイエンス研究所 産学連携研究室 グループ長 嶋田崇史氏らによるもの。ナノ粒子表面に結合したタンパク質分解酵素を用いて支持体上の抗体を分解することにより、抗体ごとに異なる相補性決定領域(CDR)ペプチドの分析が可能となったという。そして血液中に添加した抗体医薬品を用い、CDRペプチドを確認よび定量した。nSMOL法(nano-surface and molecular-orientation limited proteolysis)を応用し、日本発の抗体医薬品の血中濃度モニタリングシステム開発を目指すという。
2013年12月24日住友生命保険は17日、「スミセイ・セカンドオピニオン・サービス」のサービス利用対象を25日より拡大すると発表した。スミセイ・セカンドオピニオン・サービスは、がん保障特約『がんPLUS』発売(3月25日)にあわせ、商品魅力の更なる向上の観点から『がんPLUS』を付加する主力商品「Wステージ」および「ライブワン」加入の顧客を対象として導入。スミセイ・セカンドオピニオン・サービスの利用対象となる「Wステージ」および「ライブワン」の今年度上半期(4~9月)販売実績は21.3万件と前年同期比12.3%増加するなど、同サービスを付帯することによる付加価値向上の効果が現れているという。こうしたことを踏まえ25日より、利用対象商品を顧客からの要望が強かった医療保障商品「ドクターGO(KING・OK)」および「Qパック」へ拡大するという。既に加入の顧客にも遡って適用するという。約5万件のサービス利用対象契約の顧客に対し、ダイレクトメールにて案内するとともに、担当営業職員による案内を積極的に行っていくとしている。同社は、同サービスの利用対象拡大により、より多くの加入者(被保険者)が最適な医療を選択できるようサポートし、一層の安心を提供することを通じて、顧客の「未来を強くする」ブランドビジョンの実現に取り組んでいくとしている。
2013年12月18日