●WWDCはどんなイベントなのかAppleは2015年6月8日からの日程で、恒例となっている世界開発者会議(WWDC)をサンフランシスコで開催するとアナウンスした。今回は、このイベントで何に注目すべきかについて述べてみたい。○WWDCとは?WWDC15の参加費は1人1599ドル。もともと高額なチケットな上、昨今の円安もあって、日本円にして約20万円のチケットとなっているが、最新の情報を得ることができ、Appleの技術者のワークショップやハンズオンを受けられるため、アプリ開発者にとっては問題解決の近道であり、新たなアイディアをいち早く作り上げる場として重要視されている。WWDCは開発者向けのイベントだが、初日に行われる基調講演では最新のソフトウェアや技術的な解説に加えて、最新のハードウェアやサービスが披露される場としても活用される。そのため、開発者のみならず、一般のユーザーも、基調講演に注目している。2015年はソフトウェアとして、OS X Yosemite、iOS 8が、これらがデバイス間、あるいはクラウドを介して「連係」する機能、また新しいアプリ開発環境であるSwiftが披露された。WWDC15も、基本的には、OS Xの新バージョン、iOSの新バージョン、そしてSwiftのバージョンアップ、iCloudもしくはiTunesサービスの機能追加や刷新が軸になるとみている。WWDC15でも、将来リリースされるデバイスを見据えたOSの新機能の披露に期待することができるのではないだろうか。ただし、WWDCで披露されたソフトウェアをすぐに利用できるようになるわけではない。iOS 8は新型iPhoneがリリースされる9月中旬のタイミングからアップデート可能になった。またOS X Yosemiteの新しい写真管理アプリ「写真」(Photos)は、4月9日に公開されたOS X Yosemiteの最新バージョンとなる10.10.3でやっと利用できるようになっている。ちなみに、Mac向けのOSが「OS X」と名乗り始めてから、愛称には、ネコ科の動物に代わって、カリフォルニアの地名がつけられている。はじめはサーフィンの名所であるMavericks、現行のバージョンは美しく鋭い自然が豊かなYosemiteだ。いずれも写真がOS Xの標準の壁紙として利用されている。次の絵になる場所はどこになるだろうか。Appleは既に、いくつかの国立公園、名所の地名を登録している。Sonoma、Sequoia、Mojave、Venturaがそれに当たる。その他だとNapa、Alcatraz、Golden Gate、Hollywood、Cupertino、Tahoeといった地名も考えられる。SonomaやNapaが選ばれた場合、懐かしのWindowsの壁紙のような丘陵に広がる緑のワイン畑の風景が描かれることになるのだろうか。●「Kit」でiOSとその他デバイスをつなぐ開発環境が整う○「Kit」に注目前述の通り、WWDC15では、Mac向け、iPhone/iPad向けのOSと開発環境が軸となって、そのソフトウェア・プラットホーム的進化の方向性と具現化が見られるはずだ。そしてAppleのソフトウェア的進化の新たな側面として注目すべきは「Kit」類だ。Appleのソフトウェア開発環境には、多数の「Kit」と呼ばれるフレームワークが用意されている。iOSアプリ開発の中で利用するものも多数あるが、昨今は特定の目的のためのアプリ開発に活用したり、外部のデバイスとの連係を取るために用意されるものも増えてきた。例えばApple Watch向けには、WatchKitが用意されており、これを使ってiPhoneアプリにApple Watch向けのアプリやApple Watch向けの機能を内包することができる仕組みだ。その他にも、スマートホーム関連の連係を行うHomeKit、健康やエクササイズに関する情報を安全に蓄積するためのHealthKit、医療研究のためのアプリを開発することができるResearchKitなどによって、iPhoneやiPadと外部機器を連係させたり、Appleのデバイスをより高いセキュリティの情報を扱うために活用することが可能になる。WWDC15では、新しいKitが追加されるかもしれない。すでにAppleが取り組んでいる分野に対して開発者向けの環境を用意し、自律的に活用の幅を拡げていくことも考えられる。Appleは自動車の車載機でiPhoneを利用するためのCarPlayを有しているが、「CarKit」のようなものをより多くの開発者向けに用意し、ハンズフリーを前提としたインターフェイスに縛って、iPhoneアプリに車載機向けの機能を追加できるようにするかもしれない。同じように、Apple TV向けの開発環境「TVKit」のようなものが用意されれば、Apple TV向けのアプリも追加できるようになる。App Storeを新たに用意する必要はなく、Apple Watchのように、iPhoneやiPadのアプリにこれらのデバイス用の機能を含む、という方法を採れば良いのだ。●アプリによって変わる未来の生活○アプリによって生活が変わるアプリとこれらを開発するデベロッパーは、iPhoneやiPadの価値を高める大きな要素としてすでに評価されている。開発者たちにとって、iPhone・iPadの周辺にあるデバイスや環境でも自社のアプリが利用できるのは、ユーザー拡大とマネタイズの機会を拡げるメリットがある。Appleにとっては、身の回りのデバイスがiPhoneやiPadとの連携を強め、開発者の創造性が生かせる環境を作ることで、ユーザーのAppleデバイスへの依存性を高めることにつながり、Appleは「機種変更の際によりiPhoneを選んでもらいやすくなる」という効果がある。iPhoneで成功したモデルをより強固にし、新たな価値を作り出す、デバイス、OS、アプリとその開発者という三位一体のプラットホームへと、足場を固めることになるだろう。もう少しユーザーの目線で考えると、依存性を気にしなければ、身の回りのものに新たな機能が増えていく、そんな環境が広がっていくことになる。アプリによって生活が変わる、ということをより強く実感する未来が待っている。○個人的に期待すること最後に、個人的に、WWDC15で期待しているのは、iTunesの音楽アプリケーション、インターネットラジオサービスの刷新、Apple TVの進化だ。Appleは常々、音楽を大切にしていると表明しているが、ここ最近大きな動きは映像ストリーミングに移っている。音楽好きな筆者としては、新たな音楽との出会いを演出し、より生活の中で自然に楽しめる新しいアプリやサービスの登場に期待している。あるいは、iPhotoが「Photos」になったように、iTunesが「Music」や「DJ」に変わるような、大きな変化があっても面白い。そのときにどんな姿になっているのか、また別の機会に考えてみよう。松村太郎(まつむらたろう)1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura
2015年04月16日米Appleは14日(米国時間)、医療や健康に関する研究用に設計されたソフトウェアフレームワーク「ResearchKit」を医学研究者などに提供開始した。「ResearchKit」は、iPhoneユーザーが医師などの開発や研究を手助けすることができるソフトウェアフレームワーク。「ResearchKit」を利用して開発されたアプリに参加することで、ユーザーのアクティビティレベル、運動機能障害などの記録がデータとして蓄積される。すでに、ぜんそく、乳がん、心臓血管疾患、糖尿病、パーキンソン病を研究するアプリが米国のApp Storeにて公開されており、公開後の数週間で60,000人以上のiPhoneユーザーが参加しているという。医学研究者は、「ResearchKit」を利用することで、健康とウェルネスについて研究できるようになり、開発者はオープンソースコードに基づいた新しいモジュールを作成できる。カスタマイズ可能な最初のモジュールとして、視覚的な電子同意書のテンプレート「参加者の同意」、研究への参加者が質問に回答する「調査」、運動活動、健康活動、認知、声を計測する「アクティブなタスク」が用意されている。「ResearchKit」を利用した研究アプリは、今後多くの国で提供される予定。対応端末は、iPhone 5/5s/6/6 Plus、iPod touchとなっている。
2015年04月15日米Appleは4月13日(現地時間)、プロフェッショナル向けビデオ編集ソフトウエア「Final Cut Pro」「Motion」「Compressor」をアップデートした。「Final Cut Pro 10.2」では、ビデオエディタで簡単に3Dタイトルを作成・カスタマイズできる。テンプレートからドラッグ&ドロップするか、またはバックグラウンドやアニメーションも備えたシネマティックテンプレートを選び、テンプレートをベースに豊富な素材、ライティング、エッジを組み合わせてカスタマイズする。新しく3Dタイトルを作成するだけではなく、2Dタイトルから3Dタイトルを作ることも可能だ。ディスプレイを効率的に使えるプリセットレイアウトと共に、最大4つのビデオスコープを同時に表示可能。カラーボードが色補正エフェクトに統合され、より素早く操作できるようになった。パナソニックのAVC-UltraやソニーのXAVC-Sなど、対応するビデオ形式が拡大。GPUアクセラレーションを用いたRED RAW処理で、再生、レンダリング、トランスコーディングが高速になった。Mac App Storeでの価格は34,800円。「Motion 5.2」(モーション・グラフィックス、デジタル合成、タイトル)も、3Dタイトルを作成する豊富なオプションを備える。複数のライトとカメラ、マルチレイヤーシーンを用いて、複雑でリアリスティックな影と反射を加えたダイナミックなタイトルを作成できる。サードパーティパートナーが提供する豊富なテンプレートも揃っている。 12種類の新しいジェネレータを搭載。キーフレーミングと、矩形や円のマスクとシェイプの作成が改良された。価格は6,000円。「Compressor 4.2」(エンコーディング・ツール)では、ムービー、トレーラー、クローズドキャプション、字幕などを選択して追加するだけで、簡単にiTunes Storeに送信するためのiTunes Storeパッケージを作成できる。同パッケージはiTunes Storeで販売するための申請に用いられる。クローズドキャプションや字幕をビューアで直接プレビュー可能。ハードウェア・アクセラレーションを利用したマルチパスH.264エンコーディングをサポート、Compressorへの送信時にGPUレンダリングを用いるなど、エンコーディングタスクをより快適に実行できるようになった。価格は6,000円。
2015年04月14日アップルは4月10日、Apple Watchの予約販売を開始した。Apple Watchは、Appleがウェアラブルデバイス用に開発したOS「Watch OS」を搭載したスマートウオッチ。iOS 8.2以上を搭載したiPhone 5以降のiPhoneと連携する。カジュアルな「Apple Watch SPORT」、もっとも広い種類を揃える「Apple Watch」、18Kゴールドのケースを採用する「Apple Watch EDITION」の3種類を用意する。予約はWebサイト「Apple Online Store」、全国の「Apple Store」8店舗、伊勢丹新宿本店にオープンするApple Watch専門店「Apple Watch at Isetan Shinjuku」にて受け付ける。「Apple Online Store」では、18時時点で多くのモデルが6月の出荷となっている(18時現在、編集部調べ)。○「Apple Store, Omotesando」の様子東京・表参道にあるアップル直営店「Apple Store, Omotesando」では、10日午前9時にApple Watchの展示・試着を開始。開店前には約50人ほどのアップルファンが集まった。午前9時の開店後には、スタッフによる拍手とともに10名前後ずつに分けられ入店。店頭のスタッフが端末で予約を入れると、ユーザーにSMSで通知され。このSMSを試着スタッフに見せると、試着ブースに案内される。店内にはディスプレイ専用のスペース、試着スペースの2種類のテーブルが用意されるほか、表参道店の場合は、同時に15~20名くらいが体験できる試着スペースが、地下にも用意されていた。○ソフトバンク表参道店の様子同じく東京・表参道にあるソフトバンクの旗艦店、ソフトバンク表参道店でもApple Watchの展示が始まった。Apple Watch EDITIONの取り扱いがない以外は、基本的にApple Storeと同様の展示・試着が行える。逆に本日予約を入れても、実際に商品を受けとるには発売日以降に店頭に受け取りに来る必要があるという。受取日は入荷状況により変更される。○Apple Watch at Isetan Shinjukuの様子一方、東京・伊勢丹新宿店では、Apple Watchの予約開始に合わせ、店内1階・新宿通側入口付近にApple Watch専門店「Apple Watch at Isetan Shinjuku」がオープン。「Apple Store, Omotesando」と同じく、全20種類のApple Watchをフルラインナップで揃え、試着・予約がその場で行える。ディスプレイ専用のスペース、試着スペースの2つのテーブルを用意する展示方法も同じだ。10日の「Apple Watch at Isetan Shinjuku」では、朝9時から試着・予約希望者を抽選で選出。オープン前の8時50分の時点で目算で約50人ほどの列が並んでいた。新宿伊勢丹店では、少なくともApple Watchを発売する24日までは、基本的に抽選で試着の予約を行なう。当選券は1日あたり110枚で、11日以降は朝8時30分から配布。店内で試着予約をするのと合わせて、購入の予約も行える。製品が渡されるのは、発売日となる24日だが、入荷状況により変更される見込みだ。
2015年04月10日Apple Watchの販売がアナウンスされている伊勢丹新宿店に10日、「Apple Watch at Isetan Shinjuku」がオープンした。同日よりApple Watchの試着および予約が可能となっている。伊勢丹新宿店の開店にさきがけ内覧が実施され、多くの報道陣が集まった。昨年9月に行われたApple Watchの発表会から使用されているものと恐らく同じ陳列台に、Apple Watch全モデルが展示されており、それとは別に試着スペースに体験用の製品が設置されている。この体験用の製品は固定されており、脇にはデモ用の映像が流れるディスプレイが埋め込まれている。Apple Watch at Isetan Shinjukuでは、本日10日よりApple Watch全モデルの試着および予約が可能となっている。試着に際しては、午前9時より希望者向けに抽選が行われた。午前8時くらいから試着の希望者の列が出来始めたが、アイカード、MI CARD、三越 M CARD会員と、非所持者とにグループが分けられ、午前9時半には一旦、抽選券の配布が締め切られた。この抽選は23日まで実施され、以降は様子を見てから行われるようだ(明日11日も午前9時半に抽選券配布を締め切る)。また、アイカード、MI CARD、三越 M CARDの会員は本日よりWebサイトから試着の抽選に応募できるようになる。ショップ内には専門スタッフが常駐し、同時に6人までの試着に応対する。一人につき30分が目安で、一日最大110人までの試着が可能となる模様。なお、前述の抽選は一人につき、一応募となっており、例えばカップルで申し込んでも同時に試着はできない可能性がある。購入に際しては、基本的に試着後に予約という流れになっているが、24日以降は購入希望のタイプが在庫としてあれば、支払い後、すぐに持ち帰ることができる。予約者の商品の受け渡しと支払いも24日以降となっている。なお、アイカード、MI CARD、三越 M CARD会員の優待は適用外となっているが、年間の購入総額にはカウントされるとのことである。
2015年04月10日Appleは、公式WebサイトでApple Watchの使い方の動画集を公開した。現在公開されているのは、「メッセージ」「文字盤」「Digital Touch」の3つ。その他の動画は近日公開となっている。今後、「電話」「Siri」「マップ」「ミュージック」「アクティビティ」「ワークアウト」などの動画を公開していく予定。Apple Watchの予約開始日は4月10日。Webサイト「Apple Online Store」、全国の「Apple Store」8店舗と新宿伊勢丹にオープンするApple Watch専門店「Apple Watch at Isetan Shinjuku」で予約を受け付ける。同日の予約開始時間は、Webストア「Apple Online Store」は16時1分から、「Apple Store」の開店時間は通常より1時間早い午前9時から、新宿伊勢丹の「Apple Watch at Isetan Shinjuku」は伊勢丹開店時間の10時30分からとなっている。
2015年04月06日米Appleは、同社のデベロッパー向けWebページにて、Apple Watch向けアプリのApp Store登録の受付を開始したことをアナウンスした。開発者はXcode 6に含まれるiOS 8.2 SDKとWatchKitを利用することになっているが、同Webページでは、Apple Watch向けアプリを登録する際に必要なアイコンの解像度や、スクリーンショットの体裁、アプリ名やその説明文の内容など詳細が記されている。Apple Watch本体は4月24日より販売が開始されるが、それに先立って、日本では4月10日よりApple Store、Apple Online Storeおよび伊勢丹新宿店で予約が開始される。Apple Store実店舗と伊勢丹新宿店では10日より試着が可能となる模様だ。Apple Watch向けアプリは「Nike+ Running」や「Instagram」、「Twitter」などが提供されることが明らかになっている。また、iPhoneアプリについても「LINE」や「Evernote」、「Yahoo!乗換案内」などが、Apple Watchに対応した最新版の提供を開始している。
2015年04月01日●Appleの日本での研究開発拠点日本では、東京・六本木ヒルズにオフィスを構えるApple。同社が横浜に、大規模な研究開発拠点を設立するというニュースが流れてきた。日本に研究開発拠点を構えるという話は、安倍晋三首相が2014年12月に行ったさいたま市内の街頭演説で初めて触れた。首相は「アベノミクスの成果」であるとして政治色を強くこの情報を出したが、その後の情報は明らかにされてこなかった。その後、Appleから3月25日に正式な発表が行われ、横浜市港北区に「テクニカル・デベロップメント・センター」の開設と、2016年度中に完成させることが明らかになった。○綱島のパナソニック跡地を取得Appleがテクニカル・デベロップメント・センターを開設する場所は、もともと、パナソニック綱島事業所があった場所だ。1960年に同社が進出し、携帯電話端末・基地局などの通信関連の工場として稼働し、その後、グループの事業所として存続してきたが、2011年に閉鎖されている。横浜市は、この跡地に「Tsunashima サスティナブル・スマートタウン」と名付けての再開発を行う予定で、東横線「綱島駅」と、東横線が日吉駅で分かれて相鉄線に乗り入れる新設路線の「新綱島駅」が最寄りとなる。この再開発地区でAppleが利用するのは、総面積の約3分の1となる1万2500平方メートル。公開されているイメージ画像では、ガラス張りで波を打つ巨大な4階建ての建物が描かれている。敷地内に1200本以上の樹木を植え、エネルギー利用を40%抑えるグリーンさもアピールするとのことだ。ちなみに、安倍首相が発言した際には横浜市でも中心部により近い「みなとみらい地区」に進出するとの発言があったが、今回の進出先は異なる。当面、再開発地ができあがるまでは、みなとみらいで活動するとも伝わってきており、テクニカル・デベロップメント・センターができあがるまで、みなとみらいに仮のセンターを開設するのか、みなとみらいと綱島は別々に稼動を続けるのかは、まだよくわからない。●世界で研究開発拠点の設置の動き○日本の役割とは?Appleは現在、世界中に研究開発拠点を設置する活動を進めている。横浜以外にも、イスラエル、イギリス・ケンブリッジ、上海でも研究開発拠点の開設に触れている。その中でも、横浜は大規模なものになることが予測される。Appleのようなグローバル企業は、世界各国で売上をあげている。全体としては米国本社に計上されるが、国をまたいで資金をやりとりせず、その国の中で資金を活用することは税金対策にもなり、またオペレーションコストの削減にもつながる。例えば今回の研究開発拠点への活用も、その一例と言える。同時に、各国の優秀な技術者の現地活用もまた、新製品開発にとって有用になる。それでは、日本にはどんな期待が寄せられているのだろうか。イスラエル、イギリス、上海、横浜。これらの国や都市を見ると、それぞれの拠点に課せられた役割が何となく浮かび上がってくる。例えば、イスラエルはソフトウェアやアルゴリズムなど、イギリスはデザインや都市や社会科学、医学、上海は生産拠点とも近いことから、生産工学、といったところだろうか。こうした中で、日本の拠点の役割はどのように位置づけられているのだろうか。Appleのテクニカル・デベロップメント・センター設立にあたり、リクルートの転職情報「リクナビNEXT」には以下の職種が掲載された。IC 評価エンジニアMixed-Signal IC テストエンジニアIC検証エンジニアMixed-Signal IC プロダクトエンジニアアナログ IC デザイナーシニアCADエンジニア(フロントエンド)現在募集されているのはいずれも、ICチップにまつわるものだ。もちろん、Appleの拠点で扱われる技術開発の一部に過ぎず、またICのデザインはどちらかというと、「やりたいことを回路の設計に落とし込む」部分ともいえる。ちなみに、Mixed-Signal IC(混合IC)というのは、アナログ信号・デジタル信号の両方を扱うICチップのことだ。例えばアンテナやセンサーなどから電気的な入力をデータに変換したり、それを処理する役割を持たせることもできる。現在のスマートフォンやウェアラブルデバイスでは、端末自体がどんな入出力を持つかによって、「ハードウェアの進化」を左右する。その一方で、端末そのものを現在のサイズ、あるいはより薄いサイズに収める必要性もある。日本の産業や世界のAppleの拠点との関係、募集要項などを含めて推測すると、Appleの研究開発における横浜の拠点の役割は、5Gなどの次世代通信、4K、8Kを見据えた映像処理と伝送、カメラ・イメージセンサー技術、ディスプレイ技術、複合センサー技術、あたりになるのではないだろうか。また、日本の強みを考えると、メモリの集積技術、バッテリー、交通情報網整備や自動運転技術、金属や炭素繊維といった素材、これらの加工技術などにも期待することができる。●Apple製品に日本が関わる?○日本での研究開発日本では1999年からインターネット接続が可能な携帯電話が普及してきた。2000年代には、世界各国のモバイル技術に関わる企業が東京に研究開発拠点を置いてきた。iPhone登場時までは特異なほどにモバイルが進化し普及した国として位置づけられていたからだ。もちろん技術的な背景も大きい。良質な通信インフラやビジネスモデル、パソコンから利用するインターネットよりも急速な発展など、モバイルが伸びる土壌も整っていた。加えて、持つ人々が素早く生活に取り入れたことも、重要な要素だ。高速無線通信技術を搭載した端末を多くの人が持つことによって、どんな変化が起きるか。生活はどのように変わるか。ビジネスの変化については保守的な面もあり、あまり参考にならなかったかもしれないが、それ以外の分野の研究者たちは、目を輝かせて日本を観察していた。筆者もこうした研究に大学・大学院時代に関わることがあった。統計的に見たり、経年変化を見たりすることも重要だが、それ以上に面白かったのが、特異な現象を見つけて仮説を立て、より深く理解をするというものだった。例えば秒単位でケータイメールやワン切りを交わす高校生の日常や、おサイフケータイと財布の使い分け、ケータイカメラの研究など、次世代のサービスや未来、日本以外の国で起きうる事象を予測する上で、こうした研究は重視されていたのだ。AppleはiPodにしてもiPhoneにしても、日本からの学びを多く生かしているように感じている。10年後のApple製品の礎を、現在の日本の我々の生活から見つけることができるかもしれない。松村太郎(まつむらたろう)1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura
2015年03月30日米Appleは、25日の横浜市長の発表を受けて、横浜市港北区にあるパナソニックの工場跡地にテクニカル・デベロップメント・センターを建設すると発表した。Appleは、昨年の12月に日本国内に研究開発拠点を設置することを発表したが、具体的な場所や開設時期は公表されていなかった。今年の3月中旬にリクルートの求人情報サイト「リクナビNEXT」で同研究開発拠点の人材募集が行われていることが分かり、「IC 評価エンジニア」「Mixed-Signal IC テストエンジニア」「IC検証エンジニア」「Mixed-Signal IC プロダクトエンジニア」「アナログ IC デザイナー」「シニアCADエンジニア(フロントエンド)」という6つの職種に申し込めるようになっていた。25日に記者会見を行った横浜市の林文子市長は、同市港北区のパナソニック工場跡地に、Appleがテクニカル・デベロップメント・センターを建設する計画を明らかにした。Appleは、約37,900平方メートルの跡地のうち、約12,500平方メートルを取得。施設の延べ床面積は約25,000平方メートルとなるとのことで、2016年度中の完成を見込みんでいる。本件に関し、Appleは以下のようにコメントしている。綱島(横浜市)に本格的なテクニカル・デベロップメント・センターの建設を始めることとなり、これにより日本におけるさらなる業務拡大ができますことを大変喜ばしく思います。このランドマークとなる建物は、従来に比べエネルギー使用量を40パーセント削減し、敷地内に1200本以上の樹木を新たに植えたり、屋上の緑化や水の再利用を行なうなど、環境に配慮した特長を備えています。こうした環境にやさしい施設にすることを、横浜市と共に進めてまいります。私たちは日本における弊社のこれまでの歴史を誇りに思いますと共に、30年以上支え続けてくださる多くのお客様に感謝申し上げます。あわせて、同施設の完成予想図も公表した。
2015年03月25日先日のApple TVの値下げとHBO Now発表に続き、Apple自身がTV放送のサブスクリプション配信サービスに参入するという話題が出ているが、同社はさらに踏み込み、いよいよ噂の「"真"のApple TV」リリースに向けた動きを見せつつある。従来のApple TVハードウェアそのものの機能を大幅強化し、単体でSiriによる音声制御やHomeKit連携による家電制御など、より"モダン"なハードウェアやOSの機能を踏襲していくようだ。同件はBuzzFeedでJohn Paczkowski氏が関係者の話として報じている。先日の発表会ではApple TVの価格の99ドルから69ドルへの値下げが発表され、より値頃感が高くなっている。だが実際にApple TVのハードウェアの中身を鑑みれば、若干の構成変更によるアップデートこそあったものの中身自体はここ3年間変化しておらず、さらに「内蔵ストレージの最小限化によるストリーミング動作専用」という現在のコンセプトにつながるモデルが発売されてから実に5年近くメジャーアップデートが行われていない。当初はTV接続可能なストレージ内蔵メディアプレイヤーの性格が強かったApple TVだが、現在では搭載プロセッサも最低限のネットワーク通信とメディアプレイバックが可能な廉価バージョンが採用され、とにかくコストを押さえ込む方向で提供が行われている。これを"よりモダンなOS"と"より強力なハードウェア"で模様替えし、いま再び「Appleが考えるリビングルーム向けのメディアボックス(STB)」として機能するよう改修が進んでいるというのが、前述Paczkowski氏の伝える関係者の話だ。同氏の記事でも伝えているように、現在Apple TVには今年後半にもスタートするといわれるTV配信サービスに加え、Apple TV向けのApp Storeとアプリ実行環境の提供に向けたさまざまな準備が進んでいるといわれる。前出のように、現状のApple TVにはこうしたリッチなアプリ実行環境を望むべくもないため、何らかの形でハードウェアの改修を行うことが必須となる。少なくとも最新のiPadクラスの性能が必要になるとみられるため、本体価格も従来の69~99ドルではなく、一気に400~500ドル前後の水準まで上がる可能性が高くなると考えられるが、こうした値上げ等を経てもなお購入に踏み切るだけの価値を見出せる工夫をAppleには期待したい。なお新ハードウェアの登場時期だが、可能性としてはTV配信サービスのスタートするといわれる今秋が最も高いと考えられる。いままでであれば「発表即発売」でも問題なかったが、今回はアプリ対応も含めサードパーティの協力が必須になるとみられ、実際の発売とサービス開始まで期間を置く可能性が高いと筆者は予想する。そのため、6月開催とみられるWWDCで製品と基本コンセプトを発表し、実際の提供は9~10月となることも考えられるだろう。いずれにせよ多数の関係者が存在することもあり、WWDC前後には何らかのリーク情報が出てくる可能性が高いと考える。
2015年03月24日日本IBMは23日、7種類の「IBM MobileFirst for iOS」アプリの日本語化を完了したと発表した。AppleとIBMのパートナーシップにより開発されたiOS向けアプリとなる。法人向けのサービスとなり、個人には提供されない。AppleとIBMは2014年7月に企業向けモバイル分野における業務提携を行ったと発表。この業務提携に基づき、昨年12月に銀行、小売、保険、金融、通信、運輸、政府機関などをターゲットにした10個のiOSアプリからなる「IBM MobileFirst for iOS」をリリースしていた。日本IBMではこうした流れを受けて、日本国内向けに法人を対象とした7つのアプリの提供を開始した。銀行・金融マーケット向け「Advise&Grow」アプリは、銀行員が店舗内で小規模事業者の顧客に対応する際に使用する。顧客情報や競合分析を安全に参照し、分析に基づて個々の顧客に合わせた提案や、安全な取引が行えるという。銀行・金融マーケット向け「Trusted Advice」は、金融アドバイザーが顧客のポートフォリオにアクセスし、管理できるアプリ。ポートフォリオモデリングツールにより、入念な分析にもとづいたアドバイスが顧客にできるという。保険業向けの「Retention」では、エージェントが顧客情報と履歴にアクセスできる。未払いの保険金、加入書の不足情報、保険金の請求など取引を円滑にする機能が盛り込まれている。行政向けの「Case Advice」は、ソーシャルワーカーが関連する履歴、評価データ、業界のガイドラインが確認できるアプリ。出先でも確認でき、これまでの紙の書類によるプロセスから開放されるという。小売業向けの「Sales Assist」は、店員が顧客の情報に接続し、購入履歴と現在の好みに基づいて商品を勧めたり、在庫管理、店内商品の確認と店外商品の出荷も行えたりするようになる。小売行向けの「Pick&Pack」は、距離に基づくテクノロジーとバックエンドの在庫システムを組み合わせ、注文商品の発送業務を円滑にすることができる。通信行向けの「Expert Tech」は、現場サービス技術者の業務効率向上を支援するアプリ。目的地に早くたどりつけるように。、地図と交通量データでサービス技術者をサポートしたり、FacetimeなどiOSのネイティブ機能を活用して、顧客満足度を向上させるという。
2015年03月23日米Appleは3月9日に開催したスペシャルイベントで、「Apple Watch」の詳細と発売日を発表したが、米国のミレニアルズ(18歳-34歳)はApple Watchよりも「Apple TV」の値下げと「HBO Now」に興味を持ったようだ。スペシャルイベントの前後の英語ツイートをFizziologyが分析した結果、18-34歳の話題の傾向はApple TV/HBO NowがApple Watchの2倍だった。35-49歳だと逆にApple Watchが2倍になる。この結果を「Apple Watchへの関心が薄い」と見るか、それとも「TV番組のネット配信に対するミレニアルズの関心が高い」と見るべきか。HBO Nowのインパクトを実感しにくい日本だと前者かもしれないが、後者と見るのが妥当だろう。HBO Nowは、米ケーブルTVチャンネルHBOが同社のコンテンツをApple TVで視聴(将来は他のストリーミング・デバイスにも拡大)できるようにするサブスクリプション型のストリーミングサービスだ。この発表の何がスゴいのかというと、ケーブルTV企業や衛星TV企業の切り札だったHBOをAppleが奪ったことだ。HBOとケーブルTV/衛星TVとの結びつきは強く、これまでDVD化される前のHBOのコンテンツはケーブルTVや衛星TVが独占していた。だから「Game of Thrones」などのHBOのコンテンツをいち早く見るには、ケーブルTVや衛星TVサービスのプレミアプランを契約しなければならなかった。そうなると、100チャンネルを超えるようなプランになり、見るとは限らないチャンネルだらけの高額な契約になってしまう。HBO Nowによって、ついにケーブルTVや衛星TVでHBOを契約することなく、HBOのみ契約できるようになる。これはHBOの脱ケーブルであり、ケーブルTVチャンネルのコンテンツをケーブルTVサービスが独占してきた時代の終わりを意味する。○ネットTVサービス競争でAppleにアドバンテージAppleがこの秋、サブスクリプション型のTV番組のネット配信サービスを提供するという噂が飛び交っている。Wall Street Journalの報道によると、Walt Disney、CBS、FOXなどと協議しており、25チャンネルぐらいのパッケージで月額30-40ドルになるという。報道にあるようなネットTVサービスは、今年に入ってすでに「Sling TV」(ケーブルTVチャンネルを中心に20チャンネル:月額20ドル)、ソニーのPlayStation Vue(50チャンネル+:月額50ドル)などが登場している。もし、秋にAppleが参入するなら後発になるが、同社はHBO Nowをしばらく独占できる契約をHBOと交わしている。消費者がTVのネット配信サービスを選ぶ際、HBO Nowを契約できるのがAppleのプラットフォームだけとなったらAppleの強力なアドバンテージになるだろう。○CNNやMTVのような専門局が生まれなかった日本日本でも日本民間放送連盟の井上弘会長が3月19日の定例会見で、テレビ番組をPC/スマートフォン/タブレット向けに広告付きで無料ネット配信する「広告付き無料配信トライアル」を、在京キー5局共同で10月から始めると発表した。何やら今年は、日米でネットTVサービスがテレビ視聴を変えそうな勢いである。ただ、同じ「ネットTVサービス」だからといって中身まで同じになるかというと、日本と米国ではテレビのビジネスモデルや視聴者のニーズが異なる。そこのところを意識しないと、テレビというメディアが変われるせっかくのチャンスを逃すことになる。米国で登場し始めているネットTVサービスは、これまでケーブルTVや衛星TVなど有料TVサービスを契約するしかなかった番組コンテンツを、ネットを通じても視聴できるようにするサービスである。米国では地上波放送を受信しにくい地域が広く、そのため1970年代後半からケーブルTVを契約する家庭が増加し始め、TVサービスを受信する方法の主流になった。広告以外にユーザーがケーブルTVに支払うサービス料金という収入源があるケーブルTVサービスにおいてケーブルTVチャンネルが成長し、ニュース専門チャンネルのCNN、音楽専門のMTV、スポーツのESPNなど、ユニークなケーブルTVチャンネルが生まれ、そして視聴者を獲得した。問題は多チャンネル化によって、視聴者のニーズにほとんど応えていないようなチャンネルも続々と生まれたことだ。それでも、ケーブルTV企業は「ケーブルTVチャンネルは幅広いニーズに応えられる」とひたすら多チャンネル化を進めた。1995年には月額40ドル程度だったケーブルTVの平均料金が今では月額約130ドルである。そんな不要なチャンネルの受信をケーブルTV企業に押しつけられてきたことに不満を抱き始めた人たちが、いわゆる"コードカッター (ケーブルサービスを解約)"になって、ネットのオンデマンドサービスやストリーミングサービスを支持し始めた。ミレニアルズ(18-34歳)がネットTVサービスを好むのは、彼らがYouTubeに親しんできた世代であるというのが理由の1つだが、もう1つ大きな理由がある。以前、リーマンズショック後の景気低迷と就職難を経験したミレニアルズが大手銀行に不信感を抱いているという調査結果を以前に紹介したことがあるが、大手銀行に劣らずミレニアルズに嫌われているのがケーブルTV企業なのだ。独占的に近い立場を利用して、魅力あるコンテンツを持ったチャンネルと人気のないチャンネルをパッケージ化して売りつける。サポートの対応も悪い。ユーザーの声に耳を傾けず、ユーザーがサービスをコントロールするのを認めない。そんな姿勢を嫌って、ネット配信に期待しているのだ。日本はTVの市場規模が大きいのに多チャンネル化に移らなかった珍しい市場である。衛星放送によってチャンネルは増えたが、米国に比べると少ない。ネットやSNSで話題になる番組も多くは地上波キー局で放送されていて、基本的に誰でも視聴できる。話題のHBOのドラマをリアルタイムで見るためにケーブルTVのプレミアサービスを契約しなければならないというような悩みとは、ほぼ無縁だ。在京キー5局の配信サービスは見逃した人や録り逃した人にコンテンツを提供する無料の広告付き配信であり、日本の視聴者が必要としている日本にフィットしたソリューションだと思う。だから、米国でサブスクリプション型のネットTVサービスが成長したら「日本でも……」という期待が高まるかと思うが、有料TVサービスのコンテンツが魅力に欠ける限り、有料TVサービスに対する日米の需要の違いが、そのままネットTVサービスに対する反応になって現れると思う。ただ、ネットTVサービスへのシフトを機に、日米の違いから学ぶことも多いと思う。多チャンネル化を経験しなかった日本では、CNNやMTVのような地上波キー局に匹敵するような影響力を持った小さな専門局が現れなかった。世界的にはケーブルTVチャンネルの専門局や、キー局では実現できないユニークなプログラムを提供する小さな放送局によって、テレビというメディアが再発明されている。日本でニュース専門チャンネルが人々の生活に根付いていないのは少々残念なことであり、ネット配信へのシフトを機にテレビという影響力を持ったスクリーンを利用する媒体の幅が広がってほしいとも思う。米国の「コードカッター」の意識は、固定電話を解約し、スマートフォンにコミュニケーションをまとめた人たちに近い。スマートフォンは電話だが、スマートフォンにおいて電話は機能の1つに収まり、メッセンジャーやSNSなどに個人のコミュニケーションの可能性が広がった。コードカッターのためのサービスと呼べる新しいサブスクリプション型のネットTVサービスが続々と登場し始め、同時にストリーミング・デバイスにアプリストアが拡大する動きも加速している。これらのタイミングがシンクロしているのは偶然ではないだろう。スマートフォンが単なる電話でないのと同じように、アプリストアを利用できるテレビは単なるテレビではない。新しいネットTVサービスは、そこに人々を導く入り口になる。
2015年03月23日米AppleがiOS 8.3のパブリックベータ版を「Apple Beta Software Program」の一部の登録者に対して配布したと、9to5macなど米メディアが現地12日に報じた。これまで同社ではOS Xのパブリックベータ版の提供を行ったことはあるものの、iOSでは初となる。「Apple Beta Software Program」は一部のユーザーに対して、プレリリース版のソフト、アプリ、サービスを試用してもらい、正式リリース版の品質向上を目指してフィードバックを収集する取り組みのこと。同プログラムへの参加者に配布されるのはプレリリース版となるため、不具合が発生する可能性がある。また、プレリリース版は機密情報に該当し、スクリーンショットの公開やプレリリース版の情報をSNS等での公開、同プログラム参加者以外にプレリリース版の画面を見せたり、内容を話したりすることは禁止される。禁止事項が多い一方で、同プログラムへの参加者は、先行して無料で新サービスに触れられるのがメリットだ。ただし、今回配布されたiOS 8.3では、新しい絵文字キーボードの追加、Siriの対応国の拡大、安定性やパフォーマンスの向上、バグフィックスとされ、新機能を目当てにするユーザーにとってはメリットは大きくはなさそうだ。なお、同プログラムに参加するには、「Apple Beta Software Program」でApple IDを登録する必要がある。
2015年03月13日●新MacBookはiPadキラー的な存在にAppleの「Spring Forward」イベントは、最初から最後まで面白かった。飽きることなく、あっという間の90分だった。まず、買えるものならすぐにでもポチりたいと思ったのが新しい「MacBook」。ユーザーを選ぶMacだが、筆者の使い方にフィットする。処理能力が必要な作業とメディア管理にはMac miniがあるため、すでに13インチMacBook AirをほとんどiPadと同じように使っている。常にバッテリー動作で、ケーブルを接続するのは充電の時だけ。データのやり取りは全てワイヤレス。だから、ポート類がヘッドフォンポートとUSB-C×1ポートだけでも全く問題ない。薄くて軽くて、打ちやすいキーボードが付いている理想的なモバイルノートだ。簡単に着脱できるという点では端子をポートに差し込む必要があるUSB-Cよりも、マグネットで引っつくMagSafe電源アダプタの方が扱いやすい。MagSafeでなくなったのは残念だが、「ケーブル1本」をユーザーに強いるのがポイントだから仕方ない。USB-CはUSB規格であり、将来対応する周辺機器が増えることを考えると「PCをUSBで充電できること」のメリットは大きいと思う。これまでAppleはMacのあるべき処理能力の基準を設けて、その範囲でMacBookシリーズをデザインしていた。新MacBookは、そうした基準を一旦ご破算にし、iPhoneやiPadがモバイルの主流になった時代のモバイルノートとして一からデザインし直している。新MacBookのプロセッサは従来のMacBookでは基準を満たしそうにないほど非力であり、代わりに電力効率が良く、ファンレスでポータビリティに優れている。MacBookと名付けられ、見た目もMacBookだが、従来のMacBookとは設計思想が異なるデバイスである。名称を「iMacBook」とかにしても良かったぐらいだ。従来のMacBookシリーズのユーザーから見ると、新MacBookはCPUパワーが犠牲になりすぎている。しかし、日々のコンピューティングをiPadやiPhoneでこなしている人たちにとっては十分なパフォーマンスであり、むしろ打ちやすいキーボード、操作しやすいトラックパッド、そして他のPCにはないポータビリティ(薄型軽量、ケーブル1本)が大きな魅力になるはずだ。その意味で新MacBookは最強の「iPad Air 2」キラーになる。筆者自身、新MacBookに魅了されているが、iPad Air 2を気に入って毎日使っているだけにちょっと複雑な気分でもある。でも、こういう競争はSurface Pro 3も含めて大歓迎だ。噂の12インチiPadへの期待も高まる。新MacBookはiPhoneやiPadのユーザーに馴染むこれからののPCであり、これで存在が危うくなるのはiPadではなく従来のモバイルPCだ。●Appleは操作性と質感だけは伝わったが……○Apple Watchはプライムタイムのデバイスか?Apple Watchについては、よく言えば「ポイントを上手く見せていた」、悪く言うと「見せたいことだけ見せていた」という印象だ。操作性と質感の良さは伝わってきたが、OSやUIの出来については実際に時間をかけて使ってみないと分からない。The VergeのNilay Patel氏は、Watchインターフェイスには学習が必要で「どこにいるのか分からなくなる、何が起こるか予想できないという感覚はApple製品らしくない」と書いている。ハードウエアについても準備が整っているのか不明な点が多い。もしかすると、滑らかな動作によって、バッテリー動作時間が犠牲になっているかもしれない。AppleがApple Watchで目指していることは伝わってくる。そこは評価したい。だが、Apple WatchほどリッチなUIのウエアラブルで、Appleが目指すユーザー体験を、今日の技術(プロセッサ、バッテリーなど)で実現できるのか、疑問符を付けざるを得ない。どこかにひずみが生じていても不思議ではない。ただし、まだ早すぎるデバイスだとしても、Apple Watchが失敗するとは限らない。iPhoneだって、2007年に登場した初代モデルは早すぎるデバイスだった。それでも多くの人を魅了し、第3世代の頃にはハードウエアとのバランスが取れるようになって、Appleのビジョンが形になり始めた。Apple Watchはまだ、プライムタイムのデバイスではないかもしれない。そうだとしても、その時が来たら開花する可能性を感じられるものなら、このタイミングで飛びつく開発者やユーザーは出てくるはずだ。●Apple Watchの価格の噂はジョークかと思っていた○100万円超のApple Watchは誰が買うのか?さて、数カ月前からApple Watchの上位モデルが100万円を超えるという噂が飛び交っていたが、ジョークだと思っていた。だって、Apple Watchは職人が組み立てた精巧な機械ではない。デジタル機器である。しかも、発展途上だ。高価な時計は数十年、数世代にわたって大事に使われ、財産と見なされるが、Apple Watchの商品寿命は数年程度だろう。時間と共にディスプレイは明るさを失い、バッテリーはへたってしまう。高価な時計のようにリセールバリューを長期にわたって維持できそうな"何か"が今のところない。そんなApple Watchに一体誰が100万円超も支払うだろう?そう思っていたのだが、噂は本当だった。Apple Watch Editionは128万円から、最も高価な組み合わせは218万円である。しかし、今回のキーノートでぼんやりとではあるが、Appleの狙いが見えてきた。キーノートで同社はApple Watchを高価な時計として展開するようにアピールしてはいなかった。スーパーモデルのクリスティー・ターリントン・バーンズが登場したが、マラソンレースを目指す1人の女性という感じだったし、終始Apple Watchが普通の人たちの生活をどのように変えるのかに焦点を当てていた。Apple Watchは、やっぱりデジタル機器なのだ。となると、Appleが高級ブランドの腕時計市場を本気で奪おうとしているとは考えにくい。財産やコレクションとして大事にしまっておくような高級腕時計ではなく、使ってなんぼのデジタル機器なのだ。同じウォッチでも土俵が違う。こうした点から推測すると、Apple Watch Editionのターゲットは絞られる。財産やコレクションではなく、普段使いのために高級ブランドの腕時計を身につけている人たち。キズがつくのもお構いなしでロレックスを巻いている人たちだ。つまりデジタル機器としてApple Watchに興味はあるけど、他人と同じものは身につけたくないという人たちを満足させるモデルである。1万ドルを超えるApple Watch EditionについてTim Cook氏は「ユニークで特別な存在」と述べていた。Apple Watch Editionは「限定数」になるという。その言葉通りだろう。本当に少ないのだと思う。この世に数十本しかないというぐらい少なくなければ、1万ドルを超える値札の価値はない。AppleがVertuのようなビジネスに乗り出すのは、それはそれでApple好きとしてはちょっと複雑な気持ちなのだが、それがApple Watch Editionなのではないかと思う。
2015年03月12日9日(現地時間)、米国・サンフランシスコのYerba Buena Center for the Artsで開催されたAppleのスペシャルイベントでは、Apple Watchの価格や発売日などが発表された。日本においても報道関係者向けのタッチ&トライイベントが開かれ、Apple Watchに触ることができた。筆者は昨年9月に開催されたAppleのスペシャルイベントで、既にApple Watchを試しているが、改めて、同製品の魅力に迫ってみたい。ラインナップされたのは、前回の発表イベント時と変わらず、スポーツラインの「Apple Watch SPORT」、スタンダードなラインとなる「Apple Watch」、リュクスなライン「Apple Watch EDITION」という3つのコレクション。それぞれ、38mmと42mmの2モデルでの展開となっている。ざっくりと、画面が小さいほうは女性向け、大きいほうは男性向けというイメージか。価格はApple Watch SPORTが42,800円から、Apple Watchが66,800円から、Apple Watch Editionが1,280,000円からとなっている(いずれも税抜き)。3コレクションとも機能面においては同等で、使用している素材で価格差をつけている。もっとも安価なApple Watch SPORTは、ケースに酸化皮膜処理アルミニウムを使用、バンドはフルオロエラストマーを採用。Apple Watchはステンレススチールケースに、スポーツタイプのフルオロエラストマーを採用したバンド、レザーを使用したバンド、本体同様、ステンレススチールを使ったバンドに分かれている。Apple Watch Editionは、ケースに18Kゴールドを使用し、バンドはスポーツタイプのフルオロエラストマーに18Kゴールドを組み合わせたもの、レザーに18Kゴールドを組み合わせたものが用意されている。Apple Watch Editionについては、レザーに18Kゴールドを組み合わせたモデルが4種用意されているが、バックル部分に使用されている18Kゴールドの使用量の違いで価格差をつけていると思われる。もっとも高価なモデルは2,180,000円だ。2種類が用意された2,180,000円のモデルは38mmのサイズのみで、これは女性用にデザインされたものであると考えられる。機能において柱となっているのは「タイムキーピング」「新しいつながり方」「健康とフィットネス」「内蔵/App Storeのアプリ」だ。「タイムキーピング」に関しては、GPS衛星と同じ精度で時を刻みという時計の基本的な性能はもちろん、多くの文字盤から用途、好みに合ったものを選んで使うことができる。「健康とフィットネス」では、加速度センサーや光学心拍計を利用して生体情報を記録する機能が目玉。「内蔵/App Storeのアプリ」においては、メール、メッセージ、マップにTwitterやInstagram、Evernoteなど、iPhone/iPadでお馴染みのものが用意されるようである。タッチ&トライイベントでは一通りの機能を試すことが出来たのだが、筆者が一番気になったのは「新しいつながり方」だ。指先でさっと絵を描いて相手に送信できる「スケッチ」、画面を押すことで手首で感じられる情報を相手に送信できる「タップ」、2本の指を画面に押し当てるとセンサーが心拍数を読み取り相手に送信できる「ハートビート」。しつこく「相手に送信できる」と繰り返したが、Apple Watchは他にも誰か、しかも近しい、親しい人が自分と同じようにApple Watchを所有していることを前提とした機能が多く盛り込まれているように思えたのだ。Digital Touch機能は、より親密なコミュニケーション形態を想像させる。イメージされるApple Watchのユーザーは、友人が多い、彼女・彼氏、あるいは伴侶がいるといった感じだろうか。パートナーがいないというユーザーでも、Apple Watchを使ってコミュニケートすることで、昵懇な関係を築いていけるのでは?、とも。発表会で紹介されたが、チェックできなかった機能も幾つかある。CEOのTim Cookがキーノートスピーチで「5歳の頃からこれがやりたかった」と言っていた通話機能は、どんな按配なのか未確認。Apple Watch本体に内蔵のマイクとスピーカーの位置はとても近く、フィードバックを起こすのではないかと心配になったので、これは是非試してみたかったのだが。また、最大で18時間持つとされているバッテリーも、ヘビーな使い方をした場合どうなのかも未チェック。防沫性能と耐水性能を備えているが防水性能はない、と言いつつ、IPX7等級という耐水性能も気になるところだ。機会があれば、このあたりに関しては実機を入手してテストしてみたいところだ。発売は4月24日で、予約は4月10日からとのことだが、とりあえず、新宿の伊勢丹か銀座のDover Street Marketを覗きに行こうと思う。写真提供:Mac Fan
2015年03月11日米Appleは3月9日(現地時間)、スマートウォッチ「Apple Watch」の発売日と価格を発表した。「Apple Watch Sport」「Apple Watch」「Apple Watch Edition」の3つのコレクションを縦38mmと42mmの2サイズで展開。発売は4月24日で、10日から予約受付を開始する。Apple Watchは、Appleがウェアラブルデバイス用に開発したOS「Watch OS」を搭載したスマートウォッチ。2014年9月の発表当初は、2015年初頭の発売とされていた。いずれのコレクションも、りゅうず部分「デジタルクラウン」を回転させることで画面のズーム、スクロールを行う。デジタルクラウンを押せばホームボタンに戻り、長押しすれば音声アシスト機能「Siri」にアクセスできる。「タッチ」と「プレス」の差を判別できる「Force Touch」機能を装備。着信やメッセージの受信などがあった場合には腕を軽く叩くようにしてユーザーに知らせる。返信や通話もApple Watchで行えるが、iPhoneに転送することも可能だ。指でApple Watchの画面上に絵を描いて送信する「スケッチ」機能など文字以外でコミュニケーションを取れる「Digital Touch」機能を搭載している。そのほか、ユーザーの活動量を「ムーブ」「エクササイズ」「スタンド」の3種類に分けて記録するフィットネス機能も持つ。標準アプリはメッセージ、電話、メール、カレンダー、アクティビティ、ワークアウト、マップ、Passbook、Siri、ミュージック、リモートカメラ、Remote、天気、株価、写真、アラーム、ストップウォッチ、タイマー、世界時計、設定。充電はApple Watch裏ブタにコネクタを接続して行う。最大18時間の連続使用が可能だ。対応端末はiOS 8.2以上を搭載したiPhone 5/5c/5s/6/6 Plus。○Apple Watch Sportシルバーもしくはスペースグレイの酸化皮膜処理された軽量アルミニウム製を採用したケースとなっており、Ion-Xガラスでディスプレイをカバーして保護する。バンドはフルオロエラストマー製のスポーツバンドで、ホワイト、ブルー、グリーン、ピンク、ブラックの5色を用意する。価格は42mmが48,800円(以下、すべて税別)、38mmが42,800円。○Apple Watch鏡面仕上げを施したステンレススチールケースとスペースブラックのステンレススチールケースを採用。バンドはフルオロエラストマー製のスポーツバンド(ブラック、ホワイト)、クラシックバックル(ブラックのみ)、ミラネーゼループ、レザーループ(ストーン、ライトブラウン、ブライトブルー)、モダンバックル(ソフトピンク、ブラウン、ミッドナイトブルー)、リンクブレスレットを用意する。価格はスポーツバンドが38mmで66,800円、42mmで71,800円。クラシックバックルとミラネーゼループが38mmで77,800円、42mmで83,800円。レザーループが42mmのみで83,800円。モダンバックルが38mmのみで89,800円。ステンレススチールケース リンクブレスレットが38mmで113,800円、42mmで119,800円。スペースブラックステンレススチールケース スペースブラックリンクブレスレットが38mmで126,800円、42mmで132,800円。○Apple Watch Editionケースは標準的な金の2倍の硬度になるよう開発した18Kを採用しており、18Kイエローゴールドと18Kローズゴールドの2種類がある。バンドはスポーツバンド(ブラック、ホワイト)、クラシックバックル(ブラック、ミッドナイトブルー)、モダンバックル(ローズグレイ、ブライトレッド)を用意する。価格はスポーツバンドが38mmで1,280,000円、42mmで1,480,000円。クラシックバックルが42mmのみで1,880,000円、モダンバックルが38mmのみで2,180,000円。
2015年03月10日米Appleは9日(現地時間)、サンフランシスコで行ったスペシャルイベントにてiOS 8.2を発表。同日、提供を開始した。このアップデートはApple Watchのサポートと、「ヘルスケア」アプリの機能改善、安定性の向上、バグの修正が含まれている。今回提供される「iOS 8.2」は、新たに提供される「Apple Watch」アプリで、iPhoneとのペアリングと同期、およびWApple Watchの設定のカスタマイズが行える。「アクティビティ」アプリでは、Apple Watchがペアリングされている場合、Apple Watchに保存されているフィットネスデータや成果を表示できる。これらの機能はiPhone 5以降に対応する。「ヘルスケア」アプリでは機能改善が図られ、距離、体温、身長、体重、および血糖値の単位を選択できる機能を追加したほか、サードパーティ製アプリで、ワークアウトセッションを追加して視覚化できる機能、歩数、距離、および上った階段の追跡をオフにできるプライバシー設定の機能が追加され、メディカルIDに写真を追加できないことがある問題などが解決されている。その他、「マップ」や「カレンダー」などで生じていた問題が修正され、全般的な安定性の向上も図られている。
2015年03月10日米Appleは現地9日に開催したイベントで、Apple TVの価格を99ドルから69ドルに引き下げると発表した。これに伴い、日本の直販サイトApple Storeでの価格も税別8,200円に改められた。従来は同9,800円だった。Apple TVはAppleが開発したセットトップボックス。映画やPod Castを視聴したり、iPhoneやMacの画面をAir Play機能を使ってApple TVに送信し、テレビ画面にそのまま表示したりすることができる。今回の発表では、米ケーブルテレビ局HBOと共同で、Apple TVおよびiOSデバイス向けにサブスクリプション制の映像ストリーミングサービス「HBO NOW」を米国向けユーザー向けに提供することも発表された。なお、今回の発表会でApple TVの最新モデルの登場が期待されたが、値下げ発表にとどまり、2012年3月に現行モデルが発表されて以来、3年間ハードウェアの更新が行われないこととなった。
2015年03月10日米Appleは9日(米国時間)、スペシャルイベントを米国・サンフランシスコで開催する。腕時計型デバイス「Apple Watch」の詳細などが発表されると噂されており、日本でも大きな話題を集めている。iPhone 6が発表された2014年9月のイベント時には、イベント開催前からApple Storeに並ぶ猛者がいた。ということは、今回もすでに並んでいる人がいるかも! そう思った筆者はApple Store銀座と、表参道に向かった。まずは、Apple Store銀座から。筆者が駆けつけたのは17時31分、銀座は朝から降る雨が一段と強くなっており、平日でも買い物客の多い通りにあまり人がいなかった。ただ、Apple好きであれば、テントの1つや2つでも立てて、イベントを心待ちにしているに違いない! そう思っていた筆者だったが……。日本時間では、10日午前2時に開催されるスペシャルイベント。8時間以上前では誰もいなかった。「う、嘘だろ。誰もいないのかよ……」と思わず傘を落としそうになった筆者だったが、すぐに「なるほど。表参道に移動したんだな」と頭を切り替え、Apple Store表参道に向かった。銀座に比べ表参道には人が多く、Apple Storeに並んでいる人も多いだろうと思い、降りしきる雨の中、足取り軽くApple Storeに向かったが……。またしても愕然としてしまった。オシャレなカップルや、モデルのようにカッコイイ外国人など表参道らしいお客さんはたくさんいるのだが、9月に見たようなテントや椅子は1つもなかった。筆者が向かった際には、どちらの店舗にも並んでいる人は確認できなかった。しかし、Twitterを見ると、「みんなでApple Store前に集まってスペシャルイベントを観るぞ!」といった主旨のツイートも散見されるため、終電の時間帯や夜中に集まってくるのかもしれない。Appleとして初めての腕時計型デバイス「Apple Watch」。発売時には、iPhoneなど同様に、多くの人が行列を作るような魅力的なデバイスになっているのだろうか。今からスペシャルイベントが楽しみだ。「Apple Watch」以外にも発表されるデバイスがあるという噂もある。ちなみに、筆者は家でゆっくりと観るつもり。世界が注目するAppleの動向をみなさんも注目していてほしい。Appleのスペシャルイベントは、日本時間3月10日の午前2時から。コチラのサイトでライブストリーミング中継も実施する。
2015年03月09日米Appleが9日(日本時間:10日午前2時)に開催するスペシャルイベントの開始を目前に控え、Appleの日本公式オンラインストアサイト「Apple Store」が日本時間9日21時頃、メンテナンスに入った。スペシャルイベントにて、腕時計型デバイス「Apple Watch」の詳細などが発表されることに伴っての措置だと見られる。今回のスペシャルイベントでは、Apple初の腕時計型デバイス「Apple Watch」の価格や発売日、詳細な仕様などが発表されると噂されている。同イベントは、日本時間3月10日の午前2時から。コチラのサイトでライブストリーミング中継も実施する。
2015年03月09日イオンリテールは、AppleのiPhoneやiPad、Macなどを取り扱う正規代理店「Apple Premium Reseller」として、「NEWCOM(ニューコム)」の出店を発表した。2015年4月に首都圏に1号店、イオンモール沖縄ライカムに2号店を出店する。「NEWCOM」は、専任スタッフが接客を行い、製品の購入前・購入後の相談をはじめ、設定やデータ移行、修理まで一貫したサービスも提供する。また、店舗ではユーザーの習熟度に合わせたワークショップやイベントも頻繁に開催し、若い世代からシニア世代までAppleブランドを体感できる場を提供するとのこと。今後はさらに、店舗を展開する予定だ。
2015年03月09日米Appleは3月9日に米サンフランシスコで行われるスペシャルイベントを開催し、その模様は現地時間3月9日午前10時(日本時間10日午前2時)よりライブ中継される。イベントでは、スマートウォッチ「Apple Watch」の発売日などを発表すると見られている。報道関係者向けに発送した招待状や、ライブ中継の予告画面には「Spring Forward.」というメッセージが記載されており、Spring Forwardには、「春に前進する、飛び出す」という意味と、米国では3月8日から始まる「サマータイムに合わせて時計の針を進める」という2つの意味があることから、今回のイベントは、Apple Watchが発表会の中心になるとみられる。すでに同社のTim Cook CEOが、1月27日の決算カンファレンスコールで「発売は4月になる」とコメントしており、今回のイベントでは発売日がいつになるか注目される。また、噂されている12インチのiPadや新型Mac Book AirなどのApple Watch以外の製品の発表も期待されている。
2015年02月27日米Appleが3月9日に米サンフランシスコでスペシャルイベントを開催する。会場はYerba Buena Center for the Artsで、現地時間の午前10時(日本時間:10日午前2時)から。報道関係者やアナリストへの配布が始まった招待状には「Spring forward.」と書かれている。米国は3月8日に夏時間に切りかわるが、Spring forwardは春に夏時間に合わせて時計の針を進めることを指す。時計を連想させるメッセージが付けられていることから、4月出荷開始が予告されているスマートウォッチ「Apple Watch」の発売日や価格などを発表すると見られている。また、12インチのiPadや12インチのMacBook Airなど開発が噂された製品の発表も期待されている。
2015年02月27日Appleは、2006年より開始し、今年で9年目となるサプライヤ責任年次報告書「Supplier Responsibility 2015 Progress Report」を発表した。また、併せて上位200社を記したサプライヤリストならびに、各サプライヤの各国の拠点(工場)数も公表した。拠点数が最も多いのは中国で334拠点。次いで日本が131拠点(前年のリストでは139拠点)となっており、以降、米国73拠点、台湾36拠点と続く。ちなみに、上位200社に入り、日本に拠点を置く企業は以下の通り(順不同)。()内は拠点(工場所在地。重複含む)スリーエム(山形)AKMエレクトロニクス(宮崎)アルプス電気(福島・宮城・大阪)旭硝子(静岡・兵庫)第一精工(島根・福岡)ダイキン工業(大阪)ヒロセ電機(福島・青森・岩手・富山・宮城)日本航空電子工業(青森・山形)ジャパンディスプレイ(石川・千葉)京セラ(鹿児島・滋賀・長野・新潟・山形)マイクロン・テクノロジー(広島・秋田)ミツミ電機(山形・北海道・神奈川)日本モレックス(静岡・鹿児島)村田製作所(福井・長野・宮城・島根・富山・滋賀・石川・岡山)NECトーキン(富山)日亜化学工業(徳島)日本メクトロン(茨城)日本写真印刷(兵庫・石川)日東電工(愛知・広島・三重)パナソニック(大阪・北海道・岡山・鹿児島・佐賀・京都・富山・島根・新潟・福井・三重)ポリマテック・ジャパン(埼玉)ルネサス エレクトロニクス(福井・山形・群馬・北海道・青森・山梨・熊本・滋賀・茨城)ローム(福岡・京都)R.R.Donnelley & Sons Company(岐阜)セイコーエプソン(秋田)シャープ(三重)ソニー(長崎・熊本・鹿児島)住友化学(愛媛)住友電気工業(滋賀)太陽誘電(群馬・新潟・和歌山)TDK-EPC(秋田・岩手・山梨・山形)タイコ エレクトロニクス ジャパン(茨城)帝国インキ製造(山梨)日本テキサス・インスツルメンツ(福島・茨城)東芝(石川・兵庫・大分・福岡・三重)豊田合成(千葉・愛知・佐賀)ツジデン(長崎)UACJ(愛知)なお、都道府県別で見た場合、上位200社のサプライヤリストには栃木、東京、奈良、鳥取、山口、香川、高知、沖縄には拠点が存在していない。
2015年02月20日米Appleが申請していた小型ディスプレイ搭載デバイスを使ったヘッドマウントディスプレイ(HMD)に関する特許が2月17日(現地時間)、米特許商標庁(USPTO)によって認められた。同特許はUSPTOのサイトで参照できる。似たようなアイデアはSamsungによって「Gear VR」の名称ですでに商品化が行われており、Appleがこうした仕組みにどの程度興味を持ち、何を考えているのかが注目ポイントとなる。今回認められた特許は申請番号が8,957,835で「Head-mounted display apparatus for retaining a portable electronic device with display」の名称がつけられている。特許の最初の申請日は2008年9月30日と古く、2世代目にあたるiPhone 3Gが発売されてすぐのタイミングにあたる。そのため、iPhoneだけでなくiPod touchなどのデバイスの利用も想定していた可能性がある。一方で、これだけiPhoneの普及台数と機能面での差異が特許申請当時から現在において非常に大きく、想定しているユースケースについてもGear VRなどのそれとは大きく異なっている可能性が高い。実際、特許で示されているものもデバイス(iPhone)とグラス型マウンターとの"電気的"な接続方法や、外部コントローラ(Apple Remoteのようなもの)による制御方法、Picture-in-Pictureのような形で複数のアプリを同時に実行して閲覧する方法など、純粋に映像を楽しむための視聴デバイスとしての"HMD"に着目しているように見える。これに対し、SamsungのGear VRはマウンターそのものは単なる「デバイスを固定するための箱」であり、Galaxy Note 4をはめ込むことで視点を調整する役割を果たしているに過ぎない。Gear VRは「Oculus Rift」を多分に意識したもので、実際にOculusとのコラボで実現したものだ。Oculusではデバイスの装着者が頭を動かすと、モーションセンサーがそれを検知して移動量や向きに応じて視点が変更される特性があり、非常に没入感が高い。例えばゲームであれば実際にゲームの世界で行動しているような感覚を味わえ、環境映像や映画コンテンツと連動させた場合、頭を動かすことで固定視点の映像では見られない風景が目に入ったりといろいろ応用が期待されている。最近のスマートフォンの場合、このOculusのようなVR(仮想現実)の世界を体験するのに十分なセンサーやスペックを備えており、Gear VRはそれを実践したものだ。これが、今回のApple特許が申請から認可までの6年半で業界で起きた、大きな変化だといえるかもしれない。
2015年02月20日米Appleがハンドヘルドデバイスを用いたヘッドマウントディスプレイ(HMD)システムの特許を取得したことが、米特許商標局(USPTO)が公開した資料で明らかになった。17日に成立したAppleの特許は「Head-mounted display apparatus for retaining a portable electronic device with display」(US 8,957,835)。頭に装着するヘッドマウントデバイスにiPhoneのようなディスプレイを持つハンドヘルドデバイスを取り付けるHMDシステムと、その操作方法に関するものだ。考案背景の説明では、ディスプレイを備えたHMDとPCやモバイルデバイスをケーブル接続するシステムはケーブルが邪魔になって取り扱いにくく、またHMDとモバイルデバイスの両方がディスプレイを装備するというような機能の重複が生じると指摘している。そうした重複はシステム全体では、コスト、重量やサイズの無駄になる。Appleが考案したHMDシステムは2つのデバイスが直接コネクタ接続し、電気的にも一体化するコードレスシステムだ。ヘッドマウントデバイスにハンドヘルドデバイスを取り付けるとディスプレイの表示がヘッドマウント・モードに切り替わる。頭に装着したユーザーは、左右の眼の部分に配置された光学パネルを通じてハンドヘルドデバイスのディスプレイを見る。またApple Remoteのようなリモコンによる操作補助も想定している。Googleが昨年6月に開発者会議Google I/O 2014で「Google Carboard」を公開し、昨年末にCarl Zeissが「Zeiss VR One」、Samsungが「Gear VR」を発売するなど、すでにスマートフォン一体型のHMDシステムは目新しい仕組みではなくなっているが、Appleは17日に成立した特許を2008年9月に出願していた。
2015年02月19日前回、米Appleが実験しているとみられる自動運転車(Self-Driving Vehicle/CarまたはAutonomous Vehicleなど)がシリコンバレー周辺で目撃されたことを紹介したが、実際に自動車業界参入を計画しているという話が持ち上がっており、大きな話題になっている。Reutersの1月14日(米国時間)の報道によれば、Appleは前出のような自律型の電気自動車の製造について研究を進めており、自動車メーカーの専門家や部品サプライヤらとの話し合いを行っていると、自動車業界の幹部に近い情報筋が明かしたという。前回のレポートでは、Appleがリース車を使ってセンサー装置を大量に積んだ自動運転の実験を行っている様子が米カリフォルニア州コンコードで目撃されたが、そのセンサー装置の形状などから、すでにGoogleが実験を行っている自律型自動車の実験とみられていた。だが一方で、まだAppleが本格的に自動車産業に進出するとの見方は懐疑的で、あくまで業界他社との共同実験の域を出ないのではという意見も多かった。今回のReutersの報道では、Appleは「自動車の製造そのもの」に興味を示しており、単に自動車メーカー向けにソフトウェアやコンポーネントを提供するに留まらないと情報筋では示唆している。「Appleは自動車メーカーらの協力をさほど必要にしているようには見えない」とコメントしているように、自動車パーツや製造に関する情報をかき集めており、特に「Connected Car」などと呼ばれる通信機能とリンクした電気自動車の開発に主眼を置いており、同時に可能性としての自動運転機能の研究を進めているようだ。自動車メーカー各社ともに、こうした自動運転機能に対応した自動車の開発を進めているものの、実際に市場投入までにはまだ時間がかかると考えている。CarPlayで自動車業界との連携を模索したAppleだが、ひょっとするとメーカーらの新技術への対応の間隙を縫って、携帯業界を席巻した地力を活かし、間もなく時計業界、そして自動車業界へと進出を果たそうとしているのかもしれない。
2015年02月16日米Pinterestがモバイルアプリをピンする「App Pin」の提供を開始した。App Pinに関してPinterestはAppleと提携しており、12日(現地時間)からiOS用アプリのApp Pinが登場している。またAppleがApp Storeの公式Pinterestアカウントを開設した。iOSアプリのApp PinはiPhone/iPad用の「Pinterest」アプリで表示すると「インストール」ボタンが右上に表示され、Pinterest内から直接アプリをインストールできる。無料アプリだけではなく、有料アプリの購入も可能だ。PC用のWebブラウザでApp Pinを開くと、通常のWebページのピンと同じように表示され、「ウェブ」ボタンを押すと、そのアプリのiTunes Previewページが開く。App Pinに関するPinterestとAppleの提携の内容は不明。いくつかの米メディアは、将来的にPinterestがモバイルアプリインストール広告を提供する可能性を指摘している。App Pinの報道とは別に、12日にRe/codeがPinterest内で直接商品を購入できる「Buy」ボタンを年内にもPinterestが導入する可能性を報じている。
2015年02月13日米Appleが「Photos Preview」のページを公開している。「Photos」はOS Xの次世代写真管理アプリとして2014年のWWDCで発表され、「iPhoto」や「Aperture」の後継製品となることが見込まれている。現在公開されているのはPhotosの機能プレビューで、実際の製品版は今春リリースになると予告されている。PhotosはOS Xの標準写真管理アプリとなるもので、昨秋にリリースされたiOS 8にはすでに導入されている。これまでApple標準の写真管理ソフトウェアはiLifeとしてリリースされていた「iPhoto」か、プロフェッショナル向けとしてRAW現像やレタッチが可能な「Aperture」の2種類が用意されていたが、WWDCでのPhotosのプレビュー後、両ソフトウェアが開発終了となることをAppleが認めていた。後にAdobe SystemsからはApertureからのユーザー移行を見越したマイグレーションツールを標準搭載した「Lightroom 5.7」の提供が開始されるなど、ライバルらもその動きに対応している。一方でAppleからの標準解は「Photos」の提供ということになるが、WWDCでプレビューは行われていたものの、2015年というリリース時期しか示唆されておらず、具体的な提供タイミングが不明だった。今回公開されたPhotos Previewページの中で「今春」と記されていたことで、これが3~4月ごろの時期になると判明した。なお、以前に提供されていた「iPhoto for iOS」は、すでにApp Storeから削除されている。Photos for OS XのアプリアイコンはiOS 8版のものと同様になっている。インターフェイスもYosemite世代のフラットなデザインとなっており、他のアプリとの統一が図られた。特徴としてはiCloud Photo Libraryへの対応により、iPhone等で撮影した画像がそのままiCloud上で共有され、Mac、iPad、iPhoneを通じて横断的にアクセス可能になることが挙げられる。複数デバイスを使い分けるユーザーには便利だろう。SNSやメールを介した写真共有も従来どおり可能だ。このほか簡易編集機能を備えており、輝度やコントラスト、ホワイトバランスの調整などが行える。また複数のフィルターがプリセットで用意されており、Instagramなどに投稿する要領で簡単に写真効果をテーマ選択で変更できるようになっている。これらはPhotos Previewのページで実際に効果を確認できる。さらにはアルバム上の写真を選んで製本やプリントアウト形式で出力を依頼する仕組みも用意されており、プレゼント用や想い出のアルバムとして記録に残しておくのも手だろう。
2015年02月06日米Appleがシリコンバレー周辺で運転手のいない自動車の運転テストを行っているのではないかと話題になっている。同件はCBS San Franciscoなどが報じており、同地域で撮影された写真を基に自動車管理局に問い合わせたところ、自動運転装置らしきカメラ装備を取り付けた問題の車はAppleへリースされたものだと判明したという。同種の車がニューヨーク近郊でGoogleによってテストされている風景が目撃されていることからも、Appleがシリコンバレーで同種のテストを行っている可能性があるとCBSでは推測している。問題の写真が撮影されたのは米カリフォルニア州コンコード(Concord)で、シリコンバレーのあるサンフランシスコ・ベイエリア近郊のベッドタウンだ。Claycord.comというBlogが天井に謎の装置を取り付けた車が同地区で走っている様子を収めた3枚の写真を掲載したところ、装置にはカメラ等のセンサーが取り付けられており、車は自動運転に用いられているのではないかとの反響があったという。さらに、同種の装置を取り付けてGoogleロゴの描かれた車が、米ニューヨークのブルックリン地区を走っている様子が動画で撮影され、YouTubeに掲載されていることが紹介されていた。これは、同社がニューヨークで実験している自動運転車(Self-Driving Vehicle/CarやDriverless Carなどと呼ばれることがある)なのだという。これらの情報を受けてCBSがDMV (Department of Motor Vehicle)に問い合わせたところ、問題のDodgeのミニバンはAppleにリースされたものだと判明したという。Googleとは異なり、ロゴが掲出されていないのはAppleが秘密裏に実験を行っている可能性もあるものの、実際には既存の自動車メーカーとの共同プロジェクトで、Appleはあくまでその協力メーカーの1社である可能性もあると、CBSでは技術アナリストRob Enderle氏のコメントを引用して紹介している。○自動運転車が実現するために自動運転車の実現には、さまざまな技術的アシストと法規制の壁がある。公道でのテストは許可制であり、個々のベンダーが勝手にテストを行っているわけではなく、多くの場合は共同プロジェクトの形で複数のメーカーが互いの技術を持ち寄って実験を行っている。例えば公道テストが許されているカリフォルニアでは膨大な走行テストが行われており、必要なデータ収集が進んでいる。1月初旬に実施されたテストでは、米カリフォルニア州パロアルトから米ネバダ州ラスベガスまで、州をまたいだ高速道路走行に成功している。この実験で自動走行改造が施されたAudi A7に同乗したWiredの記者が記事を記している。自動走行についてはさまざまな技術が検討されており、GPSによる位置のナビゲーションだけでなく、レーダー装置で車間や障害物との距離を計測して運転速度やブレーキの調整を行うほか、LIDAR (LIght Detection And Ranging)のような光学解析技術を行動決定に活用するなど、これが従来の自動車メーカー以外の技術系メーカーを参入する余地を増やしている。特に映像解析に必要となるイメージセンサーや高速処理が可能なプロセッサ、ソフトウェア技術、通信技術が重要となり、今年1月に開催されたCES 2015では、従来のインフォテインメントの枠を超えた車業界参入の発表が各社から相次いでいる。前述の大量のカメラとおぼしき装置を搭載したGoogleの自動運転車もまた、そうしたトレンドの延長にある。これはメーカー側だけでなく、サービス提供者側も注目している。例えば自動車配車サービスを提供するUberは、急速にビジネス提供地域を拡大しており、ドライバーの確保と"その質"の維持に苦労しているが、自動運転車の導入は、将来的にこの問題を解決する可能性があるとして、業界参入に積極姿勢を見せている。○Appleはどう関わっていくのかでは、Appleはこうしたトレンドにどう関わっていくのだろうか。Patently Appleの記事でまとめられているが、米AppleのM&A担当責任者のAdrian Perica氏と電気自動車メーカーで知られる米Tesla MotorsのElon Musk氏が顔を合わせていることが昨年2014年に話題となり、「AppleがTesla買収で自動車産業参入か」と騒がれたが、後にこれは否定されている。最終的に、ここでの話し合いの1つは今春ローンチ予定のApple WatchでTeslaの車を制御できる仕組みを取り込むためのものだという話が出ている。もっとも、それだけでは前述のような自動運転車のプロジェクトにAppleが関わる理由は薄い。同社がこの種のプロジェクトに関わる要素があるとすれば、同社がプラットフォームとして持つスマートデバイス群(iPhoneやiPad)との連携、あるいは米国では比較的利用されているApple Mapsのようなクラウドプラットフォームの提供、あるいは自動運転車そのものを利用した新サービスか何かだろう。GoogleがUberの領域に乗り出すという報道が数日前に出ているが、Appleもまた何かを考えている可能性がゼロではない。いずれにせよ、自動運転車の時代は意外と身近なところまで来ているのかもしれない。
2015年02月05日