Bluetoothの規格策定や認証を行うBluetooth Special Interest Group(Bluetooth SIG)はこのほど、開発者プログラムディレクターのスティーブ・ヘーゲンデルファー氏が来日し、IoTに対するBluetoothの今後の方向性について説明した。ヘーゲンデルファー氏は冒頭、ABI Reserachの調査報告を引用し「IoTデバイスは2020年までに450億台に達するとされている。その中でBluetoothを搭載したデバイスは140億個に上ると予測されている。つまり、IoTデバイスの3つに1つはBluetoothを搭載することになる」と語り、BluetoothがIoTにおいて重要な役割を果たすとの認識を示した。Bluetooth SIGの会員数も年々増え続けており、現在は2万8500の会員がBluetooth SIGに加入している。こうした状況の中、Bluetoothは3つのポイントにおいて進化していく。まず、1つ目は通信範囲の拡大。Bluetoothの通信範囲はおよそ10mと言われているが、Bluetooth Low Energyによって50~100mの通信が実現しており、シリコン・ラボラトリーズなどが提供しているモジュールでは400mの通信が可能となる。2つ目は通信速度。従来の消費電力のまま速度を2倍に向上することで、医療機器などのアプリケーションにおけるデータ転送速度を高速化し、応答速度の向上、待機時間の短縮を実現するとしている。3つ目はBluetooth搭載デバイスが相互に通信するメッシュネットワークで、同技術により、例えばビルや住宅全体をカバーする柔軟なネットワークの構築が可能となる。なお、同氏によれば、これらの技術アップデートは今年中にも発表される見通しとのこと。ヘーゲンデルファー氏はBluetoothを用いた具体的なソリューションとしてビーコンの可能性についても言及。現在Bluetoothビーコンは主に小売業で利用されているが、消防や警察などにおける緊急対応でも活用することができるほか、予算の小さい小規模農場などで土壌の湿度や温度などをモニタすることが可能になるとした。また、現状RFIDを用いて行っているビルなどの資産管理についてもBluetoothのメッシュネットワークを用いることでより柔軟になるとするなど、Bluetoothが実現するソリューションの幅広さを強調した。
2016年03月30日ソフトバンクは30日、主にIoT関連のアイデアや試作品の商品化を支援する消費者参加型プラットフォーム「+Style」(プラススタイル)を発表した。同日から提供開始する。IoT商品などを創出したい企業と、IoT商品などを購入したい消費者をつなげるプラットフォーム。企業は消費者の声を取り入れながら商品の企画から販売までを行え、消費者は自分のニーズに沿った他では手に入らない商品を購入できるようになる。主な機能は、投稿されたアイデアに対し意見を募集する消費者参加の商品企画「プランニング」、事前に商品購入を募り一定額以上の応募で商品化する「クラウドファンディング、一般販売前の商品を先行販売・数量限定販売で購入者から意見を募集できる「ショッピング」の3種類。購入者の評価が高い商品は、ソフトバンクショップでの取り扱いも検討する。利用は個人・法人ともに可能。アイデアや試作品を公開したい場合、掲載フォームから問い合わせし、キュレーターと相談したのち、クレジットカード等の審査を経て、一般公開される。第1弾として、ソニーのスマート照明「Multifunctional Light(マルチファンクションライト)」や、Cerevoのロードバイク向けテレメトリ(遠隔測定)デバイス「XON RIDE-1」、ピクセラのライブ配信対応360度カメラ「パノトルLIVE」といったアイデアや試作品をラインナップ。4月下旬までに、同プラットフォームで29製品を順次公開していく。掲載商品の一部は、ワイモバイル六本木 Internet Parkの「TECH LAB」、ソフトバンク表参道の「Future Marketing Unit」スペースでも展示する。このほか、優れたアイデアを商品化する過程を下支えする「ものづくりサポーターズ」も結成。資金や設計、開発、生産など、得意分野に応じて企業がサポートし、新製品やサービスを生み出す環境を提供していく。
2016年03月30日東芝セミコンダクター&ストレージは3月25日、無線LAN搭載SDカード「FlashAir」を活用した学習型アルコールガジェット「TISPY(ティスピー)」を発表し、クラウドファンディングサイト「Makuake(マクアケ)」にて支援を募り始めた。目標金額は1,500,000円。TISPYは、東芝の無線LAN搭載SDカード「FlashAir」とアルコールセンサーを組み合わせて開発された学習型ガジェット。お酒を飲む直前や飲んでいる途中(20~30分ごと)に息を吹きかけると、呼気内のアルコール濃度を測定できる。また、使っていくにつれ、酔い方の傾向を学習し、飲酒のペース配分や量など二日酔いにならないためのアドバイスを提供する。記録したデータは、SDカードかFlashAirに蓄積可能。FlashAirを使用した場合は、スマートフォンと無線で接続し、専用アプリでデータを確認できる。サイズはW70×D70×H18mm、重さが約100g。電源は単4形乾電池×2。資金援助には8,100円から参加可能で、目標金額に達するとTISPYとSDカード(4GB)のセットが手に入る。8,100円コースは限定100セットを用意。2016年3月25日17時現在、8,100円コースは残り94個となっている。なお、TISPYは飲酒後の運転可否の判断には使用できない。
2016年03月25日エムオーテックス(MOTEX)は3月24日、スマートデバイスの資産管理・セキュリティ対策・行動管理・活用分析を行うスマートデバイス管理ツール「LanScope An(ランスコープ アン)」の最新バージョンをリリースすると発表した。最新バージョンでは、Windows 10でもWindows 8.1端末と同様に製品の機能を利用が可能になる。Windows 10のWindows as a Serviceに対応することにより、従来のセキュリティ更新プログラムに加え、機能改善や新機能も、すべてクラウドを経由して無償でアップデートされ、常に最新状態を維持できる。また、Active Directory環境や複数のシステムにログオンするユーザー環境への対応としては、すべてのログオンユーザー(Active Directoryドメインユーザーアカウントを含む)でLanScope Anエージェントのインストールが可能となり、ログオンユーザーを変更した場合でも利用することができる。さらに、プロキシサーバ環境への対応としては、インストール時にプロキシ認証情報を入力することで、プロキシサーバを経由してインターネットを利用するWindows端末で利用が可能。
2016年03月25日ユニアデックスは3月22日、企業におけるIoT利活用の早期実現を支援するため「ユニアデックスIoTエコシステムラボ」を4月11日に開設すると発表した。同社は、2015年7月からデバイスなどのセンサ技術とICTインテグレーション技術を組み合わせたIoT分野の実証実験を実施。また、これまで培ったデバイス開発を含めたICT基盤技術を駆使し、デバイス、ネットワークの提供からデータ収集・配信、データ加工・解析までのワンストップサービスを実現する「IoTビジネスプラットフォームサービス」の開発も日本ユニシスと共同で進めている。今回、開設するラボではIoTを利活用した新たな価値創造の実現を目的に、顧客の課題を解決するシナリオの具体化に向けた「利活用検討の場」、オープンイノベーションをもたらす共創パートナーとのIoTを利用した「ビジネス共創する場」として、さまざまな活動を進めていく。利活用検討の場では「体感」「仮説導出」「技術検証」を目的にIoT利活用の具体化を目指すほか、ビジネス共創する場ではさまざまな強みや知見を持った共創パートナーとバリューチェーンから課題と価値創出の利用シーンを洗い出し、段階的な試行により利用シーンを具現化することでビジネスの早期実現を目指す。プレオープンは4月11日~6月上旬に同社の東京ベイ開発センターとなり、本オープンの開設時期は6月上旬、東京都江東区豊洲、東雲への移転を予定。なお、ユニアデックスはラボの活用にあたり、有償にてワークショップによる利活用シナリオ導出やコンセプト立案、それを検証する技術的支援、IoTスタートキットの提供を予定している。
2016年03月23日インフォコムは3月17日、IoTに対する取組みの一環として、漁業領域におけるIoT活用の共同開発研究プロジェクトをスタートすると発表した。同プロジェクトは、米EverySense(エブリセンス)、光電製作所およびブロードバンドタワーと共同で進める。インフォコムは、2016年1月にIoT領域の専任組織である「IoT推進部」を設置し、事業創出に向けて本格的な活動を開始するとともに、IoTプラットフォーム上でデータ交換サービスを提供するエブリセンスとの事業提携を行い、取り組みを加速している。今回、エブリセンスと光電製作所が開発した「EveryStampFF(Fish-Finder)」を用いてデータ収集を行い、ブロードバンドタワーのデータセンター機能と、インフォコムのデータ分析技術やアプリケーション開発力を融合し、魚群探知機を連携する情報共有プラットフォームを構築するプロジェクトをスタートした。プロジェクトが実現した場合、水揚げ港や水産管理施設など地上側とのより広域においてリアルタイムな情報共有が可能になるという。今後は、衛星データなどとの連携により、水深/水質/水温/潮目/潮流/風向/風速/波高などの海洋情報との統合的収集、分析への展開を進める予定となっている。
2016年03月18日TISは3月17日、電池レスかつ配線レスの無線通信規格「EnOcean(エンオーシャン)」に対応したセンサをアマゾンウェブサービス(AWS)のIoT(Internet of Things)のマネージド型クラウドプラットフォーム「AWS IoT」と組み合わせて提供することを発表した。TISでは、需要が拡大しているIoT関連システムの構築支援に向けて各種アライアンスや関連技術の取り込みを進めており、EnOceanセンサの取り扱い開始もその一環だという。EnOceanは光や温度、振動などの微弱なエネルギーを集めて電気エネルギーに変換する「エネルギーハーベスト技術(環境発電技術)」を使用した電池不要の無線通信規格。特にスマートホームやビルオートメーション分野で急速に普及が進んでいるという。また、TISはAWSパートナーネットワーク(APN)の「AWSプレミアコンサルティングパートナー」に認定されており、数十億個のデバイスとそこから収集される数兆件のデータを確実かつ安全に処理することが可能なAWS IoTにEnOceanのセンサを接続してデータの収集・蓄積が可能なことを検証した。今後は、AWS IoTにEnOceanセンサを組み合せたIoT向けプラットフォームを製造業などを中心に提供していく方針だ。
2016年03月18日NTTデータ イントラマートは3月16日、外食産業のコロワイドの子会社であるワールドピーコムと提携し、店舗における電力削減を目的としたIoTの実証実験を開始すると発表した。実証実験では、イントラマートが提供するシステム共通基盤「intra-mart」に搭載される「IoTモジュール」「プロセス管理モジュール」を活用したセンサー情報を基に、店舗の電力状況を監視・把握、自動分析し、現場へ状況を通知して改善策を促すプロセスを確立させ、10%以上の電力コスト削減、化石燃料使用量の削減を目指す。さらに、このプロセスをクラウド(MEMソリューションズのクラウドサービスを想定)で展開することで、初期コストを抑え、利用形態に合わせたスケーラブルな運用を可能にするとともに、本部側での各店舗の電力分析と店舗間の電力削減ノウハウのスムーズな共有を実現する。システムを利用する端末としては、ワールドピーコムが提供するスマートワイヤレスルータ(多機能無線ルータ)、タッチパネル式端末「メニウくん」をWeb端末として利用する。
2016年03月17日ニフティは3月15日、法人向けMVNOサービス「NifMo法人サービス」において、M2M(Machine to Machine)やIoT(Internet of Things)での利用に適した、上り下り最大200kbpsで月額480円(税別)の「スタートプラン」と、小容量で月額640円(税別)の「1.1GBプラン」を提供開始すると発表した「NifMo法人サービス」では、これまで法人企業向けに3つのデータ通信プラン(3GB、5GB、10GB)のSIMカードを提供してきたが、M2MやIoT分野のにおいては、低速度の通信で十分なケースや、テキストデータだけをやり取りするなどのデータ通信量が少ないケースも多いことから、新プランを提供する。新サービスは低速度/小容量のプランであるため、POS管理やバス・トラックなどの運行管理、農作物管理、各種計測器・センサーでのデータ送受信などでの利用に適している。概要は以下のとおり。今後、より幅広い用途で利用できるよう、上り通信に特化したプランや夜間専用プラン、複数SIMカードでのデータシェア機能、契約中のSIMカードの利用状況参照や契約変更が可能な管理者用画面など、サービスの拡充に努めていくという。
2016年03月16日TISは3月10日、IoT(Internet of Things)向け予測分析ソリューション「メンテりてぃくす」が、アマゾン ウェブ サービス(AWS)のIoTプラットフォーム「AWS IoT」とデータ連携が可能になったことを発表した。同社は今回、AWS IoTに蓄積したセンサーデータを「メンテりてぃくす」に連携させて予測分析できることを確認する稼働実証を行った。「メンテりてぃくす」は、産業機械から収集・蓄積した稼働データを、SAPのBIツール「SAP BusinessObjects BI Solutions」と予測分析ツール「SAP Predictive Analytics」で分析・解析することで、「蓄積データから業務に影響を与える要因を特定する故障発生パターン導出」「生産品の不良原因分析」など、稼働データの予測分析を可能にするIoTソリューション。「メンテりてぃくす」の導入により、自社で設備を保有する企業は保全コストの削減、生産性の向上、設備の稼働率の改善による歩留まりを実現できるという。産業機械メーカーは、製品導入後のアフターサービス領域での効率化や収益性の向上を実現できるとしている。AWS IoTでは、接続されたデバイスが簡単かつ安全にクラウド・アプリケーションやその他のデバイスとやり取りでき、AWSが提供するマネージド型クラウドプラットフォームで、数十億個のデバイスとそこから収集される数兆件のデータを確実かつ安全に処理する。AWS IoT上で収集・蓄積したセンサーデータを「メンテりてぃくす」に連携させてスムーズに分析・解析を可能にすることで、需要が急速に高まり今後の大規模化が予想されるIoTシステムへの容易な適応と、導入のトータルコスト削減を実現する。TISは、新たなプラットフォームに対応した「メンテりてぃくす」を、稼働データの「見える化」やデータをもとにした業務改善を行いたいというニーズを持つ組立製造業や生産設備メーカー、化学製造業、特殊車両メーカーなどを中心に展開していき、2020年までに約20億円のビジネス規模とすることを目指す。
2016年03月11日シマンテックは9日、日本、米国、イギリス、オーストラリア、カナダの5カ国を対象に行った、モバイルアプリとIoTに関する意識調査の結果を発表した。調査はオンラインで行い、対象は18歳以上の一般消費者。調査機関は2016年2月4日から8日の5日間。日本で1,016、米国で1,007、イギリスで1,000、オーストラリアで1,031、カナダで1,007の回答数を得た。同調査では、ネットワークに接続できる機器全般を「IoT機器」と定義。ベビーモニターや自動車、フィットネストラッカー、スマートウォッチ、スマートTVなどのホームエンターテイメント、スマートロックなどのホームエントリーシステム、セキュリテイカメラ、スマート電球、スマート家電などだ。これらIoT機器と、機器を管理するモバイルアプリに関し、使用率や不安に感じることなどを調査した。モバイルアプリを使ってIoT機器を管理・操作しているか、という問いについて、日本では42%が1種類以上のIoT機器を管理していると回答。米国・カナダでは60%、イギリスでは53%、オーストラリアでは63%と海外ではいずれも50%を超えており、5カ国平均は56%。日本は平均より低い結果となった。また、スマートロックの使用を安全だと思うか、という問いについては、日本では70%が「不安を感じる」と回答。「わからない」が18%、「安全だと思う」が12%という結果となった。5カ国平均では「不安を感じる」が52%、「安全だと思う」が26%となり、日本より不安を感じる割合が低かった。これについて同社のノートン事業統括本部 プロダクトマーケティング部 リージョナル プロダクト マーケティングマネージャーの古谷尋シニアマネージャは、「スマートロックを含むIoT機器がどれだけ国に浸透しているかが回答に影響するのでは」と分析した。同社は、スマートフォンがIoT機器のコマンドセンターとして機能していると指摘。スマートフォンを通じて、スマートTVやホームセキュリティ、車といったネットワークにつながる機器に被害が及ぶ可能性があると説明し、モバイルアプリのセキュリティについても注意を促した。同社は90以上のアプリストアで2,500万以上の無料アプリをサンプルとしてセキュリティスキャンしたところ、このうち900万が悪意あるアプリだったとして、IoT機器へのリスク要因として警告する。同社では、IoTデバイスにおけるセキュリティについて、下記5点を認識しておくことを推奨している。アプリダウンロード前にアプリをスキャンし、潜在的な脆弱性を特定できる、信頼性の高いモバイルセキュリティアプリを使用するIoT機器は対策のないセキュリティ上の脆弱性を含んでいる可能性があるアプリストアの検証や審査内容には差があり、特にサードパーティによるアプリストアでは、厳格なアプリ検証や審査を行っていない可能性がある危険なアプリをインストールしないための保護設定を無効にするよう指示してくるアプリに注意するモバイルデバイス、IoTデバイスへ必ず最新アップデートを適用する
2016年03月09日バニーホップは3月8日、システムのダウンタイムを発生させない冗長構成のIoTプラットフォーム「IoT HA」をリリースしたことを発表した。「IoT HA」は、IoTソリューションを実現するための高信頼性プラットフォーム製品。クラウドを利用したシンプルな構成で冗長構成を実現しているだけでなく、自動で暗号化されたトンネルを構築して通信を行うなど高いセキュリティも確保している。「IoT HA」では、サービスのダウンタイムをゼロにするために、端末とネットワーク回線の双方を冗長化しており、端末はホットスタンバイ型の冗長構成、ネットワークはマルチキャリアの複数回線(有線/docomo系回線/KDDI系回線)の冗長構成にして、シングルポイント障害(SPOF)を回避する。接続機器や端末上の主要プロセスは、クラウドから常時監視しており、万一故障などが検知された場合は、即時にアラート通知を行い、待機構成に切り替えることができる。また、AUFS(Another Union File System)という、Read-OnlyのファイルシステムでOSを提供しているため、突然の電源断や、SDカードなどの不揮発性メモリへの書き込み回数制限によるデータ破損の心配がないほか、端末側から発呼する通信のため、ネットワーク設定が不要で、ファイアウォールで外部に特定ポートを開放する必要もない。
2016年03月09日台湾の電源・電子デバイスメーカーの大手・デルタ電子(デルタ)の日本法人が野菜を育てる"水耕栽培機"の受注生産を始めることで話題となっている。ODM生産が中心の企業がコンシューマ向け商品を手掛ける狙いはどこにあるのだろうか。「foop」の名でローンチされた製品は、幅498×奥行き320×高さ326mmの丸太のようなデザインで、中に種を撒いて照明などをコントロールしながら、室内で葉物野菜などを育てる電子プランターだ。デバイスメーカーであるデルタ電子が手掛けるだけあって、一般的な水耕栽培機に比べると、中は最新のテクノロジーが集結。Wi-FiやBluetooth Low Energyにより通信し、スマホやクラウドと連携するまさにIoT化ど真ん中のプロダクトでもある。同社では以前から植物工場の研究に向けた産業用水耕栽培機を手掛けている。しかし、本製品は完全コンシューマ向け。デルタ日本法人では子会社のアドトロンテクノロジーがモバイルプロジェクター「QUMI」などを展開する"Vivitek"というブランドがあるが、本製品は新たに"C’ESTEC"というブランドを立ち上げ、ビジネスをスタートする。○テクノロジーで野菜栽培をもっと楽しくプロジェクトの中心人物は、デルタ電子IoT事業開発部のゼネラルマネージャーのシェ・ユンホウ(Y.H. HSIEH)氏。「デルタのミッションはエネルギー効率の向上に寄与し、エネルギー消費を削減すること。そのミッションに沿ったIoT製品が当社の技術で実現できないかと考えた」と開発の経緯を説明する。そこで目を付けたのが"野菜栽培"。地球環境にも大きく関係する植物の1つである野菜。しかし、育てるには手間と時間がかかる。そこで「テクノロジーで効率化できればもっと楽しくなるのではないか」と水耕栽培のアイディアに辿り着いたのだという。foopの開発は2014年8月にスタート。設計にあたり、特にこだわったのはデザインだ。デザインは、コクヨの「カドケシ」などのデザインで知られる、プロダクトデザイナー/アートディレクターの神原秀夫氏が担当した。丸い筒状の本体は、外から中が見やすくするために選択された形状で、虫などが入らないよう密閉構造の透明アクリルカバーを側面に採用している。両サイドには飛騨の無垢のスギの木の板が使われているなど材質にもこだわる。また、生活空間に溶け込むようにボタンなどは極力撤廃し、機能はスマートフォンに集約されている。栽培機を制御する仕組みとして、照度をはじめ、水位、温度湿度、CO2のセンサーを備えるが、いずれも非接触型のセンサーでコード類を一切排除し、見た目をスッキリさせるとともに、手入れもしやすいように配慮したという。シェ氏は「曲線的なデザインにするのが特に難しかった。LEDをそのまま付けることができず、通気性の面でも課題があった。デザインに木を使うのも非常に苦労した。テクノロジーとデザインを両立させるのが簡単ではなかった」と振り返る。foopはBluetooth経由でスマートフォンとつながり、Wi-Fiでサーバーにアクセスし、クラウドデータとも連携する。専用のアプリで生育状況を確認できるほか、栽培中の野菜を選択すると最適な環境を自動設定したり、収穫やお手入れ時期、温度調節などのアドバイスを行う。○開発にはFabCafeも協力開発は複数のスタートアップ企業などとの協業で行われている。その中心的存在を担うのが、Webやイベントなどのデザインまわり全般を手掛けるロフトワークが2012年3月に渋谷にデジタルものづくりカフェとしてオープンした「FabCafe」だ。2015年3月にFabCafe内で「Let’s meet foop」と題したイベントを開催。プロトタイプ機を施設内に設置し、興味のあるユーザー層などのマーケティングをFacebookと連動して行ったのに続いて、女性向けのワークショップなども開き、商品化に向けたニーズやデザイン、コンセプトなどのアイディア出しに協力し、パートナーの紹介も行ったという。その結果、foopに最も興味を示したのは25~40歳ぐらいの野菜に興味がある女性。しかし一方で「家庭用水耕栽培機はあまり市場が大きくない。そしてIoT・水耕栽培装置はまだ成功していない」とシェ氏。その理由は、技術面でもデザイン面でも参入が難しく競争相手が少ないからと分析し、「だからこそむしろイノベーションに繋げたい」と話す。FabCafeに集められた要望で製品化に活かされた例のひとつに"ネットワーキング"もある。栽培の様子をSNSでシェアして、遠方に住む家族や友人たちとのつながりのきっかけをつくるというものだ。製品名の「foop」も"food to people"が由来のひとつになっているとのことだ。foopは4月中旬から受注生産の予約をオンラインで開始する予定。まずは日本市場でのトライアルとなり、調達・製造も国内で行い、受注後3~4カ月で注文者に届ける。ターゲットはインタラクティブでプレミアムな製品が好きな女性層。今後はカメラとの連携機能や各foopが連携して、チャットや会話をしたり、インフォメーションを自ら発信するインタラクティブな機能も追加していく計画だ。最後にシェ氏は「技術的にはソフトウェアとハードウェアを融合するイノベーションの方向で展開したい。IoT製品としての実験的なもので売上はあまり重要視していないが、foopを核とするサービスは段階的に拡大していきたい」と今後の展望について明かした。
2016年03月09日今年のITトレンドの1つのIoT。デバイスやサービスも出そろい、導入フェーズに入ってきた。IoTに興味を持ちながらも、どこから手を付けたらよいのかわからない企業も多いだろう。IDC Japanがこのたび、国内IoT市場のユースケース(用途)別/産業分野別予測を発表するとともに、市場拡大に向けた企業とベンダーの施策について説明を行った。同社は、国内IoT市場におけるユーザー支出額について、2015年の見込み値は6兆2232億円(前年比15.2%増)、2014年~2020年まで年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)16.9%で成長し、2020年には13兆7595億円に達すると予測している。コミュニケーションズ マーケットアナリストの鳥巣悠太氏は、20産業分野のうち、IoT市場を牽引するのは12の主要産業分野であり、主要産業分野の中でも主要ユースケースの成長が著しいと語った。12の主要産業のうち、組立製造、プロセス製造、運輸/運輸サービス、公共/公益、官公庁では、予測期間内におけるCAGRは16%台後半から17%台で推移し、いずれも2020年までに1兆円以上の市場へ成長すると予測されている。IDCはグローバルで主要産業分野別に主要ユースケースを29種類絞り込んでいる。例えば、「組み立て製造」「プロセス製造」では、「製造オペレーション」「製造アセット管理」「製造業フィールドサービス」「食品トレーサビリティ」が主要ユースケースとされている。この4つのユースケースのうち、「製造オペレーション」と「製造アセット管理」の導入が多いそうだ。なお、世界のトレンドと日本のトレンドは合致しているという。こうした国内IoT市場に対するユーザー支出額の力強い成長の背景には、2020年の東京オリンピック開催に向けた景況感の上昇の期待に加え、企業の事業部門におけるIT予算の拡大とIoTへの期待の高まり、IoTを利用する上での技術とコストの障壁の低下、IoTをとりまく法規制や支援策の変化が影響していると同社では見ている。続いて、鳥巣氏は企業が今後取るべきIoT施策について説明した。最近、デジタルトランスフォーメーションという言葉を耳にする機会が増えたが、このデジタルトランスフォーメーションが、企業をIoTサービス・プロバイダーに変えるという。そもそも、デジタルトランスフォーメーションとは何か。簡単に言うと、「企業が自社の製品やサービスにITを組み合わせることで、新たなビジネスを創出すること」となる。ここで言う「IT」は、クラウド、ビッグデータ、ソーシャル技術、モビリティによる「第3のプラットフォーム」を指す。鳥巣氏によると、これまで企業のIT活用はバックエンドが中心だったが、第3のプラットフォームの登場によりITを迅速かつ容易に利用できるようになり、企業のデジタルトランスフォーメーションが拡大しているという。実のところ、同社の調査「2015年 国内IoT市場 ユーザー利用動向分析」によると、IoTの導入/運用に関し、直接関わる事業者の14%が非IT事業者という結果が出ている。IoTを活用したデジタルトランスフォーメーションの例としては、GE(産業機器を利用する企業向けに稼働効率の最適化をクラウドで提供)、コマツ(建設業/公共公益向けに建機を活用した業務最適化を実現)、セコム(企業全般向けにドローンを活用した防犯サービスを提供)などがある。鳥巣氏はこうした企業のIoTサービスプロバイダー化が進むと、IoT投資の増加に直結すると述べた。こうした背景を踏まえ、鳥巣氏は「IoTによるクラウド、アナリティクスといったサービスはIoTを実現するツールでしかない。IoTを導入するにあたって重要なことは、ビジネスを具現化するアイデアと継続力」と語った。ビジネスを具現化するアイデアには、ビジネスモデルやマネタイズの方法などが含まれる。継続力とはトライ&エラーを重ねることを指し、これにより、自社としてのサービスを固めていく必要があるわけだ。鳥巣氏によると、ベンダーのIoTへの取り組みも、「産業分野」「ユースケース」「IoTエッジ」と3つの方向性で拡大しており、こうした動きも押さえておきたい。産業分野を拡大させる取り組みとしては、IoTクラウドプラットフォームの拡大や産業分野別の営業体制の強化がある。ちなみに、IoTクラウドプラットフォームの種類は「開発環境」と「デバイス管理」に分けられるが、「大抵のベンダーは両方を提供しており、差別化が難しい」と鳥巣氏。そうしたこともあり、企業はIoTの技術よりも、IoTを使って何をするかということに注力する必要があるわけだ。こうしたプラットフォームの提供により、「とりあえず試す」という敷居は下がっていると思われる。国内でも、IoTを活用して成果を上げている企業が出てきている。興味がある企業は、IoTが自社のビジネスにとってどのようなメリットをもたらすのかについて検討を始めてはいかがだろうか。
2016年03月04日米Amazon.comは3月3日(現地時間)、同社が提供するデジタルアシスタント「Alexa」を利用できる家電デバイス「Echo Dot」と「Amazon Tap」を発表した。Amazonは2014年末に据え置き型のBluetoothスピーカーにAlexaを統合した「Echo」というAlexaデバイスを米国で発売した。当時は実験的な製品と見なされていたが、少しずつユーザーを増やし、昨年のホリデーシーズンには品薄状態が続くぐらい普及し始めている。Echo Dotはスピーカーを音声フィードバック用のみにし、アイスホッケーのパックのようなサイズにまとめた小型版Echoだ。本体サイズは84×84×38ミリ、重さは250グラム。音楽鑑賞に使えるスピーカーは備えていないが、Bluetooth、3.5ミリ・オーディオ出力、Wi-Fi(802.11 a/b/g/)を装備するので、スピーカーやヘッドフォン、オーディオシステムに接続することでEcho Dotを通じて音楽ストリーミングサービスも楽しめる。音声認識機能はEchoと同等で、離れた場所から話しかけてもAlexaへのコマンドを聞き分けるFar-Field音声認識に対応する。Echo Dotの価格は89.99ドル。現時点で購入できるのはPrimeメンバーのみで1人2台まで。そしてEchoまたはFire TVでAlexaの音声ショッピングを使って購入しなければならない。Amazon Tapは、持ち運び可能なバッテリー内蔵ポータブルBluetoothスピーカーにAlexaが組み込まれている。本体サイズは159×66×66ミリ、重さが470グラム。スピーカーとしては、2つの1.5インチドライバとパッシブラジエーターを備え、全方向にサウンドが広がる。Wi-Fiを通じてインターネットに接続している時に、マイクが描かれた大きなボタンを押してAlexaを利用することが可能。Prime Music、Spotify、Pandora、TuneIn、iHeartRadioといった音楽ストリーミングサービスをサポートする。インターフェイスは、3.5ミリ・オーディオ入力、Micro-USB(電源)、Wi-Fi (802.11 b/g/n)、Bluetoothなど。バッテリー動作時間は最大9時間。置くだけで充電が始まる充電クレードルが付属する。価格は129.99ドル。発売日は3月31日だ。
2016年03月04日米ON Semiconductorの日本法人であるオン・セミコンダクターは3月3日、RFMicronとの協業により、ワイヤレスパッシブセンサソリューションをIoTクラウドプラットフォームへ素早く導入できる開発ツールを開発したと発表した。同IoTプラットフォーム開発キットには、性能が最適化されたコンピューティングと接続モジュール一式が統合されており、特に電力とスペースの制約が懸念される場所に、バッテリ不要のワイヤレスセンサ技術とIoTハードウェアを迅速かつ効果的に導入できる。各開発キットには、オン・セミコンダクターのバッテリ不要のワイヤレスセンサタグが組み込まれており、RFMicronのMagnus S2センサICを使用して温度、湿度、気圧、または近接感知の機能を実行できる。また、同プラットフォームは、32dBmWの定格電力と周波数範囲860~960MHzのUHF RFID読み取りモジュールを特徴としており、ローカライズされたデータ処理は、ARM Cortex-A8ベースのAM335x SoCにより実行される。また、キャプチャしたデータは、WLAN、Zigbee、Z-Wave、UHF Gen 2などの無線および、KNX、CAN、SPI、イーサネットなどの有線で転送可能。同開発キットは、オン・セミコンダクターの既存のワイヤレスセンサ評価キットである「SPS1M-EVK」を補完するものであるという。
2016年03月03日ヘッドマウント型のAR(拡張現実)デバイスを開発する米Metaが「Meta 2 Development Kit」の予約受け付けを開始した。価格は949ドル。出荷開始は今年第3四半期を予定している。Metaは、ニューロサイエンスを用いた直観的なコンピューティングの実現を目指している。ゴーグルのように装着するデバイスは透過型ディスプレイを備え、現実世界にデジタルのオブジェクトやアイテムを重ね合わせたAR体験を実現する。第2世代の開発者向けキットであるMeta 2 Development Kitでは、手を動かしてデジタルオブジェクトに触れたり、動かせるようになった。クリックやボタンを押すことなく、自然な手の動きで様々な操作をこなせる。たとえば、機械の組み立て方法を伝える場合、離れた場所にいる人に対してもMetaならデジタルオブジェクトで表示した機械に触れながら説明できる。リモートコラボレーションが容易になる。他にも、骨の3D映像を動かしながら骨折の状態を示したり、ビルの建築予定地に3Dモデルの建物映像を重ねて表示させるなど、様々な用途に活用できる。Meta 2はディスプレイ解像度が2560×1440で視野角が90度。手の動きやポジションをトラッキングするセンサーアレイと720pカメラをフレーム前部に搭載し、耳の周囲に4つのスピーカーを備える。HDMI 1.4bまたはDisplayPortを通じてPC(Windows 10または8.x)と接続する。
2016年03月03日日本IBMは、コグニティブ・コンピューティングとIoTが密に連携する新たな次元の「つながる」ソリューションを業界ごとに創出するWatson IoT事業部を3月1日から新設する。新事業部は、日本を含む、アジア、欧州、米国の8カ所の「Watson IoT Client Experience Center」と連携して、顧客とパートナー向けに 、コグニティブ・コンピューティングを活用した新しいソリューションの開発・作成に必要なテクノロジー、ツールを提供する。IBMは、WatsonのAPIおよびサービスをIBMのクラウド上で提供し、コグニティブIoTのソリューションとサービスの開発を加速させている。IBMではIoTが効果を発揮する領域として、「つながるクルマ」「スマート・マニュファクチャリング」「コネクテッド・ライフ」「ヘルスケア」「スポーツやエンターテイメント」「小売業の店舗」など、6つのユースケースを想定し、ビジネスを推進している。スマート・マニュファクチャリング分野では、三菱電機とIoT技術を活用した次世代スマートファクトリー実現に向けて技術協力することで合意、コネクテッド・ライフの分野では、ソフトバンクとIoTを活用したソリューション提供において協業することで合意している。
2016年03月01日スペイン・バルセロナで2月25日まで開催されていた「Mobile World Congress 2016」では、「IoT」が大きなテーマの1つとなった。IoT向けのLTE規格「NB-IoT」などの標準化も始まり、高速・低遅延などの要素を持つ5Gが登場すると、人だけではなく、"人とモノのためのネットワーク時代"が本格化する。通信インフラ大手のEricssonは「通信事業者にとってIoTは大きなチャンス」と喧伝する。今回、同社のクラウドとIP部門でIoTを担当するBo Ribbing氏に話を聞いた。○M2MとIoTの違いは?――企業における導入など、IoTの現状について教えてほしい。IoTは社会と企業、人々の生活を変える大きなチャンスとなる。企業であればプロセスの効率化によるコスト削減だけでなく、新しいサービスを創出することで収益増が見込める。IoTの前提は"接続性"だ。IoTアプリケーションや端末、業界全体の共通土台となる重要な要素となる。われわれは、IoT接続のデバイスの数が現在の50億台から、2021年に150億台まで増加すると予想している。ただ、IoTのコンセプト自体は「M2M(マシン間通信)」などとして20年ほど前から存在する。これまでは火災報知器やスマートメーターなどから小容量のデータが送られているにすぎなかったが、現在は、デバイスから送信されるデータ量が大きくなっている。デバイスメーカーは自社製品をネット接続に対応することで、「さらなるバリューが得られる」ことにに気づき始めている。ネットワークが"ユビキタス"になったこともあり、「もっとデータをやり取りしよう」という方向にある。家庭用のアラームであれば、これまでは警告を発信するだけだったものが、「何が起きたのか」ということまでわかりやすくなる。例えば、「現場の様子の写真も一緒に送る」といった用途がある。また、自動車分野においても活用が進んでおり、インフォテインメント(Information<情報>とEntertainment<娯楽>の造語)などに関連したトラフィックが増えている。――IoT分野におけるEricssonの戦略は?(顧客である)通信事業者と一緒になって、IoTの潜在能力とメリットを企業や社会にアピールし、提供していく。われわれは"通信"と"接続"のプロであり、いいポジションにいると思っている。製品としては、2011年より「Device Connection Platform(DCP)」を提供しており、すでに20社以上が利用している。買収したTelenor Connexionの技術を土台としているが、重要な特徴が"クラウド"、つまり"as a Service"として提供している点だ。クラウドにして、オペレーターと提携して各社のネットワークをアグリゲーションしている。これにより、グローバルに展開する製造業は、世界中でサービスを利用できる。このように、クラウドでIoTプラットフォームを提供する企業はEricssonとJasper Wireless(Cisco Systems傘下)ぐらいだろう。機能としては、加入管理や課金、ポリシー管理、プロビジョニング、オーダー管理、接続モニタリング、デバイス管理など、必要なものを一通りそろえている。Jasperとの大きな違いは、Ericssonのコアネットワークを統合している点で、加入管理などのBSS(Business Support System)だけでなく、コアネットワークも備える。――DCPでは、国際ローミングはどのように提供されるのか?IoTサービスはコンシューマー向けのサービスとは異なり、BtoBのボリューム契約となるため、通常はグローバルローミング・モデルで契約する。つまり、1個のSIMにより、世界中でサービスを利用できる。だが、先述のようにIoTでのデータ容量が増えているため、ローカルのネットワークサービスを契約するほうがメリットを生む例も出てきている。また、国によっては特定のデバイスに対し、自国のSIM利用を義務付けているとこともある。この問題を解決するのが「eSIM」だ。リプログラマブルなSIMカードで、工場で製品を製造する際にeSIMを入れておけば、どの地域に出荷してもネットワーク上でプログラミングが可能だ。この機能は2016年中に一部で提供を開始し、2017年に拡大する予定だ。――IoTではどの業界にフォーカスしているのか?自動車や運輸・物流、ITS、公共事業(電気、水、ガスなど)、公共安全や国家保安、メディアの6業界で、コラボレーションを進めている。――IT側の統合なしにはIoTのメリットが得られない。ここでの取り組みは?ネットワークの機能をAPIの形でエクスポーズしている。企業はAPIを経由して、SIMカードやデバイスのアクティベーションやデアクティベーションが可能になる。これは接続に関する話だが、ITの課題の多くはプロセスに関するものだ。デバイスがネットワークにつながると、プロセスを変化させる必要がある。最終的にはIoTによりコストを削減したり、新しいサービスを立ち上げたりしたいはずだ。そこで、EricssonはMWCで「IoT Transformation」をロンチした。サービス側の機能を利用して、企業がITをベースにオペレーション変革を支援するというものだ。われわれには変革を実現する技術があり、企業の変革を支援できる。――IoTは無線技術と通信インフラが主体であるEricssonの事業にどのような影響を与えるのか?会期中はAmazon Web Services (AWS)との提携を発表しており、ITベンダーとの協業も重要になってくる。IoTは2つの点で、われわれの事業に影響を与える。1つ目は「通信事業者との関係性」だ。通信事業者はこれまでコンシューマーをメインターゲットに据えていたが、法人市場も無視できない状況にある。接続性をマネタイズにつなげるという観点から、変革期にある通信事業者をサポートする。2つ目は、(通信事業者を挟まない)企業との関係性の構築。ケースによっては、通信事業者よりもEricssonのほうが企業の求める機能を持っていることがあると思う。通信事業者はネットワークの運用と接続性の提供ではプロだが、EricssonはIT領域で提供できるものを多数そろえており、継続して強化を進めている。接続の部分だけではなく、IT、プロセスでも支援できる。ここは、われわれにとって新しいビジネスとなる。
2016年03月01日日立システムズは2月29日、量販店や専門店などの小売業向けにスマートフォンやタブレットを活用して店舗業務の効率化やコスト削減を支援するサービス「スマートデバイス業務支援」を販売開始した。提供開始は4月を予定している。第1弾として、音声コミュニケーション機能(内線・外線など)、本部拠点間コミュニケーション機能(ToDo管理など)、モバイルデバイス管理・セキュリティ機能(紛失・盗難対策など)からサービスを開始し、今後、「FutureStage 量販店向け本部店舗システム」や「FutureStage 専門店向け本部店舗システム」との連携や、在庫管理、発注、クレジット決済などの機能拡充を図る。新サービスでは、携帯電話、内線・外線、インカム、トランシーバーおよび業務端末などをスマートデバイス1台に集約できるため、携帯端末の調達、運用・管理コストの削減が図れるほか、外出先からもインターネット経由での内線電話が利用可能なため、通信コストの削減効果も期待できる。また、本部からスマートデバイスに配信する指示や通達をタイムリーに現場で確認可能なため、業務の効率化やコミュニケーションの向上が図れるという。さらに、同社のコンタクトセンターや全国約300カ所のサービス拠点などのサービスインフラを活用することにより、端末のキッティング(初期設定)、運用フェーズでの予備機の管理・配送など、スマートデバイスの導入に伴う初期設定・配布から維持管理までを日立システムズが一貫して対応するため、コスト削減と業務効率向上が見込める。万一、スマートデバイスを紛失した時はモバイルデバイス管理・セキュリティ機能により、リモートでデータの消去を行う。不正アプリケーションの利用による情報漏えいを防ぐため、導入アプリケーションを本部で一括管理することができるなど、適切なセキュリティ対策や運用・管理を可能としている。これまでの専用端末では、機器に依存する専用の開発言語でのシステム開発となるケースが多く、開発コストや期間の負担が大きいことが課題となっていたが、汎用的な端末を利用することで機能の追加開発が容易になるほか、スマートデバイス対応のさまざまなアプリケーションから業務に有用なソフトウェアを導入し、業務効率化と質的な向上も可能だという。価格は初期費用が個別見積もり、経常費用が音声コミュニケーション機能で月額600円/台~、本部拠点間コミュニケーション機能で同300円/台~、モバイルデバイス管理・セキュリティ機能で300円/台~。今後、同社ではFutureStageとの連携をはじめとした機能のさらなる拡充を図るとともに、小売業に加え、卸売業や物流業、製造業向けにもスマートデバイス業務支援を拡販し、2020年度末までに累計6億円の売上を目指す。
2016年02月29日Qurateは、スマートフォンやタブレット等のモバイルデバイス、またはデスクトップ、パソコン等を使って、手軽に全デバイス対応Webサイトを作成するためのアプリ「Que」をリリースした。価格は無料。「Que」は、同社が開発しサービス展開している基幹システム「Qr8」を応用して開発されたアプリ。スマートフォン、タブレット等のモバイルデバイス、もしくはデスクトップ上で、いくつかのテンプレートと写真を選び、簡単な文章を入力することで、直感的に全デバイス対応ウェブサイトを作成し、公開することができるという。また、テンプレートを用いて直感的に操作することでき、作成者自らが更新や編集をいつでもオンラインで行える。無料のお試しプランのほか、年額の有償プランも用意。iOS版、無料のWeb app版も展開されている。
2016年02月24日IoT(Internet of Things)は人工知能と並ぶ今年のITトレンドの1つだ。IoTに関連した製品の展開、企業による導入も始まっている。ヴイエムウェアと言えば、仮想化製品のベンダーとしての印象が強いが、同社の製品はIoTソリューションの構築に活用されており、すでにさまざまな企業にIoTソリューションを導入しているという。今回、米VMware EMEA担当 戦略コンサルティング部門統括 マティアス・ショーラー氏より、同社のIoTへの取り組みについて話を聞いた。同氏は、中央ヨーロッパで自動車関連のビジネスを統括しており、コネクテッド・カーや自動車業界の新たなビジネスモデル全般に取り組んでいる。ショーラー氏は初めに、IoTソリューションについて、「接続」「管理」「モバイル通信」「インフラ」「セキュリティ」「アプリのライフサイクル」を組み合わせる必要があると説明した。同社が提供するIoTソリューションはこれらの要素を活用して、「モノの管理」「データのキャプチャと分析」「クラウドモバイルサービスの提供」を行う。「モノの管理」では、AirWatchでデバイスのアクセスと管理を、NSXでセキュアなコネクションを、vRealize OperationでIoTエッジゲートウェイの管理と監視を行う。ショーラー氏によると、インテルと提携しており、インテル製ゲートウェイにvRealize Operationのエージェントが搭載されているという。「データのキャプチャと分析」では、Pivotal Spring XDでデータ収集を、EMCのFederation Business Data Lakeでデータストレージを、Pivotal Big Data Suiteでデータの分析と対処を、EMC Real Time Intelligenceでエッジ分析を行う。IoTアプリの設計・開発・展開・運用を行うために、SDDCなどによりデータセンターのインフラを構築し、アプリ・プラットフォームを活用して、クラウドモバイルサービスの提供を実現する。このように、同社は「IoT向け」と銘打った製品ではなく、一般に企業向けとして提供している製品群によりIoTソリューションを提供している。ショーラー氏はIoTソリューションの導入事例として、Coca-Colaを紹介した。コカ・コーラは、1台で100種類以上の飲料を提供する自動販売機「コカ・コーラ フリースタイル」を提供しているが、裏ではAirWatch製品が動いているという。AirWatchはデバイス管理、構成管理、デバイス分析、SAPとSalesforceの連携を行っている。具体的には、飲料の利用データの収集、販売機のメンテナンスと飲料の補充管理などを行い、収集したデータの分析結果から、販売機によって飲料の種類を変更したり、個人のオーダーを管理したりすることで、購買客のニーズに応えている「Coca-Colaは米国でペプシにシェアを奪われていたが、フリースタイルの導入により、盛り返していると」ショーラー氏。Coca-ColaがAirwatchを選んだ理由としては、「拡張性、柔軟性が高いこと」が挙げられた。あわせて、ショーラー氏のメインの業務であるコネクテッド・カーに関する取り組みについても紹介された。IoTは製造業で導入が進んでいると言われており、製造業の中でも自動車業界は日本の経済を牽引しており、その取り組み状況は気になるところだ。ショーラー氏は、Pivotal製品を用いてアプリを開発したメルセデス・ベンツとフォードを紹介。メルセデスが2016年に発売を予定しているEクラスに搭載されるアプリ「メルセデス・ミー」は離れた場所からのドア施錠・解錠などのリモート操作を実現し、スマートフォンを鍵と利用することが可能になるという。「メルセデスはソフトウェア・カンパニーを目指している。そのスタンスの成功は、元はソフトウェアベンダーだったテスラモーターズが示した。EVはエンジンが見えないため、ハードウェア面で差別化の要素がない。そのため、ソフトウェアとサービスで工夫をしていく必要がある」と、ショーラー氏は自動車業界におけるソフトウェアの価値について語った。ショーラー氏はIoTソリューションを支えるデータセンターのインフラにおいては、ハードウェアでもソフトウェアでも構築可能な拡張性が特に重要だと述べたが、拡張性と並ぶ重要な要素が「セキュリティ」だという。例えば、ドイツの製造業では、製造システムが仮想化されるなど、IT化が進んでいるが、セキュリティの強化が課題となっているという。ドイツのある工場では、1台のマシンのUSBから工場全体にウイルス感染が広がったそうだ。「NSXのマイクロセグメンテーションでタイトな制御を行えば、ウイルス感染の被害を最小に食い止められる」と、ショーラー氏は語る。「ヴイエムウェアがIoT」と聞いた時は少々違和感があったが、考えてみれば、同社の戦略「One Cloud, Any Application, Any Device」はIoTと関わりが深い。規模が求められるIoTのインフラもソフトウェア定義のデータセンターなら容易に拡張可能だ。さらに広がることが予想されるIoT分野において、ブイエムウェアがこれからどのようにして存在感を放っていくのか、興味深い。
2016年02月22日SCSKとKSKは2月9日、SCSKのモバイルアプリ管理ソフトウェア「Appsnaut Type.II」と、KSKのワンソースマルチデバイス対応ソリューション「pronel」を連携し、既存のPC用Webサイトをベースとし、スマートデバイス向けのWebサイトとアプリを導入・運用できるソリューションの提供を、同日より開始すると発表した。今回の連携ソリューションでは、「Appsnaut Type.II」と「pronel」を連携することで、既存のPC用Webサイトをベースに、スマートデバイス向けのWebサイトとネイティブアプリの導入や運用が可能となる。また、同連携ソリューションでは、ベースとなるPCサイトからモバイルサイトやモバイルアプリを作成することもできる。SCSKでは、初年度30社、3年後には累計50社への提供を目指している。
2016年02月09日日本マイクロソフトは2月9日、東京エレクトロンデバイスなど9社と協力して「IoTビジネス共創ラボ」を発足したことを発表した。Microsoft AzureをベースとしたIoTソリューションの開発促進や、共同検証結果を発表するセミナー開催など、各企業がマッチングする場を提供する。登壇した日本マイクロソフト 代表執行役 会長の樋口泰行氏は、「Azure IoT Suite」による迅速な共同検証の支援で、スモールスタートから本格導入までスムーズに行えるとアピールした。日本のICT産業を語る上で「IoT(Internet of Things)」は、今もっとも注力しなければならない分野である。米国のように官民一体となってIoT事業を推進しなければならないのは、誰の目にも明らかだ。このことを改めて強く感じさせたのが、日本マイクロソフトが2016年2月9日に開催した「IoT分野の新たな取り組みに関する共同記者発表会」である。東京エレクトロンデバイス IoTカンパニー(幹事社)、日本マイクロソフト(事務局)、アクセンチュア、アバナード、テクノスデータサイエンス・マーケティング、電通国際情報サービス、ナレッジコミュニケーション、日本ユニシス、ブレインパッド、ユニアデックスの計10社が協力して「IoTビジネス共創ラボ」を発足したことを発表した。登壇した東京エレクトロンデバイス IoTカンパニー カンパニープレジデントの八幡浩司氏は、「IoTのエキスパートによるエコシステム構築や、プロジェクトの共同検証によるノウハウ共有、先進事例の共有によるIoT導入の促進といった目的を持って、各企業がエコシステム的に協力しあう。自由な議論から生まれる発想を活かしたい」と発足理由を語る。そもそも東京エレクトロン デバイスは、産業用エレクトロニクス製品の設計や開発、半導体電子デバイスおよび情報通信機器の販売や保守を行う企業として、さまざまなデバイスを世に送り出してきた。日本マイクロソフトとは23年前から組み込み分野で付き合いがあるというから、Windows Embedded CompactがまだWindows CEと呼ばれていた時代までさかのぼる。そこで東京エレクトロンデバイスと日本マイクロソフトが中心となって、ビジネスソリューション開発やサイエンス分野など幅広い専門分野に声をかける形で、IoTビジネス共創ラボの発足に至った。IoT分野における未来予測はIDCやGartnerの調査結果が顕著だが、八幡氏は2020年までにIoT接続数は250億(Gartner)、市場売り上げ規模は1.7兆ドル(IDC)を引用し、「数字だけではピンと来ないが、我々が関わるすべてのものがインターネットにつながる世界を想像してほしい。より良い行動指針を提示する未来が訪れる」とIoTで変わる未来を語った。また、McKinsey&Companyの調査結果である"IoTがもたらす価値の70パーセントはB2Bシナリオから"についても、「正しい予測だ。我々も同様に始める」という。さらに日本国内のIoT市場についても言及し、「(IDC Japanの調査結果によれば)現在のICT市場は25兆円だが、そのうちIoT市場は9兆円。今後はIoTが市場全体を牽引し、年12パーセントの成長率がある」と説明した。特にサーバーやストレージ、分析ソフトウェアなどが成長分野となり、IDC Japanの調査結果では4年後の2019年には16兆円まで拡大する。この7兆円の部分を参画する企業たちで盛り上げようというのが、IoTビジネス共創ラボの存在理由だ。IoT導入で問題視されるのがセキュリティや投資対効果、そして人材不足である。この点についてはMicrosoft Azureで解決することが可能であると八幡氏はいう。記者からの他社製パブリッククラウドの導入について検討しなかったのか、という質問に対して、「(東京エレクトロン デバイスの調査によれば)あらゆるモジュールを持っているのはMicrosoft Azureだけだった。顧客がオンプレミスサーバーでデーターを管理している場合も、データーだけをPower BIに投げるなど柔軟なシナリオに対応できる」と、日本マイクロソフトを協業パートナーに選択した理由を説明した。さらに日本国内にデーターセンターを保有している点も大きいという。IoTビジネス共創ラボではプロジェクトを検証するため、5つのワーキングループを設けることを明らかにした。各分野に特化した「製造ワーキンググループ(リーダー: 東京エレクトロンデバイス)」「物流・社会インフラワーキンググループ(リーダー: ブレインパッド)」「ヘルスケアワーキンググループ(リーダー: ユニアデックス)」の3つに加え、ビジネスインパクトがあるIoTシナリオを検討する「ビジネスワーキンググループ(リーダー: アクセンチュア)」と、多様なデーターを分析、活用する「分析ワーキンググループ(リーダー: ブレインパッド)」が脇を固める。八幡氏は「ホワイトボードに書き殴りながら議論を進めたい」と語った。日本マイクロソフト 代表執行役 会長の樋口泰行氏は、「IoTはクラウドとデバイスを結びつけることで高い付加価値を生み出せる。弊社は後出しジャンケンが得意な会社だが、より良いもの目指した結果、機能的には(他社製パブリッククラウドよりも)先に進んでいる」と述べている。IoT市場においてはMMI(マンマシンインタフェース: 人と機械の間で情報伝達を行うデバイスやソフトウェア)が重要だが、Microsoftは同分野の研究を長年続けてきた。この点についても「M2M(Machine to Machine)からIoT、最終的には人とつながることに価値を見いだしたい」という。樋口氏はIoTデバイスの多様化を、自社のSurface HubやHoloLensといったデバイスと機械学習などのIT技術を例に挙げ、「別々に存在したものがクラウドやIoTでつながり、それが人につながっていく」と説明した。近年の日本マイクロソフトは国内にデーターセンター設置してから、Microsoft Azureを用いたビジネスを開く展開している。シェア拡大の理由について樋口氏に尋ねると「最近はオンプレミスサーバーを自社で購入する企業はかなり減ってきている。その環境変化に合致したのだろう。『Azure Stack(IaaSやPaaSの機能をオンプレミスで利用可能にするパッケージ)』や他社製パブリッククラウド、企業内クラウドなどにシームレスに対応し、その裏でもインテリジェンスな機能が多数存在するため選んでもらっている」と、Microsoft Azureの強みを語った。IoTビジネス共創ラボにおける日本マイクロソフトの役割は事務局ということだが、容易なクラウドとIoT導入を実現すると同時に遠隔監視や予兆保全、資産管理などのシナリオをパッケージ化する「Azure IoT Suite」や、IoTデバイスとソリューションバックエンド間でセキュアな双方向通信を認定する「Azure Certified for IoTプログラム」を提供。後者は2015年9月から米国本社で始めたプログラムだが、認証済みデバイスなどをリスト化することで、ユーザーのIoT導入支援につなげる意図がある。既に8社のゲートウェイパートナーが申請を開始し、内1社認証を取得済みだという。その他にも、「Azure IoT Hub(何百万台ものIoTデバイスとクラウド双方向通信やセキュリティ保護を確立するサービス)」を2月3日から最終版として提供を始めている。さらにIoT市場の需要喚起として、製造や流通といった各種業界の意思決定者5,000人を対象にしたイベントやセミナーを開催。既に3月10日には1回目の勉強会を予定している。さらにパートナーマッチングや先進事例のモデル化などを行いながら、1年以内に100案件の送出を目指すという。加えてIoT技術者不足を改善するため、無償トレーニングも提供する。年90回以上のトレーニング開催を予定し、合計1万人の技術者育成を目指す。最後に活動目標として八幡氏が「1年以内に(顧客企業を)100社に拡大する」と語った。その理由として「日本は製造業の土壌がある。長年付き合いのある企業は3,000社、常に取引のある企業は2,500社以上。各社からIoT市場への参画をほのめかす声を頂いている」からだという。今回の取り組みがIoT市場へどのようにコミットし、成果を生み出すのか現時点では分からない。だが、IoTへの取り組みは世界レベルで切磋琢磨する時代となった。IoTビジネス共創ラボには次世代のICT市場を盛り上げる役割を期待したい。阿久津良和(Cactus)
2016年02月09日さくらインターネットは2月8日、IoT(Internet of Things)サービスに必要な通信環境とインフラ基盤サービスを一体で提供する「さくらのIoT Platform」を2016年度中に提供開始すると発表した。「さくらのIoT Platform」は、IoTサービスに必要な機能をサービスとして提供する。同社はデバイス向け通信モジュール「さくらのIoT通信モジュール」、同社のデータセンター内の閉域網に設けるデータを保存・処理するインフラ基盤を提供する。通信回線は、ソフトバンクとソラコムの2社から選択可能だ。データ提供者は同社の閉域網にデータを送受信できる。送信したデータをパブリックデータとして閉域網に保存する場合は無償で利用できるが、プライベート領域でデータを利用する場合などは有償となる。パブリックデータとして送信されたデータは、APIを介して、有償で利用できる。デバイスと通信モジュールの通信はUART、SPI、I2Cを介して、コマンドベースで行われる。非常に軽いため、貧弱なマイコンでも対応可能だという。提供が予定されているmbed用ライブラリ、Arduino用ライブラリ、IchigoJam用ライブラリ、Raspberry Pi(Linux)用ライブラリを利用することで、既存センサーや制御モジュールと同等に扱うことが可能になる。通信モジュールは1万円以内で提供され、課金は同社が定める単位「Message」に対して行われ、通信モジュールや通信にかかるコストはすべてこの料金に内包される予定。1個当たりのモノに対する実質負担は数十円程度に抑えるとしている。代表取締役 社長を務める田中邦裕氏がIoTプラットフォームを提供する背景を説明した。田中氏は「モノがつぶやけばいいのに」という会話がきっかけだったと語った。「Twitterでは、APIで情報を統合して価値を生み出した。これからは人間よりもモノのほうがインターネットに接続する機会が増えるため、モノのタイムラインを作ることで、そこから新たな価値が生まれるようになる。Twitterの世界をモノで実現したい」と田中氏。その一方で、IoTを実現するうえで、デバイスと通信が一体になっていないためインターネットと融合できないという課題があり、「通信」「モノ」「クラウド」をもっと簡単に接続する必要があると考えたという。田中氏は同サービスのコンセプトが「どこでも誰でも手軽に今すぐに」であることを紹介した。現状、IoTは、スマートフォンを介してなど、人間がいる場所でモノをつなぐことが前提となっており、つまり、人間がいないとモノを接続できないという。同社では、人間がいない場所でもモノが接続することを実現する。また、人間がいない場所でモノをつなぐにはコストの課題もあるとして、安価につなぐことも可能にする。さらに、田中氏は「エンジニアはハードウェア、ソフトウェアなど、ジャンルごとに分断されており、スタンドアロンのIoTデバイスを作ろうと思うと、知識不足がネックとなる」と指摘。そこで、同社はハードウェア、通信環境、APIを垂直統合で提供することで、技術面でのハードルの解消を目指す。なお、データを利用するAPI課金によって得られた利益はMessage課金によってデータを送信した人にフィードバックすることも計画しているという。「データが利用されればされるほど、インセンティブとして還元することを考えている」(田中氏)田中氏は「利用できるデータが増えれば、データを処理する量も増え、われわれのビジネスも広がる。つまり、もっとインターネットにデータが吐き出される必要がある」と、同サービスに込める期待を語った。サービス提供に先駆け、2016年4月より「さくらのIoT Platform α」、9月より「さくらのIoT Platform β」が提供される。「さくらのIoT Platform α」では、「さくらのIoT通信モジュール」が無償で貸与され、1000個の通信モジュールが用意される予定だ。2月8日より、「さくらのIoT Platform α」のパートナーが開始されたが、発表会には、ソラコムなど7社のパートナーの担当者が参加し、さくらのIoT Platformとの連携について説明した。
2016年02月09日米Mozillaは2月4日(現地時間)、スマートフォン向けOS「Firefox OS」の開発を終了すると発表した。今後は、IoT分野への展開に注力していくという。Firefox OSの開発について昨年12月、コネクテッドデバイス担当SVPであるAri Jaaksi氏が、スマートフォン向けOSの開発終了と、今後はコネクティッドデバイスへリソースを投入することを明らかにしている。今回の発表内容によると、「バージョン2.6」を最後に、スマートフォン向けOSの開発を終了する。なお、開発・提供に関わってきたスタッフは、6月から別のプロジェクトに移るという。それに伴い、アプリストア「Firefox Marketplace」では、3月29日をもってAndroid版、タブレット版、デスクトップ版のFirefox向けアプリの登録受付を終了。Firefox OSをサポートしないアプリは削除される。Firefox OS用のアプリ登録は2017年まで受け付ける。Firefox OS開発はIoT分野へ軸足を移しており、コネクティッドデバイスチームでは、新たな製品開発テストを進めている。すでに、スマートTVを含む3製品が3段階ある開発テストの第1段階を通過している。2016年前半に開発プロセスを正式に公開するとしている。
2016年02月08日サードウェーブデジノスは5日、NVIDIAが提唱するVRデバイス向けのPCやグラフィックスカードの認定プログラム「GeForce GTX VR Ready」対応のハイスペックPCを発表し、PCショップ「ドスパラ」で販売を開始した。価格は税別149,980円から。「GeForce GTX VR Ready」は、VR(Virtual Reality)対応のヘッドマウントディスプレイなどを快適に動作可能なPCやグラフィックスカードをNVIDIAが認定するプログラム。「Oculus Rift」製品版の推奨スペックであるNVIDIA Geforce GTX 970以上を搭載したPCやグラフィックスカードが対象となり、「GeForce GTX VR Ready」に認定された製品にはそれを示すバッジをパッケージなどに表示する。「GeForce GTX VR Ready」対応PC「GALLERIA XF」の主な仕様は、CPUがIntel Core i7-6700(3.4GHz)、メモリが8GB PC4-17000、ストレージが2TB SATA3 HDD、グラフィックスがNVIDIA GeForce GTX 970 4GB、光学ドライブがDVDスーパーマルチドライブ、OSがWindows 10 Home 64bit。本構成の価格は税別149,980円から。上位モデル「GALLERIA ZI」の主な仕様は、CPUがIntel Core i7-6700K(4.0GHz)、メモリが16GB PC4-17000、ストレージが250GB SSD + 2TB SATA3 HDD、グラフィックスがNVIDIA GeForce GTX 980 Ti 6GB、光学ドライブがDVDスーパーマルチドライブ、OSがWindows 10 Home 64bit。本構成の価格は税別239,980円から。
2016年02月05日IoT検定制度準備委員会は2月5日、IoTの普及と知識スキルを可視化する策として検定制度を開始することを発表した。同検定は技術的な視点だけでなく、マーケティング担当、サービス提供者、ユーザーなどの視点から必要となるカテゴリー、スキル要件を網羅し、それぞれの立場でIoTのシステムを企画・開発するために必要な知識があることを証明できるものとなっている。主な受験対象者は、IoTを取り入れる組織の経営者および管理者、IoT化を推進するプロジェクトの企画担当者、IoTを活用しデータ分析などを行う利用者、IoTシステムの構築・保守運用に携わるエンジニア。検定分野は、企画推進・戦略立案のための基礎知識やプロジェクトマネジメントに関する知識を問う「戦略とマネジメント」、産業システム・スマート製品に関する知識やIoT関連の標準化に関する知識を問う「産業システムと標準化」、通信関連の法律に関する知識を問う「法律」、データ送信プロトコルやWAN、LANなどに関する知識を問う「ネットワーク」、電子工学やセンサ技術に関する知識を問う「IoTデバイス」、クラウド環境や分散処理システム利用に関する知識を問う「プラットフォーム」、データベースや機械学習に関する知識を問う「データ分析」、暗号化や攻撃対策に関する知識を問う「セキュリティ」を予定している。3月より希望者および有識者に対してベータ試験が実施される予定で、詳細については後日発表される。
2016年02月05日JT(日本たばこ産業)は3月上旬、たばこ用デバイス「プルーム・テック」(4,000円)および専用たばこカプセル「メビウス・フォー・プルーム・テック」3銘柄(各460円)を発売する。販売場所は、福岡県福岡市の一部販売店とJTクリエイティブサービスによるオンラインショップ。同社は2013年12月から、たばこ葉が詰まった専用のたばこポッドを直接加熱し、たばこベイパーを楽しむたばこ用デバイス「プルーム」を販売している。今回発売する「プルーム・テック」は、従来のようにたばこ葉を燃やしたり、直接加熱をせずにたばこベイパーを楽しめるたばこ用具。火を使わないため、燃焼に伴う煙のにおいがなく、灰も出ないというメリットがあるとのこと。同商品は、バッテリーとカートリッジからなっており、たばこ葉が詰まった専用たばこカプセルをセットして使用する。カートリッジ内のリキッドを霧化し、たばこカプセル内を通すことで、たばこベイパーを発生させる独自のテクノロジーにより、クリアなたばこの味わいを実現したという。また、吸い込むだけで起動するなど使いやすさにもこだわった。形状はコンパクトなスティックタイプであるため、持ち運びもしやすい。専用のたばこカプセルとして、スムースな味わいが特徴の「メビウス・フォー・プルーム・テック」も開発。好みに合わせて選べるようレギュラー1銘柄、メンソール2銘柄の計3銘柄を用意する。いずれもたばこカプセル5本、カートリッジ1本がセットになっている。※価格はすべて税込
2016年02月03日ジェイアイエヌは2日、同社販売のメガネ型デバイス「JINS MEME」向けアプリ「JINS MEME APP」「JINS MEME RUN」「JINS MEME DRIVE」のAndroid版を公開した。iOS版はすでに公開されている。JINS MEMEは、「世界初、自分を見るアイウエア」をコンセプトに開発されたメガネ型デバイス。ES、MTともに6軸センサーを搭載し体の動きを取得できる。また、ESでは同社が独自開発した3点式眼電位センサーを備え、瞬きや視線移動も検出可能となっている。取得したデータは、専用のスマートフォンアプリ「JINS MEME APP」で管理できる。同アプリでは、眼の動きから得られる情報をもとに、集中や活力、落ち着きを表す「アタマ年齢」、頭の動きから得られるデータをもとに、活動量や姿勢、安定性を表す「カラダ年齢」を表示する。どちらも、状態が良くない場合に高い年齢が示されるという。そのほか、専用アプリとして、ランニングフォームをリアルタイムに可視化する「JINS MEME RUN」、運転中に“眠い”と推定される眼の動きを感知し、ドライバーに通知する「JINS MEME DRIVE」も公開されている。アプリの対応機種は、いずれもAndroid 4.4から6.0を搭載したスマートフォン。
2016年02月02日