災害発生時の情報伝達手段として優れているラジオ。さまざまな放送局の中でも、特に災害時に実力を発揮すると言われているのが、地域密着型の「コミュニティ放送局」です。某ラジオ放送局に勤務する技術部長のAさんに、コミュニティ放送局についてお話を伺いました。■コミュニティ放送局について――コミュニティ放送局について教えてください。「放送エリアが市町村単位の地域に限定される放送局です。2011年4月現在、全国のコミュニティ放送局は246局あります。局によって、行政の第三セクターとして運営されているところもあれば、民間のスポンサーで成り立っているところもあります」(Aさん、以下同)――どうやって聞くことができますか?「お住まいの地域にコミュニティ放送局があれば、周波数を合わせて聞くことができます。2008年からは『サイマルラジオ』というインターネットでも聴けるコミュニティ放送局が増えました。現在、加盟している50局以上の放送局は、世界中のどこにいても聞くことができます」■使命とも言える防災・災害情報――災害時、どのように役立ちますか?「NHKや県域放送も全国各地の災害情報を発表しますが、各市町村レベルまで詳しく発表できないこともあります。また発表されても、自分の地域の情報が出てくるまで待っていなければなりません。その点、コミュニティ放送は、ダイレクトに地域の情報を迅速に、より細かく伝えることができます」――どのような災害時に情報を発信していますか?「コミュニティ放送局は、緊急地震速報を発表することはできません。しかし、市町村防災行政無線を一早く伝えることができます。今回の東日本大震災の被災地域であれば、地震や津波に関する情報となります。このほか、台風、冠水、土砂崩れなどの水害情報を発信している放送局もあります」■被災地のコミュニティ放送局について――今回の災害で被災地のコミュニティ放送局はどんな状況だったのでしょうか?「震災後、石巻市のコミュニティ放送局に行き、震災時のお話を聞きました。倒壊しなかった局では、震災直後も局の予備電源を使用しながら放送が続けられたそうです。市民の皆さんにとっても災害時の放送局という認識があり、安否情報を伝えるメールがたくさん集まったそうです。テレビでは震災が起きた数日後から安否情報の呼び掛けを行っていましたが、コミュニティ放送局ではすでに震災の当日から行っていました」――このほか、震災時にどのような取り組みを行ったのでしょうか?「市民の皆さんがメールを使えなくなったため、本人や呼びかけたい人の住所・氏名、メッセージなどを書き込める安否情報カードというものを配り、それを放送局に送ってもらいました。多くのカードが集まり、次々と読み上げることができたそうです。コミュニティ放送局は頼りになると思います」――ありがとうございました。コミュニティ放送局には、地域密着の心強さと愛が詰まっているように感じました。あなたの住む町にもコミュニティ放送局はあるかもしれません。災害時に慌てないように、ラジオ局の周波数をチェックしておいても損はないはずです。(フルタジュン/劇団フルタ丸+プレスラボ)【関連リンク】【コラム】うさぎ、ハムスター……。災害時に小動物と避難する方法【コラム】災害などで取り残されたらどうする?サバイバルの方法【コラム】女性は注意 地震後の犯罪対策
2011年08月02日